JP2017006809A - 白金族担持触媒及びその製造方法 - Google Patents

白金族担持触媒及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】白金族触媒を炭素粉末材料の細孔内に担持させることなく、白金族触媒粒子を電極反応に必要な大きさに均一にそろえた、白金族担持触媒の製造方法を提供する。
【解決手段】白金族担持触媒の製造方法によれば、白金族塩と錯化剤とにより白金族塩溶液を生成し、白金族塩溶液と、炭素粉末を分散した炭素粉末分散液と、を混合し、白金族塩溶液と炭素粉末分散液との混合液に還元剤を添加して、白金族塩を還元して炭素粉末上に白金族粒子を担持させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料電池用触媒として利用可能な白金族担持触媒及びその製造方法に関する。
固体高分子形をはじめとする燃料電池は、次世代の発電システムとして期待されており、中でも固体高分子形燃料電池は他の燃料電池と比較して動作温度が低く、コンパクトであるという利点から、家庭用、自動車用の電源としての利活用が期待されている。一般的に燃料電池は複数のセルを積層し、それらをボルト等の締結部材で加圧締結することにより構成されている。1つのセルは、膜電極接合体(以下、MEA:Membrane Electrode Assemblyと呼ぶ。)を一対の板状の導電性のセパレータで挟んで構成されている。固体高分子形燃料電池の膜電極接合体(MEA)は、アノード極及びカソード極と、これらの電極に挟まれる高分子電解質膜を接合して構成される。そして、アノード極へは水素を含有する燃料ガスが、多孔質で導電性を有するガス拡散層を介して供給され、カソード極へは空気などの酸素を含有する酸化剤ガスがガス拡散層を介して供給され、各極で生じる酸化還元反応により生じる電気を取り出すようにしている。ガス拡散層は、一般に、炭素繊維からなる基材の表面に、カーボンと撥水材からなるコーティング層を設けて構成されている。また、両反応極は電気化学的な反応を促進させるため、触媒と固体電解質との混合体が一般に適用されている。アノード極及びカソード極を構成する触媒としては、触媒金属として貴金属、特に白金族を用い、それをカーボンブラックやカーボンナノファイバー等の炭素材料に担持させた白金族担持触媒が広く用いられている。白金族が燃料電池用の触媒として使用されている理由はその活性にある。すなわち白金族は、アノード極及びカソード極の双方の電極反応を促進させる上で、高い活性を有することによるものである。
そして、近年の燃料電池の普及に伴い、固体高分子形燃料電池用触媒に対して、単に活性に優れていることのみならず、様々な改善、特に、触媒に使用される白金族の使用量、担体への担持量の低減が求められており、多数の検討がなされている。
たとえば白金塩の水溶液と炭素粉末を撹拌、混合して担持させる方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)しかしながら、その方法では、後工程で1,000℃の高温処理による合金化工程が必要となり、担体となる炭素粉末が高温処理により変成する可能性や担持された白金が合一する可能性があり、性能を発揮させることが難しかった。
また、白金族塩の水溶液と錯化剤とを混合させることで、白金族錯体を形成して炭素粉末に担持させることで白金族の粒子径を制御する手法も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この方法でも後工程で650℃から1,000℃の熱処理を必要とするため、担体となる炭素粉末が高温処理により変成する可能性や担持された白金族が合一する可能性があり、安定して性能を発揮させることが難しかった。また、この方法でも多孔質状の炭素粉末の細孔内に白金族が吸着されてしまい、電極反応のメカニズムとして知られている三相界面を形成することが困難となり、この白金触媒は効率よく電極反応に作用していなかった。
特許第3643552号公報 特許第5524761号公報
電極反応に預かる触媒を低下させること無く、白金族触媒の担持量を下げるには、炭素粉末に担持した白金族粒子を電極反応に必要な大きさに均一にそろえること、白金族触媒を電極反応に寄与しない炭素粉末材料の細孔内に担持させないことが重要である。しかしながら、前記従来の構成では、白金源となる錯体もしくは前駆体が小さいためにそれらが集合するサイズはばらつきが大きくなる。また、炭素粉末の細孔が錯体サイズに対して大きいため、錯体を形成しても炭素粉末の細孔内に吸着するため、白金族触媒が凝集して粒径が均一でなく、また、炭素粉末の細孔内に吸着した白金族は有効に働かないために活性が低いという課題を有している。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、白金族触媒粒子を電極反応に必要な大きさに均一にそろえること、白金族触媒を電極反応に寄与しない炭素粉末材料の細孔内に担持させないことを実現した白金族担持触媒及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る白金族担持触媒は、炭素粉末担体と、
前記炭素粉末担体上に担持された白金族粒子と、
を備え、
前記白金族粒子は、粒径分布が1.0nm以上6.0nm以下である。
本発明に係る白金族担持触媒は、炭素粉末担体と、
前記炭素粉末担体上に担持された白金族粒子と、
を備え、
前記炭素粉末担体の表面から10nmの深さまでに存在する前記白金族粒子の、前記炭素粉末担体に担持された前記白金族粒子の総量に対する比率が70%以上である。
また、本発明に係る白金族担持触媒の製造方法は、白金族塩と錯化剤とにより白金族塩溶液を生成し、
前記白金族塩溶液と、炭素粉末を分散した炭素粉末分散液と、を混合し、
前記白金族塩溶液と前記炭素粉末分散液との混合液に還元剤を添加して、白金族塩を還元して前記炭素粉末上に白金族粒子を担持させる。
本発明に係る白金族担持触媒によれば、白金族粒子の粒径分布が1.0nm以上6.0nm以下と狭く、粒子径が均一な白金族粒子を担持している。
また、本発明に係る白金族担持触媒によれば、炭素粉末担体の表面から10nmの深さまでに存在する白金族粒子の、炭素粉末担体に担持された白金族粒子の総量に対する比率が70%以上であり、担体表面近傍の白金存在比率を高めている。
本発明に係る白金族担持触媒の製造方法によれば、白金族塩と錯化剤から形成される白金族錯体を炭素粉末に吸着させる際、錯化剤分子の立体的な障害、静電的な相互作用など、錯体と炭素粉末との相互作用により、炭素粉末の細孔内へ上記白金族錯体が進入するのを抑制できる。これによって、炭素粉末担体の表面から一定の深さに存在する白金族粒子の存在比率を増加させることができる。また、白金族粒子の粒子径を均一に、つまり、粒径分布を狭くすることができる。
実施の形態に係る燃料電池の構成を示す断面図である。 実施の形態に係る白金族担持触媒の製造工程概略図である。 実施の形態9に係る白金族担持触媒の粉末X線分析結果である。 比較例1に係る白金族担持触媒の粉末X線分析結果である。 (a)は、実施の形態9に係る白金族担持触媒の走査型電子顕微鏡観察結果であり、(b)は、透過型電子顕微鏡観察結果である。 (a)は、比較例1に係る白金族担持触媒の走査型電子顕微鏡観察結果であり、(b)は、透過型電子顕微鏡観察結果である。 実施の形態9および比較例1に係る白金族担持触媒の白金粒子の存在比率を示す図である。
第1の態様に係る白金族担持触媒は、炭素粉末担体と、
前記炭素粉末担体上に担持された白金族粒子と、
を備え、
前記白金族粒子は、粒径分布が1.0nm以上6.0nm以下である。
第2の態様に係る白金族担持触媒は、上記第1の態様において、前記白金族粒子の平均粒径は、1.5nm以上3.5nm以下であってもよい。
第3の態様に係る白金族担持触媒は、上記第1又は第2の態様において、前記炭素粉末担体の表面から10nmの深さまでに存在する前記白金族粒子の、前記炭素粉末担体に担持された前記白金族粒子の総量に対する比率が70%以上であってもよい。
第4の態様に係る白金族担持触媒は、炭素粉末担体と、
前記炭素粉末担体上に担持された白金族粒子と、
を備え、
前記炭素粉末担体の表面から10nmの深さまでに存在する前記白金族粒子の、前記炭素粉末担体に担持された前記白金族粒子の総量に対する比率が70%以上である。
第5の態様に係る白金族担持触媒の製造方法は、白金族塩と錯化剤とにより白金族塩溶液を生成し、
前記白金族塩溶液と、炭素粉末を分散した炭素粉末分散液と、を混合し、
前記白金族塩溶液と前記炭素粉末分散液との混合液に還元剤を添加して、白金族塩を還元して前記炭素粉末上に白金族粒子を担持させること、
を特徴とする。
第6の態様に係る白金族担持触媒の製造方法は、上記第5の態様において、前記炭素粉末分散液は、炭素粉末と分散剤とを混合して分散させてもよい。
第7の態様に係る白金族担持触媒の製造方法は、上記第5又は第6の態様において、前記錯化剤の炭素数は、6以上であってもよい。
以下、実施の形態に係る白金族担持触媒及びその製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、図面において、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、以下に本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々に変更して実施することができる。
[燃料電池]
図1は、実施の形態に係る燃料電池の基本構成を示す断面図である。本実施の形態に係る燃料電池は、水素を含有する燃料ガスと、空気などの酸素を含有する酸化剤ガスとを電気化学的に反応させることにより、電力と熱とを同時に発生させる高分子電解質型燃料電池である。なお、本発明は、高分子電解質形燃料電池に限定されるものではなく、種々の燃料電池に適用可能である。
本実施の形態に係る燃料電池は、図1に示すように、膜電極接合体(MEA)10と、膜電極接合体(MEA)10の両面に配置された一対の板状の導電性セパレータ20A、20Cとを有するセル(単電池)1を備えている。なお、本実施形態にかかる燃料電池は、このセル1を複数個積層して構成されていてもよい。この場合、互いに積層されたセル1は、燃料ガス及び酸化剤ガスがリークしないように且つ接触抵抗を減らすために、ボルトなどの締結部材(図示せず)により所定の締結圧にて加圧締結されていることが好ましい。
膜電極接合体(MEA)10は、水素イオンを選択的に輸送する高分子電解質膜11と、この高分子電解質膜11の両面に形成された一対の電極層とを有している。一対の電極層の一方は、アノード電極(燃料極ともいう)12Aであり、他方はカソード電極(空気極ともいう)12Cである。アノード電極12Aは、高分子電解質膜11の一方の面上に形成され、白金族触媒を坦持した炭素粉末を主成分とする一対のアノード触媒層13Aと、このアノード触媒層13A上に形成され、集電作用とガス透過性と撥水性とを併せ持つアノードガス拡散層14Aとを有している。カソード電極12Cは、高分子電解質膜11の他方の面上に形成され、白金族触媒を坦持した炭素粉末を主成分とする一対のカソード触媒層13Cと、このカソード触媒層13C上に形成され、集電作用とガス透過性と撥水性とを併せ持つカソードガス拡散層14Cとを有している。
アノード電極12A側に配置されたアノードセパレータ20Aには、アノードガス拡散層14Aと当接する主面に、燃料ガスを流すための燃料ガス流路21Aが設けられている。燃料ガス流路溝21Aは、例えば、互いに略平行な複数の溝で構成されている。カソード電極12C側に配置されたカソードセパレータ20Cには、カソードガス拡散層14Cと当接する主面に、酸化剤ガスを流すための酸化剤ガス流路21Cが設けられている。酸化剤ガス流路溝21Cは、例えば、互いに略平行な複数の溝で構成されている。なお、アノードセパレータ20A及びカソードセパレータ20Cには、冷却水などが通る冷却水流路(図示せず)が設けられていてもよい。燃料ガス流路21Aを通じてアノード電極12Aに燃料ガスが供給されるとともに、酸化剤ガス流路21Cを通じてカソード電極12Cに酸化剤ガスが供給されることで、電気化学反応が起こり、電力と熱とが発生する。
なお、前記では、燃料ガス流路21Aをアノードセパレータ20Aに設けたが、本発明はこれに限定されない。例えば、燃料ガス流路21Aは、アノードガス拡散層14Aに設けてもよい。この場合、アノードセパレータ20Aは平板状であってもよい。同様に、前記では、酸化剤ガス流路21Cをカソードセパレータ20Cに設けたが、本発明はこれに限定されない。例えば、酸化剤ガス流路21Cは、カソードガス拡散層14Cに設けてもよい。この場合、カソードセパレータ20Cは平板状であってもよい。
アノードセパレータ20Aと高分子電解質膜11との間には、燃料ガスが外部に漏れることを防ぐために、アノード触媒層13A及びアノードガス拡散層14Aの側面を覆うようにシール材としてアノードガスケット15Aが配置されている。また、カソードセパレータ20Cと高分子電解質膜11との間には、酸化剤ガスが外部に漏れることを防ぐために、カソード触媒層13C及びカソードガス拡散層14Cの側面を覆うようにシール材としてカソードガスケット15Cが配置されている。
アノードガスケット15A及びカソードガスケット15Cとしては、一般的な熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などを用いることができる。例えば、アノードガスケット15A及びカソードガスケット15Cとして、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン、液晶性ポリマー、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリスルホン、ガラス繊維強化樹脂などを用いることができる。
なお、アノードガスケット20A及びカソードガスケット20Cは、それらの一部がアノードガス拡散層14A又はカソードガス拡散層14Cの周縁部に含浸しているほうが好ましい。これにより、発電耐久性及び強度を向上させることができる。
また、アノードガスケット20A及びカソードガスケット20Cに代えて、アノードセパレータ20Aとカソードセパレータ20Cとの間に、高分子電解質膜11、アノード触媒層13A、アノードガス拡散層14A、カソード触媒層13C及びカソードガス拡散層14Cの側面を覆うように、ガスケットを配置してもよい。これにより、高分子電解質膜11の劣化を抑制し、MEA10のハンドリング性、量産時の作業性を向上させることができる。
次に、実施の形態に係る白金族担持触媒とその製造方法について、さらに詳細に説明する。
[白金族担持触媒]
実施の形態に係る白金族担持触媒は、炭素粉末担体と、炭素粉末担体上に担持された白金族粒子と、を備える。白金族粒子は、粒径分布(D90)が1.0nm以上6.0nm以下である。なお、粒径分布(D90)とは、白金族粒子全体の90%を意味している。つまり、白金族粒子全体の90%が1.0nm以上6.0nm以下の範囲に含まれることを意味する。白金族粒子の粒径分布のばらつきとして、標準偏差で表した場合には、例えば、0.8未満であってもよい。白金族粒子の平均粒径は、1.5nm以上3.5nm以下であることが好ましい。
あるいは、実施の形態に係る白金族担持触媒は、炭素粉末担体の表面から10nmの深さまでに存在する白金族粒子の、炭素粉末担体に担持された白金族粒子の総量に対する比率が70%以上である。なお、炭素粉末担体とは、炭素粉末を構成する炭素粒子を意味する。
[1.白金族担持触媒の製造方法]
本発明の白金族担持触媒及びその製造方法(以下、適宜「本発明とその製造方法」と略称する。)は、白金族塩に錯化剤を含有する溶液と炭素粉末を分散した混合液を混合し、次に還元剤と接触させる工程を有し、錯化剤が硫黄原子及び/又は窒素原子を含む有機化合物であることを特徴とする。本発明の工程の概略図を図2に示す。
なお、本発明は、固体高分子形燃料電池に限定されるものではなく、金属塩及び錯化剤並びに還元剤の種類、還元反応時のpHを制御することにより、金属塩の還元速度を制御し、均質なナノ金属化合物を合成することで種々な触媒に適用が可能である。
[1−1.白金族塩溶液工程]
[1−1−1.白金族塩]
本発明の製造方法に使用される白金族塩としては、無機化合物(白金族の酸化物、硝酸塩、硫酸塩等)、ハロゲン化物(白金族の塩化物等)、有機酸塩(白金族の酢酸塩等)、錯塩(白金族のアンミン錯体等)、有機金属化合物(白金族のアセトルアセトナート錯体等)等が挙げられる。また、白金族金属そのものを反応溶液中に溶解させて使用してもよい。なお、白金族とは、通常知られているように、Ptの他、Ru、Rh、Pd、Os、Ir等の各元素を含む。
中でも、白金族塩としては、白金族を含有する無機化合物、白金族のハロゲン化物、又は白金族を含有する有機金属化合物を用いることが好ましく、具体的には、白金族の塩化物を用いることが特に好ましい。
なお、白金族塩は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で組み合わせて用いてもよい。
[1−1−2.錯化剤]
本発明に係る白金族担持触媒の製造方法において、錯化剤は極めて重要な因子である。
本発明に係る白金族担持触媒の製造方法は、錯化剤として、錯体を形成しやすい硫黄原子及び/又は窒素原子を含む有機化合物を使用することを特徴とする。
硫黄原子又は窒素原子を含む錯化剤の例としては、有機酸、リン化合物、オキシム類、アミド類、アミン類、アルコール類等が挙げられる。
錯化剤の具体例としては、以下に挙げる化合物が挙げられる。
D−2−アミノ−3−メルカプト−3−メチルブタン酸(D-2-Amino-3-mercapto-3-methylbutanoic acid)(ペニシラミン(penicillamine):分子式C11NS)、イミノ二酢酸(Iminodiacetic acid)(略称IDA:CN)、(N−シクロヘキシル)イミノ二酢酸(N-(Cyclohexyl)iminodiacetic acid)(分子式C1017N)、N−(2−テトラヒドロピラニルメチル)イミノ二酢酸(N-(2-Tetrahydro pyranylmethyl)iminodiacetic acid)(分子式C1017N)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジニトリロ−N,N’,N’−三酢酸(N-(2-Hydroxyethyl)ethylenedinitrilo-N,N',N'-triacetic acid)(略称HEDTA:分子式C1018)、エチレンジニトリロ四酢酸(Ethylenedinitrilotetraacetic acid)(略称EDTA:分子式C1016)、DL−(メチルエチレン)ジニトリロ四酢酸(DL-(Methylethylene)dinitrilotetraacetic acid)(略称PDTA:分子式C1118)、トランス−1,2−シクロヘキシレンジニトリロ四酢酸(trans-1,2-Cyclohexylene dinitrilotetraacetic acid)(略称CDTA:分子式C1422)、エチレンビス(オキシエチレンニトリロ)四酢酸(Ethylenebis(oxyethylenenitrilo) tetraacetic acid)(略称EGTA:分子式C142410)、ジエチレントリニトリロ四酢酸(Diethylenetrinitrilotetraacetic acid)(略称DTPA:分子式C142310)、トリエチレンテトラニトリロ六酢酸(Triethylenetetranitrilohexaacetic acid)(略称TTHA:分子式C183012)、6−メチルピリジン−2−カルボン酸(6-Methlpyridine-2-carboxylic acid)(分子式CN)、N−(2−ピリジルメチル)イミノ二酢酸(N-(2-Pyridylmethyl)iminodiacetic acid)(分子式C1012)、式Z−SCHCOHで表わされる(置換チオ)酢酸((Substituted thio)acetic acid)(前記式中、Zは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、1−メチルプロピル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜30のアルキル基;2−プロペニル(Prop-2 -enyl)基、3−ブテニル(But-3-enyl)基、4−ペンテニル(Pent-4-enyl)基等の炭素数2〜30のアルケニル基;ベンジル基等の炭素数6〜30のアリール基を表わす。)、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(hexadecyltrimethylammonium bromide)(略称CTAB:分子式C1942BrN)、DL−メルカプトブタン二酸(DL-Mercaptobutanedioic acid)(チオリンゴ酸(thiomalic acid):分子式CS)、(エチレンジチオ)二酢酸((Ethylenedithio)diacetic acid)(分子式C10)、オキシビス(エチレンチオ酢酸)(Oxybis(ethylenethioacetic acid))(分子式C14)、チオビス(エチレンチオ酢酸)(Thiobis(ethylenethioacetic acid))(分子式C14)、カルボキシメチルチオブタン二酸(Carboxymethylthiobutanedioic acid)(分子式CS)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−3−メルカプトプロパノール(2,2-Bis(hydroxy methyl)-3-mercaptopropanol)(モノチオペンタエリスチトール(monothio pentaerythtitol):分子式C12S)、チオサリチル酸(Thiosalicylic acid)(略称TS:分子式CS)、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(hexadecyltrimethylammonium bromide):分子式C1942BrN、ジエタノールアミン(Diethanolamine)(略称DEA:分子式:(HOCHCHNH)があげられる。
また、白金族塩に錯化剤が配位した錯体の大きさが大きくなるほど、錯体同士の凝集低減の効果、及び、カーボン担体の細孔への侵入を防ぐ確率が増加すると考えられるので、錯化剤の炭素数は多いほうが望ましい。なお、金属塩に対して、錯化剤が2つもしくは3つ配位する場合もあり、必ずしも限定されるものではないが、錯化剤の炭素数は、6以上が好ましい。
中でも、錯化剤としては、エチレンジアミン四酢酸(Ethylenedinitrilotetraacetic acid)(略称EDTA:組成式C1016)、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(hexadecyltrimethylammonium bromide)(略称CTAB:分子式C1942BrN)、ジエタノールアミン(Diethanolamine)(略称DEA:分子式(HOCHCHNH)が、より好ましい。
なお、上記例示の各種の錯化剤は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[1−1−3.白金族塩溶液]
本発明の製造方法では、白金族塩並びに錯化剤を溶媒に溶解させた溶液(以下「白金族塩溶液」という。)を用いることを特徴とする。
溶媒の種類は、本発明の課題を解決し効果を奏する限り何ら制限されないが、通常は水または有機溶媒が使用される。有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール等のアルコール類が挙げられる。
中でも、溶媒としては、pHを制御しやすいという観点から、水が好ましく、特に蒸留水を用いることが好ましい。
なお、溶媒は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、白金族塩溶液はアルカリ性に調整することが好ましい。具体的には、反応液のpHを通常7以上、好ましくはpH8以上、更に好ましくはpH9以上とすることが望ましい。pH9以上とすることで安定的に錯体を形成させることができる。反応液のpHが低過ぎる、即ち、アルカリ性が弱過ぎると、白金族錯体を形成できない場合がある。なお、pHは、高すぎる場合、例えばpH13を越える場合には還元速度が速くなり、白金族粒子が大きく成長するという問題がある。粒子径の揃った白金族粒子を担体に担持させるためには、pHの範囲が重要であり、pH13以下が好ましい。
白金族塩溶液のpHを調整する手法は制限されないが、通常はpH調整剤を用いる。pH調整剤としては、白金族塩中の白金族と配位しないか、或いは錯化剤による白金族の錯体形成を阻害しないほどの配位の程度が低い化合物であれば、その種類は制限されない。
pH調整剤の例としては、塩酸、硝酸、硫酸、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。中でも、塩酸、硝酸、水酸化ナトリウムが好ましい。
なお、pH調整剤は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
上述の溶媒に白金族塩及び錯化剤及びpH調整剤を混合し、白金族塩を錯化して、白金族を金属錯体の状態で溶媒中に溶解させることにより、白金族塩溶液を得る。
なお、本発明の製造方法では、白金族塩及び錯化剤が白金族塩溶液中に完全に溶解し、析出のない均一な溶液となるためには十分な時間をかけることが重要である。
以上の点が達成出来れば、白金族塩や錯化剤やpH調整剤を溶解、混合する方法は、特に制限されるものではない。また、白金族塩、錯化剤、pH調整剤を各々溶媒に溶解してから混合してもよく、白金族塩及び錯化剤やpH調整剤を先に混合してから溶媒に溶解してもよい。
但し、白金族塩溶液の析出を防ぐために、溶媒に対する白金族塩及び錯化剤の濃度や混合、溶解時の温度やpHを適切に選択することが望ましい。即ち、白金族塩溶液中における白金族塩及び錯化剤及びpH調整剤の濃度を、それぞれ、白金族塩及び錯化剤の飽和溶解度以下の濃度とする。飽和溶解度は、白金族塩及び錯化剤の種類や溶媒の種類、溶解時の温度等により異なるため、それに応じて白金族塩及び錯化剤の濃度を選択すればよい。
一般に、白金族塩溶液に対する白金族塩の濃度は、白金族重量換算で、何れも通常0.001重量%以上、中でも0.005重量%以上、更には0.01重量%以上、また、通常10重量%以下、中でも5重量%以下、更には2重量%以下の範囲であることが好ましい。
また、白金族塩における金属原子の含有量の比率は、目的とする白金族担持触媒の組成にほぼ一致した各白金族原子仕込み比率とする。
白金族塩が有する白金族原子に対する錯化剤の使用量の比率は、白金族に配位する量論比以上であればよいが、錯化剤の比率が高過ぎると、溶解度の関係で結果的に白金族濃度が低くなり、一回の操作で担持できる白金族量が少なくなってしまう場合があり、また経済的にも好ましくない場合がある。一般的には、量論比の通常1.0倍以上、また、通常10倍以下、中でも5倍以下、更には2倍以下、特に1.5倍以下の範囲が好ましい。
なお、白金族塩溶液は、後述の還元反応を妨げない範囲において、上述の白金族塩、錯化剤、及び溶媒に加え、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分の例としては、白金族以外の金属原子を有する金属塩等が挙げられる。なお、これらは一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[1−2.炭素粉末分散液工程]
[1−2−1.炭素粉末]
本発明では、炭素粉末を溶媒に分散させた溶液(以下「炭素粉末分散液」という。)を用いて、前述の白金族塩溶液と混合して白金族還元反応を行なうことを特徴とする。
本発明に用いられる炭素粉末としては、比表面積が250〜1200m/gの炭素粉末を適用することが望ましい。比表面積を250m/g以上とすることにより、触媒が付着する面積を増加させることができるので触媒粒子を高い状態で分散させ有効表面積を高くすることが可能となる。一方、比表面積を1200m/gを超えると、電極を形成する際にイオン交換樹脂の進入しにくい超微細孔(約20Å未満)の存在割合が高くなり触媒粒子の利用効率が低くなる。炭素粉末としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ等が挙げられる。なお、これらは一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
溶媒の種類は、本発明の課題を解決し効果を奏する限り何ら制限されないが、通常は水または有機溶媒が使用される。有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール等のアルコール類が挙げられる。
中でも、溶媒としては、pHを制御しやすいという観点から、水が好ましく、特に蒸留水を用いることが好ましい。
なお、溶媒は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[1−2−2.炭素粉末分散液]
本発明では、炭素粉末と溶媒の混合は、一般的な撹拌、混合器を用いて混合して、炭素粉末分散液を得ることができる。この際、炭素粉末の溶媒への親和性を向上させる目的で、分散剤を添加してもよい。
分散剤としては、一般的な分散剤を用いることができるが、後段の工程である白金族還元反応において前述の白金族塩溶液と混合される際に、白金族錯体が凝集しないようにすることが必要である。
また、炭素粉末分散液は、前述の白金族塩溶液がpH調整剤によりpHをアルカリ性に調整していることから、炭素粉末分散液も同様にアルカリ性に調整することが好ましい。具体的には、反応液のpHを通常7以上、好ましくは8以上、更に好ましくは9以上とすることが望ましい。反応液のpHが低過ぎる(即ち、アルカリ性が弱過ぎる)と、後段の白金族塩溶液との混合過程において錯体を形成できない場合がある。
pHを調整する手法は制限されないが、通常はpH調整剤を用いる。pH調整剤の例としては、塩酸、硝酸、硫酸、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。中でも、塩酸、硝酸、水酸化ナトリウムが好ましい。なお、pH調整剤は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[1−3.白金族還元反応工程]
本実施の形態に係る白金族担持触媒の製造方法では、あらかじめ前述の白金族塩溶液と、前述の炭素粉末分散液を混合し、その後、還元剤と接触させて白金族の還元反応を行なうことで、白金族粒子を炭素粉末表面に吸着させた白金族担持触媒を得ることを特徴とする。
[1−3−1.還元剤]
本発明の製造方法に使用される還元剤は、白金族塩溶液および/もしくは炭素粉末分散液の溶媒に可溶なものであれば、その種類は制限されない。
還元剤の具体例としては、ヒドラジン等の窒素化合物、水素化ホウ素ナトリウム等のホウ素化合物、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類、L−アスコルビン酸および類似するカルボン酸類、メタノール等のアルコール類、等が挙げられる。
中でも、還元剤としては、ヒドラジン、L−アスコルビン酸が好ましい。
なお、上記例示の還元剤は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
還元剤の使用量としては、上記の白金族塩溶液中に含有される全ての白金族錯体を、十分に白金族に還元できる量が好ましい。
一般的には、金属1当量に対して、通常1倍当量以上であればよく、還元反応の効率を考慮すれば、好ましくは1.2倍当量以上、より好ましくは1.5倍当量以上、更に好ましくは2倍当量以上が望ましい。また、未反応物の後処理等を考慮すると、上限としては通常、500倍当量以下、中でも100倍当量以下、更には40倍当量以下が好ましい。
なお、還元剤としてヒドラジンを使用する場合、ヒドラジンによる還元反応は還元される金属塩の種類やpH等の条件により還元反応が異なることが知られており、ヒドラジンの還元当量を一律で特定できないので、本発明においては、ヒドラジン1モル当たり2当量とする。
白金族塩溶液と炭素粉末分散液と還元剤とを接触させる方法は制限されない。通常は、前述の白金族塩溶液と前述の炭素粉末分散液を混合した混合溶液に還元剤を加えて混合し、白金族の還元反応を行なえばよい。
なお、白金族塩溶液に還元剤を直接加えて混合してもよいが、白金族塩溶液に対する混合、溶解を容易にするために、還元剤を予め溶媒に溶解させておき、この溶液(以下、「還元剤溶液」という)を白金族塩溶液に加えて混合してもよい。
この場合、溶媒としては、還元剤を溶解させることが可能なものであれば、その種類は制限されない。また、一種の溶媒を単独で用いてもよく、二種以上の溶媒を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。但し、通常は白金族塩溶液の溶媒と同種の溶媒を用いる。 還元剤溶液における還元剤の濃度や、還元剤溶液の使用量も特に制限されない。還元剤溶液を白金族塩溶液に加えた場合に、白金族塩溶液中の金属に対する還元剤の量が上記範囲を満たすように、適宜調整すればよい。
還元反応時の温度は、通常4℃以上、好ましくは10℃以上、また、通常沸点以下、好ましくは95℃以下、より好ましくは90℃以下の範囲である。還元反応時の温度が高過ぎると、還元反応が速く進行する為、目的の白金族化合物以外が生成する場合がある一方、温度が低過ぎると、還元力が弱すぎて目的の白金族化合物を得ることができない場合がある。なお、以下の記載では上記規定の温度範囲を「規定温度範囲」という。
なお、還元反応を開始する手順としては、以下の二つの手法a)、b)が挙げられるが、何れの手順を用いてもよい。
a)還元剤を加えても還元反応が進行しない程度の低い温度(上記規定還元温度範囲未満の温度。通常は常温以下、好ましくは10℃以下、より好ましくは5℃以下)において、白金族塩溶液と炭素粉末分散液の混合溶液に還元剤(還元剤溶液)を加えて混合し、その後に還元反応が進行するのに十分な温度(上記規定温度範囲内の温度)まで昇温する手法。
b)白金族塩の還元反応が十分に進行する温度(上記規定温度範囲内の温度)まで白金族塩溶液と炭素粉末分散液の混合溶液を予め加熱しておき、その状態で還元剤を加えて還元反応を開始する手法。
また、還元反応時には、反応液(白金族塩溶液と炭素粉末分散液に還元剤を加えた液)をアルカリ性に調整することが好ましい。具体的には、反応液のpHを通常7以上、好ましくはpH8以上、更に好ましくはpH9以上とすることが望ましい。pH9以上とすることで安定的に錯体を形成させることができる。反応液のpHが低過ぎる(即ち、アルカリ性が弱過ぎる)と、白金族錯体を形成できない場合がある。なお、pHは、高すぎる場合、例えばpH13を越える場合には還元速度が速くなり、白金族粒子が大きく成長するという問題がある。粒子径の揃った白金族粒子を担体に担持させるためには、pHの範囲が重要であり、pH13以下が好ましい。
反応液のpHを調整する手法は制限されないが、通常はpH調整剤を用いる。
pH調整剤としては、白金族塩中の白金族と配位しないか、或いは錯化剤による白金族の錯体形成を阻害しないほどの配位の程度が低い化合物であれば、その種類は制限されない。
pH調整剤の例としては、塩酸、硝酸、硫酸、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。中でも、塩酸、硝酸、水酸化ナトリウムが好ましい。
なお、pH調整剤は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
pH調整剤を用いてpHを調整する手順は制限されない。還元反応が進行する前に、白金族塩が析出しない状態を保持したまま、反応液のpHを上記規定範囲内に調整することが出来ればよい。
なお、pH調整剤によるpHの調整は、一回で行なってもよいが、二回以上に分けて行なってもよい。
[1−4.後処理工程]
本実施の形態では、上述の還元反応により得られた白金族担持触媒を分離するために濾過洗浄し、乾燥処理し、必要に応じて熱処理等の後処理工程を加えることを特徴とする。
得られた白金族担持触媒を反応液から分離する方法としては、限定されるものではないが、例えば濾紙や濾布を用いた濾過法、遠心分離、沈降分離(デカンテーション等)等が挙げられる。中でも、一般的には濾過法が採用される。これらの手法は何れか一種を単独で使用してもよいが、二種以上を任意の組み合わせで併用してもよい。
分離された白金族担持触媒を洗浄する場合、洗浄に用いる溶剤(洗浄溶剤)としては、白金族担持触媒と反応を生じるものや、白金族担持触媒の用途(触媒等の用途)に好ましからぬ影響を与えるものでない限り、限定されるものではないが、通常は上述の金属塩溶液に用いた溶媒と同種の溶媒が挙げられる。なお、洗浄溶剤は、何れか一種を単独で使用してもよく、任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
分離(又は洗浄)後の白金族担持触媒を乾燥する場合、乾燥時の圧力は制限されるものではなく、常圧でも、減圧(又は真空)でも、加圧でもよいが、一般的には、常圧付近(常圧又は多少の加減圧)の条件下で乾燥を行なう。
乾燥方式としては、オーブン等の静置式乾燥、キルンやロータリーエバポレーターのような回転式乾燥、固定床気流乾燥、流動床乾燥、スプレードライヤー等の噴霧乾燥、ベルト炉等の移送型乾燥、フリーズドライ法等が挙げられるが、何れを用いてもよい。
乾燥方式の選定は処理量等に応じて決定されるが、何れの乾燥方式を用いる場合でも、ガスを流通させながら乾燥させるのが望ましい。
乾燥時に流通させるガスとしては、限定されるものではないが、経済的観点から、通常は空気、窒素等が使用される。また、白金族担持触媒の水素処理を行なう場合には、乾燥時に流通させるガスに水素を加えてもよい。
一方、乾燥後に水素処理をすることなく白金族担持触媒を所望の用途に用いる場合には、不活性ガスが好ましく、経済的観点からは窒素が好ましい。なお、これらのガスは何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。また、高速に乾燥を行う観点からは、過熱水蒸気の流通下で乾燥を行なうことも好ましい。
乾燥時の温度も特に制限されない。残留する溶媒又は洗浄溶剤の融点以下で乾燥する凍結乾燥でも、残留する溶媒又は洗浄溶剤の融点から室温までの温度で乾燥する低温乾燥又は常温乾燥、室温よりも高い温度で残留する溶媒又は洗浄溶剤の蒸気圧を高める加熱乾燥の何れであってもよいが、一般的には加熱乾燥が用いられる。加熱乾燥の場合、乾燥温度は通常40℃以上、300℃以下の範囲である。流通させるガスが過熱水蒸気以外の場合には、急激な突沸を防ぐ観点から、残留する溶媒又は洗浄溶剤の沸点以下の温度で処理される。
乾燥後の白金族担持触媒に熱処理を行なう場合、熱処理の方式としては、オーブン等の静置式、キルンやロータリーエバポレーター等の回転式、固定床、流動床、ベルト炉等の移送式等が挙げられるが、何れを採用してもよい。
乾燥方式の選定は処理量等に応じて決定されるが、何れの乾燥方式を用いる場合でも、ガスを流通させながら乾燥させるのが望ましい。
流通させるガスとしては、酸素を含まないガスが好ましい。具体的には、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス、水素等が挙げられる。これらのガスは何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。中でも、アルゴン、窒素又は水素を単独で、或いは混合物として用いることが好ましい。
熱処理の温度の下限は、通常100℃以上、好ましくは150℃以上、より好ましくは200℃以上である。
熱処理の温度の上限は、通常は白金族の融点以下であればよいが、高過ぎると白金族がシンタリングにより大きくなり、金属表面積が低下することによって、得られた白金族担持触媒を使用した場合における触媒活性が低下する。従って、触媒の活性を向上させる観点からは、熱処理の温度の上限は、通常400℃以下、中でも350℃以下、更には300℃以下が好ましい。
(実施の形態1)
本実施の形態1における白金担持炭素粉末の更なる詳細な製造方法について、図2を用いて、以下に述べる。
まず、白金塩として六塩化白金酸、錯化剤としてEDTA、pH調整剤として水酸化ナトリウムを用い、前記白金塩、錯化剤を溶媒組成が20wt%エタノール水溶液に溶解・分散させ、pH調整剤を用いてpHを調整することでpH10の白金塩溶液を作成とした後、30℃で24時間攪拌した(工程1−1)。
次に、炭素粉末としてケッチェンブラックEC(ライオン社製)、pH調整剤として水酸化ナトリウム、分散剤として臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(CTAB)を用いて、前記炭素粉末、分散剤を溶媒組成が20wt%エタノール水溶液に溶解・分散させ、pH調整剤を用いてpHを調整することで炭素粉末分散液を作成した(工程1−2)。
さらに、白金塩水溶液と炭素粉末分散液を混合して、pH調整剤として水酸化ナトリウムを用いてpH10とし、所定時間攪拌して、白金族塩−炭素粉末混合溶液を得た。
また、あらかじめ20wt%エタノール水溶液に、還元剤としてLアスコルビン酸とヒドラジンを溶解させ、pH調整剤として水酸化ナトリウムを添加したpH10に調整して還元剤溶液を調合した。その後に、還元剤溶液を前記白金塩溶液内の白金当量に対して還元剤が1.5倍当量相当の還元剤溶液を前記白金族塩-炭素粉末混合溶液へ混合させ、30℃、1時間攪拌・放置することで、白金を炭素粉末表面に吸着させた白金族担持触媒の混合液を得た(工程1−3)。
次に、後処理工程として、上記混合溶液より濾過することにより白金が担持された炭素粉末を分離し、窒素気流下90℃で1時間乾燥させた後、熱処理としてアルゴン雰囲気下で5%水素ガスにより150℃で1時間熱処理を行って、白金担持炭素粉末を得た(工程1−4)。
(実施の形態2)
白金族塩溶液の錯化剤をDEAとしたほかは、実施の形態1と同じとして、白金担持炭素粉末を得た。
(実施の形態3)
白金族塩溶液の錯化剤をCTABとしたほかは、実施の形態1と同じとして、白金担持炭素粉末を得た。
(実施の形態4)
白金塩を四塩化白金酸としたほかは、実施の形態3と同じとして、白金担持炭素粉末を得た。
(実施の形態5)
炭素粉末分散液の炭素粉末をアセチレンブラック(電気化学工業社製デンカブラック)としたほかは、実施の形態3と同じとして、白金担持炭素粉末を得た。
(実施の形態6)
炭素粉末分散液の炭素粉末をバルカンXC72(キャボット社製)としたほかは、実施の形態3と同じとして、白金担持炭素粉末を得た。
(実施の形態7)
白金族還元反応工程の還元剤の添加量を1.2倍当量としたほかは、実施の形態3と同じとして、白金担持炭素粉末を得た。
(実施の形態8)
白金族還元反応工程の還元剤の添加量を3.0倍当量としたほかは、実施の形態3と同じとして、白金担持炭素粉末を得た。
(実施の形態9)
後処理工程の熱処理温度を200℃としたほかは、実施の形態3と同じとして、白金担持炭素粉末を得た。
(実施の形態10)
後処理工程の熱処理温度を280℃としたほかは、実施の形態3と同じとして、白金担持炭素粉末を得た。
(実施の形態11)
炭素粉末分散液工程を省略して、炭素粉末を溶媒に分散させた溶液を作成せず、白金族錯体溶液に炭素粉末を直接投入した他は、実施の形態9と同じとして、白金担持炭素粉末を得た。
上記実施の形態1〜11で得られた白金担持炭素粉末および、比較例1として市販の白金担持炭素粉末について各種評価した結果を以下に示す。また評価結果の一覧を表1に示す。
ここで比較例1として、田中貴金属工業製TEC10E50Eを用いた。
各実施の形態1〜11および比較例1で得られた白金族触媒粉末の粉末X線分析により白金の結晶化を確認した。代表図として、図3−1は、実施の形態9に係る白金族担持触媒の粉末X線分析結果である。図3−2は、比較例1に係る白金族担持触媒の粉末X線分析結果である。
各実施の形態1〜11のいずれも白金の結晶由来によるピークが観測されたことから、結晶化した白金粒子が炭素粉末に担持されていることが確認され、且つ比較例1の市販白金担持炭素粉末と同等な結晶状態の白金が担持されていることが確認された。
粉末X線分析により結晶が確認できたものを表1に○印で示す。
次に、実施の形態1〜11および比較例1で得られた白金族触媒粉末について走査透過型電子顕微鏡観察を用いて得られた表面観察、透過観察を用いて、白金粒子の粒子径・個数の評価を実施した。代表図として、図4−1(a)は、実施の形態9に係る白金族担持触媒の走査型電子顕微鏡観察結果である。図4−1(b)は、透過型電子顕微鏡観察結果である。図4−2(a)は、比較例1に係る白金族担持触媒の走査型電子顕微鏡観察結果である。図4−2(b)は、透過型電子顕微鏡観察結果である。
これら観測された白金担持炭素粉末の画像より、白金粒子の平均粒径及び最大値、粒径分布(粒度分布)のばらつきとして標準偏差を測定した。また、表面観察画像より担体表面に担持されている白金粒子の個数と透過観察画像で得られる内部を含めた全体の白金粒子の個数との比を求めた。これら求めた画像解析で得られた結果を表1に示す。
その結果、本実施の形態1〜10で得られた白金担持炭素粉末の白金粒子は、比較例1より平均粒子径が小さく、且つ、白金粒子の粒径分布のばらつき(標準偏差)が0.42以上0.68以下の範囲にあり、粒径分布のばらつきが小さいことが確認された。さらに、比較例1で発生していた凝集物(図4−2(a)の比較例で観察される凝集物)が存在しないことも確認された。そのため、最大粒子径も比較例1と比べて小さく、粒子径が均一な白金担持炭素粉末が製造されたことが確認された。
さらに実施の形態1〜10では、工程1−1における白金塩の種類、錯化剤、工程2−1における炭素粉末の種類において、特に大きな影響がなく粒子径が均一な白金担持炭素粉末が製造できることを確認し、材料が限定されるものではなく、本実施の形態で述べた材料について適用できると考える。
また、実施の形態11では、工程1−2において炭素粉末を事前に溶液に分散かつpHを調整した炭素粉末分散液に調合せず、還元剤と一緒に白金塩溶液に混合したことにより、やや不均一な白金粒子(ばらつき1.15)が生成し炭素粉末に吸着したものと考える。そのため、事前に炭素粉末を溶液に分散させ、且つ所定のpHに調整した炭素粉末分散液を調合し、白金塩溶液と混合させた後、白金を還元させることが重要である。すなわち、白金塩と錯化剤から形成される白金錯体を炭素粉末に吸着させた後、白金を還元させることが均一な白金粒子が担持され炭素粉末を製造するのに必要である。
次に、炭素担体内における白金粒子の存在深さについて、3次元透過型電子顕微鏡を用いて分析した。
その結果より、炭素粉末の一次粒子(以下、担体と述べる)の深さ方向に対する白金粒子の存在比率(担体表面から深さ方向における白金粒子の累積体積/担体に担持された白金粒子の総体積)を求めた。ここで白金粒子の存在位置は、白金粒子自体体積があるため、白金粒子の中心を存在する場所として求めた。
図5は、実施の形態9および比較例1に係る白金族担持触媒の白金粒子の存在比率を示す図である。この結果より、担体表面から10nmの範囲における白金粒子の存在比率(担体表面近傍の白金存在比率)は、比較例1では約50%であるのに対し、実施の形態9では、90%以上であることが確認された。
実施の形態1〜10における担体表面近傍の白金存在比率を表1に記載する。その結果、本実施の形態では、いずれも担体表面近傍の白金存在比率は70%以上であることを確認した。
これは、上述した白金族塩と錯化剤から形成される白金族錯体を炭素粉末に吸着させる際、錯化剤分子の立体的な障害、静電的な相互作用など、錯体と炭素粉末との相互作用により、炭素粉末の細孔内へ上記白金族錯体が進入するのを抑制できたためと推測する。これによって、炭素粉末担体の表面から一定の深さに存在する白金族粒子の存在比率を増加させることができる。
ここで、このような効果を得るためには白金族錯体が炭素粉末に吸着される範囲で白金族塩溶液に用いる錯化剤、および炭素粉末分散液に用いる分散剤の種類は特に限定されるものではない。例えば本発明の上記実施の形態で述べた材料について適用できると考える。
また、本実施の形態で用いたCTABのように、錯化剤および分散剤の両方の効果が得られる材料を用いることも可能である。その結果、使用する材料種を減らすることができ、製造管理の簡略化というメリットも期待できる。
さらに、本実施の形態で述べた白金族担持触媒の製造方法により、白金族担持炭素粉末の担体に担持させる白金族粒子の粒子径を均一に、つまり、粒径分布を狭くすることが可能である。つまり、白金族塩と錯化剤から形成される白金族錯体の大きさがある程度大きいため、還元時の白金族粒子の生成及び成長範囲が制限される。その結果、白金族粒子の粒径分布が1.0nm以上6.0nm以下の非常に狭く、粒子径が均一な白金族粒子を炭素粉末担体に担持できる。
この粒子径の均一性と深さ方向存在比率は、使用する白金族塩材料、錯化剤、炭素粉末材料の材料、製造する際に調整するpH、反応時間など製造条件により調整することが可能である。
また、この製造された白金族担持炭素粉末は、上記発明が解決しようとする課題の項で述べたように、粒子径の均一性向上、または、担体深さ方向の白金存在比率の向上の2つの特徴がある。つまり、固定高分子燃料電池におけるアノード極、カソード極の電極材料において、白金族を効率的に発電に利用する効果が期待できる。また、上述した製造条件の調整により、前記2つの特徴のどちらかを強調した白金族担持炭素粉末を製造することも可能である。
なお、本開示においては、前述した様々な実施の形態及び/又は実施例のうちの任意の実施の形態及び/又は実施例を適宜組み合わせることを含むものであり、それぞれの実施の形態及び/又は実施例が有する効果を奏することができる。
本発明に係る白金族担持触媒の用途は、制限されるものではないが、例えば固体高分子形燃料電池の電極触媒として広く用いることが可能である。
1 燃料電池
10 膜電極接合体
11 高分子電解質膜
12A アノード電極
12C カソード電極
13A アノード触媒層
13C カソード触媒層
14A アノードガス拡散層
14C カソードガス拡散層
15A アノードガスケット
15C カソードガスケット
20A アノードセパレータ
20C カソードセパレータ
21A 燃料ガス流路溝
21C 酸化剤ガス流路溝

Claims (7)

  1. 炭素粉末担体と、
    前記炭素粉末担体上に担持された白金族粒子と、
    を備え、
    前記白金族粒子は、粒径分布が1.0nm以上6.0nm以下であることを特徴とする白金族担持触媒。
  2. 前記白金族粒子の平均粒径は、1.5nm以上3.5nm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の白金族担持触媒。
  3. 前記炭素粉末担体の表面から10nmの深さまでに存在する前記白金族粒子の、前記炭素粉末担体に担持された前記白金族粒子の総量に対する比率が70%以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の白金族担持触媒。
  4. 炭素粉末担体と、
    前記炭素粉末担体上に担持された白金族粒子と、
    を備え、
    前記炭素粉末担体の表面から10nmの深さまでに存在する前記白金族粒子の、前記炭素粉末担体に担持された前記白金族粒子の総量に対する比率が70%以上であることを特徴とする白金族担持触媒。
  5. 白金族塩と錯化剤とにより白金族塩溶液を生成し、
    前記白金族塩溶液と、炭素粉末を分散した炭素粉末分散液と、を混合し、
    前記白金族塩溶液と前記炭素粉末分散液との混合液に還元剤を添加して、白金族塩を還元して前記炭素粉末上に白金族粒子を担持させること、
    を特徴とする白金族担持触媒の製造方法。
  6. 前記炭素粉末分散液は、炭素粉末と分散剤とを混合して分散させたことを特徴とする請求項5に記載の白金族担持触媒の製造方法。
  7. 前記錯化剤の炭素数は、6以上である、請求項5又は6に記載の白金族担持触媒の製造方法。
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