JP2017018877A - 懸濁液から粉末油脂を分離する方法 - Google Patents
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Abstract
Description
粉末油脂の製造方法は、小規模多品種のバッチ製造が主流となっている。このため、製造装置の配管ラインの洗浄の頻度が多くなり、かつ、徹底した洗浄が求められる。この結果、配管ラインに残存する粉末油脂を低濃度で含む洗浄廃水が大量に排出される。この洗浄廃水は、遠心分離や凝集剤の添加により水と粉末油脂とを分離して廃水処理される。
一方、粉末油脂の懸濁液を対象とするのではなく油中水型エマルジョンを処理する技術においては、高圧二酸化炭素ガスを用いて油中水型エマルジョンを解乳化する方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。この方法では、2MPa〜8MPa程度の高圧力で二酸化炭素加圧してエマルジョン中に含まれる非水系溶剤に二酸化炭素を溶解させ非水系溶剤を膨張させることによりエマルジョンを破壊して、水相と油相に分離している。
また、粉末油脂の懸濁液は、分散性が良好なため、遠心分離などの方法では分離するのが難しく、例えば、粉末油脂を低濃度で含む洗浄廃水を遠心分離法により処理しても、水と粉末油脂とを分離できないことが多い。また、粉末油脂を低濃度で含む洗浄廃水に凝集剤を添加して廃水処理する場合、大量の凝集剤を使用する必要があり、また、分離処理後に水に含まれる凝集剤を処理する必要がある。このため、廃水処理コストが増加するという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、低コストで懸濁液から粉末油脂を分離する方法を提供する。
二酸化炭素は、常圧でもバブリングなどにより容易に懸濁液に溶解させることができる。従って本発明において、懸濁液に二酸化炭素を溶解させる工程では、二酸化炭素を懸濁液に高圧で加える装置は必要なく、二酸化炭素を常圧付近(1気圧〜1.5気圧程度)で懸濁液に加える装置があればよいので装置コストも低く抑えることができる。
また、水に溶解した二酸化炭素は容易に空気中に放出されるため、分離した水も低コストで処理することができる。
従って、本発明の分離方法によれば、短時間低コストで懸濁液を粉末油脂と水とに分離することができる。
本発明の分離方法において、粉末油脂とは、固体状の脂肪微粒子の粉である。粉末油脂は、乳化剤、タンパク質、糖ポリマー、乳化性糖質、二酸化ケイ素微粒子などを含んでもよい。また、粉末油脂は、50℃以上の融点を有してもよい。
本発明の分離方法において、懸濁液とは分散媒である水に固体状態の粉末油脂が分散した系をいう。
このことにより、洗浄廃水に含まれる水と粉末油脂とを分離することができ、大量の洗浄廃水を低コストで廃水処理することが可能になる。また、分離した水を製造装置の洗浄に再利用することが可能になる。
本発明の分離方法において、懸濁液に二酸化炭素を溶解させる工程は、懸濁液に二酸化炭素ガスを加圧溶解させる工程、懸濁液中に二酸化炭素ガスを吹き込みバブリング処理する工程、または懸濁液と二酸化炭素ガスとの気液スラグ流(管内を気体と液体が交互に流れる流動状態)を形成する工程であることが好ましい。
また、本発明の分離方法において、懸濁液に二酸化炭素を溶解させる工程では、懸濁液に二酸化炭素ガスを強制的に混合して、懸濁液中に二酸化炭素ガスの気泡が分散した状態を形成することが好ましい。
このことにより、懸濁液に二酸化炭素を溶解させることができ、懸濁液に分散した粉末油脂を凝集させることができる。
本発明の分離方法において、懸濁液に二酸化炭素を溶解させる工程は、二酸化炭素ガスを圧力1.5気圧以下で懸濁液に接触させることによって行うことが好ましい。
このことにより、簡単な装置で懸濁液を処理することができ、処理コストを低減することができる。
このことにより、凝集した粉末油脂と水とを容易に分離することができる。
本発明の分離方法において、前記懸濁液の粉末油脂濃度は、3000ppm以下であることが好ましい。
このことにより、大量の洗浄廃水を低コストで廃水処理することが可能になる。
本実施形態の分離方法は、固体状態の粉末油脂2が水に分散した懸濁液7に二酸化炭素を溶解させ粉末油脂2を凝集させるCO2溶解工程と、凝集した粉末油脂2と水とを分離する分離工程とを含むことを特徴とする。
本実施形態の分離方法において、粉末油脂2とは、固体状態の脂肪微粒子3の粉である。粉末油脂2は、乳化剤、タンパク質、糖ポリマー、乳化性糖質、二酸化ケイ素微粒子などを含んでもよい。また、粉末油脂2は、50℃以上の融点を有してもよい。
本実施形態の分離方法において、懸濁液7とは、分散媒である水に固体状態の粉末油脂2(脂肪微粒子3)が分散した系をいう。例えば、懸濁液7は、図1の左上図のように分散媒である水5に、脂肪微粒子3が分散した懸濁液である。
懸濁液7は粉末油脂以外の不純物などを含んでもよい。また、懸濁液7は、水道水、井戸水、蒸留水、再生水、純水などの不純物の少ない水に粉末油脂2が分散した懸濁液であってもよい。
また、粉末油脂2の大きさについては、懸濁液7をJIS P 3801に規定される2種に相当するろ紙でろ過したとき、粉末油脂2がろ紙を通過する懸濁液であってもよい。このような微細な粉末油脂2が水中に分散した懸濁液7は、特に分散性が良好であって、粉末油脂2と水とに分離するのが一般的に難しいが、本実施形態の分離方法によって容易に分離することができる。
また、懸濁液7は、粉末油脂2の製造装置を洗浄することにより生じる洗浄廃水であってもよい。この洗浄廃水は、粉末油脂2の製造装置の容器や配管に付着した粉末油脂2が洗浄水に分散した懸濁液となる。また、懸濁液7に含まれる粉末油脂2の濃度は低くなる。また、製造装置の洗浄により大量の洗浄廃水が排出される。また、懸濁液7は、洗浄水に水道水、井戸水、蒸留水、再生水、純水などの不純物の少ない水を使用することにより排出される洗浄廃水であってもよい。
また、懸濁液7の粉末油脂濃度は、3000ppm以下であってもよく、2000ppm以下であってもよく、1000ppm以下であってもよい。このような希薄な懸濁液7であっても、本実施形態の分離方法によれば、粉末油脂2と水とを低コストで分離することができる。
CO2溶解工程は、固体状態の粉末油脂2が水に分散した懸濁液7にCO2を溶解させ粉末油脂2を凝集させる工程である。懸濁液7にCO2を溶解させることにより粉末油脂2が凝集することは本発明者が行った実験により明らかになった。CO2溶解工程により、懸濁液7は粉末油脂2の凝集体4を含む水へと変化する。
図2は、本実施形態の分離方法に含まれるCO2加圧溶解工程の説明図である。
このCO2溶解工程の例では、密閉容器に懸濁液7及びCO2ガスを入れて、密閉容器を振盪する。
例えば、図2(a)のように、シリンジ22で懸濁液7とCO2ガスと吸引し、シリンジ22を密閉する。その後、図2(b)のように、シリンジ22の内部体積を圧縮させシリンジ22の内部を加圧状態にした状態でシリンジ22を振盪する。
このように加圧状態でシリンジ22を振盪することにより、CO2ガスを懸濁液7に溶解させることができ、粉末油脂2を凝集させることができる。また、CO2加圧溶解工程は、加圧状態のシリンジ22の振盪と、図2(c)のように内部を減圧状態としたシリンジ22の振盪とを交互に繰り返してもよい。このことにより、CO2ガスの溶解を促進することができる。
また、CO2溶解工程において、懸濁液7を入れた容器にドライアイスを入れることによって、容器の内部を加圧状態にした状態でCO2を溶解させもよい。
このバブリング処理は、例えば、図1の右上図のように懸濁液7にCO2ガスを吹き込み気泡9を発生させることにより行うことができる。
バブリング処理において、懸濁液7中に配置した多孔質体にCO2ガスを供給して気泡9を発生させてもよく、このことにより、気液界面の面積をさらに広くすることができ、CO2ガスを効率よく懸濁液7に溶解させることができる。
CO2溶解工程は、懸濁液7とCO2ガスとの気液スラグ流(管内を気体と液体が交互に流れる流動状態)を形成する工程であってもよい。このことにより連続的に懸濁液7にCO2ガスを溶解させることができる。例えば、管8を流通する懸濁液7にCO2ガスを吹き込むことにより、図3のように懸濁液7とCO2ガスとが交互に管8に流れる気液スラグ流を形成して、懸濁液7に連続的にCO2ガスを溶解させることができる。
分離工程は、CO2溶解工程により凝集した粉末油脂2(凝集体4)と水とを分離する工程である。この工程により、粉末油脂2と水とを分離することができ、粉末油脂2と水とを別々に処理することが可能になる。このため、粉末油脂2を再利用することや焼却処理することが可能になる。また、水を再利用することや排水することが可能になる。
分離工程は、凝集した粉末油脂2(凝集体4)を含む水を、多孔質(ろ材)を使ってろ過する工程であってもよい。CO2溶解工程により形成した凝集体4は、脂肪微粒子3に比べ十分に大きいため、ろ材を通過することない。また、ろ材の目詰まりも生じにくく、水だけがろ材をスムースに通過する。従って、ろ過により凝集体4と水とに容易に短時間で分離することができる。
このことにより、粉末油脂2と水とを容易に分離することができる。例えば図1の左下図のように、分離工程では、凝集体4を含む水をろ過することにより、ろ紙12上に残る残渣20とろ液17とに分離することができる。残渣20は、凝集体4であった粉末油脂2がろ紙12上に残ることにより形成され、ろ液17は澄んだ水となる。
また、分離工程は、遠心分離により凝集体4と水とを分離する工程であってもよい。また、分離工程は、凝集体4を含む水を静置し凝集体4を浮上又は沈降させ分離する工程であってもよい。
なお、分離工程により分離した水(ろ液17)はCO2が溶解しているため弱酸性となっているが、CO2を含む水を開放状態で放置することによりCO2は大気中に放出される。また、CO2を含む水を加熱処理することによりCO2は大気中に放出される。従って、分離工程により分離した水のpHは容易に上昇させることができる。また、CO2を含む水を加熱処理することにより放出させたCO2を回収しCO2を再利用することもできる。
水に粉末油脂が分散した懸濁液にCO2加圧溶解処理を施し、水と粉末油脂を分離する実験を行った。
懸濁液は、純水に市販の粉末油脂を添加することにより、1000ppmの粉末油脂を含む懸濁液を調製した。調製した懸濁液は、白濁した状態であり、時間が経過してもこの状態が続いた。また、粉末油脂が容器の底に溜まることはなかった。さらに、液体状の油が懸濁液に浮くことはなかった。このことから、懸濁液では、固体状態の脂肪微粒子が水に分散した状態となっていると考えられる。なお、他の実験でも同じように懸濁液を調製した。
図4に示した写真のように、調製した懸濁液が白濁した状態であるのに対し、CO2の加圧溶解処理を施した試料1〜4では、粉末油脂の凝集が確認された。また、図5に示した写真のように、静置処理を施した試料1〜4では、凝集した粉末油脂(凝集体)が液面付近に集まり、液面付近以外の水が澄むことが確認された。
加圧溶解処理後の試料1〜4を定性ろ紙(アドバンテック東洋株式会社製ADVANTEC No.2、他のろ過でもこのろ紙を用いた)を用いてろ過したところ、凝集した粉末油脂は、残渣としてろ紙上に残り、ろ液が澄んでいることが確認された。なお、調製した懸濁液をろ過したところ、ろ液は白濁していた。従って、調製した懸濁液にCO2加圧溶解処理を施すことにより、懸濁液に分散した粉末油脂を、ろ過により除去可能な凝集体に変化させることができた。
図1の右上図のように、調製した1000ppmの粉末油脂が分散した懸濁液20g(試料5)にCO2ガスを吹き込み、懸濁液にバブリング処理を施した。CO2ガスは、0.3L/minで5分間懸濁液に吹き込んだ。なお、バブリング処理後の試料5のpHは、4.2であった。
図7はバブリング処理後の試料5の写真である。また、図7には、比較のために調製した懸濁液の写真も示している。バブリング処理を施した試料5でも粉末油脂が凝集することが確認された。また、試料5をろ過したところ、凝集した粉末油脂は、残渣としてろ紙上に残り、ろ液が澄んでいることが確認された。
Claims (7)
- 固体状態の粉末油脂が水に分散した懸濁液に二酸化炭素を溶解させ前記粉末油脂を凝集させる工程と、
凝集した前記粉末油脂と水とを分離する工程とを含む分離方法。 - 前記懸濁液は、前記粉末油脂の製造装置を洗浄することにより生じる洗浄廃水である請求項1に記載の方法。
- 前記懸濁液に二酸化炭素を溶解させる工程は、前記懸濁液に二酸化炭素ガスを加圧溶解させる工程、前記懸濁液中に二酸化炭素ガスを吹き込みバブリング処理する工程、または前記懸濁液と二酸化炭素ガスとの気液スラグ流を形成する工程である請求項1又は2に記載の方法。
- 前記懸濁液に二酸化炭素を溶解させる工程では、
前記懸濁液に二酸化炭素ガスを強制的に混合して、前記懸濁液中に二酸化炭素ガスの気泡が分散した状態を形成する請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。 - 前記懸濁液に二酸化炭素を溶解させる工程は、
二酸化炭素ガスを圧力1.5気圧以下で前記懸濁液に接触させることによって行われる請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。 - 前記分離する工程は、凝集した前記粉末油脂を含む水をろ過する工程である請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
- 前記懸濁液の粉末油脂濃度は、3000ppm以下である請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
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