本発明の実施の形態に係る電気コネクタ10について図面を参照して詳細に説明する。電気コネクタ10は、全体として略平板状の直方体であり、その形状について長手方向、短手方向、厚み方向を有している。なお、各図において、電気コネクタ10の短手方向をx軸方向、長手方向をy軸方向、厚み方向をz軸方向とする直交座標系(xyz座標系)を設定し、この座標系を適宜参照する。また、各軸の矢印方向を+(プラス)で表し、その反対方向を−(マイナス)で表す。
図1及び図2に示すように、電気コネクタ10は、平板状の直方体であるハウジング11と、ハウジング11に配置された複数のコンタクト12と、ハウジング11に対して回動可能に取り付けられたアクチュエータ13と、ハウジング11の長手方向の両側端に各々配置されたロック部14と、を備える。
ハウジング11は、樹脂等の絶縁材から構成され、例えば電子機器等の配線基板に、−z側の面を向けて配置される。ハウジング11では、板状の信号伝達部材の一例であるFPC50(図3参照)を差し込み可能な差込口15が−x側の面に形成されている。差込口15では、開口断面が長手方向に延びており、手前側の開口が広く、奥側の開口が狭くなっている。また、ハウジング11では、差込口15の逆側に、後述する第2のコンタクト12bを挿入するための挿入口16が設けられている。
図3に示すように、ハウジング11の差込口15に差し込まれるFPC50は、その一方面に、配線に接続された電極51を有する。電極51として、FPC50の一端側に設けられた第1の電極51aと、FPC50の一端側から離れて設けられた第2の電極51bと、が設けられている。また、FPC50には、ロック部14に係止される切り欠き部52が形成されている。
ハウジング11には、差込口15に差し込まれるFPC50を配線基板側(下側)から受ける平板状の下受部11aが設けられている。下受部11aは、コンタクト12の短手方向に延設され、且つ、コンタクト12の配列方向に延設されている。下受部11aには、コンタクト12が載置される載置面Saが設けられている。
また、ハウジング11は、下受部11aの載置面Saに複数のリブ部11bが設けられている。各リブ部11bはハウジング11の短手方向に延設されており、ハウジング11の長手方向に等間隔で平行に配列されている。下受部11aと各リブ部11bにより、複数のコンタクト12を保持するためにハウジング11の長手方向に配列されハウジング11の短手方向に延びる凹み状の複数の溝Zaが形成される。
差込口15を挟んでハウジング11の下受部11aの逆側には、上板部11cが設けられている。上板部11cの下受部11aと対向する面にも、リブ部11bに対向して、リブ部11dが設けられており、上板部11c及びリブ部11dにより、溝Zaに対応する溝Zbが形成されている。
コンタクト12は、板状の金属等から形成される導電体であって、弾性を有している。コンタクト12には、2種類のものが用いられている。第1のコンタクト12aと第2のコンタクト12bである。第1のコンタクト12aは、ハウジング11に差し込まれたFPC50の第1の電極51aに対応する位置に配置されている。第2のコンタクト12bは、ハウジング11に差し込まれたFPC50の第2の電極51bに対応する位置に配置されている。これにより、第1のコンタクト12a及び第2のコンタクト12bは、ハウジング11の長手方向(y軸方向)に交互に配置される。
第1のコンタクト12aは、電気コネクタ10の組み立ての際(アクチュエータ13がハウジング11に取り付けられる前に)、差込口15から挿入され、差込口15手前側から差込口15奥側にスライドするようにして、ハウジング11に挿入される。
一方、第2のコンタクト12bは、電気コネクタ10の組み立ての際(アクチュエータ13がハウジング11に取り付けられる前に)、挿入口16から挿入され、差込口15奥側から差込口15手前側にスライドするようにしてハウジング11に挿入される。
このとき、第1のコンタクト12a及び第2のコンタクト12bは、ハウジング11の溝Zaに挿入され及び溝Zbに圧入又はハウジング11に係止されることで、ハウジング11に対して固定された状態になる。
第1のコンタクト12aは、図4(A)乃至図4(E)に示すように、一対のビーム(下ビーム12ab、上ビーム12au)を備える。下ビーム12abは、上ビーム12auよりも長くなっている。図6(A)のA−A断面図である図6(B)に示すように、下ビーム12ab及び上ビーム12auは、ハウジング11の短手方向に延設されている。下ビーム12abは、溝Za側に嵌め込まれ、上ビーム12auは、溝Zb側に嵌め込まれる。下ビーム12abには、係止部12ah1、12ah2が設けられており、この係止部12ah1、12ah2により、下ビーム12abがハウジング11に係止され固定される。
さらに、第1のコンタクト12aは、下ビーム12abと上ビーム12auとをそれらの中央付近で接続する接続部12asを備える。下ビーム12abと上ビーム12auとが接続部12asで接続されることで、第1のコンタクト12aの外形は、略H字状を成している。
下ビーム12abは、接続部12asを境界として、一方側(差込口15側)の前方下ビーム12abfと、他方側(挿入口16側)の後方下ビーム12abbとに分けられる。また、上ビーム12auは、接続部12asを境界として、一方側(差込口15側)の前方上ビーム12aufと他方側(挿入口16側)の後方上ビーム12aubとに分けられる。
後方下ビーム12abb及び後方上ビーム12aubは、ハウジング11の挿入口16側に配置されている。後方下ビーム12abbと後方上ビーム12aubとの間には、後述するアクチュエータ13における断面形状が略楕円様をなすカム部13cが位置している。
後方下ビーム12abb及び後方上ビーム12aubで、アクチュエータ13のカム部13cを保持することで、アクチュエータ13は、ハウジング11に対して回動可能である。このため、カム部13cは、アクチュエータ13の回動に合わせて軸心13d周りに回転可能であり、また、後方上ビーム12aubは、カム部13cの直上位置に設けられたスリット13e(図6(B)及び図6(C)参照)に挿通されている。
図6(B)に示すように、前方下ビーム12abf及び前方上ビーム12aufは、ハウジング11の差込口15の内周に配置されている。前方下ビーム12abfは、ハウジング11の短手方向に延設されており、リブ部11bで形成された溝Zaに接触し保持されている。前方上ビーム12aufは、ハウジング11の短手方向に延設されており、溝Zb内に嵌合して保持されている。
前方上ビーム12aufの差込口15手前側の端部には、第1の信号接点部12aucが設けられている。第1の信号接点部12aucはハウジング11に差し込まれたFPC50の第1の電極51aに向かって凸状であり、第1の信号接点部12aucの一部は、突出した状態でハウジング11から露出している。第1の信号接点部12aucは、第1の電極51aに接触可能に配置されている。
コンタクト12の配列方向に平行な、第1の信号接点部12aucの厚みは、コンタクト12の配列方向に平行な、前方上ビーム12aufの厚みよりも薄くなっている。これにより、図7(A)に示すように、第1の信号接点部12aucと溝Zbの壁面(リブ11dによって形成される壁面)との間に隙間が形成される。
一方、前方下ビーム12abfは、前方上ビーム12aufと共に、ハウジング11に差し込まれたFPC50を挟持できるよう第1の信号接点部12aucと対向する位置に、第1の接触部12abcを備える。第1の接触部12abcは、ハウジング11に差し込まれたFPC50の他方の面に向かって凸状であり、ハウジング11に差し込まれたFPC50の他方面に接触可能に配置されている。コンタクト12の配列方向に平行な、第1の接触部12abcの厚みは、コンタクト12の配列方向に平行な、前方下ビーム12abfの厚みよりも薄くなっている。これにより、図7(B)に示すように、第1の接触部12abcと溝Zaの壁面(リブ部11bによって形成される壁面)との間に隙間dが形成される。
コンタクト12の配列方向における第1の信号接点部12aucの厚みと第1の接触部12abcの厚みとは、同じである。厚みを同じとすることにより、FPC50を安定して狭持することができる。また、第1の信号接点部12aucの厚みと第1の接触部12abcの厚みとは、コンタクト12の中で最も薄くなっている。こうすることにより、ハウジング11のコンタクト12間の壁(リブ11b、11d)の厚みを維持し、コンタクト12の配列ピッチを一定としつつ、ハウジング11の壁面と第1の信号接点部12auc及び第1の接触部12abcとの隙間dをより広くとることができるので、後述するθずれを発生しにくくするとともにフラックス上がりを確実に防止することができる。
前方下ビーム12abfは、差込口15手前側の端部に、例えば電子機器等の配線基板の電極にハンダ付けされる(電極に接続可能な)第1の基板接続部12a_sub_cを備える。第1の基板接続部12a_sub_cは、接続面を除いて全面露出した状態となっている。第1の基板接続部12a_sub_cと係止部12ah1との間には、ハンダを逃がすための空隙が設けられている。
続いて、図5(A)乃至図5(E)に示すように、第2のコンタクト12bは、一対のビーム(下ビーム12bb、上ビーム12bu)を備える。下ビーム12bbは、上ビーム12buよりも長くなっている。図6(A)のB−B断面図である図6(C)に示すように、下ビーム12bb及び上ビーム12buは、ハウジング11の短手方向に延設されている。下ビーム12bbは、溝Za側に嵌め込まれ、上ビーム12buは、溝Zbに嵌め込まれる。下ビーム12bbには、係止部12bh1が設けられている。係止部12bh1はハウジング11と係止し、後方下ビーム12bbbの一部はハウジング11の長手方向に湾曲している。係止部12bh1の係止と、後方下ビーム12bbbの湾曲部分が溝Zb内に圧入されることにより下ビーム12bbがハウジング11内に固定される。
さらに、第2のコンタクト12bは、下ビーム12bbと上ビーム12buとをそれらの中央付近で接続する接続部12bsを備える。下ビーム12bbと上ビーム12buとが接続部12asで接続されることで、第2のコンタクト12bの外形は、略H字状を成している。
下ビーム12bbは、接続部12bsを境界として、一方側(差込口15側)の前方下ビーム12bbfと、他方側(挿入口16側)の後方下ビーム12bbbとに分けられる。また、上ビーム12buは、接続部12bsを境界として、一方側(差込口15側)の前方上ビーム12bufと他方側(挿入口16側)の後方上ビーム12bubとに分けられる。
上下のビーム組(後方下ビーム12bbb及び後方上ビーム12bub)は、ハウジング11の挿入口16側に配置されている。後方下ビーム12bbbと後方上ビーム12bubとの間には、後述するアクチュエータ13における断面形状が略楕円様をなすカム部13cが位置している。
後方下ビーム12bbb及び後方上ビーム12bubで、アクチュエータ13のカム部13cを保持することで、アクチュエータ13は、ハウジング11に対して回動可能となる。このため、カム部13cは、アクチュエータ13の回動に合わせて軸心13d周りに回転可能であり、また、第2のコンタクト12bの他方側にある後方上ビーム12bubは、カム部13cの直上位置に設けられたスリット13e(図6(B)及び図6(C)参照)に挿通されている。
図6(C)に示すように、差込口15側にある上下のビーム組(前方下ビーム12bbf及び前方上ビーム12buf)は、ハウジング11の差込口15の内周に配置されている。前方下ビーム12bbfは、ハウジング11の短手方向に延設されており、リブ部11bで形成された溝Zaに接触し保持されている。前方上ビーム12bufは、ハウジング11の短手方向に延設されており、溝Zb内に嵌合して保持されている。
前方上ビーム12bufの差込口15手前側の端部には、第2の信号接点部12bucが設けられている。第2の信号接点部12bucはハウジング11に差し込まれたFPC50の第2の電極51bに向かって凸状であり、第2の信号接点部12bucの一部が突出した状態で露出している。第2の信号接点部12bucは、第2の電極51bに接触可能に配置されている。コンタクト12の配列方向に平行な第2の信号接点部12bucの厚みは、コンタクト12の配列方向に平行な後方上ビーム12bubの厚みよりも薄くなっている。これにより、図7(C)に示すように、第2の信号接点部12bucと溝Zbの壁面(リブ部11dにより形成される壁面)との間に隙間dが形成される。
一方、前方下ビーム12bbfは、第2の信号接点部12bucと対向する位置に、第2の接触部12bbcを備える。第2の接触部12bbcは、ハウジング11に差し込まれたFPC50の他方の面に向かって凸状であり、ハウジング11に差し込まれたFPC50の他方面に接触可能に配置されている。コンタクト12の配列方向に平行な第2の接触部12bbcの厚みは、コンタクト12の配列方向に平行な前方下ビーム12bbfの厚みよりも薄くなっている。図7(D)に示すように、これにより、第2の接触部12bbcと溝Zaとの間に隙間dが形成される。
コンタクト12の配列方向における第2の信号接点部12bucの厚みと第2の接触部12bbcの厚みとは同じであり、厚みを同じとすることにより、FPC50を安定して狭持することができる。また、第2の信号接点部12bucの厚みと第2の接触部12bbcの厚みとは、コンタクト12の中で最も薄くなっている。このようにすれば、ハウジング11のコンタクト12間の壁(リブ11b、11d)の厚みを維持し、コンタクト12の配列ピッチを保ちながら、ハウジング11の壁面と第1の信号接点部12auc及び第1の接触部12abcとの隙間dをより大きくすることができるので、後述するθずれを発生しにくくするとともにフラックス上がりを確実に防止することができる。
また、後方下ビーム12bbbは、ハウジング11の挿入口16側の端部に(差込口15奥側の端部に)、例えば電子機器等の配線基板の電極にハンダ付けされる第2の基板接続部12b_sub_cを備える。第2の基板接続部12b_sub_cは、接続面を除いて全面露出した状態となっている。第2の基板接続部12b_sub_cと係止部12bh1との間には、ハンダを逃がすための空隙が設けられている。
アクチュエータ13は、例えば、図1、図2に示すように、ハウジング11の挿入口16側(差込口15側とは反対側)に配置されている。アクチュエータ13は、図6(A)、図6(B)及び図6(C)に示すように、ハウジング11の長手方向(y軸方向)に沿って延在する操作部13aを備える。
また、アクチュエータ13には、第1のコンタクト12a及び第2のコンタクト12bを作動させ、その断面が直交する短軸と長軸とからなる複数のカム部13cが一体的に設けられる。カム部13cは、前述の通り、第1のコンタクト12aの他方側にある一対のビーム(後方上ビーム12aub及び後方下ビーム12abb)及び第2のコンタクト12bの他方側にある一対のビーム(後方上ビーム12bub及び後方下ビーム12bbb)に保持される。
上述した各部材からなる電気コネクタ10の接続動作について説明する。配線基板の電極に少なくとも第1の基板接続部12a_sub_c及び第2の基板接続部12b_sub_cが半田付けにより既に接続された電気コネクタ10において、アクチュエータ13が、例えば、図8に示す開放状態のとき(アクチュエータ13がFPC50の差し込み方向に対して略垂直な状態のとき)、第1のコンタクト12a、第2のコンタクト12bにおけるカム部13cを挟む各一対のビーム(後方下ビーム12abb及び後方上ビーム12aub、後方下ビーム12bbb及び後方上ビーム12bub)は、図6(B)及び図6(C)に示すように、カム部13cの断面上の短軸を形成する2点を挟んでいる。
これにより、第1のコンタクト12a、第2のコンタクト12bの前方の各一対のビーム(前方下ビーム12abf及び前方上ビーム12auf、前方下ビーム12bbf及び前方上ビーム12buf)の間隔が、アクチュエータ13がロック状態のときよりも広くなっている(アクチュエータ13がFPC50の差し込み方向に対して略水平な状態のときよりも広くなっている)。
このため、FPC50に対してコンタクト12の接触圧力が掛かっていない、あるいは微少に掛かっている状態になるので、ユーザは、図9に示すように、ハウジング11の差込口15にFPC50を差し込んで、FPC50をハウジング11に収容することができる(+x方向に移動させることができる)。
開放状態のアクチュエータ13を、図6(B)及び図6(C)の矢印に示すように、操作者が回動操作すると、アクチュエータ13は、図10(A)に示すように、FPC50の差し込み方向に対して略水平な状態、即ち、ロック状態になる。アクチュエータ13が開放状態からロック状態に回動操作されている最中、アクチュエータ13のカム部13cは、軸心13dを中心に回転する。
アクチュエータ13がロック状態のとき、第1のコンタクト12aの他方側にある一対のビーム(後方上ビーム12aub及び後方下ビーム12abb)は、カム部13cの断面上の長軸を形成する2点を挟むようになる。これにより、第1のコンタクト12aの他方側にある後方上ビーム12aubが押し上げられる。
同様に、アクチュエータ13がロック状態のとき、第2のコンタクト12bの他方側にある一対のビーム(後方上ビーム12bub及び後方下ビーム12bbb)は、カム部13cの断面上の長軸を形成する2点を挟むようになる。これにより、第2のコンタクト12bの他方側にある後方上ビーム12bubが押し上げられる。
この押し上げにより、第1のコンタクト12aの前方上ビーム12auf、及び、第2のコンタクト12bの前方上ビーム12bufが揺動する。このとき、第1のコンタクト12aの一方側にある一対のビーム(前方上ビーム12auf、前方下ビーム12abf)の間隔、及び、第2のコンタクト12bの一方側にある一対のビーム(前方上ビーム12buf、前方下ビーム12bbf)の間隔は、アクチュエータ13が開放状態のときよりも狭くなる。従って、第1の信号接点部12auc及び第1の電極51aと、第2の信号接点部12buc及び第2の電極51bとが、接触状態になる(FPC50に対してコンタクト12の接触圧が掛かった状態となる)。すなわち、カム部13cの回動によるコンタクト12a、12bへの押圧によって、第1、第2の信号接点部12auc、12bucと第1の電極51a、第2の電極51bとの接触が実現される。
また、アクチュエータ13がロック状態になると、ロック部14は、第1、第2のコンタクト12a、12bと同じような構造を有しているので、ロック部14は、カム部13cの駆動により、切り欠き部52に係止される。従って、FPC50がハウジング11に正規の位置に収容された状態になり、FPC50の抜去方向となる−x方向の移動が規制され、ハウジング11に対して収容が完了し、FPC50の第1の電極51a及び第2の電極51bと配線基板の各々に対応する電極とが接続された状態になる。
上述した電気コネクタ10の作用について、説明する。
図10(A)のD−D断面図である図10(B)に示すように、FPC50が、差込口15に正常に差し込まれた場合には、第1の電極51aは、第1のコンタクト12aのみと接触し、第2の電極51bは、第2のコンタクト12bのみと接触する。しかしながら、実際には、図10(A)のD−D断面図である図10(C)に示すように、FPC50が差込口15に傾斜して差し込まれる場合もある。
このような場合、例えば、コンタクト12の配列方向における第2の信号接点部12bucの厚みが、他の部分と同じであれば、図11(A)に示すように、第2の信号接点部12bucがFPC50との接触する部分(斜線部分)は、第1の電極51aと第2の電極51b双方にまたがるようになり、両者が短絡してしまう可能性が高くなる。
そこで、本実施の形態では、第1の信号接点部12auc及び第2の信号接点部12bucのコンタクト12の配列方向の厚みが、他の部分よりも薄くなっている。このため、例えば図11(B)に示すように、FPC50に図11(A)と同じ角度でθずれが発生しても、第2の信号接点部12bucがFPC50との接触する部分(斜線部分)は、第1の電極51aと接触するおそれが低くなるので、電極間の短絡が発生する可能性を低減することができる。
θずれは、第1、第2のコンタクト12a,12bの配置間隔を短縮化(狭ピッチ化)すればするほど無視できない課題となる。本実施の形態に係る電気コネクタ10は、狭ピッチ化に適している。
また、上述のように、第1の基板接続部12a_sub_cは、電気コネクタ10が実装される配線基板にハンダ付けされる。この場合、フラックスが毛細管現象により第1のコンタクト12aとリブ部11b、11d等の間を伝わって、いわゆるフラックス上がりが発生するおそれがある。しかしながら、図7(B)に示すように、第1の接触部12abcとリブ部11bとの間に、毛細管現象が起きない程度の大きな隙間dが設けられているので、フラックスがそれ以上伝わらなくなる。従って、本実施の形態の電気コネクタ10によれば、フラックスが上ビーム12auの第1の信号接点部12aucに付着して、接点不良が発生するのを防止することができる。第1の接触部12abcも同様である(図7(B)参照)。
また、本実施の形態の電気コネクタ10によれば、第2の基板接続部12b_sub_cが配線基板の電極にハンダ付けされると、フラックスが、毛細管現象により第2のコンタクト12bとリブ部11b、11d等の間を伝わって第2の信号接点部12bucまで達し、接点不良を起こすおそれがある。しかしながら、図7(C)に示すように、第2の信号接点部12bucとリブ部11dとの間には、毛細管現象によりフラックス上がりが起きない程度の大きな隙間dが設けられている。これにより、フラックスの流れが停まり、フラックスが第2の信号接点部12bucに付着して、接点不良が発生するのを防止することができる。第2の接触部12bbcも同様である(図7(D)参照)。
また、本実施の形態の電気コネクタ10によれば、第1、第2のコンタクト12a、12bの厚みを薄くしているので、ハウジング11の厚みを薄くする必要がない。このため、ハウジング11の構造上の強度を保つことができる。また、第1、第2のコンタクト12a、12b同士の間隔を空ける必要がない。このため、上述したθずれの防止及びフラックスの付着防止は、第1、第2のコンタクト12a、12bの配置間隔の短縮化(狭ピッチ化)が行われても、実現可能である。
また、本実施の形態の電気コネクタ10では、他に、接点不良の発生を防止する手段として、例えば、下受部11aに、ハンダ或いはフラックスを排出するための貫通孔を設ける必要がない。よって、電気コネクタ10が実装される配線基板に、配線が禁止される領域を設ける必要がない。従って、本実施の形態の電気コネクタ10によれば、制約を設けることなく配線基板の回路設計が可能となる。
以上詳細に説明したように、本実施の形態の電気コネクタ10によれば、コンタクト12の配列方向に平行な、第1、第2の信号接点部12auc、12bucの厚みが、コンタクト12の配列方向に平行な、コンタクト12の他の部分の厚みよりも薄い。よって、FPC50にθずれが発生し、FPC50の信号端子が第1、第2の信号接点部12auc、12bucに対して位置ずれしても、第1、第2の信号接点部12auc、12bucが、接触対象ではない信号端子に接触する可能性を低くすることができる。よって、本実施の形態によれば、FPC50の第1の電極51a、第2の電極51bとの短絡の可能性を低減することができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、この発明は上記の実施の形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
例えば、図7(A)乃至図7(D)に示す隙間dの幅は、それぞれ異なるようにしてもよい。また、第1、第2の信号接点部12auc、12bucの厚みが、第1、第2のコンタクト12a、12bの中で最も薄くなっている必要はない。
また、第1のコンタクト12aは、図12(A)乃至図12(E)に示されるような形状であってもよい。この第1のコンタクト12aでは、第1の信号接点部12aucにおいて、コンタクト12の配列方向における厚みが薄くなっているのは、差込口15の内周に突出する部分とその周辺に限られている。このようにしても、FPC50の電極51と接触する部分にフラックスを入り込ませないようにすることができるので、θずれによる電極の短絡の可能性を低減し、フラックスによる接点不良を防止することができる。
なお、FPC50の他方の面には、第1の電極51a、第2の電極51bと同様の導電性の伝達端子が設けられていてもよい。この場合、第1、第2の接触部12abc、12bbcは、FPC50の伝達端子に接触可能に配置され、その伝達端子との信号接点部となる。この場合、アクチュエータ13は、カム部13cの回動によるコンタクト12への押圧によって、更に、第1、第2の接触部12abc、12bbcと伝達端子との接触を実現し、それらを導通させるものとなる。
また、第2のコンタクト12bでは、後方下ビーム12bbbに他の部分よりも薄い部分を設けても良い。このようにすれば、第2の基板接続部12b_sub_cからがフラックスが伝わるのを、後方下ビーム12bbbで防止することができる。
例えば、上述した実施の形態の電気コネクタ10では、アクチュエータ13は、ハウジング11に対して回動するタイプであったが、これに限られるものではない。アクチュエータは、ハウジング11に対してスライドするタイプのものでもよい。
この場合、アクチュエータは、差込口15側から挿入口16側に、及び、挿入口16側から差込口15側に、スライド移動可能に、ハウジング11に取り付けられている。
このアクチュエータは、差込口15側に移動すると、前方上ビーム12auf及び前方上ビーム12bufに当接し、それらを押圧する。これにより、前方上ビーム12auf及び前方上ビーム12bufが揺動する。このとき、前方上下ビーム12auf、12abfの間隔及び前方上下ビーム12buf、12bbfの間隔は、アクチュエータが挿入口16側に移動したときよりも狭くなる。従って、第1の信号接点部12auc及び第1の電極51aと、第2の信号接点部12buc及び第2の電極51bとが、接触状態になる。
一方、このアクチュエータが挿入口16側に移動すると、アクチュエータによる、前方上ビーム12auf及び前方上ビーム12bufへの当接が解除され、押圧されていない状態に戻る。このとき、前方上下ビーム12auf、12abfの間隔、及び、前方上下ビーム12buf、12bbfの間隔は、アクチュエータが差込口15側に移動したときよりも広くなる。この結果、第1の信号接点部12auc及び第1の電極51aと、第2の信号接点部12buc及び第2の電極51bとが、非接触状態になる(或いは、軽く接触する程度の状態になる)。
このように、電気コネクタ10は、ハウジング11に対してスライド移動可能なアクチュエータを、ハウジング11に対して回動可能なアクチュエータ13の代わりに備えていてもよい。
また、上述した実施の形態の電気コネクタ10では、ロック部14を備えていたが、これに限られるものではない。即ち、上述した実施の形態の電気コネクタ10は、ロック部14を備えなくてもよい。
また、上述した実施の形態の電気コネクタ10は、FPC50を対象としたが、FFC(フレキシブルフラットケーブル)を対象とするものであってもよい。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、上述した実施形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。