JP2017019743A - 気相−液相−液相化学反応を用いた有機合成法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 気相−液相−液相有機合成における改良された方法を提供すること。【解決手段】 互いに室温において非混和性である第1及び第2の液体媒質を含んでなる液体中で原料化合物と試薬としてのガスとの化学反応を行わせることによる有機合成における改良された方法であって,当該ガスをマイクロ・ナノバブルの形で該液体中に導入することを特徴とする,方法。【選択図】なし

Description

本発明は,有機合成方法に関し,特に,気相−液相−液相化学反応を利用する改良された有機合成方法に関する。
気体の関与する多相系反応は工業的に広く利用される反応様式である。気体を反応試薬として用いる合成方法は,気体の除去により反応の停止,生成物の精製が可能であるため,安全性・経済性などの観点から工業的に適した様式である。気相−液相反応はアルコールの酸化反応やオゾン分解など,研究室スケールから工業的スケールまで,幅広く利用されている。しかし,液相への気体の溶解性が低いことから気相−液相間の物質移動が困難であるという問題がある。このため,高圧条件を採用することで気体の溶解性を向上させたり,激しい機械的攪拌により気体と液相との接触面積を増大させたりする工夫が,様々に取られてきた。しかし高圧条件で反応行うには耐圧容器が必要であり,機械による激しい撹拌でも反応液量に較べて気−液界面の割合は限られるため,反応速度は改善しにくい。また,マイクロフローや気泡塔などの特殊な装置の使用による反応性の改善も試みられているが,汎用性が低く,既存のバッチ設備を有効利用できないなどの経済面での問題点がある。そこで,温和な条件下,既存のバッチ設備を利用しながら反応性を向上させることが求められている。
気相−液相−固相反応の場合は,種々の固体触媒を使用した接触水素化が工業的に広く実施されており,2相系反応もしくは固相を固定化することが可能であるため,気相−液相(−固相)反応用リアクターが数多く開発され,反応性の改善がなされている。
有機合成において,一方の相だけに溶解する試薬,原料,触媒を溶解させる溶媒と,これとは混ざり合わず生成物のみを溶解させる別の溶媒という2種類の溶媒を適切に選択して用いれば,試薬,原料,触媒を含む一方の相から,生成物を含む他方の相を分離するだけで,ほぼ生成物だけが得られるため,精製が非常に容易になる。そのため,ファインケミカルや医薬品製造の現場において,液相均一系を用いずに,液−液2相系を選択することが多々ある。
これに更に,除去が簡単な「気体」を試薬として用いた気相−液相−液相反応は,後処理を格段に容易にする反応様式である。しかしながら,気体の液相への低溶解性という難点の他に,有機相−水相といった2種の液相間での物質移動が困難であるという問題点があり,気相−液相−液相反応は,一般に長い反応時間を要する。これらの問題点の解決策として,高圧条件にすることで気体の溶解性を高めたり,激しい機械的撹拌により気相−液相同士,および有機相−水相等の2種の液相同士の接触面積を増大させたりするなどの対策が考えられるが,気相−液相間及び液相−液相間の物質移動を同時に改善することは容易でなく,改善には反応装置工学的に難易度が高い特殊な反応装置の設計,製造,設置を必要とするという難点がある。
気相−液相(−固相)反応や気相−液相−液相化学反応用のリアクターである気泡塔は,気体を気泡状で供給することで,気泡の上昇運動により各相を撹拌し,接触面積を増大させることが可能であるため,機械的撹拌を必要としない方法である。しかし,装置内の気泡・液相・固体の流動が複雑であるため,実用化にあたり設計や操作の面で種々の問題が生じる
他の気相−液相−液相反応用リアクターとして,微細な流路に原料や試薬を連続的に注入して流して流路中で反応を行わせるマイクロフローリアクターの開発 もなされている。原料や試薬の混合物が流れる流路を狭くすることで高い電熱性能と物質移動速度が得られる。微細な流路内では,重力の影響を受けにくいため気体と液体や,密度による分離が生じにくく,流体の物性や流速により様々な流動状態をとる。水と有機溶媒を狭い流路に通過させると,流速が遅い領域ではスラグ流,速い領域では2層流となる。スラグ流では,2層の接触面積がより多くなる。従って,マイクロフローリアクターを用いる場合,流速を遅くすることで高い物質移動性能が得られるが,そうすると単位時間当たりに得られる生成物の量が少なくなるため,装置の長時間稼働が必要となる。また,気泡塔同様,既存のバッチ設備を有効利用することができないという難点もある。
有機合成反応では,通常,基質と試薬・触媒との接触効率を高くするために有機溶媒の単一相で反応を実施する。しかし,生成物の分離に蒸留や抽出操作が必要となる。また,例えば,無機塩基を使用した脱プロトン化において無機塩基の溶解性向上のためにDMSOやDMFなどの極性の高い高沸点溶媒を使用した場合などのように,溶媒の除去が困難な場合がある。更には,生体適合材料や医薬品等の製造において,人体に有害な試薬や触媒,溶媒が生成物に混入することは最も避けるべきことであり,これらを容易に除去できる反応系の開発が求められる。このため,気相−液相−液相反応がしばしば用いられる。遷移金属錯体を用いた反応において,水相のみに溶解する触媒を使用することで,生成物を含む有機相をデカンテーションするだけで精製が可能となる。更に,触媒をそのまま再利用することも可能である。また,水相−有機相の2相系とすることで,無機塩基を使用する場合でも高沸点溶媒の使用を避けることができる。
他方,直径1μm以下の微細な気泡(マイクロ・ナノバブル)は,一般的な直径mm台の気泡に比べて,水中での著しく遅い上昇速度,気液界面の著しい増大,気体による液相の過飽和化が可能,という大きく異なった性質を持っている。
本発明者らは,これまで気体の関与する種々の多相系反応へマイクロ・ナノバブルを応用してきた。気相−液相反応の代表例であるTEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルラジカル)を用いたアルコールの酸化反応では,Cu/TEMPO触媒系,及びFe /NO /TEMPO触媒系において第一級及び第二級アルコールの酸化反応が短時間で定量的に進行することが確認された。また,酸素ガスではなく,空気を使用した場合にも同様の反応性を示したことから,マイクロ・ナノバブルによる高い溶存酸素濃度がTEMPOの再酸化に寄与していると考えられる。また,生成物への金属混入が懸念されるファインケミカルズや医薬品製造への適用が可能である金属不含のBr/NO/TEMPO触媒系においても,二酸化窒素と酸素の混合気体をマイクロ・ナノバブルの形で使用した気相−液相反応で高い反応性が得られた。
また,アントラキノン法における過酸化水素の製造において,マイクロ・ナノバブルを用いた改良方法が知られている(特許文献1)。同方法は,水と非混和性の有機溶媒に溶解させたアントラヒドロキノン誘導体へのマイクロ・ナノバブルの形での酸素ガスの導入によるアントラキノン誘導体への酸化,次いで溶媒中のアントラキノン誘導体を水と混合して反応させることによる過酸化水素の生成,続いて過酸化水素を含む水相の分離,そして有機溶媒中に復元されたアントラヒドロキノンの再利用というサイクルをなし,常温常圧という温和な条件で過酸化水素を効率的に且つ高い安全性を以て,安価に合成することを可能にしている。
特開2015−20940号公報
上記背景の下で,本発明の目的は,気相−液相−液相有機合成における改良された方法を提供することである。
本発明者らは,オキソ基(−CO−)に隣接した第三級炭素原子を有する有機化合物の当該炭素原子を酸素ガスによりヒドロキシル化して対応するアルコールを製造する反応において,互いに室温では混和性でない2種の液体を媒質として用い,これに原料及び触媒や試薬を添加したものに,酸素ガスをマイクロ・ナノバブルの形で導入することにより,ヒドロキシル化の反応速度が劇的に向上すると共に,収率も著しく向上することを見出した。この結果は,マイクロ・ナノバブルが有する物理的特徴(液体中での長時間滞在,気体成分による液体の過飽和化,非混和性の2種の液体の均質混合)によるものと考えられる。本発明は,これらの知見に基づき完成されたものであり,以下を提供する。
1.互いに室温において非混和性である第1及び第2の液体媒質を含んでなる液体中で原料化合物と試薬としてのガスとの化学反応を行わせることによる有機合成における改良された方法であって,当該ガスをマイクロ・ナノバブルの形で該液体中に導入することを特徴とする,方法。
2.該ガスが空気,酸素,又は水素である,上記1の方法。
3.該原料化合物が,オキソ基に隣接する第二級又は第三級炭素原子を有する化合物(A)であり,該ガスが空気又は酸素であり,該炭素原子のヒドロキシル化による対応する第三級アルコール化合物を生成物(B)として与えるものである,上記2の方法。
4.該液体が,相間移動触媒を含むものである,上記3の方法。
5.該第1の液体媒質が水性媒質であり,該第2の液体媒質が非プロトン性有機溶媒である,上記4の方法。
6.該相間移動触媒が,シンコナアルカロイド類,ハロゲン化第四級アンモニウム触媒,ホスホニウム塩,シクロヘキサンジアミン類,モノアザクラウンエーテル類及び両親和性物質からなる群より選ばれるものである,上記5の方法。
7.該液体が,ヒドロペルロキシル基をヒドロキシル基へと還元できる還元剤を更に含むものである,上記6の方法。
8.該原料化合物(A)が次式(I),
Figure 2017019743
〔式中,Rは,分枝及び/又は環を有してよい炭素数1〜16のアルキル又はアルコキシ,若しくは炭素数6〜12の芳香環を含んでよい基を表し,Rは炭素数1〜16のアルキル,アシル,−COO−アルキルを表すか,RとRは一緒になって,式(I)中のオキソ基と共に,炭素数6〜10の縮合環であってよい環状ケトン又は環状エステルを表わすか又はRが結合している炭素に隣接する2個のオキソ基を有する環状ジケトン又は環状ジエステルを表し,ここに該環状ケトン,環状エステル,環状ジケントン又は環状ジエステルは,炭素数1〜6の分枝及び/又は環を有してよいアルキル又はアルコキシを置換基として有していてよく,そしてRは,分枝及び/又は環を有してよい炭素数1〜6のアルキルを表すか,エチリデンを表し,但しRが結合している炭素が2個のオキソ基と隣接しているときは,Rは水素原子を表すものであってもよい。〕で示されるものであり,生成物(B)が次式(II)
Figure 2017019743
〔式中,R,R及びRは前記定義に同じである。但し,式(I)においてRがエチリデンを表すときは,式(II)においてR3は,エテニルを表す。〕で示されるものである,上記1〜7の何れかの方法。
9.該原料化合物が第一級又は第二級アルコールであり,該ガスが空気又は酸素であり,対応するアルデヒド又はケトンを生成物として与えるものである,上記2の方法。
10.該液体が,相間移動触媒を含むものである,上記9の方法。
11.第1の液体媒質がフルオラス溶媒であり第2の液体媒質がフルオラス溶媒でない有機溶媒である,上記9又は10の方法。
12.該第1の液体媒質がイオン液体であり該第2の液体媒質が非プロトン性有機溶媒である,上記9又は10の方法。
13.該原料化合物が基−CH=CHを有しており,該ガスとしてCO及びHがナノバブルの形で導入されるものであり,当該基のヒドロホルミル化により該原料化合物から1炭素原子増えたアルデヒドを与えるものである,上記1の方法。
14.該第1の液体媒質がフルオラス溶媒であり該第2の液体媒質がフルオラス溶媒でない有機溶媒であるか,又は第1の液体媒質が水性媒質であり第2の液体媒質が非プロトン性有機溶媒である,上記13の方法。
15.触媒として,ロジウム触媒が用いられるものである,上記14の方法。
16.該ロジウム触媒が,HRh(CO)(P[CHCH13]),[RhH{P(CHOH)}]Cl,HRhCO{P(C)},及びRh[(acac)(CO)]からなる群より選ばれるものである,上記15の方法。
17.該原料化合物が基−CH=CHを有しており,該ガスがCOであり,当該基のカルボキシル化により該原料化合物から1炭素原子増えたカルボン酸を与えるものであり,該第1の液体媒質が水性媒質であり該第2の液体媒質が有機溶媒である,上記1の方法。
18.触媒として水溶性Pd錯体が用いられるものである,上記17の方法。
19.該Pd錯体が,Pd(pyca)(PPh)(OTs)である,上記18の方法。
20.該第1の液体媒質が水性であり,該第2の液体媒質が非プロトン性溶媒である,上記17〜19の何れかの方法。
マイクロ・ナノバブルを利用した本願発明は,気相−液相−液相反応の方式での,酸素ガス又は空気を用いたオキソ基に隣接した第三級炭素のヒドロキシル化や,アルコールのケトン又はアルデヒドへの酸化,一酸化炭素を用いたビニル基を有する原料化合物のヒドロホルミル化,一酸化炭素と水素ガスとを用いたビニル基を有する原料化合物のカルボキシル化において,反応条件の温和化と反応の促進とを可能にする。
図1は,実施例1におけるオキソ基に隣接した第三級炭素原子の酸素ガスによるヒドロキシル化反応の経時的進行を示すグラフである。横軸は反応時間(時),縦軸は反応率を表す。酸素ガスは,マイクロ・ナノバブルの形で(MNB),バルーンを取付けて容器内の反応液の上部空間に(バルーン),又は直径mm台の気泡の形で(バブリング),供給された。
本発明において,2種の液体媒質について「互いに室温において非混和性である」の語は,それら2種の液体媒質が機械的に混ぜ合わされても単一の液相を形成せず室温において2層に分離するものであることをいう。但し,一方の液体媒質の他方の液体媒質に一部溶解することは排除しない。また室温以外で,特に加熱下において,両者が混和して単一の液相を形成することも排除しない。そのような2種の液体媒質の組合せの例としては,(a) 水又は水性溶液と疎水性有機溶媒,(b) フルオラス溶媒とフルオラス溶媒以外の有機溶媒,(c) フルオラス溶媒と水又は水性溶液,(d) イオン液体と非プロトン性有機溶媒姪等が挙げられるが,これらの組合せに限定されない。
フルオラス溶媒は,フルオロカーボン系の溶媒であり,室温で互いに非混和である他の溶媒(例えば,他の有機溶媒,水,水性溶液)と共に分離した液相を形成し,加熱により可逆的に単一の液相を形成するから,液相の単一化と分離を反復させることができる。本発明において用いられるフルオラス溶媒の例として,ペルフルオロペンタン,デカフルオロ−3−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン,ペルフルオロノナン,ヘキサフルオロベンゼン,ヘプタデカフルオロ−n−オクチルブロミド,1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン,オクタデカフルオロオクタン,オクタフルオロシクロペンテン,ヘプタコサフルオロトリブチルアミン,ペルフルオロデカリン,ペルフルオロヘキサン,ペルフルオロメチルシクロヘキサン,ペルフルオロヘプタン,ペルフルオロトルエン,ペルフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン),ペルフルオロトリペンチルアミン,ペルフルオロトリエチルアミン,ペルフルオロ(1,3−ジメチルシクロヘキサン),ペルフルオロドデカン,ペルフルオロ−2−メチルペンタン等が挙げられるが,これらに限定されない。
フルオラス溶媒でない有機溶媒は,慣用のものから適宜選択して用いることができる。
例えば,ベンゼン,トルエン,キシレンなどの芳香族系溶媒やそれらのハロゲン化物;ヘキサン,シクロヘキサン,デカリン等の脂肪族系溶媒やそれらのハロゲン化物;ブタノール,ヘプタノール等の脂肪族アルコール系溶媒が挙げられるが,これらに限定されない。
本発明において用いることのできる,「イオン液体」は,融点が低く室温にて液体の形で存在する塩をいい,例えば,アンモニウム系として,アミルトリエチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド,メチルトリ−n−オクチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド,トリブチルメチルアンンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド又はトリメチルプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等;イミダゾリウム系として,1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート,1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート,1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート,1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド,1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロフェラート,1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヨージド,1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等;ピリジニウム系として,1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド,1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等;ピリジニウム系として,1−ブチルピリジニウムテトラフルオロボラート,1−エチル−3−メチルピリジニウムエチルスルファート,1−エチル−3−(ヒドロキシメチル)ピリジニウムエチルスルファート,1−エチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等;スルホニウム系としてトリエチルスルホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等;ホスホニウム系として,トリブチル(2−メトキシエチル)ホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド,トリブチルメチルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等が挙げられるが,これらに限定されない。
本発明において,「マイクロ・ナノバブル」,「MNB」は,直径1μm以下の微細な気泡をいい,より具体的には,直径100nm〜1μmの気泡をいう。マイクロ・ナノバブルは,次の特徴を備えている。
(1)水中での遅い上昇速度
一般的な気泡(例えば,直径1mm以上のもの)は,水のような比較的低粘性の液相中では急速に上昇し,液相表面で破裂して消滅する。これに対し,マイクロ・ナノバブルの水中での上昇速度は非常に遅く,直径1μmのもので僅か約2mm/時しかない。これは,マイクロ・ナノバブルの浮力が微小であるために現れる特徴である。他の液体中でも同様の傾向が認められ,これにより液体中での気体の滞在時間が著しく増加する。
(2)気液界面の増大
同体積の気体を気泡として液相中に導入する場合,気泡の直径が小さい程,溶液中における気液界面の面積は増大する。また,マイクロ・ナノバブルの表面電荷の計測から,マイクロ・ナノバブルの表面は負の電荷を帯びていることが明らかになっており,この電荷により気泡同士は互いに反発して気泡同士の結合が妨げられ,気泡の粗大化による気液界面が減少することも防止される。このため,気相と液相との界面が著しく増大した状態が長時間にわたって維持される。
(3)液相を気体で過飽和状態にすることが可能
マイクロ・ナノバブルと液相との界面に働く表面張力は表面積を小さくするように働くため,気泡内部の気体はそれにより加圧される。このとき個々の気泡内の圧力は,表面張力に起因する圧力成分pと液中の深度に起因する圧力成分pとの和と釣り合っている。液体への気体の溶解度は,圧力の上昇とともに増加するため,通常のバブルに比べてマイクロ・ナノバブル内の気体の液相への溶解はp分だけ促進され,過飽和の状態がつくり作り出される。
マイクロ・ナノバブルの上記特徴により,気相と液相とを長時間,広い界面で効率よく接触させることができると共に,液相中における気体の過飽和状態を長時間持続させることができ,その結果,気相−液相反応の反応速度が著しく向上する。また,非混和性の2種の液相にマイクロ・ナノバブルを導入することで気体による持続的な懸濁状態が生じ,それによってそれらの液相の再分離が阻害されるという結果をもたらし,非混和性の液相同士の広い界面での緻密な接触が維持される。マイクロ・ナノバブルは,これらの特徴のため,気相−液相−液相反応において,加圧下で行われていた有機合成反応や気泡塔等のように通常のバブリングにより行われていた有機合成反応に置き換わることができる。
マイクロ・ナノバブルを用いた気相−気相−液相反応の有利な用途の例には,以下のものが含まれる。
1.オキソ基の隣接第二級又は第三級炭素原子のヒドロキシル化による,隣接オキソ基を有するアルコールの製造における利用
本発明は,例えば,原料化合物としてオキソ基に隣接した第二級又は第三級炭素原子を有する化合物(I)を,酸素ガス又は空気を用いて酸化して当該炭素原子をヒドロキシル化したアルコール(II)を生成物として得るために利用することができる。
Figure 2017019743
〔式中,Rは,分枝及び/又は環を有してよい炭素数1〜16,より好ましくは炭素数1〜10,更に好ましくは炭素数1〜6,特に好ましくは炭素数1〜4のアルキル又はアルコキシ,若しくは炭素数6〜12の,芳香環を含んでよい基を表し,フェニル又はナフチルであってよく,表し,Rは炭素数1〜16,より好ましくは炭素数1〜10,更に好ましくは炭素数1〜6,特に好ましくは炭素数1〜4のアルキル,アシル,−COO−アルキルを表すか,RとRは一緒になって,式(I)中のオキソ基と共に,炭素数6〜10の縮合環であってよい環状ケトン又は環状エステルを表わすか又はRが結合している炭素に隣接する2個のオキソ基を有する環状ジケトン又は環状ジエステルを表し,ここに該環状ケトン,環状エステル,環状ジケントン又は環状ジエステルは,炭素数1〜6の分枝及び/又は環を有してよいアルキル又はアルコキシを置換基として有していてよく,そしてRは,分枝及び/又は環を有してよい炭素数1〜6,好ましくは炭素数1〜4のアルキルを表すか,エチリデンを表し,但しRが結合している炭素が2個のオキソ基と隣接しているときは,Rは水素原子を表すものであってもよい。〕
より具体的な例として,次に示すような隣接オキソ基を有する第二級又は第三級アルコールの合成が挙げられる。
Figure 2017019743
Figure 2017019743
Figure 2017019743
Figure 2017019743
Figure 2017019743
Figure 2017019743
上記の反応は,水性媒質と非プロトン性溶媒とを液体媒質として用い,相間移動触媒,塩基,還元剤等の試薬を添加して,酸素ガス又は空気をマイクロ・ナノバブルの形で導入することにより行うことができる。
相間移動触媒としては,例えば,シンコナアルカロイド及びその類縁体(本明細書において,両者を包括して「シンコナアルカロイド類」という。);塩化テトラエチルアンモニム,塩化ベンジルトリエチルアンモニウム,N,N−メチルブチル−N’,N’−ジメチル−1,2−ジアミノシクロヘキサン塩酸塩等のハロゲン化第四級アンモニウム;ホスホニウム塩;シクロヘキサンジアミン類やモノアザクラウンエーテル類,及び両方の相の何れにも親和性である物質(本明細書において「両親和性物質」という。例えば,ポリエチレングリコールや界面活性剤)等を用いることができるが,これに限られない。例えば,塩化ベンジルトリエチルアンモニウムのような相間移動触媒は,水溶性であり非プロトン性溶媒相には溶解しないが,水性相側に塩基(例えば,水酸化ナトリウム等のような,強塩基)を含有させることで,一部をベンジルトリエチルアンモニウムの形で非プロトン性溶媒相に溶解させることができる。マイクロ・ナノバブルの形で酸素ガス又は空気を液相に導入しそれによりそれら2種の液相同士も,混和はしないものの,緻密に混ざり合って両液相の界面の面積が著しく増大し,相間移動触媒の移動による平衡化が促進される。この状態で原料化合物のオキソ基に隣接する第二級又は第三級炭素原子は酸素分子によってパーヒドロキシ化され,これが次いで還元剤によりヒドロキシル基へと還元されて,目的の生成物が迅速に生じる。用いることのできる還元剤としては,例えば,亜リン酸トリメチル〔P(OMe)〕,亜リン酸トリエチル〔P(OEt)〕,トリフェニルホスフィン,トリブチルホスフィン,フェニルメチルスルフィド,ジブチルスルフィド,トリメチルホスフィン,ジメチルスルフィド,及びピリジンその他の第三級アミン等が挙げられるが,これらに限定されない。
上記において,水性相の例として,水酸化ナトリウム水溶液(例えば,50%濃度)が好適なものの一つとして挙げられるが,これに限定されない。
上記の反応の温度に特段の限定はなく,室温又はその付近(例えば,20℃,30℃,40℃等)で好適に行うことができる。
2.アルコールの酸化によるアルデヒド又はケトンの合成における利用
本発明はまた,ベンジル系,アリル系又は脂肪族系の第一級又は第二級アルコールの酸素ガス又は空気を用いた酸化によるアルデヒド又はケトンの製造において,液体媒質として,フルオラス溶媒とフルオラス溶媒でない有機溶媒との組合せを用いた気相−液相−液相反応の形で利用することができる。
この場合,これら2種の液相は,加熱により混和させることができるため,混和した液相において原料化合物であるアルコール,マイクロ・ナノバブルの形で導入される酸素ガス又は空気,及び触媒等の試薬の接触確率が飛躍的に高まるため反応の効率が高まり,また反応終了後は冷却することでフルオラス溶媒相とそれ以外の有機溶媒相とが分離するため有機溶媒相に溶解する生成物の回収が容易となり,またフルオラス溶媒相に溶解する触媒等の除去及び再利用も容易となる。
フルオラス溶媒は適宜選択してよく,例えば,ペルフルオロオクタンは好適に使用できるフルオラス溶媒の一つである。フルオラス溶媒でない有機溶媒は,原料化合物及び生成物の溶解性に照らして適宜選択すればよい。触媒としてはCu/TEMPO系を用いることができ,例えば,CuBr−MeSとTEMPO,及びフルオラス系ビピリジン配位子との組合せは好適である。そのようなフルオラス系ビピリジン配位子の好適な一具体例として,4,4'−ビス(ペンタデカフルオロオクチルブチル)−2,2'−ビピリジンが挙げられるが,これに限定されない。
本反応の好ましい一具体例は,フルオラス溶媒としてペルフルオロオクタン,他方の有機溶媒としてクロロベンゼン,触媒系としてCuBr−MeS(原料化合物に対し2モル%),及びTEMPO(同10モル%)及び4,4'−ビス(ペンタデカフルオロオクチルブチル)−2,2'−ビピリジン(XV)
Figure 2017019743
(同2モル%)を配位子として用い,大気圧下に,原料化合物を加えて約90℃に加熱し2種の溶媒を混和させた状態で酸素ガス又は空気をマイクロ・ナノバブルの形で導入するものである。
Figure 2017019743
〔式中,R,Rは,任意の基であり,例えば芳香族基でも,脂肪族基でもよい。〕
原料化合物(XVI)としては,例えば,ベンジルアルコール,4−ニトロベンジルアルコール,アリルアルコール,1−ブチル−2−フェニルアリルアルコール,1−メチル−1−オクチルアルコール等が挙げられるが,これらに限定されない。
3.アリール基を有するベンジル系第二級アルコールの酸化によるケトンの合成における利用
本発明は更に,アリール基を有するベンジル系第二級アルコールの酸素ガス又は空気を用いた酸化によるケトンの製造において,液体媒質として,液体媒質としてイオン液体と非プロトン性有機溶媒との組合せを用いた気相−液相−液相反応の形で,利用することができる。
この場合,イオン液体は,既存の種々のものから適宜選択してよく,ヘキサフルオロリン酸1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムは好適に用いることのできる一例である。反応は金属触媒を用いずに行うことができ,触媒として,炭酸セシウムは好適に使用できるものの一例である。具体的には,例えば,ヘキサフルオロリン酸1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムと(トリフルオロメチル)ベンゼンとを液相とし,加熱下(例えば109℃)にて,触媒として炭酸セシウムの存在下に酸素ガス又は空気をマイクロ・ナノバブルの形で導入して原料化合物をケトンへと酸化することができる。原料化合物は,種々のアリール基を有するベンジル系第二級アルコールであってよく,例えば1−フェニル−1−ペンタノール,ジフェニルカルビノール,1−チオフェニル−1−ペンタノールが挙げられるが,これらに限定されない。
4.ビニル基を有する原料化合物のヒドロホルミル化によるアルデヒドの製造における利用
本発明は更に,ビニル基−CH=CHを有する原料化合物のヒドロホルミル化によるアルデヒド〔−CH(CHO)−CH3,及び−CH−CH−CHO〕の製造において,COガスとHガスをマイクロ・ナノバブルで導入する気相−液相−液相反応の形で,利用することができる。液相としては,水性媒質と有機溶媒との2相,又はフルオラス溶媒とそれ以外の有機溶媒との2相を組み合わせて用いることができる。
この場合,フルオラス溶媒やフルオラス溶媒以外の有機溶媒は,上述のものから適宜選択して用いればよい。
気相としては,COガスとHガスとの混合物を使用してよく,反応は加熱下(例えば,100℃)に行うことができる。触媒としては,例えばロジウム触媒を用いることができ,用いる液相に応じて,例えば,HRh(CO)(P[CHCH13])(フルオラス溶媒に可溶),[RhH{P(CHOH)}]Cl(水に可溶),HRhCO{P(C)}(有機溶媒に可溶),Rh[(acac)(CO)](「acac」は,アセチルアセトナート基を示す。)を好適に用いることができるが,これらに限定されない。ここに,Rh[(acac)(CO)]は,水性媒質と有機溶媒との2相を液相とする場合に,例えば次式に示す水溶性のキサントホス(配位子1,XVIII)と共に逆相間移動触媒として用いることができる。
Figure 2017019743
ヒドロホルミル化の具体例を次に示す。
Figure 2017019743
Figure 2017019743
Figure 2017019743
Figure 2017019743
5.ビニル基を有する原料化合物からのCOガスによるカルボン酸の製造における利用
本発明は,ビニル基−CH=CHを有する反応物のCOガスによるカルボン酸〔−CH(COOH)−CH及び−CH−CH−COOH〕の製造において,COガスをマイクロ・ナノバブルとして導入して気相−液相−液相反応の形で利用することができる。液相としては,例えば水性媒質及び有機溶媒を用いることができ,有機溶媒は上記のものから適宜選択すればよい。反応温度は適宜設定でき,加温下(例えば,100℃)に行ってよい。
触媒としては,例えばパラジウム触媒が使用でき,好ましい一例として,次式に示すPd(pyca)(OTs)(TPPTS)が挙げられるが,これに限定されない。
Figure 2017019743
〔式中,OTsはトシル基,TPPTSは,3,3',3"−ホスファントリイルトリス(ベンゼンスルホン酸)三ナトリウム塩を表す。〕
反応の一具体例を次式に示す。この例では,ベンジル位にカルボキシル基を有する化合物が,主生成物として得られる。
Figure 2017019743
6.不活性気体のマイクロ・ナノバブルを用いた反応
たとえ激しい機械的撹拌をしても2相に分離したままである非混和性の液−液2相系に,単に当該反応に関して不活性である気体(例えば,アルゴン,ヘリウム,場合によって窒素ガス等)のマイクロ・ナノバブルを導入することにより,両液相を,持続的な懸濁状態にすることができる。これにより両液相の界面の面積が著しく増大し,そのため各液相に含まれた原料化合物と試薬等との反応の効率を各段に増大させることが可能となる。これに際し,両方の相の何れにも親和性である物質を添加して反応を更に促進させてもよい。
その様な反応の例を次の式に示すが,単なる一例であり,これ以外にも任意の液−液2相系反応において,反応効率を著しく向上させるために用いることができる。
Figure 2017019743
上記の反応において,アルゴンガスをマイクロ・ナノバブルの形で液相に導入することにより両液相を懸濁状態へと混合させる。相間移動触媒(PTC)として,例えば塩化ベンジルトリエチルアンモニウムを用いることができるが,これに限定されず,例えば,両方の相の何れにも親和性である物質を適宜選んで用いることができる。
以下,代表的な実施例を参照して本発明を更に詳細に説明するが,本発明が当該実施例に限定されることは意図しない。
〔実施例1〕 オキソ基に隣接する第三級炭素のヒドロキシル化
オキソ基に隣接する第三級炭素を有する化合物の一例として,2−エチル−3,4−ジヒドロナフタレン−1(2H)−オン(III)を出発物質に用い,一般的なバブリングでの,バルーンを用いた液面への,及びマイクロ・ナノバブルの形での,それぞれの方式を用いた酸素ガス導入でのヒドロキシル化による2−エチル−2−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロナフタレン−1(2H)−オン(IV)の製造を試み,結果を比較した。
Figure 2017019743
ナスフラスコ中において50%NaOH水溶液(34ml)に,出発物質である2−エチル−3,4−ジヒドロナフタレン−1(2H)−オン(III)の26mMの濃度のトルエン溶液(61ml)を加え,相間移動触媒(PTC)として塩化ベンジルトリエチルアンモニウムを15モル%及び亜リン酸トリメチル〔P(OMe)〕を1.25当量(何れも,出発物質に対するモル比)で添加し,1気圧(0.1 Mpa)下に酸素ガスを;
(a) 容器内の反応液面上の空間にバルーンを用いて,
(b) 液中への,セラミックフィルターからの直径mm台の気泡によるバブリング(単に,「バブリング」という。)により,又は
(c) 液中にマイクロ・ナノバブル(MNB)の形で,
それぞれ供給した。
MNBは,超微細気泡発生装置(BA6S,株式会社アスプ製)を用いて発生させた。この装置は,気体と液体(液体媒質)を吸引しマイクロ・ナノバブル化させた気体を含んだ液体を吐出するように構成されている。
バブリング及びMNBでの酸素ガスの流量は,共に5mL/分とした。なお,MNBの供給では,発生装置での発熱により約40℃まで液相温度が上昇することが予め確認されたことから,条件を揃えるため,バルーン及びバブリングでの反応液の温度も40℃に調節した。また,バルーンとバブリングについては,マグネティックスターラーにより150rpmで反応液を撹拌した。
反応の進行を,TLCおよびHPLCにてモニタリングし,基質と生成物の面積比に基づき,変換率を算出した。反応生成物の確認は,出発物質との1H-NMRスペクトルを比較することにより行った。
出発物質(III): 1H NMR (CDCl3, 300 MHz, TTa-93) δ1.00 (t, J = 7.5 Hz, 3H, -CH3), 1.54 (m, 3H, -CH2), 1.93 (m, 2H, -CH2), 2.20 (m, 1H, -CH2), 2.39 (m, 1H, -CH), δ 3.00 (m, 2H, -CH2), 7.22-7.30 (m, 2H, Ar), 7.39-7.43 (m, 1H, Ar), 8.01 (dd, J = 1.5, 8.0 Hz, 1H, Ar)
生成物(IV): 1H NMR (CDCl3, 300 MHz, TTa-144) δ0.94 (t, J = 7.4 Hz, 3H, - CH3), 1.64-1.73 (m, 2H, -CH2), 2.11-2.22 (m, 1H, -CH2), 2.31-2.38 (ddd, J = 2.4, 5.1, 13.5 Hz, 1H, -CH2), 2.95-3.16 (m, 2H, -CH2) , 3.81 (s, 1H, -OH), 7.24-7.37 (m, 2H, Ar), 7.49-7.55 (ddd, J = 1.5, 7.5, 7.5 Hz 1H, Ar), 8.00-8.03 (dd, J = 1.4, 7.9 Hz, 1H, Ar)
結果を図1に示す。3時間の反応で,変換率は,バルーンでは53%,バブリングでは42%までにしか達しなかったのに対し,マイクロ・ナノバブルの利用では99%を超えており,マイクロ・ナノバブルでの反応が際立って速く進行し,且つ略100%の収率でヒドロキシル化が起こって生成物である第三級アルコールが得られることが判明した。しかも反応開始後1時間の段階でも反応率は既に90%近くに達しており,バルーン及びバブリングでの20%弱と較べて,反応速度が著しく大きいことも判明した。これらのことは,マイクロ・ナノバブルが,気体を一原料又は試薬とする有機合成反応において,従来のバブリングやバルーンによる気体供給を用いた合成方法に比べて,反応速度を著しく高めると共に効率を大幅に向上させることを示している。マイクロ・ナノバブルを用いることによるこれらの成果は,マイクロ・ナノバブルが有する,液体中における滞留時間の長さ,気体の過飽和状態の現出と維持,互いに混和性でない液体同士の均質な混合という物理的特性に基づくものであり,種々の気相−液相−液相化学反応に幅広く適用することが可能である。
本発明は,気相−液相−液相化学反応を用いた有機化合物の合成において,反応効率を向上させるために幅広く利用できる改良方法として有用である。

Claims (20)

  1. 互いに室温において非混和性である第1及び第2の液体媒質を含んでなる液体中で原料化合物と試薬としてのガスとの化学反応を行わせることによる有機合成における改良された方法であって,当該ガスをマイクロ・ナノバブルの形で該液体中に導入することを特徴とする,方法。
  2. 該ガスが空気,酸素,又は水素である,請求項1の方法。
  3. 該原料化合物が,オキソ基に隣接する第二級又は第三級炭素原子を有する化合物(A)であり,該ガスが空気又は酸素であり,該炭素原子のヒドロキシル化による対応する第三級アルコール化合物を生成物(B)として与えるものである,請求項2の方法。
  4. 該液体が,相間移動触媒を含むものである,請求項3の方法。
  5. 該第1の液体媒質が水性媒質であり,該第2の液体媒質が非プロトン性有機溶媒である,請求項4の方法。
  6. 該相間移動触媒が,シンコナアルカロイド類,ハロゲン化第四級アンモニウム,ホスホニウム塩,シクロヘキサンジアミン類,モノアザクラウンエーテル類及び両親和性物質からなる群より選ばれるものである,請求項5の方法。
  7. 該液体が,ヒドロペルロキシル基をヒドロキシル基へと還元できる還元剤を更に含むものである,請求項6の方法。
  8. 該原料化合物(A)が次式(I),
    Figure 2017019743

    〔式中,Rは,分枝及び/又は環を有してよい炭素数1〜16のアルキル又はアルコキシ,若しくは炭素数6〜12の芳香環を含んでよい基を表し,Rは炭素数1〜16のアルキル,アシル,−COO−アルキルを表すか,RとRは一緒になって,式(I)中のオキソ基と共に,炭素数6〜10の縮合環であってよい環状ケトン又は環状エステルを表わすか又はRが結合している炭素に隣接する2個のオキソ基を有する環状ジケトン又は環状ジエステルを表し,ここに該環状ケトン,環状エステル,環状ジケントン又は環状ジエステルは,炭素数1〜6の分枝及び/又は環を有してよいアルキル又はアルコキシを置換基として有していてよく,そしてRは,分枝及び/又は環を有してよい炭素数1〜6のアルキルを表すか,エチリデンを表し,但しRが結合している炭素が2個のオキソ基と隣接しているときは,Rは水素原子を表すものであってもよい。〕で示されるものであり,生成物(B)が次式(II)
    Figure 2017019743

    〔式中,R,R及びRは前記定義に同じである。但し,式(I)においてRがエチリデンを表すときは,式(II)においてR3は,エテニルを表す。〕で示されるものである,請求項1〜7の何れかの方法。
  9. 該原料化合物が第一級又は第二級アルコールであり,該ガスが空気又は酸素であり,対応するアルデヒド又はケトンを生成物として与えるものである,請求項2の方法。
  10. 該液体が,相間移動触媒を含むものである,請求項9の方法。
  11. 第1の液体媒質がフルオラス溶媒であり第2の液体媒質がフルオラス溶媒でない有機溶媒である,請求項9又は10の方法。
  12. 該第1の液体媒質がイオン液体であり該第2の液体媒質が非プロトン性有機溶媒である,請求項9又は10の方法。
  13. 該原料化合物が基−CH=CHを有しており,該ガスとしてCO及びHがナノバブルの形で導入されるものであり,当該基のヒドロホルミル化により該原料化合物から1炭素原子増えたアルデヒドを与えるものである,請求項1の方法。
  14. 該第1の液体媒質がフルオラス溶媒であり該第2の液体媒質がフルオラス溶媒でない有機溶媒であるか,又は第1の液体媒質が水性媒質であり第2の液体媒質が非プロトン性有機溶媒である,請求項13の方法。
  15. 触媒として,ロジウム触媒が用いられるものである,請求項14の方法。
  16. 該ロジウム触媒が,HRh(CO)(P[CHCH13]),[RhH{P(CHOH)}]Cl,HRhCO{P(C)},及びRh[(acac)(CO)]からなる群より選ばれるものである,請求項15の方法。
  17. 該原料化合物が基−CH=CHを有しており,該ガスがCOであり,当該基のカルボキシル化により該原料化合物から1炭素原子増えたカルボン酸を与えるものであり,該第1の液体媒質が水性媒質であり該第2の液体媒質が有機溶媒である,請求項1の方法。
  18. 触媒として水溶性Pd錯体が用いられるものである,請求項17の方法。
  19. 該Pd錯体が,Pd(pyca)(PPh)(OTs)である,請求項18の方法。
  20. 該第1の液体媒質が水性であり,該第2の液体媒質が非プロトン性溶媒である,請求項17〜19の何れかの方法。
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