以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、具体的な数値に言及した場合、例えば、角度について「90°」のように言及した場合、当該数値と完全に一致する場合だけでなく、当該数値と略同一である場合も含むものとする。また、位置関係等に言及した場合、例えば、平行、直交、反対等のように言及した場合、完全に平行、直交、反対等である場合だけでなく、略平行、略直交、略反対等である場合を含むものとする。
図1は、本発明の実施の形態による電動工具の一例であるディスクグラインダ1の全体を示す部分断面側面図である。図1に示されているように、ディスクグラインダ1は、ハウジング2、モータ3、動力伝達機構4、砥石T(先端工具)を着脱可能に保持する出力軸部5、インバータ回路62、制御回路部72(図4)、及び、交流電源に接続可能な電源コード8を備えている。ディスクグラインダ1は、出力軸部5に保持された状態で回転する砥石Tを用いて研磨、研削等の作業を行う携帯用電動工具である。なお、図1において、矢印で示された「前」を前方向、「後」を後方向、「上」を上方向、「下」を下方向と定義する。さらに、ディスクグラインダ1を後方から見た場合の左を左方向、右を右方向と定義する。
ハウジング2は、ディスクグラインダ1の外郭をなす部分であり、モータハウジング21と、モータハウジング21の前方に設けられたギヤハウジング22と、モータハウジング21の後方に設けられたリアハウジング23とを備えている。本実施の形態においては、ハウジング2は前後方向に並んだ3つの部分により構成されているが、これに限られない。例えば、モータハウジング21とリアハウジング23とを一体に構成しても良いし、その他の分割形状でも良い。
モータハウジング21は、樹脂製又は金属製であり、外郭部21A及び軸受ホルダ部21Bを有しており、モータ3を収容している。また、図2に示されているように、モータハウジング21の左側面には駆動スイッチ21Dが設けられている。図2は、ディスクグラインダ1の外観を示す平面図である。
図1に戻り、外郭部21Aは、ディスクグラインダ1が使用される際にユーザによって把持される部分であり、前後方向に延びる略円筒形状をなしている。軸受ホルダ部21Bは、外郭部21A内部の後端部に設けられており、ボールベアリング21Cの外輪を支持する前後方向に延びる円筒部分及び当該円筒部分の周面と外郭部21Aとを接続する複数の支柱を有している。複数の支柱は、当該円筒部分の周面から当該円筒部分の径方向外方に延出しており、当該円筒部分の周面において周方向に所定間隔で配置されている。また、互いに隣合う2本の支柱の間には、隙間が形成されており、当該隙間によって、モータハウジング21の内部空間とリアハウジング23の内部空間とが連通している。
モータ3は、回転軸31と、ロータ32と、ステータ33とを有している。回転軸31は、前後方向に延びる軸であって、ボールベアリング21Cとギヤハウジング22の後部に設けられたボールベアリング22Aとによって回転可能に支持されている。また、回転軸31の前部には、冷却ファン31Aが設けられている。また、回転軸31の後端部には、回転軸31(ロータ32)の回転位置の検出のためのセンサ磁石31Bが取付けられている。センサ磁石31Bは、薄い円柱形状をなす永久磁石であり、回転軸31の周方向において90度間隔でN極、S極、N極、S極の順に形成されるように配置されている。
冷却ファン31Aは、例えば、プラスチック製の遠心ファンであり、回転軸31と一体に回転し、ハウジング2内に冷却風を発生させる。冷却ファン31Aの回転によって発生した冷却風は、リアハウジング23の後部に形成された複数の吸気口23aからリアハウジング23内に流入し、電源変換回路61、インバータ回路62等の回路を冷却した後、軸受ホルダ部21Bの複数の支柱の間の隙間を通過してモータハウジング21内に流入する。モータハウジング21内に流入した冷却風は、モータ3を冷却した後、モータハウジング21の前端部側面に形成された図示せぬ排気孔から排出される。
ロータ32は、円環上の薄い鉄板を前後方向に多数枚積層して形成された回転子であり、複数の永久磁石32Aを有している。また、ロータ32は、回転軸31に固定されており、回転軸31と一体回転するように構成されている。ステータ33は、円環状の薄い鉄板の積層構造を有する固定子であり、ステータ巻線33Aを有している。ステータ巻線33Aは、ステータ33の内周部に形成された図示せぬティースに巻回されている。なお、モータ3の電気的構成については、後述する。
図2に示されているように、駆動スイッチ21Dは、モータ3の駆動をオン/オフするためのスイッチである。駆動スイッチ21Dは、オフ位置(図2に示されている位置)とオン位置(オフ位置から所定距離後方に移動した位置)との間をスライド可能に構成されている。駆動スイッチ21Dは、制御回路部72(図4)と接続されており、オン位置である場合、モータ3を駆動させるための始動信号を制御回路部72に出力する。
図1に戻り、ギヤハウジング22は、例えば、アルミニウム等の金属の一体成形によって製造されており、動力伝達機構4を収容するとともに出力軸部5を回転可能に支持している。
動力伝達機構4は、回転軸31の回転を減速して出力軸部5に伝達する機構であり、互いに噛合するピニオンギヤ41と傘歯車42とを有している。ピニオンギヤ41は、回転軸31の前端に固定され、回転軸31と同軸一体回転するように構成されている。傘歯車42は、ピニオンギヤ41の回転軸心と略直交する方向(上下方向)に延びる軸心を中心に回転するように構成されている。
出力軸部5は、軸部5Aと、砥石Tを着脱可能に保持する取付ベース5B及びワッシャナット5Cとを有している。軸部5Aは、動力伝達機構4の傘歯車42に固定された上下方向に延びる軸であり、傘歯車42と同軸一体回転するように構成されている。軸部5Aは、その上端部においてメタル22Bを介して、上下方向略中央においてボールベアリング22Cを介してギヤハウジング22に回転可能に支持されている。
取付ベース5Bは、軸部5Aの下端部に設けられており、底面視において略円形状をなす円板部と当該円板部の底面視中央から下方に延出するネジ部とを有している。ワッシャナット5Cは、取付ベース5Bのネジ部に螺合可能に構成されている。砥石Tの出力軸部5への固定は、砥石Tの平面視中央に形成された貫通孔に取付ベース5Bのネジ部を挿通させ、砥石Tの上面を取付ベース5Bの円板部の底面に当接させた状態で、取付ベース5Bのネジ部にワッシャナット5Cを螺合することにより行う。また、砥石Tの出力軸部5からの取外しは、取付ベース5Bのネジ部とワッシャナット5Cとの螺合を解除することにより行う。
砥石Tは、例えば、平面視略円形状の直径100mmのレジノイドフレキシブルトイシ、フレキシブルトイシ、レジノイドトイシ、サンディングディスク等であり、用いる砥粒の種類の選択により金属、合成樹脂、大理石、コンクリートなどの表面研磨、曲面研磨が可能である。砥石Tの後方側の径方向外方は、砥石Tが出力軸部5に固定された状態で、ギヤハウジング22の下端部後部に設けられたホイールガード22Dに覆われる。なお、本実施の形態においては、出力軸部5に砥石Tを取付けたが、これに限られない。例えば、ベベルワイヤブラシ、不織布ブラシ、ダイヤモンドホイール等のその他の先端工具も出力軸部5に取り付け可能である。
リアハウジング23は、樹脂製であり、前後方向に延びる略円筒形状をなしている。リアハウジング23の内部には、基板収容ケース23A、センサ基板23B、第1基板6及び第2基板7が配置されている。また、リアハウジング23の後端部からは電源コード8が後方に延出している。さらに、図2に示されているように、リアハウジング23の後端部において電源コード8の左側には変速ダイヤル部9が設けられている。
図1に戻り、基板収容ケース23Aは、下方が開口した箱形状をなしており、センサ基板23B、第1基板6及び第2基板7を収容している。センサ基板23B、第1基板6及び第2基板7のそれぞれは、基板収容ケース23Aの内部に収容された状態で、硬化性樹脂によってその全体が覆われている。
センサ基板23Bは、後面視において半円形状をなす基板であって、基板収容ケース23Aの前側の壁の後面においてセンサ磁石31Bの近傍に設けられている。センサ基板23Bには、センサ磁石31Bの位置すなわち回転軸31(ロータ32)の回転位置(回転角度)を検出するための3個のホールIC23C、23D、23Eが実装されている。3つのホールIC23C、23D、23Eは、後面視において、回転軸31の周方向(回転方向)に所定角度の間隔で配置されている。本実施の形態においては、60°間隔で配置されている。また、3個のホールIC23C、23D、23Eは、回転するセンサ磁石31Bの磁界の変化に応じて、すなわち、回転軸31の回転位置に応じてハイ信号又はロー信号を制御回路部72に出力する。
第1基板6は、平板形状の回路基板であって、上下方向に直交する仮想平面と略平行に配置されている。第1基板6には、整流回路61A及び平滑コンデンサ61Bを含む電源変換回路61と、6個のスイッチング素子62A〜62Fを有するインバータ回路62とが実装されている。6個のスイッチング素子62A〜62F、整流回路61A及び平滑コンデンサ61Bのそれぞれは、第1基板6から下方に延びるように設けられている。本実施の形態において、スイッチング素子62A〜62Fは、例えば、大容量のFET(電解効果トランジスタ)又はIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)のような出力用トランジスタである。
第2基板7は、平板形状の回路基板であって、第1基板6の上方において第1基板6と略平行に配置されている。第2基板7には、制御用電源回路部71及び制御回路部72(図4)が実装されている。なお、第1基板6及び第2基板7に実装された各回路の電気的構成については、後述する。
電源コード8は、図示せぬ先端接続部とケーブル部81とを有している。先端接続部は、交流電源(例えば、図4に示されている商用交流電源P)に接続可能な第1接続端子8A及び第2接続端子8B(図4)を備えている。ケーブル部81は、第1接続端子8A及び第2接続端子8Bと電源変換回路61とを接続する配線を有している。第1接続端子8A及び第2接続端子8Bは、本発明における「電源接続部」の一例である。また、商用交流電源Pは、本発明における「外部交流電源」の一例である。
図2に示されているように、変速ダイヤル部9は、ユーザが回転軸31(ロータ32)の回転数を設定するための手動操作可能な操作部であり、ダイヤル9Aと、図示せぬ可変抵抗と、図示せぬ分圧抵抗とを含んで構成されている。変速ダイヤル部9は、本発明における「操作部」の一例である。
ダイヤル9Aは、円板形状の手動操作可能なダイヤルであり、左右方向に延びる軸心を中心として回動可能にリアハウジング23に支持されている。ダイヤル9Aの周面には、「1」〜「6」までの数字がその順で等間隔に刻印されている。ダイヤル9Aは、刻印「1」が左側面視において3時の方向に位置する状態(ダイヤル設定「1」の状態)から左側面視で時計回りに略200°回動可能に構成されている。ダイヤル9Aをダイヤル設定「1」の状態から左側面視で時計回りに略40°回動させると、刻印「2」が左側面視において3時の方向に位置するダイヤル設定「2」の状態となる。同様に、略80°でダイヤル設定「3」、略120°でダイヤル設定「4」、略160°でダイヤル設定「5」、略200°でダイヤル設定「6」の状態となる。ダイヤル9Aのダイヤル設定「1」の状態からの回動角度は、本発明における「被操作量」の一例である。また、回動角度0°は本発明における「第1量」の一例、回動角度200°は、本発明における「第2量」の一例、回動角度120°は、本発明における「第3量」及び「所定量」の一例である。
変速ダイヤル部9が備える可変抵抗は、ダイヤル設定「1」の状態を基準としたダイヤル9Aの回動角度(被操作量)の変化に伴って、その抵抗値が変化するように構成されており、後述の基準電圧VCCと図示せぬGNDとの間に分圧抵抗と直列に接続されている。基準電圧VCCは、可変抵抗及び分圧抵抗によって分圧され、当該分圧電圧は、ユーザによって設定された回転数であるユーザ設定回転数を示すユーザ設定信号として制御回路部72に出力される。ユーザ設定回転数は、本発明における「設定回転数」の一例である。
ここで図3を参照しながら、変速ダイヤル部9によって設定されるユーザ設定回転数の具体的な数値について説明する。図3は、ユーザ設定回転数とダイヤル設定状態との関係を示すグラフである。なお、図3中の実線Rは、ダイヤル設定状態に応じたユーザ設定回転数を示している。
図3に示されているように、本実施の形態において、回転軸31の回転数は、9156rpm〜32400rpmの範囲内において設定可能である。ユーザによって設定されたユーザ設定回転数は、ダイヤル9Aがダイヤル設定「1」の状態から「6」の状態まで回動するに従って直線的に増加し、ダイヤル9Aがダイヤル設定「1」の状態で最も小さい9156rpmに設定され、ダイヤル設定「6」の状態で最も大きい32400rpmに設定される。また、ダイヤル設定「1」及び「6」以外では、例えば、ダイヤル設定「4」の状態ではユーザ設定回転数は、22680rpmに設定される。9156rpmは、本発明における「第1回転数」の一例である。また、32400rpmは、本発明における「第2回転数」の一例である。
次に、図4を参照しながらディスクグラインダ1の電気的構成、すなわち、モータ3、第1基板6に実装されている電源変換回路61及びインバータ回路62、第2基板7に実装されている制御用電源回路部71及び制御回路部72について説明する。図4は、ディスクグラインダ1の電気的構成を示すブロック図を含む回路図である。
図4に示されているように、モータ3は、3相ブラシレスモータであり、ロータ32は、N極及びS極を1組とした永久磁石32Aを2組備えている。また、ステータ33のステータ巻線33Aは、スター結線された3相のコイルU、V、Wを有し、コイルU、V、Wはそれぞれインバータ回路62に接続されている。
電源変換回路61は、商用交流電源Pから出力される交流電圧を変動する直流電圧(変動直流電圧)に変換して出力する回路であり、整流回路61A及び平滑コンデンサ61Bを有している。整流回路61Aは、第1接続端子8A及び第2接続端子8Bに接続されており、商用交流電源Pから出力される交流電圧を全波整流する、すなわち、当該交流電圧を全波整流波形を有する直流電圧に変換して出力する回路である。平滑コンデンサ61Bは、整流回路61Aから出力された全波整流波形の直流電圧を平滑する電解コンデンサである。なお、本実施の形態における平滑コンデンサ61Bは、小容量(180μF程度)であるため、整流回路61Aから出力された全波整流波形の直流電圧は完全には平滑されず、電源変換回路61から出力される電圧は、商用交流電源Pの周波数の2倍の周波数で変動する直流電圧(変動直流電圧)となる。電源変換回路61は、本発明における「変換回路部」の一例である。また、整流回路61Aが出力する全波整流波形を有する直流電圧は、本発明における「整流電圧」の一例である。
インバータ回路62は、電源変換回路61が出力する変動直流電圧をモータ3に印加する回路であり、第1接続端子8A及び第2接続端子8Bとモータ3との間に接続されている。インバータ回路62の6個のスイッチング素子62A〜62Fは、3相ブリッジ形式に接続されており、各ゲートは制御回路部72に接続され、各ドレイン又は各ソースは、モータ3のコイルU、V、Wに接続されている。6個のスイッチング素子62A〜62Fは、制御回路部72から出力される駆動信号(ゲート信号)に基づいて、ロータ32を所定の回転方向に回転させるための回転磁界を発生させるスイッチング動作を行う。インバータ回路62は、本発明の「インバータ回路部」の一例である。
制御用電源回路部71は、制御回路部72及びその他の回路の電源となる基準電圧VCCを生成する回路部であり、電源変換回路61が出力する変動直流電圧を定電圧化するIPD回路71A、IPD回路71Aによって定電圧化された電圧を基準電圧VCC(本実施の形態においては、5V)に変換するレギュレータ71B及びサージ吸収用のコンデンサ等を含んで構成されている。
制御回路部72は、モータ3の駆動制御に用いる駆動制御プログラム、各種データに基づいて演算を行う中央処理装置(CPU)と、駆動制御プログラム、ユーザ設定回転数とユーザ設定信号との対応を示す設定テーブル、各種データ、各種閾値等を記憶するためのROMと、データを一時記憶するためのRAMと、時間を計測する計時部と、6個のスイッチング素子62A〜62Fのゲートに駆動信号を増幅して出力する信号出力部とを備えており、当該駆動制御プログラムに従ったモータ3の駆動制御を行う。
制御回路部72はモータ3の駆動制御において、モータ3に流れる電流すなわちモータ電流の検出、回転軸31の回転位置及び回転数(実回転数)の検出、及び、ユーザ設定回転数の検出を行う。なお、本実施の形態においては、回転軸31の回転位置及び実回転数は、ロータ32の回転位置及び実回転数とそれぞれ一致する。
モータ電流の検出は、電源変換回路61とインバータ回路62との間に設けられたシャント抵抗6Aの電圧降下値を読み取り、当該電圧降下値から算出することで行われる。回転軸31の回転位置の検出は、3個のホールIC23C、23D、23Eから出力されるハイ信号又はロー信号に基いて算出することで行われる。回転軸31の実回転数の検出は、検出した回転軸31の回転位置から算出することで行われる。ユーザ設定回転数の検出は、変速ダイヤル部9から出力されるユーザ設定信号の値を読み取り、設定テーブルを参照することで行われる。
また、制御回路部72は、検出した回転軸31の回転位置に基づいて、スイッチング素子62A〜62Fのうちの導通させるスイッチング素子を順次切換えるための駆動信号を形成し、信号出力部から駆動信号を増幅してスイッチング素子62A〜62Fのそれぞれのゲートに出力する。これにより、モータ3のコイルU、V、Wのうちの所定のコイルに順次通電して回転磁界を発生させ、ロータ32を所定の回転方向に回転させる。この場合、インバータ回路62の負電源側ライン(第2接続端子8B側ライン、マイナスライン)に接続されているスイッチング素子62D〜62Fを駆動する(導通させる)ための駆動信号は、パルス幅変調信号(PWM信号)として出力される。なお、PWM信号は、デューティ比を変更可能な信号である。
さらに、制御回路部72は、目標回転数を決定し、回転軸31の実回転数が目標回転数となるように、モータ3を制御する、すなわち、定回転数制御を行う。より詳細には、目標回転数と検出された回転軸31の実回転数とを比較し、当該比較結果に応じてスイッチング素子62D〜62Fに出力するPWM信号のデューティ比を変更することで、回転軸31の実回転数を目標回転数に近づけるフィードバック制御を行う。制御回路部72は、本発明における「回転数制御手段」及び「モータ制御手段」の一例である。
次に、制御回路部72による駆動制御プログラムに従ったモータ3の駆動制御について説明する。制御回路部72による駆動制御においては、無負荷状態(作業を行っていない状態)における騒音低減及び有負荷状態における作業効率の維持が図られる。
モータ3が無負荷状態である場合の制御について図5を参照しながら説明する。図5は、ユーザ設定回転数及び無負荷状態における目標回転数とダイヤル設定状態との関係を示すグラフである。なお、図5中の破線Rは、ダイヤル設定状態に応じたユーザ設定回転数を示し、実線Sは、ダイヤル設定状態に応じた目標回転数を示している。
図5に示されているように、無負荷状態においては、回転軸31の実回転数が所定回転数Nt(本実施の形態においては、22680rpm)を超えると顕著な騒音が発生することに鑑みて、変速ダイヤル部9によって設定されたユーザ設定回転数が所定回転数Ntを超えている場合、ユーザ設定回転数にかかわらず目標回転数を所定回転数Nt以下の値とし、回転軸31の実回転数が所定回転数Nt以下となるように制御する(所定回転数Nt以下に制限する、すなわち、実回転数の上限を制限する)。これにより、無負荷状態において顕著な騒音が発生することを抑制する。なお、本実施の形態においては、ダイヤル設定「4」を超えている場合、ユーザ設定回転数が所定回転数Ntを超えるため、目標回転数を所定回転数Ntとし、無負荷状態における回転軸31の実回転数が所定回転数Ntとなるようにモータ3を制御する。なお、本実施の形態においては、無負荷状態において変速ダイヤル部9によって設定されたユーザ設定回転数が所定回転数Ntを超えている場合、目標回転数を所定回転数Ntとしたが、所定回転数Nt以下であればよく、これに限られない。所定回転数Ntは、本発明における「第3回転数」の一例である。
他方、無負荷状態において、ユーザ設定回転数が所定回転数Nt以下(本実施の形態においては、ダイヤル設定「4」以下)に設定されている場合は、顕著な騒音は発生しないため、ユーザ設定回転数を目標回転数にとし、回転軸31の実回転数が目標回転数となるように、言い換えれば、設定されたユーザ設定回転数になるようにモータ3を制御する。
次に、モータ3が有負荷状態である場合の制御について説明する。有負荷状態においては、騒音低減よりも作業効率を優先させるため、回転軸31の実回転数の制限は行わず、回転軸31の実回転数がユーザによって設定されたユーザ設定回転数になるようにモータ3が制御される。すなわち、図3に示されているユーザ設定回転数をそのまま目標回転数とする。
ここで、回転軸31の回転数とモータ3の駆動中の騒音との関係について説明する。一般に、電動工具のモータの駆動中における騒音は、回転軸の回転数が大きくなるに従って大きくなる。特に、本実施の形態によるディスクグラインダ1のように、商用交流電源から出力される交流電圧を変動直流電圧に変換し、当該変動直流電圧をモータのコイルに印加する構成においては、回転軸の実回転数がある値を超えると騒音がより顕著となる。これは、回転軸の回転に起因してモータのコイルで発生する誘起電圧が変動直流電圧の最小値よりも高くなり、当該コイルに電流が流れない無通電期間と当該コイルに電流が流れる通電期間とが交互に生じることで、変動幅の大きい回転数脈動が発生し、電動工具が備えるギヤ機構において互いに噛合するギヤの歯同士が激しく衝突を繰り返し当該衝突毎に大きな衝突音が発生するからである。
本実施の形態においては、回転軸31の実回転数が所定回転数Ntを超えた場合、無通電期間が生じて変動幅の大きい回転数脈動が発生し、ピニオンギヤ41と傘歯車42との噛合箇所で大きな衝突音が発生する。このため、無負荷状態において回転軸31の実回転数を制限するための閾値として所定回転数Ntを用いている。
ここで、本実施の形態おいて回転数脈動が発生した場合のピニオンギヤ41及び傘歯車42の歯同士の衝突について、図6を参照しながら説明する。図6は、本実施の形態におけるピニオンギヤ41の歯と傘歯車42の歯との噛合箇所を模式的に表した図であり、(a)は、ピニオンギヤ41の歯の下流面41Aが傘歯車42の歯の上流面42Bに当接している状態を示し、(b)は、ピニオンギヤ41の歯の上流面41Bが傘歯車42の歯の下流面42Aに当接している状態を示している。なお、図6に示されている矢印C1は、ピニオンギヤ41の回転方向を示し、矢印C2は、傘歯車42の回転方向を示している。
回転数脈動が発生すると、回転軸31が減速及び加速を繰り返すため、回転軸31に固定されているピニオンギヤ41も減速及び加速を繰り返す。ピニオンギヤ41の歯の下流面41Aが傘歯車42の歯の上流面41Bに当接している状態(図6(a)に示されている状態、例えば、回転軸31の実回転数が回転数脈動の変動幅において最大回転数となった瞬間)からピニオンギヤ41が減速すると、ピニオンギヤ41が減速する直前の回転速度と同一の回転速度を維持する傘歯車42に対してピニオンギヤ41の回転速度は略減速した分だけ遅くなる。これは、傘歯車42と砥石Tを保持した出力軸部5とが一体なって回転する構成であり、その一体となった回転体のイナーシャが大きいため、僅かな時間であればピニオンギヤ41によって回転駆動されていなくても傘歯車42は、回転速度を維持することができるためである。
ピニオンギヤ41の回転速度が傘歯車42の回転速度に対して遅くなると、ピニオンギヤ41の歯の下流面41Aと傘歯車42の歯の上流面42Bとが離間し、ピニオンギヤ41の歯の上流面41Bが傘歯車42の歯の下流面42Aに衝突する(図6(b)に示されている状態)。この衝突の瞬間に衝突音が発生する。当該衝突音の大きさは、ピニオンギヤ41の減速の程度、すなわち、減速率(回転数の下降率、下降の傾き)に依存し、減速の程度が大きい程衝突音も大きくなる。
さらに、上述の衝突後、ピニオンギヤ41の歯の上流面41Bが傘歯車42の歯の下流面42Aに当接している状態(図6(b)に示されている状態)からピニオンギヤ41が加速すると、ピニオンギヤ41の回転速度は傘歯車42の回転速度に対して略加速した分だけ速くなり、ピニオンギヤ41の歯の上流面41Bと傘歯車42の歯の下流面42Aとが離間し、ピニオンギヤ41の歯の下流面41Aが傘歯車42の歯の上流面42Bに衝突する(図6(a)に示されている状態)。この衝突の瞬間に再び衝突音が発生する。当該衝突音の大きさは、ピニオンギヤ41の加速の程度(回転数の上昇率、上昇の傾き)に依存し、加速の程度が大きい程衝突音も大きくなる。この後も上述の衝突を高速で繰り返す。
このように、回転軸31において回転数脈動が発生すると、ピニオンギヤ41と傘歯車42とが高速で衝突を繰り返し、当該衝突毎にギヤ衝突音が発生する。また、回転数脈動の変動幅が大きくなる程(減速及び加速の程度が大きくなる程)、ギヤ衝突音が大きくなり、モータ3駆動中の騒音が顕著となる。
ここで、図7及び図8を参照しながら、本実施の形態における無通電期間が生じる場合及び無通電期間が生じない場合の2つの場合に関して、回転数脈動の変動幅とギヤ衝突音に起因する騒音の程度との関係について説明する。図7及び図8は、回転軸31の実回転数、変動直流電圧、モータ電流、ギヤ衝突音の変化を示すタイムチャートであり、図7は、仮に、無負荷状態で目標回転数を32400rpm(ダイヤル設定「6」)とした場合を示し、図8は、無負荷状態で目標回転数を22680rpm(ダイヤル設定「4」)とした場合を示している。なお、図7の場合、フィードバック制御に起因してPWM信号のデューティ比は、80%を中心に僅かに変動し、図8の場合、デューティ比は、60%を中心に僅かに変動する。また、図7及び図8に示されているギヤ衝突音は、その大きさを示すために描かれたにすぎず、その発生タイミングは実際の発生タイミングとは異なる。
図7に示されているように、仮に、無負荷状態で目標回転数を32400rpm(ダイヤル設定「6」)とした場合、インバータ回路62を介してモータ3に印加される変動直流電圧は、60V(最小値)〜141V(最大値)の間で周期的に変動し、モータ3において発生する誘起電圧は、約100Vとなる。すなわち、誘起電圧は、変動直流電圧の最小値と最大値との間の値となる(最小値が誘起電圧以下となる)。このため、変動直流電圧が誘起電圧以下となりモータ電流が流れない無通電期間Xと、変動直流電圧が誘起電圧超となりモータ電流が流れる通電期間Yと、が交互に生じる。無通電期間Xにおいては、モータ電流が流れないため、回転軸31が減速し回転数が落ち、他方、通電期間Yにおいては、最大10Aのモータ電流が流れるため、回転軸31が加速し回転数が上昇する。すなわち、モータ電流の変動幅が10Aと大きいため、回転軸31の加速及び減速の程度が大きくなり、その結果、回転軸31において、30000〜32400rpmの間を変動する回転数脈動すなわち2400rpmもの大きな変動幅を有する回転数脈動が発生する。これにより、ピニオンギヤ41及び傘歯車42の歯同士の衝突音が大きくなり、顕著な騒音が発生する。
図8に示されているように、無負荷状態で目標回転数を22680rpm(ダイヤル設定「4」)とした場合、モータ3に印加される変動直流電圧は、100V(最小値)〜141V(最大値)の間で周期的に変動し、モータ3において発生する誘起電圧は、約80Vとなる。すなわち、誘起電圧は、変動直流電圧の最小値よりも小さい値となり、変動直流電圧が常に誘起電圧を超えている状態となる。このため、モータ電流が流れない無通電期間が発生せず、モータ電流は3〜5Aの間で変動し(変動幅2A)、回転軸31の加速及び減速の程度は、無負荷状態で仮に目標回転数を32400rpmとした場合(図7)と比較して、大幅に小さい。この結果、回転軸31において、22000〜22680rpmの間を変動する回転数脈動すなわち680rpm程度の小さな変動幅の回転数脈動が発生するのみである。この場合、ピニオンギヤ41及び傘歯車42の歯同士の衝突音は小さいものとなり、顕著な騒音は発生しない。なお、変動直流電圧の最小値が図7の場合と図8の場合とで異なるのは、駆動制御におけるデューティ比が異なりモータ3に供給する電流が異なることに起因する。より具体的には、デューティ比及びモータ電流は、図8の場合よりも図7の場合の方が大きく、図7の場合の方が電源変換回路61の平滑コンデンサ61Bの端子間電圧が降下するためである。
次に、図9を参照しながら、制御回路部72によるモータ3の駆動制御の具体的な処理について説明する。図9は、制御回路部72による駆動制御を示すフローチャートである。
ディスクグラインダ1の電源コード8を商用交流電源Pに接続すると、制御回路部72による駆動制御が開始され、S101において、駆動スイッチ21Dがオン位置であるか否かを判断する。当該判断は、駆動スイッチ21Dから始動信号が出力されているか否かで判断する。
駆動スイッチ21Dがオン位置でない場合(S101:No)、再び、S101で駆動スイッチ21Dがオン位置であるか否かを判断する。すなわち、駆動スイッチ21Dがオン位置となるまでS101の判断を繰り返しながら待機する。
一方、駆動スイッチ21Dがオン位置である場合(S101:Yes)、S102でユーザ設定回転数が所定回転数Nt以下であるか否かを判断する。なお、所定回転数Ntは、予め、制御回路部72に記憶されている。
ユーザ設定回転数が所定回転数Nt以下である場合(S102:Yes)、S103において、目標回転数をユーザ設定回転数とし、S104でモータ3の駆動を開始する。例えば、ユーザによってダイヤル設定が「1」とされている場合であれば、ユーザ設定回転数は9156rpmであるため、目標回転数を9156rpmとし、回転軸31が9156rpmで回転するようにモータ3の制御(定回転制御)を開始する。モータ3が駆動されると、ロータ32、回転軸31及びピニオンギヤ41が一体に回転し、ピニオンギヤ41の回転により傘歯車42及び砥石Tを保持している出力軸部5が一体に回転し、作業可能な状態となる。
モータ3の駆動を開始した後は、S105において、駆動スイッチ21Dがオフ位置となっているか否かを判断する。駆動スイッチ21Dがオフ位置でない場合(S105:No)、再び、駆動スイッチ21Dがオフ位置となっているか否かを判断する。すなわち、駆動スイッチ21Dがオフ位置となるまでS105の判断を繰り返しながらモータ3の駆動を継続する。
駆動スイッチ21Dがオフ位置である場合(S105:Yes)、モータ3の駆動を停止し、S101に戻り、再び、駆動スイッチ21Dがオン位置となるまで待機する。
S102に戻り、ユーザ設定回転数が所定回転数Nt以下でない場合(S102:No)、S107において目標回転数を所定回転数Ntとし、S108でモータ3の駆動を開始する。例えば、ユーザによってダイヤル設定が「6」とされている場合であれば、ユーザ設定回転数は32400rpmであるが、これにかかわらず目標回転数を所定回転数Ntとし、回転軸31が所定回転数Ntで回転するようにモータ3の制御(定回転制御)を開始する。
モータ3の駆動を開始した後は、S109で、駆動スイッチ21Dがオフ位置となっているか否かを判断する。駆動スイッチ21Dがオフ位置である場合(S109:Yes)、S106でモータ3を停止し、S101に戻り、再び、駆動スイッチ21Dがオン位置となるまで待機する。
駆動スイッチ21Dがオフ位置でない場合(S109:No)、S110においてモータ電流(I)を検出し、S111でモータ電流(I)が電流閾値It以下であるか否かを判断する。当該判断は、モータ3が無負荷状態であるか有負荷状態であるかを判別するためであり、モータ電流(I)が電流閾値It以下である場合、無負荷状態であると判別し、モータ電流(I)が電流閾値It以下でない場合、無負荷状態でない(有負荷状態である)と判別する。本実施の形態においては、電流閾値Itは、例えば、8Aであるが、これに限られず、無負荷状態であるか有負荷状態であるかを判別可能な値であればよい。なお、電流閾値Itは、予め制御回路部72に記憶されている。制御回路部72は、本発明における「無負荷判別手段」の一例である。
モータ電流(I)が電流閾値It以下である場合(S111:Yes)、無負荷状態であると判断して目標回転数を所定回転数Ntに維持した状態でS109に戻る。一方、モータ電流(I)が電流閾値It以下でない場合(S111:No)、有負荷状態であると判断し、目標回転数を所定回転数Ntからユーザ設定回転数に変更し、S109に戻る。
すなわち、S109〜S112までの処理においては、ユーザによって駆動スイッチ21Dがオフ位置とされない限り、無負荷状態となると目標回転数を所定回転数Ntとして回転軸31が所定回転数Ntで回転するようにモータ3を制御し、有負荷状態となると目標回転数をユーザ設定回転数として回転軸31がユーザ設定回転数で回転するようにモータ3を制御する。例えば、ユーザによってダイヤル設定が「6」とされている場合であれば、無負荷状態から有負荷状態になると回転軸31の実回転数は所定回転数Nt付近から32400rpm付近まで上昇する。逆に、有負荷状態から無負荷状態になると回転軸31の実回転数は32400rpm付近から所定回転数Nt付近まで降下する。なお、電源コード8と商用交流電源Pとを非接続状態となった場合、制御回路部72による駆動制御は終了する。
上述したように、本発明の実施の形態によるディスクグラインダ1は、回転軸31を有するモータ3と、回転軸31の回転数を設定するための手動操作可能な変速ダイヤル部9と、を備えており、制御回路部72は、モータ3が無負荷状態であるか否かを判別し、無負荷状態でない場合、変速ダイヤル部9によって設定されたユーザ設定回転数で回転軸31が回転するようにモータ3を制御し、無負荷状態である場合、ユーザ設定回転数にかかわらず回転軸31が所定回転数Nt以下で回転するようにモータ3を制御するように構成されている。
このような構成によると、無負荷状態である場合に回転軸31の回転数(実回転数)を所定回転数Nt以下に制限することができる。このため、大きな騒音が発生しない回転数を所定回転数Ntとして採用することで、無負荷状態(無負荷時)の騒音を低減することができる。
また、本実施の形態における制御回路部72は、無負荷状態であり、且つ、ユーザ設定回転数が所定回転数Ntを超えている場合、所定回転数Nt以下の回転数範囲において最大回転数である所定回転数Ntで回転軸31が回転するようにモータ3を制御する。このため、無負荷状態から作業を開始して無負荷状態でない状態(有負荷状態)となった場合に回転軸の回転数を短時間で設定回転数まで上昇させることができ、作業効率を向上させることができる。
また、本実施の形態において、制御回路部72は、モータ電流に基づいてモータ3が無負荷状態であるか否かを判別している。これにより、簡易な構成で確実に無負荷状態であるか否かを判断できる。
また、本実施の形態によるディスクグラインダ1は、商用交流電源Pと接続可能な第1接続端子8A及び第2接続端子8Bと、商用交流電源Pが出力する交流電圧を整流平滑することで変動直流電圧に変換して出力する電源変換回路61と、変動直流電圧をモータ3に印加するインバータ回路62とを備えており、電源変換回路61は、当該交流電圧を整流し整流後の整流電圧を出力する整流回路61Aと、回転軸31が所定回転数Nt超で回転した場合は変動直流電圧の最小値がモータ3に発生する誘起電圧以下となり且つ回転軸31が該所定回転数Nt以下で回転している場合は当該最小値が当該誘起電圧よりも高くなるように当該整流電圧を平滑する平滑コンデンサと、を有している。
このような構成によると、回転軸31の実回転数が所定回転数Nt以下で回転している状態では、無通電期間が発生せず、回転数脈動の変動幅も小さいため、顕著な騒音は発生しない。また、仮に、回転軸31の実回転数が所定回転数Nt超となった場合には、無通電期間が生じて回転数脈動が発生し、騒音が顕著となるが、無負荷状態においては、回転軸31の実回転数は所定回転数Nt以下に制限されているため、顕著な騒音が発生することを抑制できる。
また、ディスクグラインダ1においては、変速ダイヤル部9の被操作量すなわちダイヤル9Aのダイヤル設定「1」の状態を基準とした回動角度に基づいて、回転軸31の回転数を9156rpmから32400rpmまでの範囲において制御する制御回路部72を備えており、回転軸31の実回転数は、無負荷状態でない場合、当該回動角度が0°から200°まで増加するに従って、9156rpmから32400rpmまで増加する。また、無負荷状態である場合、回転軸31の実回転数は、当該回動角度が0°から120°まで増加するに従って、9156rpmから所定回転数Ntまで増加し、120°から200°まで増加する間、所定回転数Nt以下に制限される。このため、無負荷状態である場合に回転軸31の実回転数は所定回転数Nt以下に制限される。これにより、大きな騒音が発生しない回転数を所定回転数Ntとして採用することで、無負荷状態(無負荷時)の騒音を低減することができる。
また、本実施の形態においては、回転軸31の実回転数は、無負荷状態である場合において、ダイヤル9Aのダイヤル設定「1」の状態を基準とした回動角度が120°から200°まで増加する間、所定回転数Ntに維持される。このため、無負荷状態であり、且つ、当該回動角度が120°を超える場合、回転軸31の実回転数は、所定回転数Nt以下の回転数範囲において最大回転数である所定回転数Ntに維持される。これにより、無負荷状態から作業を開始して無負荷状態でない状態(有負荷状態)となった場合に回転軸31の実回転数を短時間で当該回動角度に応じた実回転数(所定回転数Ntよりも大きい回転数)まで上昇させることができ、作業効率を向上させることができる。
本発明による電動工具は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上記の実施の形態においては、ディスクグラインダ1を例にとって説明したが、これに限定されず、マルチカッタ、セーバソー、サンダ、ポリッシャ等に適用可能である。
また、本実施の形態においては、ユーザ設定回転数は変速ダイヤル部9のダイヤル9Aのダイヤル設定「1」の状態からの回動角度(被操作量)で設定したが、これに限られない。例えば、変速ダイヤル部9に替えて押ボタン式スイッチを設けユーザ設定回転数を押ボタン式スイッチの押圧回数で設定する構成としてもよい。この場合、被操作量は、押ボタンの押圧回数となる。さらに、変速ダイヤル部9に替えて液晶タッチパネルを設けユーザ設定回転数をタッチ回数で設定する構成としてもよい。この場合、被操作量は、タッチ回数となる。
また、本実施の形態においては、モータ3は、ブラシレスモータであったが、ブラシ付モータであってもよい。この場合、上述したピニオンギヤ41及び傘歯車42の歯同士の衝突音に起因する顕著な騒音は発生しないが、上述した無負荷状態における回転軸31の実回転数を制限する制御を行うことにより、無負荷状態における騒音を低減することができる。