JP2017102009A - 捕捉体交換機構および微粒子組成分析装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】微粒子組成分析装置において、捕捉体の交換時に減圧チャンバーを大気圧下に開放すると、再び減圧チャンバーの全体を真空引きして減圧状態に戻すには時間がかかり、測定のデッドタイムが長くなるという課題があった。【解決手段】捕捉体交換機構は、微粒子を捕捉するための捕捉体を保持するロッドと、捕捉体が設置される減圧空間に接続される補助空間の少なくとも一部を有する接続部とを備え、ロッドを移動させることにより、減圧空間の減圧状態を保ったまま、捕捉体を減圧空間から補助空間側に退避させて大気圧下に開放することができる。【選択図】図1
Description
本発明は、捕捉体交換機構および微粒子組成分析装置に関する。
大気中の粒子状物質(エアロゾル)の健康影響に関する関心が高まってきており、その成分、濃度等を分析する装置の開発が進められている。例えば特許文献2の技術においては、捕集効率の高い捕捉体に粒子を捉え、レーザーなどのエネルギー線の照射により粒子を加熱気化し、気化したガスをイオン化して質量分析により成分を分析する。
捕捉体は、エネルギー線を受けて溶融したり、ヒートショックの蓄積により構造的、化学的に変化したりして、使用を経るに従って初期の性能を保てなくなる。そこで、捕捉体を定期的に交換する必要を生じるが、交換時に減圧チャンバーを大気圧下に開放すると、再び減圧チャンバーの全体を真空引きして減圧状態に戻すには時間がかかり、測定のデッドタイムが長くなるという課題があった。
本発明の第1の態様における捕捉体交換機構は、微粒子を捕捉するための捕捉体を保持するロッドと、捕捉体が設置される減圧空間に接続される補助空間の少なくとも一部を有する接続部とを備え、ロッドを移動させることにより、減圧空間の減圧状態を保ったまま、捕捉体を減圧空間から補助空間側に退避させて大気圧下に開放することができる。
また、接続部は蛇腹機構を含み、蛇腹機構の内部空間も補助空間として機能するようにしても良い。接続部は、減圧空間を形成する減圧チャンバーに接続するためのカップリング部を含み、カップリング部の内側に補助空間の少なくとも一部が形成されていても良い。
ロッドは、減圧空間における捕捉体の設置位置を調整できるように構成しても良い。また、減圧空間内で捕捉体の保持と離脱とができるように構成しても良い。
補助空間を減圧させる補助ポンプを備えても良い。また、減圧空間と補助空間とを接続状態と隔絶状態に切替えられるゲートバルブを備え、ゲートバルブは、捕捉体が補助空間に退避した後に、接続状態から隔絶状態に切替えられるようにしても良い。
本発明の第2の態様における微粒子組成分析装置は、上記の捕捉体交換機構と、捕捉体と、減圧空間を減圧する排気装置と、微粒子を含む気体試料を取り込んで集束し、捕捉体へ向けて噴出する導入部と、捕捉体に対してレーザー光を照射するレーザー装置と、レーザー光の照射によって生成した試料ガスを分析するガス分析器とを備える。
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、使用時における微粒子組成分析装置100を表わす概略図である。微粒子組成分析装置100は、気体試料(エアロゾル)に含まれる微粒子の組成と濃度を分析するための装置である。
微粒子組成分析装置100は、エアロダイナミックレンズ10、スキマー12、捕捉体14、レーザー装置16、分析セル18、ガス分析器20、導入管30および交換機構50を主に備える。また、微粒子組成分析装置100は制御部24を備える。
微粒子組成分析装置100は、減圧チャンバーを備える。減圧チャンバーは、第1減圧チャンバー26a、第2減圧チャンバー26b、第3減圧チャンバー26c、退避チャンバー26dを有する。第1減圧チャンバー26aは、第1減圧空間を内部に形成する。第2減圧チャンバー26bは、第2減圧空間を内部に形成する。第3減圧チャンバー26cは、第3減圧空間を内部に形成する。退避チャンバー26dは、補助空間を内部に形成する。第1減圧チャンバー26aと第2減圧チャンバー26bとは、第1隔壁28で区切られている。また、第2減圧チャンバー26bと第3減圧チャンバー26cとは、第2隔壁29で区切られている。退避チャンバー26dは、使用時においては連通部35を介して第2減圧チャンバー26bと空間的に接続されている。
第1減圧チャンバー26aは、第1排気装置27aを含む。第2減圧チャンバー26bは、第2排気装置27bを含む。第3減圧チャンバー26cは、第3排気装置27cを含む。第1排気装置27a、第2排気装置27b、および第3排気装置27cは、第1減圧空間、第2減圧空間、および第3減圧空間を互いに異なる予め定められた内圧に減圧する。第1減圧空間、第2減圧空間、および第3減圧空間において予め定められた内圧のそれぞれは、例えば、10−3Torr、10−5Torr、および10−7Torrである。なお、使用時においては、補助空間は第2減圧空間と連通しているので、補助空間も第2減圧空間と同様に減圧される。
エアロダイナミックレンズ10は、第1減圧チャンバー26aの一側面から第1減圧空間に挿通されるように配設される。具体的には、エアロダイナミックレンズ10は、試料気体が導入される導入口側を第1減圧チャンバー26aの外に配し、粒子線10aを出射する出射口10c側を第1減圧チャンバー26aの内に配するように配設される。エアロダイナミックレンズ10は、試料気体を導く導入管30に接続されている。エアロダイナミックレンズ10は、導入管30から導入された気体中に含まれる微粒子を収束させ、粒子線10aとして出射する。微粒子組成分析装置100においてエアロダイナミックレンズ10は、試料気体を取り込む取込部の役割を担っている。エアロダイナミックレンズ10の詳細は、図を用いて後述する。
スキマー12は、第1減圧チャンバー26aと第2減圧チャンバー26bとを区切る第1隔壁28に設けられる。スキマー12は、頂点に連通孔12aが設けられた円錐形状の構造体であり、連通孔12aをエアロダイナミックレンズ10の出射口10cに向けて配置される。上述したように、第1減圧空間の内圧よりも第2減圧空間の内圧の方が低く設定されているため、連通孔12aを介して第1減圧空間から第2減圧空間へ流れる気流が生じる。スキマー12は、エアロダイナミックレンズ10から出射された粒子線10aが連通孔12aを通過するときに、粒子線10aに含まれる余剰気体の一部を除去する。
分析セル18は、前端部が第2減圧チャンバー26b内に配され、後端部が第2減圧チャンバー26bと第3減圧チャンバー26cとを区切る第2隔壁29に挿通されるように配設される。分析セル18の前端部にはスキマー部18aが設けられている。スキマー18aは、スキマー12と同様に、頂点に連通孔18bが設けられた円錐形状を成す。連通孔18bは、エアロダイナミックレンズ10の出射口10cとスキマー12の連通孔12aを結ぶ直線上に配置されている。スキマー部18aは、粒子線10aに含まれる余剰気体をさらに取り除く。
また、分析セル18の後端部も先細形状を成し、その端に微小孔18cを有する。このように、分析セル18の両端を先細形状とすることにより、微粒子組成分析装置100は、第2減圧チャンバー26bの第2減圧空間と第3減圧チャンバー26cの第3減圧空間の圧力差を維持し得る。したがって、分析セル18内には、第2減圧チャンバー26bから第3減圧チャンバー26cに向かう気流が生じる。また、分析セル18の中央部付近には捕捉体14が配置されており、捕捉体14で発生したガスが集められて微小孔18cに向かうように、分析セル18は、全体としてクランク形状を成す。
捕捉体14は、分析セル18内においてスキマー部18aの後方に配設される。捕捉体14は、粒子線10aの流入方向に対して、微粒子を捕捉する面が斜交するように配設される。捕捉体14は、詳しくは後述するが、メッシュ状の構造を有して、入射する粒子線10aに含まれる微粒子を捕捉する。
捕捉体14に入射した粒子線10aに含まれる個々の微粒子は、固有の確率でメッシュ構造に衝突する。メッシュ構造に衝突した微粒子は、その後、何度もメッシュ構造と衝突を繰り返し、衝突するごとに減速される。当該微粒子は、やがて速度を失い、最終的に捕捉体14に捕捉される。
レーザー装置16は、減圧チャンバー26の外部に配置される。レーザー装置16は、レーザー光16aを発振する。第2減圧チャンバー26bの外気雰囲気に接する側壁には光学窓32が設けられている。また、分析セル18の側壁には光学窓33が設けられている。レーザー装置16は、光学窓32および光学窓33を通して、レーザー光16aを捕捉体14に照射して、照射部分を加熱する。本実施形態において、レーザー光16aの一例は炭酸ガス(CO2)レーザーである。
レーザー装置16は、レーザー光16aによって捕捉体14に捕捉された微粒子を気化、昇華又は反応させて、脱離成分であるガスを生成する。ここで、「脱離成分」とは、捕捉体14による捕捉状態から脱離して、移動可能な状態になった成分をいう。以下の説明において、試料気体を導入したときの脱離成分であるガスを、試料ガスと称する場合がある。試料ガスの成分は、具体的には、微粒子の構成成分の酸化によって生じるCO2、H2O、NO2、およびSO2などである。
ガス分析器20は、第3減圧チャンバー26c内に配置される。ガス分析器20は、導入されたガスの成分を質量分析法により分析する分析器である。質量分析法は、検出下限が比較的低いため、微粒子の濃度が比較的低い試料気体に対しても良好に適用できる。なお、本実施例においては質量分析法によりガスの成分を分析する分析器を用いるが、分析対象となる試料気体における微粒子の濃度、種類などによっては、他の分析法によりガスの成分を分析する分析器も採用し得る。例えば、分析対象となる微粒子の濃度が高いときには、分光分析法による分析器を採用しても良い。
ガス分析器20は、イオン化領域20aを有する。ガス分析器20は、分析セル18の後端部に形成された先細形状の微小孔18cにイオン化領域20aが対向するように配置される。イオン化領域20aは、分析セル18から導入されたガスをイオン化して、ガス分析器20へ供給する。ガス分析器20は、導入されたガスの成分のそれぞれの含有量に応じた強度信号を周期的に演算部25へ出力する。
制御部24は、微粒子組成分析装置100の各構成要素の動作、処理を統括的に制御する。例えば、予め定められた周期に従って試料気体を捕捉体14へ導入し、捕捉体14をレーザー光16aで照射する。また、制御部24は、ガス分析器20の出力を演算する演算部25を含む。演算部25は、制御部24がガス分析器20から取得した特定成分の含有量に応じた強度信号を用いて、さまざまな演算を実行する。
上述のように、捕捉体14は、エアロダイナミックレンズ10から出射された微粒子を捕捉し、レーザー光16aの照射を受ける。レーザー光16aのエネルギーは、微粒子を瞬間的に気化させる程の大きさであり、したがって、捕捉体14は、使用条件等によってはメッシュ構造が溶融して変化し、微粒子の捕捉性能が低下する。また、レーザー光16aの照射は、断続的に行われることもあり、メッシュ構造にヒートショックが蓄積する場合もある。さらには、捕捉する微粒子の成分により、メッシュ構造に化学的な変化をもたらしたり、後の分析に影響を与えたりする場合もある。そこで、捕捉体14は、劣化の度合いに応じて、あるいは定期的に、新しいものに交換される必要がある。
捕捉体14は、上述のように、第2減圧チャンバー26bの第2減圧空間内に設置されているので、従来の装置構成において捕捉体14を取り出すためには、第2減圧空間を大気圧下に開放しなければならなかった。第2減圧空間を一旦大気圧下に開放すると、再び減圧状態に戻すために、第2排気装置27bにより真空引きをやり直す必要があり、この時間が測定のデッドタイムとなり、作業効率の低下を招くことになる。また、減圧空間を外気に晒すことになるので、内部要素の汚染や劣化の原因にもなり得る。
そこで、本実施形態における微粒子組成分析装置100は、捕捉体14の交換のために交換機構50を備える。交換機構50を用いれば、第2減圧空間の減圧状態を維持したまま、捕捉体14の交換を行うことができる。
図1の状態は、捕捉体14が、微粒子組成分析装置100の使用状態における、予め定められた正規の位置に設置されている様子を表わしている。なお、説明をわかりやすくするため、第2減圧チャンバー26bの壁面の一部に厚みを持たせて断面で表わしている。断面部は、交換機構50の要素の断面と共に、ハッチングで表わしている。この状態における交換機構50について説明する。
交換機構50は、主に、カップリング部51、ベローズ58、ベースフランジ59およびロッド55によって構成される。カップリング部51は、接続フランジ52と胴体部53を含む。接続フランジ52は、胴体部53から外側へ鍔状に拡張された形状を成し、ビス61を介して、第2減圧チャンバー26bの壁面に設けられた取付部36へ固定されている。カップリング部51には、取付部36側にオープンな内部空間が設けられている。この内部空間は、後述するように捕捉体14が退避する補助空間である。カップリング部51は、剛性の高い例えばジュラルミンによって形成されており、補助空間は減圧に耐える退避チャンバー26dとして機能する。接続フランジ52の取付部36と接する面には、Oリング57が、補助空間の開口部を取り囲むように設けられている。Oリング57が押圧されてビス締めされることにより、補助空間は気密に保たれる。
ロッド55は、退避チャンバー26dの内部を貫通するように設けられ、カップリング部51の後端側(取付部36側とは反対側)に設けられた貫通孔53aから、その後端側が突出している。ロッド55は、貫通孔53aにガイドされて、その軸方向に移動することができる。ロッド55の後端は、ベースフランジ59に固定されている。使用者は、ベースフランジ59を掴んで押したり引いたりすると、ロッド55を軸方向に移動させることができる。
カップリング部51の後端部とベースフランジ59とは、蛇腹機構を成すベローズ58によって接続されている。ロッド55は、ベローズ58の内側に位置する。カップリング部51の後端部とベースフランジ59とベローズ58に囲まれる、ロッド55が貫通する内部空間は、減圧にも耐える気密空間となるように、シーリングが施されている。図の状態のように、使用者がロッド55を押し込んだ状態では、ベローズ58の蛇腹機構は折り畳まれている。なお、この内部空間を気密空間とするのは、貫通孔53aを介して補助空間と連通するからであり、この内部空間も退避チャンバー26dの一部となり得るからである。
取付部36に隣接してゲートバルブ34が設けられている。ゲートバルブ34は、第2減圧チャンバー26bの第2減圧空間と退避チャンバー26dの補助空間とを、空間的に接続したり隔絶したりする可動隔壁である。図1においては、ゲートバルブ34は退避しており、第2減圧空間と補助空間が接続状態である様子を示す。したがって、補助空間も、第2排気装置27bによって、第2減圧空間と同じ圧力に減圧されている。
ロッド55の先端には、捕捉体14を保持するヘッド55aが設けられている。捕捉体14の取付面は、ロッドの軸方向に対して予め定められた角度に傾斜するように形成されている。捕捉体14には取付面と接する裏面側に位置決めピンが設けられており、取付面に設けられた位置決め孔に当該位置決めピンを嵌合させることにより、捕捉体14は取付面に固定される。なお、固定方法はこれに限らず、様々な方法を採用し得る。例えば接着剤によって固定しても良い。
ロッド55は、捕捉体14が予め定められた正規の位置に静置されるように、移動を規制するロック機構を有する。ロック機構は、例えば、折り畳まれたベローズ58が開こうとする付勢力を抑えて所定の位置に留めるフックにより構成される。また、例えば捕捉体14の種類に応じて複数の位置でロッド55を留められるように、ロッドの停止位置を複数に設定しても良い。この場合は、フックの掛止部を停止位置に応じて複数設ければ良い。
図2は、捕捉体14の交換作業時における微粒子組成分析装置100を表わす概略図である。使用者がベースフランジ59を取付部36とは反対の外側方向へ引っ張ると、ベローズ58の蛇腹機構が開き、ロッド55も外側方向へ移動する。やがてヘッド55aは貫通孔53aの開口付近まで到達し、ヘッド55aは、捕捉体14ごと退避チャンバー26dの補助空間内に収容される。
使用者は、捕捉体14を補助空間に収容したら、ゲートバルブ34を内部方向へ移動させて、第2減圧空間と補助空間を隔絶状態に切り替える。隔絶状態に切り替えた後に、ビス61を取り外せば、交換機構50を微粒子組成分析装置100から脱離させることができる。このとき、第2減圧空間は、ゲートバルブ34によって密閉空間となっているので外気が進入することはなく、減圧状態が維持される。
交換機構50が脱離されると、退避チャンバー26dは大気圧下に開放され、使用者は捕捉体14を取り出すことができる。捕捉体14を取り出しやすいように、ベローズ58の蛇腹機構を少し畳んで、退避チャンバー26dから捕捉体14を若干突き出させても良い。
図3は、交換機構50の外観斜視図である。図示するように、接続フランジ52には、ビス61を貫通させるビス孔52aが円周方向に4つ設けられている。また、胴体部53は、円筒状に形成されており、接続フランジ52と一体的にカップリング部51を成す。カップリング部51の内部は補助空間が形成され全体として退避チャンバー26dとして機能する。
胴体部53は、接続部側を開口部とするカップ形状であり、カップの底の中心部に貫通孔53aが設けられている。本実施形態においては、ロッド55が軸方向に安定的に直進するように、底部を肉厚にして、すなわち貫通孔53aを深く形成して、ロッド55の嵌合長を確保している。すなわち、貫通孔53aをロッド55の案内部としている。しかし、案内部を他に設ければ胴体部53をカップ状に形成しなくても良く、例えば円筒状に形成して、ベローズ58の内部空間と合わせて補助空間を形成するようにしても良い。
ここで捕捉体14について説明する。捕捉体14は、分析対象となる試料気体における微粒子を捕捉するためのユニットである。捕捉体14は、微粒子を捕捉する本体であるメッシュ14aと、メッシュ14aを支持する支持枠体14bを含む。メッシュ14aは、全体で例えばφ3mmからφ8mmであり、金属、合金、またはその化合物の繊維よりなる不織布が用いられる。また、微細加工によって形成したメッシュシートを利用しても良い。メッシュの線幅は1μmから10μmであり、孔開きは一辺が10μmから100μmの四角形を成す。また、複数のメッシュを層状に重ねても良い。支持枠体14bは、縦横の一辺が5mmから8mmの四角形であって、厚さが100μmから300μm程度の形状である。メッシュ14aが張られた支持枠体14bを複数重ね合わせて捕捉体14を形成しても良い。また、メッシュ14aを層状に重ねる場合には、互いに孔開きの大きさを異ならせても良い。
次に、エアロダイナミックレンズ10について説明する。図4は、エアロダイナミックレンズ10を説明するための概略図である。エアロダイナミックレンズ10は、円筒状の外観構造である筐体10iを有する。筐体10iの一端の側面には、外部から試料空気等が導入される導入口10bが設けられる。また、筐体10iの他端の側面には、粒子線10aを出射する出射口10cが設けられる。エアロダイナミックレンズ10は、筐体10i内に、オリフィス10d、10e、10f、10g、10hを有する。オリフィス10dからオリフィス10hは、中心に貫通孔を有するドーナツ形状の板材である。図2に示すように、オリフィス10dからオリフィス10hに向かって、それぞれの貫通孔の径は小さくなるように構成される。
図1を用いて説明したように、導入口10bと出射口10cは、それぞれ第1減圧チャンバー26aの外側と内側に配設される。したがって、導入口10bと出射口10cにおける圧力差によって、試料空気は、導入口10bから出射口10cへ向かって流れる。エアロダイナミックレンズ10を通り抜けるときに、試料空気の媒質である空気は、拡散しながら移動する。このため、気体としての空気は、各オリフィスによって移動が妨げられる。
一方、固体もしくは液体で構成される微粒子は、直進性が高い。このため、微粒子は、初段のオリフィス10dを通過した後には、2段目以降のオリフィス10eからオリフィス10hによって移動が大きく妨げられることがない。また、上述したようにオリフィス10dからオリフィス10hに向かって貫通孔の径は次第に小さくなるので、流路は、導入口10bか出射口10cに向かって絞られる。したがって、導入口10bから導入された試料空気に含まれる微粒子は、ビーム状に並んで出射口10cから出射される。
次に変形例を説明する。図5は、変形例に係る微粒子組成分析装置100'を表わす概略図である。特に、図2と同様に捕捉体14の交換作業時における様子を表わす。上記の実施形態と異なるのは、取付部36'が、補助空間の一部を形成し、捕捉体14は、この補助空間に退避される点である。上記の交換機構50では、カップリング部51が胴体部53を含み、この胴体部の内部に補助空間が形成されたが、変形例に係る交換機構70では、カップリング部は接続フランジ72単独によって構成される。その分、ベローズ78は、交換機構50のベローズ58よりも蛇腹機構が長めにつくられている。
図6は、変形例に係る交換機構70の外観斜視図である。交換機構70は、交換機構50と異なり、ガイド部73を備える。ガイド部73は、ロッド55を案内するシリンダー73aを接続フランジ72の開口の中央部に有する。また、シリンダー73aを接続フランジ72から支持する4本の梁73bを有する。また、ベローズ78は、接続フランジ72に取り付けられてシーリングされている。その他の構成は、交換機構50と同様であるので、同じ符番を付して説明を省略する。
交換機構70は、取付部36'に取り付けられた場合に、取付部36'が形成する空間とベローズ78の内部の空間とが連通する。これらは一体となって補助空間を形成し、微粒子組成分析装置100'の使用時においては、第2減圧空間と共に減圧される。この場合、ベローズ78も接続部の一部を構成すると言える。
以上説明した微粒子組成分析装置100、100'では、使用者がベースフランジ59を把持して押したり引いたりすることによりロッド55を移動させたが、アクチュエータによりロッド55を移動させる構成としても良い。例えば、ロッド55の軸部を軸方向に沿って交互にN極S極となるように着磁しておき、外部のコイルを制御して磁気を与えれば、非接触でロッド55を移動させることができる。ロッド55をアクチュエータで移動させる場合は、制御部24により制御を行えば良い。
また、上記の微粒子組成分析装置100、100'では、使用時もヘッド55aが捕捉体14を保持しているが、使用時には捕捉体14をヘッド55aから切り離してロッド55を退避させる構成にしても良い。この場合は、ヘッド55aに捕捉体14を切り離す切離機構を設ける。例えば、捕捉体14の裏面を磁性素材として、ヘッド55aを電磁石とする。捕捉体14を正規の位置に到達させたら、電磁石の作用を停止して捕捉体14を切り離す。
また、上記の微粒子組成分析装置100、100'では、補助空間も第2排気装置27bにより減圧したが、補助空間を減圧する補助ポンプを備えても良い。補助ポンプを備えていれば、交換後に捕捉体14を第2減圧空間の正規位置に配置するときに、ゲートバルブ34を開放する前に補助空間を減圧できるので、第2減圧空間の減圧状態を一定に保つことができる。なお、ゲートバルブ34は、連通部35から完全に退避する形式のものに限らず、例えば2つの回転板を第1位相に合わせると連通状態となり、第2位相に合わせると連通状態となる形式のものであっても良い。
本実施形態においては、交換機構50、70が微粒子組成分析装置100、100'に適用される場合を説明したが、交換機構50、70は、微粒子を捕捉する捕捉体14が減圧下で利用される装置全般に適用できる。微粒子の捕捉を必須とする装置においては、一般的に捕捉体の交換を効率的に行うことが要求されているので、微粒子の分析装置に限らず、他の装置にも同様に展開することができる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
10 エアロダイナミックレンズ、10a 粒子線、10b 導入口、10c 出射口、12 スキマー、12a 連通孔、14 捕捉体、14a メッシュ、14b 支持枠体、16 レーザー装置、16a レーザー光、18 分析セル、18a スキマー部、18b 連通孔、18c 微小孔、20 ガス分析器、20a イオン化領域、24 制御部、25 演算部、26a 第1減圧チャンバー、26b 第2減圧チャンバー、26c 第3減圧チャンバー、26d 退避チャンバー、27a 第1排気装置、27b 第2排気装置、27c 第3排気装置、28 第1隔壁、29 第2隔壁、30 導入管、32 光学窓、33 光学窓、34 ゲートバルブ、35 連通部、36、36' 取付部、50 交換機構、51 カップリング部、52 接続フランジ、52a ビス孔、53 胴体部、53a 貫通孔、55 ロッド、55a ヘッド57 Oリング、58 ベローズ、59 ベースフランジ、61 ビス、70 交換機構、72 接続フランジ、73 ガイド部、73a シリンダー、73b 梁、78 ベローズ、100、100' 微粒子組成分析装置
Claims (8)
- 微粒子を捕捉するための捕捉体を保持するロッドと、
前記捕捉体が設置される減圧空間に接続される補助空間の少なくとも一部を有する接続部と
を備え、
前記ロッドを移動させることにより、前記減圧空間の減圧状態を保ったまま、前記捕捉体を前記減圧空間から前記補助空間側に退避させて大気圧下に開放することができる捕捉体交換機構。 - 前記接続部は、蛇腹機構を含み、
前記蛇腹機構の内部空間も前記補助空間として機能する請求項1に記載の捕捉体交換機構。 - 前記接続部は、前記減圧空間を形成する減圧チャンバーに接続するためのカップリング部を含み、前記カップリング部の内側に前記補助空間の少なくとも一部が形成されている請求項1または2に記載の捕捉体交換機構。
- 前記ロッドは、前記減圧空間における前記捕捉体の設置位置を調整できる請求項1から3のいずれか1項に記載の捕捉体交換機構。
- 前記ロッドは、前記減圧空間内で前記捕捉体の保持と離脱とが可能である請求項1から4のいずれか1項に記載の捕捉体交換機構。
- 前記補助空間を減圧させる補助ポンプを備える請求項1から5のいずれか1項に記載の捕捉体交換機構。
- 前記減圧空間と前記補助空間とを接続状態と隔絶状態に切替えられるゲートバルブを備え、
前記ゲートバルブは、前記捕捉体が前記補助空間に退避した後に、前記接続状態から前記隔絶状態に切替えられる請求項1から6のいずれか1項に記載の捕捉体交換機構。 - 請求項1から7のいずれか1項に記載の捕捉体交換機構と、
前記捕捉体と、
前記減圧空間を減圧する排気装置と、
前記微粒子を含む気体試料を取り込んで集束し、前記捕捉体へ向けて噴出する導入部と、
前記捕捉体に対してレーザー光を照射するレーザー装置と、
前記レーザー光の照射によって生成した試料ガスを分析するガス分析器と
を備える微粒子組成分析装置。
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