JP2017012117A - 3−ヒドロキシ酪酸又はその塩の好気的生産方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便で効率的な3−ヒドロキシ酪酸又はその塩の製造方法を提供すること。【解決手段】 ハロモナス・コーリエンシス(Halomonas koreensis)、ハロモナス・サリフォディナエ(Halomonas salifodinae)、ハロモナス・ハロフィラ(Halomonas halophila)、ハロモナス・パシフィカ(Halomonas pacifica)及びハロモナス・エスピー(Halomonas sp.)OITC1261株よりなる群から選ばれるハロモナス属に属する微生物を栄養培地中で好気的に培養して得られる培養液から3−ヒドロキシ酪酸又はその塩を回収することを特徴とする3−ヒドロキシ酪酸又はその塩の製造方法。【選択図】図5

Description

本発明は3−ヒドロキシ酪酸又はその塩の製造方法に関し、さらに詳細には、特定のハロモナス属に属する微生物を用いた簡便で効率良く3−ヒドロキシ酪酸又はその塩を高収量で得られる製造方法に関する。
3−ヒドロキシ酪酸はバイオプラスチックや医薬品等の原料となる物質であり、またポリヒドロキシアルカノエートは、生分解性のプラスチックとして利用可能な物質で、3−ヒドロキシ酪酸の原料とすることもできる。そのため、これらの物質を効率的に生産し得る方法の確立が期待されている。
3−ヒドロキシ酪酸及びポリヒドロキシアルカノエートは微生物による発酵生産が可能であり、いくつかの生産方法が検討されている。例えば、遺伝子組み換え大腸菌(特許文献1)や紫外線変異株カプリアビダス・ネカトー(Cupriavidus necator Cn31)(非特許文献1)を用いて3−ヒドロキシ酪酸を産生させる方法が報告されている。
またこのような遺伝子操作技術によることなく、種々の微生物を用いて3−ヒドロキシ酪酸を製造する方法も検討されている。例えば、アルカリゲネス属やラルストニア属等の微生物を培養した後、微生物を分解溶液と接触させて、菌体内に蓄積されたポリヒドロキシアルカノエートを自家分解させる方法(特許文献2)や、シュードモナス属などの微生物を培養した後、その培養液から菌体を分離してホウ酸緩衝液などに懸濁し、これをさらに好気的条件でインキュベートする方法(特許文献3)、ハロモナス属微生物を好気培養し、次いで微好気培養に変更して培養する方法(特許文献4)などが開示されている。
しかし、これらの方法はいずれも微生物を好気培養し、菌体内にポリヒドロキシアルカノエートを蓄積させた後、これを3−ヒドロキシ酪酸に変換するための処理が必要で工程が複雑になる上、3−ヒドロキシ酪酸の生産量が菌体内のポリヒドロキシアルカノエートの蓄積量に制限されるため、工業的生産に適したものとはいえなかった。また上述のとおり、ポリヒドロキシアルカノエート自体、生分解性プラスチックとして利用可能で有用性の高い物質であるが、上記方法はいずれも菌体内に蓄積したポリヒドロキシアルカノエートを原料として3−ヒドロキシ酪酸に変換するものであるため、実質的に両者の同時生産は困難であるのが実情であった。
特表2005−516592号公報 特許第3579352号公報 特開平9−234091号公報 特開2013−81403号公報
Charles U . Ugwu etc.,Journal of Applied Microbiology.2008 105:236-242
このように従来の方法では、(1)3−ヒドロキシ酪酸を得るために2段階以上の工程が必要になる、(2)生産される3−ヒドロキシ酪酸は原料となるポリヒドロキシアルカノエートの量に制限される、(3)3−ヒドロキシ酪酸とポリヒドロキシアルカノエートを同時に生産することは困難である、という課題があった。そこで本発明は、簡便かつ効率的で生産性の高い3−ヒドロキシ酪酸の製造方法を提供すること、さらに、3−ヒドロキシ酪酸とともに、ポリヒドロキシアルカノエートも同時に製造し得る方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく非常に多くの微生物を検索した結果、好気培養条件下で、菌体内にポリヒドロキシアルカノエートを蓄積するとともに、3−ヒドロキシ酪酸を菌体外に分泌するハロモナス属微生物が存在することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、ハロモナス・コーリエンシス(Halomonas koreensis)、ハロモナス・サリフォディナエ(Halomonas salifodinae)、ハロモナス・ハロフィラ(Halomonas halophila)、ハロモナス・パシフィカ(Halomonas pacifica)及びハロモナス・エスピー(Halomonas sp.)OITC1261株よりなる群から選ばれるハロモナス属に属する微生物を栄養培地中で好気的に培養して得られる培養液から3−ヒドロキシ酪酸又はその塩を回収することを特徴とする3−ヒドロキシ酪酸又はその塩の製造方法である。
また本発明は、ハロモナス・エスピー(Halomonas sp.)OITC1261株(NITE P−02027)である。
本発明方法に用いるハロモナス属に属する微生物は、好気培養することにより、菌体内にポリヒドロキシアルカノエートを蓄積するとともに、菌体外へ3−ヒドロキシ酪酸を産生する。このため、ポリヒドロキシアルカノエートの生産量が定常状態に達した後であっても、好気培養を継続することで3−ヒドロキシ酪酸の生産量を増加させることができる。またポリヒドロキシアルカノエートを3−ヒドロキシ酪酸に変換するための処理が不要であり、培養液から3−ヒドロキシ酪酸又はその塩を回収するだけで3−ヒドロキシ酪酸を得ることが可能である。さらに、3−ヒドロキシ酪酸の産生にあたってポリヒドロキシアルカノエートは消費されないため、両者の同時生産が可能となる。そして、培養後の微生物を培養液から回収して繰り返し3−ヒドロキシ酪酸の産生に利用できるため、微生物増殖の工程が省略でき、大幅な生産コストの低減と生産時間の短縮を実現し得る。
実施例3において、好気培養条件による3−ヒドロキシ酪酸産生量の時間変化を示すグラフである。 実施例3において、好気培養条件によるポリヒドロキシ酪酸産生量の時間変化を示すグラフである。 実施例3において、好気培養条件による菌体重量の時間変化を示すグラフである。 実施例3において、好気培養条件による吸光度(600nm)の時間変化の関係を示すグラフである。 実施例4において、培養中の3−ヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ酪酸及び菌体重量の変化を示すグラフである。 実施例4において、培地中の溶存酸素濃度の変化を示すグラフである。 実施例5において、培養中の3−ヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ酪酸、菌体重量の変化を示すグラフ。 実施例5において、培地中の溶存酸素濃度の変化を示すグラフである。 実施例7において、繰り返し培養を行ったときの各培養ごとの3−ヒドロキシ酪酸とポリヒドロキシ酪酸の生産量を示すグラフである。
本発明では、ハロモナス・コーリエンシス(Halomonas koreensis)、ハロモナス・サリフォディナエ(Halomonas salifodinae)、ハロモナス・ハロフィラ(Halomonas halophila)、ハロモナス・パシフィカ(Halomonas pacifica)及びハロモナス・エスピー(Halomonas sp.)OITC1261株よりなる群から選ばれるハロモナス属に属する微生物(以下、「ハロモナス属微生物」ということがある)を用いる。
上記ハロモナス属微生物のうち、ハロモナス・コーリエンシス、ハロモナス・サリフォディナエ、ハロモナス・ハロフィラ、ハロモナス・パシフィカは、これらの種に属する菌株であれば特に制限なく使用することができるが、例えば、基準株であるハロモナス・コーリエンシス JCM 12237株、ハロモナス・サリフォディナエ JCM 14803株、ハロモナス・ハロフィラ JCM 20791株、ハロモナス・パシフィカ JCM 20633株などが3−ヒドロキシ酪酸又はその塩及びポリヒドロキシアルカノエートの生産性に優れるため好適である。
またハロモナス・エスピーOITC1261株は、3−ヒドロキシ酪酸又はその塩及びポリヒドロキシアルカノエート産生能が特に高いため本発明において好適に用いられる。
このハロモナス・エスピーOITC1261株は海岸堆積物から分離した微生物である。その16SrRNA遺伝子配列を配列表の配列番号1に示す。16SrRNA遺伝子配列について、既知の菌種との相同性検索を行ったところ、ハロモナス・サリフォディナエやハロモナス・パシフィカと比較的相同性が高いことから、ハロモナス属微生物に分類された。ハロモナス・エスピーOITC1261株は、平成27年3月19日付けで、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に受託番号NITE P−02027として寄託されている。
ハロモナス・エスピーOITC1261株の菌学的性質は以下のとおりである。
(1) コロニー:クリーム色
(2) 運動性:有
(3) グルコース資化性:有
(4) スクロース資化性:有
(5) キシロース資化性:無
(6) マルトース資化性:有
(7) グルコン酸資化性:有
(8) グリセリン資化性:有
(9) エタノール資化性:有
(10) 乳酸資化性:有
(11) クエン酸資化性:有
(12) 酢酸資化性:有
(13) 酪酸資化性:有
(14) 澱粉加水分解物資化性:有
(15) 硝酸ナトリウムのみを窒素源とする培地での生育:可能
(16) 尿素のみを窒素源とする培地での生育:可能
(17) 生育可能な塩化ナトリウム濃度:0.5〜15%(w/v)
(18) 生育可能なpH範囲:6〜10
本発明の微生物には、配列表の配列番号1に示す16SrRNA遺伝子の塩基配列を相同性97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上で含み、下記菌学的性質を示すハロモナス属に属する微生物も包含される。
(1) コロニー:クリーム色
(2) エタノール資化性:有
(3) 酪酸資化性:有
(4) 尿素を窒素源とする培地での生育:可能
(5) 生育可能な塩化ナトリウム濃度:0.5〜15%(w/v)
(6) 生育可能なpH範囲:6〜10
上記ハロモナス属微生物を培養する栄養培地は特に限定されるものではないが、有機炭素源を含有するものが好ましく、さらに無機塩類及び窒素源を含有するものが好ましい。
有機炭素源としては、グルコース、スクロース、マルトース、グルコン酸、グリセリン、エタノール、乳酸、クエン酸、酢酸、酪酸、リンゴ酸、コハク酸、α−ケトグルタル酸、ギ酸、ピルビン酸、糖蜜、サトウキビ搾汁液、テンサイ搾汁液、水飴、焼酎蒸留残液等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらのうち、グルコース、スクロース、グリセリン等が3−ヒドロキシ酪酸又はその塩及びポリヒドロキシアルカノエートの生産量の点で好適である。さらに、これらの有機炭素源を含有する安価な材料として、糖蜜やサトウキビ、テンサイなどの砂糖作物の搾汁液、水飴等の澱粉加水分解物、泡盛蒸留残液、米焼酎蒸留残液、麦焼酎残液、芋焼酎残液、黒糖焼酎残液等の焼酎蒸留残液等が挙げられ、好適に用いられる。糖蜜や焼酎蒸留残液等は後述する窒素源を含有する点でも好ましい。有機炭素源の栄養培地中の濃度は、合計で通常5〜45w/v%、好ましくは10〜40w/v%、より好ましくは15〜35w/v%である。有機炭素源は、栄養培地中に予め全量を添加してもよく、一部のみ予め添加し、残部は培養中に追加供給してもよい。
無機塩類としては、特に限定されるものではないが、例えば、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、鉄、マンガン、コバルト、亜鉛、銅等の金属塩、硫酸塩等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらのうち好ましい具体例として、NaCl、NaHCO3、Na2CO3、K2SO4、MgSO4、CaCl2、FeSO4、MnSO4、ZnSO4、CuSO4、Na2MoO4等を例示でき、特にNaCl等が微生物の生育に望ましいナトリウム源としても優れているため好適である。無機塩類の栄養培地中の濃度は、合計で通常2〜8w/v%、好ましくは4〜6w/v%である。
窒素源としては、硝酸塩、亜硝酸塩、アンモニウム塩、有機態窒素等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を添加することができる。好適な具体例としては、NaNO3、NaNO2、NH4Cl、尿素、Co(NO3)2等を例示することができ、これらのうち、NaNO3や尿素等が微生物の生育を阻害することなく3−ヒドロキシ酪酸又はその塩及びポリヒドロキシアルカノエートの生産量を増大させられるため特に好ましく用いられる。窒素源の栄養培地中の濃度は、合計で通常0.1〜5w/v%、好ましくは0.5〜5w/v%、より好ましくは1〜3w/v%である。
栄養培地には、さらにリン源を添加することが好ましい。リン源としては、リン酸塩、重合リン酸、有機態リン等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を添加することができる。好適な具体例としては、K3PO4、K2HPO4、KH2PO4、Na3PO4、Na2HPO4、NaH2PO4、Mg3(PO4)2、MgHPO4、Ca3(PO4)2、CaHPO4、H4P2O7、H5P3O10、ATP、ADP、レシチン、ホスファチジルグリセロール等を例示することができ、これらのうち、K2HPO4やNa2HPO4等は微生物の生育に望ましいpH調整剤としても優れているため好適である。リン源の栄養培地中の濃度は、合計で通常0.01〜2w/v%、好ましくは0.1〜1w/v%、より好ましくは0.2〜1w/v%である。
栄養培地のpHは、通常5〜10であり、8.5〜9.5が好ましい。pHをアルカリ条件とすることによって雑菌汚染に基づく生産性の低下を防止して安定的な生産が可能となる。
このような栄養培地中で、上記ハロモナス属微生物を好気培養する。本明細書において、好気培養(好気条件)とは、酸素存在下にて培養することであり、例えば、栄養培地中の溶存酸素濃度が、2mg/L(mg−O/L)以上、好ましくは4mg/L以上、より好ましくは6mg/L以上である。具体的には、酸素を含む気体と培地表面が接触する環境で撹拌しながら培養すればよく、例えば、空気と培地表面が接触した状態で、通常100〜1,000rpm、好ましくは200〜900rpm、より好ましくは500〜800rpmの撹拌速度にて撹拌すればよい。
ハロモナス属微生物を培養するにあたっては、上記栄養培地にハロモナス属微生物を接種し、温度30〜37℃で18〜24時間程度好気条件で前培養した後、前培養して得られた菌体を、上記栄養培地中に20〜50倍程度に希釈して好気条件で本培養すればよい。本培養は通常30〜37℃程度、好ましくは33〜37℃であり、時間は通常20〜100時間、好ましくは60〜70時間である。上記有機炭素源を追加供給する場合は、例えば、有機炭素源の全添加量のうち、10〜50質量%を予め栄養培地中に添加し、培養15〜24時間後に25〜45質量%を添加し、培養30〜50時間後に25〜45質量%を添加すると、3−ヒドロキシ酪酸又はその塩の生産量が増加するため好ましい。
培養方法は特に限定されず、回分培養、流加培養、連続培養等のいずれの培養方法も採用し得るが、高濃度の基質による生育阻害を回避し、かつ収率を向上できる点で流加培養が好適である。
以上のようにして培養することにより、ハロモナス属微生物は菌体外に3−ヒドロキシ酪酸又はその塩を分泌する。培養液に分泌された3−ヒドロキシ酪酸は、培養液中に存在するナトリウムイオンなどの陽イオンと反応し、3−ヒドロキシ酪酸の塩を形成するため、培養後の培養液には、3−ヒドロキシ酪酸又はその塩が含まれる。
この培養液から3−ヒドロキシ酪酸又はその塩を回収する。回収にあたっては、3−ヒドロキシ酪酸又はその塩を含む培養液と、ハロモナス属微生物とを公知の固液分離手段を用いて分離すればよい。固液分離手段としては、例えば、遠心分離、ろ過、膜分離等が例示される。固液分離処理後の培養液を、必要に応じて公知の分離精製手段を用いて処理することにより、3−ヒドロキシ酪酸又はその塩を得ることができる。
本発明方法では、栄養培地1Lに対して通常0.1g以上、好ましくは20g以上、より好ましくは35g以上の量の3−ヒドロキシ酪酸又はその塩を得ることができる。
一方、分離したハロモナス属微生物は、その菌体内にポリヒドロキシアルカノエートを蓄積している。このため、菌体を破砕してトリクロロエチレンで抽出するなど公知の方法により、菌体内からポリヒドロキシアルカノエートを回収することができる。必要に応じて公知の分離精製手段を用いて処理してもよい。
ポリヒドロキシアルカノエートは、3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸等のヒドロキシアルカノエート単位から構成されるポリマーであり、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸等が含まれる。本発明方法において、栄養培地1Lに対して通常1g以上、好ましくは15g以上、より好ましくは20g以上のポリヒドロキシアルカノエートを得ることができる。
本発明方法においては、培養後の培養液から分離したハロモナス属微生物を再度3−ヒドロキシ酪酸又はその塩の生産に使用することもできる。分離したハロモナス属微生物を培地に添加して好気培養することにより、菌体内にポリヒドロキシアルカノエートを蓄積するとともに、3−ヒドロキシ酪酸又はその塩を培地中に分泌する。培養を繰り返しても、その生産量は低下しない。このように、ハロモナス属微生物の好気培養にあたって、培養液から分離回収した菌体を繰り返し利用することで、ハロモナス属微生物の前培養が不要となり、工程の簡略化、生産時間の短縮及び生産コストの低減が可能となる。
ハロモナス属微生物を繰り返し培養する際の培地は特に限定されるものではないが、繰り返し培養しても3−HBの生産量を維持できることから窒素および/またはリン制限培地が好適である。窒素および/またはリン制限培地としては、窒素源および/またはリン源を低濃度に調製した有機炭素含有培地を用いればよい。この場合の窒素源とリン源はそれぞれ通常0.01〜0.5w/v%、好ましくは0.05〜0.1w/v%を培地へ添加することができる。また必要に応じ無機塩類を添加してもよい。有機炭素源、窒素源、リン源、無機塩類としては、上記栄養培地と同様のものを使用することができる。有機炭素源、無機塩類の培地中の含有量も、上記栄養培地と同様とすればよい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
ハロモナス属微生物の3−ヒドロキシ酪酸及びポリヒドロキシアルカノエート生産性:
(1)ハロモナス属微生物基準株
ハロモナス属に含まれる多数の種の基準株について培養試験を行った。各基準株は独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンター(茨城県つくば市高野台3−1−1)から分譲されたものを用いた。
(培養試験)
培養試験ではMB培地を用いた。MB培地はマリンブロス培地(Marine Broth 2216、ベクトンディッキンソン・アンド・カンパニー製)に5w/v%グルコースを追加し、10N水酸化ナトリウムでpH9に調整して使用した。ろ過滅菌した後MB培地3mLを試験管に分注し、ハロモナス属微生物を接種した後で、30℃に保温しながら3日間好気培養(200rpmで振とう)した。
培養後、3−ヒドロキシ酪酸(3−HB)は、培養液の上清を高速液体クロマトグラフィーで分析して定量した。菌体重量は、培養液2mLから集菌した菌体を120℃で3時間乾燥して測定した。ポリヒドロキシ酪酸(PHB)は、培養液2mLから集菌した菌体を硫酸加水分解することによって得られるクロトン酸の量から逆算して求めた。結果を表1に示す。
Figure 2017012117
表1に示すとおり、ハロモナス・コーリエンシス、ハロモナス・ハロフィラ、ハロモナス・サリフォディナエ、ハロモナス・パシフィカの4種は、好気培養でポリヒドロキシ酪酸を菌体内に蓄積するとともに、3−ヒドロキシ酪酸を菌体外へ放出することが確認された。
ハロモナス属微生物の中には、好気培養によりポリヒドロキシ酪酸を合成し、菌体内に蓄積するものが存在するが、蓄積したポリヒドロキシ酪酸を、その構成成分である3−ヒドロキシ酪酸に分解して菌体外へ放出させるためには、好気条件から微好気条件ないし嫌気条件に変更する必要があるとされており(特許文献4参照)、これまで好気条件下で3−ヒドロキシ酪酸を菌体外へ分泌するハロモナス属微生物の存在は知られていなかった。そして、従来の方法では、3−ヒドロキシ酪酸は、菌体内に蓄積したポリヒドロキシ酪酸を分解して得られることから、実質的に両者を同時に生産することは困難であり、またその生産量は、菌体内に蓄積され得るポリヒドロキシ酪酸の量に制限される。これに対し、上記4種のハロモナス属微生物は、好気培養することにより、菌体内にポリヒドロキシ酪酸を蓄積するとともに、菌体外へ3−ヒドロキシ酪酸を分泌するため、両者の同時生産が可能であり、ポリヒドロキシ酪酸の生産量が定常状態に達した後であっても、その量に制限されることなく、好気培養を継続することで3−ヒドロキシ酪酸を高収量で得ることができる。
(2)ハロモナス・エスピー(halomonas sp.)OITC1261株
ハロモナス・エスピーOITC1261株は海岸堆積物から分離した。その16SrRNA遺伝子配列(配列表の配列番号1)について、既知の菌種との相同性検索を行ったところ、ハロモナス・サリフォディナエ(Halomonas salifodinae)やハロモナス・パシフィカ(Halomonas pacifica)と相同性が高いことから、ハロモナス属微生物に分類された。ハロモナス・エスピーOITC1261株は、平成27年3月19日付けで、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に受託番号NITE P−02027として寄託されている。
ハロモナス・エスピーOITC1261株について、培地をMB培地からSOT改変培地又は糖蜜培地に代えた以外は上記(1)と同様にして培養試験を行い、培養中の3−ヒドロキシ酪酸(3−HB)、菌体重量及びポリヒドロキシ酪酸(PHB)を分析した。SOT改変培地はスピルリナ生育培地(Ogawa, T., Terui, G. 1970 Studies on the growth of Spirulina platensis. (I) On the pure culture of Spirulina platensis. J. Ferment. Technol., 48, 361-367.)を改変したものである。基本培地の組成を表2に示す。このSOT改変基本培地に5w/v%グルコースを追加して使用した。また糖蜜培地の組成を表3に示す。SOT改変培地と糖蜜培地はろ過滅菌した後、それぞれ3mLを試験管に分注して使用した。分注した培地にハロモナス属微生物を接種した後で、30℃に保温しながら3日間好気培養(200rpmで振とう)した。結果を表4に示す。
Figure 2017012117
Figure 2017012117
Figure 2017012117
表4に示すとおり、ハロモナス・エスピーOITC1261株は、3−ヒドロキシ酪酸及びポリヒドロキシ酪酸の生産量が非常に高く、他のハロモナス属微生物と比べて4倍以上の3−ヒドロキシ酪酸を菌体外へ産生すると同時に、菌体重量あたり40質量%のポリヒドロキシ酪酸を菌体内に蓄積した。糖蜜培地ではSOT改培地と比べさらに3−ヒドロキシ酪酸の生産量が向上し、菌体重量も著しく増加した。
実施例2
ハロモナス属微生物の菌学的性質:
ハロモナス・エスピーOITC1261株、ハロモナス・サリフォディナエ(Halomonas salifodinae)及びハロモナス・パシフィカ(Halomonas pacifica)について、以下の方法により、コロニーの特徴や運動性、利用可能な基質、生育可能な塩化ナトリウム濃度の範囲、生育可能なpHの範囲を調べ比較した。結果を表5に示す。
(1)コロニーの特徴は、マリンアガー培地(Marine Agar 2216、ベクトンディッキンソン・アンド・カンパニー製)を10N水酸化ナトリウムでpH9に調整した寒天培地上に菌を接種して30℃で5日間静置培養し、生育したコロニーの色を観察した。
(2)運動性の有無は、マリンブロス培地(Marine Broth 2216、ベクトンディッキンソン・アンド・カンパニー製)に寒天0.2w/v%とグルコース1%を加えて、10N水酸化ナトリウムでpH9に調整した半流動培地に菌を接種して30℃で7日間静置培養して判定した。
(3)利用可能な炭素源の判定は、表2のSOT改変培地にいずれかの基質(グルコース、スクロース、キシロース、マルトース、グルコン酸、グリセリン、エタノール、乳酸、クエン酸、酢酸、酪酸、水飴)を3w/v%加えてpH9に調整した培地各3mLに菌を接種し、30℃で3日間好気培養(200rpmで振とう)した後、培養液の濁りの有無で生育を確認し、生育が確認できたものは利用可能とした。
(4)利用可能な窒素源の判定は、硝酸ナトリウム培地(SOT改変培地に3w/v%グルコースを加えた培地)又は尿素培地(SOT改変培地の硝酸ナトリウムを尿素に代えて、3w/v%グルコースを加えた培地)の各3mLに菌を接種し、30℃で3日間好気培養した後、培養液の濁りの有無で生育を確認し、生育が確認できたものは利用可能とした。
(5)生育可能な塩化ナトリウム(NaCl)濃度範囲については、0〜20w/v%のNaClを含む培地中での菌の生育の有無を判定した。すなわち、10N水酸化カリウムでpH8に調整した基本培地(0.4w/v%酵母抽出物、0.5w/v%硫酸マグネシウム、5w/v%スクロース)にNaClを加えて、7段階のNaCl濃度(0、0.5、1、5、10、15、20w/v%)にした培地4mLに菌を接種し、30℃で3日間好気培養した後、培養液の濁りの有無で生育を判定した。
(6)生育可能なpH範囲については、pH5〜10に調整した培地中での菌の生育の有無を判定した。すなわち、2Lの基本培地(0.4w/v%酵母抽出物、0.5w/v%硫酸マグネシウム、1w/v%塩化ナトリウム、3w/v%スクロース)を6段階のpH(pH5、6、7、8、9、10)に調整したものに菌を接種し、卓上型培養装置(ジャーファーメンター)で培養条件を一定(温度:30℃、攪拌速度:700rpm、通気量:5L/分、10N水酸化ナトリウム溶液と1N塩酸溶液でpHを自動調整)に保ちながら3日間好気培養し、培養液の濁りの有無で生育を判定した。
Figure 2017012117
ハロモナス・エスピーOITC1261株と、ハロモナス・サリフォディナエ又はハロモナス・パシフィカとは、コロニーの色、エタノール資化性、酪酸資化性、尿素培地での生育、生育可能なNaCl濃度範囲及びpH範囲において特徴が異なることが分かった。
実施例3
好気培養条件による3−HB及びPHB生産量に対する影響:
ハロモナス・エスピーOITC1261株を用い、3−ヒドロキシ酪酸及びポリヒドロキシアルカノエートの発酵生産における好気培養条件の影響を確認した。
ハロモナス・エスピーOITC1261株は、SOT改変培地(1%グルコース含有)を用いて、35℃で一晩、前培養した。この前培養液0.2mLをSOT改変培地20mLへ加えて33℃で本培養した。本培養では、好気条件について、200rpm(振とう)、300rpm(スターラー撹拌)及び450rpm(スターラー撹拌)の3段階で比較した。培地中の有機炭素源にはグルコースを用いた。初発グルコースを10w/v%とし、24時間後と48時間後にそれぞれ終濃度10w/v%分のグルコースを追加した。培養途中で採取した培養液1mLを用いて、実施例1と同様にして、菌体重量、3−ヒドロキシ酪酸濃度及びポリヒドロキシ酪酸濃度を測定した。また、分光光度計(日本分光株式会社製、型式V−550)を用いて吸光度(600nm)を測定した。結果を図1〜4に示す。
撹拌速度200rpmと300rpm、450rpmで比較したところ、撹拌速度を上げてより好気的にした方が3−ヒドロキシ酪酸及びポリヒドロキシアルカノエートの生産性が高くなった。450rpmで好気培養したとき27g/Lの3−ヒドロキシ酪酸と17g/Lのポリヒドロキシ酪酸を生産した(図1、2)。また、200rpmと比べ300rpm、450rpmの方が菌体重量も増加した(図3,4)。
実施例4
有機炭素源としてグルコースを用いた場合の3−ヒドロキシ酪酸及びポリヒドロキシアルカノエートの生産性:
有機炭素源としてグルコースを用いて、ハロモナス・エスピーOITC1261株を好気培養し、3−ヒドロキシ酪酸及びポリヒドロキシアルカノエートの生産量、菌体重量を測定した。
ハロモナス・エスピーOITC1261株は、表6に示すSOT改変培地2に終濃度5w/v%のグルコースを加えた培地100mLで一晩好気培養(30℃、200rpm)したものを前培養液として用いた。本培養では、SOT改変培地2に終濃度10w/v%のグルコースを加えた培地2Lを前培養液とともに卓上型培養装置(ジャーファーメンター)に加えて、培養条件を一定に保ちながら好気培養した(温度:30℃、攪拌速度:700rpm、通気量:5L/分、pH8.5)。本培養では、培養開始から19時間後と48時間後にそれぞれ終濃度10w/v%のグルコースを加えた。培養途中で培養液を5mL分取して、3−ヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ酪酸及び菌体重量を実施例1と同様にして分析した。結果を図5に示す。また培養液中の溶存酸素濃度を溶存酸素センサー(株式会社丸菱バイオエンジ社製、型式OX−2500)で測定した。結果を図6に示す。
Figure 2017012117
その結果、培養開始から17時間後には3−ヒドロキシ酪酸(0.9g/L)とポリヒドロキシ酪酸(10.7g/L)の生産が確認され、さらに65時間後には35g/Lの3−ヒドロキシ酪酸と24g/Lのポリヒドロキシ酪酸が生産された(図5)。
培養開始から10時間後までの対数増殖期では、菌体増殖のために培地中の溶存酸素が多く消費されたが、その後の定常期では3−ヒドロキシ酪酸およびポリヒドロキシ酪酸の生産が始まるとともに、酸素消費量が減少して、溶存酸素濃度は2.3mg−O/Lから4.5mg−O/Lまで徐々に上昇した(図6)。
実施例5
有機炭素源としてスクロースを用いた場合の3−ヒドロキシ酪酸及びポリヒドロキシアルカノエートの生産性:
有機炭素源としてスクロースを用いて、ハロモナス・エスピーOITC1261株を好気培養し、3−ヒドロキシ酪酸及びポリヒドロキシアルカノエートの生産量、菌体重量を測定した。
ハロモナス・エスピーOITC1261株は、SOT改変培地2(表6)に終濃度5w/v%のグルコースを加えた培地100mLで一晩好気培養(35℃、200rpm)したものを前培養液として用いた。本培養では、SOT改変培地2に終濃度10w/v%のスクロースを加えた培地2Lを前培養液とともに卓上型培養装置(ジャーファーメンター)に加えて、培養条件を一定に保ちながら好気培養した(温度:35℃、攪拌速度:700rpm、通気量:5L/分、pH8.5)。本培養では、培養開始から17時間後に終濃度10w/v%のスクロースを加え、さらに24時間後に終濃度5w/v%のスクロースを加えた。培養途中で培養液を5mL分取して、3−ヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ酪酸及び菌体重量を実施例1と同様にして分析した。結果を図7に示す。また培養液中の溶存酸素濃度は、溶存酸素センサー(株式会社丸菱バイオエンジ社製、型式OX−2500)で測定した。結果を図8に示す。
その結果、培養開始から17時間後にポリヒドロキシ酪酸(12g/L)の生産が確認され、24時間後には3−ヒドロキシ酪酸(11g/L)の生産が確認された。培養終了時(65時間後)には39g/Lの3−ヒドロキシ酪酸と20g/Lのポリヒドロキシ酪酸が生産された(図7)。
スクロースを炭素源として用いた場合においても、培養開始から10時間後までの対数増殖期では、菌体増殖のために培地中の溶存酸素が多く消費されたが、その後の定常期では3−ヒドロキシ酪酸およびポリヒドロキシ酪酸の生産が始まるとともに、酸素消費量が減少して、溶存酸素濃度は2.4mg−O/Lから4.5mg−O/Lまで徐々に上昇した(図8)。
実施例6
各種有機炭素源を用いた場合の3−ヒドロキシ酪酸及びポリヒドロキシアルカノエートの生産性:
有機炭素源としてスクロース、マルトース、グリセリン、グルコン酸、水飴、焼酎蒸留残液を用いて、ハロモナス・エスピーOITC1261株を好気培養し、3−ヒドロキシ酪酸及びポリヒドロキシアルカノエートの生産量、菌体重量を測定した。
SOT改変培地(表2)にいずれかの基質(スクロース、マルトース、グリセリン、グルコン酸、水飴)を2〜5w/v%加えてpH9に調整した培地、又は焼酎蒸留残液(沖縄県工業技術センターで製造した泡盛もろみを単式常圧蒸留してアルコール分を除去したもの)を濾過してpH9に調製した培地を各10mLずつフラスコへ分注し、菌を接種して30℃で2〜3日間好気培養(200rpmで振とう)した。その結果を表7に示す。
Figure 2017012117
表7に示すとおり、ハロモナス・エスピーOITC1261株は様々な種類の糖類やアルコール、有機酸を有機炭素源として利用し、3−ヒドロキシ酪酸およびポリヒドロキシ酪酸を生産することが分かった。また、安価な材料である水飴(澱粉加水分解物)や焼酎蒸留残液を培地として用いた場合にも、これらを有機炭素源として利用できることが分かった。
実施例7
繰り返し培養による3−ヒドロキシ酪酸及びポリヒドロキシアルカノエートの生産:
ハロモナス属微生物を好気培養した後、培養液から菌体を回収して繰り返し3−ヒドロキシ酪酸とポリヒドロキシアルカノエートを発酵生産する方法について検討した。
ハロモナス・エスピーOITC1261株を、SOT改変培地2(表6)に終濃度5w/v%のグルコースを加えた培地100mLで3日間好気培養(30℃、200rpm)した。
繰り返し生産では、まず、この培養液のうち10mLを遠心分離して上清を除いた回収菌体をpH10に調整した窒素およびリン制限培地(1.3%炭酸水素ナトリウム、3.4%炭酸ナトリウム、0.1%リン酸水素二カリウム、0.1%硝酸ナトリウム、0.5%塩化ナトリウム、1%糖蜜、10%グルコース)10mLとともに三角フラスコへ移して1回目の好気培養(30℃、200rpm)を行った。1回目の培養液のうち1mLは3−ヒドロキシ酪酸とポリヒドロキシ酪酸の分析に用い、残りの培養液は遠心分離して菌体を回収し、新たな窒素およびリン制限培地10mLとともに再び三角フラスコへ移して2回目の好気培養を行った。2回目以降の成分分析や菌体回収、培養においても1回目と同様の操作を繰り返して行い、生産量の変化を調べた。これらの操作で用いた器具や試薬は全て加熱滅菌せずに使用した。この一連の操作を合計7回繰り返した。結果を図9に示す。
回収した菌体を用いて培養を繰り返している間、13.7〜16.5g/Lのポリヒドロキシ酪酸を菌体内に維持したまま、各培養ごとに10.1〜11.4g/Lの3−ヒドロキシ酪酸を生産することができた。培養を複数回繰り返しても3−ヒドロキシ酪酸及びポリヒドロキシ酪酸の生産量は低下することがなかった。さらに強アルカリ条件で操作することによって、培養を繰り返しても雑菌汚染による生産性の低下はなく、安定的に生産を行うことができた。
本発明によれば、3−ヒドロキシ酪酸及びポリヒドロキシアルカノエートを簡便に効率よく、しかも低コストで生産することができる。したがって、バイオプラスチックやその原料として利用し得る3−ヒドロキシ酪酸及びポリヒドロキシアルカノエートの製造方法として極めて有用なものである。

Claims (8)

  1. ハロモナス・コーリエンシス(Halomonas koreensis)、ハロモナス・サリフォディナエ(Halomonas salifodinae)、ハロモナス・ハロフィラ(Halomonas halophila)、ハロモナス・パシフィカ(Halomonas pacifica)及びハロモナス・エスピー(Halomonas sp.)OITC1261株よりなる群から選ばれるハロモナス属に属する微生物を栄養培地中で好気的に培養して得られる培養液から3−ヒドロキシ酪酸又はその塩を回収することを特徴とする3−ヒドロキシ酪酸又はその塩の製造方法。
  2. ハロモナス属に属する微生物が、ハロモナス・エスピー(Halomonas sp.)OITC1261株である請求項1記載の3−ヒドロキシ酪酸又はその塩の製造方法。
  3. 栄養培地が有機炭素源を含有するものである請求項1又は2記載の3−ヒドロキシ酪酸又はその塩の製造方法。
  4. 有機炭素源がグルコース、スクロース、マルトース、グルコン酸、グリセリン、エタノール、乳酸、クエン酸、酢酸、酪酸、リンゴ酸、コハク酸、α−ケトグルタル酸、ギ酸、ピルビン酸、糖蜜、サトウキビ搾汁液、テンサイ搾汁液、水飴及び焼酎蒸留残液よりなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜3のいずれかの項記載の3−ヒドロキシ酪酸又はその塩の製造方法。
  5. 栄養培地がさらに無機塩類及び窒素源を含有するものである請求項1〜4のいずれかの項記載の3−ヒドロキシ酪酸又はその塩の製造方法。
  6. さらに、培養後の培養液からハロモナス属に属する微生物の菌体を回収し、回収した菌体を窒素および/またはリン制限培地中で好気的に培養した後、得られた培養液から3−ヒドロキシ酪酸又はその塩を回収する工程を含むものである請求項1〜5のいずれかの項記載の3−ヒドロキシ酪酸又はその塩の製造方法。
  7. 配列表の配列番号1に示す16S rRNA遺伝子の塩基配列を相同性98%以上で含み、下記菌学的性質を示すハロモナス属に属する微生物。
    (1) コロニー:クリーム色
    (2) エタノール資化性:有
    (3) 酪酸資化性:有
    (4) 尿素を窒素源とする培地での生育:可能
    (5) 生育可能な塩化ナトリウム濃度:0.5〜15%(w/v)
    (6) 生育可能なpH範囲:6〜10
  8. ハロモナス・エスピー(Halomonas sp.)OITC1261株(NITE P−02027)である請求項7記載の微生物。

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