JP2016202169A - 可塑性油脂組成物及び可塑性油脂組成物が添加された食品 - Google Patents
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該可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合したオレイン酸の合計質量が、前記可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合した脂肪酸全体の質量に対して27〜57質量%であり、飽和脂肪酸である構成脂肪酸の含有量が、油脂全体の構成脂肪酸の質量に対して、27〜55質量%である、可塑性油脂組成物。
前記可塑性油脂組成物に含まれる全ての前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルのうち、グリセリンの重合度が4〜6であるポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの質量が最も多い、(1)又は(2)に記載の可塑性油脂組成物。
本発明の可塑性油脂組成物は、該可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合したオレイン酸の合計質量が、可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合した脂肪酸全体の質量に対して27〜57質量%であり、飽和脂肪酸である構成脂肪酸の含有量が、油脂全体の構成脂肪酸の質量に対して、27〜55質量%である。本発明の可塑性油脂組成物は、これにより、焼成品に、優れたシトリ、弾力性、ダマになりにくさ、歯切れの良さを付与することができる。なお、本明細書において、「ダマ」とは、可塑性油脂組成物が添加された焼成品を喫食した場合に焼成品が口中で団子のように結着することをいう。
本発明の可塑性油脂組成物において、可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合したオレイン酸の合計質量は、可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合した脂肪酸全体の質量に対して27〜57質量%であれば、特に限定されないが、パン類や菓子類等の焼成品は、焼成時に油脂が融解状態となり、その後、室温におかれた際に油脂は、結晶化し、その結晶状態に焼成品の食感は大きく左右される。つまり全体が結晶化した状態の油脂は、焼成品にシトリを付与することができない。他方、融解後、油脂が固液分離の状態であれば焼成品にシトリを付与可能である。そして、上述のとおり、2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドは、結晶化がしにくいため、固液分離状態となり焼成品にシトリを付与可能である。このように、トリグリセリドの2位に結合したオレイン酸の量が多いと、それを含有した可塑性油脂組成が添加された焼成品のシトリが向上することから、可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合したオレイン酸の合計質量は、可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合した脂肪酸全体の質量に対して、30質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることが更に好ましく、45質量%以上であることがより一層好ましく、50質量%以上であることが最も好ましい。他方、トリグリセリドの2位に結合したオレイン酸の量が多すぎると、非結晶状態の油脂が多くなりすぎ、得られる焼成品の弾力性、歯切れが低下し、ダマになりやすくなる。このように、可塑性油脂組成が添加された焼成品の弾力性、ダマになりやすさ、歯切れがより向上することから、可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合したオレイン酸の合計質量は、可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合した脂肪酸全体の質量に対して、55質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、43質量%以下であることが更に好ましく、38質量%以下であることがより一層好ましく、32質量%以下であることが最も好ましい。
本発明の可塑性油脂組成物は、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを更に含んでもよく、含まなくても良いが、焼成品のシトリがより一層良好となることから、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを更に含むことが好ましい。
本発明の可塑性油脂組成物は、更に増粘多糖類を含有してもよく、含有しなくてもよいが、得られる焼成品のシトリ及びダマになりにくさがより一層良好となることから、増粘多糖類を更に含有することが好ましい。
本発明の可塑性油脂組成物は、更にグリセリン有機酸脂肪酸エステルを含有してもよく、含有しなくてもよいが、得られる焼成品の歯切れがより一層良好となることから、グリセリン有機酸脂肪酸エステルを更に含有することが好ましい。
本発明の可塑性油脂組成物は、水相を実質的に含有しない形態と、水相を含有する形態のいずれの形態であってもよい。水相を含有する形態の場合、本発明の可塑性油脂組成物は、特に限定されないが、例えば、マーガリン類であってもよい。また、水相を含有する乳化形態は、特に限定されないが、例えば、油中水型、水中油型、油中水中油型、水中油中水型等が挙げられる。この場合の油相の含有量は、可塑性油脂組成物の全体の質量に対して、好ましくは55〜99.95質量%であり、より好ましくは60〜99.4質量%であり、更に好ましくは65〜98質量%である。また、水相の含有量は、可塑性油脂組成物の全体の質量に対して、好ましくは0.5〜45質量%であり、より好ましくは、0.6〜40質量%であり、更に好ましくは、2〜35質量%である。乳化形態は、特に焼成品に優れたシトリ、弾力性、ダマになりにくさ、歯切れの良さを付与することができる点で、油中水型であることが好ましい。
本発明の可塑性油脂組成物は、公知の方法により製造することができる。例えば、水相を含有する形態のもの(マーガリン類等)は、本発明の油脂組成物を含む油相と水相とを、適宜に加熱し混合して乳化した後、コンビネーター、パーフェクター、ボテーター、ネクサス等の冷却混合機により急冷捏和し得ることができる。水相を含有しない形態のもの(ショートニング)は、本発明の油脂組成物を含む油相を加熱した後、コンビネーター、パーフェクター、ボテーター、ネクサス等の冷却混合機により急冷捏和し、必要に応じて熟成(テンパリング)して、得ることができる。
本明細書において、「A油脂」とは、3飽和量が20〜65質量%(例えば、20〜50)でありヨウ素価が20〜40である油脂のことを指す。このようなA油脂としては、特に限定されないが、例えば、上記で述べたパーム系油脂、パーム系油脂のエステル交換油脂等を挙げることができ、1種以上組合せて使用することもできる。中でも、パーム分別硬質油、パーム系油脂とラウリン系油脂とのエステル交換油脂を用いることで結晶核となり、その結果、他油脂の結晶を誘発し結晶量が確保され、焼成品に弾力性を付与できる。なお、本明細書において、油脂の「3飽和量」とは、その油脂全体の質量に対する、その油脂に含まれる3飽和型トリグリセリドの質量を指し、例えば、上記A油脂の「3飽和量」は、A油脂全体の質量に対する、A油脂に含まれる3飽和型トリグリセリドの質量を意味する。
本明細書において、「B油脂」とは、3飽和量が2〜20質量%未満である油脂のことを指す。(但し「B油脂」としては、前述の「A油脂」及び後述の「C油脂」は包含しない。)このようなB油脂としては、特に限定されないが、例えば、A油脂、C油脂以外の植物油脂、動物油脂(豚脂(ラード)、牛脂等)、これらの分別油、硬化油、エステル交換油脂が挙げられる。中でも、A油脂との相溶性を考慮すると、パーム系油脂であるパーム油、パーム分別軟質部、パーム分別軟質部のエステル交換油脂、豚脂等を組わせて用いることが好ましい。
本明細書において、「C油脂」とは、3飽和量が2%未満である油脂、又は3飽和量が50質量%超である油脂(但し「C油脂」としては、前述の「A油脂」及び「B油脂」は包含しない。)のことを指す。
本発明は、上記可塑性油脂組成物が添加された食品を包含する。
(エステル交換油脂の製造)(A油脂)
[エステル交換油脂A1]
パーム核極度硬化油24質量%、パーム油49質量%、パーム極度硬化油27質量%を混合し、触媒としてナトリウムメチラートを添加し、減圧下で、エステル交換反応した。エステル交換反応後、水洗、脱水、脱色しエステル交換油脂A1を得た。エステル交換油脂A1のヨウ素価は27、3飽和量は43.3質量%であった。
パーム核極度硬化油12.5質量%、パーム油67.5質量%、パーム極度硬化油5質量%、パーム核油15質量%を混合し、触媒としてナトリウムメチラートを添加し、減圧下で、エステル交換反応した。エステル交換反応後、水洗、脱水、脱色しエステル交換油脂A2を得た。エステル交換油脂A2のヨウ素価は39、3飽和量は63.3質量%であった。
[パーム分別軟質エステル交換油脂B1]
パーム分別軟質油(パームオレイン)(ヨウ素価56)に触媒としてナトリウムメチラートを添加し、減圧下でエステル交換反応を行った。エステル交換反応後、水洗、脱水、脱色、脱臭しエステル交換油脂を得た。パーム分別軟質部エステル交換油脂のヨウ素価は56、3飽和量は9.1質量%であった。
パーム油(ヨウ素価53)に触媒としてナトリウムメチラートを添加し、減圧下でエステル交換反応を行った。エステル交換反応後、水洗、脱水、脱色、脱臭しエステル交換油脂B2を得た。パーム油交換油脂B2のヨウ素価は53、3飽和量は13.7質量%であった。
後述する表1に示す油脂配合で75℃の調温し、表1に示す乳化剤を添加し、溶解後、表1に示す増粘多糖類を分散させ、油相を作製した。一方、水16部に対して脱脂粉乳1.5部を添加し、85℃で加熱殺菌して水相を得た。次に、上記で得た油相82.5部に水相17.5部を添加し、プロペラ攪拌機で攪拌して、油中水型に乳化した後、コンビネーターによって急冷捏和して、可塑性油脂組成物である、実施例1〜19、比較例1〜5に係るマーガリンを製造した。
尚、パーム分別硬質油は、ヨウ素価32であり、3飽和トリグリセリド含量が25.8質量%の油脂を用い、パーム分別軟質油はヨウ素価56の油脂を用いた。
上記実施例、比較例の油脂組成物の作製に用いた乳化剤を以下に示す。配合割合は、後述する表1に記載されたとおりである。
ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(CRED、ポリタイプ、阪本薬品工業社製)
ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(CR500、重合度6、阪本薬品工業社製)
ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(CR310、重合度4、阪本薬品工業社製)
モノグリセリンモノステアリン酸エステル(エマルジーMS、理研ビタミン社製)
クエン酸モノグリセリン脂肪酸エステル(ポエムK−37V、理研ビタミン社製)
コハク酸モノグリセリン脂肪酸エステル(ポエムB−10、理研ビタミン社製)
尚、上記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの重合度は、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルのグリセリンの重合度における最も多い重合度を示した。
上記実施例、比較例の油脂組成物の作製に用いた増粘多糖類を以下に示す。配合割合は、後述する表1に記載されたとおりである。
キサンタンガム(ビストップD−3000S、三栄源エフ・エフ・アイ社製)
グアガム(RG100、三菱化学フーズ社製)
上記で得たそれぞれのマーガリンを用いて、下記配合で食パンを製造した。まず、イーストを分散させた水、イーストフード、及び強力粉をミキサーボールに投入し、フックを使用し、低速4分、中低速1分でミキシングを行った。捏上げ温度は24℃であった。その後、27℃、湿度75%の条件で4時間発酵を行った。発酵の終点温度は29℃であり、発酵後、中種生地を得た。その後、上記で製造したマーガリン以外の材料及び中種生地を、低速3分、中高速3分でミキシングした後、上記で製造したマーガリンをそれぞれ投入し、さらに低速3分、中低速4分でミキシングし、パン生地を得た。この際の捏上温度は28℃であった。その後、室温で20分フロアタイムをとった後、パン生地を成型して、38℃、湿度80%のホイロで45分発酵させた後、200℃で40分間焼成して、実施例1〜19、比較例1〜5に係る食パンを製造した。焼成した食パンは、室温で放冷させた後、20℃の恒温槽に保存した。以上で述べた食パンの配合を下記に示す。
・中種配合
強力粉 70質量部
イースト 2.5質量部
イーストフード 0.1質量部
水 40質量部
・本捏配合
強力粉 30質量部
上白糖 6質量部
食塩 1.8質量部
脱脂粉乳 2質量部
マーガリン 5質量部
水 25質量部
製造したマーガリン及びそれぞれ添加された食パンに関して、それぞれ、パンの弾力性、パンのシトリ(1日又は3日保存後)、口中でのダマ(喫食した場合にパンが団子のように結着すること)、歯切れについて、評価を行った。
20℃で2日保存した食パンを30mmの厚さにスライスし、その後、食パンの中央部が中心となるように25mm×20mmにカットした小片を測定サンプルとした。株式会社山電製クリープメーターを用いて、スライス面が上部となるように配置して80%凝集性(圧縮率:80% プランジャー直径4cm円柱状、進入速度1mm/秒)により以下の基準で弾力性を評価した。なお、「凝集性」は、サンプルの高さの80%まで圧縮後、元の高さに戻る回復率を示すものである。
◎:60%超
○:55超〜60%
△:50超〜55%
×:50%以下
20℃で1日、又は3日保存した後、パネルによりパンのシトリの官能評価を以下の基準で評価した。なお、評価を行ったパネルに関して、五味(甘、酸、塩、苦、うま味)の識別テスト、味の濃度差識別テスト、食品の味の識別テスト、基準臭覚テストを実施し、その各々のテストで適合と判定された20〜40代の男性5名、女性7名をパネルとして選抜した。なお、表1中の「パンのシトリ」の欄の「D+1」は、20℃で1日保存した後についての評価であり、「D+3」は、20℃で3日保存した後についての評価を示す。
◎+:12名中10〜12人が良好であると評価した。
◎:12名中8〜9人が良好であると評価した。
○:12名中6〜7人が良好であると評価した。
△:12名中4〜5人が良好であると評価した。
×:12名中3人以下が良好であると評価した。
20℃で1日保存した後の食パンを喫食し、口中でダマの有無を上記と同様のパネルにて以下の基準で評価した。
◎+:12名中10〜12人がダマ無く良好であると評価した。
◎:12名中8〜9人がダマ無く良好であると評価した。
○:12名中6〜7人がダマ無く良好であると評価した。
△:12名中4〜5人がダマ無く良好であると評価した。
×:12名中3人以下がダマ無く良好であると評価した。
20℃で1日保存した後の食パンを喫食し、歯切れの有無を上記と同様のパネルにて以下の基準で評価した。
◎:12名中8人以上が良好であると評価した。
○:12名中6〜7人が良好であると評価した。
△:12名中4〜5人が良好であると評価した。
×:12名中3人以下が良好であると評価した。
実施例1〜19及び比較例1〜5に係るマーガリンの組成並びに実施例1〜19及び比較例1〜5に係る食パンについての評価結果を、下記の表1に示す。なお、表1中の「PGPR」は、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを意味し、「クエン酸MG」は、クエン酸モノグリセリン脂肪酸エステルを意味し、「コハク酸MG」は、コハク酸モノグリセリン脂肪酸エステルを意味する。表1中、「油脂配合」のそれぞれの欄の数値は、それぞれの配合された油脂の、油脂全体の質量に対する配合量(質量%)を意味する。表1中、「飽和脂肪酸」の欄の数値は、油脂全体の構成脂肪酸の質量に対する、飽和脂肪酸である構成脂肪酸の含有量(質量%)を意味する。表1中、「2位オレイン」の欄の数値は、可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合した脂肪酸全体の質量に対する、可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合したオレイン酸の合計質量(質量%)を意味する。表1中、「SSU+USU/2飽和+2不飽和」は、2飽和−1不飽和型トリグリセリドと1飽和−2不飽和型トリグリセリドとの合計含有量に対する、SSU型トリグリセリドとUSU型トリグリセリドとの合計含有量の質量比を意味する。表1中の「PGPR」、「乳化剤」、及び「増粘多糖類」の欄のそれぞれの数値は、それぞれの成分の、油脂組成物全体の質量に対する含有量(質量%)を意味する。
Claims (7)
- 可塑性油脂組成物であって、
該可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合したオレイン酸の合計質量が、前記可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合した脂肪酸全体の質量に対して27〜57質量%であり、飽和脂肪酸である構成脂肪酸の含有量が、油脂全体の構成脂肪酸の質量に対して、27〜55質量%である、可塑性油脂組成物。 - 2飽和−1不飽和型トリグリセリドと1飽和−2不飽和型トリグリセリドとの合計含有量に対するSSU型トリグリセリドとUSU型トリグリセリドとの合計含有量が、質量比で、0.30〜0.60である、請求項1に記載の可塑性油脂組成物。
- ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを更に含み、
前記可塑性油脂組成物に含まれる全ての前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルのうち、グリセリンの重合度が4〜6であるポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの質量が最も多い、請求項1又は2に記載の可塑性油脂組成物。 - 増粘多糖類を更に含有する、請求項1から3のいずれかに記載の可塑性油脂組成物。
- グリセリン有機酸脂肪酸エステルを更に含有する、請求項1から4のいずれかに記載の可塑性油脂組成物。
- 製菓製パン用である、請求項1から5のいずれかに記載の可塑性油脂組成物。
- 請求項1から6のいずれかに記載の可塑性油脂組成物が添加された食品。
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