JP2017100975A - 抗かび性製品 - Google Patents

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茂明 丸尾
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【課題】優れた抗かび性能を発現する抗かび性製品の提供【解決手段】合成樹脂を含む母材と、該母材中に混在する又は該母材表面に被覆された水酸化カルシウムを90質量%以上含む焼成貝殻の消化粉末からなる抗かび剤とを有する、抗かび性製品。前記焼成貝殻の消化粉末はホタテ貝殻又はその粉砕物を原料とする焼成貝殻の消化粉末である。前記抗かび性製品は食品包装用品である。【選択図】なし

Description

本発明は、抗かび性製品に関する。
従来より、合成樹脂は、各種日用品、包装材料、飲料容器、家電製品、住宅用品、建設資材及び電気・電子機器等の様々な用途に用いられている。そして、その中でも、ヒトが接触する機会の多い製品は病原菌や雑菌の感染源となる可能性があることから、衛生上安全であることが望まれ、それらの製品にはバクテリア等の細菌の発生・生育・増殖を抑制する抗菌性や、真菌の発生・生育・増殖を抑制する抗かび性等の特性が求められている。
上記製品に抗菌性や抗かび性等の特性を付与する方法としては、該製品の表面に抗菌剤や抗かび剤等を噴霧・塗布する方法等が挙げられ、種々の抗菌剤や抗かび剤が提案されている。
抗菌剤として、例えば、特許文献1には、水に添加して使用される、貝殻あるいは卵殻を焼成して得られた酸化カルシウムを主成分とする焼成粉末と、燐酸塩粉末とから成ることを特徴とする殺菌・抗菌剤が提案されている。
また、特許文献2には、溶液状の抗菌剤として、ホタテ貝殻を焼成して粉砕した粉体からなるホタテ貝殻セラミックスを水溶させて飽和状態としたホタテ貝殻セラミックス溶液とエチルアルコールとが混合していることを特徴とする抗菌剤が提案されている。
一方、抗かび剤として、例えば、特許文献3に、スプレー剤、洗浄剤或いはミスト噴霧装置用製剤として使用される組成物として、酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムと、柑橘類由来成分としてグレープフルーツ種子抽出物とを含み、pH8以上10以下の弱アルカリ性水溶液状であって、抗菌性能および抗かび性能を兼ね備えている、抗菌・抗かび性組成物が提案されている。
特開2002−265311号公報 特開2007−302580号公報 特許第4774072号公報
一般に、かび(真菌)と細菌とは菌が与える性質・効能が異なる。また、かびは細菌の10倍以上の大きさなので、一般に細菌よりも強い生命力・抵抗力を有する。従って、抗菌剤がバクテリア等の細菌の増殖を抑える性能(以下、「抗菌性」とも称する)を有するものであっても、それが同時にかびの繁殖を抑える性能(以下、「抗かび性」とも称する)をも有するものとなる可能性は極めて低い。この点は、次の特許文献3からも理解される。
特許文献3には、ホタテガイ貝殻由来の酸化カルシウムあるいは水酸化カルシウムを含む除菌剤水溶液が、抗菌性能を有するが、安定性が悪く抗かび性能は有さないこと、そして、抗かび性能を発現するために、酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムと柑橘類由来成分とを複合化させる必要があることが示されている(特許文献3の段落[0024]乃至[0033]参照)。
また、特許文献3には、スプレー剤に用いるためのpH8以上10以下の弱アルカリ性水溶液状の組成物が開示されているが、合成樹脂を母材とする抗カビ性製品、或いは固体状の抗かび剤については記載も示唆もなされていない。
一方、特許文献1に開示された殺菌・抗菌剤や、特許文献2に開示された抗菌剤は抗菌性能を有するが、これらの特許文献は該殺菌・抗菌剤や該抗菌剤が抗かび性能をも有するという点まで示唆するものではない。
したがって、このように、貝殻由来の水酸化カルシウムが、例えば柑橘類由来成分等の他の成分と併用せずに抗かび剤として作用することは従来知られていなかった。
そこで、本発明は、上述した従来技術を考慮し、上記の課題を解消すべく為されたものである。すなわち、本発明は貝殻由来の特定の粉末を抗かび成分として用いた、合成樹脂を母材とする抗かび性製品を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討した結果、全く意外なことに、貝殻を高温に焼成し、次いで消化して得られた粉末、すなわち水酸化カルシウムを特定量含む焼成貝殻の消化粉末が抗かび剤として、それ単独で有効に作用することを見出し、そして、水酸化カルシウムを特定量含む焼成貝殻の消化粉末を含ませた、合成樹脂を母材とする製品に仕上げることにより、抗かび性を有する樹脂製品を新たに創出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
[1]合成樹脂を含む母材と、該母材中に混在する又は該母材表面に被覆された、水酸化カルシウムを90質量%以上含む焼成貝殻の消化粉末からなる抗かび剤とを有する、抗かび性製品、
[2]前記焼成貝殻の消化粉末がホタテ貝殻又はその粉砕物を原料とする焼成貝殻の消化粉末である、[1]に記載の抗かび性製品、
[3]前記焼成貝殻の消化粉末が0.5〜10μmの平均粒径を有する微粉末形態である、[1]又は[2]に記載の抗かび性製品、
[4]前記焼成貝殻の消化粉末の含有量が合成樹脂100質量部に対して、2.5質量%〜30質量%である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の抗かび性製品、
[5]前記合成樹脂が熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂である、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の抗かび性製品、及び
[6]前記抗かび性製品が食品包装用品である、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の抗かび性製品
に関する。
本発明の抗かび性製品は、食品包装用品や食品容器等に求められる程度又はそれ以上の高い抗かび効果を発揮するという効果を有する。
また、本発明の抗かび性製品は、合成樹脂を含む母材中に水酸化カルシウムを特定量含む焼成貝殻の消化粉末からなる抗かび剤が実質均一に分布して抗かび効果を発揮することから、例え製品表面が傷付いたとしても、抗かび性能を損ない難い。
また、本発明の抗かび性製品は、合成樹脂を含む母材表面に水酸化カルシウムを特定量含む焼成貝殻の消化粉末からなる抗かび剤が被覆して抗かび効果を発揮することから、従来の合成樹脂を含む母材からも容易に製造できるものである。
本発明の抗かび性製品は、水酸化カルシウムを90質量%以上含む焼成貝殻の消化粉末からなる抗かび剤を含有する合成樹脂を用いて作製されたもの、又は該防かび剤を合成樹脂製品の表面に被覆して作製されたものである。
[抗かび剤]
本発明に用いられる抗かび剤は、水酸化カルシウムを主成分とするもの、すなわち水酸化カルシウムを90質量%以上含むものであり、好ましくは95質量%以上の水酸化カルシウムを含む焼成貝殻の消化粉末からなるものである。
上記焼成貝殻の消化粉末の原料としては、例えばホタテ貝殻、アワビ貝殻、サザエ貝殻、ホッキ貝殻、ウニ貝殻の天然か養殖の貝類を使用し得、さらに珊瑚殻等の動物性由来のカルシウムを含有する他の原料を使用してもよい。その中でも、貝殻組成が均一である点及び供給量が多いなどの点から、ホタテ貝殻(又はその粉砕物)を使用することが好ましい。
これらの貝殻は、そのまま、または粉砕して貝殻粉末(或いは粒状物)とし、800℃〜1500℃で、より好ましくは850℃〜1200℃で、例えば炭酸ガスを導入しながら焼成する。焼成は空気中で行ってもよいし、窒素等の不活性ガス雰囲気下で行なってもよい。焼成時間は焼成温度等によって適宜設定されるが、通常、雰囲気温度が所定の焼成温度に到達した後、10〜120分、好ましくは15〜90分である。こうした焼成処理により、不要な有機物を熱分解によって除去する。
焼成後、続いて700℃乃至1200℃の温度下にて、加水し水和(消化)させて水酸化カルシウム主体の焼成物(粉末)を得る。
焼成又は水和(消化)の過程で、必要に応じてさらに粉砕を行い、最終的には平均粒径0.1〜500μm、好ましくは0.5〜100μm、より好ましくは0.5〜40μm、最も好ましくは0.5〜10μmの微粉末形態の焼成貝殻の消化粉末を得る。微粒子の粒径をより細かくすることにより、抗かび剤となして、合成樹脂と均一に混合すること又は合成樹脂製品表面を均一に被覆することができ、これにより、製品に抗かび性能をムラなく付与することができる。
[合成樹脂]
本発明に用いられる合成樹脂としては、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられる。
<熱可塑性樹脂>
上記熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂などが挙げられる。
その中でも、食品包装用品や食品用容器等に使用する観点からは、ポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂を選択することが好ましい。
前述の抗かび剤の熱可塑性樹脂に対する配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して2.5〜30質量部であり、好ましくは、少なくとも3.0質量部以上であり、更に好ましくは5質量部以上である。好ましい配合量範囲は、例えば、3.0乃至15質量部、10乃至20質量部、20乃至30質量部であり、より好ましくは、3乃至8質量部、12乃至18質量部、21乃至24質量部の範囲である。2.5質量部未満などの下限値未満であると所望の抗かび効果が得られず、また30質量部などの上限値を超えて配合することは、それ以上の量を配合しなくとも十分な抗かび効果を得られるので経済的でなく、その上、場合により配合した樹脂の機械特性や、表面外観を損なう虞がある。
<熱硬化性樹脂>
上記熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、尿素樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
前述の抗かび剤の熱硬化性樹脂に対する配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して2.5〜30質量部であり、好ましくは3乃至15質量部、10乃至25質量部、20乃至30質量部であり、より好ましくは、6乃至12質量部、18乃至24質量部、27質量部乃至30質量部である。2.5質量部などの下限値未満であると所望の抗かび効果が得られず、また30質量部などの上限値を超えて配合することは、それ以上の量を配合しなくとも十分な抗かび効果を得られるので経済的でなく、その上、場合により配合した樹脂の機械特性や、表面外観を損なう虞がある。
[抗かび性製品]
本発明の抗かび性製品には、所望により、従来の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂からなる成形製品に慣用されている添加剤、例えば可塑剤、安定剤、酸化防止剤、充填剤、紫外線吸収剤、着色剤(顔料、染料など)、蛍光増白剤、防炎剤、帯電防止剤、粘度調整剤等を添加することもできる。
本発明の抗かび性製品は、前記抗かび剤を当業者に既知の装置、例えば単軸押出機、2軸押出機、ニーダー、ミキサー、2本ロールミルを用いて前記熱可塑性樹脂に配合し、均一となるように十分に混練した後、射出成形、押出成形、ブロー成形等を用いて所望の形状に成形されて製造される。或いはカレンダー法やキャスティング法などによりフィルム・シート状に成形したり、用途によっては発泡させた製品としてもよい。
また、熱硬化性樹脂の場合には、ミキサー等で十分に混練して均一な混合物とし、これを所望の形状の成形型に流しこみ、選定した樹脂固有の硬化条件従って硬化させた後、脱型すればよい。
また、本発明の抗かび性製品は、前記抗かび剤が前記抗かび剤が抗かび性製品の表面側に偏って存在していても良い。また、従来の熱可塑性樹脂製品又は熱硬化性樹脂製品の表面に、前記抗かび剤を含む溶液、分散液又は樹脂等を、当業者に既知の塗布方法で塗布し乾燥又は硬化させて製造することもできる。
本発明の抗かび性製品は、優れた抗かび性能を発揮するので、様々な用途、特に飲食関連製品やサニタリー製品等に適している。
そのような製品としては、例えば、食品包装フィルムや食品包装袋等の食品包装用品;プリン容器等のデザート容器、惣菜容器、インスタントラーメン等のインスタント麺類に代表されるインスタント食品用の容器、レトルト容器、弁当容器等の食品容器;皿、箸、スプーン、フォーク、ナイフ等の食器;食器トレー;乳製品、清涼飲料水、酒類等の飲料用コップ及び飲料用ボトル;便座、おまる、汚物入れ、トイレブラシ、浴槽、風呂蓋、シャワーカーテン、石鹸容器、手桶、風呂椅子、衣類篭、タオル掛け等のトイレタリー製品等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
[製造例1:抗かび剤の製造]
ホタテ貝の貝殻を粉砕した後、1200℃で1時間焼成した。次いで、約750乃至1100℃の温度下で焼成物に水を加えて消化し、得られた消化物(水酸化カルシウム主体)を粉砕機でさらに微粉砕して、平均粒径が10μmの粉末状の焼成貝殻の消化粉末(抗かび剤)を製造した。なお、該焼成貝殻の消化粉末を元素分析した結果、カルシウムを99%以上含む点が確認され、また熱重量分析した結果、水酸化カルシウムを95.7質量%含む点が確認された。
得られた抗かび剤の組成分析結果を表1に示す。
Figure 2017100975
[実施例1:抗かび性製品(試験片)の製造]
製造例1で製造した抗かび剤をポリプロピレンの総質量に対して5.0質量%となるように混合し、40mm×40mm×20μmの試験片を製造した。
[かび抵抗性試験]
JIS Z2911−2010、付属書A(規定)[プラスチック製品のかび抵抗性の試験]に準じて、実施例1で製造した試験片のかび抵抗性試験を実施した。また比較例として無加工のポリエチレンフィルムを用いた。
すなわち、作製した5つの試験片及び無加工のポリエチレンフィルムをそれぞれエタノールに約1分間浸した後、45℃で4時間乾燥させた。次に、無機塩寒天平板培地に試験片をのせ、湿潤剤添加無機塩溶液を用いて調製した下記5種のかびの胞子を含む懸濁液(混合胞子懸濁液)0.1mLを試料(試験片)と寒天平板培地の全面に接種した。接種後、寒天平板培地を29±1℃、相対湿度95%以上で4週間培養した後、培養後の試験片表面を目視又は実態顕微鏡で観察して、下記表2に従いかび抵抗性を評価した。その結果を表3に示す。
<供試菌>
スペルギルス ニゲル(Aspergillus niger)NBRC 105649
ペニシリウム ピノヒルム(Penicillium pinophilum)NBRC 33285
ペシロミセス バリオッチ(Paecilomyces variotil)NBRC 33284
トリコデルマ ビレンス(Trichoderma virens)NBRC 6355
ケトミウム グロボスム(Chaetomium globosum)
また、上記混合胞子懸濁液の代わりに単一胞子懸濁液[ムコール ラセモサス(Mucor racemosus)NBRC 5403]を用いた以外は、上記[かび抵抗性試験]と同様の手順で、単一胞子懸濁液[ムコール ラセモサス(Mucor racemosus)NBRC 5403]に対するかび抵抗性も評価した。
Figure 2017100975
Figure 2017100975
表3の結果より、菌を29±1℃、相対湿度95%以上で4週間培養した場合であっても、本発明の試験片では、全てのかびに対して発育が観測されず、優れたかび抵抗性を示した。一方、無加工の試験片(ポリエチレンフィルム)では、全てのかびに対して発育が激しく、発育の程度は試験片の全面をかびが覆う程であった。
したがって、本発明に用いた水酸化カルシウムを90質量%以上含む焼成貝殻の消化粉末は、抗かび剤として作用することが確認された。

Claims (6)

  1. 合成樹脂を含む母材と、該母材中に混在する又は該母材表面に被覆された、水酸化カルシウムを90質量%以上含む焼成貝殻の消化粉末からなる抗かび剤とを有する、抗かび性製品。
  2. 前記焼成貝殻の消化粉末がホタテ貝殻又はその粉砕物を原料とする焼成貝殻の消化粉末である、請求項1に記載の抗かび性製品。
  3. 前記焼成貝殻の消化粉末が0.5〜10μmの平均粒径を有する微粉末形態である、請求項1又は請求項2に記載の抗かび性製品。
  4. 前記焼成貝殻の消化粉末の含有量が合成樹脂100質量部に対して、2.5質量%〜30質量%である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の抗かび性製品。
  5. 前記合成樹脂が熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の抗かび性製品。
  6. 前記抗かび性製品が食品包装用品である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の抗かび性製品。
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