JP2017108246A - 繊維樹脂複合シート - Google Patents

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Abstract

【課題】弾性率や内部損失の値が優れながら耐久性や成形性に優れた繊維樹脂複合シートを提供すること。【解決手段】芳香族ポリアミド樹脂からなる無捲縮の繊維と熱可塑性の樹脂からなり、繊維:樹脂の重量比率が10:90〜80:20の範囲であり、厚さが5mm以下、かつ空隙率が2〜50%である繊維樹脂複合シート。さらには、繊維の長さが20〜100mmの範囲であることや、芳香族ポリアミドからなる繊維がパラ型であること、熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ナイロン樹脂から選ばれる少なくとも一種からなるものであることが好ましい。また繊維樹脂複合シートの目付が100〜500g/cm2の範囲であることが好ましい。さらに繊維樹脂複合シートの製造方法は、芳香族ポリアミド樹脂からなる無捲縮の繊維Aと熱可塑性樹脂からなる捲縮を有する繊維Bとからなり、繊維A:繊維Bの重量比率が10:90〜80:20の範囲である繊維集合体を、繊維Bの融点以上、繊維Aの分解温度以下の温度で圧縮を行い、空隙率2〜50%とする方法である。【選択図】なし

Description

本発明は繊維樹脂複合シートに関し、特には薄くて振動特性に優れる繊維樹脂複合シートに関する。
薄くて内部損失などの振動特性に優れるシートは、スピーカー振動板の構成材料等として広く用いられている。特にこのようなシートとしては、軽くてヤング率(弾性率)が大きい材料として紙パルプなどの植物繊維が広く用いられてきた。パルプなどの植物繊維は安価でありかつ適度な内部損失特性を有するからである。
しかし反面、植物繊維では弾性率および剛性に関しては十分では無かった。これに対してガラス繊維や金属材料等の無機材料は弾性率および剛性は高くなるものの、内部損失が小さくなるという欠点があった。
そこで特許文献1では、アラミド繊維など超高強度・超高弾性率繊維からなるパルプを紙パルプと混抄する技術が開示されている。しかしながら、このような繊維パルプを混抄して得るシートはバインダー力が不足しており、弾性率および剛性が低めになる傾向にあった。また特許文献2では、バインダー力を強化するために、高圧ホモジナイザーによりミクロフィブリル化された全芳香族ポリアミド繊維等を用いたスピーカー用振動板が開示されている。しかしながら、このようにミクロフィブリル化された繊維では、強度が弱く剛性や耐久性の観点からは、未だ不十分なものであった。
特開2001−169387号公報 特開2007−208809号公報
本発明はこのような技術的課題を解決し、弾性率や内部損失の値が優れながら耐久性や成形性に優れた繊維樹脂複合シートを提供することにある。
本発明の繊維樹脂複合シートは、芳香族ポリアミド樹脂からなる無捲縮の繊維と熱可塑性の樹脂からなり、繊維:樹脂の重量比率が10:90〜80:20の範囲であり、厚さが5mm以下、かつ空隙率が2〜50%であることを特徴とする。
さらには、繊維の長さが20〜100mmの範囲であることや、芳香族ポリアミドからなる繊維がパラ型であること、熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ナイロン樹脂から選ばれる少なくとも一種からなるものであることが好ましい。また繊維樹脂複合シートの目付が100〜500g/cmの範囲であることが好ましい。
もう一つの本発明の繊維樹脂複合シートの製造方法は、芳香族ポリアミド樹脂からなる無捲縮の繊維Aと熱可塑性樹脂からなる捲縮を有する繊維Bとからなり、繊維A:繊維Bの重量比率が10:90〜80:20の範囲である繊維集合体を、繊維Bの融点以上、繊維Aの分解温度以下の温度で圧縮を行い、空隙率2〜50%とすることを特徴とする。
さらには、繊維Aの長さが20〜100mmの範囲であることや、繊維Bの長さが20〜150mm範囲であること、繊維Bの捲縮数が5〜25個/25mmの範囲であることが好ましい。
そして本発明は、上記の本発明のいずれかの繊維樹脂複合シートからなるスピーカー振動板を包含する。
本発明によれば、弾性率や内部損失の値が優れながら耐久性や成形性に優れた繊維樹脂複合シートが提供される。
本発明の繊維樹脂複合シートは、芳香族ポリアミド樹脂からなる無捲縮の繊維と熱可塑性の樹脂からなり、繊維:樹脂の重量比率が10:90〜80:20の範囲であるシートである。そしてこの本発明の繊維樹脂複合シートは、厚さが5mm以下かつ空隙率が2〜50%であることを必須とするものである。
ここで本発明の繊維樹脂複合シートに用いられる芳香族ポリアミド繊維としては、全芳香族ポリアミド繊維(以下、「アラミド繊維」ということが有る)であることが好ましい。特には本発明の繊維樹脂複合シートに用いられる繊維としては、より高強力かつ高弾性率であるパラ型アラミド繊維であることが好ましく、とりわけ弾性率に優れたシートを得ることが可能となる。より具体的にアラミド繊維について述べると、使用するポリマーとしては、芳香族ジカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分、もしくは芳香族アミノカルボン酸成分から構成される芳香族ポリアミド、またはこれらの芳香族共重合ポリアミドからなるポリマーであることが好ましい。例えばポリパラフェニレンテレフタルアミド、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミドなどが例示できる。
また本発明で用いられる芳香族ポリアミド繊維は、捲縮のない無捲縮繊維であることが必要である。捲縮を有さないことにより繊維樹脂複合シートとしての弾性率が向上し、音響特性の優れた振動板となるのである。なおここで無捲縮とは、積極的に捲縮加工を行わなかった繊維であって、規則正しい屈曲点が存在しない繊維をいう。より具体的には座屈を有さない繊維であることが好ましい。繊維が捲縮を有する場合には、繊維をシート化する工程にて繊維同士の絡まりが増加し、弾性率が低下するとともに、音響特性が悪化する。
さらにこの無捲縮の繊維としては、非連続の短繊維であることが好ましく、さらには20〜100mmの範囲の長さであることが好ましい。より好ましくは30〜80mm、さらには35〜60mmの範囲の長さであることが好ましい。繊維長が長すぎる場合には、平面方向の等方性こそ確保されるものの、厚さ方向において繊維が充分に配向しない傾向にある。本発明の繊維樹脂複合シートにおいては、十分に繊維が配向していない場合には、強度や弾性率が低下する傾向にある。逆に繊維長が短すぎると、等方性こそ確保しやすいものの、繊維樹脂複合シートにおける繊維の補強効果が小さくなり、十分な強度と弾性率を得ることが困難になる。また無捲縮繊維の繊維直径としては5〜100μmの範囲であることが好ましく、さらには8〜50μmの範囲であることが好ましい。
本発明の繊維樹脂複合シートは、上記のような芳香族ポリアミド繊維と共に、熱可塑性の樹脂からなるシートである。本発明にて用いられる熱可塑性の樹脂としては、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ナイロン樹脂から選ばれる少なくとも一種からなるものであることが好ましい。中でもポリプロピレン樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましく、成型加工がより容易となるために、例えば本発明の繊維樹脂複合シートをスピーカー振動板等に適用することが容易となる。また後に述べるもう一つの本発明の製造方法を適用する上でも、熱可塑性樹脂が繊維形成性のある樹脂であることが好ましい。
そして本発明の繊維樹脂複合シートは、上記のような繊維と樹脂からなり、繊維:樹脂の重量比率が10:90〜80:20の範囲であることを必須とする。
言い換えると本発明の繊維樹脂複合シートにおいては、芳香族ポリアミド繊維の割合は基材の全重量に対し10%〜80%であることが必要であり、さらには20%〜60%であることが好ましい。芳香族ポリアミド繊維の割合が10%よりも少ないと、繊維の補強効果が低下し、剛性値なども低下する。逆に繊維の割合が全体の80%を超えると、熱可塑性樹脂の比率が低すぎて、十分な物性の樹脂シートを得ることができなくなる。
また、本発明の線樹脂複合シートは、そのシートの目付としては、100〜500g/cmの範囲であることが好ましい。さらには200〜400g/cmの範囲とすることが好ましい。
さらに本発明の繊維樹脂複合シートは、シートの厚さが5mm以下、かつ空隙率が2〜50%であることを必須とする。厚さとしてはさらには50〜3000μm、特には100〜1000μmの範囲であることが好ましく、さらには200〜500μmの範囲の厚さであることが好ましい。さらに例えば振動板として本発明の繊維樹脂複合シートを用いる場合には、厚すぎると重量が大きくなって音の振動を妨げる傾向にある。また、薄すぎた場合には振動板としての強度が不足し、微細振動によって破断する懸念が増加する。
通常このように薄い繊維樹脂複合シートの場合には容易に空隙率は0%となるものの、本発明の繊維樹脂複合シートにおいては空隙率が2%以上であることが必要であり、上限としては50%以下であることが必要である。さらには5%以上、特には10%以上の空隙率であることが好ましい。このような空隙率を有しながら高弾性率の繊維と低弾性率の樹脂が複合することにより、本発明では、弾性率や内部損失の値が優れながら耐久性や成形性に優れた繊維樹脂複合シートが得られたのである。
ここで空隙率とは、繊維樹脂複合シートの全体の体積から繊維と樹脂の含有率と比重から計算した体積を引いた空隙の体積が、シート全体の体積に占める割合を百分率で表記したものである。このような空隙率を有する繊維樹脂複合シートは、もう一つの本発明である繊維樹脂複合シートの製造方法により得ることが可能となる。
さらに本発明の繊維樹脂複合シートとしては、その100℃収縮率が0.01〜0.5%の範囲であることが好ましい。さらには、200℃収縮率が0.01〜1.0%の範囲であることが好ましい。このように収縮率が低い値を取ることにより、高温耐久性に優れた繊維樹脂複合シートとなる。例えばスピーカー振動板等として用いる場合であっても野外や自動車等の過酷な条件で用いられる場合が多いが、このような低い高温収縮率の特性を有する場合には、その耐久性が飛躍的に向上する。
また破断強度は200〜2000N/cmの範囲であることや、伸度は0.5〜10%、弾性率が3000〜20000MPaの範囲であることが好ましい。特にこのような高い弾性率の値を取ることにより、より音の振動を阻害しない効果が発揮されうる。
さらに内部損失をtanδの値が0.01〜0.2の範囲にあることが好ましい。ここでtanδは、40℃で動的粘弾性試験機による測定を行って得た値である。このようなtanδの値を取ることにより、より雑音が少なくなる効果が発揮されうる。
そしてこのような繊維樹脂複合シートは物性に優れるばかりでなく、成形性にも優れ、スピーカー振動板等の複雑な形状への成形も容易となる。
またこのような本発明の繊維樹脂複合シートは、もう一つの本発明である繊維樹脂複合シートの製造方法によって得ることができる。すなわち、芳香族ポリアミド樹脂からなる無捲縮の繊維Aと熱可塑性樹脂からなる捲縮を有する繊維Bとからなり、繊維A:繊維Bの重量比率が10:90〜80:20の範囲である繊維集合体を、繊維Bの融点以上、繊維Aの分解温度以下の温度で圧縮を行い、空隙率2〜50%とすることを必須とする繊維樹脂複合シートの製造方法である。
ここで繊維Aに用いられる芳香族ポリアミド樹脂と、繊維Bに用いられる熱可塑性の樹脂は、先の繊維樹脂複合シートにて述べた、「芳香族ポリアミド樹脂」と「熱可塑性の樹脂」を用いることができる。そして繊維Aとしては先に述べた「芳香族ポリアミド樹脂からなる無捲縮の繊維」を用いることができる。繊維Aとしては、非連続の短繊維であることが好ましく、さらには20〜100mmの範囲の長さであることが好ましい。より好ましくは30〜80mm、さらには35〜60mmの範囲の長さであることが好ましい。
そして本発明の製造方法では、繊維樹脂複合シートとする前に一旦、熱可塑性の樹脂を捲縮を有する繊維Bに繊維化加工することが重要である。この繊維Bとしては、先に述べた熱可塑性の樹脂を、通常の溶融紡糸を行うなどして繊維化したものを用いることができる。そして本発明で用いられる繊維Bは捲縮を有するため、無捲縮の繊維Aと共に用いる場合であっても、容易に繊維集合体とすることが可能となる。
繊維Bは短繊維であって、その繊維長は20mm以上であることが好ましく、上限としては150mm以下であることが好ましい。より好ましくは30〜80mm、さらには35〜60mmの範囲であることが好ましい。そして捲縮率としては捲縮数が5個/25mm〜25個/25mmの範囲であることが好ましい。
本発明の製造方法では上記のような繊維A:繊維Bの重量比率が10:90〜80:20の範囲である繊維集合体に一旦する。さらには繊維A:繊維Bの重量比率が20:80〜60:40の範囲とすることが好ましい。
本発明の繊維樹脂複合シートの製造方法では、熱可塑性樹脂を一旦捲縮された繊維Bとするために、直線的な形状を保持したままの無捲縮の芳香族ポリアミド樹脂からなる繊維Aを、後にマトリックス樹脂となる熱可塑性の繊維Bと容易に混合することが可能となり、より均一でありながら空隙を適度に有する繊維集合体(基材)を作成することが可能となった。例えば従来は本発明のような繊維状の熱可塑性樹脂では無く、一旦熱可塑性樹脂をフィルム状にして用いることがあったが、どうしても厚さ方向の含浸斑が発生する傾向にあった。本発明では強化繊維となる繊維Aと、マトリックス樹脂となる熱可塑性の繊維Bを繊維集合体とし、次いで溶解して繊維補強樹脂シートとしているため、溶解前からこれらの2成分を均一に分散することができ、最終製品である繊維樹脂複合シートは、より均一な基材となった。
本発明の製造方法は特に熱可塑性樹脂としてポリエステル系樹脂のような溶融時の粘度が高い樹脂を用いる場合に効果的であり、強化繊維となる直線性を保った芳香族ポリアミド繊維の近傍に、後にマトリックス樹脂となる熱可塑性の繊維を存在させることが可能となり、最終的に強化繊維とマトリックス樹脂が密着した繊維樹脂複合シートを得ることが可能となった。
さて本発明においては無捲縮の繊維Aと、捲縮を有する繊維Bとから、一旦繊維集合体を作るのであるが、繊維集合体はシート状の基布であることが好ましく、特には不織布の形態であることが好ましい。中でもニードルパンチによりフェルト化する方法を用いることが特に好ましい。より具体的に述べると、乾式不織布として用いる場合には、繊維Aと繊維Bとからなる繊維は、開繊機、カードなどの工程により一方向に引き揃えられたのち、ニードルパンチなどにより一体化して繊維集合体とすることが好ましい。ちなみにこのカード工程においては、捲縮を有する繊維Bの長さが短すぎると芳香族ポリアミド繊維の脱落が増加する傾向にあり、品質が低下するばかりか、繊維と樹脂の比率を所定の範囲に混合することが困難となる。また成形前の繊維集合チアシートをニードルパンチ不織布とする場合は、打ち込み密度を、10〜150本/cmとすることが好ましく、さらには30〜100本/cmとすることが好ましい。
本発明の繊維樹脂複合シートの製造方法では、このようにして得た繊維Aと繊維Bとからなる繊維集合体を、繊維Bの融点以上、繊維Aの分解温度以下の温度で圧縮を行い、空隙率2〜50%とすることを必須とする製造方法である。このような製造方法を採用することにより、本発明で得られる繊維樹脂複合シート中では熱可塑性樹脂からなる繊維Bは溶融して、芳香族ポリアミド樹脂からなる繊維Aの周辺に均一に配置されることとなる。
また本発明の製造方法では、熱可塑性樹脂は一旦捲縮された繊維Bの形状にした後に、加熱圧縮工程にて溶融される。この熱可塑性樹脂を溶融する圧縮工程は金属板を用いたプレス工程であることが好ましい。
加熱加圧プレスの条件としては、成形圧力が2〜15MPaの範囲であることが、温度としては130〜300℃の範囲であることが好ましい。あるいは繊維Bの融点+30℃以上、繊維Aの分解温度−50℃以下の温度であることが好ましい。
圧縮後の繊維と樹脂からなるシートの厚さとしては5mm以下であることが好ましく、さらには50〜3000μm、特には100〜1000μmの範囲であることが好ましい。最も好ましくは200〜500μmの範囲の厚さである。例えば振動板として本発明の繊維樹脂複合シートを用いる場合には、厚すぎると重量が大きくなって音の振動を妨げる傾向にあり、薄すぎると強度が不足し、微細振動によって破断する懸念が増加する。
また、本発明の製造方法にて得られる繊維樹脂複合シートとしては、そのシートの目付が100〜500g/cmの範囲であることが好ましい。さらには200〜400g/cmの範囲とすることが好ましい。
そして本発明の繊維樹脂複合シートの製造方法においては、圧縮処理後の繊維樹脂複合シートの空隙率は2〜50%であることが必要である。本発明の繊維樹脂複合シートの製造方法においては、通常の複合シートが目標とする空隙率0%では無く、空隙率が2%以上であることが必要であり、上限としては50%以下であることが必要とされる。さらには5%以上、特には10%以上の空隙率であることが好ましい。本発明の製造方法にて得られた繊維樹脂複合シートでは、このような空隙率を有するシートでありながら高弾性率の繊維と低弾性率の樹脂が複合することにより、弾性率や内部損失の値が優れながら耐久性や成形性に優れた繊維樹脂複合シートが得られたのである。
そしてこのような繊維樹脂複合シートを用いたスピーカー振動板は、適度な内部損失ともに、比弾性率や比強度に優れ、剛性が高低音域のバランスに対し良好となるために、雑音が少なく、高音質が得られるものとなる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
(1)繊維長、繊度
JIS L 1015に準拠して測定した。
(2)樹脂シートの引張強度、伸度、弾性率
繊維樹脂複合シートの引張強度はJIS P8113に準拠して、試験巾10mm、試験長100mm、引張速度100mm/minで測定した。
(3)厚さ
デジタルリニアゲージ(株式会社小野測器製、「DG−925」、測定端子部の直径1cm)を用い、20箇所において厚さを測定し、その平均値を求めた。
(4)目付
測定対象のシートを、1辺が25mmの正方形に切り出し、その重量を電子天秤を用いて測定し、1辺が1mの正方形として換算し、目付とした。
(5)空隙率
繊維樹脂複合シートの全体の体積から繊維と樹脂の含有率と比重から計算した体積を引き、シート全体の体積に占める空隙の体積割合を百分率で表記した。
(6)収縮率(TMA)
繊維樹脂複合シートの5ヶ所をサンプリングし、熱機械分析装置(ブルカー・エイエックスエス株式会社製、「TMA4000SA」)を用いて、昇温速度10℃/min.にて測定し、縦方向の収縮量の平均値を算出し、室温でのサンプルサイズからの収縮率を算出した。
(7)内部損失(tanδ)
粘弾性測定装置(株式会社岩本製作所製、「VES−HC型」)を用い、周波数10kHz、40℃における繊維樹脂複合シートの内部損失(tanδ)を測定した。
[実施例1]
芳香族ポリアミド繊維として、繊維径12μmの3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維(帝人株式会社製、全芳香族ポリアミド繊維「テクノーラ」、分解温度500℃、密度1.39g/cm)の51mmカットファイバーを準備した。一方、ポリエチレンテレフタレート繊維(帝人株式会社製、「RA03F SD2.2×51」、繊度2.2dtex、繊維長51mm、捲縮数12個/25mm、融点260℃、密度1.39g/cm)を準備した。
この芳香族ポリアミド繊維とポリエチレンテレフタレート繊維を重量比で、40:60に混合し、カード工程を通過させた後、ニードルパンチ機により40番針にて針深度10mm、打ち込み密度50本/cm条件で、目付205g/mの成型前シートを得た。
さらにこの成型前シートを2枚積層したものを、あらかじめ離型処理を施したステンレス板で挟み、ホットプレス熱盤上にセットした後、成型圧力4MPa、成型温度が260℃にて目付360g/m2、370μm厚の繊維樹脂複合シートを作成した。
製造条件および得られた繊維樹脂複合シートの物性を表1に記した。この得られた繊維樹脂複合シートは、スピーカー振動板に適したものであった。
[比較例1]
無捲縮の芳香族ポリアミド繊維に代えて、捲縮数6個/25mm、繊維長51mmの芳香族ポリアミド繊維を用いること以外は実施例1と同様にして繊維樹脂複合シートを作成した。製造条件および得られた繊維樹脂複合シートの物性を表1に併せて記した。実施例1に比べ、弾性率と内部損失(tanδ)の値が共に小さくなり、振動特性に劣るものであった。
[実施例2、3、4]
芳香族ポリアミド繊維とポリエチレンテレフタレート繊維の重量比を、実施例1の40:60から変更した表1記載の成型前シートを使用する以外は、実施例1と同様にして繊維樹脂複合シートを作成した。製造条件および得られた繊維樹脂複合シートの物性を表1に併せて記した。得られた繊維樹脂複合シートは、スピーカー振動板に適したものであった。
[比較例2]
芳香族ポリアミド繊維とポリエチレンテレフタレート繊維の重量比を、実施例1の40:60から、5:95に変更した成型前シートを使用する以外は、実施例1と同様にして繊維樹脂複合シートを作成した。製造条件および得られた繊維樹脂複合シートの物性を表1に併せて記した。収縮率が大きく、耐久性に劣るものであった。
[比較例3]
芳香族ポリアミド繊維とポリエチレンテレフタレート繊維の重量比を、実施例1の40:60から、85:15に変更した以外は、実施例1と同様にカード工程を通過させた後、ニードルパンチを通過させたが、芳香族ポリアミド繊維の脱落が多く、取扱い可能なフェルトを得ることが出来なかった。
[実施例5]
ポリエチレンテレフタレート繊維の代わりに、ポリプロピレン繊維(融点165℃、密度0.86g/cm)を使用し、芳香族ポリアミド繊維と熱可塑性樹脂繊維の重量比を実施例3と同じ55:45とすること以外は、実施例1と同様にして繊維樹脂複合シートを作成した。製造条件および得られた繊維樹脂複合シートの物性を表1に併せて記した。得られた繊維樹脂複合シートは、スピーカー振動板に適したものであった。
Figure 2017108246

Claims (10)

  1. 芳香族ポリアミド樹脂からなる無捲縮の繊維と熱可塑性の樹脂からなり、繊維:樹脂の重量比率が10:90〜80:20の範囲であり、厚さが5mm以下、かつ空隙率が2〜50%であることを特徴とする繊維樹脂複合シート。
  2. 繊維の長さが20〜100mmの範囲である請求項1記載の繊維樹脂複合シート。
  3. 芳香族ポリアミドからなる繊維がパラ型である請求項1または2記載の繊維樹脂複合シート。
  4. 熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ナイロン樹脂から選ばれる少なくとも一種からなるものである請求項1〜3のいずれか1項記載の繊維樹脂複合シート。
  5. 繊維樹脂複合シートの目付が100〜500g/cmの範囲である請求項1〜4のいずれか1項記載の繊維樹脂複合シート。
  6. 芳香族ポリアミド樹脂からなる無捲縮の繊維Aと熱可塑性樹脂からなる捲縮を有する繊維Bとからなり、繊維A:繊維Bの重量比率が10:90〜80:20の範囲である繊維集合体を、繊維Bの融点以上、繊維Aの分解温度以下の温度で圧縮を行い、空隙率2〜50%とすることを特徴とする繊維樹脂複合シートの製造方法。
  7. 繊維Aの長さが20〜100mmの範囲である請求項6記載の繊維樹脂複合シートの製造方法。
  8. 繊維Bの長さが20〜150mm範囲である請求項6または7記載の繊維樹脂複合シートの製造方法。
  9. 繊維Bの捲縮数が5〜25個/25mmの範囲である請求項6〜7のいずれか1項記載の繊維樹脂複合シートの製造方法。
  10. 請求項1〜5のいずれか1項記載の繊維樹脂複合シートからなるスピーカー振動板。
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