JP2016200328A - セッターおよびそれを用いた熱処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】被処理物の熱処理時に熱処理炉のエネルギー効率を向上させることのできるセッター、およびそれを用いた熱処理方法を提供する。【解決手段】一方主面に被処理物が載置される基材1aを備え、被処理物を熱処理炉内に搬入するために用いられるセッターである。基材1aは、厚さ1mmの板状とした場合に、波長が0.5μm以上5.5μm以下の範囲内にある光の透過率が70%以上である。このセッターは、好ましくは基材の一方主面上に、網状、波板状、貫通孔が分散して形成された板状、および凹部が分散して形成された板状のうち少なくとも1つの形態を有する補助部材を備える。【選択図】図1

Description

この発明は、被処理物を熱処理炉内に搬入するために用いられるセッターに関するものである。
例えば、焼成前のセラミック電子部品を焼成炉内に搬入する場合など、多数の被処理物を一度に熱処理炉内に搬入するためには、セッターと呼ばれる用具が用いられている。そのようなセッターは、アルミナ、マグネシア、ジルコニアまたはムライトなどからなる基材を備えている。焼成前のセラミック電子部品は、基材上に直接載置されるか、あるいは基材上に備えられた補助部材上に載置された状態で、焼成炉内に搬入される。補助部材としては、例えばジルコニアによりコーティングされた金属網などが用いられる。
セラミック電子部品の焼成時に投入されるエネルギーは、焼成前のセラミック電子部品の加熱と、それらが載置されているセッターの加熱との両方に使われることになる。したがって、焼成に係るエネルギー効率を向上させるためには、セッターの厚みを薄くするなどして、セッターの熱容量を低減することが考えられる。特開2009−227527号公報(特許文献1)には、そのようなセッターの一例が提案されている。
図11は、特許文献1に記載されているセッター100の模式図である。セッター100は、電子部品載置面101aを有し、純度が90%以上のアルミナを成分とし、気孔率が1%以下で、250MPa以上の曲げ強度を有する基材101を備えている。このような基材101は、高い曲げ強度を有するため、基材101の厚みを薄くすることができる。その結果、セッター100の熱容量が低減され、焼成に係るエネルギー効率が向上するという利点がある。
特開2009−227527号公報
近年、電子機器の小型化の傾向に伴い、電子機器に用いられるセラミック電子部品の小型化が求められている。セラミック電子部品の小型化が進むほど、セラミック電子部品の焼成炉内への投入体積の、セッターの体積に対する比が小さくなる。すなわち、焼成時に投入されるエネルギーの多くが、セッターの加熱に使われてしまうことになる。したがって、焼成に係るエネルギー効率が悪くなるため、セラミック電子部品の製造コストの増大につながる。
一方、特許文献1に記載されている基材101は、高い曲げ強度を有するものの、十分な耐衝撃性を確保するためには、ある程度以上の厚みが必要である。したがって、基材101の厚みを薄くしてセッター100の熱容量を低減させることにより、焼成に係るエネルギー効率を向上させることには限度がある。
そこで、この発明の目的は、基材の厚みによらず、被処理物の熱処理時に熱処理炉のエネルギー効率を向上させることのできるセッター、およびそれを用いた熱処理方法を提供することである。
この発明では、熱処理時のエネルギー効率を向上させるため、セッターの基材の材質についての改良が図られる。
この発明は、まずセッターに向けられる。
この発明に係るセッターは、被処理物を熱処理炉内に搬入するために用いられるものである。この発明に係るセッターは、一方主面に被処理物が載置される基材を備えている。基材は、厚さ1mmの板状とした場合に、波長が0.5μm以上5.5μm以下の範囲内にある光の透過率が70%以上である材料により形成されている。
上記のセッターでは、基材が上記の特徴を有する光を70%以上透過させる。ここで、光を放射する物体を黒体と考えた場合に、物体から放射された光の分光分布の、物体の温度による変化を図10に示す。図10は、物体から放射される光の波長に対する、放射エネルギーの関係を表している。図10を見ると、温度が1300℃以上1700℃以下の範囲内にある物体は、波長が0.5μm以上5.5μm以下の範囲内にあり、照射された物体を実質的に加熱することができるエネルギー分布を有する光を放射していることが分かる。
このような光は、所定の温度となるように被処理物を加熱するために、熱処理炉内に備えられている加熱用ヒーターから放射されるものに相当する。そのため、このような光の大部分を透過するような材料を用いてセッターを形成することにより、被処理物の熱処理時において投入されるエネルギーの、セッターの光吸収による加熱に使われる度合いを少なくすることができる。
すなわち、投入されるエネルギーが、被処理物の加熱に効果的に使われることになる。したがって、セッターの基材の厚みを薄くすることなく、被処理物の熱処理時における熱処理炉のエネルギー効率を向上させることができる。加えて、被処理物の昇温速度を向上させることができる。
この発明に係るセッターにおける第1の好ましい実施形態では、基材の一方主面上に、補助部材がさらに備えられている。補助部材は、網状、波板状、貫通孔が分散して形成された板状、および凹部が分散して形成された板状のうち少なくとも1つの形態を有する。ここで、網状の補助部材における開目の幅は、被処理物の最大長さより短い。波板状の補助部材におけるピッチの長さは、被処理物の最大長さより長い。板状の補助部材における貫通孔の直径は、被処理物の最大長さより短い。板状の補助部材における凹部の開口径は、被処理物の最大長さより長い。そして、被処理物は、補助部材を介して基材の一方主面上に載置される。
なお、被処理物の最大長さとは、例えば被処理物の形状が直方体であるものは、最も長い辺の長さであり、被処理物の形状が円板であるものは、円板の直径であり、被処理物の形状が円柱であるものは、円柱の軸方向の長さである。
前述したように、この発明に係るセッターの基材は、加熱用ヒーターから放射される光を透過するため、熱処理中でも温度が上がらない。したがって、被処理物と基材との接触面積が大きい場合、被処理物から基材の方に熱が逃げてしまう可能性がある。
上記のセッターでは、被処理物は、各々所定の形状を有する補助部材を介して基材の一方主面上に載置される。そのため、被処理物と基材との接触面積が小さくなり、被処理物から基材の方に熱が逃げてしまう度合いを少なくすることができる。
すなわち、投入されるエネルギーが、被処理物の加熱に、より効果的に使われることになる。したがって、被処理物の熱処理時における熱処理炉のエネルギー効率をより向上させることができる。加えて、被処理物の昇温速度をより向上させることができる。
また、補助部材によりセッター上に凹部が形成されるため、被処理物をセッター上に保持しやすくなり、被処理物を熱処理炉内に搬送する際に、被処理物がセッターから落下して破損することを防止することができる。さらに、セッター上に分散して形成された凹部に複数の被処理物が分散された状態で熱処理を行なうことができるため、セッター上における被処理物の温度ばらつきを小さくすることができる。
この発明に係るセッターにおける第2の好ましい実施形態では、基材の一方主面に、開口径が被処理物の最大長さより長い凹部が分散して形成されている。
上記のセッターでは、基材の一方主面に、所定の開口径を有する凹部が分散して形成されている。そのため、第1の好ましい実施形態と同様に、被処理物と基材との接触面積が小さくなり、被処理物から基材の方に熱が逃げてしまう度合いを少なくすることができる。加えて、基材に直接凹部を形成するため、投入されるエネルギーが、補助部材の加熱に使われずに済む。
すなわち、投入されるエネルギーが、被処理物の加熱に、より一層効果的に使われることになる。したがって、被処理物の熱処理時における熱処理炉のエネルギー効率をより一層向上させることができる。加えて、被処理物の昇温速度をより一層向上させることができる。
また、第1の好ましい実施形態と同様に、被処理物をセッター上に保持しやすくなり、被処理物を熱処理炉内に搬送する際に、被処理物がセッターから落下して破損することを防止することができる。さらに、基材の一方主面に分散して形成された凹部に複数の被処理物が各々分散された状態で熱処理を行なうことができるため、セッター上における被処理物の温度ばらつきを小さくすることができる。
また、この発明は、熱処理方法にも向けられる。
この発明に係る熱処理方法は、載置工程と、搬入工程と、熱処理工程と、を備える。載置工程は、この発明に係る前述のセッター上に被処理物を載置する工程である。搬入工程は、被処理物が載置されたセッターを熱処理炉内に搬入する工程である。熱処理工程は、熱処理炉の加熱用ヒーターの最高温度が1300℃以上1700℃以下の範囲内となるように設定された熱処理条件により、被処理物の熱処理を行なう工程である。
上記の熱処理方法では、この発明に係る前述のセッターを用いて、熱処理炉の加熱用ヒーターの最高温度が1300℃以上1700℃以下の範囲内となるように設定された熱処理条件により、被処理物の熱処理を行なう。前述したように、この発明に係るセッターは、波長が0.5μm以上5.5μm以下の範囲内にある光の透過率が70%以上である材料により形成されている。そして、上記の温度を有する加熱用ヒーターからは、波長が上記の範囲内にあり、照射された被処理物を実質的に加熱することができるエネルギー分布を有する光が放射されている。そのため、上記の熱処理方法では、被処理物の熱処理時において投入されるエネルギーの、光吸収によるセッターの加熱に使われる度合いを少なくすることができる。
すなわち、投入されるエネルギーが、被処理物の加熱に効果的に使われることになる。したがって、被処理物の熱処理時における熱処理炉のエネルギー効率を向上させることができる。加えて、被処理物の昇温速度を向上させることができる。
この発明に係るセッターでは、基材が上記の特徴を有する光を70%以上透過させるため、熱処理時に投入されるエネルギーの、光吸収によるセッターの加熱に使われる度合いを少なくすることができる。すなわち、投入されるエネルギーが、被処理物の加熱に効果的に使われることになる。したがって、セッターの基材の厚みを薄くすることなく、被処理物の熱処理時における熱処理炉のエネルギー効率を向上させることができる。
また、この発明に係る熱処理方法では、この発明に係るセッターを用い、かつ所定の温度に設定された加熱用ヒーターを用いて熱処理を行なうため、投入されるエネルギーの、光吸収によるセッターの加熱に使われる度合いを少なくすることができる。すなわち、投入されるエネルギーが、被処理物の加熱に効果的に使われることになる。したがって、被処理物の熱処理時における熱処理炉のエネルギー効率を向上させることができる。
この発明に係るセッターの第1の実施形態であるセッター10の上面図、および上面図のA1−A1線を含む面の矢視断面図である。 図1に示したセッター10の第1の変形例(網状の補助部材を有する場合)としてのセッター10Aの上面図、および上面図のA2−A2線を含む面の矢視断面図である。 図1に示したセッター10の第2の変形例(波板状の補助部材を有する場合)としてのセッター10Bの上面図、および上面図のA3−A3線を含む面の矢視断面図である。 図1に示したセッター10の第3の変形例(貫通孔が分散して形成された板状の補助部材を有する場合)としてのセッター10Cの上面図、および上面図のA4−A4線を含む面の矢視断面図である。 図1に示したセッター10の第4の変形例(凹部が分散して形成された板状の補助部材を有する場合)としてのセッター10Dの上面図、および上面図のA5−A5線を含む面の矢視断面図である。 この発明に係るセッターの第2の実施形態であるセッター20の上面図、および上面図のA6−A6線を含む面の矢視断面図である。 この発明に係る熱処理方法の実施形態の一例(図6に示したセッター20を用いてセラミック素体を焼成する場合)を説明するためのもので、載置工程を模式的に示す断面図である。 図7に示した載置工程に引き続いて実施される搬入工程を模式的に示す断面図である。 図8に示した搬送工程に引き続いて実施される熱処理工程を模式的に示す断面図である。 光を放射する物体を黒体と考えた場合に、物体から放射された光の分光分布の、物体の温度による変化を示すグラフである。 背景技術のセッター100の断面図である。
以下にこの発明の実施形態を示して、本発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
−セッターの第1の実施形態−
この発明に係るセッターの第1の実施形態であるセッター10について、図1を用いて説明する。セッター10は、セラミック電子部品を構成するセラミック素体を焼成する際に、未焼成のセラミック素体を焼成炉内に搬入するために用いられるものである。以下、この発明に係るセッターの実施形態の説明は、上記に倣ってセラミック素体の焼成に用いられるセッターを具体例として行なう。
図1(A)は、セッター10の上面図である。図1(B)は、セッター10の、図1(A)のA1−A1線を含む面の矢視断面図であり、例えばインダクタのコアのような形状を有する未焼成のセラミック素体c1を併せて示してある。
セッター10は、一方主面1sに未焼成のセラミック素体が載置される基材1を備えている。基材1は、温度が1300℃以上1700℃以下の範囲内にある物体から放射された、波長が0.5μm以上5.5μm以下の範囲内にある光の透過率が70%以上である材料により、板状に形成されている。なお、基材1の厚みは、強度の面から1mm以上が好ましい。また、当該材料は、焼成時における焼成炉の炉内温度以上の耐熱性を有している。そのような材料の具体例としては、透光性アルミナ、透光性イットリアなどが挙げられる。
ここで、この発明における基材の透過率は、以下のように定義される。透過率の測定は、直径20mm、厚み1mmの試験片を用い、開口角15°の赤外分光光度計により、波長が0.5μm以上15μm以下の範囲内にある光を分光したものが、各々試験片を透過する割合を測定することによって行なった。そして、波長が0.5μm以上5.5μm以下の範囲内にある光を分光したものについて、各々の透過率を求め、その最小値をこの発明における基材の透過率とした。
すなわち、波長が0.5μm以上5.5μm以下の範囲内にある光を分光したものの透過率の最小値が、ある波長で70%であったとすれば、この波長範囲における光の透過率は70%以上となる。なお、上記の測定において、測定値は拡散透過率として扱った。
このような光は、セラミック素体を焼成するために、焼成炉内に備えられている加熱用ヒーターから放射されるものに相当する。そのため、このような光の大部分を透過するような材料を用いてセッターを形成することにより、セラミック素体の焼成時において投入されるエネルギーの、光吸収によるセッターの加熱に使われる度合いを少なくすることができる。すなわち、セッターのない状態と近い状態で、セラミック素体の焼成を行なうことができる。
なお、未焼成のセラミック素体c1は、インダクタのコアのような形状を有しているので、コアの鍔部と基材1との接触面積が小さく、焼成時に基材1の方に逃げてしまう熱は、無視しても差し支えない。
−セッターの第1の実施形態の第1の変形例−
この発明に係るセッターの第1の実施形態の第1の変形例としてのセッター10Aについて、図2を用いて説明する。セッター10Aは、基材1に加えて網状の補助部材Mを備えている。基材1は、前述したものと同様であるため、説明を省略する。
図2(A)は、セッター10Aの上面図である。図2(B)は、セッター10Aの、図2(A)のA2−A2線を含む面の矢視断面図であり、例えば積層セラミックコンデンサのセラミック積層体のような、直方体形状を有する未焼成のセラミック素体c2を併せて示してある。
セッター10Aは、基材1の一方主面1s上に、網状の補助部材Mを備えている。ここで、補助部材Mにおける開目の形状は、上面視で正方形となっている。また、開目の幅t1は、未焼成のセラミック素体c2の最大長さ(長手方向の寸法)より短くなっている。図2(B)では、補助部材M上に未焼成のセラミック素体c2が載っており、基材1とは接触していない状態となっている。
また、開目の幅t1が上記の通りであれば、仮に未焼成のセラミック素体c2の一部が補助部材Mの開目の中に入り込んだ状態となっても、未焼成のセラミック素体c2の角部、端面に含まれる一辺、または端面が基材1に接触した状態とすることができる。上記のいずれの場合においても、未焼成のセラミック素体c2は、補助部材Mを介して基材1の一方主面1s上に載置されていることになる。
未焼成のセラミック素体c2は、積層セラミックコンデンサのセラミック積層体のような形状を有しているため、基材1にその側面のうちの1つが接触すると、焼成時に基材1の方に逃げてしまう熱が無視できない可能性がある。一方、網状の補助部材Mを介した場合、未焼成のセラミック素体c2と基材1とが接触しないか、または仮に接触したとしても接触面積が小さくなるため、未焼成のセラミック素体c2から基材1の方に熱が逃げてしまう度合いを少なくすることができる。すなわち、セッターのない状態と近い状態で、未焼成のセラミック素体c2の焼成を行なうことができる。なお、補助部材Mの厚みは、補助部材Mの加熱によるエネルギーの損失を低減するため、0.4mm以下が好ましい。
また、未焼成のセラミック素体c2が補助部材Mの開目に入り込むことにより、未焼成のセラミック素体c2をセッター10A上に保持しやすくなる。さらに、未焼成のセラミック素体c2が分散された状態で焼成を行なうことができるため、セッター10A上における未焼成のセラミック素体c2の温度ばらつきが小さくなる。
なお、図2では、補助部材Mの開目の形状が上面視で正方形となっているが、これに限られるものではなく、正三角形、正六角形または他の形状など、任意の形状とすることができる。また、補助部材Mは、焼成時の温度および雰囲気に合わせて任意の材質とすることができる。具体的には、Ni、Cuなど、焼成時における焼成炉の炉内温度以上の耐熱性を有する金属からなる金属網、そのような金属網にジルコニアをコーティングしたものなどを用いることができる。あるいは、焼成時における焼成炉の炉内温度以上の耐熱性を有する炭素繊維などを用いてもよい。
−セッターの第1の実施形態の第2の変形例−
この発明に係るセッターの第1の実施形態の第2の変形例としてのセッター10Bについて、図3を用いて説明する。セッター10Bは、基材1に加えて波板状の補助部材S1を備えている。基材1は、前述したものと同様であるため、説明を省略する。
図3(A)は、セッター10Bの上面図である。図3(B)は、セッター10Bの、図3(A)のA3−A3線を含む面の矢視断面図であり、図2(B)と同様の未焼成のセラミック素体c2を併せて示してある。
セッター10Bは、基材1の一方主面1s上に、波板状の補助部材S1を備えている。ここで、補助部材S1における波のピッチの長さt2は、未焼成のセラミック素体c2の最大長さより長くなっている。すなわち、未焼成のセラミック素体c2は、補助部材S1の波間に入り込んだ状態で、補助部材S1を介して基材1の一方主面1s上に載置されている。なお、補助部材S1の板材としての厚みは、補助部材Mの加熱によるエネルギーの損失を低減するため、0.2mm以下が好ましい。
波板状の補助部材S1を介した場合、未焼成のセラミック素体c2の角部、または端面に含まれる一辺が補助部材S1に接触した状態とすることができる。それで、未焼成のセラミック素体c2から基材1の方に熱が逃げてしまう度合いを少なくすることができる。すなわち、セッターのない状態と近い状態で、セラミック素体の焼成を行なうことができる。
また、未焼成のセラミック素体c2が補助部材S1の波間に入り込むことにより、未焼成のセラミック素体c2をセッター10B上に保持しやすくなる。さらに、未焼成のセラミック素体c2が分散された状態で焼成を行なうことができるため、セッター10B上における未焼成のセラミック素体c2の温度ばらつきが小さくなる。
なお、図3では、補助部材S1の波の形状が滑らかな曲線となっているが、これに限られるものではなく、三角波、鋸歯状波など、任意の形状とすることができる。また、補助部材S1は、焼成時の温度および雰囲気に合わせて任意の材質とすることができる。具体的には、カーボンシートや金属を波板状に加工したものなどを用いることができる。
−セッターの第1の実施形態の第3の変形例−
この発明に係るセッターの第1の実施形態の第3の変形例としてのセッター10Cについて、図4を用いて説明する。セッター10Cは、基材1に加えて貫通孔hが分散して形成された板状の補助部材S2を備えている。基材1は、前述したものと同様であるため、説明を省略する。
図4(A)は、セッター10Cの上面図である。図4(C)は、セッター10Cの、図4(A)のA4−A4線を含む面の矢視断面図であり、図2(B)と同様の未焼成のセラミック素体c2を併せて示してある。
セッター10Cは、基材1の一方主面1s上に、貫通孔hが分散して形成された板状の補助部材S2を備えている。ここで、補助部材S2における貫通孔hは、上面視で円形となっている。また、貫通孔hの直径t3は、未焼成のセラミック素体c2の最大長さより短くなっている。図4(B)では、補助部材S2上に未焼成のセラミック素体c2が載っており、基材1とは接触していない状態となっている。
また、貫通孔hの直径t3が上記の通りであれば、仮に未焼成のセラミック素体c2の一部が補助部材S2の貫通孔hの中に入り込んだ状態となっても、未焼成のセラミック素体c2の角部、端面に含まれる一辺、または端面が基材1に接触した状態とすることができる。上記のいずれの場合においても、未焼成のセラミック素体c2は、補助部材S2を介して基材1の一方主面1s上に載置されていることになる。
貫通孔hが分散して形成された板状の補助部材S2を介した場合、未焼成のセラミック素体c2と基材1とが接触しないか、または仮に接触したとしても接触面積が小さくなるため、未焼成のセラミック素体c2から基材1の方に熱が逃げてしまう度合いを少なくすることができる。すなわち、セッターのない状態と近い状態で、未焼成のセラミック素体c2の焼成を行なうことができる。なお、補助部材S2の厚みは、補助部材Mの加熱によるエネルギーの損失を低減するため、0.2mm以下が好ましい。
また、未焼成のセラミック素体c2が補助部材S2の貫通孔hの中に入り込むことにより、未焼成のセラミック素体c2をセッター10C上に保持しやすくなる。さらに、未焼成のセラミック素体c2が分散された状態で焼成を行なうことができるため、セッター10C上における未焼成のセラミック素体c2の温度ばらつきが小さくなる。
なお、図4では、補助部材S2の貫通孔hの形状が上面視で円形となっているが、これに限られるものではなく、三角形、四角形または他の形状など、任意の形状とすることができる。また、補助部材S2は、焼成時の温度および雰囲気に合わせて任意の材質とすることができる。具体的には、カーボンシートや金属を打ち抜いて、上記の形状を有する貫通孔hを形成したものなどを用いることができる。
−セッターの第1の実施形態の第4の変形例−
この発明に係るセッターの第1の実施形態の第4の変形例としてのセッター10Dについて、図5を用いて説明する。セッター10Dは、基材1に加えて凹部d1が分散して形成された板状の補助部材S3を備えている。基材1は、前述したものと同様であるため、説明を省略する。
図5(A)は、セッター10Dの上面図である。図5(B)は、セッター10Dの、図5(A)のA5−A5線を含む面の矢視断面図であり、図2(B)と同様の未焼成のセラミック素体c2を併せて示してある。
セッター10Dは、基材1の一方主面1s上に、凹部d1が分散して形成された板状の補助部材S3を備えている。ここで、補助部材S3における凹部d1は、上面視で円形であり、断面視で弓形となっている。また、凹部d1の開口径t4は、未焼成のセラミック素体c2の最大長さより長くなっている。すなわち、未焼成のセラミック素体c2は、補助部材S3の凹部d1に入り込んだ状態で、補助部材S3を介して基材1の一方主面1s上に載置されている。
凹部d1が分散して形成された板状の補助部材S3を介した場合、未焼成のセラミック素体c2の角部、または端面に含まれる一辺が補助部材S3に接触した状態とすることができる。それで、未焼成のセラミック素体c2から基材1の方に熱が逃げてしまう度合いを少なくすることができる。すなわち、セッターのない状態と近い状態で、セラミック素体の焼成を行なうことができる。なお、補助部材S3の板材としての厚みは、補助部材S3の加熱によるエネルギーの損失を低減するため、0.2mm以下が好ましい。
また、未焼成のセラミック素体c2が補助部材S3の凹部d1に入り込むことにより、未焼成のセラミック素体c2をセッター10D上に保持しやすくなる。さらに、未焼成のセラミック素体c2が分散された状態で焼成を行なうことができるため、セッター10D上における未焼成のセラミック素体c2の温度ばらつきが小さくなる。
なお、図5では、補助部材S3の凹部d1が上面視で円形となっているが、これに限られるものではなく、三角形、四角形または他の形状など、任意の形状とすることができる。また、断面視で弓形となっているが、台形などの多角形状などとしてもよい。さらに、補助部材S3は、焼成時の温度および雰囲気に合わせて任意の材質とすることができる。具体的には、カーボンシートや金属に凹部加工を施して、上記の形状を有する凹部d1を形成したものなどを用いることができる。
−セッターの第2の実施形態−
この発明に係るセッターの第2の実施形態であるセッター20について、図6を用いて説明する。セッター20は、基材2に直接凹部d2が分散して形成されている。基材2は、前述した基材1と同様の材質を有するため、材質の説明を省略する。なお、基材2の凹部の形成されていない箇所の厚みは、強度の面から1mm以上が好ましい。
図6(A)は、セッター20の上面図である。図6(B)は、セッター20の、図6(A)のA6−A6線を含む面の矢視断面図であり、図2(B)と同様の未焼成のセラミック素体c2を併せて示してある。
セッター20は、基材2の一方主面2sに、凹部d2が分散して形成されている。ここで、凹部d2は、上面視で円形であり、断面視で半円形となっている。また、凹部d2の開口径t5は、未焼成のセラミック素体c2の最大長さより長くなっている。すなわち、未焼成のセラミック素体c2は、凹部d2に入り込んだ状態で、基材2の一方主面2s上に載置されている。
基材2の一方主面2sに、凹部d2が分散して形成されている場合、未焼成のセラミック素体c2の角部、または端面に含まれる一辺が基材2に接触した状態とすることができる。それで、未焼成のセラミック素体c2から基材2の方に熱が逃げてしまう度合いを少なくすることができる。加えて、基材2に直接凹部d2を形成するため、投入されるエネルギーが、補助部材の加熱に使われずに済む。すなわち、セッターのない状態と近い状態で、セラミック素体の焼成を行なうことができる。
また、未焼成のセラミック素体c2が凹部d2に入り込むことにより、未焼成のセラミック素体c2をセッター20上に保持しやすくなる。さらに、未焼成のセラミック素体c2が分散された状態で焼成を行なうことができるため、セッター20上における未焼成のセラミック素体c2の温度ばらつきが小さくなる。
なお、図6では、基材2に形成されている凹部d2が上面視で円形となっているが、これに限られるものではなく、三角形、四角形または他の形状など、任意の形状とすることができる。また、断面視で半円形となっているが、弓形としてもよく、さらに台形などの多角形状などとしてもよい。
−熱処理方法の実施形態−
この発明に係る熱処理方法の実施形態の一例について、図7ないし図9を用いて説明する。以下の熱処理方法の実施形態の説明は、図6に示したセッター20を用い、積層セラミックコンデンサのセラミック積層体のような形状を有するセラミック素体を焼成する場合を具体例として行なう。図7ないし図9は、そのようなセラミック素体の焼成において順次行なわれる、載置工程、搬入工程、および焼成工程を模式的に示す断面図である。
<載置工程>
図7は、セラミック素体の焼成における載置工程を模式的に示す断面図である。載置工程により、未焼成のセラミック素体c2がセッター20上に載置される。図7では、多数の未焼成のセラミック素体c2は、セッター20の基材1の一方主面1sに形成されている凹部d2に入り込んだ状態となっている。多数の未焼成のセラミック素体c2を凹部d2に入り込んだ状態とするには、例えば凹部d2に対応した位置に貫通孔が形成された振り込み治具を用いることができる。
<搬入工程>
図8は、セラミック素体の焼成における搬入工程を模式的に示す断面図である。搬入工程により、未焼成のセラミック素体c2が載置されたセッター20が焼成炉30内に搬入される。図8では、焼成炉30としてローラーハース型の連続焼成炉を用いた場合を図示している。
焼成炉30は、炉体31と、仕切り板31aと、加熱用ヒーター32aと、ローラー33を備えている。仕切り板31aは、炉体31を幾つかの領域に分割するためのもので、セッター20が通過することのできる開口部31bが設けられている。加熱用ヒーター32aは、必要に応じて未焼成のセラミック素体c2の脱脂などを行なうために備えられているものである。ローラー33は、セッター20を搬送するためのものである。また、焼成炉30は、炉内雰囲気の調整のためのガス配管を備えるようにしてもよい。
未焼成のセラミック素体c2が載置されたセッター20は、回転するローラー33により、焼成炉30の一方側(図上で左側)から、矢印の向きで炉内に搬入される。なお、後述する焼成工程に至るまでに、上記のように加熱用ヒーター32aにより未焼成のセラミック素体c2の脱脂などを行なうようにしてもよい。
<焼成工程>
図9は、セラミック素体の焼成における焼成工程を模式的に示す断面図である。焼成工程により、未焼成のセラミック素体c2がセラミック電子部品を構成するセラミック素体に焼成される。図9では、上記のように焼成炉30としてローラーハース型の連続焼成炉を用いた場合を図示している。
一方側から矢印の向きで焼成炉30内に搬入されたセッター20は、さらに進んで焼成工程が行なわれる領域に到達し、焼成工程後は焼成炉30外に搬出される。焼成工程後の処理は、特に限定されるものではない。
焼成炉30において、焼成工程が行なわれる領域では、加熱用ヒーター32bの設置数が、前述の脱脂などが行なわれる領域よりも多くなっている。この加熱用ヒーター32bは、最高温度が1300℃以上1700℃以下の範囲内となるように設定され、未焼成のセラミック素体c2を焼成することができるエネルギーを有する、波長が0.5μm以上5.5μm以下の範囲内にある光を放射する。
前述したように、セッター20は、このような光の大部分を透過するような材料により形成されている。すなわち、セラミック素体の焼成時において投入されるエネルギーの、光吸収によるセッターの加熱に使われる度合いが少なくなっている。したがって、セッターのない状態と近い状態で、セラミック素体の焼成を行なうことができる。
図8および図9では、焼成炉30としてローラーハース型の連続焼成炉を用いた場合を図示したが、バッチ型焼成炉を用いてもよい。また、以上の熱処理方法の実施形態の説明は、積層セラミックコンデンサのセラミック積層体のような形状を有するセラミック素体を焼成する場合を具体例として行なったが、任意の形状のセラミック素体の焼成に適用することができる。
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることができる。すなわち、熱処理炉の加熱用ヒーターの最高温度が前述の温度範囲内となるように設定された熱処理条件で、被処理物をセッターに載置して熱処理を行なう場合であれば、セラミック素体の焼成に限らずこの発明を適用することができる。
また、この明細書に記載の各実施形態は、例示的なものであり、異なる実施形態間において、構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることを指摘しておく。
10、10A、10B、10C、10D、20 セッター
1、2 基材
M 網状の補助部材
S1 波板状の補助部材
S2 貫通孔hが形成された板状の補助部材
S3 凹部d1が形成された板状の補助部材
t1 開目の幅
t2 ピッチの長さ
t3 貫通孔hの直径
t4 凹部d1の開口径
t5 凹部d2の開口径

Claims (4)

  1. 被処理物を熱処理炉内に搬入するために用いられるセッターであって、
    一方主面に前記被処理物が載置される基材を備え、
    前記基材は、厚さ1mmの板状とした場合に、波長が0.5μm以上5.5μm以下の範囲内にある光の透過率が70%以上である材料により形成されていることを特徴とする、セッター。
  2. 前記基材の一方主面上に、開目の幅が前記被処理物の最大長さより短い網状、ピッチの長さが前記被処理物の最大長さより長い波板状、直径が前記被処理物の最大長さより短い貫通孔が分散して形成された板状、および開口径が前記被処理物の最大長さより長い凹部が分散して形成された板状のうち少なくとも1つの形態を有する補助部材がさらに備えられており、
    前記被処理物は、前記補助部材を介して前記基材の一方主面上に載置されることを特徴とする、請求項1に記載のセッター。
  3. 前記基材の一方主面に、開口径が前記被処理物の最大長さより長い凹部が分散して形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のセッター。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のセッター上に前記被処理物を載置する載置工程と、
    前記被処理物が載置された前記セッターを熱処理炉内に搬入する搬入工程と、
    前記熱処理炉の加熱用ヒーターの最高温度が1300℃以上1700℃以下の範囲内となるように設定された熱処理条件により、前記被処理物の熱処理を行なう熱処理工程と、を備えることを特徴とする、熱処理方法。
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