JP2017132015A - 打撃工具 - Google Patents
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Abstract
【課題】打撃工具の重量、寸法、または製造コストを抑える。【解決手段】回転駆動力を発生する駆動部(4)と、該回転駆動力によって回転軸を中心に駆動される打撃部(62)と、該打撃部に打撃され、該回転駆動力を打撃力に変換する被打撃部(63)と、該打撃力によって駆動され、先端工具を着脱可能な先端工具保持部(7)と、減衰手段(8)と、を備える打撃工具であって、該打撃部と該被打撃部とは該回転軸の径方向で相対変位可能となるよう保持され、該減衰手段は該相対変位に応じて減衰性能を発揮する打撃工具を提供する。【選択図】図3
Description
本発明は打撃工具に関し、特にネジなどの回転部材に対して打撃力を与える打撃工具に関する。
従来技術として、内部にオイル等の液体を密封した液密室を設け、液密室の中で打撃部を被打撃部に打撃させることによって回転打撃力を出力するオイルパルス工具が知られている(特許文献1)。
このような工具においては、液密室内に打撃部と被打撃部とを配置する複雑な構造を採用する上、液漏れを防ぐために液密室を強固な構造とし、貫通孔の周囲等にシール部材を設けるなどの設計が必要であった。そのため、工具の重量や寸法、製造コストがかさむという課題があった。また、オイルパルスのようにオイルの圧力変化によって打撃する場合には、オイルの劣化等により正常に打撃されない虞があるという課題があった。
そこで本発明は、重量、寸法、または製造コストを抑えた打撃工具を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る打撃工具は、回転駆動力を発生する駆動部と、該回転駆動力によって回転軸を中心に駆動される打撃部と、該打撃部に打撃され、該回転駆動力を打撃力に変換する被打撃部と、該打撃力によって駆動され、先端工具を着脱可能な先端工具保持部と、減衰手段と、を備える打撃工具であって、該打撃部と該被打撃部とは該回転軸の径方向で相対変位可能となるよう保持され、該減衰手段は該相対変位に応じて減衰性能を発揮することを特徴とする。
上記構成の打撃工具は、簡易な構造を有する軽量な打撃工具とし、製造コストを抑えることが可能である。また上記構成の打撃工具は、減衰手段が打撃部と被打撃部との相対変位に応じて減衰力を発揮するため、打撃時の衝撃や振動を吸収し、または減衰させる機能を有する。そのため、打撃部と被打撃部との急激な相対変位が防止される。したがって、効率よく駆動力または打撃力の伝達が行われる。
該減衰手段は粘弾性体を有し、該粘弾性体は該相対変位に応じて変形可能に保持されることが好ましい。
上記構成の打撃工具は、オイル等の液体ではなく粘弾性体を用いるため、液密室等を設ける必要や液漏れ防止を考慮した設計を行う必要がない。そのため、簡易な構造を有する軽量な打撃工具とし、製造コストを抑えることが可能である。また上記構成の打撃工具は、粘弾性体が打撃部と被打撃部との相対変位に応じて変形するため、打撃時の衝撃や振動を吸収し、または減衰させる機能を有する。そのため、打撃部と被打撃部との急激な相対変位が防止される。したがって、効率よく駆動力または打撃力の伝達が行われる。
該粘弾性体は、該変形時において転動するように保持されることが好ましい。
上記構成によれば、粘弾性体と打撃部または被打撃部との接触面積を増やして圧縮抵抗を増加させることができるため、打撃部と被打撃部との急激な相対変位が防止される。したがって、効率よく駆動力または打撃力の伝達が行われる。
または、該粘弾性体は、該変形時において該相対変位の方向と交差する方向に圧縮されることが好ましい。
上記構成によれば、粘弾性体をせん断変形させる場合や変位方向に引張または圧縮変形させる場合に比較し、粘弾性体のひずみを小さく抑制することが可能である。そのため、変位量に対して比較的小さな粘弾性体を用いた場合であっても、粘弾性体のひずみを所定の範囲に抑え、粘弾性体の破損または破断を防止することが可能である。
該被打撃部は、該回転軸に対して径方向に変位可能であることが好ましい。
上記構成によれば、被打撃部が回転軸に対して径方向に変位することにより、打撃が生じた後の打撃部の駆動を継続させることが可能である。このような構成とすることで、先端工具への打撃力の伝達を間欠的にかつ継続して発生させることができる。
該被打撃部は、該回転軸の径方向に延びる一対の保持部を有し、該粘弾性体は、該一対の保持部の間に挟持されることが好ましい。
上記構成によれば、簡易な構成によって粘弾性体を挟持し、相対変位に応じて粘弾性体を変形させることができる。このため、構成を簡素化し、軽量で製造コストを抑えた打撃工具とすることが可能である。
該一対の保持部は、それぞれ該相対変位の方向と交差する方向に延出する爪部を形成することが好ましい。
上記構成によれば、保持部が粘弾性体を爪部に掛けながら変形させるため、再現性よく粘弾性体の変形と復元とを繰り返すことができる。爪部は、相対変位の方向と交差する方向に延出するため、容易に粘弾性体を保持しまたは引掛け、変形させることができる。
該一対の保持部の少なくとも1つを、該回転軸の径方向に付勢する弾性部材をさらに備えることが好ましい。
上記構成によれば、保持部が弾性部材によって回転軸の径方向に付勢されるため、打撃発生時に変形した粘弾性体の変形を、迅速に復元することが可能となる。
本発明の打撃工具によれば、重量、寸法、または製造コストを抑えた打撃工具を提供することができる。
本発明の打撃工具をパルスドライバに適用した実施の形態について、図1乃至図5に基づき説明する。
以下の説明において、具体的な数値に言及した場合、例えば、回転角度について「45°」等のように言及した場合、当該数値と完全に一致する場合だけでなく、当該数値と略同一である場合も含むものとする。また、位置関係等に言及した場合、例えば、平行、直交、反対、対称等のように言及した場合、完全に平行、直交、反対等である場合だけでなく、略平行、略直交、略反対、略対称等である場合を含むものとする。
パルスドライバ1は、図1に示すように、ハウジング2とハウジング2の下方に着脱可能な電池パック9とを備える。また、ハウジング2内には、モータ4と、減速機構5と、打撃機構6と、図示せぬ先端工具を装着可能な先端工具保持部7とが収容される。
ハウジング2は樹脂製であって、パルスドライバ1の外郭をなしており、筒状のモータハウジング21と、モータハウジング21から下方に延出されるハンドルハウジング22とから主に構成されている。以下の説明においては、先端工具側を前側、モータ4側を後側と定義する。また、モータハウジング21に対してハンドルハウジング22が延出している方向を下方と定義し、逆を上方と定義する。また、図1における手前側を右方と定義し、奥側を左方と定義する。
モータハウジング21の前側内部には打撃機構6が収容される金属製のハンマケース23が配置されている。ハンマケース23は、前方に向かうに従って徐々に径が細くなる略漏斗形状をなしており、前端部分には開口が形成されている。モータハウジング21の下部には、先端工具保持部7の回転方向を変更するためのボタン32が備わる。
ハンドルハウジング22は、モータハウジング21の下部から下方に延出した形状を有する。ハンドルハウジング22の下部には、モータ4に電力を供給する電池パック9が着脱可能である。ハンドルハウジング22の前部かつ上部には、後述する制御回路10と電気的に接続され、モータ4の駆動を制御するトリガ31が備わる。
モータ4は、図1及び図2に示すように、モータハウジング21の後部に配置される。モータ4は、駆動源となるブラシレスDCモータであって、複数の永久磁石を備えるロータと、当該ロータと対向する位置に配置され複数のコイルを備えるステータとを含んで構成される(不図示)。また、モータ4は、前後方向に延び、軸受を介してモータハウジング21に回転可能に支承される出力軸である出力軸41と、出力軸41に固定される冷却ファン42と、を有する。モータ4の後方には、モータ4の回転駆動を制御するための制御回路10が設けられる。モータ4は、本発明における駆動部に相当する。
制御回路10は、モータ4の後方に配置され、モータ4のステータコイルに駆動電流を通電するための周知のブリッジ回路からなるインバータ回路である。制御回路10には、FET等のスイッチング素子(不図示)が設けられる。
冷却ファン42は遠心ファンであり、出力軸41と同軸的に出力軸41の前部に固定される。冷却ファン42はその回転によりモータハウジング21内に冷却風を生成してモータ4や制御回路10を冷却する機能を有する。
減速機構5は、図1及び図2に示すように、モータ4の前方に配置される。減速機構5は、出力軸41と一体回転するサンギヤ51と、サンギヤ51に噛合する遊星ギヤ52と、遊星ギヤ52と噛合するリングギヤ53とで構成される。遊星ギヤ52は、軸部52Aを備える。遊星ギヤ52は、サンギヤ51の回転により、サンギヤ51の回りをサンギヤ51よりも遅い速度で周回するように構成される。軸部52Aは、前後方向に延びる軸であり、遊星ギヤ52を前後方向に貫通している。軸部52Aの前端部は打撃機構6と接続されており、遊星ギヤ52の周回運動による駆動力を打撃機構6に伝達する機能を有する。
打撃機構6は、図1及び図2に示すように、前後方向において減速機構5と先端工具保持部7との間に介在する。打撃機構6は、減速機構5から受け取った駆動力を打撃力に変換するとともに、打撃力または駆動力を先端工具保持部7へ伝達する機能を有する。打撃機構6は、図3に示すようにライナ61と、2つの隆起部62と、2つの突出部63と、バネ64と、軸受65とを備える。
ライナ61は、減速機構5の前方に配置される。ライナ61は、後面が後壁によって閉じ、前面が開放された略円筒形状を形成する。円筒形の軸心は、前後方向に延び、さらに出力軸41及びサンギヤ51の軸心の延長上に配置される。ライナ61の前部内周は、軸受65を介して、先端工具保持部7に回転可能に支承される。ライナ61の後部を形成する後壁は、前後左右方向に延びる部材であり、後端部において2つの軸部52Aを支承する。そのためライナ61は、モータ4から減速機構5を介して駆動力を受取り、回転軸61cを中心として回転することが可能である。回転軸61cと円筒形の軸心とは、略一致する。
ライナ61の内周面には、2つの隆起部62が固定(一体形成)される。2つの隆起部62は、図3及び図5に示すように、ライナ61の周方向において互いに180度隔てて配置される。隆起部62はそれぞれ、図5に示すように、ライナ61の内周面から内方に向かって突出し、さらに前後方向に延びるように形成される。隆起部62の内周面は、曲面を形成し、ライナ61の内周面と略等しい曲率を有する。隆起部62は、本発明における打撃部に相当する。
突出部63は、図3に示すように、先端工具保持部7に保持される。詳細には、突出部63は、ライナ61の回転軸61cを中心として2つ対向して保持される。それぞれの突出部63は、前面視略六角形状の本体部63Aと、本体部63Aから回転軸61cの径方向内方に向かって延出する保持部63Bとを有する。突出部63は、本発明における被打撃部に相当する。
本体部63Aは、前面視略六角形状であって、前後方向に延びた立体形状を形成する。本体部63Aには、保持部63Bとの接続部分の前方と後方との2箇所において、バネ64が挿入される孔部63dが形成される。本体部63Aは、ライナ61及び隆起部62の内周面に対し、摺動可能に接触する。具体的には、本体部63Aの回転軸61cの径方向における外端面は、ライナ61内周面とほぼ等しい曲率を有する曲面を形成し、ライナ61及び隆起部62の内周面に摺動可能に接触する。
保持部63Bは、基部が本体部63Aに固定され、前面視において先端部が回転軸に向かって突出するように形成される(図5)。基部と先端部との中間を中間部と規定した場合、保持部63Bは、前面視で基部から中間部にかけて緩やかに肉薄となるように形成される。また、図3及び図5に示すように、保持部63Bは、中間部から先端部にかけて、次第に肉厚となるように形成され、爪部63Cを形成する。詳細には、保持部63Bはそれぞれ、前面視でくの字に折れ曲った形状を形成する側面を有し、これらの側面は回転軸61cに対して対称に、互いに対向して配置される。爪部63Cは、保持部63Bの突出方向とは交差する方向に延出し、前面視で側面を突出させるように形成される。(図3、図5)。
突出部63が先端工具保持部7に保持された状態において、2つの保持部63Bは、図5に示すように、回転軸61cに対して対称な位置に配置される。したがって、2つの爪部63Cについても、回転軸61cに対して対称に、互いに対向して配置される。2つの保持部63Bは、図3に示すように、対になって粘弾性体8(減衰手段の一例)を挟持する。詳細には、非打撃時における2つの保持部63Bは、側面視で肉薄となる部分(中間部、又は中間部及び爪部63C)によって、粘弾性体8を挟持する。
粘弾性体8は、無負荷状態において略円柱形状を形成し、円柱の軸心が回転軸61cと前面視で略一致するように配置される。
粘弾性体8の材料としては、粘性と弾性とを具備する材料が挙げられる。例えば、粘性または減衰性能を有するゴム、熱可塑性のエラストマ又は軟質合成樹脂などの材料などが考えられる。具体的には、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、オレフィン系又はスチレン系のエラストマ、エステル系エラストマ、アミド系エラストマ、ウレタン系エラストマ、シリコン系樹脂または高分子材料、アクリル系樹脂または高分子材料などが例示されるが、これに限定されない。なお、粘弾性体8は、突出部63が回転軸61cの径方向内側へ移動することを妨げるように、少なくとも粘性が高い材料であればよい。
バネ64は、つるまきバネであり、本体部63Aの前部と後部とに形成された2つの孔部63dに1つずつ挿入される。バネ64は、2つの本体部63Aによって、回転軸61cの径方向に挟持される。バネ64は、2つの本体部63Aを、それぞれ回転軸61cの径方向外方に向けて付勢する。換言すれば、バネ64は、本体部63Aを介して、保持部63Bを回転軸61cの径方向外方に向けて付勢する。バネ64は、本発明における弾性部材に相当する。なお、粘弾性体8はバネ64よりも粘性が高い材料からなる。
先端工具保持部7は、収容部71と先端工具を着脱可能な装着部72とを主に備える。先端工具保持部7は、打撃機構6より駆動力または打撃力を受取り、図示せぬ先端工具に伝達する機能を有する。
収容部71は、先端工具保持部7の後部を構成する部材であり、前後方向に延出する2枚の平行な板状部材によって構成される。収容部71は、ライナ61の内部において、内周面に接触しないように配置される。収容部71は、上記2枚の板状部材の間に、突出部63と、バネ64と、粘弾性体8とを収容し、保持する。特に、突出部63は、回転軸61cの径方向に移動可能に収容、保持される。
装着部72は、収容部71の前方に配置され、前方に延出する略円筒形状を形成する。装着部72は、軸受65を介してハンマケース23に支持される。装着部72の中心軸は、前方視において回転軸61cと略一致する。装着部72の前部は、前端部から後方に延びる孔が形成され、先端工具(不図示)が着脱可能に装着される。
以下に、本実施の形態におけるパルスドライバ1の動作について、主に図4及び図5を参照して説明する。
ユーザがトリガ31を押込むと、制御回路10及びモータ4が起動し、出力軸41が回転駆動される。出力軸41は、サンギヤ51を回転駆動する。サンギヤ51の回転により、遊星ギヤ52はサンギヤ51の周りを回転しながら周回し、これに伴い、軸部52Aもサンギヤ51の周りを周回する。
軸部52Aの前端部を支承するライナ61は、軸部52Aの周回によって、回転軸61cを中心に回転駆動される。このとき、ライナ61に固定(一体形成)される2つの隆起部62は、図4及び図5に示すように、回転軸61cの回りを周回する。
隆起部62が、先端工具保持部71が停止した状態(図4(a)及び図5(a))から周回すると、突出部63の側面に衝突し、突出部63を打撃した状態となる(図4(b)及び図5(b))。これにより、回転駆動力は打撃力へと変換される。打撃された突出部63は、収容部71を介して、装着部72に回転方向の打撃力を伝達する。負荷が小さい場合(例えば、先端工具で締め付けられるネジ等が着座する前)には、隆起部62と突出部63が接触した状態を維持しながら装着部72(先端工具保持部71)を回転させる。一方、負荷が大きくなると(例えば、ネジ等が着座した後)、以下で説明するように、先端工具保持部71は回転せずにライナ61が回転することで、隆起部62が突出部63を打撃する。
さらに隆起部62が周回すると、隆起部62によって打撃された突出部63は、回転軸61cの径方向内方へ変位する(図4(c)及び図5(c))。すなわち、突出部63と隆起部62とは、回転軸61cの径方向において相対変位する。突出部63の変位に伴い、突出部63によって挟持されるバネ64は、付勢力に抗して圧縮される(図4(c))。また、突出部63の変位に応じて、2つの保持部63Bに挟持される粘弾性体8は前面視で転がるように変形されるとともに、2つの保持部63Bの間で圧縮される(図5(c))。換言すれば、突出部63と隆起部62との径方向の相対変位に応じて、粘弾性体8は前面視において転動され、一対の保持部63Bの間で圧縮される。
詳細には、粘弾性体8は、前面視で折曲がり形状を形成する2つの側面との間において挟持され、圧縮される。そのため、粘弾性体8の圧縮は、図5(c)に示すように、突出部63の移動方向(回転軸61cの径方向)と交差する方向(即ち相対変位方向と交差する方向)に行われる。保持部63Bは、基部に向かって肉厚となるように形成されるため、保持部63Bが回転軸61cの径方向内方に移動するに従い、粘弾性体8の変形量は増加する。変形、圧縮された粘弾性体8は、その粘性または減衰性能により、突出部63に与えられた衝撃または振動を吸収し、または減衰させ、熱エネルギーへと変換する。このことにより、粘弾性体8は、突出部63の急激な変位や振動を抑制する。そのため、隆起部62は、突出部63に対する接触を維持しながら、周回を継続することができる。
さらに隆起部62が周回すると、図4(d)及び図5(d)に示すように、突出部63は、バネ64の付勢力に抗して回転軸61cの径方向内方へさらに変位する。隆起部62は、突出部63とライナ61との隙間に潜り込むようにして、突出部63との接触を維持しながら移動する。突出部63は、粘弾性体8の粘性抵抗及び復元力とバネ64の付勢力とによって、回転軸61cの径方向外方に付勢される。そのため、突出部63と隆起部62との間には強い摩擦が発生する。突出部63と隆起部62との間に生じる摩擦によって、周回している隆起部62は、摺動しながら突出部63に対して駆動力を伝達する。
さらに隆起部62が周回すると、隆起部62は、図4(e)及び図5(e)に示すように、突出部63から周回方向に離間した位置に移動する。換言すれば、突出部63は隆起部62を乗り越える。このとき突出部63は、バネ64の付勢力によって、回転軸61cの径方向における外方へ移動しており、ライナ61の内周面に対して接触している。この間、粘弾性体8は、回転軸61cの径方向外方へ移動する保持部63Bによって、後方視時計回りに転動される。さらに粘弾性体8は、自己の復元力に加え、爪部63Cに引掛けられながら変形されることにより、打撃が生じる前の形状へと復元される(図5(e))。
上記のように隆起部62は、ライナ61が180度回転するごとに突出部63への打撃を繰り返し、これにより、先端工具保持部7及び先端工具への打撃力または駆動力の伝達が行われる。粘弾性体8は粘性が高く、減衰性能を有するため、隆起部62と突出部63とが打撃された際に、減衰性能を発揮し、突出部63が回転軸61cの径方向内側に移動することを妨げるように作用する。そのため、隆起部62と突出部63との接触時間を長くすることができる。なお、次の打撃までに突出部63が元の位置に戻れれば良いため弾性は低くてもよい(戻り難くてもよい)。
なお、上記説明では、モータ4が正回転中の打撃を例に説明を行ったが、上記説明は、モータ4が逆回転中の打撃についても適用可能である。モータ4の逆回転中においても、隆起部62は、図4及び図5における反時計回りに周回し、ライナ61が180度回転するごとに打撃を繰り返す。
本実施の形態のパルスドライバ1によれば、オイル等の液体ではなく粘弾性体8を用いるため、液密室等を設ける必要や液漏れ防止の配慮を行う必要がない。そのため、簡易な構造を有する軽量な工具とし、製造コストを抑えることが可能である。また、粘弾性体8が隆起部62と突出部63との相対変位に応じて変形し、打撃時の衝撃や振動を吸収し、または減衰させる機能を有する。そのため、隆起部62と突出部63との急激な相対変位が防止され、隆起部62と突出部63との接触を維持できる。または接触する時間を長く保持することが可能となる。そのため、効率よく駆動力または打撃力の伝達が行われ、作業効率は向上する。
本実施の形態では、粘弾性体8を転動させながら変形させる。また、保持部63Bの変位方向とは異なる方向に圧縮して変形させる。そのため粘弾性体8をせん断変形させる場合や保持部63Bの変位と同方向に引張または圧縮変形させる場合に比較し、粘弾性体8のひずみを小さく抑制することが可能である。そのため、変位量に対して比較的小さな粘弾性体8を用いた場合であっても、粘弾性体8のひずみを所定の範囲に抑え、粘弾性体8の破損または破断を防止することが可能である。
本実施の形態では、突出部63が回転軸61cの径方向に変位することにより、打撃が生じた後の隆起部62の周回駆動を継続させることが可能である。このような構成とすることで、先端工具への打撃力の伝達を間欠的かつ継続して発生させることができる。また、打撃の方向と変位の方向とが略直交するため、駆動時の振動や騒音を抑えることができる。
本実施の形態では、一対の保持部63Bによって、粘弾性体8が挟持される。そのため、簡易な構成によって粘弾性体8が挟持され、隆起部62と突出部63との相対変位に応じて粘弾性体8を変形させることができる。また、保持部63Bが前面視で「く」の字状に折れ曲った側面を有し、これらの側面の間に粘弾性体8によって挟持されるため、粘弾性体8を転がしながら圧縮することが容易である。また、保持部63Bが回転軸61cに対して対称に変位するため、粘弾性体8を、回転軸61cの近傍に常に配置しながら変形させることができる。
本実施の形態では、保持部63Bが粘弾性体8を爪部63Cに引掛けながら変形させるため、素早く粘弾性体8の変形と復元とを繰り返すことができる。爪部63Cは、相対変位の方向と交差する方向に延出するため、容易に粘弾性体8を保持し、変形させることができる。
本実施の形態では、保持部63Bがバネ64によって回転軸61cの径方向外方に付勢されるため、打撃発生時に変形した粘弾性体8を、迅速に復元することが可能となる。このため、ライナ61を高速で回転させた場合であっても、迅速に粘弾性体8は変形と復元とを繰り返すことができる。
突出部63は、粘弾性体8の復元力に加え、バネ64の付勢力によって付勢されるため、突出部63と隆起部62との間には強い摩擦が発生する。突出部63と隆起部62との間に生じる摩擦によって、隆起部62は、打撃直後も突出部63に対する駆動力の伝達を維持することができる。そのため、先端工具に対して効率よく打撃力及び駆動力が伝達され、パルスドライバ1の作業効率を向上させることができる。また突出部63は、バネ64の付勢力を利用し、打撃前の位置に迅速に回帰することができる。そのため、ライナ61が高速に回転駆動した場合においても、打撃を連続させることができる。なお、粘弾性体8を用いずにバネ64のみ(粘性が低い部材)で構成した場合には、隆起部62と突起部63との打撃によって突起部63が急激に変化してしまい、隆起部62と突起部63との接触時間を長く確保することができず、作業効率が低下してしまう。従って、本発明のように、突起部63を付勢するバネ64とは別に、粘性を備える粘弾性体8を用いることにより、上記したように作業効率を向上させることができる。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。本実施の形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせ等にいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本実施の形態において、粘弾性体8は、転がり変形するように保持されていたが、本発明はこの構成に限定されない。粘弾性体8は、せん断変形するように保持されることによって減衰性能を発揮する構成でも良く、相対変位の方向に圧縮変形するように保持されて減衰性能を発揮する構成でも良い。
本実施の形態において、突出部63は、回転軸61cに対して変位可能に保持される構成であったが、本発明はこのような構成に限定されない。例えば、隆起部62をライナ61に対して回転軸61cの径方向に変位可能とし、粘弾性体8が隆起部62とライナ61との間に保持される構成とすることも可能である。また、突出部63または隆起部62は、必ずしも2つ設けられる必要はなく、1つまたは3つ以上の構成とすることも可能である。
本実施の形態においてブラシレスDCモータを用いたが、本発明は、ブラシ付モータでもよく、或いはモータを駆動源とする構成に限定されない。例えば、圧縮空気によって駆動される打撃工具であっても良い。また、電池パックで駆動する構成に限定されず、商用電源(交流電源)やエンジン等によって駆動される打撃工具であっても良い。
本実施の形態において、弾性部材の一例としてバネ64を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。つるまきバネ、板バネ、皿ばね、ねじりコイルバネ、ゴム等、付勢力を生じる部材であればよい。また、バネ64は、突出部63(または保持部63B)を、2つとも付勢する必要はない。例えば、1つのバネ64が、1つの突出部63(または保持部63B)を付勢する構成としても良い。
本実施の形態においては、打撃工具の一例としてパルスドライバ1を用いたが、本発明はこれに限定されない。例えば、パルスレンチ等の工具に対しても、本発明の適用は可能である。
2 ハウジング
4 モータ
5 減速機構
6 打撃機構
61 ライナ
61c 回転軸
62 隆起部
63 突出部
63A 本体部
63B 保持部
63C 爪部
63d 孔部
64 バネ
65 軸受
7 先端工具保持部
8 粘弾性体
9 電池パック
10 制御回路
4 モータ
5 減速機構
6 打撃機構
61 ライナ
61c 回転軸
62 隆起部
63 突出部
63A 本体部
63B 保持部
63C 爪部
63d 孔部
64 バネ
65 軸受
7 先端工具保持部
8 粘弾性体
9 電池パック
10 制御回路
Claims (8)
- 回転駆動力を発生する駆動部と、
該回転駆動力によって回転軸を中心に駆動される打撃部と、
該打撃部に打撃され、該回転駆動力を打撃力に変換する被打撃部と、
該打撃力によって駆動され、先端工具を着脱可能な先端工具保持部と、
減衰手段と、を備える打撃工具であって、
該打撃部と該被打撃部とは該回転軸の径方向で相対変位可能となるよう保持され、該減衰手段は該相対変位に応じて減衰性能を発揮することを特徴とする打撃工具。
- 該減衰手段は粘弾性体を有し、該粘弾性体は該相対変位に応じて変形可能に保持されることを特徴とする請求項1に記載の打撃工具。
- 該粘弾性体は、該変形時において転動するように保持されることを特徴とする請求項2に記載の打撃工具。
- 該粘弾性体は、該変形時において該相対変位の方向と交差する方向に圧縮されることを特徴とする請求項2乃至3のいずれかに記載の打撃工具。
- 該被打撃部は、該回転軸に対して径方向に変位可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の打撃工具。
- 該被打撃部は、該回転軸の径方向に延びる一対の保持部を有し、
該粘弾性体は、該一対の保持部の間に挟持されることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の打撃工具。
- 該一対の保持部は、それぞれ該相対変位の方向と交差する方向に延出する爪部を形成することを特徴とする請求項6に記載の打撃工具。
- 該一対の保持部の少なくとも1つを、該回転軸の径方向に付勢する弾性部材をさらに備えることを特徴とする請求項6または7に記載の打撃工具。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2016015758A JP2017132015A (ja) | 2016-01-29 | 2016-01-29 | 打撃工具 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2016015758A JP2017132015A (ja) | 2016-01-29 | 2016-01-29 | 打撃工具 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2017132015A true JP2017132015A (ja) | 2017-08-03 |
Family
ID=59504028
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2016015758A Pending JP2017132015A (ja) | 2016-01-29 | 2016-01-29 | 打撃工具 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2017132015A (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2023167126A (ja) * | 2022-05-11 | 2023-11-24 | 株式会社マキタ | インパクト工具 |
| JP2023167127A (ja) * | 2022-05-11 | 2023-11-24 | 株式会社マキタ | インパクト工具 |
| JP2023167197A (ja) * | 2022-05-11 | 2023-11-24 | 株式会社マキタ | インパクト工具 |
| JP2023167116A (ja) * | 2022-05-11 | 2023-11-24 | 株式会社マキタ | インパクト工具 |
-
2016
- 2016-01-29 JP JP2016015758A patent/JP2017132015A/ja active Pending
Cited By (8)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2023167126A (ja) * | 2022-05-11 | 2023-11-24 | 株式会社マキタ | インパクト工具 |
| JP2023167127A (ja) * | 2022-05-11 | 2023-11-24 | 株式会社マキタ | インパクト工具 |
| JP2023167197A (ja) * | 2022-05-11 | 2023-11-24 | 株式会社マキタ | インパクト工具 |
| JP2023167116A (ja) * | 2022-05-11 | 2023-11-24 | 株式会社マキタ | インパクト工具 |
| JP7811881B2 (ja) | 2022-05-11 | 2026-02-06 | 株式会社マキタ | インパクト工具 |
| JP7821038B2 (ja) | 2022-05-11 | 2026-02-26 | 株式会社マキタ | インパクト工具 |
| JP7821037B2 (ja) | 2022-05-11 | 2026-02-26 | 株式会社マキタ | インパクト工具 |
| JP7821036B2 (ja) | 2022-05-11 | 2026-02-26 | 株式会社マキタ | インパクト工具 |
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