第1の態様では、本発明は、エンドヌクレアーゼ活性を有するウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼのPAサブユニットのアミノ末端断片を含むポリペプチド断片であって、上記PAサブユニットが、配列番号2によるインフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルス由来のものであり、又はその変異体であり、上記変異体が、配列番号2によるアミノ酸位置186に又はそれに対応するアミノ酸位置にアミノ酸セリンを含む、ポリペプチド断片に関する。
更なる一態様では、本発明は、本発明による単離ポリペプチド断片をコードする単離ポリヌクレオチドに関する。
更なる一態様では、本発明は、本発明による単離ポリヌクレオチドを含む組換えベクターに関する。
更なる一態様では、本発明は、本発明による単離ポリヌクレオチド又は本発明による組換えベクターを含む組換え宿主細胞に関する。
更なる一態様では、本発明は、インフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルス由来のRNA依存性RNAポリメラーゼのPAサブユニット又はその変異体のエンドヌクレアーゼ活性を変調させる化合物を同定する方法であって、
(a)(i)図1に示すような本発明によるポリペプチド断片の構造座標、(ii)図2に示すような本発明によるポリペプチド断片の構造座標、(iii)図3に示すような本発明によるポリペプチド断片の構造座標、(iv)図4に示すような本発明によるポリペプチド断片の構造座標、(v)図5に示すような本発明によるポリペプチド断片の構造座標、(vi)図15に示すような本発明によるポリペプチド断片の構造座標、又は(vii)図16に示すような本発明によるポリペプチド断片の構造座標によって規定される活性部位のコンピュータモデルを構築する工程と、
(b)有望な変調させる化合物を選択する工程であって、
(i)分子断片を集合化させて上記化合物とすることと、
(ii)小分子データベースから化合物を選択することと、
(iii)上記化合物の新規リガンド設計と
からなる群から選択される方法によって、有望な変調させる化合物を選択する工程と、
(c)計算手段を利用する工程であって、該活性部位における上記化合物のエネルギーを最小化した立体配置を提供するために、上記化合物と上記活性部位とのコンピュータモデル間のフィッティングプログラム操作を行う、計算手段を利用する工程と、
(d)上記フィッティング操作の結果を評価する工程であって、上記化合物と該活性部位モデルとの間の会合を定量化して、それによって上記活性部位と会合する上記化合物の能力を評価する、結果を評価する工程と
を含む、化合物を同定する方法に関する。
更なる一態様では、本発明は、インフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルス由来のRNA依存性RNAポリメラーゼのPAサブユニット又はその変異体のエンドヌクレアーゼ活性を変調させる化合物を同定する方法であって、
(i)本発明によるポリペプチド断片若しくはその変異体又は本発明による組換え宿主細胞を試験化合物と接触させる工程と、
(ii)上記PAサブユニットポリペプチド断片又はその変異体のエンドヌクレアーゼ活性を変調させる上記試験化合物の能力を分析する工程と
を含む、化合物を同定する方法に関する。
更なる一態様では、本発明は、本発明によるPAサブユニットポリペプチド断片又はその変異体のエンドヌクレアーゼ活性を変調させることができ、好ましくはこれを阻害することができる化合物に関する。好ましくは、上記化合物は、本発明による(in vitroの)方法によって同定可能である。
更なる一態様では、本発明は、本発明による化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、1つ又は複数の薬学的に許容可能な添加物及び/又は担体とを含む薬学的組成物に関する。好ましくは、上記薬学的組成物が、本発明による(in vitroの)方法によって製造可能である。
更なる一態様では、本発明は、配列番号2によるインフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスのPAサブユニット又はその変異体の活性部位を対象とする抗体であって、上記変異体が、配列番号2によるアミノ酸位置186に又はそれに対応するアミノ酸位置にアミノ酸セリンを含む、配列番号2によるインフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスのPAサブユニット又はその変異体の活性部位を対象とする抗体に関する。
更なる一態様では、本発明は、オルトミクソウイルス科、ブニヤウイルス科及び/又はアレナウイルス科のウイルスによるウイルス感染によって引き起こされ、好ましくはインフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスによるウイルス感染によって引き起こされる疾患状態を治療、改善又は予防する薬物の生産のための、本発明による化合物、本発明による薬学的組成物、又は本発明による抗体の使用に関する。
更なる一態様では、本発明は、インフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスによるウイルス感染によって引き起こされる疾患状態を治療、改善又は予防する薬物の生産のための、4−[3−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−(フェニルメチル)−3−ピペリジニル]−2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−ブテン酸(EMBL−R05−3)、4−[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−(シクロヘキシルメチル)−4−ピペリジニル]−2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−ブテン酸(EMBL−R05−2)、4−[3−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−(フェニルメチルスルホ)−3−ピペリジニル]−2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−ブテン酸(EMBL−R05−1)又は[(2R,3R)−5,7−ジヒドロキシ−2−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)クロマン−3−イル]3,4,5−トリヒドロキシベンゾエート(EGCG)の使用に関する。
更なる一態様では、本発明は、オルトミクソウイルス科、ブニヤウイルス科及び/又はアレナウイルス科のウイルスによるウイルス感染によって引き起こされ、好ましくはインフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスによるウイルス感染によって引き起こされる疾患状態を治療、改善又は予防するための、本発明による化合物、本発明による薬学的組成物、又は本発明による抗体に関する。
更なる一態様では、本発明は、インフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスによるウイルス感染によって引き起こされる疾患状態を治療、改善又は予防するための、4−[3−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−(フェニルメチル)−3−ピペリジニル]−2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−ブテン酸(EMBL−R05−3)、4−[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−(シクロヘキシルメチル)−4−ピペリジニル]−2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−ブテン酸(EMBL−R05−2)、4−[3−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−(フェニルメチルスルホ)−3−ピペリジニル]−2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−ブテン酸(EMBL−R05−1)又は[(2R,3R)−5,7−ジヒドロキシ−2−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)クロマン−3−イル]3,4,5−トリヒドロキシベンゾエート(EGCG)に関する。
本発明を以下で詳細に説明する前に、本明細書中で説明する特定の方法論、プロトコル及び試薬は変動し得るので、本発明はこれらに限定されないと理解すべきである。本明細書中で使用される専門用語は、特定の実施の形態を説明するためのものにすぎず、添付した特許請求の範囲のみによって限定される本発明の範囲を限定することは意図されないことも理解すべきである。他に規定のない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
以下では、本発明の要素を記載する。これらの要素を特定の実施の形態とともに列挙するが、任意の様式及び任意の数でこれらを組み合わせて、更なる実施の形態を作り出すことができることを理解すべきである。様々に記載される実施例及び好ましい実施の形態を、明示的に記載される実施の形態にのみ本発明を限定するものと解釈すべきではない。この記載を、明示的に記載される実施の形態を任意の数の開示される及び/又は好ましい要素と組み合わせた実施の形態を支持及び包含するものと理解すべきである。さらに、本出願において記載される全ての要素の任意の置換及び組合せが、文脈上他に示されぬ限り、本出願の記載により開示されるものと考えるべきである。例えば、好ましい実施の形態では本発明のポリペプチド断片が配列番号2に示すアミノ酸配列のアミノ酸1〜198に対応し、別の好ましい実施の形態では本発明によるPAポリペプチド断片を、好ましくはTEVプロテアーゼを使用して、好ましくはPAポリペプチド断片から切断可能であるペプチドタグによりタグ付けすることができる場合、配列番号2に示すアミノ酸配列のアミノ酸1〜198に対応するポリペプチド断片をTEVプロテアーゼを使用してPAポリペプチドから切断可能であるペプチドタグによりタグ付けすることは、本発明の好ましい実施の形態である。
好ましくは、本明細書中で使用される用語は、"A multilingual glossary ofbiotechnological terms: (IUPACRecommendations)", H.G.W. Leuenberger, B.Nagel and H. Koelbl, Eds., HelveticaChimica Acta, CH-4010 Basel, Switzerland,(1995)に記載されているように規定される。
本発明を実施するために、特に明示のない限り、当該技術分野の文献(例えばMolecular Cloning:A Laboratory Manual, 2nd Edition, J.Sambrook et al. eds., ColdSpring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor1989を参照されたい)において説明される、従来の化学、生化学の方法及び組換えDNA技法を利用する。
以下の本明細書及び添付の特許請求の範囲を通じて、文脈上他に必要な場合以外は、「を含む(comprise)」という単語及びその変化形(variations such as"comprises" and "comprising")は、記載された整数若しくは工程又は整数若しくは工程の群を包含することを示唆するが、任意の他の整数若しくは工程又は整数若しくは工程の群を除外することを示唆しないと理解される。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるように、数量を特定していない単数形(singular forms "a", "an", and "the")は、その内容(content)が明らかに他の指示を与えるものでない限り、複数の指示対象を含む。
複数の文献が、本明細書の文章を通じて引用される。本明細書中で引用される文献(全ての特許、特許出願、科学的刊行物、製造業者の仕様書、取扱説明書等を含む)の各々が、上記のものであるか又は下記のものであるかに関わらず、その全体が参照により本明細書に援用される。本明細書のどの記載も、本発明が従来の発明に基づくこのような開示に先行する権利を有しないことを認めるものと解釈されないものとする。
定義
「ポリペプチド断片」という用語は、単一のアミノ酸鎖から構成されるタンパク質の一部分を表す。「タンパク質」という用語は、二次構造及び三次構造を回復するポリペプチド断片を含み、複数のアミノ酸鎖、すなわち複数のサブユニットから構成され、四次(quartenary)構造を形成するタンパク質を更に表す。「ペプチド」という用語は、二次構造又は三次構造を必ずしもとらない最大50個のアミノ酸の短いアミノ酸鎖を表す。「ペプトイド」は、N−置換グリシンのオリゴマー集合化から得られるペプチド模倣物質である。
2つ以上のポリペプチドにおける残基は、その残基がポリペプチド構造における類似の位置を占有する場合、互いに「対応する」と言う。当該技術分野では既知であるように、2つ以上のポリペプチドにおける類似の位置は、アミノ酸配列又は構造的類似性に基づきポリペプチド配列を整列させることにより決定することができる。このようなアライメントツールは当業者に既知であり、例えば、ワールドワイドウェブ、例えば標準的な設定(好ましくはAlignに関してはEMBOSS::needle、Matrix:Blosum62、Gap Open 10.0、Gap Extend 0.5)を使用するClustalW(www.ebi.ac.uk/clustalw)又はAlign(http://www.ebi.ac.uk/emboss/align/index.html)において、得ることができる。当業者は、満足なアライメントを生成するためにいずれかの配列にギャップを導入することが必要な場合があることを理解する。2つ以上のPAサブユニットにおける残基が最良の配列アライメントにおいて整列する場合、それらの残基が「対応する」と言う。2つのポリペプチドの間の「最良の配列アライメント」は、整列する同一残基の数が最大となるアライメントと定義される。2つの整列させた配列の間の配列類似性、好ましくは配列同一性が、10個、20個又は30個のアミノ酸の長さにわたり30%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満に低下した場合には、「最良の配列アライメントの領域」は途切れ、それにより類似性スコアの決定のための比較配列の長さの境界及び範囲(metes and bounds)が決定する。
本発明は、エンドヌクレアーゼ活性を有する、インフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼPAサブユニット断片に関する。「RNA依存性RNAポリメラーゼPAサブユニット」という用語は、配列番号2に示されたアミノ酸配列を有する、インフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスのPAサブユニットを表す。「RNA依存性RNAポリメラーゼPAサブユニットの変異体」という用語は、配列番号2によるアミノ酸位置186に、又はそれに対応するアミノ酸位置にアミノ酸セリンを含み、好ましくは配列番号2に記載のアミノ酸配列と、最良の配列アライメントを使用する断片の全長にわたり、及び/又は最良の配列アライメントの領域にわたり(ここで最良の配列アライメントは、例えば、標準的な設定、好ましくはEMBOSS::needle、Matrix:Blosum62、Gap Open 10.0、Gap Extend 0.5を使用するAlignのような当該技術分野で既知のツールを用いて取得可能である)、少なくとも60%、65%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列類似性、好ましくは配列同一性を有する。PAサブユニット変異体を配列番号2によるPAサブユニットと整列させる場合、そのアライメントが2つのポリペプチドの全長にわたること、したがってアライメントスコアがこれに基づき決定されることが好ましい。しかし、PAサブユニット変異体が、例えばN末端又はC末端の融合を通じて、C末端/N末端の又は内部の欠失又は付加を含み得る可能性がある。この場合には、類似性及び同一性のそれぞれの評価のために、最も良く整列した領域のみが使用される。好ましくは、これらの変異体由来の断片は、好ましくはエンドヌクレアーゼ活性に必要とされる領域内において、それぞれ表示した類似性及び同一性を示す。したがって、配列番号2とPAサブユニット変異体との間の任意のアライメントが、好ましくはエンドヌクレアーゼ活性部位を含むものとする。したがって、配列番号2との上記の配列類似性及び同一性が、好ましくはエンドヌクレアーゼ活性部位を含む、少なくとも80個、90個、100個、110個、120個、130個、140個、150個、160個、165個、170個、180個、190個、200個、210個、220個、230個、240個、250個、300個又はそれ以上のアミノ酸の長さにわたり生じる。
したがって、本発明のポリペプチド断片は、上で規定されるようなインフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼPAサブユニット又はその変異体に基づくものである。したがって以下の明細書においては、「ポリペプチド断片(複数も可)」及び「PAポリペプチド断片(複数も可)」という用語は常に、エンドヌクレアーゼ活性を有する、配列番号2に記載されるようなPAタンパク質由来の断片、及び上で記載されるようなそのPAタンパク質変異体由来の断片の両方を含む。
しかし、本明細書は、インフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼPAサブユニット変異体に由来する、エンドヌクレアーゼ活性を有するPAポリペプチド断片又はPA断片を具体的に表すために、「PAポリペプチド断片変異体」又は「PA断片変異体」という用語も使用する。したがって本発明のPAポリペプチド断片は、好ましくは自然発生的なインフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスPAサブユニットを含むか、これから本質的になるか、又はこれからなる。しかし、PAポリペプチド断片変異体が配列番号2によるアミノ酸位置186に、又はそれに対応するアミノ酸位置にアミノ酸セリンを含み、好ましくは1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個又はそれ以上のアミノ酸位置でのアミノ酸置換を含有し、かつ/又は配列番号2に示したアミノ酸配列と、最良の配列アライメントを使用する断片の全長にわたり、及び/若しくは最良の配列アライメントの領域にわたり(ここで最良の配列アライメントは、例えば、標準的な設定、好ましくはEMBOSS::needle、Matrix:Blosum62、Gap Open 10.0、Gap Extend 0.5を使用するAlignのような当該技術分野で既知のツールを用いて取得可能である)、少なくとも60%、65%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列類似性、好ましくは配列同一性を有することも想定される。本発明のPA断片が、PA由来でない付加的なアミノ酸(例えばタグ、酵素等)を含むことがあり、このような付加的なアミノ酸はこのようなアライメントにおいては考慮されない(すなわち、アライメントスコアの算出から除外される)ことが理解される。好ましい実施の形態では、上で示したアライメントスコアは、少なくとも70個、80個、90個、100個、110個、120個、130個、140個、150個、160個、165個、170個、180個又は190個のアミノ酸の長さにわたり、断片の配列を配列番号2(ここで配列番号2の配列は、エンドヌクレアーゼ活性部位を含むことが好ましい)と整列させると得られる。
好ましい実施の形態では、PAポリペプチド断片変異体は、配列番号2によるインフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスPAサブユニットのアミノ酸残基1〜190に対応するアミノ酸残基を少なくとも含むか、又は配列番号2によるインフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスPAサブユニットのアミノ酸残基1〜190からなり、かつ配列番号2に示したアミノ酸配列のアミノ酸残基1〜190と、最良の配列アライメントを使用する断片の全長にわたり、及び/又は最良の配列アライメントの領域にわたり(ここで最良の配列アライメントは、例えば、標準的な設定、好ましくはEMBOSS::needle、Matrix:Blosum62、Gap Open 10.0、Gap Extend 0.5を使用するAlignのような当該技術分野で既知のツールを用いて取得可能である)、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列類似性、好ましくは配列同一性を有する。より好ましくはPAポリペプチド断片変異体は、配列番号2によるインフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスPAサブユニットのアミノ酸残基1〜198に対応するアミノ酸残基を少なくとも含むか、又は配列番号2によるインフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスPAサブユニットのアミノ酸残基1〜198からなり、かつ配列番号2に示したアミノ酸配列のアミノ酸残基1〜198と、最良の配列アライメントを使用する断片の全長にわたり、及び/又は最良の配列アライメントの領域にわたり(ここで最良の配列アライメントは、例えば、標準的な設定、好ましくはEMBOSS::needle、Matrix:Blosum62、Gap Open 10.0、Gap Extend 0.5を使用するAlignのような当該技術分野で既知のツールを用いて取得可能である)、少なくとも70%、より好ましくは75%、より好ましくは80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列類似性、好ましくは配列同一性を有する。好ましくはPAポリペプチド断片変異体は、配列番号2によるインフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスPAサブユニットのアミノ酸残基1〜200に対応するアミノ酸残基を少なくとも含むか、又は配列番号2によるインフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスPAサブユニットのアミノ酸残基1〜200からなり、かつ配列番号2に示したアミノ酸配列のアミノ酸残基1〜200と、最良の配列アライメントを使用する断片の全長にわたり、及び/又は最良の配列アライメントの領域にわたり(ここで最良の配列アライメントは、例えば、標準的な設定、好ましくはEMBOSS::needle、Matrix:Blosum62、Gap Open 10.0、Gap Extend 0.5を使用するAlignのような当該技術分野で既知のツールを用いて取得可能である)、少なくとも60%、より好ましくは65%、より好ましくは70%、より好ましくは75%、より好ましくは80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列類似性、好ましくは配列同一性を有する。上述の好ましいPAポリペプチド断片は全て、配列番号2によるアミノ酸位置186に、又はそれに対応するアミノ酸位置にアミノ酸セリンを含むことに留意するものとする。
本発明との関連では、「PA−Nter」という用語は、配列番号2に示すようなアミノ酸配列のアミノ酸残基1〜198(PA(H1N1)1〜198)及び任意に更なるアミノ末端リンカー、すなわちMGSGMA(配列番号3)からなるポリペプチド断片を表す。本発明との関連では、「PA−Nter突然変異体」という用語は、アミノ酸52〜64がアミノ酸グリシンによって置き換えられた配列番号2に示すようなアミノ酸配列のアミノ酸残基1〜198(PA(H1N1)1〜198 Δ52〜64:Gly)、及び任意に更なるアミノ末端リンカー、すなわちMGSGMA(配列番号3)からなるポリペプチド断片(変異体)を表す。
「配列類似性」という用語は、最良の配列アライメントの同じ位置でのアミノ酸が同一又は類似である、好ましくは同一であることを意味する。「類似のアミノ酸」は、類似の特性、例えば極性、溶解性、親水性、疎水性、電荷又はサイズを有する。類似のアミノ酸は好ましくは、ロイシン、イソロイシン及びバリン;フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシン;リジン、アルギニン及びヒスチジン;グルタミン酸及びアスパラギン酸;グリシン、アラニン及びセリン;トレオニン、アスパラギン、グルタミン及びメチオニンである。当業者は、例えばワールドワイドウェブ(例えばwww.ebi.ac.uk/Tools/similarity.html)上で利用可能な、配列類似性検索ツールを十分に認識している。
「可溶性の(soluble)」という用語は、本明細書中で使用する場合、有効濃度のグアニジン又は尿素等の変性剤の非存在下における、例えば0.14M塩化ナトリウム又はスクロースのような生理学的等張条件下、少なくとも200μg/ml、好ましくは少なくとも500μg/ml、好ましくは少なくとも1mg/ml、より好ましくは少なくとも2mg/ml、更により好ましくは少なくとも3mg/ml、更により好ましくは少なくとも4mg/ml、最も好ましくは少なくとも5mg/mlのタンパク質濃度の水性緩衝液中で100000×gでの30分間の遠心分離後にポリペプチド断片が上清中に残存する状態を表す。その溶解性に関して試験されるタンパク質断片は、以下で示される細胞発現系の1つにおいて発現されることが好ましい。
ポリペプチドに関して「精製(purified)」という用語は、均質調製物のように絶対的に純粋であることを要求せず、むしろそのポリペプチドが自然環境中の状態よりも相対的に純度が高いことを表す。概して、精製したポリペプチドは、好ましくは機能的に顕著なレベルで、例えば少なくとも85%の純度、より好ましくは少なくとも90%又は95%の純度、最も好ましくは少なくとも99%の純度で、該ポリペプチドが自然状態で会合する他のタンパク質、脂質、炭水化物又は他の材料を実質的に有しない。「結晶化に好適な程度まで精製されている」という表現は、純度が85%〜100%、好ましくは90%〜100%、より好ましくは95%〜100%又は98%〜100%であり、沈殿することなく3mg/ml超、好ましくは10mg/ml超、より好ましくは18mg/ml超まで濃縮され得るタンパク質を表す。当業者は、タンパク質精製のための標準的な技法を使用して、ポリペプチドを精製することができる。実質的に純粋なポリペプチドは、非還元ポリアクリルアミドゲル上に単一の主バンドを生じる。
本発明の方法で化合物を同定する文脈において使用されるところの「会合する(associate)」という用語は、或る分子部分(moiety)(すなわち、化学的物質若しくは化合物又はその一部分(portions)若しくはその断片)とPAサブユニットのエンドヌクレアーゼ活性部位との間の近接状態を表す。会合は、非共有結合的であり得る(すなわち、例えば水素結合性相互作用、ファンデルワールス相互作用、静電的相互作用又は疎水的相互作用により、近接位置(juxtaposition)がエネルギー的に有利である場合には)か、又は共有結合的であり得る。
「エンドヌクレアーゼ活性」又は「ヌクレオチド鎖切断活性」という用語は、ポリヌクレオチド鎖内におけるホスホジエステル結合の切断をもたらす酵素活性を表す。本発明との関連では、ポリペプチド断片は、(好ましくはポリヌクレオチドの種類に関して選択的でない)ヌクレオチド鎖切断活性を有し、すなわち本発明によるポリペプチド断片は、好ましくはDNA及びRNAに対する、好ましくは一本鎖DNA(ssDNA)又は一本鎖RNA(ssRNA)に対するヌクレオチド鎖切断活性を示す。この関連で、「一本鎖」は、ポリヌクレオチド鎖内における好ましくは少なくとも3ヌクレオチド、好ましくは少なくとも5ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも10ヌクレオチドのストレッチが一本鎖である、すなわち別のヌクレオチドと塩基対を形成していないことを意味する。好ましくは、本発明によるポリペプチド断片のヌクレオチド鎖切断活性は、認識部位、すなわち特異的なヌクレオチド配列に依存せず、ポリヌクレオチド鎖の非特異的な切断をもたらす。例えば、当業者は、それぞれのポリペプチド断片の存在下又は非存在下で、例えば37℃で或る特定の期間、例えば5分間、10分間、20分間、40分間、60分間又は80分間、RNA基質又はDNA基質、例えばパンハンドルRNA又は線状若しくは環状の一本鎖DNAをインキュベートすることにより、本発明によるポリペプチド断片のヌクレオチド鎖切断活性に関して試験することができ、例えばゲル電気泳動により、ポリヌクレオチドの完全性(integrity)に関して試験することができる。
「ヌクレオチド」という用語は、本明細書中で使用する場合、例えばKornberg and Baker, DNAReplication, 2nd Ed.(Freeman, San Francisco, 1992)において説明されるように、1’位でペントースと連結した、プリン、デアザプリン又はピリミジンヌクレオシド塩基、例えばアデニン、グアニン、シトシン、ウラシル、チミン、デアザアデニン、デアザグアノシンからなる化合物(2’−デオキシ型及び2’−ヒドロキシル型を含む)を表し、例えばScheit, Nucleotide Analogs (John Wiley,N.Y., 1980)により概説される修飾塩基分子部分及び/又は修飾糖分子部分を有する合成ヌクレオシドを更に含むがこれらに限定されない。
「単離ポリヌクレオチド」という用語は、(i)その自然環境から単離した、(ii)ポリメラーゼ連鎖反応により増幅した、又は(iii)全体的に若しくは部分的に合成したポリヌクレオチドを表し、デオキシリボヌクレオチド塩基又はリボヌクレオチド塩基の一本鎖又は二本鎖のポリマーを意味し、DNA分子及びRNA分子、センス鎖及びアンチセンス鎖の両方を含む。この用語は、cDNA、cRNA、ゲノムDNA及び組換えDNAを含む。ポリヌクレオチドは、遺伝子全体又はその一部分からなり得る。
「組換えベクター」という用語は、本明細書中で使用する場合、プラスミドベクター、コスミドベクター、ラムダファージ等のファージベクター、アデノウイルスベクター若しくはバキュロウイルスベクター等のウイルスベクター、又は細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)若しくはP1人工染色体(PAC)等の人工染色体ベクターを含む当業者に既知の任意のベクターを含む。上記ベクターは、発現ベクター及びクローニングベクターを含む。発現ベクターは、プラスミド及びウイルスベクターを含み、概して、所望のコード配列と、特定の宿主生物(例えば細菌、酵母、植物、昆虫若しくは哺乳動物)又はin vitro発現系における操作可能に連結したコード配列の発現に必要な適当なDNA配列とを含有する。クローニングベクターは概して、或る特定の所望のDNA断片を操作及び増幅するために使用され、所望のDNA断片の発現に必要とされる機能的配列を欠くことがある。
「組換え宿主細胞」は、本明細書中で使用する場合、対象のポリペプチド断片、すなわち本発明によるインフルエンザAパンデミックH1N1のPAポリペプチド断片又はその変異体をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を表す。このポリヌクレオチドは、(i)それ自体が自由に分散して、(ii)組換えベクター中に取り込まれて、又は(iii)宿主細胞ゲノム若しくはミトコンドリアDNA中に組み込まれて、宿主細胞内に見出され得る。組換え細胞は、対象のポリヌクレオチドの発現のために、又は本発明のポリヌクレオチド若しくは組換えベクターの増幅のために、使用することができる。「組換え宿主細胞」という用語は、本発明のポリヌクレオチド又は組換えベクターで形質転換するか、トランスフェクトするか、又は感染させた元の細胞の子孫を含む。組換え宿主細胞は、大腸菌細胞等の細菌細胞、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)若しくはピキア・パストリス(Pichiapastoris)等の酵母細胞、植物細胞、SF9細胞若しくはHigh Five細胞等の昆虫細胞、又は哺乳動物細胞であり得る。哺乳動物細胞の好ましい例は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、アフリカミドリザル腎臓(COS)細胞、ヒト胚腎臓(HEK293)細胞、HELA細胞等である。
本明細書中で使用する場合、「結晶(crystal)」又は「結晶性(crystalline)」という用語は、平面が一定の角度で交差し、構成要素である化学種の規則的な構造(内部構造等)が存在する、構造(三次元固体集合体(aggregate)等)を意味する。「結晶」という用語は、以下のいずれか1つを含み得る:実験的に調製した結晶等の固体の物理的結晶形態、結晶から誘導可能な結晶構造(二次構造要素及び/又は三次構造要素及び/又は四次構造要素を含む)、結晶構造に基づく2Dモデル及び/又は3Dモデル、その略式表示若しくはその図式表示等のその表示、又はコンピュータ用のそのデータセット。一態様では、結晶はX線結晶学技法において使用可能である。ここで、使用する結晶は、X線ビームへの曝露に耐えることができ、X線結晶学的構造を解明するのに必要な回折パターンデータを作製するために使用される。結晶は、T. L. Blundell and L. N. Johnson,"ProteinCrystallography", Academic Press, New York(1976)に示される結晶形態の1つにより規定されるパターンで、X線を回折することができることを特徴とし得る。
「単位格子」という用語は、基本的な立方形状又は平行六面体形状のブロックを表す。結晶の全体積は、このようなブロックの規則的な集合化により構築され得る。各単位格子は、その繰り返しが結晶を構築するパターンの単位の完全な表示を含む。
「空間群」という用語は、結晶の対称要素の配置を表す。空間群の指定においては、大文字は格子形を示し、他の記号は、その外観を変化させることなく非対称単位の内容(contents)に関して実施され得る対称操作を表す。
「構造座標」という用語は、軸の系との関連で1つ又は複数のアミノ酸残基の位置を規定する一組の値を表す。この用語は、分子(単数又は複数)の三次元構造を規定するデータセット(例えばデカルト座標、温度因子及び占有率)を表す。構造座標は、わずかに変更してもよいが、それでもほぼ同一の三次元構造をもたらす。特有の一組の構造座標の尺度は、得られた構造の二乗平均平方根偏差である。3Å、2Å、1.5Å、1.0Å又は0.5Å未満の二乗平均平方根偏差で互いに離れる三次元構造(特に酵素活性中心の三次元構造)をもたらす構造座標は、当業者により非常に類似のものとみなされ得る。
「二乗平均平方根偏差」という用語は、平均からの偏差の二乗の算術平均の平方根を意味する。これは、傾向又は目標(object)からの偏差又は変動を表現する方法である。本発明の目的のために、「二乗平均平方根偏差」は、図1によるPAポリペプチド断片PA−Nterの構造座標により規定されるような、PAポリペプチド断片又はその中の酵素活性中心の骨格からの、PAポリペプチド断片の変異体又はその中の酵素活性中心の骨格の変動を規定する。
本明細書中で使用する場合、「コンピュータモデルを構築すること」という用語は、原子構造情報及び相互作用モデルに基づく分子の構造及び/又は機能の定量的かつ定性的な分析を含む。「モデリング」という用語は、従来の数値基準の分子動的モデル及びエネルギー最小化モデル、相互作用的コンピュータグラフィックモデル、改変(modified)分子力学モデル、距離幾何学法、並びに他の構造基準制約モデルを含む。
「フィッティングプログラム操作」という用語は、化学的物質を酵素活性中心、結合ポケット、分子若しくは分子複合体又はその一部分と会合させるために、化学的物質、酵素活性中心、結合ポケット、分子若しくは分子複合体又はその一部分の構造座標を利用する操作を表す。これは、化学的物質を酵素活性中心中で位置決め、回転又は平行移動し、酵素活性中心の形状及び静電的相補性を適合させることにより、達成することができる。共有結合的相互作用と、水素結合相互作用、静電的相互作用、疎水的相互作用、ファンデルワールス相互作用等の非共有結合的相互作用と、反発的な電荷−電荷相互作用、双極子−双極子相互作用及び電荷−双極子相互作用等の非相補的な静電的相互作用とが、最適化され得る。代替的に、化学的物質と酵素活性中心との結合の変形エネルギーを最小化することができる。
本明細書中で使用する場合、「試験化合物」という用語は、対象のポリペプチド断片、すなわち本発明のPAポリペプチド断片、又はヌクレオチド鎖切断活性(activity)を有するその変異体のヌクレオチド鎖切断活性を阻害するその能力に関して試験される化合物、分子又は複合体を含む作用物質を表す。試験化合物は、ペプチド、ペプトイド、ポリペプチド、タンパク質(抗体を含む)、脂質、金属、ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、ヌクレオシド、核酸、有機小分子若しくは無機小分子、化学的化合物、元素、糖類、同位体、炭水化物、造影剤、リポタンパク質、糖タンパク質、酵素、分析プローブ、ポリアミン並びにその組合せ及び誘導体を含むがこれらに限定されない任意の作用物質であり得る。「小分子」という用語は、50ダルトン〜約2500ダルトンの分子量、好ましくは200ダルトン〜800ダルトンの範囲の分子量を有する分子を表す。加えて、本発明による試験化合物は、検出可能な標識を任意に含み得る。このような標識は、酵素標識、放射性同位体又は放射性化合物若しくは放射性元素、蛍光化合物又は蛍光金属、化学発光化合物及び生物発光化合物を含むがこれらに限定されない。このような検出可能な標識を試験化合物に結合するために、既知の方法を使用することができる。本発明の試験化合物は、天然生成物、又は混合コンビナトリアル合成の生成物を含有する抽出物等の、物質の複雑な混合物も含み得る。これらも試験することができ、標的ポリペプチド断片のヌクレオチド鎖切断活性を阻害する成分を、その後の工程で混合物から精製することができる。試験化合物は、合成又は天然の化合物のライブラリから誘導するか、又は選択することができる。例えば、合成化合物ライブラリは、Maybridge Chemical Co.(Trevillet,Cornwall,UK)、ChemBridge Corporation(SanDiego, CA)又はAldrich(Milwaukee,WI)から市販されている。天然化合物ライブラリは、例えば、TimTecLLC(Newark, DE)から入手可能である。代替的に、細菌細胞、真菌細胞、植物細胞及び動物細胞並びに組織抽出物の形態の天然化合物のライブラリを使用することができる。さらに、試験化合物を、個々の化合物として、又は混合物としてコンビナトリアルケミストリを使用して、合成的に製造することができる。コンビナトリアルケミストリを使用して作製した化合物のコレクションは、本明細書中でコンビナトリアルライブラリと称される。
本発明との関連では、「ヌクレオチド鎖切断活性を変調させる化合物」は、インフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルス若しくはインフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼのPAサブユニット又はその変異体のヌクレオチド鎖切断活性を増大又は減少させることができ、好ましくは阻害することができる。好ましくは、このような化合物は、インフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスPAサブユニット又はその変異体のヌクレオチド鎖切断活性に対して特異的であり、他のエンドヌクレアーゼ、特に哺乳動物のエンドヌクレアーゼのヌクレオチド鎖切断活性を変調させず、好ましくは減少させない。
「ヌクレオチド鎖切断活性を減少させる化合物」という用語は、インフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルス又はインフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼのPAサブユニット又はその変異体のヌクレオチド鎖切断活性を、上記化合物の非存在下における、ただしそれ以外は同じ反応条件、すなわち緩衝剤条件、反応時間及び反応温度による上記サブユニット又はその変異体のヌクレオチド鎖切断活性と比較して50%、より好ましくは60%、更により好ましくは70%、更により好ましくは80%、更により好ましくは90%、最も好ましくは100%減少させる化合物を意味する。
インフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスのPAサブユニット又はその変異体のヌクレオチド鎖切断活性を減少させる化合物が、上記活性を阻害する、すなわち上記活性を、化合物の非存在下における活性と比較して少なくとも95%、好ましくは100%減少させることが最も好ましい。インフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスのPAサブユニット又はその変異体のヌクレオチド鎖切断活性を減少させる又は阻害する化合物が、上記PAサブユニット又はその変異体のヌクレオチド鎖切断活性を特異的に減少させる又は阻害するが、他のエンドヌクレアーゼ、例えばRNase H又は制限エンドヌクレアーゼのヌクレオチド鎖切断活性を同じ程度までは、好ましくは全く阻害しないことが特に好ましい。例えば、当業者は、緩衝剤条件及び反応条件並びに基質濃度及びエンドヌクレアーゼ濃度を同じものとしながら、以下の試料を設定することができる:(1)基質、例えばパンハンドルRNA、ヌクレオチド鎖切断活性を有するPA(H1N1)ポリペプチド断片又はその変異体、(2)基質、例えばパンハンドルRNA、ヌクレオチド鎖切断活性を有するPA(H1N1)ポリペプチド断片又はその変異体、試験化合物、(3)基質、例えばパンハンドルRNA、参照エンドヌクレアーゼ、例えばRNAse H、(4)基質、例えばパンハンドルRNA、参照ヌクレオチド、例えばRNAse H、試験化合物。試料のインキュベーション後、当業者は、例えばゲル電気泳動により、基質を分析することができる。試料(4)において基質の切断、試料(2)において未変化の基質をもたらす試験化合物が好ましい。
「ハイスループット設定において」という用語は、対象のポリペプチド断片のエンドヌクレアーゼ活性を阻害するその能力に関して試験化合物のライブラリをスクリーニングするために使用される、ハイスループットスクリーニングアッセイ、及び様々な種類の技法を表す。典型的には、ハイスループットアッセイはマルチウェル形式で行われ、無細胞アッセイ及び細胞基準アッセイを含む。
「抗体」という用語は、モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体の両方、すなわち、抗原又はハプテン、すなわちヌクレオチド鎖切断活性を有するインフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAポリペプチド断片又はそのペプチドを認識することができる任意の免疫グロブリンタンパク質又はその一部分を表す。好ましい実施の形態では、抗体はインフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAポリペプチド断片又はその変異体内における酵素(ヌクレオチド鎖切断)活性中心に結合することができる。抗体の抗原結合部分は、組換えDNA技法により、又は無傷抗体の酵素的切断若しくは化学的切断により作製され得る。幾つかの実施の形態では、抗原結合部分は、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、dAb断片及び相補性決定領域(CDR)断片、一本鎖抗体(scFv)、ヒト化抗体等のキメラ抗体、ダイアボディ(diabodies)、及びポリペプチドとの特異的抗原結合をもたらすのに十分な抗体を少なくとも一部分含有するポリペプチドを含む。
「薬学的に許容可能な塩」という用語は、本発明の方法により同定可能な化合物、又は本発明の化合物の塩を表す。好適な薬学的に許容可能な塩は、例えば、本発明の化合物の溶液を、薬学的に許容可能な酸(例えば塩酸、硫酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、炭酸又はリン酸)の溶液と混合することにより形成することができる酸付加塩を含む。さらに、化合物が酸性分子部分を保有する場合には、その好適な薬学的に許容可能な塩は、アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩又はカリウム塩);アルカリ土類金属塩(例えばカルシウム塩又はマグネシウム塩);及び好適な有機リガンド(例えばハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、カルボン酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、アルキルスルホン酸イオン及びアリールスルホン酸イオン等の対陰イオンを使用して形成した、アンモニウム陽イオン、四級アンモニウム陽イオン及びアミン陽イオン)で形成される塩を含み得る。薬学的に許容可能な塩の例示的な例は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物塩、酪酸塩、エデト酸カルシウム、カンファー酸塩(camphorate)、カンファースルホン酸塩(camphorsulfonate)、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物塩、クエン酸塩、クラブラン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、二塩酸塩、ドデシル硫酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストール酸塩(estolate)、エシル酸塩(esylate)、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコヘプトン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩(glycolylarsanilate)、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩(hexylresorcinate)、ヒドラバミン(hydrabamine)、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物塩、イソチオン酸塩(isothionate)、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩(embonate))、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオジド(triethiodide)、ウンデカン酸塩、吉草酸塩等を含むがこれらに限定されない(例えば、S. M. Berge et al., "Pharmaceutical Salts", J. Pharm.Sci.66:1-19(1977)を参照されたい)。
本明細書中で使用される場合の「添加物」という用語は、例えば担体、結合剤、滑剤、増粘剤、界面活性剤、保存料、乳化剤、緩衝液、香料又は着色料等の、活性成分ではない、薬学的配合物中の全ての物質を示すことが意図される。
「薬学的に許容可能な担体」という用語は、例えば炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココアバター等を含む。
詳細な説明
エンドヌクレアーゼの活性は三量体複合体でのみ検出可能であると考えられていたが、本発明者らは驚くべきことに、インフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼのPAサブユニットのN末端由来の独立して折り畳まれた小ドメインが、三量体複合体に対して報告されたエンドヌクレアーゼの機能的特性を示すことを見出した。さらに、本発明者らは、このPAポリペプチド断片は組換え手段によって容易に作製することができ、したがってヌクレオチド鎖切断活性及び(and)その変調に関するin vitroでの研究に好適であることを見出した。本発明者らは驚くべきことに、インフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼのPAサブユニットのN末端由来のドメインが容易に結晶化すること、並びに、したがって、上記ドメインが、インフルエンザA2009パンデミックH1N1ポリメラーゼのエンドヌクレアーゼ活性を標的とする新たな抗ウイルス化合物の同定、選択及び設計に、並びにコンピュータ方法によって過去に同定された化合物の最適化に非常に好適である(dedicated)ことを見出した。
エンドヌクレアーゼ活性を有するウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼのPAサブユニットのアミノ末端断片を含むポリペプチド断片であって、上記PAサブユニットが、配列番号2によるインフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルス由来のものであり、又はその変異体であり、上記変異体が、配列番号2によるアミノ酸位置186に又はそれに対応するアミノ酸位置にアミノ酸セリンを含む、ポリペプチド断片を提供することが、本発明の一態様である。
本発明の好ましい実施の形態では、上記変異体は、アミノ酸52〜64がアミノ酸グリシンによって置き換えられた配列番号2に示すアミノ酸配列のアミノ酸1〜198を含む。本発明の更に好ましい実施の形態では、上記変異体は、アミノ酸52〜72がアミノ酸グリシンによって置き換えられた配列番号2に示すアミノ酸配列のアミノ酸1〜198を含む。本発明の別の更に好ましい実施の形態では、上記変異体は、アミノ酸52〜69がアミノ酸グリシンによって置き換えられた配列番号2に示すアミノ酸配列のアミノ酸1〜198を含む。
好ましくは、本発明によるポリペプチド断片は好ましくは水溶液中に可溶性である。本発明のポリペプチド断片の最小の長さは、ポリヌクレオチド鎖、例えばパンハンドルRNA又は一本鎖DNAを切断するその能力により決定される、すなわち該ポリペプチドの最小の長さは、そのヌクレオチド鎖切断活性により決定される。好ましくはエンドヌクレアーゼ活性はポリヌクレオチドの種類に依存せず、したがってDNA及びRNAに対して、好ましくは一本鎖DNA及び一本鎖RNAに対して発揮され得る。好ましくは、エンドヌクレアーゼ活性は、基質となるポリヌクレオチド内の特定の認識部位に依存しない。
好ましい実施の形態では、本発明によるポリペプチド断片は結晶化に好適である、すなわち好ましくはポリペプチド断片は結晶化可能である。好ましくは、本発明によるポリペプチド断片から取得可能な結晶は、X線結晶学を使用するポリペプチド断片の構造決定に好適である。好ましくは上記結晶は、25ミクロンの立方体よりも大きく、好ましくは単色X線に対する曝露により、好ましくは3.5Åの又はより良好な分解能における85%超の回折データ完全性(completeness)が収集されるほどに放射線に対して十分に安定である。
1つの実施の形態では、ポリペプチド断片は、(i)10mM〜3M、好ましくは10mM〜2M、より好ましくは20mM〜1Mの範囲の濃度のpH3〜pH9、好ましくはpH4〜pH9、より好ましくはpH7〜pH9の緩衝剤系、例えばHEPES又はTris−HClにおいて5mg/ml〜20mg/ml、例えば5mg/ml、5.5mg/ml、6mg/ml、6.5mg/ml、7mg/ml、7.5mg/ml、8mg/ml、8.5mg/ml、9mg/ml、9.5mg/ml、10mg/ml、10.5mg/ml、11mg/ml、11.5mg/ml、12mg/ml、12.5mg/ml、13mg/ml、13.5mg/ml、14mg/ml、14.5mg/ml、15mg/ml、15.5mg/ml、16mg/ml、16.5mg/ml、17mg/ml、17.5mg/ml、18mg/ml、18.5mg/ml、19mg/ml、19.5mg/ml又は20mg/ml、好ましくは8mg/ml〜15mg/ml、最も好ましくは10mg/ml〜15mg/mlのタンパク質濃度を有するタンパク質水溶液、すなわち結晶化溶液、及び(ii)1つ又は複数の物質、例えばギ酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸リチウム、酢酸マグネシウム、酢酸マンガン、塩化ナトリウム、グリセロール又はエチレングリコールを含む沈殿剤/リザーバ溶液を使用して結晶化可能である。
任意に、タンパク質溶液は、1つ又は複数の塩、例えば一価の塩、例えばNaCl、KCl若しくはLiCl、好ましくはNaClを10mM〜1M、好ましくは20mM〜500mM、より好ましくは50mM〜200mMの範囲の濃度で、及び/又は二価の塩、例えばMnCl2、CaCl2、MgCl2、ZnCl2若しくはCoCl2、好ましくはMgCl2及びMnCl2を0.1mM〜50mM、好ましくは0.5mM〜25mM、より好ましくは1mM〜10mM又は1mM〜5mMの範囲の濃度で、含有していてもよい。
好ましくは、沈殿剤/リザーバ溶液は、ギ酸ナトリウム0.5M〜2M、好ましくは1M〜1.8Mの範囲の濃度で、好ましくはpH4〜8、より好ましくはpH5〜7の緩衝剤系、例えばHEPESを10mM〜1M、好ましくは50mM〜500mM、より好ましくは75mM〜150mMの範囲の濃度で、並びに/又はエチレングリコールを1%〜20%、好ましくは2%〜8%、より好ましくは2%〜5%の範囲の濃度で、含む。
PAポリペプチド断片又はその変異体の純度は、結晶化溶液中において、好ましくは85%〜100%、より好ましくは90%〜100%、更により好ましくは95%〜100%である。結晶を作製するために、結晶化に好適なタンパク質溶液を、等体積の沈殿剤溶液と混合することができる。
好ましい実施の形態では、結晶化媒体は、1.0M〜2.0M ギ酸ナトリウム、80mM〜120mM HEPES(pH6.5〜pH7.5)、並びに2%〜5% グリコール又はグリセロールを含む同様の体積、好ましくは等体積の沈殿剤溶液と混合した、0.05μl〜2μl、好ましくは0.8μl〜1.2μlの結晶化に好適なタンパク質溶液を含む。
別の実施の形態では、沈殿剤溶液は、1.6M ギ酸ナトリウム、0.1M HEPES(pH7.0)、及び5% グリコール又はグリセロールを含み、好ましくはこれらから本質的になり、又はこれらからなり、結晶化/タンパク質溶液は、20mM HEPES(pH7.5)、150mM NaCl、2.0mM MnCl2及び2.0mM MgCl2中における10mg/ml〜15mg/mlを含む、好ましくはこれらから本質的になる、又はこれらからなる。
別の実施の形態では、PAポリペプチド断片は、(i)10mM〜3M、好ましくは10mM〜2M、より好ましくは20mM〜1Mの範囲の濃度のpH3〜pH9、好ましくはpH4〜pH9、より好ましくはpH7〜pH9の緩衝剤系、例えばHEPES又はTris−HClにおいて5mg/ml〜20mg/ml、例えば5mg/ml、5.5mg/ml、6mg/ml、6.5mg/ml、7mg/ml、7.5mg/ml、8mg/ml、8.5mg/ml、9mg/ml、9.5mg/ml、10mg/ml、10.5mg/ml、11mg/ml、11.5mg/ml、12mg/ml、12.5mg/ml、13mg/ml、13.5mg/ml、14mg/ml、14.5mg/ml、15mg/ml、15.5mg/ml、16mg/ml、16.5mg/ml、17mg/ml、17.5mg/ml、18mg/ml、18.5mg/ml、19mg/ml、19.5mg/ml又は20mg/ml、好ましくは8mg/ml〜15mg/ml、最も好ましくは10mg/ml〜15mg/mlのPAポリペプチド断片の濃度を有するタンパク質水溶液、及び(ii)1つ又は複数の物質、例えばギ酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸リチウム、酢酸マグネシウム、酢酸マンガン、塩化ナトリウム、エチレングリコール、グリセロール又はPEGを含む沈殿剤/リザーバ溶液を使用して、或る化合物とともに、好ましくはPAポリペプチド断片のエンドヌクレアーゼ活性を変調させ、好ましくはこれを阻害する化合物とともに、好ましくは表1又は表2に記載の化合物とともに共結晶化可能である。共結晶化のために、或る化合物、好ましくはPAポリペプチド断片のエンドヌクレアーゼ活性を変調させ、例えばこれを阻害する化合物、好ましくは表1又は表2に記載の化合物を、タンパク質水溶液に添加して、0.5mM〜5mM、好ましくは1.5mM〜5mM、すなわち0.5mM、1mM、1.5mM、2mM、2.5mM、3mM、4.5mM又は5mMの最終濃度とする。
任意に、タンパク質溶液は、1つ又は複数の塩、例えば一価の塩、例えばNaCl、KCl若しくはLiCl、好ましくはNaClを10mM〜1M、好ましくは20mM〜500mM、より好ましくは50mM〜200mMの範囲の濃度で、及び/又は二価の塩、例えばMnCl2、CaCl2、MgCl2、ZnCl2若しくはCoCl2、好ましくはMgCl2及びMnCl2を0.1mM〜50mM、好ましくは0.5mM〜25mM、より好ましくは1mM〜10mM又は1mM〜5mMの範囲の濃度で、含有していてもよい。
好ましくは、沈殿剤/リザーバ溶液は、硫酸アンモニウムを0.1M〜2.5M、好ましくは0.1M〜2.0Mの範囲の濃度で、好ましくはpH4〜7、より好ましくはpH5〜6の緩衝剤系、例えばBis−Trisを10mM〜1M、好ましくは50mM〜500mM、より好ましくは75mM〜150mMの範囲の濃度で、並びに/又はPEG、例えばPEG 3350を1%〜30%、好ましくは15%〜30%、より好ましくは20%〜25%の範囲の濃度で、含む。
PAポリペプチド断片又はその変異体の純度は、タンパク質溶液中において、好ましくは85%〜100%、より好ましくは90%〜100%、更により好ましくは95%〜100%である。共結晶化のために、PAポリペプチド断片又はその変異体及び化合物を含むタンパク質水溶液を、等体積の沈殿剤溶液と混合することができる。
好ましい実施の形態では、タンパク質溶液は、20mM HEPES(pH7.5)、150mM NaCl、2.0mM MnCl2及び2.0mM MgCl2中における10mg/ml〜15mg/mlのPAポリペプチド断片、並びに1.5mMの最終濃度の4−[3−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−(フェニルメチル)−3−ピペリジニル]−2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−ブテン酸(EMBL−R05−3)を含み、好ましくはこれから本質的になり、又はこれからなり、リザーバ溶液/沈殿剤溶液は、2.0M 硫酸アンモニウム及び0.1M Bis−Tris(pH5.5)を含み、好ましくはこれから本質的になり、又はこれからなる(表1も参照されたい)。
別の好ましい実施の形態では、タンパク質溶液は、20mM HEPES(pH7.5)、150mM NaCl、2.0mM MnCl2及び2.0mM MgCl2中における10mg/ml〜15mg/mlのPAポリペプチド断片、並びに、好ましくは最初にリボウリジン一リン酸(rUMP)とともに成長させた結晶中に染み込ませた、1.5mMの最終濃度の4−[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−(シクロヘキシルメチル)−4−ピペリジニル]−2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−ブテン酸(EMBL−R05−2)を含み、好ましくはこれから本質的になり、又はこれからなり、リザーバ溶液/沈殿剤溶液は、0.1M 硫酸アンモニウム、0.1M Bis−Tris(pH5.5)及び25%(w/v)PEG3350を含み、好ましくはこれから本質的になり、又はこれからなる(表1も参照されたい)。
更に好ましい実施の形態では、タンパク質溶液は、20mM HEPES(pH7.5)、150mM NaCl、2.0mM MnCl2及び2.0mM MgCl2中における10mg/ml〜15mg/mlのPAポリペプチド断片、並びに5mMの最終濃度のリボウリジン一リン酸(rUMP)を含み、好ましくはこれから本質的になり、又はこれからなり、リザーバ溶液/沈殿剤溶液は、0.1M 硫酸アンモニウム、0.1M Bis−Tris(pH5.5)及び25%(w/v)PEG3350を含み、好ましくはこれから本質的になり、又はこれからなる(表1も参照されたい)。
例えば4−[3−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−(フェニルメチルスルホ)−3−ピペリジニル]−2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−ブテン酸(EMBL−R05−1)とともに、又は[(2R,3R)−5,7−ジヒドロキシ−2−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)クロマン−3−イル]3,4,5−トリヒドロキシベンゾエート(EGCG)とともにPAポリペプチド断片又はその変異体を共結晶化させるための他の好ましいリザーバ溶液/沈殿剤溶液を、表1から更に見出すことができる。
結晶を、ハンギング−シッティングドロップ(hanging and sitting drop)法、サンドイッチドロップ法、透析法、及びマイクロバッチ又はマイクロチューブバッチデバイスを含むがこれらに限定されない当業者に既知の任意の方法により成長させることができる。単独での又は化合物との複合体としての本発明のPAポリペプチド断片又はその変異体の結晶を作製する他の結晶化条件を特定するために、上で開示された結晶化条件を変更することは、当業者には容易に分かることだろう。このような変更は、pH、タンパク質濃度及び/若しくは結晶化温度を調整すること、使用する塩及び/若しくは沈殿剤の特性若しくは濃度を変化させること、異なる結晶化方法を使用すること、又は結晶化を助ける添加剤、例えば洗浄剤(例えばTWEEN20(モノラウレート)、LDOA、Brij30(4ラウリルエーテル))、糖(例えばグルコース、マルトース)、有機化合物(例えばジオキサン、ジメチルホルムアミド)、ランタニドイオン若しくは多価イオン性(poly-ionic)化合物を導入することを含むがこれらに限定されない。ハイスループット結晶化アッセイを使用して結晶化条件の発見又は最適化を支援することもできる。
マイクロシーディング(Microseeding)を使用して、結晶のサイズ及び質を増大させることができる。簡潔に述べると、微結晶を粉砕して、ストック用種溶液を得る。ストック用種溶液を段階希釈する。ニードル、ガラスロッド又は一本の髪の毛(strand of hair)を使用して、各希釈溶液からの小量の試料を、種の非存在下で結晶を作り出すのに必要とされる濃度以下のタンパク質濃度を含有する一組の平衡化した液滴に添加する。目的は、液滴中において結晶成長の核となる働きをする単一の種結晶を最終的に得ることである。
本明細書で記載したような、図1〜図5に示すような構造座標を取得する方法、座標の解釈、及びタンパク質構造を理解する際のその有用性は、当業者により、標準的なテキスト、例えばJ. Drenth, "Principles of protein X-ray crystallography",2ndEd., Springer Advanced Texts in Chemistry, New York (1999)、及びG. E. Schulz and R. H. Schirmer, "Principles ofProteinStructure", Springer Verlag, New York(1985)を参照して、一般的に理解されている。例えば、100Kまで凍結して凍結保護した(例えば、20%〜30%グリセロールを用いて)結晶を多くの場合使用して、例えばX線源としてシンクロトロン施設におけるビームライン又は回転陽極を使用して、X線回折データを初めに取得する。その後位相問題を一般的に既知の方法、例えば多波長異常回折(MAD)、重原子同形置換(multiple isomorphous replacement)(MIR)、単一波長異常回折(SAD)又は分子置換(MR)により解決する。部分構造(sub-structure)を、SHELXD(SchneiderandSheldrick, 2002, Acta Crystallogr. D. Biol. Crystallogr. (Pt 10 Pt2),1772-1779)を使用して解明し、SHARP(Vonrhein et al., 2006,MethodsMol. Biol. 364:215-30)で位相を算出し、溶媒平滑化(solventflattening)及び非結晶学的対称平均化により、例えばRESOLVE(Terwilliger,2000, Acta Cryst. D. Biol. Crystallogr. 56:965-972)により改良することができる。モデル自動構築を例えばARP/wARP(Perrakis et al., 1999, Nat. Struct. Biol. 6:458-63)により、精密化を例えばREFMAC(Murshudov, 1997, Acta Crystallogr. D. Biol. Crystallogr. 53: 240-255)により、行うことができる。
好ましくは、本発明によるポリペプチド断片内に含まれるPA断片のアミノ末端は、配列番号2によるインフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼのPAサブユニット又はその変異体の少なくともアミノ酸1〜190、好ましくはアミノ酸1〜198、好ましくはアミノ酸1〜200に対応し、好ましくはこれから本質的になり、又はこれからなる。
好ましい実施の形態では、本発明によるポリペプチド断片は、結晶化に好適な程度まで精製されて、好ましくはその純度は85%〜100%、より好ましくは90%〜100%、最も好ましくは95%〜100%である。別の好ましい実施の形態では、本発明によるポリペプチド断片は、共結晶化に好適な程度まで精製されて、好ましくはその純度は85%〜100%、より好ましくは90%〜100%、最も好ましくは95%〜100%である。
別の実施の形態では、本発明によるポリペプチド断片は、二価の陽イオンと結合することができる。好ましくは、本発明によるポリペプチド断片は、1つ又は複数の二価の陽イオンと結合し、好ましくは2つの二価の陽イオンと結合する。この関連で、二価の陽イオンは好ましくは、マンガン、コバルト、カルシウム、マグネシウム及び亜鉛からなる群から(from)選択され、より好ましくはマンガン又はコバルト、最も好ましくはマンガン及び/又はマグネシウムである。したがって、好ましい実施の形態では、本発明のポリペプチド断片は、(i)2つのマンガン陽イオン、(ii)2つのマグネシウム陽イオン、又は(iii)1つのマンガン陽イオン及び1つのマグネシウム陽イオンとの複合体として存在する。好ましい実施の形態では、二価の陽イオンに、配列番号2に示すような、アミノ酸Glu80及びAsp108に対応するアミノ酸(第2の陽イオン)、並びにアミノ酸His41、Asp108、Ile120及びGlu119に対応するアミノ酸(第1の陽イオン)が配位する。好ましい実施の形態では、二価の陽イオンは、部位1に対してマンガン及び部位2に対してマンガン又はマグネシウム、すなわち部位1に対してマンガン及び部位2に対してマグネシウム(図6を参照されたい)、又は部位1に対してマンガン及び部位2に対してマンガン(図7〜図10、図17及び図18を参照されたい)である。
更なる実施の形態では、本発明によるポリペプチド断片は、ポリペプチド断片であって、N末端が配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸配列の15位以下、例えば15位、14位、13位、12位、11位、10位、9位、8位、7位、6位、5位、4位、3位、2位若しくは1位のアミノ酸と同一であり若しくはこれに対応し、C末端が配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸配列の186位〜200位、例えば186位、187位、188位、189位、190位、191位、192位、193位、194位、195位、196位、197位、198位、199位若しくは200位から選択される位置のアミノ酸と同一であり若しくはこれに対応し、好ましくは、C末端が配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸配列の190位〜200位、より好ましくは190位〜198位から選択される位置のアミノ酸と同一であり若しくはこれに対応する、ポリペプチド断片であり、又はその変異体であり、上記変異体は、配列番号2によるアミノ酸位置186に又はそれに対応するアミノ酸位置にアミノ酸セリンを含み、エンドヌクレアーゼ活性を保持する。
本発明の好ましい実施の形態では、上記変異体は、アミノ酸52〜64がアミノ酸グリシンによって置き換えられた配列番号2に示すアミノ酸配列のアミノ酸1〜198を含む。本発明のより好ましい実施の形態では、上記変異体は、アミノ酸52〜64がアミノ酸グリシンによって置き換えられた配列番号2に示すアミノ酸配列のアミノ酸1〜198、及び任意にアミノ酸配列MGSGMA(配列番号3)を有するアミノ末端リンカーからなる。
本発明の更に好ましい実施の形態では、上記変異体は、アミノ酸52〜72がアミノ酸グリシンによって置き換えられた配列番号2に示すアミノ酸配列のアミノ酸1〜198を含む。本発明のより好ましい実施の形態では、上記変異体は、アミノ酸52〜72がアミノ酸グリシンによって置き換えられた配列番号2に示すアミノ酸配列のアミノ酸1〜198、及び任意にアミノ酸配列MGSGMA(配列番号3)を有するアミノ末端リンカーからなる。
本発明の別の更に好ましい実施の形態では、上記変異体は、アミノ酸52〜69がアミノ酸グリシンによって置き換えられた配列番号2に示すアミノ酸配列のアミノ酸1〜198を含む。本発明のより好ましい実施の形態では、上記変異体は、アミノ酸52〜69がアミノ酸グリシンによって置き換えられた配列番号2に示すアミノ酸配列のアミノ酸1〜198、及び任意にアミノ酸配列MGSGMA(配列番号3)を有するアミノ末端リンカーからなる。
好ましくは、上記ポリペプチド断片は、配列番号2に示すアミノ酸配列及びその変異体のアミノ酸5〜190、アミノ酸10〜190、アミノ酸15〜190、アミノ酸20〜190、アミノ酸5〜198、アミノ酸10〜198、アミノ酸15〜198、アミノ酸20〜198からなるアミノ酸配列の群から選択されるアミノ酸配列を有し、又はこれに対応し、上記変異体は、配列番号2によるアミノ酸位置186に又はそれに対応するアミノ酸位置にアミノ酸セリンを含み、エンドヌクレアーゼ活性を保持する。
更なる実施の形態では、本発明によるポリペプチド断片(変異体)は、
(a)配列番号2に示すアミノ酸配列のアミノ酸1〜198、及び任意にアミノ酸配列MGSGMA(配列番号3)を有するアミノ末端リンカーからなり、(i)図1に示すような構造座標、(ii)図2に示すような構造座標、(iii)図3に示すような構造座標、(iv)図4に示すような構造座標、若しくは(v)図5に示すような構造座標によって規定される構造を有し、又は
(b)アミノ酸52〜64がアミノ酸グリシンによって置き換えられた配列番号2に示すアミノ酸配列のアミノ酸1〜198、及び任意にアミノ酸配列MGSGMA(配列番号3)を有するアミノ末端リンカーからなり、(vi)図15に示すような構造座標、若しくは(vii)図16に示すような構造座標によって規定される構造を有する。
本発明による上記ポリペプチド断片が、化合物との共結晶化を伴わない図1に示すような構造座標によって規定される結晶構造(ネイティブの構造)を有することが好ましい。
本発明による上記ポリペプチド断片(変異体)が、或る化合物とともに、好ましくは上記ポリペプチド断片のエンドヌクレアーゼ活性を変調させ、好ましくはこれを阻害する化合物とともに共結晶化した後に、図2〜図5、図15又は図16に示すような構造座標によって規定される結晶構造を有することが更に好ましい。
上記ポリペプチド断片(変異体)が、表1又は表2に記載の化合物とともに共結晶化した後に図2〜図5、図15又は図16に示すような構造座標によって規定される構造を、すなわち、4−[3−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−(フェニルメチル)−3−ピペリジニル]−2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−ブテン酸(EMBL−R05−3)とともに共結晶化した後に図2及び図3に示すような構造座標によって規定される構造を、4−[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−(シクロヘキシルメチル)−4−ピペリジニル]−2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−ブテン酸(EMBL−R05−2)とともに共結晶化した後に図4に示すような構造座標によって規定される構造を、リボウリジン一リン酸(rUMP)とともに共結晶化した後に図5に示すような構造座標によって規定される構造を、4−[3−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−(フェニルメチルスルホ)−3−ピペリジニル]−2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−ブテン酸(EMBL−R05−1)とともに共結晶化した後に図15に示すような構造座標によって規定される構造を、又は[(2R,3R)−5,7−ジヒドロキシ−2−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)クロマン−3−イル]3,4,5−トリヒドロキシベンゾエート(EGCG)とともに共結晶化した後に図16に示すような構造座標によって規定される構造を、有することが特に好ましい。
上記を考慮して、当業者は、上記ポリペプチド断片(変異体)が、図1、図2〜図5、図15又は図16に含まれるそのアミノ酸及び任意にその結合した二価の陽イオンの構造座標のみによって規定される結晶構造を有すること、並びに該結晶構造が、図2〜図5、図15又は図16に同様に含まれる共結晶化に使用されるそれぞれの化合物(すなわち、化合物EMBL−R05−3は図2及び図3において残基記述子(descriptor)ci3を有し、化合物EMBL−R05−2は図4において残基記述子ci2を有し、化合物rUMPは図5において残基記述子Uを有し、化合物EMBL−R05−1は図15において残基記述子ci1を有し、化合物EGCGは図16において残基記述子tteを有する)の構造座標によっては規定されないことを容易に理解するだろう。
図1に示すような構造座標によって規定される構造を有する上記ポリペプチド断片(変異体)が、空間群C2及びa=26.36nm±0.5nm、b=6.62nm±0.3nm、c=6.63nm±0.3nm、α=90度、β=96度±2度、γ=90度の単位格子寸法を有する結晶形態を有し、図2〜図5に示すような構造座標によって規定される構造を有する上記ポリペプチド断片(変異体)が、空間群P212121及びa=5.46nm±0.3nm、b=12.25nm±0.4nm、c=13.0nm±0.3nm、α=90度、β=90度、γ=90度の単位格子寸法を有する結晶形態を有し、図15に示すような構造座標によって規定される構造を有する上記ポリペプチド断片(変異体)が、空間群P6222及びa=7.50nm±0.3nm、b=7.50nm±0.3nm、c=12.00nm±0.5nm、α=90度、β=90度、γ=120度の単位格子寸法を有する結晶形態を有し、又は図16に示すような構造座標によって規定される構造を有する上記ポリペプチド断片(変異体)が、空間群P6422及びa=9.99nm±0.5nm、b=9.99nm±0.5nm、c=8.27nm±0.3nm、α=90度、β=90度、γ=120度の単位格子寸法を有する結晶形態を有することも好ましい。
好ましくは、ポリペプチド断片(変異体)の結晶は、2.8Å以上、好ましくは2.6Å以上、より好ましくは2.5Å以上、更により好ましくは2.4Å以上、最も好ましくは2.1Å以上、又は1.9Å以上の分解能までX線を回折する。例えば、ポリペプチド断片(変異体)の結晶は、1.9Å、2.0Å、2.1Å、2.2Å、2.3Å、2.4Å、2.5Å、2.6Å、2.7Å、2.8Å以上の分解能までX線を回折する。
上で言及した本発明による(単離)PAポリペプチド断片及びその変異体をコードする単離ポリヌクレオチドを提供することは、本発明の別の態様である。
本発明の好ましい実施の形態では、該単離ポリヌクレオチドは、配列番号2に示すアミノ酸配列のアミノ酸1〜198を含むPAポリペプチド断片をコードする。
本発明の別の好ましい実施の形態では、該単離ポリヌクレオチドは、アミノ酸52〜64がアミノ酸グリシンによって置き換えられた配列番号2に示すアミノ酸配列のアミノ酸1〜198を含むPAポリペプチド断片変異体をコードする。
本発明の更に好ましい実施の形態では、該単離ポリヌクレオチドは、アミノ酸52〜72がアミノ酸グリシンによって置き換えられた配列番号2に示すアミノ酸配列のアミノ酸1〜198を含むPAポリペプチド断片変異体をコードする。
本発明の別の更に好ましい実施の形態では、該単離ポリヌクレオチドは、アミノ酸52〜69がアミノ酸グリシンによって置き換えられた配列番号2に示すアミノ酸配列のアミノ酸1〜198を含むPAポリペプチド断片変異体をコードする。
このような単離ヌクレオチド断片を取得するために適用される分子生物学的方法は、概して当業者に既知である(標準的な分子生物学的方法に関しては、Sambrook et al., Eds., "Molecular Cloning: ALaboratoryManual", Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold SpringHarbor, New York(1989)(これは参照により本明細書に援用される)を参照されたい)。例えば、RNAを、インフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスに感染した細胞から単離することができ、ランダムプライマー(例えば、ランダムな六量体若しくは(or)十量体)、又は対象の断片の生成に特異的なプライマーを使用する逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を適用して、cDNAを生成することができる。その後対象の断片を、断片特異的プライマーを使用する標準的なPCRにより増幅することができる。
インフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼのPAサブユニット断片をコードする単離ポリヌクレオチドは、配列番号1由来である。この文脈では、「由来(derived)」は、配列番号1が全長PAポリペプチドをコードし、したがって、好ましいPAポリペプチド断片をコードするポリヌクレオチドが、それぞれコードされるPAポリペプチド断片による要求に応じて、ポリヌクレオチドの3’末端及び/又は5’末端に欠失を含み得ることを表す。
別の態様では、本発明は、本発明による単離ポリヌクレオチドを含む組換えベクターに関する。当業者には、対象のポリヌクレオチド配列のベクター中への取り込みに使用される技法は、十分に明らかである(Sambrook et al., 1989(上記)も参照されたい)。このようなベクターは、プラスミドベクター、コスミドベクター、ラムダファージ等のファージベクター、アデノウイルスベクター若しくはバキュロウイルスベクター等のウイルスベクター、又は細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)若しくはP1人工染色体(PAC)等の人工染色体ベクターを含む、当業者に既知の任意のベクターを含む。上記ベクターは、原核生物発現又は真核生物発現に好適な発現ベクターであり得る。上記プラスミドは、複製開始点(ori)、多重クローニング部位、及びプロモーター(構成的な又は誘導性の)等の調節配列、転写開始部位、リボソーム結合部位、転写終結部位、ポリアデニル化シグナル、及び突然変異又は欠失の相補性に基づく抗生物質耐性マーカー又は栄養要求性マーカー等の選択マーカーを含み得る。1つの実施の形態では、対象のポリヌクレオチド配列は、調節配列と操作可能に連結している。
別の実施の形態では、上記ベクターは、対象のポリペプチド断片の精製を容易にするエピトープタグ、ペプチドタグ又はタンパク質タグをコードするヌクレオチド配列を含む。このようなエピトープタグ、ペプチドタグ又はタンパク質タグは、ヘマグルチニンタグ(HAタグ)、FLAGタグ、mycタグ、ポリHisタグ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼタグ(GSTタグ)、マルトース結合タンパク質タグ(MBPタグ)、NusAタグ及びチオレドキシンタグ、又は(高感度)緑色蛍光タンパク質((E)GFP)、(高感度)黄色蛍光タンパク質((E)YFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)(イソギンチャクモドキ(Discosoma)の種由来の赤色蛍光タンパク質(DsRed)、若しくは単量体赤色蛍光タンパク質(mRFP))、シアン蛍光タンパク質(CFP)等の蛍光タンパク質タグ等を含むがこれらに限定されない。好ましい実施の形態では、エピトープタグ、ペプチドタグ又はタンパク質タグを、例えばトロンビン、第Xa因子、PreScission、TEVプロテアーゼ等のようなプロテアーゼを使用して、対象のポリペプチド断片から切断することができる。好ましくは、該タグは、TEVプロテアーゼを使用して切断する(cleavedoff)ことができる。このようなプロテアーゼに関する認識部位は、当業者に既知である。例えば、TEVプロテアーゼ認識部位のアミノ酸数7のコンセンサス配列は、Glu−X−X−Tyr−X−Gln−Gly/Ser(ここで、Xはどのようなアミノ酸でもよい)であり、本発明との関連では、好ましくはGlu−Asn−Leu−Tyr−Phe−Gln−Gly(配列番号12)である。別の実施の形態では、ベクターは、組換え宿主細胞の培養培地中への、又は細菌の細胞膜周辺腔中への、対象のポリペプチド断片の分泌をもたらす機能的配列を含む。シグナル配列断片は、通常、細胞からのタンパク質の分泌を指示する疎水性アミノ酸を含むシグナルペプチドをコードする。タンパク質は、増殖培地中に(グラム陽性細菌)、又は細胞の内膜と外膜との間に位置する細胞膜周辺腔中に(グラム陰性細菌)分泌される。好ましくは、in vivo又はin vitroで切断され、シグナルペプチド断片と外来遺伝子との間にコードされ得るプロセシング部位が存在する。
別の態様では、本発明は、本発明による単離ポリヌクレオチド又は本発明による組換えベクターを含む組換え宿主細胞を提供する。組換え宿主細胞は、古細菌細胞及び細菌細胞等の原核生物細胞、又は酵母細胞、植物細胞、昆虫細胞若しくは哺乳動物細胞等の真核生物細胞であり得る。好ましい実施の形態では、宿主細胞は、大腸菌細胞等の細菌細胞である。当業者には、上記単離ポリヌクレオチド又は上記組換えベクターを上記宿主細胞中に導入する方法は、十分に明らかである。例えば、細菌細胞は、例えば化学的形質転換(例えば塩化カルシウム法)又はエレクトロポレーションを使用して、容易に形質転換することができる。酵母細胞は、例えば、酢酸リチウム形質転換法又はエレクトロポレーションを使用して、形質転換することができる。他の真核生物細胞は、例えば、Lipofectamine(商標)(Invitrogen)等の市販のリポソーム系トランスフェクションキット、Fugene(RocheDiagnostics)等の市販の脂質系トランスフェクションキット、ポリエチレングリコール系トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、遺伝子銃(微粒子銃)、エレクトロポレーション又はウイルス感染を使用して、トランスフェクトすることができる。本発明の好ましい実施の形態では、組換え宿主細胞は、対象のポリヌクレオチド断片を発現する。更により好ましい実施の形態では、上記発現は、本発明の可溶性ポリペプチド断片をもたらす。これらのポリペプチド断片は、上で言及したエピトープタグ、ペプチドタグ又はタンパク質タグを任意に利用して、当業者に既知のタンパク質精製法を使用して、精製することができる。
別の一態様では、本発明は、インフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルス由来のRNA依存性RNAポリメラーゼのPAサブユニット又はその変異体のエンドヌクレアーゼ活性を変調させる化合物を同定する方法であって、
(a)(i)図1に示すような本発明によるポリペプチド断片の構造座標、(ii)図2に示すような本発明によるポリペプチド断片の構造座標、(iii)図3に示すような本発明によるポリペプチド断片の構造座標、(iv)図4に示すような本発明によるポリペプチド断片の構造座標、(v)図5に示すような本発明によるポリペプチド断片の構造座標、(vi)図15に示すような本発明によるポリペプチド断片(変異体)の構造座標、又は(vii)図16に示すような本発明によるポリペプチド断片(変異体)の構造座標によって規定される活性部位のコンピュータモデルを構築する工程と、
(b)有望な変調させる化合物を選択する工程であって、
(i)分子断片を集合化させて上記化合物とすることと、
(ii)小分子データベースから化合物を選択することと、
(iii)上記化合物の新規リガンド設計と
からなる群から選択される方法によって、有望な変調させる化合物を選択する工程と、
(c)計算手段を利用する工程であって、該活性部位における上記化合物のエネルギーを最小化した立体配置を提供するために、上記化合物と上記活性部位とのコンピュータモデル間のフィッティングプログラム操作を行う、計算手段を利用する工程と、
(d)上記フィッティング操作の結果を評価する工程であって、上記化合物と該活性部位モデルとの間の会合を定量化して、それによって上記活性部位と会合する上記化合物の能力を評価する、結果を評価する工程と
を含む、化合物を同定する方法に関する。
好ましい実施の形態では、(i)図1に示すような本発明によるポリペプチド断片の構造座標(すなわちアミノ酸構造座標)、及び図1に示すような二価の陽イオンの構造座標、(ii)図2に示すような本発明によるポリペプチド断片の構造座標(すなわちアミノ酸構造座標)、及び図2に示すような二価の陽イオンの構造座標、(iii)図3に示すような本発明によるポリペプチド断片の構造座標、及び図3に示すような二価の陽イオンの構造座標、(iv)図4に示すような本発明によるポリペプチド断片の構造座標、及び図4に示すような二価の陽イオンの構造座標、(v)図5に示すような本発明によるポリペプチド断片の構造座標、及び図5に示すような二価の陽イオンの構造座標、(vi)図15に示すような本発明によるポリペプチド断片(変異体)の構造座標(すなわちアミノ酸構造座標)、及び図15に示すような二価の陽イオンの構造座標、並びに/又は(vii)図16に示すような本発明によるポリペプチド断片(変異体)の構造座標(すなわちアミノ酸構造座標)、及び図16に示すような二価の陽イオンの構造座標によって規定される活性部位のコンピュータモデルが、本発明の方法の工程a)において構築される。
好ましくは、該変調させる化合物は、インフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルス由来のRNA依存性RNAポリメラーゼのPAサブユニット又はその変異体内のヌクレオチド鎖切断活性部位と会合し、好ましくはこれと結合する。該変調させる化合物は、上記ヌクレオチド鎖切断活性を増大又は減少させることができ、好ましくはこれを減少させることができる。
本発明のこの態様の好ましい実施の形態では、インフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルス由来のRNA依存性RNAポリメラーゼのPAサブユニット又はその変異体のエンドヌクレアーゼ活性を変調させる化合物は上記活性を減少させ、より好ましくは上記化合物は上記活性を阻害する。好ましくは、該化合物は、インフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルス由来のRNA依存性RNAポリメラーゼのPAサブユニット又はその変異体のヌクレオチド鎖切断活性を、上記化合物の非存在下における、しかしそれ以外は同じ反応条件、すなわち緩衝剤条件、反応時間及び反応温度による上記PAサブユニット又はその変異体のヌクレオチド鎖切断活性と比較して50%、より好ましくは60%、更により好ましくは70%、更により好ましくは80%、更により好ましくは90%、最も好ましくは100%減少させる。該化合物が、インフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルス由来のRNA依存性RNAポリメラーゼのPAサブユニット又はその変異体のヌクレオチド鎖切断活性を特異的に減少させる又は阻害するが、他のエンドヌクレアーゼ、特に哺乳動物のエンドヌクレアーゼのヌクレオチド鎖切断活性を同じ程度までは減少させず又は阻害せず、好ましくは全く減少させない又は阻害しないことが特に好ましい。
本発明によって、図1による(ネイティブの)ヌクレオチド鎖切断活性部位の構造座標に基づき、インフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルス由来のRNA依存性RNAポリメラーゼのPAサブユニット又はその変異体のヌクレオチド鎖切断活性を変調させる可能性がある化合物を同定、選択又は設計する分子設計技法の使用が可能となる。本発明によって初めて、図2〜図5、図15又は図16によるヌクレオチド鎖切断活性部位の構造座標に基づき、インフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルス由来のRNA依存性RNAポリメラーゼのPAサブユニット又はその変異体のヌクレオチド鎖切断活性を変調させる可能性がある化合物の同定、選択及び設計の最適化が更に可能となる。上記構造座標は、変調させる化合物とともに、好ましくは4−[3−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−(フェニルメチル)−3−ピペリジニル]−2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−ブテン酸(EMBL−R05−3)とともに(図2及び図3を参照されたい)、4−[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−(シクロヘキシルメチル)−4−ピペリジニル]−2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−ブテン酸(EMBL−R05−2)とともに(図4を参照されたい)、リボウリジン一リン酸(rUMP)とともに(図5を参照されたい)、4−[3−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−(フェニルメチルスルホ)−3−ピペリジニル]−2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−ブテン酸(EMBL−R05−1)とともに(図15を参照されたい)、又は[(2R,3R)−5,7−ジヒドロキシ−2−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)クロマン−3−イル]3,4,5−トリヒドロキシベンゾエート(EGCG)とともに(図16を参照されたい)共結晶化させた本発明によるポリペプチド断片(ポリペプチド断片変異体)から得られたものである(表1又は表2も参照されたい)。すなわち、本発明者らは驚くべきことに、上記ポリペプチド断片(変異体)が化合物の結合後にその立体配座を変化させるため、化合物が結合していない本発明のポリペプチド断片(変異体)(すなわちネイティブのポリペプチド断片(変異体))の構造座標(例えば、図1を参照されたい)が、化合物が結合した本発明のポリペプチド断片(変異体)の構造座標(例えば、図2〜図5、図15又は図16を参照されたい)と異なることを見出した。したがって、この新たな三次元の知識によって、その効力を改善するための既存の阻害剤に対する修飾の設計の最適化、又はエンドヌクレアーゼ活性を効果的に遮断する新規な阻害剤の設計及び最適化が可能となる。
このような予測モデルは、ヌクレオチド鎖切断活性を変調させる可能性を有する多数の多様な化合物の調製及び試験に関連する費用が高いという観点から貴重である。インフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAポリペプチド断片(変異体)に関して生成した構造座標を使用するために、構造座標を三次元形状に変換することが必要である。これは、一組の構造座標から分子又はその一部分の三次元グラフ表示を生成することができる市販のソフトウェアの使用により達成される。このようなコンピュータプログラムの例は、MODELER(Sali and Blundell, 1993, J. Mol. Biol. 234:779-815、Insight IIホモロジーソフトウェアパッケージ(Insight II(97.0)、Molecular Simulations Incorporated(SanDiego,CA))中で実行される)である。
当業者は、インフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニット又はインフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニットのPAポリペプチド変異体のヌクレオチド鎖切断活性を変調させるその能力に関して、化学的物質又は断片をスクリーニングする複数の方法を使用することができる。このプロセスは、例えば、図1〜図5、図15又は図16による構造座標に基づくPAのヌクレオチド鎖切断活性部位の三次元コンピュータモデルの目視検査により、開始し得る。選択した断片又は化学的化合物は、その後様々な方向で位置づけることができ、又は活性部位内にドッキングすることができる。Cerius、Quanta及びSybyl(Tripos Associates(St. Louis, MO))等のソフトウェアを使用してドッキングを達成することができ、その後OPLS−AA、CHARMM及びAMBER等の標準的な分子動力学力場を用いてエネルギー最小化及び分子動力学的検討を行う。好適な化合物又は断片を選択するプロセスにおいて当業者を支援することができる更なる特別なコンピュータプログラムは、例えば、(i)AUTODOCK(Goodsell et al., 1990, Proteins: Struct., Funct., Genet. 8: 195-202;AUTODOCKはThe Scripps Research Institute(La Jolla, CA)から入手可能である)、及び(ii)DOCK(Kuntz et al., 1982, J. Mol. Biol., 161: 269-288;DOCKは、カリフォルニア大学(San Francisco, CA)から入手可能である)を含む。
好適な化合物又は断片が選択されると、それらを設計するか、又は集合化させ単一の化合物又は複合体とすることができる。この手動のモデル構築は、Quanta又はSybyl等のソフトウェアを使用して行われる。個々の化合物又は断片を連結する際に当業者を支援する有用なプログラムは、例えば、(i)CAVEAT(Bartlett et al., 1989, in Molecular Recognition in Chemical andBiologicalProblems, Special Publication, Royal Chem. Soc., 78:182-196、Lauri and Bartlett, 1994, J. Comp. Aid. Mol. Des. 8:51-66;CAVEATはカリフォルニア大学(Berkley, CA)から入手可能である)、(ii)ISIS(MDLInformationSystems(San Leandro, CA);Martin,1992, J. Med. Chem. 35:2145-2154中で概説されている)等の3Dデータベースシステム、及び(iii)HOOK(Eisen et al., 1994, Proteins: Struct., Funct., Genet. 19:199-221;HOOKはMolecular Simulations Incorporated(SanDiego,CA)から入手可能である)を含む。
本発明により可能となる別のアプローチは、インフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニットのヌクレオチド鎖切断活性部位、又はインフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAポリペプチド変異体の活性部位と全体的に又は部分的に結合することができる化合物に関する小分子データベースの計算によるスクリーニングである。このスクリーニングでは、このような化合物の活性部位への適合(fit)の質は、形状相補性により、又は推定相互作用エネルギーにより、判断することができる(Meng et al., 1992, J. Comp. Chem. 13:505-524)。
代替的に、インフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニット又はインフルエンザA2009パンデミックH1N1のそのポリペプチド変異体のヌクレオチド鎖切断活性の有望な変調剤(modulator)、好ましくはヌクレオチド鎖切断活性の阻害剤は、図1〜図5によるPAポリペプチド断片の3D構造に基づいて新規に設計され得る。当業者が利用可能な、様々な新規のリガンド設計方法が存在する。このような方法は、(i)LUDI(Bohm, 1992, J. Comp. Aid. Mol. Des. 6:61-78;LUDIはMolecular Simulations Incorporated(SanDiego,CA)から入手可能である)、(ii)LEGEND(Nishibata and Itai,Tetrahedron47:8985-8990;LEGENDはMolecular SimulationsIncorporated(San Diego, CA)から入手可能である)、(iii)LeapFrog(TriposAssociates(St. Louis, MO)から入手可能)、(iv)SPROUT(Gillet et al., 1993, J. Comp. Aid. Mol. Des. 7:127-153;SPROUTはリーズ大学(UK)から入手可能である)、(v)GROUPBUILD(Rotstein andMurcko,1993, J. Med. Chem. 36:1700-1710)、及び(vi)GROW(Moonand Howe,1991, Proteins 11:314-328)を含む。
加えて、ヌクレオチド鎖切断活性部位の有望な変調剤及び/又は阻害剤、好ましくはヌクレオチド鎖切断活性部位の結合パートナーの新規の設計及びモデリングの際に当業者を支援することができる複数の分子モデリング技法(参照により本明細書に援用される)が記載されており、例えば、Cohen et al., 1990, J. Med. Chem. 33:883-894、Navia and Murcko, 1992, Curr. Opin. Struct. Biol. 2:202-210、Balbes et al., 1994, Reviews in Computational Chemistry, Vol.5,Lipkowitz and Boyd, Eds., VCH, New York, pp. 37-380、Guida,1994,Curr. Opin. Struct. Biol. 4:777-781を含む。
インフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニット又はその変異体のヌクレオチド鎖切断活性部位と結合するものとして設計又は選択された分子は、その結合状態において好ましくは標的領域との反発的な静電的相互作用を欠くように、更に計算によって最適化することができる。このような非相補的な(例えば静電的な)相互作用は、反発的な電荷−電荷相互作用、双極子−双極子相互作用及び電荷−双極子相互作用を含む。具体的には、結合状態における結合化合物と結合ポケットとの間の全静電的相互作用の合計は、好ましくは結合のエンタルピーに対する中立的な(neutral)又は好ましい寄与をもたらす。化合物変形エネルギー及び静電的相互作用を評価することができる特定のコンピュータプログラムが、当該技術分野で利用可能である。好適なプログラムの例は、(i)Gaussian 92、revision C(Frisch, Gaussian, Incorporated(Pittsburgh,PA))、(ii)AMBER、4.0版(Kollman, カリフォルニア大学(San Francisco, CA))、(iii)QUANTA/CHARMM(MolecularSimulations Incorporated(San Diego,CA))、(iv)OPLS−AA(Jorgensen, 1998, Encyclopedia ofComputational Chemistry, Schleyer,Ed., Wiley, New York, Vol. 3, pp. 1986-1989)、及び(v)Insight II/Discover(Biosysm Technologies Incorporated(SanDiego,CA))を含む。これらのプログラムは、例えば、Silicon Graphicsワークステーション、IRIS 4D/35又はIBM RISC/6000ワークステーションモデル550を使用して、実行することができる。他のハードウェアシステム及びソフトウェアパッケージが、当業者に既知である。
上で説明したように、対象の分子が選択又は設計されると、その後、その結合特性を改善又は修正するために、その原子又は側基の幾つかにおいて置換が為され得る。概して、初期置換は保存的であり、すなわち、置換基は元の基とおよそ同じサイズ、形状、疎水性及び電荷を有する。勿論、立体配座を変化させることが当該技術分野において知られている成分は避けるべきであると理解すべきである。このような置換した化学的化合物は、その後、上で詳細に説明した同様のコンピュータによる(computer)方法により、インフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニット又はその変異体のヌクレオチド鎖切断活性部位への適合の効率に関して分析することができる。
上で記載した本発明の方法の1つの実施の形態では、インフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニット又はその変異体のヌクレオチド鎖切断活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120及びHis41、又はそれに対応するアミノ酸を含む。別の実施の形態では、上記活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41及びLys34、又はそれに対応するアミノ酸を含む。別の実施の形態では、上記活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41及びTyr24、又はそれに対応するアミノ酸を含む。別の実施の形態では、上記活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41及びArg84、又はそれに対応するアミノ酸を含む。別の実施の形態では、上記活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41及びPhe105、又はそれに対応するアミノ酸を含む。別の実施の形態では、上記活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41及びTyr130、又はそれに対応するアミノ酸を含む。別の実施の形態では、上記活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41及びIle38、又はそれに対応するアミノ酸を含む。別の実施の形態では、上記活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41及びArg124、又はそれに対応するアミノ酸を含む。別の実施の形態では、上記活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34及びTyr24、又はそれに対応するアミノ酸を含む。別の実施の形態では、上記活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24及びArg84、又はそれに対応するアミノ酸を含む。別の実施の形態では、上記活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84及びPhe105、又はそれに対応するアミノ酸を含む。別の実施の形態では、上記活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105及びTyr130、又はそれに対応するアミノ酸を含む。別の実施の形態では、上記活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130及びIle38、又はそれに対応するアミノ酸を含む。別の実施の形態では、上記活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38及びArg124、又はそれに対応するアミノ酸を含む。
更に別の実施の形態では、上記活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38及びGlu26、若しくはそれに対応するアミノ酸、又は配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Arg124及びGlu26、若しくはそれに対応するアミノ酸を含む。更に別の実施の形態では、上記活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38及びLys134、若しくはそれに対応するアミノ酸、又は配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Arg124及びLys134、若しくはそれに対応するアミノ酸を含む。更に別の実施の形態では、上記活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38及びLeu106、若しくはそれに対応するアミノ酸、又は配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Arg124及びLeu106、若しくはそれに対応するアミノ酸を含む。更に別の実施の形態では、上記活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38及びLys137、若しくはそれに対応するアミノ酸、又は配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Arg124及びLys137、若しくはそれに対応するアミノ酸を含む。更に別の実施の形態では、上記活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Gly26及びLys134、若しくはそれに対応するアミノ酸、又は配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Arg124、Gly26及びLys134、若しくはそれに対応するアミノ酸を含む。更に別の実施の形態では、上記活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Leu106及びLys137、若しくはそれに対応するアミノ酸、又は配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Arg124、Leu106及びLys137、若しくはそれに対応するアミノ酸を含む。更に別の実施の形態では、上記活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Glu26及びLys137、若しくはそれに対応するアミノ酸、又は配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Arg124、Glu26及びLys137、若しくはそれに対応するアミノ酸を含む。更に別の実施の形態では、上記活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Glu26及びLeu106、若しくはそれに対応するアミノ酸、又は配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Arg124、Glu26及びLeu106、若しくはそれに対応するアミノ酸を含む。更に別の実施の形態では、上記活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Lys134及びLeu106、若しくはそれに対応するアミノ酸、又は配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Arg124、Lys134及びLeu106、若しくはそれに対応するアミノ酸を含む。更に別の実施の形態では、上記活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Lys134及びLys137、若しくはそれに対応するアミノ酸、又は配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Arg124、Lys134及びLys137、若しくはそれに対応するアミノ酸を含む。更に別の実施の形態では、上記活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Glu26、Lys134及びLeu106、若しくはそれに対応するアミノ酸、又は配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Arg124、Glu26、Lys134及びLeu106、若しくはそれに対応するアミノ酸を含む。更に別の実施の形態では、上記活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Glu26、Lys134、Leu106及びLys137、若しくはそれに対応するアミノ酸、又は配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Arg124、Glu26、Lys134、Leu106及びLys137、若しくはそれに対応するアミノ酸を含む。
更なる実施の形態では、上記活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41及びGlu26、又はそれに対応するアミノ酸を含む。更なる実施の形態では、上記活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41及びLys134、又はそれに対応するアミノ酸を含む。更なる実施の形態では、上記活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41及びLeu106、又はそれに対応するアミノ酸を含む。更なる実施の形態では、上記活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41及びLys137、又はそれに対応するアミノ酸を含む。更なる実施の形態では、上記活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Glu26及びLys134、又はそれに対応するアミノ酸を含む。更なる実施の形態では、上記活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Glu26、Lys134及びLeu106、又はそれに対応するアミノ酸を含む。更なる実施の形態では、上記活性部位は、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Glu26、Lys134、Leu106及びLys137、又はそれに対応するアミノ酸を含む。
上で記載した本発明の方法の1つの実施の形態では、インフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニット又はその変異体のヌクレオチド鎖切断活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120及びHis41の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120及びHis41にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile及びHisの構造座標によって規定される。別の実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41及びLys34の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120及びHis41及びLys34にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His及びLysの構造座標によって規定される。別の実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41及びTyr24の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41及びTyr24にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His及びTyrの構造座標によって規定される。別の実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41及びArg84の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41及びArg84にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His及びArgの構造座標によって規定される。別の実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41及びPhe105の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41及びPhe105にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His及びPheの構造座標によって規定される。別の実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41及びTyr130の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41及びTyr130にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His及びTyrの構造座標によって規定される。別の実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41及びIle38の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41及びIle38にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His及びIleの構造座標によって規定される。別の実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41及びArg124の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41及びArg124にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His及びArgの構造座標によって規定される。
別の実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34及びTyr24の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34及びTyr24にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His、Lys及びTyrの構造座標によって規定される。別の実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24及びArg84の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24及びArg84にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His、Lys、Tyr及びArgの構造座標によって規定される。別の実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84及びPhe105の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84及びPhe105にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His、Lys、Tyr、Arg及びPheの構造座標によって規定される。別の実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105及びTyr130の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105及びTyr130にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His、Lys、Tyr、Arg、Phe及びTyrの構造座標によって規定される。別の実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130及びIle38の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130及びIle38にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His、Lys、Tyr、Arg、Phe、Tyr及びIleの構造座標によって規定される。別の実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38及びArg124の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38及びArg124にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His、Lys、Tyr、Arg、Phe、Tyr、Ile及びArgの構造座標によって規定される。
更に別の実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38及びGlu26の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38及びGlu26にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His、Lys、Tyr、Arg、Phe、Tyr、Ile及びGluの構造座標によって規定される。更に別の実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38及びLys134の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38及びLys134にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His、Lys、Tyr、Arg、Phe、Tyr、Ile及びLysの構造座標によって規定される。更に別の実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38及びLeu106の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38及びLeu106にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His、Lys、Tyr、Arg、Phe、Tyr、Ile及びLeuの構造座標によって規定される。更に別の実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38及びLys137の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38及びLys137にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His、Lys、Tyr、Arg、Phe、Tyr、Ile及びLysの構造座標によって規定される。更に別の実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Gly26及びLys134の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Glu26及びLys134にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His、Lys、Tyr、Arg、Phe、Tyr、Ile、Glu及びLysの構造座標によって規定される。更に別の実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Leu106及びLys137の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Leu106及びLys137にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His、Lys、Tyr、Arg、Phe、Tyr、Ile、Leu及びLysの構造座標によって規定される。更に別の実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Glu26及びLys137の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Glu26及びLys137にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His、Lys、Tyr、Arg、Phe、Tyr、Ile、Glu及びLysの構造座標によって規定される。更に別の実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Glu26及びLeu106の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Glu26及びLeu106にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His、Lys、Tyr、Arg、Phe、Tyr、Ile、Glu及びLeuの構造座標によって規定される。更に別の実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Lys134及びLeu106の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Lys134及びLeu106にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His、Lys、Tyr、Arg、Phe、Tyr、Ile、Lys及びLeuの構造座標によって規定される。更に別の実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Lys134及びLys137の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Lys134及びLys137にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His、Lys、Tyr、Arg、Phe、Tyr、Ile、Lys及びLysの構造座標によって規定される。更に別の実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Glu26、Lys134及びLeu106の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Glu26、Lys134及びLeu106にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His、Lys、Tyr、Arg、Phe、Tyr、Ile、Glu、Lys及びLeuの構造座標によって規定される。更に別の実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Glu26、Lys134、Leu106及びLys137の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Glu26、Lys134、Leu106及びLys137にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His、Lys、Tyr、Arg、Phe、Tyr、Ile、Glu、Lys、Leu及びLysの構造座標によって規定される。更に別の実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Arg124、Glu26、Lys134、Leu106及びLys137の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Arg124、Glu26、Lys134、Leu106及びLys137にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His、Lys、Tyr、Arg、Phe、Tyr、Ile、Arg、Glu、Lys、Leu及びLysの構造座標によって規定される。
更なる実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41及びGlu26の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41及びGlu26にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His及びGluの構造座標によって規定される。更なる実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41及びLys134の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41及びLys134にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His及びLysの構造座標によって規定される。更なる実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41及びLeu106の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41及びLeu106にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His及びLeuの構造座標によって規定される。更なる実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41及びLys137の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41及びLys137にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His及びLysの構造座標によって規定される。更なる実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Glu26及びLys134の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Glu26及びLys134にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His、Glu及びLysの構造座標によって規定される。更なる実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Glu26、Lys134及びLeu106の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Glu26、Lys134及びLeu106にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His、Glu、Lys及びLeuの構造座標によって規定される。更なる実施の形態では、上記活性部位は、図1〜図5によるPAサブユニット(配列番号2)のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Glu26、Lys134、Leu106及びLys137の構造座標によって、又は図15若しくは図16による配列番号2のアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Glu26、Lys134、Leu106及びLys137にそれぞれ対応するPAサブユニットのアミノ酸Glu、Glu、Asp、Ile、His、Glu、Lys、Leu及びLysの構造座標によって規定される。
本発明の発明者らは驚くべきことに、インフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニットの活性部位内の配列番号2によるアミノ酸His41、Glu80、Asp108、Glu119及びIle120が二価の陽イオンの結合に必要とされ(例えば図1及び図6を参照されたい)、インフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニットの活性部位内の配列番号2によるアミノ酸Tyr24、Lys34、Ile38、Arg84、Phe105及びTyr130が、図2〜図5に示す構造における化合物(すなわち阻害剤)の結合に必要とされ(図7〜図10並びに表1及び表2も参照されたい)、非連結構造からその立体配座が変化するアミノ酸であることを見出した(図1及び図6を参照されたい)。加えて、本発明の発明者らは、インフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニットの活性部位内の配列番号2によるアミノ酸残基Leu106、Lys134、Lys137及びGlue26も、試験される化合物との接触を形成するのに必要とされることを決定した(表1及び表2、図2〜図5及び図7〜図10を参照されたい)。図15〜図19も参照されたい。加えて、本発明の発明者らは、インフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニットの活性部位内のアミノ酸Arg124が、図16及び図18に示す構造における化合物(すなわち阻害剤)の相互作用に必要とされることを見出した。化合物/リガンドと相互作用する残基及び活性部位の可塑性に関するこの三次元の知識は、その効力を改善するための既存の阻害剤に対する修飾の設計の最適化に重要である。加えて、したがって、これらのアミノ酸と相互作用する新たな抗ウイルス化合物の設計、同定及び選択が、非常に好ましい。
以上に記載される方法によるコンピュータモデリングがインフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニット又はその変異体の活性部位に対する或る化合物の結合を示す場合、上記化合物を合成することができ、任意に、上記化合物又はその薬学的に許容可能な塩を、1つ又は複数の薬学的に許容可能な添加物及び/又は担体とともに配合することができる。したがって、上で記載した方法は、
(e)上記化合物を合成するとともに、任意に、1つ又は複数の薬学的に許容可能な添加物及び/又は担体とともに上記化合物又はその薬学的に許容可能な塩を配合する更なる工程
を含み得る。
任意に、インフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニット又はその変異体のヌクレオチド鎖切断活性を変調させ、好ましくはこれを減少させ、より好ましくはこれを阻害する上記化合物若しくはその薬学的に許容可能な塩又はその配合物の能力を、
(f)本発明によるPAポリペプチド断片若しくはその変異体又は本発明による組換え宿主細胞と上記化合物を接触させる更なる工程であって、インフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニットポリペプチド断片又はその変異体の(i)活性部位と結合し、及び/又は(ii)ヌクレオチド鎖切断活性を変調させ、好ましくはこれを減少させ、より好ましくはこれを阻害する上記化合物の能力を決定する、接触させる更なる工程を含むin vitro又はin vivoの方法で試験することができる。活性部位に対するこのような化合物の適合の質は、形状の相補性によって、又は推定相互作用エネルギーによって判断することができる(Meng et al., 1992, J. Comp. Chem. 13:505-524)。上記化合物を合成する方法は当業者に既知であり、又はこのような化合物は市販されていることがある。
本発明によるインフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニット又はその変異体のエンドヌクレアーゼ活性を変調させることができ、好ましくはこれを減少させることができ、より好ましくはこれを阻害することができる化合物を提供することは、本発明の別の態様である。該化合物が、本発明によるPAサブユニット又はその変異体のエンドヌクレアーゼ活性を、上記PAサブユニット又はその変異体のヌクレオチド鎖切断活性部位と会合することによって、好ましくはこれと結合することによって、変調させることができ、好ましくはこれを減少させることができ、より好ましくはこれを阻害することができることが好ましい。
本発明によるインフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニットポリペプチド断片又はその変異体のエンドヌクレアーゼ活性を変調させることができ、好ましくはこれを減少させることができ、より好ましくはこれを阻害することができる化合物を提供することも、本発明の態様である。該化合物が、本発明によるPAサブユニットポリペプチド断片又はその変異体のエンドヌクレアーゼ活性を、上記PAサブユニットポリペプチド断片又はその変異体のヌクレオチド鎖切断活性部位と会合することによって、好ましくはこれと結合することによって、変調させることができ、好ましくはこれを減少させることができ、より好ましくはこれを阻害することができることが好ましい。
他のウイルス、好ましくはオルトミクソウイルス科、ブニヤウイルス科及び/又はアレナウイルス科のウイルスのPAサブユニットのエンドヌクレアーゼ活性を変調させることができ、好ましくはこれを減少させることができ、より好ましくはこれを阻害することができる化合物を提供することは、本発明の更なる態様である。該化合物が、他のウイルス、好ましくはオルトミクソウイルス科、ブニヤウイルス科及び/又はアレナウイルス科のウイルスのPAサブユニットのエンドヌクレアーゼ活性を、上記PAサブユニットのヌクレオチド鎖切断活性部位と会合することによって、好ましくはこれと結合することによって、変調させることができ、好ましくはこれを減少させることができ、より好ましくはこれを阻害することができることが好ましい。
好ましくは、上で言及したPAサブユニット若しくはその変異体、又はPAサブユニットポリペプチド断片若しくはその変異体のヌクレオチド鎖切断活性部位は、上で規定したような構造を有する。
したがって、上記活性部位が、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120及びHis41、又はそれに対応するアミノ酸を含むことが好ましい。
上記活性部位が、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130及びIle38、若しくはそれに対応するアミノ酸を含み、又は配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38及びArg124、若しくはそれに対応するアミノ酸を含むことがより好ましい。
上記活性部位が、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Glu26、Lys134、Leu106及びLys137、又はそれに対応するアミノ酸を含むこともより好ましい。
上記活性部位(site)が、配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Glu26、Lys134、Leu106及びLys137、若しくはそれに対応するアミノ酸を含み、又は配列番号2によるPAサブユニットのアミノ酸Glu80、Glu119、Asp108、Ile120、His41、Lys34、Tyr24、Arg84、Phe105、Tyr130、Ile38、Arg124、Glu26、Lys134、Leu106及びLys137、若しくはそれに対応するアミノ酸を含むことが最も好ましい。
好ましくは、上で言及したPAサブユニット若しくはその変異体、又はPAサブユニットポリペプチド断片若しくはその変異体のヌクレオチド鎖切断活性部位が、上で言及したようなPAサブユニットの構造座標によって規定される。
上で言及したPAサブユニット若しくはその変異体、若しくはPAサブユニットポリペプチド断片若しくはその変異体のヌクレオチド鎖切断活性部位と会合し、好ましくはこれと結合し、及び/又はPAサブユニット若しくはその変異体、若しくはPAサブユニットポリペプチド断片若しくはその変異体のヌクレオチド鎖切断活性を変調させ、好ましくはこれを減少させ、より好ましくはこれを阻害する或る化合物の能力は、容易に評価することができる。例えば、精製したPAサブユニット又はPAサブユニットポリペプチド断片とその基質、例えばパンハンドルRNA又は一本鎖DNAとを、様々な量の試験化合物の存在下又は非存在下で接触させ、或る特定の期間、例えば5分間、10分間、15分間、20分間、30分間、40分間、60分間又は90分間インキュベートする。反応条件は、PAサブユニット又はPAサブユニットポリペプチド断片が試験化合物の非存在下でヌクレオチド鎖切断活性を有するように選ぶ。その後、基質を、分解/ヌクレオチド鎖切断に関して、例えばゲル電気泳動によって分析する。代替的には、このような試験は、基質分子がヌクレオチド鎖切断された場合にはシグナルをもたらすが基質分子が未変化である場合にはシグナルをもたらさない標識した基質分子を含み得る。例えば、基質ポリヌクレオチド鎖を、基質ポリヌクレオチド鎖が未変化である場合には蛍光レポーターが消光されるように、蛍光レポーター分子及び蛍光クエンチャーを用いて標識することができる。基質ポリヌクレオチド鎖が切断された場合には蛍光レポーター及びクエンチャーは分離し、したがって蛍光レポーターは、例えばELISAリーダーによって、検出することができるシグナルを放出する。更なる好適な方法を以下に記載する。
好ましくは、上記化合物は、上で記載した方法によって同定可能である。より好ましくは、上記化合物は、上で記載した方法によって同定される。
上で記載した方法によって同定可能な化合物は、インフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニット又はその変異体のエンドヌクレアーゼ活性を変調させることができる場合がある。上で記載した方法によって同定可能な化合物は、本発明によるインフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニットポリペプチド断片又はその変異体のエンドヌクレアーゼ活性を変調させることができる場合があり、好ましくはこれを減少させることができる場合があり、より好ましくはこれを阻害することができる場合がある。上で言及した方法によって同定可能な化合物が、他のウイルス、好ましくはオルトミクソウイルス科、ブニヤウイルス科及び/又はアレナウイルス科のウイルスのPAサブユニットのエンドヌクレアーゼ活性を変調させることができる場合があり、好ましくはこれを減少させることができる場合があり、最も好ましくはこれを阻害することができる場合があることも考え得る。
本発明の化合物は、ペプチド、ペプトイド、ポリペプチド、タンパク質(抗体を含む)、脂質、金属、ヌクレオチド、ヌクレオシド、核酸、有機小分子若しくは無機小分子、化学的化合物、元素、糖類、同位体、炭水化物、造影剤、リポタンパク質、糖タンパク質、酵素、分析プローブ、ポリアミン、並びにその組合せ及び誘導体を含むがこれらに限定されない任意の作用物質であり得る。「小分子」という用語は、50ダルトン〜約2500ダルトン、好ましくは200ダルトン〜800ダルトンの範囲の分子量を有する分子を表す。加えて、本発明による試験化合物は、検出可能な標識を任意に含み得る。このような標識は、酵素標識、放射性同位体又は放射性化合物若しくは放射性元素、蛍光化合物又は蛍光金属、化学発光化合物、及び生物発光化合物を含むがこれらに限定されない。
本発明による化合物の好ましい実施の形態では、化合物は、4−置換2−ジオキソブタン酸、4−置換4−ジオキソブタン酸、4−置換2,4−ジオキソブタン酸、2,6−ジケトピペラジン若しくはその誘導体、置換2,6−ジケトピペラジン若しくはその誘導体ピラジン−2,6−ジオン若しくは置換ピラジン−2,6−ジオン、例えばフルチミド、N−ヒドロキサム酸、又はN−ヒドロキシミド(hydroxymide)ではない。
特に、本発明による化合物は、式I:
による化合物ではない。
本発明による化合物の別の好ましい実施の形態では、化合物は、4−[3−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−(フェニルメチル)−3−ピペリジニル]−2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−ブテン酸、4−[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−(シクロヘキシルメチル)−4−ピペリジニル]−2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−ブテン酸、4−[3−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−(フェニルメチルスルホ)−3−ピペリジニル]−2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−ブテン酸、リボウリジン一リン酸(rUMP)、デスオキシ−チミジン一リン酸(monophosphate)(dTMP)、又は2.4−ジオキソ−4−フェニルブタン酸(DPBA)ではない。
本発明による化合物の更に好ましい実施の形態では、化合物は、カテキンではなく、好ましくは(−)−エピガロカテキンガレート(EGCG)、例えば[(2R,3R)−5,7−ジヒドロキシ−2−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)クロマン−3−イル]3,4,5−トリヒドロキシベンゾエート、(−)−エピカテキンガレート(ECG)、(−)−エピガロカテキン(EGC)、(−)−エピカテキン(EC)又は没食子酸(GA)ではない。本発明の化合物の別の好ましい実施の形態では、化合物は、フェネチルフェニルフタルイミド、サリドマイド又はラルテグラビル(また、ジケトブタン酸誘導体でもある)から誘導されるフェネチルフェニルフタルイミド類似体ではない。
更なる態様では、本発明は、インフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルス由来のRNA依存性RNAポリメラーゼのPAサブユニット又はその変異体のエンドヌクレアーゼ活性を変調させ、好ましくはこれを減少させ、より好ましくはこれを阻害する化合物を同定する(in vitroの)方法であって、
(i)本発明による上記ポリペプチド断片若しくはその変異体又は本発明による上記組換え宿主細胞を試験化合物と接触させる工程と、
(ii)上記PAサブユニットポリペプチド断片又はその変異体のエンドヌクレアーゼ活性を変調させ、好ましくはこれを減少させ、より好ましくはこれを阻害する上記試験化合物の能力を分析する工程と
を含む、化合物を同定する(in vitroの)方法を提供する。
上記化合物が、インフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルス由来のRNA依存性RNAポリメラーゼのPAサブユニット又はその変異体のエンドヌクレアーゼ活性を、上記PAサブユニットのヌクレオチド鎖切断活性部位と会合することによって、好ましくはこれと結合することによって、変調させ、好ましくはこれを減少させ、より好ましくはこれを阻害することが好ましい。
別の更なる態様では、本発明は、インフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルス由来のRNA依存性RNAポリメラーゼのPAサブユニット又はその変異体のヌクレオチド鎖切断活性部位と結合し、(及び)好ましくはそのエンドヌクレアーゼ活性を変調させ、より好ましくはこれを減少させ、最も好ましくはこれを阻害する化合物を同定する(in vitroの)方法であって、
(i)本発明による上記ポリペプチド断片若しくはその変異体又は本発明による上記組換え宿主細胞を試験化合物と接触させる工程と、
(ii)上記PAサブユニットポリペプチド断片又はその変異体のヌクレオチド鎖切断活性部位と結合し、(及び)好ましくはそのエンドヌクレアーゼ活性を変調させ、より好ましくはこれを減少させ、最も好ましくはこれを阻害する上記試験化合物の能力を分析する工程と
を含む、化合物を同定する(in vitroの)方法を提供する。
1つの実施の形態では、インフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAポリペプチド断片又はその変異体と試験化合物との間の相互作用を、プルダウンアッセイの形式で分析することができる。例えば、本発明によるPAポリペプチド断片又はその変異体を、精製することができ、ビーズ上に固定化することができる。1つの実施の形態では、ビーズ上に固定化されたPAポリペプチド断片を、例えば、(i)別の精製したタンパク質、ポリペプチド断片若しくはペプチド、(ii)タンパク質、ポリペプチド断片若しくはペプチドの混合物、又は(iii)細胞若しくは組織の抽出物と接触させることができ、タンパク質、ポリペプチド断片又はペプチドの結合を、クマシー染色又はウェスタンブロッティングと組み合わせたポリアクリルアミドゲル電気泳動によって検証することができる。未知の結合パートナーを、質量分光分析によって同定することができる。
別の実施の形態において、インフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAポリペプチド断片又はその変異体と試験化合物との間の相互作用を、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)に基づく実験の形式で分析することができる。1つの実施の形態では、本発明によるPAポリペプチド断片又はその変異体を、ELISAプレート表面上に固定化することができ、試験化合物と接触させることができる。例えばタンパク質、ポリペプチド、ペプチド及びエピトープタグ付き化合物に対する試験化合物の結合を、試験化合物又はエピトープタグに特異的な抗体により検証することができる。これらの抗体を酵素と直接的に結合させることができるか、又は適当な基質と組み合わせて、化学発光反応(例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ)若しくは比色反応(例えばアルカリホスファターゼ)を実施する上記酵素と結合させた二次抗体によって検出することができる。別の実施の形態では、抗体では検出することができない化合物の結合を、試験化合物と直接的に結合させた標識により検証することができる。かかる標識には、酵素標識、放射性同位体又は放射性化合物若しくは放射性元素、蛍光化合物又は蛍光金属、化学発光化合物、及び生物発光化合物が含まれ得る。別の実施の形態では、試験化合物をELISAプレート上に固定化することができ、本発明による可溶性のPAポリペプチド断片又はその変異体と接触させることができる。上記ポリペプチドの結合を、PAポリペプチド断片特異的抗体と、上で説明されるような化学発光反応又は比色反応とにより検証することができる。
更なる1つの実施の形態において、精製されたインフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAポリペプチド断片又は変異体を、ペプチドアレイとともにインキュベートすることができ、PAポリペプチド断片と、特異的なペプチド配列に対応する特異的なペプチドスポットとの結合を、例えばPAポリペプチド特異的抗体、PAポリペプチド断片と融合したエピトープタグを対象とする抗体により、又はPAポリペプチド断片と結合した蛍光タグから放出された蛍光シグナルにより分析することができる。
別の実施の形態において、本発明による組換え宿主細胞を試験化合物と接触させる。これは、試験タンパク質又はポリペプチドの共発現と、例えば蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)又は免疫共沈降による相互作用の検証とにより達成することができる。別の実施の形態では、直接的に標識された試験化合物を、組換え宿主細胞の培地に添加することができる。試験化合物が膜を透過し、PAポリペプチド断片と結合する可能性は、例えば上記ポリペプチドの免疫沈降と標識の存在の検証とにより検証することができる。
別の実施の形態では、インフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニットポリペプチド断片又はその変異体のヌクレオチド鎖切断活性を変調させる、好ましくは減少させる、より好ましくは阻害する試験化合物の能力を評価する。例えば、精製したPAサブユニットポリペプチド断片と、その基質、例えばパンハンドルRNA又は一本鎖DNAとを、様々な量の試験化合物の存在下又は非存在下で接触させ、或る特定の期間、例えば5分間、10分間、15分間、20分間、30分間、40分間、60分間又は90分間インキュベートする。試験化合物の非存在下でPAサブユニットポリペプチドがヌクレオチド鎖切断活性を有するように反応条件を選択する。その後基質を、分解/ヌクレオチド鎖切断に関して、例えばゲル電気泳動により分析する。代替的には、このような試験は、基質分子がヌクレオチド鎖切断された場合にはシグナルをもたらすが基質分子が未変化である場合にはシグナルをもたらさない標識した基質分子を含み得る。例えば、基質ポリヌクレオチド鎖を、基質ポリヌクレオチド鎖が未変化である場合には蛍光レポーターが消光されるように、蛍光レポーター分子及び蛍光クエンチャーにより標識することができる。基質ポリヌクレオチド鎖が切断された場合には蛍光レポーター及びクエンチャーは分離し、したがって蛍光レポーターは、例えばELISAリーダーにより検出することができるシグナルを放出する。この実験設定をマルチウェルプレート形式において適用することができ、この設定は、インフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニットポリペプチド断片又はその変異体のエンドヌクレアーゼ活性を変調させる、減少させる、又は阻害するその能力に関する化合物のハイスループットスクリーニングに好適である。
好ましくは、インフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニットポリペプチド断片又はその変異体のエンドヌクレアーゼ活性を阻害する試験化合物の能力を、上で記載した方法で分析する。
好ましい実施の形態では、インフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニットポリペプチド断片又はその変異体のヌクレオチド鎖切断活性部位と会合し、好ましくはこれを結合し、ヌクレオチド鎖切断活性を変調させる、減少させる、及び/又は阻害する化合物を同定する上で記載した方法を、ハイスループット設定において行う。好ましい実施の形態では、上記方法を、本発明によるPAポリペプチド断片又はその変異体及び標識した試験化合物を使用して、上で記載したようなマルチウェルマイクロタイタープレートにおいて実施する。
好ましい実施の形態では試験化合物は、合成化合物又は天然化合物のライブラリに由来する。例えば、合成化合物ライブラリは、Maybridge Chemical Co.(Trevillet,Cornwall,UK)、ChemBridge Corporation(SanDiego, CA)又はAldrich(Milwaukee,WI)から市販されている。天然化合物ライブラリは例えば、TimTecLLC(Newark, DE)より入手可能である。代替的に、細菌、真菌、植物及び動物の抽出物の形態の天然化合物のライブラリを使用することができる。さらに、試験化合物を、個々の化合物又は混合物のいずれかとして、コンビナトリアルケミストリを使用して合成的に作製することができる。
別の実施の形態において、インフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスのライフサイクルに対する同定した化合物の阻害効果をin vivo設定で試験してもよい。293Tヒト胚腎臓細胞、Madin−Darbyイヌ腎臓細胞又はトリ胚線維芽細胞等のインフルエンザウイルスに感染しやすい細胞株を、同定した化合物の存在下又は非存在下でインフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスに感染させることができる。好ましい実施の形態では、同定した化合物を、様々な濃度で細胞の培養培地に添加することができる。ウイルスプラーク形成を、インフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスの感染能に関する読出し情報(read out)として使用することができ、同定した化合物で処理した細胞と処理していない細胞との間で比較することができる。
本発明の更なる実施の形態において、上で説明される方法のいずれかで適用される試験化合物は小分子である。好ましい実施の形態では、上記小分子は、ライブラリ、例えば小分子阻害剤ライブラリに由来する。別の実施の形態では、上記試験化合物はペプチド又はタンパク質である。好ましい実施の形態では、上記ペプチド又はタンパク質は、ペプチドライブラリ又はタンパク質ライブラリに由来する。
上で説明される、本発明によるインフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニットポリペプチド断片又はその変異体のヌクレオチド鎖切断活性部位と会合し、好ましくはこれと結合し、ヌクレオチド鎖切断活性を変調させ、減少させ、及び/又は阻害する化合物を計算及びin vitroで同定する方法の別の実施の形態において、上記方法は、上記化合物又はその薬学的に許容可能な塩を、1つ又は複数の薬学的に許容可能な添加物及び/又は担体とともに配合する工程を更に含む。
既に上で言及したように、本発明によるインフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニット又はその変異体のエンドヌクレアーゼ活性を変調させることができ、好ましくはこれを減少させることができ、より好ましくはこれを阻害することができる化合物を提供することは、本発明の態様である。該化合物が、本発明によるPAサブユニット又はその変異体のエンドヌクレアーゼ活性を、上記PAサブユニット又はその変異体のヌクレオチド鎖切断活性部位と会合することによって、好ましくはこれと結合することによって、変調させることができ、好ましくはこれを減少させることができ、より好ましくはこれを阻害することができることが好ましい。
本発明によるインフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニットポリペプチド断片又はその変異体のエンドヌクレアーゼ活性を変調させることができ、好ましくはこれを減少させることができ、より好ましくはこれを阻害することができる化合物を提供することも、本発明の態様である。該化合物が、本発明によるPAサブユニットポリペプチド断片又はその変異体のエンドヌクレアーゼ活性を、上記PAサブユニットポリペプチド断片又はその変異体のヌクレオチド鎖切断活性部位と会合することによって、好ましくはこれと結合することによって、変調させることができ、好ましくはこれを減少させることができ、より好ましくはこれを阻害することができることが好ましい。
他のウイルス、好ましくはオルトミクソウイルス科、ブニヤウイルス科及び/又はアレナウイルス科のウイルスのPAサブユニットのエンドヌクレアーゼ活性を変調させることができ、好ましくはこれを減少させることができ、より好ましくはこれを阻害することができる化合物を提供することは、本発明の更なる態様である。該化合物が、他のウイルス、好ましくはオルトミクソウイルス科、ブニヤウイルス科及び/又はアレナウイルス科のウイルスのPAサブユニットのエンドヌクレアーゼ活性を、上記PAサブユニットのヌクレオチド鎖切断活性部位と会合することによって、好ましくはこれと結合することによって、変調させることができ、好ましくはこれを減少させることができ、より好ましくはこれを阻害することができることが好ましい。
上で言及したPAサブユニット若しくはその変異体、若しくはPAサブユニットポリペプチド断片若しくはその変異体のヌクレオチド鎖切断活性部位と会合し、好ましくはこれと結合し、及び/又はPAサブユニット若しくはその変異体、若しくはPAサブユニットポリペプチド断片若しくはその変異体のヌクレオチド鎖切断活性を変調させ、好ましくはこれを減少させ、より好ましくはこれを阻害する或る化合物の能力は、容易に評価することができる。例えば、精製したPAサブユニット又はPAサブユニットポリペプチド断片とその基質、例えばパンハンドルRNA又は一本鎖DNAとを、様々な量の試験化合物の存在下又は非存在下で接触させ、或る特定の期間、例えば5分間、10分間、15分間、20分間、30分間、40分間、60分間又は90分間インキュベートする。反応条件は、PAサブユニット又はPAサブユニットポリペプチド断片が試験化合物の非存在下でヌクレオチド鎖切断活性を有するように選ぶ。その後、基質を、分解/ヌクレオチド鎖切断に関して、例えばゲル電気泳動によって分析する。代替的には、このような試験は、基質分子がヌクレオチド鎖切断された場合にはシグナルをもたらすが基質分子が未変化である場合にはシグナルをもたらさない標識した基質分子を含み得る。例えば、基質ポリヌクレオチド鎖を、基質ポリヌクレオチド鎖が未変化である場合には蛍光レポーターが消光されるように、蛍光レポーター分子及び蛍光クエンチャーを用いて標識することができる。基質ポリヌクレオチド鎖が切断された場合には蛍光レポーター及びクエンチャーは分離し、したがって蛍光レポーターは、例えばELISAリーダーによって検出することができるシグナルを放出する。更なる好適な方法を以下に記載する。
好ましくは、上記化合物は、上で記載した(in vitroの)方法によって同定可能である。より好ましくは、上記化合物は、上で記載した(in vitroの)方法によって同定される。
上で記載した(in vitroの)方法によって同定可能な化合物は、インフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニット又はその変異体のエンドヌクレアーゼ活性を変調させることができるものとする。上で記載した(in vitroの)方法によって同定可能な化合物は、本発明によるインフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニットポリペプチド断片又はその変異体のエンドヌクレアーゼ活性を変調させることができるものとし、好ましくはこれを減少させることができるものとし、より好ましくはこれを阻害することができるものとする。
上で記載した(in vitroの)方法によって同定可能な化合物が、他のウイルス、好ましくはオルトミクソウイルス科、ブニヤウイルス科及び/又はアレナウイルス科のウイルスのPAサブユニットのエンドヌクレアーゼ活性を変調させることができるものとし、好ましくはこれを減少させることができるものとし、最も好ましくはこれを阻害することができるものとすることも可能である。
本発明の化合物は、in silicoのスクリーニング方法のための、上で記載したような任意の作用物質であり得る。本発明による化合物の好ましい実施の形態では、化合物は、4−置換2−ジオキソブタン酸、4−置換4−ジオキソブタン酸、4−置換2,4−ジオキソブタン酸、2,6−ジケトピペラジン若しくはその誘導体、置換2,6−ジケトピペラジン若しくはその誘導体、ピラジン−2,6−ジオン若しくは置換ピラジン−2,6−ジオン、例えばフルチミド、N−ヒドロキサム酸、又はN−ヒドロキシミドではない。
特に、本発明による化合物は、式I:
による化合物ではない。
本発明による化合物の別の好ましい実施の形態では、化合物は、4−[3−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−(フェニルメチル)−3−ピペリジニル]−2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−ブテン酸、4−[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−(シクロヘキシルメチル)−4−ピペリジニル]−2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−ブテン酸、4−[3−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−(フェニルメチルスルホ)−3−ピペリジニル]−2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−ブテン酸、リボウリジン一リン酸(rUMP)、デスオキシ−チミジン一リン酸(monophosphate)(dTMP)、又は2.4−ジオキソ−4−フェニルブタン酸(DPBA)ではない。
本発明による化合物の更に好ましい実施の形態では、化合物は、カテキンではなく、好ましくは(−)−エピガロカテキンガレート(EGCG)、例えば[(2R,3R)−5,7−ジヒドロキシ−2−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)クロマン−3−イル]3,4,5−トリヒドロキシベンゾエート、(−)−エピカテキンガレート(ECG)、(−)−エピガロカテキン(EGC)、(−)−エピカテキン(EC)又は没食子酸(GA)ではない。本発明の化合物の別の好ましい実施の形態では、化合物は、フェネチルフェニルフタルイミド、サリドマイド又はラルテグラビルから誘導されるフェネチルフェニルフタルイミド類似体(また、ジケトブタン酸誘導体)ではない。
上で言及した本発明の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む薬学的組成物を提供することは、本発明の一態様である。上で言及した本発明の化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、1つ又は複数の薬学的に許容可能な添加物及び/又は担体とを含む薬学的組成物を提供することも、本発明の一態様である。
既に上で言及したように、本発明の薬学的組成物に含まれる化合物は、(i)本発明によるインフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニット若しくはその変異体のエンドヌクレアーゼ活性を、例えば上記サブユニット若しくはその変異体のヌクレオチド鎖切断活性部位と結合することによって、変調させることができ、好ましくはこれを減少させることができ、より好ましくはこれを阻害することができ、(ii)本発明によるインフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニットポリペプチド断片若しくはその変異体のエンドヌクレアーゼ活性を、例えば上記ポリペプチド断片若しくはその変異体のヌクレオチド鎖切断活性部位と結合することによって、変調させることができ、好ましくはこれを減少させることができ、より好ましくはこれを阻害することができ、又は(iii)他のウイルス、好ましくはオルトミクソウイルス科、ブニヤウイルス科及び/若しくはアレナウイルス科のウイルスのPAサブユニットのエンドヌクレアーゼ活性を、例えば上記PAサブユニットのヌクレオチド鎖切断活性部位と結合することによって、変調させることができ、好ましくはこれを減少させることができ、より好ましくはこれを阻害することができる。好ましくは、本発明の薬学的組成物に含まれる化合物は、上で記載した方法によって同定可能である。より好ましくは、本発明の薬学的組成物に含まれる化合物は、上で記載した方法によって同定される。
好ましくは、上記薬学的組成物(複数も可)は、上で言及した方法によって製造可能である。
本発明による化合物を単独で投与することができるが、ヒト療法では概して、意図される投与経路及び標準的な薬務に関して選択される好適な薬学的な添加物、希釈剤又は担体と混合して投与する(以下を参照されたい)。
本発明によるインフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニットポリペプチド断片又はその変異体のヌクレオチド鎖切断活性部位に関する結合パートナー、ヌクレオチド鎖切断活性の変調剤及び/又は阻害剤のコンピュータによるモデリング又はスクリーニングの態様において、調合薬として投与される分子に有益であり得る化学的分子部分を対象の分子に導入することが可能であり得る。例えば、分子と標的領域との結合には直接影響し得ないが、例えば薬学的に許容可能な担体における分子の溶解度全体、分子のバイオアベイラビリティ、及び/又は分子の毒性に寄与する化学的分子部分を対象の分子に導入する、又は化学的分子部分を対象の分子から除外することが可能であり得る。対象の分子の薬理を最適化するための検討事項及び方法は、例えば"Goodman and Gilman's The Pharmacological BasisofTherapeutics", 8th Edition, Goodman, Gilman, Rall, Nies,&Taylor, Eds., Pergamon Press(1985)、Jorgensen & Duffy, 2000, Bioorg. Med. Chem. Lett. 10:1155-1158に見出すことができる。さらに、対象の有機分子の物理的に重要となる記載及び薬学的に関連する特性に関する迅速な予測を提供するのに、コンピュータプログラム「Qik Prop」を使用することができる。新たに合成された化合物の経口吸収を推測するのに、「5の法則(Rule of Five)」見込み法を使用することができる(Lipinskietal., 1997, Adv. Drug Deliv. Rev. 23:3-25)。ファーマコフォアの選択及び設計に好適なプログラムとしては、(i)DISCO(Abbot Laboratories(Abbot Park, IL))、(ii)Catalyst(Bio-CAD Corp.(Mountain View, CA))及び(iii)Chem DBS−3D(Chemical Design Ltd.(Oxford, UK))が挙げられる。
本発明で考慮される薬学的組成物を、当業者にとって既知の様々な方法で配合することができる。例えば、本発明の薬学的組成物は、錠剤、ピル、カプセル(軟ゲルカプセルを含む)、カシェ剤、ロゼンジ、腔坐剤、粉末、顆粒若しくは坐剤の形態のような固体形態、又はエリキシル、溶液、エマルション若しくは懸濁液の形態のような液体形態であり得る。
固体投与形態は、微小結晶性セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、グリシン及びデンプン(好ましくはトウモロコシ、ジャガイモ又はタピオカのデンプン)等の添加物、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム及び或る特定のケイ酸錯体等の崩壊剤、並びにポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチン及びアカシア等の造粒結合剤を含有し得る。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル及びタルク等の平滑剤が含まれ得る。類似の種類の固体組成物をゼラチンカプセルにおける充填剤として利用してもよい。これに関する好ましい添加物としては、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖又は高分子量のポリエチレングリコールが挙げられる。
経口投与に適した水性の懸濁液、溶液、エリキシル及びエマルションに関して、化合物を、様々な甘味料又は香料、着色物質又は色素、乳化剤及び/又は懸濁化剤、及び水、エタノール、プロピレングリコール及びグリセリン等の希釈剤、並びにそれらの組合せと組み合わせることができる。
本発明の薬学的組成物は、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、酢酸セルロース、ポリエチレンオキシド、キサンタンガム、カルボマー、アンモニオメタクリレートコポリマー、硬化ヒマシ油、カルナバワックス、パラフィンワックス、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸コポリマー、及びそれらの混合物を含む放出速度調整剤を含有し得る。
本発明の薬学的組成物は、即時分散性又は溶解性の剤形配合物(fast dispersing ordissolving dosage formulations)(FDDF)の形態であってもよく、以下の成分を含有し得る:アスパルテーム、アセスルファムカリウム、クエン酸、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ジアスコルビン酸、アクリル酸エチル、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、メタクリル酸メチル、ミント香料、ポリエチレングリコール、ヒュームドシリカ、二酸化ケイ素、デンプングリコール酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ソルビトール、キシリトール。
坐剤を調製するために、初めに脂肪酸グリセリド又はココアバターの混合物等の低融点ワックスを融解させ、撹拌等により、活性成分をこの中に均一に分散させる。それから融解した均一混合物を手頃な大きさの鋳型に入れ、冷却することにより、固体化させる。
非経口投与に好適な本発明の薬学的組成物は、滅菌水溶液の形態で使用することが最良とされ、これには他の物質、例えばこの溶液を血液と等張にするのに十分な塩又はグルコースが含有されていてもよい。必要に応じて、水溶液を好適に緩衝させる(好ましくは3〜9のpHに)必要がある。
鼻腔内投与及び吸入による投与に好適な薬学的組成物は、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA 134A.TM.)若しくは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA 227EA.TM.)等のヒドロフルオロアルカン、二酸化炭素、又は別の好適なガス等の好適な推進剤を使用して、加圧容器、ポンプ、スプレー又はネブライザから、乾燥粉末吸入剤又はエアロゾル噴霧剤の形態で送達されることが最良とされる。加圧容器、ポンプ、スプレー又はネブライザは、例えば溶媒としてエタノールと推進剤との混合物を使用して、活性化合物の溶液又は懸濁液を含有していてもよく、平滑剤、例えばトリオレイン酸ソルビタンを更に含有していてもよい。
別の態様では、本発明は、配列番号2によるインフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスのPAサブユニット又はその変異体の活性部位を対象とする抗体であって、上記変異体が、配列番号2によるアミノ酸位置186に又はそれに対応するアミノ酸位置にアミノ酸セリンを含む、配列番号2によるインフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスのPAサブユニット又はその変異体の活性部位を対象とする抗体を提供する。
好ましい実施の形態では、上記抗体は、配列番号2に示すようなアミノ酸配列の配列番号4〜配列番号11によって規定されるポリペプチド、すなわちアミノ酸20〜30(配列番号4)、アミノ酸32〜40(配列番号5)、アミノ酸41〜51(配列番号6)、アミノ酸80〜90(配列番号7)、アミノ酸100〜110(配列番号8)、アミノ酸115〜125(配列番号9)、アミノ酸130〜140(配列番号10)及びアミノ酸176〜186(配列番号11)の群から選択されるポリペプチド断片の認識によってエンドヌクレアーゼドメインを認識する。
具体的には、上記抗体は、活性部位を規定する上で示したアミノ酸のうちの1つ又は複数を含むエピトープと特異的に結合する。この関連で、「エピトープ」という用語は、その技術分野で認識される意味を有し、好ましくは4個〜20個のアミノ酸、好ましくは5個〜18個、5個〜15個又は7個〜14個のアミノ酸のストレッチ、例えば4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個又は20個のアミノ酸のストレッチを表す。したがって、好ましいエピトープは、4個〜20個、5個〜18個、好ましくは5個〜15個若しくは7個〜14個のアミノ酸の長さを有し、例えば4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個若しくは20個のアミノ酸の長さを有し、並びに/又は配列番号2のLys34、Glu26、Ile38、Tyr24、His41、Glu80、Arg84、Leu106、Asp108、Glu119、Ile120、Arg124、Tyr130、Lys134、Phe105及びLys137のうちの1つ若しくは複数、若しくは1つ若しくは複数の対応するアミノ酸を含む。したがって、好ましい実施の形態では、上記抗体は、配列番号2に示すようなアミノ酸配列の5個〜15個のアミノ酸の長さのポリペプチド断片を認識し、該ポリペプチド断片は、Lys34、Glu26、Ile38、Tyr24、His41、Glu80、Arg84、Leu106、Asp108、Glu119、Ile120、Tyr130、Lys134、Phe105、Lys137及びArg124からなる群から選択される1つ又は複数のアミノ酸残基を含む。
本発明の抗体は、モノクローナル抗体若しくはポリクローナル抗体又はその一部分であり得る。抗原結合部分は、組換えDNA技法により、又は無傷抗体の酵素的切断若しくは化学的切断により作製することができる。幾つかの実施の形態では、抗原結合部分は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、Fv、dAb、及び相補性決定領域(CDR)断片、一本鎖抗体(scFv)、キメラ抗体、例えばヒト化抗体、ダイアボディ、並びにポリペプチドとの特異的な抗原結合をもたらすのに十分な抗体の少なくとも一部分を含有するポリペプチドを含む。本発明の抗体は、標準的なプロトコルに従って生成される。例えば、ポリクローナル抗体を、当業者に既知の標準的な方法に従って、任意にアジュバント、例えばフロイント完全アジュバント若しくはフロイント不完全アジュバント、RIBI(ムラミルジペプチド)、又はISCOM(免疫刺激複合体)と組み合わせて、対象の抗原により動物、例えばマウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、ウシ又はウマを免疫付与することにより生成することができる。インフルエンザA2009パンデミックH1N1のPA又はその断片のエンドヌクレアーゼドメインを対象とするポリクローナル抗血清を、免疫付与した動物を採血(bleeding)又は屠殺することにより動物から得る。(i)血清を動物から得たままの状態で使用することができ、(ii)免疫グロブリン画分を血清から得ることができ、又は(iii)インフルエンザA2009パンデミックH1N1のPA若しくはその断片のエンドヌクレアーゼドメインに対して特異的な抗体を血清から精製することができる。モノクローナル抗体を、当業者に既知の方法により生成することができる。簡潔に述べると、免疫付与後に動物を屠殺し、当該技術分野で既知の任意の手段によりリンパ節及び/又は脾臓B細胞を不死化する。細胞を不死化する方法は、癌遺伝子で細胞をトランスフェクトすること、細胞に腫瘍ウイルスを感染させるとともに不死化した細胞に関して選択する条件下で細胞を培養すること、細胞を発癌性化合物又は突然変異性化合物に曝露すること(subjecting)、細胞を不死化した細胞(例えば骨髄腫細胞)と融合させること、並びに腫瘍抑制遺伝子を不活性化させることを含むがこれらに限定されない。不死化した細胞を、H1N1のPAエンドヌクレアーゼドメイン又はその断片を使用してスクリーニングする。H1N1のPAエンドヌクレアーゼドメイン又はその断片を対象とする抗体を産生する細胞、例えばハイブリドーマを選択し、クローニングし、堅固な成長、高い抗体産生及び所望の抗体特性を含む所望の特性に関して更にスクリーニングする。ハイブリドーマを、(i)in vivoでは同系動物において、(ii)免疫系を欠く動物、例えばヌードマウスで、又は(iii)in vitroでは細胞培養液で増殖させることができる。ハイブリドーマを選択し、クローニングし、増殖させる方法は、当業者に既知である。当業者は、抗体の生成に関する支援のために、標準的なテキスト、例えば“Antibodies: ALaboratory Manual”,Harlow and Lane, Eds., Cold SpringHarbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor,New York (1990)(参照により本明細書中に援用される)を参照することができる。
別の態様では、本発明は、オルトミクソウイルス科、ブニヤウイルス科及び/又はアレナウイルス科のウイルスによるウイルス感染によって引き起こされ、好ましくはインフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスによるウイルス感染によって引き起こされる疾患状態を治療、改善又は予防する薬物の生産のための、本発明による(accordingto)化合物(複数も可)、本発明による薬学的組成物(複数も可)、又は本発明による抗体の使用に関する。
上記化合物は、(i)本発明によるインフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニット若しくはその変異体のエンドヌクレアーゼ活性を、例えば上記PAサブユニット若しくはその変異体のヌクレオチド鎖切断活性部位と結合することによって、変調させることができ、好ましくはこれを減少させることができ、より好ましくはこれを阻害することができ、(ii)本発明によるインフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニットポリペプチド断片若しくはその変異体のエンドヌクレアーゼ活性を、例えば上記PAサブユニットポリペプチド断片若しくはその変異体のヌクレオチド鎖切断活性部位と結合することによって、変調させることができ、好ましくはこれを減少させることができ、より好ましくはこれを阻害することができ、又は(iii)他のウイルス、好ましくはオルトミクソウイルス科、ブニヤウイルス科及び/若しくはアレナウイルス科のウイルスのPAサブユニットのエンドヌクレアーゼ活性を、例えば上記PAサブユニットのヌクレオチド鎖切断活性部位と結合することによって、変調させることができ、好ましくはこれを減少させることができ、より好ましくはこれを阻害することができる。
上記化合物(複数も可)が、上で記載した方法によって同定可能であることが好ましい。上記薬学的組成物(複数も可)が、上で言及した方法によって製造可能であることが更に好ましい。したがって、好ましくは、本発明は、オルトミクソウイルス科、ブニヤウイルス科及び/又はアレナウイルス科のウイルスによるウイルス感染によって引き起こされ、好ましくはインフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスによるウイルス感染によって引き起こされる疾患状態を治療、改善又は予防する薬物の生産のための、インフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニットポリペプチド断片若しくはその変異体のヌクレオチド鎖切断活性部位と結合することができ、及び/若しくはインフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニットポリペプチド断片若しくはその変異体のヌクレオチド鎖切断活性を変調させることができ、好ましくはこれを減少させることができ、より好ましくはこれを阻害することができる、上で記載した方法によって同定可能な化合物、又は上で言及した方法によって製造可能な薬学的組成物の使用に関する。
更なる態様では、本発明は、オルトミクソウイルス科、ブニヤウイルス科及び/又はアレナウイルス科のウイルスによるウイルス感染によって引き起こされ、好ましくはインフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスによるウイルス感染によって引き起こされる疾患状態を治療、改善又は予防するための、本発明による化合物(複数も可)、本発明による薬学的組成物(複数も可)、又は本発明による抗体に関する。
上記化合物は、(i)本発明によるインフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニット若しくはその変異体のエンドヌクレアーゼ活性を、例えば上記PAサブユニット若しくはその変異体のヌクレオチド鎖切断活性部位と結合することによって、変調させることができ、好ましくはこれを減少させることができ、より好ましくはこれを阻害することができ、(ii)本発明によるインフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニットポリペプチド断片若しくはその変異体のエンドヌクレアーゼ活性を、例えば上記PAサブユニットポリペプチド断片若しくはその変異体のヌクレオチド鎖切断活性部位と結合することによって、変調させることができ、好ましくはこれを減少させることができ、より好ましくはこれを阻害することができ、又は(iii)他のウイルス、好ましくはオルトミクソウイルス科、ブニヤウイルス科及び/若しくはアレナウイルス科のウイルスのPAサブユニットのエンドヌクレアーゼ活性を、例えば上記PAサブユニットのヌクレオチド鎖切断活性部位と結合することによって、変調させることができ、好ましくはこれを減少させることができ、より好ましくはこれを阻害することができる。
上記化合物(複数も可)が、上で記載した方法によって同定可能であることが好ましい。上記薬学的組成物(複数も可)が、上で言及した方法によって製造可能であることが更に好ましい。したがって、好ましくは、本発明は、オルトミクソウイルス科、ブニヤウイルス科及び/又はアレナウイルス科のウイルスによるウイルス感染によって引き起こされ、好ましくはインフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスによるウイルス感染によって引き起こされる疾患状態を治療、改善又は予防するための、インフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニットポリペプチド断片若しくはその変異体のヌクレオチド鎖切断活性部位と結合することができ、及び/若しくはインフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニットポリペプチド断片若しくはその変異体のヌクレオチド鎖切断活性を変調させることができ、好ましくはこれを減少させることができ、より好ましくはこれを阻害することができる、上で記載した方法によって同定可能な化合物、又は上で言及した方法によって製造可能な薬学的組成物に関する。
別の態様では、本発明は、インフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスによるウイルス感染によって引き起こされる疾患状態を治療、改善又は予防する薬物の生産のための、化合物4−[3−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−(フェニルメチル)−3−ピペリジニル]−2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−ブテン酸(EMBL−R05−3)、化合物4−[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−(シクロヘキシルメチル)−4−ピペリジニル]−2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−ブテン酸(EMBL−R05−2)、化合物4−[3−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−(フェニルメチルスルホ)−3−ピペリジニル]−2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−ブテン酸(EMBL−R05−1)又は化合物[(2R,3R)−5,7−ジヒドロキシ−2−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)クロマン−3−イル]3,4,5−トリヒドロキシベンゾエート(EGCG)の使用に関するが、これは、本発明の発明者らによって、上記化合物が、インフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニットポリペプチド断片又はその変異体のヌクレオチド鎖切断活性部位と結合することができ、インフルエンザA2009パンデミックH1N1のPAサブユニットポリペプチド断片又はその変異体のヌクレオチド鎖切断活性を変調させることができ、すなわちこれを阻害することができることが見つけ出されたためである。
更なる一態様では、本発明は、インフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスによるウイルス感染によって引き起こされる疾患状態を治療、改善又は予防するための、4−[3−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−(フェニルメチル)−3−ピペリジニル]−2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−ブテン酸(EMBL−R05−3)、4−[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−(シクロヘキシルメチル)−4−ピペリジニル]−2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−ブテン酸(EMBL−R05−2)、4−[3−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−(フェニルメチルスルホ)−3−ピペリジニル]−2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−ブテン酸(EMBL−R05−1)又は[(2R,3R)−5,7−ジヒドロキシ−2−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)クロマン−3−イル]3,4,5−トリヒドロキシベンゾエート(EGCG)に関する。
別の態様では、本発明は、インフルエンザA2009パンデミックH1N1ウイルスによるウイルス感染によって引き起こされる疾患状態を治療、改善又は予防するための、4−置換2,4−ジオキソブタン酸化合物又は緑茶カテキンの使用に関する。
上記疾患状態を治療、改善又は予防するために、本発明の薬物を、動物患者、好ましくは哺乳動物患者、好ましくはヒト患者に、経口的に、口腔に、舌下に、鼻腔内に、肺経路を介して、例えば吸入により、直腸経路を介して、又は非経口的に、例えば陰茎海綿体内に(intracavernosally)、静脈内に、動脈内に、腹腔内に、髄腔内に、心室内に、尿道内に(intraurethrally)、胸骨内に(intrasternally)、脳内に(intracranially)、筋肉内に、若しくは皮下に投与することができ、本発明の薬物を、点滴法又は無針注射法により投与することができる。
本発明の薬学的組成物を、当業者に既知の様々な方法で、また上で記載したように、配合することができる。
薬学的調製物は単位投薬形態であるのが好ましい。かかる形態では、調製物を適当な量の活性成分を含有する単位用量に更に分割する。単位投薬形態は、パッケージングされた調製物、別々の量の調製物を含有するパッケージ、例えばバイアル又はアンプル中に入れられた錠剤、カプセル及び粉末であり得る。また、単位投薬形態自体がカプセル、錠剤、カシェ剤又はロゼンジであってもよく、又は単位投薬形態はパッケージングされた形態である適当な数のこれらのいずれかであってもよい。
本発明の使用において投与される単位投薬調製物における活性成分の量は、特定の用途及び活性成分の効力に応じて約1mg/m2〜約1000mg/m2、好ましくは約5mg/m2〜約150mg/m2に変更又は調整することができる。
本発明の医学的使用に利用される化合物を、1日当たり約0.05mg/kg〜約20mg/kgの初期投与量で投与する。約0.05mg/kg〜約2mg/kgの範囲の1日用量が好ましく、約0.05mg/kg〜約1mg/kgの範囲の1日用量が最も好ましい。しかしながら投与量は、患者の要求、治療対象の状態の重症度、及び利用される化合物に応じて変わり得る。特定の状況に対する適切な投与量の決定は実践者の技能の範囲内である。概して、治療は化合物の最適用量未満のより少ない投与量から始める。その後、或る環境下で最適な効果に到達するまで、投与量を少しずつ増大させる。必要に応じて、便宜的に、1日の総投与量を分割し、1日の間で何回かに分けて(in portions)投与することができる。
本発明の範囲を逸脱しない本発明の様々な修正形態及び変形形態が、当業者に明らかであろう。特定の好ましい実施の形態との関連において本発明を説明したが、特許請求される発明がこのような特定の実施の形態に不当に限定されないことを理解すべきである。実際に、関連技術分野の当業者に明らかな本発明を実施するために記載された様式の様々な修正形態が、本発明に包含されることが意図される。
添付の図面及び以下の実施例は、単に本発明を例示するものであり、添付の特許請求の範囲によって示される本発明の範囲を限定するものとは決して解釈すべきでない。