JP2017011130A - 高比重粒子分散用溶液、及びこれを含む蛍光体分散液、並びに発光装置、及びその製造方法 - Google Patents

高比重粒子分散用溶液、及びこれを含む蛍光体分散液、並びに発光装置、及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】蛍光体粒子や顔料、金属粒子等の各種高比重粒子を沈降させることなく分散可能であり、さらに当該溶液から得られる層において、変色が生じ難く、当該層を含む装置において、電流のリーク等が生じ難い、高比重粒子分散用溶液の提供を目的とする。【解決手段】板状膨潤粒子と、溶媒とを含み、前記板状膨潤粒子の層間陽イオンが、特定の式で表されるアンモニウム系イオンである、高比重粒子分散用溶液、とする。【選択図】なし

Description

本発明は、高比重粒子分散用溶液、及びこれを含む蛍光体分散液、並びに発光装置、及びその製造方法に関する。
金属粒子を含むスラリーや、蛍光体粒子を含む蛍光体分散液等では、金属粒子や蛍光体粒子等、比重の高い粒子が沈降しやすいとの課題があった。そこで、従来は、これらの分散液に各種沈降防止剤を添加したり、使用前に溶液を攪拌等する等して、高比重粒子の沈降を抑制していた。
また、特許文献1及び特許文献2には、蛍光体粒子及び溶媒を含む蛍光体分散液に、親油性の膨潤粒子(親油性スメクタイト等)を含めることで、蛍光体粒子の沈降を抑制することが記載されている。
国際公開第2012/090999号 特開2004−153109号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に示されるような親油性スメクタイトを含む蛍光体分散液にて発光装置の波長変換層を作製した場合、波長変換層の色が経時で変化したり、発光装置において、電流のリークが生じやすい、との課題があった。
また、高比重粒子の沈降防止剤として、層間陽イオンが金属イオンである板状膨潤粒子も知られている。しかしながら、このような板状膨潤粒子を蛍光体分散液等に用いた場合にも、発光装置において、電流のリークが生じやすかった。また、上記親油性スメクタイトや層間陽イオンが金属イオンである板状膨潤粒子を金属粒子のスラリーに適用し、導電層を形成した場合等にも、当該導電層を含む装置において、電流のリーク等が生じやすかった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものである。すなわち本発明の目的は、蛍光体粒子や顔料、金属粒子等の各種高比重粒子を沈降させることなく分散可能であり、さらに当該溶液から得られる層において、変色が生じ難く、当該層を含む装置において、電流のリーク等が生じ難い、高比重粒子分散用溶液を提供することにある。
すなわち、本発明の第一は、以下の高比重粒子分散用溶液、及びこれを含む蛍光体分散液にある。
[1]板状膨潤粒子と、溶媒とを含み、前記板状膨潤粒子の層間陽イオンが、下記一般式(1)で表されるアンモニウム系イオンである、高比重粒子分散用溶液。
Figure 2017011130
(一般式(1)におけるR〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子の数が1〜45のアルキル基、炭素原子の数が1〜45のポリ(オキシアルキレン)含有基、炭素原子の数が1〜45のヒドロキシ基含有アルキル基であり、R〜Rが含む炭素原子の合計数は0以上45以下である)
[2]前記一般式(1)における、R〜Rが含む炭素原子の合計数は0以上30以下である、[1]に記載の高比重粒子分散用溶液。
[3]前記一般式(1)における、R〜Rがいずれも水素原子である、[1]または[2]に記載の高比重粒子分散用溶液。
[4]前記高比重粒子分散用溶液全量に対する、前記板状膨潤粒子の量が、0.5質量%以上20質量%以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の高比重粒子分散用溶液。
[5]無機酸化物粒子をさらに含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の高比重粒子分散用溶液。
[6]前記高比重粒子分散用溶液全量に対する、前記無機酸化物粒子の量が、0.5質量%以上20質量%以下である、[5]に記載の高比重粒子分散用溶液。
[7]前記無機酸化物粒子は、炭素原子の数が1〜45である炭化水素基で表面修飾されている、[5]または[6]に記載の高比重粒子分散用溶液。
[8]前記溶媒が、多価アルコールを含む、[1]〜[7]のいずれかに記載の高比重粒子分散用溶液。
[9]蛍光体粒子と、[1]〜[8]のいずれかに記載の高比重粒子分散用溶液と、を含む、蛍光体分散液。
本発明の第二は、以下の発光装置の製造方法及び発光装置を提供することにある。
[10]基板と、前記基板上に配置された発光素子と、前記発光素子を覆う波長変換層と、を有する発光装置の製造方法であって、[9]に記載の蛍光体分散液を塗布する工程を含む、発光装置の製造方法。
[11]基板と、前記基板上に配置された発光素子と、前記発光素子を覆う波長変換層と、を有する発光装置であって、前記波長変換層は、蛍光体粒子及び板状膨潤粒子を含み、前記板状膨潤粒子の層間陽イオンが、下記一般式(1)で表されるアンモニウム系イオンである、発光装置。
Figure 2017011130
(一般式(1)におけるR〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子の数が1〜45のアルキル基、炭素原子の数が1〜45のポリ(オキシアルキレン)含有基、炭素原子の数が1〜45のヒドロキシ基含有アルキル基であり、R〜Rが含む炭素原子の合計数は0以上45以下である)
[12]前記一般式(1)における、R〜Rが含む炭素原子の合計数は0以上30以下である、[11]に記載の発光装置。
[13]前記一般式(1)における、R〜Rがいずれも水素原子である、[11]または[12]に記載の発光装置。
[14]前記波長変換層が、無機酸化物粒子をさらに含む、[11]〜[13]のいずれかに記載の発光装置。
[15]前記無機酸化物粒子が、炭素原子の数が1〜45である炭化水素基で表面修飾されている、[14]に記載の発光装置。
本発明の高比重粒子分散用溶液によれば、蛍光体粒子や顔料、金属粒子等の各種高比重粒子を沈降させることなく分散させることが可能である。またさらに、当該高比重粒子分散用溶液から得られる層では、経時での変色が生じ難く、当該層を含む装置において、電流のリーク等も生じ難い。
本発明の発光装置の一例を示す概略断面図である。 本発明の発光装置の他の例を示す概略断面図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内であれば種々に変更して実施することができる。なお、本願において、数値範囲を表す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
1.高比重粒子分散用溶液
本発明は、高い比重を有する粒子を、均一に分散させるための溶液に関し、本発明の高比重粒子分散用溶液には、板状膨潤粒子と、溶媒とが少なくとも含まれる。本発明における「板状膨潤粒子」とは、ケイ酸やアルミニウムの酸化物等からなる薄い層が積み重なった構造を有し、層どうしの間に陽イオン(以下、「層間陽イオン」とも称する)を有する粒子である。板状膨潤粒子の層間陽イオンは、一般的に金属イオンであるが、本発明の高比重粒子分散用溶液に含まれる板状膨潤粒子の層間陽イオンは、特定の構造を有するアンモニウム系イオンである。
前述のように、従来、高比重粒子を含む溶液(以下、「高比重粒子含有液」とも称する)中の高比重粒子の分散安定性を高めるため、板状膨潤粒子を添加することが検討されてきた。高比重粒子含有液に板状膨潤粒子が含まれると、板状膨潤粒子の膨潤によって高比重粒子含有液の粘度が高まり、高比重粒子の沈降が抑制される。しかしながら、板状膨潤粒子の層間陽イオンが金属イオンであると、金属イオンがマイグレートしやすかった。その結果、当該高比重粒子含有液から得られる層を含む装置において、金属イオンに起因する電流のリークが生じやすかった。
一方、板状膨潤粒子の層間陽イオンが有機基を含む場合(特に、層間イオン中の炭素の合計数が50以上)、高比重粒子含有液から得られる層が経時で変色しやすく、さらに当該層を含む装置でも、電流のリークが生じやすかった。従来公知の親油性の板状膨潤粒子の層間陽イオンには、比較的多くの炭素原子が含まれる。そして、当該炭素原子を含む基(例えば、アルキル基等)は熱や光によって分解されやすい。したがって、これらの分解によって生じた遊離物が変色の原因となったり、当該遊離物がキャリアとなって、電流のリークを誘発すると推察される。
これに対し、本発明では、板状膨潤粒子の層間陽イオンが特定のアンモニウム系イオンであり、層間陽イオンが含む炭素の数は45以下である。したがって、板状膨潤粒子の層間陽イオンが、熱や光によって分解され難く、高比重粒子分散用溶液から得られる層に着色が生じ難い。また当該層を含む装置において、電流のリークも生じ難い。また、当該板状膨潤粒子を含む高比重粒子分散用溶液によれば、高比重粒子を沈降させることなく、安定して分散させることが可能である。したがって、本発明の高比重粒子分散用溶液は、金属粒子や蛍光体粒子等、各種高比重粒子を分散させるための溶液として、非常に有用である。
1−1.板状膨潤粒子
本発明の高比重粒子分散用溶液に含まれる板状膨潤粒子は、層間陽イオンが、特定のアンモニウム系イオンであり、かつ溶媒中で膨潤して高比重粒子分散用溶液の粘度を高めることが可能な粒子であれば特に制限されない。板状膨潤粒子は、例えば、層状の結晶構造を有する層状粘土鉱物の層間陽イオンを特定のアンモニウム系イオンに置換した粒子等でありうる。
層状粘土鉱物は、一般的に1:1型粘土鉱物と、2:1型粘土鉱物とに分類される。1:1型粘土鉱物は、ケイ酸からなる単位結晶層(4面体の層)と、アルミニウムからなる単位結晶層等(8面体の層)とが1:1で結合した層を有する。一方、2:1型粘土鉱物は、ケイ酸からなる2つの単位結晶層(4面体の層)の間に、アルミニウム、酸化マグネシウム、または鉄を含む単位結晶層(8面体の層)等が挟み込まれた層を有する。
このような層状粘土鉱物では、単位結晶層の一部が同型置換されている(例えば、ケイ酸からなる層のケイ素がAlやFe(III)と置換されたり、アルミニウムからなる層の一部がSiやFeと置換されたり、酸化マグネシウムからなる層のMgがLiと置換されている)ことが一般的であり、各層が負の電荷を帯びている。そして、これらの層の間に、各種陽イオン(層間陽イオン)が吸着されている。
ここで、一般的な層状粘土鉱物では、上記層間陽イオンが、Na、K、Ca2+、Mg2+、Al2+などの金属イオンからなるが、本発明の高比重粒子分散用溶液に含まれる板状膨潤粒子では、層間陽イオンが後述のアンモニウム系イオンに置換されている。
なお、層状粘土鉱物の陽イオンの金属イオンからアンモニウム系イオン等への置換容易性は、塩基置換能あるいは陽イオン交換能と称される。層状粘土鉱物の陽イオン交換能は、一般に、層状粘土鉱物の種類によって異なり、比表面積が大きい層状粘土鉱物ほど、陽イオン交換能は高くなる。
またさらに、層状粘土鉱物の負電荷が結晶層表面に局在しているより、結晶層表面に広く分布している方が陽イオン交換能は高くなる。すなわち、2:1型粘土鉱物では、2つのケイ酸からなる4面体の層に挟まれたAl−O、Mg−O等の8面体の層に、同型置換がある場合に陽イオン交換能が最も高くなる。2:1型粘土鉱物の8面体の層が同型置換された場合、陰電荷と交換性陽イオンとの距離が適度に離れ、静電相互作用が比較的弱くなる。したがって、当該粘土鉱物では、陽イオンを交換しやすい外圏錯体が形成される。これに対し、2:1型粘土鉱物であっても、最外層であるケイ酸からなる4面体の層に同型置換がある場合には、陰電荷の発現が局地的である。そして、同型置換による陰電荷と交換性陽イオンとの距離が近いため、静電相互作用が強い。したがって、当該層状粘土鉱物では、陽イオンを交換し難い内圏錯体が形成されて、陽イオン交換能が低くなる。
一方、1:1型粘土鉱物では、ケイ酸からなる4面体の層及び8面体の層が、それぞれ最外層であるため、同型置換部位において陰電荷の発現が局地的となる。また、陰電荷と交換性陽イオンとの距離が近いため、静電相互作用が強い。したがって、陽イオン交換し難い内圏錯体が形成されて、陽イオン交換能が低い傾向にある。
したがって、本発明の高比重粒子分散用溶液に含まれる板状膨潤粒子は、前述の1:1型の層状粘土鉱物、2:1型の層状粘土鉱物のいずれの構造を有するものでもありうるが、2:1型の層状粘土鉱物の層間陽イオンを置換したものであることが好ましい。
具体的な1:1型層状粘土鉱物の例には、天然または合成の鉱物が含まれ、カオリナイト、ハロサイト等が挙げられる。具体的な2:1型層状粘土鉱物の例には、天然または合成の鉱物が含まれ、天然ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト、ハイデライト、モンモリロナイト、ノントライト、ベントナイト、ラポナイト等のスメクタイト族粘土鉱物;Na型テトラシリシックフッ素雲母、Li型テトラシリシックフッ素雲母、Na型フッ素テニオライト、Li型フッ素テニオライト等の膨潤性雲母族粘土鉱物;白雲母、金雲母、フッ素金雲母、絹雲母、カリウム四ケイ素雲母等の非膨潤性雲母族粘土鉱物;およびバーミキュラライト等が含まれる。
また、2:1型層状粘土鉱物は、8面体の層で同型置換があるスメクタイト族およびバーミキュライトが好ましく、特にスメクタイト族であることが好ましい。スメクタイト族は、他の層状粘土鉱物に対して単位結晶層の荷電の力が比較的弱く、陽イオン交換能が高い。また、スメクタイト族は、透明性が高く、高比重粒子分散用溶液から得られる層が着色し難いとの観点からも好ましい。また特に、合成のスメクタイト族は、不純物が少なく、透明性に優れる。
ここで、本発明の高比重粒子分散用溶液に含まれる板状膨潤粒子の層間陽イオンは、下記一般式(1)で表される構造を有するアンモニウム系イオンである。
Figure 2017011130
上記式(1)において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子の数が1〜45のアルキル基、炭素原子の数が1〜45のポリ(オキシアルキレン)含有基、または炭素原子の数が1〜45のヒドロキシ基含有アルキル基であり、かつR〜Rが含む炭素の数の合計が0〜45である。R〜Rが含む炭素の数の合計は、より好ましくは0〜30である。R〜Rに含まれる炭素原子の数が少ないほうが、耐熱性の観点から好ましい。したがって、板状膨潤粒子の層間陽イオンのR〜Rがいずれも水素原子である、つまりアンモニウムイオンであることが特に好ましい。
〜Rでありうるアルキル基の炭素原子の数は、より好ましくは1〜30であり、さらに好ましくは1〜10である。当該アルキル基は、直鎖状、分岐状、環状いずれの構造を有していてもよい。アルキル基の例には、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が含まれる。アルキル基は、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基である。
〜Rでありうるポリ(オキシアルキレン)含有基は、ポリ(オキシアルキレン)基を含む基であれば特に制限されない。当該ポリ(オキシアルキレン)含有基の炭素原子の数は、より好ましくは1〜30であり、さらに好ましくは1〜10である。当該ポリ(オキシアルキレン)含有基は、例えば一般式(C2m−O)−Rで表される基でありうる。mは1〜45の整数であり、Rは水素原子またはアルキル基である。また、kは1〜45である。ただし、上記基に含まれる炭素原子の総数は、45以下である。ポリ(オキシアルキレン)含有基の例には、例えば(CH−CH−O)−Hで表されるポリエチレンオキシ基、(CH−CH−CH−O)−Hで表されるポリプロピレンオキシ基等が含まれる。nは、好ましくは1〜22であり、好ましくは1〜15である。一方、pは好ましくは1〜15であり、より好ましくは1〜10である。
さらに、R〜Rでありうるヒドロキシ基含有アルキル基の炭素原子の数は、より好ましくは1〜30であり、さらに好ましくは1〜10である。当該ヒドロキシ基含有アルキル基は、アルキル基に、ヒドロキシル基が少なくとも1つ結合した構造を有する。ヒドロキシ基含有アルキル基ヒドロキシ基含有アルキル基が含むアルキルは、直鎖状、分岐状、環状のいずれの構造を有していてもよい。ヒドロキシ基含有アルキル基は、例えば、第一級、第二級、第三級のアルコール由来の基でありうる。ヒドロキシ基含有アルキル基の例には、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシ−n−プロピル基、2−ヒドロキシ−n−プロピル基、3−ヒドロキシ−n−プロピル基、1−ヒドロキシイソプロピル基、2−ヒドロキシイソプロピル基、1−ヒドロキシ−n−ブチル基、2−ヒドロキシ−n−ブチル基、3−ヒドロキシ−n−ブチル基、4−ヒドロキシ−n−ブチル基等が含まれる。
上記一般式(1)で表されるアンモニウム系イオンを層間陽イオンとして含む板状膨潤粒子は、例えば、上述の層状粘土鉱物粒子と、上記アンモニウム系イオンの塩とを反応させることで得られる。具体的には、層間陽イオンが金属イオンである層状粘土鉱物と、上記アンモニウム系イオンの塩とを、水に分散もしくは溶解させる。そして、当該混合液を十分に振とうさせてから、遠心分離によって上澄みを除去する。得られた層状粘土鉱物について、繰り返しこの工程を行う。当該工程により層間陽イオンが金属イオンからアンモニウム系イオンに置換される。なお、元来、層状粘土鉱物に含まれていた金属陽イオン(層間陽イオン)、及び陽イオン源に含まれていたカウンター陰イオンは、水と共に除去される。
アンモニウム系イオンの塩におけるカウンター陰イオンは特に制限されず、例えばCl、Br、NO 、OH、CHCOO等でありうる。
アンモニウム系イオンの塩の例には、塩化アンモニウム、メチルアンモニウムクロリド、ポリオキシプロピレン・トリアルキルアンモニウムクロリド、ポリオキシプロピレン・トリアルキルアンモニウムブロミド、ジ(ポリオキシプロピレン)・ジアルキルアンモニウムクロリド、ジ(ポリオキシプロピレン)・ジアルキルアンモニウムブロミド、トリ(ポリオキシプロピレン)・アルキルアンモニウムクロリド、トリ(ポリオキシプロピレン)・アルキルアンモニウムブロミド等が含まれる。
ここで、本発明の高比重粒子分散用溶液全量に対して、板状膨潤粒子は0.5〜20質量%含まれることが好ましく、より好ましくは0.5〜10.0質量%であり、さらに好ましくは0.5〜2.0質量%である。板状膨潤粒子の量が、0.5質量%以上であると、板状膨潤粒子によって、高比重粒子分散用溶液の粘度が十分に高まりやすい。その結果、高比重粒子分散用溶液に高比重粒子を分散させた際、高比重粒子の分散安定性が高まりやすい。一方、板状膨潤粒子の量が20質量%以下であると、高比重粒子分散用溶液の粘度が過度に高まり難く、高比重粒子分散用溶液の流動性を十分に維持することができる。
また、板状膨潤粒子の形状は特に制限されないが、平均粒子径は0.3〜15.0μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜7.0μmであり、さらに好ましくは1.0〜5.0μmである。平均粒子径は、コールターカウンター法により測定される。板状膨潤粒子の平均粒子径が15.0μm以下であると、高比重粒子分散用溶液を各種用途に用いた際に、着色や光の透過率低下が生じ難い。一方、板状膨潤粒子の平均粒径が0.3μm以上であると、高比重粒子分散用溶液の粘度が、板状膨潤粒子によって高まりやすくなる。
1−2.溶媒
高比重粒子分散用溶液に含まれる溶媒は、板状膨潤粒子を均一に分散させることが可能であれば特に制限されず、水または有機溶媒のいずれでもありうる。有機溶媒の例には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどの1価のアルコールや、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等の2価以上の多価アルコールが含まれる。高比重粒子分散用溶液には、溶媒が一種のみ含まれてもよく、二種以上含まれてもよい。
ここで、溶媒には、多価アルコールが含まれることが特に好ましい。高比重粒子分散用溶液中に多価アルコールが含まれると、高比重粒子分散用溶液の粘度が適度に高まりやすく、高比重粒子を分散させた際の分散安定性が高まりやすい。また、高比重粒子分散用溶液に後述の無機酸化物粒子が含まれる場合、溶媒に多価アルコールが含まれると、当該無機酸化物粒子の親和性が高まりやすい。
また、溶媒が有機溶媒である場合に、当該有機溶媒の一分子中に含まれる炭素原子の数は、1〜11であることが好ましく、より好ましくは2〜8である。有機溶媒の一分子中に含まれる炭素原子の数が、上記範囲であると前述の板状膨潤粒子や、後述の無機酸化物粒子との親和性が高まりやすい。
なお、有機溶媒の沸点は150℃以上であることが好ましく、250℃以下であることが好ましい。有機溶媒の沸点が150℃以上であると、高比重粒子分散用溶液の保存安定性が高まる。一方、有機溶媒の沸点が250℃以下であると、高比重粒子分散用溶液や、高比重粒子分散用溶液に高比重粒子を分散させた高比重粒子含有液を用いて各種層を形成する際に、溶媒を効率よく乾燥させることができる。
溶媒は、高比重粒子分散用溶液全量に対して、1〜99質量%含まれることが好ましく、より好ましくは50〜95質量%であり、さらに好ましくは70〜90質量%である。溶媒の量が上記範囲であると、高比重粒子分散用溶液の濃度を所望の範囲に収めることができる。
1−3.無機酸化物粒子
本発明の高比重粒子分散用溶液には、必要に応じて、無機酸化物粒子が含まれてもよい。高比重粒子分散用溶液に無機酸化物粒子が含まれると、高比重粒子分散用溶液の粘度が高まりやすく、高比重粒子分散用溶液に高比重粒子を分散させた際の分散安定性が高まりやすい。
無機酸化物粒子の例には、SiO、Al、ZnO、TiO、ZrO等が含まれる。高比重粒子分散用溶液には、無機酸化物粒子が、1種のみ含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。
また、無機酸化物粒子の平均粒子径は、前述の溶媒に均一に分散可能な粒子径であれば特に制限されないが、0.1〜10.0μmであることが好ましく、より好ましくは3.0〜7.0μmであり、さらに好ましくは4.0〜6.0μmである。平均粒子径は、コールターカウンター法により測定される。無機酸化物粒子の平均粒子径が10.0μm以下であると、無機酸化物粒子を前述の溶媒に分散させやすくなる。またさらに高比重粒子分散用溶液を各種用途に用いた際、無機酸化物粒子由来の着色や光の透過率低下が生じ難い。一方、無機酸化物粒子の平均粒径が0.1μm以上であると、高比重粒子分散用溶液の粘度が、無機酸化物によって高まりやすくなる。
なお、無機酸化物粒子は、表面処理されておらず、表面に多数の−OH基を有するものであってもよい。一方、無機酸化物粒子は疎水化処理されていてもよい。表面処理方法は特に制限されないが、例えば表面に炭素の数が1〜45の炭化水素基を有することが好ましく、より好ましくは1〜30であり、さらに好ましくは1〜15である。無機酸化物粒子の表面に炭化水素基が含まれると、高比重粒子分散用溶液において、無機酸化物粒子と溶媒との親和性、特に多価アルコール等とのが高まりやすい。具体的には、無機酸化物粒子表面に存在するOH基と多価アルコールのOH基とが親和する。一方で、無機酸化物粒子表面の炭化水素基と、多価アルコールのアルキレン基等とが親和する。したがって、高比重粒子分散用溶液の粘度が十分に高まりやすくなり、高比重粒子を分散させた際の分散安定性が高まりやすくなる。
ここで、無機酸化物粒子の表面に、炭素の数が1〜45の炭化水素基を導入する方法は特に制限されない。例えば、モノメチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、モノエチルトリメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン化合物、もしくはヘキサメチルジシラザン等の疎水性化合物にて、無機酸化物を処理する方法でありうる。
以下に、上記疎水性化合物により、無機酸化物粒子の表面を疎水化処理する方法の一例を示すが、無機酸化物粒子の表面処理方法は、当該方法に限定されるものではない。まず、無機酸化物粒子に疎水性化合物を塗布する。疎水性化合物の塗布方法は特に制限されないが、スプレー法で塗布すると、無機酸化物粒子表面に疎水性化合物が均一に付着しやすくなる。また、疎水性化合物の塗布時には、水やアルコールも併せてスプレー塗布することが好ましい。水やアルコールによって、上記疎水性化合物が加水分解されて、無機酸化物粒子表面の−OH基と反応しやすくなる。その後、疎水性化合物が表面に付着した無機酸化物粒子を、不活性ガス雰囲気下で加熱する。加熱温度は特に制限されないが、通常150〜250℃程度とすることができる。加熱により、疎水性化合物の加水分解物と無機微粒子表面の−OH基とが縮合反応し、無機酸化物粒子表面に疎水性の基が導入される。
なお、上記疎水性化合物による疎水化処理の前に、必要に応じて、無機酸化物粒子表面に、非反応性シリコーンオイルを塗布してもよい。無機酸化物粒子表面にシリコーンオイルを塗布すると、無機酸化物粒子の疎水性がさらに高まりやすくなる。
ここで、高比重粒子分散用溶液に含まれる無機酸化物粒子の量は、0.5〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜15質量%であり、さらに好ましくは0.5〜10質量%である。無機酸化物粒子の量が20質量%以下であると、相対的に板状膨潤粒子や溶媒の量が多くなり、高比重粒子分散用溶液の安定性が高まりやすい。また、無機酸化物粒子の量が20質量%以下であると、高比重粒子分散用溶液を各種用途に用いた際に、無機酸化物粒子由来の着色や光の透過率低下が生じ難い。一方、無機酸化物粒子の量が0.5質量%以上であると、高比重粒子分散用溶液の粘度が十分に高まりやすく、高比重粒子を分散させた際に、高比重粒子の沈降が生じ難くなる。
1−4.高比重粒子分散用溶液の物性
高比重粒子分散用溶液の粘度は、10〜1000Pa・sであることが好ましく、より好ましくは30〜600Pa・sであり、さらに好ましくは50〜300Pa・sである。高比重粒子分散用溶液の粘度が上記範囲であると、高比重粒子を分散させた際に、高比重粒子が沈降し難くなる。高比重粒子分散用溶液の粘度は、溶媒の量、板状膨潤粒子の量、無機酸化物粒子の量等によって、調整可能である。
1−5.高比重粒子分散用溶液の調製方法
上述の高比重粒子分散用溶液の調製方法は特に制限されない。例えば、溶媒や板状膨潤粒子、無機酸化物粒子等を一度に混合してこれらを分散させる方法であってもよい。また、溶媒に板状膨潤粒子または無機酸化物粒子のうちいずれか一方を混合し、他方を後から混合する方法であってもよい。
上記板状膨潤粒子や無機酸化物粒子の溶媒への分散は、撹拌ミル、ブレード混練撹拌装置、薄膜旋回型分散機、高圧衝撃式分散装置、自転公転ミキサー等で行うことができる。
上記装置の具体例には、公知のウルトラタラックス(IKAジャパン社製)、TKホモミクサー(プライミクス社製)、TKパイプラインホモミクサー(プライミクス社製)、TKフィルミックス(プライミクス社製)、クレアミックス(エム・テクニック社製)、クレアSS5(エム・テクニック社製)、キャビトロン(ユーロテック社製)、ファインフローミル(太平洋機工社製)のようなメディアレス撹拌機、ビスコミル(アイメックス製)、アペックスミル(寿工業社製)、スターミル(アシザワ、ファインテック社製)、DMPA・Sスーパーフロー(日本アイリッヒ社製)、エムピーミル(井上製作所社製)、スパイクミル(井上製作所社製)、マイティーミル(井上製作所社製)、SCミル(三井鉱山社製)などのメディア攪拌機等やアルティマイザー(スギノマシン社製)、ナノマイザー(吉田機械社製)、NANO3000(美粒社製)などの高圧衝撃式分散装置等が含まれる。また、あわとり練太郎(シンキー社製)などの自転公転式ミキサーや超音波分散装置も高比重粒子分散用溶液の調製に好適である。
1−6.用途
本発明の高比重粒子分散用溶液は、高比重粒子を添加したときに、高比重粒子が沈降し難い。したがって、種々の高比重粒子を分散させる溶液として、好適である。高比重粒子分散用溶液の使用方法は特に制限されず、例えば高比重粒子分散用溶液に高比重粒子(例えば顔料、蛍光体粒子、金属粒子等)を分散させた後、当該分散液をそのままインクや蛍光体分散液、研磨用スラリー、金属配線形成用組成物等として使用してもよい。一方、高比重粒子分散用溶液に高比重粒子を分散させた後、当該分散液を、樹脂やセラミック前駆体等とさらに混合して、各種用途に用いてもよい。
高比重粒子分散用溶液に高比重粒子を分散させる方法は特に制限されず、例えば、撹拌ミル、ブレード混練撹拌装置、薄膜旋回型分散機、高圧衝撃式分散装置、自転公転ミキサー等で行うことができる。
また、高比重粒子分散用溶液に分散させる高比重粒子の種類は特に制限されず、顔料、蛍光体粒子、金属粒子等、各種粒子でありうるが、好ましくは比重が1.5〜11の粒子である。
また、高比重粒子の平均粒子径は特に制限されないが、0.01〜100μm程度の粒子であることが好ましく、より好ましくは5〜50μmである。高比重粒子の平均粒子径が上記範囲であると、高比重粒子分散用溶液によって、高比重粒子を均一に分散させることができる。平均粒子径は、コールターカウンター法により測定される。
さらに、高比重粒子分散用溶液100質量部に対して、添加する高比重粒子の量は70質量部以下であることが好ましく、より好ましくは50質量部以下である。高比重粒子の量が過剰であると、高比重粒子分散用溶液によって、全ての高比重粒子を均一に分散させることが難しいことがあるが、50質量部以下であれば、均一に分散させることができる。
2.発光装置
前述の高比重粒子分散用溶液は、本発明の発光装置の波長変換層を形成するための蛍光体分散液等にも適用することができる。本発明の発光装置の一例を図1及び図2に示す。本発明の発光装置100には、基板1と、当該基板1上に配置された発光素子2と、当該発光素子2を覆う波長変換層3とが含まれる。なお、波長変換層3は、発光素子2から出射する特定の波長の光を、他の波長の光に変換可能であれば、その形成位置は特に制限されない。例えば図1に示されるように、発光素子2と接するように形成されていてもよい。一方、図2に示されるように、発光素子2と間隙をあけて形成されていてもよい。図2の発光装置100では、波長変換層3は、発光素子2と対向する封止基板4の一方の面に形成されている。
ここで、本発明の発光装置100の波長変換層3には、蛍光体粒子と、板状膨潤粒子とが含まれ、当該板状膨潤粒子の層間陽イオンは、前述の一般式(1)で表されるアンモニウム系イオンである。
前述のように、従来の板状膨潤粒子を含む波長変換層では、板状膨潤粒子の層間陽イオンの分解等に起因して、波長変換層が経時で変色したり、当該波長変換層を含む発光装置において、電流のリークが生じやすい、との課題があった。これに対し、本発明の発光装置では、波長変換層に含まれる板状膨潤粒子の層間陽イオンが、特定のアンモニウム系イオンであり、層間陽イオンが含む炭素の数は45以下である。したがって、板状膨潤粒子の層間陽イオンが、熱や光によって分解され難く、波長変換層に変色が生じ難い。また、層間陽イオンの分解物等が発生し難いため、発光装置内で電流のリークが生じ難い。また、特定の板状膨潤粒子が波長変換層に含まれるため、波長変換層の強度が高まる、との効果も得られる。さらに上記板状膨潤粒子は、有機溶媒との親和性が高く、波長変換層内に板状粒子が均一に配置される。そして、波長変換層において、板状膨潤粒子の板状の層が平行に並びやすい。したがって、本発明の発光装置では、波長変換層のガスバリア性や耐湿性が高く、発光装置に含まれる電極や金属ワイヤ等の硫化や酸化、またこれに伴う変色が抑制される。
ここで、本発明の発光装置に含まれる発光素子の種類は、特に制限されず、半導体レーザー素子や、発光ダイオード(LED)素子等でありうる。以下、本発明の発光装置について、図1及び図2に示す装置(発光素子2がLED素子である場合)を例に説明をするが、本発明の発光装置100は発光素子2がLED素子である装置に限定されない。
2−1.基板
基板1は、LED素子2を支持するための部材である。図1及び図2に示されるように、基板1には、通常、金属からなる電極11が形成されている。当該電極11は、基板1の外部に配置される電源(図示せず)から、LED素子2に電気を供給する機能を有する。また、電極11は、LED素子2が発する光を、発光装置100の光取り出し面側に反射する反射板として機能することもある。電極11の形状は特に制限されず、発光装置100の種類や用途等に合わせて適宜選択される。
基板1は、平板状であってもよく、図1や図2に示されるようにキャビティ(凹部)を有してもよい。基板1がキャビティを有する場合、キャビティの形状は特に制限されない。例えば円錐台状であってもよく、角錐台状や、円柱状、角柱状等であってもよい。
基板1は、絶縁性及び耐熱性を有することが好ましく、セラミック樹脂や耐熱性樹脂からなることが好ましい。耐熱性樹脂の例には、液晶ポリマー、ポリフェニレンスルフィド、芳香族ナイロン、エポキシ樹脂、硬質シリコーンレジン、ポリフタル酸アミド等が含まれる。
また、基板1には、無機フィラーが含まれていてもよい。無機フィラーは、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、チタン酸バリウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、タルク、炭酸マグネシウム、窒化ホウ素、グラスファイバー等でありうる。
電極11を有する基板1の作製方法は特に制限されず、一般的には、所望の形状のリードフレームと、樹脂とを一体成型して得られる。
2−2.LED素子
LED素子2は、基板1に形成された電極11と電気的に接続されて、特定の波長の光を発する素子である。LED素子2が出射する光の波長は特に制限されない。LED素子2は、例えば青色光(420nm〜485nm程度の光)を発する素子であってもよく、紫外光を発する素子であってもよい。またさらに、緑色光や赤色光等を発する素子であってもよい。
LED素子2の構成は、特に制限されない。LED素子2が、青色光を発する素子である場合、LED素子2は、n−GaN系化合物半導体層(クラッド層)と、InGaN系化合物半導体層(発光層)と、p−GaN系化合物半導体層(クラッド層)と、透明電極層との積層体等でありうる。
また、LED素子2の形状は特に制限されず、例えば200〜300μm×200〜300μmの発光面を有するものでありうる。またLED素子2の高さは、通常50〜200μm程度である。LED素子2は、上面だけでなく、側面や底面からも光が取り出されるものであってもよい。なお、図1に示される発光装置100には、基板1に1つのLED素子2のみが配置されているが、基板1に複数のLED素子2が配置されてもよい。
LED素子2と前述の電極11との接続方法は特に制限されない。例えばLED素子2と電極11とが、図1に示されるように、金属ワイヤ12を介して接続されてもよい。また、LED素子2と電極11とが、突起電極(図示せず)を介して接続されてもよい。LED素子2と電極11とが、金属ワイヤ12を介して接続される態様をワイヤボンディング型という。一方、LED素子2と電極11とが突起電極を介して接続される態様をフリップチップボンディング型という。
フリップチップボンディング型の発光装置100では、LED素子2と基板1との隙間にアンダーフィル材(図示せず)が充填されてもよい。アンダーフィル材は、シリコーン樹脂や、エポキシ樹脂等からなる部材でありうる。
2−3.波長変換層
波長変換層3は、LED素子2が出射した特定波長の光を、他の特定波長の光に変換する層であり、蛍光体粒子と板状膨潤粒子とが少なくとも含まれる。波長変換層3は、前述のように、LED素子2と接するように形成されていてもよく、LED素子2と間隙をおいて形成されていてもよい。また、図1に示されるように、波長変換層3は、LED素子2や電極11だけでなく、LED素子2が配置された側の基板1を全て被覆する層であってもよい。本発明では、板状膨潤粒子の層間陽イオンから、金属イオンや分解物等が導出され難いため、波長変換層2が電極11等と接していても、発光装置に電流のリークが生じ難い。
また、波長変換層3には、必要に応じて、上記蛍光体粒子や板状膨潤粒子を結着するためのバインダ等が含まれていてもよい。なお、波長変換層3に含まれる板状膨潤粒子については、前述の高比重粒子分散用溶液に含まれる板状膨潤粒子と同様である。
一方、波長変換層3に含まれる蛍光体粒子は、LED素子2から出射する光により励起されて、LED素子2からの出射光と異なる波長の蛍光を発するものであればよい。例えば、黄色の蛍光を発する蛍光体粒子の例には、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)蛍光体等がある。YAG蛍光体は、青色LED素子から出射される青色光(波長420nm〜485nm)を受けて、黄色の蛍光(波長550nm〜650nm)を発する。
蛍光体粒子は、例えば1)所定の組成を有する混合原料に、フラックス(フッ化アンモニウム等のフッ化物)を適量混合して加圧し、これを成形体とする。2)得られた成形体を坩堝に詰め、空気中で1350〜1450℃の温度範囲で、2〜5時間焼成し、焼結体とすることで得られる。
所定の組成を有する混合原料は、Y、Gd、Ce、Sm、Al、La、Ga等の酸化物、または高温で容易に酸化物となる化合物を、化学量論比で十分に混合して得られる。また、所定の組成を有する混合原料は、1)Y、Gd、Ce、Smの希土類元素を化学両論比で酸に溶解した溶液と、シュウ酸とを混合し、共沈酸化物を得る。2)この共沈酸化物と、酸化アルミニウム、または酸化ガリウムとを混合しても得られる。
蛍光体の種類は、YAG蛍光体に限定されるものではなく、例えばCeを含まない非ガーネット系蛍光体等、他の蛍光体であってもよい。
蛍光体粒子の平均粒径は1μm〜50μmであることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。蛍光体粒子の粒径が大きいほど発光効率(波長変換効率)が高くなる。一方、蛍光体粒子の粒径が大きすぎると、蛍光体粒子どうしの間に生じる隙間が大きくなる。これにより、波長変換層3の強度が低下しやすい。蛍光体粒子の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布計で測定されるD50の値(メディアン径)をいう。レーザー回折式粒度分布測定装置の例には、島津製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置等がある。波長変換層3中に含まれる蛍光体粒子の量は、波長変換層3の全質量に対して、通常5〜15質量%である。
また、波長変換層3に含まれうるバインダは、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の透明樹脂や、公知のアルコキシシランモノマーまたはそのオリゴマー等の硬化物からなる透光性セラミックでありうる。
また、図2に示されるように、波長変換層3が、対向基板4と積層されている場合の対向基板4は、可視光に対して透明な基板であれば特に制限されず、ガラス基板や、樹脂製の透明基板でありうる。当該基板の厚みは、通常700〜2000μmであり、好ましくは800〜1200μmである。なお、対向基板4と波長変換層3とが積層された態様では、蛍光体粒子及び板状膨潤粒子を対向基板4と結着するとの観点から、波長変換層3に上記バインダが含まれることが好ましい。また、図2では、波長変換層3が、対向基板4よりLED素子2側に形成されているが、対向基板4が波長変換層3よりLED素子側となるように、波長変換層3が積層されてもよい。
ここで、いずれの態様においても、波長変換層3の厚みは、100μm以上3000μm以下であり、好ましくは200μm以上2800μm以下であり、さらに好ましくは500μm以上2500μm以下である。波長変換層3の厚みが100μm以上であると、発光素子2からの光を十分に変換することが可能となる。
波長変換層3の形成方法は特に制限されず、波長変換層3に含まれる成分や、波長変換層3を形成する部材等に応じて適宜選択される。波長変換層3の形成方法の例を以下に示すが、これに限定されない。
前述の高比重粒子分散用溶液と蛍光体粒子とを準備し、これらを所望の比率で混合する。蛍光体の分散は、撹拌ミル、ブレード混練撹拌装置、薄膜旋回型分散機、高圧衝撃式分散装置、自転公転ミキサー等、公知の分散装置や攪拌装置で行うことができる。そして、得られた蛍光体分散液を、ディスペンサや、スプレー装置、インクジェット装置等にて、LED素子2上、もしくは対向基板4上に塗布する。その後、蛍光体分散液に含まれる溶媒を乾燥させる。
また、溶媒の乾燥後、必要に応じて、蛍光体粒子等を結着させるためのバインダやその前駆体を塗布し、硬化させてもよい。具体的には、蛍光体や板状膨潤粒子を含む層上に、バインダ成分と、溶媒とを含むバインダ形成用組成物を塗布し、これを硬化させることで、蛍光体粒子や板状膨潤粒子等を結着させることができる。バインダ成分は、前述のシリコーン樹脂やエポキシ樹脂、もしくはその前駆体、公知のアルコキシシランモノマーまたはそのオリゴマー等でありうる。アルコキシシランモノマーやオリゴマーは加水分解・重縮合されてポリシロキサンとなるものであれば特に制限されない。
また、バインダ形成用組成物に含まれる溶媒は、バインダ成分の種類に応じて適宜選択され、例えば、トルエン、キシレンなどの炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルアセテートなどのエステル類;1価のアルコール;2価以上の多価アルコール;エステル系溶媒等でありうる。
バインダ形成用組成物の塗布方法は、バインダ成分の種類等により適宜選択され、例えばディスペンサーやスプレー装置、インクジェット装置等で塗布することができる。また、バインダ形成用組成物の塗布後、必要に応じて、バインダ形成用組成物を硬化させる。バインダ形成用組成物の硬化方法や硬化条件は、樹脂の種類により適宜選択される。硬化方法の一例として、加熱硬化が挙げられる。
なお、上述の蛍光体分散液と、バインダ形成用組成物とを混合し、これらの混合物をLED素子2上や対向基板4上に塗布して、上記波長変換層を形成することも可能である。
2−4.発光装置の用途
前述の発光装置には、さらに他の光学部品(レンズなど)が設けられて各種光学部材とされてもよい。本発明の発光装置では、波長変換層の変色等が生じ難く、さらに波長変換層に含まれる板状膨潤粒子由来の電流リーク等が生じ難い。したがって、長期間に亘って使用可能であり、各種照明装置として、非常に有用である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲はこれによって何ら制限されない。
[板状膨潤粒子の調製方法]
(板状膨潤粒子1の調製)
スメクタイト(クニミネ社製、スメクトンSA)1gと、1mol/Lの塩化アンモニウム水溶液9gとを混合し、振とう機にて30分間、当該混合液を振とうさせた。続いて、遠心分離機により、5000rpmで10分間処理し、生じた上澄みを除去した。次いで1mol/Lの塩化アンモニウム水溶液9gの混合、振とう機による30分間の振とう、遠心分離機による5000rpmで10分間の処理、及び、上澄みの除去、という操作を4回繰り返して、ゲルを得た。
その後、当該ゲルに水10gを添加した。そして振とう機による30分間の振とう、遠心分離機による5000rpmでの10分間の処理、上澄みの除去、という操作を3回繰り返し、ゲルを洗浄した。当該ゲルを真空乾燥することにより、層間陽イオンがアンモニウムイオンであるスメクタイトの粉末を得た。
(板状膨潤粒子2の調製)
スメクタイト(クニミネ社製、スメクトンSA)1gと、1mol/Lのメチルアンモニウムクロリド水溶液9gとを混合し、振とう機により混合液を30分間振とうさせた。続いて、遠心分離機により5000rpmで10分間処理し、生じた上澄みを除去した。次いで、1モル/Lのメチルアンモニウムクロリド9gの混合、振とう機による30分間の振とう、遠心分離機による5000rpmで10分間の処理、及び上澄みの除去という操作を3回繰り返した。その後、固液分離後の固形分を水洗浄して副生成電解質を充分除去した。そして、真空乾燥することにより、層間がメチルアンモニウムイオンであるスメクタイトの粉末を得た。
(板状膨潤粒子3〜16、及び18〜20の調製)
上記メチルアンモニウムクロリドを、各種アンモニウム系イオンの塩に替え、スメクタイトの層間陽イオンを表1及び表2に示すアンモニウム系イオンに変更した以外は、板状膨潤粒子2と同様に調製した。なお、アルキルアンモニウム系イオンは、下記一般式(1)で表され、表1及び表2には、当該アンモニウム系イオンのR〜Rを示す。
Figure 2017011130
(板状膨潤粒子17の調製)
スメクタイトを雲母(コープケミカル社製、ミクロマイカMK−100DS)に変更し、さらにメチルアンモニウムクロリドを、(NH(CH)((CHCHCHO)H)))・Clに変更した以外は、板状膨潤粒子2と同様に調製した。
[無機酸化物粒子の調製方法]
(無機酸化物粒子1の調製)
シリカ粉末として親水性シリカのAEROSIL(登録商標)50(日本アエロジル製)を原料として用いた。このシリカ粉末100質量部を反応容器に入れ、窒素雰囲気下、攪拌により粉末を流動状態とした。そして、ヘキサメチルジシラザン及び水を5質量部ずつ噴霧し、200℃で30分間加熱処理してメチル化SiO粒子を調製した。
(無機酸化物粒子3〜7の調製)
ヘキサメチルジシラザンを、ヘキサペンチルジシラザン(無機酸化物粒子3)、ヘキサデシルジシラザン(無機酸化物粒子4)、ヘキサイコシルジシラザン(無機酸化物粒子5)、ヘキサペンタテトラコンチルジシラザン(無機酸化物粒子6)、ヘキサプロピルジシラザン(無機酸化物粒子7)にそれぞれ変更した以外は、無機酸化物粒子1と同様に親水性シリカの表面を修飾し、表1及び表2に示す無機酸化物粒子を得た。
なお、無機酸化物粒子2は、表面をアルキル基で修飾せずに、親水性シリカのAEROSIL(登録商標)50(日本アエロジル製)とした。
[実施例1]
イソプロピルアルコール(以下、「IPA」とも称する)20質量%と、1,3−ブタンジオール(以下、「BD」とも称する)80質量%とを混合して、混合溶媒を調製した。次いで、板状膨潤粒子1及び無機酸化物粒子1を、それぞれ高比重粒子分散用溶液全量に対する量が2質量%となるよう、混合溶媒に添加した。そして、これらをホモジナイザー(英弘精機社製)で10分間分散させて、実施例1の高比重粒子分散用溶液を作製した。
[実施例2〜43、及び比較例1〜5]
溶媒、板状膨潤粒子、及び無機酸化物粒子の量や種類を、表1及び表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様に高比重粒子分散用溶液を調製した。
[評価]
実施例1〜43、及び比較例1〜5で調製した高比重粒子分散用溶液100質量部に対して、表1及び表2で示す高比重粒子を50質量部添加し、ホモジナイザー(英弘精機社製)にて10分間分散させた。高比重粒子は、YAG蛍光体(イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体、比重:4.5)、TiO粒子(比重4.5)、銅粒子(三井金属社製、品番:1400YM、粒径:4.2μm、比重5.5)、または酸化アルミニウム粒子(三友化学社製:品番A−11、粒径:40μm比重3.1)とした。高比重粒子を高比重粒子分散用溶液に分散させた高比重粒子含有液を用い、以下の方法により耐熱性及び電流リークを評価した。また、沈降耐性は、以下の方法で評価した。結果を表1及び表2に示す。
(耐熱性(変色)評価)
耐熱性は、高比重粒子含有液の加熱試験後の透過率から評価した。具体的には、以下のように評価した。
高比重粒子を分散させた直後の高比重粒子含有液を、ガラス基板上に乾燥後の厚みが1μmとなるようにスプレー塗布し、乾燥させた。その後、メチルシリコーン(東レ・ダウコーニング社製、OE−6270 HF)を硬化後の厚みが20μmになるよう、スキージ塗布し、150℃で2時間焼成して硬化させた。得られた膜の透過率(A)を分光光度計(日立U4100)にて、測定した。さらに、当該膜を150℃にて2時間加熱し、加熱後の膜の透過率(B)を、分光光度計(日立U4100)にて、測定した。そして、加熱試験前の透過率(A)と、加熱試験後の透過率(B)との比((B/A)×100)を算出し、以下のように5段階で評価した。
5:B/Aが98%以上である
4:B/Aが95%以上98%未満である
3:B/Aが92%以上95%未満である
2:B/Aが90%以上92%未満である
1:B/Aが90%未満である
(電流リークの評価)
電流リークについては、得られる膜の表面抵抗値から評価した。具体的には、以下のように評価した。
高比重粒子を分散させた高比重粒子含有液50質量部と、メチルシリコーン(東レ・ダウコーニング社製:OE−6270 HF)50質量部とを混合し、ガラス基板上にスキージ塗布し、150℃で2時間焼成して硬化させた。その後、得られた膜を、恒温恒湿槽内で高湿度下(150℃、85%Rh)にて2週間保管した。
抵抗率計(ハイレスタUP MCP−HT450型、三菱アナリテック社製)を用い、高湿度下保存前の膜の表面抵抗値(A)と、高湿度下保存後の表面抵抗値(B)とを測定し、これらの比(B/A)で初期からの表面抵抗値の低下率を以下の基準で評価した。
5:B/Aが90%以上である
4:B/Aが80%以上90%未満である
3:B/Aが70%以上80%未満である
2:B/Aが60%以上70%未満である
1:B/Aが60%未満である
(沈降耐性評価)
各高比重粒子分散用溶液について、高比重粒子を分散させた際の安定性を、以下のように評価した。
まず、実施例及び比較例で調製した高比重粒子分散用溶液10gに、粒径30μmの蛍光体粒子5gを添加し、ホモジナイザー(英弘精機社製)で10分間分散させて蛍光体分散液を作製した。
得られた蛍光体分散液を直径2cm、容積5mLの円筒状のガラス瓶に投入し、25℃にて24時間静置した際の上澄みの厚みを計測し、下記の基準で評価した。
5:上澄みが出ない
4:上澄みの厚みが1mm以下である
3:上澄みの厚みが1mm以上3mm未満である
2:上澄みの厚みが3mm以上5mm未満である
1:上澄みの厚みが5mm以上である
Figure 2017011130
Figure 2017011130
上記表1及び表2に示されるように、高比重粒子分散用溶液に含まれる板状膨潤粒子の層間陽イオンが、アンモニウム系イオンであり、かつ層間陽イオンが含む炭素原子の合計数が45以下である場合(実施例1〜43)には、得られる膜において変色や電流リークが生じ難かった。また、高比重粒子(蛍光体粒子)を分散させた際に、高比重粒子(蛍光体粒子)が沈降し難かった。ただし、板状膨潤粒子の量が高比重粒子分散用溶液全量に対して20質量%を超えると、若干電流リークが生じやすくなったり、変色が生じやすかった(実施例39)。層間陽イオンが含む炭素原子の合計数が45以下であると、層間陽イオンが熱分解等され難く、遊離イオンが生じ難くなるものの、板状膨潤粒子の量が過剰になると、生じる遊離イオンの量が若干増加し、変色や電流リークが生じやすくなる傾向にあると推察される。
また、溶媒に2価以上のアルコールが含まれると、沈降耐性が良好になりやすかった(例えば、実施例1〜40、42、及び43)。一方、溶媒に1価のアルコールのみが含まれると、沈降耐性が若干低くなった(実施例41)。溶媒に2価のアルコールが含まれると、高比重粒子分散用溶液の粘度が高まりやすく、高比重粒子が沈降し難かったと推察される。
一方、板状膨潤粒子の層間陽イオンが、ナトリウムイオンである場合(比較例3及び4)には、得られる膜に変色が生じ難かったものの、電流のリークが生じやすかった。層間陽イオンがマイグレートして、金属が析出しやすかったことが要因の一つであると推察される。
また、板状膨潤粒子の層間陽イオンが、アンモニウムイオンであったとしても、層間陽イオンに含まれる炭素原子の合計数が45を超える場合(比較例1及び2)には、得られる膜に変色が生じやすく、さらに電流のリークも生じやすかった。層間陽イオンに含まれる炭素原子の数が多くなると、当該層間陽イオンが熱によって劣化しやすくなり、分解物が変色の原因になると推察される。また、層間陽イオンの劣化によって発生した成分がキャリアとなって、電流がリークしたと推察される。
なお、板状膨潤粒子に層間陽イオンが含まれない場合(比較例5)には、得られる膜に変色や電流リークが生じ難いものの、高比重粒子分散用溶液の粘度が十分に高まらないため、高比重粒子(蛍光体粒子)の沈降が生じやすかった。
[実施例44]
(LED素子の実装)
円形パッケージ(開口径3mm、底面直径2mm、壁面角度60°)の収容部の中央に、1つの青色LED素子(直方体状;200μm×300μm×100μm)を実装した。円形パッケージには、図1に示されるように、電極11が形成されており、当該電極11と青色LED素子2とをワイヤボンディングした。
(波長変換層の形成)
実施例1と同様の組成を有する高比重粒子分散用溶液を準備し、当該高比重粒子分散用溶液100質量部に対して、YAG蛍光体(イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体、比重:4.5)を50質量部添加し、ホモジナイザー(英弘精機社製)にて10分間分散させた。得られた蛍光体分散液を、前述のLED素子上にスプレー塗布した。このとき、スプレー圧は0.2MPa、スプレーノズルとLED素子との相対移動速度は55mm/sとした。その後、蛍光体分散液の塗膜を150℃で15分間乾燥させた。
(バインダ形成用組成物の塗布)
ポリシロキサンオリゴマー分散液(ポリシロキサンオリゴマー(有機ポリシロキサン)14質量%、イソプロピルアルコール86質量%;KBM13、信越化学工業株式会社製)1gと、イソプロピルアルコール0.3gとを混合して、バインダ形成用組成物とした。当該バインダ形成用組成物を上記蛍光体分散液の塗膜上にスプレー塗布し、150℃で1時間加熱・焼成した。スプレー圧は0.05MPa、スプレーノズルとLED素子との相対移動速度は150mm/sとした。当該工程により、厚み35μmの波長変換層が得られた。
[実施例45〜83、及び比較例6〜10]
高比重粒子分散用溶液を、表3及び表4に示す組成に変更した以外は、実施例44と同様にLED装置を作製した。
[評価]
得られたLED装置について、以下の方法で全光束を測定し、評価した。蛍光体含有層が変色したり、LED装置に電流リークが生じた場合には、全光束が低下する。したがって、全光束を測定することで、これらを評価できる。結果を下記表3及び4に示す。
(全光束評価方法)
作製直後のLED装置に20mAの電流を流し、初期の全光束値(A)を測定した。全光束測定は、コニカミノルタセンシング社製、分光放射輝度計CS−1000Aで行った。その後、LED装置を150℃の環境下に2時間静置し、加熱処理後の全光束値(B)を同様に測定した。そして、初期の全光束との比((B/A)×100)を算出し、以下のように5段階で評価した。
5:B/Aが95%以上である
4:B/Aが90%以上95%未満である
3:B/Aが80%以上90%未満である
2:B/Aが70%以上80%未満である
1:B/Aが70%未満である
Figure 2017011130
Figure 2017011130
上記表3及び表4に示されるように、波長変換層に含まれる板状膨潤粒子の層間陽イオンが、アンモニウム系イオンであり、かつ層間陽イオンが含む炭素原子の合計数が45以下である場合(実施例44〜83)には、全光束低下が生じ難かった。ただし、板状膨潤粒子の量が高比重粒子分散用溶液全量に対して20質量%を超えると、全光束が低下する傾向にあった(実施例81)。
一方、板状膨潤粒子の層間陽イオンが、ナトリウムイオンである場合(比較例8及び9)には、全光束低下が生じやすかった。層間陽イオンがマイグレートして、金属が析出しやすかったことが要因の一つであると推察される。
また、板状膨潤粒子の層間陽イオンが、アンモニウムイオンであったとしても、層間陽イオンに含まれる炭素原子の合計数が45を超える場合(比較例6及び7)には、全光束低下が著しかった。層間陽イオンに含まれる炭素原子の数が多くなると、当該層間陽イオンが熱によって劣化しやすくなり、分解物が変色の原因になったと推察される。また、層間陽イオンの劣化によって発生した成分がキャリアとなって、電流のリークも生じたと推察される。
なお、板状膨潤粒子に層間陽イオンが含まれない場合(比較例10)には、蛍光体分散液に沈降が生じ、均一に蛍光体粒子を含む波長変換層の形成が困難であった。
本発明の高比重粒子分散用溶液は、得られる膜に変色が生じ難く、さらに当該膜を含む装置において、電流リークが生じ難い。さらに、高比重粒子を分散させた際に、高比重粒子の沈降等が少なく、安定である。したがって、各種インクや、蛍光体層形成用の分散液、スラリー調製用の溶液として、非常に有用である。
1 基板
2 発光素子(LED素子)
3 波長変換層
4 対向基板
11 電極
12 金属ワイヤ
100 発光装置

Claims (15)

  1. 板状膨潤粒子と、溶媒とを含み、
    前記板状膨潤粒子の層間陽イオンが、下記一般式(1)で表されるアンモニウム系イオンである、高比重粒子分散用溶液。
    Figure 2017011130
    (一般式(1)におけるR〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子の数が1〜45のアルキル基、炭素原子の数が1〜45のポリ(オキシアルキレン)含有基、炭素原子の数が1〜45のヒドロキシ基含有アルキル基であり、
    〜Rが含む炭素原子の合計数は0以上45以下である)
  2. 前記一般式(1)における、R〜Rが含む炭素原子の合計数は0以上30以下である、請求項1に記載の高比重粒子分散用溶液。
  3. 前記一般式(1)における、R〜Rがいずれも水素原子である、請求項1または2に記載の高比重粒子分散用溶液。
  4. 前記高比重粒子分散用溶液全量に対する、前記板状膨潤粒子の量が、0.5質量%以上20質量%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の高比重粒子分散用溶液。
  5. 無機酸化物粒子をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の高比重粒子分散用溶液。
  6. 前記高比重粒子分散用溶液全量に対する、前記無機酸化物粒子の量が、0.5質量%以上20質量%以下である、請求項5に記載の高比重粒子分散用溶液。
  7. 前記無機酸化物粒子は、炭素原子の数が1〜45である炭化水素基で表面修飾されている、請求項5または6に記載の高比重粒子分散用溶液。
  8. 前記溶媒が、多価アルコールを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の高比重粒子分散用溶液。
  9. 蛍光体粒子と、請求項1〜8のいずれか一項に記載の高比重粒子分散用溶液と、を含む、蛍光体分散液。
  10. 基板と、前記基板上に配置された発光素子と、前記発光素子を覆う波長変換層と、を有する発光装置の製造方法であって、
    請求項9に記載の蛍光体分散液を塗布する工程を含む、発光装置の製造方法。
  11. 基板と、前記基板上に配置された発光素子と、前記発光素子を覆う波長変換層と、を有する発光装置であって、
    前記波長変換層は、蛍光体粒子及び板状膨潤粒子を含み、
    前記板状膨潤粒子の層間陽イオンが、下記一般式(1)で表されるアンモニウム系イオンである、発光装置。
    Figure 2017011130
    (一般式(1)におけるR〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子の数が1〜45のアルキル基、炭素原子の数が1〜45のポリ(オキシアルキレン)含有基、炭素原子の数が1〜45のヒドロキシ基含有アルキル基であり、
    〜Rが含む炭素原子の合計数は0以上45以下である)
  12. 前記一般式(1)における、R〜Rが含む炭素原子の合計数は0以上30以下である、請求項11に記載の発光装置。
  13. 前記一般式(1)における、R〜Rがいずれも水素原子である、請求項11または12に記載の発光装置。
  14. 前記波長変換層が、無機酸化物粒子をさらに含む、請求項11〜13のいずれか一項に記載の発光装置。
  15. 前記無機酸化物粒子が、炭素原子の数が1〜45である炭化水素基で表面修飾されている、請求項14に記載の発光装置。
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