実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略することがある。なお、図を構成する同じ要素のハッチングを異なる図面間で適宜省略または変更する場合もある。
なお、第1、第2として付される序数詞は便宜的に用いるものであり、工程順または積層順を示すものではない。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」または「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書などに記載されている序数詞と、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致しない場合がある。
例えば、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定されず、図または文章に示された接続関係以外のものも、図または文章に記載されているものとする。
ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
XとYとが直接的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に接続されていない場合であり、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)を介さずに、XとYとが、接続されている場合である。
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、スイッチは、オンオフが制御される機能を有している。つまり、スイッチは、導通状態(オン状態)、または、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有している。または、スイッチは、電流を流す経路を選択して切り替える機能を有している。なお、XとYとが電気的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合を含むものとする。
XとYとが機能的に接続されている場合の一例としては、XとYとの機能的な接続を可能とする回路(例えば、論理回路(インバータ、NAND回路、NOR回路など)、信号変換回路(D/A変換回路、A/D変換回路、ガンマ補正回路など)、電位レベル変換回路(電源回路(昇圧回路、降圧回路など)、信号の電位レベルを変えるレベルシフタ回路など)、電圧源、電流源、切り替え回路、増幅回路(信号振幅または電流量などを大きく出来る回路、オペアンプ、差動増幅回路、ソースフォロワ回路、バッファ回路など)、信号生成回路、記憶回路、制御回路など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、一例として、XとYとの間に別の回路を挟んでいても、Xから出力された信号がYへ伝達される場合は、XとYとは機能的に接続されているものとする。なお、XとYとが機能的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合と、XとYとが電気的に接続されている場合とを含むものとする。
なお、XとYとが電気的に接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子または別の回路を挟んで接続されている場合)と、XとYとが機能的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の回路を挟んで機能的に接続されている場合)と、XとYとが直接接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子または別の回路を挟まずに接続されている場合)とが、本明細書等に開示されているものとする。つまり、電気的に接続されている、と明示的に記載されている場合は、単に、接続されている、とのみ明示的に記載されている場合と同様な内容が、本明細書等に開示されているものとする。
なお、例えば、トランジスタのソース(または第1の端子など)が、Z1を介して(または介さず)、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)が、Z2を介して(または介さず)、Yと電気的に接続されている場合や、トランジスタのソース(または第1の端子など)が、Z1の一部と直接的に接続され、Z1の別の一部がXと直接的に接続され、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)が、Z2の一部と直接的に接続され、Z2の別の一部がYと直接的に接続されている場合では、以下のように表現することが出来る。
例えば、「XとYとトランジスタのソース(または第1の端子など)とドレイン(または第2の端子など)とは、互いに電気的に接続されており、X、トランジスタのソース(または第1の端子など)、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)、Yの順序で電気的に接続されている。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース(または第1の端子など)は、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)はYと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(または第1の端子など)、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)、Yは、この順序で電気的に接続されている」と表現することができる。または、「Xは、トランジスタのソース(または第1の端子など)とドレイン(または第2の端子など)とを介して、Yと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(または第1の端子など)、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)、Yは、この接続順序で設けられている」と表現することができる。これらの例と同様な表現方法を用いて、回路構成における接続の順序について規定することにより、トランジスタのソース(または第1の端子など)と、ドレイン(または第2の端子など)とを、区別して、技術的範囲を決定することができる。
または、別の表現方法として、例えば、「トランジスタのソース(または第1の端子など)は、少なくとも第1の接続経路を介して、Xと電気的に接続され、前記第1の接続経路は、第2の接続経路を有しておらず、前記第2の接続経路は、トランジスタを介した、トランジスタのソース(または第1の端子など)とトランジスタのドレイン(または第2の端子など)との間の経路であり、前記第1の接続経路は、Z1を介した経路であり、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)は、少なくとも第3の接続経路を介して、Yと電気的に接続され、前記第3の接続経路は、前記第2の接続経路を有しておらず、前記第3の接続経路は、Z2を介した経路である。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース(または第1の端子など)は、少なくとも第1の接続経路によって、Z1を介して、Xと電気的に接続され、前記第1の接続経路は、第2の接続経路を有しておらず、前記第2の接続経路は、トランジスタを介した接続経路を有し、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)は、少なくとも第3の接続経路によって、Z2を介して、Yと電気的に接続され、前記第3の接続経路は、前記第2の接続経路を有していない。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース(または第1の端子など)は、少なくとも第1の電気的パスによって、Z1を介して、Xと電気的に接続され、前記第1の電気的パスは、第2の電気的パスを有しておらず、前記第2の電気的パスは、トランジスタのソース(または第1の端子など)からトランジスタのドレイン(または第2の端子など)への電気的パスであり、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)は、少なくとも第3の電気的パスによって、Z2を介して、Yと電気的に接続され、前記第3の電気的パスは、第4の電気的パスを有しておらず、前記第4の電気的パスは、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)からトランジスタのソース(または第1の端子など)への電気的パスである。」と表現することができる。これらの例と同様な表現方法を用いて、回路構成における接続経路について規定することにより、トランジスタのソース(または第1の端子など)と、ドレイン(または第2の端子など)とを、区別して、技術的範囲を決定することができる。
なお、これらの表現方法は、一例であり、これらの表現方法に限定されない。ここで、X、Y、Z1、Z2は、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
なお、回路図上は独立している構成要素同士が電気的に接続しているように図示されている場合であっても、1つの構成要素が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合もある。例えば配線の一部が電極としても機能する場合は、一の導電膜が、配線の機能、および電極の機能の両方の構成要素の機能を併せ持っている。したがって、本明細書における電気的に接続とは、このような、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合も、その範疇に含める。
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、または、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
なお、一般的に、電位(電圧)は、相対的なものであり、基準の電位からの相対的な大きさによって大きさが決定される。したがって、「接地」「GND」「グラウンド」などと記載されている場合であっても、必ずしも、電位が0ボルトであるとは限らないものとする。例えば、回路で最も低い電位を基準として、「接地」や「GND」を定義する場合もある。または、回路で中間くらいの電位を基準として、「接地」や「GND」を定義する場合もある。その場合には、その電位を基準として、正の電位と負の電位が規定されることとなる。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である半導体装置について、図面を参照して説明する。
本発明の一態様は、入力データを2次元離散コサイン変換することができる半導体装置の回路構成および動作方法である。
当該半導体装置は第1の回路および第2の回路を有する。第1の回路および第2の回路は、それぞれ1次元離散コサイン変換を行う機能を有し、第1の回路の出力データを第2の回路に直接入力することで速やかに2次元離散コサイン変換を行うことができる。
本発明の一態様では、第1の回路が有するメモリセルアレイをいくつかのメモリブロックに分割し、当該メモリブロックに選択トランジスタを設けることで、メモリブロック毎でのデータ処理を可能とする。
また、第2の回路では、第1の回路が出力するデータを順次複数のメモリブロックに読み込んで演算を行う並列処理によって、データ処理の時間を短縮することができる。
上記メモリセルアレイが有するトランジスタには、チャネル形成領域に酸化物半導体を有するトランジスタを用いることが好ましい。当該トランジスタはオフ電流が小さく、書き込まれた信号を保持するメモリを簡易に構成することができる。
チャネル形成領域に酸化物半導体を有するトランジスタは、シリコンを活性領域または活性層に用いたトランジスタよりも電気特性変動の温度依存性が小さいため、極めて広い温度範囲で使用することができる。したがって、チャネル形成領域に酸化物半導体を有するトランジスタが設けられた半導体装置は、自動車、航空機、宇宙機などへの搭載にも適する。
図1は、本発明の一態様の半導体装置が有する回路10(第1の回路)、回路20(第2の回路)および回路39(制御回路)のブロック図である。回路10は、メモリセルアレイ11と、回路13と、回路14と回路15と、回路16と、回路17と、を有する。回路20は、複数の演算ブロック21と、回路28と、回路29と、回路30と、を有する。
各種制御信号を供給する回路39は、回路10および回路20の外部に設けた例を示したが、回路10内または回路20内に設けてもよい。または、回路10内および回路20内の各々に複数設けてもよい。
回路10で1次元離散コサイン変換されたデータ(SUM1[1]乃至SUM1[j])は、回路17から出力され、回路20の演算ブロック21に入力される。当該データは回路20で再度1次元離散コサイン変換され、2次元離散コサイン変換されたデータ(SUM2[1]乃至SUM2[j])として回路30から外部に出力される。
2次元離散コサイン変換を行う計算には、次の行列式の積を用いることができる。Y=ZT・CT、Z=XT・CT(Tは転置行列を意味する)。ここで、Xは回路10に入力された第1のデータ(演算の対象となる元データを含むデータ)、Cは積和演算を行う係数、Zは回路10で1次元離散コサイン変換されて出力される第2のデータである。Yは回路20で1次元離散コサイン変換されて出力される第3のデータ、すなわち元データが2次元離散コサイン変換されたデータである。
図2は、回路10の詳細を示すブロック図である。メモリセルアレイ11は、マトリクス状に配置された第1のメモリブロック18と、第1の参照メモリブロック19と、を有する。
ここで、メモリブロックとは、いくつかのメモリセルを含む集合を差す。第1のメモリブロック18は、演算の対象となる第1のデータを格納するメモリセルの集合である。また、第1の参照メモリブロック19は、演算に用いる特定の値を格納するメモリセルの集合である。本発明の一態様では、第1のメモリブロック18毎に演算を行うことができる。
本実施の形態において、第1のデータを格納するメモリセルはi行j列に配置した構成とする。また、k行k列のメモリセルを一単位として一つの第1のメモリブロック18を構成する。ここで、kは2n(nは1以上の自然数)を用いることが好ましい。また、i、jの値はkの倍数であることが好ましい。したがって、メモリセルアレイ11には、(j/k)行(i/k)列の第1のメモリブロック18が配置されることになる。
また、第1の参照メモリブロック19は、k個のメモリセル(k行1列)で構成することができる。
回路13はロードライバとしての機能を有することができ、メモリセルを行毎に順次選択することができる。回路13は、i本の配線71(WW)を制御することによりメモリセルの行の選択を行う。
回路14はカラムドライバとしての機能を有することができ、回路13が選択した1行分のメモリセル(例えば、第1のメモリブロック18のメモリセルj個+第1の参照メモリブロック19のメモリセル1個)に、それぞれに接続された配線74(WD)を介してデータを書き込むことができる。なお、各第1のメモリブロック18にデータを書き込む方法は必ずしもロードライバおよびカラムドライバの機能を用いなくてもよい。
回路15は、積和演算に使用する係数に相当する電圧を各メモリセルに入力する回路である。第1のメモリブロック18および第1の参照メモリブロック19に積和演算の係数Cのデータを入力することができる。回路15および第1のメモリブロック18はk本の配線72(RW)で電気的に接続される。回路15は、1本の配線にk種類の電圧を出力させることができる。また、回路15および第1の参照メモリブロック19もk本の配線72(RW)で電気的に接続される。
回路16は、積和演算を行うメモリブロックを選択する回路である。第1の参照メモリブロック19、および第1のメモリブロック18の行を選択することができ、(i/k)+1本の配線73(SE)を制御することにより各メモリブロックの選択を行う。
回路17は、アナログ演算を行う回路である。回路17は、各列のメモリセルがそれぞれ電気的に接続されるj+1本の配線91(OUT1)と電気的に接続される。
図3は、第1のメモリブロック18および第1の参照メモリブロック19の回路図の一例である。
第1のメモリブロック18は、k行k列に設けられたメモリセル35を有する。第1の参照メモリブロック19はk行1列に設けられたメモリセル35を有する。また、第1のメモリブロック18および第1の参照メモリブロック19は、列毎に設けられたトランジスタ41を有する。
メモリセル35は、トランジスタ42と、トランジスタ43と、容量素子C1と、を有する。トランジスタ42のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ43のゲートと電気的に接続される。トランジスタ42のソースまたはドレインの一方は、容量素子C1の一方の電極と電気的に接続される。トランジスタ42のソースまたはドレインの他方は、配線74(WD)と電気的に接続される。トランジスタ42のゲートは、配線71(WW)と電気的に接続される。容量素子C1の他方の電極は、配線72(RW)と電気的に接続される。トランジスタ43のソースまたはドレインの一方は、配線75(VSS)と電気的に接続される。配線75(VSS)には、例えば低電源電位を供給することができる。
トランジスタ43のソースまたはドレインの他方は、同一の列に設けられたトランジスタ41のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタ41のゲートは、配線73(SE)と電気的に接続される。トランジスタ41のソースまたはドレインの他方は、配線91(OUT1)と電気的に接続される。
第1のメモリブロック18の各メモリセル35の電荷保持ノード(SN[1,1]、SN[k,1]、SN[1,k]、SN[k,k])のそれぞれには、配線74(WD)[1]乃至74(WD)[k]からトランジスタ42を介して第1のデータが入力される。また、第1の参照メモリブロック19の各メモリセル35の電荷保持ノード(SNREF[1]、SNREF[k])のそれぞれには、配線74(WD)[REF]からトランジスタ42を介して基準電位が入力される。
図4は回路17の構成の回路図の一例である。回路17は列出力回路としての機能させることのできる回路22(OUTSUM1)[1]乃至22(OUTSUM1)[j]および参照電流回路として機能させることのできる回路23(OUTREF)を有する。配線76(VDD)は高電源電位を供給する電源線として機能させることができる。配線77(CSC)、配線78(OPC)は回路39から出力される信号を供給する信号線として機能させることができる。
回路22(OUTSUM1)[1]乃至22(OUTSUM1)[j]は、それぞれトランジスタ44乃至トランジスタ52、容量素子C2、抵抗R1、抵抗R2、OPアンプAMPを有する構成とすることができる。
トランジスタ44のソース電極またはドレイン電極の一方は、トランジスタ45のソース電極またはドレイン電極の一方と電気的に接続され、トランジスタ44のソース電極またはドレイン電極の他方は、容量素子C2の一方の電極と電気的に接続され、トランジスタ44のソース電極またはドレイン電極の他方は、配線75(VSS)と電気的に接続され、トランジスタ45のソース電極またはドレイン電極の他方は、トランジスタ44のゲート電極と電気的に接続され、トランジスタ45のソース電極またはドレイン電極の他方は、容量素子C2の他方の電極と電気的に接続され、トランジスタ45のゲート電極は、配線78(OPC)と電気的に接続される。
トランジスタ46およびトランジスタ47は、それぞれのゲート電極がトランジスタ46のソース電極またはドレイン電極の一方と電気的に接続し、カレントミラー回路を構成している。
トランジスタ46のソース電極またはドレイン電極の一方は、トランジスタ49を介してトランジスタ44のソース電極またはドレイン電極の一方および配線91(OUT1)と電気的に接続される。また、トランジスタ47のソース電極またはドレイン電極の一方は、トランジスタ50を介してOPアンプAMPの一方の入力端子(+)と電気的に接続される。また、OPアンプAMPの一方の入力端子(+)は、抵抗R2を介して配線75(VSS)と電気的に接続される。
トランジスタ46のソース電極またはドレイン電極の他方およびトランジスタ47のソース電極またはドレイン電極の他方は、配線76(VDD)と電気的に接続される。また、トランジスタ49およびトランジスタ50のゲート電極は、配線77(CSC)と電気的に接続される。
トランジスタ48のソース電極またはドレイン電極の一方は、配線76(VDD)と電気的に接続され、トランジスタ48のソース電極またはドレイン電極の他方は、トランジスタ51を介してOPアンプAMPの他方の入力端子(−)に電気的に接続される。また、OPアンプAMPの他方の入力端子(−)は、抵抗R1を介してOPアンプAMPの出力端子と電気的に接続される。また、トランジスタ48のソース電極またはドレイン電極の他方は、トランジスタ52を介してトランジスタ44のソース電極またはドレイン電極の一方および配線91(OUT1)に電気的に接続することができる。
ここで、配線75(VSS)および配線76(VDD)に各電位が供給され、配線77(CSC)、配線78(OPC)から制御信号が供給されると、配線91(OUT1)[1]乃至91(OUT1)[j]から第1のメモリブロック18のメモリセル35に電流が流れ、配線92(SUM1)[1]乃至92(SUM1)[j]から出力信号が出力される。
回路23(OUTREF1)は、トランジスタ53乃至トランジスタ55を有する構成とすることができる。
トランジスタ53のソース電極またはドレイン電極の一方は、配線76(VDD)と電気的に接続され、トランジスタ53のソース電極またはドレイン電極の他方は、トランジスタ55を介して配線91(OUT1)[REF]と電気的に接続される。また、トランジスタ55のソース電極またはドレイン電極の一方は、トランジスタ54のソース電極またはドレイン電極の一方と電気的に接続され、トランジスタ55のソース電極またはドレイン電極の他方は、トランジスタ54のソース電極またはドレイン電極の他方と電気的に接続される。なお、トランジスタ53およびトランジスタ48は、カレントミラー回路を構成している。
配線75(VSS)および配線76(VDD)に各電位が供給され、配線77(CSC)、配線78(OPC)から制御信号が供給されると、配線91(OUT1)[REF]から第1の参照メモリブロック19のメモリセル35に電流が流れる。回路23(OUTREF1)から得られた電流源バイアス電圧は、上記カレントミラー回路の構成によって回路22(OUTSUM1)[1]乃至22(OUTSUM1)[j]に供給される。
上記構成において、トランジスタ46、トランジスタ47、トランジスタ48およびトランジスタ53は、p−ch型トランジスタとすることができる。
なお、上述した第1のメモリブロック18、第1の参照メモリブロック19および回路17の構成は一例であり、一部の回路、一部のトランジスタ、一部の容量素子、または一部の配線等が含まれない場合もある。または、上述した構成に含まれない回路、トランジスタ、容量素子、配線等が含まれる場合もある。また、一部の配線の接続形態が上述した構成とは異なる場合もある。
図5に回路10の動作を説明するタイミングチャートを示す。CSCは配線77(CSC)に供給する電位、OPCは配線78(OPC)に供給する電位、SE[1]は配線73(SE)[1]に供給する電位、SE[k]は配線73(SE)[k]に供給する電位、SE[REF]は配線73(SE)[REF]に供給する電位、RW[1]は配線72(RW)[1]に供給する電位、RW[k]は配線72(RW)[k]に供給する電位、WW[1]は配線71(WW)[1]に供給する電位、WW[i]は配線71(WW)[i]に供給する電位、WD[1]は配線74(WD)[1]に供給する電位、WD[j]は配線74(WD)[j]に供給する電位、WD[REF]は配線74(WD)[REF]に供給する電位、SN[1,1]はメモリセル35[1,1]のノードSN[1,1]の電位、SN[i,1]はメモリセル35[i,1]のノードSN[i,1]の電位、SN[1,j]はメモリセル35[1,j]のノードSN[1,j]の電位、SN[i,j]はメモリセル35[i,j]のノードSN[i,j]の電位、SUM1[1]は配線92(SUM1)[1]の電位、SUM1[k]は配線92(SUM1)[k]の電位である。
まず、各メモリセル35のノードSNに第1のデータを書き込む動作を説明する。なお、説明に用いる電位“H”とは高電位を意味し、“L”とは低電位を意味する。
時刻T1乃至T2において、配線71(WW)[1]の電位を“H”とすると、配線74(WD)[1]乃至74(WD)[j]から供給された第1のデータが、第1のメモリブロック18が有する1行目のメモリセル35のノードSN[1,1]乃至[1,j]に書き込まれる。
ここで、第1のデータは、VWD[REF]−VWD[1,1]乃至VWD[REF]−VWD[1,j]に予め加工されたデータである。なお、VWD[REF]は配線74(WD)[REF]に供給する基準電位であり、VWD[1,1]乃至VWD[1,j]は変換処理の対象となる元データである。
すなわち、配線74(WD)[1]の電位であるVWD[REF]−VWD[1,1]は、第1のメモリブロック18[1,1]のノードSN[1,1]に書き込まれる。また、配線74(WD)[j]の電位であるVWD[REF]−VWD[1,j]は、第1のメモリブロック18[1,j/k]のノードSN[1,k]に書き込まれる。
以降、行毎に順次書き込みを行い、時刻T3乃至T4においてi行目(最終行)のメモリセル35への第1のデータの書き込みを行う。
また、時刻T1乃至T4においては、配線71(WW)[1]乃至71(WW)[k]がそれぞれ“H”となるタイミングで、第1の参照メモリブロック19が有するメモリセル35のノードSNREF[1]乃至SNREF[k]にVWD[REF]が書き込まれる。
次に、回路22(OUTSUM1)[1]乃至22(OUTSUM1)[j]に補正電圧を設定する動作を説明する。
時刻T4乃至T5において、配線77(CSC)、配線73(SE)[1]、配線73(SE)[REF]の電位を“H”、配線72(RW)[1]乃至72(RW)[k]の電位をVRW[REF]とする。VRW[REF]は、例えば0Vとすることができる。
このとき、配線91(OUT1)[1]には、第1のメモリブロック18[1,1]内の1列目のメモリセル35に流れる電流の和IOUT[1](I[1,1]乃至I[k,1]の和)が流れる。また、配線91(OUT1)[j]には、第1のメモリブロック18[1,j/k]内のk列目のメモリセル35に流れる電流の和IOUT[j](I[1,k]乃至I[k,k]の和)が流れる。また、配線91(OUT1)[REF]には、第1の参照メモリブロック19内のメモリセル35に流れる電流の和IOUT[REF](I[1]乃至I[k]の和)が流れる。
ここで、配線72(RW)[1]の電位をVW[1]とした場合、第1のメモリブロック18内のメモリセル35[1,1]におけるトランジスタ43のドレイン電流は、I[1,1]=k(VW[1]−Vth+VWD[REF]−VWD[1,1])2となる。また、第1の参照メモリブロック19内のメモリセル35[1]におけるトランジスタ43のドレイン電流は、IREF[i]=k(VW[1]−Vth+VWD[REF])2となる。ここで、kは係数、Vthはトランジスタ43のしきい値電圧である。なお、配線72(RW)[1]の電位は容量素子C1を介してトランジスタ43のゲート電位に重畳されるため、配線72(RW)[1]の電位変化がトランジスタ43のゲート電位の直接の増加分とはならない。より具体的には、容量素子C1とトランジスタ43のゲート容量と寄生容量より算出できる容量結合係数を配線72(RW)[1]の電位変化に乗じた電位変化がトランジスタ43のゲート電位の増加分となる。ここでは、簡単のため、当該容量結合係数を乗じた電位をVW[1]とするが、実際に配線72(RW)[1]に供給する電位は、当該容量結合係数を用いることで適宜換算すればよい。
このとき、配線91(OUT1)[1]に流れる電流をI[1]=ΣI[1,1]、配線91(OUT1)[REF]に流れる電流をIREF=ΣIREF[1]とすると、その差分ΔI[1]=IREF−I[1]=ΣIREF[1]−ΣI[1,1]=Σ(k(VW[1]−Vth+VWD[REF])2−k(VW[1]−Vth+VWD[REF]−VWD[1,1])2)=2kΣ(VW[1]・VWD[1,1])−2kΣ(Vth−VWD[REF])・VWD[1,1]−kΣVWD[1,1]2である。
上記式における第1項である2kΣ(VW[1]・VWD[1,1])は、配線72(RW)[1]の電位VW[1]とメモリセル35[1,1]におけるノードSN[1,1]の電位成分であるVWD[1,1]との積の和に相当する。したがって、当該第1項は、第2項と第3項との和である−2kΣ(Vth−VWD[REF])・VWD[1,1]−kΣVWD[1,1]2=Ioffset[1]をΔI[j]から差し引くことで算出することができることになる。
なお、Ioffset[1]は、VW[1]を全て0V、すなわち、配線72(RW)[1]の電位を全て0Vとしたときの配線91(OUT1)[1]に流れる電流I[1]と配線91(OUT1)[REF]に流れる電流IREFとの差分に相当する。
時刻T4において、配線77(CSC)の電位を“H”、配線72(RW)[1]乃至72(RW)[k]の電位を0Vとする。このとき、配線91(OUT1)[1]に電流I[1]が流れ、配線91(OUT1)に電流IREFが流れ、回路22(OUTSUM1)[1]におけるトランジスタ44には、電流IC[1]が流れる。また、配線91(OUT1)[REF]に電流IREFが流れる。
回路22(OUTSUM1)[1]において、トランジスタ48とトランジスタ53で構成されるカレントミラー回路により、トランジスタ48およびトランジスタ52を介して流れる電流(I[1]+IC[1])は、トランジスタ53およびトランジスタ55を介して流れる電流IREFと等しくなる。
また、容量素子C1には、当該電流IC[1]を供給しうる電位が格納されることになる。ここで、Ioffset[1]=IREF−I[1]、IREF=I[1]+IC[1]から、電流IC[1]は、Ioffset[1]に等しいことがわかる。したがって、配線77(CSC)の電位を“L”とした後、回路22(OUTSUM1)[1]におけるトランジスタ44は、容量素子C1に保持された電位により、Ioffset[1]を供給する電流源として機能する。また、同様に、回路22(OUTSUM1)[j]におけるトランジスタ44は、容量素子C1に保持された電位により、Ioffset[j]を供給する電流源として機能する。
次に、配線73(SE)[1]が接続されている第1のメモリブロック18における積和演算の処理を説明する。
時刻T5乃至T6において、配線78(OPC)、配線73(SE)[1]、配線73(SE)[REF]の電位が“H”となり、配線77(CSC)の電位が“L”となり、配線72(RW)[1]乃至72(RW)[k]の電位は規定した電位VRW[1,1]からVRW[1,k]までのk種類のいずれかの値となる。このとき、容量素子C2に保持された電位により、トランジスタ44はそれぞれ電流IC[1]乃至IC[j]を供給する電流源となる。
ここで、回路17のトランジスタ46とトランジスタ47で構成されるカレントミラー回路により、配線91(OUT1)[1]に流れる電流と電流IC[1]の和は抵抗R2に流れる電流と等しくなる。一方、回路17のトランジスタ48とトランジスタ53で構成されるカレントミラー回路により、配線91(OUT1)[REF]に流れる電流は抵抗R1に流れる電流と等しくなる。
このとき、OPアンプAMPからの配線92(SUM1)[1]に出力される信号はIOUT[1]+IC[1]−IOUT[REF]に比例した値となる。配線92(SUM1)[1]に出力される信号の値VSUM[1,1]は、積和演算における配線74(WD)[1]から第1のメモリブロック18[1,1]のノードSN[1,1]乃至SN[k,1]に書き込まれた電位VWD[REF]−VWD[1,1]乃至VWD[REF]−VWD[k,1]のそれぞれからVWD[REF]を引いた電位と、配線72(RW)[1]乃至[k]から入力された電位VRW[1,1]乃至VRW[1,k]の積の和となる。すなわち、1行目の積(VWD[1,1]×VRW[1,1])からk行目の積(VWD[k,1]×VRW[1,k])までのすべてを足した値に相当する。
同様に配線92(SUM1)[j]に出力される信号の値VSUM[1,j]は、積和演算における配線74(WD)[j]から第1のメモリブロック18[1,j/k]のノードSN[1,1]乃至SN[k,1]に書き込まれた電位VWD[REF]−VWD[1,j]乃至VWD[REF]−VWD[k,j]のそれぞれからVWD[REF]を引いた電位と、配線72(RW)[1]乃至72(RW)[k]から入力された電位VRW[1,1]乃至VRW[1,k]の積の和となる。すなわち、1行目の積(VWD[1,j]×VRW[1,1])からk行目の積(VWD[k,j]×VRW[1,k])までのすべてを足した値に相当する。
時刻T7乃至T8では、配線72(RW)[1]乃至72(RW)[k]の電位は規定した電位VRW[k,1]乃至VRW[k,k]となる。配線92(SUM1)[1]に出力される信号の値VSUM[1,1]は、積和演算における配線74(WD)[1]から第1のメモリブロック18[1,1]のノードSN[1,k]乃至SN[k,k]に書き込まれた電位VWD[REF]−VWD[1,j]乃至VWD[REF]−VWD[k,j]のそれぞれからVWD[REF]を引いた電位と、配線72(RW)[1]乃至72(RW)[k]から入力された電位VRW[k,1]乃至VRW[k,k]の積の和となる。
同様に配線92(SUM1)[j]に出力される信号の値VSUM[k,j]は、積和演算における配線74(WD)[j]から第1のメモリブロック18[1,j/k]のノードSN[1,k]乃至SN[k,k]に書き込まれた電位VWD[REF]−VWD[1,j]乃至VWD[REF]−VWD[k,j]のそれぞれからVWD[REF]を引いた電位と、配線72(RW)[1]乃至72(RW)[k]から入力された電位VRW[k,1]乃至VRW[k,k]の積の和となる。
すなわち、時刻T5乃至T8の期間に、配線72(RW)[1]乃至72(RW)[k]のそれぞれはk回電位を変化させ、その都度、配線92(SUM1)[1]乃至92(SUM1)[j]には配線72(RW)[1]乃至72(RW)[k]の電位に依存した信号を出力する。つまり、時刻T4乃至T8の期間に1行目の第1のメモリブロック18[1,1]乃至18[1,j/k]内のメモリセル35に対してブロック毎に1次元離散コサイン変換を行ったことになる。
以上が配線73(SE)[1]で制御される第1のメモリブロック18に関する1次元離散コサイン変換を行うための動作の一例の説明である。
時刻T9乃至T12は、配線73(SE)[i/k]で制御される第1のメモリブロック18に関する1次元離散コサイン変換を行うための動作を示しており、上述した配線73(SE)[1]で制御されるメモリブロック18に対する動作の説明を参照することができる。
時刻T12において、全ての第1のメモリブロック18が有するメモリセル35に対して、ブロック毎に1次元離散コサイン変換を行ったデータが出力される。すなわち、ブロック毎に入力されたデータXと係数Cの逆行列の積であるデータZを算出していることとなる。
図6は、回路20の詳細を示すブロック図である。演算ブロック21は回路17と電気的に接続され、回路17の列出力配線である配線92(SUM1)[1:j]と同数分が設けられる。演算ブロック21は、第2のメモリブロック24[A]、第2のメモリブロック24[B]およびインバータ回路26を有する。また、回路20は、第2の参照メモリブロック25を有する。
第2のメモリブロック24[A]、[B]は、演算の対象となる第2のデータを格納するメモリセルの集合である。第2のメモリブロック24[A]、[B]には、第1のメモリブロック18と同様にk行k列に配置したメモリセルが設けられる。また、第2の参照メモリブロック25は、k個のメモリセル(1行k列)で構成することができる。
回路28はロードライバとしての機能を有することができ、メモリセルを行毎に順次選択することができる。回路28は、k本の配線571(WW2)を制御することによりメモリセルの行の選択を行う。
回路29は、第2のメモリブロック24[A]、[B]に対して積和の係数となる行列Cのデータを入力する回路である。第2のメモリブロック24[A]、[B]と回路29はk本の配線572(RW2A)およびk本の配線572(RW2B)で電気的に接続される。回路29は、1本の配線にk種類の電圧を出力させることができる。
また、回路29は、第2の参照メモリブロック25とk本の配線572(RW2REF)で電気的に接続される。第2の参照メモリブロック25は、演算に用いる特定の値を格納するメモリセルの集合である。
回路29は、回路39から配線573(SE2)および配線578(OPC2)に出力される信号に応じて出力を変更できる回路とする。例えば、配線573(SE2)、配線578(OPC2)から出力される信号が“H”のとき、配線572(RW2B)[1:k]にk種類の電圧がそれぞれ出力される。また、配線573(SE2)から出力される信号が“L”、配線578(OPC2)から出力される信号が“H”のとき、配線572(RW2A)[1:k]にk種類の電圧がそれぞれ出力される。また、配線573(SE2)の値に関わらず配線578(OPC2)が“H”のとき、配線572(RW2REF)[1:k]にk種類の電圧がそれぞれ出力される。また、配線578(OPC2)から出力される信号が“L”のとき、配線572(RW2A)[1:k]、配線572(RW2B)[1:k]、配線572(RW2REF)[1:k]にはVRW2[REF]が出力される。
回路30は、アナログ演算を行う回路である。回路30は、第2のメモリブロック24[A]、[B]および第2の参照メモリブロック25が有する各行のメモリセルがそれぞれ電気的に接続されるj+1本の配線93(OUT2)と電気的に接続される。また、回路30の演算結果は、配線94(SUM2)[1]乃至94(SUM2)[j]から出力される。
回路30は、図7に示すように回路17と同様の構成とすることができ、列出力回路としての機能させることのできる回路522(OUTSUM2)[1]乃至522(OUTSUM2)[j]および参照電流回路として機能させることのできる回路523(OUTREF2)を有する。配線577(CSC2)、配線578(OPC2)は、回路39が出力する信号を供給する信号線として機能させることができる。
図8(A)は、第2のメモリブロック24[A]、[B]の回路図の一例である。また、図8(B)は、第2の参照メモリブロック25の回路図の一例である。
第2のメモリブロック24[A]、[B]はk行k列に設けられたメモリセル36を有する。第2の参照メモリブロック25は1行k列に設けられたメモリセル36を有する。また、第2のメモリブロック24[A]、[B]は、行毎に設けられたトランジスタ55およびトランジスタ56を有する。
メモリセル36は、トランジスタ57と、トランジスタ58と、容量素子C3と、を有する。トランジスタ57のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ58のゲートと電気的に接続される。トランジスタ57のソースまたはドレインの一方は、容量素子C3の一方の電極と電気的に接続される。トランジスタ57のソースまたはドレインの他方は、配線574(WD2)と電気的に接続される。容量素子C3の他方の電極は、配線572(RW2)と電気的に接続される。トランジスタ58のソースまたはドレインの一方は、配線75(VSS)と電気的に接続される。
トランジスタ57のゲートは、同一の行に設けられたトランジスタ56のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタ56のゲートは、配線573(SE2)と電気的に接続される。トランジスタ56のソースまたはドレインの他方は、配線571(WW2)と電気的に接続される。
トランジスタ58のソースまたはドレインの他方は、同一の行に設けられたトランジスタ55のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタ55のソースまたはドレインの他方は、配線93(OUT2)と電気的に接続される。トランジスタ55のゲートは、インバータ回路27の出力端子と電気的に接続される。インバータ回路27の入力端子は、配線573(SE2)と電気的に接続される。
第2の参照メモリブロック25は、トランジスタ57、トランジスタ58および容量素子C3の間の接続構成は第2のメモリブロック24[A]、[B]と同等である。ただし、第2の参照メモリブロック25は、トランジスタ55およびトランジスタ56を有さない構成であり、トランジスタ57のゲートは配線71(WW)[1]と電気的に接続される。トランジスタ58のソースまたはドレインの他方は、配線93(OUT2)[REF]と電気的に接続される。また、各メモリセル36のトランジスタ57のソースまたはドレインの他方は、配線74(WD2)[REF]と電気的に接続される。
第2のメモリブロック24[A]、[B]の各メモリセル36の電荷保持ノード(SN2[1,1]、SN2[k,1]、SN2[1,k]、SN2[k,k])のそれぞれには、配線574(WD2)[1]乃至574(WD2)[k]からトランジスタ57を介して第2のデータが入力される。また、第2の参照メモリブロック25の各メモリセル36の電荷保持ノード(SNREF2[1]、SNREF2[k])のそれぞれには、配線74(WD2)[REF]からトランジスタ57を介して基準電位が入力される。
図9に回路20の動作を説明するタイミングチャートを示す。WW2[1]は配線571(WW2)[1]に供給する電位、WW2[k]は配線571(WW)[k]に供給する電位、CSC2は配線577(CSC2)に供給する電位、OPC2は配線578(OPC2)に供給する電位、SE2は配線573(SE2)に供給する電位、RW2A[1]は配線572(RW2A)[1]に供給する電位、RW2A[k]は配線572(RW2A)[k]に供給する電位、RW2B[1]は配線572(RW2B)[1]に供給する電位、RW2B[k]は配線572(RW2B)[k]に供給する電位、RW2REF[1]は配線572(RW2REF)[1]に供給する電位、RW2REF[k]は配線572(RW2REF)[k]に供給する電位、SUM2[1]は配線94(SUM2)[1]の電位、SUM1[k]は配線94(SUM2)[k]の電位である。なお、図9において、CSC乃至SUM1[k]は回路10の動作を示しており、図5の説明を参照することができる。
時刻T1乃至T4はノードSNに各電位を書き込む動作、すなわち前述した回路10の動作である。当該期間中に、配線71(WW)[1]の電位が“H”となるタイミングで第2の参照メモリブロック25のメモリセル36に基準電位であるWD2[REF]のデータを書き込む。なお、データを書き込むタイミングは、配線71(WW)[1]乃至71(WW)[k]のいずれかが“H”となるタイミングであればよい。
時刻T5乃至T6において、配線571(WW2)[1]、配線573(SE2)が“H”となり、演算ブロック21[1]乃至21[j]内の第2のメモリブロック24[A]内のノードSN2[1,1]乃至SN2[1,j]に電位VSUM1[1,1]乃至[1,j]が配線574(WD2)[1]乃至574(WD2)[j]を介して書き込まれる。
つまり、第2のメモリブロック24[A]内の配線571(WW2)[1]が電気的に接続されたメモリセル36に、配線92(SUM1)[1]乃至92(SUM1)[j]から出力された第2のデータが書き込まれる。
時刻T7乃至T8において、配線571(WW2)[k]、配線573(SE2)が“H”となり、演算ブロック21[1]乃至21[j]内の第2のメモリブロック24[A]内のノードSN2[k,1]乃至SN2[k,j]に電位VSUM1[k,1]乃至VSUM1[k,j]が配線574(WD2)[1]乃至574(WD2)[j]を介して書き込まれる。
つまり、第2のメモリブロック24[A]内の配線571(WW2)[k]が電気的に接続されたメモリセル36に、配線92(SUM1)[1]乃至92(SUM1)[j]から出力された第2のデータが書き込まれる。
すなわち、回路10で演算されて得られた第2のデータはラッチ回路などを経由せず、そのまま回路20のノードSN2に書き込まれる。
時刻T9乃至T10において、配線577(CSC2)の電位を“H”、配線573(SE2)の電位を“L”、配線572(RW2A)[1]乃至572(RW2A)[k]、配線572(RW2B)[1]乃至572(RW2B)[k]および配線572(RW2REF)[1]乃至572(RW2REF)[k]の電位をVRW2[REF]とする。ここで、配線93(OUT2)[1]には第2のメモリブロック24[A]内のメモリセル36に流れる電流I2[1,1]乃至I2[1,k]の和である電流IOUT2[1]が流れ、配線93(OUT2)[REF]には第2の参照メモリブロック25内のメモリセル36に流れる電流IREF2[1]乃至IREF2[k]の和である電流IOUT2[REF]が流れる。
すなわち、演算ブロック21[1]乃至21[j/k]内の第2のメモリブロック24[A]内に対して、回路30が有する回路522(OUTSUM2)[1]乃至522(OUTSUM2)[j]に補正電圧を設定する動作を行う。
時刻T10乃至T11において、配線578(OPC2)および配線571(WW2)[1]の電位を“H”、配線573(SE2)および配線577(CSC2)の電位を“L”とし、配線572(RW2A)[1]乃至572(RW2A)[k]および配線572(RW2REF)[1]乃至572(RW2REF)[k]の電位は規定した電位VRW2[1,1]乃至VRW2[1,k]とし、配線572(RW2B)[1]乃至572(RW2B)[k]の電位はVRW2[REF]とする。
ここで、配線94(SUM2)[1]に出力される信号の値VSUM2[1,1]は、積和演算における配線574(WD2)[1]から第2のメモリブロック24[A]のノードSN2[1,1]乃至SN2[1,k]に書き込まれた電位VSUM[1,1]乃至VSUM[1,k]のそれぞれからVWD2[REF]を引いた電位と、配線572(RW2A)[1]乃至572(RW2A)[k]から入力された電位VRW2[1,1]乃至VRW2[1,k]の積の和となる。すなわち、1列目の積(VSUM[1,1]×VRW2[1,1])からk列目の積(VSUM[1,k]×VRW2[1,k])までのすべてを足した値に相当する。
また、演算ブロック21[1]乃至21[j]内の第2のメモリブロック24[B]内のノードSN2[1,1]乃至SN2[1,j]に電位VSUM1[k+1,1]乃至VSUM1[k+1,j]が配線574(WD2)[1]乃至574(WD2)[j]を介して書き込まれる。
つまり、第2のメモリブロック24[B]内の配線571(WW2)[1]が電気的に接続されたメモリセル36に、配線92(SUM1)[1]乃至92(SUM1)[j]から出力された第2のデータが書き込まれる。このとき、第2のメモリブロック24[B]に接続される配線572(RW2B)[1]乃至572(RW2B)[k]のデータはVRW2[REF]とする。
時刻T11乃至T12において、配線578(OPC2)および配線571(WW2)[k]の電位を“H”、配線573(SE2)および配線577(CSC2)の電位を“L”とし、配線572(RW2A)[1]乃至572(RW2A)[k]および配線572(RW2REF)[1]乃至572(RW2REF)[k]の電位は規定した電位VRW2[k,1]乃至VRW2[k,k]とし、配線572(RW2B)[1]乃至572(RW2B)[k]の電位はVRW2[REF]とする。
ここで、配線94(SUM2)[1]に出力される信号の値VSUM2[k,1]は、積和演算における配線574(WD2)[1]から第2のメモリブロック24[A]のノードSN2[1,1]乃至SN2[1,k]に書き込まれた電位VSUM[k,1]乃至VSUM[k,k]のそれぞれからVWD2[REF]を引いた電位と、配線572(RW2A)[1]乃至572(RW2A)[k]から入力された電位VRW2[k,1]乃至VRW2[k,k]の積の和となる。すなわち、1列目の積(VSUM[k,1]×VRW2[k,1])からk列目の積(VSUM[k,k]×VRW2[k,k])までのすべてを足した値に相当する。
また、演算ブロック21[1]乃至21[j]内の第2のメモリブロック24[B]内のノードSN2[k,1]乃至SN2[k,j]に電位VSUM1[k+1,1]乃至VSUM1[k+1,j]が配線574(WD2)[1]乃至574(WD2)[j]を介して書き込まれる。
つまり、第2のメモリブロック24[B]内の配線571(WW2)[k]が電気的に接続されたメモリセル36に、配線92(SUM1)[1]乃至92(SUM1)[j]から出力された第2のデータが書き込まれる。
すなわち、配線573(SE2)は、第2のメモリブロック24[A]および24[B]が有するトランジスタ56のゲートと電気的に接続され、かつ第2のメモリブロック24[A]または24[B]の一方とインバータ回路26を介して電気的に接続されているため、配線573(SE2)の電位を“H”または“L”とすることで、第2のメモリブロック24[A]および24[B]のどちらか一方に第2のデータの書き込みを行うことができる。
また、配線573(SE2)は、第2のメモリブロック24[A]および24[B]が有するトランジスタ55のゲートとインバータ回路27を介して電気的に接続されている。したがって、第2のメモリブロック24[A]および24[B]の一方が第2のデータの書き込み中であるとき、第2のメモリブロック24[A]および24[B]の他方は回路30と接続されて、既に書き込まれている第2のデータの積和演算を行うことができる。
したがって、本発明の一態様の半導体装置では、配線573(SE2)の電位を“H”と“L”に交互に切り替えることで、第2のメモリブロック24[A]および24[B]において、データの書き込みおよび当該データの演算を並列処理することができる。つまり、2次元離散コサイン変換処理を高速に行うことができる。
回路10および回路20に用いるトランジスタは、バックゲートを設けた構成であってもよい。例えば、図10(A)、(B)は、図3に示す第1のメモリブロック18が有するトランジスタ41乃至トランジスタ43にバックゲートを設けた構成である。図10(A)は、当該バックゲートに定電位を印加する構成であり、しきい値電圧を制御することができる。図10(A)では、一例としてバックゲートが低電位を供給する配線75(VSS)と接続する例を示しているが、その他の配線に接続する構成であってもよい。また、図10(B)はフロントゲートと同じ電位がバックゲートに印加される構成であり、オン電流を増加させ、かつオフ電流を減少させることができる。また、所望のトランジスタが適切な電気特性を有するように、図10(A)および図10(B)の構成などを組み合わせた構成としてもよい。なお、バックゲートが設けられないトランジスタがあってもよい。また、トランジスタにバックゲートを設ける構成は、回路10および回路20が有するその他のトランジスタにも適用することができる。
本発明の一態様の半導体装置の具体的な構成例について、図面を参照して説明する。図11(A),(B)は、図3に示す第1のメモリブロック18が有するトランジスタ42、トランジスタ43および容量素子C1の具体的な接続形態の一例を示している。図11(A)はトランジスタ42のチャネル長方向を表す断面図である。図11(B)は図11(A)に示す一点鎖線X1−X2の断面図であり、トランジスタ42のチャネル幅方向の断面を表している。図11(C)は図11(A)に示す一点鎖線Y1−Y2の断面図であり、トランジスタ43のチャネル幅方向の断面を表している。
トランジスタ42にはオフ電流が非常に小さい、チャネル形成領域に酸化物半導体を有するトランジスタ(以下、OSトランジスタ)を用いることが好ましい。当該トランジスタを用いることで、トランジスタ42をオフ状態とした場合、ノードSNの電位は長期間保持される。
トランジスタ43は、読み出しトランジスタとして増幅率が高いことが望まれるため、シリコンを用いたトランジスタ(以下、Siトランジスタ)を用いることが好ましい。例えば、基板600をシリコン基板とし、基板600にトランジスタ43を形成することができる。
基板600はバルクのシリコン基板に限らず、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガリウムヒ素、アルミニウムガリウムヒ素、インジウムリン、窒化ガリウム、有機半導体を材料とする基板を用いることもできる。
したがって、図11(A)に示すように、トランジスタ42および容量素子C1が設けられる層1100と、トランジスタ43が設けられる層1200との積層構成とすることができる。当該構成とすることで、半導体装置の面積を小さくすることができる。なお、二つの層の境界近傍に設けられる要素(絶縁層、配線、コンタクトプラグなど)は、どちらの層に設けられていてもよい。また、一方の層の要素の一部が他方の層に設けられていてもよい。
容量素子C1は、例えば、トランジスタ42の上に絶縁層85、86を介して設ける構成とすることができる。導電層79を一方の電極、配線72(RW)を他方の電極、絶縁層88を誘電体として、層1100に設けることができる。絶縁層88には、例えば、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜などの無機絶縁膜を用いることができる。なお、容量素子C1は、層1200に設けてもよい。
本実施の形態で説明する断面図において、配線、電極およびコンタクトプラグ(導電体89)を個別の要素として図示しているが、それらが電気的に接続している場合においては、同一の要素として設けられる場合もある。また、配線と電極が導電体89を介して接続される形態は一例であり、電極が配線と直接接続される場合もある。
各要素上には保護膜、層間絶縁膜または平坦化膜としての機能を有する絶縁層81乃至絶縁層87等が設けられる。例えば、絶縁層81乃至絶縁層87等は、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜などの無機絶縁膜を用いることができる。または、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などの有機絶縁膜などを用いてもよい。絶縁層81乃至絶縁層87等の上面は、必要に応じてCMP(Chemical Mechanical Polishing)法等で平坦化処理を行ってもよい。
なお、図面に示される配線等の一部が設けられない場合や、図面に示されない配線やトランジスタ等が各層に含まれる場合もある。また、図面に示されない層が含まれる場合もある。また、図面に示される層の一部が含まれない場合もある。
図11(A)において、トランジスタ42はバックゲートを有する形態を例示しているがバックゲートを有さない形態であってもよい。当該バックゲートは、対向して設けられるトランジスタのフロントゲートと電気的に接続する場合がある。または、当該バックゲートにフロントゲートとは異なる固定電位が供給される場合がある。なお、当該バックゲート有無に関する形態は、本実施の形態で説明する他の回路の構成にも適用することができる。
ここで、図11(A)、(C)において、Siトランジスタはフィン型の構成を例示しているが、図12(A)に示すようにプレーナー型であってもよい。または、図12(B)に示すように、シリコン薄膜の活性層650を有するトランジスタであってもよい。また、活性層650は、多結晶シリコンやSOI(Silicon on Insulator)の単結晶シリコンとすることができる。また、図12(B)の構成において、基板610にはガラス基板などを用いることができる。また、12(C)に示すように、トランジスタ43をOSトランジスタとしてもよい。または、トランジスタ42およびトランジスタ43の両方をSiトランジスタとすることもできる。
図11(A)に示すように、OSトランジスタが形成される領域と、Siトランジスタが形成される領域との間には絶縁層80が設けられる。
トランジスタ43の活性領域近傍に設けられる絶縁層中の水素はシリコンのダングリングボンドを終端する。したがって、当該水素はトランジスタ43の信頼性を向上させる効果がある。一方、トランジスタ42の活性層である酸化物半導体層の近傍に設けられる絶縁層中の水素は、酸化物半導体層中にキャリアを生成する要因の一つとなる。そのため、当該水素はトランジスタ42の信頼性を低下させる要因となる場合がある。したがって、シリコン系半導体材料を用いたトランジスタを有する一方の層と、OSトランジスタを有する他方の層を積層する場合、これらの間に水素の拡散を防止する機能を有する絶縁層80を設けることが好ましい。絶縁層80により、一方の層に水素を閉じ込めることでトランジスタ43等の信頼性が向上することができる。また、一方の層から他方の層への水素の拡散が抑制されることでトランジスタ42等の信頼性も向上させることができる。
絶縁層80としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)等を用いることができる。
なお、本実施の形態において、本発明の一態様について述べた。または、他の実施の形態において、本発明の一態様について述べる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。つまり、本実施の形態および他の実施の形態では、様々な発明の態様が記載されているため、本発明の一態様は、特定の態様に限定されない。例えば、本発明の一態様として、半導体装置に適用した場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様は、半導体装置に適用しなくてもよい。例えば、本発明の一態様は、別の機能を有する半導体装置に適用してもよい。例えば、本発明の一態様として、トランジスタのチャネル形成領域、ソースドレイン領域などが、酸化物半導体を有する場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様における様々なトランジスタ、トランジスタのチャネル形成領域、または、トランジスタのソースドレイン領域などは、様々な半導体を有していてもよい。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様における様々なトランジスタ、トランジスタのチャネル形成領域、または、トランジスタのソースドレイン領域などは、例えば、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガリウムヒ素、アルミニウムガリウムヒ素、インジウムリン、窒化ガリウム、または、有機半導体などの少なくとも一つを有していてもよい。または例えば、場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様における様々なトランジスタ、トランジスタのチャネル形成領域、または、トランジスタのソースドレイン領域などは、酸化物半導体を有していなくてもよい。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1に示す回路10に撮像素子を設けた半導体装置について説明する。なお、メモリセルアレイ11、回路13、回路14および回路39以外は実施の形態1と同じ構成とすることができ、重複する説明は省略する。
図13は、第1のメモリブロック18および第1の参照メモリブロック19の実施の形態1とは異なる回路図の一例である。実施の形態1に示す第1のメモリブロック18は、外部から演算対象のデータをノードSNに入力する構成であるが、本実施の形態に示す第1のメモリブロック18は撮像素子の構成を有し、ノードSNの電位を露光によって確定させる。
図13に示す第1のメモリブロック18は、k行k列に設けられたメモリセル37を有する。第1の参照メモリブロック19はk行1列に設けられたメモリセル38を有する。また、第1のメモリブロック18および第1の参照メモリブロック19は、列毎に設けられたトランジスタ41を有する。
メモリセル37は、トランジスタ60と、トランジスタ61と、トランジスタ62と、容量素子C1と、光電変換素子PDと、を有する。トランジスタ60のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ61のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタ61のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ62のゲートと電気的に接続される。トランジスタ61のソースまたはドレインの一方は、容量素子C1の一方の電極と電気的に接続される。トランジスタ61のソースまたはドレインの他方は、光電変換素子PDの一方の電極と電気的に接続される。
トランジスタ60のソースまたはドレインの他方は、配線74(WD)と電気的に接続される。トランジスタ60のゲートは、配線71(WW)と電気的に接続される。容量素子C1の他方の電極は、配線72(RW)と電気的に接続される。光電変換素子PDの他方の電極およびトランジスタ62のソースまたはドレインの一方は、配線75(VSS)と電気的に接続される。配線75(VSS)には、例えば低電源電位を供給することができる。
トランジスタ62のソースまたはドレインの他方は、同一の列に設けられたトランジスタ41のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタ41のゲートは、配線73(SE)と電気的に接続される。トランジスタ41のソースまたはドレインの他方は、配線91(OUT1)と電気的に接続される。
光電変換素子PDを利用してノードSNの電位が変化する構成ならば、図13に示す回路以外の構成であってもよい。
本実施の形態における第1の参照メモリブロック19は、実施の形態1に示す第1の参照メモリブロック19と同一の構成とすることができる。すなわち、メモリセル35とメモリセル38とは同一の構成を有する。
また、実施の形態1に示す回路13はメモリセル35の各行を選択する機能を有するが、本実施の形態のメモリセル37には全てに基準電位VPRを書き込むため、本実施の形態の回路13は、行を選択する機能を有さなくてもよい。すなわち、本実施の形態の回路13は、トランジスタ60の導通を制御できる信号を出力する機能を有していればよい。または、回路13を設けず、回路39でトランジスタ60の導通を制御してもよい。
また、実施の形態1に示す回路14は演算対象のデータを供給する機能を有するが、本実施の形態における回路14は、第1のメモリブロック18、第1の参照メモリブロック19および第2の参照メモリブロック25に配線74(WD)を介して基準電位VPRを供給する機能を有していればよい。
また、本実施の形態において、各種制御信号を出力する回路39は、配線66(TX)を介してトランジスタ61の導通を制御する信号を供給する機能を有する。
実施の形態1に示す各第1のメモリブロック18内の1行目のメモリセル35には、VWD[REF]−VWD[1,1]乃至VWD[REF]−VWD[1,j]に予め加工されたデータが回路14から供給され、当該データについて演算処理が行われる。
一方、本実施の形態に示す各第1のメモリブロック18内の1行目のメモリセル37には、はじめに基準電位VPRが格納され、光電変換素子PDによる電荷の放出でVWD[1,1]乃至VWD[1,j]のデータを確定させる。また、第1の参照メモリブロック19のメモリセル38にも、基準電位VPRを格納しておく。すなわち、メモリセル37にはVPR−VWD[1,1]乃至VPR−VWD[1,j]のデータが格納され、実施の形態1と同様の演算処理を行うことができる。
上記光電変換素子PDによる電荷の放出はトランジスタ61の導通、非導通によって制御することができる。トランジスタ61のゲートには配線66(TX)を介して回路39が電気的に接続されており、回路39が出力する制御信号により全メモリセル37で略同時に光電変換素子PDによる電荷の放出が行われる。すなわち、グローバルシャッター方式で撮像動作が行われる。
トランジスタ60およびトランジスタ61には、OSトランジスタを用いることが好ましい。OSトランジスタの低いオフ電流特性により、ノードSNの電位を長時間保持することができ、グローバルシャッター方式での撮像を可能とすることができる。
また、OSトランジスタは、Siトランジスタよりもドレイン耐圧の高い特性を有する。セレン系材料を光電変換層とした光電変換素子PDでは、アバランシェ増倍を利用するために比較的高い電圧(例えば、10V以上)を印加して動作させることが好ましい。したがって、OSトランジスタと、セレン系材料を光電変換層とした光電変換素子PDとを組み合わせることで、信頼性の高い撮像装置とすることができる。
セレン系材料を用いた光電変換素子PDは、可視光に対する外部量子効率が高い特性を有する。また、セレン系材料は光吸収係数が高いため、光電変換層561を薄くしやすい利点を有する。セレン系材料を用いた光電変換素子PDでは、アバランシェ倍増により増幅が大きい高感度のセンサとすることができる。つまり、セレン系材料を光電変換層561に用いることで、画素面積が縮小しても十分な光電流を得ることができる。したがって、セレン系材料を用いた光電変換素子PDは、低照度環境における撮像にも適しているといえる。
セレン系材料としては、非晶質セレンまたは結晶セレンを用いることができる。結晶セレンは、例えば、非晶質セレンを成膜後に熱処理することで得ることができる。結晶セレンの結晶粒径を画素ピッチより小さくすることで、画素ごとの特性ばらつきを低減させることができる。また、結晶セレンは、非晶質セレンよりも可視光に対する分光感度や光吸収係数が高い特性を有する。
また、セレン系材料として銅、インジウム、セレンの化合物(CIS)を用いてもよい。または、銅、インジウム、ガリウム、セレンの化合物(CIGS)を用いてもよい。CISおよびCIGSでは、セレンの単層と同様にアバランシェ増倍を利用する光電変換素子PDを形成することができる。
また、光電変換素子PDには、非晶質シリコン膜や微結晶シリコン膜などを用いたpin型ダイオード素子などを用いてもよい。または、シリコン基板を光電変換層としたpn型フォトダイオードを用いてもよい。
以上により、本実施の形態の半導体装置を用いることで、撮像動作から2次元離散コサイン変換処理までを高速かつ低消費電力で行うことができる。また、撮像データを保持するメモリ等を別途設ける必要がなくなることから、回路面積を縮小することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様に用いることのできる酸化物半導体を有するトランジスタについて図面を用いて説明する。なお、本実施の形態における図面では、明瞭化のために一部の要素を拡大、縮小、または省略して図示している。
図14(A)、(B)は、本発明の一態様のトランジスタ101の上面図および断面図である。図14(A)は上面図であり、図14(A)に示す一点鎖線B1−B2方向の断面が図14(B)に相当する。また、図14(A)に示す一点鎖線B3−B4方向の断面が図16(A)に相当する。また、一点鎖線B1−B2方向をチャネル長方向、一点鎖線B3−B4方向をチャネル幅方向と呼称する。
トランジスタ101は、基板115と接する絶縁層120と、絶縁層120と接する酸化物半導体層130と、酸化物半導体層130と電気的に接続する導電層140および導電層150と、酸化物半導体層130、導電層140および導電層150と接する絶縁層160と、絶縁層160と接する導電層170と、導電層140、導電層150、絶縁層160および導電層170と接する絶縁層175と、絶縁層175と接する絶縁層180と、を有する。また、必要に応じて絶縁層180に平坦化膜としての機能を付加してもよい。
導電層140はソース電極層、導電層150はドレイン電極層、絶縁層160はゲート絶縁膜、導電層170はゲート電極層としてそれぞれ機能することができる。
図14(B)に示す領域231はソース領域、領域232はドレイン領域、領域233はチャネル形成領域として機能することができる。領域231および領域232は導電層140および導電層150とそれぞれ接しており、導電層140および導電層150として酸素と結合しやすい導電材料を用いれば領域231および領域232を低抵抗化することができる。
具体的には、酸化物半導体層130と導電層140および導電層150とが接することで酸化物半導体層130内に酸素欠損が生じ、当該酸素欠損と酸化物半導体層130内に残留または外部から拡散する水素との相互作用により、領域231および領域232は低抵抗のn型となる。
なお、トランジスタの「ソース」や「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書においては、「ソース」や「ドレイン」という用語は、入れ替えて用いることができるものとする。また、「電極層」は、「配線」と言い換えることもできる。
導電層170は、導電層171および導電層172の二層で形成される例を図示しているが、一層または三層以上の積層であってもよい。当該構成は本実施の形態で説明する他のトランジスタにも適用できる。
導電層140および導電層150は単層で形成される例を図示しているが、二層以上の積層であってもよい。当該構成は本実施の形態で説明する他のトランジスタにも適用できる。
本発明の一態様のトランジスタは、図14(C)、(D)に示す構成であってもよい。図14(C)はトランジスタ102の上面図であり、図14(C)に示す一点鎖線C1−C2方向の断面が図14(D)に相当する。また、図14(C)に示す一点鎖線C3−C4方向の断面は、図16(B)に相当する。また、一点鎖線C1−C2方向をチャネル長方向、一点鎖線C3−C4方向をチャネル幅方向と呼称する。
トランジスタ102は、ゲート絶縁膜として作用する絶縁層160の端部とゲート電極層として作用する導電層170の端部とを一致させない点を除き、トランジスタ101と同様の構成を有する。トランジスタ102の構造は、導電層140および導電層150が絶縁層160で広く覆われているため、導電層140および導電層150と導電層170との間の抵抗が高く、ゲートリーク電流の少ない特徴を有している。
トランジスタ101およびトランジスタ102は、導電層170と導電層140および導電層150が重なる領域を有するトップゲート構造である。当該領域のチャネル長方向の幅は、寄生容量を小さくするために3nm以上300nm未満とすることが好ましい。当該構成では、酸化物半導体層130にオフセット領域が形成されないため、オン電流の高いトランジスタを形成しやすい。
本発明の一態様のトランジスタは、図14(E)、(F)に示す構成であってもよい。図14(E)はトランジスタ103の上面図であり、図14(E)に示す一点鎖線D1−D2方向の断面が図14(F)に相当する。また、図14(E)に示す一点鎖線D3−D4方向の断面は、図16(A)に相当する。また、一点鎖線D1−D2方向をチャネル長方向、一点鎖線D3−D4方向をチャネル幅方向と呼称する。
トランジスタ103は、基板115と接する絶縁層120と、絶縁層120と接する酸化物半導体層130と、酸化物半導体層130と接する絶縁層160と、絶縁層160と接する導電層170と、酸化物半導体層130、絶縁層160および導電層170を覆う絶縁層175と、絶縁層175と接する絶縁層180と、絶縁層175および絶縁層180に設けられた開口部を通じて酸化物半導体層130と電気的に接続する導電層140および導電層150を有する。また、必要に応じて絶縁層180、導電層140および導電層150に接する絶縁層(平坦化膜)などを有していてもよい。
導電層140はソース電極層、導電層150はドレイン電極層、絶縁層160はゲート絶縁膜、導電層170はゲート電極層としてそれぞれ機能することができる。
図14(F)に示す領域231はソース領域、領域232はドレイン領域、領域233はチャネル形成領域として機能することができる。領域231および領域232は絶縁層175と接しており、例えば絶縁層175として水素を含む絶縁材料を用いれば領域231および領域232を低抵抗化することができる。
具体的には、絶縁層175を形成するまでの工程により領域231および領域232に生じる酸素欠損と、絶縁層175から領域231および領域232に拡散する水素との相互作用により、領域231および領域232は低抵抗のn型となる。なお、水素を含む絶縁材料としては、例えば窒化シリコンや窒化アルミニウムなどを用いることができる。
本発明の一態様のトランジスタは、図15(A)、(B)に示す構成であってもよい。図15(A)はトランジスタ104の上面図であり、図15(A)に示す一点鎖線E1−E2方向の断面が図15(B)に相当する。また、図15(A)に示す一点鎖線E3−E4方向の断面は、図16(A)に相当する。また、一点鎖線E1−E2方向をチャネル長方向、一点鎖線E3−E4方向をチャネル幅方向と呼称する。
トランジスタ104は、導電層140および導電層150が酸化物半導体層130の端部を覆うように接している点を除き、トランジスタ103と同様の構成を有する。
図15(B)に示す領域331および領域334はソース領域、領域332および領域335はドレイン領域、領域333はチャネル形成領域として機能することができる。
領域331および領域332は、トランジスタ101における領域231および領域232と同様に低抵抗化することができる。
領域334および領域335は、トランジスタ103における領域231および領域232と同様に低抵抗化することができる。なお、チャネル長方向における領域334および領域335の長さが100nm以下、好ましくは50nm以下の場合には、ゲート電界の寄与によりオン電流は大きく低下しない。したがって、領域334および領域335の低抵抗化を行わない場合もある。
トランジスタ103およびトランジスタ104は、導電層170と導電層140および導電層150が重なる領域を有さないセルフアライン構造である。セルフアライン構造のトランジスタはゲート電極層とソース電極層およびドレイン電極層間の寄生容量が極めて小さいため、高速動作用途に適している。
本発明の一態様のトランジスタは、図15(C)、(D)に示す構成であってもよい。図15(C)はトランジスタ105の上面図であり、図15(C)に示す一点鎖線F1−F2方向の断面が図15(D)に相当する。また、図15(C)に示す一点鎖線F3−F4方向の断面は、図16(A)に相当する。また、一点鎖線F1−F2方向をチャネル長方向、一点鎖線F3−F4方向をチャネル幅方向と呼称する。
トランジスタ105は、基板115と接する絶縁層120と、絶縁層120と接する酸化物半導体層130と、酸化物半導体層130と電気的に接続する導電層141および導電層151と、酸化物半導体層130、導電層141、導電層151と接する絶縁層160と、絶縁層160と接する導電層170と、酸化物半導体層130、導電層141、導電層151、絶縁層160および導電層170と接する絶縁層175と、絶縁層175と接する絶縁層180と、絶縁層175および絶縁層180に設けられた開口部を通じて導電層141および導電層151とそれぞれ電気的に接続する導電層142および導電層152を有する。また、必要に応じて絶縁層180、導電層142および導電層152に接する絶縁層などを有していてもよい。
導電層141および導電層151は、酸化物半導体層130の上面と接し、側面には接しない構成となっている。
トランジスタ105は、導電層141および導電層151を有する点、絶縁層175および絶縁層180に設けられた開口部を有する点、ならびに当該開口部を通じて導電層141および導電層151とそれぞれ電気的に接続する導電層142および導電層152を有する点を除き、トランジスタ101と同様の構成を有する。導電層140(導電層141および導電層142)はソース電極層として作用させることができ、導電層150(導電層151および導電層152)はドレイン電極層として作用させることができる。
本発明の一態様のトランジスタは、図15(E)、(F)に示す構成であってもよい。図15(E)はトランジスタ106の上面図であり、図15(E)に示す一点鎖線G1−G2方向の断面が図15(F)に相当する。また、図15(A)に示す一点鎖線G3−G4方向の断面は、図16(A)に相当する。また、一点鎖線G1−G2方向をチャネル長方向、一点鎖線G3−G4方向をチャネル幅方向と呼称する。
トランジスタ106は、基板115と接する絶縁層120と、絶縁層120と接する酸化物半導体層130と、酸化物半導体層130と電気的に接続する導電層141および導電層151と、酸化物半導体層130と接する絶縁層160と、絶縁層160と接する導電層170と、絶縁層120、酸化物半導体層130、導電層141、導電層151、絶縁層160、導電層170と接する絶縁層175と、絶縁層175と接する絶縁層180と、絶縁層175および絶縁層180に設けられた開口部を通じて導電層141および導電層151とそれぞれ電気的に接続する導電層142および導電層152を有する。また、必要に応じて絶縁層180、導電層142および導電層152に接する絶縁層(平坦化膜)などを有していてもよい。
導電層141および導電層151は、酸化物半導体層130の上面と接し、側面には接しない構成となっている。
トランジスタ106は、導電層141および導電層151を有する点を除き、トランジスタ103と同様の構成を有する。導電層140(導電層141および導電層142)はソース電極層として作用させることができ、導電層150(導電層151および導電層152)はドレイン電極層として作用させることができる。
トランジスタ105およびトランジスタ106の構成では、導電層140および導電層150が絶縁層120と接しない構成であるため、絶縁層120中の酸素が導電層140および導電層150に奪われにくくなり、絶縁層120から酸化物半導体層130中への酸素の供給を容易とすることができる。
トランジスタ103における領域231および領域232、トランジスタ104およびトランジスタ106における領域334および領域335には、酸素欠損を形成し導電率を高めるための不純物を添加してもよい。酸化物半導体層に酸素欠損を形成する不純物としては、例えば、リン、砒素、アンチモン、ホウ素、アルミニウム、シリコン、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、インジウム、フッ素、塩素、チタン、亜鉛、および炭素のいずれかから選択される一つ以上を用いることができる。当該不純物の添加方法としては、プラズマ処理法、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いることができる。
不純物元素として、上記元素が酸化物半導体層に添加されると、酸化物半導体層中の金属元素および酸素の結合が切断され、酸素欠損が形成される。酸化物半導体層に含まれる酸素欠損と酸化物半導体層中に残存または後から添加される水素の相互作用により、酸化物半導体層の導電率を高くすることができる。
不純物元素の添加により酸素欠損が形成された酸化物半導体に水素を添加すると、酸素欠損サイトに水素が入り伝導帯近傍にドナー準位が形成される。その結果、酸化物導電体を形成することができる。ここでは、導電体化された酸化物半導体を酸化物導電体という。なお、酸化物導電体は酸化物半導体と同様に透光性を有する。
酸化物導電体は、縮退半導体であり、伝導帯端とフェルミ準位とが一致または略一致していると推定される。このため、酸化物導電体層とソース電極層およびドレイン電極層として機能する導電層との接触はオーミック接触であり、酸化物導電体層とソース電極層およびドレイン電極層として機能する導電層との接触抵抗を低減することができる。
本発明の一態様のトランジスタは、図17(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)に示すチャネル長方向の断面図、ならびに図16(C)、(D)に示すチャネル幅方向の断面図のように、酸化物半導体層130と基板115との間に導電層173を備えていてもよい。導電層173を第2のゲート電極層(バックゲート)として用いることで、オン電流の増加や、しきい値電圧の制御を行うことができる。なお、図17(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)に示す断面図において、導電層173の幅を酸化物半導体層130よりも短くしてもよい。さらに、導電層173の幅を導電層170の幅よりも短くしてもよい。
オン電流を増加させるには、例えば、導電層170と導電層173を同電位とし、ダブルゲートトランジスタとして駆動させればよい。また、しきい値電圧の制御を行うには、導電層170とは異なる定電位を導電層173に供給すればよい。導電層170と導電層173を同電位とするには、例えば、図16(D)に示すように、導電層170と導電層173とをコンタクトホールを介して電気的に接続すればよい。
図14および図15におけるトランジスタ101乃至トランジスタ106では、酸化物半導体層130が単層である例を図示したが、酸化物半導体層130は積層であってもよい。トランジスタ101乃至トランジスタ106の酸化物半導体層130は、図18(B)、(C)または図18(D)、(E)に示す酸化物半導体層130と入れ替えることができる。
図18(A)は酸化物半導体層130の上面図であり、図18(B)、(C)は、二層構造である酸化物半導体層130の断面図である。また、図18(D)、(E)は、三層構造である酸化物半導体層130の断面図である。
酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、酸化物半導体層130cには、それぞれ組成の異なる酸化物半導体層などを用いることができる。
本発明の一態様のトランジスタは、図19(A)、(B)に示す構成であってもよい。図19(A)はトランジスタ107の上面図であり、図19(A)に示す一点鎖線H1−H2方向の断面が図19(B)に相当する。また、図19(A)に示す一点鎖線H3−H4方向の断面が図21(A)に相当する。また、一点鎖線H1−H2方向をチャネル長方向、一点鎖線H3−H4方向をチャネル幅方向と呼称する。
トランジスタ107は、基板115と接する絶縁層120と、絶縁層120と接する酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130bからなる積層と、当該積層と電気的に接続する導電層140および導電層150と、当該積層、導電層140および導電層150と接する酸化物半導体層130cと、酸化物半導体層130cと接する絶縁層160と、絶縁層160と接する導電層170と、導電層140、導電層150、酸化物半導体層130c、絶縁層160および導電層170と接する絶縁層175と、絶縁層175と接する絶縁層180と、を有する。また、必要に応じて絶縁層180に平坦化膜としての機能を付加してもよい。
トランジスタ107は、領域231および領域232において酸化物半導体層130が二層(酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b)である点、領域233において酸化物半導体層130が三層(酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、酸化物半導体層130c)である点、および導電層140および導電層150と絶縁層160との間に酸化物半導体層の一部(酸化物半導体層130c)が介在している点を除き、トランジスタ101と同様の構成を有する。
本発明の一態様のトランジスタは、図19(C)、(D)に示す構成であってもよい。図19(C)はトランジスタ108の上面図であり、図19(C)に示す一点鎖線I1−I2方向の断面が図19(D)に相当する。また、図19(C)に示す一点鎖線I3−I4方向の断面が図21(B)に相当する。また、一点鎖線I1−I2方向をチャネル長方向、一点鎖線I3−I4方向をチャネル幅方向と呼称する。
トランジスタ108は、絶縁層160および酸化物半導体層130cの端部が導電層170の端部と一致しない点がトランジスタ107と異なる。
本発明の一態様のトランジスタは、図19(E)、(F)に示す構成であってもよい。図19(E)はトランジスタ109の上面図であり、図19(E)に示す一点鎖線J1−J2方向の断面が図19(F)に相当する。また、図19(E)に示す一点鎖線J3−J4方向の断面が図21(A)に相当する。また、一点鎖線J1−J2方向をチャネル長方向、一点鎖線J3−J4方向をチャネル幅方向と呼称する。
トランジスタ109は、基板115と接する絶縁層120と、絶縁層120と接する酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130bからなる積層と、当該積層と接する酸化物半導体層130cと、酸化物半導体層130cと接する絶縁層160と、絶縁層160と接する導電層170と、当該積層、酸化物半導体層130c、絶縁層160および導電層170を覆う絶縁層175と、絶縁層175と接する絶縁層180と、絶縁層175および絶縁層180に設けられた開口部を通じて当該積層と電気的に接続する導電層140および導電層150を有する。また、必要に応じて絶縁層180、導電層140および導電層150に接する絶縁層(平坦化膜)などを有していてもよい。
トランジスタ109は、領域231および領域232において酸化物半導体層130が二層(酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b)である点、領域233において酸化物半導体層130が三層(酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、酸化物半導体層130c)である点を除き、トランジスタ103と同様の構成を有する。
本発明の一態様のトランジスタは、図20(A)、(B)に示す構成であってもよい。図20(A)はトランジスタ110の上面図であり、図20(A)に示す一点鎖線K1−K2方向の断面が図20(B)に相当する。また、図20(A)に示す一点鎖線K3−K4方向の断面が図21(A)に相当する。また、一点鎖線K1−K2方向をチャネル長方向、一点鎖線K3−K4方向をチャネル幅方向と呼称する。
トランジスタ110は、領域331および領域332において酸化物半導体層130が二層(酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b)である点、領域333において酸化物半導体層130が三層(酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、酸化物半導体層130c)である点を除き、トランジスタ104と同様の構成を有する。
本発明の一態様のトランジスタは、図20(C)、(D)に示す構成であってもよい。図20(C)はトランジスタ111の上面図であり、図20(C)に示す一点鎖線L1−L2方向の断面が図20(D)に相当する。また、図20(C)に示す一点鎖線L3−L4方向の断面が図21(A)に相当する。また、一点鎖線L1−L2方向をチャネル長方向、一点鎖線L3−L4方向をチャネル幅方向と呼称する。
トランジスタ111は、基板115と接する絶縁層120と、絶縁層120と接する酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130bからなる積層と、当該積層と電気的に接続する導電層141および導電層151と、当該積層、導電層141および導電層151と接する酸化物半導体層130cと、酸化物半導体層130cと接する絶縁層160と、絶縁層160と接する導電層170と、当該積層、導電層141、導電層151、酸化物半導体層130c、絶縁層160および導電層170と接する絶縁層175と、絶縁層175と接する絶縁層180と、絶縁層175および絶縁層180に設けられた開口部を通じて導電層141および導電層151とそれぞれ電気的に接続する導電層142および導電層152を有する。また、必要に応じて絶縁層180、導電層142および導電層152に接する絶縁層(平坦化膜)などを有していてもよい。
トランジスタ111は、領域231および領域232において酸化物半導体層130が二層(酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b)である点、領域233において酸化物半導体層130が三層(酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、酸化物半導体層130c)である点、ならびに導電層141および導電層151と絶縁層160との間に酸化物半導体層の一部(酸化物半導体層130c)が介在している点を除き、トランジスタ105と同様の構成を有する。
本発明の一態様のトランジスタは、図20(E)、(F)に示す構成であってもよい。図20(E)はトランジスタ112の上面図であり、図20(E)に示す一点鎖線M1−M2方向の断面が図20(F)に相当する。また、図20(E)に示す一点鎖線M3−M4方向の断面が図21(A)に相当する。また、一点鎖線M1−M2方向をチャネル長方向、一点鎖線M3−M4方向をチャネル幅方向と呼称する。
トランジスタ112は、領域331、領域332、領域334および領域335において酸化物半導体層130が二層(酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b)である点、領域333において酸化物半導体層130が三層(酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、酸化物半導体層130c)である点を除き、トランジスタ106と同様の構成を有する。
本発明の一態様のトランジスタは、図22(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)に示すチャネル長方向の断面図、ならびに図21(C)、(D)に示すチャネル幅方向の断面図のように、酸化物半導体層130と基板115との間に導電層173を備えていてもよい。当該導電層を第2のゲート電極層(バックゲート)として用いることで、オン電流の増加や、しきい値電圧の制御を行うことができる。なお、図22(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)に示す断面図において、導電層173の幅を酸化物半導体層130よりも短くしてもよい。さらに、導電層173の幅を導電層170の幅よりも短くしてもよい。
本発明の一態様のトランジスタは、図23(A)および図23(B)に示す構成とすることもできる。図23(A)は上面図であり、図23(B)は、図23(A)に示す一点鎖線N1−N2、および一点鎖線N3−N4に対応する断面図である。なお、図23(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
図23(A)および図23(B)に示すトランジスタ113は、基板115と、基板115上の絶縁層120と、絶縁層120上の酸化物半導体層130(酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、酸化物半導体層130c)と、酸化物半導体層130に接し、間隔を開けて配置された導電層140および導電層150と、酸化物半導体層130cと接する絶縁層160と、絶縁層160と接する導電層170を有する。なお、酸化物半導体層130c、絶縁層160および導電層170は、トランジスタ113上の絶縁層190に設けられた酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130bおよび絶縁層120に達する開口部に設けられている。
トランジスタ113の構成は、前述したその他のトランジスタの構成と比較して、ソースまたはドレインとなる導電体とゲート電極となる導電体の重なる領域が少ないため、寄生容量を小さくすることができる。したがって、トランジスタ113は、高速動作を必要とする回路の要素として適している。トランジスタ113の上面は、図23(B)に示すようにCMP(Chemical Mechanical Polishing)法等を用いて平坦化することが好ましいが、平坦化しない構成とすることもできる。
本発明の一態様のトランジスタにおける導電層140(ソース電極層)および導電層150(ドレイン電極層)は、図24(A)、(B)に示す上面図(酸化物半導体層130、導電層140および導電層150のみを図示)のように酸化物半導体層130の幅(WOS)よりも導電層140および導電層150の幅(WSD)が長く形成されていてもよいし、短く形成されていてもよい。WOS≧WSD(WSDはWOS以下)とすることで、ゲート電界が酸化物半導体層130全体にかかりやすくなり、トランジスタの電気特性を向上させることができる。また、図24(C)に示すように、導電層140および導電層150が酸化物半導体層130と重なる領域のみに形成されていてもよい。
本発明の一態様のトランジスタ(トランジスタ101乃至トランジスタ113)では、いずれの構成においても、ゲート電極層である導電層170は、ゲート絶縁膜である絶縁層160を介して酸化物半導体層130のチャネル幅方向を電気的に取り囲み、オン電流が高められる。このようなトランジスタの構造を、surrounded channel(s−channel)構造とよぶ。
酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130bを有するトランジスタ、ならびに酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130bおよび酸化物半導体層130cを有するトランジスタにおいては、酸化物半導体層130を構成する二層または三層の材料を適切に選択することで酸化物半導体層130bに電流を流すことができる。酸化物半導体層130bに電流が流れることで、界面散乱の影響を受けにくく、高いオン電流を得ることができる。したがって、酸化物半導体層130bを厚くすることでオン電流が向上する場合がある。
以上の構成とすることで、トランジスタの電気特性を向上することができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態3に示したトランジスタの構成要素について詳細を説明する。
基板115には、ガラス基板、石英基板、半導体基板、セラミックス基板、表面が絶縁処理された金属基板などを用いることができる。または、トランジスタやフォトダイオードが形成されたシリコン基板、および当該シリコン基板上に絶縁層、配線、コンタクトプラグとして機能を有する導電体等が形成されたものを用いることができる。なお、シリコン基板にp−ch型のトランジスタを形成する場合は、n−型の導電型を有するシリコン基板を用いることが好ましい。または、n−型またはi型のシリコン層を有するSOI基板であってもよい。また、シリコン基板に設けるトランジスタがp−ch型である場合は、トランジスタを形成する面の面方位は、(110)面であるシリコン基板を用いることが好ましい。(110)面にp−ch型トランジスタを形成することで、移動度を高くすることができる。
絶縁層120は、基板115に含まれる要素からの不純物の拡散を防止する役割を有するほか、酸化物半導体層130に酸素を供給する役割を担うことができる。したがって、絶縁層120は酸素を含む絶縁膜であることが好ましく、化学量論組成よりも多い酸素を含む絶縁膜であることがより好ましい。例えば、膜の表面温度が100℃以上700℃以下、好ましくは100℃以上500℃以下の加熱処理で行われるTDS法にて、酸素原子に換算した酸素の放出量が1.0×1019atoms/cm3以上である膜とする。また、基板115が他のデバイスが形成された基板である場合、絶縁層120は、層間絶縁膜としての機能も有する。その場合は、表面が平坦になるようにCMP法等で平坦化処理を行うことが好ましい。
例えば、絶縁層120には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルなどの酸化物絶縁膜、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなどの窒化物絶縁膜、またはこれらの混合材料を用いることができる。また、上記材料の積層であってもよい。
酸化物半導体層130は、酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130bおよび酸化物半導体層130cを絶縁層120側から順に積んだ三層構造とすることができる。
なお、酸化物半導体層130が単層の場合は、本実施の形態に示す、酸化物半導体層130bに相当する層を用いればよい。
酸化物半導体層130が二層の場合は、酸化物半導体層130aに相当する層および酸化物半導体層130bに相当する層を絶縁層120側から順に積んだ積層を用いればよい。この構成の場合、酸化物半導体層130aと酸化物半導体層130bとを入れ替えることもできる。
一例としては、酸化物半導体層130bには、酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130cよりも電子親和力(真空準位から伝導帯下端までのエネルギー)が大きい酸化物半導体を用いる。
このような構造において、導電層170に電界を印加すると、酸化物半導体層130のうち、伝導帯下端のエネルギーが最も小さい酸化物半導体層130bにチャネルが形成される。したがって、酸化物半導体層130bは半導体として機能する領域を有するといえるが、酸化物半導体層130aおよび酸化物半導体層130cは絶縁体または半絶縁体として機能する領域を有するともいえる。
酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130b、および酸化物半導体層130cとして用いることのできる酸化物半導体は、少なくともInもしくはZnを含むことが好ましい。または、InとZnの双方を含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすため、それらと共に、Al、Ga、Y、またはSn等のスタビライザーを含むことが好ましい。
酸化物半導体層130a、酸化物半導体層130bおよび酸化物半導体層130cには、結晶部が含まれることが好ましい。特にc軸に配向した結晶を用いることでトランジスタに安定した電気特性を付与することができる。また、c軸に配向した結晶は歪曲に強く、フレキシブル基板を用いた半導体装置の信頼性を向上させることができる。
ソース電極層として作用する導電層140およびドレイン電極層として作用する導電層150には、例えば、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、W、Ni、Mn、Nd、Sc、および当該金属材料の合金から選ばれた材料の単層、または積層を用いることができる。また、低抵抗のCuやCu−Mnなどの合金と上記材料との積層を用いてもよい。トランジスタ105、トランジスタ106、トランジスタ111、トランジスタ112においては、例えば、導電層141および導電層151にW、導電層142および導電層152にTiとAlとの積層膜などを用いることができる。
上記材料は酸化物半導体膜から酸素を引き抜く性質を有する。そのため、上記材料と接した酸化物半導体層の一部の領域では酸化物半導体膜中の酸素が脱離し、酸素欠損が形成される。膜中に僅かに含まれる水素と当該酸素欠損が結合することにより当該領域は顕著にn型化する。したがって、n型化した当該領域はトランジスタのソースまたはドレインとして作用させることができる。
導電層140および導電層150にWを用いる場合には、窒素をドーピングしてもよい。窒素をドーピングすることで酸素を引き抜く性質を適度に弱めることができ、n型化した領域がチャネル領域まで拡大することを防ぐことができる。また、導電層140および導電層150をn型の半導体層との積層とし、n型の半導体層と酸化物半導体層を接触させることによってもn型化した領域がチャネル領域まで拡大することを防ぐことができる。n型の半導体層としては、窒素が添加されたIn−Ga−Zn酸化物、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズなどを用いることができる。
ゲート絶縁膜として作用する絶縁層160には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を用いることができる。また、絶縁層160は上記材料の積層であってもよい。なお、絶縁層160に、La、N、Zrなどを、不純物として含んでいてもよい。
また、絶縁層160の積層構造の一例について説明する。絶縁層160は、例えば、酸素、窒素、シリコン、ハフニウムなどを有する。具体的には、酸化ハフニウム、および酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを含むと好ましい。
酸化ハフニウムおよび酸化アルミニウムは、酸化シリコンや酸化窒化シリコンと比べて比誘電率が高い。したがって、酸化シリコンを用いた場合と比べて、絶縁層160の膜厚を大きくできるため、トンネル電流によるリーク電流を小さくすることができる。即ち、オフ電流の小さいトランジスタを実現することができる。さらに、結晶構造を有する酸化ハフニウムは、非晶質構造を有する酸化ハフニウムと比べて高い比誘電率を備える。したがって、オフ電流の小さいトランジスタとするためには、結晶構造を有する酸化ハフニウムを用いることが好ましい。結晶構造の例としては、単斜晶系や立方晶系などが挙げられる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。
また、酸化物半導体層130と接する絶縁層120および絶縁層160は、窒素酸化物の放出量の少ない膜を用いることが好ましい。窒素酸化物の放出量の多い絶縁層と酸化物半導体が接した場合、窒素酸化物に起因する準位密度が高くなることがある。絶縁層120および絶縁層160には、例えば、窒素酸化物の放出量の少ない酸化窒化シリコン膜または酸化窒化アルミニウム膜等の酸化物絶縁層を用いることができる。
窒素酸化物の放出量の少ない酸化窒化シリコン膜は、TDS法において、窒素酸化物の放出量よりアンモニアの放出量が多い膜であり、代表的にはアンモニアの放出量が1×1018cm−3以上5×1019cm−3以下である。なお、アンモニアの放出量は、膜の表面温度が50℃以上650℃以下、好ましくは50℃以上550℃以下の加熱処理による放出量とする。
絶縁層120および絶縁層160として、上記酸化物絶縁層を用いることで、トランジスタのしきい値電圧のシフトを低減することが可能であり、トランジスタの電気特性の変動を低減することができる。
ゲート電極層として作用する導電層170には、例えば、Al、Ti、Cr、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Mo、Ru、Ag、Mn、Nd、Sc、TaおよびWなどの導電膜を用いることができる。また、上記材料の合金や上記材料の導電性窒化物を用いてもよい。また、上記材料、上記材料の合金、および上記材料の導電性窒化物から選ばれた複数の材料の積層であってもよい。代表的には、タングステン、タングステンと窒化チタンの積層、タングステンと窒化タンタルの積層などを用いることができる。また、低抵抗のCuまたはCu−Mnなどの合金や上記材料とCuまたはCu−Mnなどの合金との積層を用いてもよい。例えば、導電層171に窒化タンタル、導電層172にタングステンを用いて導電層170を形成する。窒化タンタルは水素バリア性が高く、導電層170を窒化タンタル単層で形成してもよい。
また、導電層170にはIn−Ga−Zn酸化物、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズなどの酸化物導電層を用いてもよい。
絶縁層175には、水素を含む窒化シリコン膜または窒化アルミニウム膜などを用いることができる。実施の形態3に示したトランジスタ103、トランジスタ104、トランジスタ106、トランジスタ109、トランジスタ110、およびトランジスタ112では、絶縁層175として水素を含む絶縁膜を用いることで酸化物半導体層の一部をn型化することができる。また、窒化絶縁膜は水分などのブロッキング膜としての作用も有し、トランジスタの信頼性を向上させることができる。
また、絶縁層175としては酸化アルミニウム膜を用いることもできる。特に、実施の形態3に示したトランジスタ101、トランジスタ102、トランジスタ105、トランジスタ107、トランジスタ108、およびトランジスタ111では絶縁層175に酸化アルミニウム膜を用いることが好ましい。酸化アルミニウム膜は、水素、水分などの不純物、および酸素の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミニウム膜は、トランジスタの作製工程中および作製後において、水素、水分などの不純物の酸化物半導体層130への混入防止、酸素の酸化物半導体層からの放出防止、絶縁層120からの酸素の不必要な放出防止の効果を有する保護膜として用いることに適している。
絶縁層175上には絶縁層180が形成されていることが好ましい。当該絶縁層には、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を用いることができる。また、当該絶縁層は上記材料の積層であってもよい。
ここで、絶縁層180は絶縁層120と同様に化学量論組成よりも多くの酸素を有することが好ましい。絶縁層180から放出される酸素は絶縁層160を経由して酸化物半導体層130のチャネル形成領域に拡散させることができることから、チャネル形成領域に形成された酸素欠損に酸素を補填することができる。したがって、安定したトランジスタの電気特性を得ることができる。
半導体装置を高集積化するにはトランジスタの微細化が必須である。一方、トランジスタの微細化によりトランジスタの電気特性は悪化する傾向にあり、例えばチャネル幅を縮小させるとオン電流は低下してしまう。
本発明の一態様のトランジスタ107乃至トランジスタ112では、チャネルが形成される酸化物半導体層130bを覆うように酸化物半導体層130cが形成されており、チャネル形成層とゲート絶縁膜が接しない構成となっている。そのため、チャネル形成層とゲート絶縁膜との界面で生じるキャリアの散乱を抑えることができ、トランジスタのオン電流を大きくすることができる。
本発明の一態様のトランジスタでは、前述したように酸化物半導体層130のチャネル幅方向を電気的に取り囲むようにゲート電極層(導電層170)が形成されているため、酸化物半導体層130に対しては上面に垂直な方向からのゲート電界に加えて、側面に垂直な方向からのゲート電界が印加される。すなわち、チャネル形成層に対して全体的にゲート電界が印加されることになり実効チャネル幅が拡大するため、さらにオン電流を高められる。
本実施の形態で説明した金属膜、半導体膜、無機絶縁膜など様々な膜は、代表的にはスパッタ法やプラズマCVD法により形成することができるが、他の方法、例えば、熱CVD法により形成してもよい。熱CVD法の例としては、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法やALD(Atomic Layer Deposition)法などがある。
熱CVD法は、プラズマを使わない成膜方法のため、プラズマダメージにより欠陥が生成されることが無いという利点を有する。
また、熱CVD法では、原料ガスと酸化剤を同時にチャンバー内に送り、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、基板近傍または基板上で反応させて基板上に堆積させることで成膜を行ってもよい。
ALD法は、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、反応のための原料ガスをチャンバーに導入・反応させ、これを繰り返すことで成膜を行う。原料ガスと一緒に不活性ガス(アルゴン、或いは窒素など)をキャリアガスとして導入しても良い。例えば2種類以上の原料ガスを順番にチャンバーに供給してもよい。その際、複数種の原料ガスが混ざらないように第1の原料ガスの反応後、不活性ガスを導入し、第2の原料ガスを導入する。あるいは、不活性ガスを導入する代わりに真空排気によって第1の原料ガスを排出した後、第2の原料ガスを導入してもよい。第1の原料ガスが基板の表面に吸着・反応して第1の層を成膜し、後から導入される第2の原料ガスが吸着・反応して、第2の層が第1の層上に積層されて薄膜が形成される。このガス導入順序を制御しつつ所望の厚さになるまで複数回繰り返すことで、段差被覆性に優れた薄膜を形成することができる。薄膜の厚さは、ガス導入の繰り返す回数によって調節することができるため、精密な膜厚調節が可能であり、微細なFETを作製する場合に適している。
MOCVD法やALD法などの熱CVD法は、これまでに記載した実施形態に開示された金属膜、半導体膜、無機絶縁膜など様々な膜を形成することができ、例えば、In−Ga−Zn−O膜を成膜する場合には、トリメチルインジウム(In(CH3)3)、トリメチルガリウム(Ga(CH3)3)、およびジメチル亜鉛(Zn(CH3)2)を用いることができる。これらの組み合わせに限定されず、トリメチルガリウムに代えてトリエチルガリウム(Ga(C2H5)3)を用いることもでき、ジメチル亜鉛に代えてジエチル亜鉛(Zn(C2H5)2)を用いることもできる。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化ハフニウム膜を形成する場合には、溶媒とハフニウム前駆体を含む液体(ハフニウムアルコキシドや、テトラキスジメチルアミドハフニウム(TDMAH、Hf[N(CH3)2]4)やテトラキス(エチルメチルアミド)ハフニウムなどのハフニウムアミド)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてオゾン(O3)の2種類のガスを用いる。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化アルミニウム膜を形成する場合には、溶媒とアルミニウム前駆体を含む液体(トリメチルアルミニウム(TMA、Al(CH3)3)など)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてH2Oの2種類のガスを用いる。他の材料としては、トリス(ジメチルアミド)アルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、アルミニウムトリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)などがある。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化シリコン膜を形成する場合には、ヘキサクロロジシランを被成膜面に吸着させ、酸化性ガス(O2、一酸化二窒素)のラジカルを供給して吸着物と反応させる。
例えば、ALDを利用する成膜装置によりタングステン膜を成膜する場合には、WF6ガスとB2H6ガスを順次導入して初期タングステン膜を形成し、その後、WF6ガスとH2ガスを順次導入してタングステン膜を形成する。なお、B2H6ガスに代えてSiH4ガスを用いてもよい。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化物半導体膜、例えばIn−Ga−Zn−O膜を成膜する場合には、In(CH3)3ガスとO3ガスを順次導入してIn−O層を形成し、その後、Ga(CH3)3ガスとO3ガスを順次導入してGaO層を形成し、更にその後Zn(CH3)2ガスとO3ガスを順次導入してZnO層を形成する。なお、これらの層の順番はこの例に限らない。これらのガスを用いてIn−Ga−O層やIn−Zn−O層、Ga−Zn−O層などの混合化合物層を形成しても良い。なお、O3ガスに変えてAr等の不活性ガスでバブリングして得られたH2Oガスを用いても良いが、Hを含まないO3ガスを用いる方が好ましい。
酸化物半導体層の成膜には、対向ターゲット式スパッタ装置を用いることもできる。当該対向ターゲット式スパッタ装置を用いた成膜法を、VDSP(vapor deposition SP)と呼ぶこともできる。
対向ターゲット式スパッタ装置を用いて酸化物半導体層を成膜することによって、酸化物半導体層の成膜時におけるプラズマ損傷を低減することができる。そのため、膜中の酸素欠損を低減することができる。また、対向ターゲット式スパッタ装置を用いることで低圧での成膜が可能となるため、成膜された酸化物半導体層中の不純物濃度(例えば水素、希ガス(アルゴンなど)、水など)を低減させることができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様に用いることのできる酸化物半導体の材料について説明する。
酸化物半導体は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、元素Mとしてアルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどが含まれていることが好ましい。また、元素Mとしては、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
ここで、酸化物半導体が、インジウム、元素Mおよび亜鉛を有する場合を考える。
まず、図25(A)、図25(B)、および図25(C)を用いて、本発明に係る酸化物半導体が有するインジウム、元素Mおよび亜鉛の原子数比の好ましい範囲について説明する。なお、酸素の原子数比については記載しない。また、酸化物半導体が有するインジウム、元素M、および亜鉛の原子数比のそれぞれの項を[In]、[M]、および[Zn]とする。
図25(A)、図25(B)、および図25(C)において、破線は、[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):1の原子数比(−1≦α≦1)となるライン、[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):2の原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):3の原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):4の原子数比となるライン、および[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):5の原子数比となるラインを表す。
また、一点鎖線は、[In]:[M]:[Zn]=1:1:βの原子数比(β≧0)となるライン、[In]:[M]:[Zn]=1:2:βの原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=1:3:βの原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=1:4:βの原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=2:1:βの原子数比となるライン、および[In]:[M]:[Zn]=5:1:βの原子数比となるラインを表す。
また、図25に示す、[In]:[M]:[Zn]=0:2:1の原子数比またはその近傍値の酸化物半導体は、スピネル型の結晶構造をとりやすい。
図25(A)および図25(B)では、本発明の一態様の酸化物半導体が有する、インジウム、元素M、および亜鉛の原子数比の好ましい範囲の一例について示している。
一例として、図26に、[In]:[M]:[Zn]=1:1:1である、InMZnO4の結晶構造を示す。また、図26は、b軸に平行な方向から観察した場合のInMZnO4の結晶構造である。なお、図26に示すM、Zn、酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)における金属元素は、元素Mまたは亜鉛を表している。この場合、元素Mと亜鉛の割合が等しいものとする。元素Mと亜鉛とは、置換が可能であり、配列は不規則である。
InMZnO4は、層状の結晶構造(層状構造ともいう)をとり、図26に示すように、インジウム、および酸素を有する層(以下、In層)が1に対し、元素M、亜鉛、および酸素を有する(M,Zn)層が2となる。
また、インジウムと元素Mは、互いに置換可能である。そのため、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換し、(In,M,Zn)層と表すこともできる。その場合、In層が1に対し、(In,M,Zn)層が2である層状構造をとる。
[In]:[M]:[Zn]=1:1:2となる原子数比の酸化物半導体は、In層が1に対し、(M,Zn)層が3である層状構造をとる。つまり、[In]および[M]に対し[Zn]が大きくなると、酸化物半導体が結晶化した場合、In層に対する(M,Zn)層の割合が増加する。
ただし、酸化物半導体中において、In層が1層に対し、(M,Zn)層の層数が非整数である場合、In層が1層に対し、(M,Zn)層の層数が整数である層状構造を複数種有する場合がある。例えば、[In]:[M]:[Zn]=1:1:1.5である場合、In層が1に対し、(M,Zn)層が2である層状構造と、(M,Zn)層が3である層状構造とが混在する層状構造となる場合がある。
例えば、酸化物半導体をスパッタ装置にて成膜する場合、ターゲットの原子数比からずれた原子数比の膜が形成される。特に、成膜時の基板温度によっては、ターゲットの[Zn]よりも、膜の[Zn]が小さくなる場合がある。
また、酸化物半導体中に複数の相が共存する場合がある(二相共存、三相共存など)。例えば、[In]:[M]:[Zn]=0:2:1の原子数比の近傍値である原子数比では、スピネル型の結晶構造と層状の結晶構造との二相が共存しやすい。また、[In]:[M]:[Zn]=1:0:0を示す原子数比の近傍値である原子数比では、ビックスバイト型の結晶構造と層状の結晶構造との二相が共存しやすい。酸化物半導体中に複数の相が共存する場合、異なる結晶構造の間において、粒界(グレインバウンダリーともいう)が形成される場合がある。
また、インジウムの含有率を高くすることで、酸化物半導体のキャリア移動度(電子移動度)を高くすることができる。これは、インジウム、元素Mおよび亜鉛を有する酸化物半導体では、主として重金属のs軌道がキャリア伝導に寄与しており、インジウムの含有率を高くすることにより、s軌道が重なる領域がより大きくなるため、インジウムの含有率が高い酸化物半導体はインジウムの含有率が低い酸化物半導体と比較してキャリア移動度が高くなるためである。
一方、酸化物半導体中のインジウムおよび亜鉛の含有率が低くなると、キャリア移動度が低くなる。したがって、[In]:[M]:[Zn]=0:1:0を示す原子数比、およびその近傍値である原子数比(例えば図25(C)に示す領域C)では、絶縁性が高くなる。
したがって、本発明の一態様の酸化物半導体は、キャリア移動度が高く、かつ、粒界が少ない層状構造となりやすい、図25(A)の領域Aで示される原子数比を有することが好ましい。
また、図25(B)に示す領域Bは、[In]:[M]:[Zn]=4:2:3から4.1、およびその近傍値を示している。近傍値には、例えば、原子数比が[In]:[M]:[Zn]=5:3:4が含まれる。領域Bで示される原子数比を有する酸化物半導体は、特に、結晶性が高く、キャリア移動度も高い優れた酸化物半導体である。
なお、酸化物半導体が、層状構造を形成する条件は、原子数比によって一義的に定まらない。原子数比により、層状構造を形成するための難易の差はある。一方、同じ原子数比であっても、形成条件により、層状構造になる場合も層状構造にならない場合もある。したがって、図示する領域は、酸化物半導体が層状構造を有する原子数比を示す領域であり、領域A乃至領域Cの境界は厳密ではない。
続いて、上記酸化物半導体をトランジスタに用いる場合について説明する。
なお、上記酸化物半導体をトランジスタに用いることで、粒界におけるキャリア散乱等を減少させることができるため、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
また、トランジスタには、キャリア密度の低い酸化物半導体を用いることが好ましい。例えば、酸化物半導体は、キャリア密度が8×1011/cm3未満、好ましくは1×1011/cm3未満、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10−9/cm3以上とすればよい。
なお、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
また、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体にチャネル領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
したがって、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物半導体中の不純物濃度を低減することが有効である。また、酸化物半導体中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
ここで、酸化物半導体中における各不純物の影響について説明する。
酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化物半導体において欠陥準位が形成される。このため、酸化物半導体または酸化物半導体と接する層との界面近傍においては、シリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる濃度)が、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下となる領域を有するように制御する。
また、酸化物半導体にアルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。したがって、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を低減することが好ましい。具体的には、酸化物半導体中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度(SIMS分析により得られる濃度)が、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下となる領域を有するように制御する。
また、酸化物半導体において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を半導体に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。したがって、該酸化物半導体において、窒素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体中の窒素濃度(SIMS分析により得られる濃度)が、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下となる領域を有するように制御する。
また、酸化物半導体に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。したがって、水素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体中の水素濃度(SIMS分析により得られる濃度)が、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満となる領域を有するように制御する。
不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。また、上述のように高純度化された酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタのオフ電流は極めて小さい。例えば、ソースとドレインとの間の電圧を0.1V、5V、または、10V程度とした場合に、トランジスタのチャネル幅あたりのオフ電流を数yA/μm乃至数zA/μmにまで低減することが可能となる。
続いて、該酸化物半導体を2層構造、または3層構造とした場合について述べる。酸化物半導体S1、酸化物半導体S2、および酸化物半導体S3の積層構造に接する絶縁体のバンド図と、酸化物半導体S2および酸化物半導体S3の積層構造に接する絶縁体のバンド図と、について、図27を用いて説明する。なお、酸化物半導体S1は酸化物半導体層130a、酸化物半導体S2は酸化物半導体層130b、酸化物半導体S3は酸化物半導体層130cに相当する。
図27(A)は、絶縁体I1、酸化物半導体S1、酸化物半導体S2、酸化物半導体S3、および絶縁体I2を有する積層構造の膜厚方向のバンド図の一例である。また、図27(B)は、絶縁体I1、酸化物半導体S2、酸化物半導体S3、および絶縁体I2を有する積層構造の膜厚方向のバンド図の一例である。なお、バンド図は、理解を容易にするため絶縁体I1、酸化物半導体S1、酸化物半導体S2、酸化物半導体S3、および絶縁体I2の伝導帯下端のエネルギー準位(Ec)を示す。
酸化物半導体S1、酸化物半導体S3は、酸化物半導体S2よりも伝導帯下端のエネルギー準位が真空準位に近く、代表的には、酸化物半導体S2の伝導帯下端のエネルギー準位と、酸化物半導体S1、酸化物半導体S3の伝導帯下端のエネルギー準位との差が、0.15eV以上、または0.5eV以上、かつ2eV以下、または1eV以下であることが好ましい。すなわち、酸化物半導体S1、酸化物半導体S3の電子親和力よりも、酸化物半導体S2の電子親和力が大きく、酸化物半導体S1、酸化物半導体S3の電子親和力と、酸化物半導体S2の電子親和力との差は、0.15eV以上、または0.5eV以上、かつ2eV以下、または1eV以下であることが好ましい。
図27(A)、および図27(B)に示すように、酸化物半導体S1、酸化物半導体S2、酸化物半導体S3において、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化する。換言すると、連続的に変化または連続接合するともいうことができる。このようなバンド図を有するためには、酸化物半導体S1と酸化物半導体S2との界面、または酸化物半導体S2と酸化物半導体S3との界面において形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
具体的には、酸化物半導体S1と酸化物半導体S2、酸化物半導体S2と酸化物半導体S3が、酸素以外に共通の元素を有する(主成分とする)ことで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができる。例えば、酸化物半導体S2がIn−Ga−Zn酸化物半導体の場合、酸化物半導体S1、酸化物半導体S3として、In−Ga−Zn酸化物半導体、Ga−Zn酸化物半導体、酸化ガリウムなどを用いるとよい。
このとき、キャリアの主たる経路は酸化物半導体S2となる。酸化物半導体S1と酸化物半導体S2との界面、および酸化物半導体S2と酸化物半導体S3との界面における欠陥準位密度を低くすることができるため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さく、高いオン電流が得られる。
トラップ準位に電子が捕獲されることで、捕獲された電子は固定電荷のように振る舞うため、トランジスタのしきい値電圧はプラス方向にシフトしてしまう。酸化物半導体S1、酸化物半導体S3を設けることにより、トラップ準位を酸化物半導体S2より遠ざけることができる。当該構成とすることで、トランジスタのしきい値電圧がプラス方向にシフトすることを防止することができる。
酸化物半導体S1、酸化物半導体S3は、酸化物半導体S2と比較して、導電率が十分に低い材料を用いる。このとき、酸化物半導体S2、酸化物半導体S2と酸化物半導体S1との界面、および酸化物半導体S2と酸化物半導体S3との界面が、主にチャネル領域として機能する。例えば、酸化物半導体S1、酸化物半導体S3には、図25(C)において、絶縁性が高くなる領域Cで示す原子数比の酸化物半導体を用いればよい。
特に、酸化物半導体S2に領域Aで示される原子数比の酸化物半導体を用いる場合、酸化物半導体S1および酸化物半導体S3には、[M]/[In]が1以上、好ましくは2以上となる原子数比の酸化物半導体を用いることが好ましい。また、酸化物半導体S3として、十分に高い絶縁性を得ることができる[M]/([Zn]+[In])が1以上となるような原子数比の酸化物半導体を用いることが好適である。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態6)
以下では、本発明の一態様に用いることのできる酸化物半導体の構造について説明する。
なお、本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す。
<酸化物半導体の構造>
以下では、酸化物半導体の構造について説明する。
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、CAAC−OS(c−axis−aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc−OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a−like OS:amorphous−like oxide semiconductor)および非晶質酸化物半導体などがある。
また別の観点では、酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体と、それ以外の結晶性酸化物半導体と、に分けられる。結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC−OS、多結晶酸化物半導体およびnc−OSなどがある。
非晶質構造は、一般に、等方的であって不均質構造を持たない、準安定状態で原子の配置が固定化していない、結合角度が柔軟である、短距離秩序は有するが長距離秩序を有さない、などといわれている。
逆の見方をすると、安定な酸化物半導体を完全な非晶質(completely amorphous)酸化物半導体とは呼べない。また、等方的でない(例えば、微小な領域において周期構造を有する)酸化物半導体を、完全な非晶質酸化物半導体とは呼べない。一方、a−like OSは、等方的でないが、鬆(ボイドともいう。)を有する不安定な構造である。不安定であるという点では、a−like OSは、物性的に非晶質酸化物半導体に近い。
<CAAC−OS>
まずは、CAAC−OSについて説明する。
CAAC−OSは、c軸配向した複数の結晶部(ペレットともいう。)を有する酸化物半導体の一種である。
CAAC−OSをX線回折(XRD:X−Ray Diffraction)によって解析した場合について説明する。例えば、空間群R−3mに分類されるInGaZnO4の結晶を有するCAAC−OSに対し、out−of−plane法による構造解析を行うと、図28(A)に示すように回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OSでは、結晶がc軸配向性を有し、c軸がCAAC−OSの膜を形成する面(被形成面ともいう。)、または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。なお、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、空間群Fd−3mに分類される結晶構造に起因する。そのため、CAAC−OSは、該ピークを示さないことが好ましい。
一方、CAAC−OSに対し、被形成面に平行な方向からX線を入射させるin−plane法による構造解析を行うと、2θが56°近傍にピークが現れる。このピークは、InGaZnO4の結晶の(110)面に帰属される。そして、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行っても、図28(B)に示すように明瞭なピークは現れない。一方、単結晶InGaZnO4に対し、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合、図28(C)に示すように(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。したがって、XRDを用いた構造解析から、CAAC−OSは、a軸およびb軸の配向が不規則であることが確認できる。
次に、電子回折によって解析したCAAC−OSについて説明する。例えば、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OSに対し、CAAC−OSの被形成面に平行にプローブ径が300nmの電子線を入射させると、図28(D)に示すような回折パターン(制限視野電子回折パターンともいう。)が現れる場合がある。この回折パターンには、InGaZnO4の結晶の(009)面に起因するスポットが含まれる。したがって、電子回折によっても、CAAC−OSに含まれるペレットがc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に垂直にプローブ径が300nmの電子線を入射させたときの回折パターンを図28(E)に示す。図28(E)より、リング状の回折パターンが確認される。したがって、プローブ径が300nmの電子線を用いた電子回折によっても、CAAC−OSに含まれるペレットのa軸およびb軸は配向性を有さないことがわかる。なお、図28(E)における第1リングは、InGaZnO4の結晶の(010)面および(100)面などに起因すると考えられる。また、図28(E)における第2リングは(110)面などに起因すると考えられる。
また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって、CAAC−OSの明視野像と回折パターンとの複合解析像(高分解能TEM像ともいう。)を観察すると、複数のペレットを確認することができる。一方、高分解能TEM像であってもペレット同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を明確に確認することができない場合がある。そのため、CAAC−OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
図29(A)に、試料面と略平行な方向から観察したCAAC−OSの断面の高分解能TEM像を示す。高分解能TEM像の観察には、球面収差補正(Spherical Aberration Corrector)機能を用いた。球面収差補正機能を用いた高分解能TEM像を、特にCs補正高分解能TEM像と呼ぶ。Cs補正高分解能TEM像は、例えば、日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM−ARM200Fなどによって観察することができる。
図29(A)より、金属原子が層状に配列している領域であるペレットを確認することができる。ペレット一つの大きさは1nm以上のものや、3nm以上のものがあることがわかる。したがって、ペレットを、ナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶこともできる。また、CAAC−OSを、CANC(C−Axis Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。ペレットは、CAAC−OSの被形成面または上面の凹凸を反映しており、CAAC−OSの被形成面または上面と平行となる。
また、図29(B)および図29(C)に、試料面と略垂直な方向から観察したCAAC−OSの平面のCs補正高分解能TEM像を示す。図29(D)および図29(E)は、それぞれ図29(B)および図29(C)を画像処理した像である。以下では、画像処理の方法について説明する。まず、図29(B)を高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)処理することでFFT像を取得する。次に、取得したFFT像において原点を基準に、2.8nm−1から5.0nm−1の間の範囲を残すマスク処理する。次に、マスク処理したFFT像を、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)処理することで画像処理した像を取得する。こうして取得した像をFFTフィルタリング像と呼ぶ。FFTフィルタリング像は、Cs補正高分解能TEM像から周期成分を抜き出した像であり、格子配列を示している。
図29(D)では、格子配列の乱れた箇所を破線で示している。破線で囲まれた領域が、一つのペレットである。そして、破線で示した箇所がペレットとペレットとの連結部である。破線は、六角形状であるため、ペレットが六角形状であることがわかる。なお、ペレットの形状は、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合が多い。
図29(E)では、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間を点線で示している。点線近傍においても、明確な結晶粒界を確認することはできない。点線近傍の格子点を中心に周囲の格子点を繋ぐと、歪んだ六角形や、五角形または/および七角形などが形成できる。即ち、格子配列を歪ませることによって結晶粒界の形成を抑制していることがわかる。これは、CAAC−OSが、a−b面方向において原子間の結合距離が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
以上に示すように、CAAC−OSは、c軸配向性を有し、かつa−b面方向において複数のペレット(ナノ結晶)が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。よって、CAAC−OSを、CAA crystal(c−axis−aligned a−b−plane−anchored crystal)を有する酸化物半導体と称することもできる。
CAAC−OSは結晶性の高い酸化物半導体である。酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、逆の見方をするとCAAC−OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。
なお、不純物は、酸化物半導体の主成分以外の元素で、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などがある。例えば、シリコンなどの、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。
酸化物半導体が不純物や欠陥を有する場合、光や熱などによって特性が変動する場合がある。例えば、酸化物半導体に含まれる不純物は、キャリアトラップとなる場合や、キャリア発生源となる場合がある。例えば、酸化物半導体中の酸素欠損は、キャリアトラップとなる場合や、水素を捕獲することによってキャリア発生源となる場合がある。
不純物および酸素欠損の少ないCAAC−OSは、キャリア密度の低い酸化物半導体である。具体的には、8×1011cm−3未満、好ましくは1×1011cm−3未満、さらに好ましくは1×1010cm−3未満であり、1×10−9cm−3以上のキャリア密度の酸化物半導体とすることができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。CAAC−OSは、不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い。即ち、安定な特性を有する酸化物半導体であるといえる。
<nc−OS>
次に、nc−OSについて説明する。
nc−OSをXRDによって解析した場合について説明する。例えば、nc−OSに対し、out−of−plane法による構造解析を行うと、配向性を示すピークが現れない。即ち、nc−OSの結晶は配向性を有さない。
また、例えば、InGaZnO4の結晶を有するnc−OSを薄片化し、厚さが34nmの領域に対し、被形成面に平行にプローブ径が50nmの電子線を入射させると、図30(A)に示すようなリング状の回折パターン(ナノビーム電子回折パターン)が観測される。また、同じ試料にプローブ径が1nmの電子線を入射させたときの回折パターン(ナノビーム電子回折パターン)を図30(B)に示す。図30(B)より、リング状の領域内に複数のスポットが観測される。したがって、nc−OSは、プローブ径が50nmの電子線を入射させることでは秩序性が確認されないが、プローブ径が1nmの電子線を入射させることでは秩序性が確認される。
また、厚さが10nm未満の領域に対し、プローブ径が1nmの電子線を入射させると、図30(C)に示すように、スポットが略正六角状に配置された電子回折パターンを観測される場合がある。したがって、厚さが10nm未満の範囲において、nc−OSが秩序性の高い領域、即ち結晶を有することがわかる。なお、結晶が様々な方向を向いているため、規則的な電子回折パターンが観測されない領域もある。
図30(D)に、被形成面と略平行な方向から観察したnc−OSの断面のCs補正高分解能TEM像を示す。nc−OSは、高分解能TEM像において、補助線で示す箇所などのように結晶部を確認することのできる領域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。nc−OSに含まれる結晶部は、1nm以上10nm以下の大きさであり、特に1nm以上3nm以下の大きさであることが多い。なお、結晶部の大きさが10nmより大きく100nm以下である酸化物半導体を微結晶酸化物半導体(micro crystalline oxide semiconductor)と呼ぶことがある。nc−OSは、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。なお、ナノ結晶は、CAAC−OSにおけるペレットと起源を同じくする可能性がある。そのため、以下ではnc−OSの結晶部をペレットと呼ぶ場合がある。
このように、nc−OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc−OSは、分析方法によっては、a−like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
なお、ペレット(ナノ結晶)間で結晶方位が規則性を有さないことから、nc−OSを、RANC(Random Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体、またはNANC(Non−Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
nc−OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため、nc−OSは、a−like OSや非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OSは、CAAC−OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
<a−like OS>
a−like OSは、nc−OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。
図31に、a−like OSの高分解能断面TEM像を示す。ここで、図31(A)は電子照射開始時におけるa−like OSの高分解能断面TEM像である。図31(B)は4.3×108e−/nm2の電子(e−)照射後におけるa−like OSの高分解能断面TEM像である。図31(A)および図31(B)より、a−like OSは電子照射開始時から、縦方向に延伸する縞状の明領域が観察されることがわかる。また、明領域は、電子照射後に形状が変化することがわかる。なお、明領域は、鬆または低密度領域と推測される。
鬆を有するため、a−like OSは、不安定な構造である。以下では、a−like OSが、CAAC−OSおよびnc−OSと比べて不安定な構造であることを示すため、電子照射による構造の変化を示す。
試料として、a−like OS、nc−OSおよびCAAC−OSを準備する。いずれの試料もIn−Ga−Zn酸化物である。
まず、各試料の高分解能断面TEM像を取得する。高分解能断面TEM像により、各試料は、いずれも結晶部を有する。
なお、InGaZnO4の結晶の単位格子は、In−O層を3層有し、またGa−Zn−O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有することが知られている。これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。したがって、以下では、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所を、InGaZnO4の結晶部と見なした。なお、格子縞は、InGaZnO4の結晶のa−b面に対応する。
図32は、各試料の結晶部(22箇所から30箇所)の平均の大きさを調査した例である。なお、上述した格子縞の長さを結晶部の大きさとしている。図32より、a−like OSは、TEM像の取得などに係る電子の累積照射量に応じて結晶部が大きくなっていくことがわかる。図32より、TEMによる観察初期においては1.2nm程度の大きさだった結晶部(初期核ともいう。)が、電子(e−)の累積照射量が4.2×108e−/nm2においては1.9nm程度の大きさまで成長していることがわかる。一方、nc−OSおよびCAAC−OSは、電子照射開始時から電子の累積照射量が4.2×108e−/nm2までの範囲で、結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる。図32より、電子の累積照射量によらず、nc−OSおよびCAAC−OSの結晶部の大きさは、それぞれ1.3nm程度および1.8nm程度であることがわかる。なお、電子線照射およびTEMの観察は、日立透過電子顕微鏡H−9000NARを用いた。電子線照射条件は、加速電圧を300kV、電流密度を6.7×105e−/(nm2・s)、照射領域の直径を230nmとした。
このように、a−like OSは、電子照射によって結晶部の成長が見られる場合がある。一方、nc−OSおよびCAAC−OSは、電子照射による結晶部の成長がほとんど見られない。即ち、a−like OSは、nc−OSおよびCAAC−OSと比べて、不安定な構造であることがわかる。
また、鬆を有するため、a−like OSは、nc−OSおよびCAAC−OSと比べて密度の低い構造である。具体的には、a−like OSの密度は、同じ組成の単結晶酸化物半導体の密度の78.6%以上92.3%未満となる。また、nc−OSの密度およびCAAC−OSの密度は、同じ組成の単結晶酸化物半導体の密度の92.3%以上100%未満となる。単結晶酸化物半導体の密度の78%未満となる酸化物半導体は、成膜すること自体が困難である。
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnO4の密度は6.357g/cm3となる。よって、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、a−like OSの密度は5.0g/cm3以上5.9g/cm3未満となる。また、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、nc−OSの密度およびCAAC−OSの密度は5.9g/cm3以上6.3g/cm3未満となる。
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合、任意の割合で組成の異なる単結晶を組み合わせることにより、所望の組成における単結晶に相当する密度を見積もることができる。所望の組成の単結晶に相当する密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対して、加重平均を用いて見積もればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶を組み合わせて見積もることが好ましい。
以上のように、酸化物半導体は、様々な構造をとり、それぞれが様々な特性を有する。なお、酸化物半導体は、例えば、非晶質酸化物半導体、a−like OS、nc−OS、CAAC−OSのうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、実施の形態1で説明した回路を有するチップ、または実施の形態2で説明した撮像機能を有する回路を有するチップを収めたパッケージの一例について説明する。
図33(A)は、パッケージの上面側の外観斜視図、図33(B)は、当該パッケージの下面側の外観斜視図、図33(C)は、パッケージの一部を省いて図示したパッケージの斜視図、図33(D)は、当該パッケージの断面図である。
当該パッケージは、チップ850を固定するパッケージ基板810、カバー820等を有する。また、パッケージ基板810およびチップ851の間にはチップ890が設けられており、SiP(System in package)としての構成を有している。
例えば、チップ851にはメモリセルアレイ11などを設け、チップ890には回路13乃至17、回路20および回路39などを設ける構成としてもよい。また、チップ851が撮像機能を有する場合は、カバー820として透光性を有する材料を用いればよい。
パッケージの下面には、半田ボールをバンプ840としたBGA(Ball grid array)の構成を有する。なお、BGAに限らず、LGA(Land grid array)やPGA(Pin Grid Array)などであってもよい。または、QFN(Quad flat no− lead package)、QFP(Quad flat package)などの構成であってもよい。
パッケージ基板810上には電極パッド860が形成され、電極パッド860およびバンプ840はスルーホール880およびランド885を介して電気的に接続されている。電極パッド860は、チップ851またはチップ890が有する電極とワイヤ870によって電気的に接続されている。
実施の形態1で説明した回路を有するチップ、または実施の形態2で説明した撮像機能を有する回路を有するチップを上述したような形態のパッケージに収めることで実装が容易になり、様々な半導体装置、電子機器に組み込むことができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態8)
本発明の一態様に係る半導体装置を用いることができる電子機器として、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像記憶装置または画像再生装置、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯データ端末、電子書籍端末、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図34に示す。
図34(A)は監視カメラであり、筐体951、レンズ952、支持部953等を有する。当該監視カメラの部品の一つとして本発明の一態様の半導体装置を備えることができる。なお、監視カメラとは慣用的な名称であり、用途を限定するものではない。例えば監視カメラとしての機能を有する機器はカメラ、またはビデオカメラとも呼ばれる。
図34(B)はビデオカメラであり、第1筐体971、第2筐体972、表示部973、操作キー974、レンズ975、接続部976等を有する。操作キー974およびレンズ975は第1筐体971に設けられており、表示部973は第2筐体972に設けられている。当該ビデオカメラの部品の一つとして本発明の一態様の半導体装置を備えることができる。
図34(C)はデジタルカメラであり、筐体961、シャッターボタン962、マイク963、発光部967、レンズ965等を有する。当該デジタルカメラの部品の一つとして本発明の一態様の半導体装置を備えることができる。
図34(D)は腕時計型の情報端末であり、筐体931、表示部932、リストバンド933、操作用のボタン935、竜頭936、カメラ939等を有する。表示部932はタッチパネルとなっていてもよい。当該情報端末の部品の一つとして本発明の一態様の半導体装置を備えることができる。
図34(E)は携帯型ゲーム機であり、筐体901、筐体902、表示部903、表示部904、マイク905、スピーカー906、操作キー907、スタイラス908、カメラ909等を有する。なお、図34(E)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部903と表示部904とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。当該携帯型ゲーム機の部品の一つとして本発明の一態様の半導体装置を備えることができる。
図34(F)は携帯データ端末であり、筐体911、表示部912、カメラ919等を有する。表示部912が有するタッチパネル機能により情報の入出力を行うことができる。当該携帯データ端末の部品の一つとして本発明の一態様の半導体装置を備えることができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。