JP2017009043A - 軸受装置およびポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】回転軸の回転速度が高速化しても、潤滑油を適切な量で軸受へ安定的に供給することができる軸受装置を提供する。【解決手段】本発明の軸受装置は、回転軸1に固定されたオイルディスク11によって、潤滑油を潤滑油貯槽10からかき上げて軸受32に供給する。軸受装置は、オイルディスク11によってかき上げられた潤滑油を、軸受32まで延びる潤滑油通路17に導くガイドケーシング15を含み、ガイドケーシング15は、オイルディスク11の側面に対向する内側面35、およびオイルディスク11の外周面に対向する内周面37を有する。内周面37は、大径面37Aと、小径面37Bと、大径面37Aと小径面37Bとを接続する壁面37Cとで構成され、壁面37Cは、オイルディスク11の回転方向において、潤滑油通路17の入口17aの下流側に位置している。【選択図】図6
Description
本発明は、横軸ポンプ等に用いられる軸受装置に係り、特に、回転軸の回転速度が高速化しても、適切に潤滑油を軸受に供給することができる軸受装置に関する。また、本発明はこのような軸受装置を備えたポンプに関する。
回転軸が水平に設置された横軸式の回転機械(例えば、横軸ポンプ)には、回転軸を回転自在に支持するために、回転軸の端部近傍に軸受装置が配置される。さらに、軸受を潤滑および冷却するための潤滑油が貯留される潤滑油貯槽が、軸受装置の内部または外部に設けられる。潤滑油貯槽から軸受へ潤滑油を供給する手段としては、外部動力を用いた強制給油装置、または外部動力を用いない自己潤滑装置が挙げられる。強制給油装置は、軸受装置の外部に配置された潤滑油貯槽から外部動力を用いて、軸受装置内部に配置された軸受に潤滑油を供給する。自己潤滑装置では、軸受装置内部で回転軸の下部に配置された潤滑油貯槽から回転軸の回転力を利用して潤滑油をかき上げて潤滑油を軸受へ供給する。
強制給油装置の一例が、図14乃至図16に示される。図14は、強制給油装置を用いる場合における軸受装置を示す断面図である。図15は、強制給油装置の配管及び計器系統図である。図16(a)および図16(b)は、強制給油装置を用いた場合におけるポンプの配置を示す概略側面図および概略平面図である。
図14に示すように、横軸ポンプ100の回転軸1は水平に延びており、回転軸1の端部は軸受9A,9Bに回転自在に支持される。図15に示すように、横軸ポンプ100の外部には強制給油装置26が配置されている。軸受9A,9Bには、強制給油装置26から潤滑油が強制的に供給される。強制給油装置26は、潤滑油ポンプ21、フィルター24、潤滑油冷却器23、複数の油圧監視計器25、および潤滑油タンク22等の複数の構成機器を備えている。そのため、強制給油装置26のコストが高くなってしまう。
さらに、図16(a)および図16(b)に示すように、横軸ポンプ100やこの横軸ポンプ100を駆動するための電動機200の設置スペースに加えて、強制給油装置26の設置スペースが必要となる。この場合、強制給油装置26を構成する各構成要素の体積が大きいため、強制給油装置26用の設置スペースも大きくなる。結果として、ポンプシステム全体で必要とされる設置スペースが大型化し、回転機械としての市場における製品競争力を低下させる原因となりうる。
次に、自己潤滑装置を用いた従来の軸受装置の一例を図17に示す。図17に示されるように、回転軸1の端部は軸受9A,9Bに回転自在に支持される。潤滑油が貯留される潤滑油貯槽10は、軸受9A,9Bの下方に配置されている。この潤滑油貯槽10内の潤滑油をかき上げるための自己潤滑装置として、オイルリング20が設けられている。オイルリング20は回転軸1の外周面を囲むように配置されており、回転軸1の回転に伴って回転する。そして、回転するオイルリング20によって潤滑油貯槽10内の潤滑油をかき上げることで、潤滑油を軸受9A,9Bに供給する。このようなオイルリング20を用いた自己潤滑装置は、オイルリング式自己潤滑装置として従来から知られている。
しかしながら、このような従来のオイルリング式自己潤滑装置では、回転軸1を高い回転速度で回転させると、オイルリング20の回転が回転軸1の回転に追随できなくなる。すなわち、回転軸1に対するオイルリング20の回転速度が大きく低下し、オイルリング20は潤滑油を適切にかき上げられなくなる。結果として、所望の潤滑性能や冷却性能が得られなくなってしまう。
このような理由から、オイルリング式の自己潤滑装置が採用された横軸ポンプには、回転軸1の回転速度の上限が必然的に存在する。そのため、上限を超えた回転速度がポンプに要求される場合は、強制給油装置の採用を余儀なくされていた。しかしながら、強制給油装置が採用される横軸ポンプは、上述したように、大型の設備となることから、市場における競争力が低下するおそれがある。
さらに、軸受への潤滑油の供給量が過剰であった場合には、軸受部における摩擦損失が増大するため、軸受部温度上昇の一因となる。従来の自己潤滑方式では、オイルリング20から軸受への潤滑油の供給量を制御することが極めて困難である。このため、過度な量の潤滑油が軸受に供給されたときに、本来冷却作用を期待している潤滑油が摩擦増大による発熱原因となってしまい、期待した作用とは逆効果が生じてしまう。
特許文献1に開示される自己潤滑式軸受装置では、別置の強制給油装置を設置する必要はない。しかしながら、潤滑油を循環させるための配管を、軸受装置の外部または内部に配置する必要があり、また、起動時の補助給油手段としてオイルリングを必要とする。
特許文献2に開示される軸受装置においては、回転軸に固定されたディスクに対向する樹脂製のオイルケースが設けられる。このオイルケースは樹脂製であるため、当該オイルケースが磨耗してディスクとの隙間が広がった場合に、潤滑油の吸い上げ能力が低下して、軸受への給油量が不足するという問題がある。また、この軸受装置では、ディスクに付着した潤滑油を、ディスクの回転による遠心力でディスク外縁に集め、ディスクの外周円弧面でオイルケースによる回収を行う。しかしながら、潤滑油が外周円弧面からあふれて飛散したり、外周円弧面以外の部分から潤滑油が飛散したりしてしまう。また、潤滑油は、遠心力でディスク外縁に集まる潤滑油の圧力を利用して、可撓性管を介してディスクの外周よりも上方に持ち上げられ、さらに可撓性管よりも外側に設けられた導入孔を通してジャーナル軸受に供給される。そのため、軸受装置全体として径方向に大型であり、導入孔の加工も複雑であり、手間がかかる。
特許文献3には、オイルリングによりかき上げられたオイルを軸受へ導く技術が開示されている。しかしながら、この技術を用いた場合の軸受への潤滑油供給量は運転条件に依存して変化する。また、回転軸の高速回転に伴ってオイルリングが回転軸に追随しなくなる上述の問題に関しては考慮されていない。さらに、オイルリングの回転により油面から飛翔する潤滑油の量は、回転軸の回転速度の増大と共に増加することが予測される。特許文献3に開示される発明では、回転軸の軸方向への潤滑油の散失に関して何ら考慮されていないため、軸受装置の軸封部等からの油漏れが懸念される。
特許文献4には、給油円板を用いて給油室からかき上げた潤滑油を、案内板を介して軸受へ導く車両駆動用電動機が開示されている。しかしながら、特許文献4には、回転子軸の回転速度(すなわち、給油円板の回転速度)について言及されていないため、車両駆動用電動機の運転条件が不明である。さらに、特許文献4に開示される案内板は、給油円板の最頂部位置よりも上方で、かつ給油円板に対して軸方向にオフセットされて配置されている。言い換えると、案内板は、給油円板の半径方向の延長線上には存在しない。
ここで、近年のポンプの技術分野では、ポンプの小型化、およびそれに伴う運転条件の変化に伴って、オイルディスクはその回転速度が1000〜3600min−1程度である非常に高い回転速度での運転を余儀なくされている。また、運転中の発熱防止、および粘性による回転損失の低減のために、粘性が低い潤滑油がポンプの軸受装置に用いられる傾向がある。オイルディスクによりかき上げられる潤滑油の挙動は該潤滑油の粘性、およびオイルディスクの回転速度にしたがって大きく変化する。特に、1000min−1以上の高回転速度で回転するオイルディスクによってかき上げられた潤滑油は、強大な遠心力によりオイルディスクの半径方向外側へ飛散する。
したがって、特許文献4に開示される案内板を用いた技術をポンプの軸受装置に用いた場合、案内板の配置位置であるオイルディスクの最頂部位置よりも上方まで、潤滑油をかき上げることは物理的に非常に困難である。そのため、特許文献4に開示される技術を用いてポンプの軸受装置の潤滑油を給油室から案内板までかき上げるためには、オイルディスクを1000min−1の回転速度よりも低い回転速度で回転させるか、または非常に粘性の高い潤滑油を用いなければならない。この運転条件は、オイルディスクを1000〜3600min−1程度の非常に高い回転速度で回転させ、かつ粘性が低い潤滑油を用いることを要求されているポンプの軸受装置の運転条件とは正反対である。したがって、特許文献4に開示される技術を、そのままポンプの軸受装置に用いることはできない。
さらに、特許文献4に開示される案内板は、給油円板の最頂部位置よりも上方に一つだけ設けられ、かつ給油円板に対して軸方向にオフセットされて配置されている。オイルディスクは、上述のように1000min−1以上の高回転速度で回転されるため、オイルディスク表面に付着した(濡れた)潤滑油が有する速度成分は、ほとんどが半径方向外側向きの成分、およびオイルディスクの回転方向の成分となる。したがって、特許文献4に開示されている構成では、オイルディスクから案内板に到達する潤滑油の量は少なく、潤滑油を適切に軸受に導くことができない。
ポンプの軸受装置に用いるような低粘度の潤滑油を高回転速度で回転するオイルディスクでかき上げて、該潤滑油を適切に軸受に供給するためには、オイルディスク周辺に配置された構成要素の形状および寸法などを好適に設定する必要がある。しかしながら、特許文献4は、低粘度の潤滑油を高回転速度で回転する給油円板により適切に軸受に供給するための、給油円板の周辺の構成に関する記述がない。
特許文献5には、改良された形状を有する遠心流惹起部材を用いて、潤滑油を軸受に供給するための技術が開示されている。しかしながら、特許文献5は、低粘度の潤滑油を高回転速度で回転する遠心流惹起部材により適切に軸受に供給するための、遠心流惹起部材の周辺の構成に関する記述がない。
また、上記したいずれの特許文献に開示された従来の自己潤滑型軸受装置においても、軸受への過度の潤滑油供給が転がり軸受、およびすべり軸受のいずれに対しても及ぼす影響、すなわち回転損失の増大とそれに伴う発熱に対する対策については全く言及されていない。したがって、上述した従来の自己潤滑型軸受装置は、回転速度、回転軸径、使用する潤滑油粘度、および周辺温度や作動時間による油粘度変化等を考慮した適切な自己潤滑技術を提供しているとは言い難い。さらに他の関係文献、先行技術においても、過度な潤滑油供給量を抑制し、潤滑油供給量を好適化することに関する技術は見当たらない。
本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたもので、回転軸の回転速度が高速化しても、潤滑油を適切な量で軸受へ安定的に供給することができる軸受装置を提供することを目的とする。また、本発明はこのような軸受装置を備えたポンプを提供することを目的とする。
上述した課題を解決するための本発明の一態様は、回転軸の荷重を受ける軸受と、前記軸受の下方に配置される潤滑油貯槽と、前記回転軸に固定されて該回転軸と一体に回転することで、前記潤滑油貯槽に貯留される潤滑油をかき上げるオイルディスクと、前記軸受まで延びる潤滑油通路と、前記オイルディスクによってかき上げられた潤滑油を前記潤滑油通路に導くガイドケーシングと、を備え、前記ガイドケーシングは、前記オイルディスクの側面に対向する内側面、および前記オイルディスクの外周面に対向する内周面を有し、前記内側面には、前記潤滑油通路の入口が形成され、前記内周面は、大径面と、小径面と、前記大径面と前記小径面とを接続する壁面と、で構成され、前記オイルディスクの中心から前記大径面までの距離は、前記オイルディスクの中心から前記小径面までの距離よりも大きく、前記壁面は、前記オイルディスクの回転方向において、前記潤滑油通路の入口の下流側に位置していることを特徴とする軸受装置である。
本発明の好ましい態様は、前記オイルディスクの中心から前記大径面までの距離をD1とし、前記オイルディスクの中心から前記小径面までの距離をD2とし、前記オイルディスクの中心から前記潤滑油通路の入口の中心までの距離をRとし、前記潤滑油通路の入口の半径をrとしたときに、距離D1、距離D2、距離R、および半径rには、以下の式(1)の関係が成り立つことを特徴とする。
D1>R−r≧D2 ・・・(式1)
本発明の好ましい態様は、前記ガイドディスクの内側面と前記オイルディスクの側面との間の隙間は、4mm〜6mmの範囲にあることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記壁面が、前記オイルディスクの半径方向と平行に延びることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記壁面は、前記オイルディスクの半径方向外側に延びながら、該半径方向に対して前記オイルディスクの回転方向に傾斜していることを特徴とする。
D1>R−r≧D2 ・・・(式1)
本発明の好ましい態様は、前記ガイドディスクの内側面と前記オイルディスクの側面との間の隙間は、4mm〜6mmの範囲にあることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記壁面が、前記オイルディスクの半径方向と平行に延びることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記壁面は、前記オイルディスクの半径方向外側に延びながら、該半径方向に対して前記オイルディスクの回転方向に傾斜していることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記内側面には、前記潤滑油通路の入口に接続された潤滑油導入溝が形成されており、前記潤滑油導入溝は、前記オイルディスクの側面に隣接していることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記軸受は、前記回転軸上に直列に配置された少なくとも2つの軸受のうちの一つであり、前記少なくとも2つの軸受の間には、環状の間座が配置されることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記間座は、その外周面から内周面まで延びる給油孔を有しており、前記給油孔は前記潤滑油通路に接続されていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記軸受は、前記回転軸上に直列に配置された少なくとも2つの軸受のうちの一つであり、前記少なくとも2つの軸受の間には、環状の間座が配置されることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記間座は、その外周面から内周面まで延びる給油孔を有しており、前記給油孔は前記潤滑油通路に接続されていることを特徴とする。
本発明の他の態様は、回転軸と、前記回転軸に固定された羽根車と、前記回転軸を回転自在に支持する上記軸受装置と、を備えたことを特徴とするポンプである。
本発明によれば、回転軸と一体に回転するオイルディスクにかき上げられた潤滑油は、オイルディスクの半径方向外側に移動して、オイルディスクの外周面と、ガイドケーシングの内周面の一部である大径面との間に形成されたボリュート流路に飛散する。ボリュート流路に飛散した潤滑油は、オイルディスク11によりかき上げられた際に得た周方向速度成分、およびこの潤滑油と回転するオイルディスクの間で発生する摩擦力により、オイルディスクの回転方向に移動して、ガイドケーシングの内周面の一部である壁面に衝突する。壁面に衝突した潤滑油の移動速度は0になるため、潤滑油の動圧が壁面近傍で静圧に変換され、静圧が上昇した潤滑油が、衝突壁面近傍に一時的に滞留することになる。壁面は、潤滑油通路の入口の下流側に位置しているので、静圧が上昇した潤滑油は、潤滑油通路に流れ込み、該潤滑油通路を通って軸受に供給される。その結果、回転軸の回転速度が高速化した場合であっても、潤滑油を適切な量で軸受へ安定的に供給することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る軸受装置を備えた横軸単段ポンプの一例を示す断面図である。図1に示される回転機械としての横軸単段ポンプ100は、羽根車2と、この羽根車2が固定される回転軸1とを有している。回転軸1は水平に延びている。回転軸1の一端は図示しない電動機などの駆動機に連結されており、この駆動機によって回転軸1および羽根車2が回転されるようになっている。また、回転軸1は、その両端部近傍に設けられた軸受装置9,9に回転自在に支持されている。この回転軸1は、例えば、回転速度が1000〜3600min−1程度の非常に高い回転速度で回転される。
図1は、本発明の一実施形態に係る軸受装置を備えた横軸単段ポンプの一例を示す断面図である。図1に示される回転機械としての横軸単段ポンプ100は、羽根車2と、この羽根車2が固定される回転軸1とを有している。回転軸1は水平に延びている。回転軸1の一端は図示しない電動機などの駆動機に連結されており、この駆動機によって回転軸1および羽根車2が回転されるようになっている。また、回転軸1は、その両端部近傍に設けられた軸受装置9,9に回転自在に支持されている。この回転軸1は、例えば、回転速度が1000〜3600min−1程度の非常に高い回転速度で回転される。
羽根車2はポンプケーシング5内に配置されている。図1に示すポンプケーシング5はその内部に渦巻き室5aを有しており、羽根車2は渦巻き室5aの内部に配置されている。回転軸1の回転とともに羽根車2が回転すると、吸込口3から水などの液体が吸い込まれ、羽根車2と渦巻き室5aの作用により液体の圧力が上昇されて、液体が吐出口4から吐き出される。
図示した例における羽根車2は、その両側から液体を吸い込む両吸込構造を有している。羽根車2の液体入口には、口金2A,2Bがそれぞれ取り付けられている。これら口金2A,2Bの直径を互いに異なるように設計することで、圧力差によるスラスト力を回転軸1の一方向に作用させ、回転軸1を安定させた状態で回転させることができる。このスラスト力は、軸受装置9のスラスト軸受ユニット9Aで支持されるようになっている。このスラスト軸受ユニット9Aにはスラスト力が負荷として作用するので、適正な量の潤滑油をスラスト軸受ユニット9Aに供給して、スラスト軸受ユニット9Aを潤滑しながら冷却する必要がある。
このスラスト軸受ユニット9Aに加えて、回転軸1の両側端部近傍には2つのラジアル軸受ユニット9B,9Bが配置されている。これら2つのラジアル軸受ユニット9B,9Bと、1つのスラスト軸受ユニット9Aの合計3つの軸受で回転軸1は支持される。本実施形態では、ラジアル軸受ユニット9B,9Bにはスリーブ型の軸受が用いられており、このスリーブ型のラジアル軸受ユニット9B,9Bには、オイルリング20を備えた従来型の自己潤滑給油装置が採用されている。スラスト軸受ユニット9Aには、後述する本発明の構成が適用される。
図2は、本発明の一実施形態に係る軸受装置を備えた横軸多段ポンプの一例を示す断面図である。図2に示される回転機械としての横軸多段ポンプ100は、複数の羽根車2と、これら羽根車2が固定される回転軸1を有している。回転軸1は水平に延びている。複数の羽根車2は、回転軸1上に直列に配列されていて、これら羽根車2のそれぞれを囲むように複数のガイドベーン6が配置される。回転軸1の一端は図示しない電動機などの駆動機に連結されており、この駆動機によって回転軸1および羽根車2が回転されるようになっている。また、回転軸1は、その両端部近傍に設けられた軸受装置9,9に回転自在に支持されている。この回転軸1は、例えば、回転速度が1000〜3600min−1程度の非常に高い回転速度で回転される。
羽根車2はポンプケーシング5内に配置されている。回転軸1の回転とともに複数の羽根車2が回転すると、吸込口3から水などの液体が吸込まれ、羽根車2とガイドベーン6との作用により、液体の圧力が上昇されて液体が吐出口4から吐き出される。複数の羽根車2は同じ方向を向いて配列されているため、隣り合う羽根車2間の圧力差により生じるスラスト力が羽根車2の枚数分重なりあい、大きなスラスト力が発生する。このスラスト力は、横軸多段ポンプ100内に設けられたバランス装置7により相殺されるが、過渡運転時などにはある程度のスラスト力が残留する。この残留スラスト力は、軸受装置9のスラスト軸受ユニット9Aで支持される。このスラスト軸受ユニット9Aには、残留スラスト力が負荷として作用するので、適正な量の潤滑油をスラスト軸受ユニット9Aに供給して、スラスト軸受ユニット9Aを潤滑しながら冷却する必要がある。
このスラスト軸受ユニット9Aに加えて、回転軸1の両側端部近傍には2つのラジアル軸受ユニット9B,9Bが配置されている。これら2つのラジアル軸受ユニット9B,9Bと、1つのスラスト軸受ユニット9Aの合計3つの軸受で回転軸1は支持される。本実施形態では、ラジアル軸受ユニット9B,9Bにはスリーブ型の軸受が用いられており、このスリーブ型のラジアル軸受ユニット9B,9Bには、オイルリング20を備えた従来型の自己潤滑給油装置が採用されている。スラスト軸受ユニット9Aには、後述する本発明の構成が適用される。これらの回転軸1の両端部近傍に配置される軸受装置9,9の構成は、図1に示した横軸単段ポンプと同様である。
図1および図2に示した横軸ポンプ100いずれの場合も、回転軸1はポンプケーシング5を貫通して延びている。回転軸1とポンプケーシング5との間の隙間は、メカニカルシールなどの軸封装置8,8によってシールされている。したがって、羽根車2によって昇圧された液体が軸受装置9,9に浸入することはない。
図3は、本発明の一実施形態に係る自己潤滑式軸受装置の構造を示した断面図である。図3に示されるように、この軸受装置9は、水平に延びる回転軸1の軸方向荷重および半径方向荷重を受けるスラスト軸受ユニット9Aと、回転軸1の半径方向荷重を受けるラジアル軸受ユニット9Bと、を有する。スラスト軸受ユニット9Aには複数のアンギュラ玉軸受が使用される。
スラスト軸受ユニット9Aおよびラジアル軸受ユニット9Bの下方には、潤滑油貯槽10が配置されており、この潤滑油貯槽10に貯留される潤滑油の油面が、符号10Aが付された点線で示されている。なお、潤滑油貯槽10内の油面10Aが一定になるように、潤滑油量は管理されている。潤滑油貯槽10の下方には、冷却ジャケット(図示せず)が設けられており、この冷却ジャケットを流れる冷却液によって潤滑油貯槽10内の潤滑油が冷却される。冷却ジャケットの代わりにフィンつきの空冷構造を採用してもよい。あるいは、潤滑油貯槽10内に、フィン付冷却液チューブを挿入して潤滑油を直接冷やす構造としてもよい。
軸受装置9には、オイルディスク11がスラスト軸受ユニット9Aとラジアル軸受ユニット9Bの間に備えられ、回転軸1に固定される。オイルディスク11は回転軸1に固定されるので、回転軸1と常に同じ回転速度で回転する。回転軸1は、例えば、回転速度が1000〜3600min−1程度の非常に高い回転速度で回転されるので、オイルディスク11も1000〜3600min−1程度の非常に高い回転速度で回転する。オイルディスク11の下部は、潤滑油貯槽10内の潤滑油に浸漬されており、回転軸1の回転に伴い、オイルディスク11が回転し潤滑油貯槽10に貯留される潤滑油をかき上げる。オイルディスク11がかき上げる潤滑油量を増加させるために、オイルディスク11の周縁部には、様々な起伏形状を設けてもよい。
図4(a)は、図3に示された軸受装置で用いられるオイルディスク11の一例を示す平面図であり、図4(b)は、図4(a)に示されたオイルディスク11の断面図である。図4(a)および図4(b)に示されるオイルディスク11は、回転軸1の軸方向に垂直な側面52を有している。この側面52には、オイルディスク11の軸心(すなわち、回転軸1)の周りに等間隔で並ぶ複数の(図示した例では3つの)溝50が設けられている。各溝50は、オイルディスク11の周方向に延びる円弧状に形成される。
図4(a)に示されるように、オイルディスク11の中心に形成された貫通孔の内周面にはキー溝11aが形成されている。このキー溝11aに、回転軸1の外周面に形成されたキー(図示せず)が差し込まれるように、回転軸1がオイルディスク11の貫通孔に挿入される。これらキーとキー溝11aとの係合により、回転軸1のトルクはオイルディスク11に伝達され、オイルディスク11は回転軸1と一体に回転する。したがって、オイルディスク11は回転軸1と常に同じ回転速度で回転する。
図3に示すように、軸受装置9は、オイルディスク11によりかき上げられた潤滑油が周囲に飛散することを防止するため、および潤滑油がオイルディスク11の両側から落下することを防止するためのガイドケーシング15を有する。
図5は、オイルディスク11とガイドケーシング15を示す拡大断面図である。図6は、図3のA−A線矢視図である。図6では、オイルディスク11が仮想線(二点鎖線)で描かれている。図5に示されるように、ガイドケーシング15は、オイルディスク11に近接して配置される。本実施形態のガイドケーシング15は、オイルディスク11の両側面(軸方向に沿って並ぶ2つの側面)を挟み込むように対向して配置された、2つの環状のガイドディスク15A,15Bと、ガイドディスク15A,15Bの外周面に接するように配置されたハウジング15Cからなる。ガイドディスク15A,15B、およびハウジング15Cによりオイルディスク11の両側面および外周面が覆われ、軸受装置9内に収納される。オイルディスク11の外周面は、オイルディスク11の両側面の間に位置する最外周面である。図5に示される実施形態では、ガイドケーシング15は、オイルディスク11の周縁部(外周面を含む領域)を挟み込むように構成された2つのガイドディスク15A,15B、およびハウジング15Cにより構成されているが、オイルディスク11の周縁部を包み込むような1つの構成部材により構成されていてもよい。
ガイドケーシング15の内面は、オイルディスク11の両側面および外周面に近接して配置され、オイルディスク11の両側面および外周面に対向している。より具体的には、ガイドケーシング15は、オイルディスク11の一方の側面52に対向する内側面35と、オイルディスク15の他方の側面に対向する内側面36と、オイルディスク11の外周面に対向する内周面37を有する。図5に示した例では、内側面35は、ガイドディスク15Aの側面によって形成され、内側面36は、ガイドディスク15Bの側面によって形成され、内周面37は、ハウジング15Cの内周面によって形成される。
図6に示されるように、ガイドケーシング15の内周面37は、大径面37Aと、小径面37Bと、大径面37Aと小径面37Bとを接続する壁面37Cにより構成される。すなわち、オイルディスク11の回転方向において、大径面37Aの下流側の端部は、小径面37Bの上流側端部に壁面37Cを介して接続される。オイルディスク11の中心Cから大径面37Aまでの距離D1は、オイルディスク11の中心Cから小径面37Bまでの距離D2よりも大きい。
図6に示した実施形態では、壁面37Cは、オイルディスク11の回転方向において、潤滑油通路17(後述する)の入口17aの下流側に位置している。より具体的には、本実施形態の壁面37Cは、オイルディスク11の回転方向における潤滑油通路17の入口17aの下流側で、かつ該入口17aに近接して配置されている。この壁面37Cは、オイルディスク11の半径方向に延びており、壁面37Cによって、大径面37Aが小径面37Bに接続される。
さらに、オイルディスク11の中心Cから大径面37Aまでの距離をD1とし、オイルディスク11の中心Cから小径面37Bまでの距離をD2とし、オイルディスク11の中心Cから潤滑油通路17の入口17aの中心までの距離をRとし、潤滑油通路17の入口17aの半径をrとしたときに、距離D1、距離D2、距離R、および半径rには、以下の式(1)の関係が成り立つ。
D1>R−r≧D2 ・・・(式1)
D1>R−r≧D2 ・・・(式1)
式(1)は、回転軸1の軸方向から軸受装置を見たときに、小径面37Bが潤滑油通路17の入口17aと接するか、または該入口17aよりもオイルディスク11の中心Cに近い位置にあることを表す。さらに、式(1)は、大径面37Aが小径面37Bよりもオイルディスク11の中心Cから遠い位置で、かつオイルディスク11の半径方向において入口17aの少なくとも一部を覆う位置にあることを表す。
さらに、図7に示すように、壁面37Cは、オイルディスク11の半径方向外側に延びながら、該半径方向に対してオイルディスク11の回転方向に傾斜していてもよい。オイルディスク11の半径方向に対する壁面37Cの傾斜角度θは、0〜60°の範囲にあるのが好ましい。
図5に示されるように、オイルディスク11の側面52とガイドケーシング15の内側面35との間には、軸方向の隙間W1が形成される。さらに、図5および図6に示されるように、オイルディスク11の外周面とガイドケーシングの内周面37の大径面37Aの間には、オイルディスク11の半径方向の隙間W2が形成され、オイルディスク11の外周面とガイドケーシング15の内周面37の小径面37Bの間には、オイルディスク11の半径方向の隙間W3が形成される。本実施形態の大径面37Aは、オイルディスク11の外周面と大径面37Aとの間の隙間W2の大きさを維持ししたまま、油面10Aから潤滑油通路17の入口17aの下流側まで延びる。さらに、本実施形態の小径面37Bは、オイルディスク11の外周面と小径面37Bとの間の隙間W3の大きさを維持ししたまま、壁面37Cから油面10Aまで延びる。
オイルディスク11にかき上げられた潤滑油を壁面37Cに到達させるために、隙間W1,W2,W3は、オイルディスク11の回転速度、潤滑油の物性値、潤滑油の温度などのポンプ運転条件に基づいて設定される。例えば、オイルディスク11の側面とガイドケーシング15の内側面35との間の隙間W1は4〜6mmの範囲にあり、オイルディスク11の外周面とガイドケーシングの内周面37の大径面37Aの間の隙間W2は15mmであり、オイルディスク11の外周面とガイドケーシングの内周面37の小径面37Bの間の隙間W3は1mmである。隙間W1,W2,W3は、好ましくは、オイルディスク11の回転速度、潤滑油の物性値、潤滑油の温度などのポンプ運転条件に基づいた実験やシミュレーションなどを用いて適正な値に設定される。
図6に示されるように、ガイドケーシング15の内側面35には、オイルディスク11がかき上げた潤滑油をスラスト軸受ユニット9Aに供給するための潤滑油通路17の入口17aが形成される。図3および図5に示されるように、本実施形態の潤滑油通路17は、ガイドケーシング15に形成された入口17aから回転軸1に向かって傾斜して延びて、さらに、回転軸1の軸方向に垂直な方向に延びてスラスト軸受ユニット9Aに達する。潤滑油通路17は、ガイドケーシング15に形成された入口17aから回転軸1の軸方向と平行に延び、さらに、回転軸1の軸方向に垂直な方向に延びてスラスト軸受ユニット9Aに達してもよい。あるいは、潤滑油通路17は、ガイドケーシング15に形成された入口17aから回転軸1に向かって傾斜して延びて、さらに、回転軸1の軸方向に垂直な方向から傾斜して延びてスラスト軸受ユニット9Aに達してもよい。
軸受装置は、1本の潤滑油通路17を有していてもよく、複数本の潤滑油通路17を有していてもよい。本実施形態のガイドケーシング15の内側面35には、2つの入口17aが形成されている。一方の入口17aは、オイルディスク11の最頂部よりも上方に形成される。オイルディスク11の最頂部は、該オイルディスク11の中心Cを通る水平面に対して90°だけ回転方向に回転した位置であり、時計では12時位置に対応する。以下では、説明の便宜上、オイルディスク11の最頂部よりも上方に配置された一方の入口17aを12時位置に配置された入口17aと称する。他方の入口17aは、該オイルディスク11の中心Cを通る水平面に対して45°だけ回転方向に回転した位置に配置されており、他方の入口17aは、時計では10時半位置に配置されている。以下では、説明の便宜上、オイルディスク11の中心Cを通る水平面に対して45°だけ回転方向に回転した位置に配置された入口17aを、10時半位置に配置された入口17aと称する。本実施形態では、12時位置と10時半位置に設けられた2つの入口17aが形成されている。したがって、軸受装置は、2本の潤滑油通路17を有する。
本実施形態によれば、回転軸1と一体に回転するオイルディスク11にかき上げられた潤滑油は、オイルディスク11の半径方向外側に移動して、オイルディスク11の外周面と、ガイドケーシング15の内周面37の一部である大径面37Aとの間に形成されたボリュート流路53(図6参照)に飛散する。このボリュート流路53の終端は、壁面37Cである。ボリュート流路53に飛散した潤滑油は、オイルディスク11によりかき上げられた際に得た周方向速度成分、およびこの潤滑油と回転するオイルディスク11との間に発生する摩擦力により、オイルディスク11の回転方向に移動して、ガイドケーシング15の内周面37の一部である壁面37Cに衝突する。すなわち、オイルディスク11の周方向の速度成分を有する潤滑油が壁面37Cに衝突する。壁面37Cに衝突した潤滑油の移動速度は0になるため、潤滑油の動圧が壁面37C近傍で潤滑油の静圧に変換され、静圧が上昇した潤滑油が、壁面37C上で滞留する。壁面37Cは、オイルディスク11の回転方向において、潤滑油通路17の入口17aの下流側に位置しているので、静圧が上昇した潤滑油は、ガイドケーシング15の内側面35に開口した潤滑油通路17に流れ込み、該潤滑油通路17を通ってスラスト軸受ユニット9Aに供給される。その結果、回転軸1の回転速度が高速化した場合であっても、潤滑油を適切な量でスラスト軸受ユニット9Aへ安定的に供給することができる。
さらに、潤滑油通路17の形態(例えば、断面積、長さ、オイルディスク回転方向に対する通路方向、および表面粗さ等の流動抵抗因子、または通路途上に設けた過剰潤滑油の排出孔等)を好適に設計することにより、スラスト軸受ユニット9Aへの潤滑油の供給量を最適化することができる。したがって、スラスト軸受ユニット9Aに供給される潤滑油の量が適切に維持される。さらに、ガイドケーシング15によってオイルディスク11からかき上げられる潤滑油の飛散範囲が限定されるため、軸封装置8からの潤滑油漏洩を防止することもできる。
図6に示されるように、ガイドケーシング15の内側面35に、複数の潤滑油導入溝16を設けてもよい。これら潤滑油導入溝16は、オイルディスク11の側面に近接して配置され、回転軸1の近傍からオイルディスク11の半径方向外側に延びる溝である。潤滑油導入溝16の外側端部は、スラスト軸受ユニット9Aに潤滑油を送る潤滑油通路17の入口17aに接続される。
これらの潤滑油導入溝16は、ガイドケーシング15の上側半分に位置している。潤滑油導入溝16は、オイルディスク11がかき上げた潤滑油、およびボリュート流路53に飛散した潤滑油を潤滑油通路17に導くために設けられている。
オイルディスク11にかき上げられ、ボリュート流路53に飛散する潤滑油には、上述のように該潤滑油とオイルディスク11との間に発生する摩擦力、重力、およびオイルディスク11の回転による遠心力が作用する。このボリュート流路53を移動する潤滑油には、特に遠心力、および摩擦力が非常に大きく作用すると考えられるため、潤滑油は、オイルディスク11の半径方向と周方向の速度成分を有し、らせん状に移動していると考えられる。潤滑油導入溝16を設けた場合、軸方向における潤滑油の流路幅が増すことにより、潤滑油の流動抵抗が低下し、その結果、潤滑油導入溝16を流れる潤滑油の量を増加させることができる。実験結果からも、潤滑油導入溝16をガイドケーシング15の内側面35に設けた場合、潤滑油導入溝16を内側面35に設けない場合よりも潤滑油通路17へ流れる潤滑油の量が多くなる結果が得られた。
図6に示される潤滑油導入溝16は、半径方向内側から潤滑油通路17の入口17aまで直線状に延びている。さらに、オイルディスク11からかき上げられた潤滑油はらせん状に移動するので、潤滑油通路17の入口17aから潤滑油導入溝16が延びる方向は、オイルディスク11の半径方向に対して、オイルディスク11の回転方向の上流側に傾いている。オイルディスク11の半径方向に対する潤滑油導入溝16の角度は、例えば、30度〜60度の範囲である。潤滑油導入溝16の傾き角度は、回転軸1の回転速度などの運転条件、潤滑油の粘度などの物性値、およびスラスト軸受ユニット9Aに必要な潤滑油供給量などを考慮して適宜設定される。潤滑油導入溝16を、運転条件、潤滑油の物性値などの諸元に応じた適切な曲率半径を有する円弧状の溝としてもよい。
図3および図5に示されるように、この実施形態のスラスト軸受ユニット9Aは、回転軸1上に直列に配置された2つの軸受31,32と、これらの軸受31,32の間に配置された環状の間座(スペーサ)19とを有している。軸受31,32としては、回転軸1の軸方向荷重および半径方向荷重の両方を受けることができるアンギュラ玉軸受が使用される。このアンギュラ玉軸受は、ラジアル軸受およびスラスト軸受として機能する。間座19は、軸受31,32へ潤滑油を均等に供給するための潤滑油ガイドとしても機能する。3つ以上の軸受を設けてもよい。この場合も、隣接する2つの軸受の間に間座19が配置される。
図8は、図3のB−B線断面図である。間座19の外周部には、潤滑油通路17から供給された潤滑油を軸受31,32へ効率的に分配するための複数の給油孔18が設けられている。各給油孔18は、間座19の外周面から内周面まで延びている。給油孔18の径は、回転軸1の回転速度などの運転条件、潤滑油の粘度などの物性値、およびスラスト軸受ユニット9Aに必要な潤滑油供給量などを考慮して、適宜設定される。
ガイドケーシング15の内周面37に壁面37Cが設けられる場合に、潤滑油通路17に供給される潤滑油量と、該壁面37Cが設けられない場合に、潤滑油通路17に供給される潤滑油量とを比較する比較実験を行った。この比較実験の結果が図9および図10に示される。
図9は、上述した実施形態に係る軸受装置を用いた場合(すなわち、壁面37Cがガイドケーシング15の内周面37に形成される場合)の、潤滑油通路17に供給される潤滑油量を示すグラフである。図9に結果が示される実験の条件では、オイルディスク11の側面とガイドケーシング15の内側面35との間の隙間W1が4mmに設定され、オイルディスク11の外周面とガイドケーシング15の内周面37の大径面37Aとの間の隙間W2は15mmに設定され、オイルディスク11の外周面とガイドケーシングの内周面37の小径面37Bとの間の隙間W3は1mmに設定された。また、実験で使用されたオイルディスク11は、図4に示される溝50を有するオイルディスク11である。ガイドケーシング15の内側面35には、2つの潤滑油通路17の入口17aが形成され、該入口17aは、図6に示されるように、12時位置と10時半位置に配置されている。壁面37Cは、図6に示されるように、オイルディスク11の回転方向において、12時位置の入口17aの下流側に配置されている。さらに、ガイドケーシング15の内側面35には、図6に示される直線状の潤滑油導入溝16が形成されている。
図10は、壁面37Cがガイドケーシング15の内周面37に形成されない場合の、潤滑油通路17に供給される潤滑油量を示すグラフである。図10に結果が示される実験では、ガイドケーシング15の内周面37は、回転軸1の中心Cからの距離が一定のまま延びる円弧面だけで構成されている。すなわち、ガイドケーシング15の内周面37には、大径面37Aおよび小径面37Bの区別がない、一定の半径を有する円弧面として形成される。したがって、ガイドケーシング15の内周面37には、壁面37Cは形成されない。オイルディスク11の外周面とガイドケーシング15の内周面37との間の隙間は1mmに設定された。これらの条件以外の実験の条件は、図9に結果が示される実験の条件と同一である。
図9および図10において、縦軸は、潤滑油通路17に供給される潤滑油量を表す。図9および図10に示される潤滑油量は、回転軸1が1000〜3600min−1の高回転速度で回転したときに、軸受の潤滑および冷却に要求される目標潤滑油量を100%とした場合に、この目標潤滑油量に対する割合で表される。一方で、横軸は、オイルディスク11の回転速度を表す。図9および図10において、実線は、12時位置に配置された入口17aから潤滑油通路17に供給された潤滑油量を表し、点線は、10時半位置に配置された入口17aから潤滑油通路17に供給された潤滑油量を表す。また、オイルディスク11がかき上げる潤滑油の挙動を観察するために、実験で用いられた軸受ケーシングおよびガイドケーシング15は、透明な材料(例えば、透明なアクリル樹脂、または透明な塩化ビニル樹脂)から製作された。
図9に示されるように、オイルディスク11の回転速度が1000〜3600min−1であるときに、12時位置に配置される入口17aから潤滑油通路17に供給される潤滑油量は、目標潤滑油量よりも多い。したがって、12時位置に配置される入口17aから潤滑油通路17に流れ込む潤滑油量だけで、軸受の潤滑および冷却に必要な潤滑油量を確保できることが解る。
オイルディスク11にかき上げられ、ボリュート流路53を移動する潤滑油量を観察したときに、12時位置に配置される入口17aの近傍の潤滑油量よりも、10時半位置に配置される入口17aの近傍の潤滑油量のほうが明らかに多いことが確認された。しかしながら、10時半位置に配置される入口17aから潤滑油通路17に供給される潤滑油量は、12時位置に配置される入口17aから潤滑油通路17に供給される潤滑油量よりも少ない。この理由は、オイルディスク11の回転方向において、12時位置に配置される入口17aの下流側には、ガイドケーシング15の内周面37の一部である壁面37Cが形成されているためであると考えられる。
上述したように、壁面37C近傍には、高い静圧を有する潤滑油が滞留する。壁面37Cは、この潤滑油が有する静圧を回転軸1の軸方向に向かう動圧に効果的に変換するので、潤滑油を効果的に潤滑油通路17に流入させることができる。なお、10時半位置に配置される入口17aの近傍の潤滑油量は、12時位置に配置される入口17aの近傍の潤滑油量よりも多いことが確認された。したがって、10時半位置に配置される入口17aの下流側に壁面37Cを配置すれば、12時位置に配置される入口17aの下流側に壁面37Cを配置する場合よりも多くの潤滑油を潤滑油通路17に供給することができると考えられる。
図11は、オイルディスク15の側面52とガイドケーシングの内側面35との間の隙間W1が4mmに設定された場合の、潤滑油通路17に供給される潤滑油量を測定した実験の結果を示すグラフである。図12は、オイルディスク15の側面52とガイドケーシング15の内側面35との間の隙間が6mmに設定された場合の、潤滑油通路17に供給される潤滑油量を測定した実験の結果を示すグラフである。図11および図12に結果が示される実験において、この隙間W1以外の実験の条件は、図9に結果が示される実験の条件と同一である。なお、隙間W1の値は、−1mm〜1mmの間の公差を含む。
図11および図12において、縦軸は、潤滑油通路17に供給される潤滑油量を表す。図11および図12に示される潤滑油量は、回転軸1が1000〜3600min−1の高回転速度で回転したときに、軸受の潤滑および冷却に要求される目標潤滑油量を100%とした場合に、この目標潤滑油量に対する割合で表される。一方で、横軸は、オイルディスク11の回転速度を表す。図11および図12において、実線は、12時位置に配置された入口17aから潤滑油通路17に供給された潤滑油量を表し、点線は、10時半位置に配置された入口17aから潤滑油通路17に供給された潤滑油量を表す。
図11および図12から解るように、オイルディスク11の回転速度が1000〜3600min−1であるときに、12時位置に配置される入口17aから潤滑油通路17に供給される潤滑油量は、目標潤滑油量よりも多い。したがって、オイルディスク11の側面52とガイドケーシング15の内側面35との間の隙間W1が4mm〜6mmの範囲にあるときに、12時位置に配置される入口17aから潤滑油通路17に流れ込む潤滑油量だけで、軸受の潤滑および冷却に必要な潤滑油量を確保できることが解る。一方で、隙間W1が4mmの場合と隙間W1が6mmの場合の両方で、10時半位置に配置される入口17aから潤滑油通路17に供給される潤滑油量は、12時位置に配置される入口17aから潤滑油通路17に供給される潤滑油量よりも少なかった。この理由は、上述したように、12時位置に配置される入口17aの下流側に壁面37Cが配置されているためであると考えられる。
図13は、複数の壁面が設けられる例を示した模式図である。図13では、12時位置に配置された入口17aは、10時半位置に配置された入口17aよりもオイルディスク11の半径方向内側に配置される。さらに、ガイドケーシング15の内周面37は、大径面37Aと、小径面37Bと、大径面37Aと小径面37Bとの間に位置する中径面32Dと、大径面37Aと中径面32Dとを接続する壁面32Eと、中径面32Dと小径面37Bとを接続する壁面32Fとにより構成される。オイルディスク11の中心Cから大径面37Aまでの距離D1は、オイルディスク11の中心Cから中径面32Dまでの距離D3よりも大きく、オイルディスク11の中心Cから中径面32Dまでの距離D3は、オイルディスク11の中心Cから小径面32Dまでの距離D2よりも大きい。ボリュート流路53は、オイルディスク11の外周面と、ガイドケーシング15の内周面37の一部である大径面37Aおよび中径面37Dとの間に形成される。
図13に示した実施形態では、壁面32Eは、オイルディスク11の回転方向において、10時半位置に配置された潤滑油通路17の入口17aの下流側に配置されている。より具体的には、壁面32Eは、オイルディスク11の回転方向において、10時半位置に配置された潤滑油通路17の入口17aの下流側で、かつ該入口17aに近接して配置されている。本実施形態の壁面32Eは、オイルディスク11の半径方向に延びており、この壁面32Eによって、大径面37Aが中径面32Dに接続される。同様に、壁面32Fは、オイルディスク11の回転方向において、12時位置に配置された潤滑油通路17の入口17aの下流側に配置されている。より具体的には、壁面32Fは、オイルディスク11の回転方向において、12時位置に配置された潤滑油通路17の入口17aの下流側で、かつ該入口17aに近接して配置されている。本実施形態の壁面32Fは、オイルディスク11の半径方向に延びており、この壁面32Fによって、中径面32Dが小径面37Bに接続される。
本実施形態では、10時半位置に配置される入口17aの下流側に壁面32Eが配置され、12時位置に配置される入口17aの下流側に壁面32Fが配置される。したがって、12時位置に配置される入口17aの下流側にだけ壁面37Cが配置される実施形態(図6参照)よりも多くの潤滑油をスラスト軸受ユニット9Aに供給することができる。
以上説明した実施形態によれば、オイルディスク11の回転によってかき上げられた潤滑油は適正にスラスト軸受ユニット9Aに供給されるので、回転軸1が高速で回転する場合でも、潤滑油を適切な量で軸受へ安定的に供給することができる。したがって、信頼性の高い自己潤滑軸受装置を提供することが可能となる。具体的には、上述の実施形態によれば、回転軸1の回転速度が1000〜3600min−1の範囲にある高回転速度で、回転軸1を回転させることができる。
さらに、上述の実施形態によれば、オイルリングなどの従来技術では給油が困難であった回転軸1の高回転条件においても、スラスト軸受ユニット9Aに安定して潤滑油を供給することができる。その結果、強制給油装置が不要となり、ポンプの設置面積が縮小され、かつコストダウンが図られるため、市場における製品競争力を増すことが可能となる。さらに、オイルディスク11が、該オイルディスク11に対向かつ近接して配置されたガイドケーシング15によって囲まれているため、オイルディスク11によってかき上げられた潤滑油の無駄な飛散を防止することができる。その結果、必要十分以上の潤滑油量を、軸受31,32に通じる潤滑油通路17へと導くことができる。潤滑油通路17は、オイルディスク15の内側面35から回転軸1の軸方向に延びているので、複雑な加工を必要とせずに、従来に比べてコンパクトな軸受装置を提供することができる。
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、潤滑油導入溝16を潤滑油通路17からオイルディスク11の回転方向の下流側に向かって延ばすことにより、容易に潤滑油供給量の抑制が可能となり、過度な潤滑油供給による不要な発熱を防止することが可能となる。また、上述した実施形態では、スラスト軸受ユニット9Aに潤滑油を供給するためにオイルディスク11やガイドケーシング15が設けられているが、ラジアル軸受ユニット9Bに潤滑油を供給するためのオイルディスクおよびガイドケーシングを設けてもよい。
さらに、ポンプの運転条件、潤滑油粘度等の物性値などの各種条件に応じて、オイルディスク11の直径や表面形状、潤滑油貯槽10の油面高さ、ガイドケーシング15とオイルディスク11との間の軸方向の隙間W1および/または半径方向の隙間W2,W3、潤滑油導入溝16の周方向位置や傾き、潤滑油通路17の断面積、軸受間に配置される間座19の形状などを適宜設計および選択することにより、様々なタイプのポンプに本発明を適用することが可能となる。
1 回転軸
2 羽根車
3 吸込口
4 吐出口
5 ポンプケーシング
6 ガイドベーン
7 バランス装置
8 軸封装置(メカニカルシール)
9 軸受装置
9A スラスト軸受ユニット
9B ラジアル軸受ユニット
10 潤滑油貯槽
10A 潤滑油面
11 オイルディスク
15 ガイドケーシング
15A ガイドディスク
15B ガイドディスク
15C ハウジング
16 潤滑油導入溝
17 潤滑油通路
17a 入口
18 給油孔
19 間座
31,32 軸受
35,36 内側面
37 内周面
37A 大径面
37B 小径面
37C 壁面
37C 中径面
37E 壁面
37F 壁面
53 ボリュート流路
100 横軸ポンプ(回転機械)
200 電動機
2 羽根車
3 吸込口
4 吐出口
5 ポンプケーシング
6 ガイドベーン
7 バランス装置
8 軸封装置(メカニカルシール)
9 軸受装置
9A スラスト軸受ユニット
9B ラジアル軸受ユニット
10 潤滑油貯槽
10A 潤滑油面
11 オイルディスク
15 ガイドケーシング
15A ガイドディスク
15B ガイドディスク
15C ハウジング
16 潤滑油導入溝
17 潤滑油通路
17a 入口
18 給油孔
19 間座
31,32 軸受
35,36 内側面
37 内周面
37A 大径面
37B 小径面
37C 壁面
37C 中径面
37E 壁面
37F 壁面
53 ボリュート流路
100 横軸ポンプ(回転機械)
200 電動機
Claims (9)
- 回転軸の荷重を受ける軸受と、
前記軸受の下方に配置される潤滑油貯槽と、
前記回転軸に固定されて該回転軸と一体に回転することで、前記潤滑油貯槽に貯留される潤滑油をかき上げるオイルディスクと、
前記軸受まで延びる潤滑油通路と、
前記オイルディスクによってかき上げられた潤滑油を前記潤滑油通路に導くガイドケーシングと、を備え、
前記ガイドケーシングは、前記オイルディスクの側面に対向する内側面、および前記オイルディスクの外周面に対向する内周面を有し、
前記内側面には、前記潤滑油通路の入口が形成され、
前記内周面は、大径面と、小径面と、前記大径面と前記小径面とを接続する壁面と、で構成され、
前記オイルディスクの中心から前記大径面までの距離は、前記オイルディスクの中心から前記小径面までの距離よりも大きく、
前記壁面は、前記オイルディスクの回転方向において、前記潤滑油通路の入口の下流側に位置していることを特徴とする軸受装置。 - 前記オイルディスクの中心から前記大径面までの距離をD1とし、前記オイルディスクの中心から前記小径面までの距離をD2とし、前記オイルディスクの中心から前記潤滑油通路の入口の中心までの距離をRとし、前記潤滑油通路の入口の半径をrとしたときに、距離D1、距離D2、距離R、および半径rには、以下の式(1)の関係が成り立つことを特徴とする請求項1に記載の軸受装置。
D1>R−r≧D2 ・・・(式1) - 前記ガイドディスクの内側面と前記オイルディスクの側面との間の隙間は、4mm〜6mmの範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の軸受装置。
- 前記壁面が、前記オイルディスクの半径方向と平行に延びることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の軸受装置。
- 前記壁面は、前記オイルディスクの半径方向外側に延びながら、該半径方向に対して前記オイルディスクの回転方向に傾斜していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の軸受装置。
- 前記内側面には、前記潤滑油通路の入口に接続された潤滑油導入溝が形成されており、前記潤滑油導入溝は、前記オイルディスクの側面に隣接していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の軸受装置。
- 前記軸受は、前記回転軸上に直列に配置された少なくとも2つの軸受のうちの一つであり、前記少なくとも2つの軸受の間には、環状の間座が配置されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の軸受装置。
- 前記間座は、その外周面から内周面まで延びる給油孔を有しており、前記給油孔は前記潤滑油通路に接続されていることを特徴とする請求項7に記載の軸受装置。
- 回転軸と、
前記回転軸に固定された羽根車と、
前記回転軸を回転自在に支持する請求項1乃至8のいずれか一項に記載の軸受装置と、を備えたことを特徴とするポンプ。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2015125530A JP2017009043A (ja) | 2015-06-23 | 2015-06-23 | 軸受装置およびポンプ |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2015125530A JP2017009043A (ja) | 2015-06-23 | 2015-06-23 | 軸受装置およびポンプ |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2017009043A true JP2017009043A (ja) | 2017-01-12 |
Family
ID=57761229
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2015125530A Pending JP2017009043A (ja) | 2015-06-23 | 2015-06-23 | 軸受装置およびポンプ |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2017009043A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN109026397A (zh) * | 2018-10-21 | 2018-12-18 | 至玥腾风科技投资集团有限公司 | 轴承润滑系统和微型燃气轮机发电机组 |
| CN110307262A (zh) * | 2019-07-12 | 2019-10-08 | 周超 | 一种陶瓷轴承 |
Citations (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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| DE2239498A1 (de) * | 1971-08-13 | 1973-03-08 | Helsingoer Skibsvaerft Og Mask | Lagergehaeuse fuer eine schnellaufende welle |
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-
2015
- 2015-06-23 JP JP2015125530A patent/JP2017009043A/ja active Pending
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| CN110307262B (zh) * | 2019-07-12 | 2020-10-16 | 安徽省华腾农业科技有限公司经开区分公司 | 一种陶瓷轴承 |
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