JP2017001973A - イルベサルタン含有錠剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】長期間保存後のイルベサルタンの溶出性を改善したイルベサルタン含有錠剤を提供する。
【解決手段】本発明に一実施形態によると、イルベサルタンと、崩壊剤とを含有する混合物を造粒して造粒物を調製し、前記造粒物と前記崩壊剤とをさらに混合したイルベサルタン含有錠剤であって、前記造粒物は、前記イルベサルタン100重量%に対して、前記崩壊剤を6重量%以上含有することを特徴とする、イルベサルタン含有錠剤が提供される。また、イルベサルタンと、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとを含有する混合物を造粒して造粒物を調製し、前記造粒物と前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとをさらに混合したイルベサルタン含有錠剤であって、前記造粒物は、前記イルベサルタン100重量%に対して、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを10重量%以上含有することを特徴とする、イルベサルタン含有錠剤が提供される。
【選択図】図1

Description

本発明は、イルベサルタン含有錠剤に関する。特に、本発明は、長期間保存後のイルベサルタンの溶出性を改善したイルベサルタン含有錠剤に関する。
イルベサルタン(2-Butyl-3-[4-[2-(1H-tetrazol-5-yl)phenyl]benzyl]-1,3-diazaspiro[4.4]non-1-en-4-one)は、血圧の上昇に関与するAT1(A IIタイプ1)受容体に選択的に作用してアンジオテンシンII(A II)の結合を競合的に阻害することから、高血圧症の治療に有効な薬剤である。
例えば、特許文献1には、速やかな錠剤の崩壊性を実現するために、錠剤の密度や体積を一定の範囲として製すること、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウムおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロースから選ばれる1以上の崩壊剤を製剤全量に対し、0.5〜10重量%含有することが記載されている。
特許文献2には、口腔内崩壊錠において速やかな崩壊性を得るために、ヒドロキシプロピルセルロースおよびポリビニルアルコールから選ばれる1種以上の結合剤を含むイルベサルタン含有医薬組成物が記載されている。
また、イルベサルタンとは異なる作用機序により高血圧症の治療に有効な成分を、イルベサルタンとともに含有する医薬品も知られており、例えば、特許文献3には、イルベサルタン、アムロジピンまたはその塩を含有する医薬組成物が記載されている。
特開2015−003901号公報 特開2010−053047号公報 特開2013−075893号公報
本発明者らがイルベサルタン含有錠剤について検討した結果、長期間の保存ではイルベサルタンの溶出性が低下することが明らかとなった。イルベサルタンが水への親和性が低いことは上記特許文献にも記載されているが、長期保存によるイルベサルタンの溶出性の低下については、これまでほとんど検討されておらず、上述した特許文献を含め、今日まで報告されていない。
本発明は、これまで検討されてこなかった長期間保存後のイルベサルタンの溶出性について、初めて検討するものである。本発明は、長期間保存後のイルベサルタンの溶出性を改善したイルベサルタン含有錠剤を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態によると、イルベサルタンと、崩壊剤とを含有する混合物を造粒して造粒物を調製し、前記造粒物と前記崩壊剤とをさらに混合したイルベサルタン含有錠剤であって、前記造粒物は、前記イルベサルタン100重量%に対して、前記崩壊剤を6重量%以上含有することを特徴とする、イルベサルタン含有錠剤が提供される。
前記イルベサルタン含有錠剤において、前記崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、トウモロコシデンプン、部分アルファー化デンプン及びそれらの組合せからなる群から選択されてもよい。
また、本発明の一実施形態によると、イルベサルタンと、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとを含有する混合物を造粒して造粒物を調製し、前記造粒物と前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとをさらに混合したイルベサルタン含有錠剤であって、前記造粒物は、前記イルベサルタン100重量%に対して、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを10重量%以上含有することを特徴とする、イルベサルタン含有錠剤が提供される。
また、本発明の一実施形態によると、イルベサルタンと、崩壊剤とを含有するイルベサルタン粒子からなる錠剤の製造方法であって、前記イルベサルタンと、前記イルベサルタン100重量%に対して6重量%以上の前記崩壊剤を混合、造粒して造粒物を調製し、前記造粒物と前記崩壊剤とをさらに混合し、錠剤にすることを特徴とする、イルベサルタン含有錠剤の製造方法が提供される。
本発明によると、長期間保存後のイルベサルタンの溶出性を改善したイルベサルタン含有錠剤が提供される。さらに、イルベサルタン含有錠剤は長期間高温高湿度条件での保存安定性も改善する。
本発明の実施例に係るイルベサルタンの溶出遅延率を示す図である。 本発明の実施例に係るイルベサルタンの水での飽和溶解度を示す図である。 本発明の実施例に係るイルベサルタンの溶出遅延率を示す図である。 本発明の実施例に係るイルベサルタンの溶出遅延率を示す図である。
以下、本発明に係るイルベサルタン含有錠剤について説明する。但し、本発明のイルベサルタン含有錠剤は、以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本発明において「内添加」とは、イルベサルタンを含有する粒子を造粒するときに添加混合することをいう。また、本発明において「後添加」とは、有効成分を含有する粒子を造粒・乾燥・整粒した後に添加混合することをいう。
上述したように、本発明者らによる検討の結果、長期間の保存ではイルベサルタンの溶出性が低下することが明らかとなった。本発明者らは、イルベサルタンと所定量の崩壊剤を含有する粒子を作成し、その他添加剤とともに錠剤化することにより、イルベサルタンの長期間保存後の溶出性の遅延を効果的に改善可能であるとことを新たに見出した。また、崩壊剤を内添加して造粒した粒子は、高血圧症の治療に有効な成分の長期間高温高湿度条件での保存安定性も改善することも見出した。
本発明に係るイルベサルタン含有錠剤は、イルベサルタンと、崩壊剤とを含有する混合物を造粒して造粒物を調製し、造粒物と崩壊剤とをさらに混合したイルベサルタン含有錠剤であって、造粒物がイルベサルタン100重量%に対して、崩壊剤を6重量%以上含有する。本実施形態において、イルベサルタン含有錠剤は、所定量のイルベサルタンを含み、1錠あたりのイルベサルタンの含有量は、例えば、50mg、100mg又は200mgであるが、これらに限定されるものではない。
本発明に係るイルベサルタン含有錠剤において、崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、トウモロコシデンプン、部分アルファー化デンプン及びそれらの組合せからなる群から選択される。
一実施形態において、打錠前のイルベサルタン造粒物中にクロスカルメロースナトリウムをイルベサルタン100重量%に対して、崩壊剤を6重量%以上含有することにより、長期間保存後のイルベサルタンの溶出性を改善することができる。
一実施形態において、崩壊剤は、水の飽和溶解度が既存の製剤と同等となるように、選択されることが好ましい。例えば、クロスカルメロースナトリウムは含有量の増加に伴い、長期保存後の水での溶出率を改善するが、水での飽和溶解度が既存の製剤と比較し、大きくなってしまうため、製剤として好ましくない。しかし、クロスカルメロースナトリウムの一部または全部を低置換度ヒドロキシプロピルセルロースに置換することで、長期間保存後のイルベサルタンの溶出性を改善するとともに、水の飽和溶解度を既存の製剤と同等とすることができるため好ましい。本発明に係るイルベサルタン含有錠剤において、長期間保存後のイルベサルタンの溶出性を改善するためには、打錠前のイルベサルタン造粒物中にイルベサルタン100重量%に対して、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを単独または組み合わせて使用した崩壊剤の含有量が、10重量%以上となることが好ましい。
本発明に係るイルベサルタン含有錠剤は、イルベサルタン以外の治療に有効な成分を含んでもよい。例えば、アムロジピンまたはその塩を含有してもよい。一実施形態において、本発明に係るイルベサルタン含有錠剤は、イルベサルタン100mgに対して、アムロジピンとして5mg又は10mgとなるように、アムロジピンベシル酸塩を含有してもよく、これに限定されるものではない。
本発明に係るイルベサルタン含有錠剤は、添加剤として賦形剤、結合剤、滑沢剤等をさらに含んでもよい。
賦形剤は、例えば、乳糖、D−マンニトール、結晶セルロース、果糖、精製白糖、白糖、精製白糖球状顆粒、無水乳糖、白糖・デンプン球状顆粒、半消化体デンプン、ブドウ糖、ブドウ糖水和物、粉糖、プルラン、β−シクロデキストリン、アミノエチルスルホン酸、アメ粉、塩化ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、グリシン、グルコン酸カルシウム、L−グルタミン、酒石酸、酒石酸水素カリウム、炭酸アンモニウム、デキストラン40、デキストリン、乳酸カルシウム、ポビドン、マクロゴール(ポリエチレングリコール)1500、マクロゴール1540、マクロゴール4000、マクロゴール6000、無水クエン酸、DL−リンゴ酸、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、L−アスパラギン酸、アルギン酸、カルメロースナトリウム、含水二酸化ケイ素、クロスポビドン、グリセロリン酸カルシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、小麦粉、コムギデンプン、コムギ胚芽粉、小麦胚芽油、米粉、コメデンプン、酢酸フタル酸セルロース、酸化チタン、酸化マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、第三リン酸カルシウム、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、天然ケイ酸アルミニウム、トウモロコシデンプン、トウモロコシデンプン造粒物、バレイショデンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、無水リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム造粒物、リン酸二水素カルシウム等が挙げられ、乳糖、D−マンニトール及び結晶セルロースが好ましい。
結合剤は、例えば、ヒプロメロース、トウモロコシデンプン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、アラビアゴム、アラビアゴム末、ゼラチン、カンテン、デキストリン、プルラン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルメロース、カルメロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられ、ヒプロメロース及びポリビニルアルコールが好ましい。
滑沢剤は、例えば、ステアリン酸金属塩、ショ糖脂肪酸エステル、タルク、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、硬化油等が挙げられるが、好ましくはステアリン酸金属塩が挙げられ、ステアリン酸マグネシウムが好ましい。
(製造方法)
本発明に係るイルベサルタン含有錠剤は、薬学分野において公知の製造方法に従って製造することができる。例えば、イルベサルタン(必要に応じて、他の治療に有効な成分も添加)、賦形剤及び崩壊剤を混合し、この混合物を湿式造粒し、整粒して整粒物を得る。得られた整粒物に崩壊剤、結合剤及び滑沢剤を混合して、イルベサルタンを含む打錠前粉末を得ることができる。このイルベサルタンを含む打錠前粉末を打錠することにより、本発明に係るイルベサルタン含有錠剤を製造することができる。なお、打錠は、市販の打錠機を使用して、常法により行うことができる。また、本発明の製造方法において、撹拌造粒としては「LFS-GS-2J」(深江工業)等の市販機を用いることができる。
本発明に係るイルベサルタン含有錠剤の製造方法において、崩壊剤は、イルベサルタンを含有する粒子を造粒するときに添加混合(内添加)するとともに、イルベサルタンを含有する粒子を造粒・乾燥・整粒した後に添加混合(後添加)することが好ましい。内添加する崩壊剤は、イルベサルタン100重量%に対して6重量%以上を添加することが好ましい。また、内添加物を含む粒子は、さらなる崩壊剤を後添加することが好ましい。本発明に係るイルベサルタン含有錠剤において、後添加した崩壊剤は、服用直後にイルベサルタン含有錠剤の崩壊を促進してイルベサルタンの溶出遅延を改善することができる。また、内添加した崩壊剤は、服用後の所定の時間、例えば、30分後での高温高湿度条件で長期保管した本発明を用いて製造したイルベサルタン含有錠剤からのイルベサルタンの溶出遅延を改善することができる。
(溶出試験法)
本明細書において、イルベサルタンの溶出率は、第十六改正日本薬局方溶出試験法(パドル法)により、錠剤中のイルベサルタンの溶出率を測定することにより評価する。溶出試験には、溶出試験第2液又は水を用いるものとする。
上述した本発明に係るイルベサルタン含有錠剤の具体的な実施例及び試験結果を示して、より詳細に説明する。
(実施例1)
実施例1においては、イルベサルタン 50.0 g、乳糖水和物(DFE、pharmatose(200M)) 20.0 g、結晶セルロース(旭化成、 ph101) 10.0 g、クロスカルメロースナトリウム(FMC、アクジゾル) 3.0 g、軽質無水ケイ酸(フロイント産業、アドソリダー101) 1.0 gを乳鉢に加え乳棒にて混合した。この混合物にヒプロメロース(信越化学工業、TC-5E)の水溶液 33.3 gを加えて練合し、練合物を8号篩にて解砕した後、小型熱風循環式恒温器(ミニジェットオーブン/富山産業MO-921)にて乾燥し、篩22号で整粒して整粒物を得た。得られた整粒物にクロスカルメロースナトリウム(FMC、アクジゾル) 11.0 g、軽質無水ケイ酸(フロイント産業、アドソリダー) 1.0 g及びステアリン酸マグネシウム(太平化学) 1.0 gを加えビニール袋で混合して、イルベサルタンを含む打錠前粉末を得た。打錠機(VELA5、菊水製作所)を用い、重量200mgとなるよう打錠前粉末を打錠し、実施例1のイルベサルタン含有錠剤を得た。
(実施例2)
実施例2においては、乳糖水和物(DFE、pharmatose(200M)) 18.0 g、クロスカルメロースナトリウム(FMC、アクジゾル) 16.0 gに変更して混合物を調製したこと以外は、実施例1と同様にイルベサルタン含有錠剤を得た。
(実施例3)
実施例3においては、イルベサルタン 150.0 g、乳糖水和物(DFE、pharmatose(200M)) 44.6 g、結晶セルロース ph101 23.4 g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業、L-HPC(21)) 15.0 gを乳鉢に加え乳棒にて混合した。この混合物にヒプロメロース(信越化学工業、TC-5E)の水溶液 78.4 gを加えて練合し、練合物を8号篩にて解砕した後、小型熱風循環式恒温器(ミニジェットオーブン/富山産業MO-921)にて乾燥し、篩22号で整粒して整粒物を得た。得られた整粒物にクロスカルメロースナトリウム(FMC、アクジゾル) 18.0 g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業、L-HPC(21)) 15.0 g、軽質無水ケイ酸(フロイント産業、アドソリダー101) 2.25 g及びステアリン酸マグネシウム(太平化学) 2.25 gを加えビニール袋で混合して、イルベサルタンを含む打錠前粉末を得た。打錠機(VELA5、菊水製作所)を用い、重量185mgとなるよう打錠前粉末を打錠し、実施例3のイルベサルタン含有錠剤を得た。
(比較例1)
比較例1として、乳糖水和物(DFE、pharmatose(200M)) 23.0 gとし、クロスカルメロースナトリウム(FMC、アクジゾル) 11.0 gに変更して混合物を調製したこと以外は、実施例1と同様にイルベサルタン含有錠剤を得た。
(比較例2)
比較例2として、乳糖水和物(DFE、pharmatose(200M)) 22.0 g、クロスカルメロースナトリウム(FMC、アクジゾル) 12.0 gに変更して混合物を調製したこと以外は、実施例1と同様にイルベサルタン含有錠剤を得た。
(溶出試験)
実施例1〜2及び比較例1〜2のイルベサルタン含有錠剤を40℃、湿度75%で1ヶ月間保存した。試験液として900mlの溶出試験第2液を用い、実施例1〜2及び比較例1〜2のイルベサルタン含有錠剤を第十六改正日本薬局方溶出試験法(パドル法)に準じ、5、10、15、30、45、60及び90分間撹拌し、溶出率をそれぞれ測定した。溶出試験においては、製造直後の実施例1〜2及び比較例1〜2のイルベサルタン含有錠剤について上記時間での溶出率を測定し、保存後の実施例1〜2及び比較例1〜2のイルベサルタン含有錠剤についての溶出率との差を求め、溶出遅延率とした。溶出遅延率の測定結果を図1に示す。
図1の結果から、イルベサルタン100重量%に対して、クロスカルメロースナトリウムの含有量が6重量%未満の比較例1及び2のイルベサルタン含有錠剤においては、保存後の溶出遅延が十分には改善されなかった。一方、イルベサルタン粒子中にイルベサルタン100重量%に対して、クロスカルメロースナトリウムを6重量%以上含有する実施例1及び2のイルベサルタン含有錠剤において、保存後の溶出遅延が改善された。この結果より、本実施例に係るイルベサルタン含有錠剤は、長期間保存後のイルベサルタンの溶出性を改善することが明らかとなった。
実施例1〜3及び比較例1〜2のイルベサルタン含有錠剤について、水に対する飽和溶解度を確認した。試験液として900mlの水を用い、実施例1〜3、比較例1及び2のイルベサルタン含有錠剤を第十六改正日本薬局方溶出試験法(パドル法)に準じ、5、10、15、30、45、60、90、120、240,300及び360分間撹拌し、溶出率をそれぞれ測定した。図2に水に対する飽和溶解度の測定結果を示す。
図2の結果から、クロスカルメロースナトリウムの含有量が増加するに連れて、飽和溶解度が上昇することが明らかとなった。このため、イルベサルタン製剤において適切な飽和溶解度と同等に制御可能な崩壊剤について検討した。なお、イルベサルタン製剤において適切な飽和溶解度とは、第十六改正日本薬局方溶出試験法(パドル法)において飽和溶解度がおよそ20%を示すことである。クロスカルメロースナトリウムの代わりに内添加する崩壊剤として低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを添加した実施例3において、適切な飽和溶解度である値を示し、飽和溶解度を制御可能であることが明らかとなった。
低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの添加による効果をさらに検証した。実施例2及び3のイルベサルタン含有錠剤を40℃、湿度75%で3ヶ月間保存した。試験液として900mlの溶出試験第2液を用い、上述した溶出試験法により溶出遅延率を求めた。溶出遅延率の測定結果を図3に示す。
図3の結果から、3ヶ月の保存においても、イルベサルタン粒子中にイルベサルタン100重量%に対して、クロスカルメロースナトリウムのみを10重量%含有する実施例2のイルベサルタン含有錠剤、及びクロスカルメロースナトリウムに代えて低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを10重量%含有する実施例3のイルベサルタン含有錠剤において、イルベサルタンの溶出性を改善することが明らかとなった。
(実施例4)
イルベサルタン以外にアムロジピンベシル酸塩を有効成分として含有するイルベサルタン含有錠剤でもイルベサルタンの溶出性を改善可能であるかを検証した。実施例4においては、イルベサルタン 60.0 g、D−マンニトール(三菱フードテック、マンニット(P)) 14.4 g、結晶セルロース(旭化成 ph101) 8.36 g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業、L-HPC(31)) 6.0 gを乳鉢に加え乳棒にて混合した。この混合物にポリビニルアルコール(日本合成化学、EG−05)の水溶液 20.4 gを加えて練合し、練合物を8号篩にて解砕した後、小型熱風循環式恒温器(ミニジェットオーブン/富山産業MO-921)にて乾燥し、篩22号で整粒して整粒物を得た。得られた整粒物にアムロジピンベシル酸塩 8.32 g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業、L-HPC(31)) 6.0 g、及びステアリン酸マグネシウム(太平化学)1.08 gを加えビニール袋で混合して、打錠前粉末を得た。打錠機(VELA5、菊水製作所)を用い、重量177mgとなるよう打錠前粉末を打錠し、実施例4のイルベサルタン含有錠剤を得た。実施例4においては、イルベサルタン含有錠剤を60℃、湿度60%で2週間保存した。
(実施例5)
実施例5として、上述した実施例4のイルベサルタン含有錠剤を60℃、湿度60%で1ヶ月間保存した。
試験液として900mlの溶出試験第2液を用い、上述した溶出試験法により溶出遅延率を求めた。溶出遅延率の測定結果を図4に示す。実施例4のイルベサルタン含有錠剤は、溶出遅延が認められず、30分撹拌時では溶出遅延はほぼ認められなかった。また、1ヶ月間保存した実施例5のイルベサルタン含有錠剤においても溶出遅延が認められなかった。この結果から、イルベサルタン以外にアムロジピンベシル酸塩を有効成分として含有するイルベサルタン含有錠剤においても、イルベサルタン100重量%に対して、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを10重量%以上含有することにより、イルベサルタンの溶出遅延が認められないことが明らかとなった。
(実施例6)
イルベサルタンおよびアムロジピンベシル酸塩を有効成分として含有するイルベサルタン含有錠剤の安定性を改善可能であるかを検証した。実施例6においては、イルベサルタン 500.0 g、D−マンニトール(三菱フードテック、マンニット(P)) 82.85 g、結晶セルロース(旭化成 ph101) 110.00 g、クロスカルメロースナトリウム(FMC、アクジゾル) 50.0 gを乳鉢に加え乳棒にて混合した。この混合物にヒプロメロース(信越化学工業、TC-5M)の水溶液 13.50 gを加えて練合し、練合物を8号篩にて解砕した後、小型熱風循環式恒温器(ミニジェットオーブン/富山産業MO-921)にて乾燥し、篩22号で整粒して整粒物を得た。得られた整粒物にアムロジピンベシル酸塩 34.65 g、クロスカルメロースナトリウム(FMC、アクジゾル) 50.0 g、及びステアリン酸マグネシウム(太平化学)9.00 gを加えビニール袋で混合して、打錠前粉末を得た。打錠機(VELA5、菊水製作所)を用い、重量170mgとなるよう打錠前粉末を打錠し、実施例6のイルベサルタン含有錠剤を得た。
(類縁物質)
実施例6のイルベサルタン含有錠剤の安定性の評価として、温度40℃湿度75%の条件下、無包装状態で保存した実施例6の製剤を、液体クロマトグラフィーを用いてイルベサルタンおよびアムロジピンベシル酸塩の純度を評価した。イルベサルタンおよびアムロジピンベシル酸塩由来の類縁物質のピーク面積からそれぞれのピーク面積に対する比率を算出し、総類縁物質とした。実施例6の類縁物質の測定結果を表1に示す。実施例6において、イルベサルタンのみならずアムロジピンベシル酸塩についても保存後の総類縁物質の増加は認められず、無包装に耐えうる製剤であることが明らかとなった。
Figure 2017001973

Claims (4)

  1. イルベサルタンと、崩壊剤とを含有する混合物を造粒して造粒物を調製し、前記造粒物と前記崩壊剤とをさらに混合したイルベサルタン含有錠剤であって、
    前記造粒物は、前記イルベサルタン100重量%に対して、前記崩壊剤を6重量%以上含有することを特徴とする、イルベサルタン含有錠剤。
  2. 前記崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、トウモロコシデンプン、部分アルファー化デンプン及びそれらの組合せからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のイルベサルタン含有錠剤。
  3. イルベサルタンと、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとを含有する混合物を造粒して造粒物を調製し、前記造粒物と前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとをさらに混合したイルベサルタン含有錠剤であって、
    前記造粒物は、前記イルベサルタン100重量%に対して、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを10重量%以上含有することを特徴とする、イルベサルタン含有錠剤。
  4. イルベサルタンと、崩壊剤とを含有するイルベサルタン含有錠剤の製造方法であって、
    前記イルベサルタンと、前記イルベサルタン100重量%に対して6重量%以上の前記崩壊剤を混合、造粒して造粒物を調製し、前記造粒物と前記崩壊剤とをさらに混合し、錠剤にすることを特徴とする、イルベサルタン含有錠剤の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017071560A (ja) * 2015-10-05 2017-04-13 ニプロ株式会社 イルベサルタンを含有する医薬組成物及びその製造方法
JP2023516696A (ja) * 2020-03-04 2023-04-20 武田薬品工業株式会社 経口固体製剤

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