(発明の詳細な説明)
本発明は、アセトアミノフェンを包含する既存の療法を上回る1つまたは複数の改善された特性を有するアセトアミノフェンコンジュゲートを提供する。本明細書で提供されるアセトアミノフェンコンジュゲートは、そのうちの一方はアセトアミノフェンである2種の生物学的に活性な化合物がカップリングしたものであり、その際、それら2種の化合物は、個体に投与された後、かつ/またはコンジュゲートが代謝された後に放出され得るようになっている。生物学的に活性な化合物のうちの一方が肝臓保護薬である場合、本明細書で提供される化合物は、個体に投与されると、in vivoでアセトアミノフェンおよび肝臓保護薬の両方を供給し得る。本明細書で提供されるコンジュゲート化合物は、アセトアミノフェンを包含する既存の療法を上回る以下の改善された所望の特性のうちのいずれか1つまたは複数を示し得ることは理解されるであろう:(i)水溶解度の増大;(ii)水性担体中における安定性の増大(例えば、化学的安定性);(iii)より望ましい安全性プロファイル(例えば、肝毒性の低下を包含する、毒性の低下);(iv)個体に投与した場合に、アセトアミノフェンへのより予測可能な曝露、および(v)より望ましい薬物動態プロファイル(例えば、より迅速なアセトアミノフェン作用の開始および/またはin vivoでのアセトアミノフェンへのより完全な変換)。一変形形態では、本明細書で提供される化合物は、アセトアミノフェンを包含する既存の療法を上回る前述の改善された所望の特性のうちの少なくとも2つ、少なくとも3つ、または全てを示す。
本明細書に詳述されているとおりの化合物またはその塩あるいは前述のものの溶媒和物は、以下のうちのいずれか1つまたは複数のために特に適し得る:(1)これらに限られないが、投与、例えば、静脈内注射のための低体積/高濃度非経口製剤など、化合物またはその塩あるいは前述のものの溶媒和物と水性担体とを含む製剤での使用;(2)高投薬量(例えば、アセトアミノフェンの単独投与について現在利用可能で、かつ/または推奨されている曝露よりも高いアセトアミノフェン曝露をin vivoでもたらす量)でのアセトアミノフェンの投与;(3)アセトアミノフェンに反応性である状態の長期処置における使用(例えば、同等な量のアセトアミノフェンの単独投与について現在推奨されている期間よりも長い期間にわたる化合物の使用);(4)個体群全体でのアセトアミノフェン曝露の規準化および/または特にアセトアミノフェンの投与と比較して、予測可能なレベルのアセトアミノフェンの個体への供給;ならびに(5)疼痛、発熱、炎症、虚血性損傷(心筋および/または脳など)、または神経損傷などの、アセトアミノフェンに対して反応性である疾患または状態の迅速な処置。
本発明者らは、特に化合物(I)またはその塩あるいは前述のものの溶媒和物は、アセトアミノフェンまたは化合物(III)として以下に示されている既知の化合物(((4−アセトアミドフェノキシ)カルボニル)アミノ)エタンスルホン酸と比較した場合に、めざましい特性を示すことを発見した。
化合物(III)は、米国特許出願公開第20100234452に記載されている。本明細書で詳述されているとおり、化合物(I)は、化合物(III)と比較して、好ましい特性を示す。
略語および定義
本明細書において記載されている一部の化合物の命名法は、CambridgeSoft(登録商標)から入手可能なChemDraw Ultra Version 10.0を使用して同定することができる。
本明細書において使用される場合、「より迅速なアセトアミノフェン作用の開始」は、同じ期間内で同じ投与経路を介するモル当量のアセトアミノフェン(例えば、OFIRMEV(登録商標)またはPerfalgan(商標)などの現在利用可能な製剤から)の投与と比較して、アセトアミノフェンコンジュゲートによってもたらされるアセトアミノフェン作用が開始するまでの時間の短縮を指す。例えば、in vivoで内在性酵素および/または加水分解条件に曝露された場合の化合物(I)からのアセトアミノフェンの迅速な放出は、モル当量のアセトアミノフェンを同じ剤形で個体に投与する場合と比較して、アセトアミノフェンへのより迅速な全身曝露をもたらし得る。
本明細書において使用される場合、「処置」、「処置すること」、または「処置する」は、臨床結果を包含する、有益か、または所望の結果を得るための手法である。本発明の目的のために、有益か、または所望の結果には、これらに限られないが、以下のうちの1つまたは複数が包含される:アセトアミノフェンに対して反応性である疾患または状態のうちの1つまたは複数の症状を低減すること、疾患または状態の程度を軽減すること、疾患または状態を安定化すること(例えば、疾患または状態の悪化を予防すること)、疾患または状態の進行を遅延または減速させること、病態または状態を寛解すること、疾患または状態を処置するのに必要な1種または複数の他の薬物の用量を減少させること、およびアセトアミノフェンに対して反応性である疾患または状態を有するか、または有すると疑われる個体の生活の質を向上させること。疾患または状態は、アセトアミノフェンに対して反応性であるか、または反応性であると考えられるものであり得る(例えば、発熱および/または疼痛を伴う疾患または状態)。疾患または状態は、炎症を伴っていてもよい。疾患または状態は、虚血性損傷であってよい。疾患または状態は、神経損傷であってよい。一変形形態では、状態は、手術後疼痛および/または発熱である。一部の実施形態では、アセトアミノフェンコンジュゲートおよび/またはアセトアミノフェンコンジュゲートを含む製剤は、アセトアミノフェンに対して反応性である疾患または状態に関連する1つまたは複数の症状の重症度を、処置前の同じ対象における対応する症状と比較して、またはアセトアミノフェンコンジュゲートおよび/または製剤の投与を受けない他の対象における対応する症状と比較して少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%のいずれかまで低下させる。
「アセトアミノフェンに対して反応性」は、本明細書において使用される場合、アセトアミノフェンで処置することができる疾患もしくは状態および/または疾患もしくは状態の症状を指す。
本明細書において使用される場合、「遅延させること」は、アセトアミノフェンに対して反応性である疾患もしくは状態、および/またはアセトアミノフェンに対して反応性である疾患もしくは状態の1つもしくは複数の症状の発現を遅らせ、妨げ、減速させ、阻止し、安定化し、かつ/または延期することを意味する。この遅延は、処置を受ける疾患および/または個体の病歴に応じて、変動する時間であり得る。当業者には明らかであるとおり、十分か、または著しい遅延は、個体がその疾患または状態を発現しないという点で、実際に予防を包含する。アセトアミノフェンに対して反応性である疾患または状態の発現を「遅延させる」方法は、この方法を用いない場合と比較した場合に、所与の時間枠における疾患または状態の発現の確率を低下させ、かつ/または所与の時間枠における疾患もしくは状態の程度を低減させる方法である。そのような比較は典型的に、統計的に有意な数の対象を用いた臨床試験に基づくものである。
本明細書において使用される場合、「リスクがある」個体は、アセトアミノフェンに対して反応性である疾患または状態(例えば、疼痛、発熱、炎症、虚血性損傷(心筋および/または脳など)または卒中などの神経損傷)を発現するリスクがある個体である。「リスクがある」個体は、本明細書において記載されている処置方法以前に、検出可能な疾患または状態を有していてもよいか、または有していなくてもよく、また、検出可能な疾患または状態に関連する症状を示していてもよいか、または示していなくてもよい。「リスクがある」は、ある個体が、疾患または状態の発現と相関する測定可能なパラメーターである1つまたは複数のいわゆる危険因子を有することを示している。これらの危険因子のうちの1つまたは複数を有する個体は、これらの危険因子(複数可)のない個体よりも、その疾患または状態を発現する高い確率を有する。アセトアミノフェンに対して反応性である疾患または状態に関連する危険因子は、当業者には公知である。例に過ぎないが、術後疼痛のリスクがある個体には、外科手術を施される(例えば、即座に施される)予定があるか、または現在施されていて、その結果として、術後疼痛を経験すると予測される個体が包含される。
本明細書において使用される場合、「薬学的に許容される」は、生物学的に、または他の点で望ましくないことはない物質を指し、例えば、物質は、重大な望ましくない生物学的作用を何らもたらすことなく、またはそれを含有する組成物のうちの他の成分のいずれかと有害に相互作用することなく、個体に投与される医薬組成物に混入させることができる(製造時または投与時などに)。本明細書において使用される場合、用語「薬学的に許容される担体」は、例えば、個体(例えば、ヒト)への投与に適する当業者に公知の溶媒、安定剤、pH調整剤、張度調整剤(tonicity modifier)、アジュバント、結合剤、希釈剤などを指す。2種以上の担体の組合せも本発明では企図される。本明細書において記載されているとおりの薬学的に許容される担体(複数可)および任意の追加の成分は、特定の剤形について意図されている投与経路(例えば、経口、非経口)での使用に相容性であるべきである。そのような適合性は、特に本明細書に示されている教示を考慮すれば、当業者には容易に分かるであろう。薬学的に許容される担体または賦形剤は好ましくは、毒物学的および製造試験の要求される基準を満たし、かつ/または米国食品医薬品局によって作成された不活性成分に関する指針(Inactive Ingredient Guide)に包含されている。
用語「有効量」は、本明細書において使用される場合、疾患もしくは状態を有するか、または有すると疑われるか(例えば、症状および/または個体の知覚/感覚に基づき)、あるいはその症状の1つまたは複数を示す個体において所望の薬理学的および/または生理学的効果をもたらす量を指す。有効量は、疾患もしくは状態またはその症状の発生もしくは再発を完全もしくは部分的に予防することができ、かつ/または疾患もしくは状態および/または疾患もしくは状態に起因する有害作用(例えば、疼痛)の部分的もしくは完全な治癒の点で治療的であり得る。本明細書において記載されている疾患または状態(例えば、疼痛)に関して、有効量は、とりわけ、アセトアミノフェンに対して反応性である疾患もしくは状態(例えば、疼痛、発熱、炎症、虚血性損傷(心筋および/または脳など)または神経損傷)に関連する症状のうちの1つまたは複数をある程度まで低減し、かつ/または軽減するのに十分な量を含み得る。ある種の実施形態では、個体に予防的に投与する際などでは、有効量は状態を予防するのに十分である。有効量は、処置を受ける根底にある状態の根絶もしくは寛解、および/または個体が根底にある疾患もしくは状態に依然として罹患していることがあるにもかかわらず、個体が感覚もしくは状態の改善(例えば、疼痛強度および/または持続時間の低減)を報告するように根底にある状態に関連する症状のうちの1つまたは複数の根絶または寛解を包含する。有効量はまた、疾患または状態の改善が実現されるかどうかにかかわりなく、疾患または状態の進行を停止または減速することを包含する。
「有効量」は、投与される組成物、処置/予防される状態(例えば、疼痛の種類)、処置もしくは予防される状態の重症度、個体の年齢、身体サイズ、体重、および相対的健康、投与の経路および形態、ならびに本明細書に示されている教示を考慮して、当業者が理解する他の要因に応じて異なり得る。有効量は、例えば、1つまたは複数の臨床的、生理学的、生化学的、組織学的、電気生理学的、および/または行動評価からのデータを使用することによって評価することができる。
当技術分野では理解されるとおり、「有効量」は、1回または複数回の用量においてであってよい。すなわち、所望の処置エンドポイントを達成するために単回用量または複数用量が必要なことがある。有効量は、1種または複数の追加の薬剤を投与する状況で検討されることもあり、1種または複数の追加の薬剤と併用すると、1種または複数の望ましいか、または有益な結果が達成され得るか、または達成されるならば、アセトアミノフェンコンジュゲートを有効量で投与することを検討することもある。
本明細書において記載されている処置および/または予防の方法ならびにそのアセトアミノフェンコンジュゲートの使用に関して使用される場合、「それを必要とする」個体は、処置を受けるべき疾患または状態と診断されていて、それについて以前に処置を受けていて、かつ/またはそれを有することが疑われている個体であってよい。予防に関しては、それを必要とする個体は、疾患または状態のリスク(例えば、その状態の家族歴、その状態のリスクを示唆する生活要因など)がある個体であってもよい。
一部の変形形態では、個体は、本明細書において記載されている1つまたは複数の疾患もしくは状態および/またはその症状を有すると同定されている。熟練した医師によるその疾患もしくは状態および/またはその症状の識別は、当技術分野において日常的業務(例えば、アレルギー、感冒、咳、かぜ、疼痛などの検出)であり、例えば、疼痛、発熱などのため、個人または他者によって疑われることもある。
一部の実施形態では、個体は、本明細書において記載されているとおりの疾患または状態のうちの1つまたは複数にかかりやすいと同定されている。個体の感受性は、これらに限られないが、遺伝子プロファイリング、家族歴、病歴(例えば、関連状態の出現)、生活様式、または習慣を包含する、当業者が認識している多くの危険因子および/または診断手法のうちのいずれか1つまたは複数に基づくものであってよい。
一部の実施形態では、個体は、これらに限られないが、ウシ、ウマ、ネコ、ウサギ、イヌ、げっ歯類、または霊長類を包含する哺乳動物である。一部の実施形態では、哺乳動物は霊長類である。一部の実施形態では、霊長類はヒトである。一部の実施形態では、個体は、成人、青年、小児、乳児、および未熟児を包含するヒトである。一部の実施形態では、個体は非哺乳動物である。いくつかの変形形態では、霊長類はチンパンジーおよび他の類人猿ならびにサル種などのヒト以外の霊長類である。一部の実施形態では、哺乳動物は、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、およびブタなどの家畜;ウサギ、イヌ、およびネコなどのペット;ラット、マウス、およびモルモットなどのげっ歯類を包含する実験動物などである。一部の実施形態では、個体は、これらに限られないが、鳥などを包含する非哺乳動物である。用語「個体」は、特定の年齢または性別を示さない。
本明細書において使用される場合、「併用療法」は、アセトアミノフェンコンジュゲートを包含する第1の療法と、疾患もしくは状態を処置、安定化、予防、および/または遅延させるために有用な第2の療法(例えば、外科手術および/または追加の薬剤)との併用を意味する。他の化合物「との併用」投与は、同じまたは異なる経路による、逐次的、同時、または連続的な、同じまたは異なる組成物(複数可)での投与を包含する。一変形形態では、併用療法は、アセトアミノフェンコンジュゲートおよびアセトアミノフェンを包含してよい。一部の実施形態では、併用療法は場合によって、1種または複数の薬学的に許容される担体もしくは賦形剤、薬学的に活性ではない化合物、および/または不活性物質を包含する。
本明細書において使用される場合、用語「追加の薬剤」は、治療効果を誘発するために投与されるアセトアミノフェンコンジュゲート以外の活性作用剤(例えば、他の薬物および/またはアセトアミノフェン自体)を指す。追加の薬剤(複数可)は、(1)アセトアミノフェンコンジュゲート化合物が処置もしくは予防することが意図されている疾患もしくは状態(例えば、疼痛)に関連した治療効果、(2)根底にある状態の症状を処置もしくは予防すること、(3)アセトアミノフェンコンジュゲートの投与の副作用の出現もしくは重症度を低減すること、および/または(4)アセトアミノフェンに対して反応性ではないか、またはアセトアミノフェンに対する反応性が比較的低い疾患もしくは状態(例えば、不眠、不安、うつ病、炎症、悪心、および/または嘔吐)に関連した治療効果を目的とするものであってよい。
本明細書における「約」の付いた値またはパラメーターに対する言及は、その値またはパラメーター自体を対象とする変形形態を包含する(かつ記載する)。例えば、「約X」に対して言及している記載は、「X」の記載を包含する。
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「or」および「the」は、文脈によって別段に明らかに示されていない限り、複数の言及を包含する。本明細書において記載されている本発明の態様および変形形態は、態様および変形形態「からなる」および/または「本質的にからなる」を包含することは理解されるであろう。
別段に定義されているか、または文脈によって明らかに示されていない限り、本明細書において使用されている全ての技術用語および科学用語ならびに略語は、本発明が属する分野の技術者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。
アセトアミノフェンコンジュゲート
本発明は、アセトアミノフェンに対して反応性である疾患または状態を処置する際に有用であり得るアセトアミノフェンコンジュゲートおよび薬学的に許容されるその塩ならびに前述のものの溶媒和物を内包する。一部の実施形態では、アセトアミノフェンコンジュゲートは:(i)アセトアミノフェン部分および(ii)2−スルファニルエタンスルホン酸または2−アミノエタンスルフィン酸の部分を含有する。2−スルファニルエタンスルホン酸または2−アミノエタンスルフィン酸の部分は、一態様では、アセトアミノフェンヒドロキシル基に位置するリンカーを介して、アセトアミノフェン部分に結合している。一態様では、リンカーは、カルボニル基を含む。特定の変形形態では、アセトアミノフェンコンジュゲートは、アセトアミノフェンおよびメスナ(メスナは、2−スルファニルエタンスルホン酸のナトリウム塩であり、2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウムの頭字語である)のコンジュゲートである。他の変形形態では、アセトアミノフェンコンジュゲートは、アセトアミノフェンおよび2−アミノエタンスルフィン酸(2−アミノエタンスルフィン酸はヒポタウリンとしても公知である)のコンジュゲートである。一実施形態では、コンジュゲートは、リンカーを介してアセトアミノフェンヒドロキシル基に連結しているメスナの部分を含み、その際、その連結は、チオカルボネート部分を含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、リンカーを介してアセトアミノフェンヒドロキシル基に連結しているヒポタウリンの部分を含み、その際、その連結は、カルバメート部分を含む。
一態様では、アセトアミノフェンコンジュゲートは、式(I)によって示されるとおりの2−((4−アセトアミドフェノキシ)カルボニルチオ)エタンスルホン酸:
または薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物である。
一態様では、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩は、アルカリ金属塩である。特定の変形形態では、アセトアミノフェンコンジュゲートは、式(Ia)によって示されるとおりの2−((4−アセトアミドフェノキシ)カルボニルチオ)エタンスルホン酸ナトリウム:
またはその溶媒和物である。
別の態様では、アセトアミノフェンコンジュゲートは、式(II)によって示されるとおりの(((4−アセトアミドフェノキシ)カルボニル)アミノ)メタンスルフィン酸:
または薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物である。
一態様では、式(II)の化合物の薬学的に許容される塩は、アルカリ金属塩である。別の態様では、アセトアミノフェンコンジュゲートは、式(IIa)によって示されるとおりの(((4−アセトアミドフェノキシ)カルボニル)アミノ)エタンスルフィン酸ナトリウム:
または前述のものの溶媒和物である。
一部の実施形態では、アセトアミノフェンコンジュゲートは、実質的に純粋な形態である。別段に述べられていない限り、「実質的に純粋」は、15%以下の不純物を含有するアセトアミノフェンコンジュゲートの調製物を意図し、ここで、不純物は、アセトアミノフェンコンジュゲート以外の化合物を示しているが、他の形態のコンジュゲート(例えば、コンジュゲートの異なる塩または塩ではない形態)は包含しない。一変形形態では、実質的に純粋なコンジュゲートの調製物を提供し、その際、その調製物は、25%以下の不純物、または20%以下の不純物、または10%以下の不純物、または5%以下の不純物、または3%以下の不純物、または1%以下の不純物、または0.5%以下の不純物を含有する。
本発明はまた、本明細書において記載されているアセトアミノフェンコンジュゲートの全ての溶媒和物、水和物、および/または塩(例えば、薬学的に許容される塩)の形態ならびに前述のものを使用する方法を内包する。一部の実施形態では、本発明のアセトアミノフェンコンジュゲートは、溶媒和されていない形態、さらには溶媒和された形態(すなわち、溶媒和物)で存在することができる。アセトアミノフェンコンジュゲートは、水和された形態(すなわち、水和物)も包含し得る。
本発明は、本明細書において記載されている化合物の全ての塩、さらには化合物のそのような塩を使用する方法を内包する。本発明はまた、本明細書において記載されている化合物の任意の塩の全ての非塩形態、さらには本明細書で名称が挙げられている化合物の任意の塩の他の塩を内包する。一部の実施形態では、化合物の塩は、薬学的に許容される塩である。「薬学的に許容される塩」は、遊離化合物の生物学的活性のうちの少なくとも一部を保持していて、個体(例えば、ヒト)に薬物または医薬品として投与することができる塩である。一部の実施形態では、アセトアミノフェンコンジュゲートは、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩である。一部の実施形態では、アセトアミノフェンコンジュゲートは、一アルカリ塩(例えば、一ナトリウム塩)である。化合物の塩基性官能基の所望の塩は、化合物を酸で処理することによる当業者に公知の方法によって調製することができる。化合物の酸性官能基の所望の塩は、化合物を塩基で処理することによる当業者に公知の方法によって調製することができる。酸性化合物の無機塩の例には、これらに限られないが、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、ビスマス塩およびカルシウム塩などのアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;ならびにアルミニウム塩が包含される。酸性化合物の有機塩の例には、これらに限られないが、プロカイン、ジベンジルアミン、N−エチルピペリジン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、トリメチルアミン、およびトリエチルアミン塩が包含される。他の塩も提供され、それらには、P.H. Stahl、C.G. Wermuth(編)、Handbook of Pharmaceutical Salts (Properties, Selection and Use)、Wiley−VCH、Weinheim、ドイツ、2008年およびHaynes, D.A.ら、J. Pharm. Sci.、2005年、94巻、2111〜2120頁に記載されているものなどの、当業者に公知のものが包含される。
薬学的に許容される塩に対する言及は、溶媒付加形態またはその結晶形、特に溶媒和物または多形を包含することは理解されるべきである。溶媒和物は、化学量論的または非化学量論的量の溶媒を含有し、多くの場合に、結晶化のプロセスの間に形成される。水和物は、溶媒が水である場合に形成されるか、またはアルコラートは、溶媒がアルコールである場合に形成される。多形は、同じ元素組成の化合物からなるが、異なる結晶充填配置を包含する。多形は通常、異なるX線回折図、赤外スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形状、光学特性および電気特性、安定性、ならびに溶解動力学を有する。再結晶化溶媒、結晶化速度、および貯蔵温度などの様々な因子によって、優勢な単一結晶形態がもたらされ得る。
一部の実施形態では、アセトアミノフェンコンジュゲートは、アセトアミノフェンと比較した場合に、高い溶解度を示す。一部の実施形態では、アセトアミノフェンコンジュゲートは、アセトアミノフェンと比較した場合に、適用可能であれば、低い生物活性を示すか、もしくは全く示さないか、または受容体に対する低い親和力を示すか、もしくは全く示さない。しかしながら、個体に投与されると、アセトアミノフェンコンジュゲートは、in vivoで(例えば、コンジュゲートの加水分解または酵素開裂を介して)アセトアミノフェンと、追加の薬剤とを放出する。
本明細書において記載されているアセトアミノフェンコンジュゲートは、一部の条件下(例えば、貯蔵の間および/または生理食塩水中の調製物で)では比較的安定であり得るが、他の条件下(例えば、個体への投与などのin vitroまたはin vivo系への導入後)ではそれらの親薬物に変換される。一部の実施形態では、例えば、血漿中約0.3ng/mLもしくは約15ng/mL、または血漿中約0.3ng/mLもしくは約15ng/mLの間のコンジュゲート(例えば、式IもしくはIIのコンジュゲートまたはそれらの塩あるいは溶媒和物)は、37℃で約1分、5分、10分、15分、20分、または30分、または45分、または1時間後にアセトアミノフェンへ10%、または15%、または20%、または25%、または30%、または35%、または40%、または45%、または50%、または60%、または75%超、変換し得る。一部の実施形態では、例えば、ヒト血漿中約0.3μg/mLもしくは約15μg/mL、またはヒト血漿中約0.3μg/mLもしくは約15μg/mLの間のコンジュゲート(例えば、式IもしくはIIのコンジュゲートまたはそれらの塩あるいは溶媒和物)は、37℃で約1時間後にアセトアミノフェンへ約30%または約45%超、変換し得る。これらの実施形態の一部では、アセトアミノフェンコンジュゲートは、室温の水、プロピレングリコール、および/または生理食塩水中では、上記のようにアセトアミノフェンへ変換し得ない。例えば、これらの実施形態の一部では、コンジュゲートは、室温の水またはプロピレングリコール中では、30分または60分で親薬物へ約5%、または10%、または20%、または25%、または30%、または40%、または60%、または70%のいずれか超は変換し得ない。一実施形態では、37℃のヒト血漿中約15μg/mL(または約0.3μg/mL、または0.3μg/mL〜15μg/mL)の濃度のアセトアミノフェンコンジュゲート(例えば、式IもしくはIIのコンジュゲートまたはそれらの塩あるいは溶媒和物)は、45分で親薬物に30%超変換し得、室温の水中では、同じ濃度で45分で30%超は変換し得ない。一部の実施形態では、コンジュゲート(例えば、式IもしくはIIのコンジュゲートまたはそれらの塩あるいは溶媒和物)は、同じ曝露時間後に室温の水と比較して37℃のヒト血漿中では、親薬物へ少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%のいずれかだけ高く変換し得る。
製剤
本明細書において記載されているアセトアミノフェンコンジュゲートは、単独か、または1種もしくは複数の追加の薬剤と一緒に、賦形剤(例えば、1種または複数の賦形剤)、抗酸化剤(例えば、1種または複数の抗酸化剤)、安定剤(例えば、1種または複数の安定剤)、保存剤(例えば、1種または複数の保存剤)、pH調整剤および緩衝剤(例えば、1種もしくは複数のpH調整剤および/または緩衝剤)、張度調整剤(tonicity adjusting agent)(例えば、1種または複数の張度調整剤)、粘稠化剤(thickening agent)(例えば、1つまたは複数の粘稠化剤)、懸濁化剤(例えば、1種または複数の懸濁化剤)、結合剤(例えば、1種または複数の結合剤)、粘度上昇剤(例えば、1つまたは複数の粘度上昇剤)などの添加剤を含む製剤(医薬組成物を包含)の形で存在することができるが、ただし、追加の成分は、処置を受ける特定の疾患または状態について薬学的に許容されることを条件とする。一部の実施形態では、製剤は、本明細書において記載されているとおりの追加の成分のうちの2種以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8種、またはそれ以上の追加成分)の組合せを包含してよい。一変形形態では、製剤は、2種以上のアセトアミノフェンコンジュゲートを含んでよい。一部の実施形態では、添加剤は、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、単糖類、二糖類、デンプン、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストロース、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ポリビニルピロリジノン、低融点ワックス、イオン交換樹脂など、さらにはそれらのうちの任意の2種以上の組合せなどの処理剤ならびに薬物送達調整剤および促進剤を包含する。他の適切な薬学的に許容される賦形剤は、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES、Marck Pub. Co.、New Jersey、第18版(1996年)ならびにREMINGTON: THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、第20版(2003年)および第21版(2005年)に記載されている。
製剤は、処置を受ける状態、投与される化合物の量、個体の状態、および本明細書において示されている教示を考慮すれば当業者には容易に明らかになるであろう他の変数に従って異なることがあるか、または適合させることができる。
一部の実施形態では、アセトアミノフェンコンジュゲートを含む製剤(例えば、非経口投与に適用できる製剤)は、約3.5〜約9.5、または約4.5〜約8.5、または約5.0〜約9.0、または約5.5〜約8.5、または約6.0〜約8.0、または約6.5〜約8.0、または約7.0〜約8.0、または約7.4のpHを有する水性製剤である。
式(I)もしくは(II)のコンジュゲートまたはその塩あるいは前述のものの溶媒和物と、生理食塩水とを含む製剤を提供する。一態様では、そのような製剤は、生理学的pH(約7.4)にある。そのような製剤は、貯蔵および後の使用に適し、その際、コンジュゲートは、長期間(例えば、貯蔵の間)完全な状態のままであり、個体(例えば、成人、青年、小児、または乳児)への投与後にアセトアミノフェンへ変換される。一部の実施形態では、コンジュゲートを乾燥粉末として貯蔵し、投与前に乾燥粉末を生理食塩水に溶解することによって製剤を生じさせる。一態様では、例えば、アセトアミノフェン約50mg/mL、75mg/mL、100mg/mL、125mg/mL、150mg/mL、175mg/mL、または200mg/mLのいずれかのモル当量を含むコンジュゲート製剤を提供するが、ここで、モル当量は、完全に変換すると、示された量のアセトアミノフェンを生じさせるであろうコンジュゲートの量である。本明細書において記載されているコンジュゲートの任意の量(例えば、投薬量)に関して、アセトアミノフェンの当該量についてのモルコンジュゲート当量も企図されている。例えば、約5mL、10mLまたは15mLのいずれかまで(例えば、アセトアミノフェン約1450mg〜約1600mgのモルコンジュゲート当量)の単一ボーラス製剤も提供する。
キット
本発明はまた、アセトアミノフェンに対して反応性である状態(例えば、疼痛)を処置または予防するために有用な物質を含有するキットを提供する。キットは、本発明のアセトアミノフェンコンジュゲートおよび使用説明書を含有してよい。キットは、ラベル付きの容器を含んでいてよい。適切な容器には、例えば、ビン、バイアルおよび試験管が包含される。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成されていてよい。容器は、アセトアミノフェンコンジュゲートまたはアセトアミノフェンコンジュゲートの製剤(例えば、1種または複数の追加の薬剤をさらに含む製剤)を保持し得る。容器上のラベルは、アセトアミノフェンコンジュゲートまたは製剤がアセトアミノフェンに対して反応性である状態(例えば、疼痛)を処置または抑制するために使用されることを示していてよく、本明細書において記載されているようなin vivoまたはin vitroでの使用に関する指示も示していてよい。
本発明はまた、本発明のアセトアミノフェンコンジュゲートのうちの1種または複数を含むキットを提供する。一部の実施形態では、本発明のキットは、上記の容器を含む。他の実施形態では、本発明のキットは、上記の容器および緩衝剤を含む第2の容器を含む。キットは、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、注射器を包含する商業的観点および使用者の観点から望ましい他の物質、および本明細書において記載されているいずれかの方法を行うための指示を含む添付文書をさらに包含していてよい。
他の態様において、キットは、例えば、アセトアミノフェンに対して反応性である1種または複数の状態(例えば、疼痛および/または発熱)を有する個体を処置すること、あるいは1種または複数のそのような状態を抑制することを包含する、本明細書において記載されている方法のいずれかのために使用することができる。
ある種の実施形態では、キットは、本明細書において開示されている投薬量の少なくとも1種の製剤を包含してよい。一態様では、剤形は、アセトアミノフェン4g/日のモル当量を超える用量に対応する。キットは、その製剤を送達するための手段も含んでいてよい。
キットは、本明細書において記載されている製剤と併用するための追加の薬剤を包含してよい。一部の変形形態では、追加の薬剤(複数可)は、1種または複数の鎮痛薬(複数可)であってよい。これらの作用剤は、別個の形態で、または本発明の化合物と混合して提供することができるが、ただし、そのような混合が本明細書において記載されている薬剤または製剤の有効性を低下させず、かつ投与経路と相容性であることを条件とする。同様に、キットは、補助療法用の追加の作用剤または本明細書において記載されている状態の処置もしくは予防に有効であると当業者に公知の他の作用剤を包含してよい。
キットは、本発明のアセトアミノフェンコンジュゲートを含む製剤の調製および/または投与に関する適切な説明を場合によって包含してよい。製剤の起こり得る副作用を詳述する情報および任意の他の関連情報も同封することができる。説明は、これらに限られないが、印刷物、ビデオテープ、コンピュータで読み取り可能なディスク、光ディスク、またはインターネットに基づく説明への指示を包含する任意の適切な形式のものであってよい。
本発明の別の態様では、本明細書において開示されているとおりの投薬量のコンジュゲート組成物を含む第1の容器および使用説明書を含む、本明細書において記載されている疾患または状態(例えば、疼痛および/または発熱)に罹患しているか、または罹患しやすい個体を処置するためのキットを提供する。容器は、当技術分野で公知であり、静脈内製剤の貯蔵および送達に適するもののいずれかであってよい。ある種の実施形態では、キットは、個体に投与する製剤を調製するための薬学的に許容される担体、希釈剤、アジュバントなどを含む第2の容器をさらに含む。
1〜3日、1〜5日、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月またはそれ以上などの長期間にわたって個体に有効な処置を提供するのに十分な投薬量の本明細書において記載されている化合物(その製剤を包含)を含有するキットも提供することができる。
キットは、単位剤形または複数回使用剤形(multi−use form)で包装されている本明細書において記載されているとおりの組成物を包含してよい。キットは、単位剤形の複数単位を包含していてもよい。
アセトアミノフェンコンジュゲートまたは薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物の単位剤形もまた提供する。
処置の方法
本発明のアセトアミノフェンコンジュゲートは、アセトアミノフェンに対して反応性である疾患または状態(例えば、疼痛および/または発熱)を処置するために使用することができる。一実施形態では、本発明は、個体に有効量のアセトアミノフェンコンジュゲート(例えば、式(I)もしくは(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物)を投与することを含む、アセトアミノフェンに対して反応性である疾患または状態を処置する方法を提供する。一部の実施形態では、個体は、アセトアミノフェンに対して反応性である疾患または状態を発現するリスクがある。一部の実施形態では、個体に有効量のアセトアミノフェンコンジュゲートまたは薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物を投与することを含む、個体における疼痛、発熱、炎症、虚血性損傷(心筋および/または脳など)または神経損傷を処置する方法を提供する。一変形形態では、個体は、術後であり、術後疼痛を有するか、または有すると考えられるか、または発現している。一変形形態では、術後疼痛に対してコンジュゲートを予防的に投与する。一変形形態において、個体は、アセトアミノフェンの経口投与に適していない。まだ他の変形形態では、個体は、既存の他のアセトアミノフェン製剤に適していない。
本発明は、急性および慢性疼痛を包含するあらゆる病因の疼痛、ならびにアセトアミノフェン鎮痛薬が処方されるあらゆる疼痛を処置する方法を内包する。疼痛の例には、手術後疼痛、術後疼痛(歯痛を包含)、片頭痛、頭痛、および三叉神経痛、熱傷、創傷、または腎結石に伴う疼痛、外傷(外傷性頭部損傷を包含)に伴う疼痛、神経障害性疼痛(例えば、末梢神経障害および帯状疱疹後神経痛)、筋骨格障害、挫傷、捻挫、打撲傷、骨折、筋肉痛、関節リウマチ、変形性関節症、膀胱炎、膵臓炎、炎症性腸疾患、強直性脊椎炎、血清陰性(非リウマチ様)関節症、関節外リウマチ、および関節周囲障害に伴う疼痛、ならびに癌に伴う疼痛(「突出痛」および末期癌に伴う疼痛を包含)が包含される。炎症性成分(上述のものの一部に加えた)に伴う疼痛の例には、リウマチ性疼痛、粘膜炎、および月経困難症(例えば原発性月経困難症)に伴う疼痛が包含される。一部の変形形態では、本発明の方法および製剤を、手術後疼痛および/または癌疼痛を処置または予防するために使用する。一部の変形形態では、本発明の方法および組成物を、感染症に伴う疼痛、外科手術、外傷、変形性関節症、関節リウマチ、腰痛、線維筋痛症、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害、HIV関連神経障害、および複合性局所疼痛症候群に伴う疼痛からなる群から選択される疼痛を処置または予防するために使用する。一部の変形形態では、本発明の方法および組成物を、高熱を随伴することが多いインフルエンザ、熱帯病などを包含する感染症に伴う疼痛を処置または予防するために使用する。
一部の変形形態では、本発明の方法および組成物(例えば、式(I)もしくは(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物)を、疼痛および/または発熱(例えば、成人、青年、小児、および/または乳児における)を処置または予防するために使用する。一部の実施形態では、本発明の方法および組成物(例えば、式(I)もしくは(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物)を、急性疼痛(例えば、成人、小児、および/または乳児の整形外科手術などの外科手術後の急性疼痛)などの疼痛を処置するために使用する。一部の実施形態では、本発明の方法および組成物(例えば、式(I)もしくは(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物)は、発熱、例えば内毒素誘発性発熱(例えば、成人、青年、小児、および/または乳児における内毒素誘発性発熱)を処置または予防するために使用する。一部の実施形態では、本発明の方法および組成物(例えば、式(I)もしくは(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物)を、小児および/または乳児における発熱の処置または予防に使用する。一部の実施形態では、発熱は、軽度発熱、中等度発熱、高度発熱、および超高熱から選択される。一部の実施形態では、発熱は、ペル−エプスタイン熱、稽留熱、間欠熱、および弛張熱から選択される。
方法の一部の変形形態では、アセトアミノフェンコンジュゲート(例えば、式(I)もしくは(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物)の投与後の個体における肝毒性、潜在性肝毒性、および/または肝臓毒素量は、同じ条件下でのアセトアミノフェンの投与よりも低減されている。一部の変形形態では、アセトアミノフェンコンジュゲート(例えば、式(I)もしくは(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物)の投与後の個体の肝臓での毒性作用または潜在性毒性作用は、同じ条件下でのアセトアミノフェンの投与よりも低減されている。
本発明は、個体にアセトアミノフェンコンジュゲート(例えば、式(I)もしくは(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物)を投与することを含み、肝毒性のレベルが、当モルか、または同等な用量のアセトアミノフェンの投与と比較して低下する、個体におけるアセトアミノフェンの肝毒性レベルを低下させる方法を内包する。本発明はまた、個体にアセトアミノフェンコンジュゲート(例えば、式(I)もしくは(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物)を投与することを含む、個体におけるアセトアミノフェンの肝臓毒性レベルを低下させる方法を内包する。これらの方法のうちの一部では、アセトアミノフェンに対して反応性である疾患または状態(例えば、疼痛および/または発熱)について個体を同時に処置しつつ、肝毒性を低下させる。
一部の実施形態では、本発明は、個体に有効量の式(I)もしくは(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物を投与することを含み、個体に投与すると、化合物が、アセトアミノフェンの投与と比較して、より迅速なアセトアミノフェン作用の開始をもたらす、アセトアミノフェン療法を必要とする個体においてより迅速なアセトアミノフェン作用の開始をもたらす方法を内包する。一変形形態では、アセトアミノフェンコンジュゲートまたはその塩の投与は、アセトアミノフェンの投与と比較して、アセトアミノフェン作用の開始を約5分、または10分、または15分、または30分、または1時間、または2時間、または3時間、または4時間、または6時間、または8時間、または10時間、または12時間、または18時間、または24時間超、早める。一部の実施形態では、コンジュゲートには、アセトアミノフェン作用の開始に(例えば、コンジュゲートを静脈内投与すると)、ほとんど遅延がないか、または全くない。
一部の実施形態では、本発明は、アセトアミノフェンコンジュゲート(例えば、式(I)もしくは(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物)を投与することを含み、アセトアミノフェンコンジュゲートがアセトアミノフェンに変換する、個体にアセトアミノフェンを供給する方法を内包する。また、アセトアミノフェンコンジュゲート(例えば、式(I)もしくは(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物)を投与し、コンジュゲートがin vivoでアセトアミノフェンに変換することによって、個体にアセトアミノフェンを供給する方法を提供する。一態様では、コンジュゲート(例えば、式(I)もしくは(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物)は、投与後約1、5、10、15または30分以内にアセトアミノフェンへの変換をもたらす。変換は、本明細書において実験の項に詳述されているものを包含する、当技術分野で公知の技法によって測定することができる。一部の実施形態では、本発明は、個体に有効量のアセトアミノフェンコンジュゲート(例えば、式(I)もしくは(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物)を投与することを含み、コンジュゲートのうちの約10%、または15%、または20%、または25%、または30%、または35%、または40%、または45%、または50%、または60%、または75%、または85%、または90%、または95%超が投与後約1分、3分、5分、10分、20分、または30分、または45分、または1時間未満の後にアセトアミノフェンに変換される、個体(例えば、アセトアミノフェン療法を必要とする個体)にアセトアミノフェンを供給する方法を内包する。一部の実施形態では、方法は、個体に有効量のアセトアミノフェンコンジュゲート(例えば、式(I)もしくは(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物)を投与することを含み、コンジュゲートのうちの約10%または約20%超が投与後約1分または約3分未満の後にアセトアミノフェンに変換される。
一部の実施形態では、本発明は、個体に(例えば、静脈内で)有効量のアセトアミノフェンコンジュゲート(例えば、式(I)もしくは(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物)を投与することを含み、生じるアセトアミノフェン濃度(例えば、投与後約10分、または約20分、または約30分、または約45分、または約1時間、または約2時間、または約3時間で)が、同じ条件下で投与された当モル用量のアセトアミノフェンの投与で得られるアセトアミノフェン濃度よりも約50%、または約40%、または約30%、または約25%、または約20%、または約15%、または約10%、または約5%のいずれかだけ高い、アセトアミノフェンを個体(例えば、アセトアミノフェン療法を必要とする個体)に供給する方法を内包する。例えば、一部の実施形態では、個体に有効量のアセトアミノフェンコンジュゲート(例えば、式(I)もしくは(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物)を静脈内投与することを含み、生じるアセトアミノフェンまたはその代謝産物の濃度が(例えば、投与後約30分または1時間で)、同じ条件下で投与された当モル用量のアセトアミノフェンの投与で得られるアセトアミノフェン濃度よりも約15%または約5%高い、アセトアミノフェンをアセトアミノフェン療法を必要とする個体に供給する方法を提供する。
本明細書に詳述されているアセトアミノフェンコンジュゲートは、2−スルファニルエタンスルホン酸または2−アミノエタンスルフィン酸がin vivoで発生することによって、アセトアミノフェンに対する肝臓保護ももたらし得る。メスナは、マウスにおいてアセトアミノフェン誘発肝腎酸化損傷に対して保護作用を有することが証明されている(G. Senerら、J. Appl. Toxicol.2005年:20〜29頁)。ヒポタウリンは、ラットに事前処置として投与されると、APAPによって誘発される肝臓損傷および生化学変化を減弱することが証明されている(M. Archaryaら、J. Biomedical Sci.、2010年17巻(Suppl 1):S35)。したがって、個体に、有効量の本明細書において提供されているアセトアミノフェンコンジュゲート(例えば、式(I)もしくは(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物)を投与することを含み、コンジュゲートの投与が、当モル用量のアセトアミノフェンの投与と比較して、個体への肝毒性の低下をもたらす、アセトアミノフェンの肝毒性を低減する方法も提供する。
一部の実施形態では、本発明は、アセトアミノフェンコンジュゲート(例えば、式(I)もしくは(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物)を投与すること含み、コンジュゲートがアセトアミノフェンおよび肝臓保護薬に変換する、アセトアミノフェンおよび肝臓保護薬を個体に供給する方法を内包する。一態様では、コンジュゲートは、式(I)のコンジュゲートまたは薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物であり、肝臓保護薬は、2−スルファニルエタンスルホン酸である。別の態様では、コンジュゲートは、式(II)のコンジュゲートまたは薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物であり、肝臓保護薬は、2−アミノエタンスルフィン酸である。また、アセトアミノフェンコンジュゲート(例えば、式(I)もしくは(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物)を投与することにより、コンジュゲートがin vivoでアセトアミノフェンおよび肝臓保護薬に変換する、アセトアミノフェンおよび肝臓保護薬を個体に供給する方法を提供する。一態様では、コンジュゲート(例えば、式(I)もしくは(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物)は、投与後約1、5、10、15、または30分以内に、アセトアミノフェンへの変換をもたらす。変換は、本明細書において実験の項に詳述されているものを包含する、当技術分野で公知の技法によって測定することができる。一部の実施形態では、本発明は、個体に、有効量のアセトアミノフェンコンジュゲート(例えば、式(I)もしくは(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物)を投与することを含み、コンジュゲートのうちの約10%、または15%、または20%、または25%、または30%、または35%、または40%、または45%、または50%、または60%、または75%、または85%、または90%、または95%超が投与後約1分、3分、5分、10分、20分、または30分、または45分、または1時間未満の後にアセトアミノフェンおよび肝臓保護薬に変換される、アセトアミノフェンおよび肝臓保護薬を個体(例えば、アセトアミノフェンおよび/または肝臓保護薬療法を必要とする個体)に供給する方法を内包する。一部の実施形態では、方法は、個体に有効量のアセトアミノフェンコンジュゲート(例えば、式(I)もしくは(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物)を投与することを含み、コンジュゲートのうちの約10%超または約20%超が、投与後約1分または約3分未満の後に、アセトアミノフェンおよび肝臓保護薬に変換される。
一部の実施形態では、本発明は、個体に(例えば、静脈内で)有効量のアセトアミノフェンコンジュゲート(例えば、式(I)もしくは(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物)を投与することを含み、生じるアセトアミノフェン濃度(例えば、投与後約10分、または約20分、または約30分、または約45分、または約1時間、または約2時間、または約3時間で)が、同じ条件下で投与された当モル用量のアセトアミノフェンの投与で得られるアセトアミノフェン濃度よりも約50%、または約40%、または約30%、または約25%、または約20%、または約15%、または約10%、または約5%のいずれかだけ高い、アセトアミノフェンおよび肝臓保護薬を個体(例えば、アセトアミノフェンおよび/または肝臓保護薬療法を必要とする個体)に供給する方法を内包する。例えば、一部の実施形態では、個体に有効量のアセトアミノフェンコンジュゲート(例えば、式(I)もしくは(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物)を静脈内投与することを含み、生じるアセトアミノフェンまたはその代謝産物の濃度が(例えば、投与後約30分または1時間で)、同じ条件下で投与された当モル用量のアセトアミノフェンの投与で得られるアセトアミノフェン濃度よりも約15%または約5%高い、アセトアミノフェンおよび肝臓保護薬を、アセトアミノフェンおよび/または肝臓保護薬療法を必要とする個体に供給する方法を提供する。
当モル用量のアセトアミノフェンの投与によって安全に供給され得る用量よりも高用量のアセトアミノフェンを個体に投与する方法も提供する。コンジュゲートは、アセトアミノフェン肝毒性に対して保護作用をもたらすことができ、したがって、個体に安全に投与することができる用量のアセトアミノフェンと比較した場合に、より高用量のコンジュゲートを個体に安全に投与することができると考えられる。一態様では、同じ条件下でアセトアミノフェン(および/またはアセトアミノフェンの製剤)の投与では安全ではない用量で、かつ期間にわたって、アセトアミノフェンコンジュゲート(例えば、式(I)もしくは(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物)を投与することによって、アセトアミノフェンを個体に供給する。例えば、個体にアセトアミノフェンコンジュゲート(例えば、式(I)もしくは(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物)を、個体に投与するとin vivoで4g/日超のアセトアミノフェンを供給する1日投薬量で投与することによって、4g/日用量超のアセトアミノフェンを個体に供給する方法を提供する。一態様では、方法は、本明細書に詳述されているコンジュゲートの液体製剤(例えば、生理食塩水)を使用する。方法はまた、異なる製剤(例えば、静脈内投与、続いて経口投与)も使用することができる。
併用療法
症状の発生および/または重症度および/またはその臨床症状をさらに低減するための1種もしくは複数の追加の薬剤、さらには根底にある状態を処置または予防するための追加の薬剤を包含する、本明細書において記載されていて、当技術分野で公知である1種もしくは複数の追加の薬剤と共に、あるいは追加の処置様式と共に(例えば、その前に、それと同時に、またはその後に)、本明細書において記載されているアセトアミノフェンコンジュゲートを製剤化し、かつ/または投与することができる。本明細書において記載されているとおりのアセトアミノフェンコンジュゲートは、1種または複数の追加の薬剤の投与の前、それと同時に、またはその後に投与することができる。本明細書において記載されているアセトアミノフェンコンジュゲートは、状態または処置レジメンに関連する症状を緩和するための作用剤と共に(例えば、その前に、それと同時に、またはその後に)投与することもできる。
本発明の製剤および方法の一部の実施形態では、アセトアミノフェンコンジュゲートを1種または複数の追加の薬剤と併用する。代表的な追加の薬剤には、オピオイド(天然、半合成、または合成)、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、およびカフェインなどの他の化合物が包含される。本発明のコンジュゲートとの併用が企図される化合物の例には、これらに限られないが、コデイン、モルヒネ、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、レボルファノール、アスピリン、ケトロラック、イブプロフェン、ナプロキセン、カフェイン、トラマドール、デクストロプロポキシフェン、メチルヘキシタール、ジアゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、プロポキシフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、エトドラク、ジクロフェナク、ミソプロストール、メロキシカム、ピロキシカム、ドキシラミン、パマブロム、カリソプロドール、ガバペンチン、プレガバリン、デュロキセチン、およびブタルビタールが包含される。
組み合わせ製剤の有望な利点の一つは、製剤が、アセトアミノフェンの毒性またはほぼ毒性量レベルに近づくことなく、随伴する肝臓保護薬を伴うことなく投与されるアセトアミノフェンの天井効果を超える無痛を誘導し得ることである。アセトアミノフェンコンジュゲートとジアゼパム、ロラゼパム、ミダゾラムなどのベンゾジアゼピン、または他の任意のベンゾジアゼピンとの組合せは、例えば、無痛症の処置に加えて、手術前または手術後不安を処置するために使用することができる。そのような組合せは、歯科手術(例えば、第三大臼歯の抜歯)に特に有用であり得る。
本発明のアセトアミノフェンコンジュゲートと併用される上記の追加の薬剤は、PHYSICIANS’ DESK REFERENCE (PDR)、第53版(1999年)に示されている治療量などの治療量で、または当業者に公知であろう治療的有用量で使用することができる。
1種または複数の本発明のアセトアミノフェンコンジュゲートと共に投与される追加の薬剤(例えば、鎮痛薬)は、推奨最大臨床投薬量またはより低い用量で投与することができる。本発明の製剤中の追加の薬剤の投薬量レベルは、所望の治療応答が得られるように、投与経路、疾患の重症度、ならびに患者の特性および応答に応じて変化させることができる。組合せは、別個の製剤として、または両方の作用剤を含む単一剤形として投与することができる。組合せとして投与する場合、アセトアミノフェンコンジュゲートは、同時または異なる時点に投与される別個の製剤として処方することができるか、あるいはアセトアミノフェンコンジュゲートは、単一製剤として投与することができる。
当業者には十分に理解されるとおり、特定の状態について、異なる追加の薬剤(複数可)および/または追加の処置様式(複数可)を用いることができる。
一部の実施形態では、本発明のアセトアミノフェンコンジュゲートは、アセトアミノフェン自体と共に処方し、かつ/または投与することができる。そのような併用療法は、初期の治療量の親薬物の供給に続いて、コンジュゲートからの親薬物活性の遅延および/または持続をもたらし得る。例えば、式(I)もしくは(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物と、アセトアミノフェンとの組合せを用いることができる。そのような製剤によって、投与頻度を低くすることができる。別法では、式(I)もしくは(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩あるいは前述のものの溶媒和物の当初用量(例えば、術後疼痛および/または発熱を処置するための低体積/高濃度用量)に続いて、疼痛および/または発熱を処置するためにアセトアミノフェンを投与することができる(例えば、退院後または手術の状況)。
本明細書において記載されている製剤および方法は、単独で、あるいは処置/予防する状態を処置または予防するために使用される他の処置様式(例えば、請求の化合物の医薬製剤に関連して本明細書において記載されているか、または当業者に公知の追加の薬剤による補助療法)および/または追加の処置様式の適用、または前述のものの組合せと共に(例えば、その前に、それと同時に、またはその後に)使用することができる。例えば、本明細書において記載されていて、当業者に公知の1種または複数の追加の薬剤および/または例えば、外科手術もしくは放射線療法を包含する現在利用可能な処置様式と組合せて使用することができる。本明細書において使用される場合、用語「追加の処置様式」は、薬剤の使用を伴わない本明細書において記載されている状態の処置/予防(例えば、外科手術、放射線療法など)を指す。薬剤(複数可)および/または追加の処置様式(複数可)の組合せを使用する場合、それらは、本明細書において記載されているとおりの1種または複数のアセトアミノフェンコンジュゲート(またはその製剤(複数可))の投与前に、それと同時に、またはその後に独立に適用することができる。
1種もしくは複数の追加の処置様式および/または追加の薬剤と本明細書において記載されている製剤の投与との最適な組合せは、個体に基づき、本明細書において記載されているものを包含する、特定の個体に作用する様々な因子を考慮して、主治医または獣医師が決定することができる。
投与および投与方法
本明細書において記載されているアセトアミノフェンコンジュゲートおよび製剤を一般に、意図されている結果を達成するために有効な量で、例えば、処置または予防される特定の状態(例えば、疼痛および/または発熱)を処置または予防するために有効な量で使用する。有効量を投与するために投与されるアセトアミノフェンコンジュゲートまたは製剤の量は、例えば、処置される特定の状態、投与頻度、投与する特定の製剤、処置を受ける状態の重症度、ならびに個体の年齢、体重、および一般健康状態、処置を受ける個体が経験する有害作用などを包含する様々な因子に依存する。有効投薬量の決定は、特に本明細書において提供されている教示を考慮すれば、当業者の能力の範囲内である。投薬量は、in vivoで動物モデルを使用して推定することもできる。
単一剤形を製造するために担体物質と組み合わせることができるアセトアミノフェンコンジュゲートの量は、上記の種々の因子のうちの一つまたは複数に加えて、アセトアミノフェンコンジュゲートが投与される宿主および特定の投与様式によって異なり得る。選択される医薬品単位投薬量は、血液、組織、臓器、または身体の他の標的領域において薬物の規定の最終濃度が得られるように製作し、投与することができる。所与の状況での有効量は、常套的な実験によって容易に決定することができ、通常の臨床医の技術および判断の範囲内にある。
一部の実施形態では、アセトアミノフェンと同じ血中レベル濃度を得るために必要なアセトアミノフェンコンジュゲートの投薬量は、コンジュゲートの高い溶解度および/または代謝プロファイル(例えば、肝臓における初回通過代謝による薬物損失が少ない)のため、より低い。一部の実施形態では、アセトアミノフェンと同じ血中レベル濃度を得るためのコンジュゲートの必要な用量は、アセトアミノフェンの1.2分の1、2分の1、5分の1、7.5分の1、10分の1、15分の1、20分の1、50分の1、または100分の1である。
使用することができるアセトアミノフェンコンジュゲート(単独または組み合わせて)の投薬量の例は、約0.1μg/kg〜約300mg/kgの投薬量範囲内、または約1.0μg/kg〜約40mg/体重kgの範囲内、または約1.0μg/kg〜約20mg/体重kgの範囲内、または約1.0μg/kg〜約10mg/体重kgの範囲内、または約10.0μg/kg〜約10mg/体重kgの範囲内、または約100μg/kg〜約10mg/体重kgの範囲内、または約1.0mg/kg〜約10mg/体重kgの範囲内、または約10mg/kg〜約100mg/体重kgの範囲内、または約50mg/kg〜約150mg/体重kgの範囲内、または約100mg/kg〜約200mg/体重kgの範囲内、または約150mg/kg〜約250mg/体重kgの範囲内、または約200mg/kg〜約300mg/体重kgの範囲内、または約250mg/kg〜約300mg/体重kgの範囲内の有効量である。使用することができる他の用量は、約0.01mg/体重kg、約0.1mg/体重kg、約1mg/体重kg、約10mg/体重kg、約20mg/体重kg、約30mg/体重kg、約40mg/体重kg、約50mg/体重kg、約75mg/体重kg、約100mg/体重kg、約125mg/体重kg、約150mg/体重kg、約175mg/体重kg、約200mg/体重kg、約225mg/体重kg、約250mg/体重kg、約275mg/体重kg、または約300mg/体重kgである。本発明の化合物は、単独または併用で、単一の1日用量で投与することができるか、あるいは総1日投薬量を1日2、3、4、5、または6回の分割投薬量で投与することができる。化合物を、1日1回未満、例えば、1週間に1回、1週間に2回、または1週間に3回投与することができる。
アセトアミノフェンコンジュゲートの投与の頻度および持続期間は、処置される状態、個体の状態などに依存する。製剤は、個体に1回または複数回、例えば、2、3、4、5、10、15、20回、またはそれ以上の回数投与することができる。製剤は、個体に例えば、1日1回より多い回数、それに等しい回数、またはそれより少ない回数、1日2回、1日3回、または1日3回より多い回数;あるいは1日1〜6回、1日2〜6回、または1日4〜6回投与することができる。製剤はまた、個体に例えば、1日1回未満、例えば、1日おき、2日おき、毎週、またはそれより低い頻度で投与することができる。製剤は、数日、数週間、または数カ月の期間にわたって投与することができる。
本発明のアセトアミノフェンコンジュゲートは、腸内で(例えば、経口または直腸)、非経口的に(例えば、注射により(静脈内もしくは筋肉内)、または吸入により(例えば、ミストまたは噴霧として))、あるいは局所的に従来の非毒性の薬学的に許容される、所望のとおりの担体、アジュバント、およびビヒクルを含有する投薬単位製剤で投与することができる。例えば、適切な投与様式には、経口、皮下、経皮、経粘膜、イオン導入、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、鼻腔内(例えば、経鼻粘膜)、硬膜下、直腸、胃腸などへの投与、および特定または罹患臓器または組織への直接的投与が包含される。中枢神経系へ送達するためには、脊髄および硬膜外投与、または脳室への投与を使用することができる。局所投与は、経皮パッチまたはイオン導入装置などの経皮投与の使用を伴ってもよい。非経口という用語には、本明細書において使用される場合、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射、または点滴技術が包含される。アセトアミノフェンコンジュゲートは、所望の投与経路に適している、薬学的に許容される担体、アジュバント、およびビヒクルと混合することができる。投与経路は、処置されるべき状態によって異なり得る。さらなる投与方法は、当技術分野で公知である。
本方法の一部の実施形態では、投与経路は、経口である。一部の実施形態では、製剤は、経口投与に適している。本明細書で使用するために記載されたアセトアミノフェンコンジュゲートは、固体形態、液体形態、エアゾールの形態、または錠剤、丸剤、散剤混合物、カプセル剤、顆粒剤、注射剤、クリーム剤、液剤、坐剤、浣腸剤、腸内洗浄剤、乳剤、分散剤、食品プレミックスの形態、および他の適切な形態で投与することができる。
経口投与用の固体剤形には、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、および顆粒剤が包含されていてよい。そのような固体剤形では、活性化合物をスクロース、ラクトース、またはデンプンなどの少なくとも1種の不活性希釈剤と混合することができる。そのような剤形は、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤も含んでいてよい。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合、剤形は、緩衝剤も含んでいてよい。錠剤および丸剤は追加的に、腸溶コーティングを用いて調製することができる。
経口投与用の液体剤形には、水などの当技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤を含有する薬学的に許容される乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、およびエリキシル剤が包含される。そのような製剤は、湿潤剤、乳化剤、および懸濁化剤、シクロデキストリン、ならびに甘味剤、矯味矯臭剤、および芳香剤などのアジュバントも含んでいてよい。
一部の実施形態では、アセトアミノフェンコンジュゲートを非経口で(例えば、静脈内または筋肉内に)投与する。注射剤、例えば、滅菌水性または油性注射用懸濁剤は、適切な分散化剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して公知の技術に従って製剤化することができる。滅菌注射剤はまた、非経口で許容される非毒性希釈剤または溶媒中の滅菌注射用液剤または懸濁剤、例えば、プロピレングリコール中の液剤としてであってよい。滅菌注射剤はまた、投与前に許容されるビヒクルを使用して再構成される滅菌散剤であってよい。用いることができる許容されるビヒクルおよび溶媒のうちには、水、リンゲル液、および等張性塩化ナトリウム溶液がある。加えて、滅菌不揮発性油が、溶媒または懸濁化媒体として従来的に用いられる。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを包含する、任意の無刺激性不揮発性油を用いることができる。加えて、オレイン酸などの脂肪酸を注射剤の調製において使用することができる。
一部の実施形態では、低体積中(例えば、低体積の生理食塩水中)高用量のアセトアミノフェンコンジュゲートを提供する。有効量(例えば、静脈内または筋肉内などの非経口投与での)の非限定的な例には、1日当たり約20mg〜1日当たり約8g、または1日当たり約60mg〜1日当たり約6g、または1日当たり約200mg〜1日当たり約4g、または1日当たり約300mg〜1日当たり約2.6g、または1日当たり約500mg〜1日当たり約2gの投薬量範囲のアセトアミノフェンコンジュゲートが包含される。一部の実施形態では、非経口(例えば、静脈内または筋肉内)投与における有効量は、約1mL〜約30mL、または約1mL〜約25mL、または約5mL〜約20mL、または約5mL〜約15mL、または約10mL〜約15mL、または約5mL〜約10mL中、約200mg〜約5g、または約500mg〜約4g、または約750mg〜約3g、または約1g〜約2.5g、または約1.3g〜約1.9gの用量体積である。これらの実施形態の一部では、アセトアミノフェンコンジュゲートを約10mg/mL〜約1000mg/mL、または約25mg/mL〜約750mg/mL、または約50mg/mL〜約500mg/mL、または約75mg/mL〜約400mg/mL、または約100mg/mL〜約300mg/mL、または約150mg/mL〜約250mg/mLの濃度の液剤で投与する。
本発明はまた、直腸投与用の坐剤の形態で投与されるアセトアミノフェンコンジュゲートの製剤を包含する。これらは、室温では固体であるが、直腸温度では液体であり、したがって、直腸内で融解して、薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤と作用剤を混合することによって調製することができる。そのような物質には、カカオバター、蜜ろう、およびポリエチレングリコールが包含される。
本発明のアセトアミノフェンコンジュゲートは、リポソームの形態で投与することもできる。当技術分野で公知であるとおり、リポソームは一般に、リン脂質または他の脂質物質に由来する。リポソームは、水性媒体中に分散している単層または多重ラメラ水和液晶によって形成される。リポソームを形成することができる、非毒性であり、生理学的に許容され、かつ/または代謝性である任意の脂質を使用することができる。リポソーム形態の本製剤は、アセトアミノフェンコンジュゲートに加えて、安定剤、保存料、賦形剤などを含有していてよい。一部の実施形態では、脂質は、天然および/または合成のリン脂質および/またはホスファチジルコリン(レシチン)である。リポソームを形成する方法は、当技術分野で公知である。例えば、Prescott編、Methods in Cell Biology、XIV巻、Academic Press、New York、N.W.、33頁および次頁(1976年)を参照されたい。
合成方法
本発明の化合物は、当業者が熟知しているいくつかの方法を使用して調製することができる。下記の論述は、本発明の化合物を組み立てる際に使用することができる方法を例示するために提示するものであり、本発明の化合物を調製する際に有用な反応もしくは反応系列および/または条件の範囲を限定することが意図されたものではない。
本発明はまた、本明細書において記載されているコンジュゲートを調製する方法を内包する。一態様では、式(I)もしくは(II)の化合物またはその塩を調製するためのプロセスを提供する。
本発明は、以下の実施例を参照することによってより容易に理解されるであろうが、これらの実施例は、実例として提示されており、本発明を限定することを意図されたものではない。
一般的な合成実験プロトコル
試薬および溶媒は全て、市場の供給者から購入し、さらに精製することなく使用した。
プロトンNMRスペクトル(300MHz)を、Varian AS 300NMR分光計およびデータ処理計算(data processing computation)で記録した。別段に示さない限り、DMSO−d6(99.9%D)、CDCl3(99.8%D)、または酸化ジュウテリウムD2O(99.8%D)を溶媒として使用した。個々のスペクトルを校正するために、残留DMSO−d5、CHCl3、またはHDO溶媒シグナルを使用した。Whatman、Schleicher & Schuell TLC MK6Fシリカゲルプレート(2.5×7.5cm、層厚250μm)を使用して、分析薄層クロマトグラフィー(TLC)を行った。TLC検出および可視化のための着色または染色試薬を、当技術分野で公知の方法に従って調製した。Thermo Finnigan LCQ AdvantageユニットおよびWatersシンメトリーC−18 4.6×75mmカラムを備えたThermo Finnigan分離モジュールで、分析LC/MSを行った。Phemomenex Axia Gemini 10u C18 100A Column 100×21.20mmを備えたDynamax Model SD 200 HPLCで、最終生成物の分取HPLC精製を行った。Agilent Eclipse XDB−C8 4.5×100mmカラムおよびWaters 2996 Photodiode Array Detectorを備えたWaters 2695 HPLCシステムで、分析HPLCを行った。分析および分取の両方のHPLC手順において、ギ酸0.1体積%を含有するアセトニトリル/水混合物の勾配を使用した。標準的な高真空ポンプを備えたLabconco Freeze Dry System/Freezone 2.5などのマニホールド凍結乾燥機(manifold freeze dryers)を使用して、減圧下、室温で凍結させた溶液を主に凍結乾燥(フリーズドライ)させることによって、水性溶媒混合物、例えば、ギ酸0.1体積%を含有するアセトニトリル/水からの化合物の単離を達成した。場合によって、かつ単離された化合物が、カルボン酸、スルフィン酸、および/またはスルホン酸などのイオン性官能基を有していた場合には、1モル当量(酸性官能基1個当たり)の適切なアルカリ金属またはアルカリ土類金属源、例えば、炭酸塩、炭酸水素塩、酸化物、酢酸塩、または水酸化物の存在下で、凍結乾燥プロセスを行うと、カルボン酸、スルフィン酸、またはスルホン酸の対応するアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩として、精製された化合物(複数可)が得られた。
アルカリ金属塩を調製するための一般的な手順
手順A:その個々の溶解度に応じて、1.0当量のアミノ酸誘導体、すなわち、天然または非天然アミノ酸、スルフィン酸、またはスルホン酸などを蒸留水または脱イオン(DI)水に溶かす。酸化しやすいアミノ酸の場合には、酸化副反応を防止するために、凍結/解凍サイクルの繰り返し、加熱/真空を伴うか、もしくは伴わない窒素パージ、または超音波浴中での音波処理を包含する、当技術分野で公知の方法を使用して、使用前に水を場合によって脱気することができる。窒素雰囲気/ブランケット下で、シリンジを使用して、当モル量(酸誘導体中のイオン性官能基に対して)の任意の適切なアルカリ金属源、例えば、1.0Nの水酸化ナトリウム水溶液(NaOH(aq.))または水酸化カリウム(KOH(aq.))水溶液を反応混合物に滴加する。別法では、当モル量の任意の他の適切なアルカリ金属源、例えば、固体NaOHまたはKOHをそのまま少量ずつ、(アミノ)酸溶液に加える。反応混合物を場合によって、約30℃から約60℃に穏やかに加熱し、かつ/または音波処理して、塩形成および溶解の完了を保証する。回転蒸発器を使用して、溶媒を減圧下で乾燥するまで除去する。別法では、溶媒を凍結させ(例えば、ドライアイス/アセトン浴)、続いて減圧下で凍結乾燥させて、(アミノ)酸誘導体の対応するアルカリ金属塩を典型的には無色の固体(粉末)として得る。その後、残渣を十分な体積の(場合によって脱気された)水に丸底フラスコまたはバイアル内で溶かし、その溶液をさらに精製することなく、または単離手順を伴うことなく、そのまま次のステップで使用する。
手順B:1.0当量の、対応する酸の2−アリールオキシカルボニル官能化誘導体を(場合によって脱気された)水(約1〜3mL/1.0mmol)に溶かす。この溶液に、(場合によって脱気された)水(約1〜3mL/1.0mmol)に溶かした1.0当量の炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)または任意の他の適切なアルカリ金属源を加える。反応混合物を場合によって音波処理し、かつ/または約3〜約10分間撹拌/ボルテックス処理して、化合物の完全な溶解および均一な溶液の形成を保証する。必要な場合には、軽い真空を適用し、続いて、窒素でパージすることによって、反応混合物をさらに脱気する。穏やかに加熱(約30℃から約40℃の水浴温度)しながら、回転蒸発器を使用して、溶媒を減圧下で除去する。別法では、溶媒を凍結させ(例えば、ドライアイス/アセトン浴)、続いて減圧下で凍結乾燥させて、対応する酸の2−アリールオキシカルボニル官能化誘導体の対応するナトリウム塩またはアルカリ金属塩を典型的には無色の固体(粉末)として得る。
アミノ酸誘導体のアルカリ金属塩を4−アセトアミドフェニル4−ニトロフェニルカルボネート(3)と反応させるための一般的な方法
1.0〜1.05当量の適切な(アミノ)酸アルカリ金属塩の(場合によって脱気された)水中の溶液(約1〜2mL/3.0mmol)を続いて(場合によって窒素雰囲気下で)、1.0当量の4−アセトアミドフェニル4−ニトロフェニルカルボネート3のアセトニトリル(MeCN)中の溶液(約10mL/3.0mmol)に加える。場合によって、軽い真空を適用し、続いて、窒素でパージすることによって、反応混合物をさらに脱気する。反応混合物を室温で一晩撹拌する。反応経過をLC/MSによって追跡する。出発物質が消費され、反応が完了した後に、1.0Nの塩酸(HCl(aq.))を使用して、反応混合物のpHを約4に調節する。続いて、溶液をジクロロメタン(DCM)(約10mL/3.0mmol)および酢酸エチル(EtOAc)(約20mL/3.0mmol)で洗浄して、有機副生成物および未反応の出発物質を除去する。水性層を分離し、続いて、溶液を凍結させた後に、溶媒を凍結乾燥によって除去して、粗製の(4−アセトアミドフェノキシ)カルバメートまたは−チオカルボネートを得たが、これは、次の反応ステップでそのまま使用することができるか、または分取RP−HPLCまたは結晶化を包含する当技術分野で公知の任意の方法によってさらに精製することができる。
(実施例1)
4−アセトアミドフェニル4−ニトロフェニルカルボネート(3)の合成
公知の手順(P. Pasettoら、Anal. Chim. Acta、2005年、542巻(1号)、66〜75頁)をアレンジして、無水ピリジン8.03mL(7.84g、99.3mmol;1.5当量)を、約0℃(氷浴)の温度で、N−(4−ヒドロキシフェニル)アセトアミド(1)(パラセタモール(INN)、アセトアミノフェン(USAN)10.00g(66.2mmol;1.0当量)の無水ジクロロメタン(DCM)300mL中の懸濁液に加えた。反応混合物を同じ温度で約10分間撹拌した。次いで、この混合物に、市販の4−ニトロフェニルカルボノクロリデート(2)13.97g(69.5mmol;1.05当量)の無水DCM20mL中の溶液を滴加し、反応混合物を室温に徐々に温めながら一晩撹拌した。水50mLを反応混合物に加えた。固体が溶液から沈澱した。固体を濾別し、ジエチルエーテル(Et2O)(2×50mL)およびヘキサン(4×50mL)で連続して洗浄して、高真空中で乾燥させた後に、標的化合物3 9.92g(収率47%)を無色の固体として得た。当初濾液(DCMおよび水)を塩化ナトリウムの飽和水溶液(NaCl/ブライン)で洗浄した。無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)を使用して、有機層を乾燥させて、追加の標的化合物3 7.0g(収率33%)を得た。Rf値:0.35(酢酸エチル/ヘキサン=1:1)。1H NMR(DMSO−d6, 300MHz): δ=10.09(s, 1H), 8.34(d, J=9.3Hz, 2H), 7.68(d, J=9.3Hz, 2H), 7.64(d, J=9.0Hz, 2H), 7.31(d, J=8.7Hz, 2H), 2.05(s, 3H) ppm.LC/MS(ESI):m/z=317.2[M+H]+。分析データは、文献に示されている分析データに一致した。
(実施例2)
2−アミノエタンスルフィン酸ナトリウム(5)の合成
アルカリ金属塩を調製するための一般的な手順(手順A)に従って、2−アミノエタンスルフィン酸ナトリウム(5)を調製した。2−アミノエタンスルフィン酸(ヒポタウリン)(4)(350mg、3.21mmol)を脱気水2mLに溶かし、1.0Nの水酸化ナトリウム水溶液(NaOH(aq.))3.21mL(3.21mmol)(1.0当量)と反応させた。反応混合物を反復真空/窒素パージサイクルを介して脱気し、約55℃に約30分間加熱した。反応混合物を凍結させ、凍結乾燥を介して溶媒を除去して、標的物質5 410mg(収率97%)を無色の固体として得た。1H NMR(300MHz, D2O): δ 2.75(t, J=6.6Hz, 2H), 2.29(t, J=6.9Hz, 2H) ppm.分析データは、文献に示されている分析データおよび提唱された構造と一致した。
(実施例3)
2−アミノエタンスルホン酸ナトリウムの合成(7)
2−アミノエタンスルホン酸ナトリウム(7)は市販されており、また、アルカリ金属塩を調製するための一般的な手順(手順A)に従って調製した。2−アミノエタンスルホン酸(タウリン)(6)(1.0g、8.0mmol)を水8mLに溶かし、固体の水酸化ナトリウム(NaOH)320mg(8.0mmol;1.0当量)と60℃で、音波処理しながら反応させた。反応混合物を凍結させ、凍結乾燥を介して溶媒を除去して、標的化合物7 1.0g(ほぼ定量収量)を無色の固体として得た。1H NMR(300MHz, D2O): δ 2.90−2.80(m, 4H) ppm.分析データは、文献に示されている分析データおよび提唱された構造と一致した。
(実施例4)
(2R)−2−アミノ−3−スルホナト−プロパン酸二ナトリウム(9)の合成
アルカリ金属塩を調製するための一般的な手順(手順A)に従って、(2R)−2−アミノ−3−スルホナト−プロパン酸二ナトリウム(9)を調製した。(2R)−2−アミノ−3−スルホ−プロパン酸一水和物(8)(システインスルホン酸モノ水和物)500mg(2.67mmol)を水2mLに溶かした。1.0Nの水酸化ナトリウム水溶液(NaOH(aq.))5.34mL(5.34mmol;2.0当量)mmol)との反応を介して、二ナトリウム塩を形成させた。混合物を約55℃に約1時間加熱して、完全な塩形成を保証した。反応混合物を凍結させ、凍結乾燥を介して溶媒を除去して、標的化合物9 550mg(ほぼ定量収量)を無色の固体として得た。1H NMR(300MHz, D2O): δ 4.12(dd, J=9.3, 3.0Hz, 1H), 3.37(dd, J=15.0, 3.0Hz, 1H), 3.19(dd, J=15.0, 9.3Hz, 1H) ppm.分析データは、文献に示されている分析データおよび提唱された構造と一致した。
(実施例5A)
粗製の2−((4−アセトアミドフェノキシ)カルボニルアミノ)エタンスルフィン酸(11a)(式(II)の合成
アミノ酸誘導体のアルカリ金属塩を4−アセトアミドフェニル4−ニトロフェニルカルボネート(3)と反応させるための一般的な方法に従って、表題化合物11aを調製した。2−アミノエタンスルフィン酸ナトリウム(5)410mg(3.20mmol)の脱気水約1mL中の溶液を、4−アセトアミドフェニル4−ニトロフェニルカルボネート(3)(1.01g、3.19mmol)のアセトニトリル(MeCN)10mL中の溶液と反応させた。後処理手順の後に、水性層を凍結乾燥によって除去して、粗製の2−((4−アセトアミドフェノキシ)カルボニルアミノ)エタンスルフィン酸(11a)910mg(ほぼ定量収量)を得、これをそのまま、さらなる単離または精製手順を伴うことなく、次のステップで使用した。こうして得られた物質は、多少の塩化ナトリウム(NaCl)および/または他のナトリウム塩で不純化されていた。1H NMR(300MHz, D2O): δ 7.22(d, J=9.0Hz, 2H), 6.93(d, J=9.0Hz, 2H), 3.31(t, J=6.6Hz, 2H), 2.42(t, J=6.6Hz, 2H), 1.96(s, 3H).LC/MS(ESI):m/z=287.1[M+H]+。
(実施例5B)
精製2−((4−アセトアミドフェノキシ)カルボニルアミノ)エタンスルフィン酸(11a)の合成
上記のとおりの比較方法によって調製された2−((4−アセトアミドフェノキシ)カルボニルアミノ)エタンスルフィン酸(11a)試料(300mg)を、ギ酸0.1体積%を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配を使用する分取HPLCによって精製した。アセトニトリル2%および水98%で溶離する試料を収集して、溶媒を凍結乾燥させた後に、表題化合物(11a)193mg(回収率64%)を無色の固体として得た。分析HPLCおよびLC/MSによって、固体は、表題化合物(11a)(75%)および対応する酸化生成物(25%)、2−((4−アセトアミドフェノキシ)カルボニルアミノ)エタンスルホン酸(12a)の混合物からなることが示された。2−((4−アセトアミドフェノキシ)カルボニルアミノ)エタンスルフィン酸(11a):Rt=6.943分;LC/MS(ESI):m/z=287.1[M+H]+。2−((4−アセトアミドフェノキシ)カルボニルアミノ)エタンスルホン酸(12a):Rt=5.043分;LC/MS(ESI):m/z=.0 303.0[M+H]+。
(実施例6)
2−((4−アセトアミドフェノキシ)カルボニルアミノ)エタンスルフィン酸ナトリウム(11)(式(IIa)の合成
アルカリ金属塩を調製するための一般的な手順(手順B)に従って、ナトリウム2−((4−アセトアミドフェノキシ)カルボニルアミノ)エタンスルフィン酸11を調製した。脱気水3mLに溶かした2−((4−アセトアミドフェノキシ)カルボニルアミノ)エタンスルフィン酸(11a)(910mg、3.18mmol、1.0当量)を、脱気水5mLに溶かした炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)267.3mg(3.18mmol;1.0当量)と反応させた。混合物を凍結させ、溶媒を凍結乾燥によって除去して、表題化合物(11)950mg(96%)をオフホワイト色の固体として得た。こうして得られた物質は、多少の塩化ナトリウム(NaCl)および他のナトリウム塩で不純化されていた。Rt=6.91分;1H NMR(300MHz, D2O): δ 7.20(d, J=8.7Hz, 2H), 6.92(d, J=8.7Hz, 2H), 3.28(t, J=6.3Hz, 2H), 2.39(t, J=6.3Hz, 2H), 1.95(s, 3H).LC/MS(ESI):m/z=287.1[M+H]+、309.1 [M+Na]+。
(実施例7A)
粗製の2−((4−アセトアミドフェノキシ)カルボニルアミノ)エタンスルホン酸(12a)の合成
アミノ酸誘導体のアルカリ金属塩を4−アセトアミドフェニル4−ニトロフェニルカルボネート(3)と反応させるための一般的な方法に従って、((4−アセトアミドフェノキシ)カルボニルアミノ)エタンスルホン酸(12a)を調製した。2−アミノエタンスルホン酸ナトリウム(7)511mg(3.48mmol)の脱気水約1mL中の溶液を、アセトニトリル(MeCN)5mLに溶かした4−アセトアミドフェニル4−ニトロフェニルカルボネート(3)(1.10g、3.48mmol)の溶液と反応させた。後処理手順の後に、水性層を凍結乾燥によって除去して、粗製の2−((4−アセトアミドフェノキシ)カルボニルアミノ)エタンスルホン酸(12a)1.0g(ほぼ定量収量)を得、これをそのまま、さらなる単離または精製手順を伴うことなく使用した。こうして得られた物質は、多少の塩化ナトリウム(NaCl)および他のナトリウム塩で不純化されていた。1H NMR(300MHz, D2O): δ 7.22(d, J=9.0Hz, 2H), 6.94(d, J=8.7Hz, 2H), 3.40(t, J=6.6Hz, 2H), 2.95(t, J=6.6Hz, 2H), 1.96(s, 3H).LC/MS(ESI):m/z=303.0[M+H]+、602.8[2M−H]−。
(実施例7B)
精製2−((4−アセトアミドフェノキシ)カルボニルアミノ)エタンスルホン酸(12a)の合成
上記のとおりの比較方法によって調製された2−((4−アセトアミドフェノキシ)カルボニルアミノ)エタンスルホン酸12aの試料(150mg)を、ギ酸0.1体積%を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配を使用する分取HPLCによって精製した。アセトニトリル2%/水98%からアセトニトリル20%/水80%への勾配で溶離する試料を収集し、貯留し、凍結乾燥させて、表題化合物(12a)78.2mg(回収率52%)を無色の固体として得た。
(実施例8)
2−((4−アセトアミドフェノキシ)カルボニルアミノ)エタンスルホン酸ナトリウム(12)の合成
アルカリ金属塩を調製するための一般的な手順(手順B)に従って、2−((4−アセトアミドフェノキシ)カルボニルアミノ)エタンスルホン酸ナトリウム(12)を調製した。水5mLに溶かした4−アセトアミドフェノキシ)カルボニルアミノ)エタンスルホン酸(12a)(1.0g、3.3mmol)を、水2mLに溶かした炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)275mg(3.27mmol;1.0当量)と反応させた。混合物を凍結させ、溶媒を凍結乾燥によって除去して、表題化合物(12)1.10g(ほぼ定量収量)を無色の固体として得た。こうして得られた物質は、多少の塩化ナトリウム(NaCl)および他のナトリウム塩で不純化されていた。Rt=5.024分。1H NMR(300MHz, D2O): δ=7.25(d, J=9.0Hz, 2H), 6.97(d, J=8.7Hz, 2H), 3.43(t, J=6.6Hz, 2H), 2.98(t, J=6.9Hz, 2H), 2.00(s, 3H).LC/MS(ESI):m/z=303.0[M+H]+、626.8[2M+Na]+、602.8[2M−H]−。
(実施例9A)
(2R)−2−[(4−アセトアミドフェノキシ)カルボニルアミノ]−3−スルホ−プロパン酸(13a)の合成
アミノ酸誘導体のアルカリ金属塩を4−アセトアミドフェニル4−ニトロフェニルカルボネート(3)と反応させるための一般的な方法に従って、(2R)−2−[(4−アセトアミドフェノキシ)カルボニルアミノ]−3−スルホ−プロパン酸(13a)を調製した。(2R)−2−アミノ−3−スルホナト−プロパン酸二ナトリウム(9)500mg(2.35mmol)の水約1mL中の溶液を、アセトニトリル(MeCN)5mLに溶かした4−アセトアミドフェニル4−ニトロフェニルカルボネート(3)(844mg、2.67mmol)の溶液と反応させた。混合物を約55℃に2時間加熱した。後処理手順の後に、水性層を凍結乾燥によって除去して、粗製の2−[(4−アセトアミドフェノキシ)カルボニルアミノ]−3−スルホ−プロパン酸(13a)400mg(収率43%)を得た。こうして得られた物質は、多少の塩化ナトリウム(NaCl)および他のナトリウム塩で不純化されていた。ギ酸0.1体積%を含有するアセトニトリルおよび水からなる勾配を使用する分取HPLCによって、粗製の生成物をさらに精製した。アセトニトリル2%および水98%で溶離する試料を収集し、凍結させ、凍結乾燥によって除去して、標的化合物(13a)83mg(収率9%)を無色の固体として得た。Rt=3.10分。1H NMR(300MHz, D2O): δ=7.25(d, J=9.0Hz, 2H), 6.99(d, J=9.0Hz, 2H), 4.54−4.50(m, 1H), 3.32−3.27(m, 2H), 1.98(s, 3H).LC/MS(ESI):m/z=347.0[M+H]+、714.8[2M+Na]+。
(実施例10)
(2R)−2−((4−アセトアミドフェノキシ)カルボニルアミノ)−3−スルホナトプロパン酸二ナトリウム(13)の合成
アルカリ金属塩を調製するための一般的な手順(手順B)に従って、(2R)−2−((4−アセトアミドフェノキシ)カルボニルアミノ)−3−スルホナトプロパン酸二ナトリウム(13)を調製した。水2.0mLに溶かした(2R)−2−[(4−アセトアミドフェノキシ)カルボニルアミノ]−3−スルホ−プロパン酸(13a)(83mg、0.24mmol)を、水0.5mLに溶かした炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)40.3mg(0.48mmol;2.0当量)と反応させた。混合物を撹拌しながら3分間音波処理し、凍結させ、溶媒を凍結乾燥によって除去して、表題化合物(13)88mg(収率95%)を無色の固体として得た。1H NMR(300MHz, D2O): δ=7.21(d, J=8.7, 2H), 6.97(d, J=9.0, 2H), 4.36−4.32(m, 1H), 3.28−3.22(m, 1H), 3.12−3.04(m, 1H), 1.96(s, 3H) ppm.LC/MS:LC/MS(ESI):m/z=347.0[M+H]+、714.7[2M+Na]+。
(実施例11)
2−((4−アセトアミドフェノキシ)カルボニルチオ)エタンスルホン酸ナトリウム(14;式(Ia))の合成
アミノ酸誘導体のアルカリ金属塩を4−アセトアミドフェニル4−ニトロフェニルカルボネート(3)と反応させるための一般的な方法を、チオカルボネート官能性を導入するようにアレンジすることによって、2−((4−アセトアミドフェノキシ)カルボニルチオ)エタンスルホン酸ナトリウム(14)を調製した。窒素雰囲気下および室温で、市販のナトリウム−2−メルカプトエタンスルホネート(10)(1H NMR(300MHz, D2O): δ 2.98(t, J=7.2Hz, 2H), 2.67(t, J=7.2Hz, 2H) ppm)4.94g(30.1mmol)の脱気水約25mL中の溶液を、4−アセトアミドフェニル4−ニトロフェニルカルボネート(3)(9.92g、31.4mmol)のアセトニトリル(MeCN)300mL中の溶液に滴加した。続いて、固体の炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)(1.15g、13.7mmol)を少量ずつ30分かけて加えた。反応混合物が混濁(白色)し、約45分後には、緑色になった。反応経過を分析LC/MSによって追跡した。反応物を室温で一晩撹拌した。反応が完了したところで、反応混合物をジクロロメタン(DCM)(175mL)および水(25mL)で希釈すると、反応混合物は透明になった。生じた2層を分離し、標的生成物(14)のうちの一部、未反応の4−アセトアミドフェニル−4−ニトロフェニルカルボネート(3)、および副生成物ビス(4−アセトアミドフェニル)カルボネート(ダイマーカルボネート)、4−ニトロフェノール、およびN−(4−ヒドロキシフェニル)アセトアミド(1)を含有する有機層を廃棄した。回転蒸発器を使用して減圧下で、所望の生成物を含有する水性層を乾燥するまで濃縮した。アセトニトリル(MeCN)(100mL)を緑色の残渣に加えると、固体が形成した。ブフナー漏斗を使用して、固体を濾別し、続いて、生じたフィルター残渣をジエチルエーテル(Et2O)(2×25mL)およびヘキサン(3×20mL)で洗浄した。得られた固体を高真空中で乾燥させて、標的化合物(14)7.84g(収率82%)を黄色の固体(分析HPLCによると純度99%)として得た。黄色の固体を、蒸留水(20mL)を含有するイソプロピルアルコール(iPrOH、IPA)/酢酸エチル(EtOAc)の混合物(400mL;1:2v/v)中に懸濁させた。上澄みを廃棄し、残りの固体を再び、蒸留水(25mL)を含有するiPrOH/EtOAc(300mL;1:2v/v)で処理した。層を分離し、水性層をiPrOH/EtOAc(200mL;1:2v/v)で抽出した。回転蒸発器を使用して減圧下で、合わせた有機溶媒を除去して、標的生成物(14)2.5g(収率25%)を淡黄色の固体として得た。回転蒸発器を使用して減圧下、約50℃で、水性層を乾燥するまで濃縮して、さらに生成物(14)4.2g(収率41%)を得た。無水エタノール(EtOH)(10mL)を有機抽出物から得られた化合物(14)(2.5g)のバッチに加え、続いて、透明な溶液が形成するまで、フラスコを約55℃に加熱しながら、蒸留水(3mL)を徐々に加えた。溶液を約2時間冷却したが、その間に、標的化合物(14)が晶出した。ブフナー漏斗を使用して、結晶を濾別し、続いて、生じたフィルター残渣をEtOH(2×5mL)、ジエチルエーテル(2×20mL)、およびヘキサン(3×20mL)で洗浄して、高真空中で乾燥させた後に、チオ炭酸塩(14)1.6g(収率16%)を無色の結晶として得た。痕跡量の塩化物(AgNO3試験陽性)をさらに除去するために、結晶を冷たいエタノール(EtOH)/水の混合物(9:1v/v;20mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させて、表題化合物(14)995mg(収率10%)を無色の結晶として得た。分析RP−HPLC:純度100%。Rt=8.62分。1H NMR(300MHz, D2O): δ 7.24(d, J=9.0Hz, 2H), 6.99(d, J=9.0Hz, 2H), 3.08−3.00(m, 4H), 1.96(s, 3H) ppm.LC/MS(ESI):m/z=660.8 [2M+Na]+。
(実施例12)
2−((4−アセトアミドフェノキシ)カルボニルチオ)エタンスルホン酸ナトリウム(14;式(Ia))の結晶化
化合物(14)の合成において種々の反応バッチの水性相から回収された試料を結晶化によって精製した。粗製の2−((4−アセトアミドフェノキシ)カルボニルチオ)エタンスルホン酸ナトリウム(14)1.4gを、無水エタノール(EtOH)および蒸留水(10mL/3.5mL)の混合物中で、約55℃に加熱して、透明な溶液を形成させた。室温に冷却すると、約15分後に、無色の結晶が形成し始めた。結晶化を室温でさらに3〜4時間完了させた。結晶を濾別し、冷たいEtOH/水混合物(9:1v/v)4mLで洗浄し、高真空中で乾燥させて、標的化合物(14)529mg(回収率38%)を得た。分析RP−HPLC:純度100%。Rt=9.21分。他の分析データは、実施例11において示されたデータと同一である。
(実施例13)
試験物薬物動態
48匹の雄および雌のSprague−Dawleyラットを試験物1種/投与経路1種/性別1種当たり3匹の動物からなる8つの投与群に割り付けた。Sigma−Aldrichから得たアセトアミノフェンと、下記に明示されているとおりの3種のアセトアミノフェンコンジュゲートを包含する4種の試験物が存在した。
動物は単回用量(経口または静脈内)の試験物を、強制経口投与または緩慢な静脈内ボーラス剤を介して投与された。アセトアミノフェンコンジュゲートの用量濃度を調節して、アセトアミノフェン経口(10mg/kg)用量および静脈内(3mg/kg)用量と同等な重量調節されたアセトアミノフェン用量を得た。ケージ側での観察を毎日行った。体重を各投与の前日に記録した。薬物動態(PK)分析のための血液試料を、投与後5分目から8時間目まで収集し、LC−MS/MS法を介して、アセトアミノフェン血漿中濃度を測定した。
雄および雌のラットに単回経口または静脈内用量として投与された場合、全ての試験物で忍容性が良好であった。この試験の間に、死亡も異常な臨床観察も特記されなかった。
アセトアミノフェンおよびアセトアミノフェンコンジュゲート(試験物A、B、およびC)の経口および静脈内投与後に、アセトアミノフェンが血漿中に存在した。親薬物、すなわち、試験物A、B、およびCの血漿中濃度は、この試験では測定されなかった。アセトアミノフェン曝露は、個々の動物を通じて比較的一貫しており、その際、アセトアミノフェン濃度の最大の変動性は、試験物Cで処置された動物において、経口投与の後に見られた。図1Aおよび1Bにおいて示されているとおり、規定の経口投与後の吸収および排出相ならびに静脈内投与後の排出相で、血漿中アセトアミノフェン濃度対時間曲線は比較的挙動が整っている(well−behaved)。
図1Aおよび1Bはまた、経口および静脈内投与の両方の後に、試験物Aは、試験物BおよびCよりも高い血漿中濃度を経時的に(4時間まで)表すことを示している。経口投与の後に、試験物Aはまた、アセトアミノフェンと比較して、1時間後の時点でより高い血漿中濃度を表した。静脈内投与の後に、試験物Aはまた、アセトアミノフェンと比較して、1時間まで経時的に、より高い血漿中濃度を示した。
非コンパートメント薬物動態分析を、各試験物についての平均血漿中アセトアミノフェン濃度のために行った。アセトアミノフェン曝露の測定値(例えば、AUClast)は典型的に、全ての試験物について、かつ経口および静脈内投与経路の両方について、雄の動物よりも雌の動物において高かった。
試験物Aは、雄および雌の動物の両方において、試験物Cおよび試験物Bとは多少異なる挙動を有した。図2Bにおいて示されているとおり、試験物Aは、試験物Cおよび試験物Bと比較して、静脈内投与の後に、より高い血漿中アセトアミノフェン濃度を有することが観察された。図2Aにおいて示されているとおり、経口投与の後に、試験物Aは、試験物Cおよび試験物Bよりも高いアセトアミノフェン血漿中濃度を表し、かつより長い、最大アセトアミノフェン血漿中濃度までの時間を有することも観察された。試験物Cおよび試験物Bでのアセトアミノフェンに対する相対曝露率は、経口アセトアミノフェンと比較すると23.1%〜53.2%であった。対照的に、試験物Aでのアセトアミノフェンに対する相対曝露率は、経口アセトアミノフェンと比較すると、104.8%〜134.4%の範囲にあった。同様のパターンが静脈内投与後に明らかであったが、その際、試験物Cおよび試験物Bでのアセトアミノフェンに対する相対曝露率は、15.1%〜20.6%の範囲にあったが、試験物Aでは、これらの曝露は、124.2%〜148.2%の範囲にあった。
さらなる薬物動態詳細を図2Aおよび2Bにおいて提示する。これらのデータは、静脈内投与後のアセトアミノフェンに対するより迅速な曝露を示している。試験物Aにおいて重要なことに、アセトアミノフェンに対する曝露全体の指標である経口AUCは3,737であり、これは平均して、未修飾のアセトアミノフェンによって得られる3,313の値の約120%である。静脈内投与後に、AUCは1,937であり、これは平均して、未修飾のアセトアミノフェンによって得られる1,467の値の約132%である。図2のデータは、より高い曝露を示唆しているこれらのパラメーターにおいて、試験物Aは、試験物BおよびCよりも優れていることを示している。
まとめると、経口および静脈内でのアセトアミノフェンならびにアセトアミノフェンコンジュゲート試験物A、B、およびCの血漿中薬物動態が、雄および雌のSprague Dawleyラットにおいて定義された。当量アセトアミノフェン用量で投与された場合、試験物Bおよび試験物Cは、アセトアミノフェンの投与後に得られる曝露よりもかなり低いアセトアミノフェン曝露をもたらした。対照的に、試験物Aは、アセトアミノフェン投与後の同等な曝露と同様に高いか、またはそれよりも高いアセトアミノフェン曝露をもたらした。
(実施例14)
ヒトおよびラット全血中での試験物の加水分解および代謝
試験物A、B、およびCをヒトおよびラット全血中、37℃でインキュベートした場合のアセトアミノフェン(APAP)の出現を決定した。アセトアミノフェンが代謝されることによる化合物の損失を説明するために、重水素化アセトアミノフェン(APAP−d4)の損失もモニタリングした。37℃のPBS中での試験試料の安定性も決定した。
試料の調製
5ロットのヒト全血(リチウムヘパリン)をBiochemedから購入し、使用するまで+5℃±3℃で冷蔵貯蔵した。5ロットのSDラット全血(リチウムヘパリン)をBiochemedから購入し、使用するまで+5℃±3℃で冷蔵貯蔵した。リン酸緩衝食塩水を対照マトリックスとして使用した;これは社内で調製し、使用するまで+5℃±3℃で冷蔵貯蔵した。使用する直前に、試験物を秤量した。
試験物A、B、およびCを微量てんびんで秤量し、水に溶かして、個々の原液をそれぞれ3.31mMの濃度で生じさせた。調製される各原液について、純度を考慮した。APAP−d4を微量てんびんで秤量し、水に溶かして、原液を3.31mMの濃度で生じさせた。原調製物について、純度を考慮した。試験物A、B、またはC1部およびAPAP−d4 1部を水3部に加えて、各化合物について662μMからなる中間溶液にした。
ヒト全血インキュベーションおよび試料採取
全血を貯蔵から取り出し、室温にした。これをこの時点で種ごとに貯留した。貯留が室温に達したら、全血貯留のうちの1980μLアリコットを個々に、試験中の適切な管に加えた。全ての管を水浴中37℃で、5分間プレインキュベートした。
適切な中間溶液を試験中の各管に加えて、血液中での試験物の最終濃度が6.62μMになるようにした。化合物をこの濃度で、三連でアッセイした。スパイク溶液を加えたらすぐに、基準0分試料を96ウェルプレートに分取した。150μL試料を移動する直前に、変換反応を停止させるために、アセトニトリル:メタノール(1:1)300μLを個々の受容ウェルに入れた。残りの時点が全て分取されるまで、「停止」試料を含有するプレートを湿潤氷浴内で覆って保持した。スパイクされた試料の残りは全て、試料採取期間を通して水浴中37℃でインキュベートした。2.5、5、10、30、60、120、および240分目に、各スパイクされた試料のうちの150μLアリコットを取り出し、96ウェルプレートに移した。各移動の直前に、変換反応を停止させるために、アセトニトリル:メタノール(1:1)300μLを、それらのアリコットのための受容ウェルに入れた。試料全てを収集したら、プレートを穏やかにボルテックス処理し、遠心分離して沈澱タンパク質をペレット化し、生じた上清を抽出および分析用の新たな96ウェルプレートに移した。
ラット全血およびPBSインキュベーションならびに試料採取
全血を貯蔵から取り出し、室温にした。これをこの時点で種ごとに貯留した。貯留が室温に達したら、全血貯留のうちの1,980μLアリコットを個々に、試験中の適切な管に加えた。ブランクのリン酸緩衝食塩水(PBS)のうちの1,980μLアリコットを個々に、試験中の適切な管に加えた。全ての管を水浴中37℃で、5分間プレインキュベートした。
適切な中間溶液を試験中の各管に加えて、血液中での試験物の最終濃度が6.62μMになるようにした。化合物をこの濃度で、三連でアッセイした。スパイク溶液を加えたらすぐに、基準0分試料を96ウェルプレートに分取した。150μL試料を移動する直前に、変換反応を停止させるために、アセトニトリル:メタノール(1:1)450μLを個々の受容ウェルに入れた。残りの時点が全て分取されるまで、「停止」試料を含有するプレートを湿潤氷浴内で覆って保持した。スパイクされた試料の残りは全て、試料採取期間を通して水浴中37℃でインキュベートした。2.5、5、10、30、60、120、および240分目に、各スパイクされた試料のうちの150μLアリコットを取り出し、96ウェルプレートに移した。各移動の直前に、変換反応を停止させるために、アセトニトリル:メタノール(1:1)450μLを、それらのアリコットのための受容ウェルに入れた。試料全てを収集したら、プレートを穏やかにボルテックス処理し、遠心分離して沈澱タンパク質をペレット化し、生じた上清を抽出および分析用の新たな96ウェルプレートに移した。HPLCおよびMS/MS検出を用いる方法を使用して、試料をアセトアミノフェンおよびアセトアミノフェン−d4濃度について分析した。結果は図3に示されている。
結果のまとめ
図3Aにおいて示されているとおり、試験物Aでは、アセトアミノフェンへの変換が、ラットおよびヒト全血インキュベーションの両方において、ラットおよびヒト血漿中でそれぞれ4時間目に628ng/mLおよび431ng/mLの濃度で観察された。ラット全血は、ヒト全血よりも大規模に、かつより迅速に、試験物AをAPAPへと変換する。試験物Aはまた、37℃で4時間まで、PBS中でむしろ安定であるようである。
図3Bにおいて示されている試験物Bでは、APAPへの変換が、全てのインキュベーションにおいて観察された。しかしながら、変換は、血液インキュベーション中と緩衝液インキュベーション中とでほぼ同等であり、このことは、試験物Bが37℃のPBS中で、単独では安定ではないことを示唆している。したがって、インキュベーション全てで見られた変換のうちのほとんどは、酵素に関連するものではないことは明白である。
試験物C(図3C)について、APAPへの変換が、全てのインキュベーションにおいて観察された。しかしながら、変換は、血液インキュベーションおよび緩衝液インキュベーションとほぼ同等であり、試験物Cが37℃のPBS中で、単独では安定ではないことを示唆している。試験物Bについての場合と同様に、インキュベーション全てで見られた変換のうちのほとんどは、酵素に関連するものではないことは明白である。
これらのデータは、試験物Aが、試験物BまたはCよりも容易に、かつ迅速に、アセトアミノフェンに変換されることを示唆している。加えて、試験物Aは、37℃のPBS中で4時間まで安定であったが、このことは、切迫した活性の損失または分解を伴うことなく、試験物Aを生理食塩水中で容易に調製することができることを示唆しており、このことは、安定な注射液剤を事前包装し得るために、または臨床使用の前に化合物を再構成し得るために重要であり得る。全てのインキュベーションにおけるAPAP−d4の安定性は、濃度値が、放出されたアセトアミノフェンの後続の代謝によって著しく変わっていないことを示唆している。
(実施例15)
ラット肝臓ミクロソーム媒介代謝
試験物A、B、およびCをラット肝臓ミクロソーム中、37℃でインキュベートする場合のアセトアミノフェン(APAP)の出現を決定した。APAP−d4の損失もモニタリングした。
試料調製
2ロットのラット肝臓ミクロソームをBD Biosciencesから購入し、使用するまで−80℃で凍結保存した。約334匹の雄のラットの肝臓からなるロット62548および10匹の雌のラットの肝臓からなるロット59232を、使用直前に、1:1の比で貯留した。試験物A、B、およびCを微量てんびんで秤量し、水に溶かして、個々の原液をそれぞれ3.31mMの濃度で生じさせた。調製される各原液について、純度を考慮した。化合物を、使用直前に秤量した。APAP−d4を微量てんびんで秤量し、水に溶かして、原液を3.31mMの濃度で生じさせた。原調製物について、純度を考慮した。試験物A、B、またはC1部およびAPAP−d4 1部を水3部に加えて、各化合物について662μMからなる中間溶液にした。
インキュベーションおよび試料採取
上記で調製された中間溶液をリン酸塩緩衝液に加えて、各化合物8.827μMからなる溶液にした。これらを基質溶液と呼んだ。インキュベーションウェルを湿潤氷浴に入れた。基質溶液750μLを適切なウェルに加えた。100mMのリン酸カリウム750μLを、基質溶液が加えられていないウェルに加えた。ミクロソーム懸濁液(20mg/mL)50μLを適切なウェルに加えた。100mMのリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)50μLを、ミクロソームが加えられていない適切なウェルに加えた。37℃で5分間振盪することによって、試料をプレインキュベートした。次のステップで反応を開始する直前に、80μLアリコットを取り出し、停止液200μLで「殺し」た。これらが0分試料であった。補因子溶液(5×)180μLを適切なウェルに加えることによって、残りの試料での反応を開始した。精製水中2%の重炭酸ナトリウムの180μLアリコットを、補因子が加えられていないインキュベーション試料に加えた。補因子溶液(5×)の20μLアリコットを停止された0分試料に加えた。精製水中2%の重炭酸ナトリウムの20μLアリコットを、補因子が加えられていない停止された0分試料に加えた。2.5、5、10、30、60、120、および240分目に、規定のインキュベーション試料100μLを取り出し、停止液200μLで「殺し」た。必要な試料全てを収集したら、プレートを3000rpmで10分間遠心分離して沈澱タンパク質をペレット化し、生じた上清を抽出および分析用の新たな96ウェルプレートに移した。
HPLCおよびMS/MS検出を用いる方法を使用して、試料をアセトアミノフェンおよびアセトアミノフェン−d4濃度について分析した。結果は図4に示されている。
結果のまとめ
試験物A:図4Aにおいて示されているとおり、補因子を伴うラットミクロソームおよび補因子を伴わないラットミクロソームは、ほぼ同じ速度で、かつ緩衝液を伴うインキュベーションよりもかなり高いレベルで、アセトアミノフェンを形成するようである。理論に拘束されることはないが、試験物Aは、P450群のもの以外の酵素によってアセトアミノフェンに変換されているようである。
試験物B:図4Cにおいて示されているとおり、30分後までに、アセトアミノフェンへの非常に僅かな変換が観察される。全てのインキュベーションタイプで、変換が観察された。緩衝液を伴うインキュベーションよりも、酵素を伴うインキュベーションにおいて、やや多い変換が観察されるが、P450酵素が変換を担っているようではない。試験物Bは、37℃の緩衝液中で安定ではない。
試験物C:図4Bにおいて示されているとおり、30分後までに、アセトアミノフェンへの非常に僅かな変換が観察される。全てのインキュベーションタイプで、変換が観察された。緩衝液を伴うインキュベーションよりも、酵素を伴うインキュベーションにおいて、やや多い変換が観察されるが、P450酵素が変換を担っているようではない。試験物Cは、37℃の緩衝液中で安定ではない。
これらのデータは、試験物Aが、ラット肝細胞による代謝について最良の基質であることを示しており、このことによって、この化合物が、他の種によって同様に代謝されて、アセトアミノフェンを放出するであろうことが予測される。試験物Aは、この点に関して、試験物BおよびCよりも優れている。試験物Aは緩衝液中で安定であり、したがって、安定な予混合注射液剤として開発するために潜在的に適している。
(実施例16)
ヒト肝臓ミクロソーム媒介代謝
試験物A、B、およびCをヒト肝臓ミクロソーム中、37℃でインキュベートする場合のアセトアミノフェン(APAP)の出現を決定した。APAP−d4の損失もモニタリングした。
試料の調製
約150人分のヒト男女混合肝臓ミクロソームからなる1ロットをBD Biosciencesから購入し、使用するまで−80℃で凍結保存した。化合物を使用直前に秤量した。試験物A、試験物B、および試験物Cを微量てんびんで秤量し、水に溶かして、個々の原液をそれぞれ3.31mMの濃度で生じさせた。調製される各原液について、純度を考慮した。APAP−d4を微量てんびんで秤量し、水に溶かして、原液を3.31mMの濃度で生じさせた。原調製物について、純度を考慮した。
試験物A、B、またはC1部およびAPAP−d4 1部を水3部に加えて、各化合物について662μMからなる中間溶液にした。
インキュベーションおよび試料採取
上記で調製された中間溶液をリン酸塩緩衝液に加えて、各化合物8.827μMからなる溶液にした。これらを基質溶液と呼んだ。インキュベーションウェルを湿潤氷浴に入れた。基質溶液750μLを適切なウェルに加えた。100mMのリン酸カリウム750μLを、基質溶液が加えられていないウェルに加えた。ミクロソーム懸濁液(20mg/mL)50μLを適切なウェルに加えた。100mMのリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)50μLを、ミクロソームが加えられていない適切なウェルに加えた。37℃で5分間振盪することによって、試料をプレインキュベートした。次のステップで反応を開始する直前に、80μLアリコットを取り出し、停止液200μLで「殺し」た。これらが0分試料であった。
補因子溶液(5×)180μLを適切なウェルに加えることによって、残りの試料での反応を開始した。精製水中2%の重炭酸ナトリウムの180μLアリコットを、補因子が加えられていないインキュベーション試料に加えた。補因子溶液(5×)の20μLアリコットを停止された0分試料に加えた。精製水中2%の重炭酸ナトリウムの20μLアリコットを、補因子が加えられていない停止された0分試料に加えた。2.5、5、10、30、60、120、および240分目に、規定のインキュベーション試料100μLを取り出し、停止液200μLで「殺し」た。必要な試料全てを収集したら、プレートを3000rpmで10分間遠心分離して沈澱タンパク質をペレット化し、生じた上清を抽出および分析用の新たな96ウェルプレートに移した。
HPLCおよびMS/MS検出を用いる方法を使用して、試料をアセトアミノフェンおよびアセトアミノフェン−d4濃度について分析した。結果は図5に示されている。
結果のまとめ
試験物Aでは、補因子を伴うヒトミクロソームおよび補因子を伴わないヒトミクロソームは、ほぼ同じ速度で、かつ緩衝液を伴うインキュベーションよりも高いレベルで、アセトアミノフェンを形成するようである。理論に拘束されることはないが、試験物Aは、P450群のもの以外の酵素によってアセトアミノフェンに変換されているようである。
試験物Bでは、30分後までに、アセトアミノフェンへの非常に僅かな変換しか観察されず、全てのインキュベーションタイプで、変換が観察された。緩衝液を伴うインキュベーションよりも、酵素を伴うインキュベーションにおいて、やや多い変換が観察されるが、P450酵素が変換を担っているようではない。試験物Bは、37℃の緩衝液中で安定ではない。
試験物Cでは、30分後までに、アセトアミノフェンへの非常に僅かな変換しか観察されず、全てのインキュベーションタイプで、変換が観察された。緩衝液を伴うインキュベーションよりも、酵素を伴うインキュベーションにおいて、やや多い変換が観察されるが、P450酵素が変換を担っているようではない。試験物Cは、37℃の緩衝液中で安定ではない。
ラットミクロソームでの実験に関して上に示したとおり、これらのデータは、試験物Aが、ヒト肝細胞による代謝について最良の基質であることを示しており、このことによって、この化合物が、ヒトによって同様に代謝されて、アセトアミノフェンを放出するであろうことが予測される。試験物Aは、この点に関して、試験物BおよびCよりも優れている。試験物Aは緩衝液中で安定であり、したがって、安定な予混合注射液剤として開発するために潜在的に適している。
(実施例17A)
試験物A溶解度
溶解度プロトコル
試験物A10〜60mgを1mLマイクロ遠心チューブ内に秤量した。溶媒100μLを加えた。ボルテックスミキサーを使用して試料を混合し、次いで、周囲温度で15分間音波処理した。完全に溶解したら、さらなる溶質を加えた。その結果生じた懸濁液を遠心分離して、オフホワイト色の飽和溶液を得た。HPLCによって分析する前に、上澄みの少量アリコットを希釈した。試験物Aの溶解度を決定し、結果を表1に報告する。
上に示した手順において、放置すると、濃縮試料が濁ってくることに注目した。このことは、音波処理および遠心分離の間に試料が不注意にも加熱されたことに帰せられ、不正に高い結果の原因となっていると疑われた。したがって、下記の実施例17Bにおいて詳述されているとおり、遠心分離の前後に、試料を水浴中で平衡させた。
(実施例17B)
改良プロトコルを介して決定された試験物Aの溶解度
試験物A10〜60mgを1mLマイクロ遠心チューブ内に秤量した。溶媒100μLを加えた。ボルテックスミキサーを使用して試料を混合し、次いで、周囲温度で15分間音波処理した。完全に溶解したら、さらなる溶質を加えた。その結果生じた懸濁液を、水浴中で20分間平衡させ、1分間遠心分離して、オフホワイト色の飽和溶液を得た。次いで、試料を水浴中でさらに20分間平衡させた。HPLCによって分析する前に、メスフラスコを使用して、上澄みの5〜10μLアリコットを移動相25mL中で希釈した。試験物Aの溶解度を決定し、結果を表2に報告する。
試料分析のために使用されるHPLC法:
外部標準分析を介して試験物A濃度を定量するために、加えて加水分解生成物APAPをモニタリングし、かつ定量するために、HPLC法を開発した。20〜120μg/mLの範囲にわたって、直線性が決定され、再現性が100μg/mLで決定された。
緩衝液レシピ:リン酸二水素カリウム:1.16g;リン酸水素二カリウム:0.74g;HPLC 水850mL;アセトニトリル(HPLC):150mL。成分を合わせ、撹拌して溶かし、使用前に十分に脱気した。
結果のまとめ
様々な溶媒中、かつ種々の温度での試験物Aの溶解度を、上に特記したとおりに評価した。結果を表3に溶解度の高い順に報告する。
表1注:
1.上に示したとおり、初期の結果は比較的高い結果を示したが、不十分な温度管理によって、放置すると、試料が濁った。方法を修正し、試料を繰り返した。
2.第2の物質バッチを使用して、結果を確認した。
3.不十分な温度管理によって、結果が高い可能性がある。
上記の結果は、試験物Aが、血液の特徴に近い溶液中において特に優れた溶解度を有することを示している(37℃のpH6.5緩衝液での406mg/mL値によって最も良く例示されている)。したがって、ヒト血流に注入されても、この化合物が注射部位において重大な結晶化を示す見込みはなく、むしろ、血管系を介して分配されるであろう。試験化合物の大抵の有害作用の責任は、注射部位での結晶形成にあることは、非経口製剤の開発分野では周知である。Johnson JL、He Y、Yalkowsky SH. Prediction of precipitation−induced phlebitis: a statistical validation of an in vitro model. J Pharm Sci.、2003年8月;92巻(8号):1574〜81頁を参照。非経口製剤のための基剤となり得るであろう溶媒系(PEG−400 50%および水50%)において示された高い溶解度(306mg/mL)は、非常に高い濃度で低用量体積の製剤を開発することができることを示唆している。現在、アセトアミノフェンは、濃度10mg/mLの製剤で投与されており、したがって、1000mgの治療用量を送達するためには点滴100mLが必要である。
(実施例18)
試験物B、C、およびアセトアミノフェンの溶解度
実施例17に記載されている実験プロトコルと同じ実験プロトコルを使用したところ、試験物BおよびCが、室温のリン酸緩衝食塩水(pH7.2)中において非常に高い溶解度を有することが見出された。アセトアミノフェンでの溶解度データは、文献の値と完全に一致し、試験物A、B、およびCが、アセトアミノフェンよりも約30倍まで高い水溶解度を有し得るであろうことを示している。
これらのデータは、試験物BおよびCが試験物Aよりもかなり高い水溶解度を有することを示しており、このことによって、BおよびCも両方とも、高濃度で低用量体積の製剤を開発するためには魅力的な候補であろうことが予測される。これらの結果は、試験物がアセトアミノフェンよりもかなり高い水溶解度(約30倍超)を有することを示しており、これらが、ボーラス静脈内投与用または非経口投与用に製剤化され得ることを意味している。