JP2016207277A - 電極体 - Google Patents

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文徳 大橋
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孝博 工原
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Abstract

【課題】加熱を要せず、膨化を抑制できる電極体を提供する。
【解決手段】電極体は、セパレータ40を挟んで、正極10と負極20とを積層した積層単位100を備える。セパレータ40は、正極10と接する第1樹脂含有層41と、負極と接する第2樹脂含有層42と、第1樹脂含有層41と第2樹脂含有層42との間に介在する無機含有層43と、を含む。無機含有層43は、無機フィラーを含有する。第1樹脂含有層41および第2樹脂含有層42は、樹脂を50質量%以上含有する。
【選択図】図5

Description

本発明は電極体に関する。
特開2000−198987号公報(特許文献1)には、正極、セパレータおよび負極を積層し、巻回して得られる電極体を、加熱下で加圧することが開示されている。
特開2000−198987号公報
電極体を加熱下で加圧成形することにより、成形後の形状を安定化できる。しかしこのとき、電極体に含まれるセパレータが熱変形して、セパレータの細孔径、透気度等が変化することがある。これによりセパレータのイオン透過性が低下し、電池の内部抵抗が増加することも考えられる。
また成形された電極体は、時間の経過とともに膨化することもある。電極体が膨化すると、電極体を外装ケースに収容し難くなり、電池の生産性が著しく低下する。電極体の膨化は、電極が厚く、積層数が多くなるほど顕著である。電極が厚くなると電極の剛性が高くなり、積層数が多くなると成形後の復元力が強くなるからである。そのため、たとえば車載用の大型電池では、電極体の膨化を抑制するために、長時間に亘る加熱成形、くせ付けが必要となっている。またこうした事情から電池の大型化および高容量化が困難な状況にある。
そこで本発明の目的は、加熱を要せず、膨化を抑制できる電極体を提供することである。
〔1〕電極体は、セパレータを挟んで、正極と負極とを積層した積層単位を備える。セパレータは、正極と接する第1樹脂含有層と、負極と接する第2樹脂含有層と、該第1樹脂含有層と該第2樹脂含有層との間に介在する無機含有層と、を含む。無機含有層は、無機フィラーを含有する。第1樹脂含有層および第2樹脂含有層は、樹脂を50質量%以上含有する。
上記〔1〕の構成では、以下の理由により、加熱を要せず、電極体の膨化を抑制できると考えられる。
通常、非水電解質二次電池の正極および負極は、活物質粒子を含む粒子層から構成されている。そのため正極および負極の表面には、活物質粒子同士の粒界による凹部が多数形成されている。
上記〔1〕の構成において、セパレータは、正極と接する第1樹脂含有層と、負極と接する第2樹脂含有層とを含む。この構成において、正極、セパレータおよび負極の積層方向に、電極体を押圧すると、第1樹脂含有層および第2樹脂含有層に含有される樹脂が、正極および負極の表面の凹部に流れ込む。これによりアンカー効果が発現し、材料界面での分子間力も相俟って、正極、セパレータおよび負極が強固に密着する。
以下では「第1樹脂含有層および第2樹脂含有層」を総称して「樹脂含有層」と記すこともある。また「正極および負極」を総称して「電極」と記すこともある。
ところで従来セパレータに耐熱性を付与するために、セパレータの表面に無機フィラーおよび樹脂を含有する耐熱層を形成する技術が知られている。一般に、耐熱層の無機フィラーの含有量は95質量%を超えるものである。したがって、この従来技術によると、セパレータにおいて電極と接する部分の樹脂の含有量が5質量%を下回ることになる。本発明者の検討によれば、セパレータにおいて電極と接する部分の樹脂の含有量が50質量%未満になると、所望のアンカー効果ならびに分子間力が得られず、加熱を伴わずに、電極体の膨化を抑制することが困難である。
そこで上記〔1〕の構成では、樹脂を50質量%以上含有する2つの樹脂含有層の間に介在するように、無機含有層を設けている。これにより、セパレータにおいて電極と接する部分の樹脂の含有量が50質量%以上となり、加熱を伴わずに、正極、セパレータおよび負極を強固に密着させることができる。
〔2〕第1樹脂含有層および第2樹脂含有層の少なくともいずれかは、樹脂塗工層でもよい。こうした態様によれば、電極と接する樹脂含有層における樹脂の含有量を実質的に100質量%にできる。これによりアンカー効果および分子間力の向上が期待できる。
〔3〕第1樹脂含有層および第2樹脂含有層の少なくともいずれかは、樹脂ラミネート層でもよい。こうした態様によれば、電極と接する樹脂含有層における樹脂の含有量を実質的に100質量%にできる。これによりアンカー効果および分子間力の向上が期待できる。
〔4〕上記〔1〕の電極体は、上記積層単位をさらに巻回してなる電極体であってもよい。
〔5〕上記〔1〕の電極体は、複数の上記積層単位を積層してなる電極体であってもよい。
上記によれば、加熱を要せず、膨化を抑制できる電極体が提供される。
本発明の一実施形態に係る電極体の構成の一例を示す概略図である。 本発明の一実施形態に係る電極体の製造過程を図解する概略図である。 本発明の一実施形態に係る電極体の成形過程の一部を図解する概略図である。 本発明の一実施形態に係る電極体の成形過程の他の一部を図解する概略図である。 本発明の一実施形態に係る電極体における、電極とセパレータとの接着界面を示す概略断面図である。 参考例に係る電極体における、電極とセパレータとの接着界面を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る正極の構成の一例を示す概略図である。 本発明の一実施形態に係る負極の構成の一例を示す概略図である。 本発明の変形例に係る電極体の構成の一例を示す概略図である。 本発明の変形例に係る積層単位の一例を示す概略図である。 図10に示す積層単位の構成を図解する概略図である。 本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の構成の一例を示す概略図である。 図12のXIII−XIII線における概略断面図である。 試料X1に係るセパレータの構成を示す概略断面図である。 密着試験の方法を図解する概略図である。 試料X5に係るセパレータの構成を示す概略断面図である。
以下、本発明の一実施形態(以下「本実施形態」と記す)について説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
〔電極体〕
図1は本実施形態に係る電極体の構成の一例を示す概略図である。図1に示される電極体80は、巻回式の電極体である。電極体80は、セパレータを挟んで、正極と負極とを積層した積層単位を備える。電極体80は次のようにして製造される。
図2は、電極体の製造過程を図解する概略図である。セパレータ40、正極10および負極20は、長尺帯状のシート部材である。図2に示されるように、セパレータ40を挟んで、正極10と負極20とを積層した積層単位100を、巻回軸Awの周りに巻回することにより、巻回体80aが得られる。巻回体80aは、円筒状あるいは楕円筒状の外形を有する。
次いで巻回体80aを室温環境で加圧成形する。図3および図4は、電極体の成形過程を図解する概略図である。図3および図4において、紙面の法線方向は、巻回体80aの巻回軸Awに沿った方向に相当する。図3に示されるように、巻回体80aは上型91と下型92との間に配置される。次いで正極、セパレータおよび負極の積層方向Dに、荷重Lが印加され、巻回体80aが押圧される。これにより、図4に示されるように巻回体80aは扁平状の外形を有する電極体80へと成形される。このとき本実施形態では、加熱を伴わずに、正極および負極と、セパレータとを強固に密着させることができる。これにより電極体80の膨化が抑制される。
図4中、積層方向Dにおけるセパレータの積層数は、たとえば50〜200層程度でよい。巻回体に印加する荷重は、たとえば1N/mm2以上50N/mm2以下でよい。荷重の下限は5N/mm2でもよい。荷重の上限は30N/mm2でもよいし、20N/mm2でもよいし、10N/mm2でもよい。セパレータ等の機械的な損傷を考慮すると、荷重は小さいほど好ましい。
本実施形態において成形時間は、たとえば1秒以上60秒以下でよい。成形時間の上限は、30秒でもよいし、10秒でもよい。成形時の温度、すなわち上型91および下型92の温度は、たとえば10〜30℃程度でよい。これに対して、電極と接する部分の樹脂の含有量が50質量%未満であるセパレータを備える電極体では、膨化を抑制するために、たとえば40〜80℃程度の加熱下で、数時間に亘る荷重の印加を要する場合もある。
図5は、本実施形態に係る電極体における、電極とセパレータとの接着界面を示す概略断面図である。図5に示されるように、正極10および負極20の表面には、正極活物質粒子12a同士、負極活物質粒子22a同士の粒界による凹部が多数形成されている。
〔セパレータ〕
図5に示されるようにセパレータ40は、正極10と接する第1樹脂含有層41と、負極20と接する第2樹脂含有層42と、第1樹脂含有層41と第2樹脂含有層42との間に介在する無機含有層43とを含む。本実施形態において、第1樹脂含有層41および第2樹脂含有層42は、樹脂を50質量%以上含有する。これにより正極10および負極20の凹部に樹脂が流れ込み、正極10および負極20と、セパレータ40とが隙間なく密着できる。セパレータの空孔率は、たとえば20〜70%程度でもよいし、30〜60%程度でもよい。
図6は参考例に係る電極体における、電極とセパレータとの接着界面を示す概略断面図である。セパレータ40bは、PE等の微多孔層41bと、その表面に形成された耐熱層43bとを含む。耐熱層43bは、無機フィラーを含有する。耐熱層43bは、正極10および負極20と接している。耐熱層43bにおける樹脂の含有量は50質量%未満、たとえば1〜5質量%程度である。そのためこの電極体では、凹部への樹脂の流れ込みが十分ではなく、正極10および負極20と、セパレータ40bとの界面に隙間40b1が形成されている。接着界面に隙間が形成された電極体では、電極体の膨化が顕著である。
〔第1樹脂含有層および第2樹脂含有層〕
本実施形態に係る樹脂含有層は多孔質層である。樹脂含有層は単層でもよいし複層でもよい。樹脂含有層の厚さは、たとえば0.1μm以上20μm以下でもよい。樹脂含有層は、樹脂を50質量%以上含有する。樹脂含有層において樹脂以外の残部は、たとえば、後述する無機フィラーでもよい。樹脂含有層における樹脂の含有量は、75質量%以上でもよいし、100質量%でもよい。樹脂の含有量が多いほど、アンカー効果ならびに分子間力の向上が期待できる。
樹脂含有層に含有され得る樹脂としては、たとえばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)等を挙げることができる。これらの樹脂は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリアミドは、全芳香族ポリアミド、いわゆる「アラミド」であってもよい。アラミドは、メタ系アラミドであってもよいし、パラ系アラミドであってもよい。アラミドを採用することにより、耐熱性の向上が期待できる。
樹脂含有層は、PP、PE等のポリオレフィン系樹脂からなる微多孔層でもよい。一般に、こうした微多孔層は、単体でもセパレータとして利用されている。微多孔層は、たとえば従来公知の延伸開口法、相分離法等によって製造できる。かかる態様の樹脂含有層の厚さは、たとえば5μm以上30μm以下でもよいし、10μm以上30μm以下でもよいし、15μm以上25μm以下でもよい。樹脂含有層は、たとえば、PPの微多孔質層、PEの微多孔質層およびPPの微多孔質層をこの順に積層した3層構造としてもよい。また樹脂含有層は、少なくとも1層のPEの微多孔層を含むことが好ましい。PEの微多孔層はシャットダウン性能に優れるからである。微多孔層の細孔径および空孔率は、透気度が所望の値となるように適宜調整すればよい。
樹脂含有層は、樹脂塗工層であってもよい。すなわち無機含有層の表面に、樹脂溶液あるいは樹脂分散液を塗工し、乾燥することにより、樹脂含有層としてもよい。ここで樹脂溶液は、樹脂を所定の溶媒に溶解させることにより作製できる。また樹脂分散液は、樹脂を所定の溶媒に分散させることにより作製できる。溶媒は、たとえば水、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等でよい。かかる態様の樹脂含有層では、樹脂の含有量を実質的に100質量%とみなすことができる。樹脂塗工層を構成する樹脂としては、たとえばPVDF、PAN、アラミド等が好適である。
樹脂塗工層の厚さは、たとえば0.1μm以上10μm以下でもよいし、0.5μm以上5μm以下でもよいし、0.5μm以上2μm以下でもよい。樹脂塗工層の厚さは、たとえば単位面積当たりの塗工質量等によって調整できる。
樹脂含有層は、樹脂ラミネート層であってもよい。すなわち樹脂含有層は、熱可塑性樹脂フィルムを無機含有層の表面に融着させたものであってもよい。かかる態様の樹脂含有層では、樹脂の含有量を実質的に100質量%とみなすことができる。樹脂ラミネート層を構成する樹脂としては、たとえばPP、PE、PAN、PAA等が好適である。
樹脂ラミネート層の厚さは、たとえば0.1μm以上30μm以下でもよいし、0.5μm以上20μm以下でもよいし、0.5μm以上10μm以下でもよいし、0.5μm以上5μm以下でもよいし、0.5μm以上2μm以下でもよい。
〔無機含有層〕
本実施形態に係る無機含有層は多孔質層である。無機含有層は単層でもよいし複層でもよい。無機含有層は、第1樹脂含有層と第2樹脂含有層との間に介在する限り、複数設けられていてもよい。セパレータが複数の無機含有層を含む場合、たとえば第1無機含有層と第2無機含有層との間に、第3樹脂含有層が設けられていてもよい。こうした第3樹脂含有層には、前述した第1樹脂含有層および第2樹脂含有層と同様の構成を採用できる。
無機含有層は、無機フィラーを含有する。無機含有層における無機フィラーの含有量は、たとえば0質量%を超えて100質量%以下でもよい。すなわち無機含有層は、実質的に無機フィラーのみからなる層でもよいし、無機フィラーを含有しかつ残部としてその他の成分を含有する層でもよい。無機含有層において無機フィラー以外の残部は、たとえば前述した樹脂でもよい。したがって本実施形態においては、第1樹脂含有層または第2樹脂含有層の組成と、無機含有層の組成とが同一の場合もあり得る。この場合、第1樹脂含有層または第2樹脂含有層と、無機含有層とが渾然一体となっており、これらの間に明確な境界が存在しないこともある。無機含有層における無機フィラーの含有量の下限は、1質量%でもよいし、10質量%でもよいし、30質量%でもよい。無機フィラーの含有量の上限は、99質量%でもよいし、90質量%でもよいし、70質量%でもよい。
無機フィラーは特に制限されない。たとえば、αアルミナ(α−Al23)、ベーマイト(Al23・H2O)、チタニア(TiO2)、ジルコニア(ZrO2)、マグネシア(MgO)等の無機粒子を無機フィラーとして使用できる。これらの無機粒子は、たとえば次のような粉体物性を示すものであってもよい
αアルミナ(D50:0.2〜1.2μm、BET:1.3〜50m2/g)
ベーマイト(D50:0.2〜1.8μm、BET:2.8〜50m2/g)
チタニア (D50:0.2〜1.0μm、BET:2.0〜50m2/g)
ジルコニア(D50:0.2〜1.0μm、BET:2.0〜50m2/g)
マグネシア(D50:0.2〜1.0μm、BET:2.0〜50m2/g)。
ここで本明細書の「D50」はレーザ回折散乱法によって測定された粒度分布において、積算値50%での粒径を示すものとする。また「BET」はBET法によって測定された比表面積を示すものとする。
無機含有層の厚さは、たとえば1μm以上20μm以下でもよいし、1μm以上10μm以下でもよいし、1μm以上5μm以下でもよい。無機含有層は、たとえば次のようにして形成できる。先ず分散機を用いて無機フィラーおよび樹脂を溶媒中に分散させることにより、塗料を作製する。次いで該塗料を樹脂含有層の表面に塗工し、乾燥することにより、無機含有層を形成できる。塗工方式は、たとえばグラビア方式とするとよい。また無機含有層は、多孔質であれば、いわゆるセラミックグリーンシートのような自立層でもよい。
〔正極〕
図7は正極10の構成の一例を示す概略図である。図7に示されるように、正極10は、正極集電箔11と、正極集電箔11の両主面上に形成された正極合材層12とを含む。正極集電箔11は、たとえばアルミニウム(Al)箔である。正極集電箔の厚さは、たとえば5〜25μm程度でよい。正極集電箔11が露出した箔露出部Epは、外部端子との接続のために設けられている。
正極合材層は、正極活物質粒子から構成される粒子層である。正極合材層の表面には、正極活物質粒子同士の粒界による凹部が形成されている。正極合材層は、正極活物質粒子等を含む正極合材を正極集電箔の両主面上に固着してなる。正極合材層の厚さは、たとえば50〜150μm程度でよい。正極合材層の合材密度は、1.5〜4.0g/cm3程度でもよいし、2.0〜3.5g/cm3程度でもよい。
正極合材は、正極活物質粒子、導電材およびバインダ等を含有する。正極活物質粒子の化学組成は特に制限されない。正極活物質粒子は、たとえばLiCoO2、LiNiO2、一般式LiNiaCob2(ただし式中、a+b=1、0<a<1、0<b<1である。)で表される化合物、LiMnO2、LiMn24、一般式LiNiaCobMnc2(ただし式中、a+b+c=1、0<a<1、0<b<1、0<c<1である。)で表される化合物、LiFePO4等でもよい。一般式LiNiaCobMnc2で表される化合物は、たとえばLiNi1/3Co1/3Mn1/32でもよい。正極活物質粒子のD50は、たとえば1〜30μm程度でもよいし、5〜20μm程度でもよい。この範囲のD50において、正極合材層の表面に好適な凹部が形成されることもある。
導電材は、たとえばアセチレンブラック(AB)、黒鉛等でよい。正極合材における導電材の配合量は、100質量部の正極活物質粒子に対して、たとえば1〜10質量部程度でよい。バインダは、たとえばPVDF、PTFE等でよい。正極合材におけるバインダの配合量は、100質量部の正極活物質粒子に対して、たとえば1〜5質量部程度でよい。
〔負極〕
図8は負極20の構成の一例を示す概略図である。図8に示されるように、負極20は、負極集電箔21と、負極集電箔21の両主面上に形成された負極合材層22とを含む。負極集電箔21は、たとえば銅(Cu)箔である。負極集電箔の厚さは、たとえば5〜25μm程度でよい。負極集電箔21が露出した箔露出部Epは、外部端子との接続のために設けられている。
負極合材層は、負極活物質粒子から構成される粒子層である。負極合材層の表面には、負極活物質粒子同士の粒界による凹部が形成されている。負極合材層は、負極活物質粒子等を含む負極合材を負極集電箔の両主面上に固着してなる。負極合材層の厚さは、たとえば50〜150μm程度でよい。負極合材層22の合材密度は、たとえば0.5〜2.0g/cm3程度でもよいし、1.0〜1.5g/cm3程度でもよい。
負極合材は、負極活物質粒子、増粘材、バインダ等を含有する。負極活物質粒子は、たとえば黒鉛、コークス等の炭素系負極活物質粒子でもよいし、シリコン(Si)、錫(Sn)等の合金系負極活物質粒子でもよい。負極活物質粒子のD50は、たとえば1〜30μm程度でもよいし、10〜20μm程度でもよい。この範囲のD50において、負極合材層の表面に好適な凹部が形成されることもある。
増粘材は、たとえばカルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)等でよい。負極合材における増粘材の配合量は、100質量部の負極活物質粒子に対して、たとえば0.5〜2.0質量部程度でよい。バインダは、たとえばスチレンブタジエンゴム(SBR)等でよい。負極合材におけるバインダの配合量は、100質量部の負極活物質粒子に対して、たとえば0.5〜2.0質量部程度でよい。
〔変形例〕
次に本実施形態の変形例について説明する。変形例では、各部材の積層方法、平面形状を除き、上記で説明した構成と同様の構成が採用され得る。
図9は変形例に係る電極体の構成の一例を示す概略図である。図9に示される電極体180は、積層式の電極体である。積層式はスタック式とも呼ばれる。図10は、電極体180に含まれる積層単位200を示す概略図である。電極体180は、複数の積層単位200を積層してなる。図11は、積層単位200の構成を図解する概略図である。図11に示されるように、積層単位200に含まれるセパレータ140、正極110および負極120の平面形状は矩形である。積層単位200は、セパレータ140を挟んで、正極110と負極120とを積層してなる。正極110および負極120において集電箔が露出した箔露出部Epは、外部端子との接続のために設けられている。セパレータ140は、二枚一組を袋状に加工してもよい。この場合、正極110あるいは負極120を袋状のセパレータに挿入しつつ、積層すればよい。
電極体180における積層単位200の積層数は、たとえば5〜20層程度でもよい。積層式の電極体は、前述した巻回式の電極体のようなR部を有しない。そのため空間効率が高く、高容量化に適している。しかし、各部材を接着剤等で固定しなければならず、生産性が低い。また接着剤の使用により、電池の内部抵抗が増加することもある。
本実施形態に従う電極体180では、セパレータ140が、正極110と接する第1樹脂含有層と、負極120と接する第2樹脂含有層と、第1樹脂含有層と第2樹脂含有層との間に介在する無機含有層とを含んでおり、かつ第1樹脂含有層および第2樹脂含有層が樹脂を50質量%以上含有している。そのため、たとえば図9に示される積層方向Dに、所定の荷重を印可して電極体180を押圧することにより、接着剤を使用せずに正極110、セパレータ140および負極120をまとめて固定できる。
〔非水電解質二次電池〕
本実施形態は、上記の電極体を備える非水電解質二次電池にも係る。図12は当該非水電解質二次電池の構成の一例を示す概略図である。図12に示されるように、電池1000は、外装ケース50を備える。外装ケースの材質は、たとえばAl合金である。外装ケース50には、正極端子70および負極端子72が設けられている。外装ケースには、注液口、安全弁、電流遮断機構(いずれも図示せず)等が設けられていてもよい。なお本実施形態は、いわゆるラミネート外装を有するラミネート電池にも適用できる。
図13は、図12のXIII−XIII線における概略断面図である。電池1000は、上記の電極体80あるいは電極体180を収容し得る。図13では、一例として電極体80を収容する態様を示している。外装ケース50内には電解液81も収容されている。
前述したように、電極体80および電極体180は、成形時間が短い。よって電池の製造工程において、電極体の成形に伴う仕掛品の滞留を大幅に低減できる。さらに膨化が少ないために、たとえば仕掛品の滞留が生じた場合にも、歩留まりの低下を抑制できる。
〔電解液〕
電解液は、非水溶媒に支持塩を溶解させた電解質溶液である。電解液は、たとえば外装ケース50に設けられた注液口から、外装ケース50の内部に注入され、電極体80に含浸される。本実施形態では、電解液に代えて、たとえばゲル状の電解質を用いてもよい。
非水溶媒には、たとえばエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)およびγ−ブチロラクトン(γBL)等の環状カーボネート類、ならびにジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジエチルカーボネート(DEC)等の鎖状カーボネート類等を使用できる。これらの非水溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。環状カーボネート類と鎖状カーボネート類とを混合して使用する場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートの体積比は、たとえば1:9〜5:5程度でよい。
支持塩には、たとえばLiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、Li(CF3SO22N、LiCF3SO3等のLi塩を使用できる。支持塩は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。支持塩の濃度は、たとえば0.5〜2.0mol/L程度でよい。
電解液は、活物質粒子表面の被膜形成を調整する添加剤を含み得る。かかる添加剤としては、たとえばLiB(C242、LiBF2(C24)、LiPF2(C242等のオキサレート錯体をアニオンとするLi塩の他、LiPO22、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、エチレンサルファイト(ES)、プロパンスルトン(PS)等を挙げることができる。
電解液は、過充電時に電池の内圧上昇を促進する過充電添加剤を含み得る。過充電添加剤としては、たとえばシクロヘキシルベンゼン(CHB)、ビフェニル(BP)、ビフェニルエーテル(BPE)、tert−ブチルベンゼン(TBB)、tert−アミルベンゼン(TAB)等を挙げることができる。
以下、実施例を用いて本実施形態をさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
〔実験1〕
実験1ではコインサイズの積層単位を作製し、電極とセパレータとの密着性を評価した。ここでは試料X1〜X3が比較例に相当し、試料X4およびX5が実施例に相当する。この実験では、正極の代用として負極を用いた。すなわち積層単位は、セパレータを2枚の負極で挟んだものとした。
〔試料X1〕
1.セパレータの作製
1−1.第1樹脂含有層(基材)の準備
第1樹脂含有層として、PEの微多孔層を準備した。微多孔層の平面形状は長尺帯状とした。微多孔層の厚さは20μmとした。
1−2.無機含有層の形成
αアルミナ(96質量部)およびPAN(4質量部)をNMP中に分散させることにより、無機含有層となるべき塗料を作製した。分散機には、M・テクニック社製の乳化分散機「クレアミックス」を用いた。グラビアコータを用いて、微多孔層の一方の主面上に塗料を塗工し、乾燥することにより、無機含有層を形成した。無機含有層の厚さは4μmとした。こうして図14に示すセパレータ40を得た。
図14は試料X1に係るセパレータの構成を示す概略断面図である。図14に示されるように、セパレータ40は、第1樹脂含有層41(PEの微多孔層)の表面に、無機含有層43を有するものである。試料X1はセパレータの表面に従来の耐熱層を形成した試料に相当する。
ここで別の見方をすると、試料X1は、100質量%の樹脂を含有する第1樹脂含有層41(PEの微多孔層)と、4質量%の樹脂と96質量%の無機フィラーとを含有する第2樹脂含有層42(無機含有層の表層)と、4質量%の樹脂と96質量%の無機フィラーとを含有し、かつ第1樹脂含有層と第2樹脂含有層との間に介在する無機含有層43(無機含有層の基層)とを含むとみなすこともできる。
円筒形の打ち抜きポンチを用いて、セパレータ40から直径12.5mmのセパレータ試料を採取した。
2.負極の作製
黒鉛(98質量部)、CMC(1質量部)およびSBR(1質量部)を水中で混練することにより、負極合材塗料を作製した。混練装置にはプラネタリミキサを用いた。ダイコータを用いて、Cu箔上に負極合材塗料を塗工し、乾燥した。これにより負極合材層を形成した。ロール圧延機を用いて、負極合材層を所定の厚さに圧縮した。こうして負極を得た。円筒形の打ち抜きポンチを用いて、負極から直径17.0mmの電極試料を採取した。
3.密着試験
図15は、密着試験の方法を図解する概略図である。プレスヘッド191の直径は20mmとした。台座192上に、テフロン(登録商標)製の下地シート193を配置した。図15に示すように、第1電極試料221と第2電極試料222との間に、セパレータ試料240を挟み込んで積層単位300を形成した。室温環境(24℃程度)において、積層方向Dに沿って積層単位300に荷重を印可した。荷重の大きさは表1に示す大きさとした。プレス時間は60秒間とした。その後、荷重を解放し、セパレータ試料と電極試料との密着状態を確認した。密着状態は、次のA、BおよびCの3水準で評価した。評価結果を表1に示す
A:セパレータ試料の全面が電極試料と一様に密着した
B:セパレータ試料の面内に電極試料と密着していない部分が確認された
C:セパレータ試料と電極試料とが密着しなかった。
Figure 2016207277
表1に示す荷重の大きさは、コインサイズの積層単位に印加した荷重を、実電池サイズの電極体に印加されるべき荷重に換算した値を示している。かかる値は次式(i):
L2=L1×(S2÷S1)・・・(i)
(ただし式中、L1はコインサイズの積層単位に印加した荷重を示し、L2は実電池サイズの電極体に印加されるべき荷重を示し、S1はコインサイズの積層単位の面積を示し、S2は実電池サイズの巻回式の電極体の平面部分の面積を示す。)
より算出した。
実験1においてコインサイズの積層単位の面積(S1)は次式(ii):
S1=0.25π×20mm×20mm・・・(ii)
より314mm2である。
実電池サイズの電極体には、25Ah級の電極体を採用した。この電極体の平面部分の面積(S2)は次式(iii):
S2=116.5mm(幅W)×56.5mm(高さH)・・・(iii)
より6582mm2である。ここで幅Wおよび高さHは、図4および図13に示される各寸法を示している。
〔試料X2〕
上記「1−2.無機含有層の形成」において、αアルミナ(90質量部)およびPAN(10質量部)をNMP中に分散させることにより、塗料を作製することを除いては、試料X1と同様にして、積層単位を作製した。さらに表1に示す各荷重において積層単位をプレスし、密着状態を評価した。結果を表1に示す。
〔試料X3〕
上記「1−2.無機含有層の形成」において、αアルミナ(70質量部)およびPAN(30質量部)をNMP中に分散させることにより、塗料を作製することを除いては、試料X1と同様にして、積層単位を作製した。さらに表1に示す各荷重において積層単位をプレスし、密着状態を評価した。結果を表1に示す。
〔試料X4〕
上記「1−2.無機含有層の形成」において、αアルミナ(50質量部)およびPAN(50質量部)をNMP中に分散させることにより、塗料を作製することを除いては、試料X1と同様にして、積層単位を作製した。さらに表1に示す各荷重において積層単位をプレスし、密着状態を評価した。結果を表1に示す。
〔試料X5〕
1−3.樹脂塗工層の形成
PANをNMPに溶解させて樹脂溶液を調整した。該樹脂溶液を、試料X1の無機含有層の表面に塗工し、乾燥することにより、樹脂塗工層を形成した。塗工質量は1.4g/m2とした。乾燥後の樹脂塗工層の厚さは、0.82μmであった。試料X1と同様にして、積層単位を作製した。さらに表1に示す各荷重において積層単位をプレスし、密着状態を評価した。結果を表1に示す。
図16は、試料X5に係るセパレータの構成を示す概略断面図である。図5に示されるように、セパレータ40aは、PEの微多孔層からなる第1樹脂含有層41と、樹脂塗工層42aからなる第2樹脂含有層と、第1樹脂含有層41と第2樹脂含有層との間に介在する無機含有層43と、を含む。
〔実験1の結果と考察〕
表1に示されるように、第2電極試料と接する第2樹脂含有層の樹脂の含有量が50質量%未満である試料X1〜X3では、大きな荷重を印可しても、電極とセパレータとを密着させることはできなかった。
これに対して、第1樹脂含有層および第2樹脂含有層の樹脂の含有量がいずれも50質量%以上である試料X4およびX5では、小さい荷重で電極とセパレータとを密着させることができた。
〔実験2〕
実験1の結果を踏まえ、実験2では実電池サイズの電極体(25Ah級)を作製し、プレス加工して膨化の有無を確認した。ここでは試料Y1が比較例、試料Y4が実施例に相当する。
〔試料Y1〕
1.セパレータの準備
実験1の試料X1と同様の積層構成を有し、かつ長尺帯状のセパレータ40を準備した。
2.正極の準備
LiNi1/3Co1/3Mn1/32(90質量部)、アセチレンブラック(8質量部)およびPVDF(2質量部)をNMP中で混練することにより、正極合材塗料を作製した。混練装置にはプラネタリミキサを用いた。ダイコータを用いて、Al箔上に正極合材塗料を塗工し、乾燥した。これにより正極合材層を形成した。ロール圧延機を用いて、正極合材層を所定の厚さに圧縮した。正極合材層およびAl箔を所定の寸法に加工した。こうして図7に示す長尺帯状のシート部材である正極10を準備した。
3.負極の準備
上記「2.負極の作製」において作製した負極を所定の寸法に加工して、図8に示す長尺帯状のシート部材である負極20を準備した。
4.電極体の作製
図2に示されるように、セパレータ40を挟んで正極10と負極20とを積層することにより、積層単位100とした。さらに積層単位100を巻回することにより、巻回体80aとした。
5.プレス試験
室温環境において、図3および図4に示されるように、巻回体80aに荷重Lを印可して押圧することにより、扁平状の外形を有する電極体80とした。プレス時間は5秒間とした。実験2での荷重の大きさを表2に示す。
電極体の膨化を次の3水準により評価した。結果を表2に示す
A:荷重を解放してから7日後でも殆ど膨化していなかった
B:荷重を解放した後、時間の経過とともに僅かに膨化した
C:荷重を解放した直後に膨化した。
Figure 2016207277
〔試料Y4〕
実験1の試料X4と同様の積層構成を有し、かつ長尺帯状のセパレータを準備することを除いては、試料Y1と同様にして電極体を作製し、電極体の膨化を評価した。結果を表2に示す。
〔実験2の結果と考察〕
表2に示されるように、正極と接する第1樹脂含有層、および負極と接する第2樹脂含有層の樹脂の含有量がいずれも50質量%以上である試料Y4では、小さい荷重で電極体の膨化を抑制できた。これに対して、第2樹脂含有層の樹脂の含有量が50質量%未満である試料Y1では、電極体の膨化を抑制できなかった。電極体の膨化の有無は、前述したコインサイズの積層単位における電極とセパレータとの密着性を反映したものと考えられる。
以上の実験結果より、セパレータを挟んで、正極と負極とを積層した積層単位を備え、該セパレータは、該正極と接する第1樹脂含有層と、該負極と接する第2樹脂含有層と、該第1樹脂含有層と該第2樹脂含有層との間に介在する無機含有層と、を含み、該無機含有層が無機フィラーを含有し、該第1樹脂含有層および該第2樹脂含有層が樹脂を50質量%以上含有する、電極体では、加熱を伴わずに膨化を抑制できることが実証できたといえる。
以上、本発明の一実施形態および実施例について説明したが、上述の実施形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10,110 正極、11 正極集電箔、12 正極合材層、12a 正極活物質粒子、20,120 負極、21 負極集電箔、22 負極合材層、22a 負極活物質粒子、40,40a,40b,140 セパレータ、40b1 隙間、41 第1樹脂含有層、41b 微多孔層、42 第2樹脂含有層、42a 樹脂塗工層、43 無機含有層、43b 耐熱層、50 外装ケース、70 正極端子、72 負極端子、80,180 電極体、80a 巻回体、81 電解液、91 上型、92 下型、100,200,300 積層単位、191 プレスヘッド、192 台座、193 下地シート、221 第1電極試料、222 第2電極試料、240 セパレータ試料、1000 電池、Aw 巻回軸、D 積層方向、Ep 箔露出部、H 高さ、L 荷重、W 幅。

Claims (5)

  1. セパレータを挟んで、正極と負極とを積層した積層単位を備え、
    前記セパレータは、前記正極と接する第1樹脂含有層と、前記負極と接する第2樹脂含有層と、前記第1樹脂含有層と前記第2樹脂含有層との間に介在する無機含有層と、を含み、
    前記無機含有層は、無機フィラーを含有し、
    前記第1樹脂含有層および前記第2樹脂含有層は、樹脂を50質量%以上含有する、電極体。
  2. 前記第1樹脂含有層および前記第2樹脂含有層の少なくともいずれかは、樹脂塗工層である、請求項1に記載の電極体。
  3. 前記第1樹脂含有層および前記第2樹脂含有層の少なくともいずれかは、樹脂ラミネート層である、請求項1に記載の電極体。
  4. 前記積層単位をさらに巻回してなる、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電極体。
  5. 複数の前記積層単位を積層してなる、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電極体。
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