JP2017088078A - 列車保安装置及び信号保安システム - Google Patents

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佑介 中西
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Abstract

【課題】従来の信号保安システムでは、各列車による占有範囲が予め規定されたブロック単位で設定されるため、列車同士をブロック境界ではなく任意の地点で接近させることには困難性を伴うことになり、車両故障のような不測の事態に迅速に対処するためには改善の余地があった。【解決手段】列車保安装置は、所定の走行路のエリア内の列車及び沿線機器との間で回覧される電文を送受信する通信部と、電文を作成または更新して前記通信部へ出力する保安論理部とを備え、保安論理部は、走行路をブロックに分割し当該ブロックを単位とした列車の占有範囲を情報として含む電文に対して、占有範囲の設定を変更する指令に基づきブロックの分割範囲を可変にして占有範囲の設定を変更する。【選択図】図1

Description

本発明は、鉄道等における列車保安に係る列車保安装置及び信号保安システムに関する。
特許文献1に記載の信号保安システムは、「軌道回路装置は、レールを電気的に絶縁し、一端に電源を、反対側の一端にはリレーを接続して、列車によるレール間の短絡を検知する装置で、装置の維持保守費用が高い」こと(特許文献1の[0006]、参照)等を課題とし、解決手段として、「予め決められた区間内を走行する列車の保安が電文に基づいて確保される信号保安システムにおいて、電文は、予め決められた区間内に存在する列車や沿線機器を回覧し、区間内が複数分割されたブロック1つ1つに列車の占有権が設定可能なブロック占有権情報を有する構成とする」(特許文献1の[0010]、参照)ものである。
特開2006-232106号公報
前述のとおり、特許文献1に記載の信号保安システムは、路線を複数のブロックに分割し、そのブロック単位に列車の占有権を設定し、列車に搭載された車上装置や転てつ器を制御する制御装置との間で、この占有権情報を電文回覧によって共有するシステムである。この信号保安システムは、車上装置が回覧電文の情報を更新することによって、走行を計画する路線上のブロックの占有権を確保し、そのブロックに属する転てつ器へ転換方向を指示する仕組みを有する。これにより、列車の衝突や脱線を防ぎ、安全に列車を運行させるものである。つまり、複数の列車が路線のある区間を順番に走行しようとする場合、先行列車の車上装置は、自らが確保していたブロックの占有権をそのブロックを通過した後に解放し、その後において、後続列車の車上装置がそのブロックの占有権を確保していくことになる。なお、ブロック内に転てつ器がある場合には、これを制御してから進入することになる。
従って、もし先行列車があるブロック内で故障し停車してしまった場合、後続列車は、先行列車救援のために接近しようとしても、先行列車が占有権を持つブロックには進入することができない。このような場合、この信号保安システムを無効化し、別システムや人間系による手段で、後続列車を先行列車に安全に接近させる必要があるところ、列車運行の継続的なサービスを阻害する要因となる。また、予め路線を非常に細かいブロックに分割しておくという対策も可能ではあるが、その場合には電文上のブロック占有権情報のデータ量が増えることになる。そのため、電文伝送に要する時間が増加し、列車運行の継続的なサービスを阻害する要因となる。
本発明は、前述の課題を解決するための基本的な発想として、前記信号保安システムにおいて運用上必要がある場合に、以下の2通りの方法でブロックの占有範囲の設定を変更する。
(a)予め規定されたブロックについて、ブロック境界を移動させるか、ブロックを分割または統合することにより、ブロックの占有範囲を設定する。
(b)絶対位置もしくは予め決められた基準点からの相対位置によりブロックの占有範囲を設定する。
すなわち、本発明は、前記信号保安システムにおいてブロック単位で占有範囲を設定する際に、運用上必要がある場合にその設定を変更可能とする。これにより、列車同士を路線上の任意の地点で安全に接近させることのできる信号保安システムを提供する。なお、ここでいう「占有範囲の設定の変更」としては、(a)ブロックの境界位置の移動、あるいはブロックの分割または統合により変更すること、(b)絶対位置あるいは基準点からの相対位置で表した占有範囲を変更することの二通りを指す。
例えば、図1は、予め規定されたブロック(規定ブロック)を分割することにより、故障列車に他列車を接近させる場合の例を示す図である。占有範囲の設定を変更して、故障した列車Aが存在する規定ブロック1−1(上の図)を、ブロック1−1−1及びブロック1−1−2(下の図)に分割する。これにより、列車Bがブロック1−1−2の占有権を取得できるため、故障した列車Aにより接近することができる。
本発明は、前述の課題を解決するために、列車が搭載する列車保安装置として、所定の走行路のエリア内の列車及び沿線機器との間で回覧される電文を送受信する通信部と、電文を作成または更新して通信部へ出力する保安論理部とを備え、保安論理部は、走行路をブロックに分割し当該ブロックを単位とした列車の占有範囲を情報として含む電文に対して、占有範囲の設定を変更する指令に基づきブロックの分割範囲を可変にして占有範囲の設定を変更することを特徴とする。
本発明によれば、列車同士をブロック境界ではなく任意の地点で接近させることが可能となる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
図1は、本発明に係る信号保安システムによりブロックの分割を行う一例を示す図である。 図2は、本発明に係る信号保安システムの実施例の概略構成を示す図である。 図3は、列車走行路線の分割エリアを更に分割するブロック及び保安電文のフォーマットを示す図である。 図4は、列車救援を行うまでの状態1を示す図である。 図5は、列車救援を行うまでの状態2を示す図である。 図6は、列車救援を行うまでの状態3を示す図である。 図7は、列車救援を行うまでの状態4を示す図である。 図8は、列車救援を行うまでの状態5を示す図である。 図9は、列車救援を行うまでの状態6を示す図である。 図10は、列車救援を行うまでの状態7を示す図である。 図11は、本発明に係る信号保安システムを構成する列車側及び地上側の装置構成等を示す図である。 図12は、列車保安論理部12が実行する機能の処理フローを示す図である。 図13は、線路の占有範囲の設定を基準点からの相対位置で表すように変更する例を示す図である。
本発明を実施するための形態である実施例を、図面を用いて説明する。なお、以下に記載する実施例は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこの実施例にのみ限定されるものではない。したがって、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。また、本実施例における発明の用途や用語は、その要旨を逸脱しない限り、これを限定するものではない。
図2は、本発明に係る信号保安システムの実施例の概略構成を示す図である。本実施例に係る信号保安システムは、列車1に設置する列車保安装置10、転てつ器2に設置または接続する転てつ器保安装置20及びその列車保安装置10と転てつ器保安装置20間を回覧させる電文である保安電文3から構成される。
列車1は、図2に示すとおり、路線内において複数台存在する。このように列車1と転てつ器2に対して保安電文3を回覧させることにより、必要な装置数を減らすことができる。よって、設計や製造に掛かる費用を安価にする信号保安システムを提供できる。
なお、本実施例に係る信号保安システムでは、沿線機器として転てつ器のみを示しているが、他の沿線機器、たとえば列車の位置を検知するための軌道回路装置や、信号機装置等に対しても、この保安電文を回覧してもよい。本実施例は、信号機装置が無くても保安を確保できるシステムであるところ、信号機装置を設け、この信号機装置にも保安電文を回覧させることによって、より視認性の高い信号保安システムが構築できる。
図3は、列車が走行する路線を区分したエリア(区間)、そのエリア(区間)を更に分割するブロック及び保安電文の構成(フォーマット)を示す図である。つまり、列車が走行する路線全体は予め決められたエリア(区間)に区分されている。このエリアの範囲は、エリア内に進入しようとしている列車がエリア内に在線している列車やエリア内の転てつ器と必ず通信できる広さであればよい。保安装置の通信能力の向上または中継装置の設置等により、エリアの範囲を広くすることも可能である。また、列車が路線上のどこに在線していても全列車と通信が可能な場合には、路線全体を1つのエリアとしてもよい。
次に、1つのエリアを1列車のみが占有を許される単位(換言すれば、1列車が排他的に占有する単位)に分割し、この分割した区間を「ブロック」と呼ぶ。このブロックの範囲(区間の大きさ)は自由に設定することができる。このブロックの分割を細かくすれば保安装置間の通信量が増え、保安電文3の回覧に必要な時間が増える半面、高密度で列車を走行させることができる。
また、ある列車が運用中に故障を発生した場合を考慮するならば、救援を行う列車を任意の地点まで接近させることができれば信号保安システムの利便性を向上させることができる。しかし、通常時の運用のために最適化された1パターンのブロック分割では自ずと限度がある。そのため、予め占有範囲の設定を通常時のブロック分割以外にも複数用意し、各装置で共有する。
本実施例では、保安電文3に占有範囲の設定を示す識別情報としてフラグを付加する。このフラグにより、どのような占有範囲の設定となっているかを各装置が認識できるようにする。図3に示すように、エリア2を構成する各ブロック1〜8にフラグを設け、通常時用のフラグ1と列車故障等の異常時用のフラグ2を予め用意する。通常時は、フラグ1を用いて8つのブロック1〜8で制御を行う。異常時は、フラグ2を用いて、例えばブロック8に対してブロック8−1〜ブロック8−4の細かいブロック分割で制御を行う。これにより、救援列車をより故障列車に接近させることを可能とする。
更に、本実施例の信号保安システムは、列車に対して走行を許可する単位を決める。この単位を「進路」と呼ぶ。この進路は、それを構成する線路、転てつ器等で構成される。
図3では、8つのブロック1〜8に分割したエリア2における列車の進路を示している。具体的に、進路1R、2R、3R及び進路1L、2L、3Lが存在している。例えば、3Rという進路は、進路3Rの開通方向が反位の第1の転てつ器2−1を持つブロック3、進路3Rの開通方向が反位の第2の転てつ器2−2を持つブロック7及びブロック8の3つのブロックから構成される。
本実施例に係る信号保安システムでは、ブロック3、7及び8の3つのブロックの占有権が1つの列車によって確保されている。これら各ブロック上の転てつ器の方向が全て進路3Rの開通方向を向いている状態を確認できた場合に、その列車に対して進路3Rの進行許可が与えられることになる。なお、「定位」、「反位」及び「ブラ」とは、転てつ器の方向を表す用語である。「定位」は定常の開通方向、「反位」は定位の逆方向、「ブラ」は定位でも反位でもない状態のことをいう。
次に、図3に示す保安電文3の構成(フォーマット)の一例について説明する。保安電文3は、エリア識別情報が記されるエリア識別欄36、送信先及び送信元の情報が記される通信制御欄31、各列車による線路の占有範囲が記される占有範囲欄32、転てつ器方向指示情報が記される転てつ器方向指示欄33、転てつ器方向状態情報が記される転てつ器方向状態欄34及び電文を回覧するメンバーリスト情報が記されるメンバーリスト35から構成される。
なお、保安電文3の構成(フォーマット)は図3に示すものに限らない。保安電文3が線路の占有範囲を管理できるものであれば、線路上における列車の排他制御は可能である。また、列車が転てつ器に対して方向を指示する手段や、列車が転てつ器の方向状態を確認する手段を別途設けてもよい。これによれば、転てつ器に対する方向指示及び転てつ器の方向情報の確認をより早く行うことができ、列車の運行においてより視認性を得ることが可能となる。
続いて、保安電文3を構成する各欄について説明する。
エリア識別欄36には、保安電文3が管理するエリアの識別情報が記入される。
通信制御欄31には、保安電文3の送信先及び送信元の通信制御情報が記入される。
占有範囲欄32には、各列車による線路の占有範囲の情報が記入される。列車は線路上に存在するため、列車が線路に進入するためには必ず線路の占有範囲を確保しなければならない。この線路の占有範囲には、その占有範囲を確保した列車のみが存在し、他の列車は進入できない。他列車に占有範囲の確保がされていない線路であれば、自列車はその線路の占有範囲を確保することができる。このように、保安電文3が線路の占有範囲を管理する、つまり保安電文3が各列車による線路の占有範囲情報を有することによって、列車の排他制御が可能となる。
転てつ器方向指示欄33には、転てつ器を含んだ線路の占有範囲を確保した列車によって、転てつ器の方向を指示するための指示情報が記入される。転てつ器は、この指示に従って転てつ器の方向を制御する。このように、保安電文3が転てつ器に対する方向指示を含むことによって、列車は当該転てつ器の方向を制御することが可能となる。
転てつ器方向状態欄34には、転てつ器自体によって、転てつ器の方向状態情報が記入される。列車は、この転てつ器方向状態欄34を確認することによって、転てつ器の開通方向を認識する。このように、保安電文3が転てつ器の方向状態情報を含むことによって、列車は保安電文3を受け取った時に転てつ器の方向を確認することが可能となる。
メンバーリスト35には、保安電文3を回覧させる列車と沿線機器である転てつ器の識別情報が回覧される順に記入される。保安電文3を回覧させるメンバーは、エリア内に既に進入している全列車、エリア内に進入しようとしている全列車及びエリア内の全転てつ器である。このように、保安電文3が、自らの保安電文3を回覧させるメンバーのリストを管理することにより、メンバーは保安電文3を受け取った時に保安電文3を回覧させるメンバーの順番を確認することができる。なお、保安電文3はメンバーリストを含まず、列車や転てつ器が、中央運行管理システムや指令員等に対して保安電文の送信先を確認する手段を設ける構成も考えられる。この場合には、中央運行管理システムや指令員等が保安電文3のメンバーや回覧順序を変更することができる。また、列車のエリアに進入またはエリアから進出する列車や転てつ器によるメンバーの追加または消去の処理が不要となるから、保安電文3の更新処理をより早く行うことができる。
次に、本実施例に係る信号保安システムが占有範囲の設定を変更し、列車の救援を行う仕組みを詳述する。そこで、図3に示すエリア2で列車Aが故障し、列車Bが救援を行う場合を想定して説明する。図4〜図10は、その救援を行うまでを時系列に状態1〜7として示す図である。状態毎に、上の図としてその時の列車の挙動を、下の図としてその時の保安電文3の内容を示す。
状態1:図4は、状態1の場合を示す図である。
エリア内の列車は列車Aのみであるため、保安電文3は、転てつ器1、転てつ器2及び列車Aをメンバーリスト35に含めて回覧されている。占有範囲欄32の各ブロックは、ブロック毎に占有範囲の設定を示すフラグを設けている。通常時は、フラグ1が設定されている。また、列車Aは、ブロック6〜ブロック8の占有権を確保していることから、転てつ器2の方向も定位となっている。すなわち、列車Aの駅Yへの進行が許可された状態である。この状態にあって、図4では、列車Aが駅Yへ向かってブロック8を走行中に、例えば駆動装置等の故障等により停止してしまった状況を示している。
状態2:図5は、状態2の場合を示す図である。
メンバーリスト35の順番に従って列車Aに保安電文3が回覧されてきた時、列車Aは、ブロック8のフラグを異常時用の細かいブロック分割を示すフラグ2に変更する。このフラグの変更は、救援を行う列車Bがブロック8のブロック境界よりも近い場所まで列車Aに接近できるようにするための処理である。併せて、占有範囲欄32に、分割により細分化されたブロック8−1〜8−4が生成される。また、このフラグの変更後、列車Aは、自列車(列車A)の位置情報から既に在線していないブロック、すなわちブロック6、7及び8−2〜8−4の占有権を解放する。
状態3:図6は、状態3の場合を示す図である。
救援を行う列車Bは、エリア2内に進入するために、追加要求電文を送信する。この追加要求電文には、保安電文3のメンバーリスト35に自列車(列車B)の識別情報の追記を依頼する要求が記されている。この追加要求電文を受信した転てつ器1、転てつ器2及び列車Aのいずれかは、保安電文3を受信した時にメンバーリスト35に列車Bの識別情報を追記する。メンバーリスト35に加わった列車Bは、保安電文3が回覧されてきた時に、ブロック8−2〜8−4の占有権を確保する。
状態4:図7は、状態4の場合を示す図である。
列車Bは、故障した列車Aが在線するブロック8−1の隣接ブロックであるブロック8−2まで進行する。この状態4では、保安電文3の占有範囲欄32、メンバーリスト35に変更はない。
状態5:図8は、状態5の場合を示す図である。
列車Bは、列車Aの救援を行うために列車Aと併合を行う。この場合に、列車Bは、運転士による入力や列車連結部の接点情報の取込み等により、列車Aとの併合を確認する。その確認が取れた後、列車Bは、列車Aが占有していたブロック8−1の占有権情報を列車Bへ書き換える処理、メンバーリスト35から列車Aを削除する処理及び駅Yまでの進路上にあるブロック6及び7の占有権を確保する処理を実行する。
状態6:図9は、状態6の場合を示す図である。
列車Bは、他列車がブロック8−1〜8−4を占有していないことを確認した上で、このブロック8のフラグを通常時の運用状態を示すフラグ1に戻し、ブロック8−1〜8−4を消去する。
状態7:図10は、状態7の場合を示す図である。
列車Bは、駅Yへ向けて進行する。この場合に、列車Bは、その最後尾がブロック8の占有範囲を経てブロック7の占有範囲を抜けた後に、それぞれブロックの占有権を解放する。
以上に記す処理を実施することにより、列車Bは、故障した列車Aの近くまで接近して併合することが可能となり、救援を行うことができる。
次に、本実施例に係る処理内容を説明する。図11は、本発明に係る信号保安システムを構成する列車側及び地上側の装置等を示す図である。本発明に係る信号保安システムを構成する列車保安装置10は、列車位置検知部11、列車保安論理部12、列車通信部13及び列車入出力部14を備える。そして、列車保安装置10は、列車側の運行管理部15及び列車制御部16と、また、地上側の転てつ器保安装置20と、それぞれ情報の授受を行う。加えて、列車保安装置10は、地上子115及び車輪116から検知情報を受け取る。
運行管理部15は、予め記憶された列車の運行計画情報に従って進路の進行許可を要求する進路要求情報及びその要求を取り消す進路要求取消情報を生成し、それを出力する。また、列車制御部16から列車の故障状態を受信した場合には、前述した占有範囲の設定を変更する指令及び在線していない部分の占有権の解放を行う指令を列車入出力部14に対して行う。更に、救援列車との併合が完了した場合には、変更した占有範囲の設定を元に戻す指令を列車入出力部14に対して行う。
列車制御部16は、列車保安装置10から入力される進路の進行許可情報や進路の進行許可取消情報に基づいて、許可された進路の到着点を超えないように、列車の走行を制御する。また、列車の故障を検知し、故障情報を列車保安装置10や運行管理部15に出力する。
転てつ器保安装置20は、他の列車保安装置や他の転てつ器保安装置から送信される保安電文3または追加要求電文を受け取る。受け取ったこれら電文と自装置が制御する転てつ器2を状態監視した結果とに基づいて、保安電文3を作成する。また、その保安電文3を他の列車保安装置や転てつ器保安装置に送信する。また、保安電文3の転てつ器方向指示欄33に示された方向に転てつ器2を制御する。
列車保安装置10が備える、列車位置検知部11、列車保安論理部12、列車通信部13及び列車入出力部14が有する機能を説明する。
列車位置検知部11は、地上子115から検知した位置情報と、車輪116の車輪径及び車輪116から検知した回転数から算出した走行距離や走行速度を元に、列車先頭部及び列車最後尾の位置情報を算出する。また、算出した列車先頭部と列車最後尾の位置情報及び走行速度を、列車保安論理部12及び列車入出力部14へ出力する。
列車通信部13は、自列車宛の保安電文3または追加要求電文が、他の列車保安装置や転てつ器保安装置から無線で送信されてきた時、これらを受信し、列車保安論理部12に出力する。また、列車保安論理部12から受信した保安電文3を、通信制御欄31の送信先に記入された相手に対して送信する。そしてまた、列車保安論理部12から受信した追加要求電文を、次列車が位置するエリアを走行する可能性のある列車の列車保安装置とそのエリア内にある転てつ器の転てつ器保安装置に対して送信する。
列車入出力部14は、運行管理部15から入力される進路要求情報または進路要求取消情報を列車保安論理部12に出力する。列車保安論理部12から入力される進路の進行許可情報または進路の進行許可取消情報を列車制御部16に出力する。列車位置検知部11から入力される列車先頭部と列車最後尾の位置情報及び走行速度を運行管理部15に出力する。また、列車故障等の発生時や救援列車との併合の完了時に、運行管理部15から入力される占有範囲の設定を変更する指令や在線していない部分の占有権を解放する指令を列車保安論理部12に対して行う。
列車保安論理部12は、列車入出力部14から入力される進路要求情報または進路要求取消情報、列車通信部13から入力される保安電文3または追加要求電文及び列車位置検知部11から入力される列車先頭部と列車最後尾の位置情報に基づいて、進路の進行許可情報、進路の進行許可取消情報、追加要求電文及び線路の占有範囲情報を作成すると共に、保安電文3を更新する。そして、作成した進路の進行許可情報または進路の進行許可取消情報を列車入出力部14に出力し、作成した保安電文3または追加要求電文を列車通信部13に出力する。また、列車故障等の発生時や救援列車との併合の完了時等には、運行管理部15からの指令に基づき、占有範囲の設定を変更し、在線していない部分の占有権を解放する。
図12は、列車保安論理部12が実行する機能の処理フローを示す図である。
ステップ1101(S1101)で、列車保安論理部12は、列車通信部13から保安電文3を受信した場合に処理を開始し、ステップ1102(S1102)へ進む。
ステップ1102(S1102)で、列車保安論理部12は、線路の占有範囲の設定を変更する指令(救援列車との併合の完了時に、占有範囲の設定を元に戻す処理も含む)の有無を確認する。その指令が有れば(YES)、ステップ1103(S1103)へ進み、その指令が無ければ(NO)、ステップ1108(S1108)へ進む。
ステップ1103(S1103)で、列車保安論理部12は、統合するブロックに複数の列車が含まれ、列車の排他制御が満たされなくなる場合等、指定された占有範囲の設定を変更することに問題があるか否かを判断する。問題が有れば(YES)、ステップ1104(S1104)へ進み、問題が無ければ(NO)、ステップ1105(S1105)へ進む。
ステップ1104(S1104)で、列車保安論理部12は、線路の占有範囲の設定を変更する対象から、自らの列車あるいは他列車の排他制御を満たさなくなる範囲を除外する。
ステップ1105(S1105)で、列車保安論理部12は、線路の占有範囲の設定を示すフラグを変更する。また、列車保安論理部12は、元の保安電文において他列車によって占有されていた範囲が縮小されることがないように、保安電文3の占有範囲欄32を更新する。
ステップ1106(S1106)で、列車保安論理部12は、自列車が在線していない区間の占有権を解放する指令の有無を判断する。その指令が有れば(YES)、ステップ1107(S1107)へ進み、その指令が無ければ(NO)、ステップ1108(S1108)へ進む。
ステップ1107(S1107)で、列車保安論理部12は、保安電文3の占有範囲欄32を更新して、自列車が在線していないブロック(区間)の占有権を解放する。これによって、自列車の占有する範囲が列車位置検知部11から受信した先頭位置から後尾位置を含む最小の占有範囲となるようにする。
ステップ1108(S1108)で、列車保安論理部12は処理を終了する。
以上のステップによる処理を実施することにより、本実施例による信号保安システムは、ある列車が路線上の任意の地点で故障停車した場合に、故障停止した列車の車上装置が占有範囲の設定を変更することで、列車の衝突や脱線を防ぎつつ、救援列車を故障列車の先頭位置もしくは後尾位置まで安全に接近させることを可能にする。また、通常時の運用に復旧することが可能となる。
本実施例では、ブロックの分割または統合による線路の占有範囲の設定の変更を、列車の故障時における救援時の動作を想定して説明を行った。それ以外にも、この変更は、通常時の運用においてブロックの分割または併合を行う場合や、各時間帯に応じてブロック数を変更し稼働率と列車密度を動的に最適化する場合などにも適用可能である。
また、本実施例では、ブロックの分割または統合により線路の占有範囲の設定を変更する場合を示したが、ブロックの境界位置を変更することでこの占有範囲の設定を変更してもよい。あるいは、絶対位置もしくは予め決められた基準点からの相対位置で表すことによりこの占有範囲の設定を変更してもよい。図13は、線路の占有範囲の設定を基準点からの相対位置(基準点からの距離)で表すように変更する例を示す図である。
以上のとおり、本実施例は、保安電文3に線路の占有範囲の設定を示すフラグを設けることで、他装置に対し占有範囲の変更を周知させる方式である。この方式に限らず、保安電文3以外の電文を用いてその電文を回覧させることで周知させてもよい。
あるいは、列車保安装置10が、他装置と1対1通信で先ず占有範囲を変更する旨を通知する電文を伝達し、それに対する応答の確認を取った後に占有範囲の設定を変更した電文を回覧する方式でもよい。また、フラグに関しても、ブロック全体で一つのフラグを付加する形式でも、ブロックそれぞれに付加する形式でもよい。
また、本実施例は、線路を走行する列車を想定したが、線路を用いない走行路を走行する列車(例えば、モノレール、軌道上を走行するAGTなど)にも適用できることは云うに及ばない。
1…列車、2…転てつ器、3…保安電文、10…列車保安装置、11…列車位置検知部、12…列車保安論理部、13…列車通信部、14…列車入出力部、15…運行管理部、16…列車制御部、20…転てつ器保安装置、31…通信制御欄、32…占有範囲欄、33…転てつ器方向指示欄、34…転てつ器方向状態欄、35…メンバーリスト、36…エリア識別欄、115…地上子、116…車輪

Claims (7)

  1. 列車が搭載する列車保安装置であって、
    所定の走行路のエリア内の列車及び沿線機器との間で回覧される電文を送受信する通信部と、
    前記電文を作成または更新して前記通信部へ出力する保安論理部と
    を備え、
    前記保安論理部は、前記走行路をブロックに分割し当該ブロックを単位とした列車の占有範囲を情報として含む前記電文に対して、前記占有範囲の設定を変更する指令に基づき前記ブロックの分割範囲を可変にして前記占有範囲の設定を変更する
    ことを特徴とする列車保安装置。
  2. 請求項1に記載の列車保安装置であって、
    前記保安論理部は、前記ブロックの細分割または統合、当該ブロックの境界位置の移動、あるいは前記走行路の絶対位置または基準点からの相対位置で表した範囲の変更を行うことにより前記ブロックの分割範囲を可変にする
    ことを特徴とする列車保安装置。
  3. 請求項1または2に記載の列車保安装置であって、
    前記保安論理部は、識別情報を使用して前記占有範囲の設定を変更する
    ことを特徴とする列車保安装置。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の列車保安装置であって、
    前記電文は、当該電文に随時記入される前記列車及び前記沿線機器を回覧メンバーとし当該回覧メンバーの間で順に回覧される
    ことを特徴とする列車保安装置。
  5. 請求項4に記載の列車保安装置であって、
    前記保安論理部は、前記走行路のエリア内に自列車が進入する際に、前記電文に自列車を前記回覧メンバーとして追記することを要求する別の電文を作成し前記通信部へ出力する
    ことを特徴とする列車保安装置。
  6. 請求項1に記載の列車保安装置であって、
    前記占有範囲の設定の変更を反映して作成または更新した前記電文を回覧する前に、前記保安論理部及び前記通信部により、前記占有範囲を変更する旨を通知する電文を前記走行路のエリア内の列車及び沿線機器に伝達し、当該列車及び沿線機器からの応答を確認する
    ことを特徴とする列車保安装置。
  7. 所定の走行路のエリア内を走行する列車及び当該走行路のエリア内の沿線機器の間で電文を回覧させる信号保安システムであって、
    前記列車が搭載する列車保安装置は、前記走行路をブロックに分割し当該ブロックを単位とした列車の占有範囲を情報として含む前記電文に対して、前記占有範囲の設定を変更する指令に基づき、前記ブロックを分割または統合、前記ブロックの境界位置の移動あるいは前記走行路の絶対位置または基準点からの相対位置で表した範囲の変更を行うことにより前記ブロックの分割範囲を可変にして前記占有範囲の設定を変更し、当該変更をした前記電文を前記走行路内の他の列車及び前記沿線機器に回覧する
    ことを特徴とする信号保安システム。
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