JP2017001029A - 多層分離膜 - Google Patents

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皓一 高田
花川 正行
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Abstract

【課題】本発明は、水中の濁質成分除去と金属イオン吸着除去に優れ、高強度を備えた多層分離膜を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の多層分離膜は、キレート性官能基を有する微粒子を含有する多孔質吸着層と、多孔質支持層とを少なくとも含む。【選択図】なし

Description

本発明は、飲料水製造、工業用水製造、浄水処理、排水処理、海水淡水化、工業用水製造などの各種水処理に好適な濁質除去能と金属イオンなどの特定化合物除去能を併せ有する多層分離膜に関する。
近年、分離膜は、浄水処理、排水処理などの水処理分野、血液浄化などの医療用途、食品工業分野、電池用セパレーター、荷電膜、燃料電池用電解質膜等様々な方面で利用されている。
とりわけ飲料水製造分野や工業用水製造分野、すなわち浄水処理用途や排水処理用途、海水淡水化用途などの水処理分野においては、従来の砂濾過、凝集沈殿、蒸発法の代替や、処理水質向上のために、分離膜が用いられるようになっている。これらの分野では処理水量が大きいため、分離膜の透水性能が優れていれば、膜面積を減らすことが可能となり、装置がコンパクトになるため設備費が節約でき、膜交換費や設置面積の点からも有利になってくる。
水処理用の分離膜は、被処理水に含まれる分離対象物質の大きさに応じたものが用いられる。通常、自然水は濁質成分を多く含有するため、水中の濁質成分除去のための精密ろ過膜や限外ろ過膜が一般的に使用されている。ここで、被処理水によっては、有害な金属イオンを含有している場合があるが、イオン類は小さすぎて、精密濾過膜や限外濾過膜で除去することができない。このため、濁質成分除去のための除濁工程以外に、水中の金属イオン除去のための工程が必要であった。
一方、水中の金属イオンの除去には、イオン交換樹脂による吸着除去、キレート樹脂による吸着除去、セリウム化合物などの無機吸着剤による吸着除去(特許文献1)が知られている。しかしながら、吸着塔などの設備費、樹脂の初期投資、樹脂の再生費などの経済性の問題だけでなく、水中の濁質成分が吸着剤に吸着することによる水路閉塞といった実用上の問題がある。このため、金属イオン除去のための吸着工程以外に、水中の濁質成分除去のための工程が必要であった。
この他、表面または表面層にのみグラフト重合でキレート性官能基を有する吸着層を設けた膜(特許文献2)、多孔質膜の表面や細孔内表面にグラフト重合でメタクリル酸グリシジルを導入後、ここに化学的にキレート性官能基を導入した膜(特許文献3)が知られている。これらの場合、多孔質膜を得た後にグラフト重合および修飾といった操作が必要であり、製造工程が煩雑になる他、水中の濁質成分による吸着や水路閉塞といった問題があった。キレート性官能基を設けた布状基材(特許文献4)、キレート性官能基含有繊維(特許文献5)も知られているが、いずれも水中の濁質成分による吸着や水路閉塞といった実用上の問題があり、金属イオン除去のための吸着工程以外に、水中の濁質成分除去のための工程が必要であった。
ここで、除濁除去と吸着除去を同時に行うための複合分離膜(特許文献6)が開示されている。三次元網目状構造を有する層と、吸着剤を含有する多孔質構造の層とを有する複合分離膜によるろ過によって、優れた耐ファウリング性の獲得と、海水からの濁質除去と金属イオン(ホウ素)除去が可能とされている。
特開2007−160271号公報 特開昭58−205543号公報 特開平7−24314号公報 特開2005−74378号公報 特開平4−83532号公報 特開2010―227757号公報
しかし、従来の膜では吸着効率が低く、吸着効率を上げようとして吸着剤を増量させると、膜の強度が低下するという問題がある。
本発明は、上記従来技術の課題に鑑み、膜の強度と吸着効率とを両立できる膜を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を含む。
(1)キレート性官能基を有する微粒子およびベースポリマーを含有する多孔質吸着層と、
多孔質支持層と
を備える多層分離膜。
(2)前記キレート性官能基を有する微粒子の粒径が0.15μm〜3μmである、前記(1)に記載の多層分離膜。
(3)前記多孔質吸着層が三次元網目構造または球状構造の少なくとも一方を有する、
前記(1)または前記(2)に記載の多層分離膜。
(4)前記多孔質吸着層が、除濁を担う表面を有する、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の多層分離膜。
(5)前記多孔質吸着層の断面をエネルギー分散型X線分析で元素分析した際のキレート性官能基由来原子の原子数(%)の平均値Xと標準偏差YがX≧3Yを満たす、
前記(1)〜(4)のいずれかに記載の多層分離膜。
(6)キレート性官能基由来原子が、N、O、P、S、Na、K、Cu、FeおよびBからなる群から選ばれる少なくとも一種である、前記(5)に記載の多層分離膜。
(7)前記多孔質吸着層の厚みが10μm以上500μm以下である、前記(1)〜(6)のいずれかに記載の多層分離膜。
(8)外径が800μm以上2000μm以下の中空糸膜である、前記(1)〜(7)のいずれかに記載の多層分離膜。
(9)50kPa、25℃における純水透過性能が0.01m/m・hr以上10m/m・hr以下、破断強度が6MPa以上、破断伸度が10%以上である、前記(1)〜(8)のいずれかに記載の多層分離膜。
(10)前記多孔質吸着層が、熱誘起相分離法および/または非溶媒誘起相分離法で得られた層である、前記(1)〜(9)のいずれかに記載の多層分離膜。
(11)前記多孔質支持層が、熱誘起相分離法および/または非溶媒誘起相分離法で得られた層である、前記(1)〜(10)のいずれかに記載の多層分離膜。
本発明の多層分離膜は、キレート性官能基を有する微粒子を有する多孔質吸着層と支持層とを備える。その結果、多層分離膜は、金属イオンに対する極めて高い吸着効率と高い膜強度とを示すことができる。
[1.多層分離膜]
本発明の多層分離膜は、多孔質吸着層(以下、単に「吸着層」と称することがある)と、多孔質支持層(以下、単に「支持層」と称することがある)を含むことを特徴とする。
(1−1)多孔質吸着層
多孔質吸着層は、多孔構造を有するベースポリマーと、キレート性官能基を有する微粒子(以下、単に「キレート微粒子」と称することがある)を少なくとも備える。
ベースポリマーとして、公知のポリマーを含有することができる。公知の種々のポリマーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、塩化ビニル樹脂、セルロースエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、変成ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、フッ素樹脂系ポリマー、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンおよびこれらの混合物や共重合体が挙げられる。これらと混和可能な他の樹脂を混和してもよい。
なお、本発明におけるフッ素樹脂系ポリマーとは、フッ化ビニリデンホモポリマーおよび/またはフッ化ビニリデン共重合体を含有する樹脂のことである。複数の種類のフッ化ビニリデン共重合体を含有していてもよい。フッ化ビニリデン共重合体としては、フッ化ビニル、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、三フッ化塩化エチレンから選ばれる少なくとも1種とフッ化ビニリデンとの共重合体が挙げられる。
また、フッ素樹脂系高分子の重量平均分子量は、要求される高分子分離膜の強度と透水性能によって適宜選択すればよいが、重量平均分子量が大きくなると透水性能が低下し、重量平均分子量が小さくなると強度が低下する。このため、重量平均分子量は5万以上100万以下が好ましい。高分子分離膜が薬液洗浄に晒される水処理用途の場合、重量平均分子量は10万以上70万以下が好ましく、さらに15万以上60万以下が好ましい。
キレート性官能基とは、特定の金属イオンと相互作用して選択的に吸着することができる官能基のことである。キレート性官能基に含まれる窒素、酸素、硫黄、リンなどの電子供与性原子が金属イオンに配位し5員環や6員環のような安定なキレートを形成することで特定の金属イオンを選択的に吸着する。キレート性官能基と除去対象となる金属イオンをこの項で例示するが、本発明はそれらの組み合わせに限定されるものではなく、除去対象金属イオンとの相性を元に適宜選択して用いることができる。例えば、窒素原子と酸素原子を含むキレート性官能基のイミノ二酢酸基は、鉄、銅、マンガン、鉛、カドミウム、水銀、クロム等の金属イオンを選択的に吸着するのに好適である。アミドキシム基は、鉄、マンガン、鉛、カドミウム、コバルト、ニッケル、バナジウム、チタン、銅、クロム等の金属イオンを選択的に吸着するのに好適である。また、N−メチル−グルカミン基はホウ素を選択的に吸着するのに好適である。硫黄原子を含むキレート性官能基として、例えば、メルカプト基は砒素、ジチオカルバミン酸基やチオ尿素基は水銀を選択的に吸着するのに好適である。アミノリン酸基は、リン原子を含むキレート性官能基であり、鉄、銅、鉛、亜鉛、アルミニウム、ニッケル、マンガン、チタン、コバルト、カドミウム等の金属イオンを選択的に吸着するのに好適である。イミノ二酢酸基やアミノリン酸基などカルボキシ基やリン酸基を有するキレート性官能基の場合、H型だけでなく、ナトリウム塩やカリウム塩などの塩型もあり、必要に応じてアルカリや酸で変換することができる。
キレート性官能基を有するポリマーとは、上述したキレート性官能基を主鎖および/または側鎖に有するポリマーである。キレート性官能基を有するポリマーは架橋構造を有していても良く、この場合、キレート性官能基を有するポリマーの溶出や膨潤を抑制する効果が得られる点で好ましい。
キレート性官能基をポリマーに導入する方法としては、公知の方法を用いればよく、例えばポリマーにキレート性官能基を化学反応で導入する方法、モノマーにキレート性官能基を化学反応で導入した後、同モノマーを重合してホモポリマーとする方法、他モノマーと共重合してコポリマーとする方法などが挙げられる。導入するキレート性官能基は一種類でもよいし、異なる複数種類のキレート性官能基でもよい。
キレート微粒子とは、キレート性官能基を有するポリマーを少なくとも含有する微粒子のことであり、表面にキレート性官能基を有するものや、空孔部にキレート性官能基が露出している多孔体が好ましく用いられる。
キレート微粒子を得る方法としては、公知のナノ粒子調製方法などを用いればよく、分散重合、乳化重合、懸濁重合、シード重合、溶媒蒸発法などの他、上述のようにして得られたキレート性官能基を有するポリマーや、市販のキレートポリマーを破砕する方法、無機粒子またはポリマー微粒子へのキレート性官能基の表面修飾等が例示される。キレートポリマーを破砕する方法の具体例としては、ボールミル、遊星ボールミル、ビーズミル、ジェットミル、ローラーミル、凍結粉砕などが例示される。
キレート微粒子の粒子形状は球状、楕円状、突起などを有する異型状、多孔状のものなどが例示されるが、いずれの形状でも利用でき、複数の形状の粒子を混合して用いることも出来る。
本発明に用いるキレート微粒子の粒径は、平均粒径0.15〜3μmの範囲にあることが好ましい。粒径が0.15μm以上であることで、キレート性官能基の高い親水性に起因したマクロボイドの発生を低減することができ、均一な表面孔径を備えるので、吸着層が最外層となる場合に高い耐ファウリング性を得ることが出来る。上限が3μm以下であることで吸着層中にキレート性官能基を均一に分散させることが出来、良好な金属イオン除去性能を得る。好ましくは0.2〜1.5μm、より好ましくは0.3〜1.0μmである。なお、粒径分布が狭いとヘテロ凝集が起こりにくく、溶液中での分散安定性が向上するため好ましい。粒子径はSEM等を用いて膜中のキレート微粒子の写真を撮り、20個以上、好ましくは30個以上の粒子直径を測定し、数平均して求める。形状が円以外の場合には、その形状に内接する円の直径をa、外接する円の直径をbとすると、(a×b)0.5を等価円直径として求める。
多孔質吸着層は、上述した平均粒径を有するキレート微粒子が膜中に分散してすることで、キレート性官能基は多孔質吸着層に均一に分散できる。
キレート微粒子が多孔質吸着層に均一に分散しているか否かは、例えば走査型電子顕微鏡付属のエネルギー分散型X線分析で元素分析し、キレート性官能基由来原子の分布に著しい偏りがないことを確認すればよい。この場合、エネルギー分散型X線分析を用いて、多孔質吸着層の異なる20カ所以上、好ましくは50カ所以上について、5000倍の倍率で元素分析を行い、キレート性官能基由来原子の原子数(%)を測定し、偏りの程度を確認する。偏りの指針としては、標準偏差が好ましく用いられる。本発明の多孔質吸着層は、キレート性官能基を有する微粒子が均一に分散した層であることが好ましく、多孔質吸着層の断面をエネルギー分散型X線分析で元素分析した際のキレート性官能基由来原子の原子数(%)の平均値Xと標準偏差YがX≧3Yを満たす均一分散であることが好ましく、X≧5Yがより好まししい。
キレート性官能基由来原子としては、キレート性官能基を特定できる原子であればよく、キレート性官能基を構成する原子やキレート性官能基と塩形成可能な原子が挙げられ、上記例示したキレート性官能基の場合、N、O、P、S、NaおよびKからなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましく用いられる。キレート性官能基を特定するための別の手段としては、該官能基が特定の金属イオンと選択的に吸着することを利用し、Cu、Fe、Bなどの特定の金属イオンを吸着させた後、該イオンの原子数(%)を測定することも好ましく用いられる。
多孔質吸着層の厚みは、厚くなるほど金属イオンとキレート性官能基との接触機会が増し吸着効率が高くなり、吸着容量も大きくなるが、厚すぎると分離膜の水の流路抵抗が増し透過性能が低下する。このため、多孔質吸着層の厚みは10μm以上500μm以下が好ましく、20μm以上400μm以下がより好ましく、30μm以上300μm以下がさらに好ましい。
なお、多孔質吸着層は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲、すなわち金属イオンに対する極めて高い吸着効率と高い膜強度を妨げない範囲において、その他の成分、例えば、有機物、無機物、ポリマーなどが含まれていてもよい。
多孔質吸着層内の濁質による汚染を防止するために、少なくとも一方の最外層または表面に、除濁可能な(除濁を担う)層または、除濁可能な(除濁を担う)表面を有することが好ましい。なお、ここでいう「除濁を担う表面」とは、除濁層を別に設けない場合において吸着層が有する表面のことを指す。除濁可能な層を多孔質吸着層よりも原水側に配置するか、除濁を担う表面を多孔質吸着層内の原水側に配置することが好ましい態様である。すなわち、除濁を担う層または表面によって原水中の濁質を除濁した後、原水中の金属イオンを多孔質吸着層内で吸着する配置とする。
除濁層または除濁を担う表面が多孔質吸着層よりも原水側に配されることで、多層分離膜は、除濁層または除濁を担う表面によって水中の濁質を除去した後、多孔質吸着層によって金属イオン除去を行うことができる。よって、濁質による多孔質吸着層の汚れを抑制することができる。さらに、除濁層および除濁を担う表面は優れた耐ファウリング性を付与する効果も有する。その結果、大量の被処理水を短時間で処理しなければならない水処理分野において、水中の濁質成分除去と金属イオン吸着除去を十分かつ安定的に行うことができるようになる。
なお、除濁を担う表面を有する場合、除濁層を別に設ける場合に比べて膜厚を小さくでき、高透水化できる点で好ましい。
除濁層を複合膜中に設けず、多孔質吸着層が分離対象側の最表層にある場合、最表層の表面をこの層を真上から観察すると、細孔を有する表面が観察される。この細孔を有する表面が除濁を担う表面となるため、該表面細孔の平均孔径は用途に応じて変更されればよい。
除濁を担う表面の平均孔径の好ましい値は、分離対象物質によって異なるが、高い除去性能と高い透水性能を両立するためには、1nm以上1μm以下が好ましく、より好ましくは5nm以上0.5μm以下であり、さらに好ましくは10nm以上0.1μm以下である。特に、水処理用途においては、表面の平均孔径は、5nm〜0.5μmの範囲が好ましく、10nm〜0.1μmの範囲がより好ましい。表面の平均孔径がこの範囲にあると、水中の汚れ物質が細孔に詰まりにくく、透水性能の低下が起こりにくいため、分離膜をより長期間連続して使用することができる。また、詰まった場合でも、いわゆる逆洗や空洗によって汚れを除去することができる。
ここで、汚れ物質とは、水源によって異なるが、例えば、河川や湖沼などでは、土や泥に由来する無機物やコロイド、微生物やその死骸、植物に由来するフミン質などを挙げることができる。逆洗とは、通常のろ過と逆方向に透過水などを通す操作であり、空洗とは、中空糸膜の場合に空気を送って中空糸膜を揺らし膜表面に堆積した汚れ物質を除去する操作である。
多孔質吸着層の表面の平均孔径は、多孔質吸着層の表面について走査型電子顕微鏡を用いて60000倍で写真撮影し、10個以上、好ましくは20個以上の任意の細孔の直径を測定し、数平均して求める。細孔が円状でない場合、画像処理装置等によって、細孔が有する面積と等しい面積を有する円(等価円)を求め、等価円直径を細孔の直径とする方法により求められる。細孔が円状でない場合、画像処理装置等によって、細孔が有する面積と等しい面積を有する円(等価円)を求め、等価円直径を細孔の直径とする方法により求められる。
(1−2)多孔質支持層
多孔質支持層は、多孔構造を有する熱可塑性樹脂を少なくとも備える。多層分離膜が多孔質支持層を備えることで、分離膜の透過性能を損なうことなく機械的強度を高めることができる。多孔質吸着層の表面細孔の平均孔径A、または除濁層の細孔の平均孔径Bと多孔質支持層の内部細孔の平均孔径Cとの関係が、A<C、またはB<Cであることが好ましい。
多孔質支持層を形成するポリマーは(1−1)に記載の樹脂を用いることが出来る。上述したポリマーの中でもフッ素樹脂系ポリマーは、水処理用途で使用される各種薬品に対する耐性が高く機械的強度も高いため好ましく用いられる。
また、フッ素樹脂系高分子の重量平均分子量は、要求される高分子分離膜の強度と透水性能によって適宜選択すればよいが、重量平均分子量が大きくなると透水性能が低下し、重量平均分子量が小さくなると強度が低下する。このため、重量平均分子量は5万以上100万以下が好ましい。高分子分離膜が薬液洗浄に晒される水処理用途の場合、重量平均分子量は10万以上70万以下が好ましく、さらに15万以上60万以下が好ましい。
多孔質支持層の厚みは、30μm以上500μm以下が好ましい。30μm以上であることで実用的な強度が得られ、500μm以下であることで良好な透過性能が得られる。50μm以上400μm以下がより好ましく、70μm以上300μm以下がさらに好ましい。
球状構造の平均直径は0.1μm以上5μm以下、より好ましくは0.5μm以上3μm以下である。平均直径が0.1μm未満であると球状で形成する間隙が狭くなり、機械的強度が高くなるが透過性能が低下する場合がある。また平均直径が5μm超えると球状構造で形成される間隙が広くなり透水性が高くなるが、機械的強度が低下する傾向を示す場合がある。球状構造の平均直径は、走査型電子顕微鏡を用いて複合中空糸膜の断面を10,000倍で写真撮影し、任意に選んだ20個の球状構造の直径を測定し、数平均して求めることができる。ここで「球状構造」とは、多数の球状もしくは略球状の固形分が、直接もしくは筋状に固形分を介して連結している構造のこという。
(1−3)他の層
多孔質吸着層や多孔質支持層以外の層として、多孔質除濁層を設けると、より高い耐ファウリング性が得られるため好ましい。このような多孔質除濁層としては、熱誘起相分離法や非溶媒誘起相分離法を用いて作製した層などが例示される。
(1−4)多層分離膜の構成
本発明の多層分離膜は吸着層、支持層を少なくとも備えており、その他の層をさらに備えていても良い。少なくとも一方が最外層に除濁層または除濁を担う表面を配置し、原水側とすることで、濁質による膜内部の汚染を防止することが出来る。
多層分離膜の外径は800μm以上2000μm以下であることが好ましい。外径が800μm以上あることで、上述の支持層厚みとした場合に容易に膜を取り扱うに足る強度が得られ、外径が2000μm以下であることで単位容積あたりの膜面積が大きくなるため好ましい。900μm以上1900μm以下がより好ましく、1000μm以上1800μm以下がさらに好ましい。
(1−5)特性
本発明の膜は、多孔質吸着層と支持層とを備えることで、吸着効率と強度とを両立することができる。
本発明の多層分離膜は、50kPa、25℃における純水透過性能が0.01m/m・hr以上10m/m・hr以下、破断強度が6MPa以上、かつ、破断伸度が10%以上であることが好ましい。また、0.309μm径粒子の除去率が90%以上であることが好ましい。純水透過性能は、より好ましくは0.03m/m・hr以上8m/m・hr以下、さらに好ましくは0.05m/m・hr以上6m/m・hr以下である。破断強度は、より好ましくは7MPa以上、さらに好ましくは8MPa以上である。破断伸度は、より好ましくは20%以上である。また、0.309μm径粒子の除去率は、より好ましくは95%以上である。以上の条件を満たすことで、水処理、医療、食品工業、電池用セパレーター、荷電膜、燃料電池用電解質膜等の用途に十分な強度、透水性能を有する分離膜を得ることができる。
破断強度と破断伸度の測定方法は、特に限定されるものではないが、例えば、引っ張り試験機を用い、測定長さ50mmの試料を引っ張り速度50mm/分で、試料を変えて5回以上試験し、破断強度の平均値と破断伸度の平均値を求めることで測定することができる。
ここで、金属イオン吸着除去性能、すなわち、金属イオン除去性能は、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上がさらに好ましく、99%以上特に好ましい。金属イオン除去性能はろ過前後の金属イオン濃度をICP発光分析装置で定量分析すれば評価することができる。本発明では、中空糸膜4本からなる有効長さ200mmの小型モジュールを作製し、温度25℃、濾過差圧16kPaの条件下、所定の金属イオンを所定の濃度で含有する水溶液について、外圧全ろ過で30分間行い、供給水および透過水中に存在する金属イオン濃度をICP発光分析装置(株式会社日立製作所製P−4010)で分析し、以下の式で金属イオン除去性能(%)を求めることができる。
金属イオン除去性能(%)=[1−2×(透過水中の金属イオン濃度)/{(測定開始時の供給水中の金属イオン濃度)+(測定終了時の供給水中の金属イオン濃度)}]×100
また、濁質成分除去性能は、ろ過前後の濁質成分濃度を例えば分光光度計を用いて定量分析すれば評価することができ、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、99%以上がさらに好ましい。測定方法は実施例にて詳細に説明する。
なお、実際の水処理では、上記濁質成分除去性能に加えて、濁質成分に対する耐性、すなわち耐ファウリング性に優れていることが重要である。一般に、水処理用分離膜は、5年から10年にわたって使用されるため、濁質成分を含有する原水をろ過しても、逆流洗浄によってろ過性が回復し、繰り返し使用できることが求められる。
耐ファウリング性は、濁質成分を含有する水溶液のろ過前後の純水の透過性能を比較すれば評価することができる。本発明では、中空糸膜4本からなる有効長さ200mmの小型モジュールを作製し、温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件で、1時間にわたって蒸溜水を送液し得られた透過水量(m)を測定し、単位時間(h)および単位膜面積(m)当たりの数値に換算し、さらに圧力(50kPa)換算して純水の透過性能(Q0、単位=m/m/h)とする。なお、単位膜面積は平均外径と中空糸膜の有効長から算出する。次に、典型的な濁質成分であるフミン酸(試薬、和光純薬工業株式会社製)を20ppm含有する水溶液をろ過差圧16kPa、温度25℃の条件下にて外圧全ろ過で2m/mになるようにろ過する。さらに150kPaの逆流洗浄圧力で透過水を1分間供給し、その直後の純水の透過性能(Q1)を測定する。耐ファウリング性の指標としては、A=Q1/Q0を用いれば、Aの値が大きいほど耐ファウリング性に優れることになる。長期使用の観点から、Aの値は高い程好ましく、下限としては0.8以上が好ましく、0.85以上がより好ましく、0.90以上がさらに好ましい。
[2.製造方法]
本発明の多孔質吸着層と多孔質支持層を含む多層分離膜は、種々の方法により製造することができる。例えば、多孔質支持層の単層や多孔質支持層を含む複数層を形成させ、次いでこれらの上に多孔質吸着層を積層する方法が挙げられる。この場合、多孔質支持層の単層や多孔質支持層を含む複数層を熱誘起相分離法や非溶媒誘起相分離法を用いて予め作製しておき、これらの層の上に多孔質吸着層形成用のポリマー溶液を塗布した後、熱誘起相分離法や非溶媒誘起相分離法を用いて多孔質吸着層とすることができる。さらに、多孔質吸着層の上に熱誘起相分離法や非溶媒誘起相分離法を用いて多孔質吸着層や多孔質支持層以外の層を設けることができる。
また、多孔質吸着層と多孔質支持層を含む多層分離膜の別の製造方法としては、二種類以上のポリマー溶液を吐出できる口金を用いて、多孔質吸着層と多孔質支持層とを同時に形成する方法が挙げられる。
多孔質吸着層用ポリマー溶液と多孔質除濁層形成用ポリマー溶液とを同時に吐出する場合の口金としては、特に限定されないが、分離膜の形状を平膜とする場合には、例えばスリットが2枚並んだ二重スリット形状のものが好ましく用いられる。また、分離膜の形状を中空糸とする場合には、例えば三重管式口金が好ましく用いられる。三重管式口金の外側の管と中間の管から多孔質吸着層形成用ポリマー溶液と多孔質支持層用ポリマー溶液を吐出し、中空部形成流体を内側の管から吐出しながら凝固浴中で固化させ、中空糸膜とすることができる。多孔質吸着層形成用ポリマー溶液を外側の管から、多孔質吸着層用ポリマー溶液を中間の管から吐出することにより、多孔質吸着層を外側に、多孔質支持層を内側に有する中空糸膜を得ることができ、逆に多孔質吸着層形成用ポリマー溶液を中間の管から、多孔質支持層用ポリマー溶液を外側の管から吐出することにより、多孔質吸着層を内側に、多孔質支持層を外側に有する中空糸膜を得ることができる。ここで、平膜形状の場合には多重スリット形状、中空糸形状の場合には多重管式口金を用いて、多孔質吸着層や多孔質支持層以外の層を設けることもできる。
多孔質吸着層および多孔質支持層の具体的な形成方法について、以下に説明する。なお、以下では、それぞれの層について、分けて記載したが、二種類以上のポリマー溶液を吐出できる口金を用いて、多孔質吸着層と多孔質支持層とその他の層とを同時に形成できることは、上述のとおりである。
<多孔質吸着層の形成方法>
多孔質吸着層は、上述したキレート微粒子および公知の種々のポリマーを用いて、熱誘起相分離法や非溶媒誘起相分離法などの相転移法にて製造することができる。ポリマーにキレート性官能基を導入する方法については、すでに述べたとおりである。これらの方法は、溶融製膜法などに比べて低温で製膜出来るため、キレート性官能基の熱分解を抑制できる点で好ましい。中でも、非溶媒誘起相分離法はより低温で製膜が可能である点で特に好ましい。
ここで、熱誘起相分離とは、高温で溶解させたポリマー溶液を1相領域と2相領域の境界であるバイノーダル線以下の温度へ冷却させることによって相分離を誘起し、ポリマーの結晶化やガラス転移により構造を固定化する方法である。非溶媒誘起相分離とは、均一なポリマー溶液への非溶媒の浸入あるいは溶媒の外部雰囲気への蒸発による濃度変化によって相分離を誘起する方法である。なお、本願において平均粒径3μm以下の微粒子が分散している溶液は均一な溶液とみなすものとする。
熱誘起相分離法では、熱可塑性樹脂を10重量%から60重量%以下程度の比較的高濃度で、該熱可塑性樹脂の貧溶媒または良溶媒に溶解して該熱可塑性樹脂溶液を調製し、該熱可塑性樹脂溶液を冷却固化することにより相分離せしめて、多孔質構造を形成させることができる。ここで、貧溶媒とは、熱可塑性樹脂を60℃以下の低温では、5重量%以上溶解させることができないが、60℃を超えてかつ高分子の融点以下の高温領域で5重量%以上溶解させることができる溶媒のことである。貧溶媒に対し、60℃以下の低温領域でも熱可塑性樹脂を5重量%以上溶解させることが可能な溶媒を良溶媒、熱可塑性樹脂の融点または溶媒の沸点まで、ポリマーを溶解も膨潤もさせない溶媒を非溶媒と定義する。非溶媒と貧溶媒の混合溶媒であっても、上記貧溶媒の定義を満足するものは、貧溶媒であると定義する。
また、該ポリマー溶液の粘度が適正な範囲に無ければ、取り扱いが困難であり、製膜することができなくなる。従って、熱可塑性樹脂濃度は、30重量%以上50重量%以下の範囲とすることがより好ましい。該ポリマー溶液を冷却固化するにあたっては、口金から該ポリマー溶液を冷却浴中に吐出する方法が好ましい。この際、冷却浴に用いる冷却液体としては温度が5〜50℃であり、濃度が60〜100重量%の貧溶媒もしくは良溶媒を含有する液体を用いて固化させることが好ましい。冷却液体には、貧溶媒、良溶媒以外に非溶媒を含有していてもよいが、冷却液体に非溶媒を主成分とする液体を用いると、冷却固化による相分離よりも非溶媒浸入による非溶媒誘起相分離が優先される傾向がある。
非溶媒誘起相分離法では、熱可塑性樹脂を通常5〜30重量%、より好ましくは10〜25重量%の範囲で良溶媒に溶解して該熱可塑性樹脂溶液を調製し、凝固浴に浸漬させて非溶媒を浸入させることにより相分離せしめて、多孔質構造を形成させることができる。5重量%未満では、物理的強度が低下し、30重量%を超えると透過性能が低下する。ここで、該熱可塑性樹脂の種類・濃度、溶媒の種類などによって溶解温度が異なる。再現性良く安定な該熱可塑性樹脂溶液を調製するためには、溶媒の沸点以下の温度で攪拌しながら数時間加熱して、透明な溶液となるようにすることが好ましい。
キレート微粒子はあらかじめ熱可塑性樹脂の良溶媒中に添加しておいても良いし、熱可塑性樹脂を溶解させた後に添加してもよい。キレート微粒子の分散性を向上させる点で、良溶媒中にあらかじめ添加し、超音波などで分散させておくことが好ましく、キレート性官能基の分解抑制の点で、熱可塑性樹脂を溶解させた後に添加することが好ましい。さらに、あらかじめ良溶媒中にキレート微粒子を添加して超音波で分散させた液を、これとは別に調製した、キレート性官能基の分解温度以下の熱可塑性樹脂溶液に添加・混合することで、分散性とキレート性官能基の分解抑制の両方の効果を得ることができる点でより好ましい。キレート微粒子の濃度は3重量%から20重量%の範囲で適宜調節すればよい。3重量%以上添加することで十分な吸着性能を得ることが出来、30重量%以下とすることで熱可塑性樹脂の相分離による均一な三次元網目構造を得ることが出来る。ここで三次元網目構造とは、固形分が三次元的に網目状に広がっている構造をいう。また三次元網目構造は網を形成する固形分に仕切られた細孔およびボイドを有する。
非溶媒誘起相分離法を用いて、多孔質吸着層の表面および内部細孔の平均孔径を制御する方法としては、用いるポリマーの種類や濃度によって異なるが、例えば以下の方法で行うことができる。ポリマー溶液に、孔径を制御するための添加剤を入れ、多孔質吸着層を形成する際に、または、多孔質吸着層を形成した後に、該添加剤を溶出させることにより、表面および多孔質吸着層の内部細孔の平均孔径を制御することができる。該添加剤としては、有機化合物および無機化合物が挙げられる。有機化合物としては、ポリマー溶液に用いる溶媒および非溶媒誘起相分離を起こす非溶媒の両方に溶解するものが好ましく用いられる。例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、デキストランなどの水溶性ポリマー、界面活性剤、グリセリン、糖類などを挙げることができる。無機化合物としては、ポリマー溶液に用いる溶媒および非溶媒誘起相分離を起こす非溶媒の両方に溶解するものが好ましく、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、硫酸バリウムなどを挙げることができる。また、添加剤を用いずに、凝固浴における非溶媒の種類、濃度および温度によって相分離速度を制御し、表面および多孔質吸着層の内部細孔の平均孔径を制御することも可能である。一般的には、相分離速度が速いと平均孔径が小さく、遅いと大きくなる。また、該ポリマー溶液に非溶媒を添加することも、相分離速度の制御に有効である。
特に、非溶媒誘起相分離では、相分離過程において、キレート微粒子が流路側に偏在するように配置されやすく、効率的にキレート性官能基を利用できるようになるため好ましい。さらに、室温程度での製膜も可能であることに加え、前述のような方法で表面および内部細孔の平均孔径を制御しやすいため好ましい。
<多孔質支持体の形成方法>
多孔質支持層は、上述した公知の種々のポリマーを用いて、上述した非溶媒誘起層分離法や熱誘起相分離法などの相転移法にて製造することができる。熱誘起相分離法を用いることにより、高い強度を得られるので好ましい。
以下に具体的な実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、本発明に関する物性値は、以下の方法で測定することができる。
(1)平均厚みおよび平均孔径
走査型電子顕微鏡を用いて、多層分離膜の横断面を100倍〜3000倍に拡大して写真撮影した。こうして得られた画像において、各層の任意の10箇所の厚みを測定し、得られた値から数平均して各層の平均厚みとした。
除濁層および除濁を担う表面の平均孔径については、表面について走査型電子顕微鏡を用いて60000倍で写真撮影し、得られた画像において、50箇所の細孔の直径を測定し、数平均して各表面の平均孔径とした。
多孔質吸着層の内部細孔の平均孔径については、多層分離膜の径断面について走査型電子顕微鏡を用いて60000倍で写真撮影した。こうして得られた画像において、原水側に近い厚み1μm以内の範囲および支持層との界面から1μm以内の範囲を除いた部分において、10箇所の細孔の直径を測定し、数平均して多孔質吸着層の内部細孔平均孔径とした。
(2)中空糸膜の内径/外径
走査型電子顕微鏡を用いて、複合中空糸膜の断面を50倍、100倍で写真撮影し、長径と短径を測定し、数平均して求めた
(3)金属除去性能(銅の除去性能)
中空糸膜4本からなる有効長さ200mmの小型モジュールを作製した。このモジュールに、温度25℃、濾過差圧16kPaの条件下、硫酸銅水溶液(銅濃度:10mg/L)を用いて、外圧全ろ過で30分間行い、供給水および透過水中に存在する銅濃度を測定した。銅濃度の測定には、ICP発光分析装置(株式会社日立製作所製P−4010)を用い、10倍希釈したサンプルを測定した。銅の除去性能(%)は、以下の式で定義される。
銅の除去性能(%)=[1−2×(透過水中の銅濃度)/{(測定開始時の供給水中の銅濃度)+(測定終了時の供給水中の銅濃度)}]×100
(4)濁質成分除去性能
中空糸膜4本からなる有効長さ200mmの小型モジュールを作製した。このモジュールに、温度25℃、濾過差圧16kPaの条件下、濁質成分として平均粒径0.309μmのポリスチレンラテックス粒子(試薬、Magsphere社製)を20ppm含有する水溶液を用いて、外圧全ろ過で30分間行い、供給水および透過水中に存在する濁質成分濃度を波長234nmの紫外線吸収係数から算出し、その濃度比から除去性能を求めた。ここで、波長234nmの紫外線吸収係数の測定には、分光光度計(株式会社日立製作所社製U−3200)を用いた。濁質成分除去性能(%)は、以下の式で定義される。
(濁質成分除去性能(%)=[1−2×(透過水中の濁質成分濃度)/{(測定開始時の供給水中の濁質成分濃度)+(測定終了時の供給水中の濁質成分濃度)}]×100
(5)純水の透過性能
中空糸膜4本からなる有効長さ200mmの小型モジュールを作製した。このモジュールに、温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件で、1時間にわたって蒸溜水を送液し得られた透過水量(m)を測定し、単位時間(h)および単位膜面積(m)当たりの数値に換算し、さらに圧力(50kPa)換算して純水の透過性能(Q0、単位=m/m/h)とした。なお、単位膜面積は平均外径と中空糸膜の有効長から算出した。次に、20ppmのフミン酸(試薬、和光純薬工業株式会社製)水溶液をろ過差圧16kPa、温度25℃の条件下にて外圧全ろ過で2m/mになるようにろ過した。さらに150kPaの逆流洗浄圧力で透過水を1分間供給し、その直後の純水の透過性能(Q1)を測定した。
(6)耐ファウリング性
耐ファウリング性の指標としてA=Q1/Q0を用いた。Aの値が大きいほど耐ファウリング性に優れることを意味する。
(7)破断強度
引っ張り試験機(TENSILON(登録商標)/RTM−100、株式会社東洋ボールドウィン製)を用い、測定長さ50mmの試料を引っ張り速度50mm/分で、試料を変えて5回以上試験し、破断強度の平均値を求めることで算出した。
(8)キレート性官能基を有するポリマー
キレート性官能基を有するポリマーとして、オルガノ社から市販されているキレート樹脂(アンバーライトIRC748(以下ポリマーA)、)を用いた。ポリマーAはキレート性官能基としてイミノ二酢酸Na基を有している。ポリマーA10gをHCl水溶液(0.01mol/L)500mlに3日間浸漬し、官能基をイミノ二酢酸(H型)に変換したものをポリマーBとした。
(9)ポリマー微粒子の調製
純水を用いてポリマーA、Bを蒸留水で中性になるまで洗浄し、40℃の乾燥機で2日間乾燥させた後、ボールミル(FRITSCH社製遊星ボールミルP−5)を用いて樹脂の破砕を行った。実施した破砕条件は各実施例または比較例ごとに記載する。なお、破砕時には、熱によるキレート基の分解を抑制するため、破砕1時間ごとに30分の放冷時間を設けた。以降、ポリマーAを破砕したものをキレート微粒子Aと呼び、ポリマーBを破砕したものをキレート微粒子Bと呼ぶことがある。
(10)粒子径測定
走査型電子顕微鏡を用いて、多層分離膜の横断面を3,000倍〜60,000倍に拡大して写真撮影した。こうして得られた画像において、任意の粒子50個の粒径を測定し、得られた値から数平均して粒子径とした。
(11)キレート性官能基の原子数(%)、平均値X、標準偏差Y
キレート微粒子Bを含む多孔質吸着層については、0.1N水酸化ナトリウム水溶液中に1時間浸漬した後取り出し、蒸留水で中性になるまで洗浄して、イミノ二酢酸基をNa塩にした後に測定を行った。
走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製SU1510)付属のエネルギー分散型X線分析(X線加速電圧15kV)を用いて、多孔質吸着層の異なる50カ所について、5000倍の倍率で元素分析を行い、キレート性官能基由来原子であるNaの原子数(%)を測定し、平均値Xと標準偏差Yを算出した。
〈実施例1〉
重量平均分子量41.7万のフッ化ビニリデンホモポリマーとγ−ブチロラクトンとを、それぞれ38重量%と62重量%の割合で170℃の温度で溶解した。このポリマー溶液をγ−ブチロラクトンを中空部形成液体として随伴させながら口金から吐出し、温度10℃のγ−ブチロラクトン80重量%水溶液からなる冷却浴中で固化することにより、中空糸膜状の支持層を作製した。得られた支持層は、平均直径3.0μmの球状構造体が集積した構造であり、支持層の厚みは250μmであった。
次いで、ボールミルを用いて樹脂の破砕を行った。45mlメノウ容器に10mm径ジルコニアボール18個、およびポリマーA4gを入れ、300rpm、5Hの条件で破砕し、さらに、ジルコニアボールを1〜2mm径、50gに交換した後、400rpmで4H破砕を行い、粒子を得た。
この微粒子化したポリマーA5.5重量%、N−メチル−2−ピロリドン78.5重量%を混合し、微粒子を均一に分散させた後、重量平均分子量28.4万のフッ化ビニリデンホモポリマーを11.3重量%、セルロースアセテート(イーストマンケミカル社、CA435−75S、三酢酸セルロース)4.7重量%を95℃で混合溶解してポリマー溶液を調製した。このポリマー溶液を上記支持層の表面に均一に塗布し、すぐに水浴中で凝固させて支持層の上に多孔質吸着層を形成させた中空糸膜を作製した。得られた多孔質吸着層は、三次元網目構造となっており、多孔質吸着層表面の平均孔径は20nm、厚みは50μmであった。
得られた中空糸膜の多孔質吸着層について、キレート性官能基由来の原子としてNaの原子数(%)を測定したところ、平均値Xは1.09、標準偏差Yは0.19であり、キレート性官能基が多孔質吸着層に均一に分散していた。形状や各物性は表1に示したとおりであり、除濁性能、吸着性能、機械的強度のいずれにも優れていた。
〈実施例2〉
実施例1と同様にして、中空糸膜状の支持層を作製した。得られた支持層は、平均直径3.0μmの球状構造体が集積した構造であり、支持層の厚みは250μmであった。
次いで、実施例1と同様にして、ポリマーAの微粒子化を行い、支持層の上に多孔質吸着層を形成させた中空糸膜を作製した。得られた多孔質吸着層は、三次元網目構造となっており、多孔質吸着層の平均孔径は100nm、厚みは20μmであり、実施例1よりも吸着層の厚みが薄かった。
得られた中空糸膜の多孔質吸着層について、キレート性官能基由来の原子としてNaの原子数(%)を測定したところ、平均値Xは1.11、標準偏差Yは0.18であり、キレート性官能基が多孔質吸着層に均一に分散していた。形状や各物性は表1に示したとおりであり、除濁性能、吸着性能、機械的強度のいずれにも優れていたが、多孔質吸着層の厚みが実施例1に比べて薄いために吸着帯が狭く、銅の除去性能がやや低くなった。
〈実施例3〉
実施例1と同様にして、中空糸膜状の支持層を作製した。得られた支持層は、平均直径3.0μmの球状構造体が集積した構造であり、支持層の厚みは250μmであった。
次いで、実施例1と同様にして、ポリマーAの微粒子化を行い、支持層の上に多孔質吸着層を形成させた中空糸膜を作製した。得られた多孔質吸着層は、三次元網目構造となっており、多孔質吸着層の平均孔径は50nm、厚みは150μmであり、実施例1よりも多孔質吸着層の厚みが厚かった。
得られた中空糸膜の多孔質吸着層について、キレート性官能基由来の原子としてNaの原子数(%)を測定したところ、平均値Xは1.06、標準偏差Yは0.18であり、キレート性官能基が多孔質吸着層に均一に分散していた。形状や各物性は表1に示したとおりであり、除濁性能、吸着性能、機械的強度のいずれにも優れていたが、多孔質吸着層の厚みが実施例1に比べて厚いためにろ過の抵抗が大きくなり、純水の透過性能がやや低くなった。
〈実施例4〉
実施例1と同様にして、中空糸膜状の支持層を作製した。得られた支持層は、平均直径3.0μmの球状構造体が集積した構造であり、支持層の厚みは250μmであった。
次いで、実施例1と同様にして、ポリマーAの微粒子化を行い、支持層の上に多孔質吸着層を形成させた中空糸膜を作製した。得られた多孔質吸着層は、三次元網目構造となっており、多孔質吸着層の平均孔径は50nm、厚みは300μmであり、実施例1よりも多孔質吸着層の厚みが厚かった。
得られた中空糸膜の多孔質吸着層について、キレート性官能基由来の原子としてNaの原子数(%)を測定したところ、平均値Xは1.03、標準偏差Yは0.20であり、キレート性官能基が多孔質吸着層に均一に分散していた。形状や各物性は表1に示したとおりであり、除濁性能、吸着性能、機械的強度のいずれにも優れていたが、多孔質吸着層の厚みが実施例1に比べて厚いためにろ過の抵抗が大きくなり、純水の透過性能がやや低くなった。
〈実施例5〉
実施例1と同様にして、中空糸膜状の支持層を作製した。得られた支持層は、平均直径3.0μmの球状構造体が集積した構造であり、支持層の厚みは250μmであった。
次いで、実施例1と同様にして、ポリマーAの微粒子化を行い、支持層の上に多孔質吸着層を形成させた中空糸膜を作製した。得られた多孔質吸着層は、三次元網目構造となっており、多孔質吸着層の平均孔径は50nm、厚みは50μmであった。
最後に、重量平均分子量28.4万のフッ化ビニリデンホモポリマーを15重量%、重量平均分子量2万のポリエチレングリコールを3重量%、N−メチル−2−ピロリドンを80重量%、水を2重量%の割合で95℃の温度で混合溶解してポリマー溶液を調製した。このポリマー溶液を上記多孔質吸着層の表面に均一に塗布し、すぐに水浴中で凝固させて多孔質吸着層の上に多孔質除濁層を形成させた中空糸膜を作製した。得られた多孔質除濁層は、三次元網目構造となっており、多孔質除濁層の平均孔径は20nm、厚みは50μmであった。
得られた中空糸膜の多孔質吸着層について、キレート性官能基由来の原子としてNaの原子数(%)を測定したところ、平均値Xは1.13、標準偏差Yは0.21であり、キレート性官能基が多孔質吸着層に均一に分散していた。形状や各物性は表1に示したとおりであり、除濁性能、吸着性能、機械的強度のいずれにも優れていたが、除濁層を設けているため、膜厚みが実施例1に比べて厚いためにろ過の抵抗が大きくなり、純水の透過性能がやや低くなった。
〈実施例6〉
実施例1と同様にして、中空糸膜状の支持層を作製した。得られた支持層は、平均直径3.0μmの球状構造体が集積した構造であり、支持層の厚みは250μmであった。
次いで、キレート性官能基を有するポリマーB(イミノ二酢酸基含有)を用いた以外は実施例1と同様にして、支持層の上に多孔質吸着層を形成させた中空糸膜を作製した。得られた多孔質吸着層は、三次元網目構造となっており、多孔質吸着層の平均孔径は20nm、厚みは50μmであった。最後に、NaOHに浸漬し、イミノ二酢酸をイミノ二酢酸Naに変換した。
得られた中空糸膜の多孔質吸着層について、キレート性官能基由来の原子としてNaの原子数(%)を測定したところ、平均値Xは1.18、標準偏差Yは0.19であり、キレート性官能基が多孔質吸着層に均一に分散していた。形状や各物性は表1に示したとおりであり、除濁性能、吸着性能、機械的強度のいずれにも優れていた。
〈実施例7〉
実施例1と同様にして、中空糸膜状の支持層を作製した。得られた支持層は、平均直径3.0μmの球状構造体が集積した構造であり、支持層の厚みは250μmであった。
次いで、ボールミルを用いて樹脂の破砕を行った。45mlメノウ容器に10mm径ジルコニアボール18個、およびポリマーA4gを入れ、400rpm、5Hの条件で破砕し、さらに、ジルコニアボールを1〜2mm径、50gに交換した後、400rpmで10H破砕を行い、粒子を得た。
この微粒子化したポリマーAを用いて、実施例1と同様にして支持層の上に多孔質吸着層を形成させた中空糸膜を作製した。得られた多孔質吸着層は、三次元網目構造となっており、多孔質吸着層の平均孔径は60nm、厚みは50μmであった。
得られた中空糸膜の多孔質吸着層について、キレート性官能基由来の原子としてNaの原子数(%)を測定したところ、平均値Xは0.94、標準偏差Yは0.28であり、キレート性官能基が多孔質吸着層に均一に分散していた。形状や各物性は表1に示したとおりであり、除濁性能、吸着性能、機械的強度のいずれにも優れていたが、表面孔径が大きく、耐ファウリング性がやや低くなった。膜表面にはところどころマクロボイドに起因した径の大きな孔が生じており、キレートポリマー粒子径が細かくなったことで均一分散性がさらに増し、キレートポリマーの持つイオン性が相分離挙動に影響を与えたものと考えている。
〈実施例8〉
実施例1と同様にして、中空糸膜状の支持層を作製した。得られた支持層は、平均直径3.0μmの球状構造体が集積した構造であり、支持層の厚みは250μmであった。
次いで、ボールミルを用いて樹脂の破砕を行った。45mlメノウ容器に10mm径ジルコニアボール18個、およびポリマーA4gを入れ、300rpm、5Hの条件で破砕し、さらに、ジルコニアボールを1〜2mm径、50gに交換した後、400rpmで8H破砕を行い、粒子を得た。
この微粒子化したポリマーAを用いて、実施例1と同様にして支持層の上に多孔質吸着層を形成させた中空糸膜を作製した。得られた多孔質吸着層は、三次元網目構造となっており、多孔質吸着層の平均孔径は40nm、厚みは50μmであった。
得られた中空糸膜の多孔質吸着層について、キレート性官能基由来の原子としてNaの原子数(%)を測定したところ、平均値Xは1.05、標準偏差Yは0.20であり、キレート性官能基が多孔質吸着層に均一に分散していた。形状や各物性は表1に示したとおりであり、除濁性能、吸着性能、機械的強度のいずれにも優れていたが、表面孔径が大きく、耐ファウリング性がやや低くなった。膜表面にはところどころマクロボイドに起因した径の大きな孔が生じており、キレートポリマー粒子径が細かくなったことで均一分散性がさらに増し、キレートポリマーの持つイオン性が相分離挙動に影響を与えたものと考えている。
〈実施例9〉
実施例1と同様にして、中空糸膜状の支持層を作製した。得られた支持層は、平均直径3.0μmの球状構造体が集積した構造であり、支持層の厚みは250μmであった。
次いで、ボールミルを用いて樹脂の破砕を行った。45mlメノウ容器に10mm径ジルコニアボール18個、およびポリマーA4gを入れ、300rpm、1Hの条件で破砕し、粒子を得た。
この微粒子化したポリマーAを用いて、実施例1と同様にして支持層の上に多孔質吸着層を形成させた中空糸膜を作製した。得られた多孔質吸着層は、三次元網目構造となっており、多孔質吸着層の平均孔径は20nm、厚みは50μmであった。
得られた中空糸膜の多孔質吸着層について、キレート性官能基由来の原子としてNaの原子数(%)を測定したところ、平均値Xは1.13、標準偏差Yは0.19であり、キレート性官能基が多孔質吸着層に均一に分散していた。形状や各物性は表1に示したとおりであり、除濁性能、吸着性能、機械的強度のいずれにも優れていた。
〈実施例10〉
実施例1と同様にして、中空糸膜状の支持層を作製した。得られた支持層は、平均直径3.0μmの球状構造体が集積した構造であり、支持層の厚みは250μmであった。
次いで、ボールミルを用いて樹脂の破砕を行った。45mlメノウ容器に10mm径ジルコニアボール18個、およびポリマーA4gを入れ、100rpm、30minの条件で破砕し、粒子を得た。
この微粒子化したポリマーAを用いて、実施例1と同様にして支持層の上に多孔質吸着層を形成させた中空糸膜を作製した。得られた多孔質吸着層は、三次元網目構造となっており、多孔質吸着層の平均孔径は20nm、厚みは50μmであった。
得られた中空糸膜の多孔質吸着層について、キレート性官能基由来の原子としてNaの原子数(%)を測定したところ、平均値Xは1.05、標準偏差Yは0.33であった。形状や各物性は表1に示したとおりであり、除濁性能、吸着性能、機械的強度のいずれにも優れていたが、均一分散性がやや低下しており、吸着性能がやや低下していた。
〈実施例11〉
実施例1と同様にして、中空糸膜状の支持層を作製した。得られた支持層は、平均直径3.0μmの球状構造体が集積した構造であり、支持層の厚みは250μmであった。
次いで、ボールミルを用いて樹脂の破砕を行った。45mlメノウ容器に15mm径ジルコニアボール18個、およびポリマーA4gを入れ、100rpm、30minの条件で破砕し、粒子を得た。
この微粒子化したポリマーAを用いて、実施例1と同様にして支持層の上に多孔質吸着層を形成させた中空糸膜を作製した。得られた多孔質吸着層は、三次元網目構造となっており、多孔質吸着層の平均孔径は20nm、厚みは50μmであった。
得られた中空糸膜の多孔質吸着層について、キレート性官能基由来の原子としてNaの原子数(%)を測定したところ、平均値Xは0.97、標準偏差Yは0.45であった。形状や各物性は表1に示したとおりであり、除濁性能、吸着性能、機械的強度のいずれにも優れていたが、均一分散性がやや低下しており、吸着性の性能がやや低下していた。
〈比較例1〉
実施例1と同様にして、中空糸膜状の支持層を作製した。得られた支持層は、平均直径3.0μmの球状構造体が集積した構造であり、支持層の厚みは250μmであった。
次いで、ボールミルを用いて樹脂の破砕を行った。45mlメノウ容器に10mm径ジルコニアボール18個、およびポリマーA4gを入れ、400rpm、7Hの条件で破砕し、さらに、ジルコニアボールを1〜2mm径、50gに交換した後、400rpmで15H破砕を行い、粒子を得た。
この微粒子化したポリマーAを用いて、実施例1と同様にして支持層の上に多孔質吸着層を形成させた中空糸膜を作製した。得られた多孔質吸着層は、三次元網目構造となっており、多孔質吸着層の平均孔径は80nm、厚みは50μmであった。
得られた中空糸膜の多孔質吸着層について、キレート性官能基由来の原子としてNaの原子数(%)を測定したところ、平均値Xは0.91、標準偏差Yは0.27であり、キレート性官能基が多孔質吸着層に均一に分散していた。形状や各物性は表2に示したとおりであり、除濁性能、吸着性能、機械的強度のいずれにも優れていたが、表面孔径が大きく、耐ファウリング性が低くなった。膜表面にはマクロボイドに起因した径の大きな孔が部分的に生じており、これによって耐ファウリング性が悪化したものと考えている。マクロボイドが形成された理由については、キレート微粒子の径が小さくなり、より多くのキレート性官能基が露出するようになったことで系中のイオン性官能基量が増加、相分離に影響を与えたものと考えている。
〈比較例2〉
実施例1と同様にして、中空糸膜状の支持層を作製した。得られた支持層は、平均直径3.0μmの球状構造体が集積した構造であり、支持層の厚みは250μmであった。
次いで、メノウ乳鉢を用いてキレートポリマーの破砕を行い粒子を得た。
この微粒子化したポリマーAを用いて、実施例1と同様にして支持層の上に多孔質吸着層を形成させた中空糸膜を作製した。得られた多孔質吸着層は、三次元網目構造となっており、多孔質吸着層の平均孔径は20nm、厚みは50μmであった。
得られた中空糸膜の多孔質吸着層について、キレート性官能基由来の原子としてNaの原子数(%)を測定したところ、平均値Xは0.87、標準偏差Yは0.49であった。形状や各物性は表2に示したとおりであり、除濁性能、吸着性能、機械的強度のいずれにも優れていたが、キレート性官能基の均一分散性がやや低下しており、吸着性の性能がやや低下していた。
〈比較例3〉
重量平均分子量41.7万のフッ化ビニリデンホモポリマーとγ−ブチロラクトンとを、それぞれ27重量%と58重量%の割合で170℃の温度で溶解した。このポリマー溶液に対して、さらに攪拌しながら実施例9と同様に調製したキレート微粒子を15重量%添加し、攪拌混合して分散溶液を得た。この分散溶液をγ−ブチロラクトンを中空部形成液体として随伴させながら口金から吐出し、温度10℃のγ−ブチロラクトン80重量%水溶液からなる冷却浴中で固化することにより、中空糸膜状の支持層を作製した。得られた支持層は、平均直径3.0μmの球状構造体中にキレート微粒子が分散した構造であり、支持層の厚みは300μmであった。
次いで、実施例5と同様にして多孔質除濁層を形成させた中空糸膜を作製した。得られた多孔質除濁層は、三次元網目構造となっており、多孔質除濁層の平均孔径は20nm、厚みは50μmであった。
得られた中空糸膜は、純水の透過性能1.1m/m/hr、濁質成分除去性能99%、耐ファウリング性0.98、銅の除去性能38%、破断強度5.5MPaであった。形状や各物性は表2に示したとおりである。この中空糸膜は、三次元網目状構造を有する層と、キレート微粒子を含有する多孔質構造の層とを有する複合分離膜であったが、支持層内の比較的大きな細孔内に吸着剤が保持されているのみで吸着剤の均一分散性が低く、金属イオンとの接触機会に乏しいため、吸着剤を含有する多孔質構造の層の金属イオンに対する吸着効率が悪かった。さらに、膜強度も低下しており、支持層内に径の小さな粒子を添加したことによる界面の増加に起因するものと考えられる。この中空糸膜の吸着剤を含有する多孔質構造の層について、キレート性官能基由来の原子としてNaの原子数(%)を測定したところ、平均値Xは0.81、標準偏差Yは0.90であり、キレート性官能基が偏って存在していた。なお、評価結果を表2にまとめた。
〈比較例4〉
実施例1と同様にして、中空糸膜状の支持層を作製した。得られた支持層は、平均直径3.0μmの球状構造体が集積した構造であり、支持層の厚みは250μmであった。
次いで、実施例5と同様にして多孔質除濁層を形成させた中空糸膜を作製した。得られた多孔質除濁層は、三次元網目構造となっており、多孔質除濁層の平均孔径は20nm、厚みは50μmであった。
得られた中空糸膜は、純水の透過性能1.8m/m/hr、濁質成分除去性能99%、耐ファウリング性0.98、銅の除去性能0%、破断強度8.8MPaであり、多孔質吸着層が無いために吸着性能を示さなかった。なお、評価結果を表2にまとめた。
Figure 2017001029
Figure 2017001029
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本発明によれば、吸着層と支持層を少なくとも含み、除濁を担う表面による水中の濁質除去と吸着層による金属イオン除去が可能な、高強度、高耐ファウリング性を備えた多層分離膜が提供される。これにより水処理分野に適用した場合、水中の濁質成分除去と金属イオン吸着除去を十分に行うことができるようになる。

Claims (11)

  1. キレート性官能基を有する微粒子およびベースポリマーを含有する多孔質吸着層と、
    多孔質支持層と
    を備える多層分離膜。
  2. 前記キレート性官能基を有する微粒子の粒径が0.15μm〜3μmである、請求項1に記載の多層分離膜。
  3. 前記多孔質吸着層が三次元網目構造または球状構造の少なくとも一方を有する、
    請求項1または請求項2に記載の多層分離膜。
  4. 前記多孔質吸着層が、除濁を担う表面を有する、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の多層分離膜。
  5. 前記多孔質吸着層の断面をエネルギー分散型X線分析で元素分析した際のキレート性官能基由来原子の原子数(%)の平均値Xと標準偏差YがX≧3Yを満たす、
    請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の多層分離膜。
  6. キレート性官能基由来原子が、N、O、P、S、Na、K、Cu、FeおよびBからなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項5に記載の多層分離膜。
  7. 前記多孔質吸着層の厚みが10μm以上500μm以下である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の多層分離膜。
  8. 外径が800μm以上2000μm以下の中空糸膜である、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の多層分離膜。
  9. 50kPa、25℃における純水透過性能が0.01m/m・hr以上10m/m・hr以下、破断強度が6MPa以上、破断伸度が10%以上である、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の多層分離膜。
  10. 前記多孔質吸着層が、熱誘起相分離法および/または非溶媒誘起相分離法で得られた層である、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の多層分離膜。
  11. 前記多孔質支持層が、熱誘起相分離法および/または非溶媒誘起相分離法で得られた層である、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の多層分離膜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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