JP2017009886A - 樹脂組成物、保護フィルムおよび偏光板 - Google Patents

樹脂組成物、保護フィルムおよび偏光板 Download PDF

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将臣 桑原
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昌央 加藤
村田亮
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Abstract

【課題】硬化不良が生じず、着色のない紫外線遮蔽フィルムを提供すべく、当該紫外線遮蔽フィルムを作製するための樹脂組成物を提供する。【解決手段】本発明に係る樹脂組成物は、エネルギー線硬化樹脂と、240nm〜280nmの波長域に吸収ピークを有する光開始剤と、紫外線吸収剤とを少なくとも含有する樹脂組成物であって、当該樹脂組成物から光開始剤を除いた成分が280nm以下の波長域に透過ピークを有していることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、保護フィルム、および偏光板に関する。
近年、TVやモバイル機器に用いられる液晶ディスプレイは、益々薄型化されており、これらのディスプレイに用いられる構成部品、特に偏光板も究極の薄さを目指して技術開発が進められている。
偏光板は、一般的には、ヨウ素を吸着させ一軸延伸したポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光フィルムの両面に、トリアセチルセルロース(以下、TACと称する)等の光学フィルムを保護フィルムとして接着剤により貼合した構成となっている。
このような従来型の偏光板は、保護フィルムとしてのTACフィルムの透湿度が高いことや、吸湿脱湿による伸縮が高いことに起因して、偏光板を高湿環境、特に高温高湿環境下に長期間晒すと、偏光板としての光学機能が損なわれたり、偏光板のカール、反りによる物理的なトラブルが発生したりするという問題があった。
これらを改善する為に、TACとは他の熱可塑性樹脂が保護フィルムとして使用されるケースが増加しており、例えば、透湿度が低いアクリル系フィルム、またはポリエステル系フィルムが挙げられる。しかしながら、これらのフィルムは複屈折や透明性がTACフィルムに対して劣っており、液晶ディスプレイに対しては高画質を求められていない限られた用途に適用されるにとどまっている。そこで、熱可塑性樹脂に代えてエネルギー線硬化樹脂の使用が提案されている。
特許文献1では、基材フィルム上または離型層を形成した基材フィルム上に未硬化の電離放射線硬化樹脂(エネルギー線硬化樹脂)を塗布し、この塗布面に偏光フィルムを貼合した後、上記硬化樹脂を硬化し、基材フィルムを剥離することにより、偏光フィルムに保護膜を形成する方法が提案されている。
また、特許文献2には、偏光フィルムに直接エネルギー線硬化樹脂を塗布、硬化することにより、40μm以下の膜厚で偏光フィルムを保護する保護膜を形成する方法が記載されている。
さらに、特許文献3には、シート状基材にエネルギー線硬化樹脂を塗布、硬化することにより、低複屈折率の偏光板保護フィルムを形成する方法が記載されている。
上記エネルギー線硬化樹脂を硬化させるためには、通常、光開始剤を添加する必要がある一方、得られた保護フィルムによって偏光板フィルムを紫外線による劣化から守るために、保護フィルムには十分な量の紫外線吸収剤が添加されている必要がある。両者は共に必要であるが、光開始剤の硬化波長帯域において、紫外線吸収剤による紫外線が吸収されると、光開始剤の反応性が低下して硬化阻害を生じることが懸念される。前記文献1〜3のいずれについても、エネルギー線硬化樹脂に対する任意の添加剤として紫外線吸収剤が記載されているが、上記のような硬化阻害が生じることに関しては何ら説明されておらず、硬化物における硬化不良が懸念される。
そこで、硬化不良に着眼した特許文献4が挙げられる。当該文献では340nm以上の紫外線吸収が少ない紫外線吸収剤と、340nm以上の波長域に吸収を有する光開始剤を使用し、紫外線吸収剤、光開始剤双方の吸収波長が比較的重ならないようにすることで十分に硬化させる方法が開示されている。しかしながら、このような紫外線吸収剤および光開始剤を使用する場合、可視域である波長380nm以上の吸収帯域を有する光開始剤が好適に使用され、可視光線の吸収により得られた硬化物は着色し、偏光板保護フィルムに適用することができない。
特開2006−163082号公報 特開2003−185842号公報 特開2014−115538号公報 特開2006−119476号公報
上記問題点を鑑み、本発明の目的は、硬化不良が生じず、着色が生じ難い紫外線遮蔽フィルムを提供すべく、当該紫外線遮蔽フィルムを作製するための樹脂組成物を提供することにある。
上記課題に対し、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、波長280nm以下に吸収ピークを有する光開始剤と、波長280nm以下に透過ピークを有するエネルギー線硬化樹脂および紫外線吸収剤を少なくとも含む組成物を組み合わせることによって硬化不良が生じず着色が生じ難い紫外線を遮蔽する保護フィルム、および該保護フィルムを使用した偏光板が作製できることを見出し、以下の樹脂組成物を創作するに至った。本発明には、以下の<1>〜<6>が含まれる。
<1>エネルギー線硬化樹脂と、240nm〜280nmの波長域に吸収ピークを有する光開始剤と、紫外線吸収剤とを少なくとも含有する樹脂組成物であって、
当該樹脂組成物から光開始剤を除いた成分が280nm以下の波長域に透過ピークを有していることを特徴とする樹脂組成物。
<2>当該樹脂組成物から光開始剤を除いた成分の240nm〜280nmのピークにおける透過率が10%以上である、<1>に記載の樹脂組成物。
<3><1>または<2>に記載の樹脂組成物を硬化させて得られる保護フィルム。
<4>波長400nmにおける分光透過率が50%以上であることを特徴とする、<3>に記載の保護フィルム。
<5>自立性を有することを特徴とする、<3>または<4>に記載の保護フィルム。
<6><3>〜<5>の何れか1項に記載の保護フィルムが偏光フィルムに積層されてなることを特徴とする偏光板。
本発明に係る保護フィルムは、紫外線吸収機能に優れ、着色が生じ難い保護フィルムであるため、例えば、偏光フィルムに貼合することで、優れた耐久性と光学特性を付与できる。
実施例に係る、エネルギー線硬化樹脂および紫外線吸収剤を含む組成物の分光透過率を示すチャートである。 実施例の樹脂組成物に係る分光透過率を示すチャートである。 実施例の保護フィルムに係る分光透過率を示すチャートである。 実施例の保護フィルムに係る分光透過率を示すチャートである。 実施例のフィルム積層体に係る分光透過率を示すチャートである。 比較例の保護フィルムに係る分光透過率を示すチャートである。
以下、本発明に係る樹脂組成物、保護フィルム、および偏光板について説明するが、本発明は以下の説明に限定して解釈されるものではない。
《樹脂組成物》
本発明の樹脂組成物は、硬化せしめることで保護フィルム、特に偏光板用の保護フィルムが得られるものであり、エネルギー線硬化樹脂と、240nm〜280nmの波長域に吸収ピークを有する光開始剤と、紫外線吸収剤とを少なくとも含有し、樹脂組成物から光開始剤を除いた成分が280nm以下の波長域に透過ピークを有していることを特徴とする。まず、樹脂組成物に含有される各材料について説明する。
エネルギー線硬化樹脂とは、主に紫外線などの電離放射線の照射を受けた時に光開始剤の作用を受けて間接的に重合や二量化等の大分子化を進行させる反応を起こす反応性の官能基を有するモノマー、オリゴマー及びポリマー等をいう。具体的には、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等のラジカル重合性官能基や、エポキシ基、ビニルエーテル基、オキセタン基等のカチオン重合性官能基を有するモノマー、オリゴマー、プレポリマーがあり、これらを単独で、または適宜混合した組成物として用いることができる。モノマーの例としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メトキシポリエチレン(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。オリゴマー、プレポリマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、アルキット(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート化合物、不飽和ポリエステル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテルや各種脂環式エポキシ等のエポキシ系化合物、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル等のオキセタン化合物を挙げることができる。これらは単独、または複数混合して使用することができるが、樹脂組成物として使用する際に後述の光開始剤を除いた組成物が、360nm以下の波長域で透過ピークを有していることが好ましい。また、これらエネルギー線硬化樹脂の中で、特にウレタン(メタ)アクリレートは、硬化速度を上げることや硬化物の機械的強度を向上させることができるため、使用することが好ましい。
樹脂組成物から光開始剤を除いた成分が280nm以下の波長域に透過ピークを有するために、樹脂組成物全体に対するエネルギー線硬化樹脂の使用量は、固形分比で75%以上、99%以下であることが好ましい。より好ましくは、85%以上、99%以下であり、特に好ましくは90%以上、99%以下である。
光開始剤としては、従来公知のものを用いることができる。例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、N,N,N,N−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ベンジルメチルケタールなどのベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトンなどのアセトフェノン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;ベンゾフェノン、4,4−ビスメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;その他、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン等を例示できる。これらは単独でまたは2種以上の混合物として使用できるが、波長域400nm以下の紫外領域において、240nm〜280nmの波長域に吸収ピークを有する光開始剤である。光開始剤の使用量は、エネルギー線硬化樹脂に対して、固形分比で0.5%以上、5%以下、さらには1〜4%が好ましい。
紫外線吸収剤としては、従来公知のものを用いることができる。サリチル酸フェニル、サリチル酸4−tert−ブチルフェニル、サリチル酸4−オクチルフェニルなどのサリチル酸塩類;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ビス−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ビス−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ビス−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロ−フタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2−メチレン−ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]などのベンゾトリアゾール類;2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヒドロキシフェニル、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン類;2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、2−エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレートなどのシアノアクリレート類を例示できる。これらは単独でまたは2種以上の混合物として使用できる。また、紫外線吸収剤の使用量は、エネルギー線硬化樹脂に対して、全固形分比で、1%以上、10%以下が好ましく、2%以上、8%以下がより好ましい。
樹脂組成物には、保護フィルムの成膜性、光学特性を損なわなければ、レベリング剤、帯電防止剤、ポリマー樹脂等、各種添加剤を含有させてもよい。これにより、得られる保護フィルムに、より良好な剥離特性や帯電防止性、引張強度を付与することが可能である。
帯電防止剤としては、公知のものを使用でき、例えば、4級アンモニウムカチオンを含有する高分子4級アンモニウム塩であるイオン系帯電防止剤、ポリアニリン、ポリチオフェンおよびそれらの誘導体などの電子共役系帯電防止剤、ATO、ITO、酸化亜鉛などの金属酸化物系帯電防止剤を使用することができる。レベリング剤、ポリマー樹脂についても公知のものを使用可能である。
本発明の樹脂組成物は、分光波長域における240nm〜280nmの波長域に吸収ピークを有する光開始剤と、波長280nm以下に透過ピークを有するエネルギー線硬化樹脂、および紫外線吸収剤を少なくとも含む組成物からなるよう、エネルギー線硬化樹脂、光開始剤、紫外線吸収剤、およびレベリング剤などの任意の添加剤が配合されることで調製される。
各原料は公知のものを使用すればよいが、樹脂組成物において上記分光波長特性となるよう、エネルギー線硬化性樹脂、光開始剤、および紫外線吸収剤の種類および配合比などを選定する必要がある。
本発明の樹脂組成物では、紫外線による樹脂組成物の硬化は240nm〜280nmの波長域の紫外線に限定され、エネルギー線硬化樹脂および紫外線吸収剤は240nm〜280nmの波長域の紫外線を比較的透過することから、光開始剤の硬化が紫外線吸収剤により阻害されない。特に、樹脂組成物から光開始剤を除いた成分の240nm〜280nmのピークにおける透過率が10%以上である場合、エネルギー線硬化樹脂が反応するのに十分なエネルギーを得ることができるため好ましい。
また、240nm〜280nmの波長域は可視領域から大きく離れていることから、硬化物に着色を及ぼし難い。特に、波長400nmにおける樹脂組成物の分光透過率が50%以上である場合、当該樹脂組成物を硬化してなる保護フィルムに着色が生じないため、非常に好ましい。
《保護フィルム》
本発明の保護フィルムは、エネルギー線硬化樹脂と、240nm〜280nmの波長域に吸収ピークを有する光開始剤と、紫外線吸収剤を少なくとも含有する上述した樹脂組成物で、樹脂組成物から光開始剤を除いた成分が280nm以下の波長域に透過ピークを有していることを特徴とする樹脂組成物を硬化して形成された保護フィルムである。
樹脂組成物と、樹脂組成物を硬化した保護フィルムとでは、分光波長域の吸収波長はほぼ同一であり、変化しないため、例えば、上記保護フィルムは、本発明の樹脂硬化物を硬化することで得ることができる。上記樹脂組成物の硬化過程に関して示したように、当該保護フィルムは、硬化不良および着色が生じ難いものである。本発明の保護フィルムは、上記樹脂組成物を光硬化させることで得られる。硬化は公知の紫外線照射にて行えばよい。
特に、波長400nmにおける保護フィルムの分光透過率が50%以上である場合、着色が生じないため、非常に好ましい。
保護フィルムの厚さは特に限定されないが、例えば、5μm〜50μmとすることができる。
本発明の保護フィルムを、偏光板の保護フィルムに用いる場合、保護フィルムの透湿度は低いことが好ましく、例えば、透湿度は30μmの薄層の状態で100g/(m・24時)以下であることが好ましく、より好ましくは80g/(m・24時)以下である。透湿度の下限値は特に限定されないが、例えば、15g/(m・24時)以上である。
本発明に係る保護フィルムは自立性を有することが好ましい。自立性を有するとは、保護フィルムが単体で形状を保持できることを意味し、1つの判断基準として、保護フィルムの引張強度が30MPa以上であれば、保護フィルムは自立性を有するものとする。吸湿脱湿に起因する偏光フィルムの伸縮を抑制するため、引張強度は大きいことが好ましく、より好ましくは40MPa以上である。上限値は特に限定されないが、例えば、100MPaである。
また、引張強度は硬化不良の判断基準でもあり、硬化不良の場合、硬化が良好な場合に比較して引張り強度が60%以下となるケースが多い。
本発明の保護フィルムには、他のフィルムおよび/または機能層が積層されていてもよい。フィルムおよび機能層は特に限定されないが、フィルムとして、(1)本発明の保護フィルムを支持するフィルム基材が挙げられる。機能層として、(2)耐擦傷性を有するハードコート層、(3)光を散乱させる防眩層、(4)光の反射を防止する反射防止層、などが挙げられ、(1)〜(4)を単独で積層しても、複数種類を積層してもよい。複数枚を積層する場合には、積層の順序は任意であり、特に限定されない。すなわち、機能層は保護フィルム側であってもフィルム基材上に形成されていてもよい。
〔フィルム基材〕
本発明に係る保護フィルムは、他のフィルムと積層された状態で一体的に取り扱うことができる。また、ロールコーティング法、グラビアコーティング法等のコーティング法によって、保護フィルムをフィルム基材上に形成することでフィルム積層体を製造する場合、フィルム基材をフィルム積層体の一部としてそのまま利用することもできる。
フィルム基材は保護フィルムを支持する役割を担い、最終的には剥離して除去するため保護フィルムを積層する側に離型層を有することが好ましい。なお、フィルム基材が離型層を介して機能層を備えている場合、保護フィルムの機能層側にフィルム基材を貼合した後、フィルム基材を剥離して除去すると、通常、機能層はフィルム基材側に残らず、保護フィルム側に転写される。
フィルム基材については特に制限はなく、公知のプラスチックフィルムの中から適宜選択して使用することができる。このようなプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマーなどのポリオレフィンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、などのセルロースフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、フッソ樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム等のプラスチックフィルムを挙げることができる。また、公知の金属箔の中から適宜選択して使用することもでき、例えば、ステンレス箔、アルミ箔、銅箔等の金属箔を挙げることができる。これらプラスチックフィルムおよび金属箔は、いずれもフィルム基材として使用することができるが、偏光板に他のフィルムを設け、表示装置まで加工する各種製造工程において光学特性を検査することもあり、偏光板の基本構成である、偏光フィルムおよび保護フィルムの光学特性測定への影響を最小限とすることができるよう、フィルム基材は透明性を有することが好ましい。このような観点から、フィルム基材として、ポリエステルフィルムやポリオレフィンフィルムが好ましく用いられる。
これらフィルム基材の膜厚は特に制限はなく、適宜選択することができるが、通常20〜250μm、好ましくは38〜150μmの範囲である。
上記フィルム基材は、上述したように離型層を有していてもよいし、離型層以外にさらに他の機能層が形成されていてもよい。機能層としては、ハードコート層(HC層)、防眩層(AG層)、反射防止層(LR層)が挙げられる。これらの層は、フィルム基材もしくは離型層上に形成され、保護フィルムに積層された後、離型層からポリエステル基材を剥離することで、各機能層と保護フィルムとが積層されたフィルム積層体が容易に得られるが、保護フィルムへの形成方法は当該方法に限定されるものではない。
〔ハードコート層〕
ハードコート層はハードコート性を有する。本発明におけるハードコート性とは、JIS K5600:1999に準拠し、荷重500g、速度1mm/sの条件下での鉛筆法による引っかき硬度が2H以上である。ハードコート層を構成する樹脂成分としては、電離放射線硬化型樹脂が簡易な加工操作で効率よく硬化することができるため好適であり、硬化後に、十分な強度を持ち、透明性を有する被膜を与える電離放射線硬化型樹脂を特に制限なく使用できる。
電離放射線硬化型樹脂としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等のラジカル重合性官能基や、エポキシ基、ビニルエーテル基、オキセタン基等のカチオン重合性官能基を有するモノマー、オリゴマー、プレポリマー、ポリマーを単独で、または適宜混合した組成物が用いられる。モノマーの例としては、アクリル酸メチル、メチルメタクリレート、メトキシポリエチレンメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等を挙げることができる。オリゴマー、プレポリマーとしては、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、多官能ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート、アルキットアクリレート、メラミンアクリレート、シリコーンアクリレート等のアクリレート化合物、不飽和ポリエステル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテルや各種脂環式エポキシ等のエポキシ系化合物、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル等のオキセタン化合物を挙げることができる。ポリマーとしては、ポリアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等を挙げることができる。これらは単独、もしくは複数混合して使用することができる。これら電離放射線硬化型樹脂の中で、特に官能基数が3個以上の多官能モノマーは、硬化速度が上がることや硬化物の硬度が向上させることができる。さらに、多官能ウレタンアクリレートを使用することにより、硬化物の硬度や柔軟性などを付与することができる。
電離放射線硬化型樹脂は、そのままで電離放射線照射により硬化可能であるが、紫外線照射による硬化を行う場合は、光重合開始剤の添加が必要である。光重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のラジカル重合開始剤、芳香族シアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物等のカチオン重合開始剤を単独または適宜組み合わせて使用することができる。
ハードコート層の膜厚はハードコート性が発揮されれば特に制限されないが、概して、2μm以上、10μm以下である。
ハードコート性以外の機能を付与するために、上記ハードコート層には各種添加剤を添加することができる。例として、フィルム基材から剥離する際の離型性を向上させるために添加するフッ素系またはシリコーン系のレベリング剤や、剥離時の剥離帯電による埃付着などを防止するために添加する、イオン系、電子共役系または金属酸化物系の帯電防止剤などを、必要とされる機能に応じて適宜選択して使用してもよい。添加剤を使用できる点は、下記防眩層および低屈折率層についても同様である。
〔防眩層〕
防眩層は、光を散乱させる防眩機能を有し、外部ヘイズおよび/または内部ヘイズによって防眩機能を実現するものであり、防眩層は、表面に凹凸が形成されているか、内部に透光性微粒子を含有している、または、その両方である。
防眩層の表面の凹凸を形成する方法に特に制限はないが、凹凸が形成されたフィルム基材の上に、電離放射線硬化型樹脂を塗布し、塗布後、硬化する方法が、凹凸の形状をコントロールし易いことから好ましい。
防眩層のポリエステル基材側の表面凹凸の形状は、求められる防眩性によって決定される。より好適な凹凸の形状は粗さパラメータRaによって規定することが可能であり、Ra:0.01μm以上、Sm:50μm〜500μm、平均傾斜角:0.1°〜3.0°であることがより好ましい。
一方、内部ヘイズを生ずるため、電離放射線硬化型樹脂中に添加する透光性微粒子としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ナイロン樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂等の有機樹脂微粒子、シリカ等の無機微粒子を使用することができる。ここで、透光性微粒子は、樹脂成分との屈折率差が0.04以下であることが好適であり、0.01以下であることがより好適である。樹脂成分との屈折率差が高いと、防眩層中にて内部散乱が生じ、コントラストが低下することとなるため好ましくない。
防眩層の膜厚は防眩性が発揮されれば特に制限されないが、概して2μm以上、10μm以下である。なお、上記防眩層は防眩性に加え、ハードコート性を兼ね備えることも可能であり、この場合、使用する樹脂成分を調整することでハードコート性が付与される。
〔反射防止層〕
反射防止層は、低屈折率層と高屈折率層とから構成される。低屈折率層とは、隣接する高屈折率層(ハードコート層、防眩層、または、保護フィルム)よりも屈折率が低い層であり、高屈折率層と積層された状態で低屈折率層側からの光の反射防止に寄与する。なお、ここで高屈折率、低屈折率というのは絶対的な屈折率を規定するものではなく、2つの層の屈折率を相対的に比較して高い、または、低いと規定しているのであり、両者が下記式1の関係を有する時に最も反射率が低くなるとされている。
n2=(n1)1/2・・・(式1)
(n1は高屈折率層の屈折率、n2は低屈折率層の屈折率)
好適に反射防止機能が発揮されるために、低屈折率層の屈折率は1.40以下であることが好ましい。これらの特徴を有する材料としては、例えば外殻層を有し内部が空洞の中空シリカ系微粒子や、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム、フッ化アルミニウム等のフッソ系無機材料、フッ化ビニリデン系共重合体、含フッソシリコーン、含フッソアクリレート等のフッソ系樹脂を挙げることができる。
低屈折率層の膜厚は、高屈折率層との関係で反射防止機能が発揮されれば特に制限されないが、概して、0.05μm以上、0.2μm以下であり、高屈折率層の膜厚は、概して、0.05μm以上、10μm以下であることが好ましい。上記低屈折率層は高屈折率層との関係で反射防止機能を発揮するが、原料選定により、ハードコート性を兼ね備えることも可能である。また、高屈折率層は、原料選定により、ハードコート性を有していてもよいし、さらに防眩性を備えていてもよい。
《保護フィルムおよびフィルム積層体の製造方法》
[保護フィルム形成工程]
本発明に係る保護フィルムの製造方法は、上記保護フィルムを製造できれば特に限定されないが、一例として、以下の(A1)および(A2)からなる保護フィルム形成工程を含む方法が挙げられる。
(A1)少なくともエネルギー線硬化樹脂と光開始剤と紫外線吸収剤とを含有する樹脂組成物を、フィルム基材上、または、フィルム基材の離型層上に塗布する。
(A2)塗布後、樹脂組成物を硬化させて保護フィルムを形成する。
樹脂組成物における、モノマー、光開始剤、紫外線吸収剤および任意の各種添加剤の各割合は、各材料の種類によって異なり、一義的に規定することは困難であるが、一例として、モノマーが50質量%以上、99質量%以下、光重合開始剤が0.5質量%以上、5質量%以下、紫外線吸収剤が1質量%以上、10質量%以下、各種添加剤が0.01質量%以上、48.5質量%以下とすることができる。また、トルエンなどの有機溶剤を樹脂組成物に添加してもよい。
調製した樹脂組成物を、フィルム基材上、または、フィルム基材の離型層上に塗布するには、連続生産性を考えると、ロールコーティング法、グラビアコーティング法等のコーティング法を用いることが好ましい。当該コーティング法によって、薄層、例えば、有機溶剤が揮発した状態で50μm以下、好ましくは30μm以下の保護フィルムを形成するよう樹脂組成物を塗布できる。
工程(A2)における硬化は、紫外線照射装置から紫外線を照射することで行うことができる。用いる紫外線光源は特に限定されないが、波長400nm以下に発光分布を有する、たとえば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプなどを用いることができる。エポキシ化合物を活性エネルギー線硬化性成分とする接着剤を用いる場合、一般的な重合開始剤が示す吸収波長を考慮すると、400nm以下の光を多く有する高圧水銀灯またはメタルハライドランプが、紫外線光源として好ましく用いられる。
樹脂組成物を硬化することで、フィルム基材上、または、フィルム基材の離型層上に保護フィルムが形成され、フィルム基材に保護フィルムが積層されたフィルム積層体が得られる。さらに、フィルム積層体から保護フィルムを剥離することで単体の保護フィルムを得ることもできる。
[機能層形成工程]
フィルム積層体の製造方法のバリエーションとして、保護フィルム形成工程(A1)および(A2)の前に、機能層形成工程(B)を含む製造方法が挙げられる。機能層形成工程(B)は、フィルム基材上、または、フィルム基材の離型層上に、機能層の原料である樹脂組成物を塗布し、硬化させてフィルム基材に機能層を形成する。
上記機能層としては特に限定されないが、上述したハードコート層、防眩層および反射防止層が挙げられる。機能層の原料である樹脂組成物は、ハードコート層、防眩層、および反射防止層の説明にて上述した樹脂等を含む。また、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、イソプロピルアルコール(IPA)、トルエンなどの有機溶剤が添加されていてもよい。
機能層の原料である樹脂組成物を、フィルム基材上、または、フィルム基材の離型層上に塗布するには、連続生産性を考えると、ロールコーティング法、グラビアコーティング法等のコーティング法を用いることが好ましい。使用する樹脂組成物に応じて、任意に加熱、紫外線照射等によって乾燥、硬化する方法を用いればよい。
機能層形成工程にてフィルム基材に機能層を形成した場合、保護フィルム形成工程(A1)において、保護フィルムの原料である樹脂組成物をフィルム基材の機能層側に塗布する。機能層が複数層である場合には、通常、最後に形成した機能層側に塗布する。
凹凸が形成されたフィルム基材を用いた場合、当該フィルム基材に形成された機能層に凹凸が形成され、防眩性を有する防眩層として機能する。上記凹凸の形状は、求められる防眩性によって決定され、より好適な凹凸の形状は粗さパラメータRaによって規定することが可能であり、Ra:0.01μm以上、Sm:50μm〜500μm、平均傾斜角:0.1°〜3.0°であることがより好ましい。
機能層を形成する際、複数層を形成することもできる。例えば、複数のハードコート層を形成する場合、フィルム基材上、または、フィルム基材の離型層上に第1ハードコート層を形成し、第1ハードコート層上に第2ハードコート層を形成する。その後、工程(A1)にて、第2ハードコート層側に保護フィルムの原料である樹脂組成物を塗布する。上記第2ハードコート層に代えて、防眩層を形成してもよい。
また、反射防止層を形成する場合、フィルム基材上、または、フィルム基材の離型層上に低屈折率層を形成し、上記低屈折率層上に高屈折率層を形成する。さらに、工程(A1)にて高屈折率層側に保護フィルムの原料である樹脂組成物を塗布する。これにより、フィルム基材、機能層、保護フィルムの順で積層されたフィルム積層体が得られる。
《偏光板》
本発明の偏光板は、偏光フィルムの少なくとも片面に、本発明の保護フィルムを備えるものである。偏光フィルムとしては、従来公知のものを使用すればよい。偏光フィルムとは、一般的には、ポリビニルアルコール系樹脂(PVA樹脂)からなり、偏光フィルムに入射する光のうち、ある方向の振動面を有する光を透過し、それと直交する振動面を有する光を吸収する性質を有するフィルムであり、典型的には、PVA樹脂に二色性色素が吸着配向しているものである。
本発明のフィルムは紫外線吸収機能に優れ、着色し難いため、偏光板の保護フィルムとして好適に適用される。
《偏光板の製造方法》
本発明に係る偏光板は、偏光フィルムの少なくとも片面に本発明に係る保護フィルムを備える。偏光板の製造方法としては、偏光フィルムの少なくとも片面に、樹脂組成物を直接塗布し、その後、乾燥させることで保護フィルムを形成する手法でもよいし、下記のように、保護フィルムを貼合する手法を用いてもよい。貼合に係る偏光板の製造方法では、上記保護フィルムを偏光フィルムに貼合する点が重要であり、貼合手法は公知の手法を採用すればよく、特に限定されるものではない。
保護フィルムとしては、保護フィルムを単独で使用してもよいが、取り扱い易さから、フィルム積層体、すなわち、フィルム基材と共に保護フィルムを使用することが好ましい。
例えば、保護フィルム形成工程の後、または、機能層形成工程および保護フィルム形成工程の後、保護フィルムを備える積層体を得た後、上記フィルム積層体の保護フィルム側に偏光フィルムに貼合すれば、本発明に係る偏光板が得られる。
偏光板の製造方法に係る工程をより具体的に説明する。下記工程(C1)〜(C4)は、保護フィルム形成工程の後、または、機能層形成工程および保護フィルム形成工程の後に実施される。
(C1)フィルム積層体の保護フィルム側(または偏光フィルム)に紫外線硬化型接着剤を塗布する塗工工程、
(C2)塗工工程で塗布された紫外線硬化型接着剤面に偏光フィルム(またはフィルム積層体の保護フィルム側)を重ねて加圧する貼合工程、
(C3)偏光フィルムに紫外線硬化型接着剤を介して保護フィルムが貼合されたフィルム積層体に対して、紫外線照射装置から紫外線を照射することにより、紫外線硬化型接着剤を硬化させる硬化工程、
(C4)必要に応じて積層フィルムから支持基材を剥離除去する剥離工程。
塗工工程(C1)では、偏光フィルムの貼合面となる、フィルム積層体の保護フィルム側に紫外線硬化型接着剤を塗布する(または、フィルム積層体の保護フィルム側に代えて、偏光フィルムに紫外線硬化型接着剤を塗布する)。ここで用いる塗工機としては、公知のものを適宜用いることができ、例えば、グラビアロールを用いる塗工機などが挙げられる。
貼合工程(C2)では、塗工工程(C1)を経た後、フィルム積層体の接着剤塗布面に、偏光フィルムを重ねて加圧しながら貼合が行なわれる(塗工工程(C1)で偏光フィルムに紫外線硬化型接着剤を塗布した場合、紫外線硬化型接着剤面にフィルム積層体の保護フィルム側を重ねて加圧しながら貼合が行なわれる)。貼合工程での加圧には、公知の手段を用いることができるが、連続搬送しながらの加圧が可能であるという観点からは、一対のニップロールにより挟む方式が好ましく用いられ、加圧時の圧力は、一対のニップロールにより挟む場合の線圧で150〜500N/cm程度とするのが好ましい。
硬化工程(C3)では、偏光フィルムにフィルム積層体を貼合した後、紫外線照射装置から紫外線を照射し、紫外線硬化型接着剤を硬化させる。紫外線は、フィルム積層体越しに照射される。用いる紫外線光源は特に限定されないが、波長240nm〜280nmに発光分布を有する光源、たとえば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプなどを用いることができる。エポキシ化合物をエネルギー線硬化性成分とする接着剤を用いる場合、一般的な重合開始剤が示す吸収波長を考慮すると、240nm〜280nm以下の光を多く有する400nm以下の光を発する高圧水銀灯またはメタルハライドランプが、紫外線光源として好ましく用いられる。
剥離工程(C4)は、必要に応じて適宜行われる工程であり、本工程により保護フィルム上に積層されているフィルム基材を剥離し、除去する(フィルム基材が複数層の場合、フィルム基材の一部を剥離して除去する)ことで、偏光板が得られる。偏光板をさらに加工する場合等において、保護フィルムの表面を後加工工程において保護しておきたい場合などは、これら加工の終了後にフィルム基材を剥離すればよい。
以下、実施例および比較例に基づき、本発明を説明するが、本発明は実施例の内容に限定されるものではない。
物性評価において、得られたフィルム積層体からフィルム基材を剥離した保護フィルム(フィルム基材に機能層を形成した場合、保護フィルムおよび機能層)を測定対象とし、当該保護フィルムの膜厚、分光透過率、着色度合いおよび自立性は以下の測定方法にて測定した。
〔膜厚〕
デジタルリニアゲージD−10HSおよびデジタルカウンタC−7HS(株式会社尾崎製作所製)を用いて、保護フィルム(または保護フィルム+機能層)の膜厚を測定した。
〔分光透過率〕
紫外可視分光光度計U−4100(株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて、樹脂組成物を形成する光開始剤および、樹脂組成物から光開始剤を除いた組成物の分光透過率(1nm刻み)を測定した。
測定したデータのうち、光開始剤の220nm〜360nmの波長範囲の吸収ピークと、組成物の220〜360nmの波長範囲の透過ピークの位置を比較した。
また、保護フィルムの分光透過率(1nm刻み)を測定し、400nmの透過率を比較した。
〔着色度合い〕
紫外可視分光光度計U−4100(株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて、Lab表示系による保護フィルムの着色度合いを測定した。b値が+0.95以下であれば着色なしと判断した。
〔自立性〕
保護フィルムを15mm×160mmのサイズに裁断したサンプルフィルムに対し、その長辺を引張方向として、「テンシロン RTF−24」(ヤマト科学製)を用いて、つかみ具間が100mmとなるようにサンプルフィルムの両端をつかみ具に保持し、常温(25℃)にて測定荷重レンジ40N、測定速度20mm/minにおける応力−ひずみ曲線の最大傾きから、引張強度を求めた。
自立性の評価において、サンプルフィルムの引張強度が30MPa以上の場合、○と判定し、自立性があるものと判定した。30MPa未満の場合、×と判定した。
〔製造例1〕
化合物1の合成:
トリシクロデカンジメタノール196.29g(1モル)とε−カプロラクトン228.29g(2モル)をフラスコに仕込み、120℃まで昇温し、触媒としてモノブチルスズオキシド50ppmを添加した。その後、窒素気流下で、残存したε−カプロラクトンがガスクロマトグラフィーで1%以下になるまで反応を行い、ジオール(1)を得た。
別のフラスコにイソホロンジイソシアネート444.58g(2モル)を仕込み、反応温度70℃で、ジオール(1)425.57g(1モル)を加え、残存したイソシアネート基が5.7%となった時点で2−ヒドロキシエチルアクリレート232.24g(2モル)、ジブチルスズラウリレート0.35gを加え、残存したイソシアネート基が0.1%になるまで反応を行い、ウレタンアクリレート(化合物1)を得た。
〔製造例2〕
化合物2の合成:
イソホロンジイソシアネート222.29g(1モル)、2−ヒドロキシエチルアクリレート232.24g(2モル)をフラスコに仕込み、反応温度70℃とした後、触媒としてジブチルスズラウリレート0.35gを添加した。残存したイソシアネート基が0.1%以下になるまで反応を行い、繰り返し単位を生じさせるモノマーであるウレタンアクリレート(化合物2)を得た。
〔実施例1:樹脂組成物〕
エネルギー線硬化樹脂として化合物1、紫外線吸収剤として、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(紫外線吸収剤1)を使用し、樹脂組成物のうち光開始剤が未添加の下記組成物(C1)を調合した。組成物(C1)はトルエンに溶解させて塗料化しており、その固形分率(NV)は60%である。
Figure 2017009886
調合した組成物(C1)を、アプリケーターを用いて厚さ1mmの石英ガラス板上に塗布した。組成物(C1)の塗布厚は、乾燥後の膜厚が20〜30μmとなるよう塗工条件を調整した。乾燥炉内温度100℃に設定したクリーンオーブン内で、塗工膜からトルエンを乾燥させ、石英ガラス板に形成された組成物を得た。この組成物の分光透過率を測定した結果、266nmに透過ピークがあることを確認した。この組成物の分光透過率を測定した結果を表8に示す。また、組成物の分光透過率のチャートを図1に示す(縦軸は透過率を示し(単位%)、横軸は波長を示す(単位nm)。図2〜6についても同様である)。
組成物(C1)に、光開始剤として、275nmに吸収ピークを有する光開始剤A(化合物名:1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)を添加し、下記樹脂組成物(P1)を調合した。
Figure 2017009886
〔実施例2:ポリエステルフィルム基材/保護フィルム〕
アプリケーターを用いて、パナック社製非シリコーン系剥離 PET SG−1(38μm厚さ)の剥離層側に前記樹脂組成物(P1)を塗布した。樹脂組成物(P1)はトルエンに溶解させて塗料化しており、その固形分率(NV)が60%である。
樹脂組成物(P1)の塗布厚は、乾燥後の膜厚が20〜30μmとなるよう塗工条件を調整した。乾燥炉内温度100℃に設定したクリーンオーブン内で、塗工膜を乾燥させ、その後、窒素雰囲気下でピーク照度326mW/cm、積算光量192mJ/cmの条件の高圧水銀灯で紫外線硬化させ、PETフィルムの片面に保護フィルムが形成されたフィルム積層体を得た。このフィルム積層体に対する評価結果を表9に示す。また、保護フィルムの分光透過率のチャートを図2に示す。
〔実施例3:ポリエステルフィルム基材/保護フィルム〕
エネルギー線硬化樹脂として化合物2、紫外線吸収剤として、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(紫外線吸収剤1)を使用し、樹脂組成物のうち光開始剤が未添加の下記組成物(C2)を調合した。組成物(C2)はトルエンに溶解させて塗料化しており、その固形分率(NV)は60%である。
Figure 2017009886
調合した組成物(C2)を、アプリケーターを用いて厚さ1mmの石英ガラス板上に塗布した。組成物(C2)の塗布厚は、乾燥後の膜厚が20〜30μmとなるよう塗工条件を調整した。乾燥炉内温度100℃に設定したクリーンオーブン内で、塗工膜からトルエンを乾燥させ、石英ガラス板に形成された組成物を得た。この組成物の分光透過率を測定した結果、258nmに透過ピークがあることを確認した。
組成物(C2)に、光開始剤として、243nmに吸収ピークを有する光開始剤B(化合物名:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン)を添加し、下記樹脂組成物(P2)を調合した。
Figure 2017009886
調合した保護フィルム形成用樹脂組成物(P2)を、実施例2にて使用した樹脂組成物(P1)と同様にしてPETフィルムの片面に保護フィルムが形成されたフィルム積層体を得た。
上記フィルム積層体に対する評価結果を表9に示す。また、保護フィルムの分光透過率のチャートを図3に示す。
〔実施例4:ポリエステルフィルム基材/保護フィルム〕
実施例1にて使用した組成物(C1)に、光開始剤として、260nmに吸収ピークを有する光開始剤C(化合物名:2−ヒドロキシ−1−[4−{4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル}−フェニル]−2−メチルプロパン)を添加し、下記樹脂組成物(P3)を調合した。
Figure 2017009886
調合した保護フィルム形成用樹脂組成物(P3)を、実施例2にて使用した樹脂組成物(P1)と同様にしてPETフィルムの片面に保護フィルムが形成されたフィルム積層体を得た。
上記フィルム積層体に対する評価結果を表9に示す。また、保護フィルムの分光透過率のチャートを図4に示す。
〔実施例5:ポリエステルフィルム基材/HC層/保護フィルム〕
実施例3にて使用した組成物(C2)に、光開始剤として、240nmに吸収ピークを有する光開始剤D(化合物名:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)を添加し、下記樹脂組成物(P4)を調合した。
Figure 2017009886
調合した保護フィルム形成用樹脂組成物(P4)を、実施例2にて使用した樹脂組成物(P1)と同様にしてPETフィルムの片面に保護フィルムが形成されたフィルム積層体を得た。
上記フィルム積層体に対する評価結果を表9に示す。また、保護フィルムの分光透過率のチャートを図5に示す。
〔比較例1:ポリエステルフィルム基材/保護フィルム〕
実施例1にて使用した組成物(C1)に、光開始剤として、305nmに吸収ピークを有する光開始剤E(化合物名:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン)を添加し、下記樹脂組成物(P5)を調合した。
Figure 2017009886
調合した保護フィルム形成用樹脂組成物(P4)を、実施例2にて使用した樹脂組成物(P1)と同様にしてPETフィルムの片面に保護フィルムが形成されたフィルム積層体を得た。
上記フィルム積層体に対する評価結果を表9に示す。また、保護フィルムの分光透過率のチャートを図6に示す。
Figure 2017009886
Figure 2017009886
表8および図1に示すように、実施例1の樹脂組成物(P1)は、光開始剤を添加しない状態の組成物(C1)において、280nm以下の波長域において透過ピークを有し、そのピーク波長は266nmであり、透過率は14.5%であった。また光開始剤Aは、240nm〜280nmの波長域に吸収ピークを有し、そのピーク波長は275nmであった。
また、同じ樹脂組成物(P1)を硬化して保護フィルムとした実施例2は、表9および図2に示すように、280nm〜360nmの波長域における分光透過率がほぼゼロであることから十分な紫外線遮蔽性を有しており、一方で波長400nmの分光透過率および全光線透過率については高い値となっており、着色は観察されず、保護フィルムは高い透明性を有していた。着色については他の実施例においても同様であった。また、引張強度も高く、十分な自立性も確認された。
同様に実施例3〜5の保護フィルムにおいても、表9および図3〜5に示すように、280nm〜360nmの波長域における分光透過率がほぼゼロであり、着色は観察されず、保護フィルムは高い透明性を有しておち、引張強度も高く、十分な自立性も確認された。
以上よりこれら実施例2〜5の保護フィルムは、いずれも波長360nm以下の紫外領域において十分なUVカット性を示しているとともに、保護フィルムとして十分な自立性を有していることが分かる。
一方、比較例1では、実施例同様に波長360nm以下の紫外領域において十分なUVカット性を示しているが、表9に示すように、その引張強度は25MPaであり、自立性が不足していることから、硬化が不十分であったことが分かる。
上記実施例および比較例から明らかなように、光開始剤を添加しない状態の組成物において、240nm〜280nmの波長域において透過ピークを有し、これに240nm〜280nmの波長域に吸収ピークを有する光開始剤を添加した樹脂組成物を硬化させて得られた保護フィルムは、紫外線による偏光板の劣化を防止しつつ、保護フィルムとして十分な強度であり、硬化が良好であることが理解される。
本発明に係る保護フィルムは、紫外線による劣化を防止しつつ、硬化不良が生じず、着色が生じ難いため紫外線防止性が要求される用途、特に、偏光板の構成部材として有用であり、種々の分野にて利用可能である。

Claims (6)

  1. エネルギー線硬化樹脂と、240nm〜280nmの波長域に吸収ピークを有する光開始剤と、紫外線吸収剤とを少なくとも含有する樹脂組成物であって、
    当該樹脂組成物から光開始剤を除いた成分が280nm以下の波長域に透過ピークを有していることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 当該樹脂組成物から光開始剤を除いた成分の240nm〜280nmのピークにおける透過率が10%以上である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の樹脂組成物を硬化させて得られる保護フィルム。
  4. 波長400nmにおける分光透過率が50%以上であることを特徴とする、請求項3に記載の保護フィルム。
  5. 自立性を有することを特徴とする、請求項3または4に記載の保護フィルム。
  6. 請求項3〜5の何れか1項に記載の保護フィルムが偏光フィルムに積層されてなることを特徴とする偏光板。
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