従来の技術において、DO制御においては、反応タンク末端に設置したDO計からのDO信号に基づいて制御を行うため、下水の流入量や流入水質の変動に対して、制御に時間的な遅れが生じる結果、有機物及び窒素の除去が不完全となりやすく、そのため、良好な処理水質を安定的に保つことは難しい。また、これらの問題を考慮してオペレータがDO目標値を必要以上に高く設定した場合、曝気に要するエネルギー量が本来必要であるエネルギー量に対して過大となる恐れがあり、その場合には曝気に要するコストが増大することとなる。
さらにいえば、ある時点での最適なDO目標値はわからず、DO目標値は流入水や処理水の水質分析データ等をもとにして、過去の経験や勘に基づいて設定されているため、良好な処理水質を安定的に保つことは難しく、また、下水の流入水量や流入水質の変動を考慮して、ある程度、余裕をみた設定とする必要があることから、曝気に要するコストも過大なものとなることが多い。
一方、OR制御においては、反応タンクに流入する下水の水量と水質、反応タンクの水質に基づいて制御を行うため、良好な処理水質を安定的に保つことができる。また、算出された曝気風量はその時点での下水の水量と水質の測定値等に基づいたものであるため、経験や勘による運転設定とは異なり予想外の変動に備えて余裕を見た設定を行う必要がないことから、DO制御によって運転を行った場合よりも少ない曝気風量での運転が可能となる。しかし、OR制御を適用するためには系列毎に、COD濃度計、アンモニア窒素濃度計を下水が流入する水路に、アンモニア窒素濃度計、硝酸性窒素濃度計、水温計を反応タンクに設ける必要があるため、DO制御にくらべて導入コストや維持管理コストが高くなる。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、良好な処理水質を安定的に保つとともに、曝気風量を削減することができる下水処理場運転支援装置および運転支援方法を低コストで提供することを目的とする。
請求項1に示す下水処理場の運転支援装置は、反応タンクと反応タンク内に設置された散気装置と散気装置に接続された曝気装置とを備えた活性汚泥法による複数系列を有する水処理施設で、曝気風量が曝気風量の制御目標値に一致するように曝気装置を制御する曝気風量制御装置に対して、下水を処理するために必要な曝気風量を系列毎に算出して、算出した曝気風量を制御目標値として系列毎に転送する手段を備えた下水処理場の運転支援装置において、水処理施設に流入する下水の水量を計測する流量計を設け、反応タンクに流入する下水の水質を計測するCOD濃度計、SS濃度計、濁度計のうち少なくともひとつを、複数系列のうち少なくともひとつの系列に設け、反応タンクに流入する下水の水質を計測するアンモニア性窒素濃度計を複数系列のうち、少なくともひとつの系列に設け、反応タンク好気槽の水質を計測するMLSS計と溶存酸素濃度計を系列毎に設け、上記の流量計、COD濃度計、SS濃度計、濁度計のうち少なくともひとつの濃度計、アンモニア性窒素濃度計、MLSS計の計測値に基づいて反応タンクに流入する下水中のBODとケルダール窒素を除去するために必要な酸素量を系列毎に算出する第1の算出手段を設け、あらかじめ、反応タンク好気槽に一時的に設置したアンモニア性窒素濃度計の計測値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係、または反応タンク好気槽で採水した試料のアンモニア性窒素濃度分析値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係に基づいて、反応タンク好気槽アンモニア性窒素濃度の目標値を満たすために必要となる溶存酸素濃度の目標値を系列毎に定めたうえで、前記の溶存酸素濃度の目標値と前記の溶存酸素濃度の測定値との偏差に基づいて第1の算出手段によって算出した必要な酸素量をフィードバック調整する第2の算出手段を系列毎に設け、第2の算出手段によって算出した酸素量と散気装置の性能曲線に基づいて必要な曝気風量を系列毎に算出する第3の算出手段を設け、第3の算出手段によって算出した曝気風量を曝気風量制御装置の制御目標値として系列毎に転送することを特徴とするものである。
ここで、曝気装置とは微生物による有機物、窒素除去の際に必要となる空気を供給するもので、送風機と送風機により反応タンクに供給される空気の量を調整する風量調整弁とからなるものを意味する。また、散気装置とは送風機から供給された空気を微細化することにより効率よく反応タンクに酸素を供給するものであり、図17に示すようなものが一般的に用いられる。
また、フィードバック調整とは、出力の結果を入力側に戻し、調整を行うことをいう。
流入水質を測定する濃度計は汚れによる誤差を生じやすいが、濃度計の誤差によって算出された必要酸素量が本来必要である必要酸素量に対して過大または過小となった場合でも、このフィードバック調整により、補正を行うことができる。
また、散気装置・曝気装置の経年劣化等の原因によって生じる誤差に対しても、このフィードバック調整は有効に機能し、補正を行うことができる。
このように構成された運転支援装置においては、水処理施設に流入する下水の水量、反応タンクに流入する下水の水質、反応タンク好気槽の水質からBODとケルダール窒素を除去するために必要な酸素量を算出し、あらかじめ、反応タンク好気槽に一時的に設置したアンモニア性窒素濃度計の計測値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係、または反応タンク好気槽で採水した試料のアンモニア性窒素濃度分析値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係に基づいて、反応タンク好気槽アンモニア性窒素濃度の目標値を満たすために必要となる溶存酸素濃度の目標値を定めたうえで、前記の溶存酸素濃度の目標値と前記の溶存酸素濃度の測定値との偏差に基づいて前記酸素量をフィードバック調整し、さらに、フィードバック調整された酸素量と散気装置の性能曲線とから必要な曝気風量を算出することができることから、この曝気風量を曝気風量制御装置の曝気風量設定部に転送することで、設定された曝気風量に一致するように曝気風量制御装置が曝気装置を制御することにより有機物及び窒素の処理を効果的に行うことができるため、良好な処理水質を安定的に保つことができる。
また、算出された曝気風量はその時点での下水の水量と水質の測定値等に基づいたものであるため、経験や勘による運転設定とは異なり予想外の変動に備えて余裕を見た設定を行う必要がないことから、DO制御によって運転を行った場合よりも少ない曝気風量での運転が可能となる。
さらに、OR制御では系列毎に反応タンクに流入する下水の水質を計測するCOD濃度計およびアンモニア性窒素濃度計を設ける必要があるのに対し、請求項1に示す下水処理場の運転支援装置では1系列のみへの設置で済み、また、OR制御で必要となる、系列毎の反応タンクへのアンモニア性窒素濃度計、硝酸性窒素濃度計、水温計の設置が不要となるため、これらの導入コストおよび維持管理コストを縮減することが可能となる。
請求項2に示す下水処理場の運転支援装置は、反応タンクと反応タンク内に設置された散気装置と散気装置に接続された曝気装置とを備えた活性汚泥法による複数系列を有する水処理施設で、曝気風量が曝気風量の制御目標値に一致するように曝気装置を制御する曝気風量制御装置に対して、下水を処理するために必要な曝気風量を系列毎に算出して、算出した曝気風量を制御目標値として系列毎に転送する手段を備えた下水処理場の運転支援装置において、水処理施設に流入する下水の水量を計測する流量計を設け、反応タンクに流入する下水の水質を計測するCOD濃度計、SS濃度計、濁度計のうち少なくともひとつを、複数系列のうち少なくともひとつの系列に設け、反応タンク嫌気槽または反応タンク無酸素槽の水質を計測するアンモニア性窒素濃度計を複数系列のうち、少なくともひとつの系列に設け、反応タンク好気槽の水質を計測するMLSS計と溶存酸素濃度計を系列毎に設け、上記の流量計、COD濃度計、SS濃度計、濁度計のうち少なくともひとつの濃度計、アンモニア性窒素濃度計、MLSS計の計測値に基づいて反応タンクに流入する下水中のBODとケルダール窒素を除去するために必要な酸素量を系列毎に算出する第1の算出手段を設け、あらかじめ、反応タンク好気槽に一時的に設置したアンモニア性窒素濃度計の計測値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係、または反応タンク好気槽で採水した試料のアンモニア性窒素濃度分析値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係に基づいて、反応タンク好気槽アンモニア性窒素濃度の目標値を満たすために必要となる溶存酸素濃度の目標値を系列毎に定めたうえで、前記の溶存酸素濃度の目標値と前記の溶存酸素濃度の測定値との偏差に基づいて第1の算出手段によって算出した必要な酸素量をフィードバック調整する第2の算出手段を系列毎に設け、第2の算出手段によって算出した酸素量と散気装置の性能曲線に基づいて必要な曝気風量を系列毎に算出する第3の算出手段を設け、第3の算出手段によって算出した曝気風量を曝気風量制御装置の制御目標値として系列毎に転送することを特徴とするものである。
このように構成された運転支援装置においては、水処理施設に流入する下水の水量、反応タンクに流入する下水の水質、反応タンク嫌気槽または無酸素槽の水質、反応タンク好気槽の水質からBODとケルダール窒素を除去するために必要な酸素量を算出し、あらかじめ、反応タンク好気槽に一時的に設置したアンモニア性窒素濃度計の計測値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係、または反応タンク好気槽で採水した試料のアンモニア性窒素濃度分析値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係に基づいて、反応タンク好気槽アンモニア性窒素濃度の目標値を満たすために必要となる溶存酸素濃度の目標値を定めたうえで、前記の溶存酸素濃度の目標値と前記の溶存酸素濃度の測定値との偏差に基づいて前記酸素量をフィードバック調整し、さらに、フィードバック調整された酸素量と散気装置の性能曲線とから必要な曝気風量を算出することができることから、この曝気風量を曝気風量制御装置の曝気風量設定部に転送することで、設定された曝気風量に一致するように曝気風量制御装置が曝気装置を制御することにより有機物及び窒素の処理を効果的に行うことができるため、良好な処理水質を安定的に保つことができる。
また、算出された曝気風量はその時点での下水の水量と水質の測定値等に基づいたものであるため、経験や勘による運転設定とは異なり予想外の変動に備えて余裕を見た設定を行う必要がないことから、DO制御によって運転を行った場合よりも少ない曝気風量での運転が可能となる。
さらに、OR制御では系列毎に反応タンクに流入する下水の水質を計測するCOD濃度計およびアンモニア性窒素濃度計を設ける必要があるのに対し、請求項2に示す下水処理場の運転支援装置では1系列のみへの設置で済み、また、OR制御で必要となる、系列毎の反応タンクへのアンモニア性窒素濃度計、硝酸性窒素濃度計、水温計の設置が不要となるため、これらの導入コストおよび維持管理コストを縮減することが可能となる。
そのうえ、アンモニア性窒素濃度計の計測対象を反応タンクに流入する下水から、反応タンク嫌気槽または反応タンク無酸素槽としたことにより、アンモニア性窒素濃度計への汚濁物質による影響が軽減されることとなり、維持管理コストのより一層の軽減が可能となる。
請求項3に示す下水処理場の運転支援装置は、反応タンクと反応タンク内に設置された散気装置と散気装置に接続された曝気装置とを備えた活性汚泥法による複数系列を有する水処理施設で、曝気風量が曝気風量の制御目標値に一致するように曝気装置を制御する曝気風量制御装置に対して、下水を処理するために必要な曝気風量を系列毎に算出して、算出した曝気風量を制御目標値として系列毎に転送する手段を備えた下水処理場の運転支援装置において、水処理施設に流入する下水の水量を計測する流量計を設け、反応タンクに流入する下水、反応タンク嫌気槽、反応タンク無酸素槽のうち少なくともひとつの水質を計測するアンモニア性窒素濃度計を、複数系列のうち少なくともひとつの系列に設け、反応タンク好気槽の水質を計測する溶存酸素濃度計を系列毎に設け、上記の流量計、アンモニア性窒素濃度計の計測値に基づいて反応タンクに流入する下水中のBODとケルダール窒素を除去するために必要な酸素量を系列毎に算出する第1の算出手段を設け、あらかじめ、反応タンク好気槽に一時的に設置したアンモニア性窒素濃度計の計測値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係、または反応タンク好気槽で採水した試料のアンモニア性窒素濃度分析値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係に基づいて、反応タンク好気槽アンモニア性窒素濃度の目標値を満たすために必要となる溶存酸素濃度の目標値を系列毎に定めたうえで、前記の溶存酸素濃度の目標値と前記の溶存酸素濃度の測定値との偏差に基づいて第1の算出手段によって算出した必要な酸素量をフィードバック調整する第2の算出手段を系列毎に設け、第2の算出手段によって算出した酸素量と散気装置の性能曲線に基づいて必要な曝気風量を系列毎に算出する第3の算出手段を設け、第3の算出手段によって算出した曝気風量を曝気風量制御装置の制御目標値として系列毎に転送することを特徴とするものである。
このように構成された運転支援装置においては、水処理施設に流入する下水の水量、反応タンクに流入する下水、反応タンク嫌気槽、反応タンク無酸素槽のうち少なくともひとつの水質からBODとケルダール窒素を除去するために必要な酸素量を算出し、あらかじめ、反応タンク好気槽に一時的に設置したアンモニア性窒素濃度計の計測値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係、または反応タンク好気槽で採水した試料のアンモニア性窒素濃度分析値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係に基づいて、反応タンク好気槽アンモニア性窒素濃度の目標値を満たすために必要となる溶存酸素濃度の目標値を定めたうえで、前記の溶存酸素濃度の目標値と前記の溶存酸素濃度の測定値との偏差に基づいて前記酸素量をフィードバック調整し、さらに、フィードバック調整された酸素量と散気装置の性能曲線とから必要な曝気風量を算出することができることから、この曝気風量を曝気風量制御装置の曝気風量設定部に転送することで、設定された曝気風量に一致するように曝気風量制御装置が曝気装置を制御することにより有機物及び窒素の処理を効果的に行うことができるため、良好な処理水質を安定的に保つことができる。
また、算出された曝気風量はその時点での下水の水量と水質の測定値等に基づいたものであるため、経験や勘による運転設定とは異なり予想外の変動に備えて余裕を見た設定を行う必要がないことから、DO制御によって運転を行った場合よりも少ない曝気風量での運転が可能となる。
さらに、OR制御では系列毎に反応タンクに流入する下水の水質を計測するCOD濃度計およびアンモニア性窒素濃度計を設ける必要があるのに対し、請求項3に示す下水処理場の運転支援装置ではアンモニア性窒素濃度計を1系列のみへ設置することで済み、また、OR制御で必要となる、系列毎の反応タンクへのアンモニア性窒素濃度計、硝酸性窒素濃度計、水温計の設置が不要となるため、これらの導入コストおよび維持管理コストを縮減することが可能となる。
そのうえ、アンモニア性窒素濃度計の計測対象を反応タンク嫌気槽または反応タンク無酸素槽とした場合には、アンモニア性窒素濃度計への汚濁物質による影響が軽減されることとなり、維持管理コストのより一層の縮減が可能となる。
請求項4に示す下水処理場の運転支援装置は、反応タンクと反応タンク内に設置された散気装置と散気装置に接続された曝気装置とを備えた活性汚泥法による複数系列を有する水処理施設で、曝気風量が曝気風量の制御目標値に一致するように系列毎に曝気装置を制御する曝気風量制御装置に対して、下水を処理するために必要な曝気風量を系列毎に算出して、算出した曝気風量を制御目標値として系列毎に転送する手段を備えた下水処理場の運転支援装置において、複数系列のうち、ひとつの系列を代表系列として、代表系列には、反応タンクに流入する下水の水量を計測する流量計と、反応タンクに流入する下水の水質を計測するCOD濃度計、SS濃度計、濁度計のうち少なくともひとつと、反応タンクに流入する下水の水質を計測するアンモニア性窒素濃度計と、反応タンク好気槽の水質を計測するMLSS計と、アンモニア性窒素濃度計と、硝酸性窒素濃度計と、水温計を設け、その他の系列には、反応タンク好気槽の水質を計測する、溶存酸素濃度計を系列毎に設け、代表系列には、上記の流量計、反応タンクに流入する下水の水質を計測するCOD濃度計、SS濃度計、濁度計のうち少なくともひとつの濃度計、アンモニア性窒素濃度計、反応タンク好気槽の水質を計測するMLSS計、アンモニア性窒素濃度計、硝酸性窒素濃度計、水温計の計測値に基づいて反応タンクに流入する下水中のBODとケルダール窒素を除去するために必要な酸素量を算出する第1の算出手段を設け、反応タンク好気槽のアンモニア性窒素濃度の目標値とアンモニア性窒素濃度の測定値との偏差に基づいて第1の算出手段によって算出した必要な酸素量をフィードバック調整する第2の算出手段を設け、その他の系列には、第1の算出手段により算出された酸素量に基づいて、反応タンクに流入する下水中のBODとケルダール窒素を除去するために必要な酸素量を系列毎に算出する第3の算出手段を設け、あらかじめ、反応タンク好気槽に一時的に設置したアンモニア性窒素濃度計の計測値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係、または反応タンク好気槽で採水した試料のアンモニア性窒素濃度分析値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係に基づいて、反応タンク好気槽アンモニア性窒素濃度の目標値を満たすために必要となる溶存酸素濃度の目標値を系列毎に定めたうえで、前記の溶存酸素濃度の目標値と前記の溶存酸素濃度の測定値との偏差に基づいて系列毎に第3の算出手段によって算出した必要な酸素量をフィードバック調整する第4の算出手段を設け、第2の算出手段および第4の算出手段によって算出した酸素量と散気装置の性能曲線に基づいて必要な曝気風量を系列毎に算出する第5の算出手段を設け、第5の算出手段によって算出した曝気風量を曝気風量制御装置の制御目標値として系列毎に転送することを特徴とするものである。
このように構成された運転支援装置においては、代表系列では、反応タンクに流入する下水の水量、水質、反応タンクの水質からBODとケルダール窒素を除去するために必要な曝気風量を算出し、反応タンク好気槽のアンモニア性窒素濃度の目標値とアンモニア性窒素濃度の測定値との偏差に基づいて、算出した必要な酸素量をフィードバック調整し、フィードバック調整した酸素量と散気装置の性能曲線に基づいて必要な曝気風量を算出し、算出した曝気風量を曝気風量制御装置の制御目標値として系列毎に転送し、その他の系列では、代表系列で算出された反応タンクに流入する下水中のBODとケルダール窒素を除去するために必要な酸素量に基づいて、系列毎に反応タンクに流入する下水中のBODとケルダール窒素を除去するために必要な酸素量を算出し、あらかじめ、反応タンク好気槽に一時的に設置したアンモニア性窒素濃度計の計測値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係、または反応タンク好気槽で採水した試料のアンモニア性窒素濃度分析値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係に基づいて、反応タンク好気槽アンモニア性窒素濃度の目標値を満たすために必要となる溶存酸素濃度の目標値を系列毎に定めたうえで、前記の溶存酸素濃度の目標値と前記の溶存酸素濃度の測定値との偏差に基づいて、算出した必要な酸素量をフィードバック調整し、フィードバック後の酸素量と散気装置の性能曲線に基づいて必要な曝気風量を系列毎に算出し、算出した曝気風量を曝気風量制御装置の制御目標値として系列毎に転送することで、設定された曝気風量に一致するように曝気風量制御装置が曝気装置を制御することにより有機物及び窒素の処理を効果的に行うことができるため、良好な処理水質を安定的に保つことができる。
また、算出された曝気風量はその時点での下水の水量と水質の測定値等に基づいたものであるため、経験や勘による運転設定とは異なり予想外の変動に備えて余裕を見た設定を行う必要がないことから、DO制御によって運転を行った場合よりも少ない曝気風量での運転が可能となる。
さらに、OR制御では系列毎に反応タンクに流入する下水の水質を計測するCOD計およびアンモニア性窒素濃度計を設ける必要があるのに対し、請求項4に示す下水処理場の運転支援装置ではCOD濃度計およびアンモニア性窒素濃度計を代表系列のみへ設置することで済み、これらの導入コストおよび維持管理コストを縮減することが可能となる。
また、OR制御で必要となる、代表系列以外への反応タンクへの硝酸性窒素濃度計、アンモニア性窒素濃度計、水温計の設置が不要となるため、これらの導入コストおよび維持管理コストを縮減することが可能となる。
請求項5に示す下水処理場の運転支援方法は、下水を複数系列を有する水処理施設で処理するために必要となる曝気風量を算出する下水処理場の運転支援方法において、水処理施設に流入する下水の水量を流量計により計測し、反応タンクに流入する下水の水質をCOD濃度計、SS濃度計、濁度計のうち少なくともひとつにより、複数系列のうち少なくともひとつの系列で計測し、反応タンクに流入する下水の水質をアンモニア性窒素濃度計により、複数系列のうち、少なくともひとつの系列で計測し、反応タンク好気槽の水質をMLSS計と溶存酸素濃度計により系列毎に計測し、上記の流量計、COD濃度計、SS濃度計、濁度計のうち少なくともひとつの濃度計、アンモニア性窒素濃度計、MLSS計の計測値に基づいて反応タンクに流入する下水中のBODとケルダール窒素を除去するために必要な酸素量を系列毎に算出し、あらかじめ、反応タンク好気槽に一時的に設置したアンモニア性窒素濃度計の計測値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係、または反応タンク好気槽で採水した試料のアンモニア性窒素濃度分析値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係に基づいて、反応タンク好気槽アンモニア性窒素濃度の目標値を満たすために必要となる溶存酸素濃度の目標値を系列毎に定め、前記の溶存酸素濃度の目標値と前記の溶存酸素濃度の測定値との偏差に基づいて算出した必要な酸素量をフィードバック調整したうえで、フィードバック調整後の酸素量と散気装置の性能曲線に基づいて必要な曝気風量を系列毎に算出することを特徴とするものである。
このように構成された運転支援方法においては、水処理施設に流入する下水の水量、反応タンクに流入する下水の水質、反応タンク好気槽の水質からBODとケルダール窒素を除去するために必要な酸素量を算出し、あらかじめ、反応タンク好気槽に一時的に設置したアンモニア性窒素濃度計の計測値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係、または反応タンク好気槽で採水した試料のアンモニア性窒素濃度分析値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係に基づいて、反応タンク好気槽アンモニア性窒素濃度の目標値を満たすために必要となる溶存酸素濃度の目標値を定めたうえで、前記の溶存酸素濃度の目標値と前記の溶存酸素濃度の測定値との偏差に基づいて前記酸素量をフィードバック調整し、さらに、フィードバック調整された酸素量と散気装置の性能曲線とから必要な曝気風量を算出することができることから、有機物及び窒素の処理を効果的に行うことができるため、良好な処理水質を安定的に保つことができる。
また、算出された曝気風量はその時点での下水の水量と水質の測定値等に基づいたものであるため、経験や勘による運転設定とは異なり予想外の変動に備えて余裕を見た設定を行う必要がないことから、DO制御によって運転を行った場合よりも少ない曝気風量での運転が可能となる。
さらに、OR制御では系列毎に反応タンクに流入する下水の水質を計測するCOD濃度計およびアンモニア性窒素濃度計を設ける必要があるのに対し、請求項5に示す下水処理場の運転支援方法では1系列のみへの設置で済み、また、OR制御で必要となる、系列毎の反応タンクへのアンモニア性窒素濃度計、硝酸性窒素濃度計、水温計の設置が不要となるため、これらの導入コストおよび維持管理コストを縮減することが可能となる。
請求項6に示す下水処理場の運転支援方法は、下水を複数系列を有する水処理施設で処理するために必要となる曝気風量を算出する下水処理場の運転支援方法において、水処理施設に流入する下水の水量を流量計により計測し、反応タンクに流入する下水の水質をCOD濃度計、SS濃度計、濁度計のうち少なくともひとつにより、複数系列のうち少なくともひとつの系列で計測し、反応タンク嫌気槽または反応タンク無酸素槽の水質をアンモニア性窒素濃度計により、複数系列のうち、少なくともひとつの系列で計測し、反応タンク好気槽の水質をMLSS計と溶存酸素濃度計により系列毎に計測し、上記の流量計、COD濃度計、SS濃度計、濁度計のうち少なくともひとつの濃度計、アンモニア性窒素濃度計、MLSS計の計測値に基づいて反応タンクに流入する下水中のBODとケルダール窒素を除去するために必要な酸素量を系列毎に算出し、あらかじめ、反応タンク好気槽に一時的に設置したアンモニア性窒素濃度計の計測値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係、または反応タンク好気槽で採水した試料のアンモニア性窒素濃度分析値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係に基づいて、反応タンク好気槽アンモニア性窒素濃度の目標値を満たすために必要となる溶存酸素濃度の目標値を系列毎に定め、前記の溶存酸素濃度の目標値と前記の溶存酸素濃度の測定値との偏差に基づいて算出した必要な酸素量をフィードバック調整したうえで、フィードバック調整後の酸素量と散気装置の性能曲線に基づいて必要な曝気風量を系列毎に算出することを特徴とするものである。
このように構成された運転支援方法においては、水処理施設に流入する下水の水量、反応タンクに流入する下水の水質、反応タンク嫌気槽または反応タンク無酸素槽の水質、反応タンク好気槽の水質からBODとケルダール窒素を除去するために必要な酸素量を算出し、あらかじめ、反応タンク好気槽に一時的に設置したアンモニア性窒素濃度計の計測値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係、または反応タンク好気槽で採水した試料のアンモニア性窒素濃度分析値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係に基づいて、反応タンク好気槽アンモニア性窒素濃度の目標値を満たすために必要となる溶存酸素濃度の目標値を定めたうえで、前記の溶存酸素濃度の目標値と前記の溶存酸素濃度の測定値との偏差に基づいて前記酸素量をフィードバック調整し、さらに、フィードバック調整された酸素量と散気装置の性能曲線とから必要な曝気風量を算出することができることから、有機物及び窒素の処理を効果的に行うことができるため、良好な処理水質を安定的に保つことができる。
また、算出された曝気風量はその時点での下水の水量と水質の測定値等に基づいたものであるため、経験や勘による運転設定とは異なり予想外の変動に備えて余裕を見た設定を行う必要がないことから、DO制御によって運転を行った場合よりも少ない曝気風量での運転が可能となる。
さらに、OR制御では系列毎に反応タンクに流入する下水の水質を計測するCOD濃度計およびアンモニア性窒素濃度計を設ける必要があるのに対し、請求項6に示す下水処理場の運転支援方法では1系列のみへの設置で済み、また、OR制御で必要となる、系列毎の反応タンクへのアンモニア性窒素濃度計、硝酸性窒素濃度計、水温計の設置が不要となるため、これらの導入コストおよび維持管理コストを縮減することが可能となる。
そのうえ、アンモニア性窒素濃度計の計測対象を反応タンクに流入する下水から、反応タンク嫌気槽または反応タンク無酸素槽としたことにより、アンモニア性窒素濃度計への汚濁物質による影響が軽減されることとなり、維持管理コストのより一層の軽減が可能となる。
請求項7に示す下水処理場の運転支援方法は、下水を複数系列を有する水処理施設で処理するために必要となる曝気風量を算出する下水処理場の運転支援方法において、水処理施設に流入する下水の水量を流量計により計測し、反応タンクに流入する下水、反応タンク嫌気槽、反応タンク無酸素槽のうち少なくともひとつの水質をアンモニア性窒素濃度計により、複数系列のうち少なくともひとつの系列で計測し、反応タンク好気槽の水質を溶存酸素濃度計により系列毎に計測し、上記の流量計、アンモニア性窒素濃度計の計測値に基づいて反応タンクに流入する下水中のBODとケルダール窒素を除去するために必要な酸素量を系列毎に算出し、あらかじめ、反応タンク好気槽に一時的に設置したアンモニア性窒素濃度計の計測値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係、または反応タンク好気槽で採水した試料のアンモニア性窒素濃度分析値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係に基づいて、反応タンク好気槽アンモニア性窒素濃度の目標値を満たすために必要となる溶存酸素濃度の目標値を系列毎に定め、前記の溶存酸素濃度の目標値と前記の溶存酸素濃度の測定値との偏差に基づいて算出した必要な酸素量をフィードバック調整したうえで、フィードバック調整後の酸素量と散気装置の性能曲線に基づいて必要な曝気風量を系列毎に算出することを特徴とするものである。
このように構成された運転支援方法においては、水処理施設に流入する下水の水量、反応タンクに流入する下水、反応タンク嫌気槽、反応タンク無酸素槽のうち少なくともひとつの水質からBODとケルダール窒素を除去するために必要な酸素量を算出し、あらかじめ、反応タンク好気槽に一時的に設置したアンモニア性窒素濃度計の計測値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係、または反応タンク好気槽で採水した試料のアンモニア性窒素濃度分析値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係に基づいて、反応タンク好気槽アンモニア性窒素濃度の目標値を満たすために必要となる溶存酸素濃度の目標値を定めたうえで、前記の溶存酸素濃度の目標値と前記の溶存酸素濃度の測定値との偏差に基づいて前記酸素量をフィードバック調整し、さらに、フィードバック調整された酸素量と散気装置の性能曲線とから必要な曝気風量を算出することができることから有機物及び窒素の処理を効果的に行うことができるため、良好な処理水質を安定的に保つことができる。
また、算出された曝気風量はその時点での下水の水量と水質の測定値等に基づいたものであるため、経験や勘による運転設定とは異なり予想外の変動に備えて余裕を見た設定を行う必要がないことから、DO制御によって運転を行った場合よりも少ない曝気風量での運転が可能となる。
さらに、OR制御では系列毎に反応タンクに流入する下水の水質を計測するCOD濃度計およびアンモニア性窒素濃度計を設ける必要があるのに対し、請求項7に示す下水処理場の運転支援方法ではアンモニア性窒素濃度計を1系列のみへ設置することで済み、また、OR制御で必要となる、系列毎の反応タンクへの硝酸性窒素濃度計、アンモニア性窒素濃度計、水温計の設置が不要となるため、これらの導入コストおよび維持管理コストを縮減することが可能となる。
そのうえ、アンモニア性窒素濃度計の計測対象を反応タンク嫌気槽または反応タンク無酸素槽とした場合には、アンモニア性窒素濃度計への汚濁物質による影響が軽減されることとなり、維持管理コストのより一層の縮減が可能となる。
請求項8に示す下水処理場の運転支援方法は、下水を複数系列を有する水処理施設で処理するために必要となる曝気風量を算出する下水処理場の運転支援方法において、複数系列のうち、ひとつの系列を代表系列として、代表系列では、反応タンクに流入する下水の水量を流量計により計測し、反応タンクに流入する下水の水質をアンモニア性窒素濃度計により計測し、反応タンク好気槽の水質をMLSS計と、アンモニア性窒素濃度計と、硝酸性窒素濃度計と、水温計により計測し、その他の系列では、反応タンク好気槽の水質を溶存酸素濃度計により系列毎に計測し、代表系列では、上記の流量計、反応タンクに流入する下水の水質を計測するCOD濃度計、SS濃度計、濁度計のうち少なくともひとつの濃度計、アンモニア性窒素濃度計、反応タンク好気槽の水質を計測するMLSS計、アンモニア性窒素濃度計、硝酸性窒素濃度計、水温計の計測値に基づいて反応タンクに流入する下水中のBODとケルダール窒素を除去するために必要な酸素量を算出し、反応タンク好気槽のアンモニア性窒素濃度の目標値とアンモニア性窒素濃度の測定値との偏差に基づいて算出した必要な酸素量をフィードバック調整し、フィードバック調整した酸素量と散気装置の性能曲線に基づいて必要な曝気風量を算出し、その他の系列では、代表系列で算出された反応タンクに流入する下水中のBODとケルダール窒素を除去するために必要な酸素量に基づいて、系列毎に反応タンクに流入する下水中のBODとケルダール窒素を除去するために必要な酸素量を算出し、あらかじめ、反応タンク好気槽に一時的に設置したアンモニア性窒素濃度計の計測値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係、または反応タンク好気槽で採水した試料のアンモニア性窒素濃度分析値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係に基づいて、反応タンク好気槽アンモニア性窒素濃度の目標値を満たすために必要となる溶存酸素濃度の目標値を系列毎に定めたうえで、前記の溶存酸素濃度の目標値と前記の溶存酸素濃度の測定値との偏差に基づいて、算出した必要な酸素量をフィードバック調整し、フィードバック後の酸素量と散気装置の性能曲線に基づいて必要な曝気風量を系列毎に算出することを特徴とするものである。
このように構成された運転支援方法においては、代表系列では、反応タンクに流入する下水の水量、水質、反応タンクの水質からBODとケルダール窒素を除去するために必要な曝気風量を算出し、反応タンク好気槽のアンモニア性窒素濃度の目標値とアンモニア性窒素濃度の測定値との偏差に基づいて、算出した必要な酸素量をフィードバック調整し、フィードバック調整した酸素量と散気装置の性能曲線に基づいて必要な曝気風量を算出し、その他の系列では、代表系列で算出されたBODとケルダール窒素を除去するために必要な酸素量に基づいて、系列毎にBODとケルダール窒素を除去するために必要な酸素量を算出し、溶存酸素濃度の目標値と溶存酸素濃度の測定値との偏差に基づいて、算出した必要な酸素量をフィードバック調整し、フィードバック後の酸素量と散気装置の性能曲線に基づいて必要な曝気風量を系列毎に算出することで有機物及び窒素の処理を効果的に行うことができるため、良好な処理水質を安定的に保つことができる。
また、算出された曝気風量はその時点での下水の水量と水質の測定値等に基づいたものであるため、経験や勘による運転設定とは異なり予想外の変動に備えて余裕を見た設定を行う必要がないことから、DO制御によって運転を行った場合よりも少ない曝気風量での運転が可能となる。
さらに、OR制御では系列毎に反応タンクに流入する下水の水質を計測するCOD濃度計およびアンモニア性窒素濃度計を設ける必要があるのに対し、請求項8に示す下水処理場の運転支援方法ではCOD濃度計およびアンモニア性窒素濃度計を代表系列のみへ設置することで済み、これらの導入コストおよび維持管理コストを縮減することが可能となる。
また、OR制御で必要となる、代表系列以外の反応タンクへの硝酸性窒素濃度計、アンモニア性窒素濃度計、水温計の設置が不要となるため、これらの導入コストおよび維持管理コストを縮減することが可能となる。
図23は、本発明により構成した図1に示す運転支援装置を用いた、系列1における最終沈殿池処理水中のアンモニア性窒素濃度の分析値と、図15に示す運転支援装置を用いた、系列2における反応タンク末端のアンモニア性窒素濃度計による計測値の比較図である。系列1において反応タンク末端の溶存酸素の目標値を決定する際に用いた反応タンク末端のアンモニア性窒素濃度と、系列2において目標とした反応タンク末端のアンモニア性窒素濃度はいずれも0.5mg/Lである。ここで、系列1と系列2は、反応タンクの形状、および散気装置の種類ともまったく異なるものである。アンモニア性窒素濃度の日最大値は、系列1では0.7mg/L、系列2では0.8mg/Lであった。このことから、本発明により構成した運転支援装置を用いることにより、良好な処理水質を達成できることが実証された。
以上のように本発明によれば、水処理施設に流入する下水の水量、反応タンクに流入する下水の水質、反応タンク好気槽の水質からBODとケルダール窒素を除去するために必要な酸素量を算出し、あらかじめ、反応タンク好気槽に一時的に設置したアンモニア性窒素濃度計の計測値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係、または反応タンク好気槽で採水した試料のアンモニア性窒素濃度分析値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係に基づいて、反応タンク好気槽アンモニア性窒素濃度の目標値を満たすために必要となる溶存酸素濃度の目標値を定めたうえで、前記の溶存酸素濃度の目標値と前記の溶存酸素濃度の測定値との偏差に基づいて前記酸素量をフィードバック調整し、さらに、フィードバック調整された酸素量と散気装置の性能曲線とから必要な曝気風量を算出することができることから、この曝気風量を曝気風量制御装置の曝気風量設定部に転送することで、設定された曝気風量に一致するように曝気風量制御装置が曝気装置を制御することにより有機物及び窒素の処理を効果的に行うことができるため、良好な処理水質を安定的に保つことができる。
また、算出された曝気風量はその時点での下水の水量と水質の測定値等に基づいたものであるため、経験や勘による運転設定とは異なり予想外の変動に備えて余裕を見た設定を行う必要がないことから、DO制御によって運転を行った場合よりも少ない曝気風量での運転が可能となる。
さらに、OR制御では系列毎に反応タンクに流入する下水の水質を計測するCOD濃度計およびアンモニア性窒素濃度計を設ける必要があるのに対し、請求項1に示す下水処理場の運転支援装置では1系列のみへの設置で済み、また、OR制御で必要となる、系列毎の反応タンクへのアンモニア性窒素濃度計、硝酸性窒素濃度計、水温計の設置が不要となるため、これらの導入コストおよび維持管理コストを縮減することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の第1の実施の形態を示す図である。
図1において、下水処理場の水処理施設10は、系列1と系列2のふたつの系列に分かれている。反応タンクに流入する下水の水質を測定する濃度計の有無の他は同一の構成であるため、系列1について、その詳細な構成を説明し、系列2については、系列1と異なる部分に限って説明する。系列1は下水が流入する最初沈殿池111と、反応タンク112と、最終沈殿池115とを備え、反応タンク内には散気装置117が設置されるとともに、散気装置117には曝気装置116が接続されている。
最初沈殿池111上流部に水処理施設10に流入する下水の水量を計測する流量計41を、反応タンク入口に反応タンク112に流入する下水の水質を計測するCOD濃度計142と、反応タンク112に流入する下水中のアンモニア性窒素濃度を計測するアンモニア性窒素濃度計143を設けるとともに、反応タンク112のMLSS濃度を計測するMLSS計145とDO濃度を計測するDO計146を設ける。
系列2には、反応タンクに流入する下水の水質を測定する濃度計は設けない。
図1において、最終沈殿池115と反応タンク112との間に、返送汚泥ポンプ119を有する返送ラインが設けられている。
図3は図1における信号の流れを示すブロック図である。
図3において、運転支援装置121は、必要な曝気風量を算出するために必要なパラメータを設定するパラメータ設定部122と、最初沈殿池111上流部に設置した流量計41、反応タンク入口に設置したCOD濃度計142、アンモニア性窒素濃度計143、反応タンク112に設置したMLSS計145、DO計146からの信号に基づいて、反応タンクに流入する下水中のBOD及びケルダール窒素を除去するために必要な酸素量を算出する必要酸素量演算部123と、あらかじめ、反応タンク好気槽に一時的に設置したアンモニア性窒素濃度計147の計測値と前記の溶存酸素濃度計146の計測値との関係に基づいて反応タンク好気槽アンモニア性窒素濃度の目標値を満たすために必要となる溶存酸素濃度の目標値を定めたうえで、溶存酸素濃度の目標値とDO計146の測定値との偏差に基づいて必要酸素量演算部123で算出した酸素量をフィードバック調整するフィードバック演算部124と、フィードバック調整後の酸素量と散気装置117の性能曲線に基づいて必要な曝気風量を算出し、曝気風量制御装置130の曝気風量設定部131に転送する曝気風量演算部125を備えている。
一方、曝気風量設定部131と曝気風量制御部132を持つ曝気風量制御装置130が曝気装置116に接続されており、曝気風量制御装置130は曝気風量アンサー値150が設定された曝気風量に一致するように曝気装置116を制御するようになっている。
ここで、曝気風量アンサー値とは、曝気装置によって散気装置に実際に供給された曝気風量のことである。
以下、パラメータ設定部122と、必要酸素量演算部123と、フィードバック演算部124と、曝気風量演算部125について説明する。
パラメータ設定部122では、曝気風量を算出するために必要となる、流入分配比、除去BODあたりに必要な酸素量、流入BODの除去率、流入ケルダール窒素の硝化率、内生呼吸係数、好気部分の反応タンク容積、MLVSS/MLSS比、COD濃度計の計測値からBODを算出するための乗数及び定数、アンモニア性窒素濃度計の計測値からケルダール窒素濃度を算出するための乗数及び定数、フィードバック演算に必要となる曝気係数の初期値、比例ゲイン、積分定数、溶存酸素濃度の目標値、散気装置の性能曲線などのパラメータがオペレータにより設定される。
必要酸素量演算部123では、パラメータ設定部122で設定されたパラメータと、流量計41、COD濃度計142、アンモニア性窒素濃度計143、MLSS計145の計測値に基づいて、流入水の有機物と窒素を除去するために必要な酸素量を算出する。
ここで、系列2においては、必要酸素量演算部223では、パラメータ設定部222で設定されたパラメータと、流量計41、COD濃度計142、アンモニア性窒素濃度計143、MLSS計245の計測値に基づいて、流入水の有機物と窒素を除去するために必要な酸素量を算出する。
流入分配比が等しく、最初沈殿池除去率も同一であれば、系列1の反応タンク112に流入する下水の水質と、系列2の反応タンク212に流入する下水の水質は等しくなるが、一般的には流入分配率や最初沈殿池除去率は系列ごとに異なり、その結果、反応タンクに流入する下水の水質も異なる場合が多い。
したがって、系列2における必要酸素量を算出する際に、系列1に設置されたCOD濃度計142、アンモニア性窒素濃度計143を用いた場合、算出された必要酸素量は系列1と系列2の反応タンクに流入する下水の水質の違いに起因する誤差を含んだものとなる。
本実施形態においては、フィードバック演算部224の作用により、このような誤差に対処している。
フィードバック演算部124では、溶存酸素濃度の目標値とDO計146の計測値との偏差に基づいて、酸素必要量をフィードバック調整する。
曝気風量演算部125では、フィードバック調整後の酸素量と散気装置117の性能曲線に基づいて必要な曝気風量を算出し、曝気風量制御装置130の曝気風量設定部131に転送する。
曝気風量制御装置130の曝気風量制御部132では曝気風量設定部131に設定された曝気風量と曝気装置116からの曝気風量アンサー値150との偏差に基づき、曝気風量アンサー値150が曝気風量設定部131に入力された曝気風量に一致するように曝気装置116を制御する。
次に、本実施形態における作用について説明する。
下水は最初沈殿池111において、比較的粗大な浮遊物が沈殿除去される。反応タンク112では、下水が活性汚泥と混合されて曝気装置116から散気装置117を介して送られる空気によって曝気され、活性汚泥に含まれる微生物の代謝作用により有機物が除去される。活性汚泥混合液は最終沈殿池115において、活性汚泥が沈降することによって浄化される。
下水の窒素除去のため、反応タンク112は好気槽114と無酸素槽113とに分けられ、好気槽114では下水中のアンモニア等の窒素化合物が酸化されて硝酸となる。好気槽114で生成された硝酸は好気槽114から返送汚泥を通じて無酸素槽113に送られ、無酸素槽113において、活性汚泥の硝酸呼吸の結果、窒素ガスとなり、大気中に除去される。
この間、運転支援装置121の必要酸素量演算部123では、オペレータにより運転支援装置121のパラメータ設定部122に設定された各種のパラメータと、反応タンク入口に設置した流量計41、COD濃度計142、アンモニア性窒素濃度計143、反応タンク112に設置したMLSS計145からの信号に基づいて、有機物及び窒素を除去するために必要な酸素量を算出する。
必要な曝気風量を算出するための方法についてさらに述べる。
酸素必要量演算部123は、BODの酸化に必要な酸素量、硝化反応に必要な酸素量、内生呼吸に必要な酸素量を算出したうえで、これらを合計することにより、反応タンクに流入する下水中の有機物と窒素を除去するために必要な酸素量を算出する第1の算出手段を備えている。
第1の算出手段では、流量計41とCOD濃度計142の計測値に基づき算出したBOD負荷量に反応タンクでのBOD除去率を乗じた値から、反応タンク112で活性汚泥により酸化されるBOD量を算出し、前記BOD量からBODの酸化に必要な酸素量を算出する。
また、流量計41とアンモニア性窒素濃度計143の計測値に基づき算出したケルダール窒素負荷量から、余剰汚泥によるケルダール窒素除去量を減じることにより反応タンク112で活性汚泥により酸化されるケルダール窒素量を算出し、前記ケルダール窒素量から硝化反応に必要な酸素量を算出する。
さらに、MLSS計145の計測値に基づき、内生呼吸に必要な酸素量を算出する。
そのうえで、BODの酸化に必要な酸素量と、硝化反応に必要な酸素量と、内生呼吸に必要な酸素量とを合計することにより反応タンクに流入する下水中の有機物と窒素を除去するために必要な酸素量を算出する。
第1の算出手段は式(1)〜(3)によって示すことができる
反応タンクに流入する下水中のBODとケルダール窒素を除去するために必要な酸素量を算出するためには、反応タンクに流入する下水の水量を知る必要があるが、水処理施設に流入する下水の水量を測定する流量計の設置は普通であるが、反応タンクに流入する下水の水量を測定する流量計が系列毎に設置されることは希である。
そのため、水処理施設に流入する下水の水量を測定する流量計の計測値に基づいて、反応タンクに流入する下水の水量を算出することになるが、反応タンクに流入する下水の水量は均等になるとは限らず、水処理施設に流入する下水の水量から、系列毎に反応タンクへの流入量を算出するためには、系列毎に固有の流入分配比を用いる必要がある。
流入分配比は、反応タンクに流入する下水の水量を仮設の流量計で測定し、これを水処理施設に流入する下水の水量を測定する流量計の計測値で除すことにより算出することができるが、流入分配比は不変ではなく、水処理施設に流入する下水の水量によって変化することが多いため、反応タンクに流入する下水の水量の仮設の流量計による測定継続時間は、24時間以上とすることが望ましい。
式(1)において、BOD濃度BODinは、図19に示すようにCOD濃度計の計測値とBODの分析結果が高い相関を示すことを根拠として、BOD分析値とCOD濃度計計測値との相関関係をもとにして、濁度計計測値CODinから次式により算出する。
であり、これらの値は下水処理場によって、また、同じ下水処理場においても季節変動等により変化するものであることから、反応タンクに流入する下水の水質分析を行い、図19の例に示すような相関式を算出することにより定める。
また、ケルダール窒素濃度KjNinは、図20に示すようにアンモニア性窒素濃度計計測値とケルダール窒素分析値が高い相関を示すことを根拠として、
ケルダール窒素分析値とアンモニア性窒素濃度計計測値との相関関係をもとにして、アンモニア性窒素濃度計計測値NHinから次式により算出する。
であり、これらの値は下水処理場によって、また、同じ下水処理場においても季節変動等により変化するものであることから、反応タンクに流入する下水の水質分析を行い、図20の例に示すような相関式を算出することにより定める。
第2の算出手段では、(4)〜(6)によって溶存酸素濃度の目標値SV_DO(t)とDO計45の測定値PV_DO (t)の偏差e(t)に基づいて、必要酸素量OR(t)の補正を行う。
溶存酸素濃度の目標値は、あらかじめ、反応タンク好気槽に一時的に設置したアンモニア性窒素濃度計147の計測値と溶存酸素濃度計146の計測値との関係に基づいて反応タンク好気槽アンモニア性窒素濃度の目標値を満たすことを基準として定めておく。
溶存酸素濃度の目標値を設定する方法について、さらに述べる。
図2に、第1の実施形態において、反応タンク好気槽114に一時的にアンモニア性窒素濃度計147を設置した状態を示す。
反応タンク好気槽114に一時的に設置したアンモニア性窒素濃度計147の計測値は、運転支援装置121のフィードバック演算部124に入力され、一定間隔で、日付、時刻、溶存酸素濃度計146の計測値とともに参照可能な形態で記録される。
溶存酸素濃度の目標値は、図21に示すように、反応タンク好気槽の溶存酸素濃度とアンモニア性窒素濃度が高い相関性を示すことを根拠として、あらかじめ、反応タンク好気槽114に一時的に設置したアンモニア性窒素濃度計147の計測値と溶存酸素濃度計146の計測値との関係に基づいて、反応タンク好気槽アンモニア性窒素濃度の目標値を満たすことを基準として定める。
反応タンク内では入口側に近いほど有機物成分濃度や窒素成分濃度が高く、これらを処理するために必要とする酸素量が多くなるため、一般的にはDOは入口側に近いほど低く、出口側に近づくに従って高くなるというようにタンク内の流れ方向に勾配を持って分布している。このDOの勾配は一定ではなく、流入水の水量や水質によって変化しており、負荷が低い場合は勾配が緩く、負荷が高くなるに従って勾配が急となる。
一方、生活排水の処理を主とする下水処理場において、流入水の水量や水質はひとの生活パターンによって周期的な変動を示すことが多い。
そのため、アンモニア性窒素濃度計の計測値と溶存酸素濃度計の計測値との関係は、少なくとも、1週間を超える期間の計測値をもとに定めることが望ましい。
式(1)により算出した反応タンクに流入する下水中のBOD及びケルダール窒素を除去するために必要な酸素量をこの方法によって補正し、この補正後の必要酸素量と散気装置117の性能曲線に基づいて必要な曝気風量を算出する。
このようにして必要酸素量を算出したうえで、第3の算出手段により、この必要酸素量と散気装置117の性能曲線に基づいて必要な曝気風量を算出する。その算出手段は次式によって示される。
混合液に対する酸素移動効率EA1は図18の散気装置の性能曲線の例に示すように曝気風量が増加するに従って低下する。そのため、混合液に対する酸素移動効率EA1の値は固定した値ではなく、曝気風量によって変化する値として次式によって算出する。
このようにして算出された曝気風量は曝気風量制御装置130の曝気風量設定部131に転送される。
曝気風量制御装置130の曝気風量制御部132では曝気風量設定部131に設定された曝気風量と曝気装置116からの曝気風量アンサー値150との偏差に基づき、曝気風量アンサー値が曝気風量設定部131に入力された曝気風量に一致するように曝気装置116を制御する。
このように本実施の形態によれば、反応タンクに流入する下水の水量と水質、反応タンク好気槽の水質からBODとケルダール窒素を除去するために必要な酸素量を算出し、あらかじめ、反応タンク好気槽に一時的に設置したアンモニア性窒素濃度計の計測値と前記の溶存酸素濃度計の計測値との関係に基づいて反応タンク好気槽アンモニア性窒素濃度の目標値を満たすために必要となる溶存酸素濃度の目標値を定めたうえで、前記の溶存酸素濃度の測定値と目標値との偏差に基づいて前記酸素量をフィードバック調整し、さらに、算出された必要酸素量と散気装置の性能曲線とから必要な曝気風量を算出することができることから、この曝気風量を曝気風量制御装置の曝気風量設定部に転送することで、設定された曝気風量に一致するように曝気風量制御装置が曝気装置を制御することにより有機物及び窒素の処理を効果的に行うことができ、良好な処理水質を安定的に保つことができる。
また、算出された曝気風量はその時点での下水の水量と水質の測定値等に基づいたものであるため、経験や勘による運転設定とは異なり予想外の変動に備えて余裕を見た設定を行う必要がないことから、DO制御によって運転を行った場合よりも少ない曝気風量での運転が可能となる。
さらに、OR制御で必要となる、反応タンクへのアンモニア性窒素濃度計、硝酸性窒素濃度計、水温計の設置が不要となるため、これらの導入コストおよび維持管理コストを縮減することが可能となる。
次に図4により本発明の第2の実施の形態について説明する。
図4において、下水処理場の水処理施設10は、系列1と系列2のふたつの系列に分かれている。反応タンクに流入する下水の水質を測定する濃度計の有無の他は同一の構成であるため、系列1について、その詳細な構成を説明し、系列2については、系列1と異なる部分に限って説明する。
図4に示す第2の実施の形態はアンモニア性窒素濃度を計測するアンモニア性窒素濃度計143を、反応タンク無酸素槽113に設置したものであり、他は図1に示す第1の実施の形態と同一である。
図4において、図1に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図6は図4における信号の流れを示すブロック図である。
図6において、図3に示す図1における信号の流れを示すブロック図と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
パラメータ設定部122では、汚泥返送比、反応タンク無酸素槽113に設置したアンモニア性窒素濃度計143の計測値から反応タンク無酸素槽113のケルダール窒素濃度を算出するための乗数及び定数が本実施形態に特有なパラメータとしてオペレータにより設定される。
必要酸素量演算部123は、パラメータ設定部122で設定されたパラメータと、流量計41、COD濃度計142、アンモニア性窒素濃度計143、MLSS計145の計測値に基づいて、流入水の有機物と窒素を除去するために必要な酸素量を算出する第1の算出手段を備える。
ここで、系列2においては、必要酸素量演算部223では、パラメータ設定部222で設定されたパラメータと、流量計41、COD濃度計142、アンモニア性窒素濃度計143、MLSS計245の計測値に基づいて、流入水の有機物と窒素を除去するために必要な酸素量を算出する。
フィードバック演算部124は、溶存酸素濃度の目標値とDO計146の計測値との偏差に基づいて、酸素必要量をフィードバック調整する第2の算出手段を備える。
溶存酸素濃度の目標値は、あらかじめ、反応タンク好気槽114に一時的に設置したアンモニア性窒素濃度計147の計測値と溶存酸素濃度計146の計測値との関係に基づいて反応タンク好気槽アンモニア性窒素濃度の目標値を満たすことを基準として定めておく。
図5に、第2の実施形態において、反応タンク好気槽114に一時的にアンモニア性窒素濃度計147を設置した状態を示す。
反応タンク好気槽114に一時的に設置したアンモニア性窒素濃度計147の計測値は、運転支援装置121のフィードバック演算部124に入力され、一定間隔で、日付、時刻、溶存酸素濃度計146の計測値とともに参照可能な形態で記録される。
曝気風量演算部125は、フィードバック調整後の酸素量と散気装置117の性能曲線に基づいて必要な曝気風量を算出し、曝気風量制御装置130の曝気風量設定部131に転送する第3の算出手段を備える。
曝気風量制御装置130の曝気風量制御部132では曝気風量設定部131に設定された曝気風量と曝気装置116からの曝気風量アンサー値150との偏差に基づき、曝気風量アンサー値150が曝気風量設定部131に入力された曝気風量に一致するように曝気装置116を制御する。
次に、本実施形態における作用について説明する。
下水の窒素除去のため、反応タンク112は好気槽114と無酸素槽113とに分けられ、好気槽114では下水中のアンモニア等の窒素化合物が酸化されて硝酸となる。好気槽114で生成された硝酸は好気槽114から返送汚泥を通じて無酸素槽113に送られ、無酸素槽113において、活性汚泥の硝酸呼吸の結果、窒素ガスとなり、大気中に除去される。
この間、無酸素槽113では硝化反応は生じないため、好気槽114において硝化に必要となる酸素量は無酸素槽113に設置したアンモニア性窒素濃度計143の測定値に基づいて算出することができる。
一般的に、流入水質を測定する濃度計は汚れによる誤差を生じやすい。これは、下水に含まれる油脂やカルシウムなどが検出部に付着することによるものである。このような現象を防止するために、水洗浄、空気洗浄、超音波洗浄などの洗浄機能を付加することも可能であるが、流入水質を測定する濃度計においては、このような措置を取った場合でも、汚れの影響を防ぐことは困難であり、定期的なメンテナンスが必要となっている。
本実施例においては、下水に含まれる油脂やカルシウムなどの検出部への付着を抑制することを目的として、アンモニア性窒素濃度計を無酸素槽に設置している。無酸素槽においては、返送汚泥による希釈効果、活性汚泥の初期吸着効果などにより油脂やカルシウムなどの濃度が低下するため、検出部への汚れの付着が抑制される。
第2の実施の形態においては反応タンクに流入する下水中のBOD及びケルダール窒素を除去するために必要な酸素量を算出する第1の算出手段は、式(9)〜(11)により示すことができる。
式(9)において、BOD濃度BODinは、図19に示すようにCOD濃度計の計測値とBODの分析結果が高い相関を示すことを根拠として、BOD分析値とCOD濃度計計測値との相関関係をもとにして、濁度計計測値CODinから次式により算出する。
また、ケルダール窒素濃度KjNANは、図20に示すようにアンモニア性窒素濃度計計測値とケルダール窒素分析値が高い相関を示すことを根拠として、ケルダール窒素分析値とアンモニア性窒素濃度計計測値との相関関係をもとにして、反応タンク無酸素槽アンモニア性窒素濃度計計測値NHANから次式により算出する。
第2の算出手段では、反応タンク好気槽114に一時的に設置したアンモニア性窒素濃度計147の計測値と前記の溶存酸素濃度計146の計測値との関係に基づいて反応タンク好気槽アンモニア性窒素濃度の目標値を満たすために必要となる溶存酸素濃度の目標値を定めたうえで、前記の溶存酸素濃度の測定値と目標値との偏差に基づいて、式(9)〜(11)により算出したBODとケルダール窒素を除去するために必要な酸素量をフィードバック調整し、そのうえで、第3の算出手段により、算出された必要酸素量と散気装置117の性能曲線とから必要な曝気風量を算出し、この曝気風量を曝気風量制御装置130の曝気風量設定部131に転送する。
本実施形態によれば、第1の実施の形態に示す運転支援装置と同様な効果が得られる他、アンモニア窒素濃度計の計測対象を反応タンクに流入する下水から、反応タンク嫌気槽または反応タンク無酸素槽としたことにより、アンモニア窒素濃度計への汚濁物質による影響が軽減されることとなり、維持管理コストのより一層の軽減が可能となる。
次に図7により本発明の第3の実施の形態について説明する。
図7において、下水処理場の水処理施設10は、系列1と系列2のふたつの系列に分かれている。反応タンクに流入する下水の水質を測定する濃度計の有無の他は同一の構成であるため、系列1について、その詳細な構成を説明し、系列2については、系列1と異なる部分に限って説明する。
図7に示す第3の実施の形態は反応タンク112に流入する下水のCOD濃度を計測するCOD濃度計142と、反応タンク好気槽112のMLSS濃度を計測するMLSS計145を除いたものであり、他は図1に示す第1の実施の形態と同一である。
図7において、図1に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図9は図7における信号の流れを示すブロック図である。
図9において、図3に示す図1における信号の流れを示すブロック図と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
パラメータ設定部122では、反応タンク112に流入する下水中のアンモニア性窒素濃度を計測するアンモニア性窒素濃度計143の測定値から、反応タンク112に流入する下水中のBODを算出するための乗数及び定数が本実施形態に特有なパラメータとしてオペレータにより設定される。
必要酸素量演算部123は、パラメータ設定部122で設定されたパラメータと、流量計41、アンモニア性窒素濃度計143の計測値に基づいて、流入水の有機物と窒素を除去するために必要な酸素量を算出する第1の算出手段を備える。
ここで、系列2においては、必要酸素量演算部223では、パラメータ設定部222で設定されたパラメータと、流量計41、COD濃度計142、アンモニア性窒素濃度計143の計測値に基づいて、流入水の有機物と窒素を除去するために必要な酸素量を算出する。
フィードバック演算部124は、溶存酸素濃度の目標値とDO計146の計測値との偏差に基づいて、酸素必要量をフィードバック調整する第2の算出手段を備える。
溶存酸素濃度の目標値は、あらかじめ、反応タンク好気槽114に一時的に設置したアンモニア性窒素濃度計147の計測値と溶存酸素濃度計146の計測値との関係に基づいて反応タンク好気槽アンモニア性窒素濃度の目標値を満たすことを基準として定めておく。
図8に、第3の実施形態において、反応タンク好気槽114に一時的にアンモニア性窒素濃度計147を設置した状態を示す。
反応タンク好気槽114に一時的に設置したアンモニア性窒素濃度計147の計測値は、運転支援装置121のフィードバック演算部124に入力され、一定間隔で、日付、時刻、溶存酸素濃度計146の計測値とともに参照可能な形態で記録される。
曝気風量演算部125は、フィードバック調整後の酸素量と散気装置117の性能曲線に基づいて必要な曝気風量を算出し、曝気風量制御装置130の曝気風量設定部131に転送する第3の算出手段を備える。
曝気風量制御装置130の曝気風量制御部132では曝気風量設定部131に設定された曝気風量と曝気装置116からの曝気風量アンサー値150との偏差に基づき、曝気風量アンサー値150が曝気風量設定部131に入力された曝気風量に一致するように曝気装置116を制御する。
次に、本実施形態における作用について説明する。
家庭排水を主とする下水において、下水中の有機物濃度と窒素濃度は、多少の時間的なずれはあるものの、ほぼ同じ挙動を示すことが一般的である。すなわち、ひとが活動をはじめる明け方から上昇をはじめ、昼頃から夕方にかけて一旦低下したのち、夕方から深夜にかけて再度上昇し、日が変わる頃からふたたび低下する。
そのため、図22に示すように、下水中のBODとケルダール窒素を散布図にプロットすると、高い相関関係が得られることが一般的である。
そのため、第3の実施の形態においては反応タンクに流入する下水中のBOD及びケルダール窒素を除去するために必要な酸素量を算出する第1の算出手段は、式(12)〜(14)により示すことができる。
式(12)において、BOD濃度BODinは、図22に示すように反応タンクに流入する下水のアンモニア性窒素濃度計計測値とBOD分析値が高い相関を示すことを根拠として、アンモニア性窒素濃度計計測値とBOD分析値との相関関係をもとにして、アンモニア性窒素濃度計計測値NHinから次式により算出する。
また、ケルダール窒素濃度KjNinは、図20に示すようにアンモニア性窒素濃度計計測値とケルダール窒素分析値が高い相関を示すことを根拠として、ケルダール窒素分析値とアンモニア性窒素濃度計計測値との相関関係をもとにして、反応タンクに流入する下水の水質を測定するアンモニア性窒素濃度計の計測値NHinから次式により算出する。
本実施形態においては、第1の算出手段によりBODとケルダール窒素を除去するために必要な酸素量を算出し、第2の算出手段により、あらかじめ、反応タンク好気槽に一時的に設置したアンモニア性窒素濃度計147の計測値と前記の溶存酸素濃度計146の計測値との関係に基づいて反応タンク好気槽アンモニア性窒素濃度の目標値を満たすために必要となる溶存酸素濃度の目標値を定めたうえで、前記の溶存酸素濃度の測定値と目標値との偏差に基づいて前記酸素量をフィードバック調整し、さらに、第3の算出手段により、算出された必要酸素量と散気装置117の性能曲線とから必要な曝気風量を算出したうえで、この曝気風量を曝気風量制御装置130の曝気風量設定部131に転送する。
本実施形態によれば、第1の実施の形態に示す運転支援装置と同様な効果が得られる他、COD濃度計の設置が不要となることから、導入コストおよび維持管理コストをさらに縮減することが可能となる。
そのうえ、アンモニア窒素濃度計の計測対象を反応タンク嫌気槽または反応タンク無酸素槽とした場合には、アンモニア窒素濃度計への汚濁物質による影響が軽減されることとなり、維持管理コストのより一層の縮減が可能となる。
MLSS計[実施例4]
次に図10により本発明の第4の実施の形態について説明する。
図10において、下水処理場の水処理施設10は、系列1と系列2のふたつの系列に分かれている。反応タンクに流入する下水の水量を測定する流量計、水質を測定する濃度計の有無、反応タンクの水質を測定するアンモニア性窒素濃度計、硝酸性窒素濃度計、水温計、DO計の有無の他は同一の構成であるため、系列1について、その詳細な構成を説明し、系列2については、系列1と異なる部分に限って説明する。
図10に示す第4の実施の形態は、系列1においては、水処理施設10に流入する下水の流量を測定する流量計に代えて、反応タンクに流入する下水の流量を測定する流量計141を設け、反応タンク好気槽114の水質を測定するDO計に代えて、反応タンク好気槽114の水質を測定するアンモニア性窒素濃度計147、硝酸性窒素濃度計148、水温計149を設け、系列2においては、反応タンク好気槽214の水質を測定するMLSS計を除いたものであり、他は図1に示す第1の実施の形態と同一である。
図10において、図1に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図12は図10における信号の流れを示すブロック図である。
図12において、図3に示す図1における信号の流れを示すブロック図と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
パラメータ設定部122では、脱窒により消費される下水のBOD量、汚泥返送比、参照温度における内生呼吸係数、水温補正係数などが本実施形態に特有なパラメータとしてオペレータにより設定される。
必要酸素量演算部123は、パラメータ設定部122で設定されたパラメータと、流量計141、COD濃度計142、アンモニア性窒素濃度計143、MLSS計145、アンモニア性窒素濃度計147、硝酸性窒素濃度計148、水温計149の計測値に基づいて、流入水の有機物と窒素を除去するために必要な曝気風量を算出する第1の算出手段を備える。
フィードバック演算部124は、反応タンク好気槽114のアンモニア性窒素濃度の目標値とアンモニア性窒素濃度計147の計測値との偏差に基づいて、必要な酸素量をフィードバック調整する第2の算出手段を備える。
ここで、系列2においては、パラメータ設定部222で設定されたパラメータと、運転支援装置121の必要酸素量演算部123で算出された必要酸素量に基づいて、流入水の有機物と窒素を除去するために必要な酸素量を算出する第3の手段を必要酸素量演算部223に備える。
また、系列2においては、フィードバック演算部224は、溶存酸素濃度の目標値とDO計246の計測値との偏差に基づいて、必要な酸素量をフィードバック調整する第4の算出手段を備える。
溶存酸素濃度の目標値は、あらかじめ、反応タンク好気槽214に一時的に設置したアンモニア性窒素濃度計247の計測値と溶存酸素濃度計246の計測値との関係に基づいて反応タンク好気槽アンモニア性窒素濃度の目標値を満たすことを基準として定めておく。
図11に、第4の実施形態において、反応タンク好気槽214に一時的にアンモニア性窒素濃度計247を設置した状態を示す。
反応タンク好気槽214に一時的に設置したアンモニア性窒素濃度計247の計測値は、運転支援装置221のフィードバック演算部224に入力され、一定間隔で、日付、時刻、溶存酸素濃度計246の計測値とともに参照可能な形態で記録される。
曝気風量演算部125は、フィードバック調整後の酸素量と散気装置117の性能曲線に基づいて必要な曝気風量を算出し、曝気風量制御装置130の曝気風量設定部131に転送する第5の算出手段を備える。
曝気風量制御装置130の曝気風量制御部132では曝気風量設定部131に設定された曝気風量と曝気装置116からの曝気風量アンサー値150との偏差に基づき、曝気風量アンサー値150が曝気風量設定部131に入力された曝気風量に一致するように曝気装置116を制御する。
次に、本実施形態における作用について説明する。
反応タンクに流入する下水中のBODとケルダール窒素を除去するために必要な酸素量をより正確に算出するためには、反応タンク好気槽のアンモニア性窒素の目標値と計測値との差に基づいて硝化に必要な酸素量を補正し、反応タンク好気槽の硝酸性窒素濃度に基づいて脱窒によるBOD除去量を算出するとともに、反応タンク好気槽の水温に基づいて内生呼吸に必要となる酸素量を補正することが有効である。
そのため、第4の実施の形態においては、系列1の反応タンクに流入する下水中のBOD及びケルダール窒素を除去するために必要な酸素量を算出する第1の算出手段は、式(15)〜(18)により示すことができる。
式(15)において、BOD濃度BODinは、図19に示すようにCOD濃度計の計測値とBODの分析結果が高い相関を示すことを根拠として、BOD分析値とCOD濃度計計測値との相関関係をもとにして、濁度計計測値CODinから次式により算出する。
また、ケルダール窒素濃度KjNinは、図20に示すようにアンモニア性窒素濃度計計測値とケルダール窒素分析値が高い相関を示すことを根拠として、ケルダール窒素分析値とアンモニア性窒素濃度計計測値との相関関係をもとにして、反応タンクに流入する下水の水質を測定するアンモニア性窒素濃度計の計測値NHinから次式により算出する。
式(15)において、内生呼吸係数Bは反応タンク好気槽114に設置された水温計149の計測値Tに基づき、次式により算出する。
第2の算出手段では、式(19)〜(21)によって反応タンク末端のアンモニア性窒素濃度の目標値SV_N (t)と反応タンク好気槽に設置したアンモニア性窒素濃度計147の計測値PV_N (t)の偏差e(t)に基づいて、必要酸素量OR(t)の補正を行う。
第1の算出手段により算出した反応タンクに流入する下水中のBOD及びケルダール窒素を除去するために必要な酸素量をこの方法によって補正し、この補正後の必要酸素量と散気装置117の性能曲線に基づいて第3の算出手段により必要な曝気風量を算出する。
一方、系列2の反応タンクに流入する下水中のBOD及びケルダール窒素を除去するために必要な酸素量は、系列1において第1の算出手段により算出された必要酸素量に基づいて、第3の算出手段により算出する。第3の算出手段は式(22)により示すことができる。
第4の算出手段では、(23)〜(25)によって溶存酸素濃度の目標値SV_DO(t)とDO計45の測定値PV_DO (t)の偏差e(t)に基づいて、必要酸素量OR(t)の補正を行う。
本実施形態においては、系列1では、第1の算出手段によりBODとケルダール窒素を除去するために必要な酸素量を算出し、第2の算出手段により反応タンク末端のアンモニア性窒素濃度の目標値と反応タンク好気槽に設置したアンモニア性窒素濃度計147の計測値に基づいて、第1の算出手段により算出した必要な酸素量をフィードバック調整し、系列2では、系列1で第1の算出手段により算出されたBODとケルダール窒素を除去するために必要な酸素量に基づいて、第3の算出手段により系列2でBODとケルダール窒素を除去するために必要な酸素量を算出し、第4の算出手段により溶存酸素濃度の目標値とDO計246の計測値との偏差に基づいて、第3の算出手段により算出した必要な酸素量をフィードバック調整し、さらに、第2の算出手段および第4の算出手段により算出された必要酸素量と散気装置117および散気装置217の性能曲線とから必要な曝気風量を系列ごとに算出したうえで、これらの曝気風量を曝気風量制御装置130の曝気風量設定部131および曝気風量制御装置230の曝気風量設定部231に転送する。
本実施形態によれば、第1の実施の形態に示す運転支援装置と同様な効果が得られる他、系列1において、反応タンク好気槽のアンモニア性窒素の目標値と計測値との差に基づいて硝化に必要な酸素量を補正し、反応タンク好気槽の硝酸性窒素濃度に基づいて脱窒によるBOD除去量を算出するとともに、反応タンク好気槽の水温に基づいて内生呼吸に必要となる酸素量を補正することができるため、反応タンクに流入する下水中のBODとケルダール窒素を除去するために必要な酸素量をより正確に算出することが可能となるため、算出された必要な酸素量を反応タンク好気槽のアンモニア性窒素濃度の目標値とアンモニア性窒素濃度計の計測値との偏差に基づいてフィードバック調整し、フィードバック調整後の酸素量と散気装置の性能曲線に基づいて必要な曝気風量を算出し、曝気風量制御装置の曝気風量設定部に転送することで、設定された曝気風量に一致するように曝気風量制御装置が曝気装置を制御することにより有機物及び窒素の処理をより効果的に行うことができ、良好な処理水質をさらに安定的に保つことができる。
また、系列2においても、系列1で算出された反応タンクに流入する下水中のBODとケルダール窒素を除去するために必要な酸素量を利用するため、系列1と同様の効果が得られる。
なお、上述した各実施例は無酸素槽113と好気槽114をそれぞれひとつずつ有し、反応タンクに流入する下水は全量が無酸素槽113に流入するプロセスについて示したが、無酸素槽113と好気槽114の組み合わせを複数有し、それぞれの無酸素槽113に反応タンクに流入する下水を分割して流入させるプロセス、無酸素槽113の前段に嫌気槽を有し反応タンクに流入する下水は全量が嫌気槽に流入するプロセス、さらに、このプロセスにおいて、好気槽114から無酸素槽113に硝化液を循環させるプロセスなど、曝気を行う下水処理プロセスであればどのようなプロセスにも適用することができる。
また、系列数は実施例に示した2系列に限らず、2系列以上であれば何系列でも適用することができる。
さらに、曝気装置は上記の実施例のように各系列で独立したものでなくとも、ひとつの曝気装置から複数の系列に空気を供給する装置であって、曝気装置から散気装置に至る配管上の風量調整弁の制御を行い、曝気風量を調整するような構成としてもよい。