以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1に示すガスコンロ1は、押し回し式のツマミ11〜13を備えるグリル付きテーブルコンロであるが、グリル無しのテーブルコンロでもよく、キッチンのカウンタトップに設置されるビルトインコンロであってもよい。以下説明では、図中に矢印で示す上下、左右、前後を使用する。
図1を参照して、ガスコンロ1の外観構造について説明する。ガスコンロ1は、横長の略直方体状の器具2を備える。器具2の天面4右側には右コンロ5、左側には左コンロ6が設けられている。天面4の上面後ろ側には、排気口9が設けられている。排気口9には、スリット状のカバー9Aが設置されている。排気口9は、器具2内に設けられたグリル庫(図示略)内と連通する。器具2前面中央には、グリル庫の前面に設けられたグリル開口(図示略)が設けられている。グリル開口には、グリル扉10が前後方向に移動可能に設けられている。グリル扉10を手前側に引き出すと、グリル扉10の背面下部に連結した受け皿(図示略)及び焼き網を、グリル庫から同時に取り出すことができる。
器具2前面において、グリル扉10の右側には、ツマミ11,12が設けられている。グリル扉10の左側には、ツマミ13が設けられている。ツマミ11〜13は押し回し式である。ツマミ11は、右コンロ5のバーナ(以下、単にバーナと呼ぶ)を点火する場合に、正面視反時計回りに約90°押し回しされる。点火後は、時計回りに回動させることによって、火力が大火力から小火力に調節される。ツマミ11を点火前の位置に戻すと、バーナが消火される。なお、詳述しないが、ツマミ12と13の操作方法は、ツマミ11と同じである。ツマミ12は、グリル庫内のグリルバーナ(図示略)を点火する場合に押し回しされ、ツマミ13は、左コンロ6のバーナを点火する為に押し回しされる。
本実施形態では、各種バーナの火力調節の為にツマミ11〜13を回動させる場合において、各種バーナの火力が中火力から小火力に切り替わるときに、軽い引っかかり感(所謂「クリック感」)を、ツマミ11〜13に付与できる。なお、クリック感付与の仕組みについては後述する。
器具2内部の前側であって、ツマミ11〜13に夫々対応する各位置には、火力調節装置20(図2参照)が夫々設けられている。例えば、右コンロ5に対応する火力調節装置20は、ツマミ11の押し回し操作に応じて、右コンロ5のバーナを点火させるイグナイタ(図示略)を駆動させ、右コンロ5のバーナに供給するガス量を調節する。ツマミ13の左側には、電池ボックス15が設けられている。電池ボックス15は、ガスコンロ1に電源を供給する乾電池(図示略)を格納する。
図2〜図5を参照して、火力調節装置20の構造について説明する。各種バーナに対応する火力調節装置20は全て同じ構造であるので、ここでは、右コンロ5のバーナに対応する火力調節装置20の構造を説明する。火力調節装置20は、バルブボディ21、機体22、操作機構23等を備える。バルブボディ21は、火力調節装置20の下部に設けられ、略水平に延びる略円筒状に形成されている。バルブボディ21は、火力調節装置20の本体部であり、操作機構23の後述する操作軸50の回動によって、右コンロ5のバーナに供給するガス量を調節する。機体22は、バルブボディ21の上部に載置され、左右の二つのネジ81(図2〜図4参照)で固定されている。機体22の上部には、略円筒状のガス吐出部37が設けられている。機体22は、バルブボディ21から流れたガスを、ガス吐出部37から右コンロ5のバーナに向けて吐出する。操作機構23は、バルブボディ21の前側部に設けられている。操作機構23は、操作軸50の前端部に嵌合するツマミ11(図3,図4参照)の押し回し操作によって、右コンロ5のバーナ近傍に設けられたイグナイタ(図示略)を駆動させると共に、バルブボディ21内を流れるガス量を調節する。
図6を参照し、バルブボディ21と機体22の内部構造について説明する。バルブボディ21は、内部にガス流路を備える。ガス流路は、バルブボディ21の軸方向に延設する。バルブボディ21は、スピンドル25、メイン弁26、安全弁27、ガス入口29、吐出口31、ガス流路32等を備える。スピンドル25は、バルブボディ21のガス流路内に挿入され、該流路に沿って前後方向に進退可能である。スピンドル25の前端部は、後述する操作機構23の操作軸50の後端部と連結する。スピンドル25は、操作軸50の前端部に嵌合するツマミ11の押し回し操作によって、操作軸50と共に後方に押し込まれる。メイン弁26はスピンドル25に固着され、ツマミ11の押し回し操作によって、後述する吐出口31へのガス流路を開閉する。安全弁27はマグネット式であり、点火時のツマミ11の押し回し操作によって後方に押されることでガス流路を開き、右コンロ5のバーナ燃焼時の熱起電力によって開弁状態に保持する。
ガス入口29は、メイン弁26の近傍に設けられている。ガス入口29は下方に向かって開口し、バルブボディ21内のガス流路内にガスを流入させる。吐出口31は、バルブボディ21内のガス流路の内周面で、且つメイン弁26の下流側に設けられている。吐出口31は、操作軸50と共に回転するスピンドル25との重合面積によって、ガス流路32に向かって吐出するガス量を変化させる。ガス流路32は、吐出口31から上方に延びび、その出口は、バルブボディ21の上部に開口して設けられている。
機体22は、ガス流路33〜35を内部に備える。バルブボディ21の上部に設けられたガス流路32の出口は、機体22の下部に設けられたガス流路33の入口と連通する。ガスはガス流路33〜35を順に流れ、ガス吐出部37から右コンロ5のバーナに向かって吐出される。
図2〜図6を参照し、操作機構23の構造について説明する。操作機構23は、操作軸50、支持部材40、回動板60、板バネ70、第一バネ係止部材51(図3,図4参照)、第二バネ係止部材52(図3,図4参照)、戻しバネ53(図3,図4参照)、駆動スイッチ55(図4参照)等を備える。
図6を参照し、操作軸50について説明する。操作軸50は、前後方向に延びるように略水平に配置され、その後端側がバルブボディ21の前端部に設けられた開口(図示略)からガス流路内に挿入され、前端側が該開口から前方に突出する(図2,図3参照)。操作軸50の軸方向に直交する断面は、略矩形状に形成されている。操作軸50の前端部は、後述する支持部材40の右前壁部43の左端部と、左前壁部44の右端部に設けられた切欠き部44Aとの間から前方に突出する(図2,図5参照)。操作軸50の前端部には、ツマミ11が嵌合する。操作軸50の後端部は、ガス流路内においてスピンドル25の前端部と連結する。操作軸50は、スピンドル25と共に回動可能で且つ前後方向に進退可能であり、ツマミ11の押し回し操作によって、スピンドル25を後方に押し込む。
図2〜図5を参照し、支持部材40の構造について説明する。図2に示すように、支持部材40は、板金を折り曲げることによって側面視下方に開口する略逆U字状に形成され、バルブボディ21の前端部に固定される。支持部材40は、本体部41、上壁部42、右前壁部43、左前壁部44等を備える。本体部41は、正面視縦長の略矩形状に形成され、その略中央には略円形状の開口部(図示略)を備える。本体部41は、バルブボディ21の前端部に、二つのネジ84,85で固定される。本体部41の開口部の内側には、バルブボディ21の前端部から前方に突出する操作軸50が前後方向に進退可能に挿入されている。本体部41の左端部の上下方向略中央の位置には、後方に折り返して延びる支持部41A(図4参照)が設けられている。支持部41Aには、後述する駆動スイッチ55が固定されている。上壁部42は、平面視略矩形状に形成され、本体部41の上端部から前方に折り返して延びる。
図2,図5に示すように、右前壁部43は、上壁部42の前端部における右側から鉛直下方に延び、正面視略矩形状に形成されている。右前壁部43の左下角部には、円弧状の切欠き部43Aが設けられている。切欠き部43Aは、後述する板バネ70の先端部に設けられたピン78との干渉を避ける。右前壁部43の上部には、後述する板バネ70をネジ82で固定する為の固定穴(図示略)が設けられている。その固定穴の上方には、一対の係合穴43B,43Cが左右方向に互いに隙間を空けて設けられている。一対の係合穴43B,43Cには、板バネ70の後述する一対の係止片75(図4,図8参照)が係止する。
左前壁部44は、上壁部42の前端部における左側に設けられ、左前壁部44の位置よりも前方に延びた位置から鉛直下方に延び、正面視略矩形状に形成されている。それ故、左前壁部44は、右前壁部43よりも前方に配置されている。左前壁部44の右下角部には、円弧状の切欠き部44Aが設けられている。切欠き部44Aは、操作軸50の前端部に嵌合するツマミ11(図3参照)との干渉を避ける。
図2,図7を参照し、回動板60の形状について説明する。図2に示すように、回動板60は、バルブボディ21の前端部から前方に突出する操作軸50の前端側に固定されている。回動板60は、前後方向において、右前壁部43と略同一位置に配置されている(図3参照)。回動板60は、操作軸50を中心に操作軸50と一体して回動する。図7に示すように、回動板60は、円盤部61と摺動部62を備え、正面視略扇型状に形成されている。円盤部61は正面視略円形状に形成され、その略中央部には略矩形状の挿入穴65が設けられている。挿入穴65には、操作軸50が挿入される。
摺動部62は正面視略扇型状に形成され、円盤部61の外周部に沿って設けられている。摺動部62の前面には、回動板60の回動に伴い、後述する板バネ70の先端部に設けられたピン78が摺動する。摺動部62を正面から見た場合に、摺動部62は、挿入穴65を中心とする反時計回り方向における下流側の一端部67と、上流側の他端部68とを備える。一端部67には、円弧状に窪んだ凹部67Aが設けられている。凹部67Aは、摺動部62の前面を摺動するピン78の軌跡上に位置する。さらに、摺動部62におけるピン78の軌跡上であって、且つ凹部67Aの近傍には、係合穴66が設けられている。係合穴66には、摺動部62の前面を摺動するピン78の先端部が落着して係合可能である。係合穴66は、摺動部62前面におけるピン78の軌跡に直交する方向に若干長い略楕円状に形成されている。係合穴66の内縁部は、摺動部62の前面側から背面側に向けて先細りになるようなテーパ状に形成されている(図13参照)。
回動板60を操作軸50に取り付ける場合、上記の通り、回動板60は正面視略扇型に形成されているので、支持部材40の前方に突出する操作軸50の前端部を、回動板60の挿入穴65に挿入し、そのまま後方に押し込むことによって、左前壁部44の右端部に設けられた切欠き部44Aと干渉することなく、回動板60を右前壁部43と略同一位置に配置できる。それ故、回動板60の取り付け作業は容易である。挿入穴65に操作軸50を挿入した部分は、正面視略C字状の固定ワッシャ58で固定される。これにより、回動板60が操作軸50に固定される。
図2,図8を参照し、板バネ70の構造について説明する。図2に示すように、板バネ70は、支持部材40の右前壁部43の前面に固定される。板バネ70は、上方から下方に延びる細長の板金を折り曲げることによって形成され、右前壁部43の前面にネジ82で固定される部分から回動板60の前面側に延びる。図8に示すように、板バネ70は、上から順に、固定部71、傾斜部72、ピン支持部73、ピン78等を備える。
固定部71は、支持部材40の右前壁部43の前面に沿って固定される部分であり、上下方向に延びている。固定部71は、正面視縦長の略長方形状に形成され、固定穴(図示略)、一対の係止片75、位置決め部76等を備える。固定穴は、固定部71の略中央に設けられている。該固定穴には、ネジ82が挿入され、支持部材40の右前壁部43に設けられた固定穴(図示略)に締結される。一対の係止片75(図8では片側のみ図示)は、固定部71の左右方向の両端部において、固定穴よりもやや上方の位置から後方に突出し、側面視略半円形状に形成されている。一対の係止片75は、支持部材40の右前壁部43に設けられた一対の係合穴43B,43C(図2参照)に夫々係止する。それ故、本実施形態は、板バネ70の右前壁部43の左右方向における位置ずれを防止できる。位置決め部76は、固定部71の上端部から後方に折り返して突出し、略半円形状に形成されている。位置決め部76は、支持部材40の上壁部42の上面に係止する。それ故、本実施形態は、板バネ70の右前壁部43の上下方向における位置決めを容易にできる。
傾斜部72は、固定部71の下端部から前側にやや折れ曲がり、斜め下方に傾斜して延びている。傾斜部72は、正面視縦長の略長方形状に形成されている(図2,図5参照)。ピン支持部73は、傾斜部72の先端部から後ろ側にやや折れ曲がり、斜め下方に延びている。ピン支持部73は、正面視縦長の略長方形状に形成されている(図2,図5参照)。ピン支持部73の先端部は、略円弧状に形成されている。
ピン78は金属製であって、ピン支持部73に支持される。ピン78は、基部78Aと円錐部78Bを同軸上に備える。基部78Aの後端面は、リベット77によって、ピン支持部73の背面に固定される。円錐部78Bは、ピン78の先端部であって、略円錐状に形成されている。板バネ70が支持部材40の右前壁部43の前面に固定された状態では、ピン78は、右前壁部43の切欠き部43Aの近傍に配置される。ピン78の先端部は、操作軸50と共に回動する回動板60の係合穴66の回動軌跡上に位置する。よって、回動板60の回動に伴い、ピン78の先端部は回動板60の前面に乗り上げて摺動し、係合穴66に落着する。回動板60がさらに回動すると、ピン78の先端部は係合穴66から抜け出る。後述するが、ピン78の軸方向は、ピン78の先端部が回動板60の前面と接触する接点における回動板60の前面に垂直な方向に対して、固定部71側から離れる方向に傾斜している(図13参照)。なお、ピン78の軸方向を傾斜させたことによる効果については後述する。
図3,図4を参照し、その他の部材について説明する。第一バネ係止部材51は、樹脂製の略円筒部材である。第一バネ係止部材51は、操作軸50に装着され、回動板60の背面側に固定される。第一バネ係止部材51は、係止部51Aと付勢部51Bを備える。係止部51Aは略円筒状に形成され、操作軸50に装着される。係止部51Aには、操作軸50に装着される略円筒状の戻しバネ53の軸方向一端側が係止する。付勢部51Bはアーム状に形成され、係止部51Aの左側部から左方に突出する。付勢部51Bの先端部は、後述する駆動スイッチ55の操作子56に対して下方から当接し、上方に付勢する(図4参照)。
第二バネ係止部材52も、第一バネ係止部材51と同様の樹脂製の略円筒部材である。第二バネ係止部材52は、操作軸50に装着され、支持部材40の本体部41の前面側に固定される。第二バネ係止部材52には、戻しバネ53の軸方向他端側が係止する。第一バネ係止部材51と第二バネ係止部材52は、支持部材40の本体部41の前面と、回動板60の背面との間において、前後方向に互いに離間する。戻しバネ53は、第一バネ係止部材51と第二バネ係止部材52の間に圧縮された状態で、操作軸50に装着される。
図4に示すように、駆動スイッチ55は、支持部材40の本体部41の左端部に設けられた支持部41Aにネジ86で固定される。駆動スイッチ55は、右コンロ5のイグナイタを駆動させる為のスイッチである。駆動スイッチ55の底面側には、アーム状の操作子56が設けられている。操作子56は基端側が軸支され、前方に延びる先端側が上下方向に回動可能である。操作子56の先端部には、第一バネ係止部材51の付勢部51Bが下方から当接する。操作子56の先端部が上方に付勢されると、駆動スイッチ55の底面に設けられたマイクロスイッチ(図示略)が、操作子56によって上方に押し込まれてオフ状態となる。他方、ツマミ11の押し回し操作によって、第一バネ係止部材51が操作軸50と共に回動すると、付勢部51Bが下方に移動するので、操作子56の先端部も下方に移動する。このとき、マイクロスイッチ(図示略)はオン状態となる。
次に、火力調節装置20の点火操作前(消火時)の状態について説明する。図1に示すように、点火操作前のツマミ11の手で把持する部分は、上下方向を向いた状態である。図4に示すように、操作軸50に装着された第一バネ係止部材51の付勢部51Bは、駆動スイッチ55の操作子56の先端部に対して下方から当接して上方に付勢する。駆動スイッチ55の底面のマイクロスイッチは、上方に押し込まれてオフ状態である。
図2,図5に示すように、回動板60の一端部67は、板バネ70のピン78に対して、時計回り方向に隙間を空けて配置されている。図3,図4に示すように、回動板60は、戻しバネ53によって前方に付勢されているので、支持部材40の右前壁部43と略同一位置に配置される。この状態では、図5に示すように、ピン78は、回動板60の一端部67とは接触していない。それ故、点火操作前の状態では、板バネ70に負荷がかからないので、板バネ70の耐久性を向上できる。
さらに、点火操作前の状態では、ツマミ11を押しながら回さないと、操作軸50は、バルブボディ21の内側で回らないようになっているが、回動方向に所定の遊びが設けられている。それ故、点火操作前の状態で、ユーザが誤操作でツマミ11を押さずに回してしまったときでも、操作軸50は所定の遊びの範囲内で回動するだけであるので、板バネ70に負荷がかからない。よって、板バネ70の耐久性をさらに向上できる。
次に、火力調節装置20の点火操作時の動作について説明する。バーナを点火させる為に、ユーザはツマミ11を押しながら反時計回りに約90°回動させる点火操作を行う。ツマミ11と共に、操作軸50も反時計回りに約90°回動する。すると、図6に示すバルブボディ21内のメイン弁26は、吐出口31へのガス流路を開閉する。安全弁27は、後方に押下されてガス流路を開く。操作軸50と共にスピンドル25が回動するので、吐出口31が開き、ガス流路32に向かってガスが流れる。ガス流路32からガス流路33に流れたガスは、ガス流路34,35を流れ、ガス吐出部37から右コンロ5のバーナ本体(図示略)に設けられた混合管(図示略)に向けてガスが吐出される。混合管で一次空気が混合されて生成した混合ガスは、右コンロ5のバーナ本体とバーナヘッド(図示略)との間に形成された複数の炎口(図示略)から噴出する。
他方、操作軸50と共に、第一バネ係止部材51も、戻しバネ53の付勢に抗して後方に押し込まれながら反時計回りに約90°回動する。すると、図9に示すように、第一バネ係止部材51の付勢部51Bは下方に移動するので、駆動スイッチ55の操作子56も下方に移動する。駆動スイッチ55はオン状態となり、右コンロ5に設けられたイグナイタが駆動する。イグナイタによって、複数の炎口から噴出されるガスに引火されることによって、右コンロ5の複数の炎口に火炎が形成される。右コンロ5のバーナ燃焼時の熱起電力によって、バルブボディ21内の安全弁27は、開弁状態に保持される。
また、図5に示すように、操作軸50と共に、回動板60も、戻しバネ53の付勢に抗して後方に押し込まれながら反時計回り(図5中P方向)に約90°回動する。このとき、回動板60は、支持部材40の右前壁部43と略同一位置からピン78の円錐部78Bの先端部位置まで押し込まれた状態から反時計回りに回動する。それ故、図9に示すように、ピン78の先端部は、回動板60の一端部67の凹部67Aから前面にスムーズに乗り上げることができる。
そして、回動板60が反時計回りに回動することに伴い、ピン78の先端部は、回動板60の前面を一端側から他端側に向けて摺動する。上記の通り、回動板60は後方に押し込まれた状態で反時計回りに回動するので、ピン78の先端部が回動板60の前面に接触した状態では、板バネ70は、固定部71を基点として、傾斜部72及びピン支持部73が右前壁部43から前方に離れる方向に若干撓むだけである。それ故、ピン78の先端部が係合穴66に落着して係合するときの衝撃が小さいため、ユーザはクリック感を殆ど感じない。よって、本実施形態は、ツマミ11による点火操作時において、ツマミ11の自然な押し回し操作を実現できる。
点火完了後、ユーザはツマミ11から手を離すので、戻しバネ53によって、操作軸50は前方に付勢される。これに伴い、図13に示すように、回動板60も前方に移動するが、ピン78の先端部が回動板60の前面に接触するので、板バネ70は、固定部71のネジ82付近を基点とし、傾斜部72及びピン支持部73が右前壁部43の前面から離間する方向に反るようにして撓む。ピン78の先端部は、板バネ70に生じた弾性復帰力によって、回動板60の前面に押し当てられた状態となる。
次に、火力調節装置20の火力調節時の動作について説明する。
−大火力から中火力へ−
点火完了後、ピン78と回動板60との相互の位置関係は、図9に示す状態である。点火完了後のバーナは大火力に調節されている。バーナの火力を大火力から中火力に調節する為に、ユーザはツマミ11を時計回りに回動させる。すると、図6に示すように、ツマミ11と共に、操作軸50とスピンドル25は時計回りに回動する。これに伴い、吐出口31とスピンドル25との重合面積が増加するので、吐出口31の開口面積は減少する。それ故、ガス流路32に向かって流れるガス量が減少するので、右コンロ5のバーナは中火力に調節される。
他方、図9,図10,図13に示すように、操作軸50と共に、回動板60も時計回り(図中Q方向)に回動する。これに伴い、ピン78の先端部は、回動板60の前面に押し当てられた状態で、該前面を他端部68側から一端部67側に向けて円弧状に摺動する。中火力におけるピン78と回動板60との相互の位置関係は、図10に示す状態である。
−中火力から小火力へ−
バーナの火力を中火力から小火力に調節する為に、ユーザはツマミ11を時計回りにさらに回動させる。これに伴い、図6に示すように、スピンドル25と吐出口31との重合面積がさらに縮小するので、ガス流路32に流れるガス量がさらに減少し、右コンロ5のバーナは小火力に調節される。
他方、図10,図11に示すように、操作軸50と共に、回動板60も時計回り(図中Q方向)にさらに回動する。そして、中火力から小火力に切り替わるときに、それまで回動板60の前面を摺動していたピン78の先端部は、板バネ70の弾性復帰力によって、係合穴66に勢いよく落着する(図11,図14参照)。このときのピン78から回動板60に受ける小さな衝撃が、操作軸50及びツマミ11を介して、ユーザの手にクリック感として付与される。ユーザは、このクリック感を手掛かりにすることによって、中火力から小火力に切り替わる位置を明確に認識できるので、火力調節の操作性を向上できる。また、煮物等の料理において火力を中火力から小火力に絞る際に、火力を絞り過ぎて火が消えることを防止できる。
−小火力から消火へ−
バーナの火力を小火力からさらに弱めて消火する為に、ユーザはツマミ11をクリック感を生じた位置から時計回りにさらに回動させる。これに伴い、図6に示すように、スピンドル25と吐出口31との重合面積がさらに縮小するので、ガス流路32に流れるガス量がさらに減少し、右コンロ5のバーナの火力はさらに弱くなる。
他方、図11,図12に示すように、操作軸50と共に、回動板60も時計回り(図中Q方向)にさらに回動する。このとき、係合穴66に係合するピン78の先端部は、係合穴66の内縁部のテーパ面に沿って一端部67側に抜け出し、回動板60の前面に再び乗り上げる(図12参照)。このとき、板バネ70は、再度、固定部71のネジ82付近を基点とし、傾斜部72及びピン支持部73が右前壁部43の前面から離間する方向に反るようにして撓む。ピン78の先端部は、板バネ70に生じた弾性復帰力によって、回動板60の前面に押し当てられた状態となる。
そして、ツマミ11を時計回り(図中Q方向)にさらに回動させることによって、吐出口31がスピンドル25によって閉じられると共に、ピン78の先端部が回動板60の前面を一端部67の凹部67Aから反時計回り方向に外れる。このとき、回動板60の前面にかけられていた板バネ70の付勢力が一気に無くなるので、回動板60及び操作軸50は、戻しバネ53によって前方に押し出される。ピン78の先端部は、回動板60の前面から外れて、右前壁部43の切欠き部43Aと、回動板60の一端部67の凹部67Aとの隙間に配置される。操作軸50と共に、スピンドル25も前方に移動するので、メイン弁26は、吐出口31へのガス流路を閉じ、安全弁27も前方に移動してガス流路を閉じる。このようにして、右コンロ5が消火され、図6の状態に戻る。なお、小火力から大火力に調節する場合は、上記動作の流れと逆の流れとなるので、説明を省略する。
このようにして、本実施形態のガスコンロ1は、各種バーナの火力を調節する場合において、中火力から小火力に切り替わる所定の火力位置で、ツマミ11にクリック感を付与できる。これにより、ユーザはクリック感を手掛かりに、バーナの火力を細かく調節できるので、火力調節の操作性を向上できる。そして、本実施形態は、回動板60と、ピン78を備えた板バネ70とを用いるだけの簡単な構造であるので、従来のガスコンロの構造に簡単に取り付けることができる。さらに、簡単な構造であるので、部品交換、修理等のメンテナンスが容易で、部品コストも安価に抑えられる。
図13〜図15を参照し、回動板60の前面に対して、ピン78の軸方向を傾斜させたことによる効果を説明する。図15に示す板バネ170は、ピン78の軸方向を、回動板60の前面に対して垂直になるように調節したものである。それ以外は、図8に示す板バネ70と同じ構造であるので、同一の符号を付して説明する。このような板バネ170を用いて、ピン78の先端部を回動板60の前面に接触させた場合、板バネ70と同様に、板バネ170は、固定部71のネジ82付近を基点とし、傾斜部72及びピン支持部73が右前壁部43の前面から離間する方向に反るようにして撓む。このような状態で、ツマミ11を時計回り(大火力から小火力へ:図15中Q方向)に回動させた場合と、反時計回り(小火力から大火力へ:図15中R方向)に回動させた場合とでは、ピン78が回動板60の係合穴66を通過するときに生じるクリック感の強さに差異が生じてしまう。
例えば、図16に示すように、ピン78の先端部が回動板60の係合穴66に係合した状態から、ツマミ11を時計回りに回動させた場合(大火力から小火力へ)、回動板60は図16中Q方向に回動する。ピン78の先端部は、係合穴66の内縁部によって固定部71側とは反対方向(図16中S方向)に引っ張られるので、板バネ170は、固定部71側とは反対方向に引っ張られる状態となる。そして、係合穴66の内縁部はテーパ面になっているので、ピン78の先端部は、そのテーパ面に沿って摺動することによって一端部67側にスムーズに抜け出る。このとき、板バネ170に大きな応力がかからないので、ピン78の先端部は係合穴66から比較的抜け易いといえる。よって、ピン78の先端部が係合穴66を通過するときに生じるクリック感は小さくなる。
これに対し、ピン78の先端部が回動板60の係合穴66に係合した状態から、ツマミ11を反時計回りに回動させた場合(小火力から大火力へ)、回動板60は図16中R方向に回動する。ピン78の先端部は、係合穴66の内縁部によって固定部71側(図16中T方向)に押し込まれるが、板バネ170は、固定部71がネジ82で固定されているので、傾斜部72及びピン支持部73が、ピン78とネジ82との間で圧縮された状態となる。この場合、板バネ170に大きな応力がかかるので、ピン78は係合穴66から比較的抜け難いといえる。よって、ピン78の先端部が係合穴66を通過するときに生じるクリック感は大きくなる。このように、回動板60の回動方向の違いによって、ピン78の係合穴66からの抜け易さが異なるので、ピン78の先端部が係合穴66を通過するときに生じるクリック感に差異を生じてしまう。
そこで、本実施形態は、回動板60を何れの方向に回動させた場合でも、ピン78が係合穴66を通過するときに生じるクリック感を揃える為に、以下の特徴を備えている。図13に示すように、ピン78の先端部は、図13中に示す接点Aにおいて、回動板60の前面と接触する。その接点Aにおける回動板60が操作軸50と共に反時計回りに回動する方向は、図13中に示すR方向である。R方向は、板バネ70の支持部材40の右前壁部43の前面に固定される固定部71からピン支持部73の先端部に向かう方向に対して略反対方向である。
このような構成において、ピン78の軸方向を、接点Aにおける回動板60の前面に垂直な方向(図13中K方向)に対して、固定部71から離れる側に傾斜させている。これにより、図14に示すように、ピン78の先端部が係合穴66に係合した状態において、係合穴66の一端部67側のテーパ面に対して、ピン78の円錐部78Bのテーパ面が対向するようになる。これにより、ツマミ11を時計回りに回動させ、回動板60を図14中Q方向に回動させた場合に、ピン78の円錐部78Bのテーパ面が、係合穴66の一端部67側のテーパ面に強く引っ掛かるようになるので、板バネ170に比べて、若干抜け難くすることができる。
他方、係合穴66の他端部68側のテーパ面に対して、ピン78の円錐部78Bのテーパ面がより傾斜して配置されるようになる。これにより、ツマミ11を反時計回りに回動させ、回動板60を図14中R方向に回動させた場合、ピン78の円錐部78Bのテーパ面が係合穴66の前面側の角部66Aを滑るように他端部68側に抜け出るようになるので、板バネ170に比べて、若干抜け易くすることができる。これにより、ツマミ11を大火力から小火力に回動させた場合と、小火力から大火力に回動させた場合とにおいて、クリック感を揃えることができるので、ツマミ11のより自然な回動操作を提供できる。
以上説明したように、本実施形態のガスコンロ1は、右コンロ5のバーナの火力調節を行う火力調節装置20を備える。火力調節装置20は、操作軸50、回動板60、板バネ70を備える。操作軸50は、火力調節装置20の本体部であるバルブボディ21に回動可能に軸支され、火力調節の為に回転操作される。回動板60は、操作軸50と一体して設けられ、操作軸50を中心に回動する。回動板60の前面には、係合穴66が設けられている。板バネ70は、バルブボディ21に支持部材40を介して固定され、支持部材40の右前壁部43の前面に固定される固定部71から回動板60の前面側に延びる。板バネ70の先端部には、ピン78が設けられている。ピン78は、回動板60の回動に伴って回動する係合穴66の回動軌跡上に配置されている。板バネ70は、ピン78が設けられた先端部を回動板60の前面側に付勢する。回動板60が所定の火力に切り替わる位置に回動したとき、ピン78は、係合穴66に落着して係合する。係合穴66にピン78が係合する際に生じる衝撃は、操作軸50を介してユーザの手にクリック感として伝わる。ユーザはこのクリック感を手掛かりにすることで、火力調節の目安にできるので、火力調節の操作性を向上できる。また、操作軸50に回動板60を設けて、ピン78を固定した板バネ70を取り付けるだけの簡単な構造であるので、取り付け、部品交換、修理等が容易で、部品コストも安価に抑えられる。
また、上記実施形態の火力調節装置20は、操作軸50に設けられたツマミ11を操作軸50の軸方向に押し込みながら、反時計回りに回動させる点火操作を行うことで、バーナへのガス流路を開く機能を備える。反時計回りは、火力を小火力から大火力に調節するときの方向である。また、回動板60は、操作軸50を中心とする略扇形状に形成されている。さらに、点火操作前及びバーナ消火時において、ピン78は、回動板60の外周方向の両端部のうち、操作軸50と共に回動する反時計回り方向の下流側の一端部67から離脱し、且つ一端部67から一方向側に隙間を空けて配置されている。点火操作時において、ピン78は、一端部67側から前面に乗り上げ、一端部67とは反対側の上流側の他端部68側に向けて摺動する。このように、ツマミ11の点火操作前では、板バネ70の先端部に設けられたピン78は、回動板60から離脱して、隙間を空けて配置されている。これにより、点火操作前では、板バネ70に負荷がかからないようにできるので、板バネ70の耐久性を向上できる。
また、上記実施形態では、点火操作前及記消火時の操作軸50に対して、操作軸50の回転方向に遊びを設けているので、点火操作前に、ユーザの誤操作でツマミ11が押されずに回された場合、操作軸50は遊びの範囲内で回転するだけであるので、仮に板バネ70に回動板60が接触した場合あっても、板バネ70に負荷がかからない。これにより、板バネ70の耐久性を向上できる。
また、上記実施形態は、ツマミ11を押し込む方向とは反対側に操作軸50を付勢する戻しバネ53を備える。さらに、点火操作時において、回動板60は、操作軸50と共に押し込まれた状態で回動する。これにより、点火操作時にツマミ11を押し回した際には、ピン78が回動板60の前面から離れる方向に移動するので、係合穴66を通過するときに得られるクリック感を緩和できる。よって、ユーザは点火操作時において、ツマミ11を違和感が無く操作できる。
また、上記実施形態では、ピン78の先端部が回動板60の前面と接触する接点における回動板60が操作軸50と共に回動する反時計回り方向(図13中R方向)は、板バネ70の支持部材40に固定される固定部71から先端部に向かう方向に対して略反対方向である。そして、ピン78の軸方向は、ピン78の先端部との接点における回動板60の前面に垂直な方向(図13中K方向)に対して、固定部71側から離れる方向に傾斜している。これにより、回動板60が操作軸50と共に時計回りと反時計回りに回動する場合のピン78の係合穴66からの抜け易さを揃えることができる。よって、操作軸50を時計回り及び反時計回りに回転させたときに生じるクリック感を揃えることができる。
また、上記実施形態では、回動板60に設けられる係合穴66の内縁部は、テーパ状に形成されている。これにより、ピン78の先端部は、係合穴66にスムーズに係合して離脱するので、スムーズなクリック感を得ることができる。
また、上記実施形態では、中火力と小火力の間の火力位置で、クリック感が付与されるようになっているので、例えば、料理において火力を中火力から小火力に絞る際に、火力を絞り過ぎて火が消えることを防止できる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上記実施形態では、中火力と小火力の間の火力位置でクリック感が付与されるように、回動板60の係合穴66の位置を決めているが、その他の火力位置でクリック感が付与されるようにしてもよい。例えば、大火力と中火力の間の火力位置でクリック感が付与されるようにしてもよい。また、上記実施形態では、回動板60に一つの係合穴66を設けているが、複数個設けることによって、複数の火力位置でクリック感が付与されるようにしてもよい。
また、上記実施形態の回動板60には、板厚方向に貫通する係合穴66を設けているが、貫通していなくてもよく、前面側から背面側に窪んで凹状に形成された溝部であってもよい。また、係合穴66の代わりに、前面側に突出する凸部を設けてもよい。このようなものでも、クリック感を付与できる。
また、上記実施形態において、点火操作時、及び火力調節時等のツマミ11の回動方向は、逆方向であってもよい。例えば、点火操作時は、ツマミ11を時計回りに押し回しするようにしてもよく、大火力から小火力に調節する場合は、ツマミ11を反時計回りに回動するようにしてもよい。
また、バルブボディ21内の構造は、上記実施形態に限定されるものではない。また、回動板60の形状は、上記実施形態のような略扇型形状以外に、例えば、円形でもよく、中心角が鈍角の略扇型であってもよい。
また、回動板60に対する板バネ70の配置方向について、上記実施形態では、ネジ82で固定される固定部71から下方に延びるようにして配置されているが、例えば、ピン78の先端部が回動板60の前面と接触する接点において、横方向、又は斜め方向に配置するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、ツマミ11を押し込む方向とは反対側に操作軸50を付勢する付勢手段として、戻しバネ53を用いているが、バネ以外の弾性部材を用いてもよく、板バネや、ゴム、樹脂等の弾性部材を用いてもよい。また、戻しバネ53は、操作軸50に装着しなくてもよい。