JP2017075902A - 機器分析による残留農薬分析のための前処理方法 - Google Patents

機器分析による残留農薬分析のための前処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリフェノールを含む農作物に対する機器分析による残留農薬分析のための前処理方法を提供すること。【解決手段】本発明の前処理方法は、ポリフェノールを含む農作物から抽出された抽出液に対して機器分析を実施することによって農作物に付着又は浸透した残留農薬を分析するに当たって、機器分析を実施する前に抽出液に対して実施される、機器分析による残留農薬分析のための前処理方法であって、抽出液にカゼインを混合処理して、カゼインとポリフェノールの複合体を生成することにより、複合体が含まれる混合液を得る第一工程と、混合液を複合体が含まれる第一の分画と複合体が含まれない第二の分画とに分離することにより、機器分析用の試料とされる第二の分画を得る第二工程と、を含む方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、機器分析による残留農薬分析のための前処理方法に関する。
農薬が一定以上残留する食品の販売等を原則禁止するポジティブリスト制度が施行されている。このポジティブリスト制度の施行後、厚生労働省から「食品に残留する農薬、飼料添加物又は動物用医薬品成分である物質の試験法について」(非特許文献1参照)が通知されている。この通知中では、高度な機器分析であるガスクロマトグラフ質量分析や液体クロマトグラフ質量分析などを用いた一斉試験法や個別試験法が多数採用されている。これらの試験法(以下、通知法とも称する。)による残留農薬分析を実施する際には、食品から農薬を抽出・精製するという前処理が実施される。この前処理が実施されることにより、抽出液から食品由来成分の夾雑成分を取り除くことができ、機器分析による残留農薬分析に適用できる試料を得ることができる。
一斉試験法では、約300種類の農薬を分析することができる。しかし、特に、茶における残留分析において、茶成分に特有に含まれるカテキン類(例えば、カテキン、タンニン)などの夾雑成分により、機器分析は妨害される。そのため、測定困難な農薬が多数存在している。
一方、古くから登録のある農薬、主に有機リン系、ピレスロイド系、塩素系農薬、についての個別試験法では、抹茶以外の茶については熱湯抽出法により抽出し、その抽出液からカテキン類を取り除き農薬を精製する、という前処理が行われる。この前処理操作では、酢酸鉛を用いてカテキン類によるエマルジョンの形成を防ぐことにより、カテキン類を沈殿させてろ過し、抽出液からカテキン類を除去している。このように一斉試験法及び個別試験法においては通知法によって検査を行うが、自主検査においてもこの通知法に準じて検査を行う場合が多い。
厚生労働省、食安発第0124001号、平成17年1月24日付通知
しかしながら、カテキン類などのポリフェノールを抽出液から除去する際に用いられる酢酸鉛は、毒物及び劇物取締法において劇物に指定されており、購入、保管、及び廃液処理に注意を要する。
このような問題を解決するために、本発明者らは、ポリフェノールを含む農作物から夾雑成分であるポリフェノールを除去する技術について検討した。その結果、酢酸鉛を使用せずに、ポリフェノールを除去する方法を見出した。
以下に説明する技術は上記知見に基づいて完成されたものであり、その目的の一つはポリフェノールを含む農作物に対する機器分析による残留農薬分析のための前処理方法を提供することにある。
以下に説明する前処理方法は、ポリフェノールを含む農作物から抽出された抽出液に対して機器分析を実施することによって農作物に付着又は浸透した残留農薬を分析するに当たって、機器分析を実施する前に抽出液に対して実施される、機器分析による残留農薬分析のための前処理方法であって、抽出液にカゼインを混合処理して、カゼインとポリフェノールの複合体を生成することにより、複合体が含まれる混合液を得る第一工程と、混合液を複合体が含まれる第一の分画と複合体が含まれない第二の分画とに分離することにより、機器分析用の試料とされる第二の分画を得る第二工程と、を含むことを特徴とする。
この前処理方法において、第二工程では、前記一工程において得られた前記混合液に酸を混合処理することにより前記カゼインを凝固させ、さらに、凝固した前記カゼイン及び前記カゼインに捕捉された前記ポリフェノールを遠心分離によって沈殿させて、前記第一の分画である沈殿物と前記第二の分画である上澄みとに分離することにより、前記試料とされる前記上澄みを得てもよい。
さらに、第二工程では、前記第一工程において得られた前記混合液に対して限外ろ過処理を行って、前記第一の分画である残渣と前記第二の分画であるろ液とに分離することにより、前記試料とされる前記ろ液を得てもよい。
このような第一工程を行うことにより、抽出液に含まれるポリフェノールがカゼインによって捕捉される。その結果、ポリフェノール及びカゼインの複合体が生成され、そのような複合体を含む混合液が得られる。続く第二工程を行うことにより、混合液は複合体を含む第一の分画と複合体を含まない第二の分画とに分離される。その結果、第二の分画を採取すれば、機器分析による農薬の分析に用いることができる試料を得ることができる。したがって、ポリフェノールを含む農作物に対する機器分析による残留農薬分析を実施することができる。
図1は、実施例1の前処理方法の概略図である。 図2は、実施例1の前処理方法を実施して得られた試料におけるカテキンの濃度を示したグラフである。 図3(a)は、アセタミプリド0ppbの濃度の検体試料に対して、実施例1の前処理方法を実施して得られた試料の測定結果を示すグラフである。図3(b)は、アセタミプリド400ppbの濃度の検体試料に対して、実施例1の前処理方法を実施して得られた試料の測定結果を示すグラフである。 図4は、実施例1の前処理方法を実施して得られた試料におけるアセタミプリドの測定結果を示すグラフである。 図5は、実施例2の前処理方法の概略図である。 図6は、実施例2の前処理方法を実施して得られた試料におけるカテキンの濃度を示したグラフである。
以下、本発明が適用された実施例について、図面を用いて説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(1)実施例1
(1.1)前処理方法の概要
茶の抽出液中には、カテキン類(カテキンやタンニンを含む)が含まれる。このようなカテキン類は、機器分析によって茶の残留農薬を調べる際に、機器分析を妨害する夾雑成分となる。このような夾雑成分を含む抽出液に対して、図1に示すような前処理方法を行うことで、夾雑成分を取り除き、機器分析に使用することができる試料を得ることができる。
以下、前処理方法について、図1を用いて説明する。
まず、第一工程では、茶の抽出液にスキムミルクを混合処理する。このような混合処理を行うことにより、抽出液に含まれるカテキン類がスキムミルクによって捕捉される。その結果、カテキン類とスキムミルクとの複合体が生成され、そのような複合体を含む混合液が得られる。
次に、第二工程では、第一工程において得られた混合液に酸を混合処理する。この酸の混合処理により、タンパク質を成分とするスキムミルクが凝固する。その後、遠心分離をすることにより、沈殿物として分離される第一の分画と上澄みとして分離される第二の分画を得ることができる。第一の分画には、凝固したスキムミルク、及びスキムミルクに捕捉されたカテキン類などが含まれる。第二の分画にはスキムミルクやカテキン類以外の成分が含まれ、農薬類も第二の分画に含まれる。つまり、第二の分画に相当する上澄みからは、夾雑成分が除去される。したがって、このような上澄みを採取すれば、機器分析による農薬の分析に用いることができる試料を得ることができる。
(1.2)夾雑成分の除去の確認
上記(1.1)項で説明した前処理方法により、茶の抽出液から夾雑成分(カテキン類)が除去できることを、以下に説明するような手法で確認した。なお、以下の説明においては、別に記載しない限り、以下の材料を用いる。農薬としては、アセタミプリド、林純薬工業株式会社の52220を用いる。カゼインとしては、カゼインを含有するスキムミルクの粉末を用い、スキムミルクの粉末としては、和光純薬工業株式会社のコードNo.198−10605 スキムミルク粉末、を用いる。カテキン粉末としては、和光純薬工業株式会社のコードNo.032−18231 カテキン混合物 緑茶由来、を用いる。
検体試料としては、カテキン溶液、緑茶、及び紅茶を用いた。なお、緑茶、及び紅茶は、ポリフェノールを含む農作物の一例に相当する。緑茶及び紅茶は一般的に市販されているものを使用した。緑茶及び紅茶は、以下のような方法で抽出した。まず、100℃で湯煎しながら、各茶葉3gに100℃の沸騰水180mL加え、5分放置した。それぞれ不織布を用いてろ過した後、室温になるまで静置した。その後、5000gで5分間遠心分離し、各上澄みを回収し、緑茶の浸出液(以下、浸出液Aと称する)及び紅茶の浸出液(以下、浸出液Bと称する)とした。なお、このような抽出方法によって湯中に抽出される緑茶及び紅茶の各成分には、カテキンやタンニンなどのポリフェノールが含まれるものと考えられる。
まず検体試料がカテキン溶液の場合については、以下の手順1−1、手順1−2、手順1−3、手順1−4、手順1−5を順に行い、各試料を対象にしてカテキンの濃度測定のサンプル液を作成した。
手順1−1.蒸留水を利用して、蒸留水中のカテキンの濃度が200、500、1000μg/mLとなるように各試料300μLを調製した。
手順1−2.上記手順1−1で調製した各試料に対して、蒸留水を等量ずつ混合し、室温で15分間ゆっくり攪拌した。攪拌した各溶液に、30μLの蒸留水をボルテックスミキサーで攪拌しながら添加し、14000gで5分、遠心分離し、各上澄みを回収した。
手順1−3.上記手順1−1で調製した各試料に対して、4%スキムミルクを等量ずつ混合し、室温で15分間ゆっくり攪拌した。その後、30μLの4%酢酸をボルテックスミキサーで攪拌しながら添加し、14000gで5分、遠心分離し、各上澄みを回収した。
手順1−4.上記手順1−2で回収した各上澄み500μLに0.5Mリン酸緩衝液(pH7.3)100μLを速やかに添加した。1時間4℃で静置後、14000gで5分、遠心分離し、各上澄みを回収した。各上澄みをそれぞれ、試料51、52、53とし、カテキンの濃度測定のサンプル液とした。
手順1−5.上記手順1−3で回収した各上澄み500μLに0.5Mリン酸緩衝液(pH7.3)100μLを速やかに添加した。1時間4℃で静置後、14000gで5分、遠心分離し、各上澄みを回収した。各上澄みをそれぞれ、試料61、62、63とし、カテキンの濃度測定のサンプル液とした。
検体試料が緑茶及び紅茶の場合については、以下の手順2−1、手順2−2、手順2−3、手順2−4を順に行い、各試料を対象にしてカテキンの濃度測定のサンプル液を作成した。
手順2−1.上記の緑茶の浸出液A及び紅茶の浸出液Bに対して、それぞれ、蒸留水を等量ずつ混合し、室温で15分間ゆっくり攪拌した。攪拌した各溶液に、30μLの蒸留水をボルテックスミキサーで攪拌しながら添加し、14000gで5分、遠心分離し、各上澄みを回収した。
手順2−2.上記の緑茶の浸出液A及び紅茶の浸出液Bに対して、それぞれ、4%スキムミルクを等量ずつ混合し、室温で15分間ゆっくり攪拌した。攪拌した各溶液に、30μLの4%酢酸をボルテックスミキサーで攪拌しながら添加し、14000gで5分、遠心分離し、各上澄みを回収した。
手順2−3.上記手順2−1で回収した各上澄み500μLに0.5Mリン酸緩衝液(pH7.3)100μLを速やかに添加した。1時間4℃で静置後、14000gで5分、遠心分離し、各上澄みを回収した。回収した各上澄みを試料70、90とし、カテキンの濃度測定のサンプル液とした。
手順2−4.上記手順2−2で回収した各上澄み500μLに0.5Mリン酸緩衝液(pH7.3)100μLを速やかに添加した。1時間4℃で静置後、14000gで5分、遠心分離し、各上澄みを回収した。回収した各上澄みを試料80、100とし、カテキンの濃度測定のサンプル液とした。
手順1−4、手順1−5、手順2−3、手順2−4で得られたカテキンの濃度測定のサンプル液を対象にして、フォーリン・チオカルト法により吸光度を測定し、サンプル液のカテキン濃度を求めた。その測定方法の詳細については、下記(1.2.1)項で説明する。
(1.2.1)カテキンの濃度の測定方法:フォーリン・チオカルト法
サンプル液20μL及びスタンダードカテキン20μLに対して、それぞれ、蒸留水300μL、フォーリン・チオカルト試薬(製品名:フォーリン&チオカルト、フェノール試薬、コードNo.594−30685、和光純薬工業株式会社製)20μLを順に混合し、さらに、20%炭酸ナトリウム40μLを添加した。20分間、室温で静置した後、波長700nmにおける吸光度を測定した。スタンダードカテキンの吸光度により検量線を作成し、サンプル液の濃度を求めた。
その結果を図2に示す。なお、図2中の測定結果は、平均±標準偏差(n=3)で示した。
図2に示すように、試料61、62、63、80、100のカテキン濃度は、それに対応する未処理の試料51、52、53、70、90のカテキン濃度に比べて低下した。したがって、茶の浸出液に対して、上記(1.1)項で説明した前処理方法を行うことにより、カテキン濃度を低下させることができた。また、緑茶の場合、試料80は試料70に比べカテキンの濃度が約半分に減少した。一方、紅茶の場合、試料100は試料90に比べカテキンの濃度が半分以上減少した。このことから、検体試料の種類によってカテキンを取り除ける可能性があることが示された。
(1.3)農薬の測定の評価
(1.3.1)アセタミプリドの測定の評価(その1)
上記(1.1)項で説明した前処理方法を実施して得られた試料について、アセタミプリドの測定を評価した。これについて、以下に詳述する。
検体試料は、ポリフェノールを含む農作物として茶を用いた。茶は一般的に市販されている緑茶を使用した。茶の抽出は、以下のような方法で実施した。まず、100℃で湯煎しながら、茶葉3gに100℃の沸騰水50mL加え、5分放置した。その後、湯煎から外し、室温で1時間静置した後、4℃で一晩静置した。一晩静置し浸出させた液を5000gで5分間遠心分離し、上澄みを回収し、上澄みを茶の浸出液(以下、浸出液Cと称する)とした。このような抽出方法によって湯中に抽出される茶の成分には、カテキンやタンニンなどのポリフェノールが含まれるものと考えられる。
なお、厚生労働省医薬品食品局食品安全部長通知第0124001号に示される通知法
には、100℃の沸騰水50mLに検体試料1gを浸出させる抽出方法があるが、上述した浸出液Cは、この通知法よりも濃度をあえて高くした。この浸出液Cを用いて残留農薬を測定することにより、夾雑成分による測定の妨害と、その夾雑成分の影響を排除する効果とを明瞭にし、また、各種茶に対応可能なことを確認した。
以下の手順3−1、手順3−2、手順3−3、手順3−4、手順3−5、手順3−6、手順3−7、手順3−8、手順3−9を順に行い、各試料を対象にして吸光度を測定した。
手順3−1.蒸留水を使用して、蒸留水中のアセタミプリドの濃度が0、400ppbとなるように試料を調製した。
手順3−2.上記浸出液Cを使用して、浸出液C中のアセタミプリドの濃度が0、400ppbとなるように試料を調製した。
手順3−3.上記手順3−1で調製した各試料と、蒸留水とをそれぞれ等量ずつ混合した後、さらに蒸留水を上記手順3−1で調製した各試料の各10分の1量をボルテックスミキサーで攪拌しながら添加した。その後、14000gで2分、遠心分離し、各上澄みを回収した。各上澄みの5分の1量の0.5Mリン酸緩衝液(pH7.3)を添加し、それぞれ試料1、2とした。この試料1、2をエライザ測定のサンプル液とした。
手順3−4.上記手順3−1で調製した各試料と、蒸留水とをそれぞれ等量ずつ混合した後、さらに4%酢酸を上記手順3−1で調製した各試料の各10分の1量をボルテックスミキサーで攪拌しながら添加した。その後、14000gで2分、遠心分離し、各上澄みを回収した。各上澄みの5分の1量の0.5Mリン酸緩衝液(pH7.3)を添加し、それぞれ試料3、4とした。この試料3、4をエライザ測定のサンプル液とした。
手順3−5.上記手順3−1で調製した各試料と、4%スキムミルクとをそれぞれ等量ずつ混合した後、さらに4%酢酸を上記手順3−1で調製した各試料の各10分の1量をボルテックスミキサーで攪拌しながら添加した。その後、14000gで2分、遠心分離し、各上澄みを回収した。各上澄みの5分の1量の0.5Mリン酸緩衝液(pH7.3)を添加し、それぞれ試料5、6とした。この試料5、6をエライザ測定のサンプル液とした。
手順3−6.上記手順3−2で調製した各試料と、蒸留水とをそれぞれ等量ずつ混合した後、さらに蒸留水を上記手順3−2で調製した各試料の各10分の1量をボルテックスミキサーで攪拌しながら添加した。その後、14000gで2分、遠心分離し、各上澄みを回収した。各上澄みの5分の1量の0.5Mリン酸緩衝液(pH7.3)を添加し、それぞれ試料7、8とした。この試料7、8をエライザ測定のサンプル液とした。
手順3−7.上記手順3−2で調製した各試料と、蒸留水とをそれぞれ等量ずつ混合した後、さらに4%酢酸を上記手順3−2で調製した各試料の各10分の1量をボルテックスミキサーで攪拌しながら添加した。その後、14000gで2分、遠心分離し、各上澄みを回収した。各上澄みの5分の1量の0.5Mリン酸緩衝液(pH7.3)を添加し、それぞれ試料9、10とした。この試料9、10をエライザ測定のサンプル液とした。
手順3−8.上記手順3−2で調製した各試料と、4%スキムミルクとをそれぞれ等量ずつ混合した後、さらに4%酢酸を上記手順3−2で調製した各試料の各10分の1量をボルテックスミキサーで攪拌しながら添加した。その後、14000gで2分、遠心分離し、各上澄みを回収した。各上澄みの5分の1量の0.5Mリン酸緩衝液(pH7.3)を添加し、それぞれ試料11、12とした。この試料11、12をエライザ測定のサンプル液とした。
手順3−9.上記手順3−3、上記手順3−4、上記手順3−5、上記手順3−6、上記手順3−7、上記手順3−8から得られたエライザ測定のサンプル液を対象にして、エライザ法(間接競合法)により吸光度を測定した。なお、エライザ法(間接競合法)については下記(1.3.1.1)項において詳述する。
その結果を図3(a)及び図3(b)に示す。なお、図3中の測定結果は、平均±標準偏差(n=3)で示した。
図3(b)に示されるように、試料8の吸光度は、試料2の吸光度に比べて低下したが、試料8にスキムミルクと酢酸の処理を施すと(試料12)、試料2の吸光度と同じ値に戻った。また、酢酸処理のみ行った試料10の吸光度は、試料2の吸光度と比べて低下したままであった。つまり、スキムミルク処理、酢酸処理、及び遠心分離の前処理を実施することにより、茶の浸出液中のアセタミプリドは、夾雑成分を含んでいない試料と同程度の測定値が得られた。したがって、茶の浸出液に対して上述のようなスキムミルク処理、酢酸処理、及び遠心分離などを行うことにより、夾雑成分を含まない試料を得ることができる。また、そのような試料を用いれば、ガスクロマトグラフィー質量分析、液体クロマトグラフィー質量分析、高速液体クロマトグラフィーなどの高度な機器分析を実施することができ、試料中に含まれるアセタミプリドを分析することができる。
また、図3(a)に示されるように、アセタミプリドを含有しない試料の場合も、アセタミプリドを含有する試料の場合(図3(b))と同様の吸光度の変動が示された。つまり、アセタミプリドを含有しても含有していなくても、同様の吸光度の変動が示された。したがって、このような吸光度の変動は、夾雑成分の存在下では、試料中のフリーのアセタミプリドと抗体が反応しやすくなったのではなく、アセタミプリドと抗体の反応が起こりにくくなった結果であることが示された。
(1.3.1.1)アセタミプリドの測定方法:エライザ法
本実施例で用いたエライザ法(間接競合法)の手順について以下に記載する。手順4−1、手順4−2、手順4−3、手順4−4、手順4−5、手順4−6、手順4−7を順に行い、エライザ法(間接競合法)によるサンプル液の測定を行った。
手順4−1.アセタミプリド−BSA溶液を0.01μg/mLの濃度で55mM、NaHCO3(pH9)に溶解した。この溶液を溶液4−1とした。なお、アセタミプリド−BSA溶液の作製方法については後から詳述する。
手順4−2.マイクロプレート(製品名:F96 MaxiSorp Nunc−Immuno Plate、カタログ番号442404、Thermo Scientific製)の各ウェルに、100μLずつ溶液4−1を添加した。4℃で1晩静置し、アセタミプリド−BSAをマイクロプレートに固相化した。1晩静置後の溶液を溶液4−2とした。
手順4−3.各ウィル内の溶液4−2を除き、0.01%Tween−20を含む洗浄液(略称:PBS、製品名:リン酸緩衝生理食塩水)で5回洗浄した。その後、ブロッキング液(略称:SB、製品名:Starting Block T20(PBS)Blocking Buffer、カタログ番号37539、Thermo Scientific製)を各ウェルに300μL添加して、室温で30分間静置した。静置後の溶液を溶液4−3とした。
手順4−4.各ウェル内の溶液4−3を除き、実施例で調製されたエライザ測定のサンプル液を50μLと、ブロッキング液で2μg/mLに希釈した抗アセタミプリドモノクローナル抗体を50μLと、を添加し、カバー用フィルムを貼り、2時間室温で静置した。静置後の溶液を溶液4−4とした。
手順4−5.各ウェル内の溶液4−4を除き、洗浄液で5回洗浄後、ブロッキング液で10000倍希釈した2次抗体(製品名:ECL Anti−mouse IgG Horseradish Peroxidase linked whole antibody(from sheep)、カタログ番号NA931V、GE Healthcare Life Sciences製)を100μL添加し、1時間室温で静置した。静置後の溶液を溶液4−5とした。
手順4−6.各ウェル内の溶液4−5を除き、洗浄液で5回洗浄後、発色基質(略称:TMB、製品名:Sure Blue Reserve TMB Microwell Peroxidase Substrate、商品コード53−00−01、KPL製)を100μL添加し、暗所で30分静置した。静置後の溶液を溶液4−6とした。
手順4−7.溶液4−6に対して、反応停止液(製品名:TMBストップソリューション、商品コード50−85−05、KPL製)を100μL添加し、プレートリーダーを用いて吸光度(450nm)を測定した。
エライザ法(間接競合法)で用いたアセタミプリド−BSA溶液は、以下の手順5−1、手順5−2、手順5−3、手順5−4を順に行い、作製した。
手順5−1.アセタミプリドにカルボキシル基を導入した誘導体をジメチルスルホキシド(略称:DMSO)に20mg/mLの濃度で溶解した。この溶液を溶液5−1とした。
手順5−2.溶液5−1の液を200μLと、DMSOで調製した80mMの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(略称:EDC)を100μLと、DMSOで調製した80mMのN−ヒドロキシスクシンイミド(略称:NHS)を100μLと、を添加した。1.5時間室温でゆっくり攪拌し、溶液5−2とした。
手順5−3.150mM塩化ナトリウムを含む0.1Mのホウ酸緩衝液(略称:BB)(pH8.0)に溶解した10mg/mLのウシ血清アルブミン(略称:BSA)0.5mLに溶液5−2を200μLゆっくり添加し、室温で1晩ゆっくり攪拌した。この溶液を溶液5−3とする。
手順5−4.溶液5−3を遠心ろ過デバイス(略称:マイクロセップ10K、製品名:マイクロセップ アドバンス 遠心ろ過デバイスマイクロセップ10K、製造元コード:MCP010C41、PALL Corporation製)と10mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.3)(略称:PB)を用いて限外ろ過により精製し、アセタミプリド−BSA溶液とした。
(1.3.2)アセタミプリドの測定の評価(その2)
上記(1.1)項で説明した前処理方法を実施して得られた試料について、アセタミプリドの測定を評価した。以下、これについて、詳述する。なお、検体試料は、上記(1.3.1)項に記載の浸出液Cを用いた。
以下の手順6−1、手順6−2、手順6−3、手順6−4、手順6−5、手順6−6、手順6−7を順に行い、各試料を対象にして吸光度を測定した。
手順6−1.蒸留水を使用して、蒸留水中のアセタミプリドの濃度が0.1、1、10、100、1000ppbとなるように試料を調製し、それぞれ溶液1、2、3、4、5とした。
手順6−2.浸出液Cを使用して、浸出液C中のアセタミプリドの濃度が0.1、1、10、100、1000ppbとなるように試料を調製し、それぞれ溶液6、7、8、9、10とした。
手順6−3.上記手順6−1で調製した溶液1〜5と、蒸留水とをそれぞれ等量ずつ混合した後、さらに蒸留水を各溶液1〜5の各10分の1量をボルテックスミキサーで攪拌しながら添加した。その後、14000gで2分、遠心分離し、各上澄みを回収した。各上澄みの5分の1量の0.5Mリン酸緩衝液(pH7.3)を添加し、それぞれ試料21、22、23、24、25とした。この試料21〜25をエライザ測定のサンプル液とした。
手順6−4.手順6−2で調製した溶液6〜10と、蒸留水とをそれぞれ等量ずつ混合した後、さらに蒸留水を溶液6〜10の各10分の1量をボルテックスミキサーで攪拌しながら添加した。その後、14000gで2分、遠心分離し、各上澄みを回収した。各上澄みの5分の1量の0.5Mリン酸緩衝液(pH7.3)を添加し、それぞれ試料31、32、33、34、35とした。この試料31〜35をエライザ測定のサンプル液とした。
手順6−5.手順6−2で調製した溶液6〜10と、4%スキムミルクとをそれぞれ等量ずつ混合した後、さらに4%酢酸を溶液6〜10の各10分の1量をボルテックスミキサーで攪拌しながら添加した。その後、14000gで2分、遠心分離し、各上澄みを回収した。各上澄みの5分の1量の0.5Mリン酸緩衝液(pH7.3)を添加し、それぞれ試料41、42、43、44、45とした。この試料41〜45をエライザ測定のサンプル液とした。
手順6−6.また、アセタミプリドを含有しない試料も用意した。具体的には、以下の3つの試料を用意した。1つは蒸留水である試料を用意し、エライザ測定のサンプル液とした。もう1つは、以下のように調整し試料を用意した。浸出液Cと蒸留水を等量ずつ混合した後、さらに蒸留水を浸出液Cの10分の1量をボルテックスミキサーで攪拌しながら添加した。その後、14000gで2分、遠心分離し、上澄みを回収した。上澄みの5分の1量の0.5Mリン酸緩衝液(pH7.3)を添加し、この試料をエライザ測定のサンプル液とした。残り1つは、以下のように調整し試料を用意した。浸出液Cと4%スキムミルクを等量ずつ混合した後、さらに4%酢酸を浸出液Cの10分の1量をボルテックスミキサーで攪拌しながら添加した。その後、14000gで2分、遠心分離し、上澄みを回収した。上澄みの5分の1量の0.5Mリン酸緩衝液(pH7.3)を添加し、この試料をエライザ測定のサンプル液とした。
手順6−7.上記手順6−3、上記手順6−4、上記手順6−5、上記手順6−6、から得られたエライザ測定のサンプル液を対象にして、前述したエライザ法(間接競合法)により吸光度を測定した。
その結果を図4に示す(ただし、図4は横軸が対数目盛のグラフであるため、グラフ中には0.1、1、10、100、1000ppbの各試料について表記した)。
図4に示すように、茶の浸出液Cにスキムミルクの処理及び酢酸の処理を行っていない場合(試料31〜35)の吸光度は、試料21〜25の吸光度に比べて低かった。一方、茶の浸出液Cに対してスキムミルク処理及び酢酸の処理を行った場合(試料41〜45)の吸光度は、試料31〜35に比べて増加し、試料21〜25の吸光度とほとんど一致するほどまで増加した。このことから、茶の浸出液C中のカテキンやタンニンなどの成分は測定を妨害するが、スキムミルク処理及び酢酸処理後の遠心分離により得られた上澄みを測定に用いることで、測定の妨害が回避されたことが分かった。したがって、茶の浸出液に対して上述のようなスキムミルク処理、酢酸処理、及び遠心分離などを行うことにより、夾雑成分を含まない試料を得ることができる。また、そのような試料を用いれば、ガスクロマトグラフィー質量分析、液体クロマトグラフィー質量分析、高速液体クロマトグラフィーなどの高度な機器分析を実施することができ、試料中に含まれるアセタミプリドを分析することができる。また、実施例1の前処理方法は、取り扱いに注意を要する鉛化合物である酢酸鉛を用いずに、入手が容易で、取り扱いも簡単、安価であるスキムミルクを用いて実施することができる。
(2)実施例2
(2.1)前処理方法の概要
実施例2は、基本的な構成は実施例1と同様であるため、共通する構成については説明を省略し、相違点を中心に説明する。
前述した実施例1では、第一工程で茶の抽出液に対してスキムミルク処理を行い、第二工程で酢酸処理及び遠心分離などを行うことにより、機器分析に使用することができる試料を得た。これに対し、実施例2では、第二工程で限外ろ過処理を行う点で相違する。以下、実施例2の第二工程について、図5を用いて、説明する。
第二工程では、第一工程において得られた混合液に限外ろ過処理を行う。この限外ろ過処理により、混合液は、ろ過された第二の分画とろ過されなかった第一の分画に分離する。第一の分画は、凝固したスキムミルク及びスキムミルクに捕捉されたカテキン類などの残渣が含まれる。第二の分画はスキムミルクやカテキン類以外の成分が含まれ、農薬類なども第二の分画に含まれる。つまり、第二の分画に相当するろ液には、夾雑成分のカテキン類が除去される。したがって、このようなろ液を用いれば、機器分析による農薬の分析に用いることができる試料を得ることができる。
(2.2)夾雑成分の除去の確認
上記(2.1)項で記載した前処理方法により、茶の抽出液から夾雑成分(カテキン類
)が除去できることを、以下に説明するような手法で確認した。
検体試料は、カテキン溶液及び上記(1.2)項に記載の緑茶の浸出液Aを用いた。以下の手順7−1、手順7−2、手順7−3、手順7−4を順に行い、各試料を対象にしてカテキンの濃度測定のサンプル液を作成した。
手順7−1.遠心ろ過デバイス(略称:ナノセップ10K、製品名:ナノセップ アドバンス 遠心ろ過デバイス、品番:OD010C33、PALL Corporation製)のプレトリートメントを以下のように行った。遠心ろ過デバイスに500μg/mLのカテキン溶液500μLを添加した後、14000gで20分、遠心分離した。さらに、蒸留水500μLを添加した後、14000gで20分、遠心分離して洗浄を行い、遠心ろ過デバイスのプレトリートメントを行った(プレトリートメントを行った遠心ろ過デバイスを、以下、遠心ろ過デバイスPと称する)。このプレトリートメントは、次に続く手順の限外ろ過処理において、カテキン及びタンニン等の夾雑成分が、遠心ろ過デバイスに吸着するのを防ぐために行った。
手順7−2.200、500、1000μg/mLの各カテキン溶液300μLに対して、蒸留水を等量ずつ混合し、室温で15分間ゆっくり攪拌した。攪拌した各溶液100μLを遠心ろ過デバイスPにそれぞれ添加し、14000gで10分、遠心分離し、ろ液を回収した。回収した各ろ液を試料201、202、203として、カテキン濃度測定のサンプル液とした。
手順7−3.200、500、1000μg/mLの各カテキン溶液300μLに対して、4%スキムミルクを等量ずつ混合し、室温で15分間ゆっくり攪拌した。攪拌した各溶液100μLを遠心ろ過デバイスPにそれぞれ添加し、14000gで10分、遠心分離し、ろ液を回収した。回収した各ろ液を試料301、302、303として、カテキン濃度測定のサンプル液とした。
手順7−4.前述した緑茶の浸出液A300μLに対して、蒸留水又は4%スキムミルクを等量ずつ混合し、室温で15分間ゆっくり攪拌した。攪拌した各溶液100μLを遠心ろ過デバイスPにそれぞれ添加し、14000gで10分、遠心分離し、ろ液を回収した。回収した各ろ液を試料400、500として、カテキン濃度測定のサンプル液とした。
手順7−2、手順7−3、手順7−4で得られたカテキンの濃度測定のサンプル液を対象にして、上記(1.2.1)で説明するフォーリン・チオカルト法により吸光度を測定し、サンプル液のカテキン濃度を求めた。
その結果を図6に示す。なお、図6中の測定結果は、平均±標準偏差(n=3)で示した。
図6に示すように、検体試料がカテキン溶液及び緑茶の場合ともに、スキムミルク処理後の限外ろ過したろ液(試料301、302、303、500)のカテキン濃度は、それに対応するスキムミルク未処理の試料(試料201、202、203、400)のカテキン濃度に比べて、低下した。したがって、緑茶の浸出液に対して、上記(2.1)の項で説明した前処理方法を行うことにより、カテキン濃度を低下させることができた。
(2.3)農薬の測定の評価
実施例1と同様にアセタミプリドの測定の評価を行ったところ、同様の結果を得られた。したがって、実施例2においても、茶の浸出液に対して(2.1)のようなスキムミルク処理、限外ろ過処理などを行うことにより、夾雑成分を含まない試料を得ることができる。また、そのような試料を用いれば、ガスクロマトグラフィー質量分析、液体クロマトグラフィー質量分析、高速液体クロマトグラフィーなどの高度な機器分析を実施することができ、試料中に含まれるアセタミプリドを分析することができる。また、実施例2においても、酢酸化合物を使用していないため、実施例1と同様の効果が得られる。
[その他の実施例]
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は前述の具体的な一実施例に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
例えば、前述の実施例では、酸として酢酸の例を示したが、酸はこれに限定されるものではなく、例えば、クエン酸、乳酸、ギ酸、リン酸などが挙げられる。これらの酸のうちいづれか一種のみを用いてもよいし、二種以上が組み合わされて用いてもよい。
また、検体試料として、緑茶及び紅茶の例を示したが、検体試料はこれに限定されるものではなく、ポリフェノールを含む農作物であればよい。ポリフェノールを含む農作物の例としては、例えば茶、ブドウ、リンゴ、ブルーベリー、柿、バナナ、イチゴ、ソルダム、ラズベリー、プルーン、桃、紫タマネギ、タマネギ、オリーブ、ホウレンソウ、ブロッコリー、クルミ、オレガノ、セージ、ローズマリー、アーモンド、ココアパウダー、及び、チョコレートなどが挙げられる。茶の例としては、例えば、日本茶(緑茶)、中国茶、及び、紅茶などが挙げられる。
また、ポリフェノールとして、カテキン、タンニンの例を示したが、ポリフェノールはこれに限定されるものではなく、他のポリフェノールであってもよい。例えば、アントシアニン、ルチン、クロロゲン酸、エラグ酸、ロズマリン酸、キトサン、リグナン、クマリン、レスベラトロール、イソフラボン、フラボノール、フラボノン、フラバノール、フラバノン、リグナン、リスぺリジン、クルクミン、ケルセチン、プロアントシアニジン、ナリンゲニンカルコン、プロシアニジン、ガロタンニン、及び、エラグタンニンなどが挙げられる。
また、前処理方法として、スキムミルクの混合処理の例を示したが、前処理方法はこれに限定されるものではなく、カゼインを含む溶液の混合処理であればよい。
前述の実施例では、4%のスキムミルクを用いたが、1%−20%に調製されてもよく、特に1%−10%であってもよい。カゼインは0.3%−7%で使用してもよい。
また、農薬としてアセタミプリドの例を示したが、農薬はこれに限定されるものではない。農薬の具体例を挙げれば、例えば、ベンゼンヘキサクロリド(BHC)、γ−ベンゼンヘキサクロリド(γ−BHC)、ジクロロジフェニルトリクロロエタン(DDT)、アルドリン、ディルドリン、エタルフルラリン、エトリジアゾール、エンドリン、キントゼン、クロルデン、ジコホール、テクナゼン、テトラジホン、テフルトリン、トリフルラリン、ハルフェンプロックス、フェンプロパトリン、ヘキサクロロベンゼン、ヘプタクロル、ベンフルラリン、メトキシクロール、エチルパラニトロフェニルチオノベンゼンホスホネイト(EPN)、アニロホス、イサゾホス、イプロベンホス、エチオン、エディフェンホス、エトプロホス、エトリムホス、カズサホス、キナルホス、クロルピリホス、クロルピリホスメチル、クロルフェンビンホス、シアノホス、ジスルホトン、ジメチルビンホス、ジメトエート、スルプロホス、ダイアジノン、チオメトン、テトラクロルビンホス、テルブホス、トリアゾホス、トリブホス、トルクロホスメチル、パラチオン、パラチオンメチル、ピペロホス、ピラクロホス、ピラゾホス、ピリダフェンチオン、ピリミホスメチル、フェナミホス、フェニトロチオン、フェンスルホチオン、フェンチオン、フェントエート、ブタミホス、プロチオホス、プロパホス、プロフェノホス、ブロモホス、ベンスリド、ホキシム、ホサロン、ホスチアゼート、ホスファミドン、ホスメット、ホレート、マラチオン、メカルバム、メタクリホス、メチダチオン、メビンホス、アクリナトリン、シハロトリン、シフルトリン、シペルメトリン、デルタメトリン、トラロメトリン、ビフェントリン、ピレトリン、フェンバレレート、フルシトリネート、フルバリネート、ペルメトリン、アセフェート、オメトエート、メタミドホス、アミトロール、アラクロール、イソプロカルブ、クレソキシムメチル、ジエトフェンカルブ、テニルクロール、テブフェンピラド、パクロブトラゾール、ビテルタノール、ピリプロキシフェン、ピリミノバックメチル、フェナリモル、ブタクロール、フルトラニル、プレチラクロール、メトラクロール、メフェナセット、メプロニル、レナシル、アラニカルブ、アルジカルブ、アルドキシカルブ、エチオフェンカルブ、オキサミル、カルバリル、ピリミカーブ、フェノブカルブ、ベンダイオカルブ、イソウロン、ジウロン、テブチウロン、トリフルムロン、フルオメツロン、リニュロン、イプロジオン、イミノクタジン、イミベンコナゾール、エトフェンプロックス、カフェンストロール、ジフェノコナゾール、シプロコナゾール、シメトリン、チフルザミド、テトラコナゾール、テブコナゾール、トリアジメノール、フルジオキソニル、プロピコナゾール、ヘキサコナゾール、ペンコナゾール、カルタップ、ベンスルタップ、チオシクラム、カルベンダジム、チオファネート、チオファネートメチル、ベノミル、キャプタン、クロルベンジレート、クロロタロニル、ホルペット、クロフェンテジン、クロルフェナピル、ビフェノックス、クロルフルアズロン、ジフルベンズロン、テブフェノジド、テフルベンズロン、 フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、酸化フェンブタスズ、ジクロフルアニド、トリルフルアニド、ジクロルボス、トリクロルホン、ジクワット、パラコート、メピコートクロリド、シラフルオフェン、ダゾメット、メタム、メチルイソチオシアネート、トリフルミゾール、ニテンピラム、ピリダベン、ピリフェノックス、フェンピロキシメート、フルオルイミド、ヘキシチアゾクス、ミクロブタニルなどを挙げることができる。
また、前述の実施例では、検体試料の抽出液として、検体試料から浸出させる方法の例を示したが、抽出方法はこれに限定されるものではなく、他の抽出方法を用いてもよい。例えば、水溶性の農薬に関しては、水を用いた粉砕抽出が研究されている(文献:E. Watanabe, Y, Kobara, K. Baba, H. Eun, Reduction of hazardous organic solvent in sample preparation for hydrophilic pesticide residues in agricultural products with conventional liquid chromatography. J. Agric. Food. Chem. 2013, 61, 4792−4798)。
また、前述の実施例から明らかなように、本発明の前処理を実施すれば、機器分析による残留農薬検査を適切に実施できるようになるが、このような前処理は他の分析手法を使う場合にも有効である。例えばイムノアッセイ法を用いた残留農薬検査を実施する場合でも、上述の前処理を実施すれば、夾雑成分を除去することができるので、残留農薬検査を適切に実施することができる。

Claims (8)

  1. ポリフェノールを含む農作物から抽出された抽出液に対して機器分析を実施することによって前記農作物に付着又は浸透した残留農薬を分析するに当たって、前記機器分析を実施する前に前記抽出液に対して実施される、機器分析による残留農薬分析のための前処理方法であって、
    前記抽出液にカゼインを混合処理して、前記カゼインと前記ポリフェノールの複合体を生成することにより、前記複合体が含まれる混合液を得る第一工程と、
    前記混合液を前記複合体が含まれる第一の分画と前記複合体が含まれない第二の分画とに分離することにより、機器分析用の試料とされる前記第二の分画を得る第二工程と、
    を含む前処理方法。
  2. 前記第二工程は、前記第一工程において得られた前記混合液に酸を混合処理することにより前記カゼインを凝固させ、さらに、凝固した前記カゼイン及び前記カゼインに捕捉された前記ポリフェノールを遠心分離によって沈殿させて、前記第一の分画である沈殿物と前記第二の分画である上澄みとに分離することにより、前記試料とされる前記上澄みを得る工程である
    請求項1に記載の前処理方法。
  3. 前記第二工程は、前記第一工程において得られた前記混合液に対して限外ろ過処理を行って、前記第一の分画である残渣と前記第二の分画であるろ液とに分離することにより、前記試料とされる前記ろ液を得る工程である
    請求項1に記載の前処理方法。
  4. 前記酸は、酢酸、クエン酸、乳酸、ギ酸、及び、リン酸のうちのいずれか一種又は二種以上である
    請求項2に記載の前処理方法。
  5. 前記ポリフェノールは、カテキン及びタンニンのいずれか一方又は両方である
    請求項1−4のいずれか1項に記載の前処理方法。
  6. 前記カゼインは、スキムミルク由来のカゼインである
    請求項1−5のいずれか1項に記載の前処理方法。
  7. 前記残留農薬は、アセタミプリドである
    請求項1−6のいずれか1項に記載の前処理方法。
  8. 前記農作物は、茶である
    請求項1−7のいずれか1項に記載の前処理方法。
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