JP2016202603A - 生体情報処理システム、プログラム、生体情報処理システムの制御方法 - Google Patents

生体情報処理システム、プログラム、生体情報処理システムの制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 脈波センサー情報に基づいて脈波情報を求める際に、計算負荷が軽く、精度の高い処理を行う生体情報処理システム、プログラム、生体情報処理システムの制御方法等を提供すること。【解決手段】 脈波センサー42からの脈波センサー情報を取得する情報取得部110と、脈波センサー情報に基づいて脈波情報を求める処理部130を含み、処理部130は、推定脈拍情報を求め、求めた推定脈拍情報に基づいて、脈波センサー情報から特定される脈波の波形を近似する近似式のパラメーターを設定し、パラメーター設定された近似式に基づいて、脈波情報を求める。【選択図】 図1

Description

本発明は、生体情報処理システム、プログラム、生体情報処理システムの制御方法等に関する。
心臓の機能を調べるためによく利用される心電図は、心臓の拍動に伴って発生する微細な電位変動を記録するグラフである。心電図のP、QRS、T波のうち、一番鋭いピークであるR波は、心室が急激に収縮して血液を心臓から送り出す時に発生する電気信号であり、このR波の発生時刻と、一つ前のR波の発生時刻の時間差が心拍間隔(RR間隔)となる。
心拍間隔は常に一定ではなく、周期性をもって変動している。この心拍間隔のゆらぎは自律神経の機能と大きくかかわり、医学・生理学分野では長年にわたって研究がされている。また生体医工学の分野において、心拍間隔を計測して、自律神経機能を常時モニタリングすることで、人のメンタル状態を把握したり、心疾患発生の危険性を予知したり、様々な応用が検討されている。
また、心電図計測に比べて手軽に操作できる脈波センサーを用いて脈波を計測して、その脈波のピーク間隔を心電図のRR間隔に相当する情報(以下、脈波RR間隔と表記する)として、健康管理や医療診断に利用することも考えられている。
例えば特許文献1には、一定時間連続して計測した脈波を、複数のデジタル平滑化多項式フィルターに通し、それぞれの微分信号と、当該微分信号がピークになる時間を算出することで、脈波RR間隔を求める手法が知られている。
特開2012−95795号公報 特開2009−72417号公報 特開2014−212915号公報
特許文献1では、デジタル平滑化多項式フィルターのフレームサイズm(近似式の近似範囲であり、広義には近似式を決定する際のパラメーター)を10、12、14、16、18、20、...のように複数通り設定して、微分算出を行い、算出結果から適切なフレームサイズmを決定している。そのため、複数のフレームサイズを用いて、微分計算を繰り返し行う必要があるため、計算負荷が重く、効率が悪くなるという課題がある。
本発明の幾つかの態様によれば、脈波センサー情報に基づいて脈波情報を求める際に、計算負荷が軽く、精度の高い処理を行う生体情報処理システム、プログラム、生体情報処理システムの制御方法等を提供することができる。
本発明の一態様は、脈波センサーからの脈波センサー情報を取得する情報取得部と、前記脈波センサー情報に基づいて脈波情報を求める処理部と、を含み、前記処理部は、推定脈拍情報を求め、求めた前記推定脈拍情報に基づいて、前記脈波センサー情報から特定される脈波の波形を近似する近似式のパラメーターを設定し、パラメーター設定された前記近似式に基づいて、前記脈波情報を求める生体情報処理システムに関係する。
本発明の一態様では、推定脈拍情報を求め、当該推定脈拍情報に基づいて近似式のパラメーターを設定する。これにより、適切な近似が可能なパラメーターを設定できるため、脈波情報を精度よく求めることができ、且つ従来手法のように複数通りのパラメーターによる演算を行う場合に比べて、処理負荷を軽くすること等も可能になる。
また、本発明の一態様では、前記情報取得部は、体動センサーからの体動センサー情報を取得し、前記処理部は、前記体動センサー情報に基づいて、ユーザーの行動パターンを求め、前記行動パターンが変化したと判定された場合に、前記パラメーターの再設定処理を行ってもよい。
これにより、行動パターンの変化判定に基づいて、適切なタイミング、条件によりパラメーターの再設定を行うこと等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記処理部は、前記脈波センサー情報から特定される脈波と、前記推定脈拍情報に基づいて求められる前記近似式から特定される脈波の誤差を求め、前記誤差が所与の閾値よりも大きい場合に、求められた前記脈波情報を削除してもよい。
これにより、元の波形と近似波形との比較判定に基づいて、不適切な脈波情報の出力を抑止すること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記処理部は、前記誤差が前記所与の閾値よりも大きい場合に、前記パラメーターの再設定処理を行ってもよい。
これにより、元の波形と近似波形との比較判定に基づいて、パラメーターの再設定を行うこと等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記パラメーターは、前記脈波センサー情報に対する前記近似式の適用範囲を設定するパラメーターであってもよい。
これにより、近似式の適用範囲を適切に設定すること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記処理部は、前記脈波情報として、脈波RR間隔情報を求めてもよい。
これにより、脈波RR間隔情報を精度よく求めることが可能になる。
また、本発明の一態様では、前記処理部は、前記近似式で表される波形のピーク検出処理、又は前記近似式で表される波形の微分信号を用いた処理に基づいて、前記脈波RR間隔情報を求めてもよい。
これにより、ピーク検出、或いは微分信号を用いた処理により、脈波RR間隔情報を精度よく求めることが可能になる。
また、本発明の一態様では、前記処理部は、前記近似式に基づいて求められた前記脈波情報に基づいて、自律神経状態情報を推定してもよい。
これにより、求めた脈波情報を用いて自律神経状態情報を推定することが可能になる。
また、本発明の一態様では、前記処理部は、前記推定脈拍情報に基づいて、前記パラメーターとして、フレームサイズmの値を設定し、設定された前記フレームサイズmに対応するフレーム内の前記脈波センサー情報を対象として、平滑化多項式フィルターを適用して前記近似式を求め、前記近似式に基づいて前記脈波情報を求めてもよい。
これにより、フレームサイズmが設定された平滑化多項式フィルターを用いて脈波情報を求める処理を行うこと等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記フレームサイズmに対応するフレームとは、処理対象タイミングでの前記脈波センサー情報、及び前記処理対象タイミングの前後各mサンプル分の前記脈波センサー情報からなる2m+1サンプル分のフレームであり、前記処理部は、前記推定脈拍情報として、脈波RR間隔の推定値である推定脈波RR間隔を求め、前記フレームサイズmにより表される2m+1サンプル分のフレームとして、前記推定脈波RR間隔の長さを含む所与の数値範囲内の長さに対応するフレームを設定してもよい。
これにより、推定脈波RR間隔の長さに対応させて、フレームサイズmを設定すること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記処理部は、前記平滑化多項式フィルター適用後の前記脈波センサー情報の微分信号を求め、前記微分信号に基づいて、前記脈波情報を求めてもよい。
これにより、平滑化多項式フィルター適用後、さらに微分信号を求める処理を行うことで、脈波情報を求めることが可能になる。
また、本発明の一態様では、前記情報取得部は、体動センサーからの体動センサー情報を取得し、前記処理部は、前記体動センサー情報に基づいて、前記推定脈拍情報を求めてもよい。
これにより、体動センサー情報から推定脈拍情報を求めることが可能になる。
また、本発明の一態様では、前記処理部は、前記体動センサー情報に基づいて、ユーザーの運動強度情報を求め、前記運動強度情報、最大脈拍情報及び安静時脈拍情報に基づいて、前記推定脈拍情報を求めてもよい。
これにより、体動センサー情報から求められる運動強度情報に基づいて、推定脈拍情報を求めることが可能になる。
また、本発明の一態様では、前記処理部は、前記脈波センサー情報に対して周波数変換処理を行い、前記周波数変換処理の結果に基づいて、前記推定脈拍情報を求めてもよい。
これにより、脈波センサー情報に対する周波数変換処理により、推定脈拍情報を求めることが可能になる。
また、本発明の一態様では、前記処理部は、処理対象タイミングよりも前に求められた前記脈波情報に基づいて、前記推定脈拍情報を求めてもよい。
これにより、既に求められた脈波情報を用いて推定脈拍情報を求めることが可能になる。
また、本発明の他の態様は、脈波センサーからの脈波センサー情報を取得する情報取得部と、前記脈波センサー情報に基づいて脈波情報を求める処理部として、コンピューターを機能させ、前記処理部は、推定脈拍情報を求め、求めた前記推定脈拍情報に基づいて、前記脈波センサー情報から特定される脈波の波形を近似する近似式のパラメーターを設定し、パラメーター設定された前記近似式に基づいて、前記脈波情報を求めるプログラムに関係する。
また、本発明の他の態様は、脈波センサーからの脈波センサー情報を取得し、推定脈拍情報を求め、求めた前記推定脈拍情報に基づいて、前記脈波センサー情報から特定される脈波の波形を近似する近似式のパラメーターを設定し、パラメーター設定された前記近似式に基づいて脈波情報を求める生体情報処理システムの制御方法に関係する。
本実施形態に係る生体情報処理システムの構成例。 図2(A)〜図2(C)は本実施形態に係る生体情報処理システムを含むシステムの構成例。 図3(A)、図3(B)は生体情報検出装置の外観図。 生体情報検出装置の他の外観図。 図5(A)は適切なパラメーターを設定した場合のピーク検出例、図5(B)は心電RR間隔と脈波RR間隔の誤差の例。 図6(A)はRR間隔に対して小さすぎるパラメーターを設定した場合のピーク検出例、図6(B)は心電RR間隔と脈波RR間隔の誤差の例。 図7(A)はRR間隔に対して大きすぎるパラメーターを設定した場合のピーク検出例、図7(B)は心電RR間隔と脈波RR間隔の誤差の例。 本実施形態の脈波情報を求める処理を説明するフローチャート。 推定脈拍情報算出処理を説明するフローチャート。 推定脈拍情報算出処理を説明する他のフローチャート。 脈波情報算出処理を説明するフローチャート。 脈波情報算出処理を説明する他のフローチャート。 図13(A)は脈波RR間隔の時間変化を説明する図、図13(B)は脈波RR間隔からLF,HFを求める処理を説明する図。
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.本実施形態の手法
まず本実施形態の手法について説明する。上述したように、心電図から求められる心拍間隔(RR間隔)は有用な情報であることが知られており、例えばRR間隔のゆらぎ(時間的な変動)に基づいて、ユーザーの自律神経活動を推定する手法が知られている。しかし、心電図を測定するにはユーザーの所与の部位、例えば心臓を挟み込むような2つ以上の点に電極を装着する必要がある。ホルター心電図のような小型軽量な機器もあるが、現状での心電図の計測は、日常生活の中で気軽に行うようなものではない。
それに対して、脈波センサーを用いて脈波を計測して、その脈波のピーク間隔を心電図のRR間隔に相当する情報(以下、脈波RR間隔と表記する)として、健康管理や医療診断に利用することも考えられている。脈波センサーは、例えば発光部と受光部を含む光電センサー等により実現でき、当該脈波センサーを含む装置も、図3(A)等を用いて後述するような腕時計型機器等のウェアラブル機器として実現できる。そのため、脈波RR間隔は、心電図を用いたRR間隔に比べて容易に計測が可能である。
RR間隔は心拍の間隔を表す情報である。また、脈波センサー情報(狭義にはそのうちのAC成分)は、脈拍に対応する情報であり、その波形の周期は脈拍間隔を表す情報である。何らかの疾患等がない限り、心拍と脈拍は対応するものであるため、脈波センサー情報の波形の1周期に対応する情報、具体的にはピーク間隔を求めれば、当該ピーク間隔はRR間隔に相当する脈波RR間隔を表すことになる。
しかし、脈波センサー情報にはユーザーの体動に起因する体動ノイズ等、種々のノイズが含まれることが知られている。そのため、単純にピーク間隔を求めようとしても、誤差が大きくなる。例えば、脈波センサー情報の微分信号を求め、そのゼロ点をピークとして検出しようとした場合、微分(差分)を求める計算により相対誤差が大きくなってしまう。
それに対して、脈波センサー情報を平滑化する手法が考えられる。具体的には所与の近似式により脈波センサー情報を近似し、近似後の情報を用いてピーク検出を行う。このようにすれば、誤差による値のばらつきが平滑化されるため、精度よくピーク検出ができ、求められる脈波RR間隔の精度もよくなると考えられる。
近似式を決定するためには種々のパラメーターを設定する必要がある。例えば、p次の多項式を用いて、所与のフレームサイズmの範囲を対象として近似を行うといった設定をしなければ、近似式を求めることはできない。以下では、平滑化多項式フィルターを用いて近似を行い、当該平滑化多項式フィルターのパラメーター(制御パラメーター)として、近似多項式の次数pと近似範囲であるフレームサイズmを用いるものとする。ただし、近似を行う手法や、近似式のパラメーターはこれに限定されるものではない。
適切な近似を行うためには、近似対象の波形に応じた適切なパラメーターを設定しなくてはならない。例えばパラメーターが上述した次数pとフレームサイズmである場合、次数pが高いほど、またフレームサイズmが小さいほど、近似式は元の波形(脈波センサー情報の波形)に追随しやすくなる。なぜならpが大きければ近似式を複雑な波形とすることができるし、mが小さいほどフレームサイズmに対応するフレーム内に含まれる脈波センサー情報のサンプル数が少なくなり、当該フレーム内での元の波形がシンプルな波形となるためである。逆に、次数pが低いほど、またフレームサイズmが大きいほど、近似式は元の波形に追随しにくくなる。
本実施形態における近似は、ノイズによる影響を抑止するためのものである。よって、pが極端に低い、或いはmが極端に大きいことで、近似式が元波形に全く追随できないことは問題となる。一方、近似式が元波形に追随しすぎることも問題である。なぜなら、図5(A)のA4〜A6に示したようなノイズに起因する変動にまで近似式が追随してしまう(図6(A)のB4〜B6のようなピークを検出してしまう)ため、ノイズを低減するという効果が期待できないためである。具体的には、脈波センサー情報の波形が、略正弦波にノイズによる変動が重畳された波形であると考えた場合に、近似式は略正弦波には追随し、且つノイズにより変動には追随しないようなパラメーター設定を行うことが好ましい。
例えば、p=3程度の値を用いた場合、近似式は極値を2つ有しうる3次多項式となるため、正弦波1波長分程度の波形の近似に適している。逆に、フレーム内に2波長、3波長といった波形が含まれていれば、元波形のうちの略正弦波の要素だけでも4つ或いは6つといった多数の極値を有することになり、次数が足らずに近似式と元波形の誤差が過剰に大きくなる。また、フレーム内に1/2波長、1/3波長といった波形しか含まれていなければ、近似式は略正弦波よりも細かい変動にまで追随してしまい、ノイズの影響を抑止できない。
以上に示したように、近似式のパラメーターは適切な設定が必要である。特許文献1の手法では、pを3程度の値に固定し、mを可変としている。しかし、適切なmの値を事前に設定するものではなく、10、12、14、16、18、20、...といったように種々の値のフレームサイズを用いて近似を行っている。特許文献1ではその上で脈波RR間隔まで求め、その値のばらつき具合から適切なmがどの値であったかを推定している。つまり、特許文献1では、ある程度の範囲のフレームサイズを総当たりで試行した上で、適切と判定されたフレームサイズから求められた脈波RR間隔を採用するという手順を経ることになり、計算負荷が非常に大きい。
そこで本出願人は、特許文献1のように種々のフレームサイズを用いて計算を行うのではなく、適切なフレームサイズmの値を推定する手法を提案する。具体的には、本実施形態に係る生体情報処理システム100は、図1に示したように、脈波センサー42からの脈波センサー情報を取得する情報取得部110と、脈波センサー情報に基づいて脈波情報を求める処理部130を含む。そして、処理部130は、推定脈拍情報を求め、求めた推定脈拍情報に基づいて、脈波センサー情報から特定される脈波の波形を近似する近似式のパラメーターを設定し、パラメーター設定された近似式に基づいて、脈波情報を求める。
ここで、推定脈拍情報とは、何らかの手法により推定された脈拍情報であり、一例としては脈波RR間隔の推定値である。なお、ここでの脈拍情報とは、脈拍を表す情報であるため、脈波RR間隔には限定されず、脈の周波数を表す情報等、他の情報であってもよい。
脈波RR間隔は脈波の波形の1波長分の長さを表す時間である。つまり、脈波RR間隔が推定されれば、フレームサイズmに対応するフレームと、当該フレームに脈波センサー情報の波形が何波長分含まれるかといった関係を推定することができる。よって例えば、フレームサイズmに対応するフレームの長さを、上述したように脈波波形の略正弦波の1波長分の長さ、すなわち推定された脈波RR間隔(推定脈波RR間隔)の長さに対応する長さにする、といった設定が可能になる。
このようにすれば、特許文献1のように総当たり的に種々のパラメーター(フレームサイズ)を試さなくとも、適切なパラメーターを設定することが可能になり、計算負荷を軽減可能である。なおこの際、推定脈拍情報を高い精度で求める必要はない。なぜならここでの推定脈拍情報は、あくまでパラメーターを設定するために用いるものであり、その後に、設定されたパラメーターを用いて高精度での脈波情報が求められるためである。
例えば、下式(2)を用いて後述するように、近似範囲(フレームの長さ)は厳密に略正弦波1波長分である必要はなく、ある程度の変動があっても十分な近似が可能である。つまり、推定脈拍情報についても、パラメーターの設定が可能な程度の精度であれば十分である。
具体的な推定脈拍情報の求め方については後述するが、例えば16秒程度の脈波センサー情報を対象としてFFT等の周波数変換処理を行って求めてもよい。この場合、周波数変換処理の特性上、比較的長い期間の脈波センサー情報から1つの脈拍情報を推定することになるため、脈波RR間隔のゆらぎのような情報は埋もれてしまう。そのため、FFTから求めた推定脈拍情報は、図13(B)等を用いて後述するような0.04Hz〜0.15Hzの低周波成分LF、0.15Hz〜0.4Hzの高周波成分HFを求める際には適しておらず、その意味で精度が低い。しかし、脈波RR間隔の概算値という意味では十分な精度を有しており、パラメーターの設定にFFTの結果を利用することが可能である。
以上の説明を別観点から捉えれば、本実施形態の手法は比較的高い精度で脈波情報を求めることを想定していると言える。低い精度の脈波情報で十分なのであれば、上述した推定脈拍情報をそのまま出力とすればよく、当該推定脈拍情報を用いて脈波情報を求め直す必要がそもそもないためである。比較的高い精度で脈波情報を求める利点は種々考えられるが、一例としては上述した脈波RR間隔のゆらぎから自律神経活動を推定できる点が挙げられる。自律神経活動の推定手法については、図13(A)、図13(B)を用いて後述する。
以下、本実施形態に係る生体情報処理システムの詳細な構成例を説明した後、脈波情報を求める処理の詳細を説明する。最後に、求めた脈波情報に基づいて、自律神経活動の状態を推定する手法について説明する。
2.システム構成例
本実施形態に係る生体情報処理システム100は、図1を用いて上述したように、情報取得部110と、記憶部120と、処理部130を含む。ただし、生体情報処理システム100は、図1の構成に限定されず、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
情報取得部110は、脈波センサー42からの脈波センサー情報を取得する。情報取得部110は、例えば他の機器からの情報を取得するインターフェースとして実現されてもよく、図2(A)等を用いて後述するように他の機器からネットワークNEを介して情報を取得するのであれば、通信機能を有する通信部(受信処理部)として実現される。なお、情報取得部110は、脈波センサー42と直接接続されるものであってもよいし、他の機器を介して接続されてもよい。生体情報処理システム100が図3(A)等の生体情報検出装置400として実現される場合には、脈波センサー42と情報取得部110は同一機器に実装され、直接接続されることが想定される。また、生体情報処理システム100が端末装置300として実現される場合には、情報取得部110は、生体情報検出装置400の通信部等を介して脈波センサー情報を取得することが想定される。また、生体情報処理システム100がサーバーシステム200として実現される場合には、情報取得部110は、生体情報検出装置400や端末装置300等を介して脈波センサー情報を取得することが想定される。
記憶部120は、処理部130等のワーク領域となるもので、その機能はRAM等のメモリーやHDD(ハードディスクドライブ)などにより実現できる。記憶部120は、少なくとも情報取得部110が取得した脈波センサー情報を記憶する。また、記憶部120は、処理部130での処理結果(脈波情報や自律神経状態情報)等を記憶してもよい。
処理部130は、脈波センサー情報に基づいて脈波情報を求める処理を行う。具体的には、推定脈拍情報を求めて近似式のパラメーターを設定し、パラメーター設定された近似式により脈波センサー情報を近似し、その結果に基づいて脈波情報を求めればよい。また、処理部130は、脈波情報に基づいて自律神経状態情報を求めてもよい。なお、処理部130は、求めた脈波情報等を表示する処理を行ってもよい。ここでの表示する処理とは、表示部において表示を行う際に必要な処理を表し、例えば表示画面情報や、表示制御用の情報等の生成、送信処理等を含む。当然、生体情報処理システム100が表示部を含む場合には、当該表示部で表示する処理を含んでもよい。処理部130での具体的な処理内容については後述する。
図2(A)に、本実施形態に係る生体情報処理システム100を含むシステムの具体的な実現例を説明する。図2(A)のシステムは、サーバーシステム200と、端末装置300と、生体情報検出装置(生体情報測定装置)400とを含み、それらはネットワークNEを介して接続されている。ネットワークNEは、移動通信網、インターネット網等の公衆網、或いは固定電話網等を含むことができる。また、ネットワークNEはWAN(Wide Area Network)やLAN(Local Area Network)などにより実現することができ、有線・無線を問わない。
本実施形態に係る生体情報処理システム100は、種々の形態により実現できるが、例えば図2(A)の端末装置300が生体情報処理システム100に対応し、生体情報検出装置400は、処理対象となるユーザーにより使用される装置であってもよい。この場合、サーバーシステム200は、例えば求められた脈波情報等の蓄積や、比較的負荷の高い処理を行う装置であってもよい。一例としては、サーバーシステム200は複数の生体情報処理システム100(端末装置300)と接続可能に構成され、複数の端末装置300からの大量のデータを取得、蓄積、分析する機器である。また、図2(B)に示したように、サーバーシステム200を省略した構成としてもよい。
図3(A)〜図4に生体情報(狭義には脈波情報)を収集する生体情報検出装置400の外観図の一例を示す。本実施形態の生体情報検出装置400はバンド部10とケース部30とセンサー部40を有する。ケース部30はバンド部10に取り付けられる。センサー部40は、ケース部30に設けられる。
バンド部10はユーザーの手首に巻き付けて生体情報検出装置400を装着するためのものである。バンド部10はバンド穴12、バックル部14を有する。バックル部14はバンド挿入部15と突起部16を有する。ユーザーは、バンド部10の一端側を、バックル部14のバンド挿入部15に挿入し、バンド部10のバンド穴12にバックル部14の突起部16を挿入することで、生体情報検出装置400を手首に装着する。なお、バンド部10は、バックル部14の代わりに尾錠を有する構成としてもよい。
ケース部30は、生体情報検出装置400の本体部に相当するものである。ケース部30の内部には、センサー部40や不図示の回路基板等の生体情報検出装置400の種々の構成部品が設けられる。即ち、ケース部30は、これらの構成部品を収納する筐体である。
ケース部30には発光窓部32が設けられている。発光窓部32は透光部材により形成されている。そしてケース部30には、フレキシブル基板に実装されたインターフェースとしての発光部が設けられており、この発光部からの光が、発光窓部32を介してケース部30の外部に出射される。
生体情報検出装置400は、図2(A)等に示すようにユーザーの手首に装着され、当該装着された状態で脈波情報(広義には生体情報)の計測が行われる。具体的には、センサー部40は発光部と受光部を有する光電センサーを含み、当該光電センサーを用いて脈波情報を計測する。なお、光電センサーを用いた脈波情報の計測については広く知られた手法であるため詳細な説明は省略する。また、生体情報検出装置400の装着部位は足首、指、上腕などでもよい。
また、生体情報検出装置400は図3(A)〜図4のバンド型(腕時計型)のものに限定されず、胸に装着するバンド型装置、頸部等に貼り付ける装置、メガネ型(顔装着型)装置等、種々の装置を用いることが可能である。さらに、搭載されるセンサーも光電センサーに限定されず、超音波センサーや体動センサー(例えば加速度センサー)、GPS受信機などの位置センサー等、種々のセンサーを利用可能である。
生体情報検出装置400により検出された脈波センサー情報は、ネットワークNEを介して端末装置300に送信され、端末装置300(生体情報処理システム100)の情報取得部110により取得される。或いは、生体情報検出装置400と、端末装置300とをUSB(Universal Serial Bus)やmicroUSB等を用いて有線接続してもよい。
端末装置300は、図2(A)ではスマートフォンのような小型携帯端末を示したが、これに限定されずPC等の据え置き型の機器であってもよい。端末装置300は、狭義には表示部を含む。そして、処理部130で生成された脈波情報や自律神経状態情報は、端末装置300の表示部で表示されるものであってもよい。
また、図3(A)〜図4では、生体情報検出装置400として表示部を有さない装置の例を示したが、これには限定されず、生体情報検出装置400が表示部を有してもよい。一例としては、図3(A)〜図4と同様にユーザーの手首に装着される腕時計型の装置であって、時計の文字盤に相当する位置にLCDや有機ELディスプレイ等の表示部を配置した装置が考えられる。
生体情報検出装置400が表示部を有する場合、処理部130で求められた脈波情報等は、生体情報検出装置400の表示部に表示されてもよい。ただし、生体情報検出装置400は図2(A)等に示したようにユーザーの手首等に装着される機器となるため、表示部の面積、解像度が端末装置300に比べて劣ることが想定される。そのため、処理部130では、端末装置300の表示部に表示する場合に比べて、表示する情報量を減らしたり、アイコン(スタンプ)等を用いて視覚的にわかりやすい形態で表示が行われるような処理を行うとよい。
また、端末装置300と生体情報検出装置400の両方が表示部を有し、脈波情報等がその両方で表示されてもよい。また、端末装置300も1つに限定されず、例えば端末装置300としてスマートフォンとPCの両方を用いる変形実施も可能である。また、サーバーシステム200が表示部を有し、脈波情報等をサーバーシステム200の表示部に表示してもよい。
また、以上では本実施形態に係る生体情報処理システム100が端末装置300により実現されるものとしたがこれには限定されない。例えば、本実施形態に係る生体情報処理システム100は端末装置300ではなく、サーバーシステム200により実現されてもよい。この場合の構成例が図2(A)或いは図2(B)である。サーバーシステム200は、PC等の端末装置300、特にスマートフォン等の携帯端末装置として実現される端末装置300に比べれば処理性能や記憶領域、バッテリー容量に余裕があることが多い。そのため、生体情報処理システム100をサーバーシステム200により実現することで、高速に(或いはより多くの脈波センサー情報を対象として)脈波情報を求める処理を行うこと等が可能になる。
なお、ネットワークNEは、Bluetooth(登録商標)等の短距離無線通信(NFC)を含んでもよい。そのため、生体情報検出装置400と端末装置300が短距離無線通信により接続され、端末装置300がインターネット等によりサーバーシステム200に接続されるという実施形態も考えられる。つまり、生体情報検出装置400からの脈波センサー情報をサーバーシステム200である生体情報処理システム100で取得する場合に、端末装置300等の他の装置を介した通信を行ってもよい。具体的には、脈波センサー情報が生体情報検出装置400から短距距離無線通信で端末装置300に送信され、当該脈波センサー情報がインターネット等を介してサーバーシステム200に送信されるという形態が可能である。このような具体例を図示したものが図2(C)である。
また、サーバーシステム200は、1つのサーバー装置(処理装置)により構成されてもよいがこれに限定されず、複数のサーバー装置の集合として実現されてもよい。例えば、サーバーシステム200はデータベースサーバーや、アプリケーションサーバー等の集合であってもよい。その場合、各サーバー装置は相互に関連をもって動作可能であればよいため、物理的に近い位置に設けられる必要はなく、離れた位置に配置され、ネットワークNEにより接続される形態であってもよい。
また本実施形態に係る生体情報処理システム100を端末装置300、サーバーシステム200以外の機器により実現してもよい。例えば、端末性能の向上、或いは利用形態等を考慮した場合、生体情報検出装置400により本実施形態に係る生体情報処理システム100が実現される実施形態も否定されない。この場合、情報取得部110は同一装置内の脈波センサー42(例えば図4のセンサー部40)からの脈波センサー情報を取得することになる。生体情報検出装置400により生体情報処理システム100が実現される場合、当該生体情報処理システム100では、大量のユーザーを対象として脈波情報の算出をする必要性は低く、生体情報検出装置400を使用する1又は少数のユーザーを対象とすればよい。つまり、生体情報検出装置400の処理性能等でもユーザーの要求を満たす可能性は十分考えられる。
また、以上ではサーバーシステム200、端末装置300、生体情報検出装置400のいずれか1つの装置により生体情報処理システム100が実現されるものとしたがこれに限定されることもない。例えば、脈波センサー情報の取得、取得した脈波センサー情報に基づく脈波情報の演算が、複数の装置の分散処理により実現されてもよい。具体的には、サーバーシステム200、端末装置300、生体情報検出装置400のうちの少なくとも2つ以上の装置により生体情報処理システム100が実現されてもよい。或いは、他の装置において本実施形態に係る処理を行ってもよく、本実施形態に係る生体情報処理システム100は種々の装置(或いは装置の組み合わせ)により実現が可能である。
また、本実施形態の手法は生体情報処理システム100に適用されるものには限定されない。例えば、本実施形態の手法は、脈波センサー42からの脈波センサー情報を取得する情報取得部110と、脈波センサー情報に基づいて脈波情報を求める処理部130として、コンピューターを機能させ、処理部130は、推定脈拍情報を求め、求めた推定脈拍情報に基づいて、脈波センサー情報から特定される脈波の波形を近似する近似式のパラメーターを設定し、パラメーター設定された近似式に基づいて、脈波情報を求めるプログラムに適用できる。
このプログラムは、例えば、図2(A)の端末装置300に搭載され、端末装置300を用いて脈波情報を求める場合(端末装置300を生体情報処理システム100として動作させる場合)に利用可能である。本実施形態に係るプログラムは、一例としては、スマートフォンである端末装置300上で動作するアプリケーションであってもよい。また、このプログラムは、サーバーシステム200に搭載されサーバーシステム200を動作させるものであってもよいし、生体情報検出装置400に搭載され生体情報検出装置400を動作させるもの(狭義にはファームウェア)であってもよいし、複数の機器に対して搭載されるものであってもよい。
3.脈波情報算出処理
次に本実施形態に係る脈波情報を求める手法の詳細を説明する。具体的には、推定脈拍情報を求めて近似式のパラメーターを設定する処理、近似式に基づくピーク検出処理を説明することで、本実施形態の処理の基本的な流れを説明する。また、本実施形態に係る付随的な処理として、パラメーターの再設定処理、検出したピークの破棄判定処理について説明し、最後に図8〜図12のフローチャートを用いて本実施形態に係る処理の流れを説明する。
3.1 推定脈拍情報の算出とパラメーター設定
まず推定脈拍情報を求める処理と、求めた推定脈拍情報に基づいて近似式のパラメーターを設定する処理の詳細を説明する。上述したように、推定脈拍情報とは、脈拍情報を推定した情報(推定値)である。ここでの脈拍情報とは、脈波RR間隔或いは脈の周波数、脈拍数等の脈拍に関連する情報である。
推定脈拍情報は、上述したように高い精度である必要はない。よって、推定脈拍情報は、脈拍情報を求める手法として既に知られている手法を広く適用することが可能である。
例えば、情報取得部110は、体動センサーからの体動センサー情報を取得し、処理部130は、体動センサー情報に基づいて、推定脈拍情報を求めてもよい。ここで、体動センサーは例えば生体情報検出装置400に含まれるものであってもよく、具体的には加速度センサーやジャイロセンサー、地磁気センサー、気圧センサー等、種々のセンサーにより実現可能である。ここでは、加速度センサーを体動センサーとして用いる例を説明する。
具体的には、処理部130は、体動センサー情報に基づいて、ユーザーの運動強度情報を求め、運動強度情報、最大脈拍情報及び安静時脈拍情報に基づいて、推定脈拍情報を求めてもよい。
従来、酸素摂取量VO2と心拍数HRとは相関があることが知られている。例えば、最大VO2をVO2m、安静時VO2をVO2rとし、安静時脈拍情報(安静時心拍数)をHRr、最大脈拍情報(最大心拍数)をHRmとした場合に、下式(1)のような関係が知られている。ただし、下式(1)の左辺では分時酸素摂取量を用いている。
また、運動強度は最大酸素摂取量VO2mに対する比率として求められることも知られているため、体動センサー情報から運動強度情報を求め、上式(1)等を適用することで、心拍数HRを推定することが可能である。なお、加速度信号から運動強度を求め、概算心拍数を求める手法については、特許文献2に開示されている手法等、種々の手法が知られており、本実施形態ではそれらを広く適用可能である。推定脈拍情報として推定心拍数が求められれば、そこから推定脈波RR間隔等への変換は容易である。
ただし、推定脈拍情報を求める手法はこれに限定されない。例えば、処理部130は、脈波センサー情報に対して周波数変換処理を行い、周波数変換処理の結果に基づいて、推定脈拍情報を求めてもよい。
脈波センサー情報に対して周波数変換処理を行った場合、理想的には脈拍の周波周に対応する周波数にのみピークが現れることになるため、当該ピークの周波数を脈拍の周波数として推定すればよく、当該周波数に対応する周期を推定脈波RR間隔とすればよい。ただし、上述してきたように脈波センサー情報には種々のノイズが重畳されるため、周波数変換後に複数のピークが検出されることもある。その場合には、既知のノイズ低減処理を行って推定脈拍情報を求めてもよい。具体的には、体動情報を取得し、当該体動情報を周波数変換することで体動情報の周波数スペクトルを求め、脈波センサー情報の周波数スペクトルと体動情報の周波数スペクトルとの差分を取る処理を行ってもよい。このようにすれば、脈波センサー情報から体動に起因するノイズを低減し、適切な推定脈拍情報を求めることが可能になる。なお、単純に差分を取るのではなく適応フィルターを用いる等、周波数変換処理を行う場合におけるノイズ低減処理は種々の手法が知られており、本実施形態ではそれらを広く適用可能である。
また、後述するピークの破棄判定処理のように、不適切なパラメーター設定が行われたことを検出可能であることに鑑みれば、推定脈拍情報を求める際には精度ではなく処理負荷の軽減を重視した処理を行ってもよい。例えば、処理部130は、処理対象タイミングよりも前に求められた脈波情報に基づいて、推定脈拍情報を求めてもよい。
本実施形態に係る処理が開始された直後を除いたタイミングでは、既に本実施形態に係る手法(近似式に基づくピーク検出)によりいくつかの脈波情報が求められている。それらの脈波情報は比較的信頼性の高い値であると考えられるため、当該脈波情報から推定脈拍情報を求めてもよい。一例としては、処理対象タイミングよりも過去に求められたn個の脈波情報の平均値を推定脈拍情報としてもよい。具体的には、各脈波情報から推定脈波RR間隔を求め、その平均値を推定脈波RR間隔とする処理が考えられる。
また、推定脈拍情報は1つの手法により求められるものには限定されず、複数の手法を組み合わせてもよい。例えば、あるタイミングでは周波数変換処理により推定脈拍情報を求め、他のタイミングでは過去の脈波情報の平均から推定脈拍情報を求めるといった実施形態が可能である。
推定脈拍情報が求められたら、処理部130では近似式のパラメーターを設定する。ここでのパラメーターは、脈波センサー情報に対する近似式の適用範囲を設定するパラメーターである。上述してきたように、ノイズが重畳しない理想的な状態であれば、脈拍数の変動やDC成分自体の変動等は生じるものの、脈波センサー情報は正弦波に近い波形となる。つまり、脈波センサー情報の近似においては、正弦波の近似ができる程度の次数を用いればよく、次数pは2或いは3といった値で十分である。逆に、次数pを大きくしてしまうと近似式を求める処理負荷が大きくなってしまう。これは、近似式が高次になるため決定すべき係数(p次〜0次のp+1個)が増えるという理由もある。
いずれにせよ、本実施形態のように脈波センサー情報の近似を行うのであれば、次数pを可変に設定する必要性はさほど高くない。よって、近似式のパラメーターとして次数pを設定することは妨げられないが、より重要度の高いパラメーターは近似式の適用範囲である。
より具体的には、処理部130は、推定脈拍情報に基づいて、パラメーターとして、フレームサイズmの値を設定し、設定されたフレームサイズmに対応するフレーム内の脈波センサー情報を対象として、平滑化多項式フィルターを適用して近似式を求め、求めた近似式に基づいて脈波情報を求める。
ここで平滑化多項式フィルターとは、例えばSavitzky-Golay平滑化フィルター(Savitzky-Golay smoothing filter, SG filter)であってもよい。Savitzky-Golay平滑化フィルターでは、当該フィルターの制御パラメーターとしてフレームサイズmと次数pの組(p,m)が用いられる。本実施形態では、推定脈拍情報に基づいて、上記フレームサイズmを設定すればよい。Savitzky-Golay平滑化フィルターを用いる手法(Savitzky-Golay法、Savitzky-Golayアルゴリズム)については、広く知られた手法であるため詳細な説明は省略する。また、本実施形態ではSavitzky-Golay平滑化フィルターを用いずに、一般的な最小自乗法等を用いてもよく、近似式を求める手法は種々の変形実施が可能である。
ここで、フレームサイズmに対応するフレームとは、処理対象タイミングでの脈波センサー情報、及び処理対象タイミングの前後各mサンプル分の脈波センサー情報からなる2m+1サンプル分のフレームであってもよい。その場合、処理部130は、推定脈拍情報として、脈波RR間隔の推定値である推定脈波RR間隔を求め、フレームサイズmにより表される2m+1サンプル分のフレームとして、推定脈波RR間隔の長さを含む所与の数値範囲内の長さに対応するフレームを設定する。
上述したように、本実施形態ではp=3(或いはp=2)を想定しているため、脈波の波形の1周期分の信号を近似式の適用範囲とすることが望ましい。よって、フレームサイズmの場合に、近似式の適用範囲が2m+1サンプル分であるとすれば、2m+1サンプル分の長さと、推定脈波RR間隔の長さとが対応するようにすればよい。一例としては、下式(2)を満たすようにフレームサイズmを設定すればよい。ただし、下式(2)のRRIは推定脈波RR間隔(msec)、Fsは脈波センサー情報を取得するサンプリングレートを表す。
上式(2)において、(RRI×FS)/1000が推定脈波RR間隔の長さの時間に含まれるサンプル数を表す。つまり、上式(2)を用いた場合、近似式の適用範囲が、推定脈波RR間隔の2/3倍以上、5/4倍以下となるようにフレームサイズmを設定していることになる。ただし、フレームサイズmの設定は上式(2)に限定されるものではなく、下式(3)を用いてもよい。なお、下式(3)における係数α、βは、0<α<1<βを満たす値である。
なお、パラメーターmを設定した場合に、近似式の適用範囲(フレームの長さ)が2m+1サンプル分の範囲となるのは、Savitzky-Golay平滑化フィルターにおける一般的な手法である。これは、パラメーターmの定義によるものであるため、適用範囲に含まれる全サンプル数を近似式のパラメーターMと定義すれば、Mは下式(4)を満たすように設定すればよい。また、ここではデジタルフィルター処理(FIR平滑化フィルター処理)を想定しているため、サンプル数を単位として判定を行っているが、サンプリングレートFsがわかっていれば時間とサンプル数との変換は容易である。よって、近似式の適用範囲を設定するパラメーターとして、時間を表すパラメーターを用いる等の変形実施が可能である。
具体的な数値例を図5(A)〜図7(B)を用いて説明する。なお、以下の例ではサンプリングレートFsは100Hzである。図5(A)のA1は取得された脈波センサー情報を表し、A2の縦の線が心電図から求められたR波の検出タイミングを表す。なお、図5(A)の横軸が時間(サンプリングタイミング)を表し、縦軸が信号値を表す。A2の心電図のR波検出タイミングの精度は高いと考えられるため、脈波センサー情報に基づいて、A2に対応するタイミングでピーク検出がされていれば、適切な処理を行えていると考えることができる。また、図5(A)からわかるように、脈波センサー情報はA4〜A6等の偽ピークを有しており、これらをピークとして検出しないことも必要となる。
図5(A)の例では、心電図の結果から図に示した範囲での平均脈拍数が82(bpm)であることがわかっている。これをRR間隔に直すとRRI=60×1000/82=731.7(msec)となる。このRRIを上式(2)に代入すれば、フレームサイズmは24≦m≦45となる。以下、この範囲内のmを用いた場合に適切なピーク検出ができ、範囲外のmを用いた場合に適切なピーク検出ができないことを具体例を用いて説明する。
図5(A)はm=25とした例である。この場合、後述するピーク検出処理により求められたピーク(上ピーク)をA3に示す。図5(A)からわかるように、心電図から求められたR波のタイミングA2と、平滑化多項式フィルターを適用して脈波センサー情報から求めた上ピークA3とがよく合致している。また、A4〜A6等をピークとして誤検出するようなこともない。結果として、図5(B)に示したように、求められる脈波RR間隔も心電図から求められるRR間隔に近い値となり、図5(A)、図5(B)の例ではその絶対誤差の平均は30msec程度に抑えることができる。つまり、上式(2)から求められる範囲内のフレームサイズmを用いた場合、適切な処理が可能である。
一方、図6(A)はm=15を設定した例である。図5(A)と同様に、B1が脈波センサー情報、B2がR波の検出タイミング、B3が脈波センサー情報に基づくピーク検出タイミングである。図6(A)からわかるように、R波の検出タイミングをピークとして検出することは可能であるが、ノイズに起因する偽ピークまで検出してしまっている(B4〜B6)。これは上述したように、近似式がノイズに起因する信号変化に追随してしまったことに起因する。つまり、不適切な点までピークとして検出してしまっているため、図6(B)に示したように求められる脈波RR間隔と心電図から求められるRR間隔との乖離が大きく、適切な処理とはいえない。
また、図7(A)はm=50を設定した例である。図5(A)と同様に、C1が脈波センサー情報、C2がR波の検出タイミング、C3が脈波センサー情報に基づくピーク検出タイミングである。図7(A)からわかるように、ノイズに起因する偽ピークを検出することはないが、R波の検出タイミングをピークとして検出できていない箇所がある(C4)。これは上述したように、近似式の適用範囲が脈波の1周期より広くて、1つ以上の脈波ピークが含まれたため、近似誤差が大きくなったことに起因する。結果として、図7(B)に示したように求められる脈波RR間隔と心電図から求められるRR間隔との乖離が大きく、適切な処理とはいえない。
以上のように、上式(2)等によりフレームサイズmを設定することで、適切な処理を行うことが可能である。
3.2 ピーク検出処理
上述した処理により、推定脈拍情報に基づいて適切なフレームサイズmを設定し、近似式を求めることが可能になる。近似式が求められたら、当該近似式に基づいて脈波情報を求めればよい。ここでの脈波情報は種々の形態が考えられる。単純には、ノイズが低減された脈波の波形そのものであってもよいし、当該波形に基づいて求められる心拍数(bpm)や、脈信号の周波数(Hz)等の他の情報であってもよい。
例えば、処理部130は、脈波情報として、脈波RR間隔情報を求めてもよい。脈波RR間隔を求めることで、後述するように自律神経状態情報等を求めることが可能になる。脈波RR間隔は、脈波波形の周期に相当する情報であり、周期を求める手法は種々考えられる。なお、本実施形態における脈波RR間隔情報とは、脈波RR間隔そのものには限定されず、脈波RR間隔から求められる他の情報であってもよい。例えば、脈波RR間隔情報は、脈波RR間隔の分布情報等であってもよい。脈波RR間隔の分布情報とは、例えば脈波RR間隔の時系列的な変動を表す情報であってもよいし、所定期間内での脈波RR間隔の値のばらつきを表す情報であってもよい。
処理部130は、近似式で表される波形のピーク検出処理、又は近似式で表される波形の微分信号を用いた処理に基づいて、脈波RR間隔を求めてもよい。具体的には、近似式で表される波形のピーク検出処理を行えば、ピーク間隔は周期を表す時間となるため、ピーク間隔を脈波RR間隔とすることができる。ただし、ノイズの全く重畳しない正弦波であれば問題ないが、複雑な形状の波形ではピークの探索が容易でない場合があり、一般的なピーク検出は微分信号を用いて行われる。本実施形態では近似式を求めることでノイズの影響を抑止しているが、その場合でも微分信号を用いることでピーク位置での値の変化が明確となるため、より精度の高いピーク検出が可能となる。なお、本実施形態に係る脈波情報は、広義には近似式で表される波形のピークを含むものである。
つまり、処理部130は、平滑化多項式フィルター適用後の脈波センサー情報(近似式)の微分信号を求め、微分信号に基づいて、脈波情報を求めてもよい。一例としては、所与の処理対象タイミングを中心とする、2m+1サンプル分の脈波センサー情報を適用範囲として近似式を求めた場合に、当該近似式を微分することで、上記所与の処理対象タイミングでの微分信号値を求めればよい。この場合、1つの近似式から1つの微分信号値が求められるため、各サンプリングタイミングにおいて微分信号値を求めれば、当該微分信号値の集合として上記微分信号が取得されることになる。
微分信号に基づいてピーク検出を行う場合、微分信号の値が0となる点(ゼロクロスポイント)を検出すればよい。微分信号が正から負へ変化するゼロクロスポイントは、元の信号における上ピークに対応し、微分信号が負から正へ変化するゼロクロスポイントは、元の信号における下ピークに対応する。よって例えば、図5(A)等に示すように上ピークの検出を行うのであれば、微分信号が正から負へ変化するゼロクロスポイントを探索すればよい。
或いは、近似式で表される波形の周期が求められればよいため、近似式のゼロクロスポイントの間隔を脈波RR間隔としてもよい。その場合、近似式のゼロクロスポイントを直接探索してもよいし、微分信号のピーク検出を行ってもよい。
以上をまとめると、近似式で表される波形のピーク或いはゼロクロスポイントを探索する処理、又は、近似式で表される波形の微分波形のゼロクロスポイント或いはピークを探索処理により、脈波RR間隔を求めることができる。
また、以上では微分信号として1次微分信号を想定したがこれに限定されず、2次微分、3次微分等を用いる変形実施も可能である。その場合、上ピークを求めるのであれば3次微分のゼロクロスポイントであって、2次微分が負の極小値となるといった条件により判定を行えばよい。
3.3 パラメーターの再設定
上述してきたように、本実施形態では推定脈拍情報に基づいて適切なパラメーター(狭義にはフレームサイズm)を設定する。そのため特許文献1に開示された手法に比べて、計算負荷を軽減することが可能と考えられる。しかし、上述したように適切なフレームサイズmは処理対象タイミングでのRR間隔に応じた値となるところ、人のRR間隔は状態に応じて大きく変動することが知られている。例えば、RR間隔は300msec〜1500msec程度の範囲で変動することが知られている。
つまり、複数通りのフレームサイズmを用いて総当たり的に処理を行う特許文献1のような手法をとらないものとすれば、RR間隔の変動に合わせてフレームサイズmを変更するという処理が必要になる。仮に、全処理対象タイミングで(近似式を求める全てのタイミングで)推定脈拍情報を求め、フレームサイズmを求め直せば、上記RR間隔の変動にも対応できる。しかし、処理負荷の軽減を考慮すれば、そのような処理は好ましくない。つまり、所定の条件、タイミングでフレームサイズmを変更していくことが好ましいが、フレームサイズを変更するタイミングや条件についての開示は、従来手法にみられるものでなかった。
よって本実施形態では、適切な条件、タイミングで近似式のパラメーター(フレームサイズm)を変更する手法を提案する。具体的には、情報取得部110は、体動センサーからの体動センサー情報を取得し、処理部130は、体動センサー情報に基づいて、ユーザーの行動パターンを求め、行動パターンが変化したと判定された場合に、パラメーターの再設定処理を行ってもよい。
ユーザーの行動パターンがわかれば、心拍数(脈拍数)の大小がある程度推測できるため、RR間隔の値もある程度推定できる。例えば睡眠状態ではRR間隔は非常に大きい値となるのに対して、激しい運動をしている場合にはRR間隔は非常に小さい値となる。さらにいえば、覚醒しているが動きが非常に少ない安静状態、日常生活における動作を行っている生活動作状態、ゆったりとしたウォーキング等の比較的軽い運動をしている状態等まで考慮すれば、例えばRR間隔は激しい運動<軽い運動<日常動作<安静状態<睡眠状態となることが想定される。いずれにせよ、ユーザーの行動パターンを分析し、その結果が変化していれば、RR間隔も変化していると考えることが可能である。
よって、行動パターンが変化したと判定された場合には、それまでのフレームサイズmでは対応できない可能性がある以上、パラメーターの再設定処理を行うとよい。逆に考えれば、行動パターンが変化していないのであれば、それまでのフレームサイズmを継続して利用可能であると考えられる。つまり、行動パターンが変化したか否かを条件とすることで、適切な条件、タイミングでパラメーターを再設定(変更)することができる。具体的には、不適切なパラメーターをそのまま使い続けることを抑止できるため、処理精度を確保できるとともに、再設定処理を不必要に行うことを抑止できるため、処理負荷の増大も抑止可能である。
体動センサー情報に基づく行動パターンの分析手法については、既に知られている手法を広く適用することが可能である。例えば、特許文献3に開示されているように、加速度センサー情報に基づいて行動パターンを分析してもよい。特許文献3では、2軸以上の(広義には3軸の)加速度センサーにおいて、いずれかの軸を主要軸として決定し、主要軸での情報に基づいて安静、生活動作、ランニング、ウォーキング、筋力トレーニング、自転車、体操、その他の運動といった行動パターンを分析している。
なお、ここでの行動パターンとはRR間隔の程度を推定可能な情報である。つまり特許文献3のように運動状態を細かく分析してもよいがこれに限定されず、簡略化した行動パターン分析を行ってもよい。例えば、第1の行動パターンに分類される運動と、第2の行動パターンに分類される運動とで運動強度が同程度であることがわかっていれば、第1,第2の行動パターンのいずれでもRR間隔は同程度であると推定される。その場合、第1,第2の行動パターンを2つに分けるのではなく、1つにまとめて処理を行ってもよい。
3.4 検出されたピークの削除(破棄)判定
また、近似式に基づいて求められたピーク(或いはピークやゼロクロスポイントから求められた脈波RR間隔等の脈波情報)を、そのまま採用する実施形態には限定されず、採用するか破棄するかの判定処理を行ってもよい。
具体的には、処理部130は、脈波センサー情報から特定される脈波(元波形)と、推定脈拍情報に基づいて求められる近似式から特定される脈波(近似式により表される波形)の誤差を求め、当該誤差が所与の閾値よりも大きい場合に、求められた脈波情報(狭義にはピーク)を削除する。
図7(A)、図7(B)を用いて上述したように、フレームサイズmが過剰に大きい場合には検出されるピーク位置の精度が低く、求められる脈波RR間隔も誤差が大きくなる。これは、近似式の適用範囲が脈波の1周期より広くて、1つ以上の脈波ピークが含まれた波形をp次の多項式で無理に近似したために生じる誤差である。このような場合、求められる近似式から特定される脈波は、元の脈波センサー情報の波形との誤差が大きい。つまり、この誤差が過剰に大きい場合には、設定したパラメーターが不適切である、狭義には設定したフレームサイズmが過剰に大きいと推定できる。
その場合、求められたピークの信頼性が低いため、当該ピークをそのまま採用すると、上述したように当該ピークから求められる脈波情報の信頼性も低くなってしまう。よってこの場合には、求められたピークをその後の処理に利用せずに削除(破棄)するとよい。このようにすれば、精度の低い情報を出力することを抑止可能である。なお、2つの波形の誤差は、各サンプリングタイミングでの値の差分の自乗和(或いはその平方根)等を用いればよい。また、信頼性の低いピークはその後の処理に利用されなければ問題は生じないと考えられるため、データ自体を完全に削除せず、記憶領域上に保持していてもよい。ただし、信頼性の低いデータを誤って処理に利用してしまう可能性があることや、記憶領域の有効活用を考慮すれば、上記の信頼性の低いピークについては削除することが望ましいと言える。
なお、図6(A)、図6(B)を用いて上述したように、フレームサイズmが過剰に小さい場合には、元波形と近似式との差が小さくなりすぎることにより偽ピークを検出してしまう。つまりここでの誤差が大きいか否かの判定は、基本的にはフレームサイズmがRR間隔に対して大きすぎることを検出するものであり、フレームサイズmがRR間隔に対して小さすぎることを検出することは想定していない。
また、検出したピークを単純に破棄し、当該処理対象タイミングでの処理を終了(次の処理対象タイミングの処理に移行)してもよいが、本実施形態の処理はこれに限定されない。例えば、処理部130は、誤差が所与の閾値よりも大きい場合に、パラメーターの再設定処理を行ってもよい。そして、再設定されたパラメーターにより再度ピークを求めることで、処理対象タイミングでのピークや脈波情報を精度よく求めることが可能になる。
なお、上述したように誤差が大きい場合にはフレームサイズmがRR間隔に対して大きすぎると考えられる。よってここでの再設定処理は、上述した推定脈拍情報を再度求める必要はなく、既に求められているフレームサイズmを小さくする処理であってもよい。
また、推定脈拍情報を求める処理として同じ処理を再度行っても、求められる推定脈拍情報は同じであり、上式(2)から得られるフレームサイズmの範囲も同じとなる。仮に推定脈拍情報自体が大きく誤っていた場合、上式(2)から得られる範囲内でmを切り替えてもやはり適切な値とならない可能性がある。
よって、推定脈拍情報を求め直すことでパラメーターを再設定する場合には、前回の手法とは異なる手法により推定脈拍情報を求めてもよい。一例としては、体動センサー情報に基づいて求めた推定脈拍情報からパラメーター設定をしたら誤差が所与の閾値よりも大きくなった場合、再設定処理では脈波センサー情報の周波数変換処理を行って推定脈拍情報を求め、パラメーターを設定するといった処理を行ってもよい。
3.5 フローチャート
図8〜図12を用いて本実施形態の処理の流れを説明する。図8が本実施形態に係る脈波情報(狭義には脈波RR間隔)を求める処理を説明するフローチャートである。この処理が開始されると、まず情報取得部110が脈波センサー情報を取得する(S101)。そして、何らかの手法により推定脈拍情報を求める(S102)。
S102の推定脈拍情報を求める処理を説明するフローチャートの一例が図9である。図9は体動センサー(加速度センサー)の体動センサー情報から運動強度を求め、当該運動強度から推定脈拍情報を求める手法に対応する。具体的には、まず体動センサー情報として加速度情報を取得し(S201)、加速度情報に基づいて体動量を算出する(S202)。体動量とは例えば加速度の絶対値和、自乗和等の値である。そして、求められた体動量に基づいて運動強度を求める(S203)。体動量と運動強度の値には相関があることが知られており、例えば特許文献2等に開示された手法を用いればよい。
さらに、運動強度と最大心拍数(HRm)、安静時心拍数(HRr)を用いて心拍数HRを推定する(S204)。S204は例えば上式(1)を用いればよく、この点も特許文献2等に詳細な記載がみられる。ここでは、推定脈拍情報としてRR間隔の推定値を用いることを想定しているため、S204で求められた心拍数(推定心拍数)をRR間隔に換算して推定脈拍情報とする(S205)。
また、上述したように推定脈拍情報は他の手法により求めてもよい。推定脈拍情報を求める処理を説明するフローチャートの他の例が図10である。図10は所定期間の脈拍情報に対して周波数変換処理を行って推定脈拍情報を求める手法に対応する。具体的には、まず所定期間の脈波センサー情報を取得する(S301)。S301の処理は、例えば処理対象タイミング以前に取得され、記憶部120等に記憶されている脈波センサー情報を読み出す処理であってもよい。ここでの所定期間とは例えば上述したように16秒である。そして、S301で取得した所定期間の脈波センサー情報に対して周波数変換処理(狭義にはFFT)を行って当該所定期間での平均脈拍数を推定する。具体的には、周波数変換後の情報のピーク検出を行い、当該ピークに対応する周波数を脈の周波数とする処理等を行えばよい。さらに、S302で求められた平均脈拍数をRR間隔に換算して、推定脈拍情報とする(S303)。
図9、図10等の処理により、図8のS102に示した推定脈拍情報を求める処理が実行される。図8に戻って説明を行う。S102の処理後には、求めた推定脈拍情報を用いて近似式のパラメーター(平滑化多項式フィルターのパラメーター)を設定する(S103)。具体的には、上式(2)等を用いて推定脈拍情報をRR間隔の変動範囲に換算し、当該範囲内の値をパラメーターとして設定すればよい。
次に、設定されたパラメーターを用いて脈波情報、ここでは脈波RR間隔を算出する(S104)。S104の具体的な処理を説明するフローチャートが図11である。図11に示したように、まずS103でパラメーター設定された平滑化多項式フィルターを用いて、脈波センサー情報の微分信号を求め、当該微分信号を用いてピーク検出を行う(S401)。そして、ピーク間隔に対応する時間を脈波RR間隔として求める(S402)。
S104の処理後、再度脈波センサー情報を取得する(S105)。なお、S105は次タイミング以降での処理に利用することを想定した脈波センサー情報の取得であり、S101と同様の処理を行えばよい。
そして、加速度センサーからの情報に基づいて行動パターンの検出を行う(S106)。具体的な検出処理については、上述したように特許文献3等の手法を用いればよい。検出された行動パターンが、以前の(直前の)行動パターンから変化しているか否かの判定を行う(S107)。S107でNoの場合、すなわち行動パターンが変化していない場合には、RR間隔の変動が小さいことが想定されるため、S103の処理で求められた近似式のパラメーターを継続して利用してもよい。よって、パラメーターの再設定等はせずに、S104に戻って脈波RR間隔の算出処理を実行する。
一方、S107でYesの場合、すなわち行動パターンが変化している場合には、RR間隔の変動が大きいことが想定されるため、S103の処理で求められた近似式のパラメーターの継続利用はできない。よって、S102まで戻って、推定脈拍情報の算出(S102)、パラメーターの再設定(S103)を行ってから、脈波RR間隔の算出処理を実行する(S104)。
また、本実施形態では上述したように、微分信号に基づいて求められたピークを破棄するか否かの判定を行ってもよい。当該処理を説明するフローチャートが図12である。図12は図8のS104に相当する処理であり、S104の処理として、図11ではなく図12を行ってもよい。
この処理が開始されると、まずS401と同様にS103でパラメーター設定された平滑化多項式フィルターを用いて、脈波センサー情報の微分信号を求め、当該微分信号を用いてピーク検出を行う(S501)。その後、脈波センサー情報の元波形と、S501で求めた近似式の波形との誤差を求める(S502)。そして、求めた誤差が所与の閾値より大きいか否かを判定する(S503)。
S503でYesの場合には、S103で設定したパラメーターが適切でなかった(具体的にはRR間隔に対して大きすぎた)と判定し、S501で検出されたピークを採用せずに破棄する(S504)。一方、S503でNoの場合には、S501で検出されたピークを採用し、当該ピークを用いてRR間隔を算出する(S505)。
4.自律神経活動の判定
上述したように、本実施形態の処理部130は、近似式を用いて求められた脈波情報に基づいて、自律神経状態情報を推定してもよい。ここでの脈波情報とは狭義には脈波RR間隔である。
自律神経には交感神経・副交感神経があり、日内・季節それぞれ活動状態に変動がある。一般的に日中の活動時には交感神経が優位になり、夜間の活動時では副交感神経が優位になる。季節では秋から冬に向かい交感神経が優位になり、春から夏に向かい副交感神経が優位になる。
脈波情報から自律神経活動状態を判定するには、まず脈波RR間隔(脈拍間隔)をある程度の期間にわたって計測することで、図13(A)に示したような脈波RR間隔の時系列的なデータを取得する。脈波RR間隔は常時一定となるものではなく変動(ゆらぎ)が生じる。そして、当該変動は交感神経の活動と副交感神経の活動により生じることが知られており、且つ交感神経の活動による変動度合いと、副交感神経の活動による変動度合いが異なることも知られている。
そこで、脈波RR間隔の時系列的なデータを周波数変換する。周波数変換後のデータの一例を図13(B)に示す。図13(B)からわかるように、周波数変換後のデータからは、比較的低い周波数のピークLFと、比較的高い周波数のピークHFが取得される。
LFは脈波RR間隔のゆっくりとした変化を表すものであり、主として交感神経および副交感神経の両方の活動を反映したものとなる。それに対して、HFは脈波RR間隔の素早い変化を表すものであり、主として副交感神経の活動を反映したものとなる。
このような特性を考慮すれば、LFとHFの比(例えばそれぞれのピークでの信号強度の比)を求めることで、脈波情報の計測期間において交感神経が優位であるか副交感神経が優位であるかを判定することが可能である。
このように自律神経の状態を推定することができるが、推定された自律神経状態の情報の利用シーンも種々考えられる。一例としては、LF,HFから睡眠状態を判定してもよく、具体的にはLF/HFの値を用いればよい。LF/HFは交感神経が優位なほど大きく、副交感神経が優位なほど小さい値となる。よって第1の閾値Th1を設定し、LF/HF>Th1であれば交感神経が優位であるため覚醒状態と判定し、LF/HF≦Th1であれば副交感神経が優位であるため睡眠状態と判定する、といった手法が考えられる。
また、睡眠状態についても第2の閾値Th2(<Th1)を設定し、TH1≧LF/HF>Th2であれば睡眠状態の中では比較的交感神経が優位であるため睡眠が浅い状態(レム睡眠状態)と判定し、LF/HF≦Th2であれば副交感神経が優位であるため睡眠が深い状態(ノンレム睡眠状態)と判定すればよい。また、ノンレム睡眠状態の中での段階の判定を行うのであれば、ノンレム睡眠状態においてさらなる閾値を設けて判定を行えばよい。
或いは、心房細胞等の疾患では、当該疾患が交感神経に起因するものか、副交感神経(自律神経系としての迷走神経)に起因するものかに応じて、当該疾患への対応が異なる場合がある。その場合、当該疾患がいずれの神経に起因するものであるかを特定することは、治療において非常に有用と言える。つまり、ユーザーの自律神経の活動状態に関する情報を取得することで、交感神経依存型心房細動と迷走神経依存型心房細動の分類を容易にするといったことも可能であると考えられる。
なお、以上のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また生体情報処理システム等の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
10 バンド部、12 バンド穴、14 バックル部、15 バンド挿入部、
16 突起部、30 ケース部、32 発光窓部、40 センサー部、
42 脈波センサー、100 生体情報処理システム、110 情報取得部、
120 記憶部、130 処理部、200 サーバーシステム、300 端末装置、
400 生体情報検出装置、NE ネットワーク

Claims (17)

  1. 脈波センサーからの脈波センサー情報を取得する情報取得部と、
    前記脈波センサー情報に基づいて脈波情報を求める処理部と、
    を含み、
    前記処理部は、
    推定脈拍情報を求め、求めた前記推定脈拍情報に基づいて、前記脈波センサー情報から特定される脈波の波形を近似する近似式のパラメーターを設定し、パラメーター設定された前記近似式に基づいて、前記脈波情報を求めることを特徴とする生体情報処理システム。
  2. 請求項1において、
    前記情報取得部は、
    体動センサーからの体動センサー情報を取得し、
    前記処理部は、
    前記体動センサー情報に基づいて、ユーザーの行動パターンを求め、前記行動パターンが変化したと判定された場合に、前記パラメーターの再設定処理を行うことを特徴とする生体情報処理システム。
  3. 請求項1又は2において、
    前記処理部は、
    前記脈波センサー情報から特定される脈波と、前記推定脈拍情報に基づいて求められる前記近似式から特定される脈波の誤差を求め、前記誤差が所与の閾値よりも大きい場合に、求められた前記脈波情報を削除することを特徴とする生体情報処理システム。
  4. 請求項3において、
    前記処理部は、
    前記誤差が前記所与の閾値よりも大きい場合に、前記パラメーターの再設定処理を行うことを特徴とする生体情報処理システム。
  5. 請求項1乃至4のいずれかにおいて、
    前記パラメーターは、前記脈波センサー情報に対する前記近似式の適用範囲を設定するパラメーターであることを特徴とする生体情報処理システム。
  6. 請求項1乃至5のいずれかにおいて、
    前記処理部は、
    前記脈波情報として、脈波RR間隔情報を求めることを特徴とする生体情報処理システム。
  7. 請求項6において、
    前記処理部は、
    前記近似式で表される波形のピーク検出処理、又は前記近似式で表される波形の微分信号を用いた処理に基づいて、前記脈波RR間隔情報を求めることを特徴とする生体情報処理システム。
  8. 請求項1乃至7のいずれかにおいて、
    前記処理部は、
    前記近似式に基づいて求められた前記脈波情報に基づいて、自律神経状態情報を推定することを特徴とする生体情報処理システム。
  9. 請求項1乃至8のいずれかにおいて、
    前記処理部は、
    前記推定脈拍情報に基づいて、前記パラメーターとして、フレームサイズmの値を設定し、設定された前記フレームサイズmに対応するフレーム内の前記脈波センサー情報を対象として、平滑化多項式フィルターを適用して前記近似式を求め、前記近似式に基づいて前記脈波情報を求めることを特徴とする生体情報処理システム。
  10. 請求項9において、
    前記フレームサイズmに対応するフレームとは、処理対象タイミングでの前記脈波センサー情報、及び前記処理対象タイミングの前後各mサンプル分の前記脈波センサー情報からなる2m+1サンプル分のフレームであり、
    前記処理部は、
    前記推定脈拍情報として、脈波RR間隔の推定値である推定脈波RR間隔を求め、前記フレームサイズmにより表される2m+1サンプル分のフレームとして、前記推定脈波RR間隔の長さを含む所与の数値範囲内の長さに対応するフレームを設定することを特徴とする生体情報処理システム。
  11. 請求項9又は10において、
    前記処理部は、
    前記平滑化多項式フィルター適用後の前記脈波センサー情報の微分信号を求め、前記微分信号に基づいて、前記脈波情報を求めることを特徴とする生体情報処理システム。
  12. 請求項1乃至11のいずれかにおいて、
    前記情報取得部は、
    体動センサーからの体動センサー情報を取得し、
    前記処理部は、
    前記体動センサー情報に基づいて、前記推定脈拍情報を求めることを特徴とする生体情報処理システム。
  13. 請求項12において、
    前記処理部は、
    前記体動センサー情報に基づいて、ユーザーの運動強度情報を求め、前記運動強度情報、最大脈拍情報及び安静時脈拍情報に基づいて、前記推定脈拍情報を求めることを特徴とする生体情報処理システム。
  14. 請求項1乃至11のいずれかにおいて、
    前記処理部は、
    前記脈波センサー情報に対して周波数変換処理を行い、前記周波数変換処理の結果に基づいて、前記推定脈拍情報を求めることを特徴とする生体情報処理システム。
  15. 請求項1乃至11のいずれかにおいて、
    前記処理部は、
    処理対象タイミングよりも前に求められた前記脈波情報に基づいて、前記推定脈拍情報を求めることを特徴とする生体情報処理システム。
  16. 脈波センサーからの脈波センサー情報を取得する情報取得部と、
    前記脈波センサー情報に基づいて脈波情報を求める処理部として、
    コンピューターを機能させ、
    前記処理部は、
    推定脈拍情報を求め、求めた前記推定脈拍情報に基づいて、前記脈波センサー情報から特定される脈波の波形を近似する近似式のパラメーターを設定し、パラメーター設定された前記近似式に基づいて、前記脈波情報を求めることを特徴とするプログラム。
  17. 脈波センサーからの脈波センサー情報を取得し、
    推定脈拍情報を求め、
    求めた前記推定脈拍情報に基づいて、前記脈波センサー情報から特定される脈波の波形を近似する近似式のパラメーターを設定し、
    パラメーター設定された前記近似式に基づいて脈波情報を求める、
    ことを特徴とする生体情報処理システムの制御方法。
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