JP2016200547A - ガスセンサおよびガス検出装置 - Google Patents

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夕佳里 岡田
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Abstract

【課題】塩基性ガスを殆ど除去するとともに十分な拡散速度を確保し、長期間にわたり高い応答性を実現したガスセンサ、および、このガスセンサを搭載することで耐環境性および長期安定性を向上させ、長期間使用可能とするガス検出装置を提供する。【解決手段】検出対象ガスのうち塩基性ガスと雑ガスを吸着する活性炭フィルタ60と、活性炭フィルタ60を通過した検出対象ガスのうち塩基性ガスと雑ガスを吸着するシリカゲルフィルタ70と、残る検出対象ガスのうち可燃性の目的ガスに感応して検出信号を出力するガスセンサ素子10と、を備えるガスセンサ1とした。また、このガスセンサ1を搭載するガス検出装置とした。【選択図】図1

Description

本発明は、電池駆動を念頭に置いた低消費電力型のガスセンサ、および、このガスセンサを用いてガス漏れなどの警報を発するガス検出装置に関する。
家庭用に普及している都市ガス用のガス漏れ警報器は、その性格上、高感度、高選択性、高応答性、高信頼性、が必要不可欠である。このようなガス漏れ警報器は、ある特定ガス、例えば、一酸化炭素(CO)、メタンガス(CH)、プロパンガス(C)、水素(H)、メタノール(CHOH)等に選択的に感応する薄膜ガスセンサ素子を搭載する。この薄膜ガスセンサ素子は、スパッタなどの薄膜成膜技術と微細加工プロセスにより高断熱・低熱容量のダイアフラム構造として、実用上許容しうる低消費電力センサとしている。
続いてこのような薄膜ガスセンサ素子を利用するガス検出装置について図11,図12を参照しつつ説明する。ガス検出装置500は、図11で示すように、ガスセンサ素子10、駆動処理部20を少なくとも備える。なお、駆動処理部20は、操作入力部、目的ガスのガス濃度を表示する表示部等を備える形態としても良い。
ガスセンサ素子10は、薄膜型半導体式のガスセンサ素子であり、図12で示すように、シリコン基板(以下Si基板)11、熱絶縁支持層12、ヒーター層13、電気絶縁層14、ガス検知部15を備える。なお、図12は薄膜型半導体式のガスセンサ素子の構成をあくまで概念的に見やすく示したものであり、各部の大きさや厚さ等は厳密なものではない。
続いて各部構成について説明する。
Si基板11はシリコン(Si)により形成され、ガス検知部15が直上に位置する箇所に貫通孔が形成される。
熱絶縁支持層12はこの貫通孔の開口部に張られてダイアフラム様に形成されており、Si基板11の上に設けられる。
熱絶縁支持層12は、詳しくは、熱酸化SiO層12a、CVD−Si層12b、CVD−SiO層12cの三層構造となっている。
熱酸化SiO層12aは、熱絶縁層として形成され、ヒーター層13で発生する熱をSi基板11側へ熱伝導しないようにして熱容量を小さくする機能を有する。また、この熱酸化SiO層12aは、プラズマエッチングに対して高い抵抗力を示し、後述するがプラズマエッチングによるSi基板11への貫通孔の形成を容易にする。
CVD−Si層12bは、熱酸化SiO層12aの上側に形成される。
CVD−SiO層12cは、ヒーター層13との密着性を向上させるとともに電気的絶縁を確保する。CVD(化学気相成長法)によるSiO層は内部応力が小さい。
ヒーター層13は、薄膜状のPt−W膜であって、熱絶縁支持層12のほぼ中央の上面に設けられる。また、図11で示すように、ヒーター層13は、駆動処理部20に接続され、給電される。
電気絶縁層14は、電気的に絶縁を確保するスパッタSiO層であり、熱絶縁支持層12およびヒーター層13を覆うように設けられる。電気絶縁層14は、ヒーター層13と感知層電極15bとの間に電気的な絶縁を確保する。また、電気絶縁層14は、ガス感知層15cとの密着性を向上させる。
ガス検知部15は、詳しくは、一対の接合層15a、一対の感知層電極15b、ガス感知層15c、ガス選択燃焼層15dを備える。
接合層15aは、例えば、Ta膜(タンタル膜)またはTi膜(チタン膜)であり、電気絶縁層14の上に左右一対に設けられる。この接合層15aは、感知層電極15bと電気絶縁層14との間に介在して接合強度を高めている。
感知層電極15bは、例えば、Pt膜(白金膜)またはAu膜(金膜)であり、ガス感知層15cの感知電極となるように左右一対に設けられる。
ガス感知層15cは、SnO層であり、一対の感知層電極15bを渡されるように電気絶縁層14の上に形成される。このガス感知層15cは、多孔質体や柱状構造体であり、比表面積を増大させている。これにより検知する目的ガスとの接触面積を増加させ、感度を高めている。なお、ガス感知層15cはSnO以外にも、In、WO、ZnO、または、TiOという金属酸化物を主成分とする薄膜の層としても良い。
ガス選択燃焼層15dは、パラジウム(Pd)、白金(Pt)または酸化パラジウム(PdO)などの少なくとも一種の触媒を担持した焼結体であり、触媒担持Al焼結材である。Alも多孔質体や柱状構造体であるため、孔を通過するガスが触媒に接触する機会を増加させる。そして、検知する目的ガスよりも酸化活性の強い還元性の雑ガスの燃焼反応を促進し、目的ガスの選択性が高まる。つまり、目的ガスに対して雑ガスを酸化除去できる。ガス感知層15cへ達する目的ガスのガス濃度が高まり、より高感度なガスセンサ素子10が得られる。
なお、ガス選択燃焼層15dは、このAl以外にも、Cr、Fe、Ni、ZrO、SiO、または、ゼオライトという金属酸化物を主成分としても良い。ガス選択燃焼層15dは、電気絶縁層14、一対の接合層15a、一対の感知層電極15b、および、ガス感知層15cの表面を覆うように設けられる。
このようなダイアフラム構造を有するガスセンサ素子10は、高断熱,低熱容量の構造である。また、ガスセンサ素子10は、感知層電極15b、ガス感知層15c、ガス選択燃焼層15d、ヒーター層13の各構成要素をMEMS(微小電気機械システム)等の技術により熱容量を小さくしている。したがって、ヒーター駆動時における温度の時間変化が速くなり、熱脱離がごく短時間で起こる。
そして、図11で示すように、ガスセンサ素子10のヒーター層13は駆動処理部20と電気的に接続されており、駆動処理部20がヒーター層13をヒーター駆動する。また、ガスセンサ素子10のガス検知部15(詳しくは感知層電極15bを介してガス感知層15c)は駆動処理部20と電気的に接続されており、駆動処理部20がガス感知層15cの電気抵抗値(以下、センサ抵抗値という)を読み出す。ガスセンサ素子10およびガス検出装置500の構成はこのようなものである。
さて、このガスセンサ素子10は、様々な気体成分と接触することによりSnO層であるガス感知層15cのセンサ抵抗値が変化する現象を利用するセンサである。300〜500℃程度に加熱されたSnOは、ガス濃度によりその導電率が変化するという特性を有する。
詳しくは以下のような理由による。
SnOなどのn型金属酸化物半導体であるガス感知層15cは、空気中にある場合、ガス感知層15cの表面に酸素を活性化吸着する。酸素は電子受容性が強くて負電荷吸着するため、ガス感知層15cの表面に吸着酸素(O2−)が吸着保持されるがこの際にガス感知層15c内から電子が取り込まれてガス感知層15c内の電子密度が減少する。したがって、ガス感知層15cは導電率が低下して高抵抗化する。
そして、ガス感知層15cが300〜500℃程度に加熱されてCH,H,COなどの可燃性ガス(目的ガス)の燃焼反応が起こる場合、ガス感知層15cの表面の吸着酸素(O2−)が消費され、吸着酸素にトラップされていた吸着酸素電子が自由電子としてガス感知層15c内に戻されてガス感知層15c内の電子密度が増加する。したがって、ガス感知層15cは導電率が増大して低抵抗化する。
なお、各目的ガス(CH,H,CO)の燃焼反応が起こるときの反応式は以下のようになる。
CH+4O2−(ad)⇒CO+2HO+8e ・・・(1)
+O2−(ad)⇒HO+2e ・・・(2)
CO+O2−(ad)⇒CO+2e ・・・(3)
さて、このガス感知層15cは、多様なガスの検知が可能である反面、特定のガスを選択的に検知することは困難であった。そこでガス検知部15は、SnO層であるガス感知層15cの表面全体を、触媒担持Al焼結材で構成されたガス選択燃焼層15dが覆う構造を採用した。このガス選択燃焼層15dは、目的ガスよりも酸化活性の強いガスを燃焼させ、ある特定のガスのみに対しガス検知部15の感度を向上させる。さらにそのガス検知部15の大きさや膜厚、Si基板11のダイアフラム径との比なども工夫されている。これにより、ある特定のガスのガス選択性がさらに高められ、消費電力の低減化を可能とする。
薄膜型半導体式のガスセンサ素子10のガス選択燃焼層15dは、後述するが、雑ガスのうち高沸点の炭化水素系ガス、例えば、エタノールやVOC(Volatile Organic Compounds;揮発性有機化合物)などの雑ガスを選択的に燃焼し、ガス検知部15の出力に影響が出ないようにしている。
さらに、このようなガスセンサ素子10では、可燃性の目的ガス検知の低消費電力化を実現するため、そのヒーター層13の駆動方式が工夫され、検出温度の低温化、検出時間の短縮、検出サイクルの長期化(通電をoffする時間を長くする)という間欠駆動方式を採用している。一般的に、薄膜型半導体式のガスセンサ素子10における検出温度・検出時間・検出サイクルはガス種により相違しており、COセンサでは検出温度は〜100℃、検出時間はセンサの応答性から〜500msec、検出サイクルは150秒とされる。また、CHセンサでは検出温度は〜450℃、検出時間はセンサの応答性から〜500msec、検出サイクルは30秒とされる。
またoff時間にセンサ表面に付着する水分その他の吸着物を脱離させSnO表面をクリーニングすることが、電池駆動(間欠駆動)のガスセンサ素子10の経時安定性を向上する上で重要であり、検出前に一旦センサ温度を400℃〜500℃に加熱(時間〜100msec)し、その直後にそれぞれの目的ガスの検出温度でガス検知を行っている。
これらが考慮された間欠駆動方式について図を参照しつつ説明する。図13は、High−Off方式によるヒーター層温度の時間特性を説明する説明図、図14は、High−Low−Off方式によるヒーター層温度の時間特性を説明する説明図である。
High−Off方式は、特にCH等の可燃性ガス濃度の検出で用いられる間欠駆動方式である。ヒーター層13の駆動処理部20(図11)は、ヒーター層13に図13で示すような電流による駆動信号を流してヒーター層13のヒーター温度を一定期間(例えば0.05〜0.5s)にわたり高温状態(High状態:300〜500℃)に保持し、その後一定期間にわたりヒーター層13に駆動信号を流さない状態(Off状態)として、検出時以外では不要な電力の消費を抑止している。そして、ヒーター層13の駆動処理部20(図11)は、このようなHigh−Offによる駆動を所定の周期(例えば30秒周期)で繰り返し、ヒーター層13を間欠駆動している。
このHigh−Off方式でのガス検知部15は、High状態でガス検知を行うものであり、ガス検知ではガス感知層15cのセンサ抵抗値が一対の感知層電極15bを介して測定され、その変化からCH等の可燃性の目的ガスの濃度が検出される。このとき、ヒーター温度が高温になるとともにガス選択燃焼層15dは高温になり、この高温のガス選択燃焼層15dが雑ガスを燃焼させる。
しかしながら、ガス選択燃焼層15dはCH等の可燃性の目的ガスをそのまま通過させる。可燃性の目的ガスは拡散し、ガス感知層15cに到達してガス感知層15cのSnOと反応する。するとガス感知層15cのSnOのセンサ抵抗値は目的ガスの吸着量に応じて変化する。ガスセンサ素子10は、このような現象を利用してガス機器などのガス漏れ時に発生するCH等の可燃性の目的ガスの濃度を検出する。
また、High−Low−Off方式は、不完全燃焼(CO)を検知するために用いられる間欠駆動方式である。ヒーター層13の駆動処理部20(図11)は、ヒーター層13に図14で示すような電流による駆動信号を流して、一旦、ヒーター層13のヒーター温度を一定期間(例えば、0.05s〜0.5s)にわたり高温状態(High状態:300〜500℃)に保持してガス感知層15cのクリーニングを行ってから、低温状態(Low状態:約50〜150℃)に降温してCOのガス検知を行い、その後一定期間ヒーター層13に駆動信号を流さない状態(OFF状態)として、検出時以外では不要な電力の消費を抑止する。
そして、ヒーター層13の駆動処理部20は、このようなHigh−Low−Offによる駆動を所定の周期(例えば30秒周期)で繰り返し、ヒーター層13を間欠駆動している。このようなHigh−Low−Off方式は、CO感度および選択性が高くなる方式として知られている。
また、このHigh−Low−Off方式は、High状態でクリーニングのみならずメタン(CH)検知も行い、かつLow状態でCO検知を行い、メタン・COの両方を検知する方式としても良く、このようなHigh−Low−Off方式の薄膜型のガスセンサ素子も存在する。
ガスセンサ素子10を有するガス検出装置500の詳細はこのようなものである。
ここで、雑ガスの影響について説明する。ガスセンサ素子10は、その高感度故に、家庭内で発生する様々なガスについても感度を有し、目的ガス以外の雑ガスを検知して誤報を発生させるおそれがある。誤報の原因となる雑ガスは、アルコール蒸気、シロキサン化合物類、SOx、NOx、VOCなどである。そこで、雑ガスの影響からガスセンサ素子10を守り、かつ、誤報を防止するために、ガスセンサ素子10へ到達する検出対象ガスから雑ガスを除去するフィルタをさらに設けることもある。
このようなフィルタを設けるガス検出装置の従来技術が特許文献1(特許第4755365号公報、発明の名称「ガス検出装置」)に開示されている。このガス検出装置は、例えばアルコール蒸気やシリコーン蒸気を除去するため、活性炭とシリカゲルとを組みあわせたフィルタを採用する。
また、フィルタを設けるガス検出装置の他の従来技術が特許文献2(特許第5120881号公報、発明の名称「可燃性ガス検出装置」)に開示されている。この可燃性ガス検出装置は、例えば酸性ガスであるSOxガスを除去するため、活性炭フィルタと無機化合物フィルタとを組みあわせたフィルタを採用する。
また、フィルタを設けるガス検出装置の他の従来技術が特許文献3(特開2003−254928号公報、発明の名称「ガスセンサ保護用フィルタおよびガスセンサ」)に開示されている。このガスセンサ保護用フィルタは、SOxガスを除去するため、水溶性カチオン型ポリマーと、この水溶性カチオン型ポリマーと塩を形成しうるアニオン型化合物と、の混合物を含有する吸着膜を採用する。
特許第4755365号公報(段落番号[0039],図7) 特許第5120881号公報(段落番号[0089],[0090],図1,図2) 特開2003−254928号公報(段落番号[0021],[0022],[0047],図1)
図11,図12に示した従来技術のガス検出装置500や特許文献1,2,3に記載の従来技術では、上記のような様々な対策を施して雑ガス(アルコール蒸気、シリコーン蒸気やSOxガス)の影響を防止しているが、このようなガス漏れ警報器は、塩基性ガス(詳しくはアンモニアガス、以下NHガス)により誤検出が発生するおそれがあることが、本願発明者の研究により知見された。この点について説明する。
図15は、NHガス曝露試験を説明する経過日時−センサ抵抗値特性図である。この特性図では、通常大気中でガス検出装置500を駆動させてセンサ抵抗値を取得し、ある時点Tでこのガス検出装置500にNHガスを曝露してそのセンサ抵抗値の挙動を示すものである。なお、この特性図では一のガスセンサ素子10の特性を示すものであるが、この実験では多数のガスセンサ素子10を用いて実験を行っており、いずれも同じ傾向が示されたため、一のガスセンサ素子10の特性のみを代表的に図示している。
図15でも明らかなように、時点Tまでは一定のセンサ抵抗値を示しているが、NHガスを曝露した時点Tからしばらくの間はセンサ抵抗値が大幅に変化している。NHガスを曝露した後ではセンサ抵抗値が50%近く少なくなり、しかも長期間にわたりその傾向が続くという問題があった。
この原因であるが、例えば以下のように推察される。
上記のHigh−Off方式のようにガス検出の前後でヒーター層13はガス感知層15cを常温にし、そして、ガス検出時でヒーター層13はガス感知層15cを高温にする。ガス検出時の温度とは、例えば、400℃である。
加温によりヒーター層13の温度が所定温度以上まで増加するとき、温度上昇に応じてガス感知層15cのセンサ抵抗値も増加する。このような高温領域では、上記のようにガス感知層15cのSnO層における酸素が、SnO層から電子を奪って酸化物イオン(O2−)の形で付着し、電子の減少によりセンサ抵抗値が増加する。
このような状況下でNHガスがガスセンサ素子10のガス選択燃焼層15dに到達したときに、ガス選択燃焼層15dのパラジウム(Pd)、白金(Pt)または酸化パラジウム(PdO)などの高温時の酸化触媒作用により、NHガスの一部がNOxガス(NOガス(酸化窒素ガス),NOガス(二酸化窒素ガス))へと反応する。これらNHガス、NOガス,NOガスがガス感知層15cへと到達する。
ガス感知層15cが高温のとき、ガス感知層15cのNHガスは、その一部が酸化物イオン(O2−)と反応してさらにNOxガス(NOガス,NOガス)となり、酸化物イオン(O2−)が消費され、センサ抵抗値が減少する。
一方、ガス感知層15cが常温のとき、ガス感知層15cのNOガスは、酸素に触れると直ちに酸化されるというものであり、その一部が酸化物イオン(O2−)と反応してNOガスとなり、さらに酸化物イオン(O2−)が消費され、センサ抵抗値が減少する。
このようにガス感知層15cでは高温時と常温時とで常に酸素が消費されるため、抵抗値が低い状態が維持される。そして、周囲のNHガスが減少し、ガス選択燃焼層15dおよびガス感知層15c内のNHガスとNOガスの全てが消費されるまでは、ガス感知層15cの抵抗値が低い状態が続く。このようなNHガスによる影響を回避する必要がある。
このような誤検出の元になるNHガスは、一般家庭にも存在する。例えば、NHガスは、ペットの臭い、トイレの臭い、たばこの臭い、生ゴミの臭い、体の臭い等がある箇所の気体に含まれており、家庭内にも多く存在する。また、NHはガス態として存在する以外にも、大気中の水(水蒸気、雨,霧,露,雪,雹)に溶解(湿性沈着)して水溶性イオンのNH として存在し、この水がガス選択燃焼層15dで加熱されると、この水からNHガスが発生する場合もある。このようなNHガスに対して対策を施さないとガス検出装置がNHガスにより影響されて誤検出をするおそれがあり、NHガスがガスセンサ素子10に到達できないようにしたいという要請があった。
特許文献1に記載の従来技術は、一層または二層のフィルタを利用してアルコール蒸気やシリコーン蒸気を除去するというものであり、NHガスを除去する点について考慮されたものではなかった。
特許文献2に記載の従来技術は、一層、二層または混合物層のフィルタを利用して酸性ガス(特にSOガス)を除去するというものであり、NHガスを除去する点について考慮されたものではなかった。
特許文献3に記載の従来技術は、塩基性ガスを吸着するフィルタを利用するというものであるが、センサ素子を加熱しない受動型のセンサにのみ適用可能(特許文献3の段落番号[0047])とあり、加熱を伴う薄膜型半導体式のガスセンサ素子には適用できないものとなっていた。
そこで、本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、塩基性ガスを殆ど除去するとともに十分な拡散速度を確保し、長期間にわたり高い応答性を実現したガスセンサ、および、このガスセンサを搭載することで耐環境性および長期安定性を向上させ、長期間使用可能とするガス検出装置を提供することにある。
本発明の請求項1に記載の発明では、
目的ガス、雑ガスおよび塩基性ガスを含む検出対象ガスが導入される流入口、および、前記流入口の下流側にあって前記流入口と連通する検出空間を有するケース体と、
前記検出空間内にあって主に雑ガスを吸着する粉状、球状、破砕状、または、ペレット状の活性炭を主体とする活性炭フィルタと、
前記検出空間内にあって主に塩基性ガスを吸着する粉状、球状、破砕状、または、ペレット状のシリカゲルを主体とするシリカゲルフィルタと、
前記検出空間内にあって前記活性炭フィルタおよび前記シリカゲルフィルタの下流側に配置され、前記活性炭フィルタおよび前記シリカゲルフィルタにより雑ガスおよび塩基性ガスが吸着された残りの検出対象ガスのうち目的ガスに感応して検出信号を出力するガスセンサ素子と、
を備えることを特徴とするガスセンサとした。
また、本発明の請求項2に記載の発明では、
請求項1に記載のガスセンサにおいて、
前記活性炭フィルタは上流側に、前記シリカゲルフィルタは下流側に配置されることを特徴とするガスセンサとした。
また、本発明の請求項3に記載の発明では、
請求項1または請求項2に記載のガスセンサにおいて、
前記シリカゲルフィルタは、その比表面積が500〜800m/gであってより好ましくは600〜750m/gであり、平均細孔径が3.0〜40Åであってより好ましくは10〜30Åであるシリカゲルを用いることを特徴とするガスセンサとした。
また、本発明の請求項4に記載の発明では、
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のガスセンサにおいて、
前記活性炭フィルタは、その比表面積が1000〜1500m/gであってより好ましくは1300〜1400m/gである活性炭を用いることを特徴とするガスセンサとした。
また、本発明の請求項5に記載の発明では、
目的ガス、雑ガスおよび塩基性ガスを含む検出対象ガスが導入される流入口、および、前記流入口の下流側にあって前記流入口と連通する検出空間を有するケース体と、
前記検出空間内にあって主に雑ガスを吸着する粉状、球状、破砕状、または、ペレット状の活性炭を主体とする活性炭フィルタと、
前記検出空間内にあって主に塩基性ガスを吸着する粉状、球状、破砕状、または、ペレット状のシリカゲルを主体とするシリカゲルフィルタと、
前記検出空間内にあって前記活性炭フィルタおよび前記シリカゲルフィルタの下流側に配置され、ガス選択燃焼層と、前記ガス選択燃焼層により覆われるガス感知層と、前記ガス選択燃焼層と前記ガス感知層とを所定の時間間隔で加熱するヒーター層と、を備え、前記活性炭フィルタおよび前記シリカゲルフィルタを通過して雑ガスおよび塩基性ガスが所定基準まで除去された検出対象ガスのうち前記ガス選択燃焼層と前記ガス感知層とへ到達した雑ガスを加熱により除去させたのち、前記ガス選択燃焼層を通過した目的ガスにガス感知層が感応して検出信号を出力するガスセンサ素子と、
を備えることを特徴とするガス検出装置とした。
また、本発明の請求項6に記載の発明では、
請求項5に記載のガス検出装置において、
前記活性炭フィルタは上流側に、前記シリカゲルフィルタは下流側に配置されることを特徴とするガス検出装置とした。
また、本発明の請求項7に記載の発明では、
請求項5または請求項6に記載のガス検出装置において、
前記シリカゲルフィルタは、その比表面積が500〜800m/gであってより好ましくは600〜750m/gであり、平均細孔径が3.0〜40Åであってより好ましくは10〜30Åであるシリカゲルを用いることを特徴とするガス検出装置とした。
また、本発明の請求項8に記載の発明では、
請求項5〜請求項7の何れか一項に記載のガス検出装置において、
前記活性炭フィルタは、その比表面積が1000〜1500m/gであってより好ましくは1300〜1400m/gである活性炭を用いることを特徴とするガス検出装置とした。
本発明によれば、塩基性ガスを殆ど除去するとともに十分な拡散速度を確保し、長期間にわたり高い応答性を実現したガスセンサ、および、このガスセンサを搭載することで耐環境性および長期安定性を向上させ、長期間使用可能とするガス検出装置を提供することができる。
本発明を実施するための形態のガスセンサの構成図である。 本発明を実施するための形態のガス検出装置の概略構成図である。 シリカゲルA,B,Cの特性を説明する説明図である。 シリカゲルフィルタのみ搭載した比較例のガスセンサの構成図である。 シリカゲルフィルタとしてシリカゲルAを用いるガス検出装置のNHガス曝露試験を説明する経過日時−センサ抵抗値特性図である。 シリカゲルフィルタとしてシリカゲルBを用いるガス検出装置のNHガス曝露試験を説明する経過日時−センサ抵抗値特性図である。 シリカゲルフィルタとしてシリカゲルCを用いるガス検出装置のNHガス曝露試験を説明する経過日時−センサ抵抗値特性図である。 活性炭フィルタのみ搭載した比較例のガスセンサの構成図である。 比較例1,2,3および本発明のガスセンサの吸着性能について説明する説明図である。 本発明のガス検出装置のNHガス曝露試験を説明する経過日時−センサ抵抗値特性図である。 従来技術のガス検出装置の構成図である。 ガスセンサ素子の構成図である。 High−Off方式によるヒーター層温度の時間特性を説明する説明図である。 High−Low−Off方式によるヒーター層温度の時間特性を説明する説明図である。 従来技術のガス検出装置のNHガス曝露試験を説明する経過日時−センサ抵抗値特性図である。
続いて、本発明を実施するための形態のガスセンサ1およびガス検出装置100について図を参照しつつ以下に説明する。図1は本形態のガスセンサ1の構成図である。このガスセンサ1は、ガスセンサ素子10(図12参照)、センサベース30、ケース体40、金属メッシュ50、活性炭フィルタ60、シリカゲルフィルタ70、リード端子80を備える。
このガスセンサ1は外界からの検出対象ガスを対象として検出を行う。ここで、検出対象ガス中には、雑ガス、塩基性ガス、および、目的ガスが含まれているものとし、雑ガスおよび塩基性ガスを活性炭フィルタ60、シリカゲルフィルタ70が所定基準を満たす(例えば、センサ抵抗値の変化が所定範囲(例えば数%)である)まで除去し、ガスセンサ素子10は、雑ガスの除去と、目的ガスを対象とする検出と、を行うものとする。
続いてガスセンサ1の各構成について説明する。
ガスセンサ素子10は、先に図12を用いて説明した薄膜型のガスセンサ素子10の構造と同じであり重複する説明を省略する。このようなガスセンサ素子10は、段付き円板であるセンサベース30の上側に固定されている。
ケース体40は、円筒体であり、その一方に流入口41を有する。センサベース30の上段部に、ケース体40の他方の開口部が嵌め込まれて固着され、検出空間42が内部に形成される。
金属メッシュ50は、ステンレス製のネットであり、ケース体40の流入口41に活性炭フィルタ60の押さえとして取り付けられる部材である。また、活性炭フィルタ60およびシリカゲルフィルタ70との仕切としても配置される。シリカゲルフィルタ70の下流側(図1ではシリカゲルフィルタ70の下側)における二重の金属メッシュ50は、シリカゲルフィルタ70の押さえとして機能するとともに、ガス漏れ警報器の検査規定として法律に定められた防爆構造の規格を満たすために設けられている。
活性炭フィルタ60は、検出空間42とほぼ同じ径を有する円板状の形状を有し、流入口41の下流側に配置され、流入口41からの検出対象ガスを通過させて雑ガスおよび塩基性ガスを吸着する。活性炭フィルタ60は、流入する検出対象ガスとの接触面積が大きいほどよく、粉状、球状、破砕状、ペレット状の無数の活性炭を主体とし、円板状で通過孔を有する図示しないケース体などに収納したフィルタとする。活性炭フィルタ60はその厚みを1mm〜3mm程度として、拡散速度を確保している。厚みを1mm〜3mmとした場合に、拡散速度を遅くすることなく、雑ガスおよび塩基性ガスの吸着量も確保できるため、高い応答性を実現するガスセンサ1とする。
シリカゲルフィルタ70は、検出空間42とほぼ同じ径を有する円板状の形状を有し、活性炭フィルタ60の下流側に配置され、活性炭フィルタ60からの検出対象ガスを通過させてさらに雑ガスおよび塩基性ガスを吸着する。シリカゲルフィルタ70は、流入する検出対象ガスとの接触面積が大きいほどよく、粉状、球状、破砕状、ペレット状のシリカゲルを主体とし、円板状で通過孔を有するケース体などに収納したフィルタとする。シリカゲルフィルタ70はその厚みを1mm〜3mm程度として、拡散速度を確保している。厚みを1mm〜3mmとした場合に、拡散速度を遅くすることなく、雑ガスおよび塩基性ガスの吸着量も確保できるため、高い応答性を実現したガスセンサ1とする。
リード端子80は、センサベース30から突出して設けられる電極である。2本のリード端子80は、ヒーター層13(図12参照)を駆動するための電極であり、他の2本のリード端子80はガス感知層15c(図12参照)のセンサ抵抗値を計測するための電極である。いずれも駆動処理部20に接続される。ガスセンサ1はこのようなものである。
続いてこのようなガスセンサ1を利用するガス検出装置100について図2,図12を参照しつつ説明する。ガス検出装置100は、図2で示すように、ガスセンサ1、駆動処理部20を少なくとも備えている。なお、駆動処理部20には操作入力部、目的ガスのガス濃度を表示する表示部等を備える形態としても良い。上記のように2本のリード端子80を介して、ヒーター層13(図12参照)が駆動処理部20に電気的に接続され、また、ガス検知部15のガス感知層15c(図12参照)が駆動処理部20に電気的に接続される。
先に図11,図12を用いて説明した従来技術のガス検出装置500と比較すると、ガスセンサ素子10に対し、特に雑ガスおよび塩基性ガスを吸着する活性炭フィルタ60およびシリカゲルフィルタ70を追加した点が相違する。
続いて、活性炭フィルタ60およびシリカゲルフィルタ70による雑ガスおよび塩基性ガスの除去原理について説明する。
活性炭フィルタ60の主体をなす活性炭は、気相においてはファンデルワールス力による物理的吸着を行う。活性炭の吸着はこの物理的吸着が大半を占め、化学的吸着は少ない。活性炭は粒子のサイズで粉末活性炭と粒状活性炭に分けられる。活性炭には様々な大きさの孔(細孔)が分布する。孔の大きい順にマクロ孔、メソ孔、マイクロ孔と続き1gあたりの孔の表面積を合計すると700〜3000mと、膨大な空間を持つ。
このような活性炭は、雑ガスおよび塩基性ガスを吸着し、可燃性の目的ガスをほとんど吸着しないという性質をもつ。この雑ガスとは、詳しくはアルコール蒸気、シロキサン化合物類、SOx、NOx、その他VOCなどである。塩基性ガスとは、詳しくはNHガスである。
一方、シリカゲルフィルタ70の主体をなすシリカゲルは、細孔の径をかなり大きくしたものであり、種々の物質を吸収する。シリカゲルは特に大量の水蒸気(ガス)を物理的吸着により細孔に吸着する。シリカゲルの微細な空間の表面積が大きくなるにつれて水蒸気(ガス)の吸着能力が高まる。なお、シリカゲルは物理吸着を行うため、水以外の多くの物質も吸着する。
これら活性炭とシリカゲルの相違点であるが、活性炭は炭素からできているので、活性炭は非極性吸着剤であり、極性の弱い有機化合物などの非極性分子を選択的に吸着する。活性炭は、極性分子である水分子やアンモニア分子をあまり吸着しない。目的ガスのうちメタンガス(CH)は非極性分子であり一部は捕集され、また、一酸化炭素(CO)は、殆ど分極しないため一部は捕集されるが高濃度の場合には多くが通過する。
シリカゲルは極性吸着剤であり、極性分子(例えば水分子やアンモニア分子)を選択的に吸着する。シリカゲルは化学式ではSiO・nHO(0<n<1)で表されるので、化学結合に極性があり、結合に極性のある水分子をよく吸着する。また、アンモニアも極性分子であり、極性分子である水やシリカゲルに引きつけられ、固着しやすくなると推定される。湿性沈着で水溶性イオンNH を含む水蒸気等も吸着される。その一方でシリカゲルは、有機化合物をあまり吸着しないため、雑ガスの吸着能力が劣る。目的ガスのうちメタンガス(CH)は非極性分子であり通過しやすく、また、一酸化炭素(CO)は、殆ど分極しないため通過しやすくなっている。
従って、活性炭は主に雑ガスを吸着し、シリカゲルは主に塩基性ガスを吸着する。
そして活性炭とシリカゲルは、両者とも固体表面に微細な凹凸のある多孔質で、比表面積が非常に大きい。吸着は固体表面で行われるので、比表面積が大きいほど一定量の固体の吸着能は大きくなる。
活性炭フィルタ60では、その比表面積を1000〜1500m/g(好ましくは1300〜1400m/g)とし、細孔容積を0.5〜0.6ml/gとし、また、粒径を100〜600μmとした活性炭を用いて厚みを1mm〜3mmの層とした。
また、シリカゲルフィルタ70は、その比表面積を500〜800m/g(好ましくは600〜750m/g)とし、平均細孔径を3.0〜40Å(好ましくは10〜30Å)とし、細孔容積を0.4〜0.5ml/gとし、また、粒径を100〜600μmとしたシリカゲルを用いて厚みを1mm〜3mmの層とした。なお、これら数値の決定理由については後述する。
これら活性炭フィルタ60およびシリカゲルフィルタ70による雑ガスおよび塩基性ガスの除去は以下のようになる。
まず、上流側の活性炭フィルタ60は、雑ガス(アルコール蒸気、シロキサン化合物類、SOx、NOx、その他VOC類等)の多くおよび塩基性ガス(NHガス)の一部を吸着する。活性炭フィルタ60は、雑ガスを重点的に吸着するが、塩基性ガス(NHガス)も一定量を吸着させる。しかしながら活性炭フィルタ60のNHガスの吸着力は充分ではなく、NHガスの一部は活性炭フィルタ60を通過してシリカゲルフィルタ70まで到達する。また、雑ガスも一部がシリカゲルフィルタ70まで到達する。
シリカゲルフィルタ70は、上流にある活性炭フィルタ60と比較すると、より多くのNHガスを吸着することができ、活性炭フィルタ60のみでは防ぎきれなかったNHガスのガスセンサ素子10ヘの到達を防ぐことが可能となる。このように活性炭と比較してNHガスに対する吸着能力が高いシリカゲルを下流側に配置することにより活性炭フィルタ60で吸着できなかったNHガスを確実に吸着し、殆どのNHガスを除去することが可能となる。また、シリカゲルフィルタ70でも雑ガスも吸着するため、活性炭フィルタ60およびシリカゲルフィルタ70で雑ガスおよび塩基性ガスを殆ど除去する。
続いて活性炭フィルタ60や活性炭の諸条件、および、シリカゲルフィルタ70やシリカゲルの諸条件について説明する。
まず、活性炭フィルタ60およびシリカゲルフィルタ70のそれぞれの厚さについて説明する。拡散速度を維持する限界の厚さまでシリカゲルフィルタ70を厚くする。この際に、厚さを薄くするため極微量のNHガスが活性炭フィルタ60やシリカゲルフィルタ70を通過することは許容する。
そこで、拡散速度を損なうことない厚さであり、かつ、NHガスの混入を最小限とするようなシリカゲルフィルタ70の厚さを割り出すように実験し、活性炭フィルタ60およびシリカゲルフィルタ70の厚さはともに1mm〜3mmが好ましいことを本発明者は実験により確認した。この場合には微量のNHガスが混入しても、センサ抵抗値は誤検出に至らない僅かな変化とすることができる。また、目的ガスの拡散速度も良好な数値を確保できる。
続いて活性炭フィルタ60の活性炭、および、シリカゲルフィルタ70のシリカゲルの比表面積、細孔容積、平均細孔径について検討する。まず、比較実験によりシリカゲルの比表面積、細孔容積、平均細孔径について検討した。図3で示すように物性の異なる3種類のシリカゲルA,B,Cをフィルタ材料として用いる。実験のため、図4で示すようにシリカゲルフィルタ70のみ搭載したガスセンサ2を製作した。このガスセンサ2はガス検出装置100に接続されている。このガスセンサ2に対してNHガス曝露試験を行った。
シリカゲルA,B,CのNHガス曝露試験中のセンサ抵抗値のログデータを、シリカゲルA,B,C別に図5,図6,図7に示す。図5,図6,図7は、ともに通常大気中で一定期間にわたりガス検出装置100を駆動させたときのセンセ抵抗値の挙動、および、ある時点Tでこのガス検出装置100にNHガスを曝露したときのセンサ抵抗値の挙動を表している。実験条件として、実環境に比べて厳しい条件であるNH濃度総曝露量383ppm・h(10ppm×38.3h)、周囲温度20℃、相対湿度60%とした。また、粒径を同じとして拡散速度を一定にし、シリカゲルフィルタ70の厚みをいずれも3mmと同じにした。
なお、これら図5,図6,図7の特性図では一のガスセンサ2の特性を示すものであるが、この実験では同種の多数サンプルのガスセンサ2を用いて実験を行っており、いずれも同じ傾向が示されたため、一のガスセンサ2の特性のみを代表的に図示している。
図6,図7では、時点Tからしばらくの間はセンサ抵抗値が大幅に変化している。NHガスの曝露後にセンサ抵抗値が少なくなり、例えば数時間にわたりその傾向が続いている。シリカゲルB,CではNHガスがガスセンサ素子10に到達したため、センサ抵抗値が急激に下がっている。
図5では、時点Tの経過後でもセンサ抵抗値が減少しない。これはシリカゲルAによるシリカゲルフィルタ70がNHガスを吸着し、NHガスがガスセンサ素子10に到達しないようにしていると考えられるため、シリカゲルAがアンモニア吸着に対して最も効果が高いと考えられる。このシリカゲルAによるシリカゲルフィルタ70の上流にさらに活性炭フィルタ60を配置したときはより吸着性能が高いことが想定される。
そして、本願発明者は、このシリカゲルAの物性を基準として、シリカゲルの比表面積、細孔容積、平均細孔径を数値的に変化させてこの実験を行い、その比表面積を500〜800m/g(好ましくは600〜750m/g)とし、平均細孔径を3.0〜40Å(好ましくは10〜30Å)とし、細孔容積を0.4〜0.5ml/gとし、また、粒径を100〜600μmのシリカゲルを用いて厚みを1mm〜3mmの層とした(以下、シリカゲル条件という)ときにセンサ抵抗値に際だった変化がないとの知見を得た。
NH分子径が3.0〜4.0Åであり、少なくとも、平均細孔径が3.0Å以上であることが必要である。また、センサ抵抗値が図6,図7で示すように急激に減少するような異常が生じない上限値が40Åである。よって、平均細孔径を少なくとも3.0〜40Åは必要であると決定した。そして、この内で平均細孔径が10〜30Åのときは、センサ抵抗値の変化が小さく所定基準の範囲内であることを実験により確認した。
続いて、同様な比較実験により活性炭の比表面積、細孔容積、平均細孔径について検討した。実験のため、図8で示すように活性炭フィルタ60のみ搭載したガスセンサ3を製作した。このガスセンサ3はガス検出装置100に接続されている。なお、この実験では活性炭フィルタ60に雑ガスを通過させ、雑ガスを除去できるか否かについて検討した。
そして、本願発明者は、活性炭の比表面積、細孔容積、平均細孔径を数値的に変化させて実験を行い、その比表面積を1000〜1500m/g(好ましくは1300〜1400m/g)とし、細孔容積を0.5〜0.6ml/gとし、また、粒径を100〜600μmとした活性炭を用いて厚みを1mm〜3mmの層とした(以下、活性炭条件という)ときに雑ガスを大幅に除去できるとの知見を実験により得た。
続いて、活性炭フィルタ単体の吸着能力、シリカゲルフィルタ単体の吸着能力、および、本発明の活性炭フィルタおよびシリカゲルフィルタによる積層フィルタの吸着能力について検証する。
図9は、雑ガスおよび塩基性ガスの除去能力試験の結果を示す。本発明のガスセンサ1を用いるガス検出装置100の吸着能力について検証する。実験条件として、実環境に比べて厳しい条件であるNH濃度総曝露量383ppm・h(10ppm×38.3h)、周囲温度20℃、相対湿度60%とした。また、活性炭やシリカゲルの粒径を同じとして拡散速度を一定にした。また、活性炭フィルタ60と、シリカゲルフィルタ70と、の厚みを同じ3mmにした。
図9の比較例1は図4で示されるガスセンサ2を用い、シリカゲルフィルタ70で、上記のシリカゲル条件を満たすシリカゲル(例えば図3のシリカゲルA)を用いたものである。比較例1では、NHガスの吸着に優れているが、分子量の大きいガスに対する吸着能力が劣るという結果となった。
図9の比較例2は図4で示されるガスセンサ2を用い、シリカゲルフィルタ2を上記のシリカゲル条件を満たさないシリカゲル(例えば図3のシリカゲルB,C)を用いたものである。比較例2ではNHガスを十分に吸着できなかった。
図9の比較例3は図8で示されるガスセンサ3を用い、活性炭フィルタ60を上記の活性炭条件を満たす活性炭を用いたものである。比較例3では、分子量の大きいガスを安定して吸着し、NHガスも不十分ではあるが吸着するという結果となった。
図9の本発明は図1で示されるガスセンサ1を用い、活性炭フィルタ60が上記の活性炭条件を満たし、かつシリカゲルフィルタ70が上記のシリカゲル条件を満たすものである。本発明では、分子量の大きい雑ガスやNHガスも安定して吸着するという結果となった。
さらに、このガスセンサ1を用い、通常大気中で一定期間にわたりガス検出装置100を駆動させたときのセンサ抵抗値の挙動、および、ある時点Tでこのガス検出装置100にNHガスを曝露したときのセンサ抵抗値の挙動を図10に示す。図10では、ある時点Tの経過後もセンサ抵抗値がほぼ一定値で所定基準(例えば、センサ抵抗値の変化が所定範囲内(数%内)を満たしており、NHガスを効率的に吸着していると考えられる。
このような本発明のガスセンサ1では、流入口41、活性炭フィルタ60、シリカゲルフィルタ70を経て、ガスセンサ素子10まで検出対象ガスが到達するが、活性炭フィルタ60とシリカゲルフィルタ70とを併用しているため、検出対象ガスの中から、雑ガスと、NHガス(塩基性ガス)と、をほぼ除去しており、ガスセンサ素子10まで到達する雑ガスや塩基性ガスを微量にしている。
このうちシリカゲルフィルタ70単体でもNHガスを十分に吸着する能力を有するが、本発明ではその上流側にある活性炭フィルタ60が少なくないNHガスを予め吸着するようにしたので、下流側にあるシリカゲルフィルタ70では少量のNHガスを確実に吸着することとなり、ガスセンサ素子10へ到達するNHガスはごく微量となる。また、活性炭フィルタ60が雑ガスを多く吸着するため、シリカゲルフィルタ70は残るNHガスの吸着に特化することになり、この点でもNHガスの吸着能力を高めている。
以上、本発明のガスセンサおよびガス検出装置について説明した。
なお、ガスセンサに搭載されるガスセンサ素子10は半導体式ガスセンサであるものとして説明したが、それ以外にも、接触燃焼式ガスセンサ素子や電気化学式ガスセンサ素子を搭載したガスセンサとしても良い。特に塩基性ガスの影響を受けやすい電気化学式ガスセンサ素子を用いる場合に効果を発揮する。
また、活性炭フィルタ60は上流側に、シリカゲルフィルタ70は下流側に配置されるものとして説明した。しかしながら、シリカゲルフィルタ70を上流側に、活性炭フィルタ60を下流側に配置しても本発明の実施は可能である。ただ、アンモニア除去の観点からみると、本形態のように活性炭フィルタ60を上流側に配置してアンモニアガスをある程度吸着させ、下流側のアンモニア吸着力の高いシリカゲル70にて残るアンモニアガスを確実に吸着することでアンモニア除去能力を高めており、活性炭フィルタ60は上流側に、シリカゲルフィルタ70は下流側に配置することが好ましい。
また、塩基性ガスをアンモニアガスとして説明したが、例えば、家庭で生ゴミの臭いなどに含まれるトリエチルアミン、トリメチルアミン等のアミン類の塩基性ガスの吸着にも一定の効果が見込まれる。
このような本発明のガスセンサおよびガス検出装置によれば、活性炭フィルタ60とシリカゲルフィルタ70とを併用することで、従来の活性炭フィルタのみでは十分な吸着が見込めなかった塩基性ガス(NHガス)を殆ど吸着し、塩基性ガス(NHガス)が共存する雰囲気下にガスセンサやガス検出装置が曝露されても、塩基性ガス(NHガス)が所定基準(ガスセンサ素子10へ塩基性ガス(NHガス)が到達してもセンサ抵抗値の変動がない程度が通過する量)となるまで除去されるため、ガスセンサ素子の塩基性ガス(NHガス)による誤検出を防止し、長期に亘り安定な特性のガス検出装置が可能になる。
また、検出対象ガスがケース体40の外からガスセンサ素子10まで到達する拡散速度は、遅延が少ない実用可能な速度とした。この拡散速度は、活性炭フィルタ60の活性炭の粒径と、シリカゲルフィルタ70のシリカゲルの粒径と、をそれぞれ変更して実験的に決定した。この際に、活性炭の粒径とシリカゲルの粒径とをほぼ同一とすることで速度を設定しやすくした。
また、雑ガスなどがガスセンサ素子10まで到達してもヒーター層13の間欠駆動時の加熱により燃焼除去されることとなり、やはり誤検出を防止できる。これら活性炭フィルタ60、シリカゲルフィルタ70、ガス選択燃焼層15dにより、雑ガスおよび塩基性ガスの殆どが除去され、誤検出するおそれを著しく低減させた。
このような本発明のガスセンサやガス検出装置は、一般家庭や厨房のようにアンモニア等の塩基性ガスがある雰囲気下でも利用でき、耐環境性を向上させたものとなっている。
100:ガス検出装置
1:ガスセンサ
10:ガスセンサ素子
11:Si基板
12:熱絶縁支持層
13:ヒーター層
14:電気絶縁層
15:ガス検知部
15a:接合層
15b:感知層電極
15c:ガス感知層(SnO層)
15d:ガス選択燃焼層(触媒担持Al焼結材)
20:駆動処理部
30:センサベース
40:ケース体
41:流入口
42:検出空間
50:金属メッシュ
60:活性炭フィルタ
70:シリカゲルフィルタ
80:リード端子

Claims (8)

  1. 目的ガス、雑ガスおよび塩基性ガスを含む検出対象ガスが導入される流入口、および、前記流入口の下流側にあって前記流入口と連通する検出空間を有するケース体と、
    前記検出空間内にあって主に雑ガスを吸着する粉状、球状、破砕状、または、ペレット状の活性炭を主体とする活性炭フィルタと、
    前記検出空間内にあって主に塩基性ガスを吸着する粉状、球状、破砕状、または、ペレット状のシリカゲルを主体とするシリカゲルフィルタと、
    前記検出空間内にあって前記活性炭フィルタおよび前記シリカゲルフィルタの下流側に配置され、前記活性炭フィルタおよび前記シリカゲルフィルタにより雑ガスおよび塩基性ガスが吸着された残りの検出対象ガスのうち目的ガスに感応して検出信号を出力するガスセンサ素子と、
    を備えることを特徴とするガスセンサ。
  2. 請求項1に記載のガスセンサにおいて、
    前記活性炭フィルタは上流側に、前記シリカゲルフィルタは下流側に配置されることを特徴とするガスセンサ。
  3. 請求項1または請求項2に記載のガスセンサにおいて、
    前記シリカゲルフィルタは、その比表面積が500〜800m/gであってより好ましくは600〜750m/gであり、平均細孔径が3.0〜40Åであってより好ましくは10〜30Åであるシリカゲルを用いることを特徴とするガスセンサ。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のガスセンサにおいて、
    前記活性炭フィルタは、その比表面積が1000〜1500m/gであってより好ましくは1300〜1400m/gである活性炭を用いることを特徴とするガスセンサ。
  5. 目的ガス、雑ガスおよび塩基性ガスを含む検出対象ガスが導入される流入口、および、前記流入口の下流側にあって前記流入口と連通する検出空間を有するケース体と、
    前記検出空間内にあって主に雑ガスを吸着する粉状、球状、破砕状、または、ペレット状の活性炭を主体とする活性炭フィルタと、
    前記検出空間内にあって主に塩基性ガスを吸着する粉状、球状、破砕状、または、ペレット状のシリカゲルを主体とするシリカゲルフィルタと、
    前記検出空間内にあって前記活性炭フィルタおよび前記シリカゲルフィルタの下流側に配置され、ガス選択燃焼層と、前記ガス選択燃焼層により覆われるガス感知層と、前記ガス選択燃焼層と前記ガス感知層とを所定の時間間隔で加熱するヒーター層と、を備え、前記活性炭フィルタおよび前記シリカゲルフィルタを通過して雑ガスおよび塩基性ガスが所定基準まで除去された検出対象ガスのうち前記ガス選択燃焼層と前記ガス感知層とへ到達した雑ガスを加熱により除去させたのち、前記ガス選択燃焼層を通過した目的ガスにガス感知層が感応して検出信号を出力するガスセンサ素子と、
    を備えることを特徴とするガス検出装置。
  6. 請求項5に記載のガス検出装置において、
    前記活性炭フィルタは上流側に、前記シリカゲルフィルタは下流側に配置されることを特徴とするガス検出装置。
  7. 請求項5または請求項6に記載のガス検出装置において、
    前記シリカゲルフィルタは、その比表面積が500〜800m/gであってより好ましくは600〜750m/gであり、平均細孔径が3.0〜40Åであってより好ましくは10〜30Åであるシリカゲルを用いることを特徴とするガスセンサ。
  8. 請求項5〜請求項7の何れか一項に記載のガス検出装置において、
    前記活性炭フィルタは、その比表面積が1000〜1500m/gであってより好ましくは1300〜1400m/gである活性炭を用いることを特徴とするガス検出装置。
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