JP2016169178A - 慢性鼻副鼻腔炎治療剤 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、抗菌作用がなく、抗炎症作用を有するジヒドロシュードエリスロマイシン誘導体を有効成分とする慢性鼻副鼻腔炎治療剤に関する。
慢性鼻副鼻腔炎は、副鼻腔中の粘膜に生じる慢性的な炎症である。炎症の慢性化により、膿が副鼻腔中に溜まったり、鼻茸(炎症性増殖性の腫瘤)が形成される。慢性鼻副鼻腔炎に対する治療剤としては、ステロイド剤よりも重篤な副作用の心配が少なく、かつ他の抗生物質に比べて細菌増殖抑制作用や抗炎症作用が強いマクロライド系抗生物質が主に用いられる。
鼻茸等の慢性鼻副鼻腔炎の治療に使用されるマクロライド系抗生物質としては、主に、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、ロキシスロマイシン等の14員環マクロライドが使用されている。しかし、これらの14員環マクロライドは、抗炎症作用に加えて抗菌作用も有しており耐性菌の誘発リスクがあるため、抗炎症剤としては使用しにくい。この問題を解決するために、抗菌作用を有さず抗炎症作用を有する12員環のシュードエリスロマイシン誘導体(学校法人北里研究所 EM700シリーズ、特許文献1及び2参照)が報告されている。
前記シュードエリスロマイシン誘導体は、酸によって一部が分解し比較的不安定であったため、経口投与でその薬理作用が十分に発揮されない可能性があるという問題点があった。そこで、前記シュードエリスロマイシン誘導体の酸に対する安定性を高めるために、還元してジヒドロ体とすることが報告されている(特許文献3及び非特許文献1参照)。
Sugawara, et al.,The Journal of Antibiotics,2012,vol.65,p.487−490.
本発明は、ヒトの慢性鼻副鼻腔炎に対して実際に治療効果を示す抗炎症剤を有効成分とする慢性鼻副鼻腔炎治療剤を提供する。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ジヒドロシュードエリスロマイシン誘導体のうち、特定の化合物が、ヒトの鼻茸から採取された線維芽細胞に対して、増殖抑制作用及びアポトーシス誘導作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る慢性鼻副鼻腔炎治療剤は、下記[1]〜[3]である。
[1] 下記式(1)で表される化合物若しくはその薬理学的に許容される塩、又は下記式(2)で表される化合物若しくはその薬理学的に許容される塩からなる群より選択される1種以上を有効成分とすることを特徴とする、慢性鼻副鼻腔炎治療剤。
[1] 下記式(1)で表される化合物若しくはその薬理学的に許容される塩、又は下記式(2)で表される化合物若しくはその薬理学的に許容される塩からなる群より選択される1種以上を有効成分とすることを特徴とする、慢性鼻副鼻腔炎治療剤。
[2] 鼻腔又は副鼻腔の線維芽細胞の増殖抑制作用を有する、前記[1]の慢性鼻副鼻腔炎治療剤。
[3] 鼻腔又は副鼻腔の線維芽細胞のアポトーシス誘導作用を有する、前記[1]の慢性鼻副鼻腔炎治療剤。
[3] 鼻腔又は副鼻腔の線維芽細胞のアポトーシス誘導作用を有する、前記[1]の慢性鼻副鼻腔炎治療剤。
本発明に係る慢性鼻副鼻腔炎治療剤は、抗炎症作用を有するが抗菌作用を示さないジヒドロシュードエリスロマイシン誘導体のうち、ヒトの鼻茸由来の線維芽細胞に対して、増殖抑制作用及びアポトーシス誘導作用を有する化合物を有効成分とするため、慢性鼻副鼻腔炎に対して非常に有効な治療剤である。
本発明に係る慢性鼻副鼻腔炎治療剤は、下記式(1)で表される化合物(9−ジヒドロ−シュードエリスロマイシンA 6,9−エポキシド:EM900)若しくはその薬理学的に許容される塩、又は下記式(2)で表される化合物(デ(3’−N−メチル)−3’−N−(p−クロロベンジル)−9−ジヒドロ−シュードエリスロマイシンA 6,9−エポキシド:EM905)若しくはその薬理学的に許容される塩からなる群より選択される1種以上を有効成分とする。
EM900及びEM905において、式(1)又は式(2)中の8位及び9位の立体は特に限定されない。すなわち、EM900及びEM905には、式(1)又は式(2)中の8位及び9位の立体異性体は全て含まれる。
EM900及びEM905は、抗炎症作用を有するのみならず、鼻腔又は副鼻腔の線維芽細胞に対する増殖抑制作用及びアポトーシス誘導作用を有する。つまり、EM900等により、炎症を起こしている線維芽細胞は、増殖が抑制され、またアポトーシスを起こす結果、炎症が治まり、鼻茸が縮小する。このため、これらの化合物は、慢性鼻副鼻腔炎治療剤の有効成分として好適である。特に、EM900及びEM905は、継代培養が可能になるように株化された培養細胞株に対してではなく、実際にヒトの鼻茸から分離された線維芽細胞に対して増殖抑制作用及びアポトーシス誘導作用を有するため、本発明に係る慢性鼻副鼻腔炎治療剤は、高い治療効果が期待できる。
EM900及びEM905の製造方法は、特に限定されないが、例えば、下記に具体的に記載されている方法等によって製造することができる(特許文献3参照。)。当業者は、必要に応じて出発原料、反応条件、反応試薬などを適宜修飾ないし改変することができる。
EM900及びEM905が形成し得る薬学的に許容される塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、酢酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩等の有機酸塩等を挙げることができる。
本発明に係る慢性鼻副鼻腔炎治療剤の有効成分としては、EM900及びEM905若しくはその薬学上許容される塩の溶媒和物であってもよい。当該溶媒和物を形成する溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチル等を挙げることができる。
本発明に係る慢性鼻副鼻腔炎治療剤の有効成分としては、EM900、EM905、及びこれらの塩、並びにそれらの水和物及び溶媒和物からなる群から選ばれる1又は2以上の物質を用いることができる。本発明に係る慢性鼻副鼻腔炎治療剤の投与経路は特に限定されず、経口的又は非経口的に投与することができる。
本発明に係る慢性鼻副鼻腔炎治療剤としては、前記有効成分をそのまま患者に投与してもよいが、好ましくは、有効成分と薬理学的及び製剤学的に許容し得る添加物とを含む医薬組成物の形態の製剤として投与すべきである。薬理学的及び製剤学的に許容し得る添加物としては、例えば、賦形剤、崩壊剤ないし崩壊補助剤、結合剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤ないし溶解補助剤、等張化剤、pH調節剤、安定化剤、噴射剤、粘着剤等を用いることができる。経口投与に適する製剤の例としては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、液剤、シロップ剤等を挙げることができ、非経口投与に適する製剤としては、例えば、粉末噴霧剤、注射剤、点滴剤、軟膏剤、クリーム剤、経皮吸収剤、吸入剤、坐剤等を挙げることができるが、製剤の形態はこれらに限定されることはない。本発明に係る慢性鼻副鼻腔炎治療剤の剤型としては、服用が比較的容易な経口剤、又は直接患部に適用可能な粉末噴霧剤、軟膏剤、クリーム剤、点鼻剤が好ましい。
経口投与に適する製剤には、添加物として、例えば、ブドウ糖、乳糖、D−マンニトール、デンプン、結晶セルロース等の賦形剤;カルボキシメチルセルロース、デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム等の崩壊剤又は崩壊補助剤;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等の結合剤;ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、白糖、ポリエチレングリコール、ゼラチン、カオリン、グリセリン、精製水、ハードファット等の基剤を用いることができる。注射又は点滴用に適する製剤には、注射用蒸留水、生理食塩水、プロピレングリコール等の水性又は用時溶解型注射剤を構成し得る溶解剤又は溶解補助剤;ブドウ糖、塩化ナトリウム、D−マンニトール、グリセリン等の等張化剤;無機酸、有機酸、無機塩基又は有機塩基等のpH調節剤等の製剤用添加物を用いることができる。
本発明に係る慢性鼻副鼻腔炎治療剤の投与量は、患者の年齢、体重、症状などの条件に応じて適宜増減すべきであるが、一般的には、成人の一日あたりの投与量は、有効成分の量で、経口投与において約0.05〜500mg程度である。一般的には、上記の投与量を一日あたり1回から数回に分けて投与することができるが、数日ごとに投与してもよい。有効成分が2種以上の場合、その合計量が当該範囲内に設定される。
以下、本発明の実施例及び比較例を示し、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[合成例1] EM900の合成
EM900は、EMA(エリスロマイシンA)を原料とし、特許文献3に記載の方法で合成した。詳細は以下の通りである。
EM900は、EMA(エリスロマイシンA)を原料とし、特許文献3に記載の方法で合成した。詳細は以下の通りである。
EMA(104.4g,16.90mmol)の氷酢酸溶液(710.0mL)を室温で2時間撹拌後、NaHCO3水溶液をゆっくり加え中和した。反応液をCHCl3で抽出し、有機層をNa2SO4で乾燥した後ろ過し、濃縮して粗生成物(99.30g)を得た。得られた粗生成物をCHCl3(250mL)に溶解しヘキサン(50mL)を加えて再結晶し、白色粉末EM201(74.50g,71%)を得た。
EM201;
Rf=0.63(CHCl3:MeOH:NH4OH aq=15:1:0.2)
Rf=0.63(CHCl3:MeOH:NH4OH aq=15:1:0.2)
EM201(7.600g,10.60mmol)のMeOH溶液(150.0mL)にK2CO3(1.400g,10.60mmol)を加え、2時間加熱還流した。室温に戻した後、溶媒を留去し、残渣をNaHCO3水溶液に溶解した。反応液をCHCl3で抽出し、有機層をNa2SO4で乾燥した後ろ過し、濃縮して粗生成物(9.300g)を得た。得られた粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH:NH4OH aq=10:0.5:0.01−10:1:0.05)で分離精製して、白色粉末EM701(5.900g,78%)を得た。
EM701;
Rf=0.47(CHCl3:MeOH:NH4OH aq=15:1:0.2)
Rf=0.47(CHCl3:MeOH:NH4OH aq=15:1:0.2)
酢酸(AcOH;7.000mL)にPtO2(476.2mg,2.100mmol)とCF2HCOOH(299.0μL,4.750mmol)を加え、H2雰囲気下、5atm、室温で1時間攪拌し、EM701(1.000g,1.400mmol)のAcOH溶液(7.000mL)を加え、H2雰囲気下、5atm、室温で4時間攪拌した。その後CH3CO2NH4(7.000g)を加え攪拌後、ろ過し濃縮した。濃縮液をCHCl3で抽出し、飽和NaHCO3水溶液、brineで洗浄した。洗浄した有機層をNa2SO4で乾燥した後ろ過し、濃縮して粗生成物(968.4mg)を得た。得られた粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH:NH4OH aq=50:1:0.02−30:1:0.02)で分離精製して、白色粉末EM900(767.7mg,76%)を得た。
EM900;
Rf=0.53(CHCl3:MeOH:NH4OH aq=15:1:0.2);
HR−MS m/z:718.4767[M+H]+,Calcd for C37H68NO12:718.4742[M+H]
Rf=0.53(CHCl3:MeOH:NH4OH aq=15:1:0.2);
HR−MS m/z:718.4767[M+H]+,Calcd for C37H68NO12:718.4742[M+H]
[合成例2] EM905の合成
EM905は、合成例1で製造したEM900を原料とし、特許文献3に記載の方法で合成した。詳細は以下の通りである。
EM905は、合成例1で製造したEM900を原料とし、特許文献3に記載の方法で合成した。詳細は以下の通りである。
EM900(706.3mg,0.984mmol)のメタノール(MeOH)溶液(9.840mL)に酢酸ナトリウム(AcONa;403.6mg,4.920mmol)、I2(499.5mg,1.968mmol)、飽和NaHCO3溶液を加えた後、ユニバーサル試験紙で塩基性であることを確認し、50℃で20分攪拌した。攪拌後、Na2S2O3(400.0mg)を加え室温まで戻した。反応液からCHCl3で抽出、brineとNH4OH aqの混合溶液で洗浄後、有機層をNa2SO4で乾燥後ろ過し、濃縮して粗生成物(700.0mg)を得た。得られた粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH:NH4OH aq=100:1:0.1−30:1:0.1)で分離精製して、白色粉末EM901(546.5mg,79%)を得た。
EM901;
Rf=0.53(CHCl3:MeOH:NH4OH aq=10:1:0.2)
HR−MS m/z:704.4615[M+H]+,Calcd for C36H66NO12:704.4585[M+H]
Rf=0.53(CHCl3:MeOH:NH4OH aq=10:1:0.2)
HR−MS m/z:704.4615[M+H]+,Calcd for C36H66NO12:704.4585[M+H]
EM901(20.00mg,0.0280mmol)のCHCl3溶液(280.0μL)にi−Pr2NEt(24.40μL,0.14mmol)、p−ClBnBr(p−クロロベンジルブロマイド:28.80mg,0.1400mmol)を加え、N2雰囲気下、室温で2時間攪拌した。攪拌後飽和Na2S2O3溶液(7.000mL)を加え、CHCl3で抽出、飽和Na2S2O3溶液、飽和NH4Cl溶液、brineで洗浄後、有機層をNa2SO4で乾燥後ろ過し、濃縮して粗生成物(24.10mg)を得た。得られた粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH:NH4OH aq=100:1:0.1)で分離精製して、白色粉末EM905(21.60mg,93%)を得た。
EM905;
Rf=0.59(CHCl3:MeOH:NH4OH aq=30:1:0.2)
HR−MS m/z:828.4657[M+H]+,Calcd for C43H71NO12Cl:828.4665[M+H]
Rf=0.59(CHCl3:MeOH:NH4OH aq=30:1:0.2)
HR−MS m/z:828.4657[M+H]+,Calcd for C43H71NO12Cl:828.4665[M+H]
[比較合成例1] デ(3’−ジメチルアミノ)−3’−モルホリノ−9−ジヒドロ−シュードエリスロマイシンA 6,9−エポキシド(EM914)の合成
EM914は、合成例2で製造したEM901を原料とし、特許文献3に記載の方法で合成した。詳細は以下の通りである。
EM914は、合成例2で製造したEM901を原料とし、特許文献3に記載の方法で合成した。詳細は以下の通りである。
Na(21.80mg,0.9480mmol)のMeOH溶液(15.80mL)を0℃まで冷却し、EM901(111.5mg,0.1580mmol)、I2(200.5mg,0.7900mmol)を加え、Ar雰囲気下、40分間0℃で攪拌した。攪拌後Na2S2O3(100.0mg)を加え室温に戻した。反応液からCHCl3で抽出、brineとNH4OH aqの混合溶液で洗浄後、有機層をNa2SO4で乾燥後ろ過し、濃縮して粗生成物(100.0mg)を得た。得られた粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH:NH4OH aq=100:1:0.1−10:1:0.1)で分離精製して、白色粉末EM903(98.40mg,90%)を得た。
EM903;
Rf=0.43(CHCl3:MeOH:NH4OH aq=10:1:0.2)
HR−MS m/z:690.4431[M+H]+,Calcd for C35H64NO12:690.4429[M+H]
Rf=0.43(CHCl3:MeOH:NH4OH aq=10:1:0.2)
HR−MS m/z:690.4431[M+H]+,Calcd for C35H64NO12:690.4429[M+H]
EM903(24.20mg,0.0350mmol)のCH3CN溶液(7.000mL)にAr雰囲気下i−Pr2NEt(61.00μL,0.3500mmol)、ビス(2−ブロモエチル)エーテル(44.00μL,0.3500mmol)を加え、80℃で20時間攪拌した。攪拌後i−Pr2NEt(61.00μL,0.3500mmol)、ビス(2−ブロモエチル)エーテル(44.00μL,0.3500mmol)を追加し、80℃で6時間攪拌した。攪拌後飽和Na2S2O3溶液(7.000mL)を加え、CHCl3で抽出、飽和Na2S2O3溶液、飽和NH4Cl溶液、brineで洗浄後、有機層をNa2SO4で乾燥後ろ過し、濃縮して粗生成物(36.50mg)を得た。得られた粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH:NH4OH aq=100:1:0.1−30:1:0.1)で分離精製して、白色粉末EM914(23.60mg,89%)を得た。
EM914;
Rf=0.44(CHCl3:MeOH:NH4OH aq=30:1:0.2)
HR−MS m/z:760.4885[M+H]+,Calcd for C39H70NO13:760.4847[M+H]
Rf=0.44(CHCl3:MeOH:NH4OH aq=30:1:0.2)
HR−MS m/z:760.4885[M+H]+,Calcd for C39H70NO13:760.4847[M+H]
[比較合成例2] デ(3’−N−メチル)−3’−N−(p−クロロベンジル)−デ(3−O−クラジノシル)−9−ジヒドロ−3−ケト−シュードエリスロマイシンA 6,9−エポキシド 12,13−カーボネート(EM939)の合成
EM939は、合成例1で製造したEM900を原料とし、特許文献3に記載の方法で合成した。詳細は以下の通りである。
EM939は、合成例1で製造したEM900を原料とし、特許文献3に記載の方法で合成した。詳細は以下の通りである。
EM900(5.004g,6.975mmol)のEtOAc溶液(69.80mL)にNaHCO3(8.790g,104.6mmol)を加え、CbzCl(ベンジルオキシカルボニルクロライド:14.93mL,104.6mmol)を滴下し、70℃まで昇温し2時間攪拌した。攪拌後、Et3Nを加え室温まで戻した。反応液からEtOAcで抽出、brineで洗浄後、有機層をNa2SO4で乾燥後ろ過し、濃縮して粗生成物7.000gを得た。得られた粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH:NH4OH aq=50:1:0.1)で分離精製して、白色粉末EM930(6.365g,94%)を得た。
EM930;
HR−MS m/z:994.5170[M+Na]+,Calcd for C52H77NO16Na:994.5140[M+Na]
HR−MS m/z:994.5170[M+Na]+,Calcd for C52H77NO16Na:994.5140[M+Na]
EM930(5.081g,5.230mmol)のCH3CN溶液(104.6mL)に1.0N HCl aq(52.30mL)を加え4時間攪拌した。攪拌後飽和NaHCO3溶液(400.0mL)を加え、CHCl3で抽出、brineで洗浄後、有機層をNa2SO4で乾燥後ろ過し、濃縮して粗生成物(4.312g)を得た。得られた粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH:NH4OH aq=50:1:0.1)で分離精製して、白色粉末EM931(4.028g,95%)を得た。
EM931;
HR−MS m/z:814.4384[M+H]+,Calcd for C44H64NO13:814.4378[M+H]
HR−MS m/z:814.4384[M+H]+,Calcd for C44H64NO13:814.4378[M+H]
EM931(2.027g,2.492mmol)のCH2Cl2溶液(49.80mL)をN2雰囲気下−78℃まで冷却し、ピリジン(2.420mL,29.90mmol)を加え、トリホスゲン(1.479g,4.984mmol)のCH2Cl2溶液(99.70mL)を滴下し、−78℃から室温まで昇温し0.5時間攪拌した。攪拌後飽和NH4Cl溶液(400.0mL)を加え、CH2Cl2で抽出、飽和NaHCO3溶液、brineで洗浄後、有機層をNa2SO4で乾燥後ろ過し、濃縮して粗生成物(1.900g)を得た。得られた粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH:NH4OH aq=100:1:0.1)で分離精製して、白色粉末EM936(1.882g,90%)を得た。
EM936;
HR−MS m/z:862.4000[M+Na]+,Calcd for C45H61NO14Na:862.3990[M+Na]
HR−MS m/z:862.4000[M+Na]+,Calcd for C45H61NO14Na:862.3990[M+Na]
EM936(1.718g,2.047mmol)のCH2Cl2溶液(40.80mL)にN2雰囲気下Dess−Martin periodinane(4.343g,10.24mmol)を加え、1.5時間攪拌した。攪拌後飽和Na2S2O3溶液(300.0mL)を加え、CHCl3で抽出、飽和Na2S2O3溶液、飽和NaHCO3溶液、brineで洗浄後、有機層をNa2SO4で乾燥後ろ過し、濃縮して粗生成物(1.700g)を得た。得られた粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH:NH4OH aq=50:1:0.1)で分離精製して、白色粉末EM937(1.668g,97%)を得た。
EM937;
HR−MS m/z:8386.4012[M+H]+,Calcd for C45H60NO14:838.4014[M+H]
HR−MS m/z:8386.4012[M+H]+,Calcd for C45H60NO14:838.4014[M+H]
EM937(1.461g,1.745mmol)にN2雰囲気下Pd(OH)2(292.2mg)、EtOH(34.90mL)を加え、H2雰囲気下室温で3時間攪拌した。攪拌後N2雰囲気下Pd(OH)2(292.2mg)を追加しH2雰囲気下室温で2.5時間攪拌した。さらに攪拌後N2雰囲気下Pd(OH)2(146.1mg)を追加しH2雰囲気下室温で1時間攪拌した。ろ過、濃縮し粗生成物(1.302g)を得た。得られた粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH:NH4OH aq=50:1:0.1−30:1:0.1)で分離精製して、白色粉末EM938(967.3mg,97%)を得た。
EM938;
HR−MS m/z:570.3307[M+H]+,Calcd for C29H48NO10:570.3278[M+H]
HR−MS m/z:570.3307[M+H]+,Calcd for C29H48NO10:570.3278[M+H]
EM938(303.4mg,0.533mmol)のCHCl3溶液(5.330mL)にi−Pr2NEt(928.4μL,5.330mmol)、p−ClBnBr(1.095g,5.330mmol)を加え、N2雰囲気下、室温で2時間攪拌した。攪拌後飽和Na2S2O3溶液(50.00mL)を加え、CHCl3で抽出、飽和Na2S2O3溶液、飽和NH4Cl溶液、brineで洗浄後、有機層をNa2SO4で乾燥後ろ過し、濃縮して粗生成物(350.1mg)を得た。得られた粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH:NH4OH aq=100:1:0.1)で分離精製して、白色粉末EM939(342.5mg,93%)を得た。
EM939;
HR−MS m/z:694.3353[M+H]+,Calcd for C36H53NO10Cl:694.3358[M+H]
HR−MS m/z:694.3353[M+H]+,Calcd for C36H53NO10Cl:694.3358[M+H]
[実施例1]
ヒトの鼻茸から分離培養した線維芽細胞の細胞増殖に対する、EM900及びEM905の影響を調べた。線維芽細胞は一定のATPを有しており、ATP量から線維芽細胞の数(すなわち、細胞野増殖性)を評価した。
ヒトの鼻茸から分離培養した線維芽細胞の細胞増殖に対する、EM900及びEM905の影響を調べた。線維芽細胞は一定のATPを有しており、ATP量から線維芽細胞の数(すなわち、細胞野増殖性)を評価した。
<線維芽細胞の調製>
線維芽細胞は手術時に摘出した鼻茸から分離培養した。鼻茸を1mm3以下に切り、PBS(リン酸生理食塩水)にて1回、10%FBS(ウシ胎児血清)、ペニシリン(100 U/mL)、ストレプトマイシン(100μg/mL)、アンホテリシンB(2.5mg/mL)添加Dulbeco’s Modified Eagle Medium(D’MEM)(SIGMA社製)培養液にて2回洗浄した後、数切片をビ−カ−に入れ、0.1%のコラゲナ−ゼtype2(Worthington社製)入りHanks’ Balanced Salt Solution(HBSS)(GIBCO社製)30mLでスタ−ラ−を使用して3時間撹拌した。次いで、遠心器(3000rpm、5分間)で分離して遠枕させた細胞に、培養液を10mL加え浮遊させた。同様の操作を4回繰り返し、75cm2のフラスコ(IWAKI社製)で、37℃、5容量%CO2下、細胞培養を開始した。数週間培養した後に、75cm2のフラスコは線維芽細胞でほぼ満ちた。その後トリプシン処理で継代を変え、実験には第3継代の線維芽細胞を使用した。
線維芽細胞は手術時に摘出した鼻茸から分離培養した。鼻茸を1mm3以下に切り、PBS(リン酸生理食塩水)にて1回、10%FBS(ウシ胎児血清)、ペニシリン(100 U/mL)、ストレプトマイシン(100μg/mL)、アンホテリシンB(2.5mg/mL)添加Dulbeco’s Modified Eagle Medium(D’MEM)(SIGMA社製)培養液にて2回洗浄した後、数切片をビ−カ−に入れ、0.1%のコラゲナ−ゼtype2(Worthington社製)入りHanks’ Balanced Salt Solution(HBSS)(GIBCO社製)30mLでスタ−ラ−を使用して3時間撹拌した。次いで、遠心器(3000rpm、5分間)で分離して遠枕させた細胞に、培養液を10mL加え浮遊させた。同様の操作を4回繰り返し、75cm2のフラスコ(IWAKI社製)で、37℃、5容量%CO2下、細胞培養を開始した。数週間培養した後に、75cm2のフラスコは線維芽細胞でほぼ満ちた。その後トリプシン処理で継代を変え、実験には第3継代の線維芽細胞を使用した。
<細胞増殖活性の測定>
24穴プレート(FALCON社製)の各ウェルに、線維芽細胞を5×104個/mLの濃度で培養液1mLを入れ、37℃、5容量%CO2下、24時間培養した(n=4)。培養後、DMSO(ジメチルスルホキシド)に溶解させた各薬物[EM900、EM905、EM914、EM939、clarithromycin(CAM)、erythromycin(EM)、ampicillin(AMPC)]を、最終濃度が各濃度(25μM、50μM、100μM)になるように培養液に添加した。コントロ−ル(vehicle)には、DMSOのみを一定量培養液に添加した。48時間培養した後に、各ウェルの細胞に対してATPlite Assay(PerkinElmer社製)を行い、ATP量から線維芽細胞の細胞数の変化を評価した。各ウェルのATP量は、1−way ANOVAの分散分析の後、Dunnett’sの多重比較検定を行った。
24穴プレート(FALCON社製)の各ウェルに、線維芽細胞を5×104個/mLの濃度で培養液1mLを入れ、37℃、5容量%CO2下、24時間培養した(n=4)。培養後、DMSO(ジメチルスルホキシド)に溶解させた各薬物[EM900、EM905、EM914、EM939、clarithromycin(CAM)、erythromycin(EM)、ampicillin(AMPC)]を、最終濃度が各濃度(25μM、50μM、100μM)になるように培養液に添加した。コントロ−ル(vehicle)には、DMSOのみを一定量培養液に添加した。48時間培養した後に、各ウェルの細胞に対してATPlite Assay(PerkinElmer社製)を行い、ATP量から線維芽細胞の細胞数の変化を評価した。各ウェルのATP量は、1−way ANOVAの分散分析の後、Dunnett’sの多重比較検定を行った。
コントロ−ル(vehicle)の細胞数(ATP量)を100%とし、各薬物処理群の相対細胞数(%)の算出結果を図1に示す。図1(a)は薬物濃度25μMのときの結果を、図1(b)は薬物濃度50μMのときの結果を、図1(c)は薬物濃度100μMのときの結果を、それぞれ示す。各薬物25μMの濃度では、EM905はvehicleと比較して有意にATP量 (線維芽細胞数) の低下を認めた(p<0.0001)が、ほかの薬物(EM900、EM914、EM939、CAM、EM、AMPC)ではATP量は低下しなかった(図1(a))。各薬物50μMの濃度では、vehicleと比較してEM900(p<0.01)とEM905(p<0.0001)では有意にATP量の低下を認めた(図1(b))。各薬物100μMの濃度では、vehicleと比較してEM900(p<0.0001)、EM905(p<0.0001)、及びCAM(p<0.05)は、有意にATP量の低下を認めた(図1(c))。すなわち、EM900とEM905は、公知のマクロライド系抗生物質CAMよりも細胞増殖抑制作用が強いことが確認された。
[実施例2]
実施例1と同様にして調製したヒト鼻茸由来線維芽細胞のアポトーシスに対する、EM900及びEM905の影響を調べた。
実施例1と同様にして調製したヒト鼻茸由来線維芽細胞のアポトーシスに対する、EM900及びEM905の影響を調べた。
24穴プレート(FALCON社製)の各ウェルに、線維芽細胞を5×104個/mLの濃度で培養液1mLを入れ、37℃、5容量%CO2下、24時間培養した(n=4)。培養後、DMSO(ジメチルスルホキシド)に溶解させた各薬物[EM900、EM905、EM914、EM939、clarithromycin(CAM)、erythromycin(EM)、ampicillin(AMPC)]を、最終濃度が各濃度(25μM、50μM、100μM)になるように培養液に添加した。コントロ−ル(vehicle)には、DMSOのみを一定量培養液に添加した。48時間培養した後に、各ウェルの細胞に対してCaspase−Glo(登録商標)3/7 Assay(Promega社製)を行い、線維芽細胞のCaspase−3/7活性を評価した。各ウェルのCaspase活性値は、1−way ANOVAの分散分析の後、Dunnett’sの多重比較検定を行った。
コントロ−ル(vehicle)のCaspase活性値を100%とし、各薬物処理群の相対Caspase活性値(%)の算出結果を図2に示す。図2(a)は薬物濃度25μMのときの結果を、図2(b)は薬物濃度50μMのときの結果を、図2(c)は薬物濃度100μMのときの結果を、それぞれ示す。各薬物25μMの濃度では、EM905はvehicleと比較して有意にCaspase−3/7活性の上昇(アポト−シス誘導)を認めた (p<0.0001)が、ほかの薬物(EM900、EM914、EM939、CAM、EM、AMPC)では誘導しなかった(図2(a))。各薬物50μMの濃度では、vehicleと比較してEM905(p<0.0001)では有意にCaspase−3/7活性の上昇を認めた(図2(b))。各薬物100μMの濃度では、vehicleと比較してEM900(p<0.001)及びEM905(p<0.0001)は、有意にCaspase−3/7活性の上昇の低下を認めた(図2(c))。すなわち、EM900とEM905は、ヒト鼻茸由来線維芽細胞に対するアポトーシス誘導活性を有することが確認された。
Claims (3)
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| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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| JP2015049519A JP2016169178A (ja) | 2015-03-12 | 2015-03-12 | 慢性鼻副鼻腔炎治療剤 |
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|---|---|
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ID=56983222
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| JP2015049519A Pending JP2016169178A (ja) | 2015-03-12 | 2015-03-12 | 慢性鼻副鼻腔炎治療剤 |
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-
2015
- 2015-03-12 JP JP2015049519A patent/JP2016169178A/ja active Pending
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