本発明のゴム組成物は、後述する一般式(1)または一般式(2)で表される共役ジエン系重合体と、シランカップリング剤とを含有する。
<共役ジエン系重合体>
まず、本発明で用いる共役ジエン系重合体について、説明する。
本発明で用いる共役ジエン系重合体は、下記一般式(1)または下記一般式(2)で表されるものである。本発明で用いる共役ジエン系重合体としては、下記一般式(1)で表されるもののみからなるもの、または下記一般式(2)で表されるもののみからなるものであってもよいし、あるいは、下記一般式(1)で表されるものと、下記一般式(2)で表されるものとの混合物であってもよい。
(一般式(1)中、polymerは共役ジエン単量体単位を含んでなる重合体鎖を表し、X
1はヒドロカルビルオキシ基、ハロゲン基および水酸基から選択される官能基を表し、R
1は置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、R
2およびR
3は、それぞれ、置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、R
2およびR
3は互いに結合して、これらが結合する窒素原子とともに環構造を形成していてもよく、該環構造を形成する場合には、これらが結合する窒素原子に加えて、これらが結合する窒素原子以外のヘテロ原子とともに環構造を形成していてもよい。nは1〜3の整数であり、mは0〜2の整数であり、pは0〜2の整数であり、n+m+p=3である。)
(一般式(2)中、polymerは共役ジエン単量体単位を含んでなる重合体鎖を表し、X
2はヒドロカルビルオキシ基、ハロゲン基および水酸基から選択される官能基を表し、R
4は置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、R
5およびR
6は、それぞれ、置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、R
5およびR
6は互いに結合して、これらが結合する窒素原子とともに環構造を形成していてもよく、該環構造を形成する場合には、これらが結合する窒素原子に加えて、これらが結合する窒素原子以外のヘテロ原子とともに環構造を形成していてもよい。sは1または2であり、tは0または1であり、uは0または1であり、s+t+u=2である。)
一般式(1)、一般式(2)において「polymer」で表される重合体鎖は、共役ジエン単量体単位を含んでなる重合体鎖である。共役ジエン単量体単位を構成するために単量体として用いられる共役ジエン化合物は、特に限定されないが、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエンなどを挙げることができる。これらのなかでも、1,3−ブタジエンおよび/またはイソプレンが好ましい。これらの共役ジエン化合物は、1種類を単独で使用しても2種類以上を組合せて用いてもよい。
一般式(1)、一般式(2)において「polymer」で表される重合体鎖は、共役ジエン単量体単位のみからなるものであってもよいが、共役ジエン化合物と共重合可能な化合物からなる単位をさらに含むものであってもよい。共役ジエン化合物と共重合可能な化合物としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、クロルスチレン、ブロモスチレン、メトキシスチレン、ジメチルアミノメチルスチレン、ジメチルアミノエチルスチレン、ジエチルアミノメチルスチレン、ジエチルアミノエチルスチレン、シアノエチルスチレン、ビニルナフタレンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、プロピレン、1−ブテンなどの鎖状オレフィン化合物;シクロペンテン、2−ノルボルネンなどの環状オレフィン化合物;1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどの非共役ジエン化合物;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミドなどのその他の(メタ)アクリル酸誘導体;などが挙げられる。これらのなかでも、芳香族ビニル化合物が好ましく、そのなかでもスチレンが好ましい。これらの共役ジエン化合物と共重合可能な化合物は、1種類を単独で使用しても2種類以上を組合せて用いてもよい。
一般式(1)、一般式(2)において「polymer」で表される重合体鎖において、その重合体鎖を構成する全単量体単位に対して、共役ジエン単量体単位が占める割合は、特に限定されないが、通常30重量%以上であり、好ましくは40重量%以上であり、より好ましくは50重量%以上である。また、この重合体鎖の共役ジエン単量体単位部分におけるビニル結合(1,2−ビニル結合および3,4−ビニル結合)の含有量も、特に限定されないが、通常1〜90モル%であり、好ましくは5〜85モル%であり、より好ましくは10〜80モル%である。また、この重合体鎖において、重合体鎖を構成する全単量体単位に対して、芳香族ビニル単量体単位が占める割合も、特に限定されないが、通常70重量%以下であり、好ましくは60重量%以下であり、より好ましくは50重量%以下である。また、この重合体鎖において、重合体鎖を構成する全単量体単位に対して、共役ジエン単量体単位および芳香族ビニル単量体単位以外の単量体単位が占める割合も、特に限定されないが、通常20重量%以下であり、好ましくは10重量%以下であり、より好ましくは5重量%以下である。
一般式(1)、一般式(2)において「polymer」で表される重合体鎖が、2種以上の単量体単位から構成されている場合、その結合様式は、たとえば、ブロック状、テーパー状、ランダム状など種々の結合様式とすることができるが、ランダム状の結合様式であることが好ましい。ランダム状にすることにより、得られるゴム架橋物が低発熱性により優れたものとなる。また、一般式(1)、一般式(2)において「polymer」で表される重合体鎖は、一般式(1)、一般式(2)において「Si」で表されるケイ素原子と結合している側の末端が、実質的にイソプレン単位のみからなる重合体ブロックによって構成されていてもよい。この末端が実質的にイソプレン単位のみからなる重合体ブロックにより構成されることにより、本発明のゴム組成物にシリカを配合した場合に、共役ジエン系重合体とシリカとの親和性が良好となり、得られるゴム架橋物を低発熱性および耐摩耗性により優れたものとすることができる。
一般式(1)におけるn(すなわち、一般式(1)において「Si」で表されるケイ素原子と結合している重合体鎖の数)は、1〜3の整数である。本発明で用いる共役ジエン系重合体は、一般式(1)におけるnが特定の数値であるもののみからなるものであってもよいし、一般式(1)におけるnが異なるものが混在したものであってもよい。
また、一般式(2)におけるs(すなわち、一般式(2)において「Si」で表されるケイ素原子と結合している重合体鎖の数)は、1または2である。本発明で用いる共役ジエン系重合体は、一般式(2)におけるsが特定の数値であるもののみからなるものであってもよいし、一般式(2)におけるsが異なるものが混在したものであってもよい。
一般式(1)、一般式(2)において、X1,X2はヒドロカルビルオキシ基、ハロゲン基および水酸基から選択される官能基を表す。X1,X2で表される官能基となりうるヒドロカルビルオキシ基としては、特に限定されないが、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などのアルコキシ基;ビニルオキシ基、アリルオキシ基などのアルケニルオキシ基;フェノキシ基、ナフトキシ基などのアリーロキシ基;ベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基;などが挙げられる。これらのなかでも、アルコキシ基またはアリーロキシ基が好ましく、アルコキシ基がより好ましく、メトキシ基またはエトキシ基が特に好ましい。また、X1,X2となりうるハロゲン基としては、特に限定されないが、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられ、これらのなかでも、クロロ基が好ましい。また、X1,X2は水酸基であってもよく、この水酸基は、ヒドロカルビルオキシ基やハロゲン基であったものが加水分解されて水酸基となったものであってもよい。
なお、一般式(1)、一般式(2)において、X1,X2として、アルコキシ基を含有する場合(すなわち、アルコキシシリル基を含有する場合)には、該アルコキシ基は、各種反応により加水分解することによって、ヒドロキシル基に変換し得る(すなわち、シラノール基に変換し得る)。
一般式(1)におけるm(すなわち、一般式(1)においてX1で表される官能基の数)は、0〜2の整数であり、好ましくは1または2である。本発明で用いる共役ジエン系重合体は、一般式(1)におけるmが特定の数値であるもののみからなるものであってもよいし、一般式(1)におけるmが異なるものが混在したものであってもよい。また、mが2である場合において、共役ジエン系重合体1分子中に2個含まれる一般式(1)においてX1で表される官能基は、同一のものであってもよいし、互いに異なるものであってもよい。
また、一般式(2)におけるt(すなわち、一般式(2)においてX2で表される官能基の数)は、0または1である。本発明の共役ジエン系重合体は、一般式(2)におけるtが特定の数値であるもののみからなるものであってもよいし、一般式(2)におけるtが異なるものが混在したものであってもよい。
一般式(1)、一般式(2)においてR1,R4は、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。R1,R4となりうる炭化水素基としては、特に限定されないが、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;エチニル基、プロピニル基などのアルキニル基;フェニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基などのアラルキル基;などが挙げられる。これらのなかでも、アルキル基またはアリール基が好ましく、アルキル基がより好ましい。また、R1,R4で表される炭化水素基は、炭化水素基以外の置換基を有していてもよく、その置換基としては、特に限定されないが、カルボキシル基、酸無水物基、ヒドロカルビルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基などのカルボニル基含有基や、エポキシ基、オキシ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン基などを挙げることができる。
一般式(1)におけるp(すなわち、一般式(1)においてR1で表される基の数)は、0〜2の整数であり、好ましくは0または1である。本発明で用いる共役ジエン系重合体は、一般式(1)におけるpが特定の数値であるもののみからなるものであってもよいし、一般式(1)におけるpが異なるものが混在したものであってもよい。また、pが2である場合において、共役ジエン系重合体1分子中に2個含まれる一般式(1)においてR1で表される基は、同一のものであってもよいし、互いに異なるものであってもよい。
また、一般式(2)におけるu(すなわち、一般式(2)においてR4で表される基の数)は、0または1である。本発明で用いる共役ジエン系重合体は、一般式(2)におけるuが特定の数値であるもののみでなるものであってもよいし、一般式(2)におけるuが異なるものが混在したものであってもよい。
一般式(1)、一般式(2)においてR2およびR3、R5およびR6は、それぞれ、置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、R2およびR3は互いに結合して、これらが結合する窒素原子とともに環構造を形成していてもよい。同様に、R5およびR6は互いに結合して、これらが結合する窒素原子とともに環構造を形成していてもよい。なお、これらが環構造を形成する場合には、これらが結合する窒素原子に加えて、これらが結合する窒素原子以外のヘテロ原子とともに環構造を形成していてもよい。R2およびR3、R5およびR6が互いに結合しない場合に、R2およびR3、R5およびR6となりうる炭化水素基としては、特に限定されないが、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;エチニル基、プロピニル基などのアルキニル基;フェニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基などのアラルキル基;などが挙げられる。これらのなかでも、アルキル基またはアリール基が好ましく、アルキル基がより好ましく、メチル基またはエチル基が特に好ましい。また、R2およびR3、または、R5およびR6が互いに結合して、これらが結合する窒素原子とともに環構造を形成する場合に、R2およびR3が結合してなる2価の炭化水素基、または、R5およびR6が結合してなる2価の炭化水素基としては、特に限定されないが、n−ブチレン基(一般式(1)、または一般式(2)において、これらが結合する窒素原子とともに1−ピロリジン基を形成する場合)、n−ペンチレン基(1−ピペリジン基を形成する場合)、ブタジエニレン基(1−ピロール基を形成する場合)などが挙げられる。
また、R2およびR3、R5およびR6で表される炭化水素基は、環構造形成の有無に関わらず、炭化水素基以外の置換基を有していてもよく、その置換基としては、特に限定されないが、カルボキシル基、酸無水物基、ヒドロカルビルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基などのカルボニル基含有基や、エポキシ基、オキシ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン基などを挙げることができる。さらに、R2およびR3、または、R5およびR6が互いに結合して環構造を形成する場合には、その環構造を形成する原子として、炭素原子および一般式(1)、一般式(2)において、これらが結合する窒素原子以外のヘテロ原子が含まれていてもよく、そのようなヘテロ原子の例として、窒素原子や酸素原子を挙げることができる。
一般式(1)において、n+m+p=3である。すなわち、一般式(1)におけるnとmとpとの和は3である。
また、一般式(2)において、s+t+u=2である。すなわち、一般式(2)におけるsとtとuとの和は2である。
本発明で用いる共役ジエン系重合体として、特に好ましいものとして、R2およびR3、R5およびR6で表される炭化水素基が互いに結合して、これらが結合する窒素原子とともに、ピペラジン環構造を形成しているものが挙げられる。より具体的には、本発明の共役ジエン系重合体は、下記一般式(3)または下記一般式(4)で表される共役ジエン系重合体であることが特に好ましい。本発明で用いる共役ジエン系重合体が、このような構造を有することによって、得られるゴム架橋物を特に低発熱性に優れたものとすることができる。
一般式(3)中、polymer、X
1、R
1、n、m、およびpは、いずれも、一般式(1)におけるものと同じものを表し、R
7は炭化水素基を表し、n+m+p=3である。
一般式(4)中、polymer、X
2、R
4、s、t、およびuは、いずれも、一般式(2)におけるものと同じものを表し、R
8は炭化水素基を表し、s+t+u=2である。
一般式(3)、一般式(4)におけるR7、R8は、炭化水素基を表す。R7、R8となりうる炭化水素基としては、特に限定されないが、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;エチニル基、プロピニル基などのアルキニル基;フェニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基などのアラルキル基;などが挙げられる。これらのなかでも、アルキル基またはアリール基が好ましく、アルキル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
本発明で用いる共役ジエン系重合体の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、ポリスチレン換算のゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定される値として、通常1,000〜3,000,000、好ましくは10,000〜2,000,000、より好ましくは100,000〜1,500,000の範囲である。共役ジエン系重合体の重量平均分子量を上記範囲とすることにより、共役ジエン系重合体の加工性と機械的強度のバランスが良好なものとなる。
また、本発明で用いる共役ジエン系重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布も、特に限定されないが、好ましくは1.0〜5.0であり、より好ましくは1.0〜3.0である。共役ジエン系重合体の分子量分布を上記範囲とすることにより、得られるゴム架橋物がより低発熱性に優れたものとなる。
本発明で用いる共役ジエン系重合体(すなわち、一般式(1)または一般式(2)で表される共役ジエン系重合体)を製造する方法としては、特に限定されないが、たとえば、不活性溶媒中で、重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物を含んでなる単量体を重合し、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を得る第1工程と、当該活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の活性末端に、後述する一般式(5)で表される化合物を反応させる第2工程とを備える製造方法などが挙げられる。
上記第1工程において、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得るために、単量体として用いる共役ジエン化合物としては、前述した、本発明で用いる共役ジエン系重合体(すなわち、一般式(1)または一般式(2)で表される共役ジエン系重合体)において、共役ジエン単量体単位を含んでなる重合体鎖を構成するために用いる共役ジエン化合物として例示したものと同じものを例示できる。
また、単量体として、共役ジエン化合物とともに芳香族ビニル化合物を用いてもよい。単量体として用いる芳香族ビニル化合物としては、前述した、本発明で用いる共役ジエン系重合体(すなわち、一般式(1)または一般式(2)で表される共役ジエン系重合体)において、共役ジエン単量体単位を含んでなる重合体鎖を構成するために用いうる芳香族ビニル化合物として例示したものと同じものを例示できる。さらに、単量体として、共役ジエン化合物とともに、芳香族ビニル化合物以外の、共役ジエン化合物と共重合可能な化合物を用いてもよい。単量体として用いる芳香族ビニル化合物以外の、共役ジエン化合物と共重合可能な化合物としては、前述した、本発明で用いる共役ジエン系重合体(すなわち、一般式(1)または一般式(2)で表される共役ジエン系重合体)において、共役ジエン単量体単位を含んでなる重合体鎖を構成するために用いうる、芳香族ビニル化合物以外の、共役ジエン化合物と共重合可能な化合物として例示したものと同じものを例示できる。
重合に用いる不活性溶媒としては、溶液重合において通常使用されるものであり、重合反応を阻害しないものであれば特に限定されない。不活性溶媒の具体例としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;などが挙げられる。これらの不活性溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。不活性溶媒の使用量は、特に限定されないが、単量体濃度が、たとえば1〜50重量%となる量であり、好ましくは10〜40重量%となる量である。
重合に用いる重合開始剤としては、共役ジエン化合物を含んでなる単量体を重合させて、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を与えることができるものであれば、特に限定されない。その具体例としては、有機アルカリ金属化合物、有機アルカリ土類金属化合物、およびランタン系列金属化合物などを主触媒とする重合開始剤を挙げることができる。有機アルカリ金属化合物としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウムなどの有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン、1,3,5−トリス(リチオメチル)ベンゼンなどの有機多価リチウム化合物;ナトリウムナフタレンなどの有機ナトリウム化合物;カリウムナフタレンなどの有機カリウム化合物;などが挙げられる。また、有機アルカリ土類金属化合物としては、例えば、ジ−n−ブチルマグネシウム、ジ−n−ヘキシルマグネシウム、ジエトキシカルシウム、ジステアリン酸カルシウム、ジ−t−ブトキシストロンチウム、ジエトキシバリウム、ジイソプロポキシバリウム、ジエチルメルカプトバリウム、ジ−t−ブトキシバリウム、ジフェノキシバリウム、ジエチルアミノバリウム、ジステアリン酸バリウム、ジケチルバリウムなどが挙げられる。ランタン系列金属化合物を主触媒とする重合開始剤としては、例えば、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ガドリニウムなどのランタン系列金属と、カルボン酸、およびリン含有有機酸などとからなるランタン系列金属の塩を主触媒とし、これと、アルキルアルミニウム化合物、有機アルミニウムハイドライド化合物、有機アルミニウムハライド化合物などの助触媒とからなる重合開始剤などが挙げられる。これらの重合開始剤の中でも、有機モノリチウム化合物、および有機多価リチウム化合物が好ましく用いられ、有機モノリチウム化合物がより好ましく用いられ、n−ブチルリチウムが特に好ましく用いられる。なお、有機アルカリ金属化合物は、予め、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミン、ピロリジン、ヘキサメチレンイミン、およびヘプタメチレンイミンなどの第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミド化合物として使用してもよい。これらの重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤の使用量は、目的とする共役ジエン系重合体鎖の分子量に応じて決定すればよいが、単量体1000g当り、通常1〜50ミリモル、好ましくは1.5〜20ミリモル、より好ましくは2〜15ミリモルの範囲である。
重合温度は、通常−80〜+150℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは30〜90℃の範囲である。重合様式としては、回分式、連続式などのいずれの様式をも採用できるが、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを共重合させる場合は、共役ジエン単量体単位と芳香族ビニル単量体単位との結合のランダム性を制御しやすい点で、回分式が好ましい。なお、前述したように、一般式(1)、一般式(2)において「polymer」で表される重合体鎖について、一般式(1)、一般式(2)において「Si」で表されるケイ素原子と結合している側の末端を、実質的にイソプレン単位のみからなる重合体ブロックによって構成するためには、重合様式を回分式にして、まず、イソプレン単位のみからなる重合体ブロック以外の部分を形成するための単量体を重合させたのち、後述する一般式(5)で表される化合物を重合反応系に添加する前に、重合反応系に単量体としてイソプレンのみを添加して、重合させればよい。
また、共役ジエン化合物を含んでなる単量体を重合するにあたり、得られる共役ジエン系重合体鎖における共役ジエン単量体単位中のビニル結合含有量を調節するために、不活性有機溶媒に極性化合物を添加することが好ましい。極性化合物としては、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミンなどの第三級アミン;アルカリ金属アルコキシド;ホスフィン化合物;などが挙げられる。これらのなかでも、エーテル化合物、および第三級アミンが好ましく、第三級アミンがより好ましく、テトラメチルエチレンジアミンが特に好ましい。これらの極性化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。極性化合物の使用量は、目的とするビニル結合含有量に応じて決定すればよく、重合開始剤1モルに対して、好ましくは0.001〜100モル、より好ましくは0.01〜10モルである。極性化合物の使用量がこの範囲にあると、共役ジエン単量体単位中のビニル結合含有量の調節が容易であり、かつ重合開始剤の失活による不具合も発生し難い。
以上のような第1工程によれば、不活性溶媒中に、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を得ることができる。次いで、第2工程において、この活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の活性末端に、下記一般式(5)で表される化合物を反応させる。
一般式(5)中、X
3はヒドロカルビルオキシ基、ハロゲン基および水酸基から選択される官能基を表し、R
9は置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、R
10およびR
11は、それぞれ、置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、R
10およびR
11は互いに結合して環構造を形成していてもよく、該環構造を形成する場合には、これらが結合する窒素原子に加えて、これらが結合する窒素原子以外のヘテロ原子とともに環構造を形成していてもよい。rは0〜2の整数である。
一般式(5)においてX3はヒドロカルビルオキシ基、ハロゲン基および水酸基から選択される官能基を表す。X3で表される官能基となりうる官能基の具体例としては、一般式(1)、一般式(2)におけるX1,X2となりうる官能基として例示したものと同じものを挙げることができる。
一般式(5)におけるr(すなわち、一般式(5)においてX3で表される基の数)は、0〜2の整数である。一般式(5)におけるrが2である場合において、一般式(5)で表される化合物1分子中に2個含まれるX3で表される基は、同一のものであってもよいし、互いに異なるものであってもよい。
一般式(5)において、R9は置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。R9で表される置換基を有していてもよい炭化水素基における炭化水素基とその置換基の具体例としては、一般式(1)、一般式(2)におけるR1,R4となりうる置換基を有していてもよい炭化水素基について例示したものと同じものを挙げることができる。一般式(5)におけるrが0である場合において、一般式(5)で表される化合物1分子中に2個含まれる、一般式(5)においてR9で表される基は、同一のものであってもよいし、互いに異なるものであってもよい。
一般式(5)においてR10およびR11は、それぞれ、置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、R10およびR11は互いに結合して、これらが結合する窒素原子とともに環構造を形成していてもよく、該環構造を形成する場合には、これらが結合する窒素原子に加えて、これらが結合する窒素原子以外のヘテロ原子とともに環構造を形成していてもよい。R10およびR11で表される置換基を有していてもよい炭化水素基における炭化水素基とその置換基の具体例としては、一般式(1)、一般式(2)におけるR2およびR3、R5およびR6となりうる置換基を有していてもよい炭化水素基について例示したものと同じものを挙げることができる。
本発明で用いる共役ジエン系重合体として特に好ましいものである、一般式(3)、一般式(4)で表される共役ジエン系重合体を得るためには、一般式(5)で表される化合物として、下記一般式(6)で表される化合物を用いればよい。
一般式(6)中、X
3、R
9、およびrは、いずれも、一般式(5)におけるものと同じものを表し、R
12は炭化水素基を表す。
一般式(6)におけるR12は、炭化水素基を表す。R12となりうる炭化水素基としては、特に限定されないが、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;エチニル基、プロピニル基などのアルキニル基;フェニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基などのアラルキル基;などが挙げられる。これらのなかでも、アルキル基またはアリール基が好ましく、アルキル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
一般式(5)で表される化合物の具体例としては、2,2−ジメトキシ−8−(4−メチルピペラジニル)メチル−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−(4−メチルピペラジニル)メチル−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−8−(N,N−ジエチル)メチル−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−(4−メチルピペラジニル)メチル−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタンなどが挙げられる。これら一般式(5)で表される化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一般式(5)で表される化合物の使用量は、特に限定されないが、反応させる活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の活性末端1モルに対する一般式(5)で表される化合物の量として、0.5〜10.0モルであることが好ましく、0.7〜5.0モルであることがより好ましく、1.0〜2.0モルであることが特に好ましい。このような量で、一般式(5)で表される化合物を用いることにより、得られる共役ジエン系重合体を用いたゴム組成物が、特に低発熱性に優れたゴム架橋物を与えるものとなる。
なお、通常、一般式(5)で表される化合物は、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応する場合には、次のようにして反応が進行すると考えられる。すなわち、まず、第1の反応形態を例示すると、1段階目の反応として、一般式(5)で表される化合物中の8員環構造における酸素−ケイ素結合が開裂して、そのケイ素原子は共役ジエン系重合体鎖の活性末端との間に新たに結合を形成し、酸素原子は活性末端の対イオンと塩構造(なお、この塩構造は、重合反応停止時に重合反応停止剤などに由来するプロトンと反応して水酸基を生じるものである)を形成する。さらに、一般式(5)で表される化合物が、ヒドロカルビルオキシシリル基を有する場合(一般式(5)におけるrが1または2である場合)には、そのヒドロカルビルオキシシリル基中のヒドロカルビルオキシ基と共役ジエン系重合体鎖の活性末端が反応して、さらに、ケイ素原子と共役ジエン系重合体鎖の活性末端との間に結合が生じる。
あるいは、第2の反応形態として、1段階目の反応において、一般式(5)で表される化合物中の8員環構造における酸素−ケイ素結合が開裂することなく、ケイ素原子に結合している、X3が脱離することで、そのケイ素原子が共役ジエン系重合体鎖の活性末端との間に新たに結合を形成し、酸素原子は活性末端の対イオンと塩構造(なお、この塩構造は、重合反応停止時に重合反応停止剤などに由来するプロトンと反応して水酸基を生じるものである)を形成する。さらに、一般式(5)で表される化合物が、ヒドロカルビルオキシシリル基を有する場合(一般式(5)におけるrが1または2である場合)には、そのヒドロカルビルオキシシリル基中のヒドロカルビルオキシ基と共役ジエン系重合体鎖の活性末端が反応して、さらに、ケイ素原子と共役ジエン系重合体鎖の活性末端との間に結合が生じる。
そして、上記第1の反応形態により反応が進行することにより、一般式(1)で表される共役ジエン系重合体を得ることができ、一方、上記第2の反応形態により反応が進行することにより、一般式(2)で表される共役ジエン系重合体を得ることができる。また、上記第1の反応形態による反応と、第2の反応形態による反応とが同時に進行することで(たとえば、主として、第1の反応形態により反応が進行する一方で、副次的に、第2の反応形態による反応が進行する場合等)、共役ジエン系重合体として、一般式(1)で表されるものと、下記一般式(2)で表されるものとの混合物を得ることができる。
一般式(5)で表される化合物と活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖とを反応させる方法は、特に限定されないが、これらを、それぞれが溶解可能な溶媒中で、混合する方法などが挙げられる。この際に用いる溶媒としては、上述した重合に用いる不活性溶媒として例示したものなどを用いることができる。また、この際においては、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を得るための重合に用いた重合溶液に、一般式(5)で表される化合物を添加する方法が簡便であり好ましい。また、この際においては、一般式(5)で表される化合物は、不活性溶媒に溶解して重合系内に添加することが好ましく、その溶液濃度は、1〜50重量%の範囲とすることが好ましい。反応温度は、特に限定されないが、通常0〜120℃であり、反応時間も特に限定されないが、通常1分〜1時間である。
活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液に、一般式(5)で表される化合物を添加する時期は特に限定されないが、重合反応が完結しておらず、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液が単量体をも含有している状態、より具体的には、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液が、100ppm以上、より好ましくは300〜50,000ppmの単量体を含有している状態で、この溶液に一般式(5)で表される化合物を添加することが望ましい。一般式(5)で表される化合物の添加をこのように行なうことにより、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖と重合系中に含まれる不純物などとの副反応を抑制して、反応を良好に制御することが可能となる。
なお、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖に、一般式(5)で表される化合物を反応させる前の状態のとき、または反応させた後に活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖が残存している状態のときに、本発明の効果を阻害しない範囲で、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の活性末端の一部を、従来から通常使用されているカップリング剤や変性剤などを重合系内に添加して、カップリングや変性を行ってもよい。
この場合に用いる、カップリング剤としては、ハロゲン化錫、ハロゲン化珪素、または下記一般式(7)で表される化合物などが挙げられる。
一般式(7)中、R
13は置換基を有していてもよいアルキル鎖を表し、X
4はハロゲン基を表し、Mは珪素原子または錫原子を表す。
ハロゲン化錫としては、四塩化錫、トリフェニルモノクロル錫などが挙げられ、四塩化錫が好ましい。また、ハロゲン化珪素としては、四塩化ケイ素、ヘキサクロロジシラン、トリフェノキシクロロシラン、メチルトリフェノキシシラン、ジフェノキシジクロロシランなどが挙げられ、四塩化ケイ素が好ましい。
また、一般式(7)中、R13は置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、R13となりうる炭化水素基としては、特に限定されないが、メチレン基、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、4−メチル−2,2−ペンチレン基、2,3−ジメチル−2,3−ブチレン基などが挙げられる。これらのなかでも、1,2−エチレン基および1,6−ヘキシレン基が好ましい。また、X4となりうるハロゲン基としては、特に限定されないが、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられ、これらのなかでも、クロロ基が好ましい。さらに、Mは珪素原子または錫原子であるが、珪素原子であることが好ましい。
また、一般式(7)で表される化合物の具体例としては、ビス(トリクロロシリル)メタン、1,2−ビス(トリクロロシリル)エタン、1,3−ビス(トリクロロシリル)プロパン、1,4−ビス(トリクロロシリル)ブタン、1,5−ビス(トリクロロシリル)ペンタン、および1,6−ビス(トリクロロシリル)ヘキサンなどが挙げられる。
本発明の共役ジエン系重合体の製造方法において、ハロゲン化錫、ハロゲン化珪素、または一般式(7)で表される化合物の使用量は、特に限定されないが、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の活性末端1モルに対する量として、0.001〜0.2モルであることが好ましく、0.005〜0.1モルであることがより好ましく、0.01〜0.05モルであることが特に好ましい。このような量で、ハロゲン化錫、ハロゲン化珪素、または一般式(7)で表される化合物を用いることで、得られる共役ジエン系重合体の形状安定性をより高めることができる。
活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖について、一般式(5)で表される化合物、および所望により、カップリング剤やその他の変性剤を反応させた後に、未反応の活性末端が残存している場合、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコールまたは水などの、重合停止剤を重合溶液に添加して、未反応の活性末端を失活させることが好ましい。
以上のようにして得られる共役ジエン系重合体の溶液には、所望により、フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤などの老化防止剤を添加してもよい。老化防止剤の添加量は、その種類などに応じて適宜決定すればよい。さらに、所望により、伸展油を配合して、油展ゴムとしてもよい。伸展油としては、たとえば、パラフィン系、芳香族系およびナフテン系の石油系軟化剤、植物系軟化剤、ならびに脂肪酸等が挙げられる。石油系軟化剤を用いる場合には、IP346の方法(英国のTHE INSTITUTE PETROLEUMの検査方法)により抽出される多環芳香族の含有量が3%未満であることが好ましい。伸展油を使用する場合、その使用量は、共役ジエン系重合体100重量部に対して、通常5〜100重量部である。
そして、このようにして得られた共役ジエン系重合体は、例えば、スチームストリッピングにより、溶媒を除去することにより、反応混合物から分離することで、固形状の共役ジエン系重合体として得ることができる。なお、重合反応により得られる共役ジエン系重合体が、一般式(1)、一般式(2)においてX1,X2で表される基として、ヒドロカルビルオキシ基またはハロゲン基を有する場合には、この共役ジエン系重合体をスチームストリッピングする際に、これらの基の少なくとも一部が加水分解して水酸基を生じ得るが、そのように生じたX1,X2で表される基として水酸基(シラノール基)を有する共役ジエン系重合体も、本発明で用いる共役ジエン系重合体(すなわち、一般式(1)または一般式(2)で表される共役ジエン系重合体)とすることができる。
本発明で用いる共役ジエン系重合体(すなわち、一般式(1)または一般式(2)で表される共役ジエン系重合体)のカップリング率は、特に限定されないが、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上、特に好ましくは20重量%以上であり、また、好ましくは80重量%以下、より好ましくは75重量%以下、特に好ましくは70重量%以下である。カップリング率が上記範囲にあると、このような共役ジエン系重合体を含有するゴム組成物を架橋して得られるゴム架橋物を、機械的強度および耐摩耗性により優れたものとすることができる。なお、カップリング率は、一般式(5)で表される化合物およびカップリング剤やその他の変性剤と反応させる前の活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖のピークトップ分子量の1.8倍以上の分子量を有する重合体分子の、最終的に得られた共役ジエン系重合体の全量に対する重量分率であり、このときの分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィによりポリスチレン換算分子量として求めるものとする。
<シランカップリング剤>
本発明のゴム組成物は、上述した一般式(1)または一般式(2)で表される共役ジエン系重合体に加えて、シランカップリング剤を含有するものである。上述した一般式(1)または一般式(2)で表される共役ジエン系重合体に加えて、シランカップリング剤を配合することで、共役ジエン系重合体が備える低発熱性およびウエットグリップ性の向上効果をより高めることができる。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、種々のシランカップリング剤を用いることができるが、本発明においては、スルフィド系、メルカプト系、保護化メルカプト系、ビニル系、アミノ系、グリシドキシ系、ニトロ系、またはクロロ系のシランカップリング剤を好適に用いることができる。なかでも、上述した一般式(1)または一般式(2)で表される共役ジエン系重合体との間に加硫構造を形成でき、これにより、低発熱性およびウエットグリップ性をさらに高めることができるという観点より、スルフィド系、メルカプト系、または保護化メルカプト系のシランカップリング剤が好ましい。また、シランカップリング剤は、1 種単独で用いてもよく、2 種以上を併用してもよい。
スルフィド系シランカップリング剤としては、たとえば、スルフィド基および加水分解性基を有するシランカップリング剤が挙げられる。加水分解性基としては、たとえば、アルコキシ基、フェノキシ基、カルボキシル基、アルケニルオキシ基などが挙げられる。なかでも、シリカなどの配合剤を配合した際における分散性がより優れるという点から、アルコキシ基であることが好ましい。加水分解性基がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素数は、1〜16であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。炭素数1〜4のアルコキシ基としては、たとえば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。
また、スルフィド系シランカップリング剤は、下記一般式(8)で表されるスルフィド基を含有する2価の有機基(以下、スルフィド基含有有機基ともいう)を備えるものであることが好ましい。
−(CH2)γ−Sβ−(CH2)γ− (8)
一般式(8)中、βは1〜10の整数を表し、2〜4の整数であることが好ましい。また、一般式(8)中、γは1〜6の整数を表し、2〜4の整数であることが好ましい。
一般式(8)で表される基の具体例としては、たとえば、−CH2−S2−CH2−、−C2H4−S2−C2H4−、−C3H6−S3−C3H6−、−C4H8−S2−C4H8−、−CH2−S4−CH2−、−C2H4−S4−C2H4−、−C3H6−S4−C3H6−、−C4H8−S4−C4H8−などが挙げられる。
上記スルフィド系シランカップリング剤としては、たとえば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィドなどが挙げられる。これらのなかでも、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドがより好ましい。
メルカプト系シランカップリング剤としては、たとえば、メルカプト基および加水分解性基を有するシランカップリング剤が挙げられる。加水分解性基としては、たとえば、アルコキシ基、フェノキシ基、カルボキシル基、アルケニルオキシ基などが挙げられる。なかでも、シリカなどの配合剤を配合した際における分散性がより優れるという点から、アルコキシ基であることが好ましい。加水分解性基がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素数は、1〜16であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。炭素数1〜4のアルコキシ基としては、たとえば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。
このようなメルカプト系シランカップリング剤のなかでも、ポリエーテル鎖を有するメルカプト系シランカップリング剤、ポリシロキサン構造(−Si−O−)を有するメルカプト系シランカップリング剤が好適である。
ポリエーテル鎖を有するメルカプト系シランカップリング剤としては、ポリエーテル鎖、具体的には、エーテル結合を2以上有する側鎖を備えるものであればよく、その具体例としては、例えば、−R14−O−R15−で表される構造単位を合計して2個以上有する側鎖が挙げられる。ここで、上記構造単位中、R14およびR15は、それぞれ独立して、直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、直鎖状もしくは分岐状のアルケニレン基、直鎖状もしくは分岐状のアルキニレン基、または、置換もしくは無置換のアリーレン基を表す。なかでも、直鎖状のアルキレン基であることが好ましい。
このようなポリエーテル鎖を有するメルカプト系シランカップリング剤としては、下記一般式(9)で表される化合物を好適に用いることができる。
上記一般式(9)中、R
16は、炭素数1〜8のアルコキシ基を表し、なかでも、炭素数1〜3のアルコキシ基が好ましい。炭素数1〜3のアルコキシ基としては、たとえば、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。また、上記一般式(9)中、aは1または2であり、1であることが好ましい。なお、aが2である場合の複数あるR
16はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(9)中、R
17は、炭素数4 〜30の直鎖状のポリエーテル基を表す。ポリエーテル基とは、エーテル結合を2以上有する基であり、その具体例としては、たとえば、−R
14−O−R
15−で表される構造単位を合計して2個以上有する基が挙げられる。なお、R
14、R
15は、上述したポリエーテル鎖を有するメルカプト系シランカップリング剤の場合と同様である。また、上記一般式(9)中、bは1または2であり、2であることが好ましい。なお、bが2である場合の複数あるR
17はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
R
17を構成する、炭素数4 〜30の直鎖状のポリエーテル基としては、下記一般式(10)で表される基が好ましく挙げられる。
一般式(10)中、R20は、直鎖状のアルキル基、直鎖状のアルケニル基、または、直鎖状のアルキニル基を表し、なかでも直鎖状のアルキル基が好ましい。直鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数8〜15の直鎖状のアルキル基がより好ましい。炭素数8〜15の直鎖状のアルキル基の具体例としては、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基などが挙げられ、なかでもトリデシル基が好ましい。
一般式(10)中、R21は、直鎖状のアルキレン基、直鎖状のアルケニレン基、または、直鎖状のアルキニレン基を表し、なかでも直鎖状のアルキレン基が好ましい。直鎖状のアルキレン基としては、炭素数1〜2の直鎖状のアルキレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。上記一般式(10)中、dは、1〜10の整数を表し、好ましくは3〜7の整数である。
一般式(9)中、R18は、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。また、一般式(9)中、cは、0または1であり、好ましくは0である。
一般式(9)中、R19は、炭素数1〜30のアルキレン基を表し、なかでも炭素数1〜12のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましい。炭素数1〜5のアルキレン基の具体例としては、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などが挙げられる。
また、一般式(9)中、a、b、cは、上述した範囲であることに加え、a+b+c=3の関係を満たすものである。
ポリシロキサン構造を有するメルカプト系シランカップリング剤としては、ポリシロキサン構造(−S i−O−)を有するものであればよいが、下記一般式(11)で表される平均組成式で表される化合物が好適である。
(A1)e(A2)f(A3)g(A4)h(R22)iSiO(4−2e−f−g−h−i)/2 (11)
一般式(11)中、A1 はスルフィド基を含有する2価の有機基(以下、スルフィド基含有有機基ともいう)を表し、なかでも、下記一般式(12)で表される基であることが好ましい。
−(CH2)j−Sk−(CH2)j− (12)
一般式(12)中、jは1〜10の整数を表し、2〜4の整数であることが好ましい。また、一般式(12)中、kは1〜6の整数を表し、2〜4の整数であることが好ましい。
一般式(12)で表される基の具体例としては、たとえば、−CH2−S2−CH2−、−C2H4−S2−C2H4−、−C3H6−S3−C3H6−、−C4H8−S2−C4H8−、−CH2−S4−CH2−、−C2H4−S4−C2H4−、−C3H6−S4−C3H6−、−C4H8−S4−C4H8−などが挙げられる。
一般式(11)中、A2は炭素数5 〜10の1価の炭化水素基を表し、その具体例としては、ヘキシル基、オクチル基、デシル基などが挙げられる。
一般式(11)中、A3は加水分解性基を表し、その具体例としては、アルコキシ基、フェノキシ基、カルボキシル基、アルケニルオキシ基などが挙げられ、なかでも、下記一般式(13)で表される基であることが好ましい。
−OR23 (13)
一般式(13)中、R23は炭素数1 〜20のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜10のアラルキル基( アリールアルキル基) または炭素数2〜10のアルケニル基を表し、なかでも、炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましい。炭素数1 〜20のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基などが挙げられる。炭素数6 〜10のアリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基などが挙げられる。上記炭素数6 〜10のアラルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェニルエチル基などが挙げられる。炭素数2 〜10のアルケニル基の具体例としては、ビニル基、プロぺニル基、ペンテニル基などが挙げられる。
一般式(11)中、A4はメルカプト基を含有する有機基を表し、なかでも、下記一般式(14)で表される基であることが好ましい。
−(CH2)l−SH (14)
一般式(14)中、lは1〜10の整数を表し、1〜5の整数であることが好ましい。
一般式(14)で表される基の具体例としては、−CH2SH、−C2H4SH、−C3H6SH、−C4H8SH、−C5H10SH、−C6H12SH、−C7H14SH、−C8H16SH、−C9H18SH、−C10H20SHなどが挙げられる。
一般式(11)中、R22は、炭素数1〜4の1価の炭化水素基を表す。
また、一般式(11)中、e、f、g、h、iは、0≦e<1、0≦f<1、0<g<3、0<h<1、0≦i<2、0<2e+f+g+h+i<4である(ただし、eおよびfのうちいずれか一方は、0でない。)。ゴム組成物の耐スコーチ性を高めることができるという点より、eは、0<e<1であることが好ましく、0<e≦0.50であることがより好ましい。また、低発熱性およびウエットグリップ性をより高めることができるという点より、fは、0<f<1であることが好ましく、0.10≦f≦0.89であることがより好ましく、gは、1.2≦g≦2.0であることが好ましく、hは、0.1≦h≦0.8であることが好ましい。
一般式(11)で表されるポリシロキサン構造を有するメルカプト系シランカップリング剤のなかでも、シリカなどの配合剤を配合した際における分散性をより良好なものとすることができるという点より、A1が一般式(12)で表される基であり、A3が一般式(13)で表される基であり、かつ、A4が一般式(14)で表される基であるものがより好ましい。
一般式(11)で表されるポリシロキサン構造を有するメルカプト系シランカップリング剤の分子量は、耐スコーチ性、およびシリカなどの配合剤を配合した際における分散性の観点より、トルエンを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC) によりポリスチレン換算で求められた重量平均分子量で、500〜2,300の範囲が好ましく、600〜1,500の範囲であることがより好ましい。
一般式(11)で表されるポリシロキサン構造を有するメルカプト系シランカップリング剤の酢酸/ヨウ化カリウム/ヨウ素酸カリウム添加−チオ硫酸ナトリウム溶液滴定法によるメルカプト当量は、一般式(1)または一般式(2)で表される共役ジエン系重合体に対する加硫反応性に優れるという観点より、好ましくは550〜1900g/mol、より好ましくは600〜1500g/molである。
一般式(11)で表されるポリシロキサン構造を有するメルカプト系シランカップリング剤の骨格には、ケイ素原子以外の金属(たとえば、Sn、Ti、A l)は存在しないものであることが好ましい。
一般式(11)で表されるポリシロキサン構造を有するメルカプト系シランカップリング剤は、たとえば、第1の製造方法として、下記一般式(16)で表される有機ケイ素化合物と、下記一般式(17)で表される有機ケイ素化合物とを加水分解縮合する方法により製造することができる。あるいは、第2の製造方法として、下記一般式(15)で表される有機ケイ素化合物と、下記一般式(16)で表される有機ケイ素化合物と、下記一般式(17)で表される有機ケイ素化合物とを加水分解縮合する方法が挙げられる。さらに、第3の製造方法として、下記一般式(15)で表される有機ケイ素化合物と、下記一般式(16)で表される有機ケイ素化合物と、下記一般式(17)で表される有機ケイ素化合物と、下記一般式(18)で表される有機ケイ素化合物とを加水分解縮合する方法が挙げられる。これらの中でも、第2の方法が好ましい。
一般式(15)中、R24は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数2〜10のアルケニル基を表し、なかでも、炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましい。炭素数1〜20のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基などが挙げられる。上記炭素数6〜10のアリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基などが挙げられる。炭素数2〜10のアルケニル基の具体例としては、ビニル基、プロペニル基、ペンテニル基などが挙げられる。
また、一般式(15)中、R25は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を表す。炭素数1〜10のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基などが挙げられる。炭素数6〜10のアリール基の具体例は上記R24と同じである。
一般式(15)中、jおよびkは、一般式(12)のjおよびkと同様である。また、一般式(15)中、vは1 〜 3 の整数を表す。
一般式(15)で表される有機ケイ素化合物の具体例としては、ビス( トリメトキシシリルプロピル) テトラスルフィド、ビス( トリエトキシシリルプロピル) テトラスルフィド、ビス( トリメトキシシリルプロピル) ジスルフィド、ビス( トリエトキシシリルプロピル) ジスルフィドなどが挙げられる。
一般式(16)中、R26は、上記一般式(15)のR24と同様であり、また、R27は、上記一般式(15)のR25と同様である。
また、上記一般式(16)中、wは、上記一般式(15)のvと同様であり、xは5〜10の整数を表す。
上記一般式(16)で表される有機ケイ素化合物の具体例としては、例えば、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルメチルジメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ペンチルメチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルメチルジメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルメチルジエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルメチルジメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルメチルジエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルメチルジメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、デシルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
一般式(17)中、R28は、一般式(15)のR24と同様であり、また、R29は、一般式(15)のR25と同様である。
また、一般式(17)中、yは、一般式(15)のvと同様であり、lは、一般式(14)のlと同様である。
上記一般式(17)で表される有機ケイ素化合物の具体例としては、α−メルカプトメチルトリメトキシシラン、α−メルカプトメチルメチルジメトキシシラン、α−メルカプトメチルトリエトキシシラン、α−メルカプトメチルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
一般式(18)中、R30は、一般式(15)のR24と同様であり、また、R31は、一般式(15)のR25と同様である。
また、一般式(18)中、zは、一般式(15)のvと同様であり、αは1〜4の整数を表す。
一般式(18)で表される有機ケイ素化合物の具体例としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルメチルジメトキシシラン、プロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
一般式(11)で表されるポリシロキサン構造を有するメルカプト系シランカップリング剤を製造する際には、必要に応じて溶媒を用いてもよい。溶媒としては特に限定されないが、たとえば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール系溶媒などが挙げられる。
また、一般式(11)で表されるポリシロキサン構造を有するメルカプト系シランカップリング剤を製造する際には、必要に応じて触媒を用いてもよい。触媒としては特に限定されないが、具体的には塩酸、酢酸などの酸性触媒、テトラブチルオルトチタネート、アンモニウムフルオリドなどのルイス酸触媒、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどのアルカリ金属塩、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、4 −ジメチルアミノピリジンなどのアミン化合物などが挙げられる。
また、一般式(11)で表されるポリシロキサン構造を有するメルカプト系シランカップリング剤を製造する際に使用する有機ケイ素化合物として、メルカプト基を有するシランカップリング剤(たとえば、一般式(17)で表される有機ケイ素化合物)と、スルフィド基またはメルカプト基を有するシランカップリング剤以外のシランカップリング剤(たとえば、一般式(16)、一般式(18)で表される有機ケイ素化合物)とを併用する際には、メルカプト基を有するシランカップリング剤と、スルフィド基またはメルカプト基を有するシランカップリング剤以外のシランカップリング剤との混合比を、「メルカプト基を有するシランカップリング剤/スルフィド基またはメルカプト基を有するシランカップリング剤以外のシランカップリング剤」のモル比で、1.1/8.9〜6.7/3.3の範囲とすることが好ましく、1.4/8.6〜5.0/5.0の範囲とすることがより好ましい。
さらに、一般式(11)で表されるポリシロキサン構造を有するメルカプト系シランカップリング剤を製造する際に使用する有機ケイ素化合物として、メルカプト基を有するシランカップリング剤(たとえば、一般式(17)で表される有機ケイ素化合物)と、スルフィド基を有するシランカップリング剤(たとえば、一般式(15)で表される有機ケイ素化合物)とを併用する際、メルカプト基を有するシランカップリング剤とスルフィド基を有するシランカップリング剤との混合比を、「メルカプト基を有するシランカップリング剤/スルフィド基を有するシランカップリング剤」のモル比で、2.0/8.0〜8.9/1.1の範囲とすることが好ましく、2.5/7.5〜8.0/2.0の範囲とすることがより好ましい。
また、一般式(11)で表されるポリシロキサン構造を有するメルカプト系シランカップリング剤を製造する際に使用する有機ケイ素化合物として、メルカプト基を有するシランカップリング剤(たとえば、一般式(17)で表される有機ケイ素化合物)と、スルフィド基を有するシランカップリング剤(たとえば、一般式(15)で表される有機ケイ素化合物)と、スルフィド基またはメルカプト基を有するシランカップリング剤以外のシランカップリング剤(たとえば、一般式(16)、一般式(18)で表される有機ケイ素化合物)とを併用する際、メルカプト基を有するシランカップリング剤の使用量は、これらの合計量中の10.0〜73.0モル%の範囲とすることが好ましい。また、スルフィド基を有するシランカップリング剤の使用量は、これらの合計量中の5.0〜67.0モル%の範囲とすることが好ましく、スルフィド基またはメルカプト基を有するシランカップリング剤以外のシランカップリング剤の使用量は、これらの合計量中の16.0〜85.0モル%の範囲とすることが好ましい。
保護化メルカプト系シランカップリング剤は、保護化メルカプト基を有するものであればよく特に限定されないが、たとえば、下記一般式(19)で表される化合物を好適に用いることができる。
一般式(19)中、R
32は、R
37O−、R
37C(=O)O−、R
37R
38C=NO−、R
37R
38CNO−、R
37R
38N−、または、−(OSiR
37R
38)
ζ(OSiR
37R
38R
39)(ただし、R
37、R
38、R
39は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜18の一価の炭化水素基であり、ζは1〜5の整数。)、R
33は、R
1と同様のもの、または、水素原子または炭素数1〜18の一価の炭化水素基、R
34はR
1、R
2と同様のもの、または−[O(R
40O)
ηH]基(ただし、R
40は炭素数1〜18のアルキレン基、ηは1〜4の整数である。)、R
35は炭素数1〜18の二価の炭化水素基、R
36は炭素数1〜18の一価の炭化水素基を示し、δ、εは、0≦δ≦3、0≦ε≦2、2≦δ+ε≦3の関係を満たす数である。
一般式(19)において、炭素数1〜18の一価の炭化水素基としては、たとえば、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアラルキル基等を挙げることができる。ここで、アルキル基およびアルケニル基は直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれであってもよく、また、アリール基およびアラルキル基は、芳香環上に低級アルキル基などの置換基を有していてもよい。
炭素数1〜18の一価の炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、プロぺニル基、アリル基、ヘキセニル基、オクテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
また、一般式(19)において、R40で表される炭素数1〜18のアルキレン基は、直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれであってもよいが、直鎖状のものが好ましい。直鎖状のアルキレン基の例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基等が挙げられる。
一般式(19)において、R35で表される炭素数1〜18の二価の炭化水素基としては、たとえば、炭素数1〜18のアルキレン基、炭素数2〜18のアルケニレン基、炭素数5〜18のシクロアルキレン基、炭素数6〜18のシクロアルキルアルキレン基、炭素数6〜18のアリーレン基、炭素数7〜18のアラルキレン基を挙げることができる。アルキレン基およびアルケニレン基は、直鎖状、枝分かれ状のいずれであってもよく、シクロアルキレン基、シクロアルキルアルキレン基、アリーレン基およびアラルキレン基は、環上に低級アルキル基などの置換基を有していてもよい。R35としては、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、なかでも、直鎖状アルキレン基、たとえば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基を好ましく挙げることができる。
保護化メルカプト系シランカップリング剤の具体例としては、3−ヘキサノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリエトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリエトキシシラン、3−ヘキサノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリメトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
また、ビニル系のシランカップリング剤としては、たとえば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランなどが挙げられる。
アミノ系のシランカップリング剤としては、たとえば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
グリシドキシ系のシランカップリング剤としては、たとえば、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。
ニトロ系のシランカップリング剤としては、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
クロロ系のシランカップリング剤としては、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシランなどが挙げられる。
本発明のゴム組成物におけるシランカップリング剤の配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部であり、より好ましくは0.5〜20重量部であり、さらに好ましくは1〜10重量部である。シランカップリング剤の配合量を上記範囲とすることにより、得られるゴム架橋物の耐摩耗性および低発熱性がより優れたものとなる。
なお、本発明のゴム組成物中における、シランカップリング剤の添加形態としては、特に限定されないが、たとえば、配合剤として、シリカを配合する場合には、シリカに対して、予めシランカップリング剤により表面処理を行い、シリカの表面に存在する状態にて、シリカとともに、上述した一般式(1)または一般式(2)で表される共役ジエン系重合体に添加するような形態としてもよい。あるいは、シランカップリング剤をそのまま添加するような形態としても、もちろんよい。
また、本発明のゴム組成物は、さらにシリカを含有することが好ましい。本発明で用いるシリカとしては、たとえば、乾式法ホワイトカーボン、湿式法ホワイトカーボン、コロイダルシリカ、沈降シリカなどが挙げられる。これらのなかでも、含水ケイ酸を主成分とする湿式法ホワイトカーボンが好ましい。また、カーボンブラック表面にシリカを担持させたカーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラーを用いてもよい。これらのシリカは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。用いるシリカの窒素吸着比表面積(ASTM D3037−81に準じBET法で測定される)は、好ましくは50〜300m2/gであり、より好ましくは80〜220m2/gであり、特に好ましくは100〜170m2/gである。また、シリカのpHは、5〜10であることが好ましい。
本発明のゴム組成物におけるシリカの配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは10〜200重量部であり、より好ましくは30〜150重量部であり、さらに好ましくは50〜100重量部である。シリカの配合量をこの範囲とすることにより、ゴム組成物の加工性が優れたものとなり、得られるゴム架橋物の耐摩耗性および低発熱性がより優れたものとなる。
また、本発明のゴム組成物には、さらに、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、およびグラファイトなどのカーボンブラックを配合してもよい。これらのなかでも、ファーネスブラックが好ましい。これらのカーボンブラックは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。カーボンブラックの配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、通常、120重量部以下である。
本発明のゴム組成物中に、シリカを添加する方法は特に限定されず、固形のゴム成分に対して添加して混練する方法(乾式混練法)やゴム成分の溶液に対して添加して凝固・乾燥させる方法(湿式混練法)などを適用することができる。
また、本発明のゴム組成物は、架橋剤をさらに含有していることが好ましい。架橋剤としては、たとえば、硫黄、ハロゲン化硫黄などの含硫黄化合物、有機過酸化物、キノンジオキシム類、有機多価アミン化合物、メチロール基を有するアルキルフェノール樹脂などが挙げられる。これらの中でも、硫黄が好ましく使用される。架橋剤の配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部であり、より好ましくは0.5〜5重量部であり、特に好ましくは1〜4重量部である。
さらに、本発明のゴム組成物には、上記成分以外に、常法に従って、架橋促進剤、架橋活性化剤、老化防止剤、充填剤(上記シリカおよびカーボンブラックを除く)、活性剤、プロセス油、可塑剤、滑剤、粘着付与剤などの配合剤をそれぞれ必要量配合できる。
架橋剤として、硫黄または含硫黄化合物を用いる場合には、架橋促進剤および架橋活性化剤を併用することが好ましい。架橋促進剤としては、たとえば、スルフェンアミド系架橋促進剤;グアニジン系架橋促進剤;チオウレア系架橋促進剤;チアゾール系架橋促進剤;チウラム系架橋促進剤;ジチオカルバミン酸系架橋促進剤;キサントゲン酸系架橋促進剤;などが挙げられる。これらのなかでも、スルフェンアミド系架橋促進剤を含むものが好ましい。これらの架橋促進剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。架橋促進剤の配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部であり、より好ましくは0.5〜5重量部であり、特に好ましくは1〜4重量部である。
架橋活性化剤としては、たとえば、ステアリン酸などの高級脂肪酸;酸化亜鉛;などを挙げることができる。これらの架橋活性化剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。架橋活性化剤の配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.05〜20重量部であり、特に好ましくは0.5〜15重量部である。
また、本発明のゴム組成物には、上述した一般式(1)または一般式(2)で表される共役ジエン系重合体以外のその他のゴムを配合してもよい。その他のゴムとしては、たとえば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、乳化重合スチレン−ブタジエン共重合ゴム、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム(高シス−BR、低シスBRであってもよい。また、1,2−ポリブタジエン重合体からなる結晶繊維を含むポリブタジエンゴムであってもよい。)、スチレン−イソプレン共重合ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、およびアクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合ゴムなどのうち、上述した変性共役ジエン系ゴム以外のものをいう。これらのなかでも、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、および溶液重合スチレン−ブタジエン共重合ゴムが好ましい。これらのゴムは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のゴム組成物において、上述した一般式(1)または一般式(2)で表される共役ジエン系重合体は、ゴム組成物中のゴム成分の10〜100重量%を占めることが好ましく、50〜100重量%を占めることが特に好ましい。このような割合で、上述した一般式(1)または一般式(2)で表される共役ジエン系重合体がゴム成分中に含まれることにより、より低発熱性および耐摩耗性に優れたゴム架橋物を得ることができる。
本発明のゴム組成物を得るためには、常法に従って各成分を混練すればよく、たとえば、架橋剤や架橋促進剤などの熱に不安定な成分を除く成分とゴム成分とを混練した後、その混練物に架橋剤や架橋促進剤などの熱に不安定な成分を混合して目的のゴム組成物を得ることができる。熱に不安定な成分を除く成分とゴム成分との混練温度は、好ましくは80〜00℃であり、より好ましくは120〜180℃であり、その混練時間は、好ましくは30秒〜30分である。また、その混練物と熱に不安定な成分との混合は、通常100℃以下、好ましくは80℃以下まで冷却した後に行われる。
本発明のゴム架橋物は、以上述べたような本発明のゴム組成物を架橋してなるものである。本発明のゴム架橋物は、本発明のゴム組成物を用い、たとえば、所望の形状に対応した成形機、たとえば、押出機、射出成形機、圧縮機、ロールなどにより成形を行い、加熱することにより架橋反応を行い、架橋物として形状を固定化することにより製造することができる。この場合においては、予め成形した後に架橋しても、成形と同時に架橋を行ってもよい。成形温度は、通常10〜200℃であり、好ましくは25〜120℃である。架橋温度は、通常100〜200℃であり、好ましくは130〜190℃であり、架橋時間は、通常1分〜24時間であり、好ましくは2分〜12時間であり、特に好ましくは3分〜6時間である。
また、ゴム架橋物の形状、大きさなどによっては、表面が架橋していても内部まで十分に架橋していない場合があるので、さらに加熱して二次架橋を行ってもよい。
ゴム組成物を架橋するための加熱方法としては、プレス加熱、スチーム加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる一般的な方法を適宜選択すればよい。
たとえば、以上のようにして得られる本発明のゴム架橋物は、上述した本発明のゴム組成物を用いて得られるものであるため、低発熱性およびウエットグリップ性に優れたものである。本発明のゴム架橋物は、このような特性を活かし、たとえば、タイヤにおいて、キャップトレッド、ベーストレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部などのタイヤ各部位の材料;ホース、ベルト、マット、防振ゴム、その他の各種工業用品の材料;樹脂の耐衝撃性改良剤;樹脂フィルム緩衝剤;靴底;ゴム靴;ゴルフボール;玩具;などの各種用途に用いることができる。とりわけ、本発明のゴム架橋物は、低発熱性およびウエットグリップ性に優れることから、タイヤの材料、特に低燃費タイヤの材料として好適に用いることができ、トレッド用途に最適である。
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。なお、各例中の「部」および「%」は、特に断りのない限り、重量基準である。
各種の測定および評価については、以下の方法に従って行った。
〔共役ジエン系重合体の分子量〕
重合体の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィによりポリスチレン換算分子量として求めた。具体的な測定条件は、以下のとおりとした。
測定器:高速液体クロマトグラフ(東ソー社製、商品名「HLC−8220」)
カラム:東ソー社製、商品名「GMH−HR−H」を二本直列に連結した。
検出器:示差屈折計
溶離液:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
〔共役ジエン系重合体のカップリング率〕
上記の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィにより得られた溶出曲線において、全溶出面積に対する、分子量の最も小さいピークが示すピークトップ分子量の1.8倍以上のピークトップ分子量を有するピーク部分の面積比を、共役ジエン系重合体のカップリング率の値とした。
〔ゴム架橋物の低発熱性〕
ゴム架橋物の低発熱性については、長さ50mm、幅12.7mm、厚さ2mmの試験片を、レオメトリックス社製ARESを用い、動的歪み2.5%、10Hzの条件で60℃におけるtanδを測定することにより評価した。このtanδの値については、比較例1の測定値を100とする指数で示した。この指数が小さいものほど、低発熱性に優れる。
〔ゴム架橋物のウエットグリップ性〕
ゴム架橋物のウエットグリップ性については、長さ50mm、幅12.7mm、厚さ2mmの試験片を、レオメトリックス社製ARESを用い、動的歪み0.5%、10Hzの条件で0℃におけるtanδの値を測定することにより評価した。このtanδの値については、比較例1の測定値を100とする指数で示した。この指数が大きいものほど、ウエットグリップ性に優れる。
〔製造例1〕
窒素雰囲気下、オートクレーブに、シクロヘキサン800部、1,3−ブタジエン94.8部、スチレン25.2部、およびテトラメチルエチレンジアミン0.164部を仕込んだ後、n−ブチルリチウム0.045部を添加し、60℃で重合を開始した。60分間重合反応を継続し、重合転化率が95%から100%の範囲になったことを確認してから、2,2−ジメトキシ−8−(4−メチルピペラジニル)メチル−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン0.322部を添加し、30分間反応させた後、重合停止剤としてメタノール0.064部を添加して、共役ジエン系重合体を含有する溶液を得た。そして、得られた重合体成分100部に対して、老化防止剤として2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール(チバスペシャルティケミカルズ社製、商品名「イルガノックス1520」)0.15部を溶液に添加した後、スチームストリッピングにより、溶媒を除去し、60℃で24時間真空乾燥して、固形状の共役ジエン系重合体(A1)を得た。得られた共役ジエン系重合体(A1)の重量平均分子量(Mw)は370,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.29、カップリング率は32.8%であった。
〔製造例2〕
2,2−ジメトキシ−8−(4−メチルピペラジニル)メチル−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン0.322部に代えて、2,2−ジメトキシ−1−フェニル−1−アザ−2−シラシクロペンタン0.236部を用いたこと以外は、製造例1と同様に操作して、固形状の共役ジエン系重合体(A2)を得た。得られた共役ジエン系重合体(A2)の重量平均分子量(Mw)は258,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.12、カップリング率は4.5%であった。
〔製造例3〕
2,2−ジメトキシ−8−(4−メチルピペラジニル)メチル−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン0.322部に代えて、N−フェニル−2−ピロリドン0.188部を用いたこと以外は、製造例1と同様に操作して、固形状の共役ジエン系重合体(A3)を得た。得られた共役ジエン系重合体(A3)の重量平均分子量(Mw)は255,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.08、カップリング率は2.2%であった。
〔実施例1〕
容量250mlのブラベンダータイプミキサー中で、製造例1で得られた共役ジエン系重合体(A1)70部およびブタジエンゴム(日本ゼオン社製 商品名「Nipol BR1220」)30部を30秒素練りし、次いでシリカ(ローディア社製、商品名「Zeosil 1165MP」、窒素吸着比表面積(BET法):163m2/g))50部、プロセスオイル(新日本石油社製、商品名「アロマックス T−DAE」)20部、およびシランカップリング剤:ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド(デグッサ社製、商品名「Si69」)6部を添加して、110℃を開始温度として1.5分間混練後、シリカ(ローディア社製、商品名「Zeosil 1165MP」)25部、酸化亜鉛3部、ステアリン酸2部および老化防止剤:N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(大内新興社製、商品名「ノクラック6C」)2部を添加し、更に2.5分間混練し、ミキサーから混練物を排出させた。混錬終了時の混練物の温度は150℃であった。混練物を、室温まで冷却した後、再度ブラベンダータイプミキサー中で、110℃を開始温度として2分間混練した後、ミキサーから混練物を排出させた。次いで、50℃のオープンロールで、得られた混練物に、硫黄1.40部、架橋促進剤:N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(商品名「ノクセラーNS−P」、大内新興化学工業社製)1.2部、およびジフェニルグアニジン(商品名「ノクセラーD」、大内新興化学工業社製)1.2部を加えてこれらを混練した後、シート状のゴム組成物を取り出した。このゴム組成物を、160℃で20分間プレス架橋して、ゴム架橋物の試験片を作製し、この試験片について、低発熱性およびウエットグリップ性の評価を行なった。結果を表1に示す。
〔実施例2〕
シランカップリング剤として、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド6部に代えて、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン(GE東芝シリコーン社製、「NXTシラン」)6部を使用した以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物の試験片を作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
シランカップリング剤として、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド6部に代えて、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド(デグッサ社製、商品名「Si75」)6部を使用した以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物の試験片を作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
製造例1で得られた共役ジエン系重合体(A1)70部に代えて、製造例2で得られた共役ジエン系重合体(A2)70部を使用した以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物の試験片を作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
製造例1で得られた共役ジエン系重合体(A1)70部に代えて、製造例2で得られた共役ジエン系重合体(A2)70部を使用した以外は、実施例2と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物の試験片を作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例3〕
製造例1で得られた共役ジエン系重合体(A1)70部に代えて、製造例2で得られた共役ジエン系重合体(A2)70部を使用した以外は、実施例3と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物の試験片を作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例4〕
製造例1で得られた共役ジエン系重合体(A1)70部に代えて、製造例3で得られた共役ジエン系重合体(A3)70部を使用した以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物の試験片を作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例5〕
製造例1で得られた共役ジエン系重合体(A1)70部に代えて、製造例3で得られた共役ジエン系重合体(A3)70部を使用した以外は、実施例2と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物の試験片を作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例6〕
製造例1で得られた共役ジエン系重合体(A1)70部に代えて、製造例3で得られた共役ジエン系重合体(A3)70部を使用した以外は、実施例3と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物の試験片を作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
表1から判るように、上述した製造方法によって得られ、上述した一般式(1)または一般式(2)で表される共役ジエン系重合体と、シランカップリング剤とを含有するゴム組成物(実施例1〜3)を用いて得られたゴム架橋物は、異なる変性剤を用いて末端変性された共役ジエン系重合体を使用したゴム組成物(比較例1〜6)を用いて得られたゴム架橋物に比して、低発熱性およびウエットグリップ性に優れるものである。