JP2016211979A - 磁気センサ信号処理プログラム及び磁気センサモジュール - Google Patents

磁気センサ信号処理プログラム及び磁気センサモジュール Download PDF

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Abstract

【課題】システム全体の複雑化や高コスト化を招くことなく、回転角度を高い精度で検出することが可能な磁気センサ信号処理プログラム及び磁気センサモジュールを提供すること。
【解決手段】磁気センサを含むブリッジ回路から出力される出力信号V0(周期:λ)を、磁場の回転角度に対して周期がλである初期三角波からなる初期補正出力E0で近似する。次に、出力信号V0に対して、初期補正出力E0と出力信号V0との電圧誤差Δe0を、第1三角波からなる第1誤差関数ΔE1で近似する。さらに、初期補正出力E0と第1誤差関数ΔE1との和(=E0+ΔE1)を第1補正出力E1とし、これを用いて前記回転磁場の回転角度を算出する。
【選択図】図13

Description

本発明は、磁気センサ信号処理プログラム及び磁気センサモジュールに関し、さらに詳しくは、回転情報の検出に用いられる磁気センサの信号処理を行うための磁気センサ信号処理プログラム、及び、これを用いた磁気センサモジュールに関する。
磁気センサは、電磁気力(例えば、電流、電圧、電力、磁場、磁束など。)、力学量(例えば、位置、速度、加速度、変位、距離、張力、圧力、トルク、温度、湿度など。)、生化学量等の被検出量を、磁場を介して電圧に変換する電子デバイスである。磁気センサは、磁場の検出方法に応じて、ホールセンサ、異方的磁気抵抗(AMR: Anisotropic Magneto-Resistance)センサ、トンネル磁気抵抗(TMR: Tunnel Magneto Resistance)センサ等に分類される。
このような磁気センサは、従来から、
(a)自動車の車軸、ロータリーエンコーダ、産業用歯車等の回転情報の検出、
(b)油圧式シリンダ/空気式シリンダのストロークポジション、工作機械のスライド等の位置・速度情報の検出、
(c)工業用溶接ロボットのアーク電流等の電流情報の検出、
(d)地磁気方位コンパスなどに用いる方位の検出
などに用いられている。
TMR素子のように、その出力がランジュバン関数で近似される磁気センサを回転磁場の検出に用いた場合、回転磁場に対する出力は、正弦波ではなく、擬似的な三角波となることが分かっている。一般に、正弦波で出力される場合には、取得した素子の2相出力から逆正接(Arctangent)演算により角度を算出する方法が用いられる。一方、三角波で出力される場合には、素子から取得した出力信号を比例計算することで角度を算出することができる。
しかしながら、擬似的な三角波の場合、理想的な三角波から逸脱するため、角度演算に誤差を生じる。これを解決するために、2相信号(A相、B相)を切り替えることで角度を演算する方法が提案されている(特許文献1)。また、擬似的な三角波を、素子を駆動する電源電圧を用いてピン角補正することで、理想的な三角波に近づける方法が提案されている(特許文献2)。
2相信号を切り替えることにより角度を演算する方法を用いると、誤差の大きい三角波の頂点近傍を避けて回転角度を算出することができる。この方法の場合、回転磁場が良好な状態で角度誤差は0.5°を下回る。しかしながら、回転磁場の強さが変化する場合には、角度誤差は増加し、0.5°を超える場合がある。
一方、電源電圧を用いてピン角補正する方法を用いると、三角波の頂点近傍における角度誤差を小さくすることができる。しかし、この方法においても、角度誤差が最良となる磁場の強さ以外の回転磁場に対して、角度誤差は1°を超える。このため、角度の検出時に回転磁場の強さが変化(例えば、磁石とセンサの距離が変化)したり、温度変化によるセンサの出力変動が発生する場合には、角度誤差を0.5°以下にすることができない。
特開2011−033481号公報 特開2008−101953号公報
本発明が解決しようとする課題は、磁気センサに作用する回転磁場の強さが変化する場合であっても、システム全体の複雑化と高コスト化を招くことなく、回転角度を高い精度で検出することが可能な磁気センサ信号処理プログラム、及び、これを用いた磁気センサモジュールを提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、磁気センサ出力が理想的な三角波から大きく逸脱するような回転磁場が作用する場合であっても、システム全体の複雑化と高コスト化を招くことなく、回転角度を高い精度で検出することが可能な磁気センサ信号処理プログラム、及び、これを用いた磁気センサモジュールを提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る磁気センサ信号処理プログラムは、コンピュータを、以下の手段として機能させることを要旨とする。
(1)磁気センサ(A)を含むブリッジ回路(A相)に回転磁場が作用したときに、前記ブリッジ回路(A相)から出力される出力信号(A相)を入力し、メモリーに記憶させるA相信号入力手段。
(2)磁気センサ(B)を含み、前記ブリッジ回路(A)とは機械角度が45°異なるように配置されたブリッジ回路(B相)に回転磁場が作用したときに、前記ブリッジ回路(B相)から出力される出力信号(B相)を入力し、前記メモリーに記憶させるB相信号入力手段。
(3)前記出力信号V0の振幅から前記回転磁場の強さを算出する磁場強度算出手段。
(4)前記出力信号(A相)及び前記出力信号(B相)のそれぞれについて、以下の処理を実行する誤差補正手段。
(4.1)磁場の回転角度に対して周期がλである前記出力信号V0を、周期がλである初期三角波(一次関数の組み合わせからなる鋸歯状に折れ曲がった波形を含む。以下同じ。)からなる初期補正出力E0で近似し、これを前記メモリーに記憶させる三角波近似手段。
(4.2)前記出力信号V0に対して、前記初期補正出力E0と前記出力信号V0との電圧誤差Δe0(=V0−E0)を第1三角波で近似したときに、前記回転磁場の強さと前記第1三角波の波形情報(振幅及び極値の位置)との関係であって、角度誤差がより小さくなる関係を予め前記メモリーに記憶させておき、
前記回転磁場の強さに対応する前記第1三角波の波形情報を前記メモリーから読み出し、これを第1誤差関数ΔE1として前記メモリーに記憶させる第1誤差関数算出手段。
(4.3)前記初期補正出力E0と前記第1誤差関数ΔE1との和(=E0+ΔE1)を第1補正出力E1とし、これを前記メモリーに記憶させる第1補正出力算出手段。
(5)前記出力信号(A相)に対応する前記第1補正出力E1及び前記出力信号(B相)に対応する前記第1補正出力E1用いて、前記回転磁場の回転角度を算出する回転角度算出手段。
本発明に係る磁気センサモジュールは、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記磁気センサモジュールは、
磁気センサ(A)を含むブリッジ回路(A相)と、
磁気センサ(B)を含み、前記ブリッジ回路(A)とは機械角度が45°異なるように配置されたブリッジ回路(B相)と、
前記磁気センサ(A)及び前記磁気センサ(B)に回転磁場を作用させるための磁場発生部と、
前記ブリッジ回路(A)及び前記ブリッジ回路(B)に電圧を印加する電源と、
前記ブリッジ回路(A相)及び前記ブリッジ回路(B相)に接続された中央演算処理装置と、
前記中央演算処理装置に接続されたメモリーと
を備えている。
(2)前記メモリーには、本発明に係る磁気センサ信号処理プログラムが記憶されている。
出力が擬似的な三角波となる磁気センサに対して理想的な強さの回転磁場が作用する場合、三角波の頂点近傍の角度誤差は大きくなるが、三角波の辺上の角度誤差は相対的に小さくなる。しかしながら、回転磁場の強さが理想的な強さから大きく逸脱すると、三角波の頂点近傍だけでなく、三角波の辺上においても、角度誤差が大きくなる。
これに対し、
(a)ブリッジ回路から出力される磁場の回転角度に対して周期λの出力信号V0を、周期λの初期三角波からなる初期補正出力E0で近似し、
(b)出力信号V0に対して、出力信号V0と初期補正出力E0との電圧誤差Δe0を、第n三角波からなる第n誤差関数の和ΣΔEn(nは、1以上の整数)で近似し、さらに、
(c)この初期補正出力E0及び第n誤差関数の和ΣΔEnを用いて出力信号V0を補正することで、
回転磁場の強さが変動する場合であっても、三角波の辺上における角度誤差が小さくなる。しかも、誤差関数は、一次関数の組み合わせであり、その演算は、比較的容易であるため、 システム全体の複雑化と高コスト化を招くこともない。
出力がランジュバン関数で近似される素子のMRカーブである。 素子の飽和感度(Hk)の20%に相当する回転磁場Bが作用したときの、(a)素子の出力波形、(b)ピン角補正後の波形、及び、(c)角度誤差(=三角波演算により算出された角度−実際の角度)である。 素子の飽和感度(Hk)の40%に相当する回転磁場Bが作用したときの、(a)素子の出力波形、(b)ピン角補正後の波形、及び、(c)角度誤差(=三角波演算により算出された角度−実際の角度)である。 素子の飽和感度(Hk)の80%に相当する回転磁場Bが作用したときの、(a)素子の出力波形、(b)ピン角補正後の波形、及び、(c)角度誤差(=三角波演算により算出された角度−実際の角度)である。
図5(a)は、ピン角補正後の波形の一例である。図5(b)は、回転角度が0°〜45°(0〜λ/4)の区間にある波形の拡大図である。 図6(a)は、実際の角度(横軸)と角度誤差(縦軸)との関係を示す図である。図6(b)は、ビット表示された素子の電圧(横軸)とビット表示された電圧誤差(縦軸)との関係を示す図である。
図7(a)は、三角波近似により回転角度を算出する場合において、素子の飽和感度(Hk)の20%に相当する回転磁場Bが作用したときの実際の角度(横軸)と角度誤差(縦軸)との関係(0〜λ/4の区間のみ表示)を示す図である。図7(b)は、0〜λ/8の区間内でのビット表示された電圧(横軸)とビット表示された電圧誤差(縦軸)との関係を示す図である。 図8(a)は、三角波近似により回転角度を算出する場合において、素子の飽和感度(Hk)の40%に相当する回転磁場Bが作用したときの実際の角度(横軸)と角度誤差(縦軸)との関係(0〜λ/4の区間のみ表示)を示す図である。図8(b)は、0〜λ/8の区間内でのビット表示された電圧(横軸)とビット表示された電圧誤差(縦軸)との関係を示す図である。 図9(a)は、三角波近似により回転角度を算出する場合において、素子の飽和感度(Hk)の80%に相当する回転磁場Bが作用したときの実際の角度(横軸)と角度誤差(縦軸)との関係(0〜λ/4の区間のみ表示)を示す図である。図9(b)は、0〜λ/8の区間内でのビット表示された電圧(横軸)とビット表示された電圧誤差(縦軸)との関係を示す図である。 最小二乗法を用いた誤差関数の算出方法を説明するための模式図である。
図11(a)は、回転磁場の強さ(横軸)と補正前の電圧振幅(縦軸)との関係を示す図である。図11(b)は、補正前の信号振幅(横軸)と、補正三角波(第1三角波)の振幅(縦軸)との関係を示す図である。図11(c)は、図11(b)の破線で囲まれた領域の拡大図である。 左上図は、誤差補正前の実際の角度(横軸)と角度誤差(縦軸)との関係を示す図(0〜λ/4の区間のみ表示)である。左下図は、誤差補正後の実際の角度(横軸)と角度誤差(縦軸)との関係を示す図(0〜λ/8の区間のみ表示)である。右上図は、誤差補正前のビット表示された電圧(横軸)とビット表示された電圧誤差(縦軸)との関係を示す図(0〜λ/4の区間のみ表示)である。右下図は、誤差補正後のビット表示された電圧(横軸)とビット表示された電圧誤差(縦軸)との関係を示す図(0〜λ/8の区間のみ表示)である。右下図の挿入図は、誤差補正前(ピン角補正後)の出力波形の一例である。 回転磁場の強さ(横軸)と角度誤差(縦軸)との関係を示す図である。
実際の機械角度(磁場の回転角度)に対する出力波形、理想的な三角波、及び、電圧誤差Δe0の関係を示す図である。 取得電圧Vと電圧誤差Δe0との関係を示す図である。 電圧誤差Δe0と、最小二乗法を用いて三角波近似された第1誤差関数ΔE1との関係を示す図である。 基準となる取得電圧を2のべき数和で表すことによる演算処理の高速化を説明するための図である。
極値を用いて、電圧誤差Δe0を第1三角波(第1誤差関数)ΔE1で近似する方法の模式図である。 極値を用いて、電圧誤差Δen-1を高次の三角波(第n誤差関数)ΔEnで近似する方法の模式図である。 1次〜3次の三角波(誤差関数)ΔE1〜ΔE3の関係を説明する模式図である。 電圧誤差Δe0とΣΔEnとの関係を示す模式図である。 本発明に係る磁気センサ信号処理プログラムのフローチャートである。 本発明に係る磁気センサ信号処理プログラムを実行するための回路図の一例である。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 磁気センサ及びブリッジ回路]
[1.1. 磁気センサ]
本発明において、磁気センサの種類は、特に限定されるものではなく、あらゆる種類の磁気センサに対して本発明を適用することができる。
本発明が適用可能な磁気センサとしては、具体的には、
(1)ホールセンサ、
(2)AMRセンサ、
(3)磁性体粒子又は磁性体薄膜の間に薄い絶縁膜がある構造を備えたトンネル磁気効果(TMR:Tunneling Magnetoresistance)センサ、
などがある。
出力がランジュバン関数で近似される素子(図1参照)は、回転磁場に対する出力が擬似的な三角波となる。そのため、このような素子に対して本発明を適用すると、システム全体の複雑化と高コスト化を招くことなく、回転角度を高い精度で検出することが可能となる。出力がランジュバン関数で近似される素子としては、例えば、TMR素子などがある。
[1.2. ブリッジ回路]
本発明において、「ブリッジ回路」とは、4個の抵抗からなるフルブリッジ回路、又は、2個の抵抗からなるハーフブリッジ回路の双方を意味する。
フルブリッジ回路の場合、4個の抵抗の内、少なくとも1個が磁気センサであり、残りが固定抵抗器であっても良い。しかしながら、演算を容易化し、かつ、温度変化が生ずる環境下においても高い出力を安定して得るためには、フルブリッジ回路は、感磁方向が互いに90°異なるように配置された4個の磁気センサで構成するのが好ましい。
同様に、ハーフブリッジ回路の場合、2個の抵抗の内、1個が磁気センサであり、残りが固定抵抗器であっても良い。しかしながら、演算を容易化し、かつ、温度変化が生ずる環境下においても安定した出力を得るためには、ハーフブリッジ回路は、感磁方向が互いに90°異なるように配置された2個の磁気センサで構成するのが好ましい。
ここで、「感磁方向」とは、磁気センサに回転磁場を作用させた場合において、最大の抵抗変化が生ずる方向をいう。
[1.3. ブリッジ回路の機械角]
本発明において、機械角度が45°異なるように配置された2つのブリッジ回路(ブリッジ回路(A)、ブリッジ回路(B))を用いて回転角度を算出する。
「機械角度が45°異なる」とは、2つのブリッジ回路に含まれる磁気センサ(磁気センサ(A)、磁気センサ(B))の感磁方向が互いに45°異なるように、2つのブリッジ回路を配置することをいう。
ブリッジ回路(A)及びブリッジ回路(B)は、一方がフルブリッジ回路で他方がハーフブリッジ回路であっても良い。しかしながら、演算を容易化するためには、双方をフルブリッジ回路とするか、あるいは、双方をハーフブリッジ回路とするのが好ましい。
フルブリッジ回路においては、2つの中点電位の差分を出力として取り出す。4個の抵抗に作用する磁場が等価であるときは、中点電位の差分は、ゼロ(V)となる。一方、回転磁場が作用すると、中点電位の差分は、ゼロ(V)を中心として、プラス側又はマイナス側に変動する。
ハーフブリッジ回路においては、中点電位を出力として取り出す。2個の抵抗に作用する磁場が等価であるときは、中点電位は、ハーフブリッジ回路に印加される電圧Vccの1/2となる。一方、回転磁場が作用すると、中点電位は、Voc/2を中心として、プラス側又はマイナス側に変動する。
[2. 角度誤差]
図1に、出力がランジュバン関数で近似される素子のMRカーブを示す。
ここで、「飽和感度(Hk)」とは、抵抗値の磁場に対する感度の変化の割合が極大となる磁場(感度の変化が鈍感になる磁場)をいう。図1に示すMR特性を示す磁気センサの場合、飽和感度Hkは100(Oe)となる。飽和感度Hkは、簡便には、MRカーブに対し、飽和感度より低磁場側において引いた接線と、飽和感度より高磁場側において引いた接線との交点として求められる。
図2に、2極マグネットを使用して、このような素子に対し、素子の飽和感度(Hk)の20%に相当する回転磁場Bを作用させたときの、(a)素子の出力波形、(b)ピン角補正後の波形、及び、(c)角度誤差(=三角波演算により算出された角度−実際の角度)を示す。
図3に、素子の飽和感度(Hk)の40%に相当する回転磁場Bが作用したときの、(a)素子の出力波形、(b)ピン角補正後の波形、及び、(c)角度誤差(=三角波演算により算出された角度−実際の角度)を示す。
さらに、図4に、素子の飽和感度(Hk)の80%に相当する回転磁場Bが作用したときの、(a)素子の出力波形、(b)ピン角補正後の波形、及び、(c)角度誤差(=三角波演算により算出された角度−実際の角度)を示す。
ブリッジ回路に回転磁場が作用した場合、素子の出力は、λ=180°の周期で周期的に変動する。また、機械角度が45°異なるように配置された2つのブリッジ回路(ブリッジ回路(A)、ブリッジ回路(B))の位相差は、45°となる。
飽和感度(Hk)が100(Oe)である素子に対して、飽和感度(Hk)の40%に相当する外部磁場Bが作用した場合、素子の出力波形は、三角波に近い波形となる(図3(a))。そのため、素子の出力波形をピン角補正し(図3(b))、三角波近似により回転角度を算出した場合、角度誤差は、三角波の頂点近傍(45°近傍)やその中間点近傍(0°近傍)だけでなく、三角波の辺上(0°から45°の間)においても小さくなる(図3(c))。
一方、飽和感度(Hk)が100(Oe)である素子に対して、飽和感度(Hk)の20%に相当する外部磁場Bが作用した場合、素子の出力波形は、正弦波に近い波形となる(図2(a))。そのため、素子の出力波形をピン角補正し(図2(b))、三角波近似により回転角度を算出した場合、角度誤差は、三角波の頂点近傍(45°近傍)やその中間点近傍(0°近傍)では小さくなるが、三角波の辺上(0°から45°の間)では大きくなる(図2(c))。
同様に、飽和感度(Hk)が100(Oe)である素子に対して、飽和感度(Hk)の80%に相当する外部磁場Bが作用した場合、素子の出力波形は、歪んだ三角波となる(図4(a))。そのため、素子の出力波形をピン角補正し(図4(b))、三角波近似により回転角度を算出した場合、角度誤差は、三角波の頂点近傍(45°近傍)やその中間点近傍(0°近傍)では小さくなるが、三角波の辺上(0°から45°の間)では大きくなる(図4(c))。しかも、角度誤差の極性は、図2とは反対となる。
図5(a)に、ピン角補正後の波形の一例を示す。図5(b)に、回転角度が0°〜45°(0〜λ/4)の区間の波形の拡大図を示す。
例えば、ブリッジ回路から取得される電圧がV0である場合、実際の回転角度は、θである。しかし、ピン角補正後の出力波形を三角波で近似した場合において、実際の波形が三角波の下にある時には、電圧V0を用いて、三角波演算により求められる回転角度は、θ−Δθとなる。従って、三角波演算により取得電圧V0から実際の回転角度θを導くためには、取得した電圧V0に電圧誤差Δe0を加算して出力を補正する必要がある。
逆に、実波形が三角波の上にある時には、取得電圧V0から電圧誤差Δe0を減算する必要がある。
補正すべき電圧誤差Δe0の波形は、磁気センサ(ブリッジ回路)の特性、生信号の矯正方法、及び、外部磁場Bの強さが決まれば一義的に定まる。図6(a)に、図2〜図4に示す特性を持つブリッジ回路に回転磁場が作用したときの、実際の角度(横軸)と角度誤差(縦軸)との関係の一例を示す。角度誤差Δθは、「三角波演算により算出された角度−実際の回転角度」を表す。
なお、図6(a)は、0〜λ/4の区間の波形のみを示している。それ以降の波形は、図6(a)に示す波形の繰り返しとなる。この点は、図6(b)も同様である。
図2〜図4に示す特性を持つブリッジ回路に対し、飽和感度(Hk)の0.05倍〜0.1倍程度の弱い磁場Bが作用した場合、実際の出力波形は、正弦波に近い形となる。これを三角波で近似すると、0〜λ/8の区間では、「三角波演算により算出された角度>実際の角度」となる。一方、λ/8〜λ/4の区間では、この関係が逆転する。そのため、角度誤差Δθは、0〜λ/8の区間では上に凸、λ/8〜λ/4の区間では下に凸の正弦波に似た波形(疑似正弦波)となる。
外部磁場Bの強さが大きくなるに伴い、疑似正弦波の振幅が小さくなり、最適な磁場Bでは、角度誤差Δθは、0〜λ/4の区間でほぼ一定値(ゼロ)となる。
外部磁場Bの強さがさらに強くなる(例えば、飽和感度(Hk)の1.8倍になる)と、極性が反転し、角度誤差Δθは、0〜λ/8の区間では下に凸、λ/8〜λ/4の区間では上に凸の疑似正弦波となる。
図6(b)に、図2〜図4に示す特性を持つブリッジ回路に回転磁場Bが作用したときの、ビット表示された素子の電圧(横軸)とビット表示された電圧誤差(縦軸)との関係の一例を示す。電圧誤差Δeは、「三角波演算に用いられる電圧−実際に取得された電圧」を表す。ビット表示された電圧は、アナログ−デジタル変換回路(ADC)により取得することができる。
図6(b)は、図6(a)の変化を電圧側から見た図である。すなわち、外部磁場Bが小さい場合において、0〜λ/8の区間では、実際の波形が三角波の上に来る。そのため、三角波演算に用いられる電圧は、実際の出力電圧から電圧誤差Δe0を減算したものを用いる。一方、λ/8〜λ/4の区間では、この関係が逆転する。そのため、電圧誤差Δe0は、0〜λ/8の区間では上に凸、λ/8〜λ/4の区間では下に凸の疑似正弦波となる。
外部磁場Bの強さが大きくなるに伴い、疑似正弦波の振幅が小さくなり、最適な磁場Bでは、電圧誤差Δe0は、0〜λ/4の区間でほぼ一定値(ゼロ)となる。
外部磁場Bの強さがさらに強くなる(例えば、飽和感度(Hk)の1.8倍になる)と、極性が反転し、電圧誤差Δe0は、0〜λ/8の区間では下に凸、λ/8〜λ/4の区間では上に凸の疑似正弦波となる。
[3. 角度誤差の補正]
本発明においては、まず、磁場の回転角度Tに対して周期がλである出力信号V0を、周期がλである初期三角波からなる初期補正出力E0で近似する。「磁場の回転角度に対して」とは、出力信号V0又は初期補正出力E0を、磁場の回転角度Tを変数とする周期関数として表すことをいう。
次に、出力信号V0に対して、初期補正出力E0と出力電圧V0との電圧誤差Δe0(=V0−E0)をさらに三角波ΔE1で近似し、これを用いて回転角度の演算に用いられる電圧を補正する。この点が、従来とは異なる。「出力信号V0に対して」とは、電圧誤差Δe0又は三角波ΔE1を、出力信号V0を変数とする周期関数として表すことをいう。磁場の回転角度でλに相当する全区間についてΔe0を三角波に近似する計算をしても良いが、上述したように、Δe0は、回転角度でλ/4に相当する区間を1周期として周期的に変動する。そのため、例えば、回転角度が(m−1)λ/4〜mλ/4(mは、整数)に相当するいずれかの区間についてΔe0を三角波で近似する計算を行い、得られた三角波を機械角180°に展開すれば良い。この場合、mは、任意に選択することができる。
さらに、高い精度が求められる場合には、(n−1)回目(nは、2以上の整数)の角度誤差の補正が行われた後の電圧(En-1)と出力電圧(V0)との間の電圧誤差Δen-1(=V0−En-1)をさらにn番目の三角波ΔEnで近似し、これを用いて回転角度の演算に用いられる電圧を補正しても良い。
上述したように、電圧誤差Δe0は、磁気センサ(ブリッジ回路)の特性、生信号の矯正方法、及び、外部磁場Bの強さが決まれば一義的に定まるので、近似された三角波の波形情報を予め誤差関数としてメモリーに記憶させておく。実際の測定の際には、外部磁場Bの強さに対応する誤差関数をメモリーから読み出し、出力信号を誤差関数で補正する。
電圧誤差Δe0を三角波で近似する方法は、特に限定されない。電圧誤差Δe0を三角波で近似する方法としては、例えば、
(a)最小二乗法を用いて、電圧誤差Δe0を三角波で近似する方法、
(b)電圧誤差Δe0の極値を用いて、電圧誤差Δe0を三角波で近似する方法、
などがある。
なお、本発明において、「三角波」というときは、二等辺三角形の繰り返しからなる波形(狭義の三角波)だけではなく、一次関数の組み合わせからなる鋸歯状に折れ曲がった波形も含まれる。
[3.1. 最小二乗法を用いた電圧誤差Δe0の近似]
[3.1.1. 電圧誤差Δe0の取得及び誤差関数の振幅の決定]
図7(a)に、三角波近似により回転角度を算出する場合において、素子の飽和感度(Hk)の20%に相当する回転磁場Bが作用したときの実際の角度(横軸)と角度誤差(縦軸)との関係(0〜λ/4の区間のみ表示)を示す。図7(b)に、0〜λ/8の区間内でのビット表示された電圧(横軸)とビット表示された電圧誤差(縦軸)との関係を示す。
上述したように、ピン角補正された出力を初期三角波で近似した場合において、外部磁場Bが小さいときには、図7(a)に示すように、0〜λ/8の区間では角度誤差Δθは上に凸となる。一方、λ/8〜λ/4の区間では、角度誤差Δθは下に凸となる。また、角度誤差Δθの波形は、0〜λ/4の区間内でλ/8の点を中心として点対称になっている。
図7(b)中、白四角は、図7(a)の角度誤差Δθを電圧誤差Δe0に置き換えたものである。黒丸は、実際の電圧誤差Δe0(白四角)のデータを用いて、最小二乗法により求めた誤差関数(第1三角波)の波形である。この場合、三角波の絶対値の周期はλ/8であり、三角波の頂点はλ/16の位置にあるので、三角波の振幅が決まれば、三角波の波形は一義的に定まる。
図8(a)に、三角波近似により回転角度を算出する場合において、素子の飽和感度(Hk)の40%に相当する回転磁場が作用したときの実際の角度(横軸)と角度誤差(縦軸)との関係(0〜λ/4の区間のみ表示)を示す。図8(b)に、0〜λ/8の区間内でのビット表示された電圧(横軸)とビット表示された電圧誤差(縦軸)との関係を示す。
図9(a)に、三角波近似により回転角度を算出する場合において、素子の飽和感度(Hk)の80%に相当する回転磁場が作用したときの実際の角度(横軸)と角度誤差(縦軸)との関係(0〜λ/4の区間のみ表示)を示す。図9(b)に、0〜λ/8の区間内でのビット表示された電圧(横軸)とビット表示された電圧誤差(縦軸)との関係を示す。
外部磁場Bの強さが適度な大きさである場合(図8)、及び、外部磁場Bの強さが大きい場合(図9)も同様であり、角度誤差Δθの波形は、0〜λ/4の区間内でλ/8の点を中心として点対称になっている。また、図8(b)及び図9(b)において、黒丸は、実際の電圧誤差Δe0(白四角)のデータを用いて、最小二乗法により求めた誤差関数(第1三角波)の波形である。図7〜9より、外部磁場の強さに応じて、三角波の振幅の絶対値及び符号が変わることがわかる。
図10に、最小二乗法を用いた誤差関数の算出方法を説明するための模式図を示す。まず、図10に示すように、ある電圧(xi)における実際の電圧誤差F(xi)と、振幅がV(未知)である三角波上の値Ttri(xi)との差の二乗和S(V)を求める。Ttri(xi)はVの関数であるため、S(V)もVの関数となる。次に、∂S/∂V=0を満たすVを求める。Vが分かると、図10の黒丸で示すような三角波が導かれる。
[3.1.2. 測定精度]
図11(a)に、回転磁場Bの強さ(横軸)と補正前の電圧振幅(縦軸)との関係を示す。図11(b)に、補正前の信号振幅(横軸)と、最小二乗法により得られた補正三角波(第1三角波)の振幅(縦軸)との関係を示す。図11(c)に、図11(b)の破線で囲まれた領域の拡大図を示す。
磁気センサ(ブリッジ回路)の特性及び出力信号の矯正方法が決まると、図11(b)に示すように、外部磁場Bの強さ(=補正前の信号振幅)と、補正三角波の振幅との関係が一義的に定まる。この図11(b)又は図11(c)の関係を予めメモリーに記憶させておく。実際の測定の際には、補正前の信号振幅(すなわち、回転磁場の強さ)を算出し、図11(b)又は図11(c)の関係を用いて出力電圧を補正する。
図12に、誤差補正前の角度誤差(左上図)、誤差関数ΔE1による誤差補正後の角度誤差(左下図)、誤差補正前の電圧誤差(右上図)、及び、誤差関数ΔE1による誤差補正後の電圧誤差(右下図)を示す。右下図の挿入図は、誤差補正前(ピン角補正後)の出力波形の一例である。図12の上図は、0〜λ/4の区間のみ表示されている。また、図12の下図は、0〜λ/8の区間のみ表示されている。図12より、外部磁場Bの強さによらず、誤差関数ΔE1を用いた誤差補正によって、角度誤差及び電圧誤差が減少していることがわかる。
図13に、回転磁場の強さ(横軸)と角度誤差(縦軸)との関係を示す。
出力波形を三角波で近似した(ピン角を補正した)だけの場合、角度誤差が0.5°以下となるのは、回転磁場の強さが約40±10(Oe)の範囲である。一方、三角波による近似に加えて上述した誤差補正を行った場合、角度誤差が0.5°以下となる回転磁場の範囲は、約10(Oe)〜約120(Oe)の範囲まで拡大する。
[3.1.3. 演算方法]
図14に、実際の機械角度(磁場の回転角度)に対する出力波形、理想的な三角波、及び、電圧誤差Δe0の関係を示す。図14において、VTは出力波形の上限値、VMは出力波形の中間値、VLは出力波形の下限値である。また、VQはVTとVMの単純平均の電圧、VPはVLとVMの単純平均の電圧である。素子の対称性から、実際の波形は、VT、VQ、VM、VP、VLで理想的な三角波と交わる。理想的な三角波(E0)と実際の出力波形(V0)との差(=V0−E0)が電圧誤差Δe0となる。
図15に、取得電圧Vと電圧誤差Δe0との関係を示す。最小二乗法を用いて電圧誤差Δe0を三角波で近似する場合、その振幅を規定する必要がある。振幅は、図15の波形中のVE、VF、VG、VHにより求めることができる。
また、VE、VF、VG、VHを次のように決める。すなわち、VEはVLとVPの単純平均の電圧とし、VFはVPとVMの単純平均の電圧とする。同様に、VGはVMとVQの単純平均の電圧とし、VHはVQとVTの単純平均の電圧とする。
図16に、電圧誤差Δe0と、最小二乗法を用いて三角波近似された誤差関数ΔE1との関係を示す。最小二乗法を用いてΔe0を近似すると、VE、VF、VG、VHを頂点とする三角波が得られる。三角波の振幅をA1とすると、A1は、回転磁場Bの関数となる。この振幅を用いて取得電圧Vに対するΔE1を線形の関数で表すと、以下のようになる。
(a)VL≦V<VEの時、ΔE1= −A1(B)・(V−VL)/(VE−VL)
(b)VE≦V<VFの時、ΔE1= 2・A1(B)・(V−VP)/(VF−VE)
(c)VF≦V<VGの時、ΔE1=−2・A1(B)・(V−VM)/(VG−VF)
(d)VG≦V<VHの時、ΔE1= 2・A1(B)・(V−VQ)/(VH−VG)
(e)VH≦V<VTの時、ΔE1= −A1(B)・(V−VT)/(VT−VH)
図17に、基準となる取得電圧を2のべき数和で表すことによる演算処理の高速化を説明するための図を示す。取得電圧Vの三角波の演算において、基準となる電圧(VL、VE、VP、VF、VM、VG、VQ、VH、VT)を2のべき数和で表すと、C言語やVerilogHDLなどのハードウェア記述言語を用いたマイコンやDSPによる演算が高速になる。例えば、VMを211=2048とし、VLを211−210=1024とすると、三角波ΔE1の周期の1/4に相当する電圧(12ビット)は、28=256となる。
この場合、上述した(a)〜(e)式は、それぞれ、以下の(a’)〜(e’)式のようにビット演算子(≫)を用いて三角波の傾きを算出するための演算を簡略化できる。
(a’)VL≦V<VEの時、ΔE1= −A1(B)・(V−VL)/(VE−VL)
=−A1(B)・(V−VL)/256={−A1(B)・(V−VL)}≫8
(b’)VE≦V<VFの時、ΔE1= 2・A1(B)・(V−VP)/(VF−VE)
=2・A1(B)・(V−VP)/512={2・A1(B)・(V−VP)}≫9
(c’)VF≦V<VGの時、ΔE1=−2・A1(B)・(V−VM)/(VG−VF)
=−2・A1(B)・(V−VQ)/512={−2・A1(B)・(V−VM)}≫9
(d’)VG≦V<VHの時、ΔE1= 2・A1(B)・(V−VQ)/(VH−VG)
=2・A1(B)・(V−VQ)/512={2・A1(B)・(V−VQ)}≫9
(e’)VH≦V<VTの時、ΔE1= −A1(B)・(V−VT)/(VT−VH)
=−A1(B)・(V−VT)/256={−A1(B)・(V−VT)}≫8
[3.2. 極値を用いた電圧誤差Δe0の近似]
三角波ΔEの振幅を最小二乗法で決めると、補正した後に残る高次の誤差は小さくなるが、高次の誤差を補正しにくくなる。これに対し、電圧誤差Δe0の極値を用いて、三角波ΔEの振幅を決めると、最小二乗法に比べて大きな誤差が残る。しかしながら、極値を用いる方法は、最小二乗法に比べて、高次の誤差の補正が容易となる。
図18に、極値を用いて、電圧誤差Δe0を三角波(誤差関数)ΔE1で近似する方法の模式図を示す。まず、1次の三角波ΔE1の振幅A1(B)を、電圧誤差Δe0の極値に対応する取得電圧(VE0、VF0、VG0、VH0)を用いて決定する。なお、図18の例では、振幅A1(B)は、VE0とVF0で決める。
ここで、VE0は、VLとVPの間で、Δe0が最小となる電圧である。VF0は、VPとVMの間でΔe0が最大となる電圧である。
G0は、VMとVTの間でΔe0が最小となる電圧である。VH0は、VQとVTの間でΔe0が最大となる電圧である。
また、波形の対称性から、VE0とVF0、VF0とVG0、及び、VG0とVH0は、それぞれ、VP、VM、及び、VQに対して対称である。
このようにして得られた振幅A1を用いて取得電圧Vに対する1次の三角波ΔE1を線形の関数で表すと、以下のようになる。
(a)VL≦V<VEOの時、 ΔE1= −A1(B)・(V−VL)/(VEO−VL)
(b)VE0≦V<VF0の時、ΔE1= 2・A1(B)・(V−VP)/(VF0−VEO)
(c)VF0≦V<VG0の時、ΔE1=−2・A1(B)・(V−VM)/(VGO−VF0)
(d)VG0≦V<VH0の時、ΔE1= 2・A1(B)・(V−VQ)/(VH0−VG0)
(e)VH0≦V<VTの時、 ΔE1= A1(B)・(V−VT)/(VT−VH0)
図19に、極値を用いて、電圧誤差Δen-1を高次の三角波(誤差関数)ΔEnで近似する方法の模式図を示す。
上述した(a)式〜(e)式を用いて、電圧誤差Δe0を1次の三角波ΔE1で近似すると、高次の誤差が残る。この1次の三角波ΔE1と電圧誤差Δe0との差Δe1を、さらに2次の三角波ΔE2で近似する。近似方法は、極値の位置が異なる点を除き、1次の三角波ΔE1と同様である。
次に、2次の三角波ΔE2と電圧誤差Δe1との差Δe2を、さらに3次の三角波ΔE3で近似する。この場合も近似方法は、極値の位置が異なる点を除き、1次の三角波ΔE1と同様である。
以下、同様にして近似を繰り返すと、Δe0は、以下のように表せる。
Δe0=ΣΔEk+Δen
Δenは、n次の三角波ΔEnで補正した後の誤差の残り量である。このような極値を用いた近似を繰り返すことで、Δen→0にすることができる。
図20に、1次〜3次の三角波ΔE1〜ΔE3の関係の模式図を示す。図20の上図において、破線で描かれた曲線は、電圧誤差Δe0を拡大して描いたものである。また、実線で描かれた三角形は、振幅がA11である1次の三角波ΔE1である。T3は、T1(VL)とT2(VP)の間の極値示す電圧であり、A11は、T3における振幅である。極値を用いて三角波の振幅を求める場合、三角波ΔE1は、通常、T3に対して左右非対称の形となる。
図20の中図において、破線で描かれた曲線は、1次の三角波ΔE1で近似した後に残る誤差の量Δe1を拡大して描いたものである。また、実線で描かれた折れ線は、2つの振幅A21及びA21を持つ2次の三角波ΔE2である。T4は、T1とT3の間の極値を示す電圧であり、A21は、T4における振幅である。また、T5は、T3とT2の間の極値を示す電圧であり、A22は、T5における振幅である。Δe1の波形が非対称であるため、三角波ΔE2は、振幅A21とA22の大きさ及び位置が異なる非対称の形となる。
同様に、図20の下図において、破線で描かれた曲線は、2次の三角波ΔE2で近似した後に残る誤差の量Δe2を拡大して描いたものである。また、実線で描かれた折れ線は、4つの振幅A31、A32、A33、及びA34を持つ3次の三角波ΔE3である。A31〜A34は、それぞれ、極値T6〜T9における振幅である。Δe2の波形が非対称であるため、三角波ΔE3は、振幅A31〜A34の大きさ及び位置が異なる非対称の形となる。
以上のように、VLとVPの間のn次の誤差は、2n-1個の振幅Ank(k=1〜2n-1)を使用して、リニアな関数で近似することができる。その後は、誤差の対称性を利用して、ΣΔEnを機械角180°に展開する。
図21に、電圧誤差Δe0とΣΔEnとの関係を示す。図21より、高次の三角波(誤差関数)ΔEnで近似するほど、残りの誤差の量Δenが小さくなることがわかる。
[4. 出力信号V0の矯正]
上述したように、本発明においては、外部磁場Bの強さに応じて、第n三角波(誤差関数)ΔEnの波形を選択する。そのため、外部磁場Bの強さ(振幅)を求めるときには、磁気センサ(A)及び(B)から出力される生信号をそのまま用いる。
一方、初期補正出力E0や第n誤差関数ΔEnを求める場合、同様に、磁気センサ(A)及び磁気センサ(B)から出力される生信号をそのまま用いることも可能である。しかし、生信号をそのまま用いると、以後の演算が煩雑となる。
そのため、三角波近似の演算に用いる出力信号V0は、生信号ではなく、
(a)ピン角補正が行われた後の信号、及び/又は、
(b)ゲイン調整が行われた後の信号
を用いるのが好ましい。
[4.1. ピン角補正]
「ピン角補正」とは、出力信号の波形が理想的な三角波から逸脱し、極値近傍の波形が丸みを帯びたときに、出力信号の波形を理想的な三角波に近づける処理をいう。ピン角補正を行うと、三角波近似により回転角度を算出したときに、三角波の頂点近傍で発生する角度誤差を小さくすることができる。
ピン角補正の方法は、特に限定されない。ピン角補正は、例えば、
(a)前記出力信号(A相)の絶対値|X|、及び、前記出力信号(B相)の絶対値|Y|を算出し、
(b)前記絶対値|X|、及び絶対値|Y|を相互に加算し、
(c)加算値|X|+|Y|が基準電圧に一致するように、前記ブリッジ回路(A)及び前記ブリッジ回路(B)の電源電圧をフィードバック制御する
ことにより行うことができる(特許文献2参照)。
[4.2. ゲイン調整]
回転角度を計算するための計算式は、一次関数であり、コンピュータに記憶されている。計算式の係数が予め固定されている場合には、固定された係数に合うように、出力信号のゲインを調整する必要がある。この場合、ゲイン調整が行われた後の出力信号がコンピュータに入力されることになる。
なお、固定された係数に適合するように、演算により出力信号のゲインを調整することができる。あるいは、計算式の係数を演算により算出することもできる。さらに、ゲイン調整は、いずれか1箇所の地点において行っても良く、あるいは、出力絶対値が等価となる2箇所以上の地点において行っても良い。出力絶対値が等価となる2箇所以上の地点においてゲイン調整を行うと、調整精度が向上するという利点がある。演算によりゲインを調整する方法には、種々の方法がある。
演算によりゲイン調整を行うための第1の方法は、固定された係数に合うように、出力信号のゲインを調整する方法であり、具体的には、以下のような工程を備えている。
(1)実際の角度検出を行う前に、磁気センサに対して人為的に回転磁場を与え、このときの回転磁場の回転角度と、その回転角度に対応するブリッジ回路の出力とを、それぞれメモリーに記憶させる。
(2)出力信号の下端の頂点の電位A11(1個の頂点の値でも良く、複数個の頂点の値の平均値でも良い)と上端の頂点の電位A12(1個の頂点の値でも良く、複数個の頂点の値の平均値でも良い)とを求め、両電位の差の半分(=(A11−A12)/2)を算出し、これを入力信号の振幅A1INと定義してメモリーに記憶させる。
(3)出力信号の振幅A1outが固定された係数(=計算式の振幅A1)に合うように、メモリーに記憶された入力信号の振幅A1INに対する出力信号の振幅A1outの比G1(=A1out/A1IN)を求め、これをメモリーに記憶させる。
(4)ブリッジ回路から逐次出力された後の実際の出力信号にG1を乗算する。
ゲインを調整するための第2の方法は、計算式の係数を演算により算出する方法であり、具体的には、以下のような工程を備えている。
(1)実際の角度検出を行う前に、磁気センサに対して人為的に回転磁場を与え、このときの回転磁場の回転角度と、その回転角度に対応するブリッジ回路の出力とを、それぞれメモリーに記憶させる。
(2)角度演算信号V1の下端の頂点の電位A11(1個の頂点の値でも良く、複数個の頂点の値の平均値でも良い)と上端の頂点の電位A12(1個の頂点の値でも良く、複数個の頂点の値の平均値でも良い)とを求め、両電位の差の半分(=(A11−A12)/2)を算出し、これを入力信号の振幅A1と定義してメモリーに記憶させる。
(3)メモリーに記憶された入力信号の振幅A1を、回転角度を計算するための計算式に代入する。
ゲインを調整するためのその他の方法としては、具体的には、
(1)周期信号の頂点以外の位置であって、出力絶対値が等価となる2箇所以上の位置における出力の絶対値が所定の値となるようにゲイン調整する方法、
(2)周期信号のいずれか1箇所の位置における出力の絶対値が所定の値となるようにゲイン調整する方法、
などがある。
[5. 回転角度の算出]
回転角度の算出方法は、特に限定されない。回転角度の算出方法としては、例えば、
(a)一方の出力信号を常に回転角度の算出に用い、他方を常に位相の判別に用いる方法、
(b)2相信号を切り替えて回転角度を算出する方法(特許文献1参照)、
などがある。
[6. 磁気センサ信号処理プログラム]
図22に、本発明に係る磁気センサ信号処理プログラムのフローチャートを示す。
まず、ステップ1(以下、「S1」という)において、誤差補正の次数(n)を設定する。nは、測定の都度、適切な次数をコンピュータに入力しても良く、あるいは、固定された数値であっても良い。nは、1でも良いが、以下の説明では、nが2以上の整数に設定された例(n次の誤差関数まで算出する例)について説明する。
次に、S2に進む。S2では、磁気センサ(A)を含むブリッジ回路(A相)に回転磁場が作用したときに、前記ブリッジ回路(A相)から出力される出力信号(A相)を入力し、メモリーに記憶させる(A相信号入力手段)。
次に、S3において、磁気センサ(B)を含み、前記ブリッジ回路(A)とは機械角度が45°異なるように配置されたブリッジ回路(B相)に回転磁場が作用したときに、前記ブリッジ回路(B相)から出力される出力信号(B相)を入力し、前記メモリーに記憶させる(B相信号入力手段)。
次に、S4に進む。メモリーには、予め、前記出力信号V0に対して、前記初期補正出力E0と前記出力信号V0との電圧誤差Δe0(=V0−E0)を第1三角波で近似したときに、前記回転磁場の強さと前記第1三角波の波形情報(振幅及び極値の位置)との関係であって、角度誤差がより小さくなるものが記憶されている。上述したように、電圧誤差Δe0を三角波で近似した場合、第n三角波(第n誤差関数ΔEn)の波形は、ブリッジ回路の特性、出力信号の矯正方法、及び、回転磁場Bの強さ(振幅)がわかると一義的に定まる。そのため、S4では、第n誤差関数ΔEnの波形を決めるための回転磁場の強さを算出する(磁場強度算出手段)。
回転磁場Bの強さは、回転磁場Bが作用したときにブリッジ回路で実際に検出された出力信号(生信号)V0の振幅に対応する。出力信号V0(生信号)の振幅は、極大値−極小値間の電圧から算出することができる。
次に、S5に進む。S5では、出力信号(A相)及び出力信号(B相)の矯正(すなわち、ピン角補正やゲイン調整)が行われた否かが判断される。矯正が行われた場合(S5:YES)には、S6に進み、矯正後の出力信号をメモリーに記憶させる。その後、S7に進む。
一方、矯正が行われていない場合(S5:NO)には、そのままS7に進む。
S7では、出力信号(A相)の誤差補正が終了したか否かが判断される。この時点では、誤差補正が行われていない(S7:NO)ので、S8に進む。
S8では、ブリッジ回路(A相)の出力信号(A相)V0であって、三角波演算に用いるものをメモリから読み出す。出力信号V0の矯正が行われている場合には、矯正後の信号を読み出す。
次に、S9に進む。S9では、磁場の回転角度に対して周期がλである前記出力信号V0を、周期がλである初期三角波からなる初期補正出力E0で近似し、これを前記メモリーに記憶させる(三角波近似手段)。出力信号V0を三角波に近似する方法は、特に限定されない。通常、三角波の波形は、振幅と周期で決まるので、出力信号V0を用いてこれらを算出する。具体的には、極大値−極小値の電圧から三角波の振幅を求めることができる。また、極値間の長さから三角波の周期λを求めることができる。
次に、S10に進む。S10では、誤差補正のための演算の繰り返し回数(k)に初期値「1」を代入する。
次に、S11に進む。S11では、前記回転磁場Bの強さ(並びに、ブリッジ回路の特性、及び、出力信号の矯正方法)に対応する前記第1三角波の波形情報を前記メモリーから読み出し、これを第1誤差関数ΔE1として前記メモリーに記憶させる(第1誤差関数算出手段)。
次に、S12に進む。S12では、前記初期補正出力E0と前記第1誤差関数ΔE1との和(=E0+ΔE1)を第1補正出力E1とし、これを前記メモリーに記憶させる(第1補正出力算出手段)。なお、E1の算出の際には、上述したように、誤差の対称性を利用して、回転角度で(m−1)λ/4〜mλ/4に相当する区間についてΔE1を計算し、これを機械角180°に展開するのが好ましい。
次に、S13に進む。S13では、演算の繰り返し数(k)が設定された次数(n)に一致するか否かが判断される。この時点では、1次の誤差関数が算出されただけである(S13:NO)ので、S14に進む。S14では、演算の繰り返し数(k)に1が加算される。その後、S11に戻る。そして、演算の繰り返し数(k)が設定された次数(n)に一致するまで、上述したS11からS14の各ステップを繰り返す。
A相についての第n補正出力Enの演算が終了したとき(S13:YES)には、S7に戻る。S7では、再び、出力信号(A相)の誤差補正が終了したか否かが判断される。この時点では、誤差補正が終了している(S7:YES)ので、S15に進む。
S15では、出力信号(B相)の誤差補正が終了したか否かが判断される。この時点では、誤差補正が行われていない(S15:NO)ので、S8に進む。
以下、上述したS8〜S14の各ステップを繰り返し、B相についても同様にして第n補正出力Enを算出する。
B相についての第n補正出力Enの算出終了したとき(S13:YES)には、S7に戻る。この時点では、出力信号(A)相の誤差補正が終了しており(S7:YES)、かつ、出力信号(B)相の誤差補正も終了している(S15:YES)ので、S16に進む。
S16では、前記出力信号(A相)に対応する前記第n補正出力En及び前記出力信号(B相)に対応する前記第n補正出力En用いて、前記回転磁場の回転角度を算出する(回転角度算出手段)。
出力を三角波で近似した場合、ブリッジ回路の出力と回転角度Tとの関係は、一次関数となる。この一次関数は、予めメモリーに記憶されている。そのため、誤差補正後の出力を一次関数に代入すれば、回転角度Tを容易に求めることができる。
本発明では、誤差関数ΔEnで補正された第n補正出力Enを一次関数に代入する。そのため、初期補正出力E0のみを用いる場合に比べて、角度誤差を小さくすることができる。
[7. 磁気センサモジュール]
本発明に係る磁気センサモジュールは、以下の構成を備えている。
(1)前記磁気センサモジュールは、
磁気センサ(A)を含むブリッジ回路(A相)と、
磁気センサ(B)を含み、前記ブリッジ回路(A)とは機械角度が45°異なるように配置されたブリッジ回路(B相)と、
前記磁気センサ(A)及び前記磁気センサ(B)に回転磁場を作用させるための磁場発生部と、
前記ブリッジ回路(A)及び前記ブリッジ回路(B)に電圧を印加する電源と、
前記ブリッジ回路(A相)及び前記ブリッジ回路(B相)に接続された中央演算処理装置と、
前記中央演算処理装置に接続されたメモリーと
を備えている。
(2)前記メモリーには、本発明に係る磁気センサ信号処理プログラムが記憶されている。
磁気センサモジュールは、前記出力信号(A相)及び前記出力信号(B相)のピン角補正を行うピン角補正手段をさらに備えていても良い。ピン角補正は、例えば、
(a)前記出力信号(A相)の絶対値|X|、及び、前記出力信号(B相)の絶対値|Y|を算出し、
(b)前記絶対値|X|、及び絶対値|Y|を相互に加算し、
(c)加算値|X|+|Y|が基準電圧に一致するように、前記ブリッジ回路(A)及び前記ブリッジ回路(B)の電源電圧をフィードバック制御する
ことにより行うことができる。
さらに、磁気センサモジュールは、前記出力信号(A相)及び前記出力信号(B相)のゲイン調整を行うゲイン調整手段をさらに備えていても良い。
磁気センサ、ブリッジ回路、磁気センサ信号処理プログラム、ピン角補正手段、及びゲイン調整手段の詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
図23に、本発明に係る磁気センサ信号処理プログラムを実行するための回路図の一例を示す。
本手法では、リアルタイムで回転磁場が変化する装置等で角度誤差を補正し、高精度な角度演算を実施する手法を示す。磁気センサから得られた回転磁場に対する2相のアナログ出力(A相、B相)は、マイコンやDSPといったCPUなどの演算装置で使用されるため、ADC等によりデジタル信号に変換される。
このデジタル信号を適切にサンプリングして、その電圧変化の極値を判定することで、信号の振幅強度を得る。なお、信号の振幅強度を得る方法は、これ以外にADC前の信号振幅をアナログ回路等により取得することも可能である。
一方、ADCで変換されたデジタル信号を使用して、特許文献1、2に示される方法で信号処理を実施する。現実的な問題として、回転磁場が小さい時には信号の振幅が小さく、その強度を取得するために信号の極値を求めることが困難になる場合がある。その場合には、予め特許文献2の方法でピン角を有する三角波処理したり、あるいは、特許文献1の方法でゲイン調整した信号を使用して極値を求め、それに対応する処理前の信号から振幅強度を求めても良い。
最後に、誤差演算で取得した誤差電圧を特許文献1又は2で処理した信号に加減算することで、誤差補正後の信号を得る。これらの信号をDAC等でアナログ電圧に変換することで、角度信号等に応じて駆動するアクチュエーター等に送信することが可能となる。また、デジタル信号を利用して、直接演算した角度情報を別の装置で使用しても良い。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る磁気センサ信号処理プログラムは、自動車の車軸、ロータリーエンコーダ、産業用歯車等の回転情報の検出などに用いられる磁気センサの信号処理に用いることができる。

Claims (9)

  1. コンピュータを、以下の手段として機能させるための磁気センサ信号処理プログラム。
    (1)磁気センサ(A)を含むブリッジ回路(A相)に回転磁場が作用したときに、前記ブリッジ回路(A相)から出力される出力信号(A相)を入力し、メモリーに記憶させるA相信号入力手段。
    (2)磁気センサ(B)を含み、前記ブリッジ回路(A)とは機械角度が45°異なるように配置されたブリッジ回路(B相)に回転磁場が作用したときに、前記ブリッジ回路(B相)から出力される出力信号(B相)を入力し、前記メモリーに記憶させるB相信号入力手段。
    (3)前記出力信号V0の振幅から前記回転磁場の強さを算出する磁場強度算出手段。
    (4)前記出力信号(A相)及び前記出力信号(B相)のそれぞれについて、以下の処理を実行する誤差補正手段。
    (4.1)磁場の回転角度に対して周期がλである前記出力信号V0を、周期がλである初期三角波(一次関数の組み合わせからなる鋸歯状に折れ曲がった波形を含む。以下同じ。)からなる初期補正出力E0で近似し、これを前記メモリーに記憶させる三角波近似手段。
    (4.2)前記出力信号V0に対して、前記初期補正出力E0と前記出力信号V0との電圧誤差Δe0(=V0−E0)を第1三角波で近似したときに、前記回転磁場の強さと前記第1三角波の波形情報(振幅及び極値の位置)との関係であって、角度誤差がより小さくなる関係を予め前記メモリーに記憶させておき、
    前記回転磁場の強さに対応する前記第1三角波の波形情報を前記メモリーから読み出し、これを第1誤差関数ΔE1として前記メモリーに記憶させる第1誤差関数算出手段。
    (4.3)前記初期補正出力E0と前記第1誤差関数ΔE1との和(=E0+ΔE1)を第1補正出力E1とし、これを前記メモリーに記憶させる第1補正出力算出手段。
    (5)前記出力信号(A相)に対応する前記第1補正出力E1及び前記出力信号(B相)に対応する前記第1補正出力E1用いて、前記回転磁場の回転角度を算出する回転角度算出手段。
  2. 以下の手段をさらに備えた請求項1に記載の磁気センサ信号処理プログラム。
    (4.4)前記出力信号V0に対して、前記第(n−1)補正出力En-1(nは、2以上の整数)と前記出力信号V0との電圧誤差Δen-1(=V0−En-1)を第n三角波で近似したときに、前記回転磁場の強さと前記第n三角波の波形情報(振幅及び極値の位置)との関係であって、角度誤差がより小さくなる関係を予め前記メモリーに記憶させておき、
    前記回転磁場の強さに対応する前記第n三角波の波形情報を前記メモリーから読み出し、これを第n誤差関数ΔEnとして前記メモリーに記憶させる第n誤差関数算出手段。
    (4.5)前記第(n−1)補正出力En-1と前記第n誤差関数ΔEnとの和(=En-1+ΔEn)を第n補正出力Enとし、これを前記メモリーに記憶させる第n補正出力算出手段。
    (5’)前記出力信号(A相)に対応する前記第n補正出力En及び前記出力信号(B相)に対応する前記第n補正出力En用いて、前記回転磁場の回転角度を算出する回転角度算出手段。
  3. 前記三角波近似手段は、前記出力信号(A相)及び前記出力信号(B相)として、それぞれ、ピン角補正されたものを用いて、前記初期補正出力E0を算出するものであり、
    前記ピン角補正は、
    (a)前記出力信号(A相)の絶対値|X|、及び、前記出力信号(B相)の絶対値|Y|を算出し、
    (b)前記絶対値|X|、及び絶対値|Y|を相互に加算し、
    (c)加算値|X|+|Y|が基準電圧に一致するように、前記ブリッジ回路(A)及び前記ブリッジ回路(B)の電源電圧をフィードバック制御する
    ことにより行われたものである
    請求項1又は2に記載の磁気センサ信号処理プログラム。
  4. 前記三角波近似手段は、前記出力信号(A相)及び前記出力信号(B相)として、それぞれ、ゲイン調整が行われたものを用いる請求項1から3までのいずれか1項に記載の磁気センサ信号処理プログラム。
  5. 前記磁気センサ(A)及び前記磁気センサ(B)は、それぞれ、その出力がランジュバン関数で近似できるものからなる請求項1から4までのいずれか1項に記載の磁気センサ信号処理プログラム。
  6. 以下の構成を備えた磁気センサモジュール。
    (1)前記磁気センサモジュールは、
    磁気センサ(A)を含むブリッジ回路(A相)と、
    磁気センサ(B)を含み、前記ブリッジ回路(A)とは機械角度が45°異なるように配置されたブリッジ回路(B相)と、
    前記磁気センサ(A)及び前記磁気センサ(B)に回転磁場を作用させるための磁場発生部と、
    前記ブリッジ回路(A)及び前記ブリッジ回路(B)に電圧を印加する電源と、
    前記ブリッジ回路(A相)及び前記ブリッジ回路(B相)に接続された中央演算処理装置と、
    前記中央演算処理装置に接続されたメモリーと
    を備えている。
    (2)前記メモリーには、請求項1から5までのいずれか1項に記載の磁気センサ信号処理プログラムが記憶されている。
  7. 前記出力信号(A相)及び前記出力信号(B相)のピン角補正を行うピン角補正手段をさらに備え、
    前記ピン角補正手段は、
    (a)前記出力信号(A相)の絶対値|X|、及び、前記出力信号(B相)の絶対値|Y|を算出し、
    (b)前記絶対値|X|、及び絶対値|Y|を相互に加算し、
    (c)加算値|X|+|Y|が基準電圧に一致するように、前記ブリッジ回路(A)及び前記ブリッジ回路(B)の電源電圧をフィードバック制御する
    ものからなる請求項6に記載の磁気センサモジュール。
  8. 前記出力信号(A相)及び前記出力信号(B相)のゲイン調整を行うゲイン調整手段をさらに備えた請求項6又は7に記載の磁気センサモジュール。
  9. 前記磁気センサ(A)及び前記磁気センサ(B)は、それぞれ、その出力がランジュバン関数で近似できるものからなる請求項6から8までのいずれか1項に記載の磁気センサモジュール。
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