JP2016176501A - 車輪駆動装置 - Google Patents

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Saori Sugiura
早織 杉浦
山本 哲也
Tetsuya Yamamoto
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Abstract

【課題】 モータ部や減速機それぞれに冷却や潤滑に必要な油量を供給することで、潤滑不良等を防ぐ車輪駆動装置を提供する。【解決手段】 モータ回転軸24aを有するモータ部Aと、モータ回転軸24aの回転を減速して出力する減速機Bと、モータ部Aと減速機Bを収容するケーシング22と、ケーシング22に設けたオイルタンク41と、オイルタンク41から潤滑油を吸引し、潤滑油をモータ部Aと減速機Bに供給してモータ部Aと減速機Bの潤滑と冷却を行うオイルポンプ42とを有し、減速機Bの出力により車輪を駆動する車輪駆動装置であって、オイルポンプ42の吐出口と連なる吐出通路48と、モータ部Aのケーシングの内側に沿って延びるモータケーシング給油通路43aと、減速機Bのケーシングの内側に沿って延びる減速機ケーシング給油通路50とを有し、モータケーシング給油通路43aと減速機ケーシング給油通路50は、油量調整手段51を介して吐出通路48に接続されている。【選択図】 図1

Description

この発明は、車輪駆動装置、詳しくは、電気自動車の車輪駆動装置の潤滑構造に関する。
電動モータを駆動源とし、電動モータの回転を減速機により減速して駆動車輪を回転させる車輪駆動装置には、減速機の出力軸の回転を、出力軸上に設けられたハブ輪に伝達して、ハブ輪に支持された駆動車輪を駆動するようにしたインホイールモータ方式と、上記減速機の出力軸にジョイントを介して駆動軸を接続し、駆動軸の回転をハブ輪に伝達して駆動車輪を駆動するオンボード方式とがある。
インホイールモータ方式の構造について説明する。図13は、従来のインホイールモータ駆動装置の縦断正面図である。インホイールモータ駆動装置121は、図13に示すように、駆動力を発生させるモータ部Aと、モータ部Aの回転を減速して出力する減速機Bと、減速機Bからの出力を駆動輪に伝える車輪ハブCとを備える。
上記モータ部Aおよび減速機Bは、ケーシング122内に収容されている。ケーシング122は、モータ部A側のケーシング122aと、減速機B側のケーシング122bとに、仕切壁122cによって仕切られている。
モータ部Aは、ケーシング122aの内周面にステータ123を設け、このステータ123の内周に間隔をおいてロータ124を設けたラジアルギャップタイプのものを使用している。
ロータ124は、モータ軸124aを中心部に有し、そのモータ軸124aは減速機Bの入力軸130と接続して減速機Bのケーシング122b内に挿入され、軸受125a、125bによってケーシング122aに対して回転自在に支持されている。
減速機Bのケーシング122bには、下部に潤滑油のオイルタンク141が設けられ、オイルタンク141内の潤滑油をオイルポンプ142によって吸い込み、モータ部Aと減速機Bに潤滑油を分配し、潤滑と冷却を行っている(特許文献1)。
潤滑油をモータ部Aおよび減速機Bの内部に供給する給油通路は、モータ部Aの回転を減速する減速機Bの出力回転を利用して駆動されるオイルポンプ142の吐出口からケーシング122aの外径部の内側に沿って後方へと延びる外径部流路143aと、リアカバー122dに設けられたリアカバー流路143bと、モータ軸124aの内部通路144と、減速機Bの入力軸130の内部通路145を経て、減速機Bのケーシング122b内に至る通路、モータ軸124aの内部通路144に設けられた半径方向の油孔144aからモータ部Aのケーシング122a内、入力軸130に設けられた半径方向の油孔130aから減速機Bのケーシング122b内へと導かれ、減速機Bのケーシング122bの下方のオイルタンク141からオイルポンプ142の吸入口に至る吸込通路146とにより構成される、いわゆる軸心給油方式が採用されている。
そして、モータ部Aのケーシング122a内に飛散した潤滑油は、各部を冷却および潤滑を行った後、ケーシング122a内壁をつたって下部に集まり、連通孔147よりオイルタンク141に還流する。
また、減速機Bのケーシング122b内に飛散した潤滑油は、各部を潤滑および冷却を行った後、ケーシング122b内壁をつたって下部に集まり、ケーシング122bの下部に設けられた排出口149よりオイルタンク141に還流する。
ところで、オイルポンプ142としては、モータ部Aや減速機Bの出力回転を利用して駆動する、例えば、サイクロイドポンプを使用するものがある(特許文献1参照)。図13の例では、オイルポンプ142を減速機Bの出力回転によって駆動している。
この内部の回転力によって駆動するオイルポンプ142を使用する場合、外部からの駆動力(電源等)を必要としないメリットがある。
特開2006−240429号公報
電気自動車の走行状況によりモータ部や減速機それぞれで冷却や潤滑に必要な油量は異なる。上記したオイルポンプを用いた潤滑油の供給では、モータ部や減速機の出力回転数に依存した潤滑油が供給されるので、モータ部や減速機に供給される潤滑油の供給量が最適ではない場合がある。特に、低速時には、オイルポンプの回転数が低く、減速機への供給油量が少なくなり、潤滑油の必要な箇所に供給が難しく、潤滑不良を起こす懸念がある。
そこで、この発明は、モータ部や減速機それぞれに冷却や潤滑に必要な油量を供給することで、潤滑不良等の不具合を防ぐ車輪駆動装置を提供しようとするものである。
上記の課題を解決するため、この発明においては、回転を出力するモータ回転軸を有するモータ部と、モータ回転軸の回転を減速して出力する減速機と、前記モータ部と減速機を収容するケーシングと、このケーシングに設けたオイルタンクと、前記オイルタンクから潤滑油を吸引し、潤滑油をモータ部と減速機に供給してモータ部と減速機の潤滑と冷却を行うオイルポンプとを有し、前記減速機の出力により車輪を駆動する車輪駆動装置であって、前記オイルポンプの吐出口と連なる吐出通路と、前記モータ部のケーシングの内側に沿って延びるモータケーシング給油通路と、前記減速機のケーシングの内側に沿って延びる減速機ケーシング給油通路とを有し、前記モータケーシング給油通路と減速機ケーシング給油通路は、油量調整手段を介して吐出通路に接続されていることを特徴とする。
前記オイルポンプは、前記モータ部の回転又は減速機の回転により駆動されるように構成することができる。
前記油量調整手段は、前記吐出通路に三方弁からなる分配油量調整弁と、この分圧調整弁を駆動する駆動手段と、この駆動手段を制御する制御手段とを有し、前記分配油量調整弁を介してモータケーシング給油通路と減速機ケーシング給油通路とが接続され、前記制御手段が前記駆動手段を駆動させ、前記分配油量調整弁の開閉方向、開閉度合を制御し、前記モータケーシング給油通路と減速機ケーシング給油通路に流れる潤滑油の油量が調整するように構成できる。
また、走行状態を検出する検出手段を有し、前記制御手段は、検出手段の出力に対応して、前記分配油量調整弁の開閉方向、開閉度合を制御し、前記モータケーシング給油通路
と減速機ケーシング給油通路に流れる潤滑油の油量を調整すればよい。
また、前記制御手段は、前記モータケーシング給油通路を閉じ、前記減速機ケーシング給油通路を開放した状態、前記モータケーシング給油通路を開放し、減速機ケーシング給油通路を閉じた状態を、前記検出手段の出力に応じて選択すればよい。
また、前記制御手段は、モータ部と減速機とに分配される潤滑油の油量が等しくなる状態、モータ部と減速機とに分配される潤滑油の油量をモータ部の方が多くなる状態を前記検出手段の出力に応じて選択すればよい。
前記分配油量調整弁の初期位置として、前記モータケーシング給油通路を開放し、減速機ケーシング給油通路を閉じた状態に設定すればよい。
この発明に係る車両駆動装置においては、モータケーシング給油通路と減速機ケーシング給油通路は、油量調整手段を介して吐出通路に接続されているので、油量調整手段により、それぞれに最適な冷却や潤滑に必要な油量を供給することができ、潤滑不良等の不具合を防ぐことができる。
この発明の実施形態に係る車両駆動装置としてのインホイールモータ駆動装置の縦断正面図である。 減速機の拡大縦断正面図である。 図1のIII−III線に沿った縦断側面図である。 オイルポンプの拡大図である。 この実施形態の油量調整手段を示す模式図である。 この実施形態の油量調整手段における潤滑油の分配例を示す説明図である。 この実施形態の油量調整手段の駆動機構の一例を示す模式図である。 この発明の制御ブロック図である。 この発明の制御動作を示すフロー図である。 この発明の制御動作を示すフロー図である。 図1のインホイールモータ駆動装置を有する電気自動車の概略平面図である。 図11の電気自動車を後方から見た図である。 従来例を示す縦断正面図である。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
この発明の一実施形態に係るインホイールモータ駆動装置からなる車両駆動装置を備えた電気自動車11は、図11に示すように、シャーシ12と、操舵輪としての前輪13と、駆動輪(後輪)14と、左右の駆動輪14それぞれに駆動力を伝達するインホイールモータ駆動装置21とを備える。駆動輪14は、図12に示すように、シャーシ12のホイールハウジング12aの内部に収容され、懸架装置(サスペンション)12bを介してシャーシ12の下部に固定されている。インホイールモータ駆動装置21の搭載形態としては、図11、図12で示した後輪駆動方式の他に、前輪駆動方式でも四輪駆動方式のいずれでも構わない。
懸架装置12bは、左右に伸びるサスペンションアームによって駆動輪14を支持すると共に、コイルスプリングとショックアブソーバとを含むストラットによって、駆動輪1
4が地面から受ける振動を吸収してシャーシ12の振動を抑制する。さらに、左右のサスペンションアームの連結部分には、旋回時等に車体の傾きを抑制するスタビライザが設けられる。なお、懸架装置12bは、路面の凹凸に対する追従性を向上し、駆動輪の駆動力を効率良く路面に伝達するために、左右の車輪を独立して上下させることができる独立懸架式とするのが望ましい。
この電気自動車11は、ホイールハウジング12a内部に、左右の駆動輪14をそれぞれ駆動するインホイールモータ駆動装置21を設けることによって、シャーシ12上にモータ、ドライブシャフト、およびデファレンシャルギヤ機構等を設ける必要がなくなるので、客室スペースを広く確保でき、かつ、左右の駆動輪の回転をそれぞれ制御することができるという利点を備えている。
図11、図12に示すように、駆動輪14は、ホイール14aの内部にインホイールモータ駆動装置21が設けられ、ホイール14aにタイヤ14bが装着されている。また、前輪13は、ホイール13aにタイヤ13bが装着されている。
インホイールモータ駆動装置21は、図1に示すように、駆動力を発生させるモータ部Aと、モータ部Aの回転を減速して出力する減速機Bと、減速機Bからの出力を駆動輪14(図11および図12参照)に伝える車輪ハブCとを備え、モータ部Aと減速機Bとはケーシング22に収納されて、図12に示すように電気自動車11のホイールハウジング12a内に取り付けられる。上記モータ部Aおよび減速機Bは、ケーシング22内に収容されている。
車輪ハブCは、出力軸33に固定連結されたホイール14a(図11および図12参照)を取付ける車輪取付けフランジ部84を有する。
上記モータ部Aおよび減速機Bは、ケーシング22内に収容されている。ケーシング22は、モータ部A側のケーシング22aと、減速機B側のケーシング22bと、ケーシング22aと22bを仕切る仕切壁22cと、このケーシング22の後面に装着されるリアカバー22dとによって形成されている。
仕切壁22cの中心にはモータ部Aのモータ回転軸24aを挿通する貫通部が形成されている。減速機B側のケーシング22bの前方壁には、出力軸33を挿通する貫通部が形成されている。この減速機B側のケーシング22bの前方壁に設けられた貫通部と出力軸33との間にシール90を設け、車輪ハブC内に減速機B内の潤滑油の漏れ出しを防止している。モータ部Aの仕切壁22cには、オイルポンプ42が設けられている。
モータ部Aは、ケーシング22aの内周面にステータ23を設け、このステータ23の内周に間隔をおいてロータ24を設けたラジアルギャップタイプのものを使用している。
ロータ24は、モータ回転軸24aを中心部に有し、そのモータ回転軸24aは減速機Bの入力軸30と接続して減速機Bのケーシング22b内に挿入され、軸受25a、25bによってケーシング22に対して回転自在に支持されている。
減速機Bのケーシング22bには、下部に潤滑油のオイルタンク41が設けられ、オイルタンク41内の潤滑油を吸込通路46を経てオイルポンプ42によって吸い込み、モータ部Aと減速機Bに潤滑油を供給し、潤滑と冷却を行っている。
インホイールモータ駆動装置21の潤滑油路は、オイルポンプ42の吐出口から吐出通路48を経てケーシング22aの内側に沿って後方(車輪ハブCより遠ざかる方向)へと
延びる外径部のモータケーシング給油通路43aと、ケーシング22aの背面のリアカバー22dに設けられたリアカバー通路43bと、モータ回転軸24aの内部通路44と、減速機Bの入力軸30の内部通路45と、減速機Bのケーシング22bの下部に設けた排出口49と、減速機Bのケーシング22bの底部の下方のオイルタンク41の吐出口46aからオイルポンプ42の吸入口に至る吸込通路46と、により主に構成される。また、この実施形態においては、ケーシング22bの内側に沿って前方(車輪ハブCに近づく方向)へ延びる外径部の減速機ケーシング給油通路50から減速機Bに至る潤滑油路を更に備える。モータケーシング給油通路43aと減速機ケーシング給油通路50は、油量調整手段51を介して吐出通路48に接続されている。この油量調整手段51にて、モータケーシング給油通路43aと減速機ケーシング給油通路50通路に流れる潤滑油の油量を調整する
油量調整手段51は、図5に示すように、三方弁からなる分配油量調整弁51bとこの分配調整弁51bを駆動する駆動モータ51aからなり、吐出通路48に三方弁からなる分配油量調整弁51bを介してモータケーシング給油通路43aと減速機ケーシング給油通路50とが接続され、駆動モータ51aの駆動により分配油量調整弁51bの開閉方向、開閉度合いが制御され、モータケーシング給油通路43aと減速機ケーシング給油通路50に流れる潤滑油の油量が調整される。
油量調整手段51は、この実施形態は、図5及び図7に示すように、分配油量調整弁51bの回転軸51dに装着されたギア51cと、このギア51cと噛み合うピニオンギア51eと、このピニオンギア51eをモータ軸51fに取り付けた駆動モータ51aを有する。この駆動モータ51aは、可逆方向回転式のシンクロナスモータを用い、駆動モータ51aを動作させてピニオンギア51eを正転又は逆転させることにより、ギア51cを正転又は逆転させて、分配油量調整弁51bの開閉方向、開閉度合いが制御される。この駆動モータ51aは、後述する制御装置100により駆動制御される。この制御装置100は、分配油量調整弁51bの開閉方向、開閉度合いに応じて、駆動モータ51aへ与える回転数、回転方向を算出して制御する。
図6、図7に従い、モータケーシング給油通路43aと減速機ケーシング給油通路50に流れる潤滑油の分配油量の例につき説明する。図6(a)は、モータ部Aと減速機Bとに分配される潤滑油の油量が等しくなるように、分配油量調整弁51bがモータケーシング給油通路43aと減速機ケーシング給油通路50の開放度合いが等しくなる位置まで、分配油量調整弁51bの回転軸51dを回転させるように、駆動モータ51aを駆動させている。
図6(b)は、モータケーシング給油通路43aを閉じ、減速機ケーシング給油通路50を開放し、減速機Bのみに潤滑油が供給されるように、分配油量調整弁51bの回転軸51dを回転させるように、駆動モータ51aを駆動させている。
図6(c)は、モータケーシング給油通路43aを開放し、減速機ケーシング給油通路50を閉じ、モータ部A側から潤滑油が供給されるように、分配油量調整弁51bの回転軸51dを回転させるように、駆動モータ51aを駆動させている。
図6(d)は、モータ部Aと減速機Bとに分配される潤滑油の油量をモータ部の方が多くなるように、分配油量調整弁51bがモータケーシング給油通路43aと減速機ケーシング給油通路50の開放度合いをモータ部Aが大きく減速機Bが少なく、例えば、モータ部A側を70%、減速機B側が30%になる位置まで、分配油量調整弁51bの回転軸51dを回転させるように、駆動モータ51aを駆動させている。
この実施形態では、駆動モータ51aが駆動しない状態、例えば、電源が供給されない状態では、図6(c)の状態になるように、分配油量調整弁51bの初期位置が調整されている。これは、駆動モータ51aが故障した場合にも、モータ部Aを介しての通常の流路である軸心給油が行えるようにして、モータ部Aと減速機Bに最適な分配量で潤滑油は供給されないが、潤滑油が供給されなくなることを防いでいる。
そして、オイルポンプ42によって供給され、分配油量調整弁51bを介してモータ側ケーシング給油通路43aを経て供給される潤滑油は、図1に示すように、モータ回転軸24aの内部通路44に設けられた半径方向の油孔44aから遠心力およびオイルポンプ42の圧力によって飛散し、飛沫となった潤滑油がモータ部Aのケーシング22a内に導かれる。モータ部Aのケーシング22a内に飛散した潤滑油は、各部を冷却および潤滑を行った後、ケーシング22a内壁をつたって下部に集まり、仕切壁22cに設けられた連通孔47よりオイルタンク41に還流する。
また、減速機Bの入力軸30の内部通路45にも半径方向に油孔45a、45bおよび先端に軸方向に油孔45cが設けられ、この油孔45a、45bおよび油孔45cから遠心力およびオイルポンプ42の圧力によって潤滑油が飛散し、減速機B内を潤滑及び冷却する、いわゆる軸心給油方式が採用されている。減速機Bのケーシング22b内に飛散した潤滑油は、各部を潤滑および冷却を行った後、ケーシング22b内壁をつたって下部に集まり、ケーシング22bの下部に設けられた排出口49よりオイルタンク41に還流する。
一方、オイルポンプ42によって供給され、分配油量調整弁51bを介して減速機ケーシング給油通路50へ送られる潤滑油は、減速機Bの上部からケーシング22b内に供給され、各部を潤滑および冷却を行った後、ケーシング22b内壁をつたって下部に集まり、ケーシング22bの下部に設けられた排出口49よりオイルタンク41に還流する。
この実施形態のオイルポンプ42は、図4に示すように、減速機Bの出力回転を利用して回転するインナーロータ72と、インナーロータ72の回転に伴って従動回転するアウターロータ73と、ポンプ室74と、オイルポンプ42の吸込通路46に連通する吸入口75と、オイルポンプ42の吐出通路48に連通する吐出口76とを備えるサイクロイドポンプである。
インナーロータ72は、外径面にサイクロイド曲線で構成される歯形を有する。具体的には、歯先部分72aの形状がエピサイクロイド曲線、歯溝部分72bの形状がハイポサイクロイド曲線となっている。このインナーロータ72は、減速機Bの出力軸33によって回転する。具体的には、出力軸33に接続されたポンプ駆動軸33cによってインナーロータ72が回転する。
アウターロータ73は、内径面にサイクロイド曲線で構成される歯形を有する。具体的には、歯先部分73aの形状がハイポサイクロイド曲線、歯溝部分73bの形状がエピサイクロイド曲線となっている。このアウターロータ73は、仕切壁22cに設けられたポンプケース77aに回転自在に支持されている。
インナーロータ72は、回転中心c1を中心として回転する。一方、アウターロータ73は、インナーロータの回転中心c1と異なる回転中心c2を中心として回転する。また、インナーロータ72の歯数をnとすると、アウターロータ73の歯数は(n+1)となる。なお、この実施形態においては、n=5としている。
インナーロータ72とアウターロータ73との間の空間には、複数のポンプ室74が設
けられている。そして、インナーロータ72が減速機Bの出力軸33の回転を利用して回転すると、アウターロータ73は従動回転する。このとき、インナーロータ72およびアウターロータ73はそれぞれ異なる回転中心c1、c2を中心として回転するので、ポンプ室74の容積は連続的に変化する。これにより、吸入口75から流入した潤滑油が吐出口76から吐出通路48に圧送される。
サイクロイド式の減速機Bは、図1〜図3に示すように、入力軸30に設けられた偏心軸部30a、30bによって2枚の曲線板31を回転自在に支持し、それらの曲線板31の外周に形成された波形歯形31aを減速機Bのケーシング22bの内側に配設された外ピン32に噛合し(図3参照)、上記入力軸30の回転により曲線板31を偏心揺動運動させ、その曲線板31の自転を入力軸30と同軸上に配置された出力軸33から出力し、車輪ハブCを回転させている。
減速機Bのケーシング22bの内側に配設された外ピン32の数は、曲線板31の外周の波形歯形31aより多い。
外ピン32は、図1及び図2に示すように、減速機Bのケーシング22bの内径面に隙間を介して位置する外ピンハウジング55に支持されている。外ピンハウジング55は、減速機Bのケーシング22bに対してアウター側とインナー側に、フローティングボルト(図示省略)によってフローティング支持されている。
入力軸30は、図1及び図2に示すように、その一端部がスプライン嵌合(セレーション嵌合を含む。以下同じ)によりロータ24のモータ回転軸24aに接続されてモータ部Aにより回転駆動されるようになっており、その他端部に偏心軸部30a、30bが設けられている。
偏心軸部30a、30bは、図2に示すように、入力軸30の軸方向に一対設けられている。その一対の偏心軸部30a、30bは、円筒状外径面の中心が周方向に180°位相がずれるようにして設けられ、その一対の偏心軸部30a、30bのそれぞれの外径面に転がり軸受34が嵌合されている。
偏心軸部30a、30bには、油孔45a、45bが設けられ、この油孔45a、45bから入力軸30の内部通路45を通る潤滑油が飛散し、各部の転動面、摺動面を潤滑する。
一対の偏心軸部30a、30bを設けた入力軸30には、一対の偏心軸部30a、30bを挟むように一対のカウンタウェイト35を、周方向に180°位相をずらして設けている。
曲線板31は、図3に示すように、転がり軸受34によって入力軸30に回転自在に支持され、その外周に形成された波形歯形31aはトロコイド曲線歯形とされている。曲線板31には、回転軸心を中心とする一つの円上に複数のピン孔36が等間隔に形成され、軸方向に並ぶ一対のピン孔36のそれぞれに内ピン37が余裕をもって挿入され、その内ピン37に回転自在に支持された針状ころ軸受37aの外周一部がピン孔36の内周一部に接触している。
減速機Bは、図2に示すように、偏心軸部30a、30bに回転自在に保持される公転部材としての2枚の曲線板31と、曲線板31の外周部の波形歯形31aに係合する複数の外ピン32と、曲線板31の自転運動を出力する出力軸33(図1参照)と、2枚の曲線板31の隙間に取り付けられてこれら曲線板31の端面に当接して曲線板31の傾きを
防止するセンターカラー38とを備える。
図1に示すように、出力軸33は、フランジ部33aと軸部33bとを有する。フランジ部33aには、出力軸33の回転軸線を中心とする円周上に、内ピン37が等間隔に固定されている。軸部33bの外径面には、セレーション(またはスプライン)によりトルク伝達可能な状態で車輪ハブCが設けられている。図1および図2に示すように、複数の内ピン37を介しフランジ部33aとスタビライザ33dが連結され、出力軸33とスタビライザ33dは一体に回転する。スタビライザ33dのモータ部A側の端部には、オイルポンプ42のインナーロータ72に接続するポンプ駆動軸33cが設けられている。
外ピン32は、入力軸30の回転軸線の円周軌道上に等間隔に設けられる。そして、曲線板31が公転運動すると、外周の波形歯形31a(図3参照)と外ピン32とが係合して、曲線板31に自転運動を生じさせる。
図1および図2に示すように、出力軸33のフランジ部33aの内径面と入力軸30の外径面とは、転がり軸受91を介して相対的に回転可能に支持されている。
曲線板31は、出力軸33の対向するフランジ部33aおよびスタビライザ33dの間に組み込まれている。また、出力軸33の対向するフランジ部33aおよびスタビライザ33dには、組み込まれた曲線板31のピン孔36を貫通する内ピン37の両端が支持されている。
図2に示すように、出力軸33の対向するフランジ部33aおよびスタビライザ33dに支持された複数の内ピン37は、入力軸30の回転軸線を中心とする円周軌道上に等間隔に設けられ(図3参照)、曲線板31との摩擦抵抗を低減するために、2枚の曲線板31の各ピン孔36の内壁面に当接する位置に針状ころ軸受37aがそれぞれ設けられている。ピン孔36の内径寸法は、内ピン37の外径寸法(「針状ころ軸受37aを含む最大外径」を指す。以下同じ。)より所定分大きく設定されている。
車輪ハブCは、図1に示すように、出力軸33の軸部33bの外径面にセレーション(またはスプライン)によりトルク伝達可能な状態で嵌合連結された内輪部材81と、内輪部材81をケーシング22bに対して回転自在に保持する外輪部材82とを備える。内輪部材81と外輪部材82とは複列アンギュラ玉軸受を構成し、内輪部材81と外輪部材82の間に複列の転動体83を設置している。内輪部材81には、車輪取付けフランジ部84が一体に設けられている。
外ピン32は、ケーシング22bに直接保持されているわけではなく、図1及び図2に示すように、ケーシング22bの内径面にフローティング状態に支持された外ピンハウジング55に保持されている。外ピン32はその両端に転がり軸受32a(針状ころ軸受)を有し、この転がり軸受32aを介して外ピンハウジング55に回転支持されている。
インホイールモータ駆動装置21においては、軽量化の観点からケーシング22は、アルミ合金やマグネシウム合金等の軽金属で形成し、高い強度が求められる外ピンハウジング55は、鋼で形成するのが望ましい。
また、サイクロイド式の減速機Bの潤滑は、オイルポンプ42から供給された潤滑油が、入力軸30の内部通路45を通り偏心軸部30a、30bおよび入力軸30の先端に設けた油孔45a、45b、45cから飛散し飛沫となって、また、外ピンハウジング55の内部に溜まった潤滑油が、曲線板31の回転で掻き上げられ飛沫となって、各部の転動面、摺動面を潤滑する。潤滑油は、モータ部Aと減速機B内の潤滑と冷却を行った後、減
速機Bのケーシング22bの排出口49と、減速機Bのケーシング22bとモータ部Aのケーシング22aとの間の仕切壁22cに設けられた連通孔47からオイルタンク41に排出される。更に、減速機ケーシング給油通路50から与えられる潤滑油が外ピンハウジング55の上部から外ピン32を回転支持する転がり軸受32aや各部の転動面、摺動面を潤滑し、減速機B内の潤滑と冷却を行った後、減速機Bのケーシング22bの排出口49からオイルタンク41に排出される。
上記構成のインホイールモータ駆動装置21のモータ部Aは、図1に示すように、例えば、ステータ23のコイルに交流電流を供給することによって生じる電磁力を受けて、永久磁石または磁性体によって構成されるロータ24が回転する。
これにより、ロータ24に接続されたモータ回転軸24aが回転すると、曲線板31はモータ回転軸24aの回転軸線を中心として公転運動する。このとき、外ピン32が、曲線板31の曲線形状の波形歯形と転がり接触するよう係合して、曲線板31をモータ回転軸24aの回転とは逆向きに自転運動させる。
曲線板31のピン孔36に挿通する内ピン37は、ピン孔36の内径よりも十分に細く、曲線板31の自転運動に伴ってピン孔36の内壁面と当接する。これにより、曲線板31の公転運動が内ピン37に伝わらず、曲線板31の自転運動のみが出力軸33を介して車輪ハブCに伝達される。
このとき、回転軸線と同軸に配置された出力軸33は、減速機Bの出力軸として曲線板31の自転を取り出し、モータ回転軸24aの回転が減速機Bによって減速されて出力軸33に伝達されるので、低トルク、高回転型のモータ部Aを採用した場合でも、駆動輪に必要なトルクを伝達することが可能となる。
このように、多段構成とすることなく大きな減速比を得ることができる減速機Bを採用することにより、コンパクトで高減速比のインホイールモータ駆動装置21を得ることができる。また、外ピン32を外ピンハウジング55に対して回転自在とし、内ピン37の曲線板31に当接する位置に針状ころ軸受37aを設けたことにより、摩擦抵抗が低減されるので、減速機Bの伝達効率が向上する。
前記の実施形態においては、減速機Bの曲線板31を180°位相を変えて2枚設けたが、この曲線板の枚数は任意に設定することができ、例えば、曲線板を3枚設ける場合は、120°位相を変えて設けるとよい。
また、前記の実施形態において、曲線板31を支持する転がり軸受34として円筒ころ軸受の例を示したが、これに限ることなく、例えば、すべり軸受、深溝玉軸受、円錐ころ軸受、針状ころ軸受、自動調心ころ軸受、アンギュラ玉軸受、4点接触玉軸受等、すべり軸受であるか転がり軸受であるかを問わず、転動体がころであるか玉であるかを問わず、さらには複列か単列かを問わず、あらゆる軸受を適用することができる。また、その他の場所に配置される軸受についても、同様に任意の形態の軸受を採用することができる。
次に、モータ部Aや減速機Bそれぞれで冷却や潤滑に必要な油量を供給するための油量調整手段51の制御動作につき、図8の制御ブロック図、図9及び図10の動作フロー図に従い説明する。
モータ部Aや減速機Bそれぞれで冷却や潤滑に必要な油量は、走行状態により異なる。通常走行状態、停止から走行開始時、登坂走行、渋滞走行、高速走行により異なる。
通常走行状態では、通常通路、すなわち、軸心給油で、冷却や潤滑を行えばよい。また、停止から走行開始時、登坂走行、渋滞走行では、オイルポンプ42の回転駆動数が少なくなるために、減速機Bへの油量が少なくなる。この状態では、減速機B側への潤滑油の供給を多くすることが望まれる。高速走行では、オイルポンプ42の回転駆動数が多くなるが、走行中に減速機Bの温度が上昇するので、このような状態では、減速機Bの温度を下げるために潤滑油の供給を多くすることが望まれる。そこで、この実施形態では、潤滑油の分配量をインホイールモータ駆動装置21の温度や回転数などの情報に基づいて、油量調整手段51の油量調整弁の開閉方向、開閉度合いを制御する。
図8に示すように、インホイールモータ駆動装置21の温度や回転数などの情報を得るために、モータ部Aの回転数を検出する回転センサ102、モータ部Aのトルクを検出するトルクセンサ103、モータ部Aの温度を検出するモータ温度センサ104、減速機Bの温度を検出する減速機温度センサ105、ブレーキペダルの踏み込みを検出するブレーキセンサ106の各出力が制御装置100に与えられる。制御装置100は与えられた各センサからの出力を記憶装置101に格納する。制御装置100は、自動車全般の協調制御、統括制御を行うメインの制御手段であり、一般的にECUと略称されている。
制御装置100は、各センサからの出力に基づいて、走行状態を判断し、潤滑油の分配量を求め、その分配量に応じて油量調整手段51の駆動モータ51aを駆動するモータ駆動回路107を制御する。モータ駆動回路107は、制御装置100の出力に応じて、駆動モータ51aを所定の正転又は逆転させ、分配油量調整弁51bを所望の開閉方向、開閉度合いに設定する。
次に、図9の動作フロー図に従い、制御装置100の制御動作につき説明する。制御装置100は、まず車両が駆動しているか否か判断する(ステップS1)。車両が駆動していないと判断すると、ステップS11に進み、通常の流路である図6の(c)の状態に戻す。すなわち、モータケーシング給油通路43aを開放し、減速機ケーシング給油通路50を閉じ、モータ部A側からの軸心給油により潤滑油が供給されるように、分配油量調整弁51bを調整する。制御装置100は、モータ駆動回路107を制御し、駆動モータ51aを駆動し、分配油量調整弁51bが図6の(c)の状態になるまで分配油量調整弁51bの回転軸51dを回転させる。そして、待機状態となる。
ステップS1において、車両が駆動していると制御装置100が判断すると、ステップS2に進み、制御装置100は、起動からの経過時間を判断し、経過時間が60秒以内か否か判断する。起動から60秒以内であれば、停止した状態から走行を開始した直後であり、オイルポンプ42の回転駆動数は少なく、減速機Bへの潤滑油の供給が少ない。そこで、潤滑油を減速機B側へ積極的に供給するように、制御装置100は、油量調整手段51を制御して、分配油量調整弁51bが図6(b)の状態になるように、モータ駆動回路107を制御する。すなわち、制御装置100は、モータケーシング給油通路43aを閉じ、減速機ケーシング給油通路50を開放し、減速機Bのみに潤滑油が供給されるように、分配油量調整弁51bの回転軸51dを回転させるように、駆動モータ51aを駆動させるように制御する(ステップS3)。そして、制御装置100は、10秒間この状態を維持した後、ステップS4に進む。この10秒間は一例であり、減速機B、オイルポンプ42の性能等により適宜決定される。
また、ステップS2において、起動から60秒を経過していると制御装置100が判断すると、ステップS4に進む。ステップS4においては、走行速度が一定以下であるか否かを判断するために、モータ回転数が一定以下か否かを回転センサ102の出力により制御装置100が判断する。モータ回転数が一定以下である場合にはステップS5に進み、モータ回転数が一定数を超えるとステップS9に進む。
モータ回転数が一定以下である場合には、ステップS5において、登板走行であるか否かを判断するために、制御装置100は、トルクセンサ103により、モータトルクが一定以上か否かを判断する。制御装置100はモータトルクが一定以上であると判断すると、ステップS6へ進む。モータトルクが一定未満であるとステップS9に進む。
ステップS6においては、制御装置100は、モータ部Aの温度と減速機Bの温度をモータ温度センサ104と減速機温度センサ105の出力により比較し、減速機Bの温度がモータ部Aの温度より高いか否か判断する。減速機Bの温度が高い場合には、ステップS7へ進み、減速機Bの温度が低い場合には、ステップS8に進む。
ステップS7においては、減速機B側の温度が高いので、積極的に潤滑油を減速機B側へ供給するために、制御装置100は、油量調整手段51を制御して、図6(b)の状態になるように、モータ駆動回路107を制御する。すなわち、制御装置100は、モータケーシング給油通路43aを閉じ、減速機ケーシング給油通路50を開放し、減速機Bのみに潤滑油を供給するように制御する。このため制御装置100は、モータケーシング給油通路43aを閉じ、減速機ケーシング給油通路50を開放するために、分配油量調整弁51bの回転軸51dを回転させるように、モータ駆動回路107を制御し、駆動モータ51aを駆動させる。そして、制御装置100は、60秒間この状態を維持した後、ステップS11に進む。この60秒間は一例であり、減速機B、オイルポンプ42の性能等により適宜決定される。
一方、ステップS8において、モータ部Aの温度が高い場合には、図6(d)の状態になるように、分配油量調整弁51bがモータケーシング給油通路43aと減速機ケーシング給油通路50の開放度合いをモータ部Aが大きく減速機Bが少なく、例えば、モータ部A側を70%、減速機B側が30%になる位置まで、制御装置100は、分配油量調整弁51bの回転軸51dを回転させるように、モータ駆動回路107を制御して、駆動モータ51aを駆動させる。そして、制御装置100は、60秒間この状態を維持した後、ステップS11に進む。この60秒間は一例であり、減速機B、オイルポンプ42の性能等により適宜決定される。また、潤滑油の分配度合いは、7:3に限らず、6:4など適宜選択すればよい。
ステップS11においては、通常の流路、すなわち、図6(c)の状態に戻す。すなわち、モータケーシング給油通路43aを開放し、減速機ケーシング給油通路50を閉じ、モータ部A側から潤滑油が供給されるように、制御装置100は、モータ駆動回路107を制御して、駆動モータ51aを駆動し分配油量調整弁51bの回転軸51dを回転させる。そして、ステップS12に進む。ステップS12では、車両が停止、すなわち、インホイールモータ駆動装置21が停止したか否か判断され、停止していない場合にはステップS1に戻り、前述の動作を繰り返す。停止した場合には、動作を終了する。
また、ステップS4において、モータ回転数が一定以上であると判断されると、ステップS9に進み、直前の状態により、減速機B側へ潤滑油の供給が少なくなる状態であるか否か判断する。このため、制御装置100は、直前数分前のブレーキの使用頻度が例えば1分回に5回以上或いは、平均車速が20km/h以下であると判断すると、減速機B側へ潤滑油の供給が少なくなる状態と判断し、ステップS10に進む。一方、制御装置100は、直前数分前のブレーキの使用頻度が例えば1分回に5回未満、そして、平均車速が20km/hを超えていると判断すると、ステップS11に進む。
ステップS10においては、モータ部Aと減速機Bとに分配される潤滑油の油量が等しくなるように、図6(a)の状態にする。すなわち、分配油量調整弁51bがモータケー
シング給油通路43aと減速機ケーシング給油通路50の開放度合いが等しくなる位置まで、制御装置100は、モータ駆動回路107を制御して、駆動モータ51aを駆動し、分配油量調整弁51bの回転軸51dを回転させる。そして、制御装置100は、60秒間この状態を維持した後、ステップS11に進む。この60秒間は一例であり、減速機B、オイルポンプ42の性能等により適宜決定される。
このように、制御装置100は、各センサの出力に基づいて、走行状態を判断し、潤滑油の分配量を求め、その分配量に応じて油量調整手段51を制御し、モータ部A及び減速機Bにそれぞれ最適な状態で潤滑油を供給する。
次に、高速走行における制御装置100の制御動作を図10の動作フロー図に従い説明する。制御装置100は、回転センサ102の出力により、車速が80km/h以上で連続20分経過するか否か判断する(ステップS21)。ステップS21において、車速が80km/h以上で連続20分経過していると判断すると、ステップS22に進み、減速機温度センサ105の出力により、減速機Bの温度が一定以上であるか否か判断する。一定以上であると制御装置100が判断すると、ステップS23に進む。ステップS23において、減速機B側の温度が高いので、積極的に潤滑油を減速機側へ供給するために、制御装置100は、油量調整手段51を制御する。すなわち、制御装置100は、図6(b)の状態になるように、モータ駆動回路107を制御し、駆動モータ51aを駆動させ、分配油量調整弁51bの回転軸51dを回転させて、モータケーシング給油通路43aを閉じ、減速機ケーシング給油通路50を開放し、減速機Bのみに潤滑油を供給する。そして、制御装置100は、60秒間この状態を維持した後、ステップS24に進む。この60秒間は一例であり、減速機B、オイルポンプ42の性能等により適宜決定される。尚、図6(a)の状態、図6(d)の状態に制御するように構成してもよい。
ステップS21で車速が80km/h以上で連続20分経過していないと判断された場合はステップS24に進み、また、ステップS22において、減速機Bの温度が一定温度未満であると判断されると、ステップS24に進む。
ステップS24においては、通常の給油通路である図6(c)の状態に戻す。すなわち、モータケーシング給油通路43aを開放し、減速機ケーシング給油通路50を閉じ、モータ部A側から潤滑油が供給されるように、制御装置100は、モータ駆動回路107を制御して駆動モータ51aを駆動し、分配油量調整弁51bの回転軸51dを回転させる。そして、ステップS25に進む。ステップS25では、車両が停止、すなわち、インホイールモータ駆動装置21が停止したか否か判断され、停止していない場合にはステップS21に戻り、前述の動作を繰り返す。停止した場合には、動作を終了する。
このように、制御装置100は、各センサの出力に基づいて、高速走行状態においても最適な潤滑油の分配量を求め、その分配量に応じて油量調整手段51を制御し、モータ部A及び減速機Bにそれぞれ最適な状態で潤滑油を供給する。なお、図8〜図10は本機構を作動させるための一例であり、これ以外の制御構成および制御動作であっても良い。
前記の実施形態においては、モータ部Aに、ケーシング22aに固定されるステータ23と、ステータ23の内側に径方向の隙間を空けて対面する位置に配置されるロータ24とを備えるラジアルギャップモータを採用した例を示したが、これに限ることなく、任意の構成のモータを適用可能である。例えばステータとロータとが軸方向に開いた隙間を介して対向配置されるアキシアルギャップモータであってもよい。
また、前記の実施形態においては、オイルポンプ42は、減速機Bの出力回転を利用してインナーロータ72が回転する例を示したが、これに限ることなく、モータ部Aのロー
タ24の回転を利用してインナーロータが回転するオイルポンプであってもよい。
また、前記の実施形態においては、インホイールモータ方式にこの発明を適用した例につき説明したが、減速機の出力軸にジョイントを介して駆動軸を接続し、その駆動軸の回転をハブ輪に伝達して駆動車輪を駆動するオンボード方式にも、この発明を適用することができる。
さらに、この発明に係る電気自動車用駆動装置を搭載した電気自動車は、後輪を駆動輪としてもよく、また、前輪を駆動輪としてもよく、4輪駆動車であってもよい。なお、本明細書中で「電気自動車」とは、電力から駆動力を得る全ての自動車を含む概念であり、例えば、ハイブリッドカー等をも含むものとして理解すべきである。
また、上記の各実施形態においては、減速機Bにサイクロイド減速機構を採用したインホイールモータ駆動装置21の例を示したが、これに限ることなく、任意の減速機構を採用することができる。例えば、遊星歯車減速機構や平行軸歯車減速機構等が該当する。
11 :電気自動車
12 :シャーシ
12a :ホイールハウジング
12b :懸架装置
13 :前輪
14 :駆動輪
14a :ホイール
14b :タイヤ
21 :インホイールモータ駆動装置
22 :ケーシング
22a :ケーシング
22b :ケーシング
22c :仕切壁
22d :リアカバー
23 :ステータ
24 :ロータ
24a :モータ回転軸
25a :軸受
25b :軸受
30 :入力軸
30a :偏心軸部
30b :偏心軸部
31 :曲線板
31a :波形歯形
32 :外ピン
33 :出力軸
33a :フランジ部
33b :軸部
33c :ポンプ駆動軸
33d :スタビライザ
34 :転がり軸受
35 :カウンタウェイト
36 :ピン孔
37 :内ピン
37a :針状ころ軸受
38 :センターカラー
41 :オイルタンク
42 :オイルポンプ
43a :モータケーシング給油通路
43b :リアカバー通路
43c :給油通路
44 :内部通路
44a :油孔
45 :内部通路
45a :油孔
45b :油孔
45c :油孔
46 :吸込通路
47 :連通孔
48 :吐出通路
49 :排出口
50 :減速機ケーシング給油通路
51 :油量調整手段
51a :駆動モータ
51b :分配油量調整弁
51c :ギア
51d :回転軸
51e :ピニオンギア
51f :モータ軸
100 :制御装置
101 :記憶装置
102 :回転センサ
103 :トルクセンサ
104 :モータ温度センサ
105 :減速機温度センサ
106 :ブレーキセンサ
107 :モータ駆動回路
A :モータ部
B :減速機
C :車輪ハブ

Claims (7)

  1. 回転を出力するモータ回転軸を有するモータ部と、モータ回転軸の回転を減速して出力する減速機と、前記モータ部と減速機を収容するケーシングと、このケーシングに設けたオイルタンクと、前記オイルタンクから潤滑油を吸引し、潤滑油をモータ部と減速機に供給してモータ部と減速機の潤滑と冷却を行うオイルポンプとを有し、前記減速機の出力により車輪を駆動する車輪駆動装置であって、
    前記オイルポンプの吐出口と連なる吐出通路と、前記モータ部のケーシングの内側に沿って延びるモータケーシング給油通路と、前記減速機のケーシングの内側に沿って延びる減速機ケーシング給油通路とを有し、前記モータケーシング給油通路と減速機ケーシング給油通路は、潤滑油の油量を調整する油量調整手段を介して吐出通路に接続されていることを特徴とする車両駆動装置。
  2. 前記オイルポンプは、前記モータ部の回転又は減速機の回転により駆動されることを特徴とする請求項1に記載の車両駆動装置。
  3. 前記油量調整手段は、前記吐出通路に三方弁からなる分配油量調整弁と、この分圧調整弁を駆動する駆動手段と、この駆動手段を制御する制御手段とを有し、前記分配油量調整弁を介してモータケーシング給油通路と減速機ケーシング給油通路とが接続され、前記制御手段が前記駆動手段を駆動させ、前記分配油量調整弁の開閉方向、開閉度合を制御し、前記モータケーシング給油通路と減速機ケーシング給油通路に流れる潤滑油の油量が調整されることを特徴とする請求項1又は2記載の車両駆動装置。
  4. 走行状態を検出する検出手段を有し、前記制御手段は、検出手段の出力に対応して、前記分配油量調整弁の開閉方向、開閉度合を制御し、前記モータケーシング給油通路と減速機ケーシング給油通路に流れる潤滑油の油量を調整することを特徴とする請求項3に記載の車両駆動装置。
  5. 前記制御手段は、前記モータケーシング給油通路を閉じ、前記減速機ケーシング給油通路を開放した状態、前記モータケーシング給油通路を開放し、減速機ケーシング給油通路を閉じた状態を、前記検出手段の出力に応じて選択することを特徴とする請求項4に記載の車両駆動装置。
  6. 前記制御手段は、モータ部と減速機とに分配される潤滑油の油量が等しくなる状態、モータ部と減速機とに分配される潤滑油の油量をモータ部の方が多くなる状態を前記検出手段の出力に応じて選択することを特徴とする請求項4に記載の車両駆動装置。
  7. 前記分配油量調整弁の初期位置として、前記モータケーシング給油通路を開放し、減速機ケーシング給油通路を閉じた状態に設定したことを特徴とする請求項4に記載の車両駆動装置。
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