JP2017122268A - 異種金属の複合材からなる電解槽上導電体及びその製造方法 - Google Patents

異種金属の複合材からなる電解槽上導電体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐腐食性及び機械的強度に優れ、アノード群又はカソード群等との電気的接続部での電気抵抗を小さく維持可能な安価な電解槽上導電体を提供する。
【解決手段】 各電解槽の対向する両壁部のうちの一方の上端面において端から端まで延在する第1の金属からなる長尺の基部31と、例えばアノード群やカソード群との接続端子として該基部31の上面に設けられた第2の金属からなる板状の電気的接続部32とから構成され、該電気的接続部32は該第1又は該第2の金属からなる板状介在部33を介して該基部31に結合されており、該介在部33が異種金属と結合する界面は全面に亘って接合されており、同種金属と結合する界面は少なくとも周縁部が溶接されている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、銅やニッケル等の非鉄金属の電解精錬で使用される電解槽上導電体に関する。
銅やニッケル等の非鉄金属の精錬方法として、非鉄電解精錬法が広く知られている。非鉄電解精錬法は、電解液に浸漬させたアノード(陽極板)とカソード(陰極板)との間に通電して電解液に溶解している銅(Cu)やニッケル(Ni)などの製錬対象金属(以降、目的金属と称する)をカソード表面上に電着させ、これにより高純度の目的金属を得るものである。非鉄電解精錬法は、電解液中の目的金属をアノードから供給する電解精製法と、電解液に目的金属を別途溶解させる電解採取法とに分類することができ、前者はアノードに精製前の目的金属からなる目的金属アノードを用い、後者はアノードに不溶性電極からなる不溶性アノードを用いる。
また、電着を終えた目的金属をカソードから剥ぎ取るパーマネントカソード法と、電着したカソードのまま製品とする種板電解法とがあり、前者は電着前のカソードにチタンやステンレス等のいわゆる母板を使用し、後者はパーマネントカソード法などで剥ぎ取った目的金属を矩形板状に加工したいわゆる種板を使用する。カソードに種板を使用する場合は、別の種板を裁断して得た吊手(リボンとも称する)を種板としてのカソードの上部にループ状に取り付け、電解槽の対向する両側壁上部に架け渡されたカソードビームに該吊手を通して吊り下げることで該矩形板状部分の下側大部分を電解槽内の電解液に浸漬させる。一方、カソードに母板を使用する場合やアノードの場合は、矩形板状の上側の両隅部にそれぞれ水平方向に支持部(耳部とも称する)が突出した形状であり、その支持部を電解槽の対向する両側壁上部で支持することで該矩形板状部分の下側大部分を電解槽内の電解液に浸漬させる。
ところで、一度に数多くのアノード及びカソードに通電して効率よく電解精錬を行うため、一列に並べた複数の電解槽の各々に上記したような複数の不溶性アノード又は目的金属アノードと、複数の母板又は種板とを交互に且つ互いに平行となるように配置して同時に通電することが行われている。例えば、銅精錬では、一列に並べた複数の電解槽の各々に、並列接続された30枚のアノードと、並列接続された29枚のカソードとを交互に且つ互いに平行に浸漬させ、更に隣接する2つの電解槽間においてこれら複数のアノードと複数のカソードとを直列に接続している。
上記した複数のカソード及び複数のアノードの電気的接続を実現するため、ブスバーとも称される電解槽上導電体が用いられている。電解槽上導電体は、一般に電解槽を構成する壁部のうち互いに隣接する電解槽の間に位置する隔壁若しくは仕切り板の上端面に載置されており、電解槽に沿ってその一端部から他端部にまで延在するように長尺の導電性部材で形成される。これにより、例えば特許文献1に示すように、その一方の側部に当該一方の側部側に位置する電解槽内に装入されている複数の第1電極板の支持部(例えばカソードのカソードビーム)を電気的に接続させると共に、もう一方の側部に当該もう一方の側部側に位置する電解槽内に装入されている、該複数の第1電極板とは反対極の複数の第2電極板の支持部(例えばアノードの支持部)を電気的に接続させることができる。
かかる構成により、多数のカソード及び多数のアノードに対して一度に効率よく通電を行うことが可能になる。この通電により複数のカソードの表面上に所定の厚さまで目的金属を電着させた後、電解槽内の電解液からカソードを引き上げて電着した目的金属を回収し、再度電着前のカソードを電解槽に浸漬させて通電することが繰り返される。例えば電気ニッケルを種板電解法で作製する場合は、電解液に浸漬されたアノードと種板のカソードとの間に通電して電解精錬を行った後、電着されたカソードを電解液から引き上げ、カソードビームを抜き取って吊手の付いたまま製品として出荷し、新たな種板のカソードをカソードビームに吊り下げて電解液内に浸漬させ、電解液を介して該カソードとアノードとの間で通電する工程が繰り返される。
なお、電解槽内からカソードを引き上げる際は、少なくともその電解槽を迂回してそれ以外の電解槽での通電を継続するのが望ましいため、特許文献2に示すような、離れた2つの電解槽上導電体を短絡用の導体(以下、短絡器とも称する)を用いて電気的に接続する方法が用いられている。
ところで、上記したような電解槽上導電体によって行われる電気的接続では、電解槽上導電体とアノードやカソードとの電気的接続部の接続状態が電解精錬の効率に大きく影響する。また、電解槽上導電体自体の電気抵抗も同様に電解精錬の効率に影響する。しかしながら、電解槽では上記したように電解液に対してカソードの引き上げと装入とが繰り返されるので、電解槽の隔壁上端面には電解液が飛び散りやすく、そのため、上記した電解槽上導電体の電気的接続部に電気抵抗の大きな酸化物、硫酸塩、塩化物などの皮膜が形成されて電解精錬の効率が低下することがあった。
更に、上記皮膜の形成される位置や皮膜の厚みは様々であり、皮膜が形成された電気的接続部では電流が減少するのに対して、皮膜が形成されていない電気的接続部では電流が増加し、カソードとアノードとの間に流れる電流にばらつきが生ずることがあった。その結果、局部的な電流集中が起こって電着物が樹枝状の形態になり、短絡が発生して電流効率が著しく低下することがあった。また、電気的接続部で電流が増加することによって、電解槽上導電体が過熱されて変形することがあった。電解槽上導電体が変形すると、その交換作業が必要になって生産効率が低下することになる。このような皮膜形成に起因する問題を防ぐため、特許文献3には電解槽上導電体に電解液等の液体を流す方法が提案されている。
特許第3925983号 特開2000−104193号公報 実開昭60−000369号公報
上記した特許文献3の方法によれば、電解槽上導電体上の皮膜の大きな成長は抑制できるものの、電解液等の液体が電解槽上導電体の表面全体に広がるので、かえって全体的な電気抵抗が増大するおそれがある。また、電気的接続部は一般に電解槽の最も高い位置にあるので、液体を電気的接続部に提供してその部分を適度に湿潤させるのは容易ではなかった。
そこで、酸性溶液を用いた洗浄や研磨により電気的接続部に形成した皮膜を除去することが行われている。しかし、これら除去法は、長期間に亘って効果を持続させるのは困難であるため、例えばカソードを電解液から引き上げる毎に洗浄や研磨を行う必要があった。このような頻繁な洗浄や研磨は生産性の低下につながるうえ、電解槽上導電体の減肉が進みやすくなって電解槽上導電体自体の電気抵抗が増加することがあった。本発明は上記した従来の問題に鑑みてなされたものであり、銅やニッケルの電解精錬において使用する、電気抵抗を長期間に亘って小さく維持でき且つ安価な構造の電解槽上導電体を提供することを目的とする。
本発明者らは、電解槽上導電体において電解液などによる腐食の低減と電気抵抗の低減を企図してアノードやカソードと電気的接続する部分及び短絡器を載せる部分を銅製にすると共に、価格の低減を企図してそれ以外の本体部分をアルミニウム製とすることを試みた。
しかし、銅とアルミニウムは相互溶融性が悪く、また電解槽上導電体は大型で熱容量が大きいため銅とアルミニウムを溶接で良好に接合するのが困難であった。そこで、銅とアルミニウムを直接溶接するのではなく、銅とアルミニウムが予め強固に接合された複合材を用意し、この複合材に対して銅又はアルミニウムからなる部材を同種の金属面同士を対向させて溶接することにより良好に作製できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る電解槽上導電体は、縦横方向にマトリックス状に並べられた電解精錬用の複数の電解槽の各々において交互に且つ互いに平行に配置されたアノード群及びカソード群に通電を行う電解槽上導電体であって、各電解槽の対向する両壁部のうちの一方の上端面において端から端まで延在する第1の金属からなる長尺の基部と、接続端子として該基部の上面に設けられた、該第1の金属とは異なる第2の金属からなる板状の電気的接続部とから構成され、該電気的接続部は該第1又は該第2の金属からなる板状介在部を介して該基部に結合されており、該介在部が異種金属と結合する界面は全面に亘って接合されており、同種金属と結合する界面は少なくとも周縁部が溶接されていることを特徴としている。
また、本発明に係る電解槽上導電体の製造方法は、縦横方向にマトリックス状に並べられた電解精錬用の複数の電解槽の各々において交互に且つ互いに平行に配置されたアノード群及びカソード群に通電を行う電解槽上導電体の製造方法であって、各電解槽の対向する両壁部のうちの一方の上端面においてその端から端まで延在する第1の金属からなる基部としての長尺部材と、該第1の金属とは異なる第2の金属からなる接続端子としての板状部材と、これら長尺部材及び板状部材の間に介在させる介在部材とを用意し、該介在部材が第1の金属の場合はその一方の面を該長尺部材の上面に圧接させてからその他方の面を該板状部材に当接させた状態でその当接面の少なくとも外周部を溶接で接合し、該介在部材が第2の金属の場合はその一方の面を該板状部材の下面に圧接させてからその他方の面を該長尺部材の上面に当接させた状態でその当接面の少なくとも外周部を溶接で接合することを特徴としている。
本発明によれば、電解液等による腐食や外部からの機械的な力に対して耐久性があり、アノード群やカソード群等への電気的接続部での電気抵抗を小さく維持でき、簡易に修理することが可能な電解槽上導電体を安価に提供することができる。
本発明の電解槽上導電体が好適に用いられる複数の電解槽からなる銅電解精錬設備の模式的な平面図である。 本発明の電解槽上導電体の一具体例を示す3面図であり、溶接箇所は点線で、圧接箇所は1点鎖線で示されている。 図2の電解槽上導電体の短絡用接続部に短絡器が接続されている様子を示す斜視図である。 実施例1の電解槽上導電体を構成する各部材を示す斜視図である。 図2の電解槽上導電体を構成する介在部を有する基部の3面図及びその他の部材の斜視図であり、3面図では圧接箇所は1点鎖線で示されている。 実施例2の電解槽上導電体を構成する基部の斜視図である。 図6の基部を用いて作製した電解槽上導電体の3面図であり、溶接箇所は点線で、圧接箇所は1点鎖線で示されている。
以下、本発明の電解槽上導電体の一具体例について図面を参照しながら詳しく説明する。先ず、本発明の電解槽上導電体が好適に用いられる銅電解精錬設備について説明する。
銅電解精錬設備では効率のよい電解精錬のため、例えば複数の電解槽をマトリックス状に並べてそれらの各々において交互に且つ互いに平行に配置されたアノード群及びカソード群に通電することが行われている。例えば図1に示す電解槽の配置例では、紙面横方向に並べられた6個の電解槽V〜Vからなる電解槽の列が紙面縦方向に4列配置された6×4のマトリックス状の構成になっており、各電解槽の横方向の両壁部に電解槽上導電体が配置されている。これら電解槽上導電体のうち、隣接する2つの電解槽の間に位置する壁部の上端面に設けられている電解槽上導電体には、右側から一方の電解槽のアノード群Aが電気的に接続すると共に、左側からもう一方の電解槽のカソード群Cが電気的に接続している。
また、横方向の末端に位置する電解槽(以下、末端電解槽とも称する)V及びVは、横方向では片側の電解槽V又はVにのみ隣接するので、これら電解槽VやVに隣接しない側の壁部(非隣接壁部と称する)上の電解槽上導電体にはアノード群A又はカソード群Cのみが接続している。更に、それら非隣接壁部上の電解槽上導電体のうち、紙面左下及び左上の隅部の電解槽に設けられた電解槽上導電体2は電源Eに接続しており、それら以外は縦方向に隣接する2つずつが一体化して大型の電解槽上導電体3を形成している。これにより、複数の電解槽内のアノード群A及びカソード群Cは、矢印で示す方向に通電可能となるように全体として直列回路を構成している。なお、縦方向とは、アノードやカソードが並ぶ方向であり、アノード又はカソードの表面の法線方向である。
次に上記の大型の電解槽上導電体3の一具体例について図2を参照しながら詳細に説明する。この図2に示す電解槽上導電体3は、前述したように図1の紙面縦方向に隣接する2つの末端電解槽に沿ってこれらの非隣接壁部の上端面で一直線状に延在しており、略四角柱状体を横にした形状の第1の金属からなる基部31と、該基部31の上面部において2つの末端電解槽にそれぞれ対応する位置に設けられた、該第1の金属とは異なる第2の金属からなる2枚の長尺板状の通電用接続部32とから構成され、これら2枚の通電用接続部32は、各々該基部31との間に板状の介在部33が介在している。該基部31の長手方向両端部には、更に2枚の該第2の金属からなる矩形板状の短絡用接続部34がそれぞれ矩形板状の第2介在部35を介して該基部31の上面に設けられている。
これら2枚の通電用接続部32には、一方にアノード群Aが電気的に接続され、他方にカソード群Cが電気的に接続される。また、短絡用接続部34には、必要に応じて図3に示すような短絡器Sが電気的に接続され、これにより他の大型の電解槽上導電体と短絡できるようになっている。なお、短絡用接続部34と短絡器Sとの接触面積は、これら2枚の通電用接続部32のうち短絡器Sに近い方がアノード群A又はカソード群Cと接触する面積よりも大きいことが望ましい。
かかる接触面積を確保できれば、カソード群Cから電解槽上導電体に流れる電流のほとんどを、短絡器を介して他の電解槽上導電体へ送り出したり、他の電解槽上導電体から短絡器を介して受け入れる電流によって代替したりすることが可能になる。例えば、図1に示す上から3列目の末端電解槽Vと4列目の末端電解槽Vの非隣接壁部上の電解槽上導電体の間の点線の位置に短絡器Sを設置することで、2列目の末端電解槽Vのカソード群Cから電解槽上導電体3に流れる電流を3列目及び4列目の電解槽に流すことなく4列目の末端電解槽Vの非隣接壁部上の電解槽上導電体2に送り出すことができる。
上記した通電用接続部32の各々は、一部が基部31の長手方向に延在する側部から水平方向にはみ出た構造になっている。そして、非隣接壁部の上端面に基部31だけが収まる大きさの段差部又は溝部を設けることで、上記のはみ出た部分の下面をほぼ全面に亘って該非隣接壁部の上端面に当接させることができる。これにより、アノード群Aやカソード群Cの荷重が通電用接続部32のみを介して隔壁の上端面にかかるので、これら通電用接続部32にねじれなどの不均一な力が加わるのを抑えることができる。なお、上記のはみ出した部分のみを壁部上端面に載置し、基部31は壁部の側方で別途支持するようにしてもよい。この場合は、基部31の大きさを壁部の巾等に制限されることなく自由に定めることができる。
基部31の材質である第1の金属は純アルミニウム、アルミニウム合金などからなり、通電用接続部32及び短絡用接続部34の材質である第2の金属は、第1の金属とは異種金属の純銅、リン青銅、銅合金などからなる。このようにアノード群Aやカソード群Cとの接続端子の役割を担う通電用接続部32及び短絡器との接続端子の役割を担う短絡用接続部34を銅材で形成することにより、これら接続部の電気抵抗を小さく維持することができる。またこれら銅材からなる接続部はアルミニウム製の基部を介して互いに電気的に接続されるので、電解槽上導電体全体として軽量で且つ高剛性にできる。
これにより、通電用接続部32の上面にクレーンによって多数のアノード群Aやカソード群Cを乗せたり該上面からこれらを取り上げたりする操作の繰り返しや、短絡用接続部34に短絡器Sをクランプ等で固定したり取り外したりする操作の繰り返しを行っても、ねじれや反りなどの生じにくい機械的な耐久性に優れた電解槽上導電体にすることができる。また、電解槽上導電体のうちアノード群Aやカソード群Cに最も近い側となる電解槽に対向する縁部は比較的酸化されにくい銅製の通電用接続部32が覆うことになるので、電解液が飛散しても腐食しにくい化学的耐久性に優れた電解槽上導電体にすることができる。
ところで、前述したように銅とアルミニウムとは相互溶融性が悪いので、電解槽上導電体3のように熱容量が大きいと、銅材からなる通電用接続部32や短絡用接続部34をアルミニウム材からなる基部31に溶接するのは難しい。そこで、上記の通電用接続部32や短絡用接続部34となる銅又はその合金の板材の下面にこれとほぼ同等の平面形状を有するアルミニウム又はその合金の板材を全面に亘って圧接させて板状の異種金属複合材を作製し、この異種金属複合材のアルミニウム側の面を上記の基部31となるアルミニウム母材に対して溶接することで電解槽上導電体3を簡易に作製することができる。
あるいは、上記の基部31となるアルミニウム又はその合金からなる四角柱状体を用意し、これを横にしてその上面の一部に上記した通電用接続部32や短絡用接続部34とほぼ同等の平面形状を有する銅又はその合金の板材を圧接させて異種金属複合材からなる基部を作製し、この異種金属複合材の銅側の面に上記の通電用接続部32や短絡用接続部34となる銅製の板状部材を溶接することで電解槽上導電体3を作製してもよい。
上記のいずれの作製方法においても、溶接はアルミニウム同士又は銅同士の界面で行われるため、一般的な溶接法である例えばガスバーナとロウ材によるロウ接やアーク溶接、TIG溶接などの融接が使用できる。このような同種の金属同士の溶接であれば、銅とアルミニウムの溶接よりも溶接作業が容易であり、時間的、作業空間的、熱的な制約から解放され、また、修理も容易になる。更に同種の金属同士が溶接により強固に結合されるので、機械的衝撃が加わったり高温環境にさらされたりする条件や、大電流が流れる運転条件であっても溶接部が剥離しにくく、耐久性に優れている。
なお、上記の同種金属の溶接部分は、アルミニウム面同士の溶接であれば溶融後に凝固することで近傍のアルミニウム材と連続性をもつ一体化した1つの部材となり、銅面同士の溶接であれば溶融後凝固することで近傍の銅材と連続性をもつ一体化した1つの部材となる。このように溶接部分はその近傍とほぼ同種類の材質となるが、作業時間の短縮、熱エネルギーの節約、接合の確実性のために溶接の際に融剤を使用して該溶接部分の融点を下げる場合がある。
このように融剤を使用して溶接すると、溶接後の溶接部分は該溶接部分を挟んだ両側に比べて低融点になる。この低融点の溶接は溶接痕となって例えば層状に残存するが、この層状部分は電気的導通に問題ない程度に中空部が存在していてもよい。また、溶接では対向する同種金属同士の界面を全面に亘って溶接せずに、例えば中央部は当接状態のまま維持してその周囲のみを溶接してもよい。
一方、銅とアルミニウムからなる異種金属複合材は、圧延接着法によるクラッド接合材か、爆着法による爆発圧着材を用いて作製するのが好ましい。これらの製法で得た異種金属複合材は、一般的な溶接よりも強固な異種金属間結合が得られるという利点がある。よって、このような異種金属複合材を用いて製作した電解槽上導電体は、上記した機械的衝撃や大電流や高温環境の条件下においても、銅とアルミニウムの接合部分が剥離しにくく、耐久性に優れる。
なお、電解槽上導電体を使用しているうちに異種金属接合材が腐食や磨耗により減肉することがある。この減肉した異種金属接合材を交換する際は、上記したロウ接の場合は低融点層を加熱して融解させることにより、電解槽上導電体を傷めることなく、古い異種金属接合材を容易に取り外すことができる。
(実施例1)
図2に示すような電解槽上導電体を作製して銅電解精錬設備に用い性能を調べた。具体的には、先ずアルミニウム製の四角柱状体を用意し、これを横転させた時の上面に全面に亘って銅製の板状部材を爆着により接合した。このようにして、図4(a)に示すような異種金属接合体10を2個作製した。また、図4(b)に示すような、上記異種金属接合体10の長手方向に垂直な矩形断面形状と同じ矩形断面形状を有する2個のアルミニウム製の第1直方体ブロック11と、同様に異種金属接合体10と同じ矩形断面形状を有し且つ第1直方体ブロック11よりも長さの短い1個のアルミニウム製の第2直方体ブロック12とを作製した。
そして、これら2個の異種金属接合体10で第2直方体ブロック12を挟み、更にその外側に2個の第1直方体ブロック11で挟むように並べてそれらの対向面同士を溶接して一体化させた。これにより、図5(a)に示すような上部に銅からなる板状の介在部33が嵌め込まれたアルミニウム製の基部31を作製した。更に、図5(b)に示すような2枚の銅製の板状の通電用接続部32を用意すると共に、爆着により図5(c)に示すような銅製の短絡用接続部34とアルミニウム製の第2介在部35からなる2枚の板状の異種金属接合材を作製した。
そして、介在部33が嵌め込まれたアルミニウム製の基部31に対して、通電用接続部32及び板状の異種金属接合材をそれぞれ銅同士及びアルミニウム同士を対向させて周縁部を全周に亘って溶接し、図2に示すような電解槽上導電体3を作製した。なお、上記の溶接においては、アルミニウム同士の溶接にはAl−Siロウを使用し、銅同士の溶接にはリン銅ロウを使用した。
このようにして作製した電解槽上導電体3を、マトリックス状の複数の銅電解槽のうち、隣接する2つの末端電解槽の側壁上端面に載置し、その2つの通電用接続部32にそれぞれアノード群及びカソード群の支持部を載せて通電を開始した。アノード群を10回、カソード群を20回交換する間、数時間ずつ停電したほかは、数ヶ月にわたり通電を継続した。その結果、溶接部や銅とアルミニウムの接合部に剥離や割れがみられなかった。また、電解槽への通電時と短絡時の導電体の温度を測定したところ、どちらも100℃未満であった。このことから、導電体は機械的衝撃や大電流や高温環境に対して耐久性があることが分かった。
(実施例2)
図5(a)に示す上部に銅製の板状介在部を備えた基部に代えて図6に示すアルミニウムからなる四角柱状体131を用意し、これを横にした時の上面に銅製の板状の通電用接続部32を銀ロウを用いて直接溶接した以外は上記実施例1と同様にして図7に示すように2つの通電用接続部32と第2介在部35を介して結合された2つの短絡用接続部34とを上面に備えた電解槽上導電体103を製造した。この電解槽上導電体103を、実施例1と同様に2つの末端電解槽の側壁上端面に載置して通電を開始した。
その結果、実施例1と同様に数か月にわたり通電を継続しても、溶接部や銅とアルミニウムの接合部に全体が外れるようなトラブルは生じなかった。また、電解槽へ通電時と短絡時の温度を測定したところ、どちらも120℃未満であった。
(比較例)
通電用接続部及び短絡用接続部用として爆着板のかわりに銅板を用い、この銅板とアルミニウム製の基部とを当接させ、この当接面の周囲を全周に亘って銀ロウを用いて溶接し、更にアルミニウム溶接によって全周に亘って肉盛りした以外は実施例1と同様にして電解槽上導電体を製造した。なお、溶接の際は銅とアルミニウムの熱膨張に注意を払いながら時間をかけて溶接した。このようにして得た電解槽上導電体に対して実施例1と同様にして通電を開始した。
その結果、通電開始から数か月後に銅とアルミニウムの溶接部にクラックが生じた。また、通電時と短絡時の温度を測定したところ、どちらも120℃を超えていた。更に、通電開始から1年後、短絡時において銅材部に赤熱がみられた。銅とアルミニウムの溶接部に熔損が生じており、短絡を中止して点検したところ、銅板の脱落が確認された。
〜V 電解槽
A アノード群
C カソード群
E 電源
S 短絡器
1、2、3、103 電解槽上導電体
31、131 基部
32 通電用接続部
33 介在部
34 短絡用接続部
35 第2介在部


Claims (10)

  1. 縦横方向にマトリックス状に並べられた電解精錬用の複数の電解槽の各々において交互に且つ互いに平行に配置されたアノード群及びカソード群に通電を行う電解槽上導電体であって、
    各電解槽の対向する両壁部のうちの一方の上端面において端から端まで延在する第1の金属からなる長尺の基部と、接続端子として該基部の上面に設けられた、該第1の金属とは異なる第2の金属からなる板状の電気的接続部とから構成され、
    該電気的接続部は該第1又は該第2の金属からなる板状介在部を介して該基部に結合されており、該介在部が異種金属と結合する界面は全面に亘って接合されており、同種金属と結合する界面は少なくとも周縁部が溶接されていることを特徴とする電解槽上導電体。
  2. 前記電気的接続部が、前記アノード群又は前記カソード群の支持部に当接して電気的接続を行うべく前記基部の長手方向に延在する側部に沿って設けられた通電用接続部か、若しくは他の電解槽上導電体に短絡器を介して電気的に接続すべく前記基部の長手方向の両端部に設けられた短絡用接続部か、又はこれら両方であることを特徴とする、請求項1に記載の電解槽上導電体。
  3. 前記壁部のうち片側にのみ電解槽が存在する非隣接壁部の上端面に設けられている電解槽上導電体の前記基部は、その片側の側部にのみ前記アノード群又は前記カソード群の支持部に当接して電気的接続を行う電気的接続部が設けられており、前記マトリックス状に並べられた複数の電解槽のうち電源に接続される両隅部の電解槽を除いて縦方向に隣接する2つの電解槽の両電解槽上導電体同士は、前記基部が一体化していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電解槽上導電体。
  4. 前記壁部のうち幅方向の両側に電解槽が存在する壁部の上端面に設けられている電解槽上導電体の前記基部は、その両側部に前記アノード群及び前記カソード群の支持部にそれぞれ当接して電気的接続を行う電気的接続部が設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電解槽上導電体。
  5. 前記第1の金属がアルミニウム又はその合金であり、前記第2の金属が銅又はその合金であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電解槽上導電体。
  6. 前記通電用接続部は前記基部の側部から水平方向にはみ出しており、そのはみ出た部分の下面は前記壁部の上端面に当接していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電解槽上導電体。
  7. 前記通電用接続部のアノード群の支持部との当接面積及びカソード群の支持部との当接面積のうちの短絡器に近い方よりも、前記短絡用接続部における前記短絡器との当接面積が大きいことを特徴とする、請求項2〜6記載のいずれか1項に記載の電解槽上導電体。
  8. 縦横方向にマトリックス状に並べられた電解精錬用の複数の電解槽の各々において交互に且つ互いに平行に配置されたアノード群及びカソード群に通電を行う電解槽上導電体の製造方法であって、
    各電解槽の対向する両壁部のうちの一方の上端面においてその端から端まで延在する第1の金属からなる基部としての長尺部材と、該第1の金属とは異なる第2の金属からなる接続端子としての板状部材と、これら長尺部材及び板状部材の間に介在させる介在部材とを用意し、該介在部材が第2の金属の場合はその一方の面を該長尺部材の上面に圧接させてからその他方の面を該板状部材に当接させた状態でその当接面の少なくとも外周部を溶接で接合し、該介在部材が第1の金属の場合はその一方の面を該板状部材の下面に圧接させてからその他方の面を該長尺部材の上面に当接させた状態でその当接面の少なくとも外周部を溶接で接合することを特徴とする電解槽上導電体の製造方法。
  9. 前記第1の金属がアルミニウム又はその合金であり、前記第2の金属が銅又はその合金であることを特徴とする、請求項8に記載の電解槽上導電体の製造方法。
  10. 前記圧接が、クラッド接合材を得るための圧延接着法又は爆発圧着材を得るための爆着法であることを特徴とする、請求項9に記載の電解槽上導電体の製造方法。


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