JP2017110097A - インク及びそれを用いた繊維の捺染方法 - Google Patents

インク及びそれを用いた繊維の捺染方法 Download PDF

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Michiaki Takeda
径明 武田
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勇気 田中
慎介 清水
Shinsuke Shimizu
慎介 清水
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Abstract

【課題】吐出安定性を確保する為、8mPa・sより高い粘度を有し、保存安定性が良好なインクの提供。
【解決手段】反応染料と、式(1)で表される化合物と、水とを含有するインク。
Figure 2017110097

[(CO)、(CO)、及び(CO)の並び順はランダム;a、b、c、h、i、j、x、y及びzは夫々独立に0以上の自然数;a、b、c、h、i、j、x、y及びzの総和は3〜80]
【選択図】なし

Description

本発明は反応染料インク及びそれを用いた繊維の捺染方法に関する。
インクジェットプリンタを用いた繊維のインクジェット捺染は、スクリーン捺染、ローラー捺染、ロータリー捺染等の捺染方法に比べ、
(1)製版工程が不要であり工程が短縮できること、
(2)デジタル化されたデザインを、コンピュータを介してそのまま印捺できること、
(3)多品種の製品を少量ずつであっても生産することが可能であること、
(4)染料色糊の廃液等が大幅に削減できること、
等の多くのメリットがある。
一方、従来の製版捺染に比べ、印捺加工速度が遅いこと、濃色を再現し難いこと等の課題があり、見本反の製造や少量生産の範囲で使用されることが多かった。
綿、レーヨン等のセルロース系繊維用の染色に用いるインクジェット捺染用の染料インクとしては、反応性染料インクが使用されている。反応染料は、その染料分子中に存在する繊維と反応する反応性の基が、繊維中に存在するヒドロキシ基等と反応し、染料と繊維間で共有結合を形成することにより繊維に固着する。このため、反応染料を含有するインクに前記の溶剤等を添加すると、インクの保存中や、捺染後に染料の固着の目的で行われる熱による反応固着工程において、前記の溶剤等が有するヒドロキシ基と反応染料とが反応してしまい、染料の繊維への固着率が低下してしまうという問題が生じる。 従って、反応染料インク中に添加するインク調製剤としては、染料との反応性が低いものを選択する必要があり、そのような溶剤等が提案されてきた。その具体例として、特許文献1にはグリセリンのエチレンオキシド付加物やプロピレンオキシド付加物をインク中に添加することで、8.0mPa・s以下の粘度が必要とされるインクジェットヘッド向けの吐出性良好な反応染料インクが、特許文献2にはそのインクを用いたインクジェット捺染方法が開示されている。
また、近年では特許文献3に記載されているように、吐出安定性を確保する為のインクの物性として、8〜20mPa・s程度の粘度が必要とされる工業用の高耐久性のインクジェットヘッド及びそれらが搭載された高速プリンタが開発されている。しかし、8〜20mPa・s程度の粘度が必要とされる工業用の高速インクジェットプリンタで要求される、低〜高駆動周波数における吐出性能、及び放置後吐出を満足するインクは知られていない。
特許3582434号公報 特開2001−146561号公報 特表2005−520015号公報
本発明は、8mPa・s以上の高い粘度を有し、保存安定性が良好なインクの提供を課題とする。
本発明者らは前記したような課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、反応染料と、下記式(1)で表される化合物と、水とを含有するインクが、前記課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成させたものである。
即ち本発明は、以下の1)〜9)に関する。
1)
反応染料と、下記式(1)で表される化合物と、水とを含有するインク。
Figure 2017110097
[式(1)中、(CO)、(CO)、及び(CO)の並び順はランダムであり、a、b、c、h、i、j、x、y及びzはそれぞれ独立して0以上の自然数を表し、且つa、b、c、h、i、j、x、y及びzの総和は3以上80以下である。]
2)
インクの総質量中における、前記式(1)で表される化合物の含有量が、0.1質量%〜50質量%である前記1)に記載のインク。
3)
水溶性有機溶剤をさらに含有する前記1)又は2)に記載のインク。
4)
インクの総質量中において、0.1質量%〜2質量%のpH調整剤をさらに含有する前記1)〜3)のいずれか一項に記載のインク。
5)
pH調整剤がトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンである前記4)に記載のインク。
6)
20℃における粘度が8mPa・s以上20mPa・s以下である前記1)〜5)のいずれか一項に記載のインク。
7)
前記1〜6のいずれか一項に記載のインクを、インクジェットプリンタを用いて繊維に付着させる工程1と、工程1により付着させたインク中の染料を、熱により繊維に固着させる工程2と、該繊維中に残存する未固着の染料を洗浄する工程3とを含む、繊維の捺染方法。
8)
1種類以上の糊材、及びpH調整剤を少なくとも含む水溶液を、インクを付着させる前の繊維に含浸させる、繊維の前処理工程をさらに含む、請求項7に記載の繊維の捺染方法。
9)
前記1)乃至8)のいずれか一項に記載のインクが付着した繊維。
本発明により、8mPa・s以上の粘度を有し、保存安定性が良好なインクを提供することができた。
本明細書においては特に断りの無い限り、「%」、「部」等は、実施例等も含めて質量基準で記載する。
前記インクの用途は特に制限されないが、繊維の染色を行う捺染に使用するのが好ましく、中でもインクジェット捺染に使用するのがより好ましい。
インクに用いられる染料は、反応染料であれば特に制限はないが、繊維と反応する反応性の基が、モノクロルトリアジニル基である染料、すなわち、モノクロルトリアジン反応染料であることが好ましい。
反応染料の具体例としては、例えばC.I.Reactive Yellow 2、3、18、81、84、85、95、99、102等のイエロー;C.I.Reactive Orange 5、9、12、13、35、45、99等のオレンジ;C.I.Reactive Brown 2、8、9、17、33等のブラウン;C.I.Reactive Red 3、3:1、4、13、24、29、31、33、125、151、206、218、226等のレッド;C.I.Reactive Violet 1、24等のバイオレット;C.I.Reactive Blue 2、5、10、13、14、15、15:1、49、63、71、72、75、162、176等のブルー;C.I.Reactive Green 5、8、19等のグリーン;C.I.Reactive Black 1、8、23、39等のブラック;等の各色の染料が挙げられる。これらの染料は単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
前記ブラック染料の代わりに、ブルー染料を主体とし、オレンジ染料及び/又はレッド染料及び/又はイエロー染料を混合し、配合ブラック染料とすることもできる。
また、フルカラーでの捺染を目的としてイエロー、レッド、ブルー及び必要に応じてブラックの各インクを基本色としたインクセットとすることができる。さらに、オレンジ、ブラウン、バイオレット、グリーン等の各種の色相を有するインクを調製し、これらをインクセットとすることもできる。
前記の染料としては、粉末状あるいは塊状の乾燥、ウエットケーキ等の染料を使用することができる。市販の染料には、工業染色用粉末、捺染用液状品、インクジェット捺染用等の各種の品質があり、製造方法、純度等がそれぞれ異なる。前記インクは、保存安定性及びインクジェットプリンタからの吐出精度への悪影響を少なくするため、できるだけ不純物の少ない材料を使用して調製するのが好ましい。
一般に、染料の合成時には、塩化ナトリウム等の無機塩が混入してくることが多く、また、特に精製操作を行わない水等は、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等の金属イオンを含む。このため、このような水等を該インクの調製時に使用した場合にも、微量ながら該イオン等が混入する。本明細書においては、前記の無機塩及び金属イオンを、便宜上、「無機不純物」という。これらの無機不純物は、染料のインク等に対する溶解度及び保存安定性を著しく悪くする。また、インクジェットプリンタヘッドの腐食・磨耗・ノズル詰りの原因ともなる。これらの無機不純物を除去するために、限外濾過法、逆浸透膜法、イオン交換法等の公知の方法を利用し、インク中に含有する無機不純物をできるだけ除去することが望ましい。
インクの総質量中における、無機不純物の含有量は通常1%以下、好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.01%以下である。下限は検出機器の検出限界以下、すなわち0%とすることができる。そして、無機不純物を除去した後、希釈又は濃縮により所望の染料濃度に調整し、インクを得ることができる。
前記インクの総質量中における染料の総含有量は通常0.5〜35%、好ましくは1〜20%、より好ましくは5〜20%、さらに好ましくは5〜15%である。
前記インクの25℃における粘度は、E型粘度計にて測定したときに通常3〜20mPa・s、好ましくは8〜20mPa・sである。
前記式(1)中、「(CO)、(CO)、及び(CO)の並び順はランダム」とは、式(1)で表される部分構造「−CHO(CO)(CO)(CO)H」が必ずしもこの順番に結合するのではなく、例えば、「−CHO(CO)(CO)(CO)H」、
「−CHO(CO)(CO)(CO)H」等のように、任意の順に結合することができることを意味する。また、各(CO)、(CO)、及び(CO)は、それぞれがa個、h個及びx個ずつ連続して結合することも、連続せずに任意の数で結合することもできる。この例では部分構造「−CHO(CO)(CO)(CO)H」を挙げたが、残りの部分構造においても同様である。
a、b、c、h、i、j、x、y及びzはそれぞれ独立して0以上の自然数を表し、且つa、b、c、h、i、j、x、y及びzの総和は3以上80以下である。
前記式(1)で表される化合物は、公知の方法に従ってグリセリンに酸化プロピレン、酸化エチレン及び酸化ブチレンから選択される少なくとも3つを付加重合して得ることができる。式(1)中、a、b及びc;h、i及びj;及び、x、y及びzは、付加重合した酸化エチレン;酸化プロピレン;及び、酸化ブチレンの数を、それぞれ意味する。これらのうち、酸化プロピレン及び酸化ブチレンは、それぞれ直鎖又は分岐鎖のものを任意に選択することができる。また、それらの混合物とすることもできる。
市販品として入手できる式(1)で表される化合物の具体例としては、例えば、青木油脂工業株式会社製 商品名ブラウノンGL−26[前記式(1)中、a、b及びcの総和が26であり、h、i、j、x、y及びzが0の化合物];日油株式会社製 商品名ユニオールSGP−65、TG−700、TG−1000、TG−3000、TG−4000R[前記式(1)中、h、i及びjの総和がそれぞれ8、10、16、50及び70であり、a、b、c、x、y及びzが0の化合物]、ユニルーブ50TG−32[前記式(1)中、a、b及びcの総和が24であり、h、i及びjの総和が24であり、x、y及びzが0の化合物]、ウィルブライドS−753[前記式(1)中、a、b及びcの総和が8であり、h、i及びjの総和が5であり、x、y及びzの総和が3の化合物]等が挙げられる。
インクの総質量中における、前記式(1)で表される化合物の含有量は通常0.1%〜50%、好ましくは1%〜30%である。
前記インクは、水溶性有機溶剤を含有することができる。水溶性有機溶剤は、粘度調整剤及び/又は、乾燥防止剤としての効果を有することもある。このため、インクの乾燥により固形物の発生を防止し、かつ反応染料の溶解度を妨げないものを選択するのが好ましい。また、反応染料が有する繊維と反応する反応性の基と反応しないこと、反応性の基の分解を促進しないことも適宜考慮し、水溶性有機溶剤を選択するのが好ましい。
水溶性有機溶剤としてはノズルでの目詰まり防止等の目的で湿潤効果の高いものが好ましい。
水溶性有機溶剤としては多価アルコール類、ピロリドン類等を挙げることができる。多価アルコール類としては、例えばアルコール性水酸基を2〜3個有するC2〜C6多価アルコール及び、もしくは繰り返し単位が4以上で、分子量20,000程度以下のポリC2〜C3アルキレングリコール、好ましくは液状のポリアルキレングリコール等が挙げられる。これらの中ではアルコール性水酸基を2〜3個有するC2〜C6多価アルコール及びピロリドン類が好ましい。
水溶性有機溶剤の具体例としては、グリセリン、1,3−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール等のアルコール性水酸基を2〜3個有するC2〜C6多価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコールポリエチレングリコール等のジ又はトリC2〜C3アルキレングリコール;ポリプロピレングリコール等のポリC2〜C3アルキレングリコール;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のピロリドン類;等が挙げられる。これらの中ではプロピレングリコール及び2−ピロリドンが好ましい。
水溶性有機溶剤は、単独で使用することも併用することもできる。 インクの総質量中における水溶性有機溶剤の総含有量は通常1%〜40%、好ましくは3%〜30%、より好ましくは5%〜20%である。
前記インクは、必要に応じて、さらにインク調製剤を含有することができる。インク調製剤としては、界面活性剤、防腐防黴剤、pH調整剤等が挙げられる。これらのインク調製剤は、それぞれのを単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。インクの総質量中における、インク調製剤の総含有量は通常0〜10%程度、好ましくは0.05〜5%程度である。
界面活性剤としては、アニオン、カチオン、両性、及びノニオンの各界面活性剤が挙げられる。
アニオン界面活性剤としてはアルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸又はその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール(アルコール)系;他の具体例として、例えば、日信化学社製 商品名サーフィノール104、82、440、465、オルフィンSTG;等が挙げられる。これらの中ではサーフィノールが好ましい。
防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ソジウムピリジンチオン−1−オキサイド、ジンクピリジンチオン−1−オキサイド、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、1−ベンズイソチアゾリン−3−オンのアミン塩、アーチケミカルズ社製プロキセルGXL等が挙げられる。これらの中ではプロキセルGXLが好ましい。
pH調整剤としては、インクのpHを7〜10に調整できる化合物が挙げられる。酸性染料は、一般にスルホ基、カルボキシ基等の官能基を有するため、pH調整剤としては塩基性の物質が好ましい。その具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ土類金属の水酸化物;トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等の、置換基としてヒドロキシ基を有することができるモノ、ジ又はトリC1−C4アルキルアミン;及び、アミノ基を有する多価アルコール等が挙げられる。
アミノ基を有する多価アルコールとしては、直鎖、分岐鎖又は環状のアミノC3−C6多価アルコールが挙げられる。多価アルコール部分としては、C3−C6ジオール若しくはC3−C6トリオールが好ましく、分岐鎖のアミノC3−C6トリオールがより好ましい。その具体例としては、例えばトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンが挙げられる。
これらの中では置換基としてヒドロキシ基を有することができるモノ、ジ、又はトリC1−C4アルキルアミンが好ましく、置換基としてヒドロキシ基を有するトリC1−C4アルキルアミンがより好ましい。
前記インクはpH調整剤を含有するのが好ましい。その含有量は、インクの総質量に対して通常0.05〜3%、好ましくは0.05〜2.5%、より好ましくは0.1〜2%である。
前記インクの調製方法は、特に制限されず、公知の方法を使用することができる。その一例としては、例えば、酸性染料、2種類のノニオン界面活性剤を水に加え、必要に応じて上記の水溶性有機溶剤、及びインク調製剤をさらに加えて攪拌し、固形の成分が溶解するまで混合する方法が挙げられる。各成分を加える順番は特に制限されない。
前記インクをインクジェット捺染に使用するときは、保存安定性及びインクジェットプリンタからの吐出精度への悪影響を少なくするため、できるだけ不純物の少ない材料を使用するのが好ましい。一般に、染料の合成時には、塩化ナトリウム等の無機塩が不純物として混入することが多い。また、精製を行わない水等は、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等の金属イオンを不純物として含む。本明細書においては、このような無機塩及び金属イオン等を含めて、「無機不純物」という。このような無機不純物は、インクの保存安定性を著しく悪くする。また、このようなインクを使用すると、インクジェットプリンタヘッドの腐食、磨耗、及びノズル詰り等の原因となることもある。このため、無機不純物はインク(特に、インクジェットインク)から除去することが好ましい。
インクから無機不純物を除去する方法としては、限外濾過法、逆浸透膜法、イオン交換法等がが挙げられる。インクの総質量中に対する無機不純物の含有量は、通常1%以下、好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.01%以下である。下限は検出機器の検出限界以下、すなわち0%とすることができる。
前記インクをインクジェットプリンタにより吐出させるときは、メンブランフィルタ等を用いてインクを精密濾過した後に用いるのが好ましい。精密濾過を行う際のフィルタの孔径は、通常1μm〜0.1μm、好ましくは、0.8μm〜0.1μmである。
前記インクの粘度は、工業用のインクジェットプリンタにおける、高速での吐出応答性を良好にする目的で、25℃における粘度がE型粘度計にて測定したときに通常3〜20mPa・s、好ましくは8〜20mPa・sである。
前記インクを工業用インクジェットヘッドが搭載されたプリンタで使用するときは、25℃において、プレート法にて測定した表面張力が通常20〜40mN/m、好ましくは25〜35mN/mである。
前記インクをインクジェットプリンタで使用するときは、メンブランフィルタ等を用いてインクを精密濾過し、夾雑物を除くのが好ましい。精密濾過に使用するフィルタの孔径は通常1μm〜0.1μm、好ましくは、0.8μm〜0.1μmである。
前記繊維の捺染方法は、前記インクを、インクジェットプリンタを用いて繊維に付着させる工程1と、該工程1により付着させたインク中の染料を、熱により繊維に固着させる工程2と、該繊維中に残存する未固着の染料を洗浄する工程3
とを含む繊維の捺染方法である。インクジェットプリンタのインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
工程1としては、前記インクが充填された容器をインクジェットプリンタの所定の位置に装填し、該インクの液滴を記録信号に応じて吐出させて、繊維に付着させる方法が挙げられる。
工程2としては、前記インクが付着した繊維を常温〜150℃に0.5〜30分放置して予備乾燥させた後、さらにスチーミング処理を施す方法等が挙げられる。スチーミング処理の条件としては、湿度80〜100%、温度95〜105℃の環境下に、5〜40分繊維を放置する条件が挙げられる。
工程3としては、スチーミング処理をした繊維を水により洗浄する方法が挙げられる。洗浄に使用する水は、界面活性剤を含むことができる。
未固着の染料を洗浄した後の繊維を50〜120℃で、5〜30分乾燥することにより、乾燥した染色された繊維を得ることができる。
前記の繊維としてはセルロース系繊維が挙げられ、セルロース系繊維を主体とするものが好ましい。セルロース系繊維としては、例えば木綿、麻等の天然繊維、レーヨン等の再生セルロース繊維、及びこれらを含有する混紡繊維等が挙げられる。また、これらの繊維からなる布帛等も同様に繊維に含まれる。
前記の捺染方法は、工程1を行う前に、繊維に対する前処理工程を含むことができる。この前処理工程としては、1種類以上の糊材、及び酸性の塩を少なくとも含む水溶液を、繊維に付着させる工程が挙げられる。
この前処理工程は必須ではないが、捺染の際に染料のにじみを防止する効果が得られることもある。そのため、前記の捺染方法は、繊維の前処理工程を含むのが好ましい。
前処理工程としては、糊剤、アルカリ性物質、還元防止剤、ヒドロトロピー剤等の前処理剤を水溶液として前処理液を調製し、これを繊維に付着させることが好ましい。
前処理液を繊維に付着させる方法としては、例えばパディング法が挙げられる。パディングの絞り率は40〜90%程度が好ましく、60〜80%程度がより好ましい。
前記糊剤としては、グアー、ローカストビーン等の天然ガム類、澱粉類、アルギン酸ソーダ、ふのり等の海藻類、ペクチン酸等の植物皮類、メチル繊維素、エチル繊維素、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素誘導体、カルボキシメチル澱粉等の加工澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸エステル等の合成糊等が挙げられる。これらの中ではアルギン酸ソーダが好ましい。
アルカリ性物質としては、例えば無機酸または有機酸のアルカリ金属塩;アルカリ土類金属の塩;並びに加熱した際にアルカリを遊離する化合物が挙げられる。これらの中では無機又は有機酸のアルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属塩が好ましい。金属塩としては、ナトリウム塩及びカリウム塩が挙げられる。その具体例としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、蟻酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、トリクロル酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等が挙げられる。これらの中では炭酸水素ナトリウムが好ましい。
前記還元防止剤としては、メタニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。ヒドロトロピー剤としては、尿素、ジメチル尿素等のアルキル尿素等が挙げられる。これらの中では尿素が好ましい。
前記の糊剤、酸性の塩、及びヒドロトロピー剤は、いずれも単独で用いることも、併用することもでき、併用するのが好ましい。
前処理液の総質量中における、糊剤、及びpH調整剤の混合比率は、例えば単一の材質からなる繊維であるか、混紡繊維であるか等により、一概に決めることは困難である。その目安としては、例えば、糊剤が0.5〜5%、pH調整剤が0.5〜5%、残部が水である。ヒドロトロピー剤を併用するとき、前処理液の総質量中における、その含有量は1%〜20%程度である。
本発明のインクジェット捺染用インクで捺染した繊維は、彩度、染色濃度、色ぶれ、及び耐光性のバランスに優れる。また、水堅牢度、洗濯堅牢度等の他の堅牢性試験、色調、色再現域の広さ等の各種の性能においても優れる。
また、該インクは、高粘度インクを必要とする工業用インクジェットヘッドが搭載されたプリンタでの、周波数値に係らない吐出性能を発揮することも可能である。
さらに、インクジェット捺染後に一定時間プリンタを放置し、再度吐出(捺染)を開始したときの吐出性も良好である。
従って、本発明のインクジェット捺染用インク及びこれを用いる捺染方法は、繊維の捺染用途に極めて好適である。
以下実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、これら実施例により本発明が限定されるものではない。
[実施例1]
下記表1に記載の各成分を混合し、固形分が溶解するまでおおよそ1時間攪拌することにより、インクを得た後、0.45μmのメンブランフィルタ(アドバンテック社製のセルロースアセテート系濾紙)で濾過することにより、実施例1の試験用のインクを調製した。
下記表1中の数値は「部」である。また、略号等は以下の意味を有する。
RR245;C.I. Reactive Red 245。
ブラウノンGL−26;青木油脂工業株式会社製の商品名ブラウノンGL−26。
Figure 2017110097
[(A)粘度の測定]
実施例1のインクの20℃における粘度を、E型粘度計を用いて測定した。結果を下記表2に示す。この粘度の単位はmP・sである。
[(B)保存安定性試験]
各実施例のインクを1時間攪拌した後、一週間放置し、固形分の沈降の有無、及びインクの状態を目視にて評価した。結果を下記表2に示す。評価基準は以下の通りである。
A:固形分の沈降、及びインクのゲル化は共に確認できない。
B:固形分の沈降は僅かにあるが、インクのゲル化は確認できない。
C:固形分の沈降が明らかに生じているか、又はインクのゲル化が確認された。
Figure 2017110097
表2の結果から明らかなように、本発明のインクは工業用ヘッドに適したインク粘度に調整でき、且つ保存安定性に優れることが確認できた。
本発明のインクは繊維の捺染用、好ましくはインクジェット捺染用、特に工業用インクジェットヘッドを使用するインクジェット捺染用のインクとして極めて好適である

Claims (9)

  1. 反応染料と、下記式(1)で表される化合物と、水とを含有するインク。
    Figure 2017110097
    [式(1)中、(CO)、(CO)、及び(CO)の並び順はランダムであり、a、b、c、h、i、j、x、y及びzはそれぞれ独立して0以上の自然数を表し、且つa、b、c、h、i、j、x、y及びzの総和は3以上80以下である。]
  2. インクの総質量中における、前記式(1)で表される化合物の含有量が、0.1質量%〜50質量%である請求項1に記載のインク。
  3. 水溶性有機溶剤をさらに含有する請求項1又は2に記載のインク。
  4. インクの総質量中において、0.1質量%〜2質量%のpH調整剤をさらに含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のインク。
  5. pH調整剤がトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンである請求項4に記載のインク。
  6. 20℃における粘度が8mPa・s以上20mPa・s以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載のインク。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクを、インクジェットプリンタを用いて繊維に付着させる工程1と、工程1により付着させたインク中の染料を、熱により繊維に固着させる工程2と、該繊維中に残存する未固着の染料を洗浄する工程3とを含む、繊維の捺染方法。
  8. 1種類以上の糊材、及びpH調整剤を少なくとも含む水溶液を、インクを付着させる前の繊維に含浸させる、繊維の前処理工程をさらに含む、請求項7に記載の繊維の捺染方法。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載のインクが付着した繊維。
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