JP2017115015A - 不飽和ポリエステル樹脂組成物及びこれを用いた回転子、電気機器絶縁物の製造方法 - Google Patents

不飽和ポリエステル樹脂組成物及びこれを用いた回転子、電気機器絶縁物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 臭気が少なく、高固着性を有し、皮膜が柔軟な不飽和ポリエステル樹脂組成物を提供すると共に、これを用いて塗布し処理することで、信頼性を向上させた回転子や電気機器絶縁物の製造方法を提供する。【解決手段】 不飽和ポリエステル(A)、反応性希釈剤(B)、アルキルベンゼン・ホルムアルデヒド樹脂(C)、80℃未満で硬化反応を開始する有機過酸化物(D)を含有し、不飽和ポリエステル(A)の酸価が25mgKOH/g以下、反応性希釈剤(B)の20℃での蒸気圧が0.2mmHg以下、不飽和ポリエステル(A)と反応性希釈剤(B)を配合した25℃の粘度が2000〜5000mPa・sで、不飽和ポリエステル(A)と反応性希釈剤(B)の総量100質量部に対し、アルキルベンゼン・ホルムアルデヒド樹脂(C)を0.1〜20質量部、80℃未満で硬化反応を開始する有機過酸化物(D)を0.5〜4質量部含有する不飽和ポリエステル樹脂。【選択図】 なし

Description

本発明は、不飽和ポリエステル樹脂組成物及びこれを用いた回転子、電気機器絶縁物の製造方法に関する。
さらに、詳しくは、電気機器、特に発電機、電動工具等のアーマチュア(回転子)を使用する電気機器用コイルの含浸性、注型等の絶縁処理における作業に際し、固着力を向上しつつ、揮発性物質を低減し、作業環境を向上させるとともに、塗膜の固着力が高く、且つ柔軟性を付与でき、回転子の高寿命化に寄与する不飽和ポリエステル樹脂組成物及びこれを用いた回転子、電気機器絶縁物の製造方法に関する。
従来、回転子中に挿入されている電線を固着するために、ワニスを塗布することは一般的に行われている。ワニスを塗布する主な目的は、電動機回転時において遠心力や、コアの発熱により内外部の電線が動くことで生じる振動やうなりを抑制したり、電線同士が擦れることによる絶縁皮膜の傷に起因する絶縁性低下を防止したりすることである。そのため、ワニス塗布はスロット内の電線同士およびスロットと電線を十分に固着させることが重要である。
また、特に電動工具用の回転子等は、2,000〜5,000回転/分、ジュ−サ・ミキサでは10,000〜20,000回転/分、掃除機用では100,000回転/分等の高速回転で駆動しているため、回転子の電線には大きな遠心力がかかる。とくに、空中に浮いている渡り線があると、ワニスが十分に付着できないため、振動等で破断したりする場合がある。そのため、この固定子のコイル部分は十分に処理ワニスで固定することが重要である。
また、この部分へのワニス処理は、一般に回転子を室温(25℃)から100〜150℃に昇温し、十分に熱が伝わり水分の除去やコイル電線の傷等を修復した後で、高温のままワニスを滴下又は浸漬処理するため、放熱による周囲の高温化、また、ワニスに使用しているキシレンやトルエン等のシンナやスチレン・ビニルトルエン等の反応性希釈剤が揮発し、悪臭で作業環境を悪化させる。
また、ワニスの処理方法についても、回転子の整流子片間部に毛細管現象によってワニスが浸透して通電不良やスパークなどを発生させたり、コアにワニスが付着し、回転時にぶれを発生しうなる原因となったり、空中にある浮き線は実機へ十分にワニスで固定することが困難であった。
整流子のアンダーカット部へのワニス浸透を抑制する方法として、例えば特許文献1、2、3が提案されている。特許文献1では、整流子のアンダーカットをフック部近辺で整流子の外周側へずらすことによって、ワニスが浸透しないようにする方法である。特許文献2では、渡り線部分を紐で複数周巻き付けることで、渡り線を固定するとともに、ワニスが整流子のアンダーカット部へ浸透しないようにする方法である。特許文献3では、ワニス処理後に電線を固着する方法で、かつ揺変剤で高粘度にし、ガラスビーズや飽和ポリエステルを使用し高粘度化する方法が記載されている。
特開平9−252564号公報 特開2008−160970号公報 特開2014−138431号公報
上述した特許文献1では、整流子の高さは回転子の高さと同等が最高であり、粘度が低く浸透性の高いワニスが多く塗布された場合は、その高さを超えてワニスが浸透する可能性があり、十分な効果が得られない不具合が発生する。
特許文献2でも、ワニスは紐に吸収されるためある程度効果はあるが、多くのワニスが塗布された場合や浸透性の高いワニスが使用された場合はワニスが浸透する可能性があり、十分な効果が得られない。また、紐を巻き付ける工数が増加するため、硬化時の工程が増すなど、生産コストアップにつながる。
特許文献3でも、使用している溶剤の記載がなく、作業環境への配慮がないうえ、中空ガラスを使用すると、コイル回転時の発熱により、ワニスの放熱性がさまたげられ、ワニスの熱劣化を促進し、強いては固着した電線を熱で劣化促進してしまう不具合があった。また、あまりに高い揺変性を持つワニスを使用すると前記同様、ワニスが電線に浸透せず、付着量を増やすばかりでなく、経日変化で粘度や揺辺度が低下し、僅かでもアンダーカット部に浸透すると、すぐに毛細管現象により広がっていく。さらに、要求する塗膜厚のワニス硬化物が得られない不具合が発生し、不良率を上げてしまい、生産コストアップにつながる。そのため、上記特許文献の方法では不十分なことが多い。
また、ワニスを厚く塗布した場合、運転時に過大な負荷により発生した熱が放散されずに蓄熱され電気機器の温度が上昇する傾向があるため、使用される各材料は、より耐熱性及び熱放散性が高いものが求められるようになってきた。このうち、熱放散性を処理ワニスへ付与させる方法については、樹脂組成物よりも熱伝導率が高い金属製を含む多種充填材の適用が一般的となってきている。ただし、これらの充填材では、分散性、安定性、処理する電気機器への浸透性が問題となっており、一般的には使用されていない。また、発生する熱により、ワニスにクラック等が入ってしまい、不具合が発生し、不良率を上げてしまい、生産コストアップにつながる恐れもある。
また、処理する電気機器が大型化した場合、処理した電気機器を大型の乾燥設備に入れることが不可能な場合が多く、常温(25℃)〜低温度での処理を要求されていたが、可使時間やポットライフの問題から、一般的には使用されておらず、常温程度で揮発する溶剤を用いた溶剤型ワニスを使用するか、有機過酸化物を使用しても可使時間の問題から、部分的に補修する方法しか用いられていない。
以上のことから、本発明は、臭気が少なく、高固着性を有し、皮膜が柔軟な不飽和ポリエステル樹脂組成物を提供し、この不飽和ポリエステル樹脂組成物を塗布し処理することで、信頼性を向上させた回転子や電気機器絶縁物の製造方法を提供する。
本発明は、不飽和ポリエステル(A)、反応性希釈剤(B)、アルキルベンゼン・ホルムアルデヒド樹脂(C)、80℃未満で硬化反応を開始する有機過酸化物(D)を含有し、不飽和ポリエステル(A)の酸価が25mgKOH/g以下、反応性希釈剤(B)の20℃での蒸気圧が0.2mmHg以下、不飽和ポリエステル(A)と反応性希釈剤(B)を配合した25℃の粘度が2000〜5000mPa・sで、不飽和ポリエステル(A)と反応性希釈剤(B)の総量100質量部に対し、アルキルベンゼン・ホルムアルデヒド樹脂(C)を0.1〜20質量部、80℃未満で硬化反応を開始する有機過酸化物(D)を0.5〜4質量部含有する不飽和ポリエステル樹脂組成物に関する。
また、本発明は、前記の不飽和ポリエステル樹脂組成物に、更に重合禁止剤、安定剤又は充填材のいずれか1以上を含有してなる不飽和ポリエステル樹脂組成物に関する。
また、本発明は、上記の不飽和ポリエステル樹脂組成物を、処理前の回転子の少なくとも整流子下部の渡り線部に、被覆し、硬化することを特徴とする回転子の製造方法に関する。
更に、本発明は、上記の不飽和ポリエステル樹脂組成物により、電気機器を被覆し、硬化することを特徴とする電気機器絶縁物の製造方法に関する。
本発明では、臭気が少なく、高固着性を有し、皮膜が柔軟な不飽和ポリエステル樹脂組成物を提供することができ、これを用いることにより、臭気が少なく作業環境を向上しつつ、整流子部分のワニスの浸透を抑制でき、さらに皮膜の柔らかい樹脂硬化物を使用することにより、信頼性を向上させた回転子や電気機器絶縁物の製造方法を提供することができる。
実施例のせん断固着力の測定方法を説明する試験片の正面図(A)および側面図(B)。
以下、本発明を更に詳しく説明する。但し、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
本発明で用いる(A)成分の不飽和ポリエステルは、不飽和二塩基酸を必須成分とする酸成分及びアルコール成分、さらに必要に応じて変性成分を反応させて得られる。
不飽和二塩基酸としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等が用いられ、これらは単独で用いても併用してもよい。酸成分としては、上記記載の不飽和二塩基酸の他、飽和酸及びこの飽和酸低級アルキルのジエステル等を併用することも出来る。例えば、テレフタル酸モノメチル、テレフタル酸の低級アルキルのジエステル等のテレフタル酸ジエステル、例えば、テレフタル酸ジメチル等が用いられる。また、イソフタル酸、アジピン酸、フタル酸、セバシン酸等を用いることもできる。
飽和酸としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、アジピン酸、セバチン酸等の飽和二塩基酸等が挙げられる。
飽和酸低級アルキルのジエステルとしては、例えば、テレフタル酸ジメチル等が用いられる。これらは単独で用いても併用してもよい。
さらに、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、トール油脂肪酸等の食用油脂肪酸等を併用することもできる。不飽和酸の量は、全酸成分中50〜90当量%の範囲で選択されることが好ましい。
アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が用いられ、これらは単独で用いても併用してもよい。必要に応じて用いられる変性成分としては、例えば、アマニ油、大豆油、トール油、脱水ヒマシ油、ヤシ油、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン等が挙げられる。
本発明で用いる不飽和ポリエステル(A)の数平均分子量(ゲルパーミッションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値、以下も同じ)は、1,000〜10,000が好ましい。より好ましくは、1,500〜5,000である。1,000未満では、不飽和ポリエステル樹脂組成物の硬化性および樹脂硬化物特性が極端に劣り、10,000を超えると粘度が高すぎ含浸作業性が悪化する。
また、本発明で用いる不飽和ポリエステル(A)の酸価は、25mgKOH/g以下のものを用いる。酸価は、酸成分の調整や、反応時間で制御することができる。
本発明に使用される不飽和ポリエステル(A)の製造方法としては、従来から公知の方法によることができる。例えば、α,β−不飽和二塩基酸と1以上の水酸基を持つアルコールのみ、又は多塩基酸成分、多価アルコール成分を併用し、縮合反応させ、両成分が反応するときに生じる縮合水を系外に除きながら進められる。全酸成分1当量に対して全アルコール成分は1〜2当量の範囲で使用することが好ましい。
縮合水を系外に除去することは、好ましくは不活性気体を通じることによる自然留出又は減圧留出によって行われる。縮合水の留出を促進するため、トルエン、キシレンなどの溶剤を共沸成分として系中に添加することもできる。反応の進行は、一般に反応により生成する留出分量の測定、末端の官能基の定量、反応系の粘度の測定などにより知ることができる。
合成反応を行うための反応温度は150〜250℃とすることが好ましい。このことから、反応装置としては、ガラス、ステンレス製等のものが選ばれ、撹拌装置、水とアルコール成分の共沸によるアルコール成分の留出を防ぐための分留装置、反応系の温度を高める加熱装置、この加熱装置の温度制御装置等を備えた反応装置を用いるのが好ましい。
合成における重縮合反応を行うために調整する反応装置内圧力は、常圧でも全く問題なく反応を進めることができるが、加圧し、多価アルコ−ルの沸点をあげることにより、反応を促進することができる。この場合、常圧〜0.1MPaの範囲で行うことが好ましい。
本発明で使用する反応性希釈剤(B)は、20℃の蒸気圧が0.1mmHg以下である。反応性希釈剤(B)としては、低臭気性の樹脂組成物を得るとする目的から、蒸気圧が0.1mmHg(20℃)以下であるもので、さらに不飽和ポリエステル樹脂(A)、アルキルベンゼン・ホルムアルデヒド樹脂(C)を溶解するものが選択される。
反応性希釈剤(B)は、不飽和基を有することが好ましく、この要件を満足する重合性単官能(メタ)アクリレートとして、具体的には、例えばジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(蒸気圧20℃、0.15mmHg)、プラクセルFA1,FA2D,FA3,FM1D,FM2D,FM3(ダイセル化学工業株式会社)等の(ポリ)カプロラクトンモノエトキシ(メタ)アクリレートなどの水酸基を持つ(メタ)アクリレートを使用することができる。また分子中に1個の水酸基を有する単官能(メタ)アクリレートと飽和二塩基酸との反応物である不飽和一塩基酸も使用することが可能である。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
不飽和ポリエステル(A)と不飽和基を有する反応性希釈剤(B)の使用量は、得られる不飽和ポリエステル樹脂組成物の25℃での粘度が2000〜5000mPa・sになるように調整される。具体的には不飽和ポリエステル(A)を100質量部に対して、20℃の蒸気圧が0.2mmHg以下である不飽和基を有する反応性希釈剤(B)が20〜50質量部の範囲とするのが好ましい。20質量部未満の場合、得られる樹脂組成物の粘度が5000mPa・sを超してしまうため、実機表面に厚く付着するばかりでなく、内部浸透性も悪くなるうえ、使用中に発生する熱等で皮膜にひび等が発生し、絶縁破壊がおこり実機が使用できなくなる可能性がある。
また、20℃の蒸気圧が0.2mmHg以下である不飽和基を有する反応性希釈剤を50質量部を超えて配合すると、樹脂組成物の外観が濁るうえ、ワニス粘度が低すぎて、塗膜が薄くなり、内部に浸透し塗膜が形成出来なくなる不具合が発生する。
本発明に用いられる(C)成分のアルキルベンゼン・ホルムアルデヒド樹脂は、トルエン・キシレン等のアルキルベンゼンとホルムアルデヒドをアルカリ触媒、例えば、水酸化ナトリウム、アンモニア、トリエルアミンなどの存在下で反応させて得られるレゾールタイプの樹脂である。キシレン・ホルムアルデヒド樹脂の市販品としては、ゼネラル石油化学工業株式会社のゼネライト30、ゼネライト50、ゼネライト100、三菱瓦斯化学株式会社製のニカノールL、ニカノールLL、ニカノールLLL等がある。
本発明に用いられる(C)成分のアルキルベンゼン・ホルムアルデヒド樹脂の使用量は、(A)成分の不飽和ポリエステルと(B)成分の20℃の蒸気圧が0.2mmHg以下である不飽和基を有する反応性希釈剤の総量100質量部に対し、アルキルベンゼン・ホルムアルデヒド樹脂(C)0.1〜20質量部とするのが好ましく、1〜15質量部であるのがより好ましく、更に好ましくは5〜10質量部である。アルキルベンゼン・ホルムアルデヒド樹脂が50質量部を超えて配合してしまうと、表面乾燥時間および樹脂組成物の硬化時間が延長し、硬化しづらくなる。また、配合量を0.1質量部未満にすると、樹脂組成物の硬化皮膜が柔軟にならない不具合が発生する。
本発明で用いられる80℃未満で硬化反応を開始する有機過酸化物(D)としては、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ−2−メトキシエチルペルオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルペルオキシジカーボネート、ジ−2−メチルヘキシルペルオキシジカーボネート、ジ−イソプロピルペルオキシジカーボネート等のペルカーボネート類;1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシネオデカノエート、α−クメンペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ヘキシルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ヘキシルペルオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシジ−2−エチルヘキサノエ−ト、t−ヘキシルペルオキシ2−エチルヘキサノエ−ト、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエ−ト、t−ブチルペルオキシソブチレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエ−ト等のアルキルパ−エステル類;イソブチロイルペルオキシド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド等のジアシルペルオキシド類といった有機過酸化物が挙げられる。これらの有機過酸化物は、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
80℃未満で硬化反応を開始する有機過酸化物(D)は、10時間の半減期温度が80℃以下であることを目安とすることができる。ジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシエステル類が好ましく用いられる。
本発明に用いられる(D)成分の有機過酸化物の使用量は、不飽和ポリエステル(A)と反応性希釈剤(B)の総量100質量部に対し、80℃未満で硬化反応を開始する有機過酸化物(D)を0.5〜4質量部含有する。0.5質量部未満では硬化反応の促進効果が十分でなく、4質量部を超えると硬化反応が促進され過ぎ、クラック、色むら等を生じるおそれがある。
本発明では必要に応じて重合禁止剤、安定剤又は充填剤を配合することができる。
本発明で必要に応じて使用する重合禁止剤としては、p−ベンゾキノン、ハイドロキノン、ナフトキノン、p−トルキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、2,5−ジアセトキシ−p−ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等が挙げられる。その配合量は、得られる不飽和ポリエステル樹脂組成物の硬化性により便宜決定されるが、その配合量は、不飽和ポリエステル樹脂組成物100質量部に対して0.01〜5.0質量部が好ましく、より好ましくは0.5〜3質量部である。
本発明で必要に応じて用いられる安定剤としては、p−ベンゾキノン、ハイドロキノン、ナフトキノン、p−トルキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、2,5−ジアセトキシ−p−ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等が挙げられる。
その配合量は、樹脂組成物の貯蔵安定性、実機処理時の硬化温度及び硬化時間により決定されるが、その配合量は、通常、樹脂組成物の総量100質量部に対して0.5質量部以下が好ましく、より好ましくは0.01〜0.1質量部である。
本発明で必要に応じて用いられる充填材としては、無機充填材、有機充填材が挙げられ、無機充填材としては、X線透過式重力沈降法により測定される平均粒径が1〜10μm、より好ましくは平均粒径が1.5〜8μm、更に好ましくは、3〜7μmであれば、特に限定はされない。この平均粒径が10μmを超えると、粘度は低くなり浸透性は向上するが充填材の沈降が激しく、安定性が悪くなり、絶縁性や外観が悪化し、さらに、耐薬品性等の耐性を悪化する傾向がある。
また、平均粒径が1μm未満の場合、粘度があがり、作業性が悪化し、皮膜厚みが不均一になる不具合が発生する。
またより高い熱伝導率を得るために、上記無機充填材のほか、レーザーフラッシュ法で測定した熱伝導率が3W/mK以上のものを混合することもできる。具体例としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、窒化アルミニウム、ホウ酸アルミウィスカ、窒化ケイ素、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ又は炭化ケイ素が挙げられる。熱伝導性を高めるためにはアルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ、炭化ケイ素が好ましい。これらの無機充填材は、単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。
また、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カリウム、水酸化カリウム等を配合すると増粘効果が期待される。これらは、不飽和ポリエステル(A)と反応性希釈剤(B)の総量100質量部に対し、0.5〜5質量部の範囲で配合することができる。
有機充填材としては、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、スチレン‐ブタジエンブロックコポリマー等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂粒子が挙げられ、熱可塑性樹脂を配合することで硬化収縮を抑制できる。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物を用いた絶縁処理は、公知の方法で処理されるが、本発明の樹脂組成物を電気機器に1〜10分間滴下含浸した後、100〜180℃で0.2〜5時間加熱して樹脂組成物を硬化させる方法で行われることが望ましい。
また、処理前の回転子の少なくとも整流子下部の渡り線部に被覆し、硬化することで十分に振動やうなりを抑制したり、電線同士が擦れることによる絶縁皮膜の傷に起因する絶縁性低下を防止したりすることができる。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、臭気が少なく、良作業性を有するだけではなく、得られるワニス皮膜が柔軟性を有し、かつ高固着性を有するため、モータ等に代表される電気機器含浸処理用に好適である。とくに、高速で回転する電動工具、ジューサ・ミキサ、掃除機、発電機用の回転子の端末絶縁処理に最適である。
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。
(1)不飽和ポリエステル(A)の合成
温度計、チッ素吹き込み管、精留塔及び撹拌装置を備えた3リットルのフラスコに、イソフタル酸1107質量部、プロピレングリコ−ル760質量部を仕込み、不活性気流中、マントルヒーターで加温し、8時間かけて230℃に昇温した。その後、保温して,酸価が2.4mgKOH/gになった時点で冷却し、無水マレイン酸を19600質量部加え再度6時間で215℃まで昇温した。酸価が13mgKOH/gとなった時点で冷却し反応を終了させた。この時の数平均分子量は2,780であった。
(2)不飽和ポリエステル(B)の合成
温度計、チッ素吹き込み管、精留塔及び撹拌装置を備えた3リットルのフラスコに、イソフタル酸1107質量部、プロピレングリコ−ル760質量部を仕込み、不活性気流中、マントルヒーターで加温し、8時間かけて230℃に昇温した。その後、保温して,酸価が2.4mgKOH/gになった時点で冷却し、無水マレイン酸を20600質量部加え再度6時間で215℃まで昇温した。酸価が30mgKOH/gとなった時点で冷却し反応を終了させた。この時の数平均分子量は2,580であった。
(3)不飽和ポリエステル樹脂組成物(A1)の作製
上記不飽和ポリエステル(A)100質量部に(B)成分として2−ヒドロキシエチルメタクリレート(20℃での蒸気圧 0.15mmHg)30質量部を加え、不飽和ポリエステル樹脂組成物(A1)を作製した。
(4)不飽和ポリエステル樹脂組成物(A2)の作製
上記不飽和ポリエステル(A)100質量部に(B)成分として2−ヒドロキシエチルメタクリレート50質量部を加え、不飽和ポリエステル樹脂組成物(A2)を作製した。
(5)不飽和ポリエステル樹脂組成物(A3)の作製
上記不飽和ポリエステル(A)100質量部に(B)成分として2−ヒドロキシエチルメタクリレート10質量部を加え、不飽和ポリエステル樹脂組成物(A3)を作製した。
(6)不飽和ポリエステル樹脂組成物(A4)の作製
上記不飽和ポリエステル(A)100質量部に(B)成分として2−ヒドロキシエチルメタクリレート65質量部を加え、不飽和ポリエステル樹脂組成物(A4)を作製した。
(7)不飽和ポリエステル樹脂組成物(A5)の作製
上記不飽和ポリエステル(A)100質量部に(B)成分としてスチレン(20℃の蒸気圧 5mmHg)30質量部を加え、不飽和ポリエステル樹脂組成物(A5)を作製した。
(8)不飽和ポリエステル樹脂組成物(B1)の作製
上記不飽和ポリエステル(B)100質量部に(B)成分として2−ヒドロキシエチルメタクリレート30質量部を加え、不飽和ポリエステル樹脂組成物(B1)を作製した。
(実施例1)
(不飽和ポリエステル樹脂組成物(a−1)の作製)
不飽和ポリエステル樹脂組成物(A1)に、(C)成分としてキシレン・ホルムアルデヒド樹脂(三菱瓦斯化学株式会社製、商品名ニカノ−ルLL)10質量部、(D)成分として、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油株式会社製、パ−ブチルO、1時間半減期温度92.1℃、10時間半減期温度72.1℃)1質量部、その他材料として、ハイドロキノン0.02質量部を配合し、よく混合し、不飽和ポリエステル樹脂組成物a−1を得た。
(実施例2)
(不飽和ポリエステル樹脂組成物(a−2)の作製)
実施例1で使用した不飽和ポリエステル樹脂組成物(A1)を不飽和ポリエステル樹脂組成物(A2)に変更した他はすべて同等の配合で配合し、よく混合し、不飽和ポリエステル樹脂組成物a−2を得た。
(比較例1)
(不飽和ポリエステル樹脂組成物(a−3)の作製)
実施例1で使用した不飽和ポリエステル樹脂組成物(A1)を不飽和ポリエステル樹脂組成物(A3)に変更した他はすべて同等の配合で配合し、よく混合し、不飽和ポリエステル樹脂組成物a−3を得た。
(比較例2)
(不飽和ポリエステル樹脂組成物(a−4)の作製)
実施例1で使用した不飽和ポリエステル樹脂組成物(A1)を不飽和ポリエステル樹脂組成物(A4)に変更した他はすべて同等の配合で配合し、よく混合し、不飽和ポリエステル樹脂組成物a−4を得た。
(比較例3)
(不飽和ポリエステル樹脂組成物(a−5)の作製)
実施例1で使用した不飽和ポリエステル樹脂組成物(A1)を不飽和ポリエステル樹脂組成物(A5)に変更した他はすべて同等の配合で配合し、よく混合し、不飽和ポリエステル樹脂組成物a−5を得た。
(比較例4)
(不飽和ポリエステル樹脂組成物(b-1)の作製)
実施例1で使用した不飽和ポリエステル樹脂組成物(A1)を不飽和ポリエステル樹脂組成物(B1)に変更した他はすべて同等の配合で配合し、よく混合し、不飽和ポリエステル樹脂組成物b−1を得た。
(比較例5)
(不飽和ポリエステル樹脂組成物(a−6)の作製)
不飽和ポリエステル樹脂組成物(A1)に、(C)成分を使用せず(D)成分として、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油株式会社製、パ−ブチルO)1質量部、その他材料として、ハイドロキノン0.02質量部を配合し、よく混合し、不飽和ポリエステル樹脂組成物a−6を得た。
(比較例6)
(不飽和ポリエステル樹脂組成物(a−7)の作製)
不飽和ポリエステル樹脂組成物(A1)に、(C)成分としてキシレン・ホルムアルデヒド樹脂(三菱瓦斯化学株式会社製、商品名ニカノ−ルLL)40質量部、(D)成分として、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油株式会社製、パ−ブチルO)1質量部、その他材料として、ハイドロキノン0.02質量部を配合し、よく混合し、不飽和ポリエステル樹脂組成物a−7を得た。
(比較例7)
(不飽和ポリエステル樹脂組成物(a−8)の作製)
不飽和ポリエステル樹脂組成物(A1)に、(C)成分としてキシレン・ホルムアルデヒド樹脂(三菱瓦斯化学株式会社製、商品名ニカノ−ルLL)10質量部、(D)成分として、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油株式会社製、パ−ブチルO)0質量部、その他材料として、ハイドロキノン0.02質量部を配合し、よく混合し、不飽和ポリエステル樹脂組成物a−8を得た。
(比較例8)
(不飽和ポリエステル樹脂組成物(a−9)の作製)
不飽和ポリエステル樹脂組成物(A1)に、(C)成分としてキシレン・ホルムアルデヒド樹脂(三菱瓦斯化学株式会社製、商品名ニカノ−ルLL)10質量部、(D)成分として、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油株式会社製、パ−ブチルO)5質量部、その他材料として、ハイドロキノン0.02質量部を配合し、よく混合し、不飽和ポリエステル樹脂組成物a−9を得た。
上記した実施例および比較例の樹脂組成物について、外観測定、粘度測定、ゲル化時間測定、臭気試験、揮発量測定、せん断固着力、皮膜の状態は下記により実施した。
(1)不飽和ポリエステル樹脂組成物の外観測定
不飽和ポリエステル(A)と反応性希釈剤(B)を混合した際のワニス外観を目視にて評価した。ワニスの色と、ワニスが透明な場合を「○」、濁っている場合を「×」として評価した。
(2)粘度測定
JIS C 2105(電気絶縁用無溶剤液状レジン試験方法)に準拠して、ブルックフィ−ルド型粘度計法で測定した。
(3)ゲル化時間測定
JIS C 2105に準拠して、試験管法にて120℃でのゲル化時間を測定した。
(4)臭気試験
直径70mm、高さ140mmのポリビーカに実施例および比較例の樹脂組成物をそれぞれ100gずつ入れ、ふたをして、25℃恒温槽内で1時間放置後の臭気を官能試験で評価した。臭気の官能試験は表1に示す評価基準を用いて4段階評価で実施した。
Figure 2017115015
(5)揮発量の測定:
直径60mmの金属シャーレに実施例および比較例の樹脂組成物をそれぞれ10gずつ入れ130℃の恒温槽中に2時間静置し、重量変化により揮発量を測定した。
(6)せん断固着力
図1(A)および(B)に示すようにストラッカー試験片を作製し、これに電気絶縁用樹脂組成物を含浸させ、所定条件で硬化させたものを試験片とし、23℃でのせん断接着力を測定した。なお、図1中の1は直径2.0mmのポリエステルエナメル銅線、2は直径0.4mmのポリエステルエナメル銅線を示し、2本の直径2.0mm、長さ80mmのポリエステル被覆エナメル銅線1を直列に配列し、その接合部を中心にその周辺を6本のポリエステル被覆エナメル銅線1を配し、ポリエステル被覆エナメル銅線2で束ねる。また、硬化後の試験片中央部の塗膜の作製状況も観察した。
(7)皮膜の状態(乾燥性、硬さ)
直径60mmの金属シャーレに実施例および比較例の樹脂組成物をそれぞれ10gずつ入れ130℃の恒温槽中に静置し、表面がべたつきのなくなった時間を乾燥時間とし測定した。また、乾燥した塗膜の硬さをSoreDで測定した。
得られた結果を表2、表3にまとめて示した。
Figure 2017115015
注 ○;良好 ×;不具合有(臭気試験を除く)
Figure 2017115015
注 ○;良好、 ×;不具合有(臭気試験を除く)
比較例1は、反応性希釈剤(B)の量が少なくワニス粘度が高くなり皮膜の硬さが高くなる。比較例2は、反応性希釈剤(B)の量が多い場合で、ワニス粘度が低くなりすぎ、皮膜を厚膜とすることができない。
比較例3は、反応性希釈剤(B)に20℃での蒸気圧が0.2mmHgを超えるスチレンを用いた場合であり、臭気が多く、また揮発量も多くなる。
比較例4は、不飽和ポリエステルの酸価が25mgKOH/gを超える場合であり、微濁を生じてしまう。
比較例5は、アルキルベンゼン・ホルムアルデヒド樹脂(C)を配合しない場合で、比較例6は、(C)成分が多い場合である。配合なしの比較例5では、固着力が低く、皮膜が固くなる。多い比較例6では、ワニス粘度が低く、厚膜を形成しにくく、固着力が低い。
比較例7、8は、有機過酸化物(D)の配合量がゼロと多い場合であり、ゼロでは硬化せず(比較例7)、多いとゲル時間が短く作業性に劣ったり、揮発量が多くなる(比較例8)。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物を用いた電気機器絶縁物は、臭気が少ないため、よい作業環境が提供でき、且つ固着力も良好なため、高速で回転する回転子の特性向上に適応できる。また、樹脂組成物の粘度を制御することで、塗膜を均一に作製できる。また、従来の含浸作業方法に幅広く対応可能である。さらに、従来の液状タイプの樹脂組成物と同等以上の電気絶縁性、固着性等の硬化物特性が可能で、皮膜が柔軟になるため、実機の熱による電線の切断等を抑えることが可能となるため、信頼性の高い電気機器を提供することができる。
1 直径2.0mmのポリエステルエナメル銅線
2 直径0.4mmのポリエステルエナメル銅線

Claims (4)

  1. 不飽和ポリエステル(A)、反応性希釈剤(B)、アルキルベンゼン・ホルムアルデヒド樹脂(C)、80℃未満で硬化反応を開始する有機過酸化物(D)を含有し、不飽和ポリエステル(A)の酸価が25mgKOH/g以下、反応性希釈剤(B)の20℃での蒸気圧が0.2mmHg以下、不飽和ポリエステル(A)と反応性希釈剤(B)を配合した25℃の粘度が2000〜5000mPa・sで、不飽和ポリエステル(A)と反応性希釈剤(B)の総量100質量部に対し、アルキルベンゼン・ホルムアルデヒド樹脂(C)を0.1〜20質量部、80℃未満で硬化反応を開始する有機過酸化物(D)を0.5〜4質量部含有する不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  2. 更に重合禁止剤、安定剤又は充填材のいずれか1以上を含有する請求項1に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物を、処理前の回転子の少なくとも整流子下部の渡り線部に、被覆し、硬化することを特徴とする回転子の製造方法。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物により、電気機器を被覆し、硬化することを特徴とする電気機器絶縁物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN121378602A (zh) * 2025-12-23 2026-01-23 湖北旺林新材料科技有限公司 一种采光瓦用不饱和聚酯树脂及其制备方法

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