JP2017002740A - 可変容量オイルポンプの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】半吐出状態と全吐出状態を切り換える閾値を適正に設定し、燃費改善を図る。【解決手段】可変容量オイルポンプの制御装置は、半吐出状態と全吐出状態とを切り換える閾値をエンジン回転数に応じて特定するための判定情報が記憶された記憶部と、エンジン回転数、および、エンジン回転数における吐出出力の実測値に基づいて、記憶部に記憶された判定情報を更新する判定情報更新部と、記憶部に記憶されている判定情報、および、エンジン回転数に基づいて、閾値を特定するとともに、吐出出力の要求値が、特定した閾値以上であるか否かによって、半吐出状態と全吐出状態とを切り換える出力切換部と、を備える。【選択図】図9

Description

本発明は、主に車両に搭載される可変容量オイルポンプの制御装置に関する。
従来、例えば特許文献1に示されるオイルポンプが知られている。このオイルポンプは、所謂内接歯車ポンプであって、外周面に歯が設けられたインナーロータと、内周面に歯が設けられたアウターロータとの噛み合わせによって、インナーロータとアウターロータとの隙間に流入した作動油を圧縮して送出する。
また、特許文献1に記載のオイルポンプは所謂可変容量型であって、吐出流量を制御するべく、吐出ポートが2つ設けられている。そして、片方の吐出ポートから吐出した作動油のみを、油圧機構などの油圧供給対象に供給する半吐出状態と、両方の吐出ポートから吐出した作動油を油圧供給対象に供給する全吐出状態を切り換える機構が設けられる。半吐出状態と全吐出状態は、作動油の吐出出力(吐出流量や吐出油圧)の要求値に応じて切り換えられる。
特開2013−148205号公報
オイルポンプは、エンジンの回転動力によって駆動することから、オイルポンプの吐出出力は、エンジン回転数に応じた値となる。そこで、エンジン回転数に対して、半吐出状態で吐出可能な吐出可能出力を、吐出出力の要求値が超えると、全吐出状態となるようにオイルポンプが制御される。このとき、半吐出状態と全吐出状態を切り換える吐出出力の閾値は、本来設定されるべき適正値に対し、オイルポンプ個々の部品におけるバラつきなどの影響を受けてブレ幅がある。
そのため、適正値のブレ幅のうち下限側を閾値として設定することで、全吐出状態への切り換えがどの個体でも確実に遂行されるようにする必要があった。その結果、半吐出状態での吐出性能が高く、閾値のブレ幅のうち上限側に適正値があるようなオイルポンプであっても、適正値よりも低い閾値が設定されることとなる。すなわち、本来、半吐出状態で賄うことの可能な吐出出力の要求値を、全吐出状態に切り換えて対応することとなり、燃費の改善の余地があった。
そこで、本発明は、半吐出状態と全吐出状態を切り換える閾値を適正に設定し、燃費改善を図ることができる可変容量オイルポンプの制御装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の可変容量オイルポンプの制御装置は、2つの吐出ポートを有し、2つの吐出ポートの一方から他方よりも高圧で作動油を吐出する半吐出状態と、2つの吐出ポートの双方から作動油を吐出し、半吐出状態よりもエンジン回転数に対応する吐出可能出力が大きい全吐出状態を切り換え可能であって、半吐出状態と全吐出状態とを切り換える閾値をエンジン回転数に応じて特定するための判定情報が記憶された記憶部と、エンジン回転数、および、エンジン回転数における吐出出力の実測値に基づいて、記憶部に記憶された判定情報を更新する判定情報更新部と、記憶部に記憶されている判定情報、および、エンジン回転数に基づいて、閾値を特定するとともに、吐出出力の要求値が、特定した閾値以上であるか否かによって、半吐出状態と全吐出状態とを切り換える出力切換部と、を備えることを特徴とする。
判定情報更新部は、半吐出状態において、吐出出力の目標値を、吐出出力の要求値よりも高く設定することで、吐出可能出力を測定して実測値を取得してもよい。
判定情報は、少なくともエンジン回転数に所定の係数を乗算する式を含む計算式であって、判定情報更新部は、記憶部に記憶されている計算式の係数である記憶係数を更新してもよい。
判定情報更新部は、エンジン回転数、および、エンジン回転数における吐出出力の実測値に基づいて仮係数を導出し、導出した仮係数と記憶係数との比較結果に基づいて、記憶係数を更新してもよい。
判定情報更新部は、記憶係数と、仮係数との差分が、所定の変動誤差範囲外となると、記憶係数を更新してもよい。
判定情報更新部は、仮係数が記憶係数よりも大きい場合、記憶係数として仮係数を記憶してもよい。
判定情報更新部は、仮係数が記憶係数よりも大きい場合、記憶部に記憶されている記憶係数を、記憶係数に所定の加算値を加算した値に更新してもよい。
判定情報更新部は、仮係数が記憶係数よりも小さい場合、加算値よりも大きな所定の減算値を、記憶部に記憶されている記憶係数から減算した値に更新してもよい。
判定情報更新部は、仮係数が記憶係数よりも小さい場合、記憶係数として仮係数を記憶してもよい。
判定情報は、予め設定された複数の油温領域毎に設定されてもよい。
本発明によれば、半吐出状態と全吐出状態を切り換える閾値を適正に設定し、燃費改善を図ることができる。
可変容量オイルポンプの制御装置を構成するハウジング、回転体、カバーの分解斜視図である。 ハウジング、回転体、カバーの正面図である。 (a)は、収容孔に回転体を収容したハウジングの正面図であり、(b)は、回転体を透過させて吸入ポート、第1吐出ポート、第2吐出ポートを一体に示したハウジングの正面図である。 可変容量オイルポンプの作動油回路を説明するための第1の図である。 可変容量オイルポンプの作動油回路を説明するための第2の図である。 半吐出状態と全吐出状態を切り換える閾値と、エンジン回転数との関係を示す説明図である。 吐出性能のバラつきを説明するための説明図である。 エンジン始動時の学習処理を説明するための説明図である。 エンジン安定期間の学習処理を説明するための説明図である。 エンジン始動時における学習処理の概略的な流れを示すフローチャートである。 エンジン安定期間における学習処理の概略的な流れを示すフローチャートである。 エンジン始動時学習処理およびエンジン安定期間学習処理における学習処理の概略的な流れを示すフローチャートである。 変形例における学習処理の概略的な処理の流れを示すフローチャートである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、可変容量オイルポンプ1を構成するハウジング2、回転体3、カバー4の分解斜視図である。図1に示す可変容量オイルポンプ1は、所謂内接歯車ポンプであって、ハウジング2およびカバー4で形成されるケーシング5内に、回転体3が収容される。
ハウジング2およびカバー4は、回転体3を収容し、ハウジング2の対向面2aとカバー4の対向面4aが当接した状態で、不図示の締結部材で締結される。
図2は、ハウジング2、回転体3、カバー4の正面図であり、図2(a)には、ハウジング2の対向面2a側を示し、図2(b)には、回転体3のうち、カバー4との対向面側を示し、図2(c)には、カバー4の対向面4a側を示す。
図2(a)に示すように、ハウジング2の対向面2aには、回転体3が収容される収容穴6が設けられている。この収容穴6は、ハウジング2の対向面2aから回転体3の回転軸方向に窪む断面円形の穴で構成されており、カバー4で閉塞された状態で、収容穴6の内部が油圧室7となる。
回転体3は、油圧室7内に回転自在に収容され、エンジンの回転動力などを受けて回転する。図2(b)に示すように、回転体3は、外周面に複数の外歯3aが設けられたインナーロータ3bと、内周面に複数の内歯3cが設けられたアウターロータ3dで構成される。インナーロータ3bとアウターロータ3dとの複数の隙間がポンプ室8となっており、回転体3は、油圧室7を回転方向(図2(b)中、反時計回り方向)に区画してポンプ室8を形成している。
インナーロータ3bは、エンジンの動力で回転する不図示のシャフトが中心に挿通され、シャフトと一体回転する。外歯3aは、内歯3cよりも歯の数が1つ少なく、インナーロータ3bとアウターロータ3dとは、互いに偏心した状態で噛合されている。インナーロータ3bが図2(b)中、実線の矢印方向に回転すると、アウターロータ3dも一体となって回転するが、このとき、複数のポンプ室8が、順次、縮小と拡大を繰り返すこととなる。
そして、ハウジング2に形成される収容穴6の底面6aには、ハウジング側吸入ポート9a、ハウジング側第1吐出ポート10a(吐出ポート)、ハウジング側第2吐出ポート11a(吐出ポート)が設けられている。ハウジング2に形成されるハウジング側吸入ポート9a、ハウジング側第1吐出ポート10a、ハウジング側第2吐出ポート11aは、いずれも底面6aに設けられる窪みで構成され、回転体3の回転方向(図2(a)に破線の矢印で示す)に互いに間隔を維持して、ハウジング側吸入ポート9a、ハウジング側第1吐出ポート10a、ハウジング側第2吐出ポート11aの順に配されている。
また、カバー4の対向面4aのうち、収容穴6に対向する対向部分4bには、カバー側吸入ポート9b、カバー側第1吐出ポート10b(吐出ポート)、カバー側第2吐出ポート11b(吐出ポート)が設けられている。カバー4に形成されるカバー側吸入ポート9b、カバー側第1吐出ポート10b、カバー側第2吐出ポート11bは、いずれもカバー4を貫通する貫通孔で構成され、回転体3の回転方向(図2(c)に破線の矢印で示す)に互いに間隔を維持して、カバー側吸入ポート9b、カバー側第1吐出ポート10b、カバー側第2吐出ポート11bの順に配されている。
なお、ハウジング側吸入ポート9a、カバー側吸入ポート9bは、回転体3の回転軸方向に対向する位置に形成され、ハウジング側第1吐出ポート10a、カバー側第1吐出ポート10b、および、ハウジング側第2吐出ポート11a、カバー側第2吐出ポート11bも、それぞれ回転体3の回転軸方向に対向配置されている。以下では、ハウジング側吸入ポート9a、カバー側吸入ポート9bを総称して吸入ポート9と呼び、ハウジング側第1吐出ポート10a、カバー側第1吐出ポート10bを総称して第1吐出ポート10と呼び、ハウジング側第2吐出ポート11a、カバー側第2吐出ポート11bを総称して第2吐出ポート11と呼ぶ場合がある。
図3(a)は、収容穴6に回転体3を収容したハウジング2の正面図であり、図3(b)は、回転体3を透過させて吸入ポート9、第1吐出ポート10、第2吐出ポート11を一体に示したハウジング2の正面図である。吸入ポート9は、油圧室7のうち、回転体3の回転に伴ってポンプ室8が容積を拡大する範囲に開口しており、容積拡大による負圧作用でポンプ室8に作動油を導く。第1吐出ポート10および第2吐出ポート11は、吸入ポート9よりも回転体3の回転方向(図3に実線の矢印で示す)後方であって、回転体3の回転に伴ってポンプ室8が容積を縮小する範囲に開口しており、容積縮小による圧縮作用で圧縮されたポンプ室8内の作動油が吐出される。
また、図2および図3に示すように、ハウジング2およびカバー4が組み付けられた状態において、回転体3が収容される収容穴6(油圧室7)の径方向外方には、吸入通路21、第1合流通路22、第2合流通路23が設けられている。吸入通路21は、ハウジング2の内部において、ハウジング側吸入ポート9aと連通している。同様に、第1合流通路22は、ハウジング2の内部において、ハウジング側第1吐出ポート10aと連通し、第2合流通路23は、ハウジング側第2吐出ポート11aと連通している。吸入通路21、第1合流通路22、第2合流通路23は、ハウジング2およびカバー4が組み付けられた状態において、回転体3の回転軸方向に延在する。そして、吸入通路21、第1合流通路22、第2合流通路23は、いずれもハウジング2側の一端が閉塞されているのに対して、カバー4側の端部は、カバー4を貫通している。
つまり、ハウジング2には、吸入通路21、第1合流通路22、第2合流通路23を構成する窪みが形成されており、カバー4には、ハウジング2に形成された窪みと対向する位置に、吸入通路21、第1合流通路22、第2合流通路23を構成する貫通孔が形成されている。したがって、ハウジング2内において、ハウジング側第1吐出ポート10aから吐出された作動油は、第1合流通路22を介してカバー4側へ導かれ、ハウジング2内において、ハウジング側第2吐出ポート11aから吐出された作動油は、第2合流通路23を介してカバー4側へ導かれる。
詳しい説明は省略するが、カバー4のうち対向面4aと反対側の面は、エンジン本体に固定される。このエンジン本体には、カバー4に形成されたカバー側吸入ポート9b、カバー側第1吐出ポート10b、カバー側第2吐出ポート11bそれぞれに接続される流路(後述する吸入流路100、第1供給路110、第2供給路120)が形成されている。そして、カバー側吸入ポート9bに接続される吸入流路100は、吸入通路21にも接続される。また、カバー側第1吐出ポート10bに接続される第1供給路110は、第1合流通路22にも接続されており、カバー側第2吐出ポート11bに接続される第2供給路120は、第2合流通路23にも接続されている。
したがって、吸入流路100を流通する作動油は、カバー側吸入ポート9bに導かれるとともに、吸入通路21を介してハウジング側吸入ポート9aにも導かれる。また、ハウジング側第1吐出ポート10aから吐出された作動油は、第1合流通路22を介してカバー4側へ導かれた後に、カバー側第1吐出ポート10bから吐出された作動油と合流して、作動油の供給先(後述する油圧機構130および潤滑対象132)に供給されることとなる。同様に、ハウジング側第2吐出ポート11aから吐出された作動油は、第2合流通路23を介してカバー4側へ導かれた後に、カバー側第2吐出ポート11bから吐出された作動油と合流して、供給先に供給されることとなる。
このように、第1吐出ポート10および第2吐出ポート11の双方から作動油が吐出される可変容量オイルポンプ1は、供給先で要求される吐出出力(吐出流量および吐出圧力)の要求値に応じて、半吐出状態と全吐出状態とに運転状態を切り換えて用いられる。具体的には、供給先の吐出出力の要求値が予め設定された閾値よりも低い場合には、運転状態を半吐出状態に切り換え、第1吐出ポート10から吐出される作動油のみを供給先に供給する。そして、第2吐出ポート11から吐出される作動油は、潤滑油として各部位に供給したり、タンクに環流したりする。一方、供給先の要求圧力が閾値以上の場合には、運転状態を全吐出状態に切り換え、第1吐出ポート10から吐出される作動油に、第2吐出ポート11から吐出される作動油を合流させて供給先に供給する。このように、半吐出状態および全吐出状態のいずれかに運転状態を切り換えることにより、エネルギーロスを低減することができる。
図4、図5は、可変容量オイルポンプ1の作動油回路を説明するための図であり、図4には、全吐出状態における可変容量オイルポンプ1の作動油回路を示し、図5には、半吐出状態における可変容量オイルポンプ1の作動油回路を示す。図4、図5中、高圧で油圧機構130に向かう作動油の流路を太線の矢印で示す。
図4に示すように、可変容量オイルポンプ1から吐出された作動油は、トランスミッションの油圧機構130、および、潤滑対象132に供給される。油圧機構130は、供給された作動油の油圧(ライン圧)で各種の部品を作動させ、こうした部品の作動により変速などを行う。また、潤滑対象132は、トランスミッション内の各部品の潤滑部分であり、潤滑対象132においては、供給された作動油が潤滑油として機能する。潤滑対象132に作動油を供給する油圧は、油圧機構130に供給される作動油の油圧よりも低くてもよい。
第1供給路110は、第1吐出ポート10と油圧機構130とを接続しており、第1吐出ポート10から吐出された作動油を油圧機構130に導く。
また、第1供給路110から分岐する第1分岐路112が形成されており、第1供給路110から第1分岐路112に流入した作動油は、潤滑対象132に繋がる第2供給路120に流入し、一部が潤滑対象132に導かれる。一方、第2供給路120は、タンクTに接続される第2分岐路122に分岐しており、第2供給路120から第2分岐路122に流入した作動油は、タンクTに環流する。タンクTは、ストレーナ134を介して、吸入ポート9に連通する吸入流路100と接続されており、ストレーナ134でろ過された作動油が、吸入流路100および吸入ポート9を介して油圧室7のポンプ室8に導かれる。
第1分岐路112には、コントロール弁136が設けられる。第1分岐路112は、第1供給路110と、第2供給路120のうち第2分岐路122との分岐部分よりも上流側とを接続する。第1供給路110に対し第2供給路120の圧力は低く、作動油は、第1分岐路112を第1供給路110側から第2供給路120側に向かって流れる。
コントロール弁136は、パイロットライン140の油圧(パイロット圧)に応じて開度を変更する。リニアソレノイド142は、例えば、電磁石などで構成され、電流値に応じてパイロット圧を可変制御する。
コントロール弁136によって第1分岐路112の流路幅が狭くなると、第1供給路110から第1分岐路112に流入する作動油の流量が減り、第1供給路110における油圧が上昇し、油圧機構130に作用する油圧が高まる。逆に、コントロール弁136によって第1分岐路112の流路幅が広くなると、第1供給路110から第1分岐路112に流入する作動油の流量が増え、第1供給路110における油圧が低下し、油圧機構130に作用する油圧が低くなる。
すなわち、コントロール弁136は、第1供給路110に吐出された作動油を調圧して油圧機構130に供給し、余剰の作動油を、第1分岐路112を介して第2供給路120に導いている。
また、第2分岐路122には、圧力調整弁138が設けられる。圧力調整弁138は、第2供給路120側の圧力を一定圧力に維持する。そして、第2供給路120のうち、第2分岐路122と潤滑対象132との間には、潤滑対象132への供給圧を一定に保持するためのオリフィス144が設けられている。こうして、圧力調整弁138によって、第2供給路120の圧力が一定に保たれるとともに、オリフィス144を介して潤滑対象132へ作動油が供給され、余剰の作動油がタンクTに環流する。
合流油路126は、第1供給路110のうち、第1分岐路112との接続部分よりも上流側に接続されている。また、ポート切換弁146は、第2供給路120に配されており、第2吐出ポート11から吐出された作動油を、合流油路126を介して第1供給路110に導く第1切換位置と、第2吐出ポート11から吐出された作動油を、第2供給路120を介して潤滑対象132に導く第2切換位置とに切り換え可能な2位置3ポート弁で構成されている。
ポート切換弁146は、図4では、第2吐出ポート11と合流油路126とを接続する第1切換位置となっており、図5では、第2吐出ポート11と第2供給路120とを接続する第2切換位置となっている。
また、図4に示すように、ポート切換弁146が第1切換位置にある全吐出状態において、合流油路126は、第2吐出ポート11と第1供給路110とを接続している。このとき、第2吐出ポート11から吐出された作動油は、第2供給路120、合流油路126、および、第1供給路110を介して油圧機構130に導かれる。
一方、図5に示すように、半吐出状態においては、ポート切換弁146が第2切換位置にあり、第2吐出ポート11から吐出された作動油は、第2供給路120を介して潤滑対象132に導かれる。
このように、第2吐出ポート11は、油圧機構130、および、潤滑対象132の少なくともいずれかと接続されることとなる。
制御装置148は、エンジン回転数センサ、油温センサ、スロットル開度センサ、車速センサ、T/M回転センサなどのセンサ150a、および、ライン圧センサ150bからの出力値に応じ、リニアソレノイド142を制御する。ここで、ライン圧は、油圧機構130へ供給される作動油の油圧を示し、ライン圧センサ150bは、第1供給路110のうち、第1分岐路112との接続部分よりも下流側に配置され、ライン圧を測定する。
詳細には、制御装置148は、センサ150aからの出力値に応じ、油圧機構130で要求される吐出出力の要求値(例えば、要求吐出圧)を導出し、導出された吐出出力の要求値に、ライン圧センサ150bからの出力値が収束するように、コントロール弁136の開度を(すなわち、リニアソレノイド142を)フィードバック制御する。
また、制御装置148は、記憶部148aを備えるとともに、出力切換部148b、判定情報更新部148cとして機能する。記憶部148aには、半吐出状態と全吐出状態とを切り換える閾値をエンジン回転数に応じて特定するための判定情報が記憶される。判定情報については後に詳述する。
出力切換部148bは、吐出出力の要求値が、エンジン回転数に応じた閾値以上であるか否かによって、ポート切換弁146を制御して半吐出状態と全吐出状態とを切り換える。
図4に示す全吐出状態と、図5に示す半吐出状態を比較すると、全吐出状態の方が、第1吐出ポート10に加えて第2吐出ポート11から吐出された作動油が、油圧機構130に導かれることから、吐出出力(吐出流量および吐出油圧)が高まる。出力切換部148bは、例えば、エンジン負荷が高いときなどに油圧機構130が高い油圧を要するとき、すなわち、吐出出力の要求値が閾値以上であるとき、ポート切換弁146を制御して全吐出状態とすることで、吐出出力の要求値を満たすことが可能となる。
また、出力切換部148bは、エンジン負荷が低い場合など、吐出出力の要求値が閾値未満であるとき、ポート切換弁146を制御して半吐出状態として、第2吐出ポート11から吐出される作動油を、潤滑対象132やタンクTに導く。このとき、第2吐出ポート11に連通する第2供給路120は、第1供給路110に比べて油圧が低いことから、全吐出状態に比べ、第2吐出ポート11に作用する油圧が低くなり、可変容量オイルポンプ1の駆動負荷が低減されることとなる。
図6は、半吐出状態と全吐出状態を切り換える閾値と、エンジン回転数との関係を示す説明図である。可変容量オイルポンプ1は、エンジンの回転動力によって駆動することから、可変容量オイルポンプ1の吐出出力は、エンジン回転数に応じた値となる。すなわち、半吐出状態で吐出可能な吐出可能出力も、エンジン回転数に応じて定まることとなる。
具体的には、半吐出状態で吐出可能な吐出可能出力が、エンジン回転数に大凡比例して変化する。そのため、半吐出状態と全吐出状態を切り換える閾値も、図6(a)に示すように、少なくともエンジン回転数が所定回転数以下において、エンジン回転数に比例した値が設定される(エンジン回転数に応じて設定される)。
ここでは、半吐出状態と全吐出状態とを切り換える閾値をエンジン回転数に応じて特定するための判定情報として、少なくともエンジン回転数に所定の係数を乗算する式(計算)を含む計算式が記憶部148aに記憶されている。具体的には、判定情報は、エンジン回転数の比例式となっており、エンジン回転数の変数に、実際のエンジン回転数を代入すると、対応する閾値が導出される。
出力切換部148bは、記憶部148aに記憶されている判定情報、および、エンジン回転数に基づいて、閾値を特定するとともに、吐出出力の要求値が、特定した閾値以上であるか否かによって、半吐出状態と全吐出状態とを切り換える。例えば、出力切換部148bは、図6(a)に示すように、エンジン回転数αのとき、吐出出力の要求値が閾値β以上であれば、全吐出状態、閾値β未満であれば半吐出状態となるように、ポート切換弁146を制御する。
また、油圧機構130のライン圧が高くなり過ぎると、油圧機構130側の油圧許容値を超えるおそれがあることから、吐出出力の要求値には上限値が設定されている。エンジン回転数が高速となると、吐出出力の要求値を半吐出状態で賄うことが可能となり、全吐出状態が選択されなくなる。
ところで、可変容量オイルポンプ1の吐出出力は、エンジン回転数の他に作動油の油温の影響を受ける。そのため、図6(b)に示すように、油温を、低温領域、常温領域、高温領域の油温領域に区分し、判定情報を、それぞれの油温領域ごとに設定している。以下では、常温領域に対応して設定された閾値について詳述し、他の油温領域に対応して設定された閾値については、常温領域に対応して設定された閾値と実質的に等しいことから説明を省略する。
図7は、吐出性能のバラつきを説明するための説明図である。可変容量オイルポンプ1は、構成部品のバラつきなどの影響により、吐出性能にバラつきが生じる。その結果、図7(a)に示す凡例a〜dのように、同じエンジン回転数でも吐出可能出力に差が生じ、吐出出力の上限値までの比例部分において、傾きに差が生ずる。図7(a)の例では、凡例aが最も吐出性能が低く、他の凡例b〜dに比べ、同じエンジン回転数でも半吐出状態での吐出可能出力が低い。また、凡例dが最も吐出性能が高く、他の凡例a〜cに比べ、同じエンジン回転数でも半吐出状態での吐出可能出力が高い。
このように、吐出性能にバラつきがある場合、吐出性能が最も低いものに合わせて、計算式を設定する。すなわち、凡例aの吐出性能に合わせて、エンジン回転数に乗算する係数を設定することとなる。その結果、例えば、凡例dについては、図7(b)にハッチングで示す領域において、本来、半吐出状態で賄うことができた吐出出力の要求値に対し、全吐出状態で応じることとなってしまう。
そこで、図4および図5に示す判定情報更新部148cは、エンジン回転数と、エンジン回転数における吐出出力の実測値に基づいて、記憶部148aに記憶されている判定情報を更新する。具体的に、判定情報更新部148cは、記憶部148aに記憶された判定情報である計算式のうち、エンジン回転数に乗算される係数(以下、記憶部148aに記憶されている係数を「記憶係数」と称す)を学習処理の対象とする。
そして、判定情報更新部148cは、エンジン回転数、および、エンジン回転数における吐出出力の実測値に基づいて係数(以下、判定情報更新部148cによる学習処理で導出された係数を「仮係数」と称す)を導出し、導出した仮係数と、記憶係数との比較結果に基づいて、記憶係数を更新する。ここで、仮係数は、吐出出力の実測値をエンジン回転数で除算して導出される。
例えば、図7(b)の凡例aの閾値となる計算式を学習処理によって補正する。出力切換部148bは、記憶部148aに記憶されている計算式、および、エンジン回転数に基づいて、閾値を特定する。そして、吐出出力の要求値が、特定した閾値以上であるか否かによって、半吐出状態と全吐出状態とを切り換える。学習処理によって、閾値とエンジン回転数の比例部分の傾きが補正されて凡例aから凡例bになれば、半吐出状態となる領域が拡大し、燃費改善が可能となる。
また、吐出出力の測定は、外乱の影響が小さく、エンジン回転数のプロフィール(履歴)に再現性が高いエンジン始動時(ISS(アイドルストップシステム)復帰時を含む)、および、車両が大凡定速走行となっているときなど、エンジン回転数が安定するエンジン安定期間に遂行される。
図8は、エンジン始動時の学習処理を説明するための説明図である。図8(a)には、エンジン始動時におけるエンジン回転数の時間経過に伴う推移の一例を示し、図8(b)には、可変容量オイルポンプ1の吐出出力の時間経過に伴う推移の一例を示す。
判定情報更新部148cは、図8(a)に示すように、エンジン始動時、エンジン回転数が増加し始めてから減少に転じるまで、エンジン回転数を監視する(判定期間)。この判定期間において、判定情報更新部148cは、図8(b)に一点鎖線で示すように、吐出出力の要求値を、実際にセンサ150aの出力値から導出される要求値よりも大きな値(例えば、上限値)に設定する。
そして、制御装置148は、センサ150aからの出力値に応じ、設定した吐出出力の要求値に、ライン圧センサ150bからの出力値が収束するように、コントロール弁136の開度をフィードバック制御する。その結果、可変容量オイルポンプ1の吐出出力は、図8(b)に示すように、半吐出状態で吐出可能な吐出可能出力まで上昇した後、エンジン回転数の低下と共に、低下していく。
判定情報更新部148cは、エンジン回転数がピークとなったとき(極大値となったとき)の吐出出力の実測値を取得する。このとき、エンジン回転数がピークとなる以前の吐出出力の実測値は、応答遅れの影響がある。そこで、エンジン回転数がピークとなったときの吐出出力の実測値を参照することで、応答遅れの影響を回避できる。また、判定期間の後、判定情報更新部148cは、吐出出力の要求値を、徐々に実際の(出力センサ150aの出力値に応じて導出した)要求値に収束させる。
図9は、エンジン安定期間の学習処理を説明するための説明図である。図9(a)には、車両走行時におけるエンジン回転数の時間経過に伴う推移の一例を示し、図9(b)には、可変容量オイルポンプ1の吐出出力の時間経過に伴う推移の一例を示す。
判定情報更新部148cは、図9(a)に示すように、エンジンの駆動中、エンジン回転数が所定時間、連続して安定しているか(エンジン回転変化量が所定範囲か)否かを判定し続ける。ここで、エンジン回転変化量は、例えば、所定の測定単位時間におけるエンジン回転数の最大値と最小値の差分など、エンジン回転数の変化の大きさを示す。
エンジン回転数が所定時間連続して安定すると、判定情報更新部148cは、学習処理を遂行する学習期間に移行する。学習期間においては、判定情報更新部148cは、図9(b)に一点鎖線で示すように、吐出出力の要求値を、実際にセンサ150aの出力値から導出される要求値よりも大きな値(例えば、上限値)に設定する。制御装置148は、センサ150aからの出力値に応じ、設定した吐出出力の要求値に、ライン圧センサ150bからの出力値が収束するように、コントロール弁136の開度をフィードバック制御する。その結果、可変容量オイルポンプ1の吐出出力は、図9(b)に示すように、半吐出状態で吐出可能な吐出可能出力まで上昇する。
判定情報更新部148cは、学習期間中の吐出可能出力の実測値を取得する。エンジン始動時には判定期間の最後の1サンプル分しか実測値が取得されないのに対し、学習期間においては、予め設定されたサンプリング周期で複数の実測値が取得可能となっている。
そして、エンジン回転数が安定しなくなるか(変化幅が所定範囲を超えると)、一定の時間が経過すると、学習期間が終了し、判定情報更新部148cは、吐出出力の要求値を、徐々に(段階的に)実際の(出力センサ150aの出力値に応じて導出した)要求値に収束させる。
こうして、判定情報更新部148cは、エンジン始動時やエンジン安定期間に取得した吐出出力の実測値を、その実測値を測定したときのエンジン回転数で除算して仮係数を導出し、記憶係数の学習処理を行う。以下、具体的な処理について、フローチャートを用いて詳述する。
(エンジン始動時学習処理)
図10は、エンジン始動時における学習処理の概略的な流れを示すフローチャートである。図10に示す処理は、エンジン始動時(ISS復帰時)、吐出出力の要求値が半吐出状態と全吐出状態を切り換える閾値未満のときに実行される。
(始動判定処理S200)
判定情報更新部148cは、エンジン始動中、または、ISS復帰中であるか否かを判定する。その結果、エンジン始動中、または、ISS復帰中であると判定した場合は、吐出出力置換処理S202に処理を移す。エンジン始動中、および、ISS復帰中のいずれでもないと判定した場合は、吐出出力要求値計算処理S214に処理を移す。
(吐出出力置換処理S202)
判定情報更新部148cは、吐出出力の要求値を、センサ150aの出力値から計算する代わりに、実際にセンサ150aの出力値から導出される要求値よりも大きな値に設定する。
(エンジン回転数判定処理S204)
判定情報更新部148cは、センサ150aの出力値に基づいて、エンジン回転数が第1所定値以下であるか否かを判定する。その結果、エンジン回転数が第1所定値以下である場合、ピーク検出判定処理S206に処理を移す。エンジン回転数が第1所定値より大きい場合、吐出出力要求値計算処理S214に処理を移す。エンジン回転数が大きすぎると、可変容量オイルポンプ1の吐出可能油圧が大きくなり過ぎて学習処理が遂行できなくなる。そこで、当該エンジン回転数判定処理S204によって、このような事態を回避する。
(ピーク検出判定処理S206)
判定情報更新部148cは、センサ150aの出力値に基づいて、エンジン回転数がピークとなったか(極大値となったか)否かを判定する。すなわち、判定情報更新部148cは、エンジン回転数が増加し始めてから減少に転じたか否かを判定する。その結果、エンジン回転数がピークとなったと判定すると、油温領域特定処理S208に処理を移す。エンジン回転数がピークとなっていないと判定した場合は、始動判定処理S200に処理を戻す。
(油温領域特定処理S208)
判定情報更新部148cは、センサ150aの出力値に基づいて、作動油の油温が低温領域、常温領域、高温領域のいずれに属するかを判断する。このとき、作動油の油温が低温領域の下限値を下回る、または、高温領域の上限値を上回る、すなわち、低温領域、常温領域、高温領域のいずれにも該当しないと、学習処理の対象外となる。
(油温学習対象判定処理S210)
判定情報更新部148cは、作動油の油温が、学習処理の対象外であるか否かを判定する。その結果、作動油の油温が、学習処理の対象外であると判定した場合は、吐出出力要求値計算処理S214に処理を移す。このように、油温が極端に低温、または、高温の場合に、学習処理を行わないことで、油温の挙動が不安定な状態での実測値による誤学習を回避することができる。作動油の油温が、学習処理の対象外でないと判定した場合は、学習処理S212に処理を移す。
(学習処理S212)
判定情報更新部148cは、特定された油温領域に対応する閾値について、学習処理を遂行する。当該学習処理S212については、後に詳述する。
(吐出出力要求値計算処理S214)
判定情報更新部148cは、吐出出力の要求値を、センサ150aの出力値から導出した値に収束させる。
(エンジン安定期間学習処理)
図11は、エンジン安定期間における学習処理の概略的な流れを示すフローチャートである。図11に示す処理は、エンジンの駆動中、吐出出力の要求値が半吐出状態と全吐出状態を切り換える閾値未満のときに、所定のインターバル(休止期間)を空けて繰り返し実行される。
(エンジン回転数判定処理S250)
判定情報更新部148cは、センサ150aの出力値に基づいて、エンジン回転数が第2所定値以下であるか否かを判定する。その結果、エンジン回転数が第2所定値以下である場合、エンジン回転変化量判定処理S252に処理を移す。エンジン回転数が第2所定値より大きい場合、当該エンジン回転数判定処理S250を繰り返す。当該エンジン回転数判定処理S250では、上記のエンジン回転数判定処理S204と同様、エンジン回転数が大きすぎて、学習処理が遂行できなくなる事態を回避する。
(エンジン回転変化量判定処理S252)
判定情報更新部148cは、センサ150aの出力値に基づいて、直前の測定単位時間において、エンジン回転変化量が所定範囲に含まれるか否かを判定する。その結果、エンジン回転変化量が所定範囲に含まれる場合は、所定タイマカウントアップ処理S254に処理を移す。エンジン回転変化量が所定範囲に含まれない場合は、エンジン回転数判定処理S250に処理を移す。
(所定タイマカウントアップ処理S254)
判定情報更新部148cは、所定タイマをカウントアップする。ここで、所定タイマは、図9に示す所定時間を計時するためのカウンタであり、所定タイマがタイマ第1閾値以上となると、所定時間が経過したことを示す。
(所定タイマ判定処理S256)
判定情報更新部148cは、所定タイマがタイマ第1閾値以上であるか否かを判定する。その結果、所定タイマがタイマ第1閾値以上であると判定すると、吐出出力置換処理S258に処理を移す。所定タイマがタイマ第1閾値未満であると判定すると、エンジン回転数判定処理S250に処理を移す。
(吐出出力置換処理S258)
判定情報更新部148cは、吐出出力の要求値として、センサ150aの出力値から計算する代わりに、実際にセンサ150aの出力値から導出される要求値よりも大きな値に設定する。
(学習タイマカウントアップ処理S260)
判定情報更新部148cは、学習タイマをカウントアップする。ここで、学習タイマは、図9に示す学習期間を計時するためのカウンタであり、学習タイマがタイマ第2閾値以上となると、学習期間の上限時間が経過したことを示す。
(学習タイマ判定処理S262)
判定情報更新部148cは、学習タイマがタイマ第2閾値以下であるか否かを判定する。その結果、学習タイマが第2閾値以下であると判定すると、油温領域特定処理S264に処理を移す。学習タイマが第2閾値より大きいと判定すると、タイマクリア処理S268に処理を移す。
(油温領域特定処理S264)
判定情報更新部148cは、センサ150aの出力値に基づいて、作動油の油温が低温領域、常温領域、高温領域のいずれに属するかを判断する。このとき、作動油の油温が低温領域の下限値を下回る、または、高温領域の上限値を上回る、すなわち、低温領域、常温領域、高温領域のいずれにも該当しないと、学習処理の対象外となる。
(油温学習対象判定処理S266)
判定情報更新部148cは、作動油の油温が、学習処理の対象外であるか否かを判定する。その結果、作動油の油温が、学習処理の対象外であると判定した場合は、タイマクリア処理S268に処理を移す。このように、油温が極端に低温、または、高温の場合に、学習処理を行わないことで、油温の挙動が不安定な状態での実測値による誤学習を回避することができる。作動油の油温が、学習処理の対象外でないと判定した場合は、学習処理S212に処理を移す。
(学習処理S212)
判定情報更新部148cは、特定された油温領域に対応する閾値について、学習処理を遂行する。当該学習処理S212については、後に詳述する。
(タイマクリア処理S268)
判定情報更新部148cは、所定タイマ、および、学習タイマをそれぞれクリアする(0にする)。
(吐出出力要求値計算処理S270)
判定情報更新部148cは、吐出出力の要求値を、センサ150aの出力値から導出した値に収束させる。
(学習処理S212)
図12は、エンジン始動時学習処理およびエンジン安定期間学習処理における学習処理S212の概略的な流れを示すフローチャートである。エンジン始動時学習処理およびエンジン安定期間学習処理双方の学習処理S212は、実質的に等しいため、同一のフローチャートで示す。
(実測値取得処理S212−2)
判定情報更新部148cは、ライン圧センサ150bの出力値に基づいて、吐出出力の実測値を取得する。また、判定情報更新部148cは、センサ150aの出力値に基づいて、吐出出力の実測値を測定したときのエンジン回転数も取得する。
(仮係数導出処理S212−4)
判定情報更新部148cは、実測値取得処理S212−2で取得した吐出出力の実測値を、実測値取得処理S212−2で取得したエンジン回転数で除算して仮係数を導出する。
(変動誤差判定処理S212−6)
判定情報更新部148cは、センサ150aの出力に基づいて、現在の油温に対応する油温領域の記憶係数と、仮係数との差分の絶対値が、変動誤差範囲より大きいか否かを判定する。変動誤差範囲は、予め設定された値である。その結果、記憶係数と仮係数との差分の絶対値が、変動誤差範囲より大きいと判定された場合は、記憶係数比較処理S212−8に処理を移す。記憶係数と、仮係数との差分値の絶対値が、変動誤差範囲と判定された場合、仮係数は、記憶係数に対して変動誤差の範囲に収まっているものとして記憶係数の更新は行わず、当該学習処理S212を終了する。
(記憶係数比較処理S212−8)
判定情報更新部148cは、記憶係数が、仮係数よりも小さいか否かを判定する。その結果、記憶係数が、仮係数よりも小さいと判定された場合は、記憶係数加算処理S212−10に処理を移す。記憶係数が、仮係数以上と判定された場合は、記憶係数減算処理S212−16に処理を移す。
(記憶係数加算処理S212−10)
判定情報更新部148cは、記憶係数を、記憶部148aに記憶されている記憶係数に、予め設定された所定の加算値を加算した値に更新する。
(記憶係数上限判定処理S212−12)
判定情報更新部148cは、記憶係数加算処理S212−10で更新した記憶係数が、油温領域ごとに予め設定された学習上限未満であるか否かを判定する。その結果、記憶係数加算処理S212−10で更新後の記憶係数が、油温領域ごとに予め設定された学習上限未満であると判定された場合は、当該学習処理S212を終了する。記憶係数加算処理S212−10で更新後の記憶係数が、油温領域ごとに予め設定された学習上限以上であると判定された場合は、記憶係数限定処理S212−14に処理を移す。
(記憶係数限定処理S212−14)
判定情報更新部148cは、記憶係数を、油温領域ごとに予め設定された学習上限の値に更新する。
(記憶係数減算処理S212−16)
判定情報更新部148cは、記憶係数を、予め設定された所定の減算値を、記憶部148aに記憶されている記憶係数から減算した値に更新する。ここで、減算値は、加算値よりも大きな所定の値となっている。
(記憶係数下限判定処理S212−18)
判定情報更新部148cは、記憶係数減算処理S212−16で更新後の記憶係数が、油温領域ごとに予め設定された学習下限より大きいか否かを判定する。その結果、記憶係数減算処理S212−16で更新後の記憶係数が、油温領域ごとに予め設定された学習下限より大きいと判定された場合は、当該学習処理S212を終了する。記憶係数減算処理S212−16で更新後の記憶係数が、油温領域ごとに予め設定された学習下限以下であると判定された場合は、記憶係数限定処理S212−20に処理を移す。
(記憶係数限定処理S212−20)
判定情報更新部148cは、記憶係数を、油温領域ごとに予め設定された学習下限の値に更新する。
上述したように、可変容量オイルポンプ1の制御装置148は、エンジン回転数と、エンジン回転数における吐出出力の実測値に基づいて、判定情報を更新するため、適正な閾値が特定され、燃費改善を図ることが可能となる。
(変形例)
上記の実施形態では、記憶係数は、1回の学習処理S212が遂行されるごとに、最大で、予め設定された加算値、または、減算値分だけ変化する場合について説明した。変形例においては、記憶係数への実測値(仮係数)の反映がより迅速に遂行される場合について説明する。
(変形例の学習処理S212)
図13は、変形例における学習処理S212の概略的な処理の流れを示すフローチャートである。図13において、上述した実施形態における学習処理S212と実質的に同じ処理については、同一の符号を付して説明を省略する。
(記憶係数変化量判定処理S212−50)
判定情報更新部148cは、仮係数から記憶係数を減算した差分値が、学習変化量上限未満であるか否かを判定する。ここで、学習変化量上限は、学習処理S212で許容される記憶係数の変化量の上限として、予め定められる。その結果、仮係数から記憶係数を減算した差分値が、学習変化量上限未満であると判定された場合は、記憶係数通常更新処理S212−52に処理を移す。仮係数から記憶係数を減算した差分値が、学習変化量上限以上であると判定された場合は、記憶係数上限更新処理S212−54に処理を移す。
(記憶係数通常更新処理S212−52)
判定情報更新部148cは、記憶係数を仮係数の値に更新する。
(記憶係数上限更新処理S212−54)
判定情報更新部148cは、記憶係数を、記憶係数に学習変化量上限を加算した値に更新する。
(記憶係数変化量判定処理S212−56)
判定情報更新部148cは、記憶係数から仮係数を減算した差分値が、学習変化量上限未満であるか否かを判定する。その結果、記憶係数から仮係数を減算した差分値が、学習変化量上限未満であると判定された場合は、記憶係数通常更新処理S212−58に処理を移す。記憶係数から仮係数を減算した差分値が、学習変化量上限以上であると判定された場合は、記憶係数上限更新処理S212−60に処理を移す。
(記憶係数通常更新処理S212−58)
判定情報更新部148cは、記憶係数を仮係数の値に更新する。
(記憶係数上限更新処理S212−60)
判定情報更新部148cは、記憶係数を、記憶係数から学習変化量上限を減算した値に更新する。
変形例においても、上述した実施形態と同様、可変容量オイルポンプ1の制御装置148は、閾値を適正に設定し、燃費改善を図ることが可能となる。また、記憶係数を更新するとき、仮係数で記憶係数を上書きすることから、吐出出力の実測値を迅速に閾値の傾きに反映することが可能となる。
上述した実施形態および変形例では、判定情報更新部148cは、半吐出状態において、吐出出力の目標値を、吐出出力の要求値よりも高く設定することで、吐出可能出力を測定して実測値を取得する場合について説明した。しかし、判定情報更新部148cは、半吐出状態において、吐出出力の目標値を、吐出出力の要求値よりも高く設定せずともよい。ただし、半吐出状態において、吐出出力の目標値を、吐出出力の要求値よりも高く設定することで、吐出出力の要求値を満たしつつ、半吐出状態における吐出可能出力を実測することが可能となる。
また、上述した実施形態および変形例では、判定情報は、少なくともエンジン回転数に所定の係数を乗算する式を含む計算式であって、判定情報更新部148cは、記憶部148aに記憶されている計算式の係数である記憶係数を更新する場合について説明した。しかし、判定情報は、計算式に限らずマップであってもよい。この場合、マップは、例えば、エンジン回転数を複数の回転数領域に区分し、回転数領域ごとに閾値が対応付けられた情報である。学習処理においては、判定情報更新部148cは、吐出出力の実測値が測定されたときのエンジン回転数が含まれる回転数領域に対応付けられた閾値を、吐出出力の実測値で更新する。そして、出力切換部148bは、更新されたマップを参照し、そのときのエンジン回転数が含まれる回転数領域に対応付けられた閾値を取得し、センサ150aの出力から導出された吐出出力の要求値が、取得した閾値以上であるか否かを判定する。
また、判定情報更新部148cは、記憶係数を更新するのではなく、マップに記憶されたエンジン回転数範囲ごとの閾値を更新してもよい。ただし、判定情報を計算式とし、記憶係数を更新することで、記憶部148aに記憶させるデータ量を抑制できるとともに、1回の学習処理で、広範囲のエンジン回転数に対応する閾値すべてを補正可能となる。
また、上述した実施形態および変形例では、判定情報更新部148cは、エンジン回転数、および、エンジン回転数における吐出出力の実測値に基づいて仮係数を導出し、導出した仮係数と記憶係数との比較結果に基づいて、記憶係数を更新する場合について説明した。しかし、判定情報更新部148cは、仮係数を導出しなくてもよいし、仮係数と記憶係数との比較結果に基づいて、記憶係数を更新せずともよい。ただし、判定情報更新部148cは、仮係数を導出し、仮係数と記憶係数との比較結果に基づいて、記憶係数を更新することで、吐出出力の実測値を適切に記憶係数に反映することが可能となる。
また、上述した実施形態および変形例では、判定情報更新部148cは、記憶係数と仮係数との差分が、所定の変動誤差範囲外となると、判定情報を更新する場合について説明した。しかし、判定情報更新部148cは、記憶係数と仮係数との差分が変動誤差範囲に含まれる場合であっても、判定情報を更新してもよい。ただし、判定情報更新部148cは、記憶係数と仮係数との差分が、所定の変動誤差範囲外となると、判定情報を更新することで、吐出可能出力やエンジン回転数の測定誤差による記憶係数の誤学習を抑えるとともに、処理負荷を低減することができる。
また、上述した変形例では、判定情報更新部148cは、仮係数が記憶係数よりも大きい場合、記憶係数通常更新処理S212−52において、記憶係数として仮係数を記憶する場合について説明した。この場合、記憶係数に、吐出出力の実測値を迅速に反映することが可能となる。
また、上述した実施形態では、判定情報更新部148cは、仮係数が記憶係数よりも大きい場合、記憶係数加算処理S212−10において、所定の加算値を、記憶部148aに記憶されている記憶係数に加算した値に、記憶係数を更新する場合について説明した。この場合、吐出出力のオーバーシュートの影響による誤学習の発生を抑制することが可能となる。
また、上述した実施形態では、判定情報更新部148cは、仮係数が記憶係数よりも小さい場合、記憶係数減算処理S212−16において、加算値よりも大きな所定の減算値を、記憶部148aに記憶されている記憶係数から減算した値に、記憶係数を更新する場合について説明した。この場合、記憶係数が適正値よりも大きく設定されているとき、吐出出力の変動誤差によって極端に閾値が小さく設定される事態の発生を抑制することができる。また、加算値よりも減算値が大きく設定されていることから、記憶係数を小さくする方が大きくするときよりも、実測値の反映を迅速とすることができ、全吐出状態への切り換えがされず吐出出力が不足するといった事態の発生を抑制することが可能となる。
また、上述した変形例では、判定情報更新部148cは、仮係数が記憶係数よりも小さい場合、記憶係数通常更新処理S212−58において、記憶係数として仮係数を記憶する場合について説明した。この場合、記憶係数に、吐出出力の実測値を迅速に反映することが可能となる。
また、上述した実施形態および変形例では、判定情報は、予め設定された複数の油温領域(低温領域、常温領域、高温領域)毎に設定される場合について説明したが、判定情報を複数の油温領域毎に設定せずともよい。例えば、判定情報を油温に拘わらず設定しておき、油温に応じて設定される補正係数を判定情報に組み込んでもよい。特に、一定期間、学習処理がなされていない油温領域の判定情報についてのみ、学習処理がなされている油温領域の判定情報に対して補正係数を組み込むことで、判定情報を補正してもよい。ただし、判定情報を複数の油温領域毎に設定することで、判定情報を一層適正な値に維持することが可能となる。
また、上述した実施形態および変形例では、油温領域が3つ設けられる場合について説明したが、油温領域は、1つまたは2つでもよいし、4つ以上であってもよい。
また、上述した実施形態では、仮係数が記憶係数よりも大きい場合、所定の加算値を、記憶部148aに記憶されている記憶係数に加算した値に、記憶係数を更新し、仮係数が記憶係数よりも小さい場合、加算値よりも大きな所定の減算値を、記憶部148aに記憶されている記憶係数から減算した値に、記憶係数を更新する場合について説明した。しかし、仮係数が記憶係数よりも小さい場合は、上述した変形例と同様、記憶係数として仮係数を記憶してもよい。この場合、記憶係数を大きくする補正は徐々に反映されることから、吐出出力のオーバーシュートの影響による誤学習の発生を抑制できる上、記憶係数を小さくする方が、大きくするときよりも一層迅速に、吐出出力を閾値に反映することができることから、さらなる安定性の向上を図ることが可能となる。
以上、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されないことは勿論であり、特許請求の範囲に記載された範疇における各種の変更例又は修正例についても、本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
本発明は、主に車両に搭載される可変容量オイルポンプの制御装置に利用できる。
1 可変容量オイルポンプ
10a ハウジング側第1吐出ポート(吐出ポート)
10b カバー側第1吐出ポート(吐出ポート)
11a ハウジング側第2吐出ポート(吐出ポート)
11b カバー側第2吐出ポート(吐出ポート)
148 制御装置
148a 記憶部
148b 出力切換部
148c 判定情報更新部

Claims (10)

  1. 2つの吐出ポートを有し、該2つの吐出ポートの一方から他方よりも高圧で作動油を吐出する半吐出状態と、該2つの吐出ポートの双方から作動油を吐出し、該半吐出状態よりもエンジン回転数に対応する吐出可能出力が大きい全吐出状態を切り換え可能な可変容量オイルポンプの制御装置であって、
    前記半吐出状態と前記全吐出状態とを切り換える閾値をエンジン回転数に応じて特定するための判定情報が記憶された記憶部と、
    エンジン回転数、および、該エンジン回転数における吐出出力の実測値に基づいて、前記記憶部に記憶された前記判定情報を更新する判定情報更新部と、
    前記記憶部に記憶されている前記判定情報、および、エンジン回転数に基づいて、前記閾値を特定するとともに、吐出出力の要求値が、特定した該閾値以上であるか否かによって、前記半吐出状態と前記全吐出状態とを切り換える出力切換部と、
    を備えることを特徴とする可変容量オイルポンプの制御装置。
  2. 前記判定情報更新部は、前記半吐出状態において、前記吐出出力の目標値を、前記吐出出力の要求値よりも高く設定することで、前記吐出可能出力を測定して前記実測値を取得することを特徴とする請求項1に記載の可変容量オイルポンプの制御装置。
  3. 前記判定情報は、少なくともエンジン回転数に所定の係数を乗算する式を含む計算式であって
    前記判定情報更新部は、前記記憶部に記憶されている前記計算式の前記係数である記憶係数を更新することを特徴とする請求項1または2に記載の可変容量オイルポンプの制御装置。
  4. 前記判定情報更新部は、前記エンジン回転数、および、該エンジン回転数における吐出出力の実測値に基づいて仮係数を導出し、導出した該仮係数と前記記憶係数との比較結果に基づいて、該記憶係数を更新することを特徴とする請求項3に記載の可変容量オイルポンプの制御装置。
  5. 前記判定情報更新部は、前記記憶係数と、前記仮係数との差分が、所定の変動誤差範囲外となると、該記憶係数を更新することを特徴とする請求項4に記載の可変容量オイルポンプの制御装置。
  6. 前記判定情報更新部は、前記仮係数が前記記憶係数よりも大きい場合、該記憶係数として該仮係数を記憶することを特徴とする請求項4または5に記載の可変容量オイルポンプの制御装置。
  7. 前記判定情報更新部は、前記仮係数が前記記憶係数よりも大きい場合、前記記憶部に記憶されている該記憶係数を、該記憶係数に所定の加算値を加算した値に更新することを特徴とする請求項4または5に記載の可変容量オイルポンプの制御装置。
  8. 前記判定情報更新部は、前記仮係数が前記記憶係数よりも小さい場合、前記加算値よりも大きな所定の減算値を、前記記憶部に記憶されている該記憶係数から減算した値に更新することを特徴とする請求項7に記載の可変容量オイルポンプの制御装置。
  9. 前記判定情報更新部は、前記仮係数が前記記憶係数よりも小さい場合、該記憶係数として該仮係数を記憶することを特徴とする請求項4から7のいずれか1項に記載の可変容量オイルポンプの制御装置。
  10. 前記判定情報は、予め設定された複数の油温領域毎に設定されることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の可変容量オイルポンプの制御装置。
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