JP2017100957A - 永久脱毛剤 - Google Patents

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正人 稲津
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Abstract

【課題】 より安全に、毛乳頭細胞に対して、細胞死を誘導することが可能な薬剤を提供する。【解決手段】 本発明の毛乳頭細胞の細胞死誘導剤は、塩酸ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン塩酸塩、フマル酸クレマスチン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸トリプロリジン、塩酸プロメタジン、酒石酸アリメマジン、塩酸ヒドロキシジン、塩酸ホモクロルシクリジン、塩酸シプロヘプタジン、メキタジン、ケトチフェンフマル酸塩、アゼラスチン塩酸塩、エバスチン、ロラタジン、ルパタジンフマル酸塩、トラニラスト、プランルカスト、オキサトミド、およびこれらの誘導体からなる群から選択された少なくとも一つを含むことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、永久脱毛剤に関する。
日本において、ムダ毛等の脱毛の市場規模は約1500億円に上る。中でも、日本人女性の73%がムダ毛に悩み、その年齢層は10代〜50代と幅広く、近年では、さらに、男性脱毛のニーズも急増している。
脱毛処理の一般的な手法としては、電気針脱毛、光脱毛および医療レーザー脱毛がある。しかし、毛乳頭を破壊することで永久脱毛できるのは、電気針脱毛のみであり、例えば、医療レーザー脱毛等は、毛周期に合わせて約1〜2ヶ月ごとの施術が必要である。
この他に、化学的手法として、脱毛剤を用いた脱毛処理も知られている。前記脱毛剤としては、チオグリコール酸カルシウム等が知られており、毛を溶かすことで脱毛が行われる(非特許文献1)。しかし、前記脱毛剤処理では、毛母細胞および毛乳頭細胞は生存しているため、毛が再生してくるという問題や、皮膚への刺激やアレルギー反応等を惹起するという問題もある。
そこで、本発明は、より安全に、毛乳頭細胞に対して、細胞死を誘導することが可能な薬剤の提供を目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の毛乳頭細胞の細胞死誘導剤は、塩酸ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン塩酸塩、フマル酸クレマスチン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸トリプロリジン、塩酸プロメタジン、酒石酸アリメマジン、塩酸ヒドロキシジン、塩酸ホモクロルシクリジン、塩酸シプロヘプタジン、メキタジン、ケトチフェンフマル酸塩、アゼラスチン塩酸塩、エバスチン、ロラタジン、ルパタジンフマル酸塩、トラニラスト、プランルカスト、オキサトミド、およびこれらの誘導体からなる群から選択された少なくとも一つを含むことを特徴とする。
本発明の脱毛剤は、前記本発明の細胞死誘導剤を含むことを特徴とする。
本発明の毛乳頭細胞の細胞死誘導方法は、毛乳頭細胞に、前記本発明の細胞死誘導剤または脱毛剤を投与する工程を含むことを特徴とする。
本発明の脱毛方法は、毛乳頭細胞に、前記本発明の細胞死誘導剤または脱毛剤を投与する工程を含むことを特徴とする。
本発明によれば、より安全に、毛乳頭細胞に対して、細胞死を誘導することが可能な薬剤を提供することができる。
図1は、実施例1において、各薬剤を添加したFDPC細胞の細胞数の相対値を示すグラフである。 図2は、実施例1において、各薬剤を添加したHaCaT細胞の細胞数の相対値を示すグラフである。 図3は、実施例2において、各薬剤を添加したFDPC細胞の細胞数の相対値と用量との関係を示すグラフである。 図4は、実施例2において、各薬剤を添加したHaCaT細胞の細胞数の相対値と用量との関係を示すグラフである。 図5は、実施例3において、各薬剤を添加したFDPC細胞の細胞数およびCaspase−3/7活性を示すグラフである。
本発明の細胞死誘導剤は、例えば、経皮用である。
本発明の細胞死誘導剤は、例えば、さらに、経皮用の添加剤を含む。
本発明の細胞死誘導剤は、例えば、前記添加剤が、非経口用の添加剤である。
本明細書で使用する用語は、特に言及しない限り、当該技術分野で通常用いられる意味で用いることができる。
以下に、本発明について、詳細に説明する。
(毛乳頭細胞の細胞死誘導剤)
本発明の毛乳頭細胞の細胞死誘導剤は、前述のように、塩酸ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン塩酸塩、フマル酸クレマスチン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸トリプロリジン、塩酸プロメタジン、酒石酸アリメマジン、塩酸ヒドロキシジン、塩酸ホモクロルシクリジン、塩酸シプロヘプタジン、メキタジン、ケトチフェンフマル酸塩、アゼラスチン塩酸塩、エバスチン、ロラタジン、ルパタジンフマル酸塩、トラニラスト、プランルカスト、オキサトミド、およびこれらの誘導体(以下、「本発明における薬剤」という)からなる群から選択された少なくとも一つを含むことを特徴とする。
本発明の細胞死誘導剤は、前述した各種薬剤のうち少なくとも一つを含むことが特徴であり、その他の構成及び条件は、特に制限されない。
本発明の細胞死誘導剤において、前記各種薬剤は、いずれも抗アレルギー剤または抗ヒスタミン剤として知られている。これに対して、本発明者らは、メカニズムは不明であるが、これらの薬剤が、毛乳頭細胞の細胞死を誘導するとの新たな知見を得て、本発明を見出すに至った。前記薬剤は、抗アレルギー剤または抗ヒスタミン剤として承認されており、その安全性は確認されている。このため、本発明によれば、優れた安全性で、毛乳頭細胞の細胞死を誘導することができる。
本発明の細胞死誘導剤によれば、毛乳頭細胞の細胞死を誘導できることから、例えば、脱毛剤として使用できる。
本発明の細胞死誘導剤を使用した場合、毛乳頭細胞の細胞死の様式は、特に制限されず、例えば、アポトーシスによるものがあげられる。このため、本発明の細胞死誘導剤は、例えば、アポトーシス誘導剤ということもできる。なお、以下、毛乳頭細胞の細胞死誘導剤は、アポトーシス誘導剤と読み替え可能であり、細胞死誘導の効果は、アポトーシス誘導の効果と読み替え可能である。
本発明における薬剤は、前述のように、塩酸ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン塩酸塩、フマル酸クレマスチン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸トリプロリジン、塩酸プロメタジン、酒石酸アリメマジン、塩酸ヒドロキシジン、塩酸ホモクロルシクリジン、塩酸シプロヘプタジン、メキタジン、ケトチフェンフマル酸塩、アゼラスチン塩酸塩、エバスチン、ロラタジン、ルパタジンフマル酸塩、トラニラスト、プランルカスト、オキサトミド、およびこれらの誘導体である。前記誘導体は、特に制限されず、列挙した薬剤の誘導体であればよく、各薬剤の塩、水和物、溶媒和物、異性体等があげられる。前記異性体は、例えば、立体異性体および互変異生体等があげられる。
本発明の細胞死誘導剤は、有効成分として前記薬剤を、例えば、一種類のみ含んでもよいし、二種類以上を併用して含んでもよく、その数は、特に制限されない。
本発明の細胞死誘導剤は、好ましくは、ジフェニルピラリン塩酸塩、フマル酸クレマスチン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸トリプロリジン、塩酸プロメタジン、酒石酸アリメマジン、塩酸ヒドロキシジン、塩酸ホモクロルシクリジン、塩酸シプロヘプタジン、メキタジン、ケトチフェンフマル酸塩、アゼラスチン塩酸塩、エバスチン、ロラタジン、ルパタジンフマル酸塩、トラニラスト、プランルカスト、オキサトミド、およびこれらの誘導体である。本発明の細胞死誘導剤は、好ましくは、メキタジン、フマル酸クレマスチン、エバスチン、ルパタジンフマル酸塩、トラニラスト、塩酸ホモクロルシクリジン、アゼラスチン塩酸塩、塩酸プロメタジン、塩酸シプロヘプタジン、プランルカスト、またはオキサトミド、およびこれらの誘導体である。
本発明の細胞死誘導剤は、例えば、in vivoで使用してもよいし、in vitroで使用してもよい。本発明の細胞死誘導剤は、例えば、研究用試薬として使用することもでき、医薬品または医薬部外品として使用することもできる。
本発明の細胞死誘導剤の投与対象は、特に制限されず、例えば、毛乳頭細胞である。前記毛乳頭細胞は、例えば、前記毛乳頭細胞を含む動物でもよい。前記動物は、特に制限されず、例えば、ヒト、または、ヒトを除く非ヒト動物があげられる。前記非ヒト動物としては、例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ウマ、ネコ、ヤギ、サル、モルモット、ウシ等の非ヒト哺乳類等があげられる。
本発明の細胞死誘導剤の投与形態は、特に制限されない。前記投与形態は、例えば、経口投与でもよいし、経皮投与でもよい。前記投与形態は、例えば、経皮投与が好ましい。
本発明の細胞死誘導剤の剤型は、特に制限されず、例えば、前記投与形態に応じて適宜決定できる。前記剤型は、例えば、貼付剤、塗布剤、軟膏、クリーム、ローション、ゲル等の外用剤があげられる。
本発明の細胞死誘導剤は、例えば、必要に応じて、添加剤を含んでもよく、本発明の細胞死誘導剤を医薬または医薬部外品として使用する場合、前記添加剤は、薬学上許容される添加剤が好ましい。前記添加剤は、例えば、賦形剤、安定剤、界面活性剤、保存剤、抗酸化剤、pH調整剤、増粘剤、キレート剤、着色剤、着香剤、保湿成分、ビタミン類、アミノ酸類等があげられる。前記添加剤は、例えば、経皮用の添加剤、非経口用且つ経皮用の添加剤があげられる。経皮用の添加剤は、例えば、経皮吸収促進剤等である。本発明において、前記添加剤の配合量は、前記細胞死誘導剤の機能を妨げるものでなければ、特に制限されない。
前記経皮用の添加剤としては、例えば、グリセリン、ステアリン酸、水酸化カリウム、白色ワセリン、ラノリンアルコール、セトステアリルアルコール、乳化セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、チモール、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、イソプロパノール、セタノール、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸マクロゴール、パラオキシ安息香酸ブチル、プロピレングリコール、D−ソルビトール、セトマクロゴール、ステアリン酸グリセリン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ワセリン、エデト酸ナトリウム、ジイソプロパノールアミン、pH調整剤、プロピルアルコール、メントール等があげられる。
前記非経口用且つ経皮用の添加剤としては、例えば、水酸化カリウム、白色ワセリン、セトステアリルアルコール、乳化セトステアリルアルコール、イソプロパノール、ステアリン酸マクロゴール、セトマクロゴール、ワセリン、エデト酸ナトリウム、ジイソプロパノールアミン等があげられる。
前記賦形剤としては、例えば、グリセリン、ポリエチレングリコール等の多価アルコールまたはその誘導体等があげられる。前記安定剤としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等のアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾール等のフェノール類;チメロサール;デヒドロ酢酸;ソルビン酸等があげられる。前記界面活性剤としては、例えば、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン等のW/O型乳化剤;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリソルベート60等のO/W型乳化剤があげられる。前記保存剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、フェノキシエタノール、チモール等があげられる。前記抗酸化剤は、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸、トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、エデト酸ナトリウム水和物、ベンゾトリアゾール等があげられる。前記pH調整剤としては、例えば、クエン酸水和物、クエン酸ナトリウム水和物、乳酸、ジイソプロパノールアミン、酢酸、酢酸ナトリウム水和物等があげられる。
本発明の細胞死誘導剤の投与条件は、特に制限されず、例えば、投与対象の種類、性別、年齢、投与対象の部位等に応じて、投与時期、投与期間、投与量等を適宜設定できる。
具体例として、本発明の細胞死誘導剤をヒトの皮膚に経皮投与する場合、1日あたりの投与量合計は、例えば、10〜5000mg/cm、100〜3000mg/cmである。投与期間は、例えば、1〜30日、3〜21日であり、1日あたりの投与回数は、例えば、1〜5回、2〜3回であり、投与間隔は、例えば、毎日、2〜7日ごと、3〜4日ごとである。
本発明の細胞死誘導剤における前記薬剤の含有量は、特に制限されず、例えば、前記細胞死誘導剤の全組成を100質量%として、0.001〜10質量%、0.05〜5質量%である。前記含有量は、例えば、前記薬剤1種類の含有量でもよいし、前記薬剤を2種類以上併用する場合は、前記複数の薬剤の合計の含有量でもよい。
本発明の細胞死誘導剤の投与対象部位は、特に制限されない。本発明の細胞死誘導剤は、前述のように、例えば、脱毛処理に使用できることから、前記投与対象部位は、例えば、体毛が生えている箇所があげられる。具体例としては、例えば、腋、脛、胸、肩、下腹部、腕、手、脚、爪先、ビキニライン、顔、顎、上唇、眉等があげられる。
(脱毛剤)
本発明の脱毛剤は、前述のように、本発明の細胞死誘導剤を含むことを特徴とする。本発明の脱毛剤は、前記本発明の細胞死誘導剤を含むことが特徴であって、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明の脱毛剤は、前記本発明の細胞死誘導剤等の記載を援用できる。本発明の脱毛剤によれば、安全に脱毛処理を行うことができ、例えば、永久脱毛も可能である。
(毛乳頭細胞の細胞死誘導方法)
本発明の毛乳頭細胞の細胞死誘導方法は、毛乳頭細胞に、前記本発明の細胞死誘導剤または脱毛剤を投与する工程を含むことを特徴とする。本発明は、前記本発明の細胞死誘導剤または脱毛剤を投与する工程を含むことが特徴であって、その他の工程および条件は、特に制限されない。本発明の細胞死誘導剤または脱毛剤は、前述の通りである。本発明の細胞死誘導剤または脱毛剤の投与条件等は、特に制限されず、例えば、本発明の細胞死誘導剤または脱毛剤における記載と同様である。
(脱毛方法)
本発明の脱毛方法は、毛乳頭細胞に、前記本発明の細胞死誘導剤または脱毛剤を投与する工程を含むことを特徴とする。本発明は、前記本発明の細胞死誘導剤または脱毛剤を投与する工程を含むことが特徴であって、その他の工程および条件は、特に制限されない。本発明の細胞死誘導剤または脱毛剤は、前述の通りである。本発明の細胞死誘導剤または脱毛剤の投与条件等は、特に制限されず、例えば、本発明の細胞死誘導剤または脱毛剤における記載と同様である。
(薬剤の使用)
本発明は、毛乳頭細胞の細胞死誘導に使用するための、塩酸ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン塩酸塩、フマル酸クレマスチン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸トリプロリジン、塩酸プロメタジン、酒石酸アリメマジン、塩酸ヒドロキシジン、塩酸ホモクロルシクリジン、塩酸シプロヘプタジン、メキタジン、ケトチフェンフマル酸塩、アゼラスチン塩酸塩、エバスチン、ロラタジン、ルパタジンフマル酸塩、トラニラスト、プランルカスト、オキサトミド、およびこれらの誘導体からなる群から選択された少なくとも一つ(以下、「薬剤」ともいう。)の使用であり、また、脱毛に使用するための前記薬剤の使用である。本発明は、細胞死誘導剤の製造のための前記薬剤の使用であり、また、脱毛剤の製造のための前記薬剤の使用である。本発明は、例えば、前記本発明の細胞死誘導剤、脱毛剤、細胞死誘導方法および脱毛方法の説明を援用できる。
つぎに、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、下記実施例により制限されない。市販の試薬は、特に示さない限り、それらのプロトコルに基づいて使用した。
[実施例1]
本発明の薬剤が、毛乳頭細胞に対して、細胞死誘導効果を奏することを確認した。
薬剤として、抗ヒスタミン薬または抗アレルギー薬として知られる、塩酸ジフェンヒドラミン(Diphenhydramine)(LKT Laboratories社製)、ジフェニルピラリン塩酸塩(Diphenylpyraline)(和光純薬社製)、フマル酸クレマスチン(Clemastine)(和光純薬社製)、マレイン酸クロルフェニラミン(Chlorpheniramine)(和光純薬社製)、塩酸トリプロリジン(Triprolidine)(R&D SYSTEMS社製)、塩酸プロメタジン(Promethazine)(東京化成工業社製)、酒石酸アリメマジン(Alimemazine)(Tronto Rseach Chemicals社製)、塩酸ヒドロキシジン(Hydroxyzine)(LKT Laboratories社製)、塩酸ホモクロルシクリジン(Homochlorcyclizine)(SIGMA−ALDRICH社製)、塩酸シプロヘプタジン(Cyproheptadine)(SIGMA−ALDRICH社製)、メキタジン(Mequitazine)(和光純薬社製)、ケトチフェンフマル酸塩(Ketotifen)(LKT Laboratories社製)、アゼラスチン塩酸塩(Azelastine)(AdooQ(登録商標)BIOSCIENCE社製)、エメダスチンフマル塩酸塩(Emedastine)(東京化成工業社製)、エピナスチン塩酸塩(Epinastine)(東京化成工業社製)、エバスチン(Ebastine)(Cayman Chemical社製)、セチリジン塩酸塩(Cetirizine)(東京化成工業社製)、ベポタスチンベジル酸塩(Bepotastine)(和光純薬社製)、フェキソフェナジン塩酸塩(Fexofenadine)(東京化成工業社製)、ロラタジン(Loratadine)(東京化成工業社製)、レボセチリジン塩酸塩(Levocetirizine)(東京化成工業社製)、ルパタジンフマル酸塩(Rupatadine)(Santa Cruz Biotechnologies社製)、トラニラスト(Tranilast)(東京化成工業社製)、プランルカスト(Pranlukast)(東京化成工業社製)、およびオキサトミド(Oxatomide)(和光純薬社製)を使用した。前記薬剤をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、サンプルを調製した。
そして、FDPC細胞(ヒト毛乳頭細胞、Promo Cell社)を、24ウェルマイクロプレートに、5×10細胞/mL/ウェルとなるように播種し、24時間培養した。これらの培養液に、前記各サンプルを、前記薬剤の終濃度が、それぞれ50μmol/Lとなるように添加し、さらに、37℃、5%CO下で、24時間培養した。薬剤のコントロール(Vehicle)としては、前記サンプルに代えて、薬剤未添加のDMSOを前記培養液に添加した以外は、同様に培養を行った。
FDPC細胞の培養は、4%となるようにSupplement Mix(Promo Cell社、FDPC細胞のキットに付属)を添加した、Follicle Dermal Papilla Cell Growth Medium(コスモバイオ社製)を使用した。
そして、前記培養後のFDPC細胞に対し、ATP量を測定することにより、細胞数を計測した。ATPの検出試薬として、ATP Lite(商標)(Perkin Elmer Life and Analytical Sciences(Boston,MA)社製)を使用し、測定装置として、FilterMax F5 Multi-Mode Microplate Reader(モレキュラーデバイスジャパン株式会社)を使用した。そして、コントロールにおける細胞数を基準値100とし、各サンプルにおける細胞数の相対値を算出した。
これらの結果を、図1に示す。図1は、前記各薬剤を添加してから24時間後におけるFDPC細胞の細胞数の相対値を示したグラフである。図1において、縦軸は、細胞数の相対値を示し、横軸は、薬剤を示す。図1に示すように、塩酸ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン塩酸塩、フマル酸クレマスチン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸トリプロリジン、塩酸プロメタジン、酒石酸アリメマジン、塩酸ヒドロキシジン、塩酸ホモクロルシクリジン、塩酸シプロヘプタジン、メキタジン、ケトチフェンフマル酸塩、アゼラスチン塩酸塩、エバスチン、ロラタジン、ルパタジンフマル酸塩、トラニラスト、プランルカスト、またはオキサトミドの添加により、約80%以下まで、FDPC細胞の細胞数が減少していた。中でも、メキタジン、フマル酸クレマスチン、エバスチン、ルパタジンフマル酸塩、トラニラスト、塩酸ホモクロルシクリジン、アゼラスチン塩酸塩、塩酸プロメタジン、塩酸シプロヘプタジン、プランルカスト、またはオキサトミドの添加により、約60%〜5%程度までFDPC細胞の細胞数が減少しており、強い細胞死誘導効果がみられた。
さらに、本発明の薬剤が、皮膚に与える影響を調べるため、表皮の大部分を構成するケラチノサイトへの影響を確認した。HaCaT細胞(ヒトケラチノサイト、Cell Lines Service社)を用い、播種後の培養時間24時間を72時間にした。薬剤として、塩酸ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン塩酸塩、フマル酸クレマスチン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸トリプロリジン、塩酸プロメタジン、酒石酸アリメマジン、塩酸ヒドロキシジン、塩酸ホモクロルシクリジン、塩酸シプロヘプタジン、ケトチフェンフマル酸塩、アゼラスチン塩酸塩、ロラタジン、ルパタジンフマル酸塩、トラニラスト、プランルカスト、またはオキサトミドを使用した。これらの条件以外は、FDPC細胞と同じ条件で細胞死誘導効果を確認した。なお、HaCaT細胞における播種後の培養時間の変更は、HaCaT細胞はFDPC細胞よりも細胞接着に時間がかかるため、薬剤添加前の細胞の状態を揃える目的で行った。
HaCaT細胞の培養は、10%となるようにウシ胎仔血清(Gibco社製)および20mg/Lとなるようにカナマイシン(Gibco社製)を添加した、RPMI−1640培地(和光純薬社製)を使用した。
ケラチノサイトは、常に細胞増殖を繰り返して再生している。このため、ケラチノサイトであるHaCaT細胞に関しては、薬剤で処理した後の細胞数の相対値が、例えば、約20%以上であれば、薬剤によるHaCaT細胞への影響はほとんどないと考えることができる。
これらの結果を、図2に示す。図2は、前記各薬剤を添加してから24時間後におけるHaCaT細胞の細胞数の相対値を示したグラフである。図2において、縦軸は、細胞数の相対値を示し、横軸は、薬剤を示す。図2に示すように、いずれの薬剤も、細胞数の相対値は20%以上であり、HaCaT細胞への大きな影響はないといえる。特に、塩酸ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン塩酸塩、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸トリプロリジン、塩酸プロメタジン、塩酸ヒドロキシジン、塩酸ホモクロルシクリジン、塩酸シプロヘプタジン、ケトチフェンフマル酸塩、アゼラスチン塩酸塩、およびプランルカストは、細胞数の相対値が80%以上であることから、HaCaT細胞への影響を十分に回避できたといえる。
図1および図2の結果から、薬剤の中でも、塩酸ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン塩酸塩、クレマスチン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸トリプロリジン、塩酸プロメタジン、酒石酸アリメマジン、塩酸ヒドロキシジン、塩酸ホモクロルシクリジン、塩酸シプロヘプタジン、ケトチフェンフマル酸塩、アゼラスチン塩酸塩、プランルカスト、およびオキサトミドは、皮膚に影響を与えることなく、毛乳頭細胞に対して特異的に細胞死誘導効果を奏することがわかった。
[実施例2]
本発明の薬剤について、投与量依存的に、毛乳頭細胞に対して、特異的に細胞死誘導効果を奏することを確認した。
まず、実施例1において強い細胞死誘導作用が確認された、アゼラスチン塩酸塩(Azelastine)、フマル酸クレマスチン(Clemastine)、塩酸シプロヘプタジン(Cyproheptadine)、エバスチン(Ebastine)、塩酸ホモクロルシクリジン(Homochlorcyclizine)、メキタジン(Mequitazine)、オキサトミド(Oxatomide)、プランルカスト(Pranlukast)、塩酸プロメタジン(Promethazine)、ルパタジンフマル酸塩(Rupatadine)、またはトラニラスト(Tranilast)の前記サンプルを調製した。
そして、FDPC細胞またはHaCaT細胞を、24ウェルマイクロプレートに、それぞれ、1.6×10細胞/mL/ウェルとなるように播種し、実施例1と同じ条件で培養した。これらの培養液に、前記サンプルを、前記薬剤の終濃度が、それぞれ所定濃度(6.25、12.5、25、50または100μmol/L)となるように添加し、実施例1と同じ条件で培養した。そして、前記培養後の各細胞の細胞数の相対値を、実施例1と同様にして算出した。
これらの結果を、図3および図4に示す。図3は、前記各薬剤を添加したFDPC細胞の細胞数の相対値を示すグラフであり、図4は、前記各薬剤を添加したHaCaT細胞の細胞数の相対値を示すグラフである。図3および図4において、(A)は、アゼラスチン塩酸塩を添加した結果を、(B)は、フマル酸クレマスチンを添加した結果を、(C)は、塩酸シプロヘプタジンを添加した結果を、(D)は、エバスチンを添加した結果を、(E)は、塩酸ホモクロルシクリジンを添加した結果を、(F)は、メキタジンを添加した結果を、(G)は、オキサトミドを添加した結果を、(H)は、プランルカストを添加した結果を、(I)は、塩酸プロメタジンを添加した結果を、(J)は、ルパタジンフマル酸塩を添加した結果を、(K)は、トラニラストを添加した結果を示す。図3および図4の各グラフにおいて、縦軸は、細胞数の相対値を示し、横軸は、薬剤の濃度を示す。
図3の各グラフに示すように、投与した薬剤はいずれも、FDPC細胞に対し、投与量依存的に細胞死誘導効果を示した。また、これらの薬剤の中でも、フマル酸クレマスチン、エバスチン、メキタジン、オキサトミド、ルパタジンフマル酸塩、およびトラニラストは、低用量でも効果的に細胞死誘導効果を奏することがわかった。
また、図4の各グラフに示すように、投与した薬剤は、投与量を増加させても、HaCaT細胞にほとんど影響を示さなかった。これらの結果から、これらの薬剤が、投与量を増加させても、皮膚に影響を与えることなく、毛乳頭細胞に対して特異的に細胞死誘導効果を奏することがわかった。
[実施例3]
本発明の薬剤が、毛乳頭細胞に対して、アポトーシスによる細胞死を誘導することを確認した。
まず、前記実施例1と同様にして、アゼラスチン塩酸塩(Azelastine)、フマル酸クレマスチン(Clemastine)、塩酸シプロヘプタジン(Cyproheptadine)、エバスチン(Ebastine)、塩酸ホモクロルシクリジン(Homochlorcyclizine)、メキタジン(Mequitazine)、オキサトミド(Mequitazine)、または塩酸プロメタジン(Promethazine)について、前記サンプルを調製した。
そして、FDPC細胞を、24ウェルマイクロプレートに、2.2×10細胞/mL/ウェルとなるように播種し、24時間培養した。これらの培養液に、前記各サンプルを、前記薬剤の終濃度が、それぞれ25μmol/Lとなるように添加し、実施例1と同じ条件で培養した。薬剤のコントロール(Vehicle)についても、実施例1と同様に培養を行った。そして、前記培養後のFDPC細胞の細胞数の相対値を、実施例1と同様にして算出した。
さらに、前記培養後のFDPC細胞に対し、アポトーシスの指標となるCaspase−3/7活性を測定することにより、アポトーシスが誘導されている細胞数を計測した。Caspase−3/7の検出試薬として、Caspase−glo 3/7 activity(登録商標)(Promega社製)を使用し、測定装置として、FilterMax F5 Multi-Mode Microplate Reader(モレキュラーデバイスジャパン株式会社)を使用した。そして、コントロールにおける細胞数を基準値100とし、各サンプルの細胞数の相対値を算出した。
これらの結果を、図5に示す。図5は、前記各薬剤を添加したFDPC細胞の細胞数およびCaspase−3/7活性を、相対値で示したグラフである。図5において、(A)は、細胞数の相対値を示し、(B)は、Caspase−3/7活性を示す。図5(A)および(B)において、縦軸は、細胞数の相対値を示し、横軸は、薬剤を示す。図5(A)および(B)に示すように、いずれの薬剤も、細胞数が減少し、それに対応して、Caspase−3/7活性が増加していた。特に、エバスチン、メキタジン、アゼラスチン塩酸塩、フマル酸クレマスチン、塩酸シプロヘプタジン、オキサトミドは、コントロールと比べて、Caspase−3/7活性が、5〜10倍以上増加していた。すなわち、これらの薬剤を添加することにより、毛乳頭細胞において、アポトーシスによる細胞死が誘導されることが示された。
以上、実施形態および実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
以上のように、本発明によれば、塩酸ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン塩酸塩、フマル酸クレマスチン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸トリプロリジン、塩酸プロメタジン、酒石酸アリメマジン、塩酸ヒドロキシジン、塩酸ホモクロルシクリジン、塩酸シプロヘプタジン、メキタジン、ケトチフェンフマル酸塩、アゼラスチン塩酸塩、エバスチン、ロラタジン、ルパタジンフマル酸塩、トラニラスト、プランルカスト、オキサトミド、およびこれらの誘導体からなる群から選択された少なくとも一つを含むことにより、毛乳頭細胞の細胞死を誘導できる。そして、前記薬剤は、このように細胞の細胞死を誘導できることから、例えば、脱毛剤として使用できる。このため、本発明は、医薬の分野等において、極めて有用といえる。

Claims (7)

  1. 塩酸ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン塩酸塩、フマル酸クレマスチン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸トリプロリジン、塩酸プロメタジン、酒石酸アリメマジン、塩酸ヒドロキシジン、塩酸ホモクロルシクリジン、塩酸シプロヘプタジン、メキタジン、ケトチフェンフマル酸塩、アゼラスチン塩酸塩、エバスチン、ロラタジン、ルパタジンフマル酸塩、トラニラスト、プランルカスト、オキサトミド、およびこれらの誘導体からなる群から選択された少なくとも一つを含むことを特徴とする毛乳頭細胞の細胞死誘導剤。
  2. 経皮用である、請求項1記載の細胞死誘導剤。
  3. さらに、経皮用の添加剤を含む、請求項1または2記載の細胞死誘導剤。
  4. 前記添加剤が、非経口用の添加剤である、請求項3記載の細胞死誘導剤。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の細胞死誘導剤を含むことを特徴とする脱毛剤。
  6. 毛乳頭細胞に、請求項1から5のいずれか一項に記載の細胞死誘導剤または脱毛剤を投与する工程を含むことを特徴とする毛乳頭細胞の細胞死誘導方法。
  7. 毛乳頭細胞に、請求項1から5のいずれか一項に記載の細胞死誘導剤または脱毛剤を投与する工程を含むことを特徴とする脱毛方法。
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