JP2016190373A - 熱転写シート及び印画方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 熱転写シートの転写跡が残って問題が生じることに対し、その転写跡の痕跡を確実に判読できないようにする対策であり、また熱転写シートの製造時での熱転写性色材層の塗工欠陥があっても、目視にて容易に、その欠陥を見つけ出すことができ、また熱転写シートで印画する前に、ブロッキングなど使用に支障が生じない熱転写シート及びその熱転写シートを用いた印画方法を提供する。【解決手段】 基材シート2の一方の面に少なくとも1色の熱転写性色材層3と保護層4とが面順次に形成され、前記基材シート2の他方の面に、背面層が設けられた熱転写シート1であって、前記保護層4が基材シート2側から離型層、転写層を順次積層し、前記離型層はガラス転移温度が0℃以上60℃以下である樹脂を含有することを特徴とする熱転写シートの構成とした。【選択図】 図1

Description

本発明は、基材シートの一方の面に熱転写性色材層が設けられ、前記基材シートの他方の面に、第1背面層と第2背面層とが互いに接するように設けられた熱転写シート及びその熱転写シートを用いた印画方法に関わるものである。
従来から熱転写シートは、コンピュータ、ファクシミリ又は証明写真等において、普通紙や受像紙等の被転写体に文字、図形及び顔写真等を出力するために用いられている。一般に熱転写シートとしては、ポリエステルフィルム等のベースフィルムに転写性ワックスインキ層を設けた溶融型熱転写シート及びベースフィルムにシアン、マゼンタ及びイエロー等の染料インキ層、すなわち染料層を設けた昇華型熱転写シートがある。
溶融型熱転写方式においては、溶融型熱転写シートのベースフィルム側からサーマルヘッドにより当該シートに熱を加え、加熱された部分のワックスインキ層が被転写体に転写(溶融型熱転写)し、面積階調により文字や図形等を転写(出力)する。
一方、昇華型熱転写方式においては、ベースフィルム側からサーマルヘッドにより熱転写シートに熱を加え、シアン、マゼンタ及びイエロー等の各染料層をサーマルヘッドの熱に比例して被転写体に転写(昇華型熱転写)し、濃度階調により図形や顔写真等を転写(出力)する。
溶融型熱転写方式は、面積階調により出力をするため、文字等の2値画像で高コントラストが要求される用途の転写に適している。
一方、昇華型熱転写方式は、シアン、マゼンタ及びイエロー等の各染料インキの濃度階調により出力するため、顔写真や風景写真等の高い色再現性が要求される画像の転写に適している。
上記熱転写シートを用い、文字や画像等を被転写体に転写するとワックスインキ層や染料層の当該文字や画像部分が被転写体に転写されるため、転写後の使用済みの熱転写シートのワックスインキ層や染料層では当該文字や画像部分が抜けた転写跡が残ってしまう。契約文書、特許出願用文書、ノウハウ文書等の機密文書を作成する場合に、使用済みの熱転写シートに、それら機密文書の内容が転写跡として記録されているために、その廃棄等の取扱いには十分な注意が要求されるという問題があった。
上記の問題に対し、例えば特許文献1には、熱転写した後に得られる使用済みの熱転写シートを用いて、イエローの残像、マゼンタの残像、及びシアンの残像を、その熱転写シートの各染料層の位置で、頭出しのための識別部位を重ねたときに、互いにずれを生じるように、印画する方法が提案されている。しかし、この方法では秘密にしたい像は見えにくくはなっているが、消えてはいないので、対策として不十分である。
また、特許文献2では、基材の一方の面に、熱転写性を有さず、複写を防止するための着色層である複写防止層を介して、熱転写性の黒色インク層を設けた感熱転写記録媒体であって、その複写防止層が黒色インク層とは異色であって、色彩を特定範囲(L***表色系で表したときの複写防止層と黒色インク層との色差ΔEab*が3.0〜30)であるようにしたことが開示されている。しかし、この記録媒体では製造時において、黒色インク層の塗工の際に、複写防止層の上で、黒色インク層の塗工ムラなどの欠陥が見えにくい問題がある。
また、上記の転写跡の問題に対し、特許文献3では、基材上に剥離可能に設けられた熱溶融性ブラックインキ層を備えた熱転写シートであって、その基材と熱溶融性ブラックインキ層との間に、及び基材の背面上に、また基材に、ロイコ染料と顕色剤が含有された熱転写シートが記載されている。しかし、この熱転写シートでは、その熱転写シートの製造時の加熱により、そのロイコ染料と顕色剤が含有された層(基材)が発色しやすく、製造時の熱溶融性ブラックインキ層の塗工膜の欠陥が確認しにくい問題がある。
また、上記の問題に対して、特許文献4では、基材の一方の面に染料層と転写性保護層を面順次に設け、その基材の他方の面に背面層を設けた熱転写シートの残留処理方法において、熱転写受像シート上に、染料と保護層を熱転写した後、熱転写シートを加熱して、対向する残留転写性保護層と背面層とを熱融着させることが記載されている。しかし、この熱転写シートでは表面に有する保護層に熱融着機能を有しているので、熱転写受像シートに染料、保護層を熱転写する前に、巻取り状でブロッキングしてしまう恐れがあり、問題である。
特開2008−18701号公報 特開2000−289353号公報 特開2013−18259号公報 特開2008−49663号公報
本発明はこのような状況においてなされたものであり、熱転写シートの転写跡が残って問題が生じることに対し、その転写跡の痕跡を確実に判読できないようにする対策であり、また熱転写シートの製造時での熱転写性色材層の塗工欠陥があっても、目視にて容易に、その欠陥を見つけ出すことができ、また熱転写シートで印画する前に、ブロッキングなど使用に支障が生じない熱転写シート及びその熱転写シートを用いた印画方法を提供することを目的とする。
上記目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、基材シートの一方の面に少なくとも1色の熱転写性色材層と保護層とが面順次に形成され、前記基材シートの他方の面に、背面層が設けられた熱転写シートであって、前記保護層が基材シート側から離型層、転写層を順次積層し、前記離型層はガラス転移温度が0℃以上60℃以下である樹脂を含有することを特徴とする熱転写シートの構成とした。
また、前記離型層は、ガラス転移温度が0℃以上60℃以下である樹脂を前記離型層の全固形分に対して、50質量%以上で含有することを特徴とする熱転写シートの構成とした。
また、本発明の印画方法は、上記のいずれか一つに記載の熱転写シートを用いて、被転写体に熱転写により画像を形成し、前記画像を少なくとも覆うように、前記保護層の転写層を熱転写してから、当該熱転写シートを巻取部で巻き取り、前記巻取部で巻き取られた当該熱転写シートを加熱して、前記背面層と、前記転写層が転写された面とを融着させることを特徴とした。
また、前記背面層と、前記転写層が転写された面とを融着させる加熱は、前記熱転写シートの背面層側から、ヒートローラーまたはサーマルヘッドで加熱することを特徴とする印画方法とした。
本発明によれば、熱転写シートの転写跡の痕跡を確実に判読できないようにすることが可能となり、また熱転写シートの製造時での熱転写性色材層の塗工欠陥があっても、その塗工面を透過して観察することで、その塗工欠陥を目視にて容易に見つけ出すことができるようになった。さらに、本発明の熱転写シートは、熱転写受像シートに印画する前に、巻取り状でブロッキングなど使用に支障が生じることを防止できるようになった。
本発明の熱転写シートの一つの実施形態を示す概略平面図である。 図1に示した熱転写シートのX−Xにおける概略断面図である。 本発明の印画方法の一つの例を説明する概略図である。
次に、発明の実施の形態について、詳述する。
図1は本発明の熱転写シートの一つの実施形態を示す。図示した熱転写シート1は、基材シート2の一方の面に、熱転写性色材層3と保護層4とが面順次に設けられている。すなわち、熱転写性色材層3、保護層4、熱転写性色材層3、保護層4、・・・と熱転写性色材層3と保護層4とが面順次に繰り返し設けられている。図示した熱転写シートは熱転写性色材層3が1色(1単位)で示したが、これに限らずにイエロー、マゼンタ、シアン、更に必要に応じてブラックの色材層を面順次に設け、フルカラーの熱転写画像を形成でき、その後に保護層を設けることができる。
また、図2は図1で示した熱転写シート1の保護層4の部分のX−Xにおける概略断面図であり、基材シート2の一方の面に、離型層6、転写層7を順次積層し、基材シート2の他方の面に、背面層5が設けられた構成である。本発明の熱転写シート1は、その離型層6はガラス転移温度が0℃以上60℃以下である樹脂を含有するものである。図2で、基材シート2の一方の面に、離型層6と転写層7から構成される保護層4が示されており、その熱転写シート1を加熱すると、離型層6から転写層7が被転写体へ転写され、その転写層7が保護層として機能する。
以下、本発明の熱転写シートの各構成について、説明する。
(基材シート)
本発明の熱転写シート1に用いられる基材シート2は、従来公知のある程度の耐熱性と強度を有するものであれば、いずれのものでもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等の樹脂フィルム等が挙げられる。
基材シートは、厚さが一般に約0.5〜50μmであり、好ましくは約1.5〜10μmである。上記基材シートは、基材シートと接する層との接着性を向上させるため、表面処理を施してもよい。上記表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理、グラフト化処理等、公知の樹脂表面改質技術を適用することができる。上記表面処理は、1種のみ行ってもよいし、2種以上行ってもよい。
上記した表面処理の中でも、コストが低い点で、コロナ処理又はプラズマ処理が好ましい。また、必要に応じ、その一方の面又は両面に下引き層(プライマー層)を形成するものであってもよい。上記のプライマー処理は、例えばプラスチックフィルムの溶融押出しの成膜時に、未延伸フィルムにプライマー液を塗布し、その後に延伸処理して行なうことができる。また、基材シートと後記する背面層との間に、プライマー層(接着層)を塗工して形成することも可能である。そのプライマー層は、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂やポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂等のビニル系樹脂、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂、セルロース系樹脂等を用いて形成することができる。
(熱転写性色材層)
本発明による熱転写シートは、上記した基材シートの、背面層を設けた面とは反対側の面に熱転写性色材層3を備えるものである。本発明の熱転写シートは、所望の画像がモノカラーである場合には、熱転写性色材層として適宜選択した1色の層のみ形成してもよいし、所望の画像がフルカラー画像である場合には、熱転写性色材層として、シアン、マゼンタ及びイエロー(更に、必要に応じてブラック)を選択し形成することができる。
本発明の熱転写シートは、昇華型熱転写シートである場合には、熱転写性色材層として昇華性の染料を含む層、すなわち染料層を形成し、熱溶融型の熱転写シートである場合には、熱転写性色材層として顔料等で着色した熱溶融性インキ層を形成する。以下、本発明による熱転写シートが昇華型熱転写シートである場合を一例に説明するが、熱溶融型のものであってもよく、本発明が昇華型熱転写シートのみに限定されるものではない。
昇華型の染料層に用いられる昇華型の染料としては、特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。上記昇華性の染料としては、例えば、ジアリールメタン系染料;トリアリールメタン系染料;チアゾール系染料;メロシアニン染料;ピラゾロン染料;メチン系染料;インドアニリン系染料;アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチン等のアゾメチン系染料;キサンテン系染料;オキサジン系染料;ジシアノスチレン、トリシアノスチレン等のシアノスチレン系染料;チアジン系染料;アジン系染料;アクリジン系染料;ベンゼンアゾ系染料;ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラゾールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジスアゾ等のアゾ系染料;スピロピラン系染料;インドリノスピロピラン系染料;フルオラン系染料;ローダミンラクタム系染料;ナフトキノン系染料;アントラキノン系染料;キノフタロン系染料;等が挙げられ、更に具体的には、特開平7−149062号公報に例示列挙された化合物等が挙げられる。
上記染料層において、昇華性染料は染料層の全固形分に対し5〜90質量%、好ましくは20〜80質量%の量である。上記昇華性の染料の使用量が、上記範囲未満であると印字濃度が低くなることがあり、上記範囲を越えると保存性等が低下することがある。
上記染料を担持するためのバインダー樹脂としては、一般に、耐熱性を有し、染料と適度の親和性があるものを使用することができる。上記バインダー樹脂としては、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂;ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂;ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド等のアクリル樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリエステル系樹脂;等が挙げられる。上記したバインダー樹脂のなかでも、耐熱性、染料の移行性等が優れる観点から、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が好ましく、ビニル系樹脂がより好ましく、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタール等が特に好ましい。
上記染料層は、所望により、離型剤、無機微粒子、有機微粒子等の添加剤を使用してもよい。上記離型剤としては、シリコーンオイル、リン酸エステル等が挙げられる。無機微粒子としては、カーボンブラック、アルミニウム、二硫化モリブデン等が挙げられる。また、有機微粒子としては、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
上記した染料層は、上述の染料とバインダー樹脂とを、必要に応じて添加する添加剤とともに、適当な有機溶剤や水に溶解又は分散して塗工液を調製し、更に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング印刷法等の公知の手段により、上述の基材シートの一方の面に上記塗工液を塗布し、乾燥することにより形成することができる。
上記有機溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン、エタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド〔DMF〕等が挙げられる。上記染料層の塗工量は、乾燥固形基準で0.2〜6.0g/m2、好ましくは0.2〜3.0g/m2程度である。
(保護層)
本発明の熱転写シートは基材シート上に、熱転写性色材層と保護層とを面順次に設けた構成であり、その保護層4は少なくとも離型層6、転写層7を積層している。
その離型層6は、熱転写時に被転写体に移行するもの、あるいは基材シート側に残るもの、あるいは凝集破壊するもの等を適宜選択することができるが、熱転写により離型層が基材シート側に残存し、離型層と転写層との界面が熱転写された後の保護層表面になるようにすることが、本発明における熱転写シートの転写跡が残って問題が生じることに対し、その転写跡の痕跡を確実に判読できないようにする方法を、より確実にするので、好ましく行われる。
(離型層)
この離型層6は、熱転写シートにおける転写層の基材シートからの熱転写時の剥離性を高め、さらに熱転写後に使用された熱転写シートの表面に残存して、熱転写シートを巻き取る巻取部の近傍で、その熱転写シートが加熱されて、背面層と離型層が融着する働きをする。その離型層は、上記の剥離性、融着性などの機能を果たすために、ガラス転移温度が0℃以上60℃以下である樹脂を含有する。
上記のガラス転移温度が0℃以上60℃以下である樹脂としては、具体的には、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリエステル樹脂などを用いることができる。これらの樹脂における標準ポリスチレンで換算された質量平均分子量は、好ましくは、1万〜20万である。離型層に含む樹脂のガラス転移温度が60℃より高い場合、熱転写シートの転写跡の痕跡を判読させないように処理する際、背面層との融着性が弱まり好ましくない。また、一方で離型層に含む樹脂のガラス転移温度が0℃未満であると、熱転写シートの巻取り状で保管する際、ブロッキングが生じやすく問題である。なお、本発明で規定するガラス転移温度は、全て、JIS K 7121に準拠して測定したものである。
上記のガラス転移温度が0℃以上60℃以下である樹脂は、離型層の全固形分に対して、50質量%以上で含有することが好ましく、80質量%以上であることが更に好ましい。
それは、熱転写シートの巻取り状で保管する際のブロッキングと、熱転写シートの転写跡の痕跡を判読させないように処理する際の背面層との融着性を考慮しているからである。離型層に含有するガラス転移温度が0℃以上60℃以下である樹脂以外の樹脂やワックスが、すべてガラス転移温度(ワックスの場合には、軟化点もしくは融点)が0℃未満の場合には、ガラス転移温度が0℃以上60℃以下の樹脂が少ないと、上記ブロッキングが生じやすい。また一方で、離型層に含有するガラス転移温度が0℃以上60℃以下である樹脂以外の樹脂のガラス転移点あるいはワックスの軟化点もしくは融点が60℃を超える場合、ガラス転移温度が0℃以上60℃以下の樹脂が少ないと、背面層との融着性が弱まり好ましくない。
以上のように、ガラス転移温度が0℃以上60℃以下である樹脂の離型層における含有率を高めることが必要であり、本発明では上記の規定に到ったものである。
離型層に含有する樹脂は、そのガラス転移温度が0℃以上60℃以下であるものを主体とするが、ワックスを離型層に含有させてもよい。またワックスを離型層の主成分とすることも可能である。そのワックスとしては、ガラス転移温度ではなく、融点が0℃以上60℃以下であるものが好ましく用いられる。そのワックスを具体的に例示すると、蜜蝋、鯨蝋、木蝋、米ぬか蝋、カルナバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス等の天然ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、酸化ワックス、オゾケライト、セレシン、エステルワックス、ポリエチレンワックス等の合成ワックスが挙げられる。
離型層に含有させるワックスの融点が60℃より高い場合、熱転写シートの転写跡の痕跡を判読させないように処理する際、背面層との融着性が弱まり好ましくない。また、一方で離型層に含むワックスの融点が0℃未満であると、熱転写シートの巻取り状で保管する際、ブロッキングが生じやすく問題である。
離型層はポリアミド、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等の有機フィラー、シリカ、タルク等の無機フィラーを添加して、転写層の基材シートからの剥離力を調整することができる。
離型層の形成方法は、上記の染料層で説明した方法と同様でよく、その厚さは乾燥固形基準で0.5〜5.0g/m2程度である。
(転写層)
上記の離型層の上に転写層7が形成されるが、この転写層は熱転写シートから転写されて、保護層の機能を果たす。この転写層は、従来から保護層形成用樹脂として知られている各種の樹脂で形成することができる。保護層形成用樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂として、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ系樹脂、フェノキシ樹脂、これらの各樹脂をシリコーン変性させた樹脂、これらの各樹脂の混合物や、電離放射線硬化性樹脂、紫外線遮断性樹脂等を例示することができる。このほかに必要に応じて、紫外線吸収剤、有機フィラー及び/又は無機フィラーを適宜添加することが出来る。
電離放射線硬化性樹脂を含有する転写層は、耐可塑剤性や耐擦過性が特に優れている。電離放射線硬化性樹脂としては公知のものを使用することができ、例えば、ラジカル重合性のポリマー又はオリゴマーを電離放射線照射により架橋、硬化させ、必要に応じて光重合開始剤を添加し、電子線や紫外線によって重合架橋させたものを使用することができる。
紫外線遮断性樹脂や、紫外線吸収剤を含有する転写層は、印画物に耐光性を付与することを主目的とする。紫外線遮断性樹脂としては、例えば、反応性紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂又は上記の電離放射線硬化性樹脂に反応、結合させて得た樹脂を使用することができる。より具体的には、サリシレート系、フェニルアクリレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、クマリン系、トリアジン系、ニッケルキレート系の様な従来公知の非反応性の有機系紫外線吸収剤に、付加重合性二重結合(例えばビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基など)、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基のような反応性基を導入したものを例示することができる。
紫外線吸収剤は、従来公知の非反応性の有機系紫外線吸収剤で、サリシレート系、フェニルアクリレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、クマリン系、トリアジン系、ニッケルキレート系が挙げられる。
転写層の形成方法は、上記に説明した材料を用いて、上記の染料層で説明した方法と同様でよく、その厚さは乾燥固形基準で3〜30g/m2程度である。
(背面層)
本発明の熱転写シートにおける基材シートの熱転写性色材層、保護層の設けられた面と反対面に、背面層5が設けられる。
背面層は、基材シートの他方の面に、耐熱性、及び印画時におけるサーマルヘッドの走行性等を向上させるために設けられている。
背面層は、従来公知の熱可塑性樹脂等を適宜選択して形成することができる。このような、熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルクロリド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂、これらのシリコーン変性物等が挙げられる。
また、上記した樹脂に硬化剤を添加してもよい。硬化剤として機能するポリイソシアネート樹脂としては、特に制限なく従来公知のものを使用できるが、それらのなかでも、芳香族系イソシアネートのアダクト体を使用することが望ましい。芳香族系ポリイソシアネートとしては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、trans−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェートがあげられ、特に2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物が好ましい。このようなポリイソシアネート樹脂は、上記した水酸基含有熱可塑性樹脂をその水酸基を利用して架橋させ、背面層の塗膜強度や耐熱性を向上させる。
また、背面層には、上記熱可塑性樹脂に加え、スリップ性を向上させる目的で、ワックス、高級脂肪酸アミド、リン酸エステル化合物、金属石鹸、シリコーンオイル、界面活性剤等の離型剤、フッ素樹脂等の有機粉末、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム等の無機粒子等の各種添加剤が含有することができる。本発明では、熱転写性色材層等が転写された後の熱転写シートを加熱して、巻取り状で背面層と離型層を融着させて、熱転写シートの熱転写性色材層の転写跡の痕跡を判読できないようにしている。この際の背面層と離型層との融着による接着性を高めるために、上記の背面層では離型剤は使用せず、有機粉末、無機粒子の添加剤を使用することが好ましい。
背面層は、例えば、上記熱可塑性樹脂、必要に応じて添加される各種添加剤を適当な溶媒に分散又は溶解させた塗工液を、基材シートの熱転写性色材層及び保護層の反対側の面上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング印刷法等の公知の手段により、塗布し、乾燥することにより形成することができる。背面層の塗工量は、耐熱性等の向上等の点から、乾燥後塗工量が3g/m2以下であることが好ましく、0.1〜2g/m2にすることがより好ましい。
(印画方法)
本発明の印画方法について、説明する。
図3は、本発明の印画方法の一つの例を説明する概略図であり、本発明の熱転写シート1を用いて、被転写体10に第1転写装置30を用いて、熱転写画像を形成し、さらに、その熱転写画像を少なくとも覆うように、保護層を熱転写する。その後で、その熱転写シート1を巻取部41で巻き取り、インラインで、第2転写装置42を用いて、巻取部41で巻き取られたその熱転写シート1を加熱して、背面層と離型層を融着させることを説明するための全体装置50の概略図である。
熱転写シート1として、図1に示すような基材シート2の一方の面に熱転写性色材層3と保護層4とが面順次に形成され、その基材シート2の他方の面に、背面層5を順次設けた熱転写シート1を用いた。但し、保護層4は基材シート2側から離型層、転写層を順次積層した構成である。
上記装置50は、矢印R1で示す方向に熱転写シート1を送り出す送出部20と、送出部20の下流側に配置された第1転写装置30と、その第1転写装置30の下流側に配置され、矢印R2で示す方向に熱転写による画像及び保護層が転写され形成して使用された熱転写シート1、すなわち熱転写性色材層及び保護層が転写された後の熱転写シート1を巻き取る巻取部41と、転写され使用され、巻取部41で巻き取られた熱転写シート1を、背面層5側から加熱する第2転写装置42と、を備えている。
熱転写シート1は送出部20から送り出され、複数のガイドロール21に沿って搬送され、第1転写装置30に至り、被転写体10に所望パターンを転写して、熱転写画像を形成する。第1転写装置30は、被転写体10を支持するプラテンロール32と、熱転写シート1および被転写体10を挟んでプラテンロール32と対向するよう設けられた第1加熱体31、例えば印字ヘッドと、を有している。第1加熱体31は、熱転写シート1の背面層5側に設けられている。この第1加熱体31により、熱転写シート1の熱転写性色材層3が所定のパターンで加熱され、これによって、熱転写シート1の熱転写性色材層3の色材、あるいは色材層が基材11上に受容層12を設けた被転写体10に対して、所定のパターンで転写され、受容層12に熱転写画像13が形成される。
さらに、上記の所定のパターンで形成された熱転写画像13を受像面に有する被転写体10は、その第1転写装置30を用いて、熱転写シート1の保護層を構成する転写層7が、その熱転写画像13を覆うように転写され、保護層となる。
図3に第1転写装置30における第1加熱体31とプラテンロール32との間に、被転写体10と熱転写シート1とが、保護層の転写層7と、被転写体10の熱転写画像13を有する面(受容層12)とが重ね合わされて加熱及び加圧された状態を示す拡大図を示した。熱転写シート1の背面には、背面層5が設けられ、その背面層5と第1加熱体31とが接している。その第1加熱体31から熱転写シート1の背面層側を所定のパターンで加熱して、被転写体10に対し所定のパターンの熱転写画像13が転写される。さらに、その熱転写画像上に、転写層7が熱転写シート1から、第1加熱体31から加熱されて、熱転写画像を覆うようにベタ状に転写される。
なお、図3に示す巻取装置40は、熱転写性色材層及び転写層が転写された後の熱転写シート1を巻き取る巻取部41と、第2転写装置42とにより、構成されている。図3には、巻取装置40における第2転写装置42を構成する第2加熱体43と、熱転写性色材層及び転写層が転写された後の熱転写シート1の背面層5とが接した状態を拡大図で示した。第2加熱体43は矢印R3で示す方向に回転して、所定のパターンで熱転写性色材層が転写され、さらに保護層の転写層が転写された後の熱転写シート1の背面層を加熱する。第1転写装置30で所定のパターンの熱転写画像を形成後に、保護層の転写層が被転写体に転写された後に、その熱転写シート1を巻取部41で巻き取り、第2加熱体43を有する第2転写装置42を用いて、第2加熱体43により、巻取部41で巻き取られた上記熱転写シート1の背面層5、例えば背面層の全面でベタ状に加熱される。すると、転写層が転写されて表面が露出した離型層6と、巻取りで接する位置にある背面層5とが、離型層の溶融により、融着する。これにより、熱転写性色材層の第1転写装置30で所定のパターンの熱転写による転写跡の痕跡を目視にて判読できないようにすることができる。
図3で示した本発明の印画方法の例では、加熱体を2つ設けた方法(装置)を示したが、第1加熱体と第2加熱体を共通化して、一つの加熱体Sを用いても良い。但し、この場合は、被転写体に上記加熱体Sを用いて、熱転写画像を形成し、その熱転写画像上に転写層が転写され、巻取部41で巻き取られた熱転写シートへ、加熱体Sが移動して熱転写シートを背面層側から加熱することが好ましい。この場合は、加熱体Sが熱転写シートの搬送方向に移動可能に設定できるようにする。
図3では第2加熱体で、熱転写シートの背面層の全面でベタ状に加熱する例を示したが、これに限らずに、加熱するパターンは、熱転写性色材層の転写跡の痕跡を判読できないようにできれば、任意のパターンを選択することができる。
(被転写体)
本発明の印画方法で用いられる被転写体10は、従来公知のいずれの被転写体でも使用することができる。例えば、天燃パルプ紙、コート紙、トレーシングペーパー、加熱転写時の熱で変形しないプラスチックフィルム、ガラス、金属、セラミックス、木材、布等いずれのものでもよく、またこれらを基材11として、その基材上に染料など熱転写性色材を定着しやすいように、従来から知られた受容層12を設けることができる。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。これらの記載により本発明を
制限するものではない。なお、文中、部または%とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
(実施例1)
以下の組成を有する熱転写性色材層用組成物、離型層用組成物A、転写層用組成物1、転写層用組成物2及び背面層用組成物をそれぞれ、調製した。
(熱転写性シアン色材層用組成物)
・C.I.ソルベントブルー63 3.5部
・ポリビニルアセタール樹脂(積水化学工業(株)製、商品名エスレックKS−5)
3.5部
・トルエン 46.5部
・メチルエチルケトン 46.5部
(離型層用組成物A)
・ポリエステル樹脂(ガラス転移温度53℃、バイロン220) 100部
・シリコーン樹脂フィラー(平均粒径1μm、トスパール120、モメンティブ・パーフォーマンス・マテリアルズ社製) 2部
・メチルエチルケトン 50部
・トルエン 50部
(転写層用組成物1)
・アルミナゾル(固形分10%) 50部
(アルミナゾル200(羽毛状形態) 日産化学工業(株)製)
・ポリビニルピロリドン樹脂(K−90 ISP社製) 5部
・水 25部
・イソプロピルアルコール 20部
(転写層用組成物2)
・アクリル樹脂(ガラス転移温度105℃、ダイアナールBR87、三菱レイヨン(株)製) 20部
・メチルエチルケトン 40部
・トルエン 40部
(背面層用組成物)
・ポリビニルアセタール樹脂(水酸基価12質量%) 60.6部
(エスレックKS−1 積水化学工業(株))
・ポリイソシアネート(NCO=17.3質量%) 4.2部
(バーノックD750 大日本インキ化学工業(株))
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 3部
(ポリワックス3000 東洋アドレ(株)製)
・エトキシ化アルコール変性ワックス 7部
(ユニトックス750 、東洋アドレ(株)製)
・タルク 1.5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株))
・メチルエチルケトン 200部
・トルエン 100部
基材シートとして、厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートを用意した。
その基材シートの一方の面に、調製した上記背面層用組成物を、乾燥後の厚さが2.0g/m2になるように、グラビアコーターで塗工し、100℃で乾燥させ、背面層を形成した。
次いで、上記基材シートの他方の面に、調製した上記熱転写性シアン色材層用組成物を、乾燥後の厚さが1.0g/m2になるように、グラビアコーターで塗工し、100℃で乾燥させ、図1に示すような配置で、熱転写性色材層を形成した。
上記の熱転写性色材層の設けられた基材シートの表面で、図1に示すような保護層の配置で、上記離型層用組成物Aで、乾燥後の厚さが2.0g/m2になるように、グラビアコーターで塗工し、100℃で乾燥させ、離型層を形成した。その離型層を形成した形状と同様の形状で、離型層の上に、上記転写層用組成物1を乾燥後の厚さが0.5g/m2になるように、グラビアコーターで塗工し、乾燥させて転写層1を形成した。さらにその転写層1の上に、上記転写層用組成物2を乾燥後の厚さが2.0g/m2になるように、グラビアコーターで塗工し、乾燥させ、転写層2を形成して、基材シート/離型層/転写層1/転写層2の積層条件で、保護層を形成し、図1、2に示すような熱転写シートを作製した。
(実施例2)
離型層塗工液を下記に変更した以外は、実施例1と同様にして、熱転写シートを作製した。
(離型層用組成物B)
・ポリエステル樹脂(ガラス転移温度60℃、バイロンGK250) 100部
・シリコーン樹脂フィラー(平均粒径1μm、トスパール120、モメンティブ・パーフォーマンス・マテリアルズ社製) 2部
・メチルエチルケトン 50部
・トルエン 50部
(実施例3)
離型層塗工液を下記に変更した以外は、実施例1と同様にして、熱転写シートを作製した。
(離型層用組成物C)
・アクリル樹脂(ガラス転移温度35℃、ダイヤナールBR−79) 100部
・シリコーン樹脂フィラー(平均粒径1μm、トスパール120、モメンティブ・パーフォーマンス・マテリアルズ社製) 2部
・メチルエチルケトン 50部
・トルエン 50部
(比較例1)
上記実施例1で作製した熱転写シートで、離型層用組成物を下記の離型層用組成物Dに変更した以外は、実施例1と同様にして熱転写シートを作製した。
(離型層用組成物D)
・シリコーン変性アクリル系樹脂(ガラス転移温度69℃、ダイセル化学工業(株)製、セルトップ226、固形分50%) 100部
・シリコーン樹脂フィラー(平均粒径1μm、トスパール120、モメンティブ・パーフォーマンス・マテリアルズ社製) 2部
・メチルエチルケトン 50部
・トルエン 50部
(比較例2)
上記実施例1で作製した熱転写シートで、離型層用組成物を下記の離型層用組成物Eに変更した以外は、実施例1と同様にして熱転写シートを作製した。
(離型層用組成物E)
・ポリエステル樹脂(ガラス転移温度67℃、バイロン200) 100部
・シリコーン樹脂フィラー(平均粒径1μm、トスパール120、モメンティブ・パーフォーマンス・マテリアルズ社製) 2部
・メチルエチルケトン 50部
・トルエン 50部
(比較例3)
上記実施例1で作製した熱転写シートで、離型層用組成物を下記の離型層用組成物Fに変更した以外は、実施例1と同様にして熱転写シートを作製した。
(離型層用組成物F)
・ポリエステル樹脂(ガラス転移温度−15℃、バイロン550) 100部
・シリコーン樹脂フィラー(平均粒径1μm、トスパール120、モメンティブ・パーフォーマンス・マテリアルズ社製) 2部
・メチルエチルケトン 50部
・トルエン 50部
上記の実施例及び比較例の各熱転写シートを用いて、図3に示すような全体装置を用いて、印画及び後加熱を行なった。但し、第1転写装置で熱転写性色材層を被転写体へ転写して、顔写真の柄を印画して、画像を形成し、そしてその画像を覆うように、保護層の転写層をベタ状に熱転写した。その後、第2転写装置で、上記の熱転写性色材層及び転写層が転写された後の熱転写シートをベタ状に加熱して、背面層と、転写層が転写されて露出した離型層とを、融着させるようにした。
但し、印画に使用する被転写体は、キャノン(株)製の昇華転写型プリンターSELPHY CP710用の昇華型熱転写受像紙である。
上記の実施例及び比較例で作製し、印画しない状態の巻取りの熱転写シートの形態で、常温保管で、2日間放置して、熱転写シートの背面層側と転写層側とのブロッキングが生じているかどうか、目視にて観察し下記の条件で評価した。
(耐ブロッキング性の評価)
○:ブロッキングが認められず、良好である。
△:一部にブロッキングが認められるが、問題なく使用できる。
×:ブロッキングが認められ、不良である。
上記の実施例及び比較例で作製した各熱転写シートを用いて、上記の印画及び後加熱を行なった試料において、背面層側と離型層側との融着性について、目視にて観察し下記の条件で評価した。
(後加熱による融着性の評価)
○:上記の融着が認められ、良好である。すなわち熱転写シートの熱転写性色材層の転写跡の痕跡を判読できないようにすることが出来ている。
×:上記の融着が認められず、不良である。すなわち熱転写シートの熱転写性色材層の転写跡の痕跡を判読できてしまうものである。
上記の評価結果は以下の通りである。
Figure 2016190373
上記の実施例の熱転写シートは、熱転写して画像形成後の転写跡の痕跡を確実に判読できないようにすることができていた。さらに、実施例での熱転写シートは、その熱転写シートの製造時での熱転写性色材層の塗工欠陥があっても、その塗工面を透過して観察することで、その塗工欠陥を目視にて容易に見つけ出すことができるものであった。さらに、実施例の熱転写シートは、熱転写受像シートに印画する前に、巻取り状でブロッキングなど使用に支障が生じることがなかった。
それに対して、比較例1、2の熱転写シートは保護層における離型層は、その離型層に含有する樹脂のガラス転移温度が60℃より高く、背面層側と離型層側との融着性が低く、背面層側と離型層側は接着しておらず、熱転写シートの熱転写性色材層の転写跡の痕跡が判読できてしまい、情報が漏えいするものであり、非常に問題があった。
比較例3の熱転写シートは、保護層における離型層に含有する樹脂のガラス転移温度が0℃よりも低く、熱転写シートの巻取り状で保管する際、ブロッキングが生じ、問題であった。比較例3は上記の通り、保管中にブロッキングが生じるものであって、上記の印画及び後加熱を行なって、背面層側と離型層側との融着性の評価が実施できないものであった。
1 熱転写シート
2 基材シート
3 熱転写性色材層
4 保護層
5 背面層
6 離型層
7 転写層
10 被転写体
11 基材
12 受容層
13 熱転写画像
20 送出部
21 ガイドロール
30 第1転写装置
31 第1加熱体
32 プラテンロール
40 巻取装置
41 巻取部
42 第2転写装置
43 第2加熱体
50 全体装置

Claims (4)

  1. 基材シートの一方の面に少なくとも1色の熱転写性色材層と保護層とが面順次に形成され、前記基材シートの他方の面に、背面層が設けられた熱転写シートであって、前記保護層が基材シート側から離型層、転写層を順次積層し、前記離型層はガラス転移温度が0℃以上60℃以下である樹脂を含有することを特徴とする熱転写シート。
  2. 前記離型層は、ガラス転移温度が0℃以上60℃以下である樹脂を前記離型層の全固形分に対して、50質量%以上で含有することを特徴とする請求項1に記載する熱転写シート。
  3. 請求項1または2に記載の熱転写シートを用いて、被転写体に熱転写により画像を形成し、前記画像を少なくとも覆うように、前記保護層の転写層を熱転写してから、当該熱転写シートを巻取部で巻き取り、前記巻取部で巻き取られた当該熱転写シートを加熱して、前記背面層と、前記転写層が転写された面とを融着させることを特徴とする印画方法。
  4. 前記背面層と、前記転写層が転写された面とを融着させる加熱は、前記熱転写シートの背面層側から、ヒートローラーまたはサーマルヘッドで加熱することを特徴とする請求項3に記載する印画方法。
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