本発明の好適な一実施例である実施例1の燃料デブリの取出し方法を、図3及び図4を用いて以下に説明する。本実施例の燃料デブリ取出し方法は、沸騰水型原子力発電プラントに適用される。本実施例の燃料デブリ取出し方法は、原子炉圧力容器の開放及び燃料デブリの取出しを含んでいる。
本実施例の燃料デブリ取出し方法の一部である原子炉圧力容器を開放する方法は、図3に示された準備作業(ステップS1〜S6の各工程を含む)及び原子炉開放作業(ステップS7〜S13の各工程を含む)を含んでいる。さらに、この燃料デブリ取出し方法は、図4に示された原子炉格納容器底部に落下した燃料デブリの取出し作業(ステップS17〜S20の各工程を含む)及び原子炉格納容器底部に落下した燃料デブリの取出し作業(ステップS14〜S16及びS21〜S24の各工程を含む)を含んでいる。
本実施例の燃料デブリ取出し方法を説明する前に、この燃料デブリ取出し方法が適用される沸騰水型原子力発電プラントの概略の構成を、図1及び図2を用いて説明する。
沸騰水型原子力プラント1は、原子炉2及び原子炉格納容器17を備えている。原子炉格納容器17は、原子炉建屋23内に設置されて、上端部に蓋である格納容器ヘッド18が取り付けられて密封されている。原子炉格納容器17は、内部に形成されたドライウェル19、及び冷却水が充填された圧力抑制プールが内部に形成された圧力抑制室21を有する。ドライウェル19に連絡されるベント通路の一端が、圧力抑制室21内の圧力抑制プールの冷却水中に浸漬されている。原子炉格納容器17は、原子炉建屋23の一部になる生体遮へい体100で取り囲まれている。
格納容器ヘッド18の真上に複数に分割された放射線遮へい体であるシールドプラグ28が配置され、これらのシールドプラグ28が、原子炉ウェル25内に配置され、原子炉建屋23の運転床24に設置されている。シールドプラグ28は原子炉ウェル25を封鎖している。ドライヤセパレータプール(機器仮置きプール)26及び燃料貯蔵プール27が、原子炉ウェル25に隣接して配置され、運転床24に取り囲まれている。ドライヤセパレータプールは、以下においてDSPと称する。DSP26、原子炉ウェル25及び燃料貯蔵プール27は、図2に示すように一直線状に配置される。DSP26と原子炉ウェル25は水路によって連絡され、この水路は、少なくとも沸騰水型原子力プラント1の運転中では複数のスロットルプラグ(ゲート部材)29Aにより封鎖されている。これらのスロットルプラグ29Aは、その水路の底部に形成されたコンクリート製の突出部57の上面上に積み重ねられている。原子炉ウェル25と燃料貯蔵プール27も水路によって連絡され、この水路は、少なくとも沸騰水型原子力プラント1の運転中では積み重ねられた複数のスロットルプラグ(ゲート部材)29Bにより封鎖されている。
原子炉2は、蓋である圧力容器ヘッド4が取り付けられて構成される原子炉圧力容器3、核燃料物質を含む複数の燃料集合体8が装荷された炉心7、気水分離器11及び蒸気乾燥器12等を備えている。炉心7、気水分離器11及び蒸気乾燥器12は原子炉圧力容器3内に配置される。原子炉圧力容器3内に設置された炉心シュラウド6が、炉心7を取り囲んでいる。炉心7内に装荷された各燃料集合体8は、下端部が炉心支持板9によって支持され、上端部が上部格子板10によって保持される。気水分離器11は炉心7の上端部に位置する上部格子板10よりも上方に配置され、蒸気乾燥器12が気水分離器11の上方に配置される。
複数の制御棒案内管13が、原子炉圧力容器3内で炉心支持板9の下方に配置される。炉心7内の燃料集合体8間に出し入れされて原子炉出力を制御する制御棒(図示せず)が、各制御棒案内管13内に配置される。複数の制御棒駆動機構ハウジング14が、原子炉圧力容器3の下鏡部5に取り付けられる。制御棒駆動機構(図示せず)が、それぞれの制御棒駆動機構ハウジング14内に設置され、制御棒案内管13内の制御棒と連結される。
原子炉圧力容器3内に設置された炉心シュラウド6、炉心支持板9、上部格子板10、気水分離器11、蒸気乾燥器12及び制御棒案内管13は、炉内構造物である。
原子炉圧力容器3は、原子炉格納容器7内の底部に設けられたコンクリートマット16上に設けられた円筒状のペデスタル15上に据え付けられている。筒状のγ線遮蔽体22が、ペデスタル15の上端に設置され、原子炉圧力容器3を取り囲んでいる。下部プレナム20が、原子炉圧力容器3の下方でペデスタル15内に形成される。
このような沸騰水型原子力プラント1において、原子炉がスクラムされて原子炉出力が低下した状態において、一時的に、沸騰水型原子力プラント1の電流を供給する全部の電源が消失して非常用炉心冷却系が作動しなかった状態が生じたことを想定する。全部の電源が消失して非常用炉心冷却系のポンプ等が作動しなくなり、炉心7内の各燃料集合体8に含まれる各燃料棒の冷却が損なわれた場合には、これらの燃料棒に含まれる核燃料物質が溶融し、核燃料物質の溶融によって燃料集合体8の構造部材、例えば、燃料棒の被覆管、燃料集合体8のチャンネルボックス及び上部タイプレート及び下部タイプレートも溶融する。核燃料物質、及び燃料集合体8の構造部材等の溶融物である燃料デブリ39Aは、原子炉圧力容器3の底部である下鏡部5の内面上に落下する可能性がある。燃料デブリ39Aには、炉心支持板9等の炉内構造物の溶融物が含まれる場合もある。溶融して下鏡部5の内面上に落下した燃料デブリ39Aは、冷却されて固まる。
万が一、このような燃料デブリ39Aの原子炉圧力容器3の底部への落下が生じた場合には、固まった燃料デブリ39Aの原子炉圧力容器3外への搬出が実施され、さらに燃料デブリ39Aの落下が生じている沸騰水型原子力プラント1については、廃炉処理が実施される。また、原子炉圧力容器3の底部に落下した燃料デブリ39Aの一部は、原子炉圧力容器3の下鏡部5からさらに下方の、ペデスタル15内で原子炉格納容器17の底部、すなわち、コンクリートマット16上に落下する可能性もある。ペデスタル15内で原子炉格納容器17の底部に落下した燃料デブリを燃料デブリ39Bと称する。
炉心7内の核燃料物質が溶融する炉心溶融事故が発生したとき、図5に示すように、DSP26内には何も存在していなく、DSP26と原子炉ウェル25は複数のスロットプラグ29Aによって仕切られている。また、手摺31が格納容器ヘッド18の頂部に設けられており、圧力容器ヘッド4は保温材30によって覆われている。原子炉圧力容器3と原子炉格納容器17の間には、原子炉ウェル25の底部の一部になるバッフルプレート76が配置され、このバッフルプレート76は原子炉圧力容器3と原子炉格納容器17に取り付けられている。なお、炉心溶融事故の発生により、格納容器ヘッド18の損傷個所を通して原子炉ウェル25内に放射性物質(例えば、Cs−137等)を含むガスが流出したとする。
本実施例の燃料デブリの取出し方法を以下に説明する。まず、本実施例の燃料デブリ取出し方法の一部である原子炉圧力容器を開放する方法における準備作業について説明する。この準備作業は、原子炉開放作業の前作業である。
放射線遮へい容器をDSP内に設置する(ステップS1)。原子炉建屋23外に設置された移動式のクローラクレーン(図示せず)を用いて放射線遮へい容器32を吊り上げてDSP26内に設置する(図6参照)。なお、このクレーンは、門型クレーン、タワークレーン等の重量物を一体搬出入可能なものであれば良い。放射線遮へい容器32は、開口部36Aを形成した放射線遮へい板33を天井部材として放射線遮へい容器32に取り付けており、原子炉ウェル25側の側壁に開口部36Bを形成している。放射線遮へい容器32には、開口部36Aを開閉する移動式のドア34が取り付けられる。また、開口部36Bを開閉する移動式のドア35が、原子炉ウェル25側の側壁の内面に取り付けられる。開口部36Bはドア34によって、また、開口部36Bはドア35によってそれぞれ封鎖されている。
スロットプラグに貫通孔を形成する(ステップS2)。内部に穿孔装置41が収納された隔離チャンバー40が、クローラクレーンに吊り下げられて開口部36Aを通して放射線遮へい容器32内の空間37に搬入される(図7参照)。このとき、ドア34は開いている。隔離チャンバー40の下面には台車40Aが取り付けられており、隔離チャンバー40の一つの側壁に開口部40Eが形成される。この開口部40Eは、その側壁の内面に移動可能に取り付けられたドア40Bによって開閉される。開口部40Eを取り囲む環状のシール装置40Cが、隔離チャンバー40のその側壁の外面に取り付けられる。
穿孔装置41は、隔離チャンバー40内の空間40Dに配置され、移動可能に隔離チャンバー40の底面に取り付けられた支持部材42の上端部に取り付けられる。隔離チャンバー40が放射線遮へい容器32内に搬入された後、ドア34が閉じられ、隔離チャンバー40は台車40Aによって放射線遮へい容器32の原子炉ウェル25側の側壁まで移動される。シール装置40Cが、隔離チャンバー40の移動によって放射線遮へい容器32の、開口部36Bが形成された側壁の内面に、開口部36Bを取り囲むように、押し付けられる(図8参照)。ドア35は、シール装置40Cがこの側壁に押し付けられる直前に開けられる。開口部36Bは、隔離チャンバー40に形成された開口部40Eに連通し、ドア40Bを開くことによって隔離チャンバー40内の空間40Dと連通される。
穿孔装置(例えば、ワイヤーソー)41を駆動し、穿孔装置41をコンクリート製の一つのスロットプラグ29Aに向かって移動させることによってスロットプラグ29Aをブロック状に切断する。穿孔装置41を用いたスロットプラグ29Aの切断位置は、原子炉ウェル25を封鎖しているシールドプラグ28のうち最も下方に位置するシールドプラグ28の下面よりも下方の位置である(図9参照)。穿孔装置41によって削り出された、シールドプラグ28のブロック44は、隔離チャンバー40内に搬入される(図10参照)。この結果、シールドプラグ28に貫通孔43が形成され、原子炉ウェル25と隔離チャンバー40内の空間が連通し、原子炉ウェル25内に存在する放射性核種を含むガスが、貫通孔43及び開口部36B及び40Eを通して隔離チャンバー40内に流入する。その後、ドア40Bを閉じて開口部を封鎖し、そして、直ちに、ドア35を閉じて開口部を封鎖する。
ドア35を閉じて密封されて内部に放射性物質を含むガスが存在する隔離チャンバー40が、開口部36Aを通してクローラクレーンによりDSP32内から地上まで搬出される。その後、穿孔装置41を収納しているこの隔離チャンバー40が処分されるが、この処分に際して隔離チャンバー40内の放射性物質を含むガスが、浄化装置に供給されて浄化装置で除去される。
格納容器ヘッドに設けられた手摺を除去する(ステップS3)。内部に手摺取り外し装置45が収納された別の隔離チャンバー40が、ステップS2の工程と同様に、開口部36Aを通して放射線遮へい容器32内の空間37に搬入される。隔離チャンバー40の搬入後に、ドア34が閉じられる。この隔離チャンバー40は、シール装置40Cが放射線遮へい容器32の原子炉ウェル25側の側壁の内面に接触するまで、放射線遮へい容器32内で移動される(図11参照)。ドア35は、シール装置40Cがこの側壁に押し付けられる直前に開けられる。
手摺取り外し装置45は、支持部材42の上端部に取り付けられたスライド機構45B、スライド機構45Bに設置された伸縮管45A及び伸縮管45Aの先端部に取り付けられた2つの作業アーム45Cを有する。把持具(図示せず)が一つの作業アーム45Cの先端に取り付けられ、カッタ(パイプカッタ)が他の作業アーム45Cの先端に取り付けられる。これらの作業アーム45Cは、多関節を有し、上下左右に自由に曲げられる。作業アーム45Cは、例えば、特開2011−106529号公報に記載されて互いに連結された複数のアクチュエータ200’で構成される。
ドア40Bが開いて隔離チャンバー40内の空間40Dが原子炉ウェル25に連通される。スライド機構45Bの移動により伸縮管45Aが貫通孔43内に挿入され、さらに、伸縮管45Aが原子炉ウェル25に向かって伸ばされる。格納容器ヘッド18に取り付けられた手摺31は一つの作業アーム45Cの把持具で掴まれ、他の作業アーム45Cのカッタで切断する(図12参照)。上記の把持具で把持された手摺31の切断片は、スライド機構45B及び伸縮管45Aの移動により、隔離チャンバー40内に移動され、隔離チャンバー40内に収納される。このようにして、手摺31が順次切断される。手摺31がすべて除去された後、手摺取り外し装置45の作業アーム45Cが隔離チャンバー40内に収納され、ドア40B及び35が閉じられる。手摺取り外し装置45及び手摺31の切断片を収納した隔離チャンバー40が、クローラクレーンに吊り下げられて開口部36Aを通して放射線遮へい容器32から地上に搬送される。
作業アーム45Cが取り付けられる伸縮管45Aの先端部にカメラ(図示せず)が取り付けられ、このカメラにより原子炉ウェル25内での作業(例えば、手摺31の切断)が撮影される。カメラで撮影された映像は、原子炉建屋23の運転床、若しくは別建屋に設置された運転操作室140(図58参照)のモニタに送信され、作業員により監視される。このカメラは、後述のステップS4及びS5で用いられる除染装置46及び遮へい体搬送装置47の各伸縮管45Aの先端部にも取り付けられる。
原子炉ウェル内を除染する(ステップS4)。内部に除染装置46が収納された別の隔離チャンバー40が、ステップS2の工程と同様に、開口部36Aを通して放射線遮へい容器32内に搬入され、その後に、ドア34が閉じられる。この隔離チャンバー40のシール装置40Cが放射線遮へい容器32の原子炉ウェル25側の側壁の内面に接触される(図13参照)。ドア35は、シール装置40Cがこの側壁に押し付けられる直前に開けられる。
除染装置46は、手摺取り外し装置45と同様に、支持部材42の上端部に取り付けられたスライド機構45B、伸縮管45A及び作業アーム45Cを有する。噴射ノズル46Aが作業アーム45Cの先端に取り付けられる。
ドア40Bが開いて隔離チャンバー40内の空間40Dが原子炉ウェル25に連通される。スライド機構45B及び伸縮管45Aが原子炉ウェル25に向かって移動することにより、作業アーム45C及び噴射ノズル46Aが原子炉ウェル25内で格納容器ヘッド18とシールドプラグ28の間に挿入される。噴射ノズル46Aから洗浄水が噴射され、例えば、シールドプラグ28の下面の除染が実施される(図14参照)。洗浄水は、伸縮管45A及び作業アーム45Cに沿って設置された給水ホース(図示せず)により供給される。この給水ホースは、隔離チャンバー40内から放射線遮へい容器32の外部へと伸びており、補給水系統に接続される。伸縮管45Aを伸縮させて作業アーム45Cを上下左右に曲げて格納容器ヘッド18の外面、及びスロットルプラグ29A及び29Bの各内面の除染が行われる。原子炉ウェル25における除染が終了した後、除染装置46の作業アーム45C及び噴射ノズル46Aが隔離チャンバー40内に収納され、ドア40B及び35が閉じられる。除染装置46を収納した隔離チャンバー40が、クローラクレーンに吊り下げられて開口部36Aを通して放射線遮へい容器32から地上に搬送される。
除染時に噴射ノズル46Aからシールドプラグ28の下面に向かって噴射されて落下した洗浄水は、作業アーム45Cに取り付けられた洗浄水受け皿(図示せず)に受けられて洗浄水受け皿に接続された排水ホースを通って隔離チャンバー40内に設けられた排水タンク(図示せず)内に蓄えられる。格納容器ヘッド18の外面、スロットルプラグ29A及び29Bの各内面の除染に用いられた洗浄水は、洗浄水受け皿で受けることができなく、原子炉ウェル25内でバッフルプレート76の上面に落下する。バッフルプレート76の上面に落下した洗浄水は、隔離チャンバー40の排水タンクに接続されるポンプ(図示せず)を駆動してこのポンプに接続された排水ホース(図示せず)で吸引し、排水タンク内に蓄えられる。排水タンク内に蓄えられた水も、隔離チャンバー40と共に地上に搬送される。
原子炉ウェル内に第1放射線遮へい体を設置する(ステップS5)。内部に遮へい体搬送装置47及び折りたたまれた遮へい袋48が収納された別の隔離チャンバー40が、ステップS2の工程と同様に、開口部36Aを通して放射線遮へい容器32内に搬入され、その後に、ドア34が閉じられる。遮へい袋48は、伸縮特性を持つシートと強度を保つ繊維から構成される複合シートで作られた袋であり、折り畳んである。このシートは、必要に応じて高強度、高弾性、高延性のある繊維を組み込んだものでも良い。遮へい袋48は、伸縮性のある剛性ゴムで作ってもよい。この隔離チャンバー40のシール装置40Cが放射線遮へい容器32の原子炉ウェル25側の側壁の内面に接触される(図15参照)。ドア35は、シール装置40Cがこの側壁に押し付けられる直前に開けられる。
遮へい体搬送装置47は、手摺取り外し装置45と同様に、支持部材42の上端部に取り付けられたスライド機構45B、伸縮管45A及び作業アーム45Cを有する。掴み具47Aが作業アーム45Cの先端に取り付けられる。
ドア40Bが開いて隔離チャンバー40内の空間40Dが原子炉ウェル25に連通される。空間40D内で、掴み具47Aが空間40D内に存在する一つの遮へい袋48を掴む。スライド機構45B及び伸縮管45Aが原子炉ウェル25に向かって移動することにより、作業アーム45C、及び遮へい袋48を掴んでいる掴み具47Aが原子炉ウェル25内で格納容器ヘッド18とシールドプラグ28の間に挿入される。掴み具47Aに掴まれた遮へい袋48が、格納容器ヘッド18の上方で原子炉ウェル25内の所定の位置まで移動される(図16参照)。その後、伸縮管45A及び作業アーム45Cに沿って設置された給水ホース(図示せず)が遮へい袋48に設けられた逆止弁に接続され、給水ホースで供給される水が逆止弁付きのワンタッチカプラを介して遮へい袋48内に供給される。遮へい袋48は、水の供給により膨張し、格納容器ヘッド18の一部を覆って格納容器ヘッド18とシールドプラグ28の間に配置される(図17参照)。
作業アーム45Cに沿って設置された給水ホースがその逆止弁付きのワンタッチカプラから取り外され、スライド機構45B及び伸縮管45Aの移動により掴み具47Aが隔離チャンバー40内の空間40Dに戻される。ここで、掴み具47Aは他の遮へい袋48を掴み、再び、原子炉ウェル25内の所定も位置まで移動して遮へい袋48を所定の位置まで移送する。この遮へい袋48内にも水が供給され、遮へい袋48は膨張する。このように、必要な個数の遮へい袋48が原子炉ウェル25内に移送されて水により膨張されることにより、格納容器ヘッド18は、格納容器ヘッド18とシールドプラグ28の間に配置された、水で膨張した複数の遮へい袋48で覆われる(図18参照)。内部に水が充填されたこれらの遮へい袋48は、放射線遮へい体(第1放射線遮へい体)となる。
スロットルプラグ29Aに貫通孔43が形成されているので、隔離チャンバー40内の遮へい体搬送装置47を用いて、DSP26内に設置した放射線遮へい容器32から貫通孔43を通して格納容器ヘッド18とシールドプラグ28の間に容易に移送することができる。このため、格納容器ヘッド18を覆う、水を充填した遮へい袋48、すなわち第1放射線遮へい体の設置を容易に行うことができる。
内部に水が充填されたこれらの遮へい袋48を格納容器ヘッド18とシールドプラグ28の間に配置することにより、格納容器ヘッド18の下方からの放射線を水が充填されたこれらの遮へい袋48で遮へいすることができる。この結果、汚染された原子炉ウェル内の除染及び遮蔽体設置作業を機器仮置きプール側からアクセスすることで原子炉ウエル内からの放射性ダストの拡散及び線量の漏えいを機器仮置きプールに設置した放射線遮へい容器で抑えることができて、運転床に直接放射性ダストと線量の漏えいが生じることを防止できる。また、後述するように、シールドプラグ28を除去した場合においても、運転床24上での線量を低減することができる。また、原子炉ウェル25内に水が充填されたそれらの遮へい袋48が配置されるため、原子炉ウェル25内での空気の流れが阻害され、放射性ダストの拡散を防止することができる。
原子炉ウェル25内への水が充填された所定数の遮へい袋の設置が終了した後、遮へい体搬送装置47の作業アーム45C及び掴み具47Aが隔離チャンバー40内に収納され、ドア40B及び35が閉じられる。遮へい体搬送装置47を収納した隔離チャンバー40が、クローラクレーンに吊り下げられて開口部36Aを通して放射線遮へい容器32から地上に搬送される。
なお、ステップS1〜S6の各工程を実施する間、原子炉ウェル25を封鎖しているシールドプラグ28の上面が養生シート38で覆われている。この養生シート38はシールドプラグ28の間からの放射性核種の漏洩を抑制している。
隔離ハウスを原子炉建屋の運転床上に設置する(ステップS6)。クローラクレーンを用いて隔離ハウス49を原子炉建屋23の運転床24上まで搬送し、この隔離ハウス49を運転床24上に設置する(図19参照)。隔離ハウス49は、DSP26、すなわち、放射線遮へい容器32及び原子炉ウェル25を覆っている。隔離ハウス49の側壁には、隔離ハウス49内外への出入口となる開口部(図示せず)が形成され、この開口部の開閉を行うドア(図示せず)が移動可能に取り付けられる。作業員は、隔離ハウス49の側壁に形成された、ドアが開けられたその開口部を通して運転床24上から隔離ハウス49内の空間53に入ることができる。走行台車及び横行台車を含む天井クレーン50が、隔離ハウス49内の空間53内で天井付近に設置されるガイドレール51上に移動可能に設置される。天井クレーン50の横行台車には、掴み具52に取り付けられたワイヤー56の巻き取り及び巻き戻しを行う回転ドラム(図示せず)が取り付けられる。
以上により、原子炉圧力容器を開放する方法における準備作業の各工程が終了する。次に、原子炉圧力容器を開放する方法における原子炉開放作業について説明する。
シールドプラグを取り外す(ステップS7)。環状の隔離フィルム収納容器73が、隔離ハウス49内で、スロットルプラグ29A及びシールドプラグ28を取り囲むように、放射線遮へい容器32、運転床24及びスロットルプラグ29B上に配置される。隔離フィルム収納容器73から取り出された隔離フィルム54が、スロットルプラグ29A及びシールドプラグ28の上方を覆って配置される。天井クレーン50の掴み具52は、隔離フィルム54の上方から一つのシールドプラグ28に取り付けられた吊り具(図示せず)を掴む(図19参照)。ワイヤー56を巻き取ってシールドプラグ28を所定の位置まで吊り上げる(図20参照)。そして、吊り上げたシールドプラグ28を隔離フィルム54で包み込み、包み込んで絞った図20に示すXの位置で隔離フィルム54を溶着させ、溶着した部分で隔離フィルム54を切断する。
その後、天井クレーン50を移動させ、隔離フィルム54で包み込んだシールドプラグ28を、隔離ハウス49内で、放射線遮へい容器32に取り付けられた放射線遮へい板33上に置かれた、放射線遮へい材で作られた搬出容器55内に収納される(図21参照)。シールドプラグ28を収納した搬出容器55は、ドアが開いた前述の開口部を通して運転床24上に搬出され、さらに、クローラクレーンを用いて地上に搬送され、さらに、所定の保管場所まで搬送される。残りのシールドプラグ28も同様に搬送される。
スロットルプラグを取り外す(ステップS8)。全てのシールドプラグ28が取り外されているが、格納容器ヘッド18が、水が充填された遮へい袋48で覆われているため、格納容器ヘッド18の下方からの放射線は、水が充填された遮へい袋48で遮へいされ、隔離ハウス49内の空間53に到達しない。隔離フィルム収納容器73から取り出された隔離フィルム54が、スロットルプラグ29A、及び原子炉ウェル25内の、水が充填された遮へい袋48の上方を覆って配置される。天井クレーン50の掴み具52は、隔離フィルム54の上方から一つのスロットルプラグ29Aに取り付けられた吊り具(図示せず)を掴む(図22参照)。ワイヤー56を巻き取ってスロットルプラグ29Aを所定の位置まで吊り上げ、吊り上げたスロットルプラグ29Aを隔離フィルム54で包み込み、シールドプラグ28と同様に、包み込んで絞った位置で隔離フィルム54を溶着させ、溶着した部分で隔離フィルム54を切断する(図23参照)。
そして、天井クレーン50を移動させ、隔離フィルム54で包み込んだシールドプラグ28を、隔離ハウス49内に配置された搬出容器55内に収納される(図24参照)。スロットルプラグ29Aを収納した搬出容器55は、シールドプラグ28を収納した搬出容器55と同様に、地上に搬送され、さらに、所定の保管場所まで搬送される。残りのスロットルプラグ29Aも同様に搬送される。
その後、原子炉開放作業の一部である図3に示されていないステップS8A〜S8Dの各工程が実施される。ステップS8A〜S8Eの各工程を以下に説明する。
放射線遮へい容器32の原子炉ウェル25側の側壁を除去する(ステップS8A)。放射線遮へい容器32の原子炉ウェル25側の側壁が、ドア35を取り付けた状態で、放射線遮へい容器32から取り外され、天井クレーン50によって吊り上げられて隔離ハウス49内の空間53に移送される。さらに、この側壁は、隔離ハウス49内から隔離ハウス49外の運転床24上に移送され、地上に搬送される。必要であれば、その側壁は複数の切断片に切断され、切断片ごとに移送される。図25は、上記の側壁が除去された状態を示している。
DSPと原子炉ウェルを連絡する水路の底に形成された突出部を除去する(ステップS8B)。ステップS2で用いられた穿孔装置41が収納された隔離チャンバー40が、クローラクレーンにより地上から運転床24上に搬送され、隔離ハウス49に形成された前述の開口部から隔離ハウス49内に移動される。図25に図示されていないが、隔離チャンバー40は、天井クレーン50に吊り下げられて開放された開口部36Aを通して放射線遮へい容器32内に搬入される。さらに、隔離チャンバー40は、放射線遮へい容器32の底面に沿って原子炉ウェル25に向かって移動し、DSP26と原子炉ウェル25を連絡する水路の底に形成された突出部57付近で停止される。穿孔装置(例えば、ワイヤーソー)41を用いて、格納容器ヘッド18を覆っている、水が充填された遮へい袋48に損傷を与えないようにして、突出部57を切断する。切断された突出部57の複数のブロック(図示せず)は、隔離チャンバー40内の空間40Dに収納される。これらのブロックを収納した隔離チャンバー40は、搬入時とは逆に、開口部36Aを通って隔離ハウス49内に搬入され、さらに、隔離ハウス49外部の運転床24上及び地上へと搬送される。その水路の、突出部57が除去された部分には、図26に示すように、平らな底面57Aが形成される。
突出部57の除去により、後述する搬出入エアロック89の設置(図35参照)が突出部57に邪魔されずに容易になる。このため、搬出入エアロック89を用いて、原子炉圧力容器3内で除去された炉内構造物の放射線遮へい容器32内への搬出ルートを容易に確保することができる。
放射線遮へい容器の新たな側壁を設置する(ステップS8C)。開口部63Aが下側に形成されてこの開口部63Aの開閉を行うドア64A及び64Bが移動可能に取り付けられた側壁63が、天井クレーン50に吊り下げられて隔離ハウス49内の空間53から原子炉ウェル25内に下される。この側壁63は、放射線遮へい容器32の原子炉ウェル25側の端部に溶接にて取り付けられる。放射線遮へい容器32の内面に取り付けられた開閉式の隔離シート65が、側壁63よりも放射線遮へい容器32側に配置される。側壁63は、複数の鋼板を隔離ハウス49内で溶接して製造してもよい。
隔離ハウス内に設置されている天井クレーンを除去し、新たに、二基の天井クレーン及び隔離壁を隔離ハウス内に設置する(ステップS8D)。隔離ハウス49内に設置されている天井クレーン50を除去し、新たに、ガイドレール51A及び51Bを隔離ハウス49内で隔離ハウス49の天井付近に設置する。そして、天井クレーン51A及び51Bがガイドレール51A及び51Bの上に設置される(図26参照)。天井クレーン50の除去及び天井クレーン51A及び51Bの設置には、隔離ハウス49内に搬入された走行クレーンが用いられる。天井クレーン51A及び51Bが設置された後、開口部60Aが形成されて開口部60Aの開閉を行うドアが移動可能に取り付けられた隔離壁60が、隔離ハウス49内に搬入され、放射線遮へい容器32の原子炉ウェル25側の端部付近に立てて隔離ハウス49の内面に溶接にて取り付けられる(図26参照)。
隔離壁60の取り付けにより、隔離ハウス49内には二つの空間53A及び53Bが形成される。原子炉ウェル25の真上に形成される空間53Aには、天井クレーン50A及びガイドレール51Aが配置され、放射線遮へい容器32の真上に形成される空間53Bには、天井クレーン50B及びガイドレール51Bが配置される。天井クレーン50Aに取り付けられるワイヤー56Aには掴み具52Aが取り付けられ、天井クレーン50Bに取り付けられるワイヤー56Bには掴み具52Bが取り付けられる。隔離ハウス49の内面に取り付けられた開閉式の隔離シート62が、ドア61よりも空間53B側に配置される。空間53Aの底面を形成する板状の床部材58が隔離ハウス49の下端部に取り付けられる。床部材58には、原子炉ウェル25の内径と同じ大きさの開口部58Aが形成されている。
第2放射線遮へい体を設置する(ステップS9)。複数の放射線遮へい板を折り畳めるように相互に連結して構成された放射線遮へい体(第2放射線遮へい体)59が、天井クレーン50Aを用いて、原子炉ウェル25を覆うように、隔離ハウス49内の空間53Aの底面を形成する床部材58上に取り外し可能に設置される(図26参照)。放射線遮へい体59は、複数の放射線遮へい板の折り畳み及び伸長を行う駆動装置を備えている。なお、この放射線遮へい板は、複数の水遮へい袋を配置し、注水若しくは排水により折りたたみ可能で開閉動作もできる構造としても良い。隔離フィルム収納容器73内に収納された開閉式の隔離シート54が、原子炉ウェル25を覆うように設置された放射線遮へい体59を覆って配置される。放射線遮へい体59は、折り畳まれた状態で、クローラクレーンにより隔離ハウス49の外部で運転床24上に搬送され、さらに、空間53Bを介して空間53A内に移送される。この折り畳まれた放射線遮へい体59は、天井クレーン50Aに吊り下げられて開閉式の隔離シート54の開口部を通って床部材58上に置かれ、上記の駆動装置により床部材58の開口部58Aを覆うように伸長される。
原子炉ウェル内の機器を取り外し、搬出する(ステップS10)。原子炉ウェル25内に配置されている機器、例えば、原子炉格納容器17の上端に取り付けられて原子炉ウェル25内に配置されている格納容器ヘッド18の取り外し及び搬出を、図27、図28、図29および図30を用いて説明する。
放射線遮へい体59と同様に、吊り天秤66が隔離ハウス49内の空間53Aに搬入される。吊り天秤66には、下端部に掴み具67Aが取り付けられた吊り棒68A及び下端部に掴み具67Bが取り付けられた吊り棒68Bがそれぞれ下向きに取り付けられ、さらに、切断装置70が取り付けられる。切断装置70は、移動装置78、下方に向かって伸びて移送装置78に取り付けられた伸縮管77及び伸縮管の下端部に取り付けられた切断機69を備える(図27参照)。円板である吊り天秤66の下面には、切断装置70を格納容器ヘッド18の周囲に旋回させるリング状のガイドレール(図示せず)が取り付けられており、移動装置78はこのガイドレールの下側に移動可能に取り付けられている。吊り天秤66の外径は、釣り天秤66が開口部58Aを通過するように、開口部58Aの内径よりも若干小さくなっている。
水が充填されて膨張した各遮へい袋48には、上下方向に貫通する貫通孔48Aが形成されている。この貫通孔48Aは遮へい袋48の部材で取り囲まれており、貫通孔48A内には遮へい袋48内の水が流出しない。貫通孔48Aは水が充填されて膨張した遮へい袋48によって封鎖されている。
原子炉ウェル25の上方を覆っている放射線遮へい体59は、前述の駆動装置により折り畳まれ、天井クレーン50Aを用いて床部材58上から除去される。その後、吊り天秤66が、天井クレーン50Aに吊り下げられて空間53Aから原子炉ウェル25に向かって下降され、開閉式で広げられた隔離シート54の間及び開口部58Aを通って原子炉ウェル25内に下降される。この吊り天秤66の下降に伴って、掴み具67A及び67B及び吊り棒68A及び68Bが、水が充填されたそれぞれの遮へい袋48に形成された貫通孔48A内に挿入される(図28参照)。そして、格納容器ヘッド18の頂部に設けられた各吊り具が掴み具67A及び67Bによって把持される(図28参照)。
図27及び図28には図示されていないが、吊り天秤66の外周部には、空気圧で移動するピストンを有するシリンダ装置(図示せず)が設けられている。このシリンダ装置は、吊り天秤66の周方向に3個所以上設けられている。各シリンダ装置のピストンロッドには支持部材が取り付けられている。シリンダ装置ごとに設けられたこの支持部材は、吊り天秤66が開口部58Aを通過した後、シリンダ装置への高圧空気の供給により支持部材が原子炉ウェル25の外側に向かって押し出され、シールドプラグ28を支持していた原子炉ウェル25の段差部上に達する。このため、図28に示すように、吊り天秤66はそれらの支持部材によって原子炉ウェル25の段差部に支持される。
その後、伸縮管77が下方に向かって伸ばされ、切断機69が格納容器ヘッド18の側壁の切断位置(格納容器ヘッド18の下端部に存在する位置)まで下降される(図28参照)。伸縮管77は、水が充填された遮へい袋48の外側に位置している。移動装置78が吊り天秤66に設けられた前述のリング状のガイドレールに沿って移動することにより、格納容器ヘッド18の側壁の下端部が、切断機69によって、格納容器ヘッド18の側壁の全周に亘って切断される。格納容器ヘッド18の切断後、切断された格納容器ヘッド18は、水が充填された遮へい袋48を載せた状態で、天井クレーン50Aによって引き上げられる。格納容器ヘッド18の下端が圧力容器ヘッド4を覆っている保温材30の頂部よりも上方に到達して格納容器ヘッド18の下端と保温材30の頂部の間に所定のスペースが形成されたとき、格納容器ヘッド18の上昇が停止される(図29参照)。
内部に除染装置71が収納された別の隔離チャンバー40が、ステップS2の工程と同様に、開口部36Aを通して放射線遮へい容器32内に搬入される。除染装置71は、支持部材42の上端部に取り付けられた伸縮管71B及び作業アーム71Cを有する。噴射ノズル71Dが作業アーム71Cの先端に取り付けられる。隔離チャンバー40には、前述したように、ドア40Bによって開閉される開口部40Eが形成されている。隔離チャンバー40が側壁63付近まで移動された後、ドア40B,64A及び64Bがそれぞれ移動され、開口部40E及び63Aが開放される。
伸縮管71Bが開口部40E及び63Aを通して原子炉ウェル25に向かって伸ばされ、作業アーム71C及び噴射ノズル71Dが原子炉ウェル25内で格納容器ヘッド18の下端と保温材30の頂部の間に達する。作業アーム71Cを操作し、噴射ノズル71Dの噴射口を格納容器ヘッド18の内面に対向させる。噴射ノズル71Dから水を噴射させ、伸縮管71B及び作業アーム71Cを操作しながら格納容器ヘッド18の内面の除染を実施する(図29参照)。さらに、噴射ノズル71Dから噴射される水により保温材30の表面の除染も実施する。噴射ノズル71Dから噴射された洗浄水は、格納容器ヘッド18の内面及び保温材30の表面を洗浄しながらバッフルプレート76上に落下し、バッフルプレート76上に溜まる。バッフルプレート76上に溜まった水は、前述したように、ポンプ及び排水ホースを用いて隔離チャンバー40内の排水タンクに回収される。
格納容器ヘッド18等の除染が終了した後、除染装置71の作業アーム71C及び噴射ノズル71Dが隔離チャンバー40内に収納され、ドア40B,64A及び64Bがそれぞれ閉じられる。除染装置71を収納した隔離チャンバー40が、天井クレーン50Bに吊り下げられて空間53Bに引き上げられ、隔離ハウス49の外部で運転床24上に移動され、そして、クローラクレーンにより地上に搬送される。
天井クレーン50Aにより、除染された格納容器ヘッド18を空間53Aまで移動させる。その後、複数の放射線遮へい体59が、ステップS9と同様に、原子炉ウェル25を覆うように、隔離ハウス49内の空間53Aの底面上に取り外し可能に設置される(図30参照)。格納容器ヘッド18を覆っている各遮へい袋48内の水を空間53A内に放出出する(図30参照)。空間53A内で、切断された格納容器ヘッド18及び吊り天秤66を隔離フィルム54で包み込み(図30参照)、包み込んで絞った隔離フィルム54を溶着させ、溶着した部分で隔離フィルム54を切断する。隔離フィルム54で包み込まれた格納容器ヘッド18及び吊り天秤66は、開口部60Aを通して空間53B内に移送され、さらに、隔離ハウス49外で運転床24上に搬送され、地上に下される。
次に、原子炉ウェル25内に配置されている機器である保温材30の取り外し及び搬出を説明する。保温材30の取り外し及び搬出には、吊り天秤66の替りに、図54に示すような保温材30用の放射線遮へい吊り天秤装置74が用いられる。
放射線遮へい吊り天秤装置74の詳細構造を、図54を用いて説明する。放射線遮へい吊り天秤装置74は、放射線遮へいカバー74A、掴み具75C及び75D及び切断機125を有する。放射線遮へいカバー74Aは天井部74B及び天井部74Bに取りつけられた円筒状の側壁部74Cを含んでいる。放射線遮へいカバー74Aの天井部74B及び円筒状の側壁部74C内は、それぞれ空間になっており、これらの空間には水が充填されている。各空間に水が充填されることによって、放射線遮へいカバー74Aは放射線遮へい機能を有する。切断機125は、円筒状の側壁部74Cの下面に取り付けられたリング状のガイドレール(図示せず)に移動可能に取り付けられる。保温材30の水平方向における幅が格納容器ヘッド18の外径よりも小さいので、保温材30用の放射線遮へい吊り天秤装置74における円筒状の側壁部74Cの内径は、図54に示す格納容器ヘッド18用の放射線遮へい吊り天秤装置74における円筒状の側壁部74Cの内径よりも小さくなっている。
放射線遮へい吊り天秤装置74は、空間53Aに搬入され、図54に示されるように、天井クレーン50Aに吊り下げられる。その後、放射線遮へい吊り天秤装置74が、天井クレーン50Aに吊り下げられて空間53Aから原子炉ウェル25に向かって下降され、開閉式で広げられた隔離シート54の間を通って原子炉ウェル25内に下降される。さらに、円筒状の側壁部74Cの下面がバッフルプレート76付近に達するまで、放射線遮へい吊り天秤装置74が下降され、保温材30が円筒状の側壁部74C内に挿入される。このとき、掴み具75C及び75Dのそれぞれは、保温材30の頂部に設けられた一対の吊り具(図示せず)のそれぞれを把持する。この保温材30は、放射線遮へい吊り天秤装置74によって覆われる。切断機125が、放射線遮へい吊り天秤装置74の円筒状の側壁部74Cの下面に取り付けられたリング状のガイドレールに沿って移動しながら保温材30をバッフルプレート76付近で切断する。切断機125がそのリング状のガイドレールを一周することによって、保温材30の下端部が完全に切断される。
保温材30が切断される間、放射線遮へい吊り天秤装置74が保温材30を覆っているため、原子炉圧力容器3から上方に向かって放射される放射線が、内部に水が充填された放射線遮へい吊り天秤装置74によって遮へいされる。このため、空間53A及び53B内の線量を低減することができる。
切断された保温材30が天井クレーン50Aにより空間53Aまで移動された後、保温材30及び放射線遮へい吊り天秤装置74を隔離フィルム54で包み込み、包み込んで絞った隔離フィルム54を溶着させ、溶着した部分で隔離フィルム54を切断する。隔離フィルム54で包み込まれた保温材30及び放射線遮へい吊り天秤装置74は、開口部60Aを通して空間53B内に移送され、さらに、隔離ハウス49外で運転床24上に搬送され、地上に下される。
以上により、ステップS10の原子炉ウェル内の機器の取り外し及び搬出が終了する。
バッフルプレートの取り外し、及び圧力容器支持梁及び放射線遮へい板の取り付けを実施する(ステップS11)。このステップS11の工程では、吊り天秤装置127が用いられる。吊り天秤装置127は前述の放射線遮へい吊り天秤装置74、及び吊り天秤66を有する。吊り天秤66が放射線遮へい吊り天秤装置74に吊り下げられる。この吊り天秤66は天井部74Bの下方で円筒状の側壁部74C内に配置され、吊り天秤66の上面に設けられた一対の吊り具のそれぞれが放射線遮へい吊り天秤装置74に設けられた吊り装置75Aの掴み具75C及び吊り装置75Bの掴み具75Dのそれぞれによって把持される。吊り天秤66には、下端部に掴み具67Aが取り付けられた吊り装置66A及び下端部に掴み具67Bが取り付けられた吊り装置66Bが取り付けられる。
吊り天秤装置127は、隔離ハウス49の外部から空間53Bを介して空間53A内に搬入され、天井クレーン50Aに吊り下げられる。ステップS10における、放射線遮へい吊り天秤装置74と同様に、円筒状の側壁部74Cの下面がバッフルプレート76付近に達するまで、吊り天秤装置127が天井クレーン50Aにより原子炉ウェル25まで下降される(図31参照)。このとき、放射線遮へい吊り天秤装置74は原子炉ウェル25内の圧力容器ヘッド4を覆う。
吊り天秤装置127が図31に示すように原子炉ウェル25内に配置された状態で、放射線遮へいプレート79及び支持梁部材80を収納した搬入された隔離チャンバー40を、図示されていないが、放射線遮へい容器32内に搬入する。隔離チャンバー40内には、伸縮管及び伸縮管の先端部に掴み具を取り付けた把持装置(図示せず)が収納されている。この掴み具で放射線遮へいプレート79を掴み、隔離チャンバー40内のドア64A及び64Bを開いて把持装置の伸縮管を伸ばして放射線遮へいプレート79を掴んでいる掴み具を原子炉ウェル25内のバッフルプレート76の上方まで移動させる。そして、この放射線遮へいプレート79はバッフルプレート76の上に置かれる。隔離チャンバー40内の支持梁部材80も、掴み具で掴まれて同様にドライウェル25内まで移送され、バッフルプレート76の上に置かれる。
設置されている一部のバッフルプレート76が掴み具67Bに把持されて取り外される(図31参照)。設置されているバッフルプレート76上の放射線遮へいプレート79は、掴み具67Bに把持されて原子炉圧力容器3と原子炉格納容器17の間の領域まで下降され、そして、原子炉圧力容器3及び原子炉格納容器17に取り付けられる(図32参照)。他のバッフルプレート76も掴み具67Aに把持されて取り外される。取り外された各バッフルプレート76は、隔離チャンバー40内の把持装置の掴み具によって把持され、隔離チャンバー40内に移送されて隔離チャンバー40内に収納される。掴み具67Aに把持された放射線遮へいプレート79を、掴み具67Aに把持されて取り外されたバッフルプレート76の位置において、原子炉圧力容器3と原子炉格納容器17の間の領域まで下降させ、この放射線遮へいプレート79が原子炉圧力容器3及び原子炉格納容器17に取り付けられる(図33参照)。さらに、設置されているバッフルプレート76上の支持梁部材80は、掴み具67Bに把持されて下降され、放射線遮へいプレート79の上方で原子炉圧力容器3及び生体遮へい体100に設置される(図33参照)。掴み具67Aに把持されて取り外されたバッフルプレート76の位置において、掴み具67Aに把持された支持梁部材80を下降させ、この支持梁部材80が放射線遮へいプレート79の上方で原子炉圧力容器3及び生体遮へい体100に設置される(図34参照)。
原子炉圧力容器3と原子炉格納容器17の間の領域に配置されて原子炉圧力容器3及び原子炉格納容器17に取り付けられた複数の放射線遮へいプレート79は、原子炉圧力容器3と原子炉格納容器17の間の領域を封鎖しており、原子炉格納容器17から原子炉ウェル25に向かう放射線を遮へいし、さらに、原子炉格納容器17から原子炉ウェル25に向かう放射性ダストの上昇を防止する。原子炉圧力容器3と生体遮へい体100の間の領域に配置されて原子炉圧力容器3及び生体遮へい体100に取り付けられた複数の支持梁部材80は、原子炉圧力容器3と生体遮へい体100の間の領域を封鎖しており、原子炉圧力容器3を生体遮へい体100から支持する。これは原子炉圧力容器3を支持するペデスタル15のコンクリート支持体の強度に万一支障があった場合の対応として、原子炉圧力容器3の下方への落下防止を考慮したものである。
隔離容器を設置する(ステップS12)。ステップS11の工程が終了した後、隔離容器81が、原子炉ウェル25から空間53Aに亘って配置される(図35参照)。隔離容器81の構成を、図35を用いて説明する。隔離容器81は上部円筒部材81A、中間円筒部材81B及び下部円筒部材81Cを有し、上部円筒部材81Aの上端が円板であるカバー部材81Dで封鎖されている。内部に遮へい袋86が設置された下部円筒部材81Cが原子炉ウェル25内において支持梁部材80上に設置される。内部に遮へい袋85が設置された中間円筒部材81Bが、下部円筒部材81Cの上端に置かれ、下部円筒部材81Cに結合される。内部に保持部材82及び支持部材82Aが配置された、カバー部材81Dで封鎖された上部円筒部材81Aが、中間円筒部材81Bの上端に置かれ、中間円筒部材81Bに結合される。中間円筒部材81Bが通る開口部が形成された放射線遮へい板91が床部材58上に設置され、この放射線遮へい板91は中間円筒部材81Bの部分を除いて床部材58に形成された開口部58Aを覆っている。
さらに、搬出入エアロック89が原子炉ウェル25内に配置され、搬出入エアロック89の一端が放射線遮へい容器32の側壁63に取り付けられる。搬出入エアロック89の、放射線遮へい容器32側の一端には、開閉扉89Aが取り付けられる。搬出入エアロック89の他端が下部円筒部材81Cに取り付けられる。搬出入エアロック89の、下部円筒部材81C側の他端部には、開閉扉89Bが取り付けられる。搬出入エアロック89内の空間89Cは、開閉扉89Aを開くことにより放射線遮へい容器32内と連絡され、開閉扉89Bを開くことにより下部円筒部材81C内と連絡される。
搬出入エアロック90が空間53A内で放射線遮へい板91上に配置され、搬出入エアロック90の一端が中間円筒部材81Bに取り付けられる。搬出入エアロック90の、中間円筒部材81B側の一端には、開閉扉90Aが取り付けられる。搬出入エアロック90の他端部には、開閉扉890Bが取り付けられる。搬出入エアロック90内の空間90Cは、開閉扉90Aを開くことにより中間円筒部材81B内と連絡され、開閉扉90Bを開くことにより隔離ハウス49内の空間53Aと連絡される。
搬出入エアロック89の内面の頂部付近に散水装置(図示せず)が設置され、搬出入エアロック90の内面の頂部付近に散水装置(図示せず)が設置される。さらに、搬出入エアロック89には空間89C内の空気を入れ替える空気入替装置(図示せず)が設置され、搬出入エアロック90にも空間90C内の空気を入れ替える空気入替装置(図示せず)が設置される。
カバー部材81Dで封鎖された上部円筒部材81A、中間円筒部材81B及び下部円筒部材81Cが上記のように結合されて、さらに搬出入エアロック89の開閉扉89A及び搬出入エアロック90の開閉扉90Aがそれぞれ取り付けられたとき、上部円筒部材81A、中間円筒部材81B及び下部円筒部材81Cが結合されて形成される隔離容器81内には、密封空間93が形成される。
中間円筒部材81B及び下部円筒部材81Cのそれぞれは、遮へい袋85及び86内に水が充填されていない状態で原子炉ウェル25及び空間53Aに搬入される。遮へい袋85及び86内に水が充填されていないために中間円筒部材81B及び下部円筒部材81Cは軽くなり、中間円筒部材81B及び下部円筒部材81Cの原子炉ウェル25及び空間53Aへの搬入は容易である。遮へい袋85及び86内への水の供給は、隔離容器81が原子炉ウェル25及び空間53A内で組み立てられた後に、隔離ハウス49の外部に存在する補給水系統に接続された給水ホースを用いて行われる。内部に水が充填された遮へい袋85及び86のそれぞれは、放射線遮へい体である。内部に水が充填された遮へい袋85は隔離容器81内で搬出入エアロック90の開閉扉90Aに対向するように配置され、内部に水が充填された遮へい袋86は隔離容器81内で搬出入エアロック89の開閉扉89Bに対向して圧力容器ヘッド4を覆って配置される。内部に水が充填された遮へい袋85及び86のそれぞれには、遮へい袋48と同様に、貫通孔85A及び86Aがそれぞれ形成されている。この貫通孔85Aは遮へい袋85の部材で取り囲まれており、貫通孔85A内には遮へい袋85内の水が流出しない。貫通孔85Aは水が充填されて膨張した遮へい袋85によって封鎖されている。遮へい袋86の貫通孔86Aも同様な構造になっている。
棒状の支持部材82Aが水平方向に配置されて上部円筒部材81Aの内面に取り付けられる。保持部材82は支持部材82Aに設置されている。隔離シート84が、上部円筒部材81Aの下端に取り付けられ、上部円筒部材81A内の空間を中間円筒部材81B内の空間から隔離している。昇降装置(例えば、ホイスト)83がワイヤー128により保持部材82に保持される。このワイヤー128は隔離シート84を貫通しており、ワイヤー128と隔離シート84の間は気密性を保つために、シールされている。この隔離シートは、蛇腹形状に折りたたまれたもので、ワイヤーの下降、上昇に応じて伸縮できる構造としている。圧力容器ヘッドを取り外す(ステップS13)。圧力容器ヘッド4は複数のボルトによって原子炉圧力容器3のフランジに取り付けられているので、圧力容器ヘッド4を原子炉圧力容器3から外すためにはそれらのボルトを取り外す必要がある。それらのボルトの取り外しの概略を説明する。これらのボルトの取り外しには、スタットボルトテンショナーが用いられる。図示されていないが、スタットボルトテンショナー、半割の一対のガイドレール及びマニピュレータ装置(図示せず)を収納した隔離チャンバー40が、開口部36A及び放射線遮へい容器32内の空間37を介して、開閉扉89Aを開けることにより、搬出入エアロック89内の空間89Cに搬入される。このとき、開閉扉89Bは閉じている。マニピュレータ装置は、実質的には、ステップS5で用いられる遮へい体搬送装置47と同じ構成を有する。マニピュレータ装置は、支持部材42の上端部に取り付けられたスライド機構45B、伸縮管45A及び多関節の作業アーム45Cを有する。掴み具47Aが作業アーム45Cの先端に取り付けられる。
掴み具47Aで隔離チャンバー40内の半割の一つのガイドレールを掴んだ後、開閉扉89Bを開いて、スライド機構45B及び伸縮管45Aを下部円筒部材81C内で水が充填された遮へい袋86の下方に向かって移動される。作業アーム45Cを曲げて伸ばし、掴み具47Aに掴まれた半割のガイドレールを、その遮へい袋86の下方であって圧力容器ヘッド4のフランジよりも上方で下部円筒部材81Cの内面と圧力容器ヘッド4の外面の間であって開閉扉89Bとは180°反対側の位置に配置する。この半割のガイドレールの下面には複数の支持部材が取り付けられており、ガイドレールはこれらの支持部材によって支持梁部材80上に支持される。もう一つの半割のガイドレールも、マニピュレータ装置により、その遮へい袋86の下方で下部円筒部材81Cの内面と圧力容器ヘッド4の外面の間であって開閉扉89B側の位置に配置される。二つの半割のガイドレールは互いに連結される。マニピュレータ装置を用いて、ガイドレールにはスタットボルトテンショナーの保持部を有する移動装置が取り付けられ、この保持部にスタットボルトテンショナーが取り付けられる。移動装置の駆動によりスタットボルトテンショナーが圧力容器ヘッド4と原子炉圧力容器3を結合しているボルトの上方に移送され、このボルトがスタットボルトテンショナーにより取り外される。このようにして、圧力容器ヘッド4と原子炉圧力容器3を結合しているボルトが順次取り外される。そして、圧力容器ヘッド4と原子炉圧力容器3の結合が解除される。取り外された各ボルトは、マニピュレータ装置により隔離チャンバー40内に回収される。その後、スライド機構45B及び伸縮管45Aが縮められ、掴み具47Aも隔離チャンバー40内に収納される。
開閉扉89Bが閉じられ、隔離チャンバー40に設けられたドアも閉じられる。搬出入エアロック89の空気入替装置により、空間89C内の空気を外部に排出して外部の清浄な空気を空間89C内に供給する。空気入替装置は浄化装置を含んでおり、空間89Cから排出される空気に含まれた放射性物質がその浄化装置で除去される。搬出入エアロック90内の散水装置から隔離チャンバー40に水を掛け、付着している放射性物質を洗い流す。この水は搬出入エアロック89に設けられた排水装置に排出される。そして、その隔離チャンバー40は、開閉扉89Aを開いて放射線遮へい容器32内の空間37に移送され、開閉扉89Aを閉じた後、開口部36A等を通って隔離ハウス49外に搬送される。
圧力容器ヘッド4と原子炉圧力容器3を結合するボルトを取り外している間に、掴み具(図示せず)が昇降装置83に巻き付けられたワイヤー87の先端に取り付けられる。ワイヤー87は水が充填された遮へい袋85の貫通孔85A及び水が充填された遮へい袋86の貫通孔86Aを通って圧力容器ヘッド4の頂部付近に達しており、ワイヤー87に取り付けられた掴み具が圧力容器ヘッド4の頂部に取り付けられた吊り具88を把持する。
圧力容器ヘッド4と原子炉圧力容器3の結合が解除された後、昇降装置83を駆動してワイヤー87を巻き取ることによって、圧力容器ヘッド4が、上昇して水が充填された遮へい袋86の貫通孔86A内に挿入される(図36参照)。圧力容器ヘッド4が貫通孔86A内を上昇するに伴って、遮へい袋86内で圧力容器ヘッド4よりも上方に存在する水が、遮へい袋86内で圧力容器ヘッド4よりも下方に移動する。このため、圧力容器ヘッド4が、水が充填された遮へい袋86の貫通孔86A内を容易に上昇することができ、遮へい袋86の下端の位置が蒸気乾燥器12の上端付近まで下降する。水が充填された遮へい袋86は、蒸気乾燥器12よりも下方の原子炉圧力容器3内からの放射線を遮へいする。
圧力容器ヘッド4が密封空間93内で水が充填されて遮へい袋85と水が充填されて遮へい袋86の間まで上昇したとき、圧力容器ヘッド4の内面(下面)の除染が実施される(図37参照)。図29に示された格納容器ヘッド18の内面の除染と同様に、除染装置71を収納した隔離チャンバー40が、開口部36Aを介して放射線遮へい容器32内に搬入され、さらに、開閉扉89Aを開いて搬出入エアロック89内の空間89C内に移動される。開閉扉89Aが閉められ、開閉扉89Bの一部である上端部が開けられる。除染装置71の伸縮管71Bが空間93内で圧力容器ヘッド4と遮へい袋86の間に挿入される。作業アーム71Cを操作して噴射ノズル71Dを圧力容器ヘッド4の内面に対向させ、噴射ノズル71Dから水を噴射させる。噴射ノズル71Dから水を噴射しながら伸縮管71B及び作業アーム71Cを操作して圧力容器ヘッド4の内面の除染を実施する(図37参照)。圧力容器ヘッド4の内面に当たって落下する水は、作業アーム71Cに取り付けられた洗浄水受け皿(図示せず)に受けられて、前述したように、隔離チャンバー40内の排水タンクに回収される。なお、圧力容器ヘッド4の除染は、遮へい袋86の下面で実施しても良い。この場合は、圧力容器ヘッド4の下面がドライヤ12の上端よりも除染装置71を挿入可能な空間を考慮した上方位置に引上げたときに、その下面に作業アーム71Cを設定し噴射ノズル71Dで除染する。その後、遮へい袋86を通過して引上げる。圧力容器ヘッド4の内面の除染が終了した後、伸縮管71B、作業アーム71C及び噴射ノズル71Dが隔離チャンバー40内に収納され、開閉扉89Bが完全に閉じられる。隔離チャンバー40は、搬出入エアロック89内の空間89Cから開口部36Aを通って地上に搬送される。
遮へい袋85内の水の一部を放出して内部に水が存在する状態で遮へい袋85の厚みを薄くする。昇降装置83を駆動して圧力容器ヘッド4を開閉扉90Aに対向する位置まで上昇させる(図38参照)。その後、開閉扉90Aを開いて圧力容器ヘッド4を空間89C内に移送して開閉扉89Aを閉じる。開閉扉90Aを開くことにより空間89Cに放射性物質が流入する可能性が有る。このため、搬出入エアロック90の空気入替装置により、空間90C内の空気を外部に排出して外部の清浄な空気を空間90C内に供給する。空気入替装置は浄化装置を含んでおり、空間90Cから排出される空気に含まれた放射性物質がその浄化装置で除去される。圧力容器ヘッド4は空間90Cに搬入される前に除染されているが、空間90Cに搬入された後、再度、搬出入エアロック90内の散水装置から圧力容器ヘッド4に水を掛け、付着している放射性物質を洗い流す。この水は、搬出入エアロック90に設けられた排水装置に排出される。そして、開閉扉90Bを開いて圧力容器ヘッド4を空間53A内に移送し、この圧力容器ヘッド4は所定の保管場所に保管される。開閉扉90Bは閉じられる。
本実施例では、原子炉ウェル25及び隔離ハウス49内の空間53Aに、圧力容器ヘッド4を覆うように隔離容器81を配置し、圧力容器ヘッド4の取り外しによる原子炉の開放を内部容積の小さい隔離容器81内で行うため、圧力容器ヘッド4が取り外された原子炉圧力容器3内から放射性物質が放出されたとしても、この放射性物質により汚染される領域は、隔離容器81内に制限され、容積の大きな原子炉ウェル25及び隔離ハウス49内がその放射性物質により汚染されることを防止することができる。
隔離容器81内には、水が充填された遮へい袋85及び86が配置されるため、原子炉圧力容器3内から放射される放射線を遮へい袋85及び86によって遮へいすることができる。このため、隔離ハウス49内の線量、例えば、空間53A内の線量は、原子炉圧力容器3内からの放射線の影響を受けず、低い値に抑制することができる。空間53A内で作業を行う作業員の被ばくを著しく低減することができる。
隔離容器81内の機器(例えば、圧力容器ヘッド4等)の隔離容器81外への搬出、及び隔離容器81内への物品の搬入は、搬出入エアロック89及び90を通して行われるため、隔離容器81内の放射性物質を含む空気の外部環境への放出を防ぐことができる。特に、搬出入エアロック89及び90のそれぞれは、散水装置及び空気入替装置を備えているため、放射性物質の外部環境への放出を防ぐことができる。
以上により、原子炉圧力容器を開放する方法における原子炉開放作業が終了し、原子炉圧力容器を開放する方法の全ての工程が終了する。
図4を用いて、燃料デブリ取出し方法における、前述した原子炉圧力容器を開放する方法の各工程以外の各工程を以下に説明する。これらの工程は、原子炉格納容器の底部に落下した燃料デブリの取出し作業及び原子炉内の燃料デブリの取出し作業の各工程を含んでいる。原子炉格納容器の底部に落下した燃料デブリの取出し作業に関するステップS17〜S20の各工程及び原子炉内の燃料デブリの取出し作業のステップS21及びS22の各工程は、原子炉内の燃料デブリの取出し作業のステップS15(原子炉圧力容器3の下鏡部に貫通孔形成)の工程を開始する前に終了しなければならない。このため、原子炉格納容器の底部に落下した燃料デブリの取出し作業は、前述の原子炉開放作業と並行に実施される。また、場合によっては、原子炉格納容器の底部に落下した燃料デブリの取出し作業のステップS17の作業は、原子炉開放作業の前の準備作業において開始しなければならない。
原子炉格納容器の底部に落下した燃料デブリの取出し作業について説明する。この燃料デブリの取出し作業では、特開2014−70946号公報に記載された第1放射線遮へい室の構築(ステップS1)、孔開け装置の第1放射線遮へい室内への移動(ステップS2)、及び原子炉建屋23の側壁への貫通した開口部の形成(ステップS3)が順次実施される。
その後、図4に示された、本実施例における原子炉建屋内の干渉物の除去が行われる(ステップS17)。このステップS17の工程では、特開2014−70946号公報の段落0031及び0032に記載された原子炉建屋内の干渉物の除去(ステップS4)の作業と同様な作業が行われる。生体遮へい体100に形成された制御棒駆動機構ハッチ104(図47参照)に対向する作業ハウス101(特開2014−70946号公報に記載された第2放射線遮へい室47及び部屋48に相当)を原子炉建屋23内で組み立てるために障害となる各干渉物が、特開2014−70946号公報に記載された干渉物除去装置を用いて除去される。この除去された干渉物を収納した収納容器は、例えば、放射性廃棄物処理建屋内の所定の領域に移送される(段落0033)。
原子炉建屋内に作業ハウスを設置する(ステップS18)。本実施例のステップS18の工程では、特開2014−70946号公報の段落0034〜0040に記載された各作業が行われ、作業ハウス101が原子炉建屋23内に設置される。本実施例のステップS18の工程で設置された作業ハウス101を、図47を用いて説明する。この作業ハウス101は、放射線遮へい材である鉄板を用いて構築される。空間101A及び101Bを内部に有する作業ハウス101が、原子炉建屋23内で生体遮へい体100に形成された制御棒駆動機構ハッチ104付近に構築される。作業ハウス101は、対向する両側壁を鉄板である2枚の放射線遮へい体(図示せず)、天井を鉄板である放射線遮へい体101F及び床を鉄板である放射線遮へい体(図示せず)で構成しており、これらの放射線遮へい体を互いに結合して形成される。これらの放射線遮へい体で取り囲まれた内部の領域を、下部に開口部が形成された、鉄板である放射線遮へい体101Dで仕切ることにより空間101A及び101Bが形成される。放射線遮へい体101Dは、生体遮へい壁100の外面に対向しており、両側壁、天井及び床になる各放射線遮へい体に溶接にて接合される。放射線遮へい体101Dの開口部には、内部に除染装置(図示せず)が設けられた搬出入エアロック101Eが取り付けられる。搬出入エアロック101Eは空間101A及び101Bのそれぞれの端部に開閉扉(図示せず)が取り付けられる。放射線遮へい体101Dに対向して鉄板である放射線遮へい体101Cが配置され、放射線遮へい体101Cが、放射線遮へい体101Dが取り付けられる各放射線遮へい体に溶接にて接合される。
制御棒駆動機構ハッチ104に連絡される空間101Bが放射線遮へい体101Dと生体遮へい壁100の間に形成され、空間101Aが放射線遮へい体101Dと放射線遮へい体101Cの間に形成される。ガイドレール102A及びこのガイドレール102Aに沿って移動する吊り装置102Bを含む搬送装置102が、放射線遮へい体101F付近で空間101A内に設置される。ガイドレール102Aが放射線遮へい体101C及び101Dに取り付けられる。ガイドレール103A及びこのガイドレール103Aに沿って移動する吊り装置103Bを含む搬送装置103が、放射線遮へい体101F付近で空間101B内に設置される。ガイドレール103Aが放射線遮へい体101C及び生体遮へい壁100に取り付けられる。放射線遮へい体101Cには、特開2014−70946号公報に記載されたアクセス通路が接続される(段落0040参照)。
原子炉格納容器内のアクセスルートを確保する(ステップS19)。本実施例のステップS19の工程では、特開2014−70946号公報に記載された多関節アクセス装置が上記のアクセス通路を通って空間101Bまで移動される。この多関節アクセス装置の多関節アームを、制御棒駆動機構ハッチ104を通して原子炉格納容器17内に挿入する。多関節アームの先端部に取り付けられた掴み具を用いて、原子炉格納容器17内の搬送装置106(図47参照)を設置する領域に散在する落下物(機器の一部及び保温材等)、原子炉格納容器17内におけるその多関節アームの操作を妨げる干渉物及び原子炉格納容器17内における、図47に示す搬送装置106の設置を妨げる干渉物を除去する。多関節アームに取り付けられた掴み具により落下物または干渉物を掴んで空間101B内に取り出し、搬送容器113内に収納する。この搬送容器113は、搬出入エアロック101E及び空間101Aを介して前述のアクセス通路を通って、放射性廃棄物処理建屋内の所定の領域に移送される。このようにして、原子炉格納容器17内の搬送装置106内のその領域に存在する全ての落下物がその所定の領域に移送される。
ペデスタル内で原子炉格納容器の底部に落下した燃料デブリを取り出す(ステップS20)。空間101B内に存在する多関節アクセス装置の上記多関節アームの先端部に破砕機と掴み具を交互に取り付け、多関節アームを、制御棒駆動機構ハッチ104及びペデスタル15に形成されたペデスタル開口部105のそれぞれを通して下部プレナム20内に挿入する。多関節アームの先端部に取り付けた破砕機で、下部プレナム20内で原子炉格納容器17の底部に落下した燃料デブリ39B(図1参照)を破砕する。燃料デブリ39Bをある程度破砕した後、多関節アームの先端部に取り付けた破砕機を掴み具に取り換え、この掴み具によって燃料デブリ39Bの破砕片を掴み、この破砕片を下部プレナム20から空間101Bに取り出し、空間101B内の搬送容器113に収納する。燃料デブリ39Bの破砕片が収納された搬送容器113は、搬出入エアロック101E、空間101A及び前述のアクセス通路を通って、所定の保管領域まで搬送される。ステップS20の、原子炉格納容器17の底部に落下した燃料デブリ39Bの取出しは、具体的には、特開2014−70946号公報の段落0046〜0054に記載されている。
以上により、原子炉格納容器の底部に落下した燃料デブリの取出し作業が終了する。この燃料デブリの取り出し作業では、特開2014−70946号公報の実施例1で生じる各効果を得ることができる。その後、原子炉内の燃料デブリの取出し作業が開始される。
ステップS20の工程が終了した後、原子炉格納容器内に搬送装置を設置する(ステップS21)。ステップS21では、図47に示される搬送装置106を、ステップS19により落下物及び干渉物が除去された、原子炉格納容器17内でペデスタル15の外部に設置する。
搬送装置106は、図47に示すように、複数の連結部材106A、少なくとも4本の支柱106C、ガイドレール160D及び吊り装置106Bを有する。各支柱106Cは、原子炉格納容器17内で制御棒駆動機構ハッチ104及びペデスタル開口部105付近に配置されている水平梁133に設置される。各支柱106Cの上端部は、複数の連結部材106Aでそれぞれ結合される。ガイドレール160Dが一つの連結部材10Aに取り付けられ、吊り装置106Bがガイドレール160Dに移動可能に取り付けられる。このような搬送装置106の原子炉格納容器17内での組み立ては、空間101B内に存在する多関節アクセス装置を用いて行われる。ベルトコンベア112が、制御棒駆動機構ハッチ104内に設置され、原子炉格納容器17内の、搬送装置106の設置場所から空間101B内まで伸びている。
緩衝装置及び搬出装置を設置する(ステップS22)。空間101B内に存在する多関節アクセス装置の多関節アームの先端部に取り付けた掴み具を用いて緩衝装置109を掴み、多関節アームを操作して緩衝装置109を制御棒駆動機構ハッチ104及びペデスタル開口部105を通して下部プレナム20内に搬入する。緩衝装置109は、水を注入する袋であり、下部プレナム20内への搬入時にはその袋内には水が充填されていない。水が充填されていないため、緩衝装置109の下部プレナム20内への搬入は容易に行われる。緩衝装置109が下部プレナム20内に搬入された後、緩衝装置109、すなわち、袋内に水が充填される。この結果、水が充填された緩衝装置109が、図47に示すように、下部プレナム20内で原子炉格納容器17の底部に設置される。水が充填された緩衝装置109の上面には、ペデスタル開口部105に向かって傾斜する傾斜面107が形成される。
搬出装置116が、ペデスタル開口部105付近でベデスタル15の外面側で原子炉格納容器17内に設置される(図47及び図48参照)。搬出装置116は、支持部材110、カート114、分岐カート115A〜115C及び収納容器受台119を有する。カート114は、ベデスタル15に形成されたペデスタル開口部105内に配置され、ペデスタル15に取り付けられる。カート114は、下部プレナム20からペデスタル15の外側に向かって傾斜面107と同じ角度で傾斜している。分岐カート115A〜115Cのそれぞれは、ベデスタル15の外部で原子炉格納容器17内に配置され、カート114の先端部に、回転可能で折り曲げられるように設置されている。分岐カート115A〜115Cのそれぞれの出口には、開閉可能なシャッタ(図示せず)が取り付けられており、各シャッタは分岐カート115A〜115Cのそれぞれの出口の開閉を行う。板状の支持部材110が、ペデスタル開口部105よりも下方で、ベデスタル15の外面に取り付けられている。収納容器111が載せられる収納容器受台119が、バネ120を介して支持部材110の上面に取り付けられる。搬出装置116は、カート114の先端部に取り付けられる支持部材の下面に滑車117A及び117Bを回転可能に取り付けており、ワイヤー118がこれらの滑車117A及び117Bに掛けられ、ワイヤー118の一端部が収納容器受台119に取り付けられ、このワイヤー118の他端部が分岐カート115Aに取り付けられている。滑車117A及び117B、ワイヤー118、収納容器受台119及びバネ120は、分岐カート115B及び115Cのそれぞれに対しても同様に設けられる。収納容器受台119は、分岐カート115A〜115Cのそれぞれの出口の真下に配置される。搬出装置116は、搬送装置106と同様に、空間101B内に存在する多関節アクセス装置を用いて組み立てられ、収納容器11の移送を搬送装置106に委ねられるように配置される。
緩衝装置109の傾斜面107には、ペデスタル開口部105に向かって幅が徐々に狭くなるように、対向する一対のガイド部材が配置される。これらのガイド部材の設置により、原子炉圧力容器3からその傾斜面上に落下した炉内構造物の切断片等のカート114への移動が円滑に行われる。
次に、蒸気乾燥器及び気水分離器の取出しについて説明する。圧力容器ヘッド4の取出し(ステップS13)が終了した後、蒸気乾燥器及び気水分離器の取出しが行われる(ステップS14)。まず、蒸気乾燥器12が原子炉圧力容器3から容易に取り外しできる場合における蒸気乾燥器12の取出しを、図39〜図41を用いて以下に説明する。
図39には図示されていないが、ステップS13で用いられたマニピュレータ装置、及び吊り天秤92を収納した隔離チャンバー40を、開口部36Aを通して放射線遮へい容器32内の空間37に搬入し、さらに、開閉扉89Aを開けて搬出入エアロック89内に移送する。隔離チャンバー40が搬出入エアロック89内に移送された後、開閉扉89Aを閉じて開閉扉89Bを開ける。マニピュレータ装置の掴み具47Aで隔離チャンバー40内の吊り天秤92を掴み、その後、スライド機構45B及び伸縮管45Aを伸ばして吊り天秤92を隔離容器81内の空間93に搬入する。吊り天秤92を蒸気乾燥器12上に置いた後、吊り天秤92から掴み具47Aを離し、この掴み具47Aで吊り天秤92の吊り具を掴んで持ち上げる。昇降装置83に接続されているワイヤー87に取り付けられた掴み具が吊り天秤92の吊り具を把持する。
マニピュレータ装置の作業アーム45C及び掴み具47Aが隔離チャンバー40内に収納された後、開閉扉89Bが閉じられ、空間89Cの空気が空気入替装置により清浄な空気と入れ替えられ、そして、搬出入エアロック89内で散水装置から噴射された水が隔離チャンバー40の外面に掛けられて付着している放射性核種が洗い流される。開閉扉89Aが開けられて隔離チャンバー40が空間37に移送され、開閉扉39Aが閉じられる。隔離チャンバー40は、開口部36Aを通って地上に搬送される。
蒸気乾燥器12が原子炉圧力容器3から取り外された後、昇降装置83を駆動してワイヤー87を巻き取る(図39参照)。さらに、ワイヤー87を巻き取ると、蒸気乾燥器12が上昇する。蒸気乾燥器12の下端が搬出入エアロック89の位置まで上昇したとき、蒸気乾燥器12の上昇が停止され、開閉扉89A及び89Bが開けられる。放射線遮へい容器32内に搬入されて放射線遮へい容器32の底面上に置かれていたスライド式台車92を、搬出入エアロック89内を通して下部円筒部材81C内まで移動させる。昇降装置83を駆動してワイヤー87を巻き戻すことにより、蒸気乾燥器12が下部円筒部材81C内でスライド式台車92上に置かれる(図40参照)。開閉扉89A及び89Bが開いているので、下部円筒部材81C内の放射性核種が搬出入エアロック89及び放射線遮へい容器32に拡散する可能性がある。
スライド式台車92を移動させることにより、蒸気乾燥器12が搬出入エアロック89内を通って放射線遮へい容器32内の空間37まで移送される(図40参照)。開閉扉89A及び89Bが閉じられる。前述したように、搬出入エアロック89内の空間89Cの空気が入れ替えられ、搬出入エアロック89内が散水により洗浄される。放射線遮へい容器32内で放射線遮へい板33の下面に散水装置(図示せず)が設置され、放射線遮へい板33に空気入替装置(図示せず)が設置されている。蒸気乾燥器12が放射線遮へい容器32内の空間37に移送され、開閉扉89A及び89Bが閉じられた後に、空気入替装置により放射線遮へい容器32内の空気が清浄な空気と入れ替えられ、散水装置から噴射される水により放射線遮へい容器32の蒸気乾燥器12及びスライド式台車92が洗浄される。放射線遮へい容器32の蒸気乾燥器12及びスライド式台車92が開口部36Aを通して地上まで搬送される。
原子炉圧力容器3内で炉心シュラウド6に取り付けられている気水分離器11も、蒸気乾燥器12と同様に原子炉圧力容器3から取り出され、開口部36Aを通して地上まで搬送される。
蒸気乾燥器12の取り出しにおいて、蒸気乾燥器12が原子炉圧力容器3から取り外せない場合には、前述の蒸気乾燥器12の取り出しの代案として、図42に示す蒸気乾燥器12の取り出しが実施される。この蒸気乾燥器12の取り出しは、蒸気乾燥器12が切断されて切断片として取り出される。その代案を、図42を用いて説明する。
解体装置94が、放射線遮へい容器32内の空間37から搬出入エアロック89を通して下部円筒部材81C内に搬入される。放射線遮へい容器32のドア34は閉じられている。この搬入には、前述のマニピュレータ装置が使用される。解体装置94は、昇降装置83の掴み具に吊り下げられ、原子炉圧力容器3の上部フランジ上に設置される。
解体装置94の構成を以下に説明する。解体装置94は4本の支柱94Bを有し、これらの支柱94Bは水平方向に配置された4本の連結部材94Aのそれぞれによって結合される。先端部に切断機94Dが設けられた、多関節を有するアーム94C、及び先端部に掴み具94Fが設けられた、多関節を有するアーム94Eが、水平方向に伸びる連結部材94Aに移動可能に取り付けられた移動台車に取り付けられる。4本の支柱94Bが原子炉圧力容器3の上部フランジ上に設置される。
さらに、収納容器搬送装置95が放射線遮へい容器32内の空間37から搬出入エアロック89内の空間89Cに搬入される。収納容器搬送装置95は、支持部材を兼ねた収納部95E、収納部95Eを横切って収納部95Eの上端部に取り付けられた水平部材(図示せず)に取り付けられた一対の支持部材95B、及びこれらの支持部材95Bの上端部に取り付けられて水平方向に伸びるガイドアーム95Aを有する。吊り装置95Cが、ガイドアーム95Aに沿って移動可能に、ガイドアーム95Aに取り付けられる。ワイヤー95Dが吊り装置95Cに取り付けられ、吊り具(図示せず)がワイヤー95Dに取り付けられる。
解体装置94において、連結部材94Aに沿って移動する移動台車に取り付けられたアーム94Eの先端部の掴み具94Fを用いて蒸気乾燥器12の切断部分を掴み、その移動台車に取り付けられたアーム94Cの先端部の切断機94Dを用いてその切断部分を切断する。掴み具94Fに掴まれた、蒸気乾燥器12の切断片は、アーム94Eの操作により、収納容器搬送装置95のガイドアーム95Aに沿って移動する吊り装置95に吊り下げられて下部円筒部材81C内に位置する収納容器96内に収納される。切断機94Dによる切断で順次発生する蒸気乾燥器12の切断片は、掴み具94Fに掴まれて、順次、吊り装置95に吊り下げられた収納容器96内に収納される。
収納容器96がそれらの切断片で一杯になったとき、吊り装置95が収納部95Eの真上に移動して吊り下げられているその収納容器96を収納部95E内に吊り降ろし、収納部95E内に収納する。蒸気乾燥器12の切断片が収納された収納容器96が、所定個数、収納部95E内に収納されたとき、開閉扉89Aを開いて、収納容器搬送装置95が搬出入エアロック89から放射線遮へい容器32内の空間37に移動される。吊り装置95Cを用いて収納部95E内の全ての収納容器96を、順次、放射線遮へい容器32の底面に置かれた複数の搬送容器(図示せず)内に移送する。収納部95E内の収納容器96がなくなったとき、収納容器搬送装置95は、再び、搬出入エアロック89内に移動される。下部円筒部材81C内で、蒸気乾燥器12の切断が行われ、その切断片が吊り装置95Cに吊り下げられた収納容器96内に収納され、この収納容器96が収納部95E内に収納される。そして、切断片が収納された収納容器96が、放射線遮へい容器32内の搬送容器に収納される。このような一連の作業は、蒸気乾燥器12の切断が終了するまで行われる。放射線遮へい容器32内で散水装置により洗浄された搬送容器が、開口部36Aを通して外部に搬送される。
蒸気乾燥器12の切断及び搬出が終了した後、解体装置94及び収納容器搬送装置95による原子炉圧力容器3内の気水分離器11の切断及び搬出が蒸気乾燥器12と同様に行われる。
原子炉圧力容器の下鏡部に貫通孔を形成する(ステップS15)。前述のステップS22の工程が終了した後に、ステップS15の工程が開始される。原子炉圧力容器3の下鏡部5への貫通孔129Cの形成には、ボーリング装置129が用いられる(図43参照)。ボーリング装置129として、特開2013−19875号公報の段落0034〜0043及び図6に記載されたボーリング装置が用いられる。原子炉圧力容器3内に配置される円板状の支持装置130Aの上面には第1回転テーブル(図示せず)が回転可能に取り付けられ、第2回転テーブル(図示せず)が第1回転テーブルに偏心して取り付けられる。ボーリング装置129は、第2回転テーブルの上面に設置される。円筒部材130Bが第1および第2回転テーブルを取り囲んで支持装置130Aの上面に取り付けられる。円筒部材130Bの外面と原子炉圧力容器3の内面とのシールを行う一対のリング状のシール部材130Cが円筒部材130Bの外面に取り付けられる。下方からの放射線を遮へいする水が、支持装置130Aの上で円筒部材130Bの内側に充填される。支持装置130Aと第1回転テーブルの間及び第1回転テーブルと第2回転テーブルの間のそれぞれには、その水が漏えいしないようにシールが施されている。
支持部材96が中間円筒部材81Bの内面に取り付けられ、一対の巻取り装置97A及び97Bが支持部材96の上面に設置される。巻取り装置97Aに巻き取られるワイヤー98A及び巻取り装置97Bに巻き取られるワイヤー98Bが、下部円筒部材81Cの内面に設置された、水が充填された遮へい袋85に形成された貫通孔を貫通して遮へい袋85の下方に達し、円筒部材130Bの上面に取り付けられる。支持装置130Aはワイヤー98A及び98Bによって支持される。
ボーリング装置129は、特開2013−19875号公報の段落0034に記載されているように、切削装置129C、支持スタンド129A、一対の第1及び第2のクランプ装置(図示せず)及び延長管供給装置(図示せず)を備える。支持スタンド129Aは、回転テーブル上に設置される。第1のクランプ装置は支持スタンド129Aのマスト部材の下端部に固定される。第2のクランプ装置はマスト部材に上下方向に移動可能に取り付けられた移動テーブルに取り付けられる。切削装置129Cは、特開2013−19875号公報の段落0036に記載されているように、外筒(外刃シャフト)、外刃、内刃及び回転軸(内刃シャフト)を有する。外刃が外筒の下端に設けられ、内刃が外筒内に配置される回転軸の下端に設けられる。延長管供給装置により切削装置129Cの上端に複数の延長管129Bが順番に連結され、切削装置129Cは原子炉圧力容器3の下鏡部5まで下降される。最も上方に位置する延長管129Bは、上記の移動テーブルに取り付けられた支持部材に回転可能に取り付けられた第3のクランプ装置に着脱可能に把持されている。
移動テーブルに取り付けられた支持部材に設置されたモータにより第3のクランプ装置が回転され、延長管129Bが回転される。この結果、切削装置129Cの外筒及び回転軸が回転され、外刃及び内刃により下鏡部5が下方に向かって切削されて下鏡部5に貫通孔132(図47参照)が形成される。下鏡部5上に燃料デブリ39Aが存在する場合には、その貫通孔132は燃料デブリ39Aにも形成される。貫通孔132は燃料デブリ39A及び下鏡部5を貫通して複数個形成される。
ボーリング装置129及び支持装置130Aは、放射線遮へい容器32から搬出入エアロック89を通して出し入れされる。
原子炉圧力容器内の炉内構造物及び燃料デブリを切断する(ステップS16)。原子炉圧力容器3内に存在する炉内構造物である炉心シュラウド6、炉心支持板9、上部格子板10及び制御棒案内管13等の炉内構造物が、図44に示すように、切削装置99により切削される。
支持部材131が、水が充填された遮へい袋85の下方で、中間円筒部材81Bの内面に取り付けられ、一対の巻取り装置97A及び97Bが支持部材96の上面に設置される。巻取り装置97Aに巻き取られるワイヤー98A及び巻取り装置97Bに巻き取られるワイヤー98Bが、切削装置99の本体部99Aの上端にそれぞれ取り付けられる。原子炉圧力容器3内に配置された切削装置99はワイヤー98A及び98Bによって支持される。切削装置99及び支持部材131の原子炉圧力容器3への出し入れは、搬出入エアロック89を通して行われる。
切削装置99の構成を、図45及び図46を用いて説明する。切削装置99は、本体部99A,複数の切削刃99Cが下面に取り付けられた回転体99B,及びはつりヘッド99Dを有する。本体部99A内に設置されたモータ(図示せず)に連結される回転体99Bが、本体部99Aに回転可能に取り付けられる。回転体99Bには、下方に向かって開放される溝99Eが回転体99Bの回転中心を通るように形成される。はつりヘッド99Dは、溝99E内に配置されて半径方向に移動可能に回転体99Bに取り付けられた移動テーブル99Iに取り付けられる。この移動テーブルには、図示されていないが、はつりヘッド99Dを回転させる回転機構及びはつりヘッド99Dを回転体99Bの回転軸方向に移動させる移動機構が移動テーブル99Iに設けられている。はつりヘッド99Dの下面には、ウォータジェット若しくはアブレッシブウォータジェット用の噴射ノズル99F及びレーザヘッド99Gが取り付けられている。
原子炉圧力容器3内で切削装置99の回転体99Bを回転させて複数の切削刃99Cにより上記した各炉内構造物を切削する。炉内構造物の切削は、巻取り装置97A及び97Bを駆動してワイヤー98A及び98Bをそれぞれ巻き戻して切削装置99を下降させながら実施される。切削刃99Cによる炉内構造物の切削を実施しているときは、はつりヘッド99Dは、回転体99Bの下面よりも上方に位置するように、溝99E内に存在する。切削刃99Cによる切削で生じた炉内構造物の切削片は、原子炉圧力容器3内を下鏡部5に向かって落下する。
炉内構造物片及び燃料デブリ片をそれぞれ原子炉圧力容器から下部プレナムに搬出する(ステップS23)。落下した炉内構造物の切削片は、さらに、下鏡部5に形成された複数の貫通孔132からペデスタル15の内側の下部プレナム20内で緩衝装置109の傾斜面107上に落下する。このようにして、炉内構造物の切削片は、原子炉圧力容器3の外部に搬出される。
炉内構造物片及び燃料デブリ片のそれぞれをペデスタルの外部に搬出する(ステップS24)。傾斜面107上に落下した切削片は、傾斜面107上を滑ってペデスタル開口部105に向って移動する。必要に応じて、傾斜面107上を走行するシャベル走行装置108により傾斜面107上に落下した切削片をペデスタル開口部105側に向って押し出す。傾斜面107上を滑る、炉内構造物の切削片は、カート114を経て一つの分岐カート115Aに達する。分岐カート115Aの出口のシャッタは開いており、分岐カート115Aに達した、炉内構造物の切削片は、分岐カート115Aの出口の真下の収納容器受台119上に置かれた収納容器111内に落下する。分岐カート115B及び115Cのそれぞれの出口のシャッタは閉じているため、分岐カート115B及び115Cの各出口からはその切削片は落下しない。収納容器受台119上に置かれた収納容器111への切削片の供給状態は、搬送装置106に取り付けられたカメラ135によって監視される。
分岐カート115Aの出口の真下にある収納容器111内に所定量の切削片が収納された時、この収納容器111への切削片の供給が停止される。図50を用いて収納容器111への切削片の供給停止について説明する。
収納容器受台119上に置かれた収納容器111内に切削片が収納されると、収納容器111の重さが増加し、バネ120で支持されている収納容器受台119がその重さに対応して下降する。収納容器111内に所定量の切削片が収納されたとき、収納された切削片の重みで収納容器受台119が図50に示す位置まで下降するため、収納容器受台119に取り付けられたワイヤー118も下降する。この結果、分岐カート115Aの出口が、図50に示すように、カート114の下端の位置よりも上方に移動し、分岐カート115Aの出口からその収納容器111への切削片の供給が自動的に停止される。
分岐カート115Aの出口がカート114の下端の位置よりも上方に移動したとき、その出口のシャッタが閉じられ、分岐カート115Bの出口のシャッタが開く。このため、カート114内の切削片は、分岐カート115Bの出口からこの出口の真下に位置する収納容器受台119上の収納容器111内に供給される。この収納容器111内に所定量の切削片が供給されたとき、上記したように、収納容器受台119の下降により分岐カート115Bの出口が持ち上げられて分岐カート115Bから収納容器111への切削片の供給が停止され、分岐カート115Bの出口のシャッタが閉じられる。このとき、分岐カート115Cの出口のシャッタが開く。カート114内の切削片は、分岐カート115Cの出口からこの出口の真下に位置する収納容器受台119上の収納容器111内に供給される。分岐カート115Cからの収納容器111への切削片の供給は、分岐カート115A及び115Bと同様に、分岐カート115Bの出口が持ち上げられたときに停止される。そのとき、分岐カート115Aの出口のシャッタが開けられる。
分岐カート115Aの出口の真下に位置して所定量の切削片が収納された収納容器111は、搬送装置106の吊り装置106Bに吊り下げされて制御棒駆動機構ハッチ104に向かって移動され、ベルトコンベア112上に置かれる。この収納容器111は、ベルトコンベア112の駆動によって制御棒駆動機構ハッチ104内を通り、空間101B内に到達する。空間101B内で、収納容器111は、放射線遮へい体で囲まれた搬送装置103の吊り装置103Bに吊り下げられて搬送容器113内に収納される。分岐カート115B及び115Cの各出口の真下に位置して所定量の切削片が収納された各収納容器111も、同様に移送され、空間101B内の搬送容器113内に収納される。切削片が収納された所定個数の収納容器111が収納された搬送容器113は、搬出入エアロック101Eを通って空間101A内に移送され、空間101Aに連絡された前述のアクセス通路を通って原子炉建屋23外の、放射性廃棄物処理建屋内の所定の領域まで移送されて保管される。
吊り装置106Bによる、収納容器受台119上の収納容器111がベルトコンベア112上まで移送されるのに要する時間と吊り装置106Bがベルトコンベア112の真上から収納容器受台119の真上まで戻るのに要する時間の合計時間を考慮して、分岐カート115A,115B及び115Cの各出口におけるシャッタの開閉周期を短くすることが可能である。
切削装置99による原子炉圧力容器3内の炉内構造物の切削が開始された後では、実質的にステップS16,S23及びS24の各工程は並行して実施される。
ペデスタル15の内面に設置されたカメラ134は、傾斜面107上の切削片の状態を監視する。カメラ134で撮影された映像は原子炉建屋23外に設置した表示装置(図示せず)に表示され、オペレータが表示装置に表示された映像を監視する。傾斜面107上に堆積される切削片の量が多くなったときは、収納容器111に供給される切削片の量よりも原子炉圧力容器3から落下する切削片の量が多くなったことを示している。この場合には、支持部材131に設置された巻取り装置97A及び97Bのそれぞれの回転数を減少させて切削装置99の下降速度を減少させる。逆に、傾斜面107上の切削片の量が少なくなった場合には、切削装置99の下降速度を増加する。この下降速度は、図58に示す運転操作室140に設置した操作盤上で、運転員が監視し、傾斜面107上の炉内構造物の切削片(後述の燃料デブリの切削時においては燃料デブリの切削片)の堆積状況に応じて切削装置の下降速度を調整する。または、緩衝装置109の傾斜面の下に荷重計141(図58参照)を設置し、荷重計141で測定された、所定量の炉内構造物の切削片(後述の燃料デブリの切削時においては燃料デブリの切削片)が傾斜面に堆積したときの荷重に基づいて、運転操作室140内の操作盤に設けられた制御装置(図示せず)により切削装置99の下降速度を制御しても良い。
回転体99Bが回転しながら切削装置99を原子炉圧力容器3内で下降させることにより、切削される炉内構造物が下鏡部5に近い炉内構造物になってくる。この炉内構造物の切削片も、下鏡部5に形成された各貫通孔132から緩衝装置109の傾斜面上に落下し、カート114を通って収納容器受台119上の収納容器111に供給される。収納容器111が搬送された収納容器受台119上には、空の収納容器111が置かれる。
例えば、必要個数の空の収納容器111は、下鏡部5に貫通孔132を形成する前に、空間101Bに配置された関節アクセス装置を用いて、原子炉格納容器17内の、搬送装置106が設置された水平梁133上のグレーチング(図示せず)の上で搬送装置106の周囲の領域に予め置かれている。そのグレーチング上で走行可能な多関節アクセス装置(図示せず)を前以って原子炉格納容器17内に搬入し、この多関節アクセス装置の多関節アームの先端部に取り付けられた掴み具でグレーチング上に置かれた空の収納容器111を掴んでこの空の収納容器111が、収納容器111が載っていない収納容器受台119上に置かれる。
原子炉圧力容器3内において切削装置99による炉内構造物の切削が進められると、切削装置99は下鏡部5に近づいて来る。やがて、原子炉圧力容器3内で下鏡部5付近に存在する燃料デブリ39Aが切削装置99により切削され始める。燃料デブリ39Aの表面には、セラミックに類する物質と金属溶融物の混合物が存在し、この混合物の高度が高いため、切削装置99の切削刃99Cで切削することが困難である。このため、切削刃99Cの替りに、はつりヘッド99Dに設けられた噴射ノズル99F及びレーザヘッド99Gのいずれかを用いて燃料デブリ39Aを表面からはつっていく。ウォータジェット若しくはアブレッシブウォータジェット用の噴射ノズル99Fを用いる場合には、噴射ノズル99Fから燃料デブリ39Aに向かってウォータジェット若しくはアブレッシブウォータジェットを噴射し、燃料デブリ39Aをウォータジェット若しくはアブレッシブウォータジェットによりはつる。レーザヘッド99Gを用いる場合には、レーザヘッド99Gからレーザを燃料デブリ39Aの表面に照射して燃料デブリ39Aの表面をはつる。
噴射ノズル99Fまたはレーザヘッド99Gによる燃料デブリ39Aのはつりを効率良く行うために、ウォータジェット若しくはアブレッシブウォータジェットまたはレーザが切削刃99Cに当たらないように、はつりヘッド99Dを回転体99Bの回転軸方向で切削刃99C側に移動させ、噴射ノズル99Fまたはレーザヘッド99Gが切削刃99Cよりも前方に出るようにする。このような状態で、ウォータジェット若しくはアブレッシブウォータジェットの燃料デブリ39Aに対する噴射またはレーザの燃料デブリ39Aへの照射を行う。ウォータジェット若しくはアブレッシブウォータジェットの噴射またはレーザの照射は、はつりヘッド99Dを回転させながら行われる。
はつりヘッド99Dを溝99Eの長手方向に移動させながら回転体99Bをゆっくり回転させることにより、原子炉圧力容器3の半径方向及び周方向のあらゆる位置で噴射ノズル99Fまたはレーザヘッド99Gによる燃料デブリ39Aのはつりを行うことができる。このはつりによって生じた燃料デブリ39Aのはつり片(切削片)は、下鏡5に形成された各貫通孔132を通して原子炉圧力容器3の下方の緩衝装置109の傾斜面107上に落下し、前述の炉内構造物の切削片と同様に、ペデスタル15の外部で収納容器受台119上に載っている収納容器111内に収納される。この収納容器111は、前述したように、放射性廃棄物処理建屋内の所定の領域まで移送されて保管される。
本実施例では、原子炉圧力容器3内に存在する炉内構造物及び燃料デブリ39Aの切断片を、下鏡部5に形成された貫通孔132を通してペデスタル15内の下部プレナム20に落下させ、落下した切断片をペデスタル15外に移送して収納容器111に収納し、搬送するため、炉内構造物及び燃料デブリ39Aの各切断片を収納容器に収納して原子炉圧力容器3の上方の運転床24上まで移送する場合に比べて短時間に原子炉圧力容器3から外部に搬送することができる。
また、炉内構造物及び燃料デブリ39Aの各切断片を原子炉圧力容器3から原子炉圧力容器3の下方に位置する緩衝装置109の傾斜面107上に落下させているので、ベデスタル15に位置させた収納容器111に実質的に連続的に収納させることができる。
本実施例は、収納容器111内の切断片の重さに応じて下降する収納容器受台119、カート(第1カート)114に回転可能に取り付けられる分岐カート(第2カート)115A及び収納容器受台119の下降に伴って分岐カート115Aの出口部を持ち上げる持ち上げ機構を有する切断片供給停止装置を備えているので、収納容器受台119上の収納容器111内に所定量の切断片を供給したとき、この収納容器111への切断片の供給を停止することができる。このため、切断片を溢れさせずに、各収納容器111に所定量の切断片を収納することができる。
原子炉圧力容器3の下鏡部5に形成された貫通孔132を通してペデスタル15内の下部プレナム20に落下する炉内構造物及び燃料デブリ39Aの各切断片を収納容器111に収納する他の案を、図51を用いて説明する。この案では、ペデスタル15内の下部プレナム20に配置された上面が水平な緩衝装置109の上に支持プレート121を配置し、多数の収納容器111がこの支持プレート121上に配置される。図51において、ペデスタル15の内面で右側に配置された押圧装置が、支持プレート121上の多数の収納容器111を左側に押している。一個の収納容器11が取り出されたとき、押圧装置により、多数の収納容器11が左側に押圧されているので、この収納容器111が配置されていた領域を埋めるように右側に位置しる各収納容器111が左側に移動する。また、多関節を有する作業アーム121が、ペデスタル15内の各収納容器111の上方に配置されてペデスタル15の内面に取り付けられる。多関節を有する他の作業アーム122が、ペデスタル15の外側における、原子炉格納容器17内の搬送装置106が配置された領域付近に設置される。ベルトコンベア124がペデスタル開口部105内に設置される。一個の収納容器11が取り出されたときには、図51においてペデスタル15の一番右側に空の収納容器111を追加する。
原子炉圧力容器3の下鏡5に形成された各貫通孔132から落下する切削片は、支持プレート121上の各収納容器111内に供給される。カメラ134による監視により、上端まで切削片が収納された収納容器111は、作業アーム121で掴まれて持ち上げられ、ベルトコンベア124上に置かれる。この収納容器111は、ペデスタル開口部105内を通ってペデスタル15の外部で原子炉格納容器17内の搬送装置106の設置領域に到達する。この収納容器111は、作業アーム122に把持されて搬送装置106の吊り装置106Bに吊り下げられ、ベルトコンベア112上に置かれる。そして、この収納容器111は、前述したように空間101B及び101Aを通り、原子炉建屋23外の所定の保管場所まで搬送される。
図51に示された案でも、原子炉圧力容器3から下部プレナム20に炉内構造物及び燃料デブリ39Aの各切断片を落下させ、この落下する切断片を収納容器111内に収納するので、図47に示された切断片の搬出方法と同様に、炉内構造物及び燃料デブリ39Aの各切断片を短時間に原子炉圧力容器3から外部に搬送することができる。