JP2017114722A - 創傷被覆材 - Google Patents

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拡志 澤里
Hiroshi Sawazato
拡志 澤里
長壽 研
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研 長壽
晋作 西田
Shinsaku Nishida
晋作 西田
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Abstract

【課題】滲出液の液漏れ等のトラブルを起こしにくい創傷被覆材を提供する。
【解決手段】ガラス組成としてBとCaOを含有するガラス繊維からなる綿状体又は不織布であり、綿状体の1グラム当たりの吸水量が15cc以上である創傷被覆材。ガラス繊維が、質量%でSiO:5〜70%、B:5〜40.0%、CaO:1〜50%、MgO:0〜20%、NaO:0〜20%、KO:0〜40%、P:0〜20%を含有するガラスである創傷被覆材。
【選択図】なし

Description

本発明は、切創、裂傷、挫傷、火傷、褥瘡などの創面に対し、優れた治癒効果を示す創傷被覆材に関する。
従来、創傷の治療としてまず消毒を行い、その後ガーゼで創面を保護する治療が行われている。しかしこのような治療方法は消毒によって表皮の細胞が死んでしまう。また創面が乾燥することによって表皮の細胞が増殖しにくくなることが近年分かってきた。
そこで形成外科医の夏井睦らは、消毒液とガーゼを用いた治療を行う代わりに創面の湿潤環境を保ち、細胞増殖を促進する治療法(moist wound healing)を提唱し、現在ではこの治療方法が広く普及している。(非特許文献1)
創傷被覆材はドレッシング材とも呼ばれ、創傷治療において創面の湿潤環境を保つために用いられる。現在普及している創傷被覆材にハイドロコロイド被覆材、ハイドロゲル被覆材などがあり、これらの製品は創面から流出する血液あるいは滲出液を保持し、湿潤環境を維持することによって表皮細胞の分裂、移動を促進する効果がある。
WO2011/085092
これからの創傷治療 夏井 睦 著 医学書院 (2003/08)
近年、ガラス成分が滲出液に溶出することによって創傷治癒効果と抗菌性が発揮される綿状の創傷被覆材が開発されている(特許文献1)。この種の創傷被覆材を使用して治療する際は、創面に創傷被覆材を貼り付けた後に包帯やサージカルテープなどで覆って固定する。しかしながら、上記創傷被覆材は、滲出液を十分吸収できずに液漏れ等のトラブルを起こして創面周囲の皮膚のふやけを誘発するおそれがある。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、液漏れ等のトラブルを起こしにくい創傷被覆材を提供することを目的とする。
本発明の創傷被覆材は、ガラス組成としてBとCaOを含有するガラス繊維を含み、1グラム当たりの吸水量が15cc以上であることを特徴とする。
上記構成を有する本発明の創傷被覆材は、創面から流出する血液あるいは滲出液を十分吸収可能であるため、液漏れ等による創面周囲の皮膚のふやけ等が起こりにくい。また不織布に成形して使用する場合には、ガラス繊維不織布の厚みを薄くしやすいため、外観に優れた創傷被覆材を作製することが出来る。さらに、ガラス繊維から表皮細胞の栄養素となるCa(カルシウム)や細菌に対して殺菌効果を有するB(ホウ素)が溶出し、創面に供給され、創傷治癒プロセスの促進と、創面への細菌の臨界的定着や感染を防止するための殺菌性の付与が可能になる。本発明の創傷被覆材は、これらの効果が相まって創傷を早期に治癒させることができる。
本発明においては、ガラス繊維の形状が、綿状体又は不織布であることが好ましい。
本発明においては、ガラス繊維が酸化物換算の質量%で、SiO 5〜70%、B 5〜40.0%、CaO 1〜50%を含有するガラスからなることが好ましい。
本発明においては、ガラス繊維が、酸化物換算の質量%で、さらにMgO 0〜20%、NaO 0〜20%、KO 0〜40%、P 0〜20%を含有するガラスからなることが好ましい。
本発明においては、ガラス繊維が、300〜500μmの粒度に分級された比重×0.256の重量分のガラスを37℃、60mlの擬似体液中に2日間浸漬し、1回/日の撹拌を行った溶出試験において、擬似体液中のB濃度が0.1〜70mMかつCa濃度が3.8〜20mMとなることが好ましい。
上記構成を採用すれば、創傷治療を促進するCaやBを十分に創傷面に供給することができる。
本発明においては、ガラス繊維の平均繊維径が100nm〜10μmであることが好ましい。
以下、本発明の創傷被覆材について詳述する。
本発明の創傷被覆材の主たる構成成分であるガラス繊維は、ガラス組成としてBとCaOを含有するガラス繊維からなる。特にガラス組成として、質量%でSiO 5〜70%、B 5〜40.0%、CaO 1〜50%含有するガラス繊維からなることが好ましい。上記ガラス繊維は、血液や滲出液と接触することにより、表皮細胞の栄養素となるCa(カルシウム)や、細菌に対して殺菌効果を有するB(ホウ素)を溶出する性質を有する。
以下、本発明の創傷被覆材においてガラスを構成する各成分の作用と、その含有量を規定した理由を説明する。尚、各成分の含有範囲の説明において、%表示は質量%を指す。
は、ガラス網目構造において、その骨格をなす成分であるが、SiOのようにガラスの溶融温度を高くすることはなく、むしろ溶融温度を低下させる働きがある。また、血液あるいは滲出液に溶出することにより、殺菌効果を発揮する成分である。Bの好適な含有量は5〜80%、10〜65%、15〜55%、19〜40%、特に19〜27%である。Bの含有量が少なすぎると創面への細菌の臨界的定着、感染を防止するための殺菌性を得ることができない。Bの含有量が多すぎると創面に対して過剰な殺菌効果が働いて創傷治癒速度が低下する。
CaOはガラスの粘度を低下させる成分であり、また血液あるいは滲出液に溶出すると、細胞増殖を促進する効果を発揮する成分である。CaOの好適な含有量は1〜50%、10〜45%、15〜40%、15〜30%、18〜38%、特に28〜38%である。CaOの含有量が少なすぎると細胞増殖を促進する効果が得にくくなる。CaOの含有量が多すぎると液相温度が高くなって、ガラス溶融時に失透し、均質なガラスを得にくくなる。
またB及びCaO以外にも、SiO、MgO、NaO、KO及びPを含むことが好ましい。
SiOは、Bと同様に、ガラス骨格構造を形成する主要成分である。また、ガラスの粘度を上昇させる成分である。SiOの好適な含有量は0〜70%、0〜50%、5〜45%、10〜35%、特に10〜25%である。SiOの含有量が多くなりすぎるとガラスの血液あるいは滲出液に対する溶解速度が低下する。また繊維化温度(101.0dPa・sの粘度に相当する温度)が高くなって繊維化するためのコストが増加する。SiOの含有量が少なすぎるとガラスの粘度が低下し、液相粘度が著しく低下して、ガラス繊維不織布に成形した場合にビーズ混入量が増加する。
MgOは、ガラス原料を溶融し易くする融剤としての働きを有する成分であると同時に溶融温度の低下に非常に有効であり、溶融時にガラスの泡切れを良くし、均質なガラスを作るのに役立つ成分である。MgOの好適な含有量は0〜20%、0〜10%、特に0.5〜8%である。MgO含有量が多すぎるとガラスの粘度が低下したり、液相粘度が低くなったりすることから、ガラス繊維をメルトブロー法等の方法で作製する場合にはビーズ混入量が増加する。
NaOはガラスの粘度を低下させることによって、ガラスの溶融性や成形性を高める成分である。NaOの好適な含有量は0〜20%、1〜15%、特に2〜10%である。NaOの含有量が多すぎるとガラスの粘度が低下したり、液相粘度が著しく低くなったりすることから、ガラス繊維をメルトブロー法等の方法で作製する場合にはビーズ混入量が増加する。
Oはガラスの粘度を低下させることによって、ガラスの溶融性や成形性を高める成分である。KOの好適な含有量は0〜40%、5〜30%、7〜20%、特に7〜15%である。KOの含有量が多すぎると、ガラスの粘度が低下したり、液相粘度が著しく低くなったりすることから、ガラス繊維をメルトブロー法等の方法で作製する場合にはビーズ混入量が増加する。
はそれ自身でガラス化し、ガラスの網目を構成する成分である。Pの好適な含有量は0〜20%、0〜10%、特に0〜5%である。P含有量が多すぎると、ガラスの粘度が低下したり、液相粘度が著しく低くなったりすることから、ガラス繊維をメルトブロー法等の方法で作製する場合にはビーズ混入量が増加する。
また上記した成分(SiO、B、CaO、MgO、NaO、KO、P)以外の成分も含みうる。ただし上記した成分の含有量が合量で98%以上、特に99%以上となるように組成を調節することが望ましい。その理由は、これらの成分の合量が98%未満の場合、意図しない異種成分の混入によって血液あるいは滲出液へのガラスの溶解速度が低下する。その結果、創傷被覆材としての特性が低下したり、生体適合性が低下したりする等の不都合が生じ易くなる。
上記した成分以外の成分として、例えば殺菌効果の向上のために、Cu、Ag、Zn、Sr、Ba、Fe、F、Mo、Au、Mn、Sn、Ce、Cl、La、W、Nb、Y等を合量で2%まで含有してもよい。
ガラス繊維は、300〜500μmの粒度に分級された比重×0.256の重量分のガラスを37℃、60mlの擬似体液中に2日間浸漬し、1回/日の撹拌を行った溶出試験において、擬似体液中のB濃度が0.1〜70mMかつCa濃度が3.8 〜20mMとなることが好ましい。この溶出試験による擬似体液中のB濃度が0.1mMより少ない場合、創傷被覆材として必要な殺菌効果が得にくくなる。一方、B濃度が70mMより多い場合、患者自身の細胞の増殖が抑制される可能性がある。また、Ca濃度が3.8mMより少ない場合、創傷被覆材として必要な細胞増殖の効果が得にくくなる。一方、Ca濃度が20mMより多い場合、細胞増殖の効果が持続しにくくなり、頻繁に創傷被覆材を交換する必要が生じる。
ガラス繊維は、平均繊維径が100nm〜10μmであることが好ましい。ここで「ガラス繊維の平均繊維径」は、走査型電子顕微鏡(HITACHI s−3400N typeII)を用いてガラス繊維の二次電子像または反射電子像を撮像し、前記走査型電子顕微鏡の測長機能を用いて50本のガラス繊維の直径を測定し、その平均値を平均繊維径とする方法により求めたものである。
ガラス繊維は、液相粘度が100.3dPa・s以上であるガラスからなることが好ましい。ガラスの液相粘度は、好ましくは100.4dPa・s以上、より好ましくは100.5dPa・s以上、さらに好ましくは101.0dPa・s以上である。液相粘度が低すぎると、溶融ガラスを繊維化する際に、混入するガラスビーズの量が多くなってしまう。ここで「液相粘度」とは、粘度曲線から結晶析出温度(液相温度)における粘度を測定する方法で導出した粘度を指す。
本発明の創傷被覆材は、ガラス繊維が絡み合うことによって三次元的に連続した空隙が形成されており、空隙に水分を取り込むことができる。取り込まれた水分は、表面張力によって空隙内に保持される。
本発明の創傷被覆材は、創傷被覆材を構成するガラス繊維の綿状体、不織布等の1グラム当たりの吸水量が15cc以上であり、好ましくは18cc以上、より好ましくは20cc以上である。1グラム当たりの吸水量が少なすぎると創傷被覆材の吸水量が少なくなり、滲出液を十分吸収できずに液漏れ等のトラブルを起こして創面周囲の皮膚のふやけを誘発する。なお使用量を増やして創傷被覆材の吸水量を多くすることも可能であるが、使用量が増えると材料コストが増加する。また不織布の状態で使用する場合には、創傷被覆材の厚みが大きくなって外観が悪化する。なお1グラム当たりの吸水量は、ガラスビーズの混入量、繊維径等を変更することにより調整することができる。
「1g当たりの吸水量」は以下のようにして測定した値である。まず予め重量を測定した純水中に、ガラス繊維の綿状体や不織布を完全に浸して吸水させる。続いて綿状体や不織布を純水中から取り出し、浸漬前後の純水の重量変化を求める。このようにして求めた純水の変化量(即ち、吸水量)を、材料1g当たりの吸水量に換算することにより求める。
本発明の創傷被覆材において、ガラス繊維には、ガラスビーズが混入していても差し支えない。しかしガラスビーズの混入量が多いと、1グラム当たりの吸水量が少なくなる。またガラス繊維の比表面積が小さくなることから、ガラスの溶解速度が低下して、CaやBを血液あるいは滲出液へ十分に提供することが難しくなり、創傷被覆材としての特性が低下する。さらに不織布に成形して使用する場合には、圧縮工程においてガラスビーズが砕けて脱落し、不織布に貫通穴を生成させてしまう。このため、ガラスビーズの混入量は少ないほど好ましい。なおガラスビーズの混入量を少なくするには、成形時のガラスの粘度を調整すればよい。
ガラス繊維(綿状体或いはこれを圧縮成形した不織布)に占めるガラスビーズの割合は、質量%で60%以下、50%以下、特に40%以下であることが好ましい。ガラスビーズの割合が大きくなるとガラス繊維等の吸水量が低下する。さらに、不織布として使用する場合には貫通穴が生成しやすくなる。
なおガラス繊維(或いはこれを圧縮成形した不織布)は、ガラスビーズの他にも粉末状、フレーク状等種々の形状のガラス体を含んでいてもよい。また各種薬剤を添加、含浸させておくこともできる。
本発明の創傷被覆材は、以下の工程で製造することができる。
まず、調合したガラス原料バッチをガラス溶融炉に投入してガラス化し、溶融、均質化した後、吐出ノズルを備えた貴金属製のノズル部材に溶融ガラスを供給する。続いてノズル部材から、溶融ガラスを流出させながら、吐出ノズルの側面、両面または全周から高速エアーを吹き付ける、いわゆるメルトブロー法によって溶融ガラスを吹き飛ばし、ガラス繊維に成形する。成形時にノズル部材から流出するガラスの粘度は、100.5〜101.5dPa・sであることが好ましい。ガラスの粘度が100.5dPa・sより低いとガラスビーズの混入量が増加しやすい。一方、ガラスの粘度が101.5dPa・sより高いとガラス繊維の繊維径が太くなりやすい。特に好ましい成形方法は、中心部に吐出ノズルを備え、外周部にエアーノズルを備えたメルトブローノズルを用いて、吐出ノズルから流出する溶融ガラスの全周にわたり、均一な流速のエアーをガラスの流出方向と平行に吹き付ける方法である。このような成形方法を用いることによって、溶融ガラスの粘度のばらつきが少なくなり、ガラスビーズの発生量が少なくなる。このようにして繊維化されたガラス繊維を捕集することにより、綿状の創傷被覆材を得ることができる。
また不織布状の創傷被覆材を得たい場合には、上記のようにして得られた綿状体を圧縮すればよい。例えばメルトブロー法によって繊維化したガラスを、金属製ネットを有するコンベア上に均一な厚みになるように連続的に堆積させた後、圧延ローラーにて所望の肉厚に調整する。このようにして、不織布状の創傷被覆材を得ることができる。
なお本発明の創傷被覆材は、メルトブロー法以外の方法でも作製することが可能である。例えばガラス吐出ノズルと該ノズル部材に対向するように配置されたターゲット電極との間に高電圧を印加し、前記吐出ノズルから吐出される帯電した前記溶融ガラスを前記電極部材側に引き寄せつつ繊維状に成形する、いわゆるエレクトロスピニング法や、溶融ガラスをフォアハースから流下させてスピナー(回転体)に導入し、このスピナーを高速回転させてスピナー側壁部に設けられたオリフィスから繊維状ガラスを吐出する、いわゆる遠心法を採用することもできる。
以上の工程によって作製された本発明の創傷被覆材は、吸水量が多く、ガラス繊維から創傷治癒を促進する成分と抗菌性を有する成分が溶出することによって創傷治癒プロセスを促進することが可能である。
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。
(1)ガラス試料
表1は、本発明で使用するガラス繊維の組成例(試料No.1〜4)を示している。
まず、表1のガラス組成になるように、天然原料、化成原料等の各種ガラス原料を秤量、混合して、ガラスバッチを作製した。次に、このガラスバッチを白金ロジウム合金製坩堝に投入した後、間接加熱電気炉内で1200〜1550℃で4時間加熱して、溶融ガラスを得た。尚、均質な溶融ガラスを得るために、加熱時に、耐熱性撹拌棒を用いて、溶融ガラスを複数回攪拌した。続いて、得られた溶融ガラスを耐火性鋳型内に流し出し、空気中で放冷して塊状のガラス試料を得た。得られた各試料につき、疑似体液中での溶出試験、及びガラスの液相粘度を測定した。結果を表1に示す。
なお溶出試験は次のようにして測定した。まず、塊状のガラス試料を粉砕し、直径300〜500μmの粒度のガラスを比重×0.256の重量分だけ精秤し、続いて容量100mlのポリプロピレン容器(PP容器)に擬似体液60mlを入れ、ガラス試料を浸漬して、37℃、2日間の条件で溶出試験を行った。その際、1回/日の撹拌を行った。撹拌は前記PP容器を手で数回振ることによって行った。溶出試験後に試験溶液を濾過し、ICP−OESを用いて溶出液中のB、Ca濃度を定量した。
なお、擬似体液は以下のようにして作製した。まず100mlの蒸留水を入れたビーカーをスターラーにセットした。次に各試薬(7.995g/LのNaCl、0.353g/LのNaHCO、0.224g/LのKCl、0.174g/LのKHPO、0.305g/LのMgCl・6HO、0.368g/LのCaCl・2HO、0.071g/LのNaSO)を秤量し、それぞれの試薬が完全に溶けてから次の試薬を順に蒸留水に加えて溶かし、溶液を作製した。なお薬包紙についた試薬は、蒸留水をかけて溶液に溶かした。次に10mlの35%塩酸に蒸留水90mlを加えて希釈塩酸を作製し、これを濁りがなくなるまで溶液に少しずつ加えた。次に溶液を2Lのビーカーに移し、825mlの蒸留水を加えてホットスターラーで撹拌した。次にpHメーターを準備し、スポイトで希釈塩酸を徐々に入れて溶かし、pH2にした。続いて6.057(g/L)のトリスヒドロキシメチルアミノメタン(トリスバッファー)を溶液に入れて溶かし、pH8にした後、ホットスターラーで加熱しながら希釈塩酸を徐々に加え、最終的に液温37℃においてpH7.25の溶液にした。この溶液を有栓メスシリンダーに移し、蒸留水を加えて1Lにし、溶液が混合されるようによく振り混ぜた。このようにして得られた溶液をポリビンに移したのち、冷蔵庫内で1日以上保管して、実験に用いる疑似体液を得た。
擬似体液中の無機イオン濃度の理論値は、Naが142.0、Kが5.0、Mg2+が1.5、Ca2+が2.5、Clが148.8、HPO4−が1.0である。(単位はすべてmM)。
液相粘度の測定は次のようにして行った。
まず、塊状のガラス試料を粉砕し、300〜500μmの範囲の粒度となるように調整し、耐火性の容器に適切な嵩密度となるよう充填した。次にこの耐火性容器を、間接加熱型の温度勾配炉内に入れて静置し、大気雰囲気中で16時間加熱した。続いて温度勾配炉から、耐火性容器ごと試験体を取り出して室温まで冷却した後、光学顕微鏡によって結晶析出箇所を判定し、予め作製した温度勾配炉内の温度勾配グラフを用いて結晶析出温度(液相温度)を求めた。
さらに塊状のガラス試料を適正な寸法に破砕し、なるべく気泡が巻き込まれないようにアルミナ製坩堝に投入し、続いてアルミナ坩堝を加熱して試料を融液状態とし、白金球引き上げ法によって複数の温度におけるガラスの粘度の計測値を求め、Vogel−Fulcher式の定数を算出して粘度曲線を作成した。このようにして得られた粘度曲線から液相温度における粘度を求め、これを液相粘度の測定値とした。
(2)創傷被覆材の作製及び評価
上記のようにして準備したガラス試料を用いて、実施例1、2の創傷被覆材を作製した。
[実施例1]
ガラス吐出ノズルを備えた貴金属製のポットに塊状のガラス試料No.1を投入し、通電加熱によってガラス試料をリメルトした。その後、吐出ノズルから流下した溶融ガラスに対して高速エアーを吹き付け、前記溶融ガラスを延伸して繊維化し、綿状試料を得た(平均繊維径:1.1μm)。
このようにして得られた綿状のガラス繊維の試料は、ガラスビーズの混入量が43%であり、また1gあたりの吸水量は38ccであった。
[実施例2]
ガラス吐出ノズルを備えた貴金属製のポットに塊状のガラス試料No.2を投入し、通電加熱によってガラス試料をリメルトした。その後、吐出ノズルから流下した溶融ガラスに対して高速エアーを吹き付け、前記溶融ガラスを延伸して繊維化した(平均繊維径:0.9μm)。
これを金属製ネットのコンベア上に連続的に堆積させた後、圧延ローラーで肉厚1.0mmとなるように圧縮しガラス繊維不織布を得た。
このようにして得られたガラス繊維不織布の試料は、ガラスビーズの混入量が54%であり、また1gあたりの吸水量は、22ccであった。
なおガラスビーズの混入量は次にようにして求めた。
綿状体又は不織布を所定量秤量し、ビーカーに投入した後アルコールを注入し、マグネティックスターラーを用いて3分撹拌、撹拌停止後ビーズが沈殿するまで20秒待ち、その後ただちに沈殿物を残した上澄み液を別のビーカーに移し、この作業を繰り返して採取した沈殿物を乾燥させ、その後沈殿物の重量を測定し、前記綿状体又は不織布に対する沈殿物の重量比を算出する方法により求めた。
また1gあたりの吸水量の測定は次のようにして行った。
約0.02gの綿状のガラス繊維、若しくは1cm×1cmに切断したガラス繊維不織布の試料を用意する。精密天秤に純水を入れたビーカーを載せて、重量を記録する。ピンセットで試料をつまみ、純水の中に完全に浸す。すぐに試料を取出し、再び重量を記録する。試料投入前後の重量変化量を算出し、これを吸水量とする方法により求めた。
また、ガラス繊維の平均繊維径は、走査型電子顕微鏡(HITACHI s−3400N typeII)を用いて繊維の二次電子像または反射電子像を撮像し、前記走査型電子顕微鏡の測長機能を用いて50本の繊維の直径を測定し、その平均値を平均繊維径とする方法により求めた。

Claims (6)

  1. ガラス組成としてBとCaOを含有するガラス繊維を含み、1グラム当たりの吸水量が15cc以上であることを特徴とする創傷被覆材。
  2. ガラス繊維の形状が、綿状体又は不織布であることを特徴とする請求項1に記載の創傷被覆材。
  3. ガラス繊維が、質量%で、SiO 5〜70%、B 5〜40%、CaO 1〜50%を含有するガラスからなることを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載の創傷被覆材。
  4. ガラス繊維が、質量%で、さらにMgO 0〜20%、NaO 0〜20%、KO 0〜40%、P 0〜20%を含有するガラスからなることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の創傷被覆材。
  5. ガラス繊維が、300〜500μmの粒度に分級された比重×0.256の重量分のガラスを37℃、60mlの擬似体液中に2日間浸漬し、1回/日の撹拌を行った溶出試験において、擬似体液中のB濃度が0.1〜70mMかつCa濃度が3.8〜20mMとなることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の創傷被覆材。
  6. ガラス繊維の平均繊維径が100nm〜10μmであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の創傷被覆材。
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