JP2016223191A - 壁体構造物およびその補修方法 - Google Patents

壁体構造物およびその補修方法 Download PDF

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Abstract

【課題】枠体から前面体等が外れた際の補修作業を容易に行うことができる壁体構造物およびその補修方法を提供する。
【解決手段】鋼製枠Wにおける前面材14が破損してビーム材12から外れた際、鋼製枠Wの補修を行う。そのため、鋼製枠Wの補修では、前面材14が外れた位置におけるフランジ12Cに、クリップナット60を取り付ける。次に、クリップナット60を取り付けた位置の外側からボルト54によって補修前面材50における取付プレート52を固定する。
【選択図】図3

Description

本発明は、壁体構造物およびその補修方法に関する。
堰堤や擁壁、あるいは護岸などでは、土石流などが発生した場合に、これをせき止めることが求められる。このため、土石流などの発生が想定される傾斜地などに、壁体構造物が構築されることがある。このような壁体構造物としては、四方を面状体で囲んで形成された鋼製枠を複数並設し、これらの鋼製枠の中に石材などの中詰め材を充填したものが知られている。なお、これらの鋼製枠は、背面からの土圧や土石流による衝撃力に対して、鋼製枠自体および中詰め材の重量(鋼製枠体の自重)により抵抗する。
また、このような壁体構造物に用いられる鋼製枠として、従来、前面体と後面体を備えるものがある(たとえば、特許文献1参照)。この鋼製枠における前面体は、矩形状の枠体に棒状の前面材を複数並設して構成されている。同様に、後面体は、矩形状の枠体に棒状の後面材を複数並設して構成されている。
前面体における複数の前面材は、所定の間隔を置いて配設されており、隣り合う前面材同士の間の幅は、それらの前面材同士の間から中詰め材が流出しない程度の幅とされている。同様に、後面体における複数の後面材についても、中詰め材の流出が阻止される程度の幅をもって複数の後面材が並設されている。さらに、前面体の枠体と後面体の枠体とがつなぎ材によって接続されている。これらの中詰め材が充填された鋼製枠が複数並設されて壁体構造物が構築されている。
特開2014−189980号公報
この種の壁面構造体は、土石流などの発生が想定される場所に構築されることから、厳しい自然環境にさらされ、さらには長期間にわたって使用されることが少なくない。このため、地形の変形や経年劣化によって前面材や後面材が変形し、あるいは枠体との固定箇所が破損等して、前面材や後面材が枠体から外れてしまうことがある。前面材や後面材が枠体から外れてしまうと、鋼製枠に充填された中詰め材の流出などが想定される。このような中詰め材の流出を阻止する等のため、前面材や後面材が枠体から外れてしまった場合には、枠体に前面材または後面材を再度取り付けて壁体構造物を補修することが求められる。
しかし、上記特許文献1に開示された壁体構造物を構築する際には、たとえば工場などで製造された鋼製枠を構築現場に搬入して規定の位置に設置し、順次中詰め材を充填しながら、隣接する鋼製枠を設置する。この作業を繰り返して複数の鋼製枠を並設して壁体構造物を構築する。
このため、構築後の壁体構造物における鋼製枠から前面材または後面材を取り付ける補修を行う際には、壁体構造物が構築された現場で作業を行わなければならない。壁体構造物における鋼製枠はもともと工場等で製造されていることが多いことから、枠体から前面材または後面材が外れた後、再度枠体に前面材または後面材を取り付ける作業は困難なものとなり、補修作業に大きな手間がかかってしまうという問題があった。
そこで、本発明の課題は、枠体から前面体等が外れた際の補修作業を容易に行うことができる壁体構造物およびその補修方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明に係る壁体構造物は、前面体および後面体を備え、前面体と後面体との間に中詰め材が充填された壁体構造物であって、前面体および後面体の少なくとも一方が、互いに向かい合わせて配置された外枠部材と、向かい合う外枠部材の間に掛け渡された棒状部材と、外枠部材に棒状部材を固定する固定部材と、を備え、外枠部材における棒状部材が配置された側にフランジが形成されており、固定部材は、フランジにはめ込まれたクリップナットと、クリップナットにおけるナット部に締め付けられたボルトと、を有して構成されていることを特徴とする。
本発明に係る壁体構造物においては、外枠部材に棒状部材が固定されて前面体または後面体が設けられている。壁体構造物は、構築後、厳しい自然環境にさらされることが少なくなく、前面体や後面体から棒状部材が外れてしまうことがある。前面体などから棒状部材が外れてしまった場合、これを補修して新たに外枠部材に棒状部材を取り付けることが求められる。このため、たとえば外枠部材の内側にナットを配置し、外枠部材の外側からボルトをねじ込んで外枠部材に棒状部材を固定することが考えられる。ところが、外枠部材の内側には中詰め材が充填されていることから、外枠部材の内側に作業員が手を入れるなどの作業が困難であり、外枠部材の内側にボルトを配置しておくのが難しかった。
この点、本発明に係る壁体構造物においては、外枠部材に形成されたフランジにはめ込まれるクリップナットを備えている。クリップナットは、構築後の壁体構造物に対しても容易に取り付けることができるため、クリップナットのクリップ部分をフランジにはめ込んでおくことで、ナットを配置することができる。したがって、作業員がナットを持って配置する必要がなく、外枠部材の内側でボルトを配置できるので、外枠部材に棒状部材を取り付ける作業を容易に行うことができる。よって、外枠部材から前面材などの棒状部材が外れた際の補修作業を行う際の手間を軽減することができる。
ここで、棒状部材における外枠部材側端部に、ボルトが貫通する貫通孔が形成された取付プレートが取り付けられており、ボルトの頭部とクリップナットにおけるナット部とによって、フランジと取付プレートを挟んで締め付けることで、外枠部材と棒状部材とが固定されている態様とすることができる。
このように、ボルトが貫通する貫通孔が形成された取付プレートが棒状部材の外枠部材側端部に取り付けられていることにより、棒状部材を固定する際に、ボルトとナットで締め付ける部分の厚みを薄くできる。したがって、棒状部材を外枠部材に対して強固に固定することができる。
また、取付プレートに形成された貫通孔が、棒状部材の延在方向に沿った長孔である態様とすることができる。
このように、取付プレートに形成された貫通孔が、棒状部材の延在方向に沿った長孔であることにより、貫通孔にボルトを貫通させる際のズレを許容できるので、その分外枠部材に対する棒状部材の取付にかかる手間を軽減することができる。さらには、長孔が棒状部材の延在方向に沿っているので、棒状部材が取り付けられた後において、その長手方向への微少な移動を許容することができる。したがって、棒状部材が外枠部材から外れにくくなるようにすることができる。
他方、上記課題を解決した本発明に係る壁体構造物の製造方法は、前面体および後面体を備え、前面体と後面体との間に中詰め材が充填された壁体構造物における前面体および後面体の少なくとも一方が、互いに向かい合わせて配置された外枠部材と、向かい合う外枠部材の間に掛け渡された棒状部材と、外枠部材に棒状部材を固定する固定部材と、を備える壁体構造物の補修方法であって、外枠部材の棒状部材側に形成されたフランジにクリップナットをはめ込み、クリップナットにおけるナット部にボルトを締め付けることで、外枠部材と棒状部材とを固定することを特徴とする。
このように、本発明によれば、枠体から前面体等が外れた際の補修作業を容易に行うことができる壁体構造物およびその補修方法を提供することができる。
堰堤に用いられる鋼製枠の斜視図である。 堰堤の斜視図である。 鋼製枠の要部拡大図である。 鋼製枠の側面図である。 鋼製枠の補修手順を説明する説明図である。 図5に続く手順を説明する説明図である。 (a)は、図6(a)の工程の正面図、(b)は、(a)の工程の側断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態に係る堰堤に用いられる鋼製枠の斜視図、図2は堰堤の斜視図である。また、図3は鋼製枠の要部拡大図、図4は鋼製枠の側面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る鋼製枠Wは、前面体1および後面体2を備えている。鋼製枠Wは、図2に示す堰堤Xに用いられるものであり、前面体1は、堰堤Xにおける下流側に配置され、後面体2は上流側に配置される。また、図2に示すように、複数の面体および枠体が上下左右に適宜並設されて、堰堤Xが形成される。なお、堰堤Xに設定される鋼製枠としては、図1に示す形状のもののほか、種々の形状のものがあり、種々の形状の鋼製枠が組み合わされて堰堤Xが形成される。
鋼製枠Wにおける前面体1と後面体2とのそれぞれ上部は、上面体3を介して接続されており、前面体1と後面体2とのそれぞれ下部は、底面体4を介して接続されている。さらに、前面体1と後面体2とのそれぞれの高さ方向中央位置には、長尺状のつなぎ材Tが掛け渡されている。また、前面体1とつなぎ材Tとの間、底面体4とつなぎ材Tとの間には、それぞれ斜め材Nが配置されている。
前面体1は、高さ方向に延在する長尺状のフレーム材11および横方向に延在する長尺状のビーム材12を備えている。ビーム材12は、上段、中段、および下段にそれぞれ配置されている。また、フレーム材11は、ビーム材12の端部同士を結んで、左中右にそれぞれ配置されている。なお、以下の説明では、上中下段のビーム材12をそれぞれ上ビーム材12U、中ビーム材12M、および下ビーム材12Lともいう。また、これらのビーム材12U,12M,12Lが本発明の外枠部材となる。
また、フレーム材11とビーム材12とが重なり合う位置には、ジョイント13が設けられており、フレーム材11およびビーム材12の端部同士がそれぞれジョイント13によって接合されている。さらに、上ビーム材12Uの下面には下方に立ち下がる立下フランジ12Aが形成され、中ビーム材12Mの上面には、上方向に立ち上がる立上フランジ12Bが形成されている。同様に、中ビーム材12Mの下面には下方に立ち下がる立下フランジ12Cが形成され、下ビーム材12Lの上面には、上方向に立ち上がる立上フランジ12Dが形成されている。
さらに、上ビーム材12Uと中ビーム材12Mとの間、および中ビーム材12Mと下ビーム材12Lとの間には、それぞれ棒状部材である前面材14が掛け渡されている。前面材14の上下端部には、それぞれ貫通孔が形成され、図3に示すように、ビーム材12におけるフランジ12C,12Dにおける前面材14の取付位置にもそれぞれ貫通孔12C1,12D1がそれぞれ形成されている。なお、図示はしないが、フランジ12A,12Bにも、同様の貫通孔が形成されている。これらの前面材14およびビーム材12のフランジ12Aに形成された貫通孔12A1〜12D1をピンが貫通し、ピンの両端に抜け止めを形成し、さらには溶接が施されることでビーム材12U,12M,12Lのフランジ12A〜12Dに前面材14が固定されている。なお、本実施形態における棒状部材は、断面形状が略U型である略U形鋼としているが、本発明の棒状部材は、略U形鋼に限定されるものではなく、丸鋼、異型棒鋼、形鋼、鋼管であってもよい。
前面材14は、長尺状の部材であり、フレーム材11と略平行配置されている。また、前面材14は、1組のビーム材12に対して複数本配設されている。これらの前面材14は、互いに平行に配置されるとともに、ビーム材12の長手方向に対して略等間隔をおいて配置されている。
さらに、前面体1における上下方向に離間するビーム材12同士の間には、複数本の前面材14の他、数本の補修前面材50が取り付けられている。補修前面材50は、構築された堰堤Xにおいて、数本の前面材14が破損した後、その破損した前面材14の代わりにビーム材12同士の間に現場で取り付けられたものである。
補修前面材50は、図3に示すように、棒状部51を備えており、棒状部51の両端には、それぞれ取付プレート52、52が溶接されて固定されている。また、取付プレート52には、ボルト貫通孔53が形成されている。ボルト貫通孔53には、ボルト54が貫通している。このボルト貫通孔53は、棒状部51の延在方向に沿った長孔とされている。
さらに、ビーム材12におけるフランジ12A〜12Dの補修前面材50が取り付けられている位置には、それぞれクリップナット60が取り付けられている。クリップナット60は、クリップ部61を備えており、クリップ部61における略中央部分にナット部62が設けられている。また、クリップ部61におけるナット部62が設けられた位置には貫通孔63が形成されている。
ボルト54のねじ部は、クリップナット60におけるナット部62に締め付けられている。このボルト54の頭部とクリップナット60のナット部62によって取付プレート52がクリップ部61に締め付けられている。こうして、補修前面材50がクリップナット60を介してビーム材12のフランジ12A〜12Dに固定されている。
後面体2は、前面体1と同様のフレーム材21およびビーム材22を備えている。また、フレーム材21とビーム材22とが重なり合う部分には、ジョイント23が設けられており、フレーム材21およびビーム材22の端部同士がジョイント23で接合されている。さらに、上下に併設されて2本のビーム材22同士の間には、後面材24が配設されている。フレーム材21、ビーム材22、ジョイント23、および後面材24の配置態様は、前面体1のフレーム材11、ビーム材12、ジョイント13、および前面材14の配置態様と同様である。
上面体3は、前面体1および後面体2の上側にそれぞれ配置された上ビーム材12U,22Uの間にそれぞれ掛け渡された複数本の上面材31を備えている。これらの複数の上面材31は、いずれも鋼製であり、ビーム材12の長手方向に対して略等間隔をおいて配置されている。
底面体4は、前面体1および後面体2の下側にそれぞれ配置された下ビーム材12L,22Lに平行に配置された長尺状の幅方向部材41を備えている。幅方向部材41は、前面体1および後面体2の下側にそれぞれ配置された下ビーム材12L,22Lの略中央位置に配置されている。また、下ビーム材12L,22Lと幅方向部材41との間には、長尺状の奥行き方向部材42が配設されている。
さらに、隣接する奥行き方向部材42同士の間には、図示しない長尺状の底面材が複数本配設されている。底面材は、互い略等間隔で配置されており、前面体1の下ビーム材12Lと幅方向部材41との間、および後面体2の下ビーム材22Lと幅方向部材41との間に掛け渡されて配設されている。
また、鋼製枠Wの内側には、図4に示すように、中詰め材Cが設けられている。中詰め材Cは、たとえば現地発生土砂や小礫材(15cm未満の礫)などによって構成されている。中詰め材Cは、堰堤Xの組立てが進むにつれて鋼製枠Wの内側に投入され、最終的に鋼製枠Wの内側に充填される。前面体1における隣接する前面材14または補修前面材50同士の離間距離および、後面体2における隣接する後面材24同士の離間距離は、それぞれ中詰め材Cが流出しない程度の幅とされている。
これらの前面体1、後面体2、上面体3、および底面体4に囲まれて形成される鋼製枠Wは、図2に示すように、複数併設されて堰堤Xとなる。当該堰堤Xの面材は、中詰め材Cの圧力(土圧)に耐えうる必要があるため、下方に配置される面体の方が、上方に配置される面体よりも前面材14同士の離間幅が狭くされており、上方からかかる荷重を支えている。
このような堰堤Xは、土石流の発生などが想定される傾斜地など、厳しい自然にさらされる環境に構築され、長期間にわたって使用される。このため、地形の変形や経年劣化によって前面材14が変形し、あるいはビーム材12,22との固定箇所が破損等して、前面材14がビーム材12から外れてしまうことがある。この問題は、後面体2における後面材24とビーム材22との間に対しても同様に起こりえる。なお、前面材14や後面材24が外れてしまった状態であっても、中詰め材Cは礫の噛み合いなどによって一時的に安定状態にあるため、直ぐに中詰め材Cが流出することはない。
ただし、このように前面材14や後面材24がビーム材12,22から外れてしまった状態が長期にわたると、中詰め材Cは雨水などの影響を受けて安定状態が崩れるため、鋼製枠Wから漸次流出し、鋼製枠体の自重による安定性に影響を及ぼす懸念がある。こうした懸念を払拭するために、ビーム材12等のフランジ12A〜12Dから前面材14が外れた場合には、その外れた位置に、補修前面材50などを取り付けて、鋼製枠Wの修復を図る。こうした修復を行うことで、鋼製枠Wの機能を長期間にわたって維持できるようにしている。
ここで、たとえば、鋼製枠Wの補修時、鋼製枠Wの施工時と同様に破損した前面材14などに代えて新たに前面材14などを取り付けることが考えられる。しかし、鋼製枠Wの補修は、鋼製枠Wが構築された現場で行われるため、鋼製枠Wを施工する際と同様に前面材14をビーム材12に取り付けるためには、ビーム材12,22にボルトを溶接しておくなど、鋼製枠Wが構築された現場で溶接を行う必要が生じ、その溶接を行うための準備に大きな手間が掛かる。
また、ビーム材12,12に対してボルトナットを用いて前面材14を固定することも考えられる。しかしその場合、鋼製枠Wの外側からナットを支えながら取付作業を行う必要が生じる。このため、フランジ12A〜12Dの裏側に作業員の手などを差し込んでナットを支えなければならず、その手間が非常に大きくなる。
この点、本実施形態では、鋼製枠Wの補修に当たって、前面材14ではなく補修前面材50を用いている。この補修前面材50では、ボルト54がねじ込まれるナットとしてクリップナット60におけるナット部62が用いられている。このため、ボルト54をナット部62にねじ込む際には、ナット部62を作業員が支える必要がなくなるので、補修前面材50の取付作業は容易となり、鋼製枠Wの補修作業にかかる手間を軽減することができる。
続いて、本実施形態に係る鋼製枠Wの補修方法について、図5等を参照して説明する。図5は、鋼製枠の補修手順を説明する説明図、図6は、図5に続く手順を説明する説明図である。鋼製枠Wを長期間設置した状態とすると、図5(a)に示すように、前面体1におけるビーム材12に取り付けられた前面材14が破損したり、あるいは前面材14が外れたりすることがある。同様に、後面体2における後面材24が破損したり、ビーム材22から外れたりすることがある。これらの修復を前面材14の修復を例として説明する。
鋼製枠Wの補修を開始する際には、図3に示す補修前面材50をビーム材12における補修箇所に取り付ける。そのため、図5(a)に示すように、ビーム材12に破損した前面材14の一部がビーム材12に固定された状態のままとなっている場合には、ビーム材12から破損した前面材14を取り外す。すると、図5(b)に示すように、ビーム材12M,12Lにおけるフランジ12C,12Dに前面材14が取り付けられていない状態となる。また、ビーム材12の周囲に前面材14がある場合には、その前面材14を除去する。さらに、前面材14を固定していたボルトがフランジ12C,12Dに残っている場合には、このボルトも合わせて除去する。
次に、この前面材14が取り付けられていた箇所に、図3に示す補修前面材50を取り付ける。そのため、まず、図6(a)および図7(a)に示すように、ビーム材12Mのフランジ12Cにクリップナット60を取り付ける。このとき、クリップナット60に形成された貫通孔63を、フランジ12C,12Dに形成された貫通孔12C1,12D1に合わせる位置でクリップナット60の位置決めを行う。また、クリップナット60におけるナット部62は、フランジ12C,12Dの内側に配置しておく。このとき、クリップナット60のクリップ部61をビーム材12M,12Lのフランジ12C,12Dにはめ込むだけでクリップナット60をビーム材12M,12Lに取り付けることができる。
こうしてクリップナット60を取り付けたら、図6(b)および図7(b)に示すように、補修前面材50の取付プレート52,52をそれぞれクリップナット60におけるクリップ部61に位置合わせする。このとき、取付プレート52,52に形成されたボルト貫通孔53と、クリップナット60のクリップ部61に形成された貫通孔63が略同心状となるように取付プレート52を配置する。
取付プレート52,52の配置が済んだら、中ビーム材12Mのフランジ12Cの外側からボルト貫通孔53に向けてボルト54のねじ部を挿入する。ボルト貫通孔53から挿入されたボルトのねじ部は、クリップナット60におけるナット部62に当接するので、そのままボルト54を回転させてボルト54をナット部62にねじ込んでいく。
このとき、ナット部62はクリップ部61に固定されているので、ボルト54を回転させる際にボルト54とともに供回りすることが抑制される。このため、作業員等が鋼製枠Wの外側からナット部62を支えていなくても、ボルト54をナット部62にねじ込んでいくことができる。こうして、ボルト54をナット部62にねじ込んでいくことにより、ボルト54の頭部とナット部62によって、補修前面材50の取付プレート52、クリップナット60のクリップ部61、およびフランジ12Aを挟み込んで、補修前面材50の上部を中ビーム材12Mに対して固定する。
補修前面材50の上部を中ビーム材12Mに対して固定したら、続いて、補修前面材50の下部を下ビーム材12Lに対して固定する。補修前面材50の下部を下ビーム材12Lに固定する手順は、補修前面材50の上部を中ビーム材12Mに固定する手順とほぼ同様である。こうして、補修前面材50を取り付けることによる補修作業が終了する。
このように、本実施形態に係る鋼製枠Wの補修方法においては、前面材14が破損した鋼製枠Wの補修を行うにあたり、破損した前面材14に代えて補修前面材50を用いている。また、後面材24が破損した場合にも、補修前面材50と同様の補修後面材を用いて鋼製枠Wの補修を行うようにしている。補修前面材50を用いた補修を行うにあたり、ビーム材12M,12Lには、クリップナット60を予め取り付けている。この予め取り付けられたクリップナット60を用いることにより、ボルト54を用いて補修前面材50をビーム材12M,12Lに取り付ける際、ビーム材12M,12Lのフランジ12Cの裏側に位置するナットを作業員などが支持している必要がなくなる。したがって、補修前面材50の取付作業を鋼製枠Wの外側のみから行うことができ、施工の手間を軽減することができる。
また、クリップナット60におけるナット部62は、ビーム材12M,12Lにおけるフランジ12Cの裏側に配置されている。また、補修前面材50は取付プレート52を介しているため、ボルト54の頭部とナット部62でクリップナット60のクリップ部61およびビーム材12M,12Lのフランジ12C、および取付プレート52を挟んで補修前面材50をビーム材12に固定している。したがって、ボルト54とナット部62で締め付ける部分の厚みを薄くできるので、補修前面材50をビーム材12に対して強固に固定することができる。
さらに、補修前面材50の取付プレート52に形成されたボルト貫通孔53は、棒状部51の延在方向に沿った長孔とされている。このため、ボルト貫通孔53にボルト54を貫通させる際のズレを許容できるので、その分ビーム材12に対する補修前面材50の取付にかかる手間を軽減することができる。さらには、貫通孔63の長手方向が棒状部51の延在方向に沿っているので、棒状部51がビーム材12M,12L取り付けられた後において、その長手方向への微少な移動を許容することができる。したがって、補修前面材50がビーム材12から外れにくくなるようにすることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。たとえば、上記実施形態では、補修前面材50の上下双方において、クリップナット60を介して補修前面材50を固定している。これに対して、補修前面材50の一方について、クリップナット60を介した補修前面材50を固定する態様とすることもできる。この場合、クリップナット60を介して固定した側と反対側の端部については、たとえば取付プレート52に代えて、ビーム材12のフランジ12Cにはめ込み可能なスリットを形成したはめ込み部材で固定することもできる。このようなはめ込み部材を用いることで、クリップナットを用いる必要がなくなり、部品点数の削減に寄与することができる。また、ボルト留めなどの作業が不要になるので、取付作業の手間の軽減にもつながる。
また、上記実施形態では、前面材14や後面材24に代えて補修前面材(補修後面材)を用いるようにしているが、上面体3の上面材31などについても同様の補修材を用いることができる。さらに、上記実施形態では、ビーム材12におけるフランジ12Cにはあらかじめボルトを貫通させる貫通孔12C1が形成されているが、この貫通孔が形成されていないビーム材におけるフランジにクリップナットを用いて補修前面材などを取り付ける態様とすることもできる。この場合、クリップナットにおけるクリップ部にフランジと重ならない余剰部を形成し、この余剰部にボルトを貫通させる貫通孔を形成する態様とすることができる。あるいは、現場でフランジに貫通孔を形成してからクリップナットを取り付ける態様とすることもできる。
1…前面体
2…後面体
3…上面体
4…底面体
5…エキスパンドメタル
11…フレーム材
12…ビーム材
12U…上ビーム材
12M…中ビーム材
12L…下ビーム材
13…ジョイント
14…前面材
21…フレーム材
22…ビーム材
23…ジョイント
24…後面材
41…幅方向部材
42…奥行き方向部材
50…補修前面材
51…棒状部
52…取付プレート
53…ボルト貫通孔
54…ボルト
60…クリップナット
61…クリップ部
62…ナット部
63…貫通孔
C…中詰め材
W…鋼製枠
X…堰堤

Claims (4)

  1. 前面体および後面体を備え、前記前面体と前記後面体との間に中詰め材が充填された壁体構造物であって、
    前記前面体および後面体の少なくとも一方が、
    互いに向かい合わせて配置された外枠部材と、
    向かい合う前記外枠部材の間に掛け渡された棒状部材と、
    前記外枠部材に前記棒状部材を固定する固定部材と、を備え、
    前記外枠部材における前記棒状部材が配置された側にフランジが形成されており、
    前記固定部材は、前記フランジにはめ込まれたクリップナットと、前記クリップナットにおけるナット部に締め付けられたボルトと、を有して構成されていることを特徴とする壁体構造物。
  2. 前記棒状部材における前記外枠部材側端部に、前記ボルトが貫通する貫通孔が形成された取付プレートが取り付けられており、
    前記ボルトの頭部と前記クリップナットにおける前記ナット部とによって、前記フランジと前記取付プレートを挟んで締め付けることで、前記外枠部材と前記棒状部材とが固定されている請求項1に記載の壁体構造物。
  3. 前記取付プレートに形成された貫通孔が、前記棒状部材の延在方向に沿った長孔である請求項2に記載の壁体構造物。
  4. 前面体および後面体を備え、前記前面体と前記後面体との間に中詰め材が充填された壁体構造物における前記前面体および後面体の少なくとも一方が、
    互いに向かい合わせて配置された外枠部材と、
    向かい合う前記外枠部材の間に掛け渡された棒状部材と、
    前記外枠部材に前記棒状部材を固定する固定部材と、を備える壁体構造物の補修方法であって、
    前記外枠部材の前記棒状部材側に形成されたフランジにクリップナットをはめ込み、
    前記クリップナットにおけるナット部にボルトを締め付けることで、前記外枠部材と前記棒状部材とを固定することを特徴とする壁体構造物の補修方法。
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