JP2017135342A - アモルファス磁性コアおよび磁性素子、ならびに磁性コアの製造方法 - Google Patents

アモルファス磁性コアおよび磁性素子、ならびに磁性コアの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】成形性の悪いアモルファス磁性粉末を使用して複雑な形状を有する小型で安価な磁性コアおよびその製造方法、並びにこの磁性コアを用いた磁性素子を提供する。【解決手段】磁性材料の熱硬化成形体からなり、磁性材料が磁性粉末および熱硬化性結着樹脂の混合物であり、磁性粉末が無機絶縁材で被覆されたアモルファス金属粉末であり、熱硬化性結着樹脂が潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂であり、磁性粉末と熱硬化性結着樹脂との合計量に対して、磁性粉末が97質量%以上98質量%以下、熱硬化性結着樹脂が2質量%以上3質量%以下それぞれ含まれており、内部空孔がエポキシ樹脂により満充填されており、圧環強さが70MPa以上である。【選択図】図1

Description

本発明はインダクタ、トランス、アンテナ(バーアンテナ)、チョークコイル、フィルタ、センサ等の電気機器あるいは電子機器に用いられる、アモルファス磁性コアおよび磁性素子、ならびにアモルファス磁性コアの製造方法に関する。特に自動二輪車・四輪車などの輸送機器や産業機器などの振動や衝撃を伴う用途への展開にあたり、材料強度を改善したアモルファス磁性コアおよびその製造方法に関する。
近年、電気・電子機器の小型化、高周波数化、大電流化が進む中で、磁性コアにも同様の対応が求められているが、現在主流のフェライト材料では材料特性そのものが限界にきており、新たな磁性コア材料が模索されている。例えば、フェライト材料は、センダストやアモルファス金属などの圧縮磁性材料やアモルファス箔帯等に置き換えられつつある。しかし、上記圧縮磁性材料は成形性が悪く、焼成後の機械的強度も低い。また、上記アモルファス箔帯は巻線・切断・ギャップ形成から製造コストが高くなる。このため、これら磁性材料の実用化が遅れている。
成形性の悪い磁性粉末を使用してバリエーションのある形状や特性を有する小型で安価な磁性コアの製造方法を提供することを目的として、本出願人は、射出成形に用いる樹脂組成物に含まれる磁性粉末を絶縁材で被覆し、圧粉成形磁性体および圧粉磁石成形体のいずれかを上記樹脂組成物中にインサート成形し、圧粉成形磁性体あるいは圧粉磁石成形体が射出成形温度よりも低い融点を持つ結着剤を含有する、所定の磁気特性を有するコア部品を射出成形により製造する方法について特許を得ている(特許文献1)。
しかし、特許文献1に記載の方法では、射出成形ができるポリフェニレンサルファイド(PPS)などの熱可塑性樹脂に、アモルファス金属などの磁性粉末を適用すると、配合できる磁性粉末は88質量%程度が限界となる。これ以上磁性粉末の配合量を増加すると、クラックが発生するなどコア部品として十分な機械的強度が得られないという問題がある。また、磁性粉末の配合量を増加させることができないので、透磁率を向上させることができない、コア部品の小型化が図れないという問題がある。
アモルファス金属粉末単体および絶縁材で被覆されたアモルファス金属粉末から選ばれた少なくとも1つの磁性粉末と、潜在性硬化剤により硬化されるエポキシ樹脂からなる熱硬化性結着樹脂とを圧縮成形・熱硬化してなる磁性コア部品に関して本出願人は特許出願している(特許文献2)。
しかし、特許文献2に開示されている磁性コア部品は、金型の種類、工数および設備費用が増えたりするという問題がある。また、アモルファス金属粉末表面に形成される絶縁材に関して具体的な開示がない、
特許第4763609号公報 特開2015−185776号公報
フェライトに変わる磁性コアの材料として、アモルファスやセンダストなどの圧縮磁性材料の成形性や材料強度が低下するとの問題を補うために、圧粉成形体に加える圧力を増大することにより圧粉密度をあげて成形性や材料強度面の改善を防止することも考えられるが、さほど改善効果が得られない上に製造コストの上昇を惹起したり、量産性には不向きであったりするという問題がある。
本発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、小型で安価なアモルファス磁性コアおよびその製造方法、並びにこの磁性コアを用いた磁性素子の提供を目的とする。
本発明のアモルファス磁性コアは磁性材料の熱硬化成形体からなる磁性コアであって、磁性材料がアモルファス磁性粉末および熱硬化性結着樹脂の混合物である。この混合物を構成するアモルファス磁性粉末が無機絶縁材で被覆されたアモルファス金属粉末であり、熱硬化性結着樹脂が潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂である。アモルファス磁性コアは上記磁性粉末を最密充填したときの内部空孔が上記熱硬化性結着樹脂により満充填されており、圧環強さが70MPa以上であることを特徴とする。ここで、圧環強さはJIS Z 2507−2000により測定される。
また、アモルファス磁性粉末および熱硬化性結着樹脂からなる混合物の配合割合は、磁性粉末と熱硬化性結着樹脂との合計量に対して、磁性粉末が97質量%以上98質量%以下、熱硬化性結着樹脂が2質量%以上3質量%以下であることを特徴とする。
また、本発明のアモルファス磁性コアの理論密度比が84〜95%であることを特徴とする。アモルファス磁性コアの原料となる磁性粉末は、篩目開き150μmの篩を通過し、同25μmの篩を通過しない粒子であることを特徴とする。
本発明の磁性素子は、上記本発明のアモルファス磁性コアと、このアモルファス磁性コアの周囲に巻回されたコイルとを含み、電子機器回路に組み込まれることを特徴とする。
本発明の上記アモルファス磁性コアの製造方法は、以下の工程を含むことを特徴とする。
(1)上記磁性材料を上記エポキシ樹脂の軟化温度以上、熱硬化開始温度未満の温度で乾式混合する混合工程;
(2)上記混合工程により生成した凝集ケーキを室温で粒子径500μm以下に粉砕する粉砕工程;
(3)上記粉砕された粉末を、金型を用いて室温にて190〜400MPaの圧力で一次圧縮成形体とする一次圧縮成形工程;
(4)上記一次圧縮成形体を上記エポキシ樹脂の軟化温度以上、熱硬化開始温度未満の温度にて190〜400MPaの圧力で二次圧縮成形体とする二次圧縮成形工程;
(5)上記二次圧縮圧縮成形体を空気中170〜190℃にて熱硬化させる硬化工程。
本発明の磁性コアは、無機絶縁材で被覆されたアモルファス金属粉末を熱硬化性結着樹脂により凝集ケーキとし、さらに一次圧縮成形および二次圧縮成形後、熱硬化成形して得られるので、磁性粉末を充填したときの内部空孔が熱硬化性結着樹脂により満充填される。その結果、アモルファス磁性粉末の充填率の低減を抑え磁気特性を損なわず、さらに接着効果の高い熱硬化性結着樹脂により圧環強さが70MPa以上という強固なアモルファス磁性コアが得られた。
本発明の磁性コアの製造方法は、金型を用いて圧縮成形体とする一次および二次圧縮成形工程を備えているので、射出成形に比較して安価である。また、比較的低い成形圧力で成形するので金型耐久寿命を長くできる。
磁性コアの断面組織図である。 磁性コアの製造工程図である。 一次圧縮成形体の断面構造である。 実施例1の表面写真である。 比較例1の表面写真である。
電気・電子機器の小型化、高周波数化、大電流化を図るために、アモルファス金属粉末単体を焼結して磁性コアを製造しようとすると、圧縮成形時に約1000〜2000MPa程度の成形圧力が必要になる。しかしながら、熱硬化性結着樹脂を配合し、アモルファス磁性粉末を充填したときの内部空孔を上記熱硬化性結着樹脂により満充填することにより、クラックなどの不具合が生じることなく十分な機械的強度が得られた。本発明はこのような知見に基づくものである。
磁性コアを形成する磁性粉末は、鉄、コバルト、ニッケル、ガドリニウムなどの強磁性元素が添加されたアモルファス金属粉末である。アモルファス金属粉末としては、鉄合金系、コバルト合金系、ニッケル合金系、これらの混合合金系アモルファス金属粉末などが挙げられる。
アモルファス金属粉末は絶縁材(絶縁層)で被覆されたアモルファス金属粉末である。絶縁材としてはAl23、Y23、MgO、ZrO2等の金属酸化物、ガラス、またはこれらの混合物を用いることができる。これらの中でガラス材料が好ましい。ガラス材料の中でも、低融点ガラスが好ましい。低い軟化温度を有し、アモルファス金属粉末に融着してその粉末表面を被覆することができるからである。
低融点ガラスは、アモルファス金属粉末と反応せず、アモルファス金属の結晶化開始温度よりも低温、好ましくは約550℃以下で軟化するものであれば特に限定されない。例を挙げれば、PbO−B23系ガラス等の鉛系ガラス、P25系ガラス、ZnO−BaO系ガラス、そしてZnO−B23−SiO2系ガラス等の公知の低融点ガラスを用いることができる。好ましくは、無鉛ガラスであって、低い軟化点を与えるP25系ガラスが好ましい。その一例を挙げればP25が60〜80質量%、Al23が10質量%以下、ZnOが10〜20質量%、Li2Oが10質量%以下、Na2Oが10質量%以下の組成のものを用いることができる。
絶縁被覆の形成方法としては、メカノフュージョン等の粉末コーティング法や、無電解メッキやゾル−ゲル法等の湿式薄膜作製法、またはスパッタリング等の乾式薄膜作製法等を用いることができる。このうち、粉末コーティング法は、例えば特開2001−73062号公報に記載された粉末コーティング装置を用いて行なうことができる。この方法によれば、アモルファス金属粉末と低融点ガラス粉末が強力な圧縮摩擦力を受け、アモルファス金属粉末と低融点ガラス粉末との融合およびガラス粉末同士の溶着により、アモルファス金属粉末の表面が低融点ガラスからなる無機絶縁層で被覆されたアモルファス金属粉末を得ることができる。
また、絶縁されたアモルファス金属粉末の組成は、無機絶縁性材料0.3〜6質量%、残部がアモルファス金属粉末となるように、より好ましくは、無機絶縁性材料0.4〜3質量%、残部がアモルファス金属粉末となるように、さらに好ましくは無機絶縁性材料0.4〜1質量%、残部がアモルファス金属粉末となるようにする必要がある。なお、必要により、0.1〜0.5質量%のステアリン酸亜鉛やステアリン酸カルシウム等のステアリン酸塩の滑剤を添加することもできる。また、必要に応じて温間成形や金型潤滑成形、これらを組み合わせた成形方法を利用することもできる。
絶縁されたアモルファス金属粉末は、原料として用いる成形前の粒子径として篩目開きが150μmの篩(米国ASTM規格で100メッシュの篩)を通過し、同25μmの篩(米国ASTM規格で500メッシュの篩)を通過しない粒子である。好ましくは、106μmの篩(米国ASTM規格で150メッシュの篩)を通過し、同25μmの篩(米国ASTM規格で500メッシュの篩)を通過しない粒子であり、より好ましい範囲は、同90μmの篩(米国ASTM規格で170メッシュの篩)を通過し、同38μmの篩(米国ASTM規格で400メッシュの篩)を通過しない粒子である。篩目開きが25μmを通過する微粉は、アモルファス金属粉末表面への無機絶縁膜被膜の形成が困難になり、同150μm不通過のアモルファス金属粉末は鉄損が大きくなる。すなわち、無機絶縁被膜処理した細かなアモルファス金属粉末(篩目開きが150μmの篩を通過し、同25μmの篩を通過しない粒子)を使用することで、鉄損(渦電流損)を低減することが可能となった。また、特に薄くて良質な無機絶縁被膜形成により、アモルファス金属粉末の充填率を損なわず、従来品レベルの磁気特性を維持することができる。
磁性コアを形成する熱硬化性結着樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられる。これらの中でもエポキシ樹脂を用いることが好ましい。結着性樹脂は、絶縁用かつ結着用として使用される。
本発明に使用できるエポキシ樹脂は、接着用エポキシ樹脂として使用できる樹脂であって軟化温度が100〜120℃の樹脂が好ましい。例えば、室温では固体であるが、50〜60℃でペースト状になり、130〜140℃で流動性になり、さらに加熱を続けると硬化反応が始まるエポキシ樹脂であれば使用できる。この硬化反応は120℃付近でも始まるが、実用的な硬化時間、例えば2時間以内で硬化反応が終了する温度としては170〜190℃であることが好ましい。この温度範囲であると、硬化時間は45〜80分である。
エポキシ樹脂の樹脂成分としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリアジン骨格含有エポキシ樹脂、フルオレン骨格含有エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、アクリルエポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、トリフェノールフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有エポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
エポキシ樹脂の硬化剤成分は潜在性エポキシ硬化剤である。潜在性エポキシ硬化剤を用いることにより、軟化温度を100〜120℃に、また硬化温度を170〜190℃に設定することができ、アモルファス金属粉末への絶縁性塗膜の形成と、その後の圧縮成形および熱硬化を行なうことができる。
潜在性エポキシ硬化剤としては、ジシアンジアミド、三フッ化ホウ素−アミン錯体、有機酸ヒドラジド等が挙げられる。これらの中で、上記硬化条件に適合するジシアンジアミドが好ましい。
また、潜在性エポキシ硬化剤と共に、三級アミン、イミダゾール、芳香族アミンなどの硬化促進剤を含むことができる。
本発明で使用できる上記潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂は、160℃で2時間、170℃で80分、180℃で55分、190℃で45分、200℃で30分の硬化条件となるように潜在性硬化剤を配合する。
アモルファス金属粉末とエポキシ樹脂との配合割合は、これらの合計量に対して、アモルファス金属粉末が97質量%以上98質量%以下であり、エポキシ樹脂が2質量%以上3質量%以下である。エポキシ樹脂が2質量%未満であると、絶縁被膜の形成が困難であり、3質量%を超えると磁気特性の低下と樹脂リッチな粗大な凝集体が発生する。
本発明の磁性コアの断面組織を図1に示す。図1は磁性コアを任意の断面で切断したときの断面図である。
磁性コア1は、表面に無機絶縁被膜3を有するアモルファス金属粉末2が最密充填しており、内部空孔が熱硬化性結着樹脂4により満充填されている。この磁性コア1は、後述する一次圧縮成形および二次圧縮成形により製造され、モルファス磁性コアの理論密度比(%)が84〜95%、好ましくは84〜92%である。ここで理論密度比は以下の式で表される。

理論密度比(%)=[(磁性コアの密度)/(理論密度)]×100

ここで、磁性コアの密度とは、製品となった磁性コアの密度であり、理論密度とは、アモルファス金属粉末を球形粒子と見做し最密充填したとして計算された密度である。
本発明の磁性素子は、上記本発明のアモルファス磁性コアと、このアモルファス磁性コアの周囲に巻回されたコイルとを含み、電子機器回路に組み込まれる磁性素子である。
コイルを形成する巻線としてはエナメル線を使用することができ、その種類としてはウレタン線(UEW)、ホルマール線(PVF)、ポリエステル線(PEW)、ポリエステルイミド線(EIW)、ポリアミドイミド線(AIW)、ポリイミド線(PIW)、これらを組み合わせた二重被複線、または自己融着線、リッツ線等を使用できる。エナメル線の断面形状としては丸線や角線を使用できる。導体としては、銅、アルミニウム、金、銀等、電気伝導性に優れた金属が使用できる。
コイルの巻き方としては、ヘリカル巻、トロイダル巻を採用できる。超小型の磁性コアの場合、トロイダルコイルのコアに使用されるドーナツ型コアでない、円柱状のコアや角注状、板状のコアが使用できる。
本発明のアモルファス磁性コアおよび/または磁性素子は、二輪車を含む自動車や産業用機器および医療用機器の電源回路、フィルタ回路やスイッチング回路等に使用される軟質磁性材料のコア部品、例えばインダクタ、トランス、アンテナ、チョークコイル、フィルタなどのコア部品、磁性素子として使用できる。また、表面実装用部品の磁性コア、磁性素子として使用できる。
特に自動二輪車・四輪車などの輸送機器や産業機器などの振動や衝撃を伴う用途に使われる磁性コア、磁性素子として好適である。
アモルファス磁性コアは、アモルファス金属粉末と硬化剤を含むエポキシ樹脂との混合物を圧縮成形、熱硬化して製造できる。
磁性コアの製造方法を図2により説明する。図2は製造工程図である。
上述した無機絶縁被覆された磁性体であるアモルファス金属粉末と、上述した潜在性硬化剤が既に配合されているエポキシ樹脂とをそれぞれ準備する。アモルファス金属粉末は予め分級機により150メッシュ(篩目開き106μm)の篩を通過し、500メッシュ(篩目開き25μm)の篩を通過しない粒子に調整されている。
混合工程により、アモルファス金属粉末とエポキシ樹脂とを該エポキシ樹脂の軟化温度以上、熱硬化開始温度未満の温度で乾式混合する。この混合工程においては、最初にアモルファス金属粉末とエポキシ樹脂とを室温で十分にブレンダー等を用いて混合する。次に、混合された混合物をニーダー等の混合機に投入してエポキシ樹脂の軟化温度(100〜120℃)にて加熱混合する。この加熱混合の工程により、アモルファス金属粉末の表面にエポキシ樹脂の絶縁被膜が形成される。この段階ではエポキシ樹脂は未硬化である。
ニーダー等の混合機を用いて加熱混合された内容物は、凝集したケーキ状となっている。粉砕工程は、この凝集ケーキを室温で粉砕して篩分けすることにより、表面にエポキシ樹脂の絶縁膜が形成されたアモルファス金属粉末を得る工程である。粉砕はヘンシェルミキサーが好ましく、粒子径500μm以下の粒度とすることが好ましい。
圧縮成形工程は、所定の金型を用いて磁性コアを圧縮成形する工程であり、本発明方法においては一次圧縮成形工程および二次圧縮成形工程により成形される。
一次圧縮成形工程は、粉砕された上記粉末を、金型を用いて室温にて190〜400MPa、好ましくは196〜392MPaの圧力で一次圧縮成形体とする工程である。一次圧縮成形体の断面構造を図3に示す。
磁性コア1’は、表面に無機絶縁被膜3および熱硬化性結着樹脂被膜4を有するアモルファス金属粉末2の圧縮成形体である。磁性コア1’は、熱硬化性結着樹脂被膜4により、圧縮成形時の圧力を下げることができ、無機絶縁被膜3の電気絶縁性を破壊することなく、内部空孔5を有する断面組織となる。熱硬化性結着樹脂であるエポキシ樹脂皮膜の流動性により、アモルファス金属粉末単体の場合よりも成形性が著しく向上し、成形体の取り扱いが容易になる。
二次圧縮成形工程は、一次圧縮成形体をエポキシ樹脂の軟化温度以上、熱硬化開始温度未満の温度にて190〜400MPaの圧力で圧縮成形する工程である。一次圧縮成形体は、80〜120℃に予備加熱された後、同じく80〜120℃に温間保持された金型内にすばやく挿入し、190〜400MPa、好ましくは196〜392MPaの圧力で再圧縮する。この二次圧縮成形により、エポキシ樹脂皮膜層が流動し、アモルファス金属粉を密着させ高密度化させることができる。エポキシ樹脂被膜の形成および温間での再圧縮により、アモルファス金属磁性粉末の充填率の低減を抑え磁気特性を損なわず、さらに接着効果の高い熱硬化性エポキシ樹脂を使用したことで圧環強さに優れた磁性コアが得られる。
硬化工程は、金型より取り出された磁性コアを空気中170〜190℃の温度で、45〜80分加熱硬化する工程である。170℃未満では硬化に長時間かかり、190℃を超えると劣化が始まるからである。加熱硬化は、窒素雰囲気で行なうことが好ましい。
加熱硬化後、必要に応じて、切削加工、バレル加工、防錆処理などを行ないアモルファス磁性コアが得られる。
実施例1
粒子表面が無機絶縁被膜で覆われたアモルファス金属磁性粉末(Fe−Si−B系アモルファス金属)98.0gと、硬化剤としてジシアンジアミドを含むエポキシ樹脂粉末2.0gとの割合にてブレンダーにて室温で10分間混合した。使用したアモルファス金属磁性粉末は篩目開き150μmの篩を通過し、25μmの篩を通過しない粉末を使用した。混合物をニーダーに投入して110℃で15分間加熱混練した。ニーダーより凝集したケーキを取り出して冷却した後、粉砕機で粉砕した。次いで金型を用いて室温にて294MPaの成形圧力で圧縮成形し一次圧縮成形体を得た。この一次圧縮成形体を空気中100℃にて予備加熱した。予め100℃に加熱された金型内に一次圧縮成形体を素早く挿入し、100℃の温度を保持して294MPaの成形圧力で圧縮成形した。圧縮成形品を金型より取り出し、180℃の温度で1時間窒素雰囲気で硬化させた。さらに切削加工を施しアモルファス磁性コアを製造した。アモルファス磁性コアの形状は、内径7.6mmφ、外径12.6mmφ、厚さ5.7mmの平円筒状である。
得られた磁性コアの圧環強さを測定した。測定は、JIS Z 2507−2000により、アモルファス磁性コアに直径方向の荷重を破壊が生じるまで連続して加え、破壊したときの荷重を測定した。
また、磁気特性測定用トロイダル状の試験片を上記条件で作製し磁気特性を測定した。試験片は、内径7.6mmφ、外径12.6mmφ、厚さ5.7mmの平円筒状の磁性コアとし、この磁性コアにインダクタンスが10μHとなるように巻線の巻回数を調製し、1kHzにおけるインダクタンスを100%として、周波数を変化させたときのインダクタンスを測定した。また、上記インダクタを用いて表1に示す条件で鉄損比および直流重畳特性を測定した。なお、鉄損比はインダクタの寸法、電流、インダクタンスを各実施例比較例とも同一の条件で測定した。また、表面写真により成形性を評価した。結果を表1、図4に示す。
実施例2
粒子表面が無機絶縁被膜で覆われたアモルファス金属磁性粉末(Fe−Si−B系アモルファス金属)97.0g、硬化剤としてジシアンジアミドを含むエポキシ樹脂粉末3.0gとする以外は、実施例1と同一の条件で内径7.6mmφ、外径12.6mmφ、厚さ5.7mmの平円筒状アモルファス磁性コアを製造した。実施例1と同一の条件で圧環強さおよび磁気特性を測定した。結果を表1に示す。
比較例1
エポキシ樹脂を配合することなく、また温間での二次圧縮成形をすることなく、1764MPaの成形圧力で圧縮成形する以外は、実施例1で用いたアモルファス金属磁性粉末を用いて実施例1と同様な方法で内径7.6mmφ、外径12.6mmφ、厚さ5.7mmの平円筒状のアモルファス磁性コアを製造した。実施例1と同一の条件で圧環強さおよび磁気特性を測定した。また、表面写真により成形性を評価した。結果を表1、図5に示す。
比較例2
比較例1で製造された磁性コアの内部空孔をアクリル樹脂により封孔処理をした。実施例1と同一の条件で圧環強さおよび磁気特性を測定した。結果を表1に示す。
比較例3
アモルファス金属粉末をセンダスト粉末に代える以外は、比較例2と同様な方法で内径7.6mmφ、外径12.6mmφ、厚さ5.7mmの平円筒状の磁性コアを製造した。実施例1と同一の条件で圧環強さおよび磁気特性を測定した。結果を表1に示す。
実施例3〜8
実施例1で用いたアモルファス金属磁性粉末およびエポキシ樹脂を用いて実施例1と同様な方法で内径7.6mmφ、外径12.6mmφ、厚さ5.7mmの平円筒状のアモルファス磁性コアを製造した。上記した方法にて磁性コアの密度を測定して理論密度比(%)を算出した。比較例1の結果と合わせて表2に示す。
本発明の磁性コアは、アモルファス金属粉末および熱硬化性結着樹脂を用いるので、圧縮性と成形性が著しく向上し、機械的強度に優れる。その結果、今後小型軽量化される電子機器に利用できる。
1 磁性コア
2 アモルファス金属粉末
3 無機絶縁被膜
4 熱硬化性結着樹脂被膜
5 内部空孔

Claims (6)

  1. 磁性材料の熱硬化成形体からなる磁性コアであって、
    前記磁性材料が磁性粉末および熱硬化性結着樹脂の混合物であり、
    前記磁性粉末が無機絶縁材で被覆されたアモルファス金属粉末であり、
    前記熱硬化性結着樹脂が潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂であり、
    前記磁性粉末を最密充填したときの内部空孔が前記熱硬化性結着樹脂により満充填されており、
    圧環強さが70MPa以上であることを特徴とするアモルファス磁性コア。
  2. 前記磁性粉末と前記熱硬化性結着樹脂との合計量に対して、前記磁性粉末が97質量%以上98質量%以下、前記熱硬化性結着樹脂が2質量%以上3質量%以下それぞれ含まれていることを特徴とする請求項1記載のアモルファス磁性コア。
  3. 前記磁性コアの理論密度比が84〜95%であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のアモルファス磁性コア。
  4. 前記磁性粉末は、篩目開き150μmの篩を通過し、同25μmの篩を通過しない粒子であることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載のアモルファス磁性コア。
  5. アモルファス磁性コアと、このアモルファス磁性コアの周囲に巻回されたコイルとを含み、電子機器回路に組み込まれる磁性素子であって、
    前記磁性コアが請求項1から請求項4のいずれか1項記載のアモルファス磁性コアであることを特徴とする磁性素子。
  6. 請求項1から請求項4のいずれか1項記載のアモルファス磁性コアの製造方法であって、
    前記磁性材料を前記エポキシ樹脂の軟化温度以上、熱硬化開始温度未満の温度で乾式混合する混合工程と、
    前記混合工程により生成した凝集ケーキを室温で粒子径500μm以下に粉砕する粉砕工程と、
    前記粉砕された粉末を、金型を用いて室温にて190〜400MPaの圧力で一次圧縮成形体とする一次圧縮成形工程と、
    前記一次圧縮成形体を前記エポキシ樹脂の軟化温度以上、熱硬化開始温度未満の温度にて190〜400MPaの圧力で二次圧縮成形体とする二次圧縮成形工程と、
    前記二次圧縮成形体を空気中170〜190℃にて熱硬化させる硬化工程を含むことを特徴とするアモルファス磁性コアの製造方法。
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