以下、実施形態に係る個人情報印刷機1を、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
まず、図1及び図2を参照して、第1の実施形態に係る個人情報印刷機1の構成を説明する。図1は、第1の実施形態に係る個人情報印刷機1の構成を示す模式図である。図2は、第1の実施形態に係る個人情報印刷機1の第2の熱源7近傍を拡大して示す図である。
第1の実施形態に係る個人情報印刷機1は、例えば、個人情報や顔写真をカード基材22に印刷した身分証明書を発行する身分証明書発行機の内部に設けられる装置である。
第1の実施形態に係る個人情報印刷機1には、インクリボン21が設置され、カード基材22が準備される。第1の実施形態に係る個人情報印刷機1は、軸回りに巻かれた状態で初めに設置されたインクリボン21を、黒色矢印で示す方向に送り出す送出軸2と、送出軸2の下流側に配置され、カード基材22に後述する第1パターンを印刷するための第1の熱源4及びローラ6と、第1の熱源4及びローラ6の下流側に配置され、インクリボン21が軸回りに一周以上巻かれた状態で初めに設置され、送り出されたインクリボン21を黒色矢印で示す方向に巻き取る巻取軸3と、巻取軸3の近傍に設けられ、転写済のインクリボン21に後述する第2パターンを転写するための第2の熱源7aと、これら各部を制御する制御部10(図3に図示)と、を有する。なお、インクリボン21は、複数のガイドローラ9に沿って搬送される。また、第1の熱源4は、第1の発熱体5を有し、第2の熱源7aは、第2の発熱体8aを有する。
図2の拡大図に示すように、インクリボン21は、ベースフィルム23とインク層24とを有し、ベースフィルム23に熱溶融性のインクが塗布されている帯状の中間転写体である。
送出軸2及び巻取軸3は、インクリボン21が巻きつけられるロール状の回転軸である。主に巻取軸3を駆動し、黒色矢印で示す方向へ回転させることで、インクリボン21を送出軸2から巻取軸3へ送る。送出軸2は、巻取軸3の駆動によるインクリボン21の送り出しを停止する際に、慣性モーメントによる余分な送り出しを抑制するために、黒色矢印で示す方向とは逆方向へ微小時間回転させるように駆動する。これにより、リボンがたるむのを防止する。ガイドローラ9は、送出軸2と巻取軸3との間に複数個配置されているものであり、インクリボン21の送り出しを補助するものである。
インクリボン21は、初めに、オペレータやマシンにより、第1の実施形態に係る個人情報印刷機1内へ設置される。このときインクリボン21は、インクリボン21のインク層24がベースフィルム23よりも外側に位置するよう、インクリボン21が送出軸2に何重か巻きつけられた状態である。また、インクリボン21のベースフィルム23がインク層24よりも外側に位置するよう、インクリボン21が巻取軸3に少なくとも一周分巻きつけられた状態である。また、複数のガイドローラ9に沿って、たるみの無い状態でピンと張られた状態である。
なお、インクリボン21が沿うガイドローラ9の配置及び後述する第1の熱源4及びローラ6の配置によっては、インクリボン21は、インクリボン21のベースフィルム23がインク層24よりも外側に位置するよう、インクリボン21が送出軸2に巻きつけられていてもよい。
カード基材22は、インクリボン21のインク層24にあるインクが転写されることで、氏名や識別番号の文字等の像である個人情報の文字列である第1パターンが印刷される、被転写体である。第1パターンは、カード基材22毎に固有の文字列となる。
カード基材22は、オペレータやマシンにより身分証明書発行機へ挿入されるか、身分証明書発行機の内部にストックされる。このようにしてカード基材22が準備されると、身分証明書発行機の内部にある個人情報印刷機1に向けて搬送可能な状態となる。
インクリボン21が、複数のガイドローラ9に沿って送出軸2及び巻取軸3に設置され、また、カード基材22が準備されると、第1の実施形態に係る個人情報印刷機1は、個人情報の印刷処理及び個人情報の秘匿処理を開始する。
まず、巻取軸3を回転させることで、インクリボン21を黒色矢印で示す方向へ送り出す。同時に、カード基材22を、個人情報印刷機1内の、第1の熱源4及びローラ6が設置されている印刷位置まで搬送する。
第1の熱源4は、第1の発熱体5を有し、第1の発熱体5を加熱することで、インクリボン21のインク層24にあるインクの一部を熱溶融させるものである。第1の熱源4は、例えば、可動式のサーマルヘッドである。第1の熱源4は、矢印D1で示す方向に退避可能に設けられている。第1の熱源4は、個人情報の印刷処理中はインクリボン21に接してインクリボン21を押圧する位置にあり、個人情報の印刷処理以外の間はインクリボン21から離れた位置にある。
このように第1の熱源4が退避可能に設けられていることにより、巻取駆動が停止している間のように、第1の熱源4による加熱が不要な場合には、第1の熱源4を矢印D1で示す方向に退避させることで、印刷位置にあるインクリボン21との接触を任意に中止することが可能となる。
ローラ6は、カード基材22を支持及び搬送するものである。ローラ6は、回転自由に設けられている。カード基材22は、ローラ6の矢印R1で示す方向への回転により、白色矢印で示す方向へ搬送される。
カード基材22に印刷すべき個人情報の文字列(第1パターン)の情報は、印刷対象のカード基材1枚分である印刷枠毎に、身分証明書発行機の図示しない上位装置から、制御部10へ送信される。
第1の熱源4及びローラ6は、インクリボン21及びカード基材22を、挟持する。カード基材22は、挟持されながら白色矢印で示す方向へ搬送される。この間、第1の熱源4は、ローラ6の回転により搬送されるカード基材22の搬送速度に合わせ、第1パターンに対応して、第1の発熱体5を加熱する。これによって、インクリボン21のインク層24にあるインクが、第1パターンで熱溶融し、カード基材22に対して第1パターンで転写される。すなわち、カード基材22上に、個人情報の印刷がされる(図6(a)参照)。
このとき同時に、カード基材22への転写によりインクが抜けた箇所であるインク抜け跡が、第1パターンに対応した形状で、インクリボン21のインク層24に形成される(図6(b)参照)。
以上により、個人情報の印刷処理が実行される。カード基材22に個人情報の文字列である第1パターンの印刷がされることで、カード基材22は、身分証明書等の所有者個人を識別できるものとなる。
この後、個人情報の印刷がされたカード基材22は、身分証明書発行機の内部を搬送され、顔写真の印刷等その他の工程を経て、身分証明書発行機の外部へと排出される。
その一方で、第1の熱源4により、インク抜け跡が形成されて転写済のインクリボン21となった転写済インクリボン21は、次の印刷対象のカード基材1枚分である印刷枠について個人情報の印刷処理が行われるとともに順次送り出され、巻取軸3により巻き取られる。
ここで、図2に示すように、第1の実施形態において、巻取軸3に巻き取られている転写済インクリボン21のうち最外層に位置する転写済インクリボン21を第nの転写済インクリボン21(n≧2の整数)と称し、第nの転写済インクリボン21よりも内側で巻取軸3に巻き取られ、第nの転写済インクリボン21と隣接している転写済インクリボン21を、第n−1の転写済インクリボン21と称することとする。
同様にして、第n−1の転写済インクリボン21よりも内側で巻取軸3に巻き取られ、第n−1の転写済インクリボン21と隣接している転写済インクリボン21を、第n−2の転写済インクリボン21と称することとする。
すなわち、最外層からk層目の転写済インクリボン21(1≦k≦nの整数)を、第n+1−kの転写済インクリボン21と称する。
第2の熱源7aは、第2の発熱体8aを有し、第2の発熱体8aを加熱することで、転写済インクリボン21のインク層24に残留しているインクの一部を熱溶融させるものである。第1の実施形態に係る個人情報印刷機1において、第2の熱源7aはローラ形状であり、ローラ外周に配置された突起部である第2の発熱体8aからなるヒータローラである。
第2の熱源7aは、回転可能に設けられており、例えば矢印R2で示す方向に第2の熱源7aを回転させることで、ヒータローラ外周にある第2の発熱体8aが、巻取軸3の最外層にある第nの転写済インクリボン21と順に接し、インクを溶融させる。
第2の熱源7aは、所定の文字等の像である秘匿情報の文字列である第2パターンが、ヒータローラ外周に配置された第2の発熱体8aによって構成されている。
第2の熱源7aを、第nの転写済インクリボン21へ押圧しながら、例えば矢印R2で示す方向に一周回転させると、加熱された第2の発熱体8aにより、第nの転写済インクリボン21のインク層24nに残留しているインクの一部が溶融し、第n−1の転写済インクリボン21のベースフィルム23n−1に対して第2パターンが転写される。
このとき、第nの転写済インクリボン21のインク層24nに、第1パターンに対応したインク抜け跡と重なった状態で、第2パターンに対応したインク抜け跡が形成される(図6(c1)参照)。
第2パターンは、第1の熱源4における第1パターンとは異なるよう設定されている。ここでは、第2パターンは、予め好適に設定された文字列である。第nの転写済インクリボン21のインク層24nに、第2パターンに対応したインク抜け跡を形成することによって、第nの転写済インクリボン21のインク層24nにすでに形成されていた個人情報である第1パターンに対応したインク抜け跡を、判読困難に乱すことができる。
以上により、個人情報の秘匿処理が実行される。個人情報の秘匿処理により、転写済インクリボン21のインク抜け跡の形状から、カード基材22に印刷された個人情報が特定されることを防ぐことができる。
なお、巻取軸3においては、巻き取りが進むにつれて、巻取軸3により巻き取られる転写済インクリボン21により構成されるロール体の外径が増加していく。このようなロール体の外径の増加に対応するため、第2の熱源7aは、ロール体の半径方向(矢印D2で示す方向及びその逆方向)に移動可能に設けられている。これによって、第2の熱源7aは、個人情報の秘匿処理中は、巻取軸3に巻き取られた転写済インクリボン21のうち最外層にある第nの転写済インクリボン21に接するように、位置が調整される。
さらに、第2の熱源7aは、矢印D2で示す方向に退避可能に設けられている。第2の熱源7aは、個人情報の秘匿処理中は転写済インクリボン21に接してインクリボン21を押圧する位置にあり、個人情報の秘匿処理以外の間は転写済インクリボン21から離れた位置にある。
このように第2の熱源7aが退避可能に設けられていることにより、巻取駆動が停止している間のように、第2の熱源7aによる加熱が不要な場合には、第2の熱源7aを矢印D2で示す方向に退避させることで、巻取軸3に巻き取られている転写済インクリボン21との接触を任意に中止することが可能となる。
なお、第2の発熱体8aの温度は、第nの転写済インクリボン21のインク層24のインクnが全域にわたって溶融され、これによって第nの転写済インクリボン21と第n−1の転写済インクリボン21とが接着されるという現象が生じない程度に、低く設定されている。
ここで、図3を参照して、第1の実施形態に係る個人情報印刷機1の電気的構成を説明する。図3は、第1の実施形態に係る個人情報印刷機1の電気的構成を示すブロック図である。
第1の実施形態に係る個人情報印刷機1の制御部10は、インクリボン巻取制御部11と、カード基材搬送制御部12と、第1パターン転写制御部13と、第2パターン転写制御部14と、インターフェース部15と、を有する。インクリボン巻取制御部11には、巻取軸3及び送出軸2が接続されている。カード基材搬送制御部12には、ローラ6が接続されている。第1パターン転写制御部13には、第1の熱源4及び第1の発熱体5が接続されている。第2パターン転写制御部14には、第2の熱源7及び第2の発熱体8が接続されている。また、これら制御部10は、インターフェース部15を介して、図示しない上位装置に接続されている。
インクリボン巻取制御部11は、巻取軸3を回転させることで、インクリボン21を黒色矢印で示す方向へ送り出す。また、インクリボン巻取制御部11は、巻取軸3の回転を停止する際等に、送出軸2を回転させる。
なお、後述するように、インクリボン21にたるみが生じた場合のインクリボン21のたるみ取り処理や、インクリボン21の残量が所定値以下になった場合のインクリボン21の最終巻取処理の場合に、インクリボン21のたるみ量や残量を検知した値が入力される(図示せず)場合がある。
カード基材搬送制御部12は、ローラ6を回転させることで、カード基材22を図1中の白色矢印で示す方向へ搬送する。
第1パターン転写制御部13は、第1の熱源4の退避制御及び第1の発熱体5の加熱制御と、を行う。これらの制御は、図示しない上位装置からインターフェース部15を介して受信した第1パターンの情報に基づいて行われる。
第2パターン転写制御部14は、第2の熱源7aの退避制御及びロール体の外径方向の位置制御と、第2の発熱体8aの加熱制御と、を行う。
以上の構成により、カード基材22への個人情報の印刷処理及び転写済インクリボン21への個人情報の秘匿処理が終了する。身分証明書発行機の内部では、一定の間隔を置きながらカード基材22が1枚ずつ繰り出され、上記処理が連続して行われる。
第1の実施形態に係る個人情報印刷機1によれば、転写済インクリボン21のインク層24に残留しているインクの一部を、さらに、第1パターンとは異なる文字列からなる第2パターンで溶融させることで、転写済インクリボン21のインク抜け跡が、第1パターンと第2パターンとが重なった迷彩模様の形状となる。よって、第三者が転写済インクリボン21を入手したとしても、第1パターンと第2パターンとが重なった迷彩模様のインク抜け跡からは、個人情報である第1パターンを判読することが困難となる。
(第2の実施形態)
次に、図4を参照して、第2の実施形態に係る個人情報印刷機1の構成を説明する。図4は、第2の実施形態に係る個人情報印刷機1の構成を示す模式図である。第2の実施形態に係る個人情報印刷機1は、第2の熱源7bが、ヒータローラではなく可動式のサーマルヘッドであり、転写の都度、異なる第2パターンを転写することができる。
第2の実施形態に係る個人情報印刷機1は、送出軸2と、第1の熱源4と、第1の発熱体5と、ローラ6と、巻取軸3と、第2の熱源7bと、第2の発熱体8bと、複数のガイドローラ9と、制御部10(図3に図示)と、を有する。第2の実施形態に係る個人情報印刷機1には、インクリボン21が設置され、カード基材22が準備される。
第2の熱源7b及び第2の発熱体8b以外は、第1の実施形態に係る個人情報印刷機1と同様の構成であるため、説明を省略する。
第2の実施形態に係る個人情報印刷機1において、第2の熱源7bは、例えば、第2の発熱体8bを有する可動式のサーマルヘッドである。第2の発熱体8bを加熱することで、転写済インクリボン21のインク層24に残留しているインクの一部を熱溶融させる。
第2の熱源7bであるサーマルヘッドは、第2の発熱体8bが、巻取軸3の最外層にある第nの転写済インクリボン21と接し、インクを溶融させるよう、制御される。
なお、第2の熱源7aと同様にして、巻取軸3に巻き取られた転写済インクリボン21のうち最外層にある第nの転写済インクリボン21に第2の熱源7bが接するように位置調整するため、第2の熱源7bは、ロール体の半径方向(矢印D2で示す方向及びその逆方向)に移動可能に設けられている。
また、第2の熱源7aと同様にして、第2の熱源7bによる加熱が不要な場合に、巻取軸3に巻き取られている転写済インクリボン21との接触を任意に中止することができるようにするため、第2の熱源7bは、矢印D2で示す方向に退避可能に設けられている。
第2の熱源7b及び第2の発熱体8bの制御により、第nの転写済インクリボン21のインク層24のインクnの一部が溶融し、第n−1の転写済インクリボン21のベースフィルム23nー1に対して第2パターンが転写される。
このとき、第nの転写済インクリボン21のインク層24nに、第1パターンに対応したインク抜け跡と重なった状態で、第2パターンに対応したインク抜け跡が形成される(図6(c2)参照)。
第2パターンは、第1の熱源4における第1パターンとは異なるよう設定されている。ここで、第2パターンは、ランダムに生成される文字列である。第nの転写済インクリボン21のインク層24nに、第2パターンに対応したインク抜け跡を形成することによって、第nの転写済インクリボン21のインク層24nにすでに形成されていた個人情報である第1パターンに対応したインク抜け跡を、判読困難に乱すことができる。
ここで、ランダムに生成される文字列である第2パターンについて、図3及び図4を参照して説明する。
図3で示した第2パターン転写制御部14は、第2の熱源7bの退避制御と、ロール体の外径方向の位置制御と、第2の発熱体8bの加熱制御と、を行う。これらの制御は、図示しない上位装置からインターフェース部15を介して受信した第1パターンの情報に基づいて行われる。
又は、文字列の生成が、第2パターン転写制御部14ではなく図示しない上位装置において実行される場合は、これらの制御は、図示しない上位装置からインターフェース部15を介して受信した、上位装置で生成された第2パターンの情報に基づき、行われる。
図3において、例えば、第2パターン転写制御部14が、文字列をランダムに生成する場合について説明する。この場合、第2パターン転写制御部14は、生成したランダムな文字列である第2パターンの情報を、第2の熱源7bへ送信する。第2の実施形態における個人情報印刷機1においては、第2パターンを、カード基材1枚分の印刷枠と対応した、転写済インクリボン21上の転写枠毎に生成することができる。なお、第2パターンの生成頻度は、カード基材複数枚分である複数の転写枠毎等であってもよい。
続いて、第2の熱源7bの第2の発熱体8bは、生成されたランダムな文字列(パターン2)で、第nの転写済インクリボン21をベースフィルム23n側から加熱及び押圧する。これによって、第nの転写済インクリボン21のインク層24nに残留しているインクの一部が、第n−1の転写済インクリボン21のベースフィルム23nー1上に転写される。
なお、加熱された第2の熱源7bにより印加される熱エネルギーは、何層にも巻き返されている転写済インクリボン21の最外層(第nの転写済インクリボン21)だけでなく、その内側の層(第n−1の転写済インクリボン21、第n−2の転写済インクリボン21、…)まで到達する場合もある。このとき、印加された熱エネルギーは、ある程度内層で巻きつけられている転写済インクリボン21の部位までも作用させることができる。
すなわち、第nの転写済インクリボン21のインク層24nに残留しているインクの一部が、例えば時刻Tbのとき生成された第2パターンで第n−1の転写済インクリボン21のベースフィルム23nー1上に転写されるだけでなく、このとき同時に、第n−1の転写済インクリボン21のインク層24n−1に残留しているインクの一部が、時刻Tbのとき生成された第2パターンで第n−2の転写済インクリボン21のベースフィルム23nー2上にも転写される。なお、第n−1の転写済インクリボン21のインク層24n−1に残留しているインクの一部は、転写済インクリボン21n−1がこのとき以前に巻取軸3を一周する前に、例えば時刻Taのとき生成された第2パターンで第n−2の転写済インクリボン21のベースフィルム23nー2上にすでに転写がされている。印加される熱エネルギー量の調整によっては、さらに内層の転写済インクリボン21においても、同様の転写が行われる。
すなわち、第2パターン転写制御部14の加熱制御(温度調整)により、一度の加熱及び押圧だけで、最外層からk層目の転写済インクリボン21である第n+1−kの転写済インクリボン21(ここでは、2≦k<nの整数)のうち少なくとも1層の転写済インクリボン21のインク層24n+1−kのインクを、第2パターンで、第n+1−kの転写済インクリボン21よりも内側に位置する第n−kの転写済インクリボン21のベースフィルム23nーkにも転写する場合がある。
第2の発熱体7bからの熱により、転写済インクリボン21は、実質的に、複数回、時刻Taのとき生成された第2パターンと、時刻Tbのとき生成された第2パターンと、というようにその都度異なる第2パターンが転写済インクリボン21上の同じ箇所(カード基材1枚分の印刷枠と対応した、転写済インクリボン21上の転写枠)に転写されるのと同じ効果を得て、転写済インクリボン21のインク抜け跡は、さらに複数種の文字が重なった迷彩模様の形状となる。よって、転写済インクリボン21から個人情報である第1パターンを判読することが、より一層困難となる。
なお、第1の実施形態に係る個人情報印刷機1においては、毎回同じ第2パターンが転写されるが、巻取軸3に巻き取られる転写済インクリボン21により構成されるロール体の外径の増加に伴い、第2パターンが転写される位置が、カード基材1枚分の印刷枠と対応した、最外層よりも内側にある各層の転写済インクリボン21上の転写枠に対して少しずつずれていく。このずれに伴い、最外層よりも内側にある層の転写済インクリボン21のインク抜け跡の形状が、複数種の文字が重なった迷彩模様の形状となる場合がある。この場合も、転写済インクリボン21から個人情報である第1パターンを判読することが、より一層困難となる。
ここで、図5を参照して、第2の実施形態に係る個人情報印刷機1の文字列生成手段について説明する。図5は、第2の実施形態に係る個人情報印刷機1の文字列生成手段の一例を示す図である。
ランダムに生成された文字列である第2パターンを生成する文字列生成手段の例を、以下に示す。
(例1)
第2パターンを生成する文字列生成手段として、第2パターン転写制御部14に、図5に示すような対応表を予め記憶している記憶部(図示せず)がある場合がある。この対応表は、第1パターンの被重畳文字Xと、第2パターンの重畳文字Yと、を予め割り当てた表となっている。第2パターンの重畳文字Yは、第2パターンの重畳文字Yのインク抜け跡を、第1パターンの被重畳文字Xのインク抜け跡に重ねることで、被重畳文字Xを特定しにくくする文字である。
被重畳文字Xと重畳文字Yとを、文字の外周形状が類似した文字同士としたり、重畳文字Yに、画数の多い漢字をランダムに割り当てたりすることができる。図5に示す例では、平仮名の被重畳文字Xには平仮名の重畳文字Yを、漢字の被重畳文字Xには漢字の重畳文字Yを、アルファベットの被重畳文字Xにはアルファベットの重畳文字Yを、アラビア数字の被重畳文字Xにはアラビア数字の重畳文字Yを、というように、被重畳文字Xの種類毎に同じ種類に属する重畳文字Yを割り当てている。なお、文字の種類を分類することなく、完全にランダムに重畳文字Yを被重畳文字Xに割り当てることもできる。
この例では、インク抜け跡として、被重畳文字X「田」には重畳文字Y「国」を重ね、被重畳文字X「中」には重畳文字Y「薇」を重ね、被重畳文字X「あ」には重畳文字Y「お」を重ね、被重畳文字X「い」には重畳文字Y「は」を重ねる、ということが図5に示すこの対応表で予め設定されている。この対応表から、例えば、第1パターンの文字列の中に「田中 あい」という文字列が含まれていた場合、「国薇 おは」という文字列を含む第2パターンが生成される。
第2パターン転写制御部14には、上位装置からインターフェース部15を介して第1パターンの情報が送信される。第2パターン転写制御部14は、送信された第1パターンの情報から、記憶部に記憶されている対応表を参照する。第2パターン転写制御部14は、第1パターンの被重畳文字X毎に、対応する重畳文字Yを順に並べて、第2パターンを生成する。第2パターン転写制御部14は、この重畳文字Yを並べた文字列を、第2パターンの情報として、第2の熱源7bに送信する。
なお、ここでいう「文字」は、「〒」や「―」等の記号を含んでいてもよい。また、第1パターンの中に含まれる「スペース」と対応する重畳文字Yを設定しておいても良い。
なお、この例に限らず、第1パターンの被重畳文字Xの1文字1文字すべてが判読不能とはならない場合もある。すなわち、第1パターンの被重畳文字Xと第2パターンの重畳文字Yとの形状の類似性等によっては、第1パターンの被重畳文字Xが判読可能な場合がある。しかし、本発明の実施形態によれば、少なくとも、第1パターン全体の文字列としては判読不能になる程度に十分な効果が得られる。
この例では、特に、第1パターンの被重畳文字Xを特定しにくくする重畳文字Yが予め設定されているため、転写済インクリボン21から個人情報である第1パターンを判読することが、より一層困難となる。
(例2)
第2パターンを生成する文字列生成手段として、第2パターン転写制御部14に、重畳文字Yの集合を記憶している記憶部(図示せず)がある場合がある。重畳文字Yの集合は、例えば、平仮名、片仮名、漢字、アルファベット、アラビア数字、ローマ数字や記号等の、一部又はすべてを含む。
第2パターン転写制御部14は、この記憶された重畳文字Yの集合からランダムに重畳文字Yを抽出し、カード基材22の第1パターンが印刷される領域と対応する転写済インクリボン21の転写枠の領域内に並べるようにして、第2パターンを生成する。第2パターン転写制御部14は、この重畳文字Yを並べた文字列を、第2パターンの情報として、第2の熱源7bに送信する。
なお、対応する転写枠の領域内に並べるとは、第2パターン転写制御部14には、上位装置からインターフェース部15を介して第1パターンの情報が送信されたうえで、第1パターンの被重畳文字Xがある箇所と対応する箇所のみに重畳文字Yを並べるようにしても良いし、第1パターンの文字数やスペースの有無に関係無く、第1パターンが印刷される領域が予め定められ、その領域と対応する転写枠の領域内に隙間なく重畳文字Yを並べるようにしてもよい。
また、重畳文字Yの集合は、平仮名、片仮名、漢字、等のように、重畳文字の種類毎に分類して記憶されていてもよい。この場合、第2パターン転写制御部14には、上位装置からインターフェース部15を介して第1パターンの情報が送信されたうえで、第2パターン転写制御部14は、第1パターンの各被重畳文字Xの種類を判別し、重畳文字Yの集合のうち対応する種類の分類からランダムに重畳文字Yを抽出し、カード基材22の第1パターンが印刷される領域と対応する転写枠の領域内に並べるようにして、第2パターンを生成するようにしてもよい。
この例では、第1パターンの文字に対応したインク抜け跡上に重畳文字Yに対応したインク抜け跡が並べられるため、第1パターンの文字に対応したインク抜け跡がそのままの状態で転写済インクリボン21に残ることがなく、転写済インクリボン21から個人情報である第1パターンを判読することが、より一層困難となる。
(その他の例)
何れの文字列生成手段においても、ランダムに生成される文字列を、主に数字以外の文字である非数字文字群から構成される第1の領域と、主に数字である数字群から構成される第2の領域と、に大別して生成することができる。
例えば、取り扱うカード基材22が図6(a)に示すような身分証明書になる場合、第1の熱源4が印刷する個人情報(第1パターン)は、氏名及び住所がカード基材22の左上部分に、識別番号がカード基材22の左下部分に、それぞれ配置されて構成される。
このとき、第2パターン転写制御部14は、カード基材22の左上部分である第1領域と対応する転写済インクリボン21の転写枠の領域に対し、氏名や住所によく使われるような文字群から文字列を生成する。なお、氏名や住所によく使われるような文字群とは、例えば「鈴佐上の川ケ・・・」等の漢字、平仮名、片仮名等の文字群である。
同様にして、第2パターン転写制御部14は、カード基材22の左下部分である第2領域と対応する転写済インクリボン21の転写枠の領域に対し、「0〜9」の数字から文字列を生成する。
(例1)の場合、対応表における分類を、非数字文字群に相当する「氏名や住所によく使われるような文字群」と数字群に相当する「数字」としておけばよい。また、(例2)の場合、重畳文字Yの集合における分類を、「氏名や住所によく使われるような文字群」と「数字」としておけばよい。
上述した図6(a)に示す身分証明書のように、カード基材22毎に第1領域及び第2領域の配置が確定しているものであれば、第1領域と第2領域は毎回固定した上で、第2パターン転写制御部14が、各領域と対応する転写枠の領域について文字列を生成すればよい。
一方、カード基材22毎に、第1領域及び第2領域の配置が異なるものであれば、第2パターン転写制御部14は、まず第1パターンの情報を取得し、取得した第1パターンの被重畳文字Xの種類(数字以外の文字か、数字か)を1文字毎に判断し、第1領域と第2領域とを区分した上で、各領域と対応する転写枠の領域について文字列を生成すればよい。
何れの場合も、第2パターン転写制御部14は、生成した文字列を、第2パターンの情報として、第2の熱源7bに送信する。
この例では、非数字文字群から構成される第1の領域と対応する転写枠の領域に同類の文字が重畳文字Yとして並べられ、数字群から構成される第2の領域と対応する転写枠の領域に同類の文字が重畳文字Yとして並べられるため、第1パターンを類推することが難しく、転写済インクリボン21から個人情報である第1パターンを判読することが、より一層困難となる。
さらに、何れの文字列生成手段においても、第2パターンのフォントやフォントサイズは、第1パターンに用いられるフォントと同じものを用いることにより、個人情報の判読困難性が一層高まる。
なお、何れの文字列生成手段においても、第2パターンをランダムに生成する主体は、第2パターン転写制御部14でなく、図示しない上位装置であってもよい。
第2の実施形態に係る個人情報印刷機1によれば、転写済インクリボン21のインク層24に残留しているインクの一部を、さらに、第1パターンとは異なる、ランダムに生成された文字列からなる第2パターンで溶融させることで、転写済インクリボン21のインク抜け跡が、第1パターンと第2パターンとが重なった迷彩模様の形状となる。よって、第三者が転写済インクリボン21を入手したとしても、第1パターンと第2パターンとが重なった迷彩模様のインク抜け跡からは、個人情報である第1パターンを判読することが困難となる。
さらに、第2の実施形態に係る個人情報印刷機1において、第2の発熱体8bに印加される熱エネルギー量の調整によっては、一度の加熱及び押圧により、最外層だけでなく、その内側の層の転写済インクリボン21に対しても、第2パターンの転写が同時に実行される。よって、カード基材1枚分の印刷枠と対応した、転写済インクリボン21上の転写枠に対して、複数回、異なる第2パターンを転写したのと同じ効果が得られ、転写済インクリボン21から個人情報である第1パターンを判読することが、より一層困難となる。
さらに、第2パターンを生成する文字列生成手段を、(例1)、(例2)、(その他の例)に示したように工夫すれば、より確実に、第1パターンに対応したインク抜け跡を判読困難に乱すことができる。
ここで、図6を参照して、第1及び第2の実施形態に係る個人情報印刷機1によりインク抜け跡が秘匿処理される様子を説明する。図6(a)は、インクリボン21のインクが転写されたカード基材22を示す図である。図6(b)は、転写済のインクリボン21を示す図である。図6(c1)は、第1の実施形態に係る個人情報印刷機1により、インク抜け跡が秘匿処理された転写済のインクリボン21を示す図である。図6(c2)は、第2の実施形態に係る個人情報印刷機1により、インク抜け跡が秘匿処理された転写済のインクリボン21を示す図である。
図6(a)は、インクリボン21のインク層24にあるインクが、第1パターンで転写されたカード基材22を示す図である。カード基材22には、例えば「身分証明書」という文字等が予め印刷されている場合がある。また、点線で示した枠の領域には、例えば、個人情報の印刷処理の後か前に、顔写真が印刷される。この例では第1パターンは、「東山 太郎;神奈川県川崎市;東区山町1−1;0441048042」という文字列からなる。
図6(b)は、インクがカード基材22に第1パターンで転写された後のインクリボン21を、ベースフィルム23側から見た場合を示す図である。転写済インクリボン21のインク層24のうち、インクが残留している箇所が黒く、転写されたインクの箇所であるインク抜け跡が白く示されている。このように、第1又は第2の実施形態に係る個人情報印刷機1による個人情報の秘匿処理を行っていない場合、転写済インクリボン21のインク抜け跡を視認するだけで、カード基材22に印刷された個人情報が容易に特定できてしまう。
図6(c1)は、第1の実施形態に係る個人情報印刷機1において、第nの転写済インクリボン21のインク層24nにあるインクの一部が、予め好適に設定された第2パターンで第n―1の転写済インクリボン21のベースフィルム23nー1へ転写された後の第nの転写済インクリボン21を、ベースフィルム23n側から見た場合を示す図である。
具体的には、この例では第2パターンは、「西森江湖金山遠;中山朗府沼富町;浦本木市54321;012345679」という文字列からなる。このように、第1パターンのインク抜け跡に、第1パターンと異なる文字列である第2パターンのインク抜け跡が重なることで、転写済インクリボン21の第1パターンのインク抜け跡が判読困難となっている。
図6(c2)は、第2の実施形態に係る個人情報印刷機1において、第nの転写済インクリボン21のインク層24nにあるインクの一部が、ランダムに生成された第2パターンで第n―1の転写済インクリボン21のベースフィルム23nー1へ転写された後の第nの転写済インクリボン21を、ベースフィルム23n側から見た場合を示す図である。
具体的には、この例では第2パターンは、「西丘 薔優;佐田森原森西恵;西六丘温4田4:7554752759」という文字列からなる。これは、第1パターンである「東山 太郎;神奈川県川崎市;東区山町1−1;0441048042」の文字一つ一つに対応して、例えば図5に示す対応表に基づいて、それぞれ異なる文字が並べられて生成されている。このように、第1パターンのインク抜け跡に、第1パターンと異なる文字列である第2パターンのインク抜け跡が重なることで、転写済インクリボン21の第1パターンのインク抜け跡が判読困難となっている。
(第3の実施形態)
さらに、図7及び図8を参照して、第3の実施形態に係る個人情報印刷機1のインクリボン21のたるみ取り処理の仕組みについて説明する。第3の実施形態に係る個人情報印刷機1は、図1及び図4に示す地点Aから地点Bまでの転写済インクリボン21の長さを所定の長さに設定することで、第1パターンのインク抜け跡と第2パターンのインク抜け跡とがより確実に重なり合うよう制御できる。
図7は、第3の実施形態に係る個人情報印刷機1のインクリボン21のたるみ取り処理の一例を示すフローチャートである。図8(a)は、転写済のインクリボン21を示す図である。図8(b1)は、インク抜け跡が秘匿処理されきれていない転写済のインクリボン21を示す図である。図8(b2)は、第3の実施形態に係る個人情報印刷機1により、インク抜け跡が秘匿処理された転写済のインクリボン21を示す図である。
連続で複数のカード基材22を処理して個人情報の印刷処理及び個人情報の秘匿処理を行うにあたり、第1の熱源4及び第2の熱源7は、それぞれ、加熱及び押圧の状態と、退避の状態と、を交互に繰り返す。
第1の熱源4は、1枚のカード基材22に対し個人情報の印刷処理を終えると、次の処理対象であるカード基材22が所定の位置(図1及び図4中の地点A)まで搬送されるまでの間、図1及び図4中矢印D1で示す方向へ退避する。
また、第2の熱源7は、カード基材1枚分の印刷枠と対応した、転写済インクリボン21上の転写枠に対し個人情報の秘匿処理を終えると、カード基材1枚分の印刷枠と対応した、転写済インクリボン21上の次の処理対象である転写枠が所定の位置(図1及び図4中の地点B)まで搬送されるまでの間、図1及び図4中矢印D2で示す方向へ退避する。
ここで、地点Aは、第1の熱源4の第1の発熱体5がインクリボン21と接する位置である。地点Bは、第2の熱源7の第2の発熱体8がインクリボン21と接する位置である。
第1の熱源4及び第2の熱源7の加熱及び押圧の状態と、退避の状態と、の繰り返しにより、複数のガイドローラ9に沿ったインクリボン21には、たるみが生じる。インクリボン21がたるんでいると、第1の熱源4による第1パターンの印刷が確実に行えない場合がある。このたるみをなくすため、第3の実施形態に係る個人情報印刷機1においてインクリボン巻取制御部11は、巻取軸3を回転させ、たるんだインクリボン21の長さに所定の長さであるαを加えた、巻取長さを巻き取る。
図7に示すように、第3の実施形態に係る個人情報印刷機1は、カード基材1枚分に対する個人情報の印刷処理と、カード基材1枚分の印刷枠と対応した、転写済インクリボン21上の転写枠に対する個人情報の秘匿処理と、を同じタイミングで開始し、終了する(ステップS101)。
個人情報の印刷処理及び個人情報の秘匿処理を終了すると同時に、第1パターン転写制御部13及び第2パターン転写制御部14は、第1の熱源4を矢印D1で示す方向へ、第2の熱源7を矢印D2で示す方向へ、それぞれ退避させる(ステップS102)。
続いて、インクリボン巻取制御部11は、第1の熱源4及び第2の熱源7の退避に伴いたるんだインクリボン21の長さ+αである巻取長さを巻き取る、巻取処理を行う(ステップS103)。また、カード基材搬送制御部12は、次の処理対象であるカード基材22を、第1の熱源4及びローラ6が設置されている印刷位置まで、1枚搬送させる(ステップS104)。
その後、第1パターン転写制御部13及び第2パターン転写制御部14は、それぞれ第1の熱源4を地点Aへ、第2の熱源7を地点Bへ、戻す(ステップS105)。
そして再び、次の処理対象であるカード基材22に対する個人情報の印刷処理と、カード基材1枚分の印刷枠と対応した、転写済インクリボン21上の次の処理対象である転写枠に対する個人情報の秘匿処理と、を開始する。以上を、繰り返し連続して行う。以上が、インクリボン21のたるみ取り処理である。
このとき、図8(a)に示す印刷のインク抜け跡のように、処理対象第m番目(m≧1の整数)のカード基材22に対する個人情報の印刷処理と、第m+1番目のカード基材22に対する個人情報の印刷処理が実行される間に、上記たるみ取り処理の巻取処理(ステップS103)が実行されるため、地点Aから地点B間にある転写済インクリボン21のカード基材1枚分の印刷枠と対応した、転写済インクリボン21上の転写枠間には、隙間d1ができる。
同様にして、処理対象第m−i番目(1≦i<mの整数)のカード基材1枚分の印刷枠と対応した、転写済インクリボン21上の転写枠に対する個人情報の秘匿処理と、第m−i+1番目のカード基材1枚分の印刷枠と対応した、転写済インクリボン21上の転写枠に対する個人情報の秘匿処理が実行される間に、上記たるみ取り処理の巻取処理(ステップS103)が実行されるため、地点B以降にある、巻取軸3に巻き取られた転写済インクリボン21の転写枠間には、隙間d2ができる。
ここでもし、個人情報の印刷処理の印刷枠間と対応した、転写済インクリボン21上の転写枠間の隙間d1と、個人情報の秘匿処理の転写枠間の隙間d2と、にずれがあると、図8(b1)に示すインク抜け跡のように、個人情報の一部のインク抜け跡がそのまま見えてしまうことになる。この例においては、d1≠d2であり、「西浦 花子;東京都港区;西浦町1−1−1;0561025963」という第1パターンのインク抜け跡のうち、各行の初めの数文字に該当する「西浦;東京都:西浦町;0561」というインク抜け跡に、第2パターンのインク抜け跡が完全に重なり合っていないため、転写済インクリボン21に、「西浦;東京都:西浦町;0561」という文字がインク抜け跡として判読可能な状態で残ってしまう。すなわち、秘匿処理の漏れが生じてしまう。
そこで、第3の実施形態の個人情報印刷機1は、地点Aから地点Bまでの転写済インクリボン21の長さであるAB長さが、カード基材1枚分の印刷枠と対応したインクリボン21の長さである印刷枠長さに、たるみ処理の巻取処理により巻き取られるインクリボン21の長さである巻取長さを加えた長さである、第1の熱源4による印刷ピッチの整数倍となるように、複数のガイドローラ9に沿わせてインクリボン21の搬送路を形成するようにする。これにより、個人情報の印刷処理の印刷枠間と対応した、転写済インクリボン21上の転写枠間の隙間d1と、個人情報の秘匿処理の転写枠間の隙間d2と、が一致する。
すなわち、第3の実施形態の個人情報印刷機1におけるたるみ取り処理によれば、図8(b2)に示すインク抜け跡のように、d1=d2となり、個人情報(第1パターン)のインク抜け跡の上に第2パターンのインク抜け跡が常に重なり合う。
以上のようにして、第3の実施形態の個人情報印刷機1であれば、第1パターンのインク抜け跡と第2パターンのインク抜け跡とがより確実に重なり合うよう制御できるため、秘匿処理の漏れを防ぐことができる。その結果、個人情報の秘匿性をより高めることができる。
(第4の実施形態)
さらに、図9を参照して、第4の実施形態に係る個人情報印刷機1のインクリボン21の最終巻取処理の仕組みについて説明する。図9は、第4の実施形態に係る個人情報印刷機1のインクリボン21の最終巻取処理の一例を示すフローチャートである。第4の実施形態に係る個人情報印刷機1は、インクリボン21を交換する際に、転写済インクリボン21のうち、第1パターンのインク抜け跡がそのままの状態で残っている箇所についても、確実に第2パターンが転写されるよう制御できる。
連続で複数のカード基材22を処理して個人情報の印刷処理及び個人情報の秘匿処理を一定枚数分行うと、第4の実施形態に係る個人情報印刷機1の送出軸2に巻きつけられたインクリボン21の残量が減る。インクリボン21の残量が減ってくると、送出軸2に巻きつけられたインクリボン21により構成されるロール体の外径が小さくなり、巻取軸3に巻きつけられた転写済インクリボン21により構成されるロール体の外径が大きくなる。
例えば、インクリボン巻取制御部11は、インクリボン21上に予め記されたマーキング(図示せず)を、光学センサ(図示せず)で検出したり、送出軸2側のインクリボン21により構成されるロール体の外径の状態を、エンコーダセンサ(図示せず)で検出するロール体の回転速度から算出したりすることにより、インクリボン21の残量が所定値以下になったことを検出する。
この状態になると、それ以降の、個人情報の印刷処理は停止するとともに、オペレータにインクリボン21を新品と交換することを促すメッセージを、身分証明書発行機の画面(図示せず)等に表示する。
このとき、地点Aから地点Bまでの転写済インクリボン21は、個人情報の秘匿処理はまだ実行されていないため、第1の熱源4により転写された第1パターンのインク抜け跡が残ったままの状態となる。このため、このインクリボン21がこの状態のまま交換時に破棄されると、個人情報の印刷処理の停止時の、地点Aから地点Bまでの転写済インクリボン21に残ったインク抜け跡から、個人情報が判読可能となってしまう。すなわち、秘匿処理のし残しが生じてしまう。
そこで、第4の実施形態に係る個人情報印刷機1は、インクリボン21が所定値まで減ったら、インクリボン21の交換を促す前に、地点Aから地点Bまでの転写済インクリボン21に対し、第1の熱源4による個人情報の印刷処理は停止させた状態で、第2の熱源7による個人情報の秘匿処理のみを実行し、巻取軸3に転写済インクリボン21を巻き取らせる。これにより、地点Aから地点Bまでの転写済インクリボン21にある第1パターンのインク抜け跡の上にも、第2パターンのインク抜け跡が形成される。
図9に示すように、インクリボン巻取制御部11が、インクリボン21の残量が所定値以下になったことを検出すると(ステップS201)、第1パターン転写制御部13は、第1の熱源4を矢印D1で示す方向へ退避させる(ステップS202)。また、カード基材搬送制御部12は、カード基材22の搬送を停止させる(ステップS203)。
一方、インクリボン巻取制御部11は、個人情報の印刷処理停止時の地点Aから地点Bまでの転写済インクリボン21の長さであるAB長さを巻き取る、巻取処理を行う(ステップS204)。この間、第2パターン転写制御部14は、第2の熱源7及び第2の発熱体8を制御し、個人情報の印刷処理停止時の地点Aから地点Bまでの転写済インクリボン21に対し、第2パターンのインク抜け跡を形成する(ステップS205)。
以上が、インクリボン21の最終巻取処理である。
以上のようにして、第4の実施形態の個人情報印刷機1であれば、印刷されたすべての個人情報(第1パターン)のインク抜け跡に対して個人情報の秘匿処理を実行するよう制御でき、秘匿処理のし残しを防ぐことができる。その結果、個人情報の秘匿性をより高めることができる。
以上の第1乃至第4の実施形態の個人情報印刷機1によれば、転写済インクリボン21のインク抜け跡を迷彩模様とし、個人情報が特定されることを効果的に防止できる。すなわち、転写済インクリボン21のインク抜け跡から、カード基材22に印刷された個人情報をより確実に判読困難とする。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。