本発明は、産業用のワイヤレストランスミッタまたはワイヤレスアクチュエータに用いる電力モジュールに関する。この電力モジュールは、バッテリまたはスーパーキャパシタのようなエネルギ貯蔵素子と、外部のエネルギ捕集型電源のための電力調整回路との両方を備えている。このような電力モジュールからの電圧計測値は、エネルギ捕集型電源及びエネルギ貯蔵素子の障害の形態を識別するために利用される。
図1は、ワイヤレスフィールドデバイス12(アンテナ14を有する)、トランスデューサ16、プロセス接続部18、プロセス配管20、ローカル電源22、及び電源接続線24を備えた計測または制御箇所10を示している。ワイヤレスフィールドデバイス12は、アンテナ14を介し、制御または監視システム(以下、制御または監視システムを総称して制御・監視システムという)28に接続される。
プロセス配管20は、流動するプロセス流体Fを案内する。ワイヤレスフィールドデバイス12は、このプロセス流体のパラメータを計測する1以上のセンサから信号を受け取り、処理して送信するように構成されたプロセストランスミッタとすることができる。これに代え、ワイヤレスフィールドデバイス12は、制御・監視システム28からの信号に応答して、バルブまたはポンプなどのプロセスアクチュエータに指令するように構成されたワイヤレスコントローラであってもよい。トランスデューサ16は、プロセス接続部18を介してプロセス流体Fと接する1つのセンサまたはアクチュエータである。プロセス接続部18は、個々の産業用途と、トランスデューサ16が計測または操作するパラメータとに応じ、プロセス流体Fの流動に対して並列的に設けられてもよいし、直列的に設けられてもよい。図1には単一のトランスデューサ16が示されているが、計測または制御箇所10の一実施形態として、ワイヤレスフィールドデバイス12に接続された複数のセンサ及び複数のアクチュエータの少なくとも一方を備えていてもよい。
一実施形態において、トランスデューサ16は、ワイヤレスフィールドデバイス12が処理を行って制御・監視システム28への送信を行うために、ワイヤレスフィールドデバイス12に計測結果を供給するセンサである。別の実施形態では、トランスデューサ16がアクチュエータであって、ワイヤレスフィールドデバイス12が制御・監視システム28から受け取った信号に応答し、トランスデューサ16がプロセス流体における変化を操作する。以下の説明では、トランスデューサ16がセンサからなる実施形態に焦点を当てるが、当業者は、アクチュエータにも同様に本発明を適用可能であることを理解しうるものである。
トランスデューサ16は、プロセス接続部18を介してプロセス配管20に固定され、流量、粘度、温度、または圧力など、プロセス流体の1以上のパラメータを計測する。図示した実施形態において、トランスデューサ16は、ワイヤレスフィールドデバイス12の内部に収容されているが、これに代わる実施形態として、トランスデューサをワイヤレスフィールドデバイス12から分離して配置し、電線でワイヤレスフィールドデバイス12と接続するようにしてもよい。トランスデューサ16からのセンサ信号は、(例えば、アナログ電圧値またはデジタル信号として)ワイヤレスフィールドデバイス12内の処理及び伝送用電子回路に送信される(図2a及び図2b参照)。トランスデューサ16の具体的構成は、検出するパラメータに応じて変更することができ、プロセス配管20内のプロセス流体F中にトランスデューサ16が延設されるように、プロセス接続部18が構成される場合もある。ワイヤレスフィールドデバイス12は、トランスデューサ16からプロセス信号を受信して、(必要に応じ)デジタル化し、アンテナ14を介して、プロセス情報を含むプロセスメッセージを制御・監視システム28に送信する。アンテナ14は、単一のアンテナとして図示されているが、1つのまとまりとして配列された複数の多様なアンテナで構成してもよい。ワイヤレスフィールドデバイス12は、制御・監視システム28に信号を直接送信してもよいし、メッシュ型ネットワークまたはハブアンドスポーク型ネットワークを間に介して制御・監視システム28に信号を送信してもよい。一実施形態として、ワイヤレスフィールドデバイス12は、WirelessHART(登録商標)プロトコル(IEC62591)を用いてもよい。制御・監視システム28は、フィールドデバイスネットワーク26内にある複数のフィールドデバイスからのセンサデータの受信、及びこれらフィールドデバイスへのアクチュエータデータの送信の少なくとも一方を行う集中システムとすることができる。また、制御・監視システム28は、フィールドデバイスネットワーク26と共に現場に配置されてもよいし、遠隔設置されたコントロールルームに配置されてもよい。
ワイヤレスフィールドデバイス12は、後に詳述するように、トランスデューサ16からの(または、アクチュエータの場合、トランスデューサ16への)信号を処理して送信する電子回路を備えている。信号の処理及び送信は、いずれもエネルギを必要とし、当該エネルギは、図2a及び図2bに関して後述するように、電力モジュールによって供給される。この電力モジュールは、バッテリまたはスーパーキャパシタなどの内蔵のエネルギ貯蔵素子と、電源接続線24を介したローカル電源22への接続機構との両方を備える。ローカル電源22は、例えば、太陽電池パネルや、振動エネルギ捕集装置もしくは熱電発電装置などのエネルギ捕集装置、または商用電力供給網とすることができる。図1では、ワイヤレスフィールドデバイス12の外に設けられた外部電源として、ローカル電源22が示されているが、一実施形態として、図2bに関して後述するように、ローカル電源22がワイヤレスフィールドデバイス12の内部に組み込まれていてもよい。
図2a及び図2bは、ローカル電源22がワイヤレスフィールドデバイス12の外部にある場合(図2a)、及びローカル電源22がワイヤレスフィールドデバイス12の内部にある場合(図2b)の、それぞれのワイヤレスフィールドデバイス12の実施形態を示す図である。図2aの実施形態と図2bの実施形態とは、電力モジュール120の構成のみが相違しており、図2aにおいては電力モジュール120aとして、また図2bにおいては電力モジュール120bとして示されている。ここで、「電力モジュール120」の呼称は、電力モジュール120aと電力モジュール120bとの区別を必要としない場合に、これら電力モジュール120a及び電力モジュール120bを同等に指し示すために用いている。
図2a及び図2bは、制御・監視システム28からの信号に基づいてプロセス機器を操作する実施形態ではなく、センサ信号を受け取って、制御・監視システム28に送信する実施形態に関するものである。上述したように、電力モジュール120は、これらのうちのいずれかの形式のシステムに適用可能なだけでなく、両方の機能を有したフィールドデバイスにも適用可能である。
図2aは、ワイヤレスフィールドデバイス12の概要を示すブロック図であり、アンテナ14、トランスデューサ16、ケーシング、即ちハウジング100、トランシーバ102、信号プロセッサ104、デジタル信号コンディショナ106、アナログ・デジタルコンバータ108、アナログ信号コンディショナ110、給電コントローラ112、カバー116、端子ブロック118、及び電力モジュール120aの一実施形態を示している。電力モジュール120aは、エネルギ貯蔵素子122、接続用基板124、電力コンディショナ126、端子ネジ128、及びケーブル用コンジット130を備えている。図2bは、これに代わるワイヤレスフィールドデバイス12の実施形態の概要を示すブロック図であって、アンテナ14、トランスデューサ16、ケーシング、即ちハウジング100、トランシーバ102、信号プロセッサ104、デジタル信号コンディショナ106、アナログ・デジタルコンバータ108、アナログ信号コンディショナ110、給電コントローラ112、カバー116、端子ブロック118、及び電力モジュール120bが示されている。電力モジュール120bは、エネルギ貯蔵素子122、接続用基板124、電力コンディショナ126、及びローカル電源22bを備えている。
ワイヤレスフィールドデバイス12は、過激な温度及び過酷な環境に曝される可能性がある。従って、ワイヤレスフィールドデバイス12は、内部領域Iに電子回路を収納して保護するためのケーシング、即ちハウジング100を備えている。ハウジング100は、硬質で耐久性のある筐体であって、トランシーバ102、信号プロセッサ104、デジタル信号コンディショナ106、アナログ・デジタルコンバータ108、アナログ信号コンディショナ110、及び給電コントローラ112を劣化または損傷から保護するべく密封するようにしてもよい。ハウジング100は、カバー116と接合されて収容部Rを形成し、収容部Rは、電力モジュール120などの着脱可能な構成部品を収容して保護する。ハウジング100及びカバー116は、同様に密封状態を形成することにより、有害な環境による影響から、収容部R内にある構成部品を保護するようにしてもよい。一実施形態として、ハウジング100とカバー116との間のシールにより、内部領域I内の構成部品(即ち、トランシーバ102、信号プロセッサ104、デジタル信号コンディショナ106、アナログ・デジタルコンバータ108、アナログ信号コンディショナ110、及び給電コントローラ112)を適切に保護することも可能であって、ハウジング100とカバー116との組み合わせにより、カバー116が取り付けられている限りは、環境によるダメージから構成部品を保護することができるので、ハウジング100が内部領域Iを完全に取り囲んでいる必要はない。
一実施形態として、トランシーバ102は、アンテナ14を介してワイヤレス信号を送受信する送受信機である。信号プロセッサ104は、マイクロプロセッサなどの論理演算処理可能なデータプロセッサである。デジタル信号コンディショナ106は、デジタル化されたセンサ信号に対して機能するデジタルフィルタを備えており、このデジタルフィルタは、制御・監視システム28から送られる診断プログラムまたは指令に応答して、信号プロセッサ104が整合を行えるようにしてもよい。デジタル信号コンディショナ106は、例えば、アナログ・デジタルコンバータ108が生成した未加工のデジタル信号からの、ノイズの除去、または必要な信号の抽出を行うようにしてもよい。アナログ・デジタルコンバータ108は、トランスデューサ16からのアナログセンサ信号をデジタル化することが可能なコンバータである。一実施形態(アクチュエータシステムのような場合)において、アナログ・デジタルコンバータ108は、上記構成に代えて、または上記構成に加えて、信号プロセッサ104からのデジタル信号を、トランスデューサ16に送信するためのアナログ信号に変換することが可能なデジタル・アナログコンバータを備えていてもよい。アナログ信号コンディショナ110は、一般的なアナログ信号コンディショナであって、例えば、トランスデューサ16から受け取った信号から、必要な1以上の領域を分離するバンドパスフィルタ処理を行うようにすることができる。給電コントローラ112は、端子ブロック118から電力を取り込むように構成された、一般的な配電装置であって、電力品質及び電力障害の可能性を監視するための手段として、端子ブロック118から受け取った電圧を、(例えば、アナログ信号コンディショナ110を介して)信号プロセッサ104に報告する。信号プロセッサ104は、この電圧情報を用い、図5及び図6に基づき詳細に後述するように、ローカル電源22及びエネルギ貯蔵素子122の障害の形態を識別して通知する。給電コントローラ112は、内部電源または外部電源から端子ブロック118を介して電力を受け取り、この電力を、必要に応じて、トランシーバ102、信号プロセッサ104、デジタル信号コンディショナ106、アナログ・デジタルコンバータ108、アナログ信号コンディショナ110、及びそのほかにワイヤレスフィールドデバイス12において電力を必要とするような構成部品のいずれかに供給する。
作動中、アナログ信号コンディショナ110は、トランスデューサ16からプロセス信号を受け取り、フィルタ処理を行う。トランスデューサ16は、図1に示すように、ワイヤレスフィールドデバイス12の内部に配置されてもよいし、外部に設けられて、電線でアナログ信号コンディショナ110と接続するようにしてもよい。フィルタ処理されたプロセス信号は、アナログ・デジタルコンバータ108によってデジタル化され、更に、信号プロセッサ104によって処理を行う前に、デジタル信号コンディショナ106によってフィルタ処理される。ワイヤレスフィールドデバイス12の一実施形態では、特に、トランスデューサ16からの信号が予め調整されている場合、デジタル信号コンディショナ106及びアナログ信号コンディショナ110の一方または両方を省略してもよい。同様に、アナログ・デジタルコンバータ108は、トランスデューサ16がデジタル信号を供給する実施形態の場合に不要となる。トランシーバ102、信号プロセッサ104、デジタル信号コンディショナ106、アナログ・デジタルコンバータ108、及びアナログ信号コンディショナ110は、それぞれ別個の構成部品として説明したが、一実施形態において、これら構成部品の一部または全ての機能を、共用マイクロプロセッサなどの共用ハードウエアで実行するようにしてもよい。また、ワイヤレスフィールドデバイス12は、オペレータがワイヤレスフィールドデバイス12と直接的にやりとりできるようにするための、例えば表示画面及び入力用キーの少なくとも一方を有したローカルオペレータインターフェース(図示せず)を備えていてもよい。ワイヤレスフィールドデバイス12において電力を必要とするような別の構成部品と同様に、このようなローカルオペレータインターフェースも、給電コントローラ112から電力を受け取ることになる。
ワイヤレスフィールドデバイス12において電力を必要とする構成部品は、給電コントローラ112から電力を受け取る。一方、給電コントローラ112は、端子ブロック118を介して電力モジュール120から電力を受け取る。端子ブロック118は、電力モジュール120に接続して、電力モジュール120から電力を受け取るように構成された配電部品である。ワイヤレスフィールドデバイス12の内蔵電子回路に応じ、端子ブロック118は、交流電力または直流電力を受け取る。一実施形態において、端子ブロック118は、収容部R内における電力モジュールの固定に用いられる。端子ブロック118は、永続的にワイヤレスフィールドデバイス12に固定するようにしてもよいし、必要に応じて交換可能として、別の電源との接続を行えるようにするモジュール式の構成部品とすることもできる。
電力モジュール120は、エネルギ貯蔵素子122とローカル電源22との双方からの電力を供給するハイブリッド装置となっている。図2aの実施形態に示すように、電力モジュール120aは、エネルギ貯蔵素子122、接続用基板124、電力コンディショナ126、及び端子ネジ128を備える。エネルギ貯蔵素子122は、コンデンサ、スーパーキャパシタ、充電式バッテリ、一次電池(充電できないバッテリ)、またはそれ以外の一般的な小型のエネルギ貯蔵素子とすることができる。電力コンディショナ126は、コンデンサ、スイッチング回路、フィルタ部品、及び電圧制限用部品と電流制限用部品との少なくとも一方を備えていてもよい。図2a及び図2bでは、エネルギ貯蔵素子122が単体の素子として示されているが、電力モジュール120の一実施形態として、同一形式または異なる形式の複数の別個の電力セルを備えていてもよい。接続用基板124は、エネルギ貯蔵素子122、端子ネジ128、及び電力コンディショナ126を電気的に接続する内装配線基板である。ワイヤレスフィールドデバイス12の多くの実施形態の場合、特に、過酷な環境及び過酷な温度での作動が予測されるような実施形態の場合、充電式バッテリは実用的ではないことがある。しかしながら、適合する環境の場合には、エネルギ貯蔵素子122を再充電可能な素子で具現化して、ローカル電源22からの電力で充電するようにしてもよい。エネルギ貯蔵素子122は、電力モジュール120に着脱可能としてもよい。
この実施形態では、電力モジュール120aが端子ネジ128を備えている。端子ネジ128は、電源接続線24の環状露出部またはそれ以外の露出導電部を電力モジュール120aに取り付ける際の、電源接続線24のための中継端子として機能する。電源接続線24は、ケーブル用コンジット130を通して収容部R内に導入するのが好ましい。ケーブル用コンジット130は、電源接続線24が、ハウジング100またはカバー116の壁を通り抜けて収容部R内に入って来られるような、任意の形式の開口とすることができる。端子ブロック118、電力モジュール120、及びそれ以外に収容部R内にある構成部品の保護を充実させるため、ケーブル用コンジット130は、電源接続線24の周囲を密封して収容部Rを有害な環境から遮蔽するケーブル用パッキンを備えていてもよい。
電力コンディショナ126は、ローカル電源22用に定められた一般的な電力調整を行う小型の部品である。電力コンディショナ126は、例えば、電圧及び電流の少なくとも一方を制限して、ワイヤレスフィールドデバイス12の構成部品を保護する。また、電力コンディショナ126は、ローカル電源22が交流電源である場合に、必要であればAC/DCコンバータを組み入れるようにしてもよい。電力コンディショナ126は、接続用基板124の一部として構成されてもよいし、接続用基板124に取り付けられる別個の構成部品であってもよい。
電力モジュール120は、2つの電力供給源であるエネルギ貯蔵素子122及びローカル電源22から端子ブロック118にエネルギを供給する。本発明の背景技術の部分で述べたように、エネルギ捕集装置や太陽電池パネルのような外部電源は、供給可能な電力が制限されることが多い。ローカル電源22の一実施形態では、制限されるものの実質的に一定の電力を供給することが可能であるが、当該電力は、信号プロセッサ104、アナログ信号コンディショナ110、デジタル信号コンディショナ106、アナログ・デジタルコンバータ108、及び特にトランシーバ102を常時駆動するには不十分である。ローカル電源22の別の実施形態では、更に大きな電力を供給可能であるが、電力に信頼性がない場合がある。これらのいずれの実施形態においても、電力モジュール120は、ローカル電源22からの電力を、エネルギ貯蔵素子122からの貯蔵電力で補足し、ワイヤレスフィールドデバイス12において電力を使用する構成部品の電力要求を満たす。ワイヤレスフィールドデバイス12の周囲の環境及び用途に応じ、ワイヤレスフィールドデバイス12が消費する全電力は、多少に関わらず、エネルギ貯蔵素子122またはローカル電源22から供給することができる。ローカル電源22からの電力が比較的少なめまたは信頼性に欠ける場合、ワイヤレスフィールドデバイス12は、エネルギ貯蔵素子122から優先的に電力を受け取り、ローカル電源22からの補足的な電力によって、エネルギ貯蔵素子122の使用可能期間を延ばすことになる。ローカル電源22からの電力が比較的多めで信頼性がある場合、ワイヤレスフィールドデバイス12は、ローカル電源22から優先的に電力を受け取り、エネルギ貯蔵素子122からの補足的な電力により、ローカル電源22からの電力における何らかの遮断または低下への補充がなされることになる。
図1に関して上述したとおり、ローカル電源22は、様々な形態をとることができる。一例を示すと、ローカル電源22として作動する振動エネルギ捕集装置は、モータが作動している間(例えば、50%の運転サイクルにより、半分の期間)、ワイヤレスフィールドデバイス12の実質的に全ての電力要求を満たすことができる。モータが作動していないときは、電力モジュール120が、代わりにエネルギ貯蔵素子122からの電力を供給することになる。もう1つの実施形態では、ローカル電源22として作動する熱電エネルギ捕集装置が電力を供給するが、この電力は、連続的であるが微弱であって、信号プロセッサ104、デジタル信号コンディショナ106、アナログ信号コンディショナ110、及びアナログ・デジタルコンバータ108を作動させるには十分であるが、信号を送信中のトランシーバ102を作動させるには不十分である。このような場合には、送信の際の補足電力をエネルギ貯蔵素子122から供給することができる。ローカル電源22が、更に微弱な電力しか供給できなくなった場合には、エネルギ貯蔵素子122が常時全ての構成部品に電力を供給するように要求することもできる。このような場合には、ローカル電源22を含めることにより、エネルギ貯蔵素子122の予想される作動可能期間を延長して交換までの期間を延ばすことが可能となる。3つ目の実施形態では、電力供給網への直接的な接続によってローカル電源22が構成される。このような場合、正常な状態である間は、外部電源により、ワイヤレスフィールドデバイス12の全ての構成部品に十分に電力が供給されることになる。電力供給網が停電した場合、または電力供給網の接続に障害が生じた場合には、エネルギ貯蔵素子122がバックアップ電源として機能することになり、中断することなくワイヤレスフィールドデバイス12を継続して作動させることができる。
図2bは、電力モジュール120bが搭載されたワイヤレスフィールドデバイス12の一実施形態を示している。電力モジュール120aとは異なり、電力モジュール120bは、端子ネジ128を備えておらず、また、それ以外にも外部電源に接続するための手段を何ら備えていない。その代わりに、電力モジュール120bは、ローカル電源22の変形として、収容部R内にぴったり組み込まれるような寸法を有したローカル電源22bを備えている。ローカル電源22bは、例えば、ワイヤレスフィールドデバイス12の振動からエネルギを捕集する振動エネルギ捕集装置とすることができる。このような実施形態は、ワイヤレスフィールドデバイス12が、ポンプ、モータ、またはそれ以外の確実性のある振動発生源に近接して装着されるような用途に適している。ローカル電源22bは、電力モジュール120b内に永続的に取り付けられるようにしてもよいし、端子ネジ128(図2a参照)と機能的に同等の導電接続部材を介し、電力モジュール120bに着脱可能に接続するようにしてもよい。エネルギ貯蔵素子122、接続用基板124、及び電力コンディショナ126は、電力モジュール120a及び電力モジュール120bにおいて、機能上は実質的に同一であるが、電力モジュール120bでは、ローカル電源22bを収納する必要があることから、若干異なる形態(例えば、寸法または形状が異なる)となる場合がある。
電力モジュール120のいずれの実施形態においても、エネルギ貯蔵素子122とローカル電源22(ローカル電源22bを含む)とからの複合電力が得られる。ローカル電源22からの電力を使用可能である限りは、ローカル電源22が優先的に使用される。ローカル電源22からの電力が使用不可能となるか、または不足する場合は、エネルギ貯蔵素子122からの電力が代替または補足として用いられる。給電コントローラ112は、電力モジュール120から供給される電圧を(端子ブロック118を介して)監視することにより、ローカル電源22及びエネルギ貯蔵素子122における障害を検知する。
図2a及び図2bにおいて、端子ブロック118と電力モジュール120とは、別個の構成部品として示されているが、一実施形態として、端子ブロック118と電力モジュール120との機能をまとめて単一の着脱可能な構成部品とし、収容部R内でワイヤレスフィールドデバイス12に装着することも可能であり、そのような単一の構成部品は、ワイヤレスフィールドデバイス12の個々の様式、及びローカル電源22の個々の形式の双方に合致するように選定される。
図3は、ワイヤレスフィールドデバイス12の分解斜視図であって、このワイヤレスフィールドデバイス12は、アンテナ14、ケーシング、即ちハウジング100、カバー116、端子ブロック118、電力モジュール120、エネルギ貯蔵素子122、ケーブル用コンジット130、端子ブロック取付ネジ132、端子ブロック取付ネジ孔134、電源取付部136、及び電源コネクタ138を備えている。
図2a及び図2bに関して上述したように、給電コントローラ112は、ワイヤレスフィールドデバイス12において電力を使用する全ての構成部品に電力を供給する。給電コントローラ112は、端子ブロック118が所定の位置に固定されているときに当該端子ブロック118と電気的に接続された電源コネクタ138を介し、端子ブロック118から電力を受け取る。電源コネクタ138は、例えば、端子ブロック118に設けられた凹部またはジャックに接続されるように対応して設けられた複数の導電ピンを備えていてもよい。図3に示すように、端子ブロック118は、電源コネクタ138に接した状態で、端子ブロック取付ネジ132によって固定される。端子ブロック取付ネジ132は、ハウジング100に形成された端子ブロック取付ネジ孔134に締め付けられることにより、端子ブロック118を着脱可能に固定するネジである。端子ブロック取付ネジ132によって端子ブロック118が固定されるように図示しているが、これに代わる実施形態として、差込ピンもしくはねじ込みピン、または係合もしくは嵌合などによる別の手段を、端子ブロック118の固定に用いるようにしてもよい。これに代わる実施形態として、端子ブロック118は、収容部R及び内部空間Iが共有するハウジング100の壁面に永続的に固定または取り付けられる固定式の構成部品であってもよい。端子ブロック118は、1以上の端子を介して交流電力または直流電力を受電するように構成されている。この端子は、電力モジュール120に隣接する平坦な導電性接点の形態とすることができる。
この実施形態によれば、電力モジュール120は、電源取付部136を用いて端子ブロック118に固定される。電源取付部136は、端子ブロック118に突設されたスリーブが取り囲む電気接点として示されており、このスリーブが電力モジュール120に係合または嵌合することにより、電力モジュール120との電気的接続が行われる。別の実施形態として、電源取付部136は、任意の一般的な電気的接続を行いながら、電力モジュール120を端子ブロック118に固定するためのフック、ネジ、ラッチ、またはそれ以外の一般的な固定手段を備えていてもよい。電源取付部136は、カバー116がない状態にあるとき(例えば、収容部R内の構成部品の着脱を行うためにカバー116を取り外したとき)、電力モジュール120を保持する。但し、図4a及び図4bに関して後述するように、カバー116により、端子ブロック118への電力モジュール120の保持を補助するようにしてもよい。端子ブロック118は、必要であれば、電力調整を行って電圧または電流を調整し、電力モジュール120から受け取った電力を変換または整流するようにしてもよい。電力モジュール120は、ローカル電源22及びエネルギ貯蔵素子122の少なくとも一方からの電力を供給する。電力モジュール120から供給される電力は、ローカル電源22のみから、またはエネルギ貯蔵素子122のみから出力されたものであってもよいし、これらの双方を組み合わせて出力されたものであってもよい。一実施形態として、エネルギ貯蔵素子122は、コンデンサまたは充電式バッテリなどの充電可能な電源であってもよく、ローカル電源22からの電力で充電されるようにしてもよい。
図2a及び図2bに関して上述したように、エネルギ貯蔵素子122は、一般的なバッテリまたはスーパーキャパシタであってもよい。エネルギ貯蔵素子122は、係合またはその他の一般的な固定機構を用いて電力モジュール120に着脱可能に組み付けられるようになっている。別の実施形態として、エネルギ貯蔵素子122は、電力モジュール120内に完全に格納されるようにしてもよいし、着脱は可能及び不可能のいずれであってもよい。
電力モジュール120は、ローカル電源22からの電力を受け取る電源接続線24のための接続部を備えている。この接続部は、端子ネジ128(図2a及び図4a参照)、または電気的接続を行うための任意の同様な取付手段を備えていてもよい。接続用基板124は、端子ネジ128の位置に導電接続部を有した配線基板である。端子ネジ128は、電源接続線24の1以上の電線を接続用基板124に接続固定するために用いられる導電性の固定部材である。電源接続線24がフックまたは環状部を有する場合、端子ネジ128及び接続用基板124により、これらのフックまたは環状部を接続して、電源接続線24を電力モジュール120に固定する。電源接続線24の形式に応じ(即ち、ローカル電源22に対応し)、端子ネジ128は、プラグ、クリップ、またはその他の取付手段に置き換えることができる。図3では、外部に設ける実施形態としてのローカル電源22に電力モジュール120を接続するための端子ネジ128が示されているが、これに代え、電力モジュール120がローカル電源22bを備えるようにしてもよい(図2b参照)。このようなローカル電源22bは、電力モジュール120内に配置してもよいし、カバー116の内側に嵌め込むようにして、電力モジュール120の外側に取り付けてもよい。
図2a及び図2bに示す実施形態について上述したように、カバー116は、密封状態でハウジング100に接合することにより、収容部R内の構成部品(例えば、端子ブロック118及び電力モジュール120)を保護する。電力モジュール120は、カバー116の内側にあって、端子ブロック118と接した状態で、収容部Rの内側にぴったり嵌め込まれている。ローカル電源22は、電源接続線24を介して電力モジュール120に接続されており(図2a及び図2b参照)、電源接続線24は、ケーブル用コンジット130を通って収容部R内に延び、端子ネジ128(または類似の固定部材)に固定される。上述したとおり、電力モジュール120は電力コンディショナ126を備え、この電力コンディショナ126は、ワイヤレスフィールドデバイス12において電力を必要とする構成部品が使用できるように、ローカル電源22及びエネルギ貯蔵素子122からの電力を調整する。電力モジュール120が供給する電力の電圧は、図5及び図6に関して後述するように、ローカル電源22及びエネルギ貯蔵素子122の状態に応じて変動する。このような電圧における変動が、両電源における障害の検知及び通知に用いられる。
図4a及び図4bは、電力モジュール120の一実施形態を異なる2方向から見た分解斜視図である。電力モジュール120は、エネルギ貯蔵素子122、接続用基板124、端子ネジ128、ケーシング前部202、ケーシング後部204、柱状端子206、エネルギ貯蔵素子用取付部材208、摩擦嵌合部210、支持部212、及び固定用環状部214を備えている。
本実施形態において、電力モジュール用ケーシング200は、接続用基板124を取り囲んで保護すると共に、ワイヤレスフィールドデバイス12の収容部Rの中に、端子ネジ128及びエネルギ貯蔵素子122をしっかりと支持する硬質の保護用収納部材である。上述したように、接続用基板124は、エネルギ貯蔵素子122と端子ネジ128との電気的接続を行う配線基板であって、電力コンディショナ126(図2a及び図2b参照)を収容するか、または取り付けるようにしてもよい。柱状端子206は、接続用基板124から、ケーシング前部202の摩擦嵌合部210を通って延設され、端子ブロック118の電源取付部136(図3参照)との電気的接続を形成する導電性の柱状部材である。摩擦嵌合部210は、ケーシング前部202の接続部材であって、電源取付部136の中に延びて、電源取付部136と機械的に結合することにより、電力モジュール120を端子ブロック118に固定する。摩擦嵌合部210は、電源取付部136にしっかりと結合するための1以上のスナップリングまたは同等の部材を備えていてもよい。
本実施形態において、エネルギ貯蔵素子用取付部材208は、一般的な嵌め込み式のバッテリケース、またはエネルギ貯蔵素子122を固定するための同等の手段である。エネルギ貯蔵素子用取付部材208は、ケーシング後部204に固定され、エネルギ貯蔵素子122の機械的な保持及び電気的接続の両方を行う。上述したように、エネルギ貯蔵素子122は、専用のエネルギ供給素子、既製のバッテリ、スーパーキャパシタ、または同等の任意のエネルギ貯蔵素子とすることができる。エネルギ貯蔵素子用取付部材208の大きさ及び形状は、選定されたエネルギ貯蔵素子122の形式に応じて変更することができる。エネルギ貯蔵素子用取付部材208により、エネルギ貯蔵素子122と接続用基板124との電気的接続がなされる。
ケーシング後部204は、接続用基板124から離間する方向に延設された実質的に硬質の部材の支持部212を備えており、この支持部212は、収容部R内にぴったり嵌まり込むようにしてカバー116(図3参照)に組み付けられる。このような嵌合により、摩擦嵌合部210を電源取付部136に位置決めして保持することが容易になる。図示した実施形態において、支持部212は、ケーシング後部204の最も外側の面から隆起した環状隆起部である固定用環状部214を備えている。固定用環状部214は、カバー116の内側に相補的に設けられたリングまたは波形ばね(図示せず)に接合する大きさを有しており、これにより、振動に抗して、電力モジュール120を端子ブロック118とカバー116との間に固定する。端子ネジ128は、ケーシング後部204を貫通して接続用基板124内まで延在することにより、電源接続線24とローカル電源22との電気的接続をもたらす。ローカル電源22が収容部R内に収納されるようなワイヤレスフィールドデバイス12の実施形態(図2bに関して上述したローカル電源22bを参照)については、接続用基板124とローカル電源22との直接的な接続(ローカル電源22が電力モジュール120内に設けられる場合)、またはエネルギ貯蔵素子用取付部材208と同様の方式でローカル電源22との着脱可能な接続(ローカル電源22が着脱可能に電力モジュール120に取り付けられる場合)を行うことにより、端子ネジ128を省略してもよい。これに代えて、ケーシング後部204とカバー116との間に収納された完全に別個のローカル電源22に接続用基板124を接続するために、端子ネジ128または類似の取付部材を用いるようにしてもよい。この最後に述べた実施形態の場合、支持部212を縮小して、ローカル電源22のための空間を設けるようにしてもよい。
ローカル電源22を収容部Rの中に収容するか否かに関わらず、ローカル電源22から優先的に電力を取り出し、ローカル電源22からの電力が使用できないとき、またはワイヤレスフィールドデバイス12の電力要求を満たすには不十分であるときには、エネルギ貯蔵素子122から補足的に電力を取り出すような電気的接続が、電力モジュール120によって得られる。個々の用途または設置場所により、ローカル電源22及びエネルギ貯蔵素子122のいずれかが、ワイヤレスフィールドデバイス12が必要とする電力の大部分を供給することになることもあるが、可能であれば、エネルギ貯蔵素子122が枯渇する前に、ワイヤレスフィールドデバイス12がローカル電源22から電力を取り出すようにするのが好ましい。それぞれの電源からの電力は、必要に応じて電力コンディショナ126が調整し、必要であれば、ローカル電源22及びエネルギ貯蔵素子122からの電力が変換または整流される。このようにして、電力モジュール120は、ローカル電源22からの電力の使用の可能性が変動しても、エネルギ貯蔵素子122の使用可能期間を延長しつつ、ワイヤレスフィールドデバイス12に必要な電力を継続的に供給することができる。
図5は、電力モジュール120から受け取る電圧を時間の経過に応じて示すグラフである。図5は、ワイヤレスフィールドデバイス12の作動の間に生じうる電圧変動を示す一例とすることで、図6に関して詳細に後述する障害検知システムの作動を例示することのみを目的とするものである。図5の尺度は厳密なものではなく、図5に示す電圧曲線の具体的な詳細形状は、ワイヤレスフィールドデバイス12における電力モジュール120の作動にとって固有の意味を持つものではない。
図2a、図2b、図3、図4a、及び図4bに関して上述したように、電力モジュール120から供給される電力は、ローカル電源22、エネルギ貯蔵素子122、またはこれら両電源の組み合わせから得ることができる。大まかに言えば、ワイヤレスフィールドデバイス12は、3つの電力モードで作動することができ、第1モードでは、全ての電力がローカル電源22から供給され、第2モードでは、ローカル電源22が供給する電力と、エネルギ貯蔵素子122に蓄えられたエネルギのと組み合わせで、ワイヤレスフィールドデバイス12が作動し、第3モードでは、専らエネルギ貯蔵素子122に蓄えられたエネルギのみによってワイヤレスフィールドデバイス12が作動する。電力モジュール120が出力する電圧は、一般的に第1モードで最も高くなる一方(電力コンディショナ126による制限範囲内)、第3モードで最も低くなり、第2モードでは両モードの中間の大きさとなる。即ち、第3モードの電圧は、エネルギ貯蔵素子122のバッテリ電圧またはキャパシタ電圧に合致するのが一般的であるのに対し、第1及び第2モードでは、ローカル電源22から供給される電力における電圧の下降の程度に応じて定まる分だけ、このバッテリ電圧またはキャパシタ電圧よりも高くなる。
但し、ローカル電源22からの電圧は、消費電力、及びローカル電源22の状態に応じて変動する可能性がある。ローカル電源22から供給される電圧における降下は、ローカル電源22が作動停止状態(例えば、ローカル電源22が太陽電池パネルで構成され、陰に入った場合)に陥ったことを示している可能性、またはローカル電源22が単独ではワイヤレスフィールドデバイス12の電力要求を直ちに満たすことができず、エネルギ貯蔵素子122からの電力の補足を必要としていることを示している可能性がある。更に、ワイヤレスフィールドデバイス12への電力供給が全てローカル電源22から行われている場合であっても、軽微な電圧変動は起こりうる。
図5は、グラフのy軸(電圧)に示すように、3つの全てのモードに対応する範囲の電圧を示している。これらのモードは、ローカル電源22及びエネルギ貯蔵素子122が電力の大きさを変化させて供給可能な時間的領域に対応している。
時刻t0において、ワイヤレスフィールドデバイス12は、専らエネルギ貯蔵素子122のみから電力を供給されており、電圧V2にほぼ等しい実質的に安定した電圧に維持されている(但し、わずかに低下する可能性がある)。時刻t1において、ローカル電源22が起動し、電圧V3を超える電圧を供給しながら、ローカル電源22がワイヤレスフィールドデバイス12への供給電力を全て負担する。電圧V3は、これを下回ると、エネルギ貯蔵素子122がワイヤレスフィールドデバイス12への電力供給に寄与することになる閾値に相当する。
時刻t2と時刻t3との間で、ローカル電源22から供給される電圧は、電圧V3より高い状態から低い状態へと降下する。このような電圧の降下は、ローカル電源22から取り出される電力の増大か、ローカル電源22が生成する電力の減少(例えば、太陽電池パネルに入射する光の減少、または振動エネルギ捕集装置における振動振幅の減少)に起因する可能性がある。
時刻t4において、ローカル電源22が作動を停止する。ローカル電源22の一実施形態では、産業プロセスの作業の流れに沿って、頻繁に起動及び停止が繰り返される場合がある。例えば、50%の運転サイクルのモータに取り付けた振動エネルギ捕集装置は、モータの起動及び停止に従って、定期的に作動の開始と停止(即ち、電力を生成しない状態)とを繰り返すことになる。それ以外のローカル電源22の実施形態として、何らかの不作動状態は障害発生状態を示し、通常は継続的に電力の生成が予測されるものもある。
図5では、時刻t5にエネルギ貯蔵素子122で障害が始まり、端子ブロック118で受け取る電圧に更なる降下が生じる。電圧V2を下回るような電圧の降下は、エネルギ貯蔵素子122の具体例に応じ、例えば、バッテリの枯渇、またはスーパキャパシタの過放電に相当するものとなる。図5では、電圧が急速に降下しているが、バッテリまたはスーパキャパシタの障害では、必ずしも急速なものとはならない。通常は、ワイヤレスフィールドデバイス12が専らエネルギ貯蔵素子122のみから電力供給を受けている間、エネルギ貯蔵素子122が徐々に消耗していくに従い、端子ブロック118で受ける電圧も徐々に低下していく。エネルギ貯蔵素子122が放電していくと、最終的に、端子ブロック118における電圧は、エネルギ貯蔵素子122の枯渇状態を示す閾値である電圧V1を下回るまで低下する。
図6は、電力モジュール120から受け取った電圧に基づいて電源の障害を検知するための方法300のフローチャートである。具体的には、方法300により、制御・監視システム28は、信号プロセッサ104が設定した障害信号値に基づいて、ローカル電源22における障害とエネルギ貯蔵素子122における障害とを識別することが可能となる。方法300により、制御・監視システム28は、図5に示す第1モード、第2モード、及び第3モードの識別が可能となり、この識別に従って使用者や保守要員に警報を行うことができる。
図2a及び図2bに関して上述したように、給電コントローラ112は、端子ブロック118から(即ち、電力モジュール120から)受け取った電力の電圧を示す報告を、信号プロセッサ104から行う。一実施形態として、アナログ信号コンディショナ110、アナログ・デジタルコンバータ108、及びデジタル信号コンディショナ106のうちの少なくとも1つを介し、このような電圧の報告を受け取るようようにしてもよい。信号プロセッサ104には、正常な作動時や障害時に電力モジュール120が発生しうる様々な電圧に対応し、一連の電圧閾値が設定される(ステップS1)。これらの電圧閾値は、メンテナンス作業の際に、プログラムまたは配線で信号プロセッサ104に取り込むようにしてもよいし、制御・監視システム28から受け取った信号、またはトランシーバ102を介して別のユーザ端末から受け取った信号に応じて設定するようにしてもよい。信号プロセッサ104は、電力モジュール120から受け取った電圧を、給電コントローラ112を用いて監視する(ステップS2)。図1に関して上述したように、信号プロセッサ104は、制御・監視システム28に対し、定期的にプロセスメッセージを送信する。このプロセスメッセージには、トランスデューサ16から供給されたセンサ検出値を反映したプロセス変数信号が含まれる。更に、各プロセスメッセージには、障害信号値が含まれており、この障害信号値により、エネルギ貯蔵素子122及びローカル電源22の障害状態を識別して通知することが可能となる。以下の説明では、それぞれのプロセスメッセージが、プロセス変数信号と障害信号値との両方を含む実施形態に着目しているが、これに代わる実施形態として、これらの2つの成分を分離し、例えば、障害信号値を臨時にしか送信しないか、或いは障害情報を別個に送信するようにしてもよい。一実施形態として、プロセス変数信号の生成と障害信号値の生成とを、別個の信号プロセッサで行うようにしてもよい。
監視中の電圧と電圧閾値との比較結果に基づき、信号プロセッサ104は、電力モジュール120が生成した現状の電圧を反映した障害信号値を、各プロセスメッセージに設定する(ステップS3)。ここでは説明のために、大きい値の障害信号値が高い電圧を示唆し、小さい値の障害信号値が低い電圧を示唆するものとするが、全ての実施形態で、このようにしなければならないわけではない。ワイヤレスフィールドデバイス12は、トランシーバ102を用い、このような障害信号値を含むプロセスメッセージを無線送信する(ステップS4)。
制御・監視システム28は、ワイヤレスフィールドデバイスネットワーク26内にある個々のフィールドデバイス(ワイヤレスフィールドデバイス12を含む)から、定期的にプロセスメッセージを受け取る。ワイヤレスフィールドデバイス12から、障害信号値を含むプロセスメッセージを受け取ると、制御・監視システム28は、その障害信号値の値の大きさが、エネルギ貯蔵素子障害判定閾値より小さいか否かを確認する(ステップS5)。このエネルギ貯蔵素子障害判定閾値は、エネルギ貯蔵素子122が正常時に生成する電圧V2より低い電圧である図5の電圧V1の少なくとも近傍に対応して予め設定された数値となっている。図5は、正確な縮尺では示されていないが、一実施形態として、電圧V1は、電圧V2よりわずかに低い電圧とすることができる。制御・監視システム28が受け取った障害信号値がエネルギ貯蔵素子障害判定閾値より小さければ、制御・監視システム28は、エネルギ貯蔵素子障害(例えば、バッテリ切れ)を報知し、エネルギ貯蔵素子122を交換または修理することができるように、障害に対応する警報を使用者または保守要員に送信する。エネルギ貯蔵素子障害判定閾値は、エネルギ貯蔵素子の障害が差し迫っていることを、エネルギ貯蔵素子が完全に故障してしまう前に余裕をもって使用者または保守要員に知らせることができるように、個々の使用環境及び用途に応じて適切な値に設定することが可能である。
障害信号値がエネルギ貯蔵素子障害判定閾値より大きい場合、制御・監視システム28は、この障害信号値が、電圧V2と電圧V3との間(図5参照)の電圧に対応するローカル電源障害判定閾値より小さいか否かを確認する(ステップS7)。障害信号値がローカル電源障害判定閾値より小さくない場合、制御・監視システム28は、障害が発生していない旨を報知する(ステップS8)。一方、障害信号値がローカル電源障害判定閾値より小さい場合には、制御・監視システム28が、ローカル電源障害を報知する(ステップS9)。ローカル電源障害判定閾値より小さいものの、エネルギ貯蔵素子障害判定閾値より大きい障害信号値は、ワイヤレスフィールドデバイス12で使用する電力の全てを、ローカル電源22だけから供給することはできないことを示すものである。ローカル電源障害判定閾値は、ワイヤレスフィールドデバイス12の用途及び使用環境に応じ、電圧V3に対応する大きさ(ローカル電源22がワイヤレスフィールドデバイス12への電力供給の全てはまかなうことができないときに障害を報知する場合)、電圧V2に対応する大きさ(ローカル電源22がワイヤレスフィールドデバイス12への電力供給を全く行うことができないときだけ障害を報知する場合)、またはこれらの中間の大きさに選定することができる。
障害判定条件は、必ずしも全てが障害警報を伴うものである必要はなく、障害判定条件をメンテナンス用に保有するようにしてもよい。即ち、計測または制御箇所10のいくつかの実施形態においては、上述したように、通常作動の際にもローカル電源22を喪失する場合がある。ローカル電源障害の報知にあたり、制御・監視システム28は、ローカル電源22の一時的な喪失が、ワイヤレスフィールドデバイス12において予測されるか否かを判定する(ステップS10)。このような判定は、ワイヤレスフィールドデバイス12が受け取る電圧の履歴、使用者が供給する設定情報、またはそれ以外の適切な要素に基づいて行うことができる。ローカル電源22の一時的または周期的な喪失が予測される場合、制御・監視システム28は、ローカル電源22の障害を示す警報を送信しないようにしてもよい。一方、ローカル電源22の一時的または周期的な喪失が予測されない場合、制御・監視システム28は、ローカル電源22を交換または修理することができるよう、ローカル電源22の障害の警報を使用者または保守要員に送信するのが好ましい。一実施形態として、ローカル電源障害の報知により、タイマをスタートさせるか、またはカウンタをインクリメントするようにして、ローカル電源22の一時的または周期的な喪失が予測されるようなシステムであっても、障害報知の回数が十分な回数に達するか、または低電圧で経過した時間が十分な時間に達すると、ローカル電源障害の警報を発するようにしてもよい。
これまでの説明は、障害報知及び警報の発生源として、制御・監視システム28に着目したものであった。しかしながら、これに代わる実施形態として、ワイヤレスフィールドデバイス12の信号プロセッサ104が、方法300のステップS5からステップS11までを実行可能とし、障害警報または障害報知のみを制御・監視システム28に送信するようにしてもよい。これらの障害報知及び障害警報を、ワイヤレスフィールドデバイス12及び制御・監視システム28のいずれが生成するにしても、方法300により、給電コントローラ112で受け取る電圧を用い、電力モジュール120から供給される電力における障害を検知して識別することが可能となる。電力モジュール120により、バッテリまたはスーパキャパシタのみを有した従来のシステムを上回って、エネルギ貯蔵素子の寿命を延長することができ、エネルギ捕集装置などのローカル電源のみを有したシステムに比べて、優れた信頼性を得ることができる。これらの機能の全ては、付加的な外部構成部品を必要とすることなく、また、そのような外部構成部品を過酷な外部環境から守るための保護も必要とすることなく、収容部R内にぴったりと嵌まり込むように構成された電力モジュールにより達成される。
具体的な実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能であると共に、均等物で本発明の各構成要素を置き換えることが可能であることが当業者に理解されよう。また、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況やものを本発明の教示に適合させるための様々な変形が可能である。従って、本発明は、開示した特定の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内に包含される全ての態様を含むものである。