JP2016152182A - 透明導電膜、透明導電膜の製造方法、及び、電子機器 - Google Patents

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一成 多田
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Abstract

【課題】光学的特性の低下を抑制することが可能な透明導電膜を提供する。
【解決手段】第1屈折率調整層12と、金属層13と、第2屈折率調整層14とからなる多層膜10を備え、第1屈折率調整層12、及び、第2屈折率調整層13の少なくともいずれか一方がZnSを含み、多層膜10が積層方向に順テーパ状の断面を有する透明導電膜を構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属層と屈折率調整層とを有する透明導電膜、この透明導電膜の製造方法、及び、透明導電膜を含む電子機器に係わる。
近年、タッチパネル材料、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、無機及び有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ等の表示装置、太陽電池等の各種装置に、低抵抗な透明導電膜が求められている。このような透明導電膜を構成する材料として、例えば、Au、Ag、Pt、Cu、Rh、Pd、Al、Cr等の金属や、In、CdO、CdIn、CdSnO、TiO、SnO、ZnO、ITO(酸化インジウムスズ)等の酸化物半導体が知られている。
また、タッチパネル型の表示装置等では、表示素子の画像表示面上に、透明導電膜等からなる配線が配置される。このため、透明導電膜には、光の透過性が高いことが求められている。従来、このような各種表示装置には、光透過性の高いITOからなる透明導電膜が多用されている。
近年、静電容量方式のタッチパネル表示装置が開発され、透明導電膜の表面電気抵抗をさらに低く、具体的には、50Ω/sq.以下の抵抗値とすることが強く求められている。しかし、従来、広く用いられているITO膜では、抵抗値としては150Ω/sq.程度にとどまっており、上記の要望に対しては不十分な特性であった。
このような背景から、近年、ITOに代わる次世代の透明導電膜の開発が盛んに行なわれている。例えば、金属層として銀蒸着層(以下、Ag層ともいう。)を適用した方法の検討が盛んになされている。例えば、透明導電性のZnS・SiO/銀/ZnS・SiO多層膜を、マグネトロンスパッタリングによりガラス基材上に形成する方法が提案されている(非特許文献1参照)。
Guoyun Long,et al.,Applied Surface Science(Impact Factor:2.54),12/2012,Vol.263,p.546-552,DOI:10.1016/j.apsusc.2012.09.104
しかしながら、ZnSとAgとが積層された構成の透明導電膜では、好適なパターニングが難しい。例えば、レーザエッチングでは、ZnSにレーザの吸収帯が無いため、ZnSを含む層のパターニングが困難となる。このため、レーザエッチングでは、透明導電膜の端面の形状が不良となる。
また、一般的なウェットエッチングでは、Agを含む層とZnSを含む層とのエッチングレートに差が大きく、透明導電膜の端面のサイドエッチングの制御が難しい。このため、ウェットエッチングにおいても、透明導電膜の端面の形状が不良となる。さらに、ウェットエッチングの際に、ZnSとAgとが電池効果によって化学変化を起こすため、エッチング残渣が残りやすい。これも、パターニング不良の原因となる。
パターニングに不良があると、透明導電膜をタッチパネル等の電子機器等に適用した際に、液晶等のディスプレイとの間でモアレが発生して視覚的な不良が発生する等、透明導電膜の光学的な特性が低下する。
上述した問題の解決のため、本発明においては、光学的特性の低下を抑制することが可能な透明導電膜、透明導電膜の製造方法、及び、透明導電膜を含む電子機器を提供するものである。
本発明の透明導電膜は、第1屈折率調整層と、金属層と、第2屈折率調整層とからなる多層膜を備え、第1屈折率調整層、及び、第2屈折率調整層の少なくともいずれか一方がZnSを含み、多層膜が積層方向に順テーパ状の断面を有する。
また、本発明の電子機器は、上記透明導電膜を備える。
また、本発明の透明導電膜の製造方法は、基材上にレジスト層を形成する工程と、レジスト層を逆テーパ状の断面にパターニングする工程と、基材上に、第1屈折率調整層、金属層、及び、第2屈折率調整層からなる多層膜を形成する工程と、レジスト層をレジスト層上に形成された多層膜と共に剥離し、積層方向に順テーパ状の断面を有する多層膜のパターンを形成する工程とを有し、第1屈折率調整層、及び、第2屈折率調整層の少なくともいずれか一方を、ZnSを含む材料で形成する。
或いは、基材上に、第1屈折率調整層、金属層、及び、第2屈折率調整層からなる多層膜を形成する工程と、多層膜上にレジスト層を形成する工程と、レジスト層をパターニングする工程と、多層膜を、硝酸、リン酸、及び、シュウ酸から選ばれる少なくとも1種を含むエッチング液を用いてウェットエッチングし、積層方向に順テーパ状の断面を有する多層膜のパターンを形成する工程とを有し、第1屈折率調整層、及び、第2屈折率調整層の少なくともいずれか一方を、ZnSを含む材料で形成する。
本発明によれば、光学的特性の低下を抑制することが可能な透明導電膜、透明導電膜の製造方法、及び、透明導電膜を含む電子機器を提供することができる。
第1実施形態の透明導電膜の概略構成(断面)を示す図である。 第1実施形態の透明導電膜の概略構成(断面)を示す図である。 第1実施形態の透明導電膜の概略構成(断面)を示す図である。 第1実施形態の透明導電膜の概略構成(断面)を示す図である。 第1実施形態の透明導電膜の概略構成(断面)を示す図である。 第2実施形態の透明導電膜の概略構成(断面)を示す図である。 透明導電膜の製造方法を説明するための図である。 透明導電膜の製造方法を説明するための図である。 透明導電膜を製造するための蒸着装置の概略構成を示す図である。 透明導電膜を製造するための蒸着装置の概略構成を示す図である。 透明導電膜の製造方法を説明するための図である。 透明導電膜の製造方法を説明するための図である。 透明導電膜の製造方法を説明するための図である。 透明導電膜の製造方法を説明するための図である。 透明導電膜の製造方法を説明するための図である。 透明導電膜を適用したタッチパネルの構成の一例を示す斜視図である。 実施例の試料117のテーパ部を写した画像である。 実施例の試料217のテーパ部を写した画像である。 実施例の試料301のテーパ部を写した画像である。
以下、本発明を実施するための形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.透明導電膜(第1実施形態)
2.透明導電膜(第2実施形態)
3.透明導電膜の製造方法(第3実施形態:リフトオフ)
4.透明導電膜の製造方法(第4実施形態:ウェトエッチング)
5.電子機器
〈1.透明導電膜(第1実施形態)〉
以下、本発明の透明導電膜の具体的な実施の形態について説明する。図1に、第1実施形態の透明導電膜の概略構成(断面図)を示す。
[透明導電膜の基本構成]
図1に示す構成の透明導電膜は、第1屈折率調整層12と、金属層13と、第2屈折率調整層14とをこの順で積層した多層膜10を有している。そして、この多層膜10が基材11上に設けられている。
図1に示す透明導電膜は、基材11上に設けられた第1屈折率調整層12、金属層13、及び、第2屈折率調整層14による多層膜10がパターン形成されている。このパターン形成により、第1屈折率調整層12、金属層13、及び、第2屈折率調整層14が除去されて、第2屈折率調整層14の表面側から基材11の表面が露出する開口部が設けられている。このように開口部を設けることにより、金属層13が連続形成された導通領域16と、金属層13が形成されてない非導通領域17とを有し、所望の導電層のパターンを有する透明導電膜を形成することができる。
また、多層膜10のパターン形成において、後述するウェットエッチング、又は、リフトオフ法を用いることにより、多層膜10の積層方向に、最下端面となる平坦面10Bから最上層の平坦面10Cへ向かって徐々に多層膜10の幅が狭くなる、所謂順テーパ状の断面が形成される。図1において、多層膜10の積層方向の順テーパ状の部分を、テーパ部18として示している。多層膜10の端部にテーパ部18を有することにより、多層膜10のパターン端面による光学的な特性の低下を抑制することができる。例えば、透明導電膜をタッチパネル等の電子機器等に適用した際に、多層膜10のパターンの端面の形状不良により発生する、液晶等のディスプレイのモアレ等の視覚的な不良の発生を抑制することができる。
多層膜10において、テーパ部18を構成する側壁面10Aと下層の平坦面10Bとのテーパ角θは、0.5°以上45°以下であることが好ましい。
テーパ角θが0.5°よりも小さいと、多層膜10のパターンが広がりすぎて高精細化に不利となる。また、テーパ角θが45°を超えると、多層膜10の側壁面10Aの角度が垂直に近くなり、多層膜10のパターンを形成する際のパターンの端面の形状不良が発生しやすくなる。
多層膜10のテーパ部18における断面のテーパ角θは、以下のように規定される。
ここで、側壁面10Aは、金属層13、第1屈折率調整層12、及び、第2屈折率調整層14を含む複数の層からなる面である。この複数の層からなる側壁面10Aの断面が、図1に示すように直線状の平坦面である場合には、この側壁面10Aによりテーパ角が規定される。
また、複数の層からなる側壁面10Aが、例えば図2に示したように内側に弯曲している等、直線状の面(平坦面)でない場合、テーパ部18を構成する多層膜10の最下層の平坦面10Bの端部10Dと、テーパ部18を構成する多層膜10の最上層の平坦面10Cの端部10Eとを結ぶ線(面)により形成される仮想面によりテーパ角が規定される。
また、多層膜10の側壁面10Aは、図3に示したように第1屈折率調整層12、金属層13、及び、第2屈折率調整層14の各界面が、エッチングの際に浸食されて段々状になっていてもよい。更に、図4に示したように第1屈折率調整層12、金属層13、及び、第2屈折率調整層14の各々の側面の傾斜がそれぞれ異なる折れ線状などとなっていてもよい。これらの形状の場合においても、多層膜10の最下層の平坦面10Bの端部10Dと、最上層の平坦面10Cの端部10Eとを結ぶ線(面)により形成される仮想面によりテーパ角が規定される。さらに、側壁面10Aの形状は、図1〜4に示した以外の形状においても、多層膜10のテーパ角が規定する仮想面を、同様に定義することができる。
なお、多層膜においてテーパ部を構成しない層、例えば、基材11上の全面に形成される多層膜の下地となる層が存在する場合には、この層はテーパ部18を構成しない層であるため、上述のテーパ角を定義するための構成に含めなくてよい。
また、テーパ角θを上記範囲内とすることにより、図5に示すような、多層膜10のパターンの端面に発生する突起部15の発生を抑制することができる。このような突起部は、多層膜10のパターニングの際、エッチング残渣や多層膜の形状変化等により発生しやすい。突起部15は、多層膜10の形状不良の原因となり、透明導電膜の光学的特性を低下させる要因となる。
透明導電膜の光学的特性を低下させないためには、この突起部15の高さを50nm以下とすることが好ましい。突起部15の高さは、多層膜10の最上層の平坦面10Cからの高さで定義される。
また、このような突起部15が形成されている場合においても、多層膜10の側壁面10Aは、上述の図1〜4に示す方法と同様に定義することができる。この場合に、平坦面10Cの端部10Eは、多層膜10の形成面からの高さが、最上層の平坦面10Cと同じ高さにおける端部により定義される。
以下、透明導電膜の各構成の詳細について説明する。
なお、「透明」とは、JIS K 7361−1:1997(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)に準拠した方法で測定した可視光波長領域における全光線透過率が、70%以上であることをいう。
また。主成分とは、その構成の中で占める割合が最も高い成分をいう。
[金属層]
金属層13は、透明導電膜において電気を導通させるための金属を含む層である。金属層13に含まれる金属は、導電性の高い金属であれば特に制限されず、例えば銀、銅、金、白金族、チタン、及び、クロム等を挙げることができる。金属層13には、これらの金属が1種のみ含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。
導電性が高いという観点から、金属層13に含まれる金属としては銀、又は、銀を主成分とする合金が好ましい。銀を主成分とする合金としては、銀の含有比率が60at%(原子%)以上であることをいう。銀の含有比率は、導電性の観点から、好ましくは90at%以上であることが好ましく、より好ましくは95at%以上である。さらに、金属層13は、銀単体で構成されていることが好ましい。
銀と組み合わされる金属としては、亜鉛、金、銅、パラジウム、アルミニウム、マンガン、ビスマス、ネオジム、及び、モリブデン等が挙げられる。例えば、銀と亜鉛とが組み合わされると、金属層13の耐硫化性が高まるため好ましい。また、銀と金とが組み合わされると、耐塩(NaCl)性が高まるため好ましい。さらに、銀と銅とが組み合わされると、耐酸化性が高まるため好ましい。
金属層13のプラズモン吸収率は、波長400〜800nmにわたって(全範囲で)10%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。波長400〜800nmの一部にプラズモン吸収率が大きい領域があると、透明導電膜の導通領域16の透過光が着色しやすくなる。
金属層13の波長400〜800nmにおけるプラズモン吸収率は、以下(i)〜(iii)の手順で測定される。
(i)ガラス基材上に、白金パラジウムをシンクロン社製のBMC−800T蒸着装置にて0.1nmの厚さで形成する。白金パラジウムの平均厚さは、蒸着装置のメーカー公称値の形成速度等から算出する。その後、白金パラジウムが付着した基材上に、真空蒸着法にて金属層を20nmの厚さで形成する。
(ii)得られた金属層の表面の法線に対して、5°傾けた角度から測定光を入射させ、金属層の透過率及び反射率を測定する。そして各波長における透過率及び反射率から、[吸収率=100−(透過率+反射率)]を算出し、これをリファレンスデータとする。透過率及び反射率は、分光光度計で測定する。
(iii)続いて、測定対象の金属層を同様のガラス基材上に形成する。そして、当該金属層について、同様に透過率及び反射率を測定する。得られた吸収率から上記リファレンスデータを差し引き、算出された値を、金属層のプラズモン吸収率とする。
金属層13の厚さは10nm以下であることが好ましく、より好ましくは3〜9nmの範囲内であり、さらに好ましくは5〜8nmの範囲内である。透明導電膜では、金属層13の厚さを10nm以下とすることにより、金属層13に金属本来の反射が生じ難くなる。さらに、金属層13の厚さが10nm以下であると、第1屈折率調整層12及び第2屈折率調整層14による、透明導電膜の光学アドミッタンスが調整しやすく、導通領域16表面での光の反射の抑制が容易となる。金属層13の厚さは、エリプソメーターを用いた測定で求めることができる。
(金属層の形成方法)
金属層13は、いずれの方法で形成された層でもよいが、真空蒸着法で形成された層であることが好ましい。真空蒸着法であれば、高温環境に基材11をさらすことがなく、平面性の高い金属層13を、極めて早く形成することができる。
適用可能な蒸着法としては、抵抗加熱蒸着法、電子線蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法等が含まれる。蒸着装置としては、例えば、シンクロン社製のBMC−800T蒸着機等を用いることができる。
スパッタ法には、2極スパッタ法、マグネトロンスパッタ法、DCスパッタ法、DCパルススパッタ法、RF(高周波)スパッタ法、デュアルマグネトロンスパッタ法、反応性スパッタ法、イオンビームスパッタ法、バイアススパッタ法、及び対向ターゲットスパッタ法などの、公知のスパッタ法を適宜用いることができる。具体的な市販のスパッタ装置としては、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置、ウルバック社の各種スパッタ装置(例えば、マルチチャンバ型スパッタリング装置ENTRONTM−EX W300)やアネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置等を用いることができる。
真空蒸着法又はスパッタ法であれば、平面性の高い金属層を極めて速い形成速度で形成することができる。また、屈折率調整層12上に金属層13を成膜する際、層の形成速度が速ければ金属、例えば、銀の硫化物が生成しにくいため、銀を主成分として含有する金属層13の形成速度は0.3nm/秒以上であることが好ましい。金属層13の形成速度は、0.5〜30nm/秒の範囲内であることがより好ましく、特に好ましくは1.0〜15nm/秒の範囲内である。また、成膜時の温度は、−25〜25℃の範囲内であることが好ましい。成膜開始前の到達真空度は、3×10−3Pa以下が好ましく、7×10−4Pa以下がより好ましい。
[屈折率調整層(第1屈折率調整層、第2屈折率調整層)]
第1屈折率調整層12、及び、第2屈折率調整層14は、透明導電膜の導通領域16、つまり金属層13が形成されている領域の光透過性(光学アドミッタンス)を調整する層であり、少なくとも透明導電膜の導通領域16に形成される。第1屈折率調整層12、及び、第2屈折率調整層14は、透明導電膜の非導通領域17にも形成されていてもよいが、導通領域16及び非導通領域17からなるパターンを視認され難くする観点から、導通領域16のみに形成され、図1に示すように非導通領域17からは除去されていることが好ましい。
(屈折率 光学アドミッタンス)
第1屈折率調整層12、及び、第2屈折率調整層14は、波長570nmの光に対し、基材11の屈折率よりも高い等価屈折率を有する。第1屈折率調整層12、及び、第2屈折率調整層14の等価屈折率は、基材11の屈折率より、数値として0.1〜1.1の範囲で高いことが好ましく、0.4〜1.0の範囲で高いことがより好ましい。このような屈折率の関係を多層膜10が有することにより、金属層13による反射を相殺することができ、透明導電膜の透明性を向上させることができる。
具体的には、基材11と比較して、第1屈折率調整層12及び後述する第2屈折率調整層14の等価屈折率が高いほど、第1屈折率調整層12の両界面、及び第2屈折率調整層14の両界面での反射が高まるため、金属層13に含有される金属元素、例えば、銀から発生する反射を打ち消しやすくなる。
等価屈折率とは、基材11に対して垂直方向に積層している第1屈折率調整層12や、第2屈折率調整層14の導電性多層膜の実効的な屈折率を、等価屈折率法により求めた値である。
複数の層からなる積層体の全体を1つの層と見なした時、最表面のアドミッタンスを等価アドミッタンスという。このように規定することにより、この積層体は、あたかもそのアドミッタンスを有する1つの層で構成されているとみますことができる。基材の上に、第1屈折率調整層もしくは第2屈折率調整層を積層した時の最表層の等価アドミッタンスの実部を、等価屈折率と定義する。
ここで、等価アドミッタンスについて説明する。
誘電性材料又は酸化物半導体材料の積層体が構成されている場合、1層目からx層目までの積層体の光学アドミッタンスY(E)は、1層目から(x−1)層目までの積層体の光学アドミッタンスYx−1(Ex−1x−1)と、特定のマトリクスとの積で表される。具体的には、以下の式(1)にて光学アドミッタンスY(E)が求められる。式(1)は、x層目が誘電性材料又は酸化物半導体材料からなる層である場合の光学アドミッタンスY(E)を求める式である。
上記式(1)において、δ=2πnd/λであり、y=n(x層目の膜のアドミッタンス)、dはx層目の膜の厚さである。
そして、x層目が最表層であるときの、光学アドミッタンスYx(E)が、積層体の等価アドミッタンスYとなる。
積層体を構成する各層の屈折率、及び、厚さを、Essential Macleodという薄膜設計ソフトに入力することで、等価アドミッタンスYを簡単に求めることができる。各層の屈折率、及び、厚さは、J.A.Woollam Co.Inc.製のVB−250型VASEエリプソメーターで測定することができる。
なお、等価アドミッタンス及び等価屈折率法の詳細については、例えば、「光学薄膜と成膜技術」(李 正中著、アグネ技術センター発行)の「第3章 光学薄膜設計の図解法の3.2 アドミッタンス軌道法」の記載を参照することができる。
(組成)
第1屈折率調整層12、及び、第2屈折率調整層14は、少なくともいずれか一方の層がZnS(硫化亜鉛)を主成分として含む。好ましくは、第1屈折率調整層12が、ZnSを主成分として含むことが好ましい。また、第1屈折率調整層12、及び、第2屈折率調整層14の両方の層が、主成分としてZnSを含むことが好ましい。第1屈折率調整層12、及び、第2屈折率調整層14は、ZnS単独で構成されていてもよく、ZnSとともに他の成分を含んでいてもよい。或いは、第1屈折率調整層12、及び、第2屈折率調整層14のいずれか一方が、ZnSを含まず、ZnS以外の他の成分により構成されていてもよい。
第1屈折率調整層12、及び、第2屈折率調整層14がZnSを主成分として構成されることにより、金属層13の構成材料である金属元素、特に銀を用いた場合の金属層13との連続成膜性が向上し、プラズモン吸収を低減させることができる。また、基材11側から水分が透過しにくくなり、金属層13の腐食を抑制することができる。
第1屈折率調整層12、及び、第2屈折率調整層14に用いられるZnS以外の他の成分としては、例えば、誘電性材料又は酸化物半導体材料が挙げられる。誘電性材料又は酸化物半導体材料としては、以下の金属酸化物、無機酸化物が挙げられる。例えば、TiO、ITO(インジウム・スズ酸化物)、ZnO、Nb、ZrO、CeO、Ta、Ti、Ti、Ti、TiO、SnO、LaTi、(インジウム・亜鉛酸化物)、AZO(アルミニウム・亜鉛酸化物)、GZO(ガリウム・亜鉛酸化物)、ATO(アンチモン・スズ酸化物)、ICO(インジウム・セリウム酸化物)、Bi、a−GIO、Ga、GeO、SiO、Al、HfO、SiO、MgO、Y、WO、a−GIO(ガリウム・インジウム酸化物)等が挙げられる。上記の中でも、特に、二酸化ケイ素(SiO)が好ましい。
また、第1屈折率調整層12、及び、第2屈折率調整層14に用いられるZnSと他の成分との混合物としては、例えば、ZnSと上記誘電性材料又は酸化物半導体材料との混合物が挙げられる。例えば、ZnS・SiO、ZnS・SnO、ZnS・ZnO・Ga、ZnS・In2O・ZnO・Ga等を挙げることができる。
第1屈折率調整層12、及び、第2屈折率調整層14において、ZnSの平均含有量は、この層を構成する材料の総モル数に対して、0.5〜99質量%の範囲内であることが好ましく、50〜95質量%の範囲内であることがより好ましく、さらに60〜85質量%の範囲内であることが好ましい。ZnSの比率が高いと共蒸着速度が速くなり、第1屈折率調整層12、及び、第2屈折率調整層14の形成速度が速くなる。また、ZnSの比率が高いと屈折率が高くなり、金属層13での光の吸収を抑制することができる。一方、ZnS以外の成分が多く含まれると、第1屈折率調整層12、及び、第2屈折率調整層14の非晶質性が高まり、第1屈折率調整層12、及び、第2屈折率調整層14の割れ(クラック)の発生が抑制される。
第1屈折率調整層12、及び、第2屈折率調整層14の厚さは、10〜150nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは10〜80nmの範囲内である。第1屈折率調整層12、及び、第2屈折率調整層14の厚さが10nm以上であると、透明導電膜の導通領域16の光学アドミッタンスを十分に調整することができる。一方、第1屈折率調整層12、及び、第2屈折率調整層14の厚さが150nm以下であれば、第1屈折率調整層12、及び、第2屈折率調整層14が含まれる領域の光透過性が低下しにくくなる。第1屈折率調整層12、及び、第2屈折率調整層14の厚さは、エリプソメーターで測定される。
第1屈折率調整層12、及び、第2屈折率調整層14に含まれるZnS、誘電性材料又は酸化物半導体材料の波長570nmの光に対する等価屈折率は、1.5より高いことが好ましく、1.7〜2.5の範囲内であることがより好ましく、更に好ましくは1.8〜2.5の範囲内である。ZnS、誘電性材料又は酸化物半導体材料の等価屈折率が1.5より高いと、第1屈折率調整層12、及び、第2屈折率調整層14によって、金属層13の光学アドミッタンスが十分に調整される。
なお、第1屈折率調整層12、及び、第2屈折率調整層14の等価屈折率は、第1屈折率調整層12、及び、第2屈折率調整層14を構成する各材料の屈折率、各層の厚さ、第1屈折率調整層12、及び、第2屈折率調整層14を構成する各層に含まれる材料の密度で調整することができる。第1屈折率調整層12、及び、第2屈折率調整層14の屈折率は、上述の方法に従って求めることができる。
(屈折率調整層の形成方法)
第1屈折率調整層12、及び、第2屈折率調整層14は、蒸着法又はスパッタ法により形成することが好ましい。また、第1屈折率調整層12、及び、第2屈折率調整層14は、共蒸着法により形成することが好ましい。さらに、第1屈折率調整層12、及び、第2屈折率調整層14を成膜する際には、硫化炭素等の硫化ガスを導入しながら成膜することが好ましい。
蒸着法としては、抵抗加熱蒸着法、電子線蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法等が含まれる。蒸着装置としては、例えば、シンクロン社製のBMC−800T蒸着機等を用いることができる。
特に、イオンプレーティング等を利用したプラズマアシスト蒸着機やイオンアシスト蒸着機も好適に用いられる。イオンプレーティング効果により、高反応性成膜の実現と表面拡散効果による膜質の緻密性・平滑性を向上させることができる。
スパッタ法は、真空チャンバー内に薄膜として形成したい金属をターゲットとして設置し、高電圧をかけてイオン化させた希ガス元素(通常はアルゴン)や窒素(通常は空気由来)を衝突させ、ターゲット表面の原子をはじき飛ばして、基板に高密度に金属を成膜する方法である。また、上記希ガスとともに、反応性ガス(OやN)を導入することで、金属酸化物や金属窒化物を成膜することもできる。
スパッタ法には、2極スパッタ法、マグネトロンスパッタ法、DCスパッタ法、DCパルススパッタ法、RF(高周波)スパッタ法、デュアルマグネトロンスパッタ法、反応性スパッタ法、イオンビームスパッタ法、バイアススパッタ法、及び対向ターゲットスパッタ法などの、公知のスパッタ法を適宜用いることができる。具体的な市販のスパッタ装置としては、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置、ウルバック社の各種スパッタ装置(例えば、マルチチャンバ型スパッタリング装置ENTRONTM−EX W300)やアネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置等を用いることができる。
[基材]
基材11には、各種表示デバイスの基材に適用されている材料を用いることができる。基材11は、ガラス基板や、セルロースエステル樹脂(例えば、トリアセチルセルロース(略称:TAC)、ジアセチルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース等)、ポリカーボネート樹脂(例えば、パンライト、マルチロン(以上、帝人社製))、シクロオレフィン樹脂(例えば、ゼオノア(日本ゼオン社製)、アートン(JSR社製)、アペル(三井化学社製))、アクリル樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリライト(三菱レイヨン社製)、スミペックス(住友化学社製))、ポリイミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル(略称:PPE)樹脂、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート(略称:PET)、ポリエチレンナフタレート(略称:PEN))、ポリエーテルスルホン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(略称:ABS樹脂)/アクリロニトリル・スチレン樹脂(略称:AS樹脂)、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン樹脂(略称:MBS樹脂)、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール/エチレンビニルアルコール樹脂(略称:EVOH)、スチレン系ブロックコポリマー樹脂、等からなる透明樹脂フィルムを用いることができ、ガラスを用いることもできる。基材11が透明樹脂フィルムである場合、当該フィルムには2種以上の樹脂が含まれてもよい。
高い透明性を達成することができる観点から、適用する基材11としては、ガラス基板や、セルロースエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂(特にポリエチレンテレフタレート)、トリアセチルセルロース、シクロオレフィン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリエーテルスルホン、ABS/AS樹脂、MBS樹脂、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール/EVOH(エチレンビニルアルコール樹脂)、スチレン系ブロックコポリマー樹脂等の樹脂成分から構成されるフィルムであることが好ましい。
基材11は、可視光に対する透明性が高いことが好ましく、波長450〜800nmの光の平均透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。基材11の光の平均透過率が70%以上であると、透明導電膜の光透過性が高まりやすい。また、基材11の波長450〜800nmの光の平均吸収率は10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下である。
上記平均透過率は、基材11の表面の法線に対して、5°傾けた角度から光を入射させて測定する。一方、平均吸収率は、平均透過率と同様の角度から光を入射させて、基材11の平均反射率を測定し、[平均吸収率=100−(平均透過率+平均反射率)]として算出する。平均透過率及び平均反射率は、分光光度計(例えば、U4100:日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて測定することができる。
基材11の波長570nmの光の屈折率は1.30〜1.95の範囲内であることが好ましく、より好ましくは1.35〜1.75の範囲内であり、さらに好ましくは1.35〜1.70の範囲内である。基材11の屈折率は、通常、基材11の材質によって定まる。基材11の屈折率は、エリプソメーターを用い、25℃の環境下で測定することにより求めることができる。
基材11のヘイズ値は、0.01〜2.5の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜1.2の範囲内である。基材のヘイズ値が2.5以下であると、透明導電膜としてのヘイズ値を抑制することができ、好ましい。ヘイズ値は、ヘイズメーターを用いて測定することができる。
基材11の厚さは、1μm〜20mmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは10μm〜2mmの範囲内である。基材11の厚さが1μm以上であれば、基材11の強度が高まり、第1屈折率調整層12の作製時に割れたり、裂けたりすることを防止することができる。一方、基材11の厚さが20mm以下であれば、透明導電膜の十分なフレキシブル性を得ることができる。さらに、透明導電膜を具備した電子デバイス機器等の厚さを薄くできる。また、透明導電膜を用いた電子デバイス機器等を軽量化することもできる。
基材11は、各構成層を形成する前に、基板中に含まれている水分や残留している溶媒を、クライオポンプ等を用いてあらかじめ除いたのち、形成工程で使用することが好ましい。
(CHC)
基材11上には、後に形成する第1屈折率調整層12の硬度、平滑性、オリゴマー活性防止の観点から、公知のクリアハードコート(CHC)層を設けてもよい。また、基材11の裏面の機能の観点から、基材11の裏面にCHC層を設けてもよい。
CHC層として、熱硬化シリコン系、エポキシ系、アクリル系、ポリシラザンを用いることができるが、硬度、平滑性、ヘイズ、上層との密着性が得られれば、どのようなCHC層を用いてもよいが、生産性、安全性の観点から紫外線硬化性アクリル樹脂を用いることが好ましい。
CHC層の厚さは、カール、硬度、割れのバランスを考慮して、0.1μm以上10μm以下が好ましい。
[透明導電膜の物性]
透明導電膜の波長450〜800nmの光の平均透過率は、導通領域16及び非導通領域17のいずれにおいても83%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上であり、さらに好ましくは88%以上である。上記波長範囲における平均透過率が83%以上であると、透明導電膜を可視光に対して高い透明性が要求される用途に適用することができる。
一方、透明導電膜の波長400〜1000nmの光の平均透過率は、導通領域16及び非導通領域17のいずれにおいても80%以上であることが好ましく、より好ましくは83%以上、さらに好ましくは85%以上である。波長400〜1000nmの光の平均透過率が80%以上であると、広い波長範囲の光に対して透明性が要求される用途、例えば、太陽電池用の透明導電膜等にも透明導電膜を適用することができる。
透明導電膜の波長400〜800nmの光の平均吸収率は、導通領域16及び非導通領域17のいずれにおいても10%以下であることが好ましく、より好ましくは8%以下であり、さらに好ましくは7%以下である。また、透明導電膜の波長450〜800nmの光の吸収率の最大値は、導通領域16及び非導通領域17のいずれにおいても15%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下であり、さらに好ましくは9%以下である。
また、透明導電膜の波長500〜700nmの光の平均反射率は、導通領域16及び非導通領域17のいずれにおいても、20%以下であることが好ましく、より好ましくは15%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。
透明導電膜の平均吸収率及び平均反射率が低いほど、上述の平均透過率が高まる。
上記平均透過率、平均吸収率、及び、平均反射率は、透明導電膜の使用環境下で測定した平均透過率、平均吸収率、及び、平均反射率であることが好ましい。具体的には、透明導電膜が有機樹脂と貼り合わせて使用される場合には、透明導電膜上に有機樹脂からなる層を配置して平均透過率及び平均反射率を測定することが好ましい。一方、透明導電膜が大気中で使用される場合には、大気中での平均透過率及び平均反射率を測定することが好ましい。透過率及び反射率は、透明導電膜の表面の法線に対して5°傾けた角度から測定光を入射させて分光光度計で測定する。吸収率は、[100−(透過率+反射率)]の計算式により算出される。
また、透明導電膜は、導通領域16の反射率及び非導通領域17の反射率がそれぞれ近似することが好ましい。具体的には、導通領域16の視感反射率と、非導通領域17の視感反射率との差ΔRが5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは1%以下であり、特に好ましくは0.3%以下である。一方、導通領域16及び非導通領域17の視感反射率は、それぞれ5%以下であることが好ましく、より好ましくは3%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。視感反射率は、分光光度計(U4100;日立ハイテクノロジーズ社製)で測定されるY値である。
また、透明導電膜において、導通領域16及び非導通領域17は、いずれの領域においても、L表色系におけるa値及びb値は±30以内であることが好ましく、より好ましくは±5以内であり、さらに好ましくは±3.0以内であり、特に好ましくは±2.0以内である。L表色系におけるa値及びb値が±30以内であれば、導通領域16及び非導通領域17のいずれの領域も無色透明に観察される。L表色系におけるa値及びb値は、分光光度計で測定される。
透明導電膜の導通領域16の表面電気抵抗は、50Ω/sq.以下であることが好ましく、さらに好ましくは30Ω/sq.以下である。導通領域16の表面電気抵抗値が50Ω/sq.以下である透明導電膜は、静電容量方式のタッチパネル用の透明導電パネル等に適用できる。導通領域16の表面電気抵抗値は、金属層13の厚さ等によって調整される。導通領域16の表面電気抵抗値は、例えばJIS K7194、ASTM D257等に準拠して測定される。また、市販の表面電気抵抗率計によっても測定される。
〈2.透明導電膜(第2実施形態)〉
次に、第2実施形態の透明導電膜について説明する。図6に第2実施形態の透明導電膜の構成を示す。図6に示す第2実施形態の透明導電膜においても、多層膜20の基本構成は、上述の第1実施形態の多層膜と同様である。図6に示す透明導電膜では、上述の図1に示す構成の透明導電膜において、第1屈折率調整層12、金属層13、及び、第2屈折率調整層14の各層の上下、又は、各層間に、種々の層を有する構成である。このため、基材11、第1屈折率調整層12、金属層13、及び、第2屈折率調整層14の各構成は、上述の第1実施形態と同様の構成を適用することができる。
[透明導電膜の基本構成]
図6に示すように、透明導電膜は、第1屈折率調整層12と、金属層13と、第2屈折率調整層14とをこの順で積層した多層膜20を有し、この多層膜20が基材11上に設けられている。また、多層膜20は、基材11上に密着層21が設けられ、この密着層21上に第1屈折率調整層12が形成されている。そして、第1屈折率調整層12と金属層13との層間に、第1硫化防止層22が設けられている。さらに、金属層13と第2屈折率調整層14との層間に、バッファ層23と第2硫化防止層24とが、金属層13側からこの順に積層形成されている。
透明導電膜は、所望のパターン形成により、密着層21から第2屈折率調整層14まで金属層13が連続形成された導通領域16と、多層膜20が除去されて金属層13が形成されてない非導通領域17とが形成されている。
また、多層膜20のパターン形成において、後述するウェットエッチング、又は、リフトオフ法を用いることにより、多層膜20に、最下端面となる平坦面から最上端面へ向かって徐々に幅が狭くなる、所謂順テーパ状の断面が形成される。図6において、多層膜20の積層方向の順テーパ状の部分を、テーパ部18として示している。
多層膜20において、テーパ部18のテーパ角θは、上述の第1実施形態と同様に定義することができる。これは、多層膜20の積層構成を、変更及び増減した場合においても同様とすることができる。なお、多層膜20においてテーパ部を構成しない層がある場合、例えば、密着層21が基材11上の全面に形成され、パターンエッチングされていない構成である場合には、この層(例えば、密着層21)はテーパ部18を構成しない層であるため、上述のテーパ角を定義するための構成に含めなくてよい。
多層膜20において、テーパ角θは、0.5°以上45°以下であることが好ましい。テーパ角θが0.5°よりも小さいと、多層膜20のパターンが広がりすぎて高精細化に不利となる。また、テーパ角θが45°を超えると、多層膜20の側壁面の角度が垂直に近くなり、多層膜20のパターンを形成する際のパターンの端面の形状不良が発生しやすくなる。また、テーパ角θを上記範囲内とすることにより、多層膜20のパターンの端面に発生する突起部15の発生を抑制することができる。
以下、透明導電膜の各構成の詳細について説明する。なお、基材11、第1屈折率調整層12、金属層13、及び、第2屈折率調整層14の各構成は、上述の第1実施形態と同様の構成を適用できるため説明を省略する。
また、「透明」とは、JIS K 7361−1:1997(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)に準拠した方法で測定した可視光波長領域における全光線透過率が、70%以上であることをいう。
主成分とは、その構成の中で占める割合が最も高い成分をいう。
[密着層]
透明導電膜には、基材11と、この基材11上に設けられる構成、例えば、第1屈折率調整層12との密着改善性を向上させるために、密着層21を形成することが好ましい。密着層21は、密着層21上に形成される層の密着性を向上させる特性を有するものであればよい。
図6に示す構成のように、密着層21上に第1屈折率調整層12が形成されている場合には、密着層21は、上述の屈折率調整層や後述する硫化防止層で例示する誘電性材料、酸化物半導体材料、絶縁性又は導電性の材料を含有していることが好ましい。誘電性材料又は酸化物半導体材料は、無機酸化物、金属酸化物、金属硫化物又は金属窒化物であることが好ましい。中でも、密着層21は、SiO、SiO、亜鉛化合物を含有することがより好ましい。
特に、密着層21上に設けられる層が蒸着法で形成される場合には、密着層21を設けることが好ましい。これは、明確な作用機構は明らかになっていないが、蒸着法を用いると、スパッタ法を用いる場合に比べて成膜にかかるエネルギーが小さいため、密着性が各層の材質、例えば、基材11を構成する材料と第1屈折率調整層12を構成する材料との相性により強く影響を受けるためと考えられる。
密着層21としては、具体的には、SiO膜や、スパッタ法で成膜したZnO膜、ZnS−SiO膜、GZO膜等が挙げられる。
密着層21の厚さは特に制限されず、好ましくは0.01〜15nmの範囲内であり、より好ましくは0.1〜3nmの範囲内である。
[硫化防止層(第1硫化防止層、第2硫化防止層)]
透明導電膜において、第1屈折率調整層12又は第2屈折率調整層14は、硫化亜鉛を含有することが好ましい。このため、例えば、第1屈折率調整層12が硫化亜鉛を含有する層である場合、第1屈折率調整層12と金属層13との間に第1硫化防止層22を形成することが好ましい。第1硫化防止層22は、透明導電膜の非導通領域17にも形成されていてもよいが、導通領域16及び非導通領域17からなるパターンを視認され難くするとの観点から、導通領域16のみに形成されていることが好ましい。
また、第2屈折率調整層14が、硫化亜鉛を含有する層である場合には、金属層13と第2屈折率調整層14との間に第2硫化防止層24が形成された構成であることが好ましい。第2硫化防止層24は、透明導電膜の非導通領域17にも形成されていてもよいが、導通領域16及び非導通領域17からなるパターンを視認され難くするとの観点から、導通領域16のみに形成されていることが好ましい。
第1硫化防止層22、及び、第2硫化防止層24は、第1屈折率調整層12又は第2屈折率調整層14を構成するZnSの硫黄成分と、金属層13の構成成分、具体的には銀との反応(硫化)を防止する。そして、金属層を構成する金属が硫化物(例えば、硫化銀)となることによる変色を防止し、高い透明性と、高温高湿環境下での耐湿性をより向上させることができる。さらに、第1硫化防止層22、及び、第2硫化防止層24を設け、金属層13の硫化を防止することにより、吸収の増大を防ぐことができる。このため、第1硫化防止層22、及び、第2硫化防止層24を設けることにより、安定した色調を有する透明導電膜を得ることができる。
第1硫化防止層22、及び、第2硫化防止層24は、無機酸化物、金属酸化物、金属窒化物、金属フッ化物等、又は、Znを含む層として構成することができる。第1硫化防止層22、及び、第2硫化防止層24は、これらが1種のみ含まれてもよく、2種以上含まれてもよいが、亜鉛金属元素を含む化合物を含有することが好ましい。ただし、第1屈折率調整層12と、第1硫化防止層22と、金属層13とが連続的に形成される場合には、硫黄と反応可能、又は、硫黄を吸着可能な化合物により第1硫化防止層22が形成されていることが好ましい。金属酸化物が、硫黄と反応する化合物である場合、金属酸化物と硫黄との反応物は、可視光の透過性が高いことが好ましい。
第1硫化防止層22、及び、第2硫化防止層24に適用可能な無機酸化物、金属酸化物、金属窒化物、金属フッ化物としては、上記第1屈折率調整層12、及び、第2屈折率調整層14の説明において記載した、無機酸化物、金属酸化物、金属窒化物、及び、金属フッ化物と同様の化合物を挙げることができる。第1硫化防止層22、及び、第2硫化防止層24としては、特に、Zn、ZnO、IZO(酸化インジウム・酸化亜鉛)、GZO(ガリウムドープの酸化亜鉛)であることが好ましい。
ここで、第1硫化防止層22の厚さは、金属層13の形成時の衝撃から、第1屈折率調整層12の表面を保護可能な厚さであることが好ましい。一方で、第1屈折率調整層12に含まれ得る硫化亜鉛は、金属層13に含まれる金属との親和性が高い。このため、第1硫化防止層22の厚さが非常に薄く、第1屈折率調整層12の一部が僅かでも露出していると、当該露出部分を中心に金属層13が成長し、金属層13が緻密になりやすい。好ましくは、第1硫化防止層22を3nm以下にまで薄くすると、第1屈折率調整層12が完全に覆われないため、第1屈折率調整層12のZnSと、金属層13の層との相互作用が維持され、効果的に、銀の耐湿性を発現させることができる。つまり、第1硫化防止層22は比較的薄いことが好ましく、0.1〜15nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10nmの範囲内であり、さらに好ましくは1〜5nmの範囲内である。第1硫化防止層22の厚さは、エリプソメーターを用いて測定することができる。
第2硫化防止層24の厚さは、第2屈折率調整層14の形成時の衝撃から、金属層13の表面を保護可能な厚さであることが好ましい。一方で、金属層13に含まれる金属と、第2屈折率調整層14に含まれる硫化亜鉛は親和性が高いため、第2硫化防止層24の厚さが非常に薄く、金属層13の一部が僅かでも露出していると、金属層13や第2硫化防止層24と第2屈折率調整層14との密着性が高まりやすい。従って、第2硫化防止層24の具体的な厚さは0.1〜10nmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜5nmであり、さらに好ましくは1〜3nmである。第2硫化防止層24の厚さは、エリプソメーターで測定される。
第1硫化防止層22、及び、第2硫化防止層24は、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等、一般的な気相形成法で形成することができるが、特に真空蒸着法を適用することが好ましい。
[バッファ層]
透明導電膜においては、金属層13と第2屈折率調整層14との間に、バッファ層23を設けることが好ましい。金属層13と第2屈折率調整層14との間に、バッファ層23を設けることにより、金属層13への第2屈折率調整層14の影響を低減でき、プラズモン吸収が起きにくくなり、より高い光透過性を得ることができる。
バッファ層23を形成する材料としては、原子番号40以下の金属からなる金属化合物を主成分としていることが好ましい。原子番号40が超える重たい金属からなる化合物は、成膜時のエネルギーが高すぎ、金属層13(例えば、銀層)にダメージを与える。この結果、金属層13の連続膜性が壊れてプラズモン吸収が大きくなる。バッファ層23を形成する主成分の材料が、原子番号40以下の元素からなる金属化合物でできていれば、金属層13へのダメージはない。中でも、バッファ層23が、亜鉛成分を主成分として含有することが好ましい。
バッファ層23の構成材料としては、例えば、Ti、In、Zn、Ce、W、Ga、Sn、Hf、Zr、Nb、Ta、Al、Bi、Geからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する金属酸化物を挙げることができる。
金属酸化物の例には、TiO、ITO(インジウム・スズ酸化物)、ZnO、Nb、ZrO、CeO、Ta、Ti、Ti、Ti、TiO、SnO、LaTi、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、AZO(アルミニウム・亜鉛酸化物)、GZO(ガリウム・亜鉛酸化物)、ATO(アンチモン・スズ酸化物)、ICO(インジウム・セリウム酸化物)、IGZO(インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物)、Bi、Ga、GeO、WO、HfO、In、a−GIO(ガリウム・インジウム酸化物)等が挙げられる。これらの金属酸化物の中でも、原子番号40以下の金属からなる金属化合物を含有することが好ましく、特に、亜鉛成分を含有することが好ましい。亜鉛成分としては、酸化亜鉛(ZnO)を主成分として含有することが好ましく、上記金属酸化物の中では、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、AZO(アルミニウム・亜鉛酸化物)、GZO(ガリウム・亜鉛酸化物)、IGZO(インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物)等がより好ましく、特に好ましくは、GZO(ガリウム・亜鉛酸化物)とIGZO(インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物)である。また、ZnO・In・Ga・GeO(例えば、O:Zn:In:Ga:Ge=48:34:3:12:3(原子数比))から構成される金属化合物群も用いることができる。
バッファ層23の厚さは、2〜10nmの範囲内であることが好ましい。2nm以上であれば、バッファ層23上に形成する層(硫化防止層、屈折率調整層)の高パワー成膜時のボンバードから、金属層13を保護することができる。また、バッファ層23の厚さを10nm以下にすれば、バッファ層23を低パワーで形成しても透明導電膜の生産性を阻害しない。
バッファ層23は、蒸着法又はスパッタ法により形成することが好ましい。バッファ層23の形成に適用可能な蒸着法又はスパッタ法としては、上述の屈折率調整層の形成方法として記載した蒸着法及びスパッタ法を適用することができる。
バッファ層23は、比較的低パワーの条件で形成することが好ましい。通常、屈折率調整層等を形成する際の電力密度(W/cm)は9.0〜30.0W/cmであるが、バッファ層23を形成する際の電力密度(W/cm)は、1.0〜8.0W/cmであることが好ましく、特に3.0W/cm以下であることが好ましい。
バッファ層23を高パワーの条件で形成すると、銀を主成分とする金属層13の直上に成膜される場合に、バッファ層23の形成の際に発生するプラズマによる金属層13へのアタックや、成膜材料そのものの金属層13へのボンバード(攻撃)や、酸素原子による金属層13へのボンバードが発生し、金属層13の表面を荒らしてしまう。この結果、荒らされた金属層13の表面でプラズモン吸収が発生し、透過率を低下させてしまう。
しかし、バッファ層23を形成する際の電力密度(W/cm)を、3.0W/cm以下とすることにより、ターゲット材(スパッタ源)からのOの微量排出を抑制する観点や成膜材料の銀へのボンバードを抑制する観点から好ましい。また、バッファ層23を形成する際の酸素導入を0とすることが好ましい。
このバッファ層23は、透明導電膜の非導通領域17も形成されていてもよいが、導通領域16及び非導通領域17からなるパターンの視認性向上の観点から、図6に例示するように、導通領域16のみに形成されていることが好ましい。
[その他の構成層]
(腐食防止層)
第1屈折率調整層12が硫黄を含まない構成の場合には、上述の第1硫化防止層22に替えて、第1屈折率調整層12と金属層13との間に、腐食防止層(保護層)を設けることもできる。同様に、第2屈折率調整層14が硫黄を含まない構成の場合には、上述の第2硫化防止層24に替えて、第2屈折率調整層14と金属層13との間に、腐食防止層(保護層)を設けることもできる。
腐食防止層は、少なくとも硫黄原子を含有する腐食防止層を有することが、金属層13、特に、銀又は銀を主成分とする合金よりなる銀薄膜層の腐食等を防止することができる点から好ましい。さらに、腐食防止層が硫黄原子を含有することにより、金属層13の構成材料である銀と硫黄原子との親和性が強くなり、かつ、水の透過性を妨げるため、金属層13を構成する銀の腐食が防止され、透明導電膜の耐湿性を向上させることができる。
腐食防止層は、硫黄成分を0.1〜10at%含むことが好ましく、さらに0.1〜5at%含むことが好ましい。腐食防止層が、当該範囲内で硫黄を含有することで、金属層13の湿気による劣化を防ぐことができ、高い導電性と耐湿性とを両立させることが可能となる。更に、この層を設けることにより、銀と硫黄原子の親和性が強くなり、かつ水の透過性を妨げるため銀の腐食が防止され、透明導電体の耐湿性を向上させることができる。腐食防止層に含有される硫黄を10at%以下とすることで、外部回路と銀との電気的な接続不良を抑制することができる。また、0.1at%以上とすることで、銀のマイグレーションを抑制することができる。
腐食防止層に含有される硫黄原子としては、硫化亜鉛及び単体の硫黄に由来するものを用いることができるが、硫化亜鉛に由来するものであることが特に好ましい。硫化亜鉛に由来する硫黄が、腐食防止層中で安定して存在することができるため、硫黄の望まない場所への拡散反応を防ぎやすい。
腐食防止層は、基材11の屈折率より高い屈折率を有することが好ましい。腐食防止層には、基材11の屈折率より高い屈折率を有する誘電性材料又は酸化物半導体材料が含まれることが好ましい。
腐食防止層は、誘電性材料又は酸化物半導体材料を含有し、波長570nmの光に対して、腐食防止層の屈折率が基材11の屈折率よりも高いことが好ましい。
腐食防止層に含まれる材料の波長570nmの光に対する屈折率は1.5より大きいことが好ましく、1.7〜2.5であることがより好ましく、更に好ましくは1.8〜2.5である。材料の屈折率が1.5より大きいと、腐食防止層によって、透明導電膜の導通領域16の光学アドミッタンスが十分に調整される。なお、腐食防止層の屈折率は、腐食防止層に含まれる材料の屈折率や、腐食防止層に含まれる材料の密度で調整される。
このような屈折率を透明導電膜が有することにより、金属層13による反射を相殺することができる。具体的には、腐食防止層の屈折率が高いほど、腐食防止層の表面で発生する反射が高まり、金属層13の反射光を相殺させることが可能になる。したがって、腐食防止層の屈折率は基材11の屈折率より高いほど望ましい。
腐食防止層は、更に、電気接続性を確保するために導電性を有する層であることが好ましい。良好な電気接続性を確保するためには、比抵抗が1000Ω・cm以下の材料であることが好ましい。さらに好ましくは0.1Ω・cm以下であることが望ましい。このような構成とすることで、この腐食防止層を通して外側に設けられた端子と、金属層13との電気接続性が得られ、金属層13を通して通電できるので、透明導電体の導電性が格段に向上する。
腐食防止層には、酸化物半導体材料が含まれることが好ましい。中でも金属酸化物が好ましい。金属酸化物としては、チタン(Ti)、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、セリウム(Ce)、タングステン(W)、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)、ゲルマニウム(Ge)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する酸化物が好ましい。
腐食防止層を構成する金属酸化物としては、TiO、ITO(インジウム・スズ酸化物)、ZnO、Nb、ZrO、CeO、Ta、Ti、Ti、Ti、TiO、SnO、LaTi、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、AZO(アルミニウム・亜鉛酸化物)、GZO(ガリウム・亜鉛酸化物)、ATO(アンチモン・スズ酸化物)、ICO(インジウム・セリウム酸化物)、IGZO(インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物)、Bi、Ga、GeO、WO、HfO、In、a−GIO(ガリウム・インジウム酸化物)等が挙げられる。腐食防止層は、当該金属酸化物が1種のみ含まれる層であってもよく、2種以上が含まれる層であってもよい。
腐食防止層の厚さは、0.1〜40nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10nmの範囲内である。腐食防止層の厚さが0.1nm以上であると、腐食防止層によって、耐湿性が向上する。一方、腐食防止層の厚さが40nm以下であれば、腐食防止層が含まれる領域の光透過性が低下しにくい。腐食防止層の厚さは、エリプソメーターで測定される。
腐食防止層は、蒸着法又はスパッタ法により形成することが好ましい。腐食防止層の形成に適用可能な蒸着法としては、抵抗加熱蒸着法、電子線蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法等が含まれる。蒸着装置としては、例えば、シンクロン社製のBMC−800T蒸着機等を用いることができる。スパッタ法としてはマグネトロンスパッタや対向スパッタが含まれる。
〈3.透明導電膜の製造方法(第3実施形態:リフトオフ)〉
次に、上述の各実施形態において説明した、テーパ部を有する透明導電膜の製造方法について説明する。なお、以下の製造方法の説明では、上述の第2実施形態において説明した構成の透明導電膜の製造方法について説明するが、多層膜にテーパ状の断面を有する透明導電膜であれば、上述の第1実施形態の構成やその他の構成にも適用可能である。
本実施形態の透明導電膜の製造方法では、フォトリソグラフィ法を用いて金属層を含む多層膜をパターン形成することにより、導通領域と非導通領域とを形成する。さらに、この多層膜のパターンを形成する際、多層膜に、最下端面となる平坦面から最上端面へ向かって徐々に多層膜の幅が狭くなる、所謂順テーパ状の断面(テーパ部)を形成する。このようなテーパ状の断面を多層膜に形成することが可能な製造方法としては、リフトオフ法と、後述するウェットエッチングによる方法とが挙げられる。
以下、透明導電膜の製造方法の第1の方法として、リフトオフ法を用いる透明導電膜の製造方法について説明する。図7〜11に、リフトオフ法を用いる透明導電膜の製造方法を説明するための図を示す。図7、図8及び図11は、透明導電膜を製造するための工程図であり、図9及び図10は、透明導電膜の製造する際に用いる蒸着装置の概略構成を示す図である。
[リフトオフ]
(レジストパターン形成)
まず、図7に示すように、基材11上に、逆テーパ状の断面を有するレジストパターン31を形成する。レジストパターン31は、例えば、基材11上に、フォトレジストを塗工した後、所定のパターンのフォトマスクを用いてパターン露光し、露光部又は非露光部を現像することにより作製する。
フォトレジストの塗工は、フォトレジストに溶媒を加えた塗工溶液を用いて、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法等により行なう。さらに、フォトレジストの塗工膜を形成した後、塗工膜から溶媒を除去するために乾燥させる。
フォトレジストの塗工膜の厚さは特に制限がないが、パターン形成後のレジストパターン31の厚さが少なくとも多層膜よりも厚くなるように、フォトレジストの塗工膜を形成する必要がある。フォトレジストの塗工厚さは、レジストパターン31の厚さが10nm以上30μm以下となるように形成することが好ましい。特に、15nm以上10μm以下となるように形成することが好ましい。スピンコート法を用いる場合には、100nm以上となるように形成することが好ましく、500nm以上となるように形成することがさらに好ましい。また、3μm以下となるように形成することが好ましく、1μm以下となるように形成することがさらに好ましい。
塗工に用いるフォトレジストとしては、ポジ型フォトレジスト又はネガ型フォトレジストを用いる。ポジ型フォトレジスト、ネガ型フォトレジストとしては、公知の材料を用いることができる。例えば、ネガ型フォトレジストとしては、日本ゼオン社製のZPN−1150−90を用いることができる。また、ポジ型フォトレジストとしては、東京応化工業社製のOFPR−800LBを用いることができる。
また、基材11上にフォトレジストを形成する別の方法としては、別途、フォトレジストを転写用基材表面に形成したフォトレジスト形成用積層体を準備しておき、この積層体のフォトレジスト層を、基材11に転写する方法が挙げられる。このような積層体としては、市販のドライフィルムレジストを使用することができる。
フォトレジストの塗工溶液を形成する溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、トリクロロエチレン、メチルエチルケトン等が挙げられる。これら溶媒は、単独であるいは2種以上混合して使用する。
特に、レジスト層の形成には、アルカリ可溶性のポジ型フォトレジストを用いることが好ましい。アルカリ可溶性のポジ型フォトレジストとしては従来公知の材料を用いることができる。
例えば、アルカリ可溶性のポジ型フォトレジストとしては、クレゾールノボラック樹脂のようなフェノール性水酸基を有する芳香族化合物とホルムアルデヒドとの縮合物、分子(好ましくは、アクリル系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基(例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基など)を有するアルカリ可溶性の有機高分子重合体を含む構成が挙げられる。なかでも、側鎖にカルボン酸を有する有機高分子重合体を含むことが好ましい。
また、アルカリ可溶性の有機高分子重合体としては、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクレート/メタクリル酸共重合体や、特開平7−140654号公報に記載のメタクリル酸の共重合体が挙げられる。
パターン露光は、所望のパターンを有するマスクを通して行う面露光が、パターン露光に要する時間が短いため好ましい。この場合、レンズを用いた屈折式露光でも反射鏡を用いた反射式露光でもよく、コンタクト露光、プロキシミティー露光、縮小投影露光、反射投影露光などの露光方式を用いることができる。更に、例えばレーザ光を走査して、所望の領域のみレーザ光を照射する方法であってもよい。
パターン露光に使用される光源としては、フォトレジストに含まれる感光性樹脂組成物が有する分光感度特性に合わせて適切な波長を有するものが選択される。一般的にはg線、h線、i線、j線等の紫外線を含むものが好ましく用いられる。また、青色LEDを用いてもよい。
また、パターンの大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ナノサイズからミリサイズのいずれの大きさであっても構わない。
パターン露光されたフォトレジストの塗工膜は、現像され、パターン露光時の露光領域(フォトレジストがポジ型の場合)、又は、非露光領域(フォトレジストがネガ型の場合)に相当するフォトレジスト塗工膜が除去され、パターン露光時のパターンに応じたレジストパターン31が基材11上に形成される。
現像は、一般的には現像液に浸漬するか、または、現像液をシャワーして行われる。現像液は、フォトレジストに含まれる感光性樹脂組成物の種類に応じて使用する。
現像液としては、水系アルカリ現像液が好適である。水系アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸ナトリウム等のアルカリ金属塩の水溶液や、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4,3,0]−5−ノナン等のアルカリ性化合物を溶解した水溶液を挙げることができる。アルカリ性化合物のアルカリ現像液中における濃度は、通常1質量%〜10質量%、好ましくは2質量%〜5質量%である。
また、現像液として、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤やアルコール等の有機溶剤を加えることができる。有機溶剤としては、プロピレングリコール、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ベンジルアルコール、n−プロピルアルコール等を用いることができる。
形成するレジストパターン31は、図7に示すように、基材11に接する面(底面)の面積が基材11と反対側の面(上面)よりも小さい逆テーパ状の断面を有する形状に形成する。レジストパターン31は、基材11に接する面(底面)に対する側壁の角度(図7におけるθ)が100°以上であることが好ましい。また、レジストパターン31は、基材11に接する面(底面)に対する側壁の角度(図7におけるθ)が135°以下であることが好ましい。
図7に示すように、基材11に接する面(底面)面積が基材11の反対側の面(上面)よりも小さいテーパ状のレジストパターン31を容易に形成するためには、フォトレジストとしてポジ型フォトレジストを用いることが好ましい。
通常、遮光マスクを用いて露光する場合には、露光マスクの開口部を通過した光が、フォトレジストの塗工膜で拡散しながら透過していく。このため、塗工膜の上面側(遮光マスク側)よりも、底面側(基板側)で露光される面積が大きくなる。
このため、ポジ型フォトレジストを用いた場合には、露光されて現像時に除去される部分が、フォトレジストの塗工膜の上面側よりも底面側で大きくなり、図7に示すように、底面側の面積が小さく上面側の面積が大きい逆テーパ状の断面を有する形状にレジストパターン31を容易に形成することができる。
一方、ネガ型フォトレジストを用いた場合には、フォトレジストの塗工膜に吸収され、減衰しながら透過させることにより、基材11側ほど露光光の強度を低下させ、図7に示すように、底面側の面積が小さく上面側の面積が大きいテーパ状のレジストパターン31を容易に形成することができる。ネガ型フォトレジストを用いた場合は、フォトレジストの塗工膜での光の吸収や拡散等を利用して、逆テーパ状のレジストパターン31となるようにフォトレジストの材料、塗工条件、及び、露光条件等を調整することが好ましい。
(多層膜形成)
次に、図8に示すように、レジストパターン31上、及び、レジストパターン31間に露出する基材11上に、多層膜20を形成する。
多層膜20の形成では、レジストパターン31の段差によって面方向の連続性が妨げられる。このため、多層膜20がレジストパターン31のパターンに沿って分離される。また、このとき、レジストパターン31の側壁の角度が100°以上であり、且つ、異方性の高い成膜を行なうことにより、基材11上に形成する多層膜20に、下端面から上端面へ向かって徐々に幅が狭くなる、順テーパ状の断面を形成することができる。
多層膜20は、上述の透明導電膜の実施形態において説明した各構成の形成方法を適用することにより作製することができる。特に、リフトオフ法を用いて多層膜20を作製する場合には、異方性の高い成膜が可能な気相成膜法、及び、異方性の高い成膜条件を用いて形成することが好ましい。リフトオフ法に好適な異方性の高い成膜方法としては公知の気相成膜法を用いることができ、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等を用いることができる。
順テーパ状の断面が容易に形成することができることから、図9に示すような、成膜時に斜め入射成分を有する蒸着装置が好ましい。図9は、ロールツーロール方式の蒸着装置において、蒸着する材料による蒸着源33と基材11のみを示している。また、基材11上に蒸着範囲34を示し、基材11の搬送方向を矢印で示している。
また、図9に示す蒸着装置において、蒸着範囲34の基材11の搬入方向(上流側)の拡大図を図10に示す。図10には、蒸着源33、蒸着源33、基材11、及び、基材11上に形成されたレジストパターン31と多層膜20のみを示している。
図10に示すように、ロールツーロール方式の蒸着装置では、基材11の搬入方向(上流側)において、蒸着源33から基材11に対して、斜め入射成分を有する。特に、基材11の表面に対する入射角度が10°〜60°の斜め入射成分を有することが好ましい。また、図示していないが、基材11の搬出方向(下流側)においても同様に、蒸着源33から基材11に対して、斜め入射成分を有する。
このように、基材11に対して斜め入射成分を有する成膜方法では、この斜め入射成分が、レジストパターン31の迫り出したテーパ部の下方の領域にも侵入する。このため、異方性の高い成膜方法を用いた場合にも、レジストパターン31のテーパ部の下方に多層膜20を成膜することができる。
また、異方性の高い成膜方法では、入射方向に沿って膜が積み上げられるため、斜め入射成分による成膜では、順テーパ状の断面を有する形状が形成しやすい。さらに、基材11に対して垂直方向に入射する成分は、レジストパターン31の迫り出したテーパ部に阻まれ、レジストパターン31のテーパ部の下方には侵入しにくい。このため、斜め入射成分によって形成された順テーパ状の断面形状が、垂直入射成分による影響を受けず、そのままの順テーパ状の断面形状が維持される。
(レジストパターン剥離)
次に、図11に示すように、レジストパターン31を剥離する。このとき、レジストパターン31上に形成された多層膜20も同時に除去する。レジストパターン31の除去には、レジストパターン31の組成に対応したレジスト剥離液、例えば、有機アルカリ又はアルカリ金属炭酸塩を含む水溶液等を用いる。
レジスト剥離液として、有機アルカリ又はアルカリ金属炭酸塩を含む水溶液を使用することにより、レジストパターン31の除去が効果的に行われる。上記の有機アルカリとしては、水酸化第4級アンモニウム化合物が好ましく、具体的にはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリブチルアンモニウムヒドロキシド、セチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサン−1,6−ビストリブチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。レジスト剥離液における有機アルカリの濃度は、好ましくは0.01N以上10N以下、特に好ましくは0.05N以上5N以下である。
上記のアルカリ金属炭酸塩の具体例としては、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムが挙げられ、緩衝剤として炭酸水素ナトリウム、または炭酸水素カリウムを併用することも好ましい。レジスト剥離液におけるアルカリ金属炭酸塩の濃度は、好ましくは0.01N以上10N以下、特に好ましくは0.05N以上5N以下である。
レジスト剥離液には、レジストパターン31への浸透性、濡れ性を向上させるため、湿潤剤又は界面活性剤を含有させておくことが好ましい。このような湿潤剤又は界面活性剤には、ポリエチレングリコール、グリセリンのような多価アルコール、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が含まれる。湿潤剤又は界面活性剤は、レジスト剥離液中に0.01質量%以上30質量%以下の範囲で含有させておくことが上記のような効果が明確に現れるので好ましい。
レジスト剥離液によるレジストパターン31の除去は、レジスト剥離液への浸漬、又は、レジスト剥離液のシャワーにより行なうことが好ましく、シャワーにより行うことがより好ましい。その際、レジストパターン31を、例えばブラシ、綿又は布で擦って、剥離を促進させることも場合によっては有効である。
レジスト剥離液の温度は、15℃以上50℃以下の範囲が好ましく、20℃以上、40℃以内がより好ましい。更に、レジスト剥離液をレジストパターン31に作用させる時間は、10秒間以上5分間以下の範囲が好ましく、20秒以上、2分間以内がより好ましい。このようにしてレジストパターン31を剥離した後、必要に応じて水洗し、残存するレジスト剥離液を洗浄、除去する。
なお、レジストパターン31としてポジ型のフォトレジストを用いる場合には、レジストパターン31の剥離工程に先立って、レジストパターン31に露光処理を行なうことが好ましい。これにより、レジストパターン31のレジスト剥離液への溶解性が高くなり、剥離が容易となる。
以上の工程により、図6に示す構成の透明導電膜を製造することができる。上記リフトオフ法を用いた透明導電膜の製造方法では、レーザの吸収帯を有さず、レーザエッチングに不向きなZnSを含む多層膜のパターン形成を、容易に行なうことができる。さらに、多層膜の端面を、容易に順テーパ状の断面に形成することができる。従って、多層膜のパターン端面による光学的な特性の低下を抑制し、透明導電膜の光学的な特性の向上、電子機器に適用した際の視覚的な不良の発生を抑制することができる。
〈4.透明導電膜の製造方法(第4実施形態:ウェトエッチング)〉
次に、上述の各実施形態において説明した、テーパ部を有する透明導電膜の製造方法の第2の方法として、ウェットエッチングを用いる透明導電膜の製造方法について説明する。図12〜15に、ウェットエッチングを用いる透明導電膜の製造方法を説明するための工程図を示す。なお、以下の製造方法の説明では、上述の第2実施形態において説明した構成の透明導電膜から、一部の構成を変更した透明導電膜の製造方法について説明するが、多層膜にテーパ状の断面を有する透明導電膜であれば、上述の第1実施形態の構成やその他の構成にも適用可能である。
[ウェットエッチング]
(多層膜形成)
まず、図12に示すように、基材11上に多層膜20を形成する。ウェットエッチングを用いた透明導電膜の製造方法では、多層膜20は基材11上の全面に形成する。また、ウェットエッチングを用いた透明導電膜の製造方法では、多層膜20の形成方法は特に問わず、上述の透明導電膜の実施形態において説明した各構成の形成方法を適用することにより作製することができる。好ましくは、ウェットエッチングにおいて剥離が容易、且つ、エッチング量の調整が容易となるように、多層膜を蒸着法で形成することが好ましい。スパッタ法で形成した膜は密度が高く、ウェットエッチングによる除去が難しく、また、エッチング量の調整が難しい。これに対し、蒸着法で形成した膜は、スパッタ法で形成した膜は密度が高くないため、ウェットエッチングによる剥離が容易であり、また、エッチング量の調整が容易となる。
(レジストパターン形成)
次に、図13に示すように、多層膜20上にレジストパターン32を形成する。レジストパターン32の形成は、上述のリフトオフ法を用いた透明導電膜の製造方法におけるレジストパターンの形成と同様に行なうことができる。また、レジストパターン32は、リフトオフ法を用いた透明導電膜の製造方法と同様に、逆テーパ状の断面を有する形状でもよく、また、図13に示すようにテーパ状の断面を有さない形状であってもよい。
(ウェットエッチング)
次に、多層膜20のウェットエッチングを行なうことにより、図14に示すように、基材11上の多層膜10に、下端面から上端面へ向かって徐々に幅が狭くなる、順テーパ状の断面を形成することができる。
ウェットエッチングにおいて、順テーパ状の断面を有する多層膜20のテーパ角を、所定の角度に調整するためには、硝酸、リン酸、及び、シュウ酸から選ばれる少なくとも1種を含むエッチング液を用いて、エッチング量を調整する必要がある。また、好ましくは、硝酸、リン酸、及び、シュウ酸を含み、それぞれ所定の濃度に調整された組成のエッチング液を用いることが好ましい。エッチング液は、硝酸の濃度が、0.3質量%以上5質量%以下、リン酸の濃度が、75質量%以上85質量%以下、シュウ酸の濃度が、0.1質量%以上5質量%以下で構成されることが好ましい。
また、エッチング液は、硝酸、リン酸、シュウ酸以外にも、必要に応じて各種の添加物を含んでいてもよい。
ウェットエッチングを用いることにより、多層膜20にサイドエッチングが発生する。特に、レジストパターン32の直下側でサイドエッチング量が大きく、基材11側でサイドエッチング量が小さい。このため、多層膜20を、下端面から上端面へ向かって徐々に幅が狭くなる、順テーパ状の断面を有する形状に形成することができる。
多層膜20のサイドエッチング量は、エッチング液の組成、エッチング時間、温度等の条件により調整することができる。また、多層膜20の各層の組成によってもサイドエッチング量は影響を受けるため、多層膜20の構成に応じてエッチング液の組成、エッチング条件等を調整する必要がある。
多層膜20の構成、及び、エッチング液の組成、エッチング条件を適宜調整することにより、所望のテーパ角を有する多層膜20を形成することができる。
なお、多層膜20が、上記ウェットエッチングに用いるエッチング液に耐性を有する層を有する場合、例えば、密着層21がSiO等からなる場合には、図14に示すように、基材11上にエッチング液に耐性を有する層(例えば、密着層21)が残存する。この様に、ウェットエッチング後に基材11上に残存する層を有する場合においても、この残存する層よりも上層の多層膜20が良好なテーパ状の断面形状を有していれば、透明導電膜を形成することができる。多層膜20においてテーパ部を構成しない層、例えば、図14に示す密着層21が存在する場合には、この層はテーパ部18を構成しない層であるため、多層膜20のテーパ角を定義するための構成に含めなくてよい。
(レジストパターン剥離)
次に、図15に示すように、レジストパターン32を剥離する。レジストパターン32の剥離は、上述のリフトオフ法を用いた透明導電膜の製造方法におけるレジストパターンの剥離と同様に行なうことができる。
以上の工程により、透明導電膜を製造することができる。上記ウェットエッチングを用いた透明導電膜の製造方法では、レーザの吸収帯を有さず、レーザエッチングに不向きなZnSを含む多層膜のパターン形成を、容易に行なうことができる。さらに、エッチング条件の変更により、多層膜の端面を所望の順テーパ状の断面に容易に形成することができる。従って、多層膜のパターン端面による光学的な特性の低下を抑制し、透明導電膜の光学的な特性の向上、電子機器に適用した際の視覚的な不良の発生を抑制することができる。
〈5.電子機器〉
[透明導電膜の適用分野]
上記構成からなる透明導電膜は、液晶方式、プラズマ方式、有機エレクトロルミネッセンス方式、フィールドエミッション方式など各種ディスプレイをはじめ、タッチパネルや携帯電話、電子ペーパー、各種太陽電池、各種エレクトロルミネッセンス調光素子など様々な電子デバイス、オプトエレクトロニクスデバイスの基板等に好ましく適用することができる。
透明導電膜を各種電子デバイスに適用する場合、透明導電膜の表面、例えば、透明導電膜が透明基板上に設けられている場合には、この透明基板の裏面側(透明導電膜が形成されていない側)の面、或いは、透明基板を備えていない場合には、第1屈折率調整層の露出面が、接着層等を介して他の部材と貼り合わせられてもよい。
この場合には、上述のように、接着層のアドミッタンス座標と、接着層により貼り合わされる透明導電膜側の表面の等価アドミッタンス座標とが、それぞれ近似することが好ましい。これにより、透明導電膜と接着層との界面での反射が抑制される。
一方、透明導電膜の表面が空気と接するような構成で使用される場合には、空気のアドミッタンス座標と、透明導電膜の表面のアドミッタンス座標とが、それぞれ近似することが好ましい。これにより、透明導電膜と空気との界面での光の反射が抑制される。
以下、上述の各実施形態の透明導電膜が適用される電子デバイスの一例として、透明導電膜をタッチパネルに適用した例について説明する。図16に、電極パターンを有する透明導電膜を具備したタッチパネルの構成の一例を示す。
図16に示すタッチパネル40は、投影型静電容量式のタッチパネルである。このタッチパネル40は、第1透明基板41の一主面上に、パターン形成された第1透明導電膜43、及び、第2透明基板42の一主面上に、パターン形成された第2透明導電膜44がこの順に配置されている。そして、第2透明基板42及び第2透明導電膜44の上部が前面板45で覆われている。
第1透明導電膜43、及び、第2透明導電膜44には、上述の第1実施形態及び第2実施形態に示す、導通領域と非導通領域とにより所望の金属層のパターンを有する各透明導電膜を適用することができる。
このように、透明基板を介して所望のパターンに形成された透明導電膜を積層することにより、タッチパネルを構成することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
〈透明導電膜の作製〉
試料101〜126、試料201〜226、及び、試料301〜303の各透明導電膜を作製した。以下に、試料101〜126、試料201〜226、及び、試料301〜303の各透明導電膜体の構成、及び、作製手順を示す。
また、各試料の透明導電膜の作製に使用した構成材料の詳細を以下に示す。
各層の厚さは、スパッタ時間又は蒸着時間を調整することで調節した。各層の厚さは、J.A.Woollam Co.Inc.製のVB−250型VASEエリプソメーターで測定した。
[基材]
・PET/CHC; 株式会社きもと製クリアハードコート付きポリエチレンテレフタレートフィルム(G1SBF 「PET/CHC」)、厚さ:125μm、屈折率:1.59
[屈折率調整層]
・ZnS; ZnS−DC6(JX日鉱日石金属社製)、O:S:Zn:Ga=28.5:16:50.8:4.1(at%)
・ZnS:Mn; Mn:O:S:Zn=0.5:3.4:40.0:53.1(at%)
・ZnSSiO; ZnS:SiO=80:20(質量%比)
・GZO; ZnOにGaが5.7質量%混ざったもの
・ITO;In:SnO=90:10(質量%比)
・NS−1P; O:Zn:In:Sn=48:32:16:4(at%)
・IGZO; In・Ga・ZnO、In:Ga:Zn:O=1:1:1:4(at%比)
・SGZO; O:S:Zn:Ga=48.4:0.8:45.2:5.6
・ZnS化合物1、ZnS化合物2の構成及び原子数比率(at%)は下記表1に示す。
[試料101の透明導電膜の作製]
基材として、株式会社きもと製クリアハードコート付きポリエチレンテレフタレート(PET/CHC)フィルム(G1SBF、厚さ125μm、屈折率1.59)上に、下記の方法によりリフトオフ法を用いて多層膜のパターンを形成し、[密着層(SiO)/第1屈折率調整層(ZnS)/第1硫化防止層(ZnO)/金属層(Ag)/第2硫化防止層(ZnO)/第2屈折率調整層(ZnS)]の構造の試料101の透明導電膜を作製した。
(レジストパターン)
まず、基材表面に超音波洗浄処理を施した。超音波洗浄処理は、花王ケミカル社製の洗剤クリンスルー KS−3030を用いて超音波洗浄と純水による水洗いを数回行った後、スピンコーターで水を飛ばし、オーブンで乾燥させた。
次に、基材上に、感光性樹脂組成物から構成されるレジストの塗工溶液を均一に塗設した。感光性樹脂組成物としては、東京応化工業社製のポジ型フォトレジストOFPR−800LBを用いた。レジストの塗設は、上記レジストの塗工溶液をディップコーティング法によって基材上に塗布した。そして、ホットプレートを用いて、110℃の温度で10分間プリベークを行い、レジスト層を形成した。
次に、露光工程で、所定のパターンに作製したマスクを介して、ステッパーを用いて、1000J/m程度(波長365nm露光量換算)の光を、レジスト層に照射した。そして、露光済みのレジスト層を、現像液に浸漬して、光照射した領域のレジスト層を溶解し、レジストパターンを形成した。現像処理は、現像液としてトクヤマ社製のポジ型フォトレジスト用現像液「トクソーSD」を用い、現像液に5秒〜10分間浸漬して行なった。さらに、現像処理後、水でリンスし、150℃で乾燥ベークを行った。
(密着層;SiO
次に、形成したレジストパターン上から密着層を形成した。
真空蒸着装置として、シンクロン社製のBMC−800T蒸着装置を用い、真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、酸素ガスを導入しガス圧を1×10−3Paに調整した。モリブデン製抵抗加熱ボートにSiOを入れ、抵抗加熱ボートの通電加熱条件を調整して、形成速度0.2nm/秒の条件で蒸着して、厚さ1nmのSiOからなる密着層を形成した。
(第1屈折率調整層;ZnS)
真空蒸着装置として、シンクロン社製のBMC−800T蒸着装置を用い、モリブデン製抵抗加熱ボートにZnSを装填した。そして、真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートに通電加熱し、抵抗加熱ボートの通電加熱条件を調整して、形成速度2.0nm/秒の条件で蒸着して、厚さ38nmの第1高屈折率層を形成した。
(第1硫化防止層;ZnO)
真空蒸着装置として、シンクロン社製のBMC−800T蒸着装置を用い、モリブデン製抵抗加熱ボートにZnOを装填した。そして、真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートに通電加熱し、抵抗加熱ボートの通電加熱条件を調整して、形成速度2.0nm/秒の条件で蒸着して、厚さ1nmの第1硫化防止層を形成した。
(金属層;Ag)
真空蒸着装置として、シンクロン社製のBMC−800T蒸着装置を用い、モリブデン製抵抗加熱ボートにAgを装填した。そして、真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートに通電加熱し、抵抗加熱ボートの通電加熱条件を調整して、形成速度2.0nm/秒の条件で蒸着して、厚さ8.0nmの金属層を形成した。
(第2硫化防止層;ZnO)
真空蒸着装置として、シンクロン社製のBMC−800T蒸着装置を用い、モリブデン製抵抗加熱ボートにZnOを装填した。そして、真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートに通電加熱し、抵抗加熱ボートの通電加熱条件を調整して、形成速度2.0nm/秒の条件で蒸着して、厚さ1nmの第2硫化防止層を形成した。
(第2屈折率調整層;ZnS)
真空蒸着装置として、シンクロン社製のBMC−800T蒸着装置を用い、モリブデン製抵抗加熱ボートにZnSを装填した。そして、真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートに通電加熱し、抵抗加熱ボートの通電加熱条件を調整して、形成速度2.0nm/秒の条件で蒸着して、厚さ36nmの第2高屈折率層を形成した。
(レジスト層剥離)
第2屈折率調整層まで形成した後、レジストパターンを剥離して透明導電膜を作製した。
レジスト膜剥離液としてナガセケムテックス社製のN−300等を用いて、第2屈折率調整層まで形成した透明導電膜をレジスト膜剥離液に浸漬し、レジストパターンと、レジスト層上に形成された多層膜とを共に除去した。
以上の工程により、電極パターンを有する試料101の透明導電膜を作製した。
[試料102の透明導電膜の作製]
第1硫化防止層を作製しなかったことを除き、上記試料101と同様の方法で試料102の透明導電膜を作製した。
[試料103の透明導電膜の作製]
上記試料102の透明導電膜の作製において、第2硫化防止層をGZOで作製した以外は、上記試料102と同様の方法で試料103の透明導電膜を作製した。
(第2硫化防止層;GZO)
真空蒸着装置として、シンクロン社製のBMC−800T蒸着装置を用い、モリブデン製抵抗加熱ボートにGZOを装填した。そして、真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートに通電加熱し、抵抗加熱ボートの通電加熱条件を調整して、形成速度2.0nm/秒の条件で蒸着して、厚さ1nmの第2硫化防止層を形成した。
[試料104の透明導電膜の作製]
上記試料102の透明導電膜の作製において、第2硫化防止層を厚さ0.5nmのZnで作製した以外は、上記試料102と同様の方法で試料104の透明導電膜を作製した。
(第2硫化防止層;Zn)
真空蒸着装置として、シンクロン社製のBMC−800T蒸着装置を用い、モリブデン製抵抗加熱ボートにZnを装填した。そして、真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートに通電加熱し、抵抗加熱ボートの通電加熱条件を調整して、形成速度2.0nm/秒の条件で蒸着して、厚さ0.5nmの第2硫化防止層を形成した。
[試料105の透明導電膜の作製]
上記試料102の透明導電膜の作製において、第2硫化防止層に替えて、厚さ0.5nmのGaからなる腐食防止層(保護層)を作製した以外は、上記試料102と同様の方法で試料105の透明導電膜を作製した。
(腐食防止層;Ga
真空蒸着装置として、シンクロン社製のBMC−800T蒸着装置を用い、モリブデン製抵抗加熱ボートにGaを装填した。そして、真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートに通電加熱し、抵抗加熱ボートの通電加熱条件を調整して、形成速度2.0nm/秒の条件で蒸着して、厚さ0.5nmの腐食防止層を形成した。
[試料106の透明導電膜の作製]
上記試料102の透明導電膜の作製において、第2屈折率調整層上に厚さ5nmのITOからなる第3屈折率調整層を作製した以外は、上記試料102と同様の方法で試料106の透明導電膜を作製した。
(第3屈折率調整層;ITO)
アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温(25℃)下、形成速度0.15nm/sで、厚さ5nmとなるようITOをDCパルススパッタした。ターゲット−基板間距離は、86mmであった。
[試料107の透明導電膜の作製]
上記試料103の透明導電膜の作製において、第2屈折率調整層上に厚さ5nmのNS−1Pからなる第3屈折率調整層を作製した以外は、上記試料103と同様の方法で試料107の透明導電膜を作製した。
(第3屈折率調整層;NS−1P)
アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温(25℃)下、形成速度0.15nm/sで、厚さ5nmとなるようNS−1PをDCパルススパッタした。ターゲット−基板間距離は、86mmであった。
[試料108の透明導電膜の作製]
上記試料107の透明導電膜の作製において、第3屈折率調整層を厚さ5nmのIGZOで作製した以外は、上記試料107と同様の方法で試料108の透明導電膜を作製した。
(第3屈折率調整層;IGZO)
アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温(25℃)下、形成速度0.15nm/sで、厚さ5nmとなるようIGZOをDCパルススパッタした。ターゲット−基板間距離は、86mmであった。
[試料109の透明導電膜の作製]
上記試料107の透明導電膜の作製において、第3屈折率調整層を厚さ5nmのITOで作製した以外は、上記試料107と同様の方法で試料109の透明導電膜を作製した。ITOからなる第3屈折率調整層は、上記試料106と同様の方法で作製した。
[試料110の透明導電膜の作製]
上記試料103の透明導電膜の作製において、第2屈折率調整層を厚さ43nmのITOで作製した以外は、上記試料103と同様の方法で試料110の透明導電膜を作製した。ITOからなる第2屈折率調整層は、上記試料106のITOからなる第3屈折率調整層と同様の方法で作製した。
[試料111の透明導電膜の作製]
上記試料103の透明導電膜の作製において、第2屈折率調整層を厚さ40nmのNS−1Pで作製した以外は、上記試料103と同様の方法で試料111の透明導電膜を作製した。NS−1Pからなる第2屈折率調整層は、上記試料107のNS−1Pからなる第3屈折率調整層と同様の方法で作製した。
[試料112の透明導電膜の作製]
上記試料103の透明導電膜の作製において、第2屈折率調整層を厚さ43nmのIGZOで作製した以外は、上記試料103と同様の方法で試料112の透明導電膜を作製した。IGZOからなる第2屈折率調整層は、上記試料108のIGZOからなる第3屈折率調整層と同様の方法で作製した。
[試料113の透明導電膜の作製]
上記試料105の透明導電膜の作製において、第2屈折率調整層を厚さ10nmのSGZOで作製し、第2屈折率調整層上に厚さ30nmのITOからなる第3屈折率調整層を作製した以外は、上記試料105と同様の方法で試料113の透明導電膜を作製した。ITOからなる第3屈折率調整層は、上記試料106のITOからなる第3屈折率調整層と同様の方法で作製した。
(第2屈折率調整層;SGZO)
真空蒸着装置として、シンクロン社製のBMC−800T蒸着装置を用い、モリブデン製抵抗加熱ボートにSGZOを装填した。そして、真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートに通電加熱し、抵抗加熱ボートの通電加熱条件を調整して、形成速度2.0nm/秒の条件で蒸着して、厚さ10nmの第2屈折率調整層を形成した。
[試料114の透明導電膜の作製]
上記試料113の透明導電膜の作製において、密着層を形成せず、第2硫化防止層をGZOで作製した以外は、上記試料113と同様の方法で試料114の透明導電膜を作製した。GZOからなる第2硫化防止層は、上記試料103と同様の方法で作製した。
[試料115の透明導電膜の作製]
上記試料113の透明導電膜の作製において、第1屈折率調整層と金属層との間に厚さ1nmのGZOからなる第1硫化防止層を作製し、Agからなる金属層をスパッタ法により形成し、第2硫化防止層をGZOで形成した以外は、上記試料113と同様の方法で試料115の透明導電膜を作製した。
(第1硫化防止層、第2硫化防止層;GZO)
アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温(25℃)下、形成速度0.15nm/sで、厚さ1nmとなるようGZOをDCパルススパッタした。ターゲット−基板間距離は、86mmであった。
(金属層;Ag)
アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温(25℃)下、形成速度0.15nm/sで、厚さ8.0nmとなるようAgをDCパルススパッタした。ターゲット−基板間距離は、86mmであった。
[試料116の透明導電膜の作製]
上記試料113の透明導電膜の作製において、第2硫化防止層を厚さ2nmのGZOで作製した以外は、上記試料113と同様の方法で試料116の透明導電膜を作製した。GZOからなる第2硫化防止層は、上記試料103と同様の方法を用いて、厚さを2nmとして作製した。
[試料117の透明導電膜の作製]
上記試料115の透明導電膜の作製において、密着層を作製せず、第1屈折率調整層をZnS化合物2で作製し、第2硫化防止層を厚さ3nmのGZOで作製した以外は、上記試料115と同様の方法で試料117の透明導電膜を作製した。GZOからなる第2硫化防止層は、上記試料103と同様の方法を用いて、厚さを3nmとして作製した。
(第1屈折率調整層;ZnS化合物2)
アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温(25℃)下、形成速度0.15nm/sで、厚さ38nmとなるようにZnS化合物2をDCパルススパッタした。ターゲット−基板間距離は、86mmであった。
[試料118の透明導電膜の作製]
上記試料117の透明導電膜の作製において、第1屈折率調整層をZnS化合物1で作製した以外は、上記試料117と同様の方法で試料118の透明導電膜を作製した。
(第1屈折率調整層;ZnS化合物1)
アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温(25℃)下、形成速度0.15nm/sで、厚さ38nmとなるようにZnS化合物1をDCパルススパッタした。ターゲット−基板間距離は、86mmであった。
[試料119の透明導電膜の作製]
上記試料117の透明導電膜の作製において、第2硫化防止層を厚さ1nmのGZOで作製し、第1屈折率調整層及び第2屈折率調整層を厚さ38nmのZnS:Mnで作製した以外は、上記試料117と同様の方法で試料119の透明導電膜を作製した。GZOからなる第2硫化防止層は、上記試料103と同様の方法を用いて作製した。
(第1屈折率調整層、第2屈折率調整層;ZnS:Mn)
アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温(25℃)下、形成速度0.15nm/sで、厚さ38nmとなるようにZnS:MnをDCパルススパッタした。ターゲット−基板間距離は、86mmであった。
[試料120の透明導電膜の作製]
上記試料119の透明導電膜の作製において、第2屈折率調整層上に厚さ5nmのITOからなる第3屈折率調整層を作製した以外は、上記試料119と同様の方法で試料120の透明導電膜を作製した。ITOからなる第3屈折率調整層は、上記試料106の第3屈折率調整層と同様の方法を用いて作製した。
[試料121の透明導電膜の作製]
上記試料119の透明導電膜の作製において、第1屈折率調整層及び第2屈折率調整層を蒸着法により形成した以外は、上記試料119と同様の方法で試料121の透明導電膜を作製した。
(第1屈折率調整層、第2屈折率調整層;ZnS:Mn)
真空蒸着装置として、シンクロン社製のBMC−800T蒸着装置を用い、モリブデン製抵抗加熱ボートにZnS:Mnを装填した。そして、真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートに通電加熱し、抵抗加熱ボートの通電加熱条件を調整して、形成速度2.0nm/秒の条件で蒸着して、厚さ38nmの第1屈折率調整層、又は、第2屈折率調整層を形成した。
[試料122の透明導電膜の作製]
上記試料121の透明導電膜の作製において、第2屈折率調整層上に厚さ5nmのITOからなる第3屈折率調整層を作製した以外は、上記試料121と同様の方法で試料122の透明導電膜を作製した。ITOからなる第3屈折率調整層は、上記試料106の第3屈折率調整層と同様の方法を用いて作製した。
[試料123の透明導電膜の作製]
上記試料119の透明導電膜の作製において、第1屈折率調整層及び第2屈折率調整層をZnS化合物1で作製した以外は、上記試料119と同様の方法で試料123の透明導電膜を作製した。ZnS化合物1からなる第1屈折率調整層及び第2屈折率調整層は、上記試料118と同様の方法で作製した。
[試料124の透明導電膜の作製]
上記試料119の透明導電膜の作製において、第1屈折率調整層及び第2屈折率調整層をZnS化合物2で作製した以外は、上記試料119と同様の方法で試料124の透明導電膜を作製した。ZnS化合物2からなる第1屈折率調整層及び第2屈折率調整層は、上記試料117と同様の方法で作製した。
[試料125の透明導電膜の作製]
上記試料103の透明導電膜の作製において、第1屈折率調整層及び第2屈折率調整層を厚さ40nmのZnSSiOで作製した以外は、上記試料103と同様の方法で試料125の透明導電膜を作製した。
(第1屈折率調整層、第2屈折率調整層;ZnSSiO
真空蒸着装置として、シンクロン社製のBMC−800T蒸着装置を用い、モリブデン製抵抗加熱ボートにZnSSiOを装填した。そして、真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートに通電加熱し、抵抗加熱ボートの通電加熱条件を調整して、形成速度2.0nm/秒の条件で蒸着して、厚さ40nmの第1屈折率調整層、又は、第2屈折率調整層を形成した。
[試料126の透明導電膜の作製]
上記試料125の透明導電膜の作製において、第2屈折率調整層上に厚さ5nmのITOからなる第3屈折率調整層を作製した以外は、上記試料125と同様の方法で試料126の透明導電膜を作製した。ITOからなる第3屈折率調整層は、上記試料106の第3屈折率調整層と同様の方法を用いて作製した。
[試料201〜226の透明導電膜の作製]
まず、基材上に多層膜を作製した。作製した多層膜の構成、及び、多層膜作製方法は、上記試料101〜126と同様とし、下2桁が同じ番号の試料の構成がそれぞれ対応する。
次に、多層膜上に、上述の試料101と同様の方法でレジストパターンを形成した。そして、多層膜に対し、エッチング液を用いたウェットエッチング処理を行った。

ウェットエッチング処理は、下記の組成のエッチング液をそれぞれ作製し、各組成のエッチング液に、各試料のレジストパターンを形成した多層膜を浸漬し、レジストで保護されていない部分の多層膜を溶解し、レジストで保護している部分の多層膜から所定の電極パターンを形成した。エッチング時間は90秒とした。

最後に、レジスト膜剥離液として、透明導電膜からレジストパターンを除去して、電極パターンを有する試料201〜226の透明導電膜を作製した。
(試料201〜218のエッチング液)
昭和化学のリン酸85質量%、関東化学の硝酸61質量%、林純薬のPure Etch DE100(シュウ酸)を混合し、リン酸79.41質量%、硝酸2.33質量%、シュウ酸0.14質量%、その他18.12質量%のエッチング液を調整して使用した。
(試料219〜222のエッチング液)
昭和化学のリン酸85質量%、関東化学の硝酸61質量%、林純薬のPure Etch DE100(シュウ酸)を混合し、リン酸60.1質量%、硝酸1.2質量%、シュウ酸0.1質量%、その他38.6質量%のエッチング液を調整して使用した。
(試料223〜226のエッチング液)
昭和化学のリン酸85質量%、関東化学の硝酸61質量%、林純薬のPure Etch DE100(シュウ酸)を混合し、リン酸40.4質量%、硝酸0.3質量%、シュウ酸0.06質量%、その他59.24質量%のエッチング液を調整して使用した。
[試料301の透明導電膜の作製]
上記試料217の透明導電膜の作製において、昭和化学のリン酸85質量%、関東化学の硝酸61質量%、林純薬のPure Etch DE100(シュウ酸)を混合し、リン酸82.56質量%、硝酸0質量%、シュウ酸0.14質量%、その他17.3質量%のエッチング液を調整し、ウェットエッチング処理に使用した以外は、上記試料217と同様の方法で試料301の透明導電膜を作製した。
[試料302の透明導電膜の作製]
上記試料217の透明導電膜の作製において、ウェットエッチング処理の替わりに、武井電機レーザエッチング装置を用いて、波長1064nmのレーザでレーザエッチングを行った以外は、上記試料217と同様の方法で試料302の透明導電膜を作製した。
[試料303の透明導電膜の作製]
上記試料217の透明導電膜の作製において、昭和化学のリン酸85質量%、関東化学の硝酸61質量%、林純薬のPure Etch DE100(シュウ酸)を混合し、リン酸59.1質量%、硝酸17.3質量%、シュウ酸0.1質量%、その他23.5質量%のエッチング液を調整し、ウェットエッチング処理に使用した以外は、上記試料217と同様の方法で試料303の透明導電膜を作製した。
下記表2、及び、表3に、試料101〜126、試料201〜226、及び、試料301〜303の透明導電膜の構成を示す。
〈透明導電膜の評価〉
[画像評価]
試料117、試料217、及び、試料301の透明導電膜について、多層膜のテーパ部の画像を撮影し、多層膜の形状、及び、テーパ部の形状を評価した。図17に試料117、図18に試料217、図19に試料301の画像を示す。
[テーパ部]
(長さL・テーパ角)
図1に示すテーパ部18の長さ[L]とテーパ角θを測定した。長さ[L]は、基材11の面方向と平行な方向における、テーパ部18の長さである。長さ[L]の測定は、SEM画像のコントラストの変化点をテーパの始点、終点としてSEM画像スケールから目視で測定した。同様に、SEM画像のコントラストの変化点をテーパの始点、終点としてテーパ角θを測定した。
[突起部高さ]
図5に示す多層膜10上の突起部15の高さを測定した。突起部の高さの測定は、SEIKO社製の原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)にて行なった。
[モアレ]
(測定方法確認)
ディスプレイを目視で観察し、以下のように評価した。iPhone(登録商標)4sを白色画面にし、その上に各試料の透明導電膜を配置して、モアレ強度を比較した。
3:縞模様が現れない
2:縞模様が確認
1:縞模様がはっきり確認
下記表4、及び、表5に、試料101〜126、試料201〜226、及び、試料301〜303の透明導電膜の評価結果を示す。
表4、及び、表5に記載の結果より明らかなように、試料101〜126、及び、試料201〜226の透明導電膜は、多層膜の端部に良好な順テーパ状の形状が形成されている。これに対し、試料301〜303の透明導電膜では、突起部の高さが大きい、又は、テーパ角が大きいため、順テーパ状の形状が良好に形成されていない。
また、図17及び図18に示すように、試料117及び試料217では、多層膜20と基材11との間に良好なテーパ部18が形成され、多層膜20に乱れのない端部が形成されている。これに対し、図19に示すように、試料301では、多層膜20の端部が乱れた形状となり、多層膜20と基材11との間に突起部や、多層膜20が浸食された部分等が多く形成され、テーパ部18が崩壊している。
多層膜に順テーパ状の断面が良好に形成された試料101〜126、及び、試料201〜226の透明導電膜は、試料301〜303の透明導電膜と比較して、モアレの発生が抑制されている。これは、多層膜の端部に良好なテーパ部が形成されることにより、多層膜のパターン端面による光学的な特性の低下を抑制できることを表している。一方、試料301〜303の透明導電膜では、多層膜の端部の形状不良により光学的な特性の低下し、モアレの発生が大きい。従って、表示装置等の電子機器に、多層膜に順テーパ状の断面が良好に形成された透明導電膜を適用することにより、モアレ等の視覚的な不良の発生を抑制することができる。
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
10,20 多層膜、10A 側壁面、10B,10C 平坦面、10D,10E 端部、11 基材、12 第1屈折率調整層、13 金属層、14 第2屈折率調整層、15 突起部、16 導通領域、17 非導通領域、18 テーパ部、21 密着層、22 第1硫化防止層、23 バッファ層、24 第2硫化防止層、31,32 レジストパターン、33 蒸着源、34 蒸着範囲、40 タッチパネル、41 第1透明基板、42 第2透明基板、43 第1透明導電膜、44 第2透明導電膜、45 前面板

Claims (9)

  1. 第1屈折率調整層と、金属層と、第2屈折率調整層とからなる多層膜を備え、
    前記第1屈折率調整層、及び、前記第2屈折率調整層の少なくともいずれか一方がZnSを含み、
    前記多層膜が、積層方向に順テーパ状の断面を有する
    透明導電膜。
  2. 前記多層膜のテーパ角が0.5°以上45°以下である請求項1に記載の透明導電膜。
  3. 前記ZnSを含む層と前記金属層との間に、硫化防止層を有する請求項1に記載の透明導電膜。
  4. 前記金属層が、銀を主成分として含む請求項1に記載の透明導電膜。
  5. 基材上にレジスト層を形成する工程と、
    前記レジスト層を逆テーパ状の断面にパターニングする工程と、
    基材上に、第1屈折率調整層、金属層、及び、第2屈折率調整層からなる多層膜を形成する工程と、
    前記レジスト層を前記レジスト層上に形成された前記多層膜と共に剥離し、積層方向に順テーパ状の断面を有する前記多層膜のパターンを形成する工程と、を有し、
    前記第1屈折率調整層、及び、前記第2屈折率調整層の少なくともいずれか一方を、ZnSを含む材料で形成する
    透明導電膜の製造方法。
  6. 前記金属層を蒸着法で形成する請求項5に記載の透明導電膜の製造方法。
  7. 基材上に、第1屈折率調整層、金属層、及び、第2屈折率調整層からなる多層膜を形成する工程と、
    前記多層膜上に、レジスト層を形成する工程と、
    前記レジスト層をパターニングする工程と、
    前記多層膜を、硝酸、リン酸、及び、シュウ酸から選ばれる少なくとも1種を含むエッチング液を用いてウェットエッチングし、積層方向に順テーパ状の断面を有する前記多層膜のパターンを形成する工程と、を有し、
    前記第1屈折率調整層、及び、前記第2屈折率調整層の少なくともいずれか一方を、ZnSを含む材料で形成する
    透明導電膜の製造方法。
  8. 前記エッチング液は、硝酸の濃度が0.3質量%以上5質量%以下、リン酸の濃度が40質量%以上85質量%以下、シュウ酸の濃度が0.1質量%以上5質量%以下である請求項7に記載の透明導電膜の製造方法。
  9. 上記請求項1に記載の透明導電膜を備える電子機器。
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