JP2017106221A - 既設鉄骨の補強構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】既設鉄骨55における柱56と梁57とが固定された部分に設けられた接続部材59と、接続部材に端部58aが接続されたブレース材58との接続部62を補強する既設鉄骨の補強構造1であって、鋼材で形成された第一補強部材5と、柱及び梁の一方である第一軸状部材56と第一補強部材とを、摩擦接合又は係合接合により接続している第一接続部15Aと、ブレース材と第一補強部材とを、摩擦接合又は係合接合により接続している第二接続部15Bと、を備える。
【選択図】図1
Description
ところが、前述のような製鉄工場の建屋においては、補強対象(既設鉄骨)の周囲にはガス配管や電気配線、あるいは引火物が設けられており、火気養生や安全対策を厳重に行う必要ある等、火気の使用が制限されている。
そのため、溶接を用いない既設鉄骨の補強構造として、例えば特許文献1に示されるように、補強対象の変形発生部のうち引張り力が作用する部位に剛性を有する樹脂製の炭素繊維シートを接着してなる構造が知られている。
長期間使用した既設鉄骨は、ガセットプレートとブレースとの接続部(締結部材、及び締結部材の近傍のガセットプレートを含む)の強度が、経年劣化、及び設計基準などの理由により低い。このため、接続部を補強することが検討されている。
すなわち、特許文献1に記載されるように炭素繊維シートを補強材として接続部に接着する方法の場合には、樹脂製の炭素繊維シートが変形性能を有するので、造形性はあるが、耐熱性が低い。高熱に晒される前述した製鉄工場のような使用環境で使用される場合にあっては、特許文献1の補強構造では充分な機能が発揮できないうえ、耐久性も低くなることから、その点で改善の余地があった。
本発明の既設鉄骨の補強構造は、既設鉄骨における柱と梁とが固定された部分に設けられた接続部材と、前記接続部材に端部が接続されたブレース材との接続部を補強する既設鉄骨の補強構造であって、鋼材で形成された第一補強部材と、前記柱及び前記梁の一方である第一軸状部材と前記第一補強部材とを、摩擦接合又は係合接合により接続している第一接続部と、前記ブレース材と前記第一補強部材とを、摩擦接合又は係合接合により接続している第二接続部と、を備えることを特徴としている。
この発明によれば、第一補強部材と第二補強部材とで接続部を挟むように配置し、第二軸状部材と第二補強部材、及びブレース材と第二補強部材を、摩擦接合又は係合接合により接続している。第一補強部材と第二補強部材とで接続部を両側から補強することで、接続部をより確実に補強することができる。
この発明によれば、既設鉄骨の補強構造を簡単に構成することができる。
この発明によれば、第一軸状部材及び第一補強部材を第一接続部により押圧していることで、第一接続部と第一軸状部材との間、第一軸状部材と第一補強部材との間、及び、第一補強部材と第一接続部との間に静止摩擦力が作用している。このため、溶接を使用せずに第一軸状部材と第一補強部材とを接続することができる。
この発明によれば、ブレース材及び第一補強部材を第二接続部により押圧していることで、第二接続部とブレース材との間、ブレース材と第一補強部材との間、及び、第一補強部材と第二接続部との間に静止摩擦力が作用している。このため、溶接を使用せずにブレース材と第一補強部材とを接続することができる。
この発明によれば、第一軸状部材と第一係合部材、第一係合部材と第一補強部材が係合接合する。このため、溶接を使用せずに、第一係合部材を介して第一軸状部材と第一補強部材とを接続することができる。
この発明によれば、ブレース材と第二係合部材、第二係合部材と第一補強部材が係合接合する。このため、溶接を使用せずに、第二係合部材を介してブレース材と第一補強部材とを接続することができる。
以下、本発明に係る既設鉄骨の補強構造(以下、補強構造とも略称する)の第1実施形態を、図1から図6を参照しながら説明する。
図1に示すように、例えば製鉄工場の建屋50内には、柱(第一軸状部材)56、梁(第二軸状部材)57、及びブレース材58を有する鉄骨(以下、既設鉄骨55と称する)が設置されている。既設鉄骨55における柱56と梁57とが固定された部分には、ガセットプレート(接続部材)59が設けられている。
例えば、柱56及び梁57にはH形鋼が用いられ、ブレース材58には山形鋼が用いられている。ガセットプレート59は、鋼板等で形成されている。
柱56、梁57、及びガセットプレート59は、互いに溶接等により接続されている。ガセットプレート59とブレース材58の一方の端部58aとは、ボルトやリベット等の締結部材60により接続されている。より詳しくは、ブレース材58は、第一板材58b及び第二板材58cを山形に形成して構成されている。ブレース材58の第一板材58bが、締結部材60によりガセットプレート59に接続されている。
本補強構造1は、第一補強部材5と、ブレース材58に対して第一補強部材5とは反対側に配置された第二補強部材10と、柱56と第一補強部材5とを摩擦接合により接続している第一接続部15Aと、ブレース材58と第一補強部材5及び第二補強部材10とを摩擦接合により接続している第二接続部15Bと、梁57と第二補強部材10とを摩擦接合により接続している第三接続部15Cと、を備えている。
ここで言う摩擦接合とは、複数の部材が静止摩擦力により互いに接合されていることを意味する。
本実施形態では、本発明の第四接続部は、第二接続部15Bと一体に構成されている。
図2に示すように、第一補強部材5は、補強板本体6と、補強板本体6の各端部に設けられた端板7、8とを有する。端板7は、柱56のフランジ56a(図1参照)に接触する形状に形成されている。端板8は、ブレース材58の第二板材58cに接触する形状に形成されている。第一補強部材5は、板状の鋼材等を折り曲げたり溶接したりすることで形成することができる。
第二補強部材10は、第一補強部材5と同様に形成することができる。
図1に示すように、補強部材5、10は、接続部62を挟むように配置されている。
後述する接続部25A、25B、25Cについても、同様である。
接続部本体16B及び雄ネジ部17Bは、鋼材等で形成されていることが好ましい。
梁57のフランジ57aと第二補強部材10の端板12とは、フランジ57aの厚さ方向に接触し合うように並べて配置される。第三接続部15Cは、フランジ57a及び端板12を、フランジ57aの厚さ方向の外側から内側に向かって押圧していることで、フランジ57aと端板12とを、摩擦接合により接続している。
このように、接続部62を跨ぐように第一補強部材5を配置し、第一補強部材5の両端部を柱56及びブレース材58に接続している。接続部62を跨ぐように第二補強部材10を配置し、第二補強部材10の両端部を梁57及びブレース材58に接続している。
なお、図示はしないが、ブレース材58の他方の端部は、ブレース材58の一方の端部58aと同様に構成されている。ブレース材58の他方の端部は、柱56、梁57、及びガセットプレート59に補強構造1や締結部材60により接続されている。
例えば、柱56及び梁57が変形してブレース材58に沿う方向Yにおけるガセットプレート59間の距離が長くなった場合で説明する。このとき、ブレース材58が方向Yの全長にわたり引張られるとともに、柱56及び梁57が補強構造1の補強部材5、10を介してブレース材58の方向Yの中央部を引張る。このため、引張力(外力)の一部がガセットプレート59とブレース材58との接続部62を介さずにブレース材58に伝達される。したがって、接続部62に作用する引張力を抑え、接続部62を補強することができる。
方向Yにおけるガセットプレート59間の距離が短くなり、ブレース材58が方向Yに圧縮される場合についても同様に、補強構造1は接続部62に作用する圧縮力を抑え、接続部62を補強することができる。
図5に示す比較例となる従来の既設鉄骨55では、補強構造1は用いられていない。ガセットプレート59にブレース材58の第一板材58bが締結部材60により接続され、第二板材58cがガセットプレート59に接続されていないとする。このとき、ブレース材58の第二板材58cにおける第一板材58bから離間した部分となる領域R1には、第一板材58bに比べて、ガセットプレート59間に作用する引張り力及び圧縮力があまり作用しない。言い換えれば、領域R1は、ブレース材58の剛性にあまり寄与しない。
一点鎖線で示した線L1は、ブレース材58が形成された材料(母材)の降伏応力(316kN)を示す。実線で示した線L2は、実施例のブレース材58の引張り荷重を表し、点線で示した線L3は、比較例のブレース材58の引張り荷重を表す。
例えば、実施例及び比較例のブレース材58の長さは5000mmとした。
これに対して、実施例のブレース材58では、接続部62が補強構造1で補強されていることで接続部62の損傷が抑えられる。このため、ブレース材58を8mm変位させても接続部62が損傷せず、ブレース材58が形成された材料の降伏応力程度の引張り荷重に耐えることができる。
実施例のブレース材58では、図4に示すように第二板材58cの領域R1を第二接続部15Bで押圧していることで、この領域R1にも引張り力及び圧縮力が伝達される。したがって、ブレース材58全体で引張り力及び圧縮力を伝達させることができる。
実施例のブレース材58では、比較例のブレース材58に比べて座屈長さを短くして座屈耐力を向上させることができる。
ブレース材58の第一板材58bだけでなく第二板材58cの領域R1でも、外力を伝達することができる。
座屈長さが第二接続部15B間の長さであるL11となるため、ブレース材58の圧縮座屈耐力を向上させることができる。
柱56、梁57、及びブレース材58として、H形鋼、I形鋼、山形鋼、及びT形鋼等の所望の断面形状の形鋼を用いることができる。
第四接続部は第二接続部15Bと一体に構成されているため、補強構造1を簡単に構成することができる。
第二接続部15Bについても、第一接続部15Aと同様に、溶接等の火気を使用せずにブレース材58と第一補強部材5とを接続することができる。
次に、本発明の第2実施形態について図7から図10を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図7に示すように、本実施形態の補強構造2は、第1実施形態の補強構造1の接続部15A、15B、15Cに代えて、第一接続部25A、第二接続部25B、第三接続部25Cを備えている。
接続部25A、25B、25Cの構成は似ているため、第一接続部25Aを例に取って説明する。
このように、第一接続部25Aは、柱56とボルト28Aとを係合接合により接続しているとともに、第一補強部材5とボルト28Aとを係合接合により接続している。ここで言う係合接合とは、複数の部材が係合することにより互いに接合されていることを意味する。
第一接続部25Aは、2枚の板と係合している。
なお、図9に示すように、柱56の第一軸状孔部26A等は、公知のウォータージェット装置70から高圧のウォータージェットWを噴射することで形成してもよい。ウォータージェット装置70は、製鉄工場の建屋50内のような火気の使用が制限されている場所においても、安全に用いることができる。
第一軸状孔部26A等を、インパクトドライバで形成してもよい。
図示はしないが、第二接続部25Bは、第一補強部材5の端板8に形成された補強副孔部と、ブレース材58の第二板材58cに形成されたブレース孔部と、第二補強部材10の端板13に形成された孔部と、これらの孔部内に配置されて第一補強部材5、ブレース材58、及び第二補強部材10と係合接合により接続されるボルト(第二係合部材)とを備えている。
第三接続部25Cは、第一接続部25Aと同様に構成されている。
さらに、第一接続部25Aは、柱56の第一軸状孔部26Aと、第一補強部材5の補強主孔部27Aと、ボルト28Aとを備える。柱56とボルト28A、ボルト28Aと第一補強部材5が係合接合する。このため、溶接等の火気を使用せずに、ボルト28Aを介して柱56と第一補強部材5とを接続することができる。
第二接続部25Bについても、第一接続部25Aと同様に、溶接等の火気を使用せずに、ボルトを介してブレース材58と第一補強部材5とを接続することができる。
この例では、第一補強部材5の補強主孔部27Aの内径はタッピングネジ36Aの雄ネジ部36aAの外径よりも大きく、補強主孔部27Aに雄ネジ部36aAが挿通されている。第一補強部材5にタッピングネジ36Aの頭部36bAが係合している。
柱56の第一軸状孔部26Aが形成された当初の内径は、タッピングネジ36Aの雄ネジ部36aAの先端側の外径よりも小さい。第一軸状孔部26Aに雄ネジ部36aAがねじ込まれて螺合することにより、柱56に雄ネジ部36aAが係合している。
第一接続部35Aがこのように構成されていても、柱56と第一補強部材5とを第一接続部35Aにより係合接合させることができる。
フランジ56aに第一軸状孔部26Aが形成されない場合には、柱56については、フランジ56aにタッピングネジ36Aをねじ込む工程の1つの工程で済む。
例えば、前記第1実施形態及び第2実施形態では、第四接続部は第二接続部と一体に構成されているとしたが、第四接続部は第二接続部とは別体として構成されていてもよい。この場合、第四接続部はブレース材58と第二補強部材10とを摩擦接合又は係合接合より接続している。
第一軸状部材が柱56であり、第二軸状部材が梁57であるとした。しかし、第一軸状部材が梁57であり、第二軸状部材が柱56であるとしてもよい。
5 第一補強部材
10 第二補強部材
15A、25A、35A 第一接続部
15B、25B 第二接続部
15C、25C 第三接続部
26A 第一軸状孔部
27A 補強主孔部
28A ボルト(第一係合部材)
36A タッピングネジ(第一係合部材)
55 既設鉄骨
56 柱(第一軸状部材)
57 梁(第二軸状部材)
58 ブレース材
58a 端部
59 ガセットプレート(接続部材)
62 接続部
X 厚さ方向(第二方向)
Claims (7)
- 既設鉄骨における柱と梁とが固定された部分に設けられた接続部材と、前記接続部材に端部が接続されたブレース材との接続部を補強する既設鉄骨の補強構造であって、
鋼材で形成された第一補強部材と、
前記柱及び前記梁の一方である第一軸状部材と前記第一補強部材とを、摩擦接合又は係合接合により接続している第一接続部と、
前記ブレース材と前記第一補強部材とを、摩擦接合又は係合接合により接続している第二接続部と、
を備える既設鉄骨の補強構造。 - 鋼材で形成され、前記ブレース材に対して前記第一補強部材とは反対側に配置された第二補強部材と、
前記柱及び前記梁の他方である第二軸状部材と前記第二補強部材とを、摩擦接合又は係合接合により接続している第三接続部と、
前記ブレース材と前記第二補強部材とを、摩擦接合又は係合接合により接続している第四接続部と、
を備える請求項1に記載の既設鉄骨の補強構造。 - 前記第四接続部は前記第二接続部と一体に構成されている請求項2に記載の既設鉄骨の補強構造。
- 前記第一軸状部材と前記第一補強部材とは、第一方向に接触し合うように並べて配置され、
前記第一接続部は、前記第一軸状部材及び前記第一補強部材を前記第一方向の外側から押圧していることで、前記第一軸状部材と前記第一補強部材とを、摩擦接合により接続している請求項1から3のいずれか一項に記載の既設鉄骨の補強構造。 - 前記ブレース材と前記第一補強部材とは、第二方向に接触し合うように並べて配置され、
前記第二接続部は、前記ブレース材及び前記第一補強部材を前記第二方向の外側から押圧していることで、前記ブレース材と前記第一補強部材とを、摩擦接合により接続している請求項1から4のいずれか一項に記載の既設鉄骨の補強構造。 - 前記第一接続部は、
前記第一軸状部材に形成された第一軸状孔部と、
前記第一補強部材に形成された補強主孔部と、
前記第一軸状孔部内に配置されて前記第一軸状部材と係合接合により接続されているとともに、前記補強主孔部内に配置されて前記第一補強部材と係合接合により接続されている第一係合部材と、
を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の既設鉄骨の補強構造。 - 前記第二接続部は、
前記ブレース材に形成されたブレース孔部と、
前記第一補強部材に形成された補強副孔部と、
前記ブレース孔部内に配置されて前記ブレース材と係合接合により接続されているとともに、前記補強副孔部内に配置されて前記第一補強部材と係合接合により接続されている第二係合部材と、
を備える請求項1から3、及び6のいずれか一項に記載の既設鉄骨の補強構造。
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