JP2017136737A - 蛍光体用保護フィルム、及びそれを用いた波長変換シート - Google Patents

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Abstract

【課題】バリア性が高く、シワ等のない外観に優れた蛍光体用保護フィルムを提供する。【解決手段】量子ドットを用いた蛍光体を保護するための蛍光体用保護フィルムであって、ポリエチレンテレフタレートフィルムの少なくとも一方の面上に設けられた1以上のバリア層を備えており、前記ポリエチレンテレフタレートフィルムは、熱機械特性試験機により、幅(TD)方向に引張性の50mNの荷重をかけつつ、5℃/分の昇温速度で測定したときの伸び率が、80℃において、0.2%以下であること、を特徴とする蛍光体用保護フィルムとする。ここで、伸び率は、(80℃での長さ−15℃での長さ)/15℃での長さx100%とする。【選択図】図1

Description

本発明は、蛍光体用保護フィルム、及びそれを用いた波長変換シートに関する。
液晶ディスプレイは、表示のために液晶組成物が使用された表示装置である。液晶ディスプレイは、多様な機器における表示装置、特に情報表示装置、及び画像表示装置として利用されている。
液晶ディスプレイは、電圧の印加に基づき、領域ごとに光を透過・遮断することで映像を表示する。従って、液晶ディスプレイに映像を表示するためには、外部の光が必要となる。そのための光源として、液晶ディスプレイの背面に設けられたバックライトが利用される。バックライトには従来冷陰極管が使用されている。最近では長寿命、発色の良さ等の理由から、冷陰極管に代わって、LED(発光ダイオード)も使用されている。
ディスプレイにおいて非常に大きな重要度を占める白色LED技術では、セリウムをドープしたYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)・Ce下方変換用蛍光体を青色(450nm)LEDチップで励起する方法が一般的に用いられている。LEDの青色光と、YAG蛍光体から発生した波長範囲の広い黄色光とが混ざることで白色光となる。しかしこの白色光は幾分青味がかっていることが多く、しばしば「冷たい」とか「涼しげな」白色とみなされてしまう。
ところで、近年国外のベンチャー企業を中心として、量子ドットを用いたナノサイズの蛍光体が製品化されている。量子ドットとは、発光性の半導体ナノ粒子で、直径の範囲は1〜20nmである。量子ドットのユニークな光学特性及び電子特性は、生物学および医学診断の分野における蛍光イメージングに加え、フラットパネルディスプレイや多彩な色の照明(電飾)など、数多くの用途に活用されつつある。
量子ドットは幅広い励起スペクトルを示し量子効率が高いため、LED波長変換用蛍光体として使用することができる。さらに、ドットサイズや半導体材料の種類を変更するだけで、発光の波長を可視域全体にわたって完全に調整することができる。そのため、量子ドットは事実上あらゆる色、特に照明業界で強く望まれている暖かい白色を作り出せる可能性を秘めている。加えて、発光波長が、赤、緑、青に対応する3種類のドットを組み合わせて、演色評価数の異なる白色光を得ることが可能となる。このように、量子ドットによるバックライトを用いたディスプレイでは、従来の液晶テレビより厚みや消費電力、コスト、製造プロセスを増やすことなく、色調が向上し、人が識別できる色の65%までを表現可能になる。
量子ドットによるバックライトは、赤や緑の発光スペクトルを持つ量子ドットをフィルム内に拡散させ、その外面をバリアフィルムもしくはその積層体で封止したもので、形態によってはエッジ部も封止したものもある。
ここで、バリアフィルムとは、プラスチックフィルム等の基材の表面に蒸着等によって薄膜を形成して、水分や気体の透過を防ぐものである。バリアフィルムにはバリア性の他に、キズやシワなどのない外観や透明性などが要求されるが、従来のバリアフィルムは、食品や医療品等の包装材料や電子デバイス等のパッケージ材料として用いられてきたものであるため、蛍光体保護用としては満足できる性能を得ることができないという課題があった。
特に、食品等の包装材料として使用するときには問題にならなかったシワが課題となっている。すなわち、蛍光体用保護フィルムに用いるバリアフィルムでは、蒸着やコーティング後の焼成といったバリア性付与工程における加熱後の冷却によって発生しやすいシワなどを極力抑え、なおかつ、十分なバリア性をもつことが課題であった。
このような課題を解決するために、いくつかの方法が考えられる。例えば、特許文献1には、蛍光体の劣化を抑制するため、バリアフィルムで挟まれたバックライトが提案されている。また、特許文献2には、有機EL素子の信頼性を確保するため、バリアフィルムで被覆することが提案されている。
特開2011−013567号公報 特開2009−018568号公報
しかしながら、特許文献1、2を参考に既存のバリアフィルムで、量子ドットを封止したディスプレイを作製すると、バリア性が不足するために得られた白色光の寿命が短かったり、フィルムのキズ、シワ、量子ドットの模様等により白色LEDに色(光)ムラが生じ均一性が劣化してしまうという問題があった。
本発明はかかる事情を鑑みてなされたものであり、バリア性、及びシワ等のない外観に優れた蛍光体用保護フィルム、並びにそれを用いて得られる波長変換シートを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の本発明は、量子ドットを用いた蛍光体を保護するための蛍光体用保護フィルムであって、
ポリエチレンテレフタレートフィルムの少なくとも一方の面上に設けられた1以上のバリア層を備えており、
前記ポリエチレンテレフタレートフィルムは、
熱機械特性試験機により、幅(TD)方向に引張性の50mNの荷重をかけつつ、5℃/分の昇温速度で測定したときの伸び率が、80℃において、
0.2%以下であること、を特徴とする蛍光体用保護フィルム。
ここで、伸び率は、(80℃での長さ−15℃での長さ)/15℃での長さ×100%とする。ここで、伸び率が負の値である場合は収縮、正の値である場合は膨張を表す。
請求項2に記載の本発明は、前記1以上のバリア層が、前記ポリエチレンテレフタレートフィルムに近い側から、無機薄膜層、ガスバリア性被覆層の順に交互に積層された構成からなることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体用保護フィルムとしたものである。
請求項3に記載の本発明は、前記無機薄膜層が、酸化珪素、酸化アルミニウムの少なくとも一方の蒸着膜を含むことを特徴とする請求項2に記載の蛍光体用保護フィルムとしたものである。
請求項4に記載の本発明は、前記ガスバリア性被覆層が、水酸基含有高分子化合物、金属アルコキシド、金属アルコキシド加水分解物、及び金属アルコキシド重合物のうち、少なくとも1種類以上を成分に持つことを特徴とする請求項2または3に記載の蛍光体用保護フィルムとしたものである。
請求項5に記載の本発明は、量子ドットを用いた蛍光体を含む蛍光体層と、前記蛍光体層の少なくとも一方の面上に、請求項1〜4のいずれか1項に記載の蛍光体用保護フィルムと、を備えていることを特徴とする波長変換シートとしたものである。
本発明の蛍光体用保護フィルムは、蒸着やコーティング後の焼成といったバリア性付与工程における加熱後の冷却によっても、シワ等の発生が抑えられるので外観に優れている。また、無機薄膜層だけでなくガスバリア性被覆層を備えていることから、バリア性に優れる。従ってこれを用いた本発明の波長変換シートにおいては量子ドットの特性劣化が抑えられ、長期間にわたって発光効率の低下の少ないバックライトユニットが得られ、ディスプレイ上においても均一性の高い発光面を得ることができる。
本発明を適用した第1の実施形態である蛍光体用保護フィルム、及びそれを用いた第1の実施形態の波長変換シートの構成を示す模式断面図である。 本発明を適用した第2の実施形態である蛍光体用保護フィルム、及びそれを用いた第2の実施形態の波長変換シートの構成を示す模式断面図である。 本発明を適用した第3の実施形態である蛍光体用保護フィルム、及びそれを用いた第3の実施形態の波長変換シートの構成を示す模式断面図である。 透明プラスチックフィルム(基材)の長手方向(MD)、及び幅方向(TD)を示す説明図である。 実施例1〜3、比較例1〜2のポリエチレンテレフタレートフィルムについて、熱機械特性試験機により伸び率を測定した結果を示す特性図である。
以下、本発明を適用した蛍光体用保護フィルム、及びそれを用いた波長変換シートの、各々第1〜第3の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。また、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
<第1の実施形態>
(蛍光体用保護フィルム)
図1の符号3の部分は、本発明を適用した第1の実施形態である蛍光体用保護フィルム3の断面構成を模式的に示している。本実施形態の蛍光体用保護フィルム3は、透明プラスチックフィルム5とバリア層6とを有するバリアフィルムとなっている。
尚、図1の構成では、バリア層6は透明プラスチックフィルム5の片面に設けられているが、両面に設けた構成であってもよい。
蛍光体用保護フィルム3の作製工程としては、まず透明プラスチックフィルム5の少なくとも片方の面に、無機薄膜層7を例えば蒸着法等によって形成する。次に、無機薄膜層7の表面上に、コーティング+焼成法等によりガスバリア性被覆層8を積層する。これにより、透明プラスチックフィルム5上に、無機薄膜層7とガスバリア性被覆層8からなるバリア層6が設けられた蛍光体用保護フィルム3が得られる。
図4には、本発明の蛍光体用保護フィルムで使用する透明プラスチックフィルム(基材)の長手方向及び幅方向を説明するための図を示す。本発明にあっては、ウェブ状の透明プラスチックフィルムが巻き取りロールになっているものを想定しており、透明プラスチックフィルムの走行方向(MD)を長手方向としている。一方、長手方向MDに対する垂直方向(TD)を幅方向としている。尚、MDとはMachine Directionの略語であり、TDはTransverse Directionの略語である。
一般に、バリアフィルムを工業的に生産する場合、ウェブ状のロールからフィルムが巻き出され、フィルム上にバリア層が形成された後、バリアフィルムとして巻き取られる。これらの工程中、搬送(走行)状態にあるフィルムには、フィルムを張設状態で搬送するために機械的な引張方向の外力が加わる。本発明はこれらの外力を加味した上で、透明プラスチックフィルムの熱的な伸び率に好適な範囲を定めることにより、蛍光体用保護フィルムのシワ等の発生を低減することを実現する。
透明プラスチックフィルム5の厚さは、特に限定されるものではないが、後述の波長変換シート1のバリア性の維持と、総厚が厚くなることを避けるため、12〜100μmの範囲とすることが望ましい。透明プラスチックフィルム5としては、寸法安定性、加工適性の点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることが好ましい。
本発明の蛍光体用保護フィルムでは、熱機械特性試験機により、幅(TD)方向に引張性の50mNの荷重をかけつつ、5℃/分の昇温速度で測定したときの伸び率が、80℃において、0.2%以下のポリエチレンテレフタレートフィルムを使用する。ここで、伸び率は、(80℃での長さ−15℃での長さ)/15℃での長さx100%とする。伸び率が負の値である場合は収縮、正の値である場合は膨張を表す。ここで、引張性の荷重をかける理由は、前記のように工程中で搬送状態にあるポリエチレンテレフタレートフィルムにかかる引張性の外力を模するためである。また、80℃を基準とする理由は、蛍光体用保護フィルムの使用環境、作製条件の観点から必要十分と考えられる好適な温度であるからである。伸び率0.2%以下が好適である理由は実施例にて示す。なお伸び率は0.2%以下であれば下限は特に制限はないが、一般的なポリエチレンテレフタレートフィルムでは0%以上である。
ポリエチレンテレフタレートフィルムの伸び率を上記の好適な範囲に調整するには、例えば、延伸によりフィルム内の分子鎖を配向させ、さらに延伸フィルムを加熱することにより行うことができる。延伸フィルムを加熱する際には、ポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度及び融点等を考慮して加熱温度を設定する。延伸フィルムを適切な温度で加熱することにより、延伸で得られた分子鎖配向を促進もしくは緩和させる、結晶構造を固定する等、様々な方法で結晶構造を制御することが可能となる。その結果、ポリエチレンテレフタレートフィルムのTD方向における熱的な伸び率を調整することができる。
無機薄膜層7としては、特に限定されるものではないが、例えば、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムあるいはそれらの混合物を用いることが好ましい。しかしながら、バリア性、生産性の観点から、酸化アルミニウム又は酸化珪素を用いることが特に好ましい。
無機薄膜層7の膜厚は、10〜500nmの範囲内とすることが好ましく、50〜300nmの範囲内にすることがより好ましい。ここで、膜厚が10nm未満であると、膜厚が薄すぎるために均一な膜が得られない場合や、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない場合が生じる。一方、膜厚が500nmを越える場合は、薄膜にフレキシビリティを保持させることができず、成膜後の折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、薄膜に亀裂を生じるおそれがある。
ガスバリア性被覆層8は、後工程での二次的な各種損傷を防止すると共に、高いバリア性を付与するために設けられるものである。ガスバリア性被覆層8は、水酸基含有高分子化合物、金属アルコキシド、金属アルコキシド加水分解物及び金属アルコキシド重合物のうち、少なくとも1種類以上を成分として有していることが望ましい。
水酸基含有高分子化合物としては、具体的には、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン等の水溶性高分子が挙げられるが、特にポリビニルアルコールを用いた場合にバリア性が最も優れる。
金属アルコキシドは、一般式、M(OR)(M:Si,Ti,Al,Zr等の金属、R:CH,C等のアルキル基)で表せる化合物である。具体的にはテトラエトキシシラン[Si(OC]、トリイソプロポキシアルミニウム[Al(O−iso−C]などがあげられ、中でもテトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムが加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。加水分解物および重合物としては、例えば、テトラエトキシシランの加水分解物や重合物としてケイ酸(Si(OH))などが、トリプロポキシアルミニウムの加水分解物や重合物として水酸化アルミニウム(Al(OH))などが挙げられる。
ガスバリア性被覆層8には、前述の金属アルコキシドを分解させるために、塩化錫等の触媒を添加しても良い。例えば塩化第一錫、塩化第二錫或いはこれらの混合物であってもよく、無水物でも水和物でもよい。
(蛍光体層)
蛍光体層(波長変換層ともいう。図1では符号2)は、蛍光体と封止樹脂からなる数十〜数百μmの薄膜である。封止樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂からなる感光性樹脂もしくは熱硬化性樹脂を使用することができる。封止樹脂の内部には、量子ドットからなる蛍光体が1種乃至は2種程度混合された状態で封止されている。また蛍光体層2は、1種類の蛍光体のみが封止された蛍光体層が2層以上積層されたものであってもよい。それらの蛍光体は、励起波長が同一のものが選択される。励起波長は、LED光源が照射する光の波長に基づいて選択される。2種類の蛍光体の蛍光色は相互に異なる。各蛍光色は、赤色、緑色である。各蛍光の波長、及びLED光源が照射する光の波長は、カラーフィルタの分光特性に基づき選択される。蛍光のピーク波長は、例えば赤色が610nm、緑色が550nmである。
蛍光体の粒子構造を説明する。蛍光体としては、特に発光効率の良いコア・シェル型量子ドットが好適に用いられる。コア・シェル型量子ドットは、発光部としての半導体結晶コアが保護膜としてのシェルにより被膜されたものである。例えば、コアにはセレン化カドミウム(CdSe)、シェルには硫化亜鉛(ZnS)が使用可能である。CdSeの粒子の表面欠陥がバンドギャップの大きいZnSにより被膜されることで量子収率が向上する。また、蛍光体は、コアが第1シェル及び第2シェルにより二重に被膜されたものであってもよい。コアにはCdSe、第1シェルにはセレン化亜鉛(ZnSe)、第2シェルにはZnSが使用可能である。
蛍光体層2は、光源からの青色光を赤色、緑色などに変換する各蛍光体を単一の層に分散させても良いし、別の層として積層し多層構成の蛍光体層としても良い。
(波長変換シート)
図1の全体を示す符号1は、本発明を適用した第1の実施形態である波長変換シート1の構成を示す模式断面図である。本実施形態の波長変換シート1は、図1に示すように、量子ドットを用いた蛍光体を含む蛍光体層2と、蛍光体層2の両面にそれぞれ設けられた蛍光体用保護フィルム3と、を備えて構成される。本実施形態の波長変換シート1を構成する際には、それぞれの蛍光体用保護フィルム3のバリア層6を蛍光体層2に向けて積層する。これによって、両側の蛍光体用保護フィルム3の間に蛍光体層2が包み込まれた構
造となっている。
波長変換シート1の作製工程は特に限定されないが、例えば、封止樹脂に蛍光体材料を分散させ調整した混合液を、一方の蛍光体用保護フィルム3のバリア層6の表面上に塗布した後、他方の蛍光体用保護フィルム3のバリア層6の表面と、蛍光体層2が接するように積層したのち、UV硬化あるいは熱硬化することで波長変換シート1を製造することができる。
以下、本発明の蛍光体用保護フィルム及びそれを用いた波長変換シートの、各々第2、第3の実施形態について説明するが、第1の実施形態と同一の構成部分については同じ符号を付すると共に説明を省略する。
<第2の実施形態>
(蛍光体用保護フィルム)
図2の符号23の部分は、本発明を適用した第2の実施形態である蛍光体用保護フィルム23の断面構成を模式的に示している。本実施形態の蛍光体用保護フィルム23は、透明プラスチックフィルム5とバリア層26を有するバリアフィルムとなっている。
バリア層26は、無機薄膜層7とガスバリア性被覆層8とを含んでいる。さらに図2に示すように、バリア層26は、透明プラスチックフィルム5の一方の面上に無機薄膜層7が形成され、この無機薄膜層7の上にガスバリア性被覆層8が積層されるとともに、さらに前記ガスバリア性被覆層8の上に無機薄膜層7が、前記無機薄膜層7の上にガスバリア性被覆層8が、というように無機薄膜層7とガスバリア性被覆層8が交互に積層される構成になっている。
(波長変換シート)
図2の全体を示す符号21は、本発明を適用した第2の実施形態である波長変換シート21の構成を示す模式断面図である。図2に示すように、本実施形態の波長変換シート21は、量子ドットを用いた蛍光体を含む蛍光体層2と、蛍光体層2の両面にそれぞれ設けられた蛍光体用保護フィルム23と、を備えて構成される。本実施形態の波長変換シート21を構成する際には、それぞれの蛍光体用保護フィルム23を、バリア層26を蛍光体層2に向けて積層する。これによって、両側の蛍光体用保護フィルム23の間に蛍光体層2が包み込まれた構造となっている。
<第3の実施形態>
(蛍光体用保護フィルム)
図3の符号33の部分は、本発明を適用した第3の実施形態である蛍光体用保護フィルム33の断面構成を模式的に示している。本実施形態の蛍光体用保護フィルム33は、2枚の透明プラスチックフィルム5の間にバリア層36を挟み込んだバリアフィルムとなっている。
バリア層36は、第1の実施形態におけるバリア層6が対向するよう、接着層9を介して積層されている。従って換言すると、蛍光体用保護フィルム33は、透明プラスチックフィルム5とバリア層6からなる第1の実施形態の蛍光体用保護フィルム3が、ガスバリア性被覆層8が対向するよう、接着層9を介して積層されたラミネートフィルムである。
接着層9としては、特に限定されるものではないが、アクリル系材料、ウレタン系材料、ポリエステル系材料などの接着剤や粘着剤を用いることができる。具体的には、アクリル樹脂系粘着剤、ウレタン系接着剤、エステル系接着剤のいずれかを用いることができる。
また、接着層9の厚さとしては、特に限定されるものではないが、蛍光体用保護フィルム33あるいは後述の波長変換シート31の総厚を薄くするために、20μm以下とすることが望ましい。
(波長変換シート)
図3の全体を示す符号31は、本発明を適用した第3の実施形態である波長変換シート31の構成を示す模式断面図である。図3に示すように、本実施形態の波長変換シート31は、量子ドットを用いた蛍光体を含む蛍光体層2と、蛍光体層2の両面にそれぞれ設けられた蛍光体用保護フィルム33と、を備えて構成される。これによって、両側の蛍光体用保護フィルム33の間に蛍光体層2が包み込まれた構造となっている。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記第1、第2、第3の実施形態の波長変換シートでは、いずれも蛍光体層2の両面に蛍光体用保護フィルムを備える例を示したが、使用形態によっては、片面に備える構成であってもよい。
また、上述の第3の実施形態の蛍光体用保護フィルム33の発展形としては、バリア層6の部分が、第2の実施形態のバリア層26のように、無機薄膜層7とガスバリア性被覆層8、さらに無機薄膜層7とガスバリア性被覆層8とが、交互に積層された構成であってもよい。このように、第2の実施形態も含め、無機薄膜層とガスバリア性被覆層とが交互に2層ずつ以上積層された蛍光体用保護フィルムによれば、より優れたバリア性能を発揮することができる。
以下、実施例および比較例を用いて本発明の効果をさらに説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
<実施例1>
(蛍光体用保護フィルムの作製)
基材としての厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(伸び率:0.10%)の片面に、酸化珪素を真空蒸着法により25nmの厚みに設け無機薄膜層を形成し、さらにアルコキシシランとポリビニルアルコールからなる塗液をウエットコーティング法により0.3μmの厚みに塗布した後、加熱処理を行いガスバリア性被膜層を形成して、第1の実施形態の蛍光体用保護フィルム(図1の符号3)を作製した。尚、伸び率の測定については後述する。
(波長変換シートの作製)
量子ドットとしてのCdSe/ZnS 530(SIGMA−ALDRICH製)を濃度調整し、溶媒に分散することで蛍光体溶液とした。その蛍光体溶液を感光性樹脂と混合後、前記作製した蛍光体用保護フィルムのガスバリア被覆層側に塗布し、100μmの厚みの蛍光体層を形成した。
前記のように蛍光体用保護フィルム上に形成した蛍光体層上に、上記と同じ構成の蛍光体用保護フィルムを積層し、UV硬化ラミネートにより、実施例1の第1の実施形態の波長変換シート(図1の符号1)を作製した。
<実施例2>
基材としてポリエチレンテレフタレートフィルム(伸び率:0.17%)を使用した以外は実施例1と同様の方法にて、第1の実施形態の蛍光体用保護フィルムを作製した後、実施例1と同様の方法にて、実施例2の第1の実施形態の波長変換シートを作製した。
<実施例3>
実施例2において作製した蛍光体用保護フィルムのガスバリア被覆層に、アクリル樹脂接着剤を塗布し、続いて該蛍光体用保護フィルムと同じ構成の別の蛍光体用保護フィルムを貼り合わせることにより、第3の実施形態の蛍光体用保護フィルム(図3の符号33)を作製した。その後、実施例1と同様の方法にて、実施例3の第3の実施形態の波長変換シート(図3の符号31)を作製した。
<比較例1>
基材としてポリエチレンテレフタレートフィルム(伸び率:0.22%)を使用した以外は、実施例1と同様の方法にて、比較例1の波長変換シートを作製した。
<比較例2>
基材としてポリエチレンテレフタレートフィルム(伸び率:0.22%)を使用した以外は、実施例3と同様の方法にて、比較例2の波長変換シートを作製した。
<熱機械特性試験機(TMA)測定>
実施例1〜3、及び比較例1〜2で使用したポリエチレンテレフタレートフィルムについて、熱機械的分析装置(測定装置:パーキンエルマー社製TMASS6100、試料サイズ:4×15mm、温度条件:15〜100℃、昇温速度:5℃/分、荷重条件(TD方向、引張方向):50mNを用いて、伸び率を測定した。
<水蒸気透過度測定>
実施例1〜3、及び比較例1〜2で作製した蛍光体用保護フィルムについて、水蒸気透過率測定装置(測定装置:モダンコントロール社製Aquatran)を使用して、水蒸気透過度を、温度40℃、湿度90%RHの条件下で測定した。
<外観評価>
実施例1〜3、及び比較例1〜2で作製した波長変換シートについて、波長変換シートを作製する各工程においてLED光源をあてて表面上の発光状態を確認し、目視によりムラやシワなどの有無を確認した。ムラやシワなどの発生がないものを○、あるものを×、特に顕著にあるものを××と評価した。
以上の測定結果、外観評価結果、総合的な判定結果を図5、表1にまとめて示す。
表1から、実施例1〜3の波長変換シートでは、TD方向に引張性荷重をかけながら加熱したときの伸び率が小さく、加熱寸法安定性に優れたポリエチレンテレフタレートフィルムを使用したことにより、優れたバリア性と外観を得ることができた。
一方、比較例1〜2の、TD方向に引張性荷重をかけながら加熱したときの伸び率が大きく、加熱寸法安定性に劣るポリエチレンテレフタレートフィルムを使用した波長変換シートでは、バリア性にはほぼ影響しないものの、特にシワとみられる外観上に問題があり、不均一な面発光状態になってしまい、ニュートンリングが発生するなどの問題が見られた。
本発明によれば、優れた外観とバリア性を有する蛍光体用保護フィルムが得られ、蛍光体の特性劣化が抑えられるので、長期間にわたって均一性が良く発光効率の低下の少ないバックライトユニットが得られる。その結果、高精細、高効率、かつ長寿命のディスプレイを得ることができる。
1、21、31・・・波長変換シート
2・・・蛍光体層
3、23、33・・・蛍光体用保護フィルム
5・・・透明プラスチックフィルム
6、26、36・・・バリア層
7・・・無機薄膜層
8・・・ガスバリア性被覆層
9・・・接着層
40・・・巻き出し部

Claims (5)

  1. 量子ドットを用いた蛍光体を保護するための蛍光体用保護フィルムであって、
    ポリエチレンテレフタレートフィルムの少なくとも一方の面上に設けられた1以上のバリア層を備えており、
    前記ポリエチレンテレフタレートフィルムは、
    熱機械特性試験機により、幅(TD)方向に引張性の50mNの荷重をかけつつ、5℃/分の昇温速度で測定したときの伸び率が、80℃において、
    0.2%以下であること、を特徴とする蛍光体用保護フィルム。
    ここで、伸び率は、(80℃での長さ−15℃での長さ)/15℃での長さ×100%とする。
  2. 前記1以上のバリア層が、前記ポリエチレンテレフタレートフィルムに近い側から、
    無機薄膜層、ガスバリア性被覆層の順に交互に積層された構成からなること、を特徴とする請求項1に記載の蛍光体用保護フィルム。
  3. 前記無機薄膜層が、酸化珪素、酸化アルミニウムの少なくとも一方の蒸着膜を含むこと、を特徴とする請求項2に記載の蛍光体用保護フィルム。
  4. 前記ガスバリア性被覆層が、水酸基含有高分子化合物、金属アルコキシド、金属アルコキシド加水分解物、及び金属アルコキシド重合物のうち、少なくとも1種類以上を成分に持つこと、を特徴とする請求項2または3に記載の蛍光体用保護フィルム。
  5. 量子ドットを用いた蛍光体を含む蛍光体層と、
    前記蛍光体層の少なくとも一方の面上に、請求項1〜4のいずれか1項に記載の蛍光体用保護フィルムと、を備えていること、を特徴とする波長変換シート。
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