<第1の実施の形態:寝台装置>
図1を参照して、本形態に係る寝台装置10の概略的構成を説明する。図1は寝台装置10を全体的に示す斜視図である。ここでは、寝台装置10を構成する支持ブロック18と寝台支持部12とを、縦方向に離間して示している。
以下の説明では、X方向、Y方向、Z方向の各方向を用いて説明を行う。ここで、X方向は寝台装置10の長手方向を示し、Y方向はその短手方向を示し、Z方向はその高さ方向を示している。
図1を参照して、本形態にかかる寝台装置10は、寝台支持部12と、寝台支持部12の周辺部を支持する支持ブロック18とから主に構成されている。寝台装置10の機能は、寝台支持部12の上面に載置された被検者(ここでは不図示)から放射される放射線を、下方に透過させると共に、横臥する被検者の体を安定的に支持することにある。
寝台支持部12は、射出成形された樹脂材料から成る板状体を呈する部材である。寝台支持部12の平面視での大きさは、例えば、成人男子が横臥することを可能とする程度であり、X方向の長さは2m程度であり、Y方向の長さは0.5m程度である。寝台支持部12の具体的な構成は、図2を参照して後述する。
寝台支持部12の材料としては、診察に用いられる放射線を一定上透過させる材料が選定され、例えば、繊維状材料を含むエポキシ樹脂等の樹脂材料が採用される。ここでは、一例として、炭素繊維強化プラスチック(carbon fiber reinforced plastic、 CFRP)が採用されている。CFRPは、炭素繊維とエポキシ樹脂とから成り、これらは原子番号の低い元素のみで混成されることから、診察に用いられる低エネルギー放射線の透過性が高いので、寝台支持部12の材料として好適である。
支持ブロック18は、寝台支持部12を周囲から支える略枠状の部材であり、例えは枠状に組まれたアルミニウムから構成される枠材と、この枠材の上面に組み込まれた合成樹脂から成る支持部材から構成される。
支持ブロック18の+Y方向の両端には、X方向に細長く伸びる側方支持部38が形成されている。側方支持部38は、+Y側から寝台支持部12を支え、寝台支持部12の+Y側の端部と連続する形状を呈している。また、支持ブロック18の−Y方向の両端には、X方向に細長く伸びる側方支持部36が形成されている。側方支持部36は、−Y側から寝台支持部12を支え、寝台支持部12の−Y側の端部と連続する形状を呈している。
支持ブロック18の+X側の端部付近を窪ませて収納部24が形成されている。収納部24のZ方向への深さおよびY方向の長さは、この部分に収納される寝台支持部12と同様である。また、寝台支持部12の+X側の端部付近は、締結部20を介して、収納部24に締結される。締結部20は、支持ブロック18および寝台支持部12の夫々に形成された孔部と、これらの孔部に螺合されたボルト等の締結手段から構成される。
支持ブロック18の−X側の端部付近を窪ませて収納部26が形成されている。収納部26のZ方向への深さおよびY方向の長さは、この部分に収納される寝台支持部12と同様である。また、寝台支持部12の−X側の端部付近は、締結部22を介して、収納部26に締結される。締結部22の構成は、上記した締結部20と同様である。
支持ブロック18の中央部分には、支持ブロック18を構成する部材が配置されない透過領域32が規定されている。寝台装置10を下方から見たら、透過領域32から、寝台支持部12の下面が露出する。使用状況下では、寝台支持部12の上面に横臥した被験体の体内から放射された放射線は、寝台支持部12およびその下方の透過領域32を通過して、これらの下方に配置されたコンプトンカメラに到達する。
寝台支持部12は、寝台装置10の+X側端まで延伸しているが、−X側端部までは延伸していない。寝台装置10の−X側の端部付近は、支持ブロック18を構成する樹脂材料(例えばABS)から形成されている。
寝台装置10の−X側の上面は、射出成形されたABS樹脂からなる足部支持部位28から構成されててる。X側から見た、足部支持部位28の上面形状は、寝台支持部12と同様の形状を呈している。通常、放射線を使用した診察を行う場合、診察対象は被験者の胴体や頭部が殆どであり、足部に対してこの診察を行う場合は殆ど無い。よって、本形態では、被験者の足部を支える部分は、ABS樹脂から成る足部支持部位28とし、この部分まではCFRPから成る寝台支持部12は延伸させていない。
側方支持部38のY方向内側を内側に突出させて中間支持部30が形成されている。中間支持部30は、寝台支持部12の+Y側の側辺と当接し、寝台支持部12の上面と、側方支持部38の上面とを、略同一平面上に位置させるように支持する機能を有する。X方向に於ける中間支持部30の位置は、X方向に於ける透過領域32の中央部付近に対応している。側方支持部36に関しても、同様に中間支持部30が形成される。
図2を参照して、平面視にて矩形形状を呈する寝台支持部12は、中央部分が薄く形成されると共に、周辺部が厚く形成されている。
具体的には、寝台支持部12の中央部付近には、矩形形状の薄い寝台支持部位14が形成され、寝台支持部位14を囲むように厚い周縁部位16A等が形成されている。寝台支持部位14のY方向における幅は、被検者の胴体の幅と同様程度である。
周縁部位16Aおよび周縁部位16Bは、夫々、寝台支持部12の+X側端部および−X側端部に矩形形状に規定されている。周縁部位16Cおよび周縁部位16Dは、夫々、−Y側端部および+Y側端部に形成されている。寝台支持部12の中央部分に薄い寝台支持部位14を形成することにより、寝台支持部12の上面に横臥する被検者の体内から放射される放射性を、良好に透過させることが可能となる。また、寝台支持部12の周辺部分に、厚い周縁部位16A等を形成することで、寝台支持部12の機械的強度を一定以上に確保し、被検者が乗った状態でも安全性が確保される。ここで、周縁部位16A、16B、16C、16Dは、一体的に形成されており、全体的に枠形状を呈している。
図3および図4を参照して、寝台装置10の断面構成を詳述する。図3は寝台装置10の長手方向の断面を示す図であり、図4は寝台装置10の短手方向の断面を示す図である。
図3を参照して、寝台装置10の長手方向の断面形状を説明する。図3(A)は寝台装置10を示す斜視図であり、図3(B)および図3(C)は、図3(A)のB−B線での断面図である。ここで、図3(B)は寝台装置10の+X側の断面を示し、図3(C)はその−X側の断面を示す。
図3(B)を参照して、寝台支持部12の+X側端部に形成された周縁部位16Aの下面は、支持ブロック18を構成する収納部24の上面に当接している。また、収納部24のX方向に於ける両端部は、Y方向に伸びるフレーム34Aおよびフレーム34Bで下方から補強されている。係る構成により、寝台支持部12の+X側の部分が支持ブロックにより強固に支持されるようになる。
また、寝台支持部12の寝台支持部位14は、支持ブロック18の透過領域32と重畳するように配置されている。これにより、寝台支持部位14の下方に、支持ブロック18を構成する樹脂部材や金属部材が存在しないので、これらの部材により放射線が遮蔽されてしまうことが防止される。
図3(C)を参照して、寝台支持部12の−X側端部に形成された周縁部位16Bの下面は、支持ブロック18を構成する収納部26の上面に当接している。また、収納部24のX方向に於ける両端部は、Y方向に伸びるフレーム34Dおよびフレーム34Eにより、下方から補強されている。係る構成により、寝台支持部12の−X側の部分が支持ブロックにより強固に支持されるようになる。
図4を参照して、寝台装置10の短手方向の断面形状を説明する。図4(A)は寝台装置10を示す斜視図であり、図4(B)は図4(A)のB−B線での断面図であり、図4(C)は要所を拡大して示す拡大断面図である。
図4(B)を参照して、寝台支持部12の+Y側の端部には肉厚の周縁部位16Cが形成されており、周縁部位16Cは支持ブロック18の側方支持部36により支持されている。また、寝台支持部12の+Y側の端部上面と、側方支持部36の上面とは、実質的に段差がない連続する面を形成している。
かかる事項は、寝台支持部12の−Y側端部でも同様である。即ち、寝台支持部12の−Y側端部には周縁部位16Dが形成され、周縁部位16Dは、支持ブロック18の側方支持部38に当接している。また、寝台支持部12の−Y側の端部上面と、側方支持部38の上面とは、連続面を構成している。
寝台支持部12の断面形状は、両端部よりも中央部分が下方に配置される湾曲形状を呈している。これにより、被検者(ここでは不図示)を寝台支持部12の中央部に横臥させることが可能となる。また、上面に被検者を載置した状態で寝台装置10が傾斜したとしても、凹状を呈する寝台支持部12に、被検者の胴体部分がフィットすることで、被検者の胴体が不要に移動することが防止される。
図4(C)を参照して、周縁部位16Cの厚さT12は、寝台支持部位14の厚さT10よりも、厚く形成されている。一例として、周縁部位16Cの厚さT12は、寝台支持部位14の厚さT10の2倍以上が好適である。係る厚さに関する事項は、図2に示す他の周縁部位16A、16B、16Dに関しても同様である。
この様に、周縁部位16A、16B、16C、16Dを、寝台支持部位14よりも厚く形成することにより、これらの周縁部が額縁の如く機能し、これにより寝台支持部12の全体としての機械的強度が高く確保される。
ここで、上記した寝台支持部位14の厚みT10は、その材料がCFRPの場合、4.0mm以上6.1mm以下が好適である。また、寝台支持部位14の厚みT10の更に好適な範囲は、4.5mm以上5.6mm以下であり、T10の範囲をこの様にすることで、以下に示す効果が顕著となる。
寝台支持部位14の最小厚みT10は4.0mm以上であるが、この厚みは寝台装置10の使用条件を加味して決定される。即ち、寝台支持部位14の材料がCFRPであると仮定し、その上面に体重が110kgの被検者が横臥した際の寝台支持部位14の変形量が3mmとなり、且つ、それに安全率の130%が加味されている。
次に、図5および図6を参照して、図4に示した寝台支持部12の寝台支持部位14の最大厚に関して説明する。図5は寝台支持部位14を透過するγ線のイベント数を示すグラフであり、図6は角度分解能を示すグラフである。上記したように、本形態における寝台支持部位14の最大の厚さは6.1mmであるが、この厚みは寝台支持部位14を透過するγ線のイベント数を勘案して決定される。以下、この厚みに関して説明する。
以下の検討では、γ線源として、NA−22およびCo−57の2つの線源を用いた。
核医学診断には主にPETとSPECTが使われている。PETでは陽電子放出核種が使用されるが、陽電子は付近の電子と対消滅を起こし511keVのγ線となる。PETでは主にF−18を使用するが、これは半減期が2時間程度と短く、研究での使用には適さない。そこで同様に陽電子放出核種で511keVのγ線が生じるNa−22をPET用核種の代わりに使用した。
一方、SPECTでは主に300keV以下のγ線を放出する放射性核種が使用される。特にTc−99mが良く使用され、これは141keVのγ線を放出する。Tc−99mも半減期が6時間程度と短く、研究には使用しづらい。Co−57は122keVのγ線を放出することから、エネルギーがTc−99mと近く、そのγ線の挙動推定に適している。
また、γ線の挙動はエネルギーに依存するが、高エネルギー側はNa−22の511keVのγ線で挙動が確認できており、122〜511keVのγ線の挙動が推測できることになる。そのため、上記について検証を行うことにより、Tc−99mをはじめ、より高いエネルギーのγ線を放出するI−123、I−131、In−111等の核医学でよく用いられる他の放射性核種についても挙動が推定できる。
本形態の実験方法は次のとおりである。Na−22(511keVのγ線源)の標準線源(1.9MBq)を架台に設置し、架台の下方からコンプトンカメラで2時間撮影を行った。架台の天板には厚さ3mmのアクリルが使用されている。その後、架台のアクリル天板とコンプトンカメラのケースとの間にCFRPを14枚(厚さ15.4mm)設置し、同様にコンプトンカメラで2時間の撮影を行った。同様にCo−57(122keVのγ線源)の標準線源(2.5MBq)を用いて同様の実験を行った。これらの撮影結果からエネルギースペクトル、イベント数、角度分解能の変化について調べた。ここで、イベント数とはコンプトンカメラが放射線を検出した数のことであり、イベント数の多さは、再構成される画像の鮮明さを示している。
その後、クロス材とUD材(クロス材を含まない材料)の透過率の違いについても検討を行った。
図5(A)に、NA−22を用いたエネルギースペクトルの変化を示す。点線が遮蔽無しでのスペクトル、実線がCFRPによる遮蔽時のスペクトルである。511keV、122keVのイベント数が低下していることが確認される。Na−22を用いた実験では低エネルギー(<200keV)のイベントが増加している事が確認された。
また、図5(B)を参照して、Co−57を用いた実験でも僅かではあるものの、同様に100keV以下のイベントの増加が見られた。これらはCFRPにより散乱されたγ線のうち偶然計測器方向に発せられたものが計測されていると考えられる。放射線計測機の精度・感度悪化につながるため、軽減させることが望ましいが、そのためにもCFRPは薄い方が望ましいと考えられる。
画像再構成に使用される511keVのイベント数を比較すると、遮蔽無しでは26655イベント、CFRP遮蔽時には22473イベントであった。ここからCFRP15.4mmによる511keVのγ線の透過率は84.3%となる。単位長さ当たりの遮蔽率を計算すると1.1%/mmである。
同様に122keVのイベント数を比較すると、遮蔽無しでは8907イベント、CFRP遮蔽時には6851イベントであった。ここからCFRP15.4mmによる511keVのγ線の透過率は76.9%となる。単位長さ当たりの遮蔽率を計算すると1.69%/mmである。
イメージングの精度を確保するためには、高いγ線透過率が必要で有る。特にγ線遮蔽によるンカメラ撮影に対しての影響を考慮すると、透過率を90%以上にするべきと考えられる。
また、放射線の強度は指数関数的に減少する。つまり厚さtの遮蔽物を透過した放射線の強度はI=I0exp(−ut)で計算することができる。ここでI0は遮蔽体に入射する前の放射線強度、uは減衰係数と呼ばれる遮蔽体固有の値である。ここでI0は遮蔽が無いときのイベント数、IはCFRPを置いた時のイベント数、tはCFRPの厚みになる。ここからuを算出し、I0x90%=I0exp(ux)となるxの値を求めることができる。
以上のことにより、Co−57の実験結果をもとにCFRPの厚みを計算すると、90%以上の透過率を得るためには6.1mm以下にする必要が有る。
図6(A)を参照して、角度分解能の変化についての検討結果を示す。ごごでは、NA−22について、CFRPの遮蔽が有る場合とない場合の角度分解能を示している。同様に、Co−57についてもCFRPの遮蔽が有る場合とない場合の角度分解能を示している。このグラフから明らかなように、CFRPの有無は角度分解能に殆ど影響を与えていない。従って、十分なイベント数が得られれば、CFRPによる角度分解能の悪化は見られないという結果になった。
図6(B)に、クロス材を含むサンプル板(クロス材)とUD材のみのサンプル板の透過率の差を示す。この差についてt検定を用いて有意差検定を行ったところ、p<0.05で有意に、クロス材の方が透過率が高いことが分かった。しかし、その差は非常に小さく、クロス材とUD材の比率による透過率への影響は無視できると考えられる。
以上のことから、図4(C)に示す寝台支持部位14としては、6.1mm以下のCFRPを用いることが好適であることが明らかとなった。
<第2の実施の形態:診断装置>
以下、図を参照して、上記した寝台装置10を含む診断装置50を説明する。
図7を参照して、本形態に係る診断装置50の概略的構成を説明する。図7(A)は診断装置50を全体的に示す斜視図であり、図7(B)はカバー76等を外した状態の診断装置50を示す斜視図である。
以下の説明では、X方向、Y方向、Z方向の各方向を用いて説明を行う。ここで、X方向とは診断装置50が備える寝台装置10の長手方向を示し、Y方向は寝台装置10の短手方向を示し、Z方向はその高さ方向を示している。
図7(A)を参照して、本形態にかかる診断装置50は、寝台装置10と、この寝台装置10を周囲から支える3つの支持部(第1支持部52、第2支持部54および第3支持部56)とから主要に構成されている。また、第1支持部52、第2支持部54および第3支持部56は、夫々、カバー76、カバー78およびカバー80により被覆されている。カバー76等が備えられていることで、被検体である患者の体が、第1支持部52等に接触してしまうことが防止される。
寝台装置10等の構成要素は、金属製のフレーム84、86、88を組み合わせたフレーム体82により機械的に支持されている。また、フレーム体82の下部には不図示のローラーが備えられており、これにより診断装置50は移動可能とされる。
図7(B)を参照して、診断装置50の構成を更に詳述する。ここでは、第1支持部52等の構成を示すために、上記したカバー76等を省いて図示している。
第1支持部52は、高さ方向(Z方向)に伸縮可能な柱状部材であり、リフティングコラムとも称される。ここでは、高さ方向への伸縮長さを1m程度以上に長くするために、第1支持部52は、縦方向に組み合わされた2つのリフティングコラム部から構成されている。このような構成は、第2支持部54および第3支持部56に関しても同様である。また、第1支持部52等の下端部は、フレーム88に対して移動可能に取り付けられているが、かかる構成に関しては後に説明する。
寝台装置10の、第1支持部52に接近する側辺には、第1延伸部64が配置されている。第1延伸部64は、金属板を所定形状に曲折加工して形成され、その下端は寝台装置10に取り付けられ、その上端は第1支持部52の上端より上方に配置されている。そして、第1支持部52の上端部と、第1延伸部64の上端部とは、第1接続部58を介して接続されている。第1接続部58は、両者を回転自在に接続するが、この機構については後述する。
同様に、寝台装置10の第2支持部54に接近する側辺に第2延伸部71が配置され、第2延伸部71の下端は寝台装置10に取り付けられ、その上端は第2支持部54の上端より上方に配置されている。そして、第2支持部54の上端部と、第2延伸部71の上端部とは、第2接続部70を介して回転可能に接続されている。
また、寝台装置10の第3支持部56に接近する側辺には第3延伸部73が配置され、第3延伸部73の下端は寝台装置10に取り付けられ、その上端は第3支持部56の上端より上方に配置されている。そして、第3支持部56の上端部と、第3延伸部73の上端部とは、第3接続部72を介して回転可能に接続されている。
上記した第1接続部58、第2接続部70および第3接続部72にて、各部材が回転可能に接続される構造は後に図9を参照して後述する。
診断装置50の機能は次の通りである。第1支持部52、第2支持部54または第3支持部56を、上下方向に伸縮させることで、第1接続部58、第2接続部70または第3接続部72を、上下方向に移動させる。これにより、寝台装置10の上面の角度を変更し、寝台装置10の上面に横臥した被検体の位置や姿勢を変更する。従って、第1支持部52、第2支持部54及び第3支持部56は、寝台装置10の周辺部付近に配置されるので、寝台装置10の下方に、寝台装置10を支持するための部材が配置されない。よって、寝台装置10の下方に、コンプトンカメラ等の診断用装置を配置することが可能となる。更に、複数の支持部を用いて、寝台装置10を周辺部から支持することで、寝台装置10をより安定的に支持することが可能となる。
図7(B)を参照して、上記した各支持部と寝台装置10との関連構成を説明する。寝台装置10は、その上面に患者等を横臥させるために、その平面視の形状はX方向に長手方向を有する矩形形状を呈している。よって、寝台装置10は、短手方向に伸びる第1側辺10Aおよび第2側辺10Bと、長手方向に伸びる第3側辺10Cおよび第4側辺10Dとを有している。
本形態では、第1支持部52は、第1接続部58および第1延伸部64を介して、寝台装置10の、第3側辺10Cの−X側の端部を支持している。同様に、第2支持部54は、第2接続部70および第2延伸部71を介して、寝台装置10の、第4側辺10Dの−X側の端部を支持している。このように、第1支持部52および第2支持部54は、第3側辺10Cおよび第4側辺10Dを支持し、第2側辺10Bには接続していない。診断装置50の使用時に於いては、被検者は、その頭部が第1側辺10A側に配置されると共に、その脚部が第2側辺10B側に配置されるように、寝台装置10の上面に横臥する。よって第1支持部52および第2支持部54を、第2側辺10Bに配置しないことで、これらの支持部が患者の脚部と干渉することが防止される。
また、本形態では、上記したように3つの支持部(第1支持部52、第2支持部54および第3支持部56)で矩形形状の寝台装置10を支持している。寝台部を支持する構成としては、寝台装置10の四隅に4つの支持部を配置することも考えられるが、そのようにすると、4つの支持部を同一平面上に配置することが困難なため、寝台装置10を安定的に支持することが困難と成る。そこで本形態では、寝台装置10の、−X側端部に2つの支持部(第1支持部52および第2支持部54)を配置し、+X側端部に1つの第3支持部56を配置している。寝台装置10は、これらの支持部により三点支持されることで、その上面の角度が変更されたとしても、安定して支持されることが可能となっている。
更に、診断装置50を−X側から見た場合、第3支持部56は、第1支持部52と第2支持部54との間(好適には中間点)に配置されている。これにより、寝台装置10の中心部付近が、これらの支持部により支持されることになるので、寝台装置10の横臥する患者をより安定的に支持することが可能となる。
また、本形態では、後述するように、第1支持部52等を伸縮させることにより、寝台装置10の上面の角度を変更するが、寝台装置10が傾斜した場合であっても、各延伸部および各カバーと、寝台装置10との相対的な位置関係は変更されない。よって、寝台装置10の角度変更に伴い、寝台装置10の上面に横臥する被検者111に、カバー76等が接触してしまうことが防止されている。
図8を参照して、診断装置50を構成するフレーム体82の構成を説明する。この図は、診断装置50の下部部分、特にフレーム体82を抜き出して示す平面図である。
フレーム体82は、−X側の端部でY方向に伸びるフレーム88と、+X側の端部でY方向に伸びるフレーム84と、中央部に配置された載置板90と、載置板90とフレーム84とを接続する2本のフレーム86とを主要に有している。また、フレーム88の両端部にはローラー96、100が備えられており、フレーム84の両端にはローラー101、98が備えられている。各ローラー100等は、備えられたレバーを操作することにより、回転可能な移動状態と、回転が規制される固定状態とを切り替えることができる。診断装置50の移動時には、全てのローラーが移動状態とされる。一方、診断装置50の使用時には、ローラー101、98が固定状態であり、ローラー100、96が移動状態とされる。これにより、ローラー100、96により支えられる第1支持部52および第2支持部54のX方向への移動が許容される。係る事項については図13を参照して後述する。
また、第1支持部52を支える支持板102と、第2支持部54を支える支持板104とは、第1距離変更機構92で接続されている。第1距離変更機構92は、診断装置50の使用時に於いて、第1支持部52および第2支持部54の移動量を規制する役割を有する。この事項に関しては、図12を参照して後述する。
更に、載置板90とフレーム88との間には第2距離変更機構94が架設されている。第2距離変更機構94は、診断装置50の使用時に於いて、第1支持部52および第2支持部54と、第3支持部56との距離の変動を許容する機能を有する。この事項に関しては、図13を参照して後述する。
図9を参照して、診断装置50の寝台装置10が支持される構造を説明する。図9(A)は診断装置50を−X方向から見た側面図であり、図9(B)は第1接続部58を拡大して示す拡大断面図である。
図9(A)を参照して、寝台装置10の+Y側の端部は、第1延伸部64および第1接続部58を介して、第1支持部52により支持されている。第1延伸部64の概略的形状は、その下端部分が寝台装置10に接続され、中間部分は外側上方に向かって伸びる傾斜部位であり、上端部分は第1支持部52の上方で平坦部分を構成している。かかる構成は、他の延伸部(第2延伸部71、第3延伸部73(図7(B)参照))に関しても同様である。
図9(B)を参照して、第1支持部52の上端と、第1延伸部64の上端部との間には、両者を接続する第1接続部58が形成されている。第1接続部58は、球状突出部60と、球状受部62とから構成される滑り軸受である。球状突出部60は、第1支持部52の上端部と棒状部材を介して接続されており、外側に凸となる球面部分を有している。一方、球状受部62は、平坦部位である第1延伸部64の上端部分に形成され、球状突出部60に対応した球面部分を有している。球状突出部60の曲面と、球状受部62の曲面とが接触することで、滑り軸受が構成されている。よって、第1延伸部64は、第1接続部58を介して、第1支持部52により、回転可能に支持されている。係る事項は他の支持部でも同様であり、図7(B)を参照して、第2延伸部71は第2接続部70を介して回転可能に第2支持部54により支持される。また、第3延伸部73は第3接続部72を介して回転可能に第3支持部56により支持される。
図10を参照して、第1支持部52等がフレーム88に支持される構成を説明する。図10(A)は診断装置50を−X側から見た側面図であり、図10(B)は図10(A)のB−B線での断面図である。
図10(A)を参照して、第1支持部52の下端は、金属板から成る支持板102を介して、フレーム88により支持されている。同様に、第2支持部54の下端は支持板104を介してフレーム88により支持される。ここで、第1支持部52および第2支持部54は、X方向およびY方向において鉛直状態を保ったまま、フレーム88に沿ってY方向に移動可能である。
図10(B)を参照して、第1支持部52および支持板102がフレーム88に支持される構成を説明する。フレーム88の上面には、二本のレール122が設置されており、各々のレール122に対応して、支持板102の下面には2つのレール受部124が備えられている。レール受部124の下端に形成された凹状部分に、レール122が部分的に収納されている。また、レール122とレール受部124との間には、両者の摺動を促進させるために、ボールべアリングが介装されても良い。係る構成により、使用状況下にて、レール122の上面でレール受部124が摺動することで、支持板102に支えられた第1支持部52は、Y方向に沿って移動可能と成る。同様に、図10(A)を参照して、支持板104に支えられる第2支持部54も、Y方向に沿って移動可能とされている。
図11を参照して、上記した診断装置50が、医療用診断装置として用いられる場合について説明する。図11(A)は診断装置として用いられる診断装置50を示す側面図であり、図11(B)はそれを−X方向から見た側面図である。
図11(A)を参照して、診断装置50の上面には、被検者111が横臥している。被検者111は、その頭部が第3支持部56側に接近し、その脚部が第2支持部54側に接近する様に、横臥している。
ここでは、診断装置50の載置板90の上面に、コンプトンカメラ105(計測部)が載置されている。コンプトンカメラ105は、放射線の一種であるガンマ線を検出し、所謂コンプトン効果の原理を用いて、ガンマ線の方向を算出して可視化することが可能である。本形態では、被検者111に導入された放射性剤から放射されたガンマ線を、コンプトンカメラ105で撮影することにより、例えばガン細胞が集合した特異状態部位を確認することができる。
コンプトンカメラ105が備えられた診断装置50を用いて、被検者111を診断する方法は次の通りである。先ず、診断装置50の載置板90の上面に於ける所定箇所に、コンプトンカメラ105を載置する。このとき、載置作業を容易にするために、第1支持部52、第2支持部54および第3支持部56を、縦方向に例えば1m程度伸ばし、寝台装置10を上方に移動させる。本形態では、第1支持部52等は、縦方向に積層された2つのリフトコラム部から構成されるので、第1支持部52等が縦方向に伸縮する長さを長く確保することができる。コンプトンカメラ105を、載置板90の所定箇所に配置した後は、第1支持部52、第2支持部54および第3支持部56を、均等に縮めることにより、寝台装置10の位置を低くする。
次に、被検者111が寝台装置10の上面に横臥する。本形態では、上記したように、第1支持部52等を複数のリフトコラム部から構成しているので、第1支持部52等を短く縮めることにより、寝台装置10の位置を低くすることか出来る。よって、被検者111が、例えば高齢者等であったとしても、寝台装置10の上面に容易に搭乗して横臥することができる。このとき、被検者111の体内には、注射等を行うことにより、放射線剤が存在している。
次に、コンプトンカメラ105を稼働させ、被検者111の体内に存在する放射線剤から放射されるガンマ線(放射線)を撮影する。コンプトンカメラ105により得られた情報から、画像を構成することにより、例えば、断層画像が得られる。この断層画像から、例えば、癌の診断等を行うことが出来る。
コンプトンカメラ105を用いて撮影を行う場合において、様々な角度からの撮影を行うために、本形態では、被検者111が上面に横臥した状態の寝台装置10の角度を変更させている。寝台装置10の上面の角度を変更する方法は図12および図13を参照して後述する。
図12を参照して、X方向から見た寝台装置10の角度を変更する構成及び方法を説明する。図12(A)および図12(B)は寝台装置10が水平状態の場合を示し、図12(A)は診断装置50を+X方向にみた側面図であり、図12(B)はフレーム88に第1支持部52等が接続する部分等を示す平面図である。また、図12(C)および図12(D)は、寝台装置10が傾斜状態の場合を示し、図12(C)は診断装置50を+X方向にみた側面図であり、図12(C)はフレーム88に第1支持部52等が接続する部分等を示す平面図である。
図12(A)および図12(B)を参照して、寝台装置10が水平状態の場合の構成を説明する。
図12(A)に示すように、寝台装置10の上面が水平面(X−Y平面)に対して平行な水平状態では、第1支持部52、第2支持部54および第3支持部56(ここでは不図示)上端は、同じ高さである。よって、各接続部および各延伸部を介して各支持部により支えられる寝台装置10は水平状態となっている。この場合では、第1支持部52と第2支持部54とは、長さL10で離間している。
図12(B)を参照して、第1支持部52および第2支持部54のY方向への移動を規定する第1距離変更機構92の構成を説明する。第1距離変更機構92は、第1リンク106、第2リンク108および第3リンク110とから構成されている。第1リンク106の+Y側の端部は、第1支持部52を支える支持板102に対して、回転可能に接続されている。第1リンク106の−Y側の端部は、第3リンク110の+Y側の端部に対して、回転可能に接続されている。第2リンク108の−Y側の端部は、第2支持部54を支える支持板104に対して、回転可能に接続されている。第2リンク108の+Y側の端部は、第3リンク110の−Y側の端部に対して、回転可能に接続されている。第3リンク110の中央部分は、フレーム88に対して回転可能に接続されている。このような構成の第1距離変更機構92は、所謂リンク機構として動作する。第1距離変更機構92の機能は、第1支持部52のY方向への移動長さと、第2支持部54のY方向への移動長さとを、略同一にすることにある。
図12(C)および図12(D)を参照して、寝台装置10を傾斜させた状態を説明する。
図12(C)に示すように、第1支持部52の上端を、第2支持部54の上端部よりも低くすると、寝台装置10は反時計回りに回転して傾斜する。ここで、第1支持部52と第2支持部54との相対的な高さの変化は、第1支持部52を縮めることのみで実現されても良いし、第2支持部54を伸ばすことのみで実現されても良いし、第1支持部52を縮めると同時に第2支持部54を伸ばすことで実現されても良い。
第1支持部52の上端部が、第2支持部54の上端よりも低くなること、寝台装置10は、第1延伸部64および第2延伸部71と共に、X軸を中心として反時計回りに回転し、傾斜する。本形態では、寝台装置10の側方に配置した第1支持部52および第2支持部54を伸縮させることで、寝台装置10を傾斜させているので、寝台装置10を安定的に支持しつつ傾斜させることが可能となる。また、図7(B)に示すように、寝台装置10の+X側の第1側辺10Aの中心部分は、第3延伸部73を介して第3支持部56により支持されている。従って、寝台装置10は、三点支持を保持したまま傾斜動作を行うので、これによっても安定した動作が可能となる。
図12(C)に示すように、第1支持部52および第2支持部54は、これらの先端部に形成された回転可能な第1接続部58および第2接続部70を介して、寝台装置10を支持している。よって、第1支持部52、第2支持部54、寝台装置10、第1延伸部64および第2延伸部71の、相対的な位置や角度が変更したとしても、第1接続部58および第2接続部70が回転することにより、これらの部位に曲げモーメントが作用することが防止されている。
このように、寝台装置10を傾斜させると、第1支持部52と第2支持部54との距離L10は、図12(A)に示す場合と比較して、短くなる。本形態では、図10(B)に示したように、第1支持部52および第2支持部54は、レール122により移動可能に支持されている。よって、寝台装置10の回転(傾斜)と共に、第1支持部52は垂直状態を維持したまま−Y側に移動し、第2支持部54は垂直状態を維持したまま+Y側に移動する。このことにより、寝台装置10の回転に伴い、第1支持部52および第2支持部54にストレスが作用することが防止されている。
図12(D)を参照して、上記した第1支持部52および第2支持部54のY方向への移動量は、第1距離変更機構92で制御されている。具体的には、上記した寝台装置10の傾斜に伴い、第1支持部52が−Y側に移動しようとすると、第1支持部52を支える支持板102により第1リンク106は−Y側に押される。同様に、第2支持部54が+Y側に移動しようとすると、第2支持部54を支える支持板104により第2リンク108は+Y側に押される。これにより、第3リンク110の−X側の端部は第1リンク106により−Y方向に押され、第3リンク110の+X側の端部は第2リンク108により+Y方向に押される。よって、第3リンク110は、反時計回りに回転する。第1距離変更機構92のこのような動作により、第1支持部52の−Y方向への移動量と、第2支持部54の+Y方向への移動量とは、等しくされている。よって、寝台装置10(図12(C))は、傾斜した状態であってもY方向における中央部分に配置されるので、安定して支持される。
図13を参照して、Y方向から見た寝台装置10の角度を変更する構成及び方法を説明する。図13(A)および図13(B)は寝台装置10が水平状態の場合を示し、図13(A)は診断装置50を+Y方向に見た側面図であり、図13(B)は第2距離変更機構94を示す平面図である。また、図13(C)および図13(D)は寝台装置10が傾斜状態の場合を示し、図13(C)は診断装置50を+X方向に見た側面図であり、図13(D)は第2距離変更機構94を示す平面図である。
図13(A)および図13(B)を参照して、寝台装置10が水平状態の場合の構成を説明する。
図13(A)を参照して、第1支持部52(不図示)、第2支持部54および第3支持部56の先端部が同一の高さであることで、寝台装置10は水平状態となっている。この場合、第1支持部52(不図示)および第2支持部54と、第3支持部56とは、距離L20で離間している。
図13(B)を参照して、フレーム88のY方向中央部付近には支持板114が固定されており、載置板90のY方向中央部付近には支持板112が固定されている。支持板114と支持板112との間には第2距離変更機構94が配置されている。第2距離変更機構94は、支持板114と支持板112との間にされた2本の支持棒120と、支持棒120の+X側の端部を支持板112に固定する保持部116と、支持棒120の−X側の端部を支持板114に固定する保持部118と、から構成される。
支持棒120は、例えば円柱状の鋼材から成り、何れか一方の端部が固定され、他方の端部が移動可能に保持される。例えば、支持棒120の+X側の端部が保持部116により移動しないように支持板112に固定され、支持棒120の−X側の端部が保持部118により移動可能に支持板114に固定される。これにより、下記するように、寝台装置10の傾斜に伴い、図7(C)に示す第2支持部54と第3支持部56との距離L20が変更可能となる。
図13(C)および図13(D)を参照して、寝台装置10を傾斜させた状態を説明する。
図13(C)に示すように、第3支持部56の上端を、第2支持部54および第1支持部52(図7(B))の上端部よりも高くすると、寝台装置10は反時計回りに回転して傾斜する。ここで、第2支持部54と第3支持部56との相対的な高さの変化は、第2支持部54および第1支持部52を縮めることのみで実現されても良いし、第3支持部56を伸ばすことのみで実現されても良いし、第2支持部54および第1支持部52を縮めると同時に第3支持部56を伸ばすことで実現されても良い。
第2支持部54の上端部が、第3支持部56の上端よりも低くなること、寝台装置10は、第2延伸部71および第3延伸部73と共に、Y軸を中心として反時計回りに回転し、傾斜するようになる。本形態では、寝台装置10の端部付近に配置した第2支持部54および第3支持部56を伸縮させることで、寝台装置10を傾斜させているので、寝台装置10を安定的に支持しつつ傾斜させることが可能となる。
図13(C)に示すように、第2支持部54および第3支持部56は、これらの先端部に形成された回転可能な第2接続部70および第3接続部72を介して、寝台装置10を支持している。よって、寝台装置10を傾斜させたとしても、第2接続部70および第3接続部72が回転することで、診断装置50を構成する各部位に、ストレスが作用することが防止されている。
このように、寝台装置10を傾斜させると、第2支持部54と第3支持部56との距離L20は、図13(A)に示す場合と比較して、短くなる。本形態では、図13(D)に示したように、第2支持部54と第3支持部56との間に、第2距離変更機構94が介在することで、距離L20が短くなることを可能としている。
具体的には、図13(D)を参照して、変位可能に支持されている支持棒120の−X側の端部が、−X側に移動することで支持板114と支持板112との距離L21が短くなるのを許容している。
また、この際、図13(C)を参照して、+X側のローラー98は固定される一方、−X側のローラー96は回転可能とされている。よって、寝台装置10が上記のように傾斜すると、−X側のローラー96が回転して移動することで、第2支持部54の位置移動を行っている。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。