JP2017014335A - 光反射体用成形材料、光反射体及び発光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い光反射性を有すると共に優れた耐光性も有する樹脂製の光反射体を製造するための光反射体用成形材料の提供。【解決手段】光反射体1用成形材料は、不飽和ポリエステルと、重合開始剤と、酸化亜鉛粒子とを含有する。酸化亜鉛粒子が、酸化亜鉛からなる核と、核を覆う、金属化合物を含有する被覆層とを備える。被覆層が、前記核を覆う無機金属化合物層を含む。無機金属化合物層が、前記核を覆うシリカ層を含む。無機金属化合物層が、前記シリカ層を覆うアルミナ層を含む。【選択図】図1
Description
本発明は、光反射体(リフレクタ)を作製するために適した光反射体用成形材料、この光反射体用成形材料から作製された光反射体、及びこの光反射体を備える発光装置に関する。
従来、発光ダイオードなどの発光素子と、発光素子から発せられた光を反射するように構成された樹脂製の光反射体(リフレクタ)とを備える発光装置が、照明用途等に使用されている。樹脂製の光反射体を製造するための材料として、不飽和ポリエステル(不飽和アルキッド樹脂ともいう)と白色顔料とを含有する成形材料が知られている(特許文献1参照)。成形材料が白色顔料とを含有すると、光反射体に高い光反射性が付与される。また、不飽和ポリエステルは熱硬化性樹脂であるため、これが用いられると、光反射体の耐熱変色性が高くなるという利点がある。
近年、発光素子を高輝度化したり、一つの光反射体に複数個の発光素子を搭載したりすることで、発光装置の発光強度の向上することが図られている。また、発光装置を屋外で使用することもおこなわれている。例えば発光装置を自動車のヘッドライトに適用することがおこなわれている。
しかし、このように発光装置の発光強度が高くなったり、発光装置が外光に曝される機械が多くなったりすると、樹脂製の光反射体の光反射性が低下しやすい。これは、白色顔料の光触媒作用によって光反射体が劣化してしまうことが主因となっている。このため、発光装置の発光強度が高い場合や発光装置が屋外で使用される場合には、樹脂製の光反射体の寿命は極端に低下してしまう。
本発明は上記事由に鑑みてなされたものであり、高い光反射性を有すると共に優れた耐光性も有する樹脂製の光反射体を製造するための光反射体用成形材料、この光反射体用成形材料から作製された光反射体、及びこの光反射体を備える発光装置を提供することを目的とする。
本発明に係る光反射体用成形材料は、不飽和ポリエステルと、重合開始剤と、酸化亜鉛粒子とを含有し、前記酸化亜鉛粒子が、酸化亜鉛からなる核と、前記核を覆う、金属化合物を含有する被覆層とを備えることを特徴とする。
本発明に係る光反射体は、前記光反射体用成形材料の硬化物を備える。
本発明に係る発光装置は、前記光反射体と、発光素子とを備える。
本発明によれば、光反射体用成形材料を成形することで、高い光反射性と優れた耐光性とを有する光反射体を得ることができる。
本実施形態に係る光反射体用成形材料(以下、成形材料という)は、発光ダイオードなどの発光素子3のための光反射体1を製造するために用いられる(図1及び図2参照)。この成形材料は、不飽和ポリエステル、重合開始剤及び酸化亜鉛粒子7を含有する。
尚、本実施形態では、光反射体用成形材料は白色顔料を含有し、白色顔料が酸化亜鉛粒子7を含有する。
酸化亜鉛粒子7は、後に詳述するように、酸化チタンと比べて、成形材料中の濃度が高くても成形材料の増粘を抑制できる。このため、本実施形態では、酸化亜鉛粒子7の濃度を高くすることで光反射体1の光反射性を向上しながら、成形材料の良好な成形性を確保できる。
本実施形態では、酸化亜鉛粒子7は、図3に模式的に示すように、酸化亜鉛からなる核8と、この核8を覆う、金属化合物を含有する被覆層9とを備える。このため、酸化亜鉛粒子7に紫外線が照射されることで核8の表面上でラジカルが生成しても、被覆層9はラジカルが酸化亜鉛粒子7の外部へ移動することを阻害できる。このため、光反射体1がラジカルによって劣化することで光反射性が低下することが抑制され、光反射体1に優れた耐光性が付与される。更に、成形材料中及び光反射体1中で酸化亜鉛粒子7が凝集しにくく、その結果、成形材料に高い保存安定性及び成形性が付与されると共に光反射体1に高い光反射性が付与される。
被覆層9中の金属化合物は、例えばケイ素化合物、アルミニウム化合物及びチタン化合物からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有することができる。特に金属化合物がケイ素化合物を含有することが好ましい。この場合、光反射体1に特に優れた耐光性が付与される。ケイ素化合物は、例えばシリカ、シランカップリング剤及びポリシロキサンからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有することができる。
また、成形材料が酸化亜鉛粒子7と共に不飽和ポリエステルを含有するため、光反射体1の耐熱変色性が特に高い。しかも、成形材料を成形する際の成形性が良好であり、このため、光反射体1の生産性が高い。
本実施形態では、被覆層9は、無機金属化合物層91を含む。無機金属化合物層91は、無機金属化合物からなる層である。無機金属化合物は、例えばシリカとアルミナとのうち少なくとも一方を含む。
無機金属化合物層91は、例えばシリカ層911とアルミナ層912とのうち少なくとも一方を含む。特に無機金属化合物層91は、核8を覆うシリカ層911を含むことが好ましい。更に、無機金属化合物層91は、シリカ層911を覆うアルミナ層912を含むことが好ましい。尚、シリカ層911はシリカからなる層であり、アルミナ層912はアルミナからなる層である。
被覆層9は、有機金属化合物層92を含んでもよい。有機金属化合物層92は、有機金属化合物からなる層である。有機金属化合物は、例えばポリシロキサン、シランカップリング剤及びチタンカップリング剤からなる群から選択される少なくとも一種の材料を含有する。
有機金属化合物層92がポリシロキサン層921を含んでもよい。ポリシロキサン層921は、ポリシロキサンからなる層である。ポリシロキサン層921は、図3に示すように、無機金属化合物層91を覆っていることが好ましい。
尚、酸化亜鉛粒子7が無機金属化合物を含有すること及び有機金属化合物を含有することは、元素分析又はGC/MS測定で確認できる。
酸化亜鉛粒子7がシリカ層911を備えると、シリカ層911は、核8の表面上のラジカルの移動を効果的に抑制することができ、このため光反射体1に特に高い耐光性が付与される。更に、シリカ層911は親水性が高いため、すなわちシリカ層911の表面には水酸基が多く存在するため、シリカ層911の表面は無機金属化合物又は有機金属化合物で容易に修飾され得る。このため、シリカ層911上にアルミナ層912等の無機金属化合物からなる層又はポリシロキサン層921等の有機金属化合物からなる層を、容易に形成できる。
アルミナ層912も、核8の表面上のラジカルの移動を効果的に抑制することができ、このため光反射体1に特に高い耐光性が付与される。アルミナ層912は、酸化亜鉛粒子7の凝集を特に効果的に抑制することもできる。更に、アルミナ層912は親油性が高いため、成形材料中の不飽和ポリエステルと酸化亜鉛粒子7との親和性、及び光反射体1中の不飽和ポリエステルの硬化物と酸化亜鉛粒子7との親和性が高くなる。このため、酸化亜鉛粒子7の凝集が抑制されると共に光反射体1の強度が高くなる。また、アルミナ層912の表面はポリシロキサン等の有機金属化合物で容易に修飾され得るため、アルミナ層912の表面上にポリシロキサン層921等の有機金属化合物からなる層を、容易に形成できる。
被覆層9の最外層にポリシロキサン層921があると、成形材料中の不飽和ポリエステルと酸化亜鉛粒子7との親和性、及び光反射体1中の不飽和ポリエステルの硬化物と酸化亜鉛粒子7との親和性が特に高くなる。このため、成形材料中及び光反射体1中での酸化亜鉛粒子7の凝集が特に抑制されると共に、光反射体1の強度が特に高くなる。また、ポリシロキサン層921も、ラジカルの移動を効果的に抑制できるため、光反射体1に特に高い耐光性が付与される。
100質量部の酸化亜鉛粒子7に対して、シリカ層911は1〜4質量部の範囲内であることが好ましい。尚、このシリカ層911の量は、成形材料中及び光反射体1中の酸化亜鉛粒子7全体における平均値である。シリカ層911が1質量部以上であると、シリカ層911がラジカルの移動を効果的に抑制できるため、光反射体1の耐光性が特に高くなる。また、シリカ層911が4質量部以下であると、シリカ層911が核8から特に剥離しにくいため、シリカ層911を含む被覆層9の機能を長時間持続させることができる。100質量部の酸化亜鉛粒子7に対して、シリカ層911が5〜3.5質量%の範囲内であれば更に好ましい。
100質量部の酸化亜鉛粒子7に対して、アルミナ層912は0.5〜4質量部の範囲内であることが好ましい。尚、このアルミナ層912の量は、成形材料中の酸化亜鉛粒子7全体における平均値である。アルミナ層912が0.5質量部以上であると、アルミナ層912がラジカルの移動を効果的に抑制できるため、光反射体1の耐光性が特に高くなる。更に、酸化亜鉛粒子7の凝集が特に効果的に抑制される。また、アルミナ層912が4質量部以下であると、アルミナ層912が特に剥離しにくいと共に、酸化亜鉛粒子7の優れた光反射性を維持することで光反射体1の光反射性を向上できる。100質量部の酸化亜鉛粒子7に対して、アルミナ層912が0.5〜3質量部の範囲内であれば更に好ましい。
シリカ層911及びアルミナ層912の各々は、乾式法と湿式法のうち、いずれの方法で形成されてもよい。特に湿式法で形成されると、均一性が高いと共に緻密な被覆層9を形成できる。
ポリシロキサン層921は、例えばポリメチル水素シロキサン(例えば東レ製のSH 1107 フルイド)を触媒の存在下で縮合反応させることで形成される。触媒は、例えば亜鉛、錫、ニッケル、クロム、コバルト及び白金、並びにこれらのハロゲン化物からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有できる。
100質量部の酸化亜鉛粒子7に対して、ポリシロキサン層921は0.5〜1.5質量部の範囲内であることが好ましい。尚、このポリシロキサン層921の量は、成形材料中の酸化亜鉛粒子7全体における平均値である。ポリシロキサン層92!が0.5質量部以上であると、ポリシロキサン層921がラジカルの移動を効果的に抑制できるため、光反射体1の耐光性が特に高くなる。更に、酸化亜鉛粒子7の凝集が特に効果的に抑制される。また、ポリシロキサン層921が1.5質量部以下であると、ポリシロキサン層921が特に剥離しにくい。
被覆層9は、核8を覆うシリカ層911と、シリカ層911を覆うアルミナ層912と、アルミナ層912を覆うポリシロキサン層921とを備えることが、特に好ましい。被覆層9がシリカ層911とアルミナ層912とを共に備えると、外部から核8への光の進入が著しく抑制されると共に、核8から外部へのラジカルの移動が著しく抑制される。これにより、光反射体1の耐候性及び耐UV性が特に向上する。更に、核8の吸湿が抑制されることで、核8から成形材料中及び光反射体1中への酸化亜鉛の溶出が抑制され、これによっても光反射体1の黄変が抑制される。更に、被覆層9がポリシロキサン層921を備えると、外部から核8への光の進入が更に抑制されると共に、核8から外部へのラジカルの移動が更に抑制される。これにより、光反射体1の耐候性及び耐UV性が更に向上する。更に、核8の吸湿が抑制されることで、核8から成形材料中及び光反射体1中への酸化亜鉛の溶出が抑制され、これによっても光反射体1の黄変が抑制される。
被覆層9の厚みは、0.01〜250nmの範囲内であることが好ましい。被覆層9の厚みが0.01nm以上であると、被覆層9におけるトンネル効果による量子的な電子移動が抑制されることで、光反射体1の高い光反射性が維持される。また、被覆層9の厚みが250nm以下であると、被覆層9における光の吸収が抑制されることで、光反射体1の高い光反射性が維持される。被覆層9の厚みが0.01〜50nmの範囲内であれば特に好ましい。
酸化亜鉛粒子7の平均粒径は、0.2〜4μmの範囲内であることが好ましい。酸化亜鉛粒子7の平均粒径が0.2μm以上であれば、成形時の成形材料の高い流動性が得られる。更に、高いミー散乱効果が得られることで、光反射体1の可視光の反射性が特に高くなる。酸化亜鉛粒子7の平均粒径が4μm以下であることによっても、光反射体1の可視光の反射性が特に高くなる。酸化亜鉛粒子7の平均粒径が0.2〜2μmの範囲内であれば更に好ましく、0.4〜1μmの範囲内であれば特に好ましい。尚、平均粒径は、レーザー回折散乱法で測定される。
尚、一般的な白色顔料である酸化チタン粒子を用いる場合には、高い光反射性を得るためには酸化チタン粒子の粒径が小さい方が好ましい。しかし、酸化チタン粒子の粒径が小さいと、成形時に成形材料が増粘しやすいため、成形性の悪化を招いてしまう。一方、本実施形態では、酸化亜鉛粒子7の平均粒径は、反射率向上のためには酸化チタン粒子の場合よりも大きいことが好ましい。これは、酸化亜鉛と酸化チタンとでは、屈折率の差異に起因して高いミー散乱効果が得られる粒径範囲が異なるためであると考えられる。このため、本実施形態では、成形材料が酸化亜鉛粒子7を含有することで、成形時の成形材料の良好な流動性を確保して良好な成形性を得ながら、光反射体1に高い光反射性を付与できる。また、酸化亜鉛粒子7の濃度が高くても成形材料の成形性は悪化しにくいため、酸化亜鉛粒子7の濃度を高くして光反射体1の光反射性を更に向上しても、良好な成形性を確保できる。
成形材料全体に対して、酸化亜鉛粒子7が20〜50質量%の範囲内であることが好ましい。酸化亜鉛粒子7が20質量%以上であれば光反射体1の光反射性が特に高くなる。また酸化亜鉛粒子7が50質量%以下であれば成形時の成形材料の流動性が特に良好であると共に光反射体1に成形不良が生じにくくなる。
白色顔料は、酸化亜鉛粒子7のみを含有することが好ましいが、酸化亜鉛粒子7以外の材料を更に含有してもよい。例えば白色顔料は、酸化亜鉛粒子7に比べて、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム及び炭酸バリウムからなる群から選択される少なくとも一種の材料を含有してもよい。白色顔料全体に対して、酸化亜鉛粒子7以外の材料は50質量%以下であることが好ましい。
白色顔料の表面は、脂肪酸、カップリング剤等で表面処理されていてもよい。この場合、白色顔料の凝集、吸油等が抑制され、成形材料内での白色顔料の充填性が高くなる。
成形材料全体に対して、白色顔料が15〜40質量%の範囲内であることが好ましい。この場合、光反射体1の耐熱変色性が特に高くなると共に、光反射体1の光反射性も特に高くなる。
また、成形材料中の熱硬化性樹脂100質量部に対して、白色顔料は100質量部以上であることが好ましく、100〜300質量部の範囲内であれば更に好ましい。
成形材料中の不飽和ポリエステルは、結晶性不飽和ポリエステル又は非晶性不飽和ポリエステルを含有できる。不飽和ポリエステルは、結晶性不飽和ポリエステルと非晶性不飽和ポリエステルとの混合物であってもよい。
結晶性不飽和ポリエステルが結晶性を有していることは、例えば結晶性不飽和ポリエステルを加熱して溶融させてから、−10℃/分の割合で室温まで冷却する場合に、白濁が生じることで、確認される。また、この結晶性は、結晶性不飽和ポリエステルを加熱して溶融させてから、−10℃/分の割合で室温まで冷却する場合に、偏光特性が生じることが、偏光顕微鏡を用いて観察されることでも、確認される。このような結晶性の確認は、例えばリンカム社製の顕微鏡用冷却加熱ステージを用いておこなわれる。
不飽和ポリエステルは、結晶性不飽和ポリエステルを含むことが好ましい。この場合、成形材料の保存安定性を高めることができるとともに、成形時の成形材料の流動性を高めることができる。また、結晶性不飽和ポリエステルによって、光反射体1の反射率を高めることができると共に、高い反射率を長期間維持できる。
不飽和ポリエステルは、50℃以下で固体状であることが好ましい。その場合、成形材料の保存形状安定性、取り扱い性、作業性を高めることができる。
不飽和ポリエステルは、50℃以上の温度で軟化を開始することが好ましい。それにより、成形材料の成形性を高めることができる。不飽和ポリエステルの軟化開始温度は200℃以下であってよい。不飽和ポリエステルの軟化開始温度は、より好ましくは60〜150℃の範囲であり、さらに好ましくは80〜130℃の範囲である。
不飽和ポリエステルは不飽和ポリエステルは、不飽和アルキッド樹脂ともよばれる。不飽和ポリエステルは多塩基酸残基とポリオール残基とを有し、多塩基酸残基が不飽和多塩基酸残基を含む。多塩基酸残基とポリオール残基とのモル比は、例えば1:1.1〜1:1.3の範囲内である。
不飽和多塩基酸類は、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、及びグルタコン酸からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有できる。
不飽和多塩基酸残基は、例えばマレイン酸残基、フマル酸残基、シトラコン酸残基、メサコン酸残基、イタコン酸残基、テトラヒドロフタル酸残基、メチルテトラヒドロフタル酸残基、及びグルタコン酸残基からなる群から選択される少なくとも一種の基を含有する。
飽和多塩基酸残基は、例えばフタル酸残基、イソフタル酸残基、テレフタル酸残基、コハク酸残基、アジピン酸残基、セバチン酸残基、アゼライン酸残基、テトラヒドロフタル酸残基、メチルテトラヒドロフタル酸残基、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸残基、ヘット酸残基及びテトラブロムフタル酸残基からなる群から選択される少なくとも一種の基を含有できる。
多塩基酸残基は、不飽和多塩基酸残基のみを含有してもよく、不飽和多塩基酸残基と飽和多塩基酸残基とを含有してもよい。全多塩基酸残基に対して、不飽和多塩基酸残基は、90〜100モル%の範囲内であることが好ましい。
ポリオール残基は、例えば1,6−ヘキサンジオール残基、トリメチロールプロパン残基、ネオペンチルグリコール残基、シクロヘキサン1,4―ジメタノール残基、エチレングリコール残基、1,3−プロパンジオール残基、1,4−ブタンジオール残基、1,3−ブタンジオール残基、1,5−ペンタンジオール残基、1,2−プロパンジオール残基、ジエチレングリコール残基、トリエチレングリコール残基、ジプロピレングリコール残基、水素化ビスフェノールA残基、ビスフェノールAプロピレンオキシド化合物残基及びジブロムネオペンチルグリコール残基からなる群から選択される少なくとも一種の基を含有できる。
不飽和ポリエステルは、例えば多塩基酸残基に対応する多塩基酸類とポリオール残基に対応するポリオール類とを脱水縮合反応させることで合成される。不飽和ポリエステルの製造において、多塩基酸類の選択及び組合せ、グリコール類の選択及び組合せ、それらの配合割合等を適宜選択することにより、結晶性を有する不飽和ポリエステルを得ることができる。
不飽和ポリエステルの酸価は、5〜40mg−KOH/gの範囲内であることが好ましく、15〜35mg−KOH/gの範囲内であればより好ましく、20〜30mg−KOH/gの範囲内であれば更に好ましい。
不飽和ポリエステルのガラス転移温度は30〜50℃の範囲内であることが好ましい。不飽和ポリエステルのガラス転移温度が30℃以上である場合、成形材料の保存安定性が特に高くなる。すなわち、例えば成形材料が粒状に粉砕されてから保管される場合、夏場などの高温時に成形材料の粒子同士が融着することが抑制される。また、このガラス転移温度が50℃より高くなることは、それに伴って不飽和ポリエステルの融点が高くなりすぎるおそれがある点で、好ましくない。不飽和ポリエステルのガラス転移温度は、構成成分の組成比率や分子量を調整することで容易に調整可能である。
不飽和ポリエステルの融点は70〜100℃の範囲内であることが好ましい。不飽和ポリエステルの融点が100℃以下である場合、成形材料の調製のための加熱混練時に、硬化反応を進行させることなく不飽和ポリエステルを溶融させることが容易となる。このため、硬化物を含まない成形材料が容易に調製される。不飽和ポリエステルの融点が70℃以上である場合は、光反射体1の光反射率の低下が抑制される。その理由は次の通りであると推察される。成形材料が粉砕装置で粉砕される際に、粉砕装置が発する熱や摩擦熱等で不飽和ポリエステルが溶融してしまい、つまり成形材料が部分的に溶融状態となってしまう。この部分的に溶融状態となった成形材料が粉砕装置における回転翼等の金属部品と衝突すると、成形材料が金属部品と接触した状態で擦れ合いやすくなる。そうすると、成形材料中の充填材等の硬質な成分と、金属部品とが擦れ合うことで、金属部品から金属粉が生じてこれが成形材料に混入しやすくなる。この金属粉が、光反射体1の光反射率の低下を引き起こすと考えられる。しかし、不飽和ポリエステルの融点が70℃以上であると、成形材料が粉砕装置で粉砕される際に不飽和ポリエステルが溶融しにくくなる。そうすると、成形材料が回転翼等の金属部品と衝突すると、成形材料が速やかに粉砕されやすくなり、このため、成形材料と金属部品との擦れ合いが生じにくくなる。このため、成形材料中へ金属粉が混入しにくくなり、これにより光反射体1の光反射率の低下が抑制される。
更に、70〜100℃の範囲内の融点を有する不飽和ポリエステルは、成形材料が成形される際に成形材料に特に優れた流動性を付与することができ、このため成形材料がトランスファ成形法で成形される場合でも成形性が向上する。
尚、不飽和ポリエステルの融点とは、不飽和ポリエステルを昇温しながら示差走査熱量測定(DSC)をする場合に、融解熱のピークが現れる温度である。
不飽和ポリエステルのヨウ素価は70〜100の範囲内であることが好ましい。不飽和ポリエステルのヨウ素価が70以上であると光反射体1のガラス転移温度が特に高くなり、ヨウ素価が120以下であると光反射体1の反応性が低くなると共に光反射体1の強度が特に高くなる。ヨウ素価が80〜110の範囲内であれば更に好ましい。不飽和ポリエステルのヨウ素価は、例えば不飽和ポリエステル中のフマル酸残基の割合を調整することで容易に調整可能である。
不飽和ポリエステルの150℃でのICI粘度が1〜5Pa・sの範囲内であることが好ましい。この場合、成形時に成形材料に適度な流動性が付与され、成形性が特に良好になると共にバリの発生が効果的に抑制される。不飽和ポリエステルのICI粘度は、不飽和ポリエステルの組成を適宜調整することで、容易に調整される。
成形材料は、不飽和ポリエステルと反応する架橋剤を含有してもよい。架橋剤とは、不飽和ポリエステルと反応することで不飽和ポリエステルの鎖間に架橋構造を構築する成分である。架橋剤は、例えばスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル等のビニル系の重合性モノマー;ジアリルフタレート、イソジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルテトラブロムフタレート、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートなどのメタクリレート系及びアクリレート系の重合性モノマー;並びにこれらの重合性モノマーのうち少なくとも一種の化合物が重合して成るプレポリマーからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有できる。
成形材料が架橋剤を含有する場合、不飽和ポリエステルと架橋剤との合計量に対して、架橋剤は例えば2〜15質量%の範囲内である。架橋剤が2質量%以上であれば光反射体1のガラス転移点が特に高くなり、15質量%以下であれば光反射体1の耐熱変色性が特に高くなる。
尚、架橋剤が存在しなくても不飽和ポリエステルが熱硬化性を有する場合は、成形材料は架橋剤を含有しなくてもよい。
重合開始剤は、例えば加熱分解型の有機過酸化物を含有できる。有機過酸化物は、例えばt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシオクトエート、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、及びジクミルパーオキサイドからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有できる。
有機過酸化物の10時間半減期温度は100℃以上であることが好ましい。そのためには、特に有機過酸化物がジクミルパーオキサイドを含有することが好ましい。
成形材料中における全不飽和ポリエステルに対して、有機過酸化物は1〜3質量%の範囲内であることが好ましい。有機過酸化物が1質量%以上であると成形材料の硬化反応を効果的に促進できる。有機過酸化物が3質量%以下であると成形時間が過度に短縮されることを抑制して、光反射体1におけるカスレなどの不良を抑制できる。
成形材料は、重合禁止剤を含有してもよい。重合禁止剤は、例えばハイドロキノン、モノメチルエーテルハイドロキノン、トルハイドロキノン、ジ−t−4−メチルフェノール、モノメチルエーテルハイドロキノン、フェノチアジン、t−ブチルカテコール、パラベンゾキノン、ピロガロール等のキノン類、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2−メチレンービス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン等のフェノール系化合物からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有できる。
成形材料は、熱硬化性樹脂として不飽和ポリエステル樹脂のみを含有してもよいが、それ以外の熱硬化性樹脂、例えばエポキシ樹脂を更に含有してもよい。但し、全熱硬化性樹脂に対して、不飽和ポリエステル樹脂は、50質量%以上であることが好ましい。
成形材料は、白色顔料以外の充填材を含有してもよい。白色顔料以外の充填材は、例えば無機充填材及び繊維状充填材のうち少なくとも一方を含有できる。
成形材料が無機充填材を更に含有すると、光反射体1の光反射性が更に高くなると共に、光反射体1の形状安定性が更に高くなる。また、無機充填材は、光反射体1の熱伝導率を高めることもできる。それにより、光反射体1の熱による変色及び劣化が、更に抑制される。
無機充填材は、例えばシリカ、炭酸カルシウム、タルク、ワラストナイト、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、アルミナ、窒化珪素、窒化硼素及びマイカからなる群から選択される少なくとも一種の材料を含有できる。
無機充填材は、特にシリカを含有することが好ましい。この場合、光反射体1の光反射性が更に高まると共に、光反射体1の形状安定性が更に高まる。シリカは、例えば、溶融シリカ粉末、球状シリカ粉末、破砕シリカ粉末、及び結晶シリカ粉末からなる群から選択される少なくとも一種の材料を含有できる。特にシリカが溶融シリカを含有することが好ましい。
無機充填材が、熱伝導性無機充填材を含有することも好ましい。この場合、光反射体1の熱伝導性が特に高くなり、このため光反射体1の熱による変色、劣化等が、更に抑制される。熱伝導性無機充填材は、例えば結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、窒化硼素、窒化アルミニウム等からなる群から選択される少なくとも一種の材料を含有できる。
熱伝導性無機充填材は、金属含有充填材を含有することが好ましく、特にアルミニウム含有充填材を含有することが好ましい。アルミニウム含有充填材は、例えば水酸化アルミニウムを含有できる。
無機充填材の表面には、脂肪酸、カップリング剤等で表面処理されていてもよい。この場合、無機充填材の凝集、吸油等が抑制され、成形材料内での無機充填材の充填性が高くなる。
無機充填材が、中空粒子を含有することも好ましい。中空粒子は、例えば中空ガラス粒子及び中空シリカ粒子のうち少なくとも一方を含有できる。
成形材料に対して、中空粒子は5〜15質量%の範囲内であることが好ましい。中空粒子が5質量%以上であることで、光反射体1の耐紫外線性が特に向上する。中空粒子が15質量%以下であることで、成形時に成形材料の粘度上昇を抑制できる。
中空粒子は、炭酸カルシウム、酸化亜鉛及びタルクからなる群から選択される少なくとも一種の材料で表面処理されていることが好ましい。すなわち、中空粒子は、炭酸カルシウム、酸化亜鉛及びタルクからなる群から選択される少なくとも一種の材料で被覆されていることが好ましい。この場合、光反射体1の白色度が向上すると共に光反射体1の耐紫外線性も向上する。その考えられる理由の一つとして、中空粒子が表面処理されることで中空粒子の成形材料及び光反射体1内での分散性が向上することが挙げられる。
中空粒子の好ましい具体例として、住友スリーエム株式会社製の品番S60−HS(中空ガラスビーズ)が挙げられる。
無機充填材の平均粒径は、100μm以下であることが好ましい。この場合、成形材料の成形性が特に良好になると共に、光反射体1の耐熱変色性及び耐湿性が特に高くなる。この平均粒径は、0.1μm以上であることが好ましい。この場合、成形材料の取扱い性が良好になる。無機充填材の平均粒径は、80μm以下であればより好ましく、50μm以下であれば更に好ましい。また、無機充填材の平均粒径は、0.3μm以上であればより好ましい。更に、無機充填材の平均粒径が8〜20μmの範囲内であれば、成形材料の射出成形性が特に良好になる。尚、無機充填材の平均粒径は、レーザー回折散乱法で測定される。
成形材料中の全熱硬化性樹脂に対して、無機充填材は40質量%以上であることが好ましい。この場合、光反射体1の形状安定性が特に高くなる。全熱硬化性樹脂に対して、無機充填材は300質量%以下であることも好ましい。この場合、成形材料の成形性が特に高くなる。この無機充填材が50〜250質量%の範囲内であれば、特に好ましい。
成形材料全体に対して、白色顔料と無機充填材の合計は、44〜74質量%の範囲内であることが好ましく、50〜72質量%の範囲内であれば更に好ましい。
また、成形材料中の全熱硬化性樹脂に対して、白色顔料と無機充填材との合計は500質量部以下であることが好ましく、100〜400質量部の範囲内であれば更に好ましい。この場合、成形時に成形材料の特に良好な成形性が得られる。
白色顔料と無機充填材との合計に対して、白色顔料は30質量%以上であることが好ましく、40〜85質量%の範囲内であれば更に好ましい。
成形材料は、繊維状充填材を含有してもよく、繊維状充填材を含有しなくてもよい。充填材が繊維状充填材を含有すると、成形時に成形材料の硬化収縮が抑制されると共に、光反射体1の強度が高くなり、更に光反射体1の寸法安定性が高くなる。
繊維状充填材の平均繊維径は6〜12μmの範囲内であることが好ましく、6〜8μmの範囲内であれば更に好ましい。この場合、光反射体1の強度が特に高くなる。また、繊維状充填材の平均繊維長は100〜300μmの範囲内であることが好ましく、150〜250μmの範囲であれば更に好ましい。この場合、光反射体1の強度が特に向上すると共にその光反射率も特に向上する。繊維状充填材の平均繊維径及び平均繊維長は、それぞれ、繊維状充填材中の繊維の電子顕微鏡写真を画像処理することで得られる繊維径及び繊維長の、算術平均値である。
繊維状充填材は、例えばBMC(バルク・モールディング・コンパウンド)、SMC(シート・モールディング・コンパウンド)等のFRP(ファイバー・レインフォースド・プラスチックス)に用いられる繊維状の充填材を含有できる。例えば繊維状充填材は、ガラス繊維、ビニロン繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ワラストナイト、チタン酸カリウムウィスカー、炭酸カルシウムなどの炭酸塩のウィスカー、及びハイドロタルサイトからなる群から選択される少なくとも一種の材料を含有できる。特に、繊維状充填材が、ガラス繊維を含有することが好ましい。
繊維状充填材が、脂肪族ウレタン系収束剤で処理されていることも好ましい。この場合、繊維状充填材が脂肪族ウレタン系収束剤で束ねられ、かつ、成形材料及び光反射体1中の樹脂と繊維状充填材との密着性が高くなる。これにより、成形材料中及び光反射体1中での、繊維状充填材の分散性が良好になる。このため、繊維状充填材が光反射体1の機械的強度を効果的に向上できると共に、繊維状充填材が光反射体1の光反射性を阻害しにくくなり、その結果、光反射体1の高い強度と高い光反射性とが確保される。更に、脂肪族ウレタン系収束剤は、不飽和基等の黄変の原因となる部位が少ないことから黄変しにくいため、経時的な光反射体1の光反射性の低下が生じにくくなる。繊維状充填材は、まずアミノシランカップリング剤で処理されてから、脂肪族ウレタン系収束剤で処理されていることが、好ましい。この場合、繊維状充填材への脂肪族ウレタン系収束剤の密着性が高くなる。
成形材料中の全熱硬化性樹脂に対して、繊維状充填材は10〜200質量%の範囲内であることが好ましい。この場合、成形時に成形材料の硬化収縮が特に抑制されると共に、光反射体1の強度が特に高くなる。繊維状充填材が20〜100質量%の範囲内であればより好ましく、30〜80質量%の範囲内であれば更に好ましい。
成形材料全体に対して、繊維状充填材は3〜20質量%の範囲内であることが好ましく、5〜15質量%の範囲内であれば更に好ましい。これらの場合、光反射体1の曲げ強度が特に向上する。更に、これらの場合、材料収縮率を低下させることができる。すなわち、温度サイクル試験などで、光反射体1のクラックの発生が抑制される。
成形材料全体に対して、充填材は20〜90質量%の範囲内であることが好ましい。この場合、成形時に成形材料の優れた流動性が確保される。尚、充填材とは、白色顔料、無機充填材及び繊維状充填材を合わせた成分である。充填材が50〜90質量%の範囲内であればより好ましく、60〜85質量%の範囲内であれば特に好ましい。
成形材料中の全熱硬化性樹脂に対して、充填材は500質量%以下であることが好ましい。この場合、成形時に成形材料の流動性が特に高くなる。全熱硬化性樹脂に対して、充填材が100質量%以上であることも好ましい。この場合、光反射体1の光反射性が特に高くなる。充填材は、100〜400質量%の範囲内であればより好ましく、200〜300質量%の範囲内であれば更に好ましい。
充填材全体に対して、白色顔料は30質量%以上であることが好ましい。この場合、光反射体1の光反射性が特に高くなる。充填材全体に対して、白色顔料が95質量%以下であることも好ましい。白色顔料が35〜90質量%の範囲内であればより好ましく、40〜85質量%の範囲内であれば更に好ましい。
成形材料は、酸化防止剤を含有することが好ましい。この場合、光反射体1の変色が更に抑制され、光反射体1の経時的な光反射性の低下が、更に生じにくくなる。酸化防止剤は、例えばフェノール系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有できる。酸化防止剤は、発色団を生成する化合物を含有しないことが好ましい。
成形材料が、特にリン系酸化防止剤を含有することが好ましい。この場合、光反射体1の、加工時の黄変及び経時的な黄変が、更に抑制され、これにより光反射体1の光反射率の低下が更に抑制される。特に成形材料がトリグリシジルイソシアヌラートを含有する場合に、更にリン系酸化防止剤も含有すると、光反射体1の光反射率の低下が、大幅に抑制される。リン系酸化防止剤は、例えば9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト及びジステアリルペンタエリスリトール−ジ−ホスファイトからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有できる。成形材料全体に対して、リン系酸化防止剤は0.1〜0.5質量%の範囲内であることが好ましい。
成形材料が硫黄系酸化防止剤を含有することも好ましい。硫黄系酸化防止剤の具体例としては、株式会社ADEKA製の品名アデカスタブAO−412Sが挙げられる。成形材料全体に対して、硫黄系酸化防止剤は0.5質量%以下であることが好ましく、0.01〜0.5質量%の範囲内であれば更に好ましい。
成形材料は、離型剤を含有してもよい。離型剤は、例えば一般に用いられる脂肪酸系ワックス、脂肪酸金属塩系ワックス、及び鉱物系ワックスからなる群から選択される少なくとも一種の材料を含有できる。特に、離型剤は、耐熱変色性に優れた脂肪酸系ワックス又は脂肪酸金属塩系ワックスを含有することが好ましい。
離型剤は、特にステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、及びステアリン酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも一種の材料を含有することが好ましい。
熱硬化性樹脂100質量部に対して、離型剤は1〜15質量部の範囲内であることが好ましい。この場合、成形時に光反射体1の良好な離型性と光反射体1の優れた外観とが両立すると共に、光反射体1の光反射性が特に高くなる。
尚、成形材料は、上記成分以外に、着色剤、増粘剤、難燃剤、可撓性付与剤等の、適宜の添加剤を含有してもよい。
成形材料は、熱可塑性樹脂を含有してもよい。この場合、成形時の収縮が抑制されるため、光反射体1の寸法安定性が高くなる。熱可塑性樹脂は、例えばポリスチレン、シリコーンエラストマ、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンスチレンゴム及びポリメチルメタクリレートからなる群から選択される一種以上の成分を含有できる。成形材料100質量部に対して、熱可塑性樹脂は例えば0.5〜20質量部の範囲内である。
成形材料は、固体状であってよい。この場合、成形材料の保存安定性及びハンドリング性が高くなる。例えば成形材料は、粒状、粉末状等であってよい。特に成形材料が、30℃以下で固体であることが好ましい。この場合、粉砕加工、押出しペレット加工等で、成形材料が粒状に容易に加工されうる。成形材料が、50℃以下で保形性を有することも好ましい。この場合、成形材料の取扱い性、成形材料を使用する場合の作業性が、特に高くなる。
成形材料は、無溶媒で調製されてもよい。すなわち、成形材料は溶媒を含まなくてもよい。この場合、固体状の成形材料が容易に得られる。
成形材料の調製にあたっては、例えばまず成形材料の原料が所定の割合で配合され、ミキサー、ブレンダー等の混合機で混合されることで、混合物が得られる。この混合物が加熱加圧可能な混練機、押出機等で混練される。混練機として、例えば加圧ニーダー、熱ロール、エクストルーダー等が用いられる。この混練時の加熱温度は、80〜120℃の範囲内であることが好ましい。この場合、不飽和ポリエステルが硬化することなく溶融することで、成形材料の均一性が高くなる。続いて混合物のバルク体が、粉砕・整粒され、或いは更に必要に応じて造粒されることで、粒状、粉末状、ペレット状等の成形材料が得られる。粉砕時に、本実施形態では不飽和ポリエステルが溶融しにくいため、金属摺れによる光反射体1の光反射率の低下が抑制される。
本実施形態に係る成形材料の180℃におけるスパイラルフロー長さが30cm以上であることが好ましい。本実施形態に係る成形材料の180℃におけるキュラストメータのトルクが1.96N・m(20kgf・cm)以上であることも好ましい。この場合、成形材料の流動性が特に優れ、成形材料がトランスファ成形法で容易に成形されると共に光反射体1にバリの発生が抑制される。
光反射体1は、成形材料の硬化物を備える。例えば成形材料を成形して硬化させることで、光反射体1が得られる。成形方法として、射出成形法、射出圧縮成形法、トランスファ成形法等の適宜の溶融加熱成形法が適用可能である。トランスファ成形法の場合の成形条件は、例えば金型温度が150〜200℃の範囲内、トランスファ圧力が5〜20MPaの範囲内、硬化時間が30〜300秒、好ましくは30〜180秒の範囲内である。必要に応じてポストキュア処理が施されてもよい。
図1及び図2に、光反射体1を備える発光装置6の例を示す。この発光装置6は、光反射体1、金属製のリード2及び発光素子3を備える。本例では、光反射体1にリード2が埋め込まれていることで、光反射体1とリード2とが組み合わされている。尚、本実施形態に係る成形材料から作製される光反射体1及び発光装置6の構造は、本例のみには限られない。
リード2は、第一のリード21と第二のリード22とを備える。光反射体1は、リード2に重ねられている本体部12と、第一のリード21と第二のリード22との間に介在する介在部11とを備える。本体部12には、その上面で開口する凹所13が形成されている。第一のリード21と第二のリード22の各々は、凹所13の底面で凹所13内に露出している。リード2の下面上には、第一のリード21上から第二のリード22上に跨がる絶縁性の部材5が設けられ、この部材5が、第一のリード21と第二のリード22との間の短絡を抑制する。
発光素子3は、例えば発光ダイオードであるが、これに限られない。発光素子3は、凹所13内で第一のリード21上に実装されている。更に凹所13内で、発光素子3と第一のリード21とが第一のワイヤ41で電気的に接続されると共に、発光素子3と第二のリード22とが第二のワイヤ42で接続されている。
この光反射体1の凹所13の内周面14は、凹所13の内径が開口側ほど大きくなるように傾斜している。このため、発光素子3から発せられる光が、光反射体1における凹所13の内周面14で反射しやすくなり、その結果、発光装置6からの光の取り出し効率が高くなる。
この発光装置6の凹所13内が必要により透明な樹脂で封止されてもよく、凹所13の開口が透明なカバ−で覆われてもよい。
このような金属製のリード2が埋め込まれている光反射体1は、例えばインサート成形法で製造される。すなわち、例えばリード2を含むリードフレームをトランスファ成形金型の内部に配置し、この状態で、トランスファ成形金型内で成形材料をトランスファ成形し、必要に応じてリードフレームからリード2を切り離すことで、光反射体1が得られる。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明する。但し、本発明は下記実施例に限定されない。
[実施例及び比較例]
後掲の表に示す成分を用意し、これらの成分を、シグマブレンダーを用いて均一に混合した後、100℃に加熱した熱ロールで混練することで、シート状の混練物を得た。この混練物を冷却・粉砕・整粒した。これにより、粒状の成形材料を得た。
後掲の表に示す成分を用意し、これらの成分を、シグマブレンダーを用いて均一に混合した後、100℃に加熱した熱ロールで混練することで、シート状の混練物を得た。この混練物を冷却・粉砕・整粒した。これにより、粒状の成形材料を得た。
尚、白色顔料としては、表に示す酸化亜鉛粒子を用意した。各酸化亜鉛粒子の平均粒径、被覆層の層構成、及び被覆層中の層の酸化亜鉛粒子全体に対する量は、表に示す通りである。尚、被覆層の層構成は、下層側(核側)から順に示している。
白色顔料以外の成分の詳細は次の通りである。
・不飽和ポリエステル:酸価20mg−KOH/gのテレフタル酸系不飽和アルキッド樹脂、日本ユピカ株式会社製、品名ユピカ8552。
・架橋剤:ジアリルフタレートモノマー、ダイソー株式会社製、品名ダップモノマー。
・重合開始剤:ジクミルパーオキサイド(40%マスターバッチ)、日油株式会社製、品名パークミルD40。
・無機充填材:シリカ(溶融シリカ、平均粒径25μm)、電気化学工業株式会社製、品番FB82。
・補強材:ガラス繊維、繊維長3mm、オーエンスコーニングジャパン社製、品番CS03IE83。
・不飽和ポリエステル:酸価20mg−KOH/gのテレフタル酸系不飽和アルキッド樹脂、日本ユピカ株式会社製、品名ユピカ8552。
・架橋剤:ジアリルフタレートモノマー、ダイソー株式会社製、品名ダップモノマー。
・重合開始剤:ジクミルパーオキサイド(40%マスターバッチ)、日油株式会社製、品名パークミルD40。
・無機充填材:シリカ(溶融シリカ、平均粒径25μm)、電気化学工業株式会社製、品番FB82。
・補強材:ガラス繊維、繊維長3mm、オーエンスコーニングジャパン社製、品番CS03IE83。
[評価試験]
1 タブレット打錠性
超硬合金製の金型を用い、各実施例及び各比較例の樹脂成形物を、25℃の雰囲気中で、圧縮圧力5MPaの条件で3秒間圧縮することで打錠することで、タブレット状のサンプルを得た。各実施例及び各比較例において、サンプルを100回作製し、サンプルの金型への張り付きが一度も生じなかった場合を「A」、サンプルの金型への張り付きが一度でも生じた場合を「B」と評価した。
1 タブレット打錠性
超硬合金製の金型を用い、各実施例及び各比較例の樹脂成形物を、25℃の雰囲気中で、圧縮圧力5MPaの条件で3秒間圧縮することで打錠することで、タブレット状のサンプルを得た。各実施例及び各比較例において、サンプルを100回作製し、サンプルの金型への張り付きが一度も生じなかった場合を「A」、サンプルの金型への張り付きが一度でも生じた場合を「B」と評価した。
2 光反射性
2.1 初期
成形材料を、金型温度180℃、トランスファ圧力7MPa、硬化時間180秒の条件でトランスファ成形法で成形することで、直径50mm、厚み1.0mmの円盤状の評価用サンプルを作製した。成形直後の評価用サンプルの、波長460nmでの光反射率を、コニカミノルタ社製の分光測色計CM−3500dを用いて測定した。
2.1 初期
成形材料を、金型温度180℃、トランスファ圧力7MPa、硬化時間180秒の条件でトランスファ成形法で成形することで、直径50mm、厚み1.0mmの円盤状の評価用サンプルを作製した。成形直後の評価用サンプルの、波長460nmでの光反射率を、コニカミノルタ社製の分光測色計CM−3500dを用いて測定した。
2.2 加熱処理後
評価用サンプルに、150℃で1000時間加熱処理を施してから、この評価用サンプルの波長460nmでの光反射率を測定した。
評価用サンプルに、150℃で1000時間加熱処理を施してから、この評価用サンプルの波長460nmでの光反射率を測定した。
2.3 紫外線照射・加熱処理後
評価用サンプルに、HIDランプ(高圧水銀灯)を光源としてUV光を照射しながら、140℃で1000時間加熱処理を施した。続いて、この評価用サンプルの波長460nmでの光反射率を測定した。
2.4 高温高湿処理後
評価用サンプルに、85℃85%RHの雰囲気に曝露する処理を1000時間施してから、この評価用サンプルの波長460nmでの光反射率を測定した。
評価用サンプルに、HIDランプ(高圧水銀灯)を光源としてUV光を照射しながら、140℃で1000時間加熱処理を施した。続いて、この評価用サンプルの波長460nmでの光反射率を測定した。
2.4 高温高湿処理後
評価用サンプルに、85℃85%RHの雰囲気に曝露する処理を1000時間施してから、この評価用サンプルの波長460nmでの光反射率を測定した。
3 スパイラルフロー長さ測定
EMMI−1−66の規格に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて、成形材料を成形型温度180℃、成形圧力7MPaの条件で成形した場合のスパイラルフロー長さ(cm)を測定した。
EMMI−1−66の規格に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて、成形材料を成形型温度180℃、成形圧力7MPaの条件で成形した場合のスパイラルフロー長さ(cm)を測定した。
4 成形物の曲げ強度の評価
各実施例及び比較例の成形材料を、成形金型温度180℃、成形圧力7MPa、硬化時間180秒の条件下でトランスファ成形法で成形し、4mm×10mm×80mmの寸法のテストピースを得た。このテストピースについて、JIS K6911に準拠して曲げ強度を測定した。支点間距離は64mm、クロスヘッドスピードは2mm/分とした。
各実施例及び比較例の成形材料を、成形金型温度180℃、成形圧力7MPa、硬化時間180秒の条件下でトランスファ成形法で成形し、4mm×10mm×80mmの寸法のテストピースを得た。このテストピースについて、JIS K6911に準拠して曲げ強度を測定した。支点間距離は64mm、クロスヘッドスピードは2mm/分とした。
5 連続成形性
金型として3030型を用い、成形材料を金型温度180℃、トランスファ圧力7MPa、硬化時間180秒の条件でトランスファ成形法で成形することで、成形体を得た。成形体を連続して成形し、得られた成形体における欠けの不良の有無、並びに脱型時に成形体の一部が金型に取り残される不良の有無を毎回確認した。不良なき場合は連続成形可能であると判断し、不良がでるまで連続成形可能なショット数を、100回を上限として評価した。
金型として3030型を用い、成形材料を金型温度180℃、トランスファ圧力7MPa、硬化時間180秒の条件でトランスファ成形法で成形することで、成形体を得た。成形体を連続して成形し、得られた成形体における欠けの不良の有無、並びに脱型時に成形体の一部が金型に取り残される不良の有無を毎回確認した。不良なき場合は連続成形可能であると判断し、不良がでるまで連続成形可能なショット数を、100回を上限として評価した。
6 保存性
各実施例及び比較例で得られた成形材料を、35℃の恒温恒湿機内に1ヶ月間保管してから、成形材料のブロッキングの有無及び変色の有無を目視評価した。その結果、変化が認められない場合を「A」、変化が認められる場合を「B」と、評価した。
各実施例及び比較例で得られた成形材料を、35℃の恒温恒湿機内に1ヶ月間保管してから、成形材料のブロッキングの有無及び変色の有無を目視評価した。その結果、変化が認められない場合を「A」、変化が認められる場合を「B」と、評価した。
7 試験結果
以上の試験の結果を、下記表1及び表2に示す。
以上の試験の結果を、下記表1及び表2に示す。
1 光反射体
6 発光装置
6 発光装置
Claims (13)
- 不飽和ポリエステルと、重合開始剤と、酸化亜鉛粒子とを含有し、
前記酸化亜鉛粒子が、酸化亜鉛からなる核と、前記核を覆う、金属化合物を含有する被覆層とを備える光反射体用成形材料。 - 前記被覆層が、前記核を覆う無機金属化合物層を含む請求項1に記載の光反射体用成形材料。
- 前記無機金属化合物層が、前記核を覆うシリカ層を含む請求項2に記載の光反射体用成形材料。
- 前記酸化亜鉛粒子100質量部に対して、前記シリカ層が1〜4質量部の範囲内である請求項3に記載の光反射体用成形材料。
- 前記無機金属化合物層が、前記シリカ層を覆うアルミナ層を含む請求項3又は4に記載の光反射体用成形材料。
- 前記酸化亜鉛粒子100質量部に対して、前記アルミナ層が0.5〜4質量部の範囲内である請求項5に記載の光反射体用成形材料。
- 前記被覆層が有機金属化合物層を含む請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光反射体用成形材料。
- 前記被覆層が有機金属化合物層を含み、前記有機金属化合物層が前記無機金属化合物層を覆っている請求項2乃至6のいずれか一項に記載の光反射体用成形材料。
- 前記有機金属化合物層がポリシロキサン層を含む請求項7又は8に記載の光反射体用成形材料。
- 前記酸化亜鉛粒子100質量部に対して、前記ポリシロキサン層が0.5〜1.5質量部の範囲内である請求項9に記載の光反射体用成形材料。
- 前記酸化亜鉛粒子の平均粒径が0.4〜4μmの範囲内である請求項1乃至10のいずれか一項に記載の光反射体用成形材料。
- 請求項1乃至11のいずれか一項に記載の光反射体用成形材料の硬化物を備える光反射体。
- 請求項12に記載の光反射体と、発光素子とを備える発光装置。
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