以下、本発明の一実施形態に係るプリンタ部が採用された複合機1について説明する。複合機1は、図1に示す状態に設置されて使用される。本実施形態において、図1に矢印を付して示す3つの方向が、上下方向A1、前後方向A2、及び左右方向A3である。図1に示す3つの方向は、他の図面においても同様である。
<複合機1の概要>
図1に示すように、複合機1は、概ね薄型の直方体に形成されており、その上面に表示部及び操作ボタンなどを有する。本発明の液体吐出装置の一例であるプリンタ部10が、複合機1の下部に設けられている。複合機1は、スキャナ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。
プリンタ部10は筐体11を有する。筐体11の前壁11aの略中央には、開口12が形成されている。給紙トレイ15及び排紙トレイ16が、上下2段に設けられている。給紙トレイ15は、開口12から前後方向A2に挿抜可能、すなわち、筐体11から着脱可能に構成されている。所望のサイズの用紙Pが給紙トレイ15に載置される。複合機1は、パーソナルコンピュータ(以下PCと称する)などの外部機器と接続可能であり、PCからの記録指令に基づいて記録動作を実行する。また、ユーザによる操作ボタンの操作によっても各種機能を実行する。
<プリンタ部10の内部構造>
次に、プリンタ部10の内部構造について説明する。図2及び図3に示すように、プリンタ部10は、給送部20と、搬送ローラ対35と、記録部40と、ホルダ17と、排紙ローラ対36と、ASF(Auto Sheet Feed)モータ20M(図11参照)と、LF(Line Feed)モータ35M(図11参照)と、光センサ58と、メンテナンス部60と、制御部5(図11参照)とを含む。給送部20は、給紙トレイ15に載置される用紙Pを搬送路25へ給送する。搬送ローラ対35は、給送部20によって給紙された用紙Pを記録部40に搬送する。記録部40は、例えば、インクジェット記録方式の構成を有し、搬送ローラ対35によって搬送された用紙Pに画像を記録する。排紙ローラ対36は、記録部40によって記録された用紙Pを排紙トレイ16に排紙する。
ホルダ17は、図3に示すように、筐体11内の前方右側に設けられている。ホルダ17には、4つのインクカートリッジ18a〜18dが取り外し可能に装着される。4つのインクカートリッジ18a〜18dには、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの、4色のインクがそれぞれ貯留されている。ホルダ17には、4つのインクカートリッジ18a〜18dが装着されているか否かを検出する4つのカートリッジ検出センサ59a〜59d(図11参照)が設けられている。このカートリッジ検出センサ59a〜59dとしては、例えば、発光素子と受光素子とを有する光学式センサであって、ホルダ17に装着されたインクカートリッジ18a〜18dによって発光素子からの光が遮断されることにより、その装着状態を検出するものを採用できる。あるいは、ホルダ17にインクカートリッジ18a〜18dが装着されているときに、ホルダ17側に設けられた接点とインクカートリッジ18a〜18d側に設けられた接点とが接触して、両接点が導通することによってインクカートリッジ18a〜18dを検出する、接点式のものであってもよい。
<給送部20>
図2に示すように、給送部20が給紙トレイ15の上側に設けられている。給送部20は、給紙ローラ21とアーム22を有する。給紙ローラ21は、アーム22の先端に軸支されている。アーム22は、支軸22aに回動自在に支持され、バネなどにより付勢されて給紙ローラ21が給紙トレイ15に接触するように下側へ回動されている。また、アーム22は、給紙トレイ15の挿抜の際に上方へ退避可能に構成されている。給紙ローラ21は、伝達機構(不図示)を介してASFモータ20Mの動力が伝達されて回転し、給紙トレイ15内に積載された用紙Pが、搬送路25へ給送される。
<給紙トレイ15>
図2に示すように、給紙トレイ15は、斜壁部15aを有する。斜壁部15aは、給紙トレイ15に載置される用紙Pが給紙ローラ21によって給送されるときに、用紙Pを搬送路25に案内する。
<搬送路25>
搬送路25は、図2に示すように、所定間隔で対向する外側ガイド部材25a及び内側ガイド部材25bによって形成されている。搬送路25は、給紙トレイ15の後側の端部から上方且つプリンタ部10の前側へ曲がって構成されている。給紙トレイ15から給送された用紙Pは、搬送路25により下方から上方へUターンするように案内されて記録部40に至る。
<搬送ローラ対35、及び、排紙ローラ対36>
搬送ローラ対35は、下側に配置された搬送ローラ35aと上側に配置されたピンチローラ35bとを有する。ピンチローラ35bは、搬送ローラ35aの回転に伴って連れ回る。搬送ローラ35aとピンチローラ35bとは、協働して用紙Pを上下方向A1から挟持し、用紙Pを記録部40へ搬送する。
排紙ローラ対36は、下側に配置された排紙ローラ36aと、上側に配置された拍車ローラ36bとを有する。拍車ローラ36bは、排紙ローラ36aの回転に伴って連れ回る。排紙ローラ36aと拍車ローラ36bとは、協働して用紙Pを上下方向A1から挟持し、用紙Pを排紙トレイ16に搬送する。
これら搬送ローラ対35及び排紙ローラ対36は、LFモータ35Mが駆動されると、その駆動力が図示しない伝達機構によって搬送ローラ35a及び排紙ローラ36aに伝達され、これら搬送ローラ35a及び排紙ローラ36aがともに図2中時計回りに回転する。このとき、搬送ローラ35a及び排紙ローラ36aは、所定の改行幅で間欠駆動される。搬送ローラ35a及び排紙ローラ36aの回転は同期されており、搬送ローラ35aに設けられたロータリエンコーダ37(図11参照)で検出することにより、搬送ローラ35a及び排紙ローラ36aの回転が制御される。こうして、搬送ローラ対35に挟持された用紙Pは、所定の改行幅でプラテン6(後述する)上を間欠して搬送される。その改行毎に記録ヘッド41が走査されて、用紙Pの前端側から画像記録が行われる。画像記録が行われた用紙Pの前端側は、その後、排紙ローラ対36に狭持される。したがって、用紙Pは前端側を排紙ローラ対36に狭持され、後端側を搬送ローラ対35に狭持された状態で所定の改行幅で間欠して搬送され、同様に記録ヘッド41により画像記録が行われる。さらに用紙Pが搬送されると、用紙Pの後端が搬送ローラ対35を通過して、これらによる狭持が開放される。したがって、用紙Pは排紙ローラ対36に狭持されて所定の改行幅で間欠して搬送され、同様に記録ヘッド41により画像記録が行われる。用紙Pの所定領域に画像記録を行った後は、排紙ローラ36aが連続的に回転駆動される。これにより、排紙ローラ対36により狭持された用紙Pが排紙トレイ16へ排出される。このように給送部20、搬送ローラ対35、排紙ローラ対36によって、用紙Pを搬送する本発明の搬送機構が構成されている。
<記録部40>
図2及び図3に示すように、記録部40は、記録ヘッド41と、ヘッド移動機構50と、プラテン6とを有する。ヘッド移動機構50は、キャリッジ51を含む。キャリッジ51は、走査方向(左右方向A3であって、用紙Pの搬送方向と直交する方向)へ往復移動する。記録ヘッド41は、キャリッジ51に支持されている。
記録ヘッド41は、ヘッド本体42(液体吐出ヘッド)と、4つのサブタンク43a〜43dと、4つの排気ユニット45a〜45dとを有する。ヘッド本体42の下面は、当該記録ヘッド41の下方に搬送された用紙Pに対してインクを吐出する複数の吐出口41aが形成された吐出面41bである。
4つのサブタンク43a〜43dは、走査方向に沿って並べて配置されている。また、これら4つのサブタンク43a〜43dにはチューブジョイント44が一体的に設けられている。そして、チューブジョイント44に連結された可撓性の4本のチューブ(不図示)を介して、4つのサブタンク43a〜43dと4つのインクカートリッジ18a〜18dとがそれぞれ接続されている。4つのサブタンク43a〜43dは、ヘッド本体42に各色のインクを供給する。4つの排気ユニット45a〜45dは、サブタンク43dの右側で前後方向A2に並べて配置されている。これら排気ユニット45a〜45dは、4つのサブタンク43a〜43dとそれぞれ連通しており、サブタンク43内に滞留する気泡を排出するためのものである。
記録ヘッド41の下方には、搬送ローラ対35によって搬送される用紙Pを支持するプラテン6が配設されている。プラテン6は、キャリッジ51の往復移動範囲のうち、用紙Pが通過する部分に配設されている。プラテン6の幅は、搬送可能な用紙Pの最大幅より十分に大きいので、搬送路25を搬送される用紙Pは常にプラテン6上を通過する。このプラテン6上の領域が画像記録領域G1となっている。また、用紙Pを担持するプラテン6の上面の色は、一般的な用紙Pの色である白色と反射率が異なる色が好適であり、特に好ましくは黒色である。
ヘッド移動機構50は、図3に示すように、一対のガイドレール52、及び、ベルト伝達機構53を含む。一対のガイドレール52は、前後方向A2に離隔して配置され、左右方向A3に互いに平行に延在している。キャリッジ51は、これら一対のガイドレール52を跨ぐように配置され、当該一対のガイドレール52上を左右方向A3に沿って往復移動される。
また、ベルト伝達機構53は、2つのプーリ54,55と、無端状のタイミングベルト56と、CRモータ50Mとを含む。2つのプーリ54,55は、左右方向A3に互いに離隔して配置され、タイミングベルト56が架け渡されている。プーリ54は、CRモータ50Mの駆動軸と連結されており、CRモータ50Mが駆動されることで、タイミングベルト56が走行し、キャリッジ51とともに記録ヘッド41が走査方向に移動する。
記録ヘッド41は、記録指令に基づく制御部5の制御により、吐出口41aから各色のインクを吐出する。つまり、キャリッジ51が左右方向A3へ往復移動することにより、記録ヘッド41が用紙Pに対して走査されると共に、吐出口41aから、各色のインクを吐出することで、プラテン6上を搬送される用紙Pに画像が記録される。なお、プリンタ部10内には、走査方向に間隔を空けて配列された多数の透光部(スリット)を有するリニアエンコーダ(不図示)が設けられている。一方、キャリッジ51には、発光素子と受光素子とを有する透過型の位置検出センサ(不図示)が設けられている。そして、プリンタ部10は、キャリッジ51の移動中に位置検出センサが検出したリニアエンコーダの透光部の計数値から、キャリッジ51の走査方向に関する現在位置を認識できるようになっており、キャリッジ51の往復移動、すなわちCRモータ50Mの回転駆動が制御される。
<メンテナンス部60>
メンテナンス部60は、記録ヘッド41の吐出口41aから強制的にインクを排出させてその吐出性能を回復させるものであり、走査方向に関するキャリッジ51の移動範囲のうちの、画像記録領域G1よりも右側のメンテナンス領域G2のメンテナンス位置に配置されている。このメンテナンス部60の詳細については後ほど説明する。
次に、サブタンク43について説明する。なお、4色のインクをそれぞれ貯留する4つのサブタンク43a〜43dの構造は基本的に同一であるので、そのうちの1つのサブタンク43について以下説明する。
サブタンク43は、図4に示すように、一端がチューブジョイント44と接続された流路46を有する。流路46は、図4に示すように、ダンパー室46aと、気泡貯留室46bとを含む。ダンパー室46aは、チューブジョイント44と接続され前後方向A2に延在している。また、ダンパー室46aの上部は、可撓性を有するフィルム47によって覆われている。これにより、流路46内のインクに生じる圧力変動がダンパー室46aで吸収される。この結果、ヘッド本体42内のヘッド流路123のインクに圧力変動が伝わりにくくなって、インク吐出を安定させることが可能となる。
気泡貯留室(気泡貯留部)46bは、上下方向A1に延在し、上端がダンパー室46aに接続され、下端がヘッド本体42の供給口125に接続されている。サブタンク43内のインクは、ダンパー室46aから気泡貯留室46bを通って供給口125に流れる。このようなインクの流れにより、外部から流路46に入り込んだ気泡は気泡貯留室46bの上部に集まり、貯留されていく。気泡貯留室46bには、前後方向A2に2つの流路46b1,46b2を構成する仕切り壁46cが形成されている。仕切り壁46cは、上下方向A1に延在する垂直部46c1と、垂直部46c1の下端から前方に傾斜する傾斜部46c2とを有する。傾斜46c2の下端部には、連通孔46c3が形成されている。連通孔46c3は、流路46b2の中で最も流路抵抗が大きくなる部分であり、流路46b1の流路抵抗よりも大きい。
次に、ヘッド本体42について説明する。ヘッド本体42は、図5及び図6に示すように、流路ユニット121と、アクチュエータユニット122とを有する。図6(b)に示すように、流路ユニット121は、5枚のプレート131〜135が積層された構造を有する。5枚のプレート131〜135のうちの最下層のプレート135は、吐出口41aを構成するノズル135aが複数形成されたノズルプレート135である。一方、上側の残り4枚のプレート131〜134には、複数のノズル135aに連通するマニホールド136や圧力室137などの孔が形成されている。
図5に示すように、複数の吐出口41aは、前後方向A2に沿って配列された吐出口列124が左右方向A3に4列形成されるように配置されている。本実施形態において、図5中最も右側の吐出口列124dに属する吐出口41aからは、ブラックインクが吐出され、他の3列の吐出口列124a,124b,124cに属する吐出口41aからは、カラーインク(イエロー、シアン、マゼンタ)が吐出される。より詳細には、図5中最も左側の吐出口列124から順に、イエロー、シアン、マゼンタのインクが吐出される。
次に、流路ユニット121の上側4枚のプレート131〜134に形成された、複数のノズル135aに連通する流路構造について説明する。まず、図5に示すように、流路ユニット121の上面の後方端部(搬送方向上流端部)には、左右方向A3に並ぶ4つの供給口125が形成されている。これら4つの供給口125には、サブタンク43a〜43dから4色のインクが供給される。4つの供給口125は、イエローの供給口125a、シアンの供給口125b、マゼンタの供給口125c、ブラックの供給口125dである。また、各供給口125は、フィルタ(不図示)によって覆われており、気泡貯留室46bの気泡や流路46のインク中の異物がヘッド流路123に入りにくくなっている。
また、流路ユニット121の内部には、それぞれ前後方向A2に延在する4本のマニホールド136が形成されている。4本のマニホールド136は、それらの後端部において、4つの供給口125とそれぞれ接続されている。各マニホールド136においては、インクが後方から前方に流れる。つまり、搬送方向にインクが流れる。
また、流路ユニット121は、複数のノズル135aにそれぞれ対応した複数の圧力室137を有する。複数の圧力室137は、流路ユニット121の最上層に位置するプレート131に形成され、複数のノズル135aにそれぞれ対応して平面的に配置されている。図5に示すように、圧力室137は、4つの吐出口列124にそれぞれ対応して、前後方向A2に沿って配列された圧力室列が左右方向A3に4列形成されるように配置されている。以上より、図6(b)に矢印で示すように、流路ユニット121内には、各マニホールド136から分岐して、圧力室137を経てノズル135aに至る個別流路126が複数形成されている。これら4つのマニホールド136及び複数の個別流路126によって、流路ユニット121に形成されたヘッド流路123が構成される。
図5及び図6に示すように、アクチュエータユニット122は、振動板141と、圧電層142,143と、複数の個別電極144と、共通電極145とを含む。振動板141は、複数の圧力室137を覆った状態で流路ユニット121の上面に接合されている。2枚の圧電層142,143は、振動板141の上面に積層されている。複数の個別電極144は、上層の圧電層143の上面において、複数の圧力室137とそれぞれ対向するように配置されている。共通電極145は、2枚の圧電層142,143の間において、複数の圧力室137に跨って配置されている。
制御部5からの信号を受けて、ドライバIC138から個別電極144に対して駆動信号が供給されると、上層の圧電層143の圧力室137と対向する部分に圧電歪が生じることで、振動板141が撓むように変形する。このとき、圧力室137の容積が変化することによって、個別流路126内のインクに圧力が付与されてノズル135a(吐出口41a)からインクが吐出される。
次に、排気ユニット45a〜45dについて説明する。排気ユニット45a〜45dは、図3に示すように、サブタンク43の右側に設けられている。4つの排気ユニット45a〜45dは、図7に示すように、4色のインク(イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック)を貯留する4つのサブタンク43a〜43dに対してそれぞれ設けられている。
4つのサブタンク43a〜43dにそれぞれ対応する4つの排気ユニット45a〜45dの構造は基本的に同一であるので、そのうちの1つの排気ユニット(以下において符号45と記する)について以下説明する。排気ユニット45は、サブタンク43の側面に固定されたケース151と、このケース151内において上下方向A1に延在する排気流路152と、排気流路152を開閉する開閉弁153とを有する。排気流路152は、その上端が気泡貯留室46bの上端と連通する接続流路48(図4参照)を介して接続されている。排気流路152は、ケース151の下端に形成された排気口152aまで延在している。これら排気流路152と接続流路48とによって本発明の連通路161が構成されている。
開閉弁153は、排気流路152内において上下方向A1に移動可能に配設されるとともに排気流路152を閉鎖可能な弁部材154と、この弁部材154を下方に付勢するコイルバネ155とを有する。
弁部材154は、排気流路152内において上下方向A1に移動可能な有底筒状の弁体156と、この弁体156の底部から下方へ延びる弁棒157を有する。弁体156の外径は、排気流路152の内径よりは小さくなっており、この弁体156と排気流路152の内壁面との間をインクが流れることが可能となっている。また、弁体156の下面には環状のシール材158が装着されており、弁体156は、排気流路152の途中の段部に設けられた弁座面159にシール材158を介して当接することで、排気流路152を閉鎖するように構成されている。
コイルバネ155は、ケース151の上端部と弁部材154の弁体156との間に圧縮状態で配置されており、このコイルバネ155によって弁部材154が下方へ付勢される。そして、後述する排気機構67aにより、弁体156がコイルバネ155の付勢力に抗して上方へ駆動されたときには、弁体156が弁座面159から離間し、排気流路152が開放される。
次に、メンテナンス部60について説明する。図3、図7、図8に示すように、メンテナンス部60は、記録ヘッド41の吐出面41bに密着可能な吸引キャップ61と、4つの排気ユニット45の下面に密着可能な排気キャップ63と、吸引キャップ61と排気キャップ63の両方に接続された吸引ポンプ66と、4つの排気ユニット45内の開閉弁153をそれぞれ開閉させる4本の開閉部材68a〜68dと、これら開閉部材68a〜68dを移動させる移動機構68e(図11参照)等を含む。
吸引キャップ61は、ゴムや合成樹脂などの可撓性を有する材料で形成されており、2つの凹部61a,61bを構成するように2つに仕切られている。そして、図8に示すように、メンテナンス位置に記録ヘッド41(キャリッジ51)が移動してきたときに、この吸引キャップ61は、吐出面41bと対向する。この状態で、吸引キャップ駆動モータ61M(図11参照)を含む駆動機構(図示省略)によって上方に駆動されることにより、吸引キャップ61は、図8(b)に示すように、吐出面41bに密着し、複数の吐出口41aを覆う。このとき、吐出面41bの3色のカラーインクを吐出する吐出口41aが形成された領域が凹部61aによって覆われた密閉空間K1と、吐出面41bのブラックインクを吐出する吐出口41a形成された領域が凹部61bによって覆われた密閉空間K2の2つの密閉空間が形成される。
排気キャップ63も、吸引キャップ61と同じく、ゴムや合成樹脂等の可撓性を有する材料で形成されている。図3に示すように、この排気キャップ63は、吸引キャップ61よりも右側位置に配置されており、メンテナンス位置に記録ヘッド41が移動してきたときには、図7及び図8(a)に示すように、排気キャップ63は、4つの排気ユニット45の下面と対向する。この状態で、排気キャップ駆動モータ63M(図11参照)を含む駆動機構(図示省略)により、上方に駆動されることにより、排気キャップ63は、図8(b)に示すように、排気ユニット45の下面に密着し、4つの排気ユニット45の排気口152aを一度に覆う。
4本の開閉部材68a〜68d(すべての開閉部材にも共通する事項については以下において符号68を用いることがある)はそれぞれ上下方向に延在した棒状の部材であり、図7に示すように、前後方向A2に間隔を空けて並べて配置されている。また、開閉部材68は、排気キャップ63の底壁を気密を保った状態で貫通し、排気キャップ63に対して上下に相対移動可能に構成されている。また、メンテナンス位置に記録ヘッド41が移動してきたときには、図7に示すように、開閉部材68は、対応する排気ユニット45の下面の排気口152aの真下に位置する。
図7に示すように、4本の開閉部材68a〜68dのうち、ブラックインクの排気ユニット45dに対応する開閉部材68dは、単独で上下方向に移動可能となっている。一方、3色のカラーインク(イエロー、シアン、マゼンタ)の排気ユニット45a〜45cにそれぞれ対応する3本の開閉部材68a〜68cは、それらの下端部において互いに連結され、3本の開閉部材68a〜68cは一体的に上下方向に移動可能となっている。さらに、互いに連結されたカラーインク用の開閉部材68a〜68cと、ブラックインク用の開閉部材68dは、2つの弁駆動モータ68M1,68M2(図11参照)を含む移動機構68eにより、互いに独立して上下に駆動される。つまり、移動機構68eの弁駆動モータ68M1が駆動されることで開閉部材68a〜68cが、移動機構68eの弁駆動モータ68M2が駆動されることで開閉部材68dが開弁位置と閉弁位置との間において移動する。閉弁位置は、図8(a)に示すように、開閉部材68a〜68dが開閉弁153から離隔し当該開閉弁153を閉弁させる位置である。開弁位置は、図8(b)に示すように、開閉部材68a〜68dが開閉弁153に当接し当該開閉弁153を開弁させる位置である。
そして、排気キャップ63により排気ユニット45の下面の排気口152aが覆われた状態で、開閉部材68a〜68dが排気キャップ63に対して上方に移動すると、開閉部材68a〜68dの上端部が、排気口152aから排気流路152内に挿通されることになり、排気流路152内の弁棒157を上方に押圧する。すると、弁棒157と一体的に弁体156が上方へ移動して弁座面159から離間し、排気流路152が開放される(開弁)。
吸引ポンプ66は、切換機構69を介して、吸引キャップ61と排気キャップ63にチューブで接続されている。切換機構69は、吸引ポンプ66と吸引キャップ61の凹部61aとを連通させる第1連通状態と、吸引ポンプ66と吸引キャップ61の凹部61bとを連通させる第2連通状態と、吸引ポンプ66と排気キャップ63とを連通させる第3連通状態とを選択的にとることが可能に構成されている。
吸引キャップ61が吐出面41bに密着して吐出口41aを覆っており、且つ、切換機構69が第1連通状態をとるときに、吸引ポンプ66の吸引動作が行われたときには、密閉空間K1内の空気が吸引されて圧力が低下し、カラーインクを吐出する吐出口41aから凹部61a内にカラーインクが排出される(第1液体パージ)。吸引キャップ61が吐出面41bに密着して吐出口41aを覆っており、且つ、切換機構69が第2連通状態をとるときに、吸引ポンプ66の吸引動作が行われたときには、密閉空間K2内の空気が吸引されて圧力が低下し、ブラックインクを吐出する吐出口41aから凹部61b内にブラックインクが排出される(第1液体パージ)。これらにより、吐出口41a内の増粘インクや記録ヘッド41内の気泡(主にヘッド本体42内の気泡)を、インクとともに吐出口41aから排出することが可能となっている。
また、第1液体パージは、気泡貯留室46bの気泡の量が閾値未満のときに実行された場合に、気泡貯留室46bの気泡が圧力室137に到達せずに複数の吐出口41aからインクが排出されるように、そのインク排出量や吸引力などが設定されている。これにより、後述の排気処理における排気動作が正常に実行された場合には、気泡貯留室46bの気泡の量が閾値未満となり、第1液体パージが実行されても、気泡が圧力室137に到達しない(すなわち、圧力室137に気泡が留まらない)。このため、用紙Pに正常なテストパターンが記録されやすくなる。
一方、第1液体パージは、気泡貯留室46bの気泡の量が閾値以上のときに実行された場合に、気泡貯留室46bの気泡が圧力室137に留まり且つ複数の吐出口41aからインクが排出されるように、そのインク排出量や吸引力などが設定されている。本実施形態における色毎のインク排出量は、ヘッド流路123の色毎における容積以下であり、且つ、供給口125から圧力室137(ヘッド流路123に沿って供給口125から最も近い圧力室137)に至るヘッド流路123の色毎の部分容積以上となるように設定されている。これにより、第1液体パージによって排出されるインク量が、色毎におけるヘッド流路123の容積以下とすることが可能となる。なお、気泡貯留室46bに貯留された気泡が図4中二点鎖線で示す境界線に達するまでの量が、気泡貯留室46bの気泡の閾値となっている。
さらに、本実施形態では、吸引ポンプ66に、第1液体パージの実行時よりも吸引速度の高い吸引動作を行わせること(以下、高速吸引という)も可能となっている。この高速吸引による第2液体パージは、流路46及びヘッド流路123を流れるインクの流速が第1液体パージよりも速くなるように、密閉空間K1又は密閉空間K2の圧力を例えば−60kPaに急激に低下させて、ヘッド流路123を介して気泡貯留室46bの上部に滞留した気泡を吐出口41aからインクと共に排出させることを目的とするものである。
一方、排気キャップ63が排気ユニット45の下面に密着して排気口152aを覆っており、且つ、切換機構69が第3連通状態をとり、さらに開閉部材68により排気流路152が開放されている状態で、吸引ポンプ66の吸引動作が行われたときには、排気キャップ63と排気ユニット45の下面によって形成される密閉空間内の空気が吸引されて圧力が低下する。このとき、サブタンク43の気泡貯留室46bの上部に滞留した気泡が、接続流路48及び排気流路152を介して排出される(排気動作)。この排気動作では、主に気泡貯留室46bに滞留した気泡が排出されるもののサブタンク43内のインクも排出される。しかしながら、排気動作による排出インク量は、排気動作による気泡排出量と同じ量だけ気泡を排出するために排出する第2液体パージの排出インク量よりも大幅に少ない。
なお、本実施形態では、吸引ポンプ66、吸引キャップ61、切換機構69、吸引ポンプ66と吸引キャップ61とを接続するチューブなどによって液体パージを行うための液体パージ機構67bが構成され、吸引ポンプ66、排気キャップ63、切換機構69、吸引ポンプ66と排気キャップ63とを接続するチューブ、排気キャップ駆動モータ63Mを含む駆動機構、開閉部材68a〜68d及び弁駆動モータ68M1,68M2を含む移動機構68eなどによって排気動作を行うための排気機構67aが構成されている。また、吸引ポンプ66及び切換機構69は、液体パージ機構67bと排気機構67aの両方を兼ねている。
次に、光センサ58について説明する。光センサ58は、図9に示すように、記録ヘッド41とともにキャリッジ51に搭載されている。光センサ58は、図9及び図10に示すように、発光部58aと、受光部58bとを有する。図10に示すように、光センサ58は、発光部58aがプラテン6へ向かって光を照射し、光の反射光を受光部58bが受光するように構成されている。
プラテン6の上面の色は、用紙Pと反射率が異なる黒色であり、用紙Pが存在しない場合には、反射率の低いプラテン6からの反射光を受光部58bが受光するので光センサ58の検出は低い値となる。一方、用紙Pが存在する場合には、反射率の高い用紙Pからの反射光を受光部58bが受光するので光センサ58の検出値は高い値となる。したがって、光センサ58が受光する反射光量の差により用紙Pの有無を検出することができる。
また、用紙Pの画像が記録された記録領域からの反射光を受光部58bが受光した場合、光センサ58の検出値は用紙Pの画像が記録されていない非記録領域からの反射光を受光部58bが受光した場合よりも小さくなる。このように光センサ58は、用紙Pに記録された後述のテストパターンの反射光を読み取って、テストパターンに関する情報である検出値(読み取りデータ)を生成して出力する。したがって、テストパターンの情報を光センサ58で取得することができ、記録ヘッド41に吐出不良が生じているか否かを判定することが可能となる。
このような光センサ58は、図3に示すように、記録ヘッド41の搬送方向上流側においてキャリッジ51に搭載されて、キャリッジ51により走査方向へ往復移動するように構成されている。これにより、用紙Pの左端部及び右端部の位置情報を検出することが可能となり、搬送される用紙Pの幅情報を取得すること及び用紙Pに記録されたテストパターンの情報を取得することができる。
次に、制御部5について説明する。制御部5は、図11に示すように、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)104などを含み、これらが協働して、記録ヘッド41、ASFモータ20M、LFモータ35M、CRモータ50M、吸引キャップ駆動モータ61M、排気キャップ駆動モータ63M、弁駆動モータ68M1,68M2、吸引ポンプ66等の動作を制御する。例えば、制御部5は、PC等の外部装置から送信された記録指令に基づいて、記録ヘッド41、ASFモータ20M、LFモータ35M、CRモータ50M等を制御して、用紙Pに画像等を記録させる。また、制御部5は、CRモータ50M、吸引キャップ駆動モータ61M、排気キャップ駆動モータ63M、弁駆動モータ68M1,68M2、吸引ポンプ66等を制御して、吐出口41bからインクを排出させる液体パージなどのメンテナンス動作を行う。なお、本実施形態の制御部5では、CPU及びASICを1つずつ有しているが、制御部5は、CPUを1つだけ含み、この1つのCPUが必要な処理を一括して行うものであってもよいし、CPUを複数含み、これら複数のCPUが必要な処理を分担して行うものであってもよい。また、制御部5は、ASICを1つだけ含み、この1つのASICが必要な処理を一括して行うものであってもよいし、ASICを複数含み、これら複数のASICが必要な処理を分担して行うものであってもよい。また、制御部5は、光センサ58、4つのカートリッジ検出センサ59a〜59d、ロータリエンコーダ37などが接続されている。
次に、プリンタ部10のメンテナンス動作について、図12、図13を参照しつつ以下に説明する。制御部5は、所定時間経過したか否かを判定する(S1)。ここでいう所定時間は、インクカートリッジ18a〜18dがホルダ17に装着されたことを示す装着信号が対応するカートリッジ検出センサ59a〜59dから制御部5に出力されてからの経過時間(予め気泡の成長具合を実験で求めることで導出された期間であり、例えば1ヶ月である)であり、当該所定時間は経過する度にリセットされ、再度計時される。なお、カラーインク(マゼンタ、シアン、イエロー)については、排気動作、第1及び第2液体パージのいずれにおいても3色同時に実行されるので、カラーインクのいずれかに係る経過時間が所定時間になると、3つの経過時間がリセットされ再度計時される。そして、所定時間が経過する頃には、インクカートリッジ18の装着時に侵入した気泡、外部からインクカートリッジ18とサブタンク43とを繋ぐチューブ内に侵入した気泡などが気泡貯留室46bにある程度の量として滞留することがある。この気泡を排出せずに放置すると、気泡貯留室46bの気泡の量が閾値以上となる。気泡貯留室46bの気泡の量が閾値以上となると、吐出口41aからインクを吐出する印刷時のインクの引き込みでも、気泡貯留室46bの気泡が圧力室137に流れて留まることがある。このように圧力室137に気泡が留まると、吐出口41aからインクが吐出できないインク吐出不良が生じる。このため、本実施形態では、ブラック及びカラーインク(マゼンタ、シアン、イエロー)毎の所定時間が経過する度に、ブラック及びカラーインクに係るサブタンク43の気泡貯留室46bから気泡を排出するメンテナンス動作である排気モードが選択される。以下、気泡を排出するための排気モードでの動作について説明する。
本実施形態においては、ブラックインクを貯留するインクカートリッジ18dがホルダ17に装着されてから、所定時間が経過する度に実行されるブラックインクに係る排気モードについて説明するが、カラーインクを貯留する他のインクカートリッジ18a〜18cがホルダ17に装着されてから、所定時間が経過する度に実行されるカラーインクに係る排気モードであってもほぼ同様に実行されるため、詳細の説明は省略する。また、操作者がPCなどから排気動作を実行するための排気指令を送信し、制御部5が当該排気指令を受信した場合にも同様にS1以降の処理が実行される。この場合、指定されたブラック及びカラーインクの少なくともいずれかに係る排気モードが選択される。
制御部5は、所定時間経過しない場合(S1:NO)、制御部5はS1の処理を繰り返す。一方、所定時間経過すると(S1:YES)、フラグがセットされているか否かを判定する(S2)。なお、記録ヘッド41(キャリッジ51)が画像記録領域G1に配置されている状態として以下説明する。
次に、制御部5は、フラグがセットされている場合(S2:YES)、後述のS11に進む。フラグがセットされていない場合(S2:NO)、制御部5はn=1とする(S3)。ここでいうnは、後述の第1パターン判定処理において第2パターンであると判定される回数を数えるための値である。
次に、制御部5は排気処理を実行する(S4)。排気処理は、排気動作を行った後に、第1液体パージを実行する処理である。つまり、制御部5は、先ず、CRモータ50Mを制御して、記録ヘッド41をメンテナンス位置に配置させる。この後、制御部5は、排気キャップ駆動モータ63M、弁駆動モータ68M2、切換機構69、吸引ポンプ66を制御し、排気キャップ63で4つの排気口152aを覆わせ、切換機構69を第3連通状態とし、さらに開閉部材68により排気ユニット45dの排気流路152が開放されている状態で、吸引ポンプ66の吸引動作を行う。こうして、サブタンク43dの気泡貯留室46bの気泡が排出される。そして、制御部5は、吸引ポンプ66の駆動を停止した後、排気キャップ駆動モータ63M、弁駆動モータ68M2を制御し、排気ユニット45dの排気流路152を閉塞し、排気キャップ63を排気ユニット45から離隔させる。次に、制御部5は、吸引キャップ駆動モータ61M、切換機構69、吸引ポンプ66を制御して、吸引キャップ61で吐出口41aを覆わせ、切換機構69を第2連通状態とし、吸引ポンプ66の吸引動作を行う。これにより、密閉空間K2内が例えば−50kPaに減圧され、吐出口41aから凹部61bにブラックインクが排出される(第1液体パージ)。ここで行われる第1液体パージによって、流路ユニット121内に存在する気泡や吐出口41a近傍の増粘インクが排出され、吐出不良が回復される。
また、第1液体パージが、気泡貯留室46bの気泡の量が閾値未満のときに実行された場合は気泡貯留室46bの気泡が圧力室137に到達しない(すなわち、インク吐出不良が生じない)が、気泡貯留室46bの気泡の量が閾値以上のときに実行された場合は気泡貯留室46bの気泡が圧力室137に留まる。つまり、インク吐出不良を引き起こすような状態となる。
次に、制御部5は、記録ヘッド41、ASFモータ20M、LFモータ35M、CRモータ50Mを制御して、用紙Pに所定のテストパターン(排気動作が正常に実行されているか否かを判定するためのテストパターン)を記録させる(S5:第1テストパターン記録処理)。本実施形態においては、用紙Pと記録ヘッド41とが対向している状態で、記録ヘッド41を左右方向A3の一方に移動させながら、ブラックインクを吐出するすべての吐出口41aから同じタイミングで複数のインク滴を連続して吐出させる。こうして、前後方向A2の長さがノズル列の長さとほぼ同じ長さであり、左右方向A3に関して用紙幅よりも短く複数ドットからなる所定幅のテストパターンが用紙Pに記録される。
次に、制御部5は、LFモータ35M、CRモータ50Mを制御して、用紙Pに記録されたテストパターンが光センサ58よりも後方(搬送方向上流)に位置するまで用紙Pを後方(搬送方向とは逆方向)に搬送させた後に、テストパターンを記録するときよりも小さい改行幅で前方(搬送方向)に間欠搬送しつつキャリッジ51を走査させてテストパターンを光センサ58で読み取る(S6)。
用紙Pに記録されたテストパターンが、図13(a)に示すように記録されている場合は、すべての吐出口41aからほぼ同量のインクが吐出された正常なパターンである。この場合、光センサ58からのテストパターンに関する検出値は、前後方向A2に関して、テストパターンの後方端から前方端にかけてほぼ同じ値が出力される。
テストパターンが、図13(b)に示すように記録されている場合は、供給口125から供給されるインクの上流にある吐出口41aほどインクの吐出量が少ない第1パターンである。この場合、光センサ58からのテストパターンに関する検出値は、前後方向A2に関して、テストパターンの後方端ほど検出値が高い値が出力される。排気動作が正常に実行されていない場合、気泡貯留室46bの気泡が第1液体パージによって供給口125からヘッド流路123に流入し、ヘッド流路123のインク流れ方向上流部分の1以上の圧力室137に侵入して留まる。このため、前後方向A2に沿って配列された複数の吐出口41aのうちの後方(インク流れ方向上流)にある吐出口41aほどインクが吐出されなくなる。この結果、テストパターンが第1パターンとなる。つまり、テストパターンが第1パターンの場合は、排気動作が正常に実行されていない可能性が極めて高い。
テストパターンが、図13(c)に示すように記録されている場合は、供給口125から供給されるインクの下流にある吐出口41aほどインクの吐出量が少ない第2パターンである。この場合、光センサ58からのテストパターンに関する検出値は、前後方向A2に関して、テストパターンの前方端ほど検出値が高い値が出力される。なお、第1パターン及び第2パターンは、吐出口41aからインクが吐出されていないことによって生じる不良パターンである。第2パターンとしては、第1パターン以外のパターン、例えば、テストパターンの全領域でインク吐出抜けが生じるパターンなどを含んでいてもよい。第1パターンが生じる原因は排気動作が正常に実行されないことが多いが、第2パターンが生じる原因は、排気動作が正常に実行されなかったために、第1液体パージによってヘッド流路123に侵入した気泡でも生じるが吐出口41a近傍のインクの乾燥による吐出不良が多い。このインク乾燥による吐出不良の場合は、再度、第1液体パージが実行されることで回復されることがある。
次に、制御部5は、光センサ58から出力された検出値に基づいて、テストパターンが正常であるか否かを判定する(S7:排気判定処理)。つまり、検出値からテストパターンが正常であると判定された場合(S7:YES)、排気動作が正常に実行されていると判定し、制御部5は、フローを終了する。一方、検出値からテストパターンが正常でないと判定された場合(S7:NO)、排気動作が正常に実行されていないと判定し、制御部5は、検出値からテストパターンが第1パターンであるか否かを判定する(S8:第1パターン判定処理)。テストパターンが第1パターンである場合(S8:YES)、排気動作が正常に実行されていないと判定され、S11に進み、テストパターンが第2パターンである場合(S8:NO)、S9に進む。
S9において、制御部5は、nが2であるか否かを判定し、nが2でない場合(S9:NO)、nに1を加える(S10)。そして、S4に戻る。一方、nが2である場合(S9:YES)、テストパターンが第2パターンであるとの判定回数が2回目となり、制御部5はS11に進む。このときには排気処理が2回実行されているにもかかわらず、テストパターンが第2パターンとなっている。つまり、再度実行された排気動作及び第1液体パージでは吐出口41aの回復ができなかったことを示す。このため、排気動作が正常に実行されていないと判定され、S11に進む。
なお、排気動作では、排気ユニット45の排気口152aから主に気泡貯留室46bの気泡が排出されるもののサブタンク43内のインクも排出される。このため、弁体156に付着したインクが乾燥して増粘又は固化することで、弁体156とともにシール部材158が弁座面159などに引っ付いた状態となることがある。この結果、開閉部材68が上方に移動して弁体156と当接しても当該弁体156が移動せずに、排気流路152を閉鎖したままとなる。また、開閉部材68によって弁体156が移動しても、弁体156とケース151の内壁間に増粘又は固化したインクが詰まっていると、排気キャップ63内を吸引ポンプ66で減圧しても、排気口152aからは気泡もインクも排出されない。つまり、排気動作を実行するための動作をしているにもかかわらず、排気動作が正常に実行されないことがある。
次に、制御部5は、S11において、液体パージ処理を実行する。液体パージ処理は、第2液体パージを行った後に、第1液体パージを実行する連続液体パージ処理である。つまり、制御部5は、吸引キャップ駆動モータ61M、切換機構69を制御し、吸引キャップ61で吐出口41aを覆わせ、切換機構69を第2連通状態とする。この後、制御部5は、吸引ポンプ66を制御して、先ずは高速吸引を行う。このとき、密着空間K2内の負圧がサブタンク43の仕切り壁46cによる2つの流路46b1,46b2間の水頭差による圧力よりも大きくなる。このため、流路46b2内のインク及び気泡が仕切り壁46cの上端を越えて流路抵抗の小さい流路46b1に流れ、流路46b1内のインク及び気泡が供給口125に流れる。なお、ダンパー室46a内のインクは流路46b2に流れる。こうして、気泡貯留室46b内の気泡と共にインクが供給口125を介してヘッド流路123に流れ、ヘッド流路123に流れ込んだ気泡とインクが吐出口41aから吸引キャップ61(凹部61b)内に排出される(第2液体パージ)。第2液体パージが行われた後、制御部5は、吸引ポンプ66を制御して、第1液体パージを実行する。なお、第1液体パージにおける密着空間K2内の負圧は、サブタンク43の仕切り壁46cによる2つの流路46b1,46b2間の水頭差による圧力よりも小さい。このため、インクは主に流路46b2から供給口125に流れる。こうして、ヘッド流路123に残存する気泡とともに吐出口41aからインクが排出される。このような液体パージ処理により、気泡貯留室46bの気泡が吐出口41aを介して排出される。
なお、第2液体パージ後の気泡貯留室46bの気泡の量が閾値未満のときに、第1液体パージが実行された場合は気泡貯留室46bの気泡が圧力室137に到達しない(すなわち、インク吐出不良が生じない)が、気泡貯留室46bの気泡の量が閾値以上のときに実行された場合は気泡貯留室46bの気泡が圧力室137に留まる。つまり、インク吐出不良を引き起こすような状態となる。
次に、制御部5は、S5〜S7と同様なS12〜S14の処理を実行する。つまり、S12において、用紙Pにテストパターン(第2液体パージが正常に実行されているか否かを判定するためのテストパターン)を記録する(第2テストパターン記録処理)。ここで記録されるテストパターンは、S5で記録されたテストパターンと同じである。この後、S13において、記録されたテストパターンを光センサ58で読み取る。そして、S14において、光センサ58から出力された検出値に基づいて、テストパターンが正常であるか否かを判定する(液体パージ判定処理)。
S14において、テストパターンが正常でないと判定された場合(S14:NO)、制御部5は、第2液体パージが正常に行われていないと判定し、検出値からテストパターンが第1パターンであるか否かを判定する(S15:第2パターン判定処理)。テストパターンが第1パターンである場合、排気動作が正常に実行されているものの、サブタンク43からの気泡排出量が不足しているだけと考えられるため、S4に戻る。この後、S4〜S7が行われ、S7において、テストパターンが正常であると判定されると、フローが終了する。一方、テストパターンが第2パターンである場合、第2液体パージによるインク排出量が不足していることが考えられるため、S11に戻り、再度、液体パージ処理を実行する。
S14において、テストパターンが正常であると判定された場合(S14:YES)、制御部5は、第2液体パージが正常に実行されたと判定するとともに排気動作を正常に実行することができないと判定し、フラグセットする(S16)。これにより、次回以降に排気モードが選択されると(S1で所定時間が経過すると)、S2の処理の後、S11の処理が実行される。つまり、次回以降の排気モードにおいて、S4の排気処理に代えてS11の液体パージ処理が実行され、S5の第1テストパターン記録処理に代えてS12の第2テストパターン記録処理が実行され、S7の排気判定処理に代えてS14の液体パージ判定処理が実行される。こうして、正常に実行できなくなった排気動作が次回以降の排気モードにおいて再度実行されるのを防止することができる。
こうして、排気モードに係るメンテナンス動作が終了する。
以上に述べたように、本実施形態によるプリンタ部10によると、排気処理における排気動作が、排気流路152の詰まりや弁体156の動作不良など何らかの原因で正常に実行されていない場合、気泡貯留室46bの気泡の量が閾値以上となることがある。例えば、プリンタには、排気動作の実行間隔を管理するための時計が搭載され、コンセントが抜かれた場合には、時計が内蔵バッテリーで駆動して時間を計測するものがある。しかし、内蔵バッテリーがなくなり、時計が時間を計測できなくなると排気動作が所定の間隔で実行されず、排出路(排気流路152)に入り込んだインクなどが乾燥して増粘又は固化する。この増粘又は固化したインクが開閉弁(弁体156)に付着している場合、開閉弁を開放する動作を実行しても正常に開放していない場合がある。また、増粘又は固化したインクが排出路自体を塞ぐこともある。このような不具合が生じている状態で排気動作を実行しても、上述のように正常に排気動作が実行されず、気泡貯留室46bの気泡の量が閾値以上となる。この状態で第1液体パージが実行されると、気泡貯留室46bの気泡が圧力室137に留まる。この状態では、吐出口41aからインクが吐出されにくくなり、用紙Pに正常なテストパターンが記録されない。このため、S4の排気処理後にS6のテストパターンに関する検出値(情報)に基づいて、S7で排気動作が正常に実行されたか否かを判定することが可能となる。
S7においてテストパターンが正常であると判定されると、排気動作が正常に実行されたと判定される。この場合、フラグがセットされないので、次回の排気モードでも、排気処理が継続して実行される。
S7及びS8により、排気動作が正常に実行されていないと判定されると、S11を実行する。つまり、排気動作に代えて第2液体パージを行うことで、ヘッド本体42を介してサブタンク43の気泡を排出することが可能となる。また、S11の処理の後にS14が実行されることで、第2液体パージが正常に実行されたか否かを判定することが可能となる。
S7において排気動作が正常に実行されていないと判定しても、S8でテストパターンが第2パターンであると判定されると、再度S4に戻り、排気処理が実行される。そして、S8で第2パターンであるとの判定回数が2回目となると、S11の液体パージ処理が実行される。また、S8で第1パターンであると判定されると、S11の液体パージ処理が実行される。これにより、最初の排気動作が正常に実行されなかった場合においても、S8で第2パターンと判定された後のS7において、排気動作が正常に実行されていると判定されると、次回の排気モードで排気動作が実行される。このため、排気モードで排気動作が実行される可能性を高めることができる。
S14において第2液体パージが正常に実行されていないと判定されると、S15においてテストパターンが第1及び第2パターンのいずれであるかを判定する。第1パターンであると判定されると、S4〜S7の処理が再度実行され、第2パターンであると判定されると、S11〜S14の処理が再度実行される。このように液体パージ処理が正常に実行されなかった場合に、記録されたテストパターンが第1パターン及び第2パターンの何れであるかに応じて、適切な処理を行うことができる。
S7におけるテストパターンの判定を、制御部5が光センサ58からの検出値に基づいて行っている。このため、S7(排気判定処理)の判定精度が向上する。
続いて、プリンタ部10のメンテナンス動作の第1変形例について、図14を参照しつつ以下に説明する。本変形例においても、ブラックインクに係る排気モードについて説明するが、カラーインクに係るものであっても同様に実行すればよいだけであるため、詳細の説明は省略する。上述の実施形態においては、S8(第1パターン判定処理)においてテストパターンが第1パターンであっても、S15(第2パターン判定処理)においてテストパターンが第1パターンであると、再度、排気処理を実行するフローであったが、本変形例においては、第1パターン判定処理においてテストパターンが第1パターンであると、フラグをセットする。
より詳細には、図14に示すように、制御部5は、上述のS1,S2,S4〜S8と同様なF1〜F7の処理を実行する。F7においては、制御部5は、光センサ58から出力された検出値に基づいて、テストパターンが第1パターンであるか否かを判定する(第1パターン判定処理)。テストパターンが第1パターンである場合(F7:YES)、排気動作が正常に実行されていないと判定され、F8に進み、テストパターンが第2パターンである場合(F7:NO)、F3に戻り、再度、排気処理が実行される。
F8において、制御部5は、フラグをセットする。そして、制御部5は、上述のS11〜S14と同様なF9〜F12の処理を実行する。F12において、テストパターンが正常でないと判定された場合(F12:NO)、制御部5は、F9に戻り、再度、液体パージ処理(連続液体パージ処理)を実行する。一方、テストパターンが正常であると判定された場合(F12:YES)、制御部5は、フローを終了する。
本変形例によると、F7において、第1パターンであると判定されると、フラグがセットされ、次回以降に排気モードが選択されると(F1で所定時間が経過すると)、F2の処理の後、F9の処理が実行される。つまり、次回以降の排気モードにおいて、F3の排気処理に代えてF9の液体パージ処理が実行され、F4の第1テストパターン記録処理に代えてF10の第2テストパターン記録処理が実行され、F6の排気判定処理に代えてF12の液体パージ判定処理が実行される。こうして、正常に実行できなくなった排気動作が次回以降の排気モードにおいて再度実行されるのを防止することができる。
また、F7において第2パターンであると判定されると、再度、F3に戻り、排気処理が実行される。これにより、最初の排気動作が正常に実行されなかった場合においても、F7で第2パターンと判定された後のF6において、排気動作が正常に実行されていると判定されると、次回の排気モードで排気動作が実行される。このため、次回の排気モードで排気動作が実行される可能性を高めることができる。なお、上述の実施形態と同様な部分については同様な効果を得ることができる。
上述の実施形態及び第1変形例においては、排気動作及び第1液体パージを実行する1種類の排気処理が実行されているが、インクを排出するための吸引圧(エネルギー)が第1液体パージよりも小さくなるように設定された第3液体パージ(排気用液体パージ)を第1液体パージに代えて実行する別の排気処理も実行してもよい。この第2変形例における第3液体パージは、密閉空間内を例えば−30kPaに減圧して、ヘッド流路123内の気泡を吐出口41aから排出することが可能なようにそのインク排出量や吸引力などが設定されている。また、第3液体パージは、気泡貯留室46bの気泡の量が閾値未満のときに実行された場合に、気泡貯留室46bの気泡がヘッド流路123に流入せずに複数の吐出口41aからインクが排出されるように、そのインク排出量や吸引力などが設定されている。これにより、別の排気処理を実行したときに、気泡貯留室46bの気泡がヘッド流路123に流入しにくくなる。
また、本変形例においては、排気処理と別の排気処理とを交互に実行する。つまり、排気モードが選択されたときに排気処理を実行し、次に排気モードが選択されたときに別の排気処理を実行する。この場合、別の排気処理(第3液体パージ)を実行してから排気処理(第1液体パージ)を実行するまでの間において、テストパターン記録処理及び排気判定処理を実行しない。つまり、図15に示すように、排気処理が実行されると、テストパターン記録処理、排気判定処理が順に実行される。この後、別の排気処理が実行されても次の排気処理を実行するまでの間に、テストパターン記録処理、排気判定処理が実行されない。これにより、別の排気処理の後にテストパターン記録処理及び排気判定処理などのメンテナンス動作が実行されない分、メンテナンスに要する時間を短くすることができる。なお、排気処理と別の排気処理は、交互に実行されなくてもよい。例えば、別の排気処理が2回以上実行されてから排気処理が実行されてもよく、適宜、決定すればよい。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の実施形態及び各変形例においては、S1,F1において所定時間が経過すると排気モードが選択されていたが、例えば、S5(F4),S6(F5),S7(F6)の処理を実行し、テストパターンが正常でない場合に排気モードを選択してもよい。
また、上述の実施形態及び各変形例における第1液体パージは、気泡貯留室46bの気泡の量が閾値未満のときに実行された場合に、気泡貯留室46bの気泡が圧力室137に留まらなければ、気泡貯留室46bの気泡がヘッド流路123に流入、又は複数の吐出口41aから排出されるように、そのインク排出量や吸引力などが設定されていてもよい。また、第1液体パージによって排出されるインク量が、色毎におけるヘッド流路123の容積を越えていてもよい。
また、上述の実施形態及び各変形例においては、制御部5が光センサ58から出力された検出値に基づいて、テストパターンが正常であるか否か、及び、第1又は第2パターンかを判定していたが、操作者からの信号に基づいて判定してもよい。つまり、用紙Pに記録されたテストパターンをユーザが見て、テストパターンが正常であるか否かを示す信号、及び、第1又は第2パターンであることを示す信号を選択的に制御部5に送信してもよい。これらのテストパターンに関する情報に基づいて、制御部5が上述のように判定してもよい。
また、上述の実施形態及び各変形例においては、S7及びF6以降の処理がなくてもよい。要するに、排気動作が正常に実行されたか否かをテストパターンに関する情報で判定することができればよい。これにより、排気処理における排気動作が、排気流路152の詰まりや弁体156の動作不良など何らかの原因で正常に実行されていないことを検知することが可能となる。
また、サブタンク43(気泡貯留室46b)内の気泡を排出させる機構としては、特に排出機構67aに限定されない。つまり、連通路161に直接、吸引ポンプを接続してもよい。この場合、吸引ポンプが排出機構となり、開閉弁153等も設けられていなくてもよい。このような構成であっても連通路161が増粘又は固化したインクによって閉塞することがある。しかしながら、上述したように、排気動作が正常に実行されたか否かをテストパターンに関する情報で判定すればよい。これにより、排気処理における排気動作が、連通路161の詰まりなど何らかの原因で正常に実行されていないことを検知することが可能となる。
また、以上では、ノズルからインクを吐出することによって記録を行うプリンタ部に本発明を適用した例について説明したがこれには限られない。吐出口からインク以外の液体を吐出する、プリンタ部以外の液体吐出装置に本発明を適用することも可能である。また、本発明は、ライン式・シリアル式のいずれにも適用可能である。