JP2016203594A - 複合シート及びその製造方法 - Google Patents

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佳佑 久保川
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Abstract

【課題】透気性に優れ、充分な突刺強度及び引裂強度を有し、かつ粉落ち等の欠陥も無く取扱いが容易であり、染色も可能であり、ハウスラップ等の建築用の資材や衣料用、包装材料用、産業用等広範囲の用途に適用できる複合シートを提供する。【解決手段】ポリオレフィン系不織布の少なくとも片面に、ポリオレフィン系樹脂とポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマー樹脂を含有する樹脂組成物からなる未延伸層を有する積層体を、少なくとも一方向に延伸してなることを特徴とする複合シートであって、前記延伸工程において、少なくとも一方向において冷延伸工程を含むことを特徴とする複合シート。【選択図】なし

Description

本発明は、複合シートおよびその製造方法に関し、詳しくは、透気性に優れるとともに、機械的強度に優れ、薄くても所要の強度を発揮することができ、さらに粉落ち等の欠陥も無く取扱いも容易な複合シートおよびその製造方法に関する。
良好な通気性を有する材料として微多孔性フィルムがあるが、特にポリオレフィン微多孔性フィルムは、電池用セパレ−タ−、電解コンデンサ−、各種フィルタ−、防水透湿衣料等の各種用途に用いられている。従来、このようなポリオレフィン微多孔性フィルムは、異種固体がミクロ分散しているポリオレフィン成形体に延伸等の歪を与えることにより異種固体間に空孔を生じさせ多孔化する方法、あるいは異種ポリマ−等の微粉体をポリオレフィンにミクロ分散させた後、孔形成剤を抽出する方法等で製造されている。
上記のような従来の微多孔性フィルムは、充填剤として炭酸カルシウムや硫酸バリウムなどの無機フィラーを用いる場合においては(例えば、特許文献1)、フィラーの形状が不均一で、樹脂との相溶性が悪いなどの理由から均一な物性が期待できなかったり、表面が平滑にならずに凹凸が発生するためフィルムとの接触により粉落ちが発生するなどという問題点があった。また、これらフィラーは、耐薬品性が悪く、例えば酢酸等の酸に溶出することがあるため、使用できる用途には制限があった。
一方、微多孔性フィルムの製造方法として、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンをマトリックスとする研究開発が盛んである。例えば、特許文献2には、有極性熱可塑性樹脂と無極性熱可塑性樹脂とからなるシートをロール圧延し、次いで、延伸する熱可塑性樹脂多孔体の製造方法が記載されている。この2種類の樹脂の界面が、シートを延伸することで引き離され、気孔を生じることを利用し、多孔性フィルムとするのである。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、塩化ビニル、スチレン系樹脂等が用いられている。
ポリオレフィンをマトリックスとする微多孔性フィルムを、このように延伸法により製造する方法は、微多孔性フィルムの製造方法として有用であり、この製造方法は更に、特許文献3、特許文献4、特許文献5等にも記載されている。例えば、特許文献3には、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂Aと、樹脂Aに対して相溶性が乏しく、且つ溶融点が少なくとも20℃高い熱可塑性樹脂Bとを用いる延伸法による微多孔性フィルムの製造方法が記載されている。
しかしながら、このようにして得られるポリオレフィン微多孔性フィルムは、必ずしも満足な強度を有するとは言えない。そのため、ポリオレフィン微多孔性フィルムを強度のある適当な多孔性支持体に積層し, ポリオレフィン微多孔性フィルムの優れた透気性等の特性を保ったまま, 強度不足を補うことが考えられている。従来法としては接着剤を用いて熱接着または常温接着する方法があるが、微多孔性フィルムの孔径や空孔率が変化し、満足な透気特性を持った微多孔性フィルムが得られない。また、強度のある多孔支持体として不織布を用い、エンボスロ−ル、カレンダ−ロ−ル等を用いた熱融着による接着方法も多方面で利用されているが、良好な接着性と透気性・強度の全てを満足できるものとはならない。
上記のような例として、ポリオレフィン微多孔性フィルムを用いて、不織布を複合化した複合シートも従来から開発がなされている。例えば特許文献6には、ポリオレフィン系樹脂と無機充填剤からなる微多孔性フィルムと不織布とを積層化した複合シートが開示されている。また特許文献7には、微多孔性フィルムとプロピレン・エチレンランダム共重合体を主成分とする樹脂からなる不織布とを積層化した複合シートが開示されている。
しかし、上記のような複合シートにおいては、ポリオレフィン微多孔性フィルムの無機充填剤として硫酸バリウムや炭酸カルシウムが使用されており、粉落ちの問題が解消されておらず、また透湿度も十分な値であるとは言えない。さらに、実用性を兼ね備えた十分な強度の値を満足できるものではなく、良好な透気性や透湿性及び強度等の諸物性全てを満たすことは困難であると言える。
また、従来の複合シートは、一軸または二軸押出機等で原料を混合溶融させ、実質的に未延伸のシートを押出方法にて製造し、ロール法やテンター法等によって延伸することにより微多孔性フィルムを得た後、不織布等の支持体にホットメルト接着剤を介して熱ラミネート接着させる製造方法が一般的である(特許文献8)。
しかし、このような方法で製造した場合、微多孔性フィルムと不織布等の支持体を積層させる時に、両者またはどちらか一方の融点近くでラミネート圧をかけ、溶融接着する点や、また、ホットメルト接着剤等の接着材を使用するという点で、微多孔性フィルムの連通孔がつぶれて穴径や空孔率が変化してしまい、良好な透気度が得られない問題があった。さらに、フィルムの多孔化工程に加え、不織布と微多孔性フィルムをホットメルト接着剤で接着する接着工程など多くの工程を要し、製造工程が煩雑となってコストアップの要因になっていた。
特開昭60−229731号公報 特公昭49− 86458号公報 特開昭58−198536号公報 特開昭63−270748号公報 特開昭64− 26655号公報 特開2001−315234号公報 特開平09−295366号公報 特開2008−114530号公報
このような従来技術の問題を鑑みて、本発明は、透気性に優れるとともに、機械的強度に優れるため、薄くても所要の強度を発揮することができ、さらに粉落ち等の欠陥も無く取扱いも容易な複合シートを提供することを目的とする。
本発明のもう1つの課題は、上記複合シートを、従来の透気性積層シートの製造方法に比して簡便な工程で製造することができる方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、ポリオレフィン系樹脂とポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマー樹脂からなる樹脂組成物とポリオレフィン系不織布とを積層体とし、その後延伸することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明の課題は、ポリオレフィン系不織布の少なくとも片面に、ポリオレフィン系樹脂とポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマー樹脂を含有する樹脂組成物からなる未延伸層を有する積層体を、少なくとも一方向に延伸してなる複合シートであって、前記延伸工程において、少なくとも一方向において冷延伸工程を含むことを特徴とする複合シートにより解決される。
本発明によれば、微多孔性フィルムの透気性を損うことなく、しかも突刺強度、引裂強度に優れ、粉落ち等の欠陥も無く取扱いが容易で、染色も可能な、複合シートを提供することができる。当該複合シートは、ハウスラップ等の建築用資材や衣料用途、農業用途、包装材料等に好適に用いることができる。
また、本発明によれば、上記複合シートを、従来の透気性積層シートの製造方法に比して簡便な工程で製造可能な方法を提供することができる。
以下、本発明の複合シート及びその製造方法について、詳細に説明する。
<樹脂組成物>
<ポリオレフィン系樹脂>
本発明で用いるポリオレフィン系樹脂は、エチレン、プロピレン等のオレフィン炭化水素を単量体成分として含む重合体である。具体的には、エチレン単独重合体、エチレン・α―オレフィン共重合体、エチレンとその他の共重合可能なモノマーとの共重合体などのエチレン系樹脂、プロピレン単独重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、プロピレンとその他の共重合可能なモノマーとの共重合体などのプロピレン系樹脂などが挙げられる。
本発明に用いるエチレン系樹脂としては、具体的には、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン及びエチレンとその他の共重合可能なモノマーとの共重合体などが挙げられる。
共重合成分であるα−オレフィンの具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチルペンテン−1などが一般的にあげられる。
またその他の共重合可能なモノマーの具体例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸メチルなどの不飽和カルボン酸エステル、共役ジエンや非共役ジエンなどの不飽和化合物などが挙げられる。
エチレン系樹脂の密度は、特に制限されるものではないが、通常0.86〜0.97g/cmの範囲であることが好ましい。下限は、0.90g/cm以上がより好ましく、0.92g/cm以上がさらに好ましい。上限は、0.96g/cm以下がより好ましく、0.95g/cm以下がさらに好ましい。
なお、本発明において好適に用いられるエチレン系樹脂としては、エチレン単独重合体、中密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンが挙げられる。これらを用いることで、得られる成形体が柔軟になり過ぎず、後に詳細に説明する延伸時の空孔形成性が良好となるため好ましい。
本発明に用いるプロピレン系樹脂は、プロピレンを主成分として含む重合体であり、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。コポリマーである場合、ランダムコポリマーであってもよいし、ブロックコポリマーであってもよい。コポリマーである場合、共重合成分の具体例としては、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィンが挙げられる。また立体規則性についても特に制限はなく、アイソタクチックでもシンジオタクティックでもよい。
プロピレン系樹脂がコポリマーである場合、共重合体中のプロピレン含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。
本発明において好適に用いられるプロピレン系樹脂としては、プロピレンホモポリマーが挙げられる。これらを用いることで得られる成形体が柔軟になり過ぎず、後に詳細に説明する延伸時の空孔形成性が良好となるためとなり好ましい。
ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、通常0.1〜20g/10分の範囲であることが好ましい。下限は、0.5g/10分以上がより好ましく、1.0g/10分以上がさらに好ましい。上限は、10g/10分以下がより好ましく、5g/10分以下がさらに好ましい。MFRが上記範囲であれば、ポリオレフィン系樹脂とポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーを混合した際、ポリオレフィン・ポリスチレンエラストマーの分散性が良好となることや、あるいは、シート、フィルム状に加工する際に破断し難くなるなどの成形性の観点から好ましい。なおMFRは、JIS K7210に準拠して測定される。
ポリオレフィン系樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のオレフィン重合用触媒を用いて、公知の重合方法で製造することができる。重合用触媒の具体例としては、チーグラー・ナッタ系触媒に代表されるマルチサイト触媒、メタロセン系触媒に代表されるシングルサイト触媒などが挙げられる。上記触媒を用いた重合方法の具体例については、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法などが挙げられる。またその他、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法などが挙げられる。
<ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマー>
本発明で用いるポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーは、オレフィン系及びスチレン系の重合体あるいは共重合体であって、常温付近でゴム状弾性を示すものであれば良い。ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーの具体例としては、スチレン−ブタジエンランダムコポリマー等のスチレン−オレフィンランダムコポリマーや、スチレン−水添イソプレンブロックコポリマー等のスチレン−オレフィンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー等のスチレン−オレフイン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー等が挙げられる。中でも、スチレン−水添イソプレン−スチレンブロックコポリマーや、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマーが好適に用いられる。
ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーのメルトフローレート(MFR)は、好ましくは0〜1.0g/10分、より好ましくは0〜0.5g/10分、更に好ましくは0〜0.1g/10分である。MFRが0g/10分とは、流動しないという意味である。MFRが上記範囲内であれば、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーがポリプロピレン樹脂中に球状に均一分散することができ、延伸による多孔化が容易になる。なおMFRは、JIS K 7210に準拠し、230℃、2.16kgの荷重下で測定される。
ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマー中におけるスチレン含有量は、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマー全体を100質量%とて、好ましくは1質量%〜50質量%、より好ましくは1質量%〜40質量%、さらに好ましくは5質量%〜35質量%、特に好ましくは10質量%〜35質量%である。ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーのスチレン含有量が上記範囲であれば、得られる成形体が柔軟になり過ぎず、後に詳細に説明する延伸時の空孔形成性が良好となるため好ましい。
<樹脂組成物>
本発明の積層体を形成する樹脂組成物中における、ポリオレフィン系樹脂とポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーの含有量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマー10〜80質量部であることが好ましく、30〜70質量部であることがより好ましく、40〜65質量部であることがさらに好ましい。ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーの含有量が上記範囲であれば、複合シートの延伸性と透気性をバランスよく得ることができる。
樹脂組成物は、延伸前の状態において、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする海部と、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーを主成分とする島部からなる海島構造を有していることが好ましく、さらには、該島部の粒径が0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましい。延伸前のシート状態が上記海島構造を有していると、本発明のフィルムの透気性がより良好となるため好ましい。
前記樹脂組成物には、上記成分のほか、公知の添加剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、滑り剤、ブロッキング防止剤、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、充填剤などを製造工程やフィルム特性を低下させない程度に含有させてもよい。
<不織布>
本発明で用いられる不織布は、延伸性と得られる透気性のバランスが良く、延伸時に破断しにくく、汎用性を有する点から、ポリオレフィン系不織布を用いることが重要である。
不織布を構成するポリオレフィン系樹脂としては、具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン等α−オレフィン単独重合体、又はこれらのα−オレフィン同士の共重合体が挙げられる。中でもエチレン系樹脂及びプロピレン系樹脂が好ましい。
エチレン系樹脂の具体例としては、エチレン単独重合体、エチレンと他のα−オレフィンを10モル%以下含有するエチレン系共重合体が挙げられ、プロピレン系樹脂の具体例としては、プロピレン単独重合体、又はプロピレンとエチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン等のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。
共重合体は、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。またこれらポリオレフィン系樹脂は、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、延伸性、透気性の観点から、プロピレン系樹脂を含む不織布を用いることが好ましく、プロピレン系樹脂として、特に、プロピレンとエチレン含有量が5モル%以下のプロピレン・エチレンランダム共重合体を含む不織布が好ましい。
不織布の製造方法としては、乾式法、湿式法、スパンボンド法、メルトブロー法などのいずれの方法であってもよいが、生産性が良く、高強度のものが得られる点で、スパンボンド法が望ましい。この方法で得られたスパンボンド不織布は、高強度で、摩擦堅牢性に優れる点で好ましい。また、不織布を構成する繊維として、複数の樹脂を用いて成形する複合溶融紡糸法で得られる複合繊維も用いることが出来、例えば、上記の1つの樹脂からなる鞘部と、他の樹脂からなる芯部とから構成される芯鞘型複合繊維、又はサイドバイサイド複合繊維からなる不織布は、柔軟性を向上させることができる点で好ましい。
不織布を構成する繊維の平均繊維径は、通常、10〜30μm程度であり、指先で触れた際のひっかかり感を低減する点で、好ましくは10〜20μmである。
不織布の好適な目付量は、3〜40g/m2 、好ましくは10〜30g/m2 であり、さらに好ましくは10〜25g/m2 である。
<本発明の複合シートの製造方法>
本発明の複合シートは、ポリオレフィン系不織布の少なくとも片面に、上記樹脂組成物からなる実質的に未延伸の層を有する積層体を、少なくとも1方向に延伸することで得られる。
まず、原料を混合し、樹脂組成物を押出方法にて製造する。原料の混合方法は、一軸または二軸押出機、バンバリーミキサー、ミル、ニーダーブレンダーなど、各種公知の方法を採用することができ、これらの方法を用いて、あらかじめ各成分を溶融混合し、ペレット状に加工したものを押出成形に用いてもよいし、溶融混合し直接押出成形を行ってもよい。押出方法としては、Tダイ押出成形、インフレーション成形、カレンダー成形、スカイフ法等の各種成形方法を採用し得るが、中でも、本発明の複合シートに要求される物性や用途の観点からは、Tダイ押出成形が好ましい。
次に、ポリオレフィン系不織布の少なくとも片面に、上記樹脂組成物からなる未延伸の層を有する積層体を作成する。積層方法としては、ホットメルト接着剤で熱接着する方法、あるいは得られた薄膜シートを熱ロールや熱エンボスロールにて熱接着する方法、シートを成形すると同時に、不織布と一体的に積層成形する押出ラミネーション成形方法等の方法に従って行うことができるが、特に熱ロールを用いた熱接着法が好ましい。
熱接着法の製造条件は、ロール温度は通常70〜200℃、好ましくは100〜180℃の温度範囲、ロール圧力0.1〜6.0MPa、好ましくは0.4〜2.0MPaの範囲である。上記範囲とすることにより、延伸時にも十分実用に供する接着強度を満足しうる複合シートを得ることができる。
なお、積層体の層構成については、具体的には、樹脂組成物層/不織布の2層構成、不織布/樹脂組成物層/不織布、あるいは、樹脂組成物層/不織布/樹脂組成物層の3層構成などが挙げられる。また必要に応じて、本発明の積層体に積層可能なその他の層をさらに積層した構成とすることもできる。
次いで、上記方法により作成された実質的に未延伸の積層体を延伸し、本発明の複合シートを得る。
延伸方法としては、ロール、テンター、チューブラー、オートグラフ等の各種方法を採用し得るが、本発明のフィルムの延伸方法としては、ロールによる縦延伸工程と、テンターによる横延伸工程を組み合わせた、逐次二軸延伸を採用することが好適である。
なお、本発明の複合シートの製造方法は、少なくとも一方向において、冷延伸工程を含むことが重要である。これにより、本発明の複合シートは、優れた透気性、機械的強度を有するものとなる。冷延伸工程とは、0℃〜60℃付近で延伸を行う工程のことであり、冷延伸工程は、好ましくは縦延伸工程における1段目として行うことが好ましい。また、縦延伸工程において、冷延伸工程を行った後、2段目として熱延伸工程の2段階の延伸工程を行うことが好ましい。縦延伸工程を2段階で行うことにより、得られる複合シートは、高度な透気性を備えたものとなる。また外観にも優れたものとなる。
縦延伸1段目の冷延伸工程は、延伸温度は0℃以上60℃以下、好ましくは10℃以上40℃以下とし、延伸倍率は1.1〜3倍、好ましくは1.2〜2倍とすることが好ましい。
縦延伸2段目の熱延伸工程は、延伸温度は70℃以上200℃以下、好ましくは90℃以上170℃以下とし、延伸倍率は1.2〜5倍、好ましくは1.2〜3倍とすることが好ましい。
横延伸工程については、延伸温度は90〜200℃、好ましくは100〜150℃とし、延伸倍率は、1.5〜4倍、好ましくは2〜3倍とすることが好ましい。
なお、上述の各延伸工程に加えて、更に延伸工程を追加することもできる。
このようにして得られた本発明の複合シートは、樹脂組成物層と不織布とが強固に圧接し、かつ、微多孔性フィルムの持つ優れた透気性と、不織布の持つ優れた強度とを併せ持つ良好なものとなる。また、積層することにより機械的強力も一段と強くなる。
本発明の複合シートは、総厚みが、適度の透気性および強度を有する点で、好ましくは50〜500μm、より好ましくは50〜300μm、さらに好ましくは50μm〜300μmである。複合シートの厚みが50μm以上であれば、製膜工程及び二次加工工程で、張力によってシートが伸びたり、縦じわが発生したり、破断したりすることがなく好ましい。
なお、樹脂組成物層の厚みは、30〜400μmであることが好ましく、40〜300μmがより好ましく、50〜200μmがさらに好ましい。樹脂組成物層の厚みが上記範囲であれば、強度に優れ、かつ良好な透気度を発現するため、好ましい。
本発明の複合シートは、透気度が、好ましくは20秒/100cc〜1000秒/100cc、より好ましくは20秒/100cc〜500秒/100cc、更に好ましくは20秒/100cc〜300秒/100ccである。通常、透気度が上記範囲であれば、高度な透気性を有するフィルムを得ることができるため好ましい。
本発明の複合シートは、突刺強度が、直径が1mmのニードルを用いた突刺強度で350gf以上であることが好ましい。より好ましくは500gf以上、さらに好ましくは700gf以上である。突刺強度が上記範囲を満たしていれば、複合シートの突き破れによる短絡などの発生もなく、特に医療用包装材料用途等に使用する場合は、注射器やカテーテル等の鋭利な物を包装する際に破れてしまうといった懸念もなく、好ましい。
本発明の複合シートは、引裂強度が、MD、TD両方向に0.7N/50mm以上であることが好ましい。より好ましくは1.0N/50mm以上、さらに好ましくは2.0N/50mm以上である。引裂強度が上記範囲内であれば、加工する際に破損しないことはもちろんであるが、種々用途に使用されている時の外的力に対抗するに十分な強度を有し、これらの外的力に対抗するに十分なものとなる。
なお、機能付与を目的として、また用途に応じて、本発明の複合シートにはさらに各種フィルム等を始めとする複合材を積層してもよい。本発明の複合シートは、透湿性に優れ、機械的強度にも優れるため、ハウスラップ等の建築用資材、農業用資材、衛生材料用途、衣料用途、各種包装材料用等に好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。実施例では、樹脂積層体及び樹脂組成物の引き取り(流れ)方向を「縦」方向(またはMD)、その直角方向を「横」方向(またはTD)と記載する。
(1)透気度(ガーレー透気度)
JIS P8117に準拠し、王研式透気度試験機EGO1型(旭精工製)にて測定した。
(2)突刺強度
島津製万能型試験機AGS−Xを用い、針の直径1.0mm、押し込み速度300mm/minの条件で測定し、膜が破れる時の最大荷重を突刺強度(針貫通強度)とした。
(3)引裂強度
JIS K7128−1トラウザー法に準拠し、幅50mm、150mmの試験片を用い、引張速度200mm/min.にてインテスコ社製引張試験機IM−20により測定した。
(4)粉落ち試験
10cm角に切ったサンプルの表裏面を、5cm角の黒色発泡クロロプレンゴム(イノアックコーポレーション社製、製品番号C−4205)で10往復こすり、目視評価を行った。
評価基準 ○:粉落ちが生じていなかった。 ×:粉落ちが生じた。
各実施例、比較例に用いた原材料は、以下の通りである。各エラストマーの()内の表示は略号である。
(ポリオレフィン系樹脂)
PO1:日本ポリプロ社製 商品名「ノバテックPP FY6HA」
MFR=2.4g/10分、融点=158℃
PO2:プライムポリマー社製 商品名「ハイゼックス 3300F」
密度=0.950g/cm、MFR=1.1g/10分、融点=132℃
PO3:日本ポリエチレン社製 商品名「ノバテックC6 SF240」
密度=0.920g/cm、MFR=2.0g/10分、融点=126℃
(ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマー)
EL1:クラレ社製 商品名「セプトン1001」スチレン−水添イソプレンブロックコポリマー(SEP)、MFR=0.1g/10分、スチレン含量=35%
EL2:クラレ社製 商品名「セプトン8006」スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、MFR=0g/10分、スチレン含量=33%
(充填剤)
BS:硫酸バリウム、平均粒径=1.1μm
(不織布)
不織布1:新江州社製 PPスパンボンド、厚み平均140μm、目付20g/m
不織布2:ユニチカ社製 「エルベス S023WDO」芯:ポリエステル、鞘:ポリエチレン、厚み平均160μm、目付20g/m
(実施例1)
PO1を100質量部、EL1を43質量部の割合で配合し、設定温度190℃〜210℃に設定した同方向二軸押出機(東芝機械株式会社製、口径=25mmφ、L/D=40)に投入して溶融混練し、ダイ温度210℃、ダイ幅300mm、リップギャップ1mmとなるTダイから押出し、キャスト温度100℃の設定でキャスティングし、幅=280mm、平均厚み=300μmの樹脂組成物層を得た。
次に、得られた樹脂組成物層と不織布1を、得加熱弾性ニップロールを利用して、ロール温度155℃、ロール圧力0.4MPa、ロール速度30cm/分で熱間圧着して積層体を得た。
さらに、上記積層体を、ロール延伸機にて、縦方向に、延伸温度20℃、延伸倍率1.2倍で延伸した後、さらに延伸温度150℃、延伸倍率1.8倍で延伸し、次いで、この縦延伸複合シートの端部をテンタークリップで保持し、テンターオーブン内で、横方向に延伸温度150℃、延伸倍率2倍で延伸を行い、厚み平均210μmの複合シートを得た。各種物性評価の結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1のポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーをEL2に変更し、ロール延伸機での縦延伸工程において、20℃での冷延伸倍率を1.3倍、150℃での熱延伸倍率を1.5倍としたこと以外は、実施例1と同様に成形し、厚み平均250μmの複合シートを得た。各種物性評価の結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1のポリオレフィン系樹脂をPO2に変更し、熱間圧着工程のロール温度を135℃、ロール速度を50cm/分に変更し、ロール延伸機での縦延伸工程において、冷延伸倍率を20℃で1.3倍、熱延伸倍率を120℃で1.2倍に変更し、テンターでの横延伸工程において、延伸温度を110℃に変更した以外は、実施例1と同様に成形し、厚み平均260μmの複合シートを得た。各種物性評価の結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1で作成した樹脂組成物を不織布と積層させずに延伸し、単層シートを作製した。各種物性評価の結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1のロール延伸機での縦延伸工程において、150℃の熱延伸工程のみで延伸を行い、厚み190μmの複合シートを作製したが、透気性効果が発現しなかった。
(比較例3)
実施例1の不織布を不織布2に変更し、縦延伸条件は実施例2と同様とし、複合シートを製造しようとしたが、ロール延伸機での縦延伸工程において、150℃での熱延伸工程で不織布が破断してしまったため、以降の評価は行っていない。結果を表1に示す。
(比較例4)
PO2を100質量部、PO3を233質量部、充填剤1を500質量部の割合で配合し、これに加えて、硬化ひまし油(KFトレーディング社製、商品名「H−COP」)を20質量部、酸化防止剤(BASF社製、商品名「イルガフォス168」)を1.3質量部、熱安定剤(BASF社製、商品名「イルガノックス1010」)0.7質量部を添加し、同方向二軸押出機(東芝機械株式会社製、口径=40mmφ、L/D=32)に投入し、設定温度240℃で溶融混練してストランドダイより押出した後、ストランドを水中で冷却固化し、カッターによりストランドをカットし、ペレット状に加工した樹脂組成物を作製した。
得られたペレット状の樹脂組成物を240℃の溶融状態で単層で押出し、シート状の樹脂組成物を作製した後、ロール温度130℃、ロール圧力0.4MPa、ロール速度50cm/分にてポリプロピレン製スパンボンド不織布と熱間圧着し未延伸複合シートを得た。上記未延伸複合シートをロール延伸機にて縦方向に20℃で1.3倍、120℃で1.5倍の条件で延伸を行ったが、20℃の冷延伸工程においてシートの破れが生じ、粉落ちが観察されたため、以降の評価は行っていない。結果を表1に示す。
Figure 2016203594
表1の結果より、実施例で得られた本発明の複合シートは、優れた透気性を有するとともに、引裂強度、突刺強度のいずれもバランス良く良好な値を示しており、さらに、粉落ちのデメリットも無く衛生面にも優れていることがわかる。
一方、比較例1のように、不織布を積層していない単層シートは、引裂強度が極端に低くなる傾向があり、両物性を満足に発現させることができなかった。また、実施例1と比較例1を比較すると、同じ延伸倍率で延伸を行った時に、不織布を積層させていないと透気度の値が悪くなる傾向が分かる。また比較例2のように、ロール延伸機での縦延伸工程において、熱延伸工程のみで延伸を行うと、透気性が発現しなかった。また比較例3のように、不織布をポリオレフィン以外のものを使用すると、延伸時に不織布が破断してしまい、複合シートを得ることができなかった。さらに比較例4のように、無機充填剤を添加してフィルムを作成した場合、粉落ち試験での粉落ちが目立ち、衛生面での問題を解消させることができなかった。
本発明の複合シートは、優れた透気性を有し、かつ引裂強度、突刺強度などの機械的強度に優れるため、薄くても所要の強度を発揮することができ、かつ粉落ちの欠陥もなく取扱いが容易であり、染色も可能であるので、ハウスラップ等の建築用の資材用、包装材料用、用衛生材用、衣料用、農業用、産業用等の広範囲の用途に好適に用いることができる。さらに本発明は、従来の透気性積層シートの製造方法に比して、簡便な工程で、優れた透気性を有する複合シートを製造可能な製造方法を提供することができる。

Claims (8)

  1. ポリオレフィン系不織布の少なくとも片面に、ポリオレフィン系樹脂とポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマー樹脂を含有する樹脂組成物からなる未延伸層を有する積層体を、少なくとも一方向に延伸してなる複合シートであって、前記延伸工程において、少なくとも一方向において冷延伸工程を含むことを特徴とする複合シート。
  2. 透気度が20〜1000秒/100ccであることを特徴とする請求項1に記載の複合シート。
  3. 突刺強度が350gf以上、引裂強度がMD、TD両方向に0.7N/50mm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の複合シート。
  4. 前記樹脂組成物が、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマー樹脂を10〜80質量部含有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の複合シート。
  5. 前記樹脂組成物が、ポリオレフィン系樹脂を主成分として含む海部と、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーを主成分として含む島部からなり、前記島部の粒径が0.01〜10μmであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の複合シート。
  6. 前記ポリオレフィン系不織布がプロピレン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の複合シート。
  7. 前記ポリオレフィン系不織布がスパンボンド不織布であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の複合シート。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の複合シートの製造方法であって、次の1)〜3)の工程を含むことを特徴とする複合シートの製造方法。
    1)樹脂組成物からなる層とポリオレフィン系不織布とを積層する工程
    2)積層体を、縦方向に、延伸温度0〜60℃、延伸倍率1.1〜3.0倍で延伸し、次いで縦方向に、延伸温度70〜200℃、延伸倍率1.2〜5.0倍で延伸する工程
    3)積層体を、横方向に、延伸温度90〜200℃、延伸倍率1.5〜4.0倍で延伸する工程
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